JP2006250143A

JP2006250143A - ピストンポンプ

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Publication number: JP2006250143A
Application number: JP2005307528A
Authority: JP
Inventors: Tomoo Harada; 智夫原田; Junichi Maeda; 淳一前田
Original assignee: Advics Co Ltd
Current assignee: Advics Co Ltd
Priority date: 2005-02-10
Filing date: 2005-10-21
Publication date: 2006-09-21
Anticipated expiration: 2025-10-21
Also published as: KR100688364B1; DE102006000054A1; DE102006000054B4; KR20060090753A; CN1818379B; US20060177326A1; JP4622802B2; FR2881799A1; CN1818379A; US7891959B2

Abstract

【課題】ピストンとは別個に吸入弁のサブアッセンブリ化を可能として、吸入弁の組付性を改善する。
【解決手段】ピストンポンプは、吸入口１１ａと吐出口１１ｂを有するポンプハウジング１１、ポンプハウジングの内孔１１ｃに組付けられてポンプ室Ｒｏを形成し軸方向に往復動されることによりポンプ室Ｒｏの容積を増減するピストン１５、ポンプ室Ｒｏの吸入側に設けた吸入弁Ｖ１、ポンプ室Ｒｏの吐出側に設けた吐出弁Ｖ２を備える。吸入弁Ｖ１は、吸入口１１ａに連通する弁孔３１ａ、この弁孔のポンプ室側端部に形成された弁座部３１ｂ、弁体保持部３１ｃおよびスプリング保持部３１ｄを有して、ピストン１５に一体的に組付けられるリテーナ３１を備えるとともに、弁体保持部３１ｃに収容保持されて弁座部３１ｂに着座・離座可能な弁体３３と、スプリング保持部３１ｄに収容保持されて弁体３３を弁座部３１ｂに向けて付勢するスプリング３５を備えている。
【選択図】図１

Description

本発明は、ピストンポンプ、例えば、車両用ブレーキ装置のポンプとして採用されるピストンポンプに関する。

この種のピストンポンプは、例えば、下記の特許文献１に開示されていて、吸入口と吐出口を有するポンプハウジングの内孔に組付けられてポンプ室を形成し軸方向に往復動されることにより前記ポンプ室の容積を増減するピストンと、このピストンに設けられて前記吸入口と前記ポンプ室を連通させる流入路に介装され前記ポンプ室の容積増大時に開き容積減少時に閉じる吸入弁と、前記ポンプ室の吐出側に設けられて前記吐出口と前記ポンプ室を連通させる流出路に介装され前記ポンプ室の容積減少時に開き容積増大時に閉じる吐出弁とを備えていて、前記ピストンが軸方向に往復動されて前記ポンプ室の容積が増減されることにより前記吸入口から前記吐出口に向けて液体が流動するように構成されている。
特表２００３−５００６１０号公報

上記した従来のピストンポンプでは、前記吸入弁が、ピストンに設けた弁孔（吸入口に連通している）および弁座部（弁孔のポンプ室側端部に形成されている）と、ピストンに組付けられた筒状のリテーナと、このリテーナ内に組付けられて前記弁座部に着座・離座可能な弁体と、この弁体と前記リテーナ間に介装されて前記弁体を前記弁座部に向けて付勢するスプリングを備えている。

かかる従来のピストンポンプでは、ピストンに吸入弁の弁孔および弁座部が形成されているため、ピストンにリテーナ、弁体およびスプリングを組付けなければ、吸入弁を構成することができない。このため、吸入弁をピストンとは独立して構成することができず、当該吸入弁の組付性に改善の余地がある。そこで、本発明は、ピストンとは別個に吸入弁のサブアッセンブリ化を可能として、当該吸入弁の組付性を改善することを課題としている。

また、本発明は、吸入口と吐出口を有するポンプハウジングの内孔に組付けられてポンプ室を形成し軸方向に往復動されることにより前記ポンプ室の容積を増減するピストンと、このピストンに設けられて前記吸入口と前記ポンプ室を連通させる流入路に介装され前記ポンプ室の容積増大時に開き容積減少時に閉じる吸入弁と、前記ポンプ室の吐出側に設けられて前記吐出口と前記ポンプ室を連通させる流出路に介装され前記ポンプ室の容積減少時に開き容積増大時に閉じる吐出弁とを備えていて、前記ピストンが軸方向に往復動されて前記ポンプ室の容積が増減されることにより前記吸入口から前記吐出口に向けて液体が流動するように構成したピストンポンプにおいて、前記吸入弁が、前記吸入口に連通する弁孔と、この弁孔のポンプ室側端部に形成された弁座部と、この弁座部に連続して一体成形された弁体保持部およびスプリング保持部を有して、前記ピストンに一体的に組付けられるリテーナを備えるとともに、このリテーナの前記弁体保持部に収容保持されて前記弁座部に着座・離座可能な弁体と、前記リテーナの前記スプリング保持部に収容保持されて前記弁体を前記弁座部に向けて付勢するスプリングを備えていることに特徴がある。

このピストンポンプにおいては、ピストンに一体的に組付けられるリテーナが吸入弁の弁孔と弁座部を有するとともに、弁座部に連続して一体成形された弁体保持部およびスプリング保持部を有していて、弁体保持部にて弁座部に着座・離座可能な弁体を収容保持し、スプリング保持部にて弁体を弁座部に向けて付勢するスプリングを収容保持する。このため、リテーナに弁体とスプリングを組付けることで吸入弁をピストンとは別個に構成して、サブアッセンブリ化することが可能であり、当該吸入弁の組付性を改善することが可能である。

また、本発明の実施に際して、前記リテーナの前記弁体保持部と前記スプリング保持部は軸方向に延びる複数の柱状体によって構成されていて、各柱状体の先端部には前記スプリングの一端部と係合して同スプリングの前記リテーナからの抜けを規制するテーパ形状部が形成されていることも可能である。この場合には、リテーナを樹脂等によりモールド成形する場合の成形性や成形型からリテーナを取り外す際の作業性を良好とすることが可能である。

また、本発明の実施に際して、前記スプリングは円筒状に成形されたコイルスプリングであり、前記柱状体の先端部に形成されている前記テーパ形状部の大径部位と交叉する前記柱状体の内径は、前記弁体と前記コイルスプリングを組付ける前の状態で、前記コイルスプリングの端部外径よりも所定量小径であることも可能である。この場合には、コイルスプリングをリテーナの柱状体に組付けた状態で、柱状体の先端部は径外方に向けて弾性変形している。このため、柱状体の先端部が径内方に向けて弾性復帰する力にてコイルスプリングの端部を外周から内周に向けて押さえ付ける。したがって、コイルスプリングは、リテーナに確実に保持され、リテーナからの外れを防止される。

また、本発明の実施に際して、前記リテーナの前記弁体保持部と前記スプリング保持部は軸方向に延びる複数の柱状体によって構成されていて、各柱状体の先端部には前記スプリングの一端部と係合して同スプリングの前記リテーナからの抜けを規制する掛け止め部が形成されていることも可能である。この場合には、リテーナに対するスプリングの保持力を増大させることが可能であり、スプリングのリテーナからの抜け（脱落）を効果的に防止することが可能である。

また、本発明の実施に際して、前記柱状体は一対であって、各柱状体は弁座部側が二つに分かれたコの字形状に形成されていることも可能である。また、前記柱状体は４以上の偶数個であって、これらの柱状体は二分割されるようにその半分の先端部が一体的に結合されていることも可能である。これらの場合には、リテーナを樹脂等によりモールド成形する場合の成形性や成形型からリテーナを取り外す際の作業性を良好とすることが可能であるとともに、各柱状体の剛性を高めることができて、その保持機能を高めることが可能である。

また、本発明の実施に際して、先端部が一体的に結合されている前記柱状体の結合体は、基端部に比して先端部が細く立体的に形成されていることも可能である。この場合には、前記柱状体の結合体を平面的（平板状）に形成する場合に比して、同結合体の剛性を高めることができて、柱状体の先端部が径外方に弾性変形し難くすることが可能であり、柱状体の先端部によるスプリングの保持力アップを図ることが可能である。

また、本発明の実施に際して、前記リテーナのポンプ室側端部内周には、ポンプ室側を大径とするテーパ状部が形成されていることも可能である。この場合には、リテーナへの弁体およびスプリングの組付性（挿入性）を向上させることが可能である。

また、本発明の実施に際して、前記リテーナの外周には、前記ポンプ室から前記ピストンの外周に向けた液体の流動を規制する環状のリップシールが一体的に形成されていることも可能である。この場合には、当該吸入弁を含むピストンポンプでの部品点数の低減を図ることが可能である。

この場合において、前記リテーナの外周には、前記リップシールよりポンプ室側に、前記ピストンを復帰動させるピストンリターンスプリングの受承部が一体的に形成されていることも可能である。この場合には、ピストンリターンスプリングのリップシールへの干渉を防止して、リップシールの機能を保証することが可能である。

また、本発明の実施に際して、前記リテーナの前記弁座部には、同弁座部の形成面に沿って軸方向に延びる微細な溝が一体的に形成されていることも可能である。また、前記リテーナの前記リップシール外周には、同リップシールの形成面に沿って軸方向に延びる微細な溝が一体的に形成されていることも可能である。これらの場合には、当該ピストンポンプに液体を充填する際のエアー抜き作業時（真空引きする作業時）に、微細な溝を通してポンプ室内に残留するエアーを抜くことが可能である。

以下に、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。図１および図２は本発明によるピストンポンプの第１実施形態を示していて、この第１実施形態のピストンポンプでは、吸入口１１ａおよび吐出口１１ｂを有するポンプハウジング１１の段付内孔１１ｃに、シリンダ部材１３とピストン１５が組み込まれるとともに、吸入弁Ｖ１と吐出弁Ｖ２が組み込まれている。

シリンダ部材１３は、有底筒状に形成されており、シリンダ穴１３ａを有するとともに、吐出弁Ｖ２の弁孔１３ｂおよび弁座１３ｃを形成した底壁１３ｄを有している。また、シリンダ部材１３は、ピストン１５、吸入弁Ｖ１、ピストンリターンスプリング１７および吐出弁Ｖ２とともにポンプハウジング１１の段付内孔１１ｃに組付けられて、キャップ１９によって抜け止めされている。

ピストン１５は、図１の左端部にてシールリング２１を介してポンプハウジング１１の段付内孔１１ｃの小径内孔内に液密的かつ軸方向へ摺動可能に嵌合されていて、図１の左端にて電気モータ（図示省略）によって回転駆動される偏心体２３の外周面に摺動可能に係合している。また、ピストン１５は、図１の右端部にてポンプハウジング１１の段付内孔１１ｃとシリンダ穴１３ａにポンプ室Ｒｏを形成している。このピストン１５は、偏心体２３の回転により、ピストンリターンスプリング１７の付勢力に抗して軸方向に往動されたときポンプ室Ｒｏの容積を減少させ、ピストンリターンスプリング１７の付勢力によって軸方向に復動されたときポンプ室Ｒｏの容積を増大させるように構成されている。

また、ピストン１５には、軸方向に延びる連通孔１５ａが形成されるとともに、径方向に延びる連通孔１５ｂが形成されていて、連通孔１５ｂに対応して環状溝１５ｃが形成されている。軸方向の連通孔１５ａは、吸入弁Ｖ１のリテーナ３１に形成した弁孔３１ａに連通している。径方向の連通孔１５ｂは、ピストン１５の中間部位に形成されていて、中間部にて連通孔１５ａの一端部に連通し、両端にて環状溝１５ｃに連通している。環状溝１５ｃは、ポンプハウジング１１の吸入口１１ａに連通している。

ピストンリターンスプリング１７は、圧縮コイルスプリングであり、シリンダ部材１３とピストン１５に組付けた吸入弁Ｖ１のリテーナ３１間に所定の予備荷重を付与して介装されていて、ピストン１５および吸入弁Ｖ１等を偏心体２３に向けて付勢している。

吸入弁Ｖ１は、ピストン１５のポンプ室側端部に液密的かつ一体的に組付けられていて、吸入口１１ａとポンプ室Ｒｏを連通させる流入路に介装されている。また、吸入弁Ｖ１は、樹脂製のリテーナ３１を備えるとともに、ボール弁体３３とスプリング３５を備えており、ポンプ室Ｒｏの容積増大時に開き容積減少時に閉じるように構成されている。

リテーナ３１は、吸入口１１ａに連通する弁孔３１ａと、この弁孔３１ａのポンプ室側端部に形成された弁座部３１ｂと、この弁座部３１ｂに連続して一体成形された弁体保持部３１ｃおよびスプリング保持部３１ｄを有するとともに、環状のリップシール３１ｅと環状の受承部３１ｆを有していて、図１の左端円筒部３１ｇにてピストン１５の連通孔１５ａに液密的かつ一体的に嵌合固定されている。

弁体保持部３１ｃおよびスプリング保持部３１ｄは、４本の柱状体Ａで構成されていて、各柱状体Ａの図１左端部が弁体保持部３１ｃとして機能し、各柱状体Ａの図１右端部がスプリング保持部３１ｄとして機能する。スプリング保持部３１ｄとして機能する各柱状体Ａの図１右端部には、スプリング３５の一端部と係合して同スプリング３５のリテーナ３１からの抜け（脱落）を規制する掛け止め部（フック部）３１ｄ１が形成されている。また、各柱状体Ａの図１右端内周、すなわち、リテーナ３１のポンプ室側端部内周には、ポンプ室側を大径とするテーパ状部３１ｈが形成されている。

環状のリップシール３１ｅは、リテーナ３１の外周に一体的に形成されていて、ポンプ室Ｒｏからピストン１５の外周に向けた液体の流動を規制する形状に形成されている。環状の受承部３１ｆは、リップシール３１ｅよりポンプ室側にて、リテーナ３１の外周に一体的に形成されていて、ピストン１５を復帰動させるピストンリターンスプリング１７を受承可能である。

ボール弁体３３は、リテーナ３１に予め図１の右方から組付けられていて、リテーナ３１の弁体保持部３１ｃに収容保持されており、弁座部３１ｂに着座・離座可能である。スプリング３５は、リテーナ３１にボール弁体３３とともに（またはボール弁体３３が組付けられた後に）図１の右方から組付けられていて、リテーナ３１のスプリング保持部３１ｄに収容保持されており、ボール弁体３３を弁座部３１ｂに向けて小荷重にて付勢している。

吐出弁Ｖ２は、シリンダ部材１３の吐出側端部すなわちポンプ室Ｒｏの吐出側に設けられていて、吐出口１１ｂとポンプ室Ｒｏを連通させる流出路に介装されている。また、吐出弁Ｖ２は、シリンダ部材１３の底壁１３ｄに形成した弁座１３ｃに着座・離座するボール弁体４１と、このボール弁体４１とキャップ１９間に介装されてボール弁体４１を弁座１３ｃに向けて小荷重にて付勢するスプリング４３を備えており、ポンプ室Ｒｏの容積増大時に閉じ容積減少時に開くように構成されている。なお、キャップ１９には、吐出弁Ｖ２を通過した液体を吐出口１１ｂに導くための連通溝１９ａが形成されている。

上記のように構成したこの第１実施形態のピストンポンプにおいては、電気モータ（図示省略）によって偏心体２３が回転駆動されることに伴う偏心体２３とピストンリターンスプリング１７の協同作用より、ピストン１５が軸方向に往復動されて、ポンプ室Ｒｏの容積が増減され、また吸入弁Ｖ１と吐出弁Ｖ２がそれぞれ機能して、吸入口１１ａから吐出口１１ｂに向けて液体が流動する。

ところで、この第１実施形態のピストンポンプにおいては、ピストン１５に一体的に組付けられるリテーナ３１が吸入弁Ｖ１の弁孔３１ａと弁座部３１ｂを有するとともに、弁座部３１ｂに連続して一体成形された弁体保持部３１ｃおよびスプリング保持部３１ｄを有していて、弁体保持部３１ｃにて弁座部３１ｂに着座・離座可能なボール弁体３３を収容保持し、スプリング保持部３１ｄにてボール弁体３３を弁座部３１ｂに向けて付勢するスプリング３５を収容保持している。このため、リテーナ３１にボール弁体３３とスプリング３５を組付けることで、吸入弁Ｖ１をピストン１５とは別個に構成して、サブアッセンブリ化することが可能であり、当該吸入弁Ｖ１の組付性を改善することが可能である。

また、この第１実施形態のピストンポンプにおいては、ボール弁体３３とスプリング３５のリテーナ３１への組付が、ボール弁体３３とスプリング３５の図１左端部をリテーナ３１のテーパ状部３１ｈに当接させた状態にて、ボール弁体３３とスプリング３５を図１左方へ押動して各柱状体Ａ間に押し込むことにより行われる。このときには、リテーナ３１のテーパ状部３１ｈがボール弁体３３とスプリング３５の各柱状体Ａ間への組付をガイドするとともに、各柱状体Ａの図１右端部が径外方に押し開かれるように弾性変形して拡開する。このため、リテーナ３１へのボール弁体３３およびスプリング３５の組付性（挿入性）を向上させることが可能である。

また、この第１実施形態のピストンポンプにおいては、リテーナ３１の弁体保持部３１ｃとスプリング保持部３１ｄが軸方向に延びる４本の柱状体Ａによって構成されていて、各柱状体Ａの先端部にはスプリング３５の一端部と係合して同スプリング３５のリテーナ３１からの抜けを規制する掛け止め部３１ｄ１が形成されている。このため、リテーナ３１に対するスプリング３５の保持力を増大させることが可能であり、スプリング３５のリテーナ３１からの抜けを効果的に防止することが可能である。

また、この第１実施形態のピストンポンプにおいては、リテーナ３１の外周に、ポンプ室Ｒｏからピストン１５の外周に向けた液体の流動を規制する環状のリップシール３１ｅが一体的に形成されている。このため、吸入弁Ｖ１を含む当該ピストンポンプでの部品点数の低減を図ることが可能である。また、リテーナ３１の外周には、リップシール３１ｅよりポンプ室側に、ピストン１５を復帰動させるピストンリターンスプリング１７の受承部３１ｆが一体的に形成されている。このため、ピストンリターンスプリング１７のリップシール３１ｅへの干渉を防止して、リップシール３１ｅの機能を保証することが可能である。

図３〜図５は、本発明によるピストンポンプの第２実施形態を示していて、この第２実施形態のピストンポンプでは、吸入口１１ａおよび吐出口１１ｂを有するポンプハウジング１１の段付内孔１１ｃに、シリンダ部材１３とピストン１５が組み込まれるとともに、吸入弁Ｖ１と吐出弁Ｖ２が組み込まれている。なお、この第２実施形態のピストンポンプでは、吸入弁Ｖ１におけるリテーナ３１の形状が上記した第１実施形態のリテーナ３１の形状と異なるのみで、その他の構成は上記した第１実施形態のピストンポンプの構成と同じであるため、同一符号を付してその説明は省略する。

この第２実施形態の吸入弁Ｖ１におけるリテーナ３１は、吸入口１１ａに連通する弁孔３１ａと、この弁孔３１ａのポンプ室側端部に形成された弁座部３１ｂと、この弁座部３１ｂに連続して一体成形された弁体保持部３１ｃおよびスプリング保持部３１ｄを有するとともに、環状のリップシール３１ｅと環状の受承部３１ｆを有していて、図３の左端円筒部３１ｇにてピストン１５の連通孔１５ａに液密的かつ一体的に嵌合固定されている。

弁体保持部３１ｃおよびスプリング保持部３１ｄは、弁座部側が二つに分かれたコの字形状に形成されている一対の柱状体Ｂ（図４および図５参照）で構成されていて、各柱状体Ｂの図３左端部が弁体保持部３１ｃとして機能し、各柱状体Ｂの図３右端部がスプリング保持部３１ｄとして機能する。スプリング保持部３１ｄとして機能する各柱状体Ｂの図３右端部には、スプリング３５の一端部と係合して同スプリング３５のリテーナ３１からの抜けを規制する掛け止め部（突起部）３１ｄ１が形成されている。

上記のように構成したこの第２実施形態のピストンポンプにおいては、各柱状体Ｂが弁座部側が二つに分かれたコの字形状に形成されている。このため、リテーナ３１を樹脂でモールド成形する場合の成形性や成形型からリテーナ３１を取り外す際の作業性を良好とすることが可能であるとともに、各柱状体Ｂの剛性を上記した第１実施形態の各柱状体Ａの剛性に比して高めることができて、その保持機能（ボール弁体３３とスプリング３５を保持する機能）を高めることが可能である。なお、その他の作用効果は、上記した第１実施形態の作用効果（テーパ状部３１ｈによる作用効果は除く）と実質的に同じであるため、その説明は省略する。

図６および図７は、本発明によるピストンポンプの第３実施形態を示していて、この第３実施形態のピストンポンプでは、吸入口１１ａおよび吐出口１１ｂを有するポンプハウジング１１の段付内孔１１ｃに、シリンダ部材１３とピストン１５が組み込まれるとともに、吸入弁Ｖ１と吐出弁Ｖ２が組み込まれている。なお、この第３実施形態のピストンポンプでは、吸入弁Ｖ１におけるリテーナ３１のスプリング３５と係合する部位の形状（各柱状体Ｃの先端部形状）が上記した第１実施形態のリテーナ３１の掛け止め部（フック部）３１ｄ１の形状（各柱状体Ａの先端部形状）と異なるのみで、その他の構成は上記した第１実施形態のピストンポンプの構成と同じであるため、同一符号を付してその説明は省略する。

この第３実施形態の吸入弁Ｖ１におけるリテーナ３１では、スプリング３５と係合する部位の形状がテーパ形状部（傾斜面）３１ｄ１とされている。このため、上記した第１実施形態のリテーナ３１（スプリング３５と係合する部位の形状がフック形状とされている）に比して、リテーナ３１を樹脂でモールド成形する場合の成形性や成形型からリテーナ３１を取り外す際の作業性を良好とすることが可能である。

図８〜図１２は、本発明によるピストンポンプの第４実施形態を示していて、この第４実施形態のピストンポンプでは、吸入口１１ａおよび吐出口１１ｂを有するポンプハウジング１１の段付内孔１１ｃに、シリンダ部材１３とピストン１５が組み込まれるとともに、吸入弁Ｖ１と吐出弁Ｖ２が組み込まれている。なお、この第４実施形態のピストンポンプでは、吸入弁Ｖ１におけるリテーナ３１の各柱状体形状が上記した第３実施形態のリテーナ３１の各柱状体形状と異なるのみで、その他の構成は上記した第３実施形態のピストンポンプの構成と同じであるため、同一符号を付してその説明は省略する。

この第４実施形態の吸入弁Ｖ１におけるリテーナ３１では、第３実施形態の４個の柱状体Ｃに代えて、１個の柱状体Ｄ１と２個の柱状体Ｄ２を一組とする６個の柱状体Ｄ１，Ｄ２（図９〜図１２参照）が採用されている。また、このリテーナ３１では、６個の柱状体Ｄ１，Ｄ２がそれぞれ１個の柱状体Ｄ１と２個の柱状体Ｄ２に二分割されるように、その半分の先端部すなわち１個の柱状体Ｄ１と２個の柱状体Ｄ２の各先端部が一体的に結合されている。

このため、リテーナ３１を樹脂でモールド成形する場合の成形性や成形型からリテーナ３１を取り外す際の作業性を良好とすることが可能であるとともに、各柱状体Ｄ１，Ｄ２の剛性を上記した第３実施形態の柱状体Ｃの剛性に比して高めることができて、その保持機能（ボール弁体３３とスプリング３５を保持する機能）を高めることが可能である。

また、この第４実施形態の吸入弁Ｖ１におけるリテーナ３１では、１個の柱状体Ｄ１と２個の柱状体Ｄ２の先端部を一体的に結合して構成した結合体が、基端部に比して先端部を細くされていて立体的に形成されている。このため、複数の柱状体からなる結合体を上記第３実施形態のように平面的（平板状）に形成する場合に比して、同結合体の剛性を高めることができて、１個の柱状体Ｄ１と２個の柱状体Ｄ２の先端部が径外方に弾性変形し難くすることが可能であり、１個の柱状体Ｄ１と２個の柱状体Ｄ２の先端部によるスプリング３５の保持力アップを図ることが可能である。

なお、この第４実施形態（リテーナ３１における偶数個の柱状体が二分割されるように、その半分の先端部が一体的に結合される実施形態）の実施に際して、柱状体の個数は４または８以上の偶数個であってもよく、その個数は上記実施形態の６個に限定されるものではない。

上記した各実施形態においては、リテーナ３１の弁座部３１ｂとリップシール３１ｅの外周に、軸方向に延びる微細な溝（エアーは容易に通過するが液体は容易に通過しない溝）が形成されない場合について説明したが、本発明に実施に際しては、リテーナ３１の弁座部３１ｂに、同弁座部３１ｂの形成面に沿って軸方向に延びる微細な溝（例えば、図１３の溝３１ｂ１参照）が一体的に形成されるようにして実施する、または、リップシール３１ｅ外周に、同リップシール３１ｅの形成面に沿って軸方向に延びる微細な溝（例えば、図１３の溝３１ｅ１参照）が一体的に形成されるようにして実施することも可能である。これらの場合には、当該ピストンポンプに液体を充填する際のエアー抜き作業時（真空引きする作業時）に、上記した微細な溝（図１３の溝３１ｂ１、３１ｅ１）を通してポンプ室Ｒｏ内に残留するエアーを抜くことが可能である。

また、上記した第３実施形態および第４実施形態においては、円筒状に成形されたコイルスプリング３５の先端部が各柱状体（ＣまたはＤ１，Ｄ２）の先端部に形成されているテーパ形状部３１ｄ１の中間部位に係合するようにして実施したが、図１３〜図１５に示した第４実施形態の変形実施形態のように、各柱状体Ｄ１，Ｄ２の先端部に形成されているテーパ形状部３１ｄ１の大径部位と交叉する各柱状体Ｄ１，Ｄ２の内径が、ボール弁体３３とコイルスプリング３５を組付ける前の状態（図１４にて実線で示し、図１５にて二点鎖線で示した状態）で、コイルスプリング３５の端部外径よりも所定量小径であることも可能である。この場合には、コイルスプリング３５をリテーナ３１の各柱状体Ｄ１，Ｄ２に組付けた状態で、各柱状体Ｄ１，Ｄ２の先端部は図１５にて示したように径外方に向けて弾性変形している。このため、各柱状体Ｄ１，Ｄ２の先端部が径内方に向けて弾性復帰する力にてコイルスプリング３５の端部を外周から内周に向けて押さえ付ける。したがって、コイルスプリング３５は、リテーナ３１に確実に保持され、リテーナ３１からの外れを防止される。なお、図１４と図１５では、各柱状体Ｄ１，Ｄ２の先端部とコイルスプリング３５の関係を明確に示すために、リテーナ３１への断面表示を省略し、更に、コイルスプリング３５の図を外径、内径の線だけの表示に省略して示した。

また、上記した各実施形態においては、当該ピストンポンプが一般的なピストンポンプである実施形態について説明したが、当該ピストンポンプが特許第３２７８９８２号公報に開示された形式の自吸式ポンプである場合にも同様に実施することが可能である。

本発明によるピストンポンプの第１実施形態を示す断面図である。図１に示した吸入弁の切断部を１−１線で示し、ポンプ室側から見た吸入弁の拡大外観図である。本発明によるピストンポンプの第２実施形態を示す断面図である。図３に示した吸入弁の切断部を３−３線で示し、ポンプ室側から見た吸入弁の拡大外観図である。図４に示したリテーナ単体の斜視図である。本発明によるピストンポンプの第３実施形態を示す断面図である。図６に示した吸入弁の切断部を６−６線で示し、ポンプ室側から見た吸入弁の拡大外観図である。本発明によるピストンポンプの第４実施形態を示す断面図である。図８に示した吸入弁の切断部を８−８線で示し、ポンプ室側から見た吸入弁の拡大外観図である。図９に示したリテーナ単体の正面図である。図９に示したリテーナ単体の側面図である。図９に示したリテーナ単体の斜視図である。吸入弁におけるリテーナとボール弁体とスプリングの関係を示す図であり、第４実施形態の変形実施形態を示す断面図である。図１３に示したリテーナにスプリングを組付ける前の状態でのリテーナとボール弁体の関係を示す図である。図１３に示したリテーナにスプリングを組付ける前の状態でのリテーナの形状を二点鎖線で示し、同リテーナにスプリングを組付けた状態でのリテーナとボール弁体とスプリングの関係を実線で示す図である。

符号の説明

１１…ポンプハウジング、１１ａ…吸入口、１１ｂ…吐出口、１１ｃ…段付内孔、１３…シリンダ部材、１３ａ…シリンダ穴、１５…ピストン、１７…ピストンリターンスプリング、３１…リテーナ、３１ａ…弁孔、３１ｂ…弁座部、３１ｃ…弁体保持部、３１ｄ…スプリング保持部、３１ｄ１…掛け止め部、３１ｅ…シールリップ、３１ｆ…受承部、３１ｇ…円筒部、３１ｈ…テーパ状部、３３…ボール弁体、３５…スプリング、Ａ…柱状体、Ｖ１…吸入弁、Ｖ２…吐出弁、Ｒｏ…ポンプ室

Claims

吸入口と吐出口を有するポンプハウジングの内孔に組付けられてポンプ室を形成し軸方向に往復動されることにより前記ポンプ室の容積を増減するピストンと、このピストンに設けられて前記吸入口と前記ポンプ室を連通させる流入路に介装され前記ポンプ室の容積増大時に開き容積減少時に閉じる吸入弁と、前記ポンプ室の吐出側に設けられて前記吐出口と前記ポンプ室を連通させる流出路に介装され前記ポンプ室の容積減少時に開き容積増大時に閉じる吐出弁とを備えていて、前記ピストンが軸方向に往復動されて前記ポンプ室の容積が増減されることにより前記吸入口から前記吐出口に向けて液体が流動するように構成したピストンポンプにおいて、
前記吸入弁は、前記吸入口に連通する弁孔と、この弁孔のポンプ室側端部に形成された弁座部と、この弁座部に連続して一体成形された弁体保持部およびスプリング保持部を有して、前記ピストンに一体的に組付けられるリテーナを備えるとともに、このリテーナの前記弁体保持部に収容保持されて前記弁座部に着座・離座可能な弁体と、前記リテーナの前記スプリング保持部に収容保持されて前記弁体を前記弁座部に向けて付勢するスプリングを備えていることを特徴とするピストンポンプ。
請求項１に記載のピストンポンプにおいて、前記リテーナの前記弁体保持部と前記スプリング保持部は軸方向に延びる複数の柱状体によって構成されていて、各柱状体の先端部には前記スプリングの一端部と係合して同スプリングの前記リテーナからの抜けを規制するテーパ形状部が形成されていることを特徴とするピストンポンプ。
請求項２に記載のピストンポンプにおいて、前記スプリングは円筒状に成形されたコイルスプリングであり、前記柱状体の先端部に形成されている前記テーパ形状部の大径部位と交叉する前記柱状体の内径は、前記弁体と前記コイルスプリングを組付ける前の状態で、前記コイルスプリングの端部外径よりも所定量小径であることを特徴とするピストンポンプ。
請求項１に記載のピストンポンプにおいて、前記リテーナの前記弁体保持部と前記スプリング保持部は軸方向に延びる複数の柱状体によって構成されていて、各柱状体の先端部には前記スプリングの一端部と係合して同スプリングの前記リテーナからの抜けを規制する掛け止め部が形成されていることを特徴とするピストンポンプ。
請求項２〜４の何れか一つに記載のピストンポンプにおいて、前記柱状体は一対であって、各柱状体は弁座部側が二つに分かれたコの字形状に形成されていることを特徴とするピストンポンプ。
請求項２〜４の何れか一つに記載のピストンポンプにおいて、前記柱状体は４以上の偶数個であって、これらの柱状体は二分割されるようにその半分の先端部が一体的に結合されていることを特徴とするピストンポンプ。
請求項６に記載のピストンポンプにおいて、先端部が一体的に結合されている前記柱状体の結合体は、基端部に比して先端部が細く立体的に形成されていることを特徴とするピストンポンプ。
請求項１〜７の何れか一つに記載のピストンポンプにおいて、前記リテーナのポンプ室側端部内周には、ポンプ室側を大径とするテーパ状部が形成されていることを特徴とするピストンポンプ。
請求項１〜８の何れか一つに記載のピストンポンプにおいて、前記リテーナの外周には、前記ポンプ室から前記ピストンの外周に向けた液体の流動を規制する環状のリップシールが一体的に形成されていることを特徴とするピストンポンプ。
請求項９に記載のピストンポンプにおいて、前記リテーナの外周には、前記リップシールよりポンプ室側に、前記ピストンを復帰動させるピストンリターンスプリングの受承部が一体的に形成されていることを特徴とするピストンポンプ。
請求項１〜１０の何れか一つに記載のピストンポンプにおいて、前記リテーナの前記弁座部には、同弁座部の形成面に沿って軸方向に延びる微細な溝が一体的に形成されていることを特徴とするピストンポンプ。
請求項９に記載のピストンポンプにおいて、前記リテーナの前記リップシール外周には、同リップシールの形成面に沿って軸方向に延びる微細な溝が一体的に形成されていることを特徴とするピストンポンプ。