JP2009234372A - ブレーキ液圧制御装置 - Google Patents

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拓郎 児玉
Motoyasu Nakamura
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【課題】リザーバの貯溜容量を確保しつつ、基体の無駄なスペースを削減することができ、基体の小型化を図る。
【解決手段】ブレーキ液の流路を内包する基体1に形成された有底のリザーバ穴26と、このリザーバ穴26に装着されてリザーバ穴26内を摺動し、リザーバ穴26との間でブレーキ液の貯溜室を形成するリザーバピストン21と、貯溜室の容積を減少させる方向にリザーバピストン21を付勢する付勢手段と、を有し、リザーバ穴26は、長手方向と短手方向とを有し、その横断面形状が、楕円形状、長円形状、または角部のない扁平形状とされ、当該横断面形状にリザーバピストンの横断面形状を一致させたことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、ブレーキ液圧制御装置に関し、特に、小型化を図ることのできるブレーキ液圧制御装置に関する。
従来、ブレーキ液圧制御装置の基体に、ブレーキ液を貯留可能なリザーバを設けたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このブレーキ液圧制御装置では、基体の一側に、四個の入口弁と四個の出口弁が配設されており、これらの下方に、さらに、円形の横断面を有する二つのリザーバが配設された構造となっている。このブレーキ液圧制御装置では、二つのリザーバの直径をそれぞれ大きく形成することで、ブレーキ液の貯溜容量を確保することが可能な構成となっている。
特開2006−1447号公報
しかしながら、前記した従来のブレーキ液圧制御装置では、ブレーキ液の貯溜容量を確保するためにリザーバの直径を大きく形成していたため、基体の寸法が大きくなってしまう傾向にあるとともに、周辺部品との位置関係によっては、リザーバの周辺や、特にリザーバに隣接する部分に無駄なスペースが形成されることになり、基体のスペースを有効に利用できていないという問題を有していた。
このような観点から、本発明は、リザーバの貯溜容量を確保しつつ、基体の無駄なスペースを削減することができ、基体の小型化を図ることができるブレーキ液圧制御装置を提供することを課題とする。
このような課題を解決する本発明は、ブレーキ液の流路を内包する基体と、前記流路を開閉するように前記基体に設けられた複数の制御弁と、前記流路と連通するように前記基体に設けられ、前記制御弁の開閉制御によって前記流路のブレーキ液を貯溜可能なリザーバと、を備え、前記リザーバは、前記基体に形成された有底のリザーバ穴と、このリザーバ穴に装着されてリザーバ穴内を摺動し、前記リザーバ穴との間でブレーキ液の貯溜室を形成するリザーバピストンと、前記貯溜室の容積を減少させる方向に前記リザーバピストンを付勢する付勢手段と、を有し、前記リザーバ穴は、長手方向と短手方向とを有し、その横断面形状が、楕円形状、長円形状、または角部のない扁平形状とされており、当該横断面形状に前記リザーバピストンの横断面形状を一致させたことを特徴とする。
このブレーキ液圧制御装置によれば、リザーバ穴およびリザーバピストンは、長手方向と短手方向とを有し、その横断面形状が、楕円形状、長円形状、または角部のない扁平形状とされているので、これらにより形成されるブレーキ液の貯溜室は、長手方向と短手方向とを備えたものとなる。これにより、リザーバ穴は、長手方向に寸法を大きくすることができるとともに、短手方向に寸法を小さくすることができる。したがって、長手方向に貯溜容積を確保することが可能であるとともに、短手方向に省スペース化を図ることが可能となり、このような構成とされたリザーバを採用することによって、基体の設計の自由度が高まるようになる。つまり、基体のスペースを有効に利用してリザーバを配設することが可能となり、リザーバの周辺や、リザーバに隣接する部分のスペースを有効に利用したリザーバの配置が可能となる。したがって、リザーバの貯溜容量を確保しつつ、基体の無駄なスペースを削除することができるブレーキ液圧制御装置が得られる。
また、従来の円形のリザーバを基体に形成した場合に比べて、短手方向に寸法を小さくすることができるので、その分、短手方向に基体の小型化が可能となり、省スペース化を図ることができるブレーキ液圧制御装置が得られる。
また、前記付勢手段は、コイルばねであり、前記コイルばねは、その中心軸と直交する方向の断面形状が楕円形状、長円形状、または角部のない扁平形状とされており、その長軸が、前記リザーバピストンの横断面形状の長手方向に一致するように配置されている構成とするのがよい。
このブレーキ液圧制御装置によれば、コイルばねの断面形状がリザーバピストンの横断面形状と一致または類似し、横断面形状の長軸が、リザーバピストンの長手方向に一致するように配置されているので、リザーバピストンをコイルばねによって、ほぼ均一の押圧力で付勢することができる。これによって、リザーバピストンを応答性よく摺動させることができる。
また、前記付勢手段は、コイルばねであり、前記コイルばねは、その中心軸が、前記リザーバピストンの中心軸に一致するように配置されている構成とするのがよい。
このブレーキ液圧制御装置によれば、リザーバピストンをバランスよく摺動させることができ、リザーバピストンの応答性の向上に寄与する。また、従来の円形のリザーバピストンに用いているコイルばねを流用することも可能であり、リザーバの構成も安価となる。
また、前記付勢手段は、真円形状のコイルばねであり、前記リザーバピストンには、前記コイルばねの外形に沿うようにリブが形成されている構成とするのがよい。
このブレーキ液圧制御装置によれば、リザーバピストンとコイルばねとの横断面形状が異なる構成でありながら、リザーバピストンをバランスよく摺動させることができ、リザーバピストンの応答性を向上させることができる。また、従来の円形のリザーバピストンに用いられるコイルばねを流用することも可能であり、リザーバの構成も安価となる。
また、コイルばねの外形に沿うようにリブが形成されているので、このリブに沿うようにしてリザーバピストンにコイルばねを装着することができ、コイルばねの装着を、簡単に、しかも確実に行うことができる。
また、前記基体には、前記制御弁が装着される装着穴が形成されており、前記装着穴と前記リザーバ穴とは、前記基体の同じ側に形成され、かつ、前記装着穴の中心軸と前記リザーバ穴の中心軸とが相互に平行となるように形成されている構成とするのがよい。
このブレーキ液圧制御装置によれば、基体の同じ側から制御弁の装着穴やリザーバ穴を加工することができるとともに、装着作業も同じ側から行うことができ、生産性、作業性に優れ、組立時間の短縮を図れてコストの低減に寄与する。
本発明によれば、リザーバの貯溜容量を確保しつつ、基体の無駄なスペースを削減することができ、基体の小型化を図ることができるブレーキ液圧制御装置が得られる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、添付した図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。なお、以下の説明における「上下」、「左右」、「前後」は、制御弁としての電磁弁やリザーバが設けられる面を前面とした図1,図2の状態を基準として便宜的に定めたものであり、車両に取り付けた状態とは何ら関係ない。そして、基体1の前面1a側が特許請求の範囲における「同じ側」に相当する。
(第1実施形態)
図1に示すように、ブレーキ液圧制御装置Uは、自動車等の四輪車の車両に好適に用いられるものであり、基体1と、基体の前面1aに組み付けられるコントロールハウジング13と、基体1の後面1bに組み付けられるモータ10とを備えて構成されている。
基体1の前面1aには、制御弁としての電磁弁2,3が組み付けられる他、長円形状のリザーバ20を構成するための構成部品が組み付けられる。また、前面1aには、モータ10の端子棒10bが後面1b側から挿入される端子孔16と、ハウジング13を固定するハウジング取付ねじ(図示せず)が貫通する四つのハウジング取付用貫通孔17とが開口している。
また、基体1の後面1bには、不図示のマスタシリンダからの配管が接続される二つの入口ポート4,5がそれぞれ開口して形成されている。さらに、後面1bの中央下部には、図3(a)(b)に示すように、モータ10の出力軸10a(図1参照)が挿入されて配置されるモータ装着穴10Aが設けられている。
また、図1に示すように、基体1の上面1dには、不図示の車輪ブレーキに通じる配管が接続される四つの出口ポート6,7,8,9がそれぞれ開口して形成され、さらに、基体1の側面1c,1c(図1では一方のみ図示、以下についても同様)には、一対のポンプ孔11a,11aおよび一対のダンパ穴12a,12aが形成されており、一対のポンプ孔11a,11aにはポンプ11,11が装着されるとともに、一対のダンパ穴12a,12aにはダンパ12,12が設けられる。
まず、基体1の構成を図1から図3を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、基体1は、略直方体を呈するアルミニウム合金等の金属製の部材であり、その前面1a側(同じ側)の上半部分が突部のない平面に成形され、また、前面1a側の下部が前方へ突設されおり、この突設された部分にリザーバ20,20がそれぞれ設けられている。リザーバ20の詳細は後記する。
基体1は、二つの流路構成部1A,1Bを有しており、この流路構成部1A,1Bからなる二つのブレーキ系統を備えている。例えば、基体1の右半分の領域に形成される流路構成部1Aが左後および右前の車輪を制動するためのものであり、液圧源である不図示のマスタシリンダからの配管が接続される入口ポート4(図3(b)参照)から、電磁弁2,3等の油路構成部品を経由して、出口ポート6,7に至るブレーキ系統を構成している。
また、基体1の左半分の領域に形成される流路構成部1Bが右後および左前の車輪を制動するためのものであり、液圧源である不図示のマスタシリンダからの配管が接続される入口ポート5から、出口ポート8,9に至るブレーキ系統を構成している。
なお、流路構成部1A,1Bは、本実施形態では、その内部構成も含めて実質的に左右対称となっているので、以下では、主として流路構成部1Aについて詳細な説明を行い、適宜、流路構成部1Bについて説明することとする。
流路構成部1Aは、図3(b)に示すように、入口ポート4および出口ポート6,7のほか、四つの装着穴31〜34(図3(a)参照)、リザーバ穴26、ポンプ孔11a、ダンパ穴12aおよびこれらを連通する第一流路51〜第七流路57などを備えてなる。つまり、基体1には、四つで一組となる装着穴31〜34が左右に並んで二組形成されている(図1,図2,図3(a)参照)。
入口ポート4は、図3(b)に示すように、流路構成部1A(基体1)の後面1bに設けられた突設部4aに開口する有底円筒状の穴であり、前記したように、液圧源である不図示のマスタシリンダからの配管が接続される。
出口ポート6,7は、図2に示すように、流路構成部1Aの上面1dに開口する有底円筒状の穴であり、左後および右前の車輪を制動する不図示の車輪ブレーキに至る配管が接続される。ここで、流路構成部1Bの出口ポート8,9には、右後および左前の車輪を制動する不図示の車輪ブレーキに至る配管が接続される。
装着穴31,33には、図1に示すように、液圧回路の入口弁として機能する常開型の電磁弁2,2がそれぞれ装着される。また、残りの装着穴32,34には、液圧回路の出口弁として機能する常閉型の電磁弁3,3がそれぞれ装着される。ここで、装着穴31,33、および装着穴32,34は、基体1の左右方向に、それぞれ横一列となるように形成されている。
ここで、電磁弁2は、開弁状態にあるときにマスタシリンダ側(入口ポート4側)から車輪ブレーキ側(出口ポート6,7側)へのブレーキ液の流入を許容し、閉弁状態にあるときに遮断するものであり、その弁体を駆動させるための電磁コイルがハウジング13(図1参照)に収納された制御装置(不図示、以下同じ)と電気的に接続され、その指令に基づいて電磁コイルを励磁すると閉弁し、電磁コイルを消磁すると開弁するようになっている。
また、電磁弁3は、閉弁状態にあるときに車輪ブレーキ側(出口ポート6,7側)からリザーバ20側へのブレーキ液の流入を遮断し、開弁状態にあるときに許容する。電磁弁3は、その弁体を駆動させるための電磁コイルが制御装置と電気的に接続されており、その指令に基づいて電磁コイルを励磁すると開弁し、電磁コイルを消磁すると閉弁するようになっている。
ポンプ孔11aは、図2,図3(a)(b)に示すように、流路構成部1Aの側面1cに開口する有底円筒状の穴であり、前記したように、ポンプ11が装着される(図1,図2参照)。ポンプ孔11aは、モータ装着穴10A(図3(a)(b)参照)に連通している。
ダンパ穴12aは、ダンパ12(図1参照)を構成する円筒状の穴であり、図3(a)に示すように、リザーバ穴26の後方に配置されていて、流路構成部1A(基体1)の側面1cに開口している。なお、ダンパ穴12aの開口部は、図2に示す蓋部材12bによって密封される。
次に、基体1に形成されるリザーバ20の構造について詳細に説明する。
図4に示すように、本実施形態に係るリザーバ20は、リザーバ穴26にリザーバ構成部品Rを組み付けることで構成される。
ここで、図1,図2に示すように、リザーバ穴26は、流路構成部1Aの前面1aに設けられた突設部26aに開口する有底状の穴であり、その横断面形状が長手方向と短手方向とを有する形状、この例では、横断面形状を長円形状としてある。リザーバ穴26は、図3(b)に示すように、後方に形成されたポンプ孔11aおよびダンパ穴12aに干渉することのない深さを有するように形成されており、また、前記した装着穴31〜34の中心軸と、リザーバ穴26の中心軸とが相互に平行となるように配設されている。
また、図3(a)に示すように、前面1a側から透視した配置では、リザーバ穴26が、モータ装着穴10Aの斜め下方に形成される領域、つまり、ダンパ穴12aの前方となる、流路や構成部材の配置されることのない領域に配設されている。
そして、リザーバ穴26は、その長円形状の長軸方向(長手方向)が基体1の左右方向となるように、また、その短軸方向(短手方向)が基体1の上下方向となるように配設されており、図3(a)に示すように、前面1a側から見て横長扁平形状を呈するようになっている。
さらに、リザーバ穴26は、ポンプ孔11aの軸線方向に長円形状の長軸が沿うように配設されている。なお、装着穴31,33(装着穴32,34)は、ポンプ孔11aの軸線方向に沿って横向きに略一列に配置されており、これによって、リザーバ穴26の長円形状の長軸は、装着穴31,33(装着穴32,34)の横向き一列方向に沿うものとなっている。つまり、リザーバ穴26の長円形状の長軸方向と、ポンプ孔11aの軸線方向と、装着穴31,33(装着穴32,34)の横向き一列方向とが、相互に一致したものとなっており、このような構成とすることによって基体1におけるスペースの効率化が図られている。
リザーバ構成部品Rは、図4(a)に示すように、リザーバピストン21、リザーバばね22、受け部材23、抜け止部材24を備えている。
リザーバピストン21は、受け部材23側に開口する有底筒状の樹脂製の部材からなり、リザーバ穴26の底面26bに対向する底部21Aと、リザーバ穴26の内壁面26cに対向する筒状の周壁部21Bとを備え、横断面形状がリザーバ穴26の横断面形状と一致する長円形状とされている。このようなリザーバピストン21は、リザーバ穴26に収容されてリザーバ穴26内を摺動するようになっており、後記する流路57b(図3(a)(b)参照)からリザーバ穴26に流入したブレーキ液の液圧によってリザーバピストン21が受け部材23側に移動することで、リザーバ穴26の底面26bとの間にブレーキ液を貯留する貯留室(不図示、以下同じ)を形成する。
リザーバピストン21の底部21Aには、リザーバ穴26内に流入してきたブレーキ液を底部21Aに略均一に作用させるための導入溝21aが形成されている。また、リザーバピストン21の受け部材23側の面には、図4(b)に示すように、リザーバばね22の湾曲部22a,22aに沿う形状の湾曲凹状のリブ21c,21cが左右に突設されており、その内側にリザーバばね22の一端側を係止可能な内空部21bを構成している。内空部21bは、リザーバピストン21の中心軸O1を中心として左右対称形状とされている。
周壁部21Bは、底部21Aの周縁部から受け部材23側に向かって立ち上がっている。周壁部21Bの内周面は、長円筒面状を呈しており、リザーバばね22の一端側に対向し、また、周壁部21Bの外周面は、リザーバ穴26の内壁面26cに対向する。なお、内壁面26cには、周壁部21Bの周方向に沿って環状のシール溝25aが凹設されており、このシール溝25aには、環状のシール部材25が嵌め込まれている。シール部材25は、周壁部21Bの外周面に当接し、リザーバピストン21とリザーバ穴26の内壁面26cとの間をシールする。
リザーバばね22は、コイルばねであり、リザーバピストン21をリザーバ穴26の底面側に付勢する。本実施形態では、リザーバばね22が、その中心軸と直交する方向の横断面形状をリザーバピストン21の横断面形状に対応する長円形状としたものを用いている。リザーバばね22は、長円形状の長軸が、リザーバピストン21の横断面の長手方向に一致するようにして、リザーバピストン21の内空部21bに一端側が収容されている。つまり、リザーバばね22は、リザーバピストン21の長手方向に長軸が一致する状態、かつ、リザーバピストン21の中心軸O1に中心軸が一致する状態で一端側が内空部21bに収容され、その状態を維持しながらリザーバピストン21をリザーバ穴26の底面26b側に付勢可能である。
受け部材23は、リザーバばね22を支持するものであるが、本実施形態では、リザーバピストン21のストッパーとしても機能する。本実施形態に係る受け部材23は、底部21Aに対向する支持部23aと、リザーバ穴26の内壁面26cに対向する立上部23bとを備えている。
支持部23aは、リザーバばね22の他端部に当接する部位であるが、本実施形態では、平面視円帯状を呈していて、その中央部に開口部23cが設けられている。
立上部23bは、支持部23aの周縁部からリザーバピストン21側に向かって立ち上がっていて、その先端面(上端面)23dは、リザーバピストン21が受け部材23側にストロークした際に、周壁部21Bの先端面(下端面)21gに当接し、リザーバピストン21のそれ以上のストロークを阻止する。なお、立上部23bの内周面は、長円筒面状を呈しており、リザーバばね22の他端部に対向する。
受け部材23の外周面は、段付き円筒状を呈していて、リザーバ穴26の開口縁近傍の内壁面26cに隙間を空けて対向する。
抜け止部材24は、リザーバばね22の付勢力を受ける受け部材23のリザーバ穴26からの抜け出しを阻止するものであり、リザーバ穴26の内壁面26cと受け部材23との間に介設されている。なお、抜け止部材24は、本実施形態では、円環の一部を欠損させた形態(C字状)の部材からなり、その内周側に弾性変形させた状態で、リザーバ穴26に挿入され、外周側に広がろうとする復元力によって内壁面26cに弾接する。
次に、図3(a)(b)を参照して、流路構成部1Aにおける入口ポート4から出口ポート6,7に至る流路について説明する。
図3(b)に示すように、入口ポート4は、第一流路51、第二流路52を介して第三流路53に連通し、第三流路53を介して装着穴31,33と連通している。
第二流路52は、流路構成部1Aの上面1dから流路構成部1Aの底面1eに向かって穿設された縦孔からなり、装着穴31の底部およびポンプ孔11aの側壁を上下方向に貫通し、かつ、ダンパ穴12aに達している。第三流路53は、装着穴31の底部を左右方向に貫通し、かつ、装着穴33の底部に達するように流路構成部1Aの側面1c(図3(a)参照)から穿設された横孔からなる。
出口ポート6は、図3(a)(b)に示すように、第四流路54を介して装着穴31および装着穴32と連通している。また、出口ポート7は、図3(a)に示すように、第五流路55を介して装着穴33および装着穴34と連通している。
第四流路54は、出口ポート6の底面から流路構成部1Aの底面1eに向かって穿設された縦孔からなり、装着穴31の側壁を上下方向に貫通し、装着穴32の内部に達している。また、第五流路55は、出口ポート7の底面から流路構成部1Aの底面1eに向かって穿設された縦孔からなり、装着穴33の側壁を上下方向に貫通し、装着穴34の内部に達している。
一方、装着穴31は、第三流路53を介して装着穴33と連通しており、また、装着穴32は、第六流路56を介して装着穴34と連通している。第六流路56は、図3(b)に示すように、装着穴32の底部を左右方向に貫通し、かつ、装着穴34の底部に達するように流路構成部1Aの側面1c(図3(a)参照)から穿設された横孔からなる。
リザーバ穴26は、第七流路57を介してポンプ孔11aの吸入側と連通している。第七流路57は、第六流路56に達するように流路構成部1Aの底面から穿設された縦孔57aと、リザーバ穴26の底面から縦孔57aに向けて穿設された横孔57bとからなる。
ここで、図3(b)に示すように、ポンプ孔11aおよびダンパ穴12aに関連する縦孔の第二流路52および第七流路57は、側面透視で流路構成部1Aの後方側、つまり、リザーバ20が設けられる前面側とは反対側に配置されている。これによって、ダンパ穴12aの前方側には、リザーバ20の容量(前記した貯溜室の容量)を確保することが可能な大きさのリザーバ穴26を形成することができるようになっている。換言すれば、ダンパ穴12aの前方のデッドスペースをうまく利用してリザーバ20を配置することができる。また、デッドスペースであるので、そのデッドスペースの範囲内で容積拡大も容易である。
以上説明した本実施形態のブレーキ液圧制御装置Uによれば、リザーバ穴26およびリザーバピストン21の横断面形状が、長円形状とされているので、その貯溜室は、長手方向と短手方向とを備えたものとなり、長手方向に寸法を大きくとることができるとともに、短手方向に寸法を小さくすることができる。したがって、長手方向に貯溜容積を確保することが可能となるとともに、短手方向に省スペース化を図ることが可能となり、このようなリザーバ20を採用することによって基体1の設計の自由度が高まるようになる。これにより、基体1のスペースを有効に利用したリザーバ20の配設が可能となり、電磁弁2,3等の部品が配置されることのない基体1のデッドスペース等を有効に利用したリザーバ20の配置が可能となる。つまり、リザーバ20の周辺や、リザーバ20に隣接する部分のスペースを有効に利用したリザーバ20の配置が可能となる。したがって、リザーバ20の貯溜容量を確保しつつ、基体1の無駄なスペースを削除することができ、基体1の小型化を図ることができる。
また、従来の円形のリザーバを基体に形成した場合に比べて、長円形状のリザーバ20は短手方向に寸法を小さくすることができるので、その分、短手方向(基体1の上下方向)に基体1の小型化が可能となり、省スペース化を図ることができる。
図5(a)(b)は、そのことを模式的に示した図であり、本実施形態のリザーバ20と従来の円形のリザーバ20’との大きさを模式的に表したものである。
すなわち、本実施形態のリザーバ20にて得られる貯溜容量と同等の貯溜容量を、従来の円形のリザーバ20’にて得ようとすると、基体1の上下方向に直径L’のリザーバ穴26’を形成する必要があり、その分、基体1’の上下方向の寸法を大きくする必要がある。つまり、底面1e’が下方に位置することとなり、リザーバ20’の周辺や、リザーバ20’に隣接する部分に広いデッドスペースが形成されてしまう。
これに対して、本実施形態のリザーバ20は、長円形状とされていて、前記直径L’よりも小さい短軸Lを有する横長の扁平形状とされているので、その分、基体1の上下方向の寸法を小さくすることができ(底面1e参照)、リザーバ20の周辺や、リザーバ20に隣接する部分のデッドスペースを極力小さくすることが可能となるとともに、基体1の小型化が可能となる。
また、コイルばね22は、その中心軸と直交する方向の断面形状が長円形状とされており、その長軸が、リザーバピストン21の横断面の長手方向に一致するように配置されているので、リザーバピストン21をコイルばね22によって、ほぼ均一の押圧力で付勢することができる。これによって、リザーバピストン21を応答性よく摺動させることができる。
また、コイルばね22は、その中心軸が、リザーバピストン21の中心軸O1に一致するように配置されているので、リザーバピストン21をバランスよく摺動させることができ、リザーバピストン21の応答性の向上に寄与する。
また、装着穴31〜34とリザーバ穴26とは、基体1の同じ側(前面1a側)に形成され、かつ、装着穴31〜34の中心軸とリザーバ穴26の中心軸とが相互に平行となるように形成されているので、基体1の前面1a側から装着穴31〜34やリザーバ穴26を加工することができるとともに、装着作業も同じ前面1a側から行うことができる。これによって、生産性、作業性に優れ、組立時間の短縮を図れてコストの低減されたブレーキ液圧制御装置Uが得られる。
(第2実施形態)
図6は本発明の第2実施形態のブレーキ液圧制御装置に適用されるリザーバを示す図であり、(a)は拡大断面図、(b)は図6(a)におけるb1−b1線に沿う断面図である。
このブレーキ液圧制御装置におけるリザーバ20では、リザーバピストン21’が、受け部材23側に開口する有底筒状の金属製の部材からなり、底部21A’および周壁部21B’がプレス加工等によって一体的に形成されている。底部21A’には、受け部材23側に膨出する膨出部21d’およびコイルばね22の一端側が当接する当接部21eが形成されている。また、底部21A’には、流路57bを通じてリザーバ穴26内に流入してきたブレーキ液を導入する導入凹部21dが形成されている。
このようなリザーバ20では、リザーバピストン21’の薄形化が可能となり、リザーバピストン21’を応答性よく摺動させることができる。
(第3実施形態)
図7は本発明の第3実施形態のブレーキ液圧制御装置に適用されるリザーバを示す図であり、(a)は拡大断面図、(b)は図7(a)におけるb2−b2線に沿う断面図である。
このブレーキ液圧制御装置におけるリザーバ20では、コイルばね22’が、その中心軸と直交する方向の断面形状が一般的に用いられている真円形状とされており、このコイルばね22’の一端部が当接するリザーバピストン21’’の底部21A’’には、コイルばね22’の外径に沿う形状の湾曲したリブ21f,21fが形成されている。この例では、コイルばね22’の中心軸が、リザーバピストン21の中心軸O1に一致する状態で、コイルばね22’が内空部21bに係止されるようになっている。
このようなリザーバ20を有するブレーキ液圧制御装置によれば、リザーバピストン21’’とコイルばね22’との横断面形状が異なる構成でありながら、リザーバピストン21’’をバランスよく摺動させることができ、リザーバピストン21’’の応答性を向上させることができる。また、従来の円形のリザーバピストンに用いられるコイルばね22’を流用することも可能であり、リザーバ20の構成も安価となる。
また、コイルばね22’の外形に沿うようにリブ21f,21fが形成されているので、このリブ21f,21fに沿うようにしてリザーバピストン21’’にコイルばね22’を装着することができ、コイルばね22’の装着を、簡単に、しかも確実に行うことができる。
(第4実施形態)
図8(a)〜(c)は本発明の第4実施形態のブレーキ液圧制御装置に適用されるリザーバを示す図である。
このブレーキ液圧制御装置では、基体1の底面1eにリザーバ穴26Cが開口するように形成してあり、リザーバ穴26Cの中心軸が基体1の上下方向となるように設けてある。つまり、図示しないリザーバピストンは、基体1の上下方向に摺動するように構成されている。
このように構成することによって、図8(c)に破線で示すように、突設部26aを除去することができ、その分、省スペース化、コストダウンを図ることができる。
前記実施形態ではリザーバ20の横断面形状を長円形状として説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、楕円形状または角部のない扁平形状として、当該形状にリザーバピストン21の横断面形状を一致させるようにしてもよい。この場合にも、形成されるブレーキ液の貯溜室は、長手方向と短手方向とを備えたものとなり、長手方向に寸法を大きくとることができるとともに、短手方向に寸法を小さくすることができる。したがって、長手方向に貯溜容積を確保することが可能となるとともに、短手方向に省スペース化を図ることが可能となり、このようなリザーバ20を採用することによって基体1の設計の自由度が高まるようになる。したがって、リザーバ20の周辺や、リザーバ20に隣接する部分のスペースを有効に利用したリザーバ20の配置が可能となり、リザーバ20の貯溜容量を確保しつつ、基体1の無駄なスペースを削減して、基体1の小型化を図ることができる。
また、前記実施形態では、コイルばね22の中心軸と直交する方向の断面形状が、長円形状、円形状のものを例示したが、本発明はこれに限られるものではなく、楕円形状または角部のない扁平形状等としてもよい。
本発明の第1実施形態に係るブレーキ液圧制御装置を示す分解斜視図である。 本発明の第1実施形態に係るブレーキ液圧制御装置の基体を前面側斜め上方から見た斜視図である。 本発明の第1実施形態に係るブレーキ液圧制御装置の基体に形成された穴および流路を示した図であり、(a)は前面側からみた図、(b)は側面側から見た図である。 (a)はリザーバの拡大断面図、(b)は図4(a)におけるb−b線に沿う断面図である。 第1実施形態に係るブレーキ液圧制御装置のリザーバと従来の円形のリザーバとの大きさを模式的に表した図であり、(a)は前面側からみた図、(b)は側面側から見た図である。 本発明の第2実施形態のブレーキ液圧制御装置に適用されるリザーバを示す図であり、(a)は拡大断面図、(b)は図6(a)におけるb1−b1線に沿う断面図である。 本発明の第3実施形態のブレーキ液圧制御装置に適用されるリザーバを示す図であり、(a)は拡大断面図、(b)は図7(a)におけるb2−b2線に沿う断面図である。 (a)〜(c)は本発明の第4実施形態のブレーキ液圧制御装置に適用されるリザーバを示す図である。
符号の説明
1 基体
1A,1B 流路構成部
1a 前面
1b 後面
1c 側面
1d 上面
1e 底面
2,3 電磁弁
10 モータ
10A モータ装着穴
11 ポンプ
11a ポンプ孔
12 ダンパ
12a ダンパ穴
20 リザーバ
21 リザーバピストン
21a 導入溝
21b 内空部
23 受け部材
26 リザーバ穴
26A リザーバ穴
26B リザーバ穴
26C リザーバ穴
51〜57 第一〜第七流路
R リザーバ構成部品
U ブレーキ液圧制御装置

Claims (5)

  1. ブレーキ液の流路を内包する基体と、
    前記流路を開閉するように前記基体に設けられた複数の制御弁と、
    前記流路と連通するように前記基体に設けられ、前記制御弁の開閉制御によって前記流路のブレーキ液を貯溜可能なリザーバと、を備え、
    前記リザーバは、
    前記基体に形成された有底のリザーバ穴と、このリザーバ穴に装着されてリザーバ穴内を摺動し、前記リザーバ穴との間でブレーキ液の貯溜室を形成するリザーバピストンと、前記貯溜室の容積を減少させる方向に前記リザーバピストンを付勢する付勢手段と、を有し、
    前記リザーバ穴は、長手方向と短手方向とを有し、その横断面形状が、楕円形状、長円形状、または角部のない扁平形状とされており、
    当該横断面形状に前記リザーバピストンの横断面形状を一致させたことを特徴とするブレーキ液圧制御装置。
  2. 前記付勢手段は、コイルばねであり、前記コイルばねは、その中心軸と直交する方向の断面形状が楕円形状、長円形状、または角部のない扁平形状とされており、その長軸が、前記リザーバピストンの横断面形状の長手方向に一致するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載のブレーキ液圧制御装置。
  3. 前記付勢手段は、コイルばねであり、前記コイルばねは、その中心軸が、前記リザーバピストンの中心軸に一致するように配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のブレーキ液圧制御装置。
  4. 前記付勢手段は、真円形状のコイルばねであり、前記リザーバピストンには、前記コイルばねの外形に沿うようにリブが形成されていることを特徴とする請求項1に記載のブレーキ液圧制御装置。
  5. 前記基体には、前記制御弁が装着される装着穴が形成されており、
    前記装着穴と前記リザーバ穴とは、前記基体の同じ側に形成され、かつ、前記装着穴の中心軸と前記リザーバ穴の中心軸とが相互に平行となるように形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のブレーキ液圧制御装置。
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