JP2006245601A - 光センサー - Google Patents

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Abstract

【課題】カラー画像の良好な記録が可能な光センサーおよび情報記録装置を得る。
【解決手段】電極13上に電荷発生性物質14’を有する半導電性の光センサーにおいて、光センサーに露光した状態で電圧を印加するか、あるいは電圧を印加した状態で露光すると、露光時のフォトン数に相当する以上に増幅された光誘起電流を流し、また、露光を終了した後も電圧を印加し続けると光誘起電流が徐々に減衰する挙動を示す光センサーであり、電荷発生性物質の光吸収波長領域外に光吸収領域を有し、かつ、電荷発生性物質の光吸収波長領域内に蛍光を発する蛍光性物質を含有する光センサー。
【選択図】図2

Description

本発明は、情報記録媒体に光情報を可視情報または静電情報の形で記録することができる光センサーであって、情報記録媒体への情報が著しく増幅される光センサーおよびその光センサーを組み込んだ情報記録装置、情報記録方法および情報記録再生方法に関し、特にカラーバランスの優れた光センサーおよびその光センサーを組み込んだ情報記録装置、情報記録方法および情報記録再生方法に関する。
電極上に光導電層が設けられた光センサーを前面に設け、該光センサーに対向し、後面に電極が設けられた電荷保持層からなる情報記録媒体とを光軸上に配置し、両電極層間に電圧を印加しつつ露光し、入射光学像に応じて電荷保持層に静電電荷を記録させ、その静電電荷をトナー現像するかまたは電位読み取りにより再生する方法は、例えば特開平1−290366号公報、特開平1−289975号公報に記載されている。また、前記方法における電荷保持層を熱可塑性樹脂層とし、静電電荷を熱可塑性樹脂層表面に記録した後加熱し、熱可塑性樹脂表面にフロスト像を形成することにより記録された静電電荷を可視化する方法は、例えば特開平3−192288号公報に記載されている。
さらに、本出願人等は、前記情報記録媒体における情報記録層を高分子分散型液晶層として、前記同様に電圧印加時露光し、光センサーにより形成される電界により液晶層を配向させて情報記録を行い、情報記録の再生にあたっては透過光あるいは反射光により可視情報として再生する情報記録再生方法を提案している(例えば、特許文献1、特許文献2)。この情報記録再生方法は偏光板を使用しなくとも記録された情報を可視化できる。
また、本出願人等は、前記情報記録再生方法に使用する光センサーとして、半導電性であり、光センサーの電極と情報記録媒体の電極間に電圧を印加した状態で情報露光すると、情報記録媒体に情報露光に起因する電流以上に増幅された強度で情報記録することができ、また情報露光を終了した後も電圧を印加し続けると徐々に導電性が減少する緩和減衰型導電性を示し、引き続き情報記録媒体に情報記録を持続する作用を有する光センサーを提案した(特許文献2)。さらに、電荷発生層、電荷輸送層に加えて、光誘起電流増幅作用もしくは注入電流安定化作用を有する光誘起電流増幅層を積層した前記と同様の光センサーを提案した(例えば、特許文献3)。
しかしながら、これらのシステムを用いてカラー画像の記録を行う際、カラー感度は光センサーの分光感度に負うところが大きく、青色感度が若干不足し、カラーバランスが充分満足のいくものとはいえず、こうした情報記録方法において、さらに青色感度が向上し、RGBカラーバランスの優れた光センサーが求められていた。
特開平6−130347号公報 特開平7−175081号公報 特開平7−28086号公報
本発明は情報記録媒体への情報形成に使用される光センサーおよび情報記録再生方法において、情報形成能に優れ情報記録感度が向上し、カラーバランスの優れた画像が得られる光センサーおよび情報記録装置、情報記録再生方法の提供を課題とする。
本発明の課題は、電極上に電荷発生性物質を有する半導電性の光センサーにおいて、光センサーに露光した状態で電圧を印加するか、あるいは電圧を印加した状態で露光すると、露光時のフォトン数に相当する以上に増幅された光誘起電流を流し、また、露光を終了した後も電圧を印加し続けると光誘起電流が徐々に減衰する挙動を示す光センサーであり、電荷発生性物質の光吸収波長領域外に光吸収領域を有し、かつ、電荷発生性物質の光吸収波長領域内に蛍光を発する蛍光性物質を含有する光センサーによって解決することができる。
また、電荷発生性物質の光吸収波長領域外の波長で蛍光性物質の光吸収波長領域内の波長を露光した際に、露光時のフォトン数に相当する以上に増幅された光誘起電流を流し、また、露光を終了した後も電圧を印加し続けると光誘起電流が徐々に減衰する挙動を示す前記の光センサーである。
また、光センサーは、電荷発生層、電荷輸送層を有し、電荷輸送層に前記の蛍光性物質を含有する光センサーである。
また、光センサーへ105〜106V/cmの電界強度の印加時に、未露光部での通過電流密度が10−4〜10−7A/cm2であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の光センサー。
該蛍光性物質が、370nm〜450nmの範囲に最大吸収波長を持つとともに、350nm〜500nmの範囲内の波長の光を吸収し、470nm〜550nmの範囲に最大蛍光発光波長を持ち、450nm〜600nmの範囲内の蛍光発光をする蛍光性物質であり、蛍光の光増感作用を有する光センサーである。
情報記録媒体への情報形成に使用され、光センサーの電極と情報記録媒体との電極間に露光した状態で電圧を印加するか、あるいは電圧を印加した状態で露光すると、情報記録媒体に露光に起因する電流以上に増幅された強度で情報記録をすることが可能である前記の光センサーである。
情報記録媒体に情報記録をし、また情報露光を終了した後も電圧を印加し続けると増加した導電性を持続し、引き続き情報記録媒体に情報記録を継続する作用を有する光センサーが大きな増幅作用とともに、光導電層中に含有した蛍光物質によって光導電層の青色感度が向上し、カラー画像情報の記録においてカラーバランスに優れた画像を得ることができる。
本発明の光センサーは電極上に光導電層を積層したものから構成されている。その光導電層は単層型のものと電荷発生層および電荷輸送層を積層した積層型のものがある。光導電層は、一般には光が照射されると照射部分で光キャリア(電子、正孔)が発生し、それらのキャリアが層幅を移動することができる機能を有するものであり、特に電界が存在する場合にその効果が顕著である。
ここで、本発明の情報記録媒体にカラー画像情報の記録を行う際に使用する光センサーはカラーバランスを考慮すると、400〜700nmの可視光領域の波長に対して均一な感度を有することが好ましい。ところが、光センサーの分光特性は例えば図21に示すような光導電層に含有される電荷発生性物質の分光特性に支配され、一般に青色波長領域の感度が低いのでカラーバランスの良好な画像を得ることが困難である。
そこで、光導電層中に370nm〜450nmの範囲に最大吸収波長を持ち、かつ、主に350nm〜500nmの範囲内の波長の光を吸収し、470nm〜550nmの範囲に最大蛍光波長を持ち、かつ、450nm〜600nmの範囲内の蛍光発光をする蛍光性物質を含有させる。
このようにすると、電荷発生性物質の吸収が弱く感度の低い青色波長領域の光である400nm〜510nmの光をも充分に吸収し、感度の高い緑色波長領域の蛍光(470nm〜600nm)として発光するので、青色波長領域の光を緑色波長領域の光として電荷発生性物質に吸収させ、青色波長領域感度の増大を図ることができる。
この特性は特に後述する3色分解プリズムを用いたカラー画像記録方法には効果的で、入射光を例えば図23に示すようなRGB波長領域、すなわち青色領域400〜510nm、緑色領域470nm〜600nm、赤色領域560nm〜700nmに分けて情報記録媒体上に記録するため、波長領域における効果が明確で青色領域のみに増感作用が働き、カラーバランスの改善がより顕著になされる。
加えるに、本発明の光センサーは、光センサーへの光照射時において、情報記録媒体に付与される電界または電荷量が光照射につれて経時的に増幅され、また光照射を終了した後でも電圧を印加し続けるとその増加した導電性を緩和的に持続し、引き続き電界または電荷量を情報記録媒体に付与し続ける作用を有するに至るものである。本発明の光センサーにおける光誘起電流増幅作用について以下に詳細に説明する。
本発明の増幅作用の測定用光センサーとして、透明ガラス上にITO電極が設けられ、該電極上に光導電層が積層された光センサーにおいて、その光導電層上に0.16cm2 の金電極を積層する。そして、この両電極間にITO電極を正極として直流の一定電圧を印加すると共に、電圧印加開始後0.5秒後に透明ガラス側から0.033秒間光照射し、測定時間中の光センサーにおける電流値の挙動を、光照射開始時(t=0)から測定する。なお、照射光は、キセノンランプ(浜松ホトニクス社製L2274)を光源に、グリーンフィルター(日本真空光学社製)により緑色光を選択して照射し、照射光強度を照度計(ミノルタ社製)で測定し、20ルックスのものとする。図3にそのフィルター特性を示す。
この光強度で光照射した時、透明基材、ITO膜の光透過率、フィルターの分光特性を考慮すると、光導電層には4.2×1011個/cm2 秒のフォトンが入射する。そして、入射したフォトンが全て光キャリアに変換されると、理論的には光電流としては単位面積当たり1.35×10−6A/cm2 の電流が発生する。
ここで、前記測定装置により測定する場合に、理論的光電流に対して、
光センサーで実際に発生した光誘起電流=(光センサーで実際に発生した光誘起電流値/理論的光電流値)
をその光センサーにおける量子効率と定義する。また、光誘起電流とは、光照射部の電流値から光を照射しない部分で流れる電流であるベース電流値を差し引いたものであり、光照射中あるいは光照射後もベース電流以上の光照射に起因する電流が流れるものをいい、いわゆる光電流とは相違する。
本発明の光センサーにおける光誘起電流増幅作用とは、このような光誘起電流の挙動のことであると定義する。
本発明における光誘起電流増幅作用を有する光センサーと、光誘起電流増幅作用を有しない光センサー(以下、比較センサーと称す)とを、前記測定装置での測定結果を使用して説明する。まず、比較センサーについての測定結果を図4に示す。図4において、(m)線は、前記理論値(1.35×10−6A/cm2 )を示す参考線で、光照射を0.033秒間行い、光照射後も電圧印加を継続した状態を示す。(n)線は、光誘起電流増幅作用を有しない光センサーの実測線で光照射中の光電流の増加は小さく、その値も理論値(1.35×10−6A/cm2 )を超えず、この比較センサーにおける量子効率は0.4とほぼ一定である。光照射中の量子効率の変化を図5に示す。
これに対して本発明の光センサーは、一例として図13に示すように光照射時は光誘起電流が増幅し、量子効率との関係を示す図6から明らかなように、約0.01秒で量子効率は1を超え、その後も量子効率は増加を続けることがわかる。また、比較センサーでは光照射終了と同時に有効な電流は得られない。これに対して本発明の光センサーにおいては、光照射後も電圧印加を継続することにより光誘起電流が継続して流れ、引き続いて光誘起電流を取り出すことができ、光情報を続けて得ることができる。
その詳細な理由は不明であるが、本発明の光センサーにおいては、情報光の照射に伴い発生する光誘起電荷キャリアの全てが電圧印加状態において光導電層の層幅方向に移動するわけでなく、光誘起電荷キャリアの一部が光導電層中あるいは電極と光導電層の界面に存在するトラップサイトにトラップされたような状態となり、このトラップされた電荷は経時的に蓄積され、電圧印加した状態では露光により発生する光電流に加えて、このトラップされた電荷により誘起される電極からの注入電流が流れ、見掛けの光誘起電流量を経時的に増幅させるものと考えられる。そして、電圧を印加した状態を維持しつつ、露光を終了する場合には、露光により生じる光キャリアはただちに減衰して消滅するが、トラップされた電荷の減衰は緩やかであるためトラップされた電荷により誘起される電極からの注入電流は減衰しながらも充分な量が流れるものと推察される。この光誘起電流は本発明の光センサーにおける光をトリガーとした電流増幅による効果であり、通常の感光体で予想される入射した光に起因する光電流以上の電流が流れるために、情報記録媒体に対して効果的な光情報の付与を可能とするものである。
本発明の光センサーは、素子全体として半導電性であり、所定の電流密度の電流が流れるためには暗時の比抵抗が109 〜1013Ω・cmであることが好ましい。特に、比抵抗が1010〜1011Ω・cmの範囲のもので増幅作用が顕著である。比抵抗が1013Ω・cmよりも大きい光センサーでは105〜106V/cmの電界強度範囲では本発明の光センサーのような増幅作用を示さない。また、比抵抗が109 Ω・cm未満の光センサーでは、電流が非常に多く流れ、電流によるノイズが発生し易く好ましくない。
これに対して、一般の電子写真用に用いられている感光体素子は、暗抵抗率が1014〜1016Ω・cmのものが用いられており、本発明の光センサーは電子写真において、その目的を達することができず、また、一般の電子写真用の暗抵抗率が大きな光導電層を有する光センサーは、本発明の目的には使用することができない。
また、光センサーの比抵抗ρ(Ω・cm)と電流密度J(A/cm2 )の間には、光センサーの膜厚d、電極面積S、および印加電界強度E(V/cm)の間には、
ρ=(E・d/J・S)×(S/d)=E/J
の関係式が成立するので、光センサーの比抵抗は印加電界強度と電流密度から求めることができる。
また、情報記録媒体における情報記録層が特に高分子分散型液晶である場合には、液晶の動作電圧領域に光センサーの感度を設定することが必要である。すなわち、露光部において情報記録媒体に印加される電位(明電位)と未露光部において情報記録媒体に印加される電位(暗電位)との差であるコントラスト電圧を情報記録媒体における液晶の動作電圧領域において一定の大きさをとることが必要となる。そのため、例えば光センサーの未露光部の液晶層に印加される暗電位は、液晶の動作開始電位程度に設定する必要がある。したがって、情報記録媒体の抵抗率が常温で1010〜1013Ω・cmであり、光センサーに105〜106V/cmの電界が与えられた状態で、10−4〜10−7A/cm2 のベース電流が生じる程度の導電性が要求され、好ましくは10−5〜10−6A/cm2 の範囲がよい。ベース電流が10−7A/cm2 の未満の光センサーでは液晶層が露光状態でも配向せず、また、10−4A/cm2 以上のベース電流の光センサーでは未露光状態でも電圧印加と同時に電流が多く流れ、液晶が配向し、露光したとしても未露光部との間で透過率の差が得られない。また、液晶によって動作電圧および範囲が異なるものもあるので、印加電圧および電圧印加時間を設定するにあたっては情報記録媒体における電圧配分を考慮する必要がある。
次に、本発明の光センサーの構成および材料について説明する。
まず、単層型光センサーについて説明する。図1は単層型光センサーを説明するための断面図であり、図中13は電極、14は光導電層、15は基板である。光導電層14は、無機光導電性物質または有機光導電性物質、バインダーおよび蛍光性物質から形成されている。
無機光導電性物質としてはSe、Se−Te、ZnO、TiO2 、Si、CdS等が挙げられ、これらを単独もしくは複数を組み合わせて微粒子とし、バインダーを使用して光導電層を形成する。バインダーには例えばシリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ビニルホルマール樹脂、ビニルアセタール樹脂、ビニルブチラール樹脂、スチレン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、飽和または不飽和ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂等が挙げられ、それぞれバインダー用の樹脂を単独または複数のものを組み合わせて使用することができる。この場合バインダー用の樹脂1重量部に対して光導電性微粒子を0.1〜10重量部、好ましくは1〜5重量部の割合で分散させたものとするとよい。
また、有機光導電性物質には高分子光導電性物質、および低分子光導電性物質の絶縁性バインダー中への分散物がある。高分子光導電性物質としては、例えばポリビニルカルバゾール(PVK)、PVKにおけるビニル基の代わりにアリル基、アクリロキシアルキル基のエチレン性不飽和基が含まれたポリ−N−エチレン性不飽和基置換カルバゾール類、また、ポリ−N−アクリルフェノチアジン、ポリ−N−(β−アクリロキシ)フェノチアジン等のポリ−N−エチレン性不飽和基置換フェノチアジン類、ポリビニルピレン等がある。なかでもポリ−N−エチレン性不飽和基置換カルバゾール類、特にポリビニルカルバゾールが好ましく用いられる。
また、低分子光導電性物質としては、アルキルアミノフェニル基等で置換されたオキサジアゾール類、トリフェニルメタン誘導体、ヒドラゾン誘導体、ブタジエン誘導体、スチルベン誘導体等が挙げられる。また、光導電層を積層型光センサーで用いる電荷発生性物質と電荷輸送性物質を1:1〜1:10、好ましくは1:2〜1:5の割合で混合して用いてもよい。
これらの有機光導電性物質1重合部に対して、バインダー0.1〜10重量部、好ましくは0.1〜1重量部中に分散させて、皮膜形成性の有機光導電層を形成してもよい。
上述の光導電層中には後で述べるような蛍光性物質が、光導電性物質1重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは1〜5重量部加えられる。ただし、蛍光性物質が電荷輸送性物質である場合には、電荷輸送性物質として光導電層内に含有されるため別個に蛍光性物質を加える必要は特にない。
これらの単層光導電層の乾燥後の膜厚は1〜50μmであり、好ましくは3〜20μmで電極上に形成される。このような膜厚とすることによって光センサーは良好な感度と画質を示す。
次に、積層型光センサーについて説明する。図2は積層型光センサーを説明するための断面図であり、図13は電極、14’は電荷発生層、14”は電荷輸送層、15は基板である。
図に示すように、積層型光センサーは電極上に電荷発生層、電荷輸送層を順次積層して形成され、無機光センサーと有機光センサーとがある。
無機光センサーにおける電荷発生層14’はSe−Te、硫黄や酸素等をドープしたSi等を蒸着、スパッタリング、CVD等により電極上に、0.05μm〜1μmの膜厚に積層される。
有機光センサーにおける電荷発生層14’は電荷発生性物質とバインダーからなる。電荷発生性物質としては、下記に示すピリリウム系染料、チアピリリウム系染料、アズレニウム系染料、シアニン系染料、アズレニウム系染料等のカチオン系染料、スクアリリウム塩系染料、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ピラントロン系顔料等の多環キノン系顔料、インジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ピロール系顔料、アゾ系顔料等の染料、顔料を単一層中で複数のものを組み合わせて使用することができる。
Figure 2006245601
Figure 2006245601
Figure 2006245601
また、使用可能なアゾ系顔料には多くのものを挙げることができるが、とくに好ましいアゾ系顔料の化学構造を、中心骨格Aとカプラー部分Cpによって
Figure 2006245601
としてあらわせば、Aの具体例としては以下のものを挙げることができる。
Figure 2006245601
Figure 2006245601
Figure 2006245601
Figure 2006245601
また、Cpの具体例としては、
Figure 2006245601
Figure 2006245601
Figure 2006245601
等が挙げられる。これらの中心骨格AおよびカプラーCpは適宜組み合わせることによって電荷発生性物質として好適なアゾ染料を得ることができる。
バインダーとしては、例えばシリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ビニルホルマール樹脂、ビニルアセタール樹脂、ビニルブチラール樹脂、スチレン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、飽和または不飽和ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂等が挙げられ、それぞれバインダー樹脂を単独または複数のものを組み合わせて使用することができる。
これらの電荷発生性物質とバインダーの混合比は、電荷発生性物質1重量部に対してバインダーを0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜1重量部の割合で使用することが望ましい。電荷発生層は乾燥後膜厚として0.01〜1μmであり、好ましくは0.1〜0.5μmとするとよく、このような膜厚とすることによって良好な感度と画質を示す。
また、先に示した電荷発生性物質のうち、蒸着法で成膜可能なものは、バインダーを用いず、単独で成膜することもできる。
電荷輸送層14”は電荷輸送性物質とバインダーとからなる。電荷輸送性物質は、電荷発生層で発生した電荷の輸送特性が良い物質であり、例えば、オキサジアゾール、オキサゾール、トリアゾール、チアゾール、トリフェニルメタン、スチリル、ピラリゾン、ヒドラゾン、芳香族アミン、カルバゾール、ポリビニルカルバゾール、スチルベン、エナミン、アジン、トリフェニルアミン、ブタジエン、多環芳香族化合物、スチルベン二重体およびそれらの誘導体等があり、ホール輸送特性のよい物質とすることが必要である。
バインダーとしては、前記した電荷発生層におけるバインダーと同様のもの、さらにポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂が使用できるが、好ましくはスチレン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、ポリカーボネート樹脂である。バインダーは電荷輸送性物質1重量部に対して0〜10重量部、好ましくは0.1〜1重量部の割合で使用することが望ましい。電荷輸送層は乾燥後膜厚として1〜50μmであり、好ましくは3〜20μmとするとよく、このような膜厚とすることによって良好な感度と画質が得られる。
電荷発生層と電荷輸送層は、その構成を上下を逆に積層してもよい。
先に示した電荷輸送性物質で蒸着法で成膜可能なものは、バインダーを用いず、単独で成膜することもできる。
次に、本発明の特徴である蛍光性物質について説明する。本発明で用いられる蛍光性物質は、電荷輸送性物質として電荷輸送層に使用するか、あるいは添加剤として電荷発生層中に添加することができる。
蛍光性物質は、主に300nm〜500nmの範囲内の波長の光を吸収し、主に450nm〜600nmの範囲内の蛍光発光をするものであり、光導電層中に分散あるいは混合、溶解等による添加が可能であるか、あるいは、電荷輸送性を有し、電荷輸送層して用いることが可能であればどのような構造のものでもよい。 電荷輸送性を持った蛍光性物質としては、例えば下記構造の
Figure 2006245601
等の化合物を挙げることができる。
電極13は、後述する情報記録媒体が不透明であれば透明性を有することが必要であるが、情報記録媒体が透明性を有する場合には透明、不透明いずれでもよく、106Ω・cm 以下の比抵抗を安定して与える材料、例えば金、白金、亜鉛、チタン、銅、鉄、錫等の金属薄膜導電膜、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、四級アンモニウム含有物質等の有機導電膜等を単独あるいは二種類以上の複合材料として用いることができ。なかでも酸化物導電体が好ましく、特にインジウム錫複合酸化物(ITO)が好ましい。
電極13は、蒸着、スパッタリング、CVD、コーティング、めっき、ディッピング、電解重合等の方法により形成される。また、その膜厚は電極を構成する材料の電気特性、および情報記録の際の印加電圧により変化させる必要があるが、例えばITO膜では10〜300nm程度であり、情報記録層の間の全面あるいは任意のパターンに合わせて形成される。また、二種類以上の材料を積層して用いることもできる。
基板15は、後述する情報記録媒体が不透明であれば透明性を有することが必要であるが、情報記録媒体が透明性を有する場合には透明、不透明いずれでもよく、カード、フィルム、テープ、ディスク等の形状を有し、光センサーを支持するものである。光センサー自体が支持性を有する場合には設ける必要がないが、光センサーを支持することができるある程度の強度を有していれば、その材質、厚みは特に制限がない。例えば可撓性のあるプラスチックフィルム、あるいはガラス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエステル、ポリカーボネート等のプラスチックシート、カードが使用される。
なお、基板の電極13が設けられる面の他方の面には、電極13が透明であれば必要に応じて反射防止効果を有する層を積層するか、また、反射防止効果を発現しうる膜厚に透明基板を調整するか、さらに両者を組み合わせることにより反射防止性を付与するとよい。
また、電極13と光導電層14または電荷発生層14’間に光誘起電流増幅層を設けてもよい。その詳細な理由は不明であるが、光誘起電流増幅層は光センサーにおける光誘起によって発生した電流を増幅する作用や、電極13から光導電層14または電荷発生層14’への電荷キャリアー注入性を制御して情報記録媒体に実質的に印加される電圧を調節する作用、および電極13から光導電層14または電荷発生層14’への電荷キャリア注入性を均一化し、情報記録媒体への記録において、ノイズ、むら等を軽減する作用を有している。第一の作用は光センサーとしての記録感度の向上に効果的であり、第二の作用は記録画像の画像濃度の調整に効果的であり、さらに第三の作用は記録画像の画質向上に効果的である。
光誘起電流増幅層には、例えばシリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ビニルホルマール樹脂、ビニルアセタール樹脂、ビニルブチラール樹脂、スチレン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、飽和または不飽和ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂等が挙げられ、それぞれバインダー樹脂を単独または複数のものを組み合わせて使用することができる。さらに、可溶性ポリアミド、フェノール樹脂、ポリウレタン、ポリウレア、カゼイン、ポリペプチド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸エステル重合体、第四級アンモニウム塩含有重合体、セルロース化合物等を使用することができ、それぞれバインダー樹脂を単独または複数のものを組み合わせて使用することができる。特にビニルホルマール樹脂、ビニルアセタール樹脂、ビニルブチラール樹脂が好ましい。
光誘起電流増幅層の厚さは0.005〜5μm、好ましくは0.05〜5μmがよく、ディップコーティング、ロールコーティング、スピンコーティング等の方法によって塗布することができる。0.005μmよりも薄いと、画像ノイズの軽減作用はなくなり、また、5μmよりも厚いと電極から電荷発生層への電荷キャリアの注入を妨げてしまう。
また、光誘起電流増幅層には必要に応じて、各種の電子受容性物質、光導電性物質が添加され、それぞれ添加物を単独または複数のものを組み合わせて使用することができる。
電子受容性物質としては、例えは置換ベンゼン類、置換ナフタレン類、置換および無置換ベンゾキノン類、置換および無置換ナフトキノン類、置換および無置換アントラキノン類、置換フルオレノン類、クロラニル類、置換キノジメタン類を挙げることができる。
光導電性物質としては、前述した単層の光導電層を構成する無機と有機の光導電性物質および光導電層が積層して形成された場合の電荷発生性物質を用いることができ、例えば無機光導電性物質としてはSe、Se−Te、ZnO、TiO2 、Si、硫黄や酸素等をドープしたSi、CdS等が挙げられ、有機光導電性物質のうち高分子光導電性物質としては、例えばポリビニルカルバゾール(PVK)、PVKにおけるビニル基の代わりにアリル基、アクリロキシアルキル基のエチレン性不飽和基が含まれたポリ−N−エチレン性不飽和基置換カルバゾール類、また、ポリ−N−アクリルフェノチアジン、ポリ−N−(β−アクリロキシ)フェノチアジン等のポリ−N−エチレン性不飽和基置換フェノチアジン類、ポリビニルピレン等が挙げられる。
有機光導電性物質のうち、低分子光導電性物質としては、アルキルアミノフェニル基等で置換されたオキサジアゾール類、トリフェニルメタン誘導体、ヒドラゾン誘導体、ブタジエン誘導体、スチルベン誘導体が挙げられる。
電荷発生性物質としては、ピリリウム系染料、チアピリリウム系染料、アズレニウム系染料、シアニン系染料、アズレニウム系染料等のカオチン系染料、スクアリリウム塩系染料、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ピラントロン系顔料等の多環キノン系顔料、インジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ピロール系顔料、アゾ系顔料等の染料、顔料を単独もしくは複数のものを組み合わせて使用することができる。
これらの添加物はバインダー樹脂1重量部に対して0.001〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部の割合で添加され、それぞれ添加物を単独または複数のものを組み合わせて使用することができ、特に置換ベンゾキノン類とアゾ顔料との組合せのように電子受容性化合物と有機光導電性顔料を組み合わせて用いることにより大きな増幅作用が得られ好ましい。
情報記録媒体2について説明する。まず、本発明における情報記録媒体としては、その情報記録層が液晶−高分子複合体(以下LCPCと示す)とする場合が挙げられる。
LCPCは液晶相中に樹脂粒子が分散した構造を有しているが、液晶材料はスメクチック液晶、ネマチック液晶、コレステリック液晶あるいはこれらの混合物を使用することができる。液晶としては、その配向性を保持し、情報を永続的に保持させる、いわゆるメモリー性の観点からスメクチック液晶を使用するのが好ましい。
スメクチック液晶としては、液晶性を呈する物質の末端基の炭素基が長いシアノビフェニル系、シアノターフェニル系、フェニルエステル系、さらにフッ素系等のスメクチックA相を呈する液晶物質、強誘電性液晶として用いられるスメクチックC相を呈する液晶物質、あるいはスメクチックH、G、E、F等を呈する液晶物質等が挙げられる。
樹脂粒子を形成する材料としては、例えば紫外線硬化型樹脂であって、モノマー、オリゴマーの状態で液晶材料と相溶性を有するもの、あるいはモノマー、オリゴマーの状態で液晶材料と共通の溶媒に相溶性を有するものを好ましく使用できる。このような紫外線硬化型樹脂としては、例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等が挙げられる。その他、液晶材料と共通の溶媒に相溶性を有する溶媒可溶性の熱硬化性樹脂、例えばアクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、およびこれらを主体とした共重合体等、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等を使用してもよい。
液晶材料と樹脂の使用割合は、液晶の含有率が10重量%〜90重量%、好ましくは40重量%〜80重量%となるように使用するとよく、10重量%未満であると情報記録により液晶相が配向しても光透過性が低く、また、90重量%を超えると液晶の浸みだし等の現象が生じ、画像むらが生じ好ましくない。
情報記録層の膜厚は解像性に影響を与えるので、乾燥後膜厚0.1μm〜10μm、好ましくは3μm〜8μmとするとよく、光解像性を維持しつつ、動作電圧も低くすることができる。膜厚が薄すぎると、情報記録部のコントラストが低く、また、厚すぎると動作電圧が高くなるので好ましくない。
以上のように情報記録媒体として情報露光による記録を液晶の配向により可視化した状態とするものであるが、液晶と樹脂との組合せを選ぶことにより一度配向し、可視化した情報は消去せず、メモリ性を付与することができる。
また、等方相転移付近の高温に加熱すると、メモリー性を消去することができるので、再度の情報記録に使用することができる。
この情報記録媒体は、図7に示すように上述した光センサーをポリイミドのような絶縁性樹脂フィルムからなるスペーサー19を介して、対向配置し、両電極13、13’を電圧源を介して結線して第1の情報記録装置とされる。この装置における電極13、13’はいずれか一方、または両方が透明性であればよい。 次に、第2の情報記録装置について説明する。図8は、本発明の第2の情報記録装置を断面図により示す図であり、図中20は誘電体層であり、また図2と同一符号は同一内容を示す。
第2の情報記録装置は、第1の情報記録装置における光センサーと情報記録媒体とを誘電体層20を介して対向配置し、直接積層したものであ。第2の情報記録装置は光センサーにおける光導電層が溶媒を使用して塗布形成される場合に特に適しており、光導電層上に情報記録層を直接塗布形成すると、それらの相互作用により情報記録層における液晶が溶出したり、また、情報記録層形成用の溶媒により光導電材料が溶出することによる画像むらを防止することができ、光センサーと情報記録媒体との一体化を可能とするものである。
誘電体層20はその形成にあたって、光導電層形成材料、情報記録形成材料のいずれに対しても溶解性を有しないことが必要であり、また、導電性を有しないことが必要である。導電性を有する場合には、空間電荷の拡散が生じ、解像度の劣化を生じることから絶縁性が要求される。また、誘電体層は液晶層に印加される分配電圧を低下させたり、あるいは解像性を悪化させるので、膜厚は薄い方が好ましく、2μm以下とすることがよいが、逆に薄くすることにより経時的な相互作用による画像ノイズの発生ばかりでなく、積層塗布する際にピンホール等の欠陥による浸透の問題が生じる。ピンホール等の欠陥による浸透性は積層塗布する材料の固形分比率、溶媒の種類、粘度により異なるので積層塗布されるものの膜厚は適宜設定されるが、少なくとも10μm以下の膜厚とするとよく、好ましくは0.1〜3μmとするとよい。さらに、各層に印加される電圧分配を考慮した場合、薄膜化と共に誘電率の高い材料が好ましい。
誘電体層を形成する材料としては、無機材料ではSiO2 、TiO2 、CeO2 、Al23、GeO2、Si34、AlN、TiN、MgF2、ZnS、二酸化珪素と二酸化チタンの組合せ、硫化亜鉛とフッ化マグネシウムの組合せ、酸化アルミニウムとゲルマニウムの組合せ等を使用し、蒸着法、スパッタリング法、化学蒸着(CVD)法等により積層して形成するとよい。また、有機溶剤に対して相溶性の少ない水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコール、水系ポリウレタン、水ガラス等の水溶液を使用し、スピンコート法、ブレードコート法、ロールコート法等により積層してもよい。さらに、塗布可能なフッ素樹脂を使用してもよく、この場合にはフッ素含有溶剤に溶解し、スピンコート法により塗布するか、ブレードコート法、ロールコート法等により積層してもよい。
塗布可能なフッ素樹脂としては、例えば特開平6−130347号公報等に開示されたフッ素樹脂を使用することができ、また、真空中において膜形成されるポリパラキシリレン等の有機材料を好ましく使用することができる。
次に、本発明の第1および第2の情報記録装置における情報記録方法について説明する。図9は本発明の第1の情報記録装置における情報記録方法を説明するための図であるが、第2の情報記録装置においても同様である。図中11は情報記録層、13は光センサーの電極、13’は情報記録媒体の電極、14は光導電層、21は光源、22は駆動機構を有するシャッター、23は電源となるパルスジェネレーター、24は暗箱を示す。
電極13、13’の間にパルスジェネレーター23により適当な電圧を印加しつつ、光源21から情報光を入射させると、光が入射した部分の光導電層14で発生した光キャリアは両電極により形成される電界により情報記録層11側の界面まで移動し、電圧の再分配が行われ、情報記録層11における液晶層が配向し、情報光のパターンに応じた記録が行われる。
本発明の情報記録方法においては、面状アナログ記録が可能であり、液晶レベルでの記録が得られるので、高解像度の記録となり、また露光パターンは液晶相の配向により可視像化されて保持される。
情報記録装置の形態としては、カメラによる方法、またレーザによる記録方法がある。カメラによる方法としては通常のカメラに使用されている写真フィルムの代わりに情報記録媒体を使用して記録部材とするもので、光学的なシャッターも使用し得るし、また電気的なシャッタも使用し得る。また、プリズムおよびカラーフィルターによる光情報を、図23に示すような特性のR、G、B光成分に分離し、平行光として取り出しR、G、Bの各色用の3個の情報記録媒体で1コマを形成するか、または1個の情報記録媒体の異なる部分にR、G、Bの各画像を記録して1コマとすることにより、カラー撮影することもできる。図23に示すようなRGB波長領域(青色領域400〜510nm、緑色領域470〜600nm、赤色領域560nm〜700nm)に分けて情報記録媒体上に記録する場合、波長領域における効果が明確で青色領域のみに増感作用が働き、カラーバランスの改善がより顕著になされる。
情報記録媒体に記録された露光情報は、図10に示すように第1の情報記録装置の場合には情報記録媒体を分離して、また第2の情報記録装置の場合にはそのまま透過光により情報を再生すると、情報記録部では液晶が電界方向に配向するために光Aは透過するのに対して、情報を記録していない部位においては光Bは散乱し、情報記録部とのコントラストが得られる。また、光反射層を介して反射光により読み取ってもよい。
この積層体を組み込んだ図9に示すように第1の情報記録装置において、例えば撮像用カメラ(例えばマミヤ社製RB67)の写真フィルムに代えて本発明の光センサーと情報記録媒体を取り付けて、光センサーと情報記録媒体の両電極間に700Vの直接電圧を0.04秒印加すると同時に、グレースケールを1/30秒間、光センサー側から投影露光することにより、情報記録媒体の情報記録層にグレースケールに応じた光透過部からなる記録部が形成され、情報記録を行うことができる。
次いで、情報記録媒体における記録情報を、図11に示す情報出力装置により情報記録媒体をCCDラインセンサーを有するイメージスキャナーによって記録情報を読み取り、その情報を昇華転写プリンター(例えば日本ビクター社製、SP−5500)を使用して情報出力することによりグレースケールに応じた良好な印刷物を得ることができる。
液晶の配向により記録された情報は、目視による読み取りが可能な可視情報であるが、投影機により拡大して読み取ることもでき、レーザ光の走査、あるいはCCDを用いて高精度で情報を読み取ることができる。なお、必要に応じてシュリーレン光学系を用いることにより散乱光を防ぐことができる。
以上、情報記録媒体として情報露光による記録を結晶の配向により可視化した状態とするものであるが、結晶と樹脂の組合せを選ぶことにより、一度配向し可視化した情報は消去せず、メモリ性を付与することができる。また、等方相転移付近の高温に加熱すると、メモリー性を消去することができるので、再度の情報記録に使用することができる。
情報記録装置における情報記録媒体としては、例えば特開平3−7942号、特開平5−107775号、特開平5−107776号、特開平5−107777号公報、特開平4−70842号公報等に記載されている電荷保持層を情報記録層とすると静電情報記録媒体を使用してもよく、この場合には情報は情報記録媒体において静電荷の形で蓄積されるので、その静電電荷をトナー現像するか、またはその静電電荷を例えば特開平1−2903666号公報等に記載されるように電位読み取りにより再生することができる。また、特開平4−46347号公報等に記載される熱可塑性樹脂層を情報記録層とする情報記録媒体を使用してもよく、この場合には前記同様に情報を静電荷の形で表面に蓄積した後、熱可塑性樹脂層が加熱されることにより、情報をフロスト像として蓄積し、可視情報として情報再生することが可能である。
本発明の情報記録媒体への光情報の記録に使用する光センサーは、電極上に光導電層が積層されており、半導電性であり光センサーへの電極と情報記録媒体の電極間に電圧を印加した状態で情報露光するか、あるいは情報露光した状態で電圧を印加すると、情報記録媒体に情報露光に付与される電界または電荷量が増幅され、また、情報露光を終了した後も、電圧を印加し続けると導電性を持続し、引き続き電界または電荷量を情報記録媒体に付与し続ける使用を有しているが、情報記録媒体にカラー画像情報の記録を行う再に使用する光センサーは、カラーバランスを考慮すると400〜700nmの可視光領域の波長に対して均一な感度を有することが好ましい。ところが、光センサーの分光特性は電荷発生層における電荷発生性物質の分光特性に支配され、一般に青色波長領域の感度が低いので、カラーバランスの良好な画像を得ることが困難であった。
そこで、電荷発生性物質の吸収が弱い青色波長領域の光を吸収し、緑色波長領域の光を蛍光として発する物質を電荷輸送性物質として使用するか、あるいは添加剤として光導電層中に添加することにより、青色波長領域の光を緑色波長領域の蛍光として電荷発生性物質に吸収させ、青色波長領域感度を増大させることによりカラーバランスの良好な画像情報が得られる。
以下に本発明の実施例を説明する。
(積層型光センサーの作製)。
充分洗浄した厚さ1.1mmのガラス基板上に、電子線蒸着法により面積抵抗80Ω/□、膜厚100nmのITO膜を成膜し、電極を得た。電極をスクラバー洗浄機(商品名SSD−1 エンヤシステム社)にて純水噴射11秒間、洗剤(商品名RBS−25 純正化学製)を使用してスクラブ洗浄を20秒間、純水リンス20間秒の後、120℃の乾燥機中で1時間乾燥した。
この電極上に、電荷発生性物質しとて下記構造
Figure 2006245601
構造を有するビスアゾ顔料3重量部、ポリビニルホルマール樹脂1重量部とを、4−ジオキサン98重量部、シクロヘキサノン98重量部と混合し、ペイントシェーカーによって充分に混練を行い塗布液とした。得られた塗布液をスピンナーにて1400rpm、0.4秒間で塗布し、風乾後100℃で1時間乾燥して、膜厚0.3μmの電荷発生層を積層した。
次に、この電荷発生層上に電荷輸送性物質として下記構造
Figure 2006245601
を有するビフェニルアミン誘導体5重量部とポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスティックス製 ユーピロンZ−200)1重量部とジクロロメタン18重量部、1,1,2−トリクロロエタン27重量部とを均一に溶解し塗布液とし、スピンナーにて550rpm、0.4秒間で塗布し、無風下で放置しレベリング乾燥を行った後、80℃、2時間乾燥して膜厚10μmの電荷輸送層を積層した。
(光センサーの電気特性)
得られた光センサーの電気特性を測定するために光センサーの電荷輸送層上に0.16cm2 、厚さ10nm、表面抵抗1kΩ/□の金層を蒸着して電極として測定用光センサーを作製し、図12に示すような電流測定装置に装着した。図中15は光センサー支持体、13は光センサー電極、14は電荷発生層および電荷輸送層からなる光導電層、30は金電極、31は光源、32はシャッター(コパル社製No.0電磁シャッター)、33はシャッター駆動機構、34はパルスジェネレーター(横河ヒューレットパッカード社製)、35はオシロスコープである。
この電流測定装置において、光センサーにおける電極13を正、金電極を負として、両電極間に150Vの直流電圧を印加するとともに、電圧印加開始後0.5秒後に、ガラス基板側から0.033秒間光照射し、光照射開始時間をt=0として光センサーに流れる電流を測定した。照射光はキセノンランプ(浜松ホトニクス社製L2274)を光源にして、モノクロメーター(JOBIN YVON社製H20−VIS)により単色光にした。照射強度は、照度計(ADVANTEST社製 TQ8210)で測定した。
光照射の終了後も電圧印加を継続し、光照射開始時間から0.15秒間電圧印加を継続した。その間の電流の時間変化をオシロスコープにより測定した。また、露光しないで電圧印加のみを行い、同様にして電流測定した結果を同時に示す。測定は室温で行った。
その結果を図13に示す。横軸は電圧印加時間(秒)、縦軸は電流密度(10−6A/cm2 )である。
図において、(A)線は露光した場合の電流測定値、(B)線は露光しないで電圧のみを印加した場合である。
(A)線に示されるように、本発明の光センサーにより電流値は2つの変曲点(a)、(b)が観測される。変曲点(a)以下の電流量は後述する比較センサーとの比較から露光量に応じた電流、すなわち光誘起電流の量であると考えられる。また、変曲点(b)は露光流量に伴う電流量の変化点であり、露光を終了しても未露光時でも電圧印加に応じた電流が持続して流れ、徐々に減衰していくことがわかる。すなわち、この図から本発明における光センサーは露光の間は光誘起電流が増加し続け、露光後も光誘起電流が持続し、一定の時間を経て減衰していくことがわかる。
また、560nmの単色光を照射した場合の利得を1とした場合の各波長における利得を図14に示す。また、電荷発生層の吸収スペクトルを図21に示す。この図から400nm付近の青色波長領域で電荷発生層の吸収と関係なく感度が増大していることを示している。
(吸収スペクトルの測定)
電荷輸送層の吸収スペクトルを分光光度計(島津製作所製 UV−240)を用いて測定した。その結果を図15において(a)で示す。400nm付近に吸収がみられた。
(蛍光スペクトル測定)
電荷輸送層の蛍光スペクトルは分光蛍光光度計(島津製作所 F4010)を用いて励起光として400〜450nmの光を使用して測定した。その結果を図15において(B)で示す。電荷発生性物質が吸収を示す497nm付近に強い蛍光スペクトルが観測された。
以上の結果から電荷輸送性物質が電荷輸送層において、400nm付近の青色波長領域の光を吸収して497nm付近の緑色波長領域の光を発光し、これを吸収した電荷発生層における電荷発生性物質がキャリアを生成し、青色波長領域の感度が増大するものと考えられる。
実施例1の電荷輸送性物質を下記の化合物
Figure 2006245601
を用いた点を除き、実施例1と同様にして光センサーを作製した。
(光センサーの電気特性)
光センサーの電気特性を実施例1と同様に測定し、その結果を図16に示す。この光センサーは、露光の間は光誘起電流が増加し続け、露光終了後も光誘起電流が持続した後に減衰する。
また、560nmの単色光を照射した場合の利得を1とした場合の各波長における利得を図17に示す。この結果から青色波長領域である420nm付近の電荷発生層の吸収と関係なく、感度が増加した。
(吸収スペクトル測定)
電荷輸送層の吸収スペクトルを図18において(A)で示す。416nm付近に吸収が見られた。
(蛍光スペクトル測定)
電荷輸送層の蛍光スペクトルを図18において(B)で示す。電荷発生性物質が吸収を示す491nm付近に強度の大きな蛍光スペクトルが観測された。
比較例2
電荷発生性物質として、下記の化学構造
Figure 2006245601
を用いた点を除き、実施例1と同様にして光導電層を作製した。
(光センサーの電気特性)
光センサーの電気特性を実施例1と同様に測定し、その結果を図19に示す。この光センサーは露光の間は光誘起電流が増加し続け、露光終了後も光誘起電流が持続した後に減衰する。
また、560nmの単色光を照射場合の利得を1とした場合の各波長における利得を図20に示す。
(吸収スペクトル測定)
電荷発生層の吸収スペクトルを図21に示す。また、図22において(A)で電荷輸送層の吸収スペクトルを示す。光センサーの分光感度は電荷発生層の吸収スペクトルと対応し、電荷発生性物質の吸収特性に支配されていることがわかる。(蛍光スペクトル測定)
電荷輸送層の蛍光スペクトルを図22において(B)で示す。電荷輸送性物質は400nmに強い蛍光を発するが、電荷発生性物質の吸収波長領域には蛍光を発生しない。
(情報記録媒体の作製)
厚さ1.1mmのガラス基板上に膜厚100nmのITO膜をスパッタリングにより成膜し、電極を得たのち、表面洗浄を行った。
この電極上に、多官能性モノマー(ジペンタエリストールヘキサアクリレート、東亞合成化学工業製、M−400)40重量部、光硬化開始剤(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン チバガイギー社製、ダロキュア1173)2重量部、液晶(スメクチック液晶(メルク社製、S−6)を90%、ネマチック液晶(メルク社製、E31LV)を10%含有)50重量部、界面活性剤(住友スリーエム社製 フロラードFC−430)3重量部をキシレン96重量部中に均一に溶解して得た塗布液を、50μmの間隔を設定したブレードコーターを用いて塗布した後、47℃で3分間乾燥し、次いで47℃で2分間乾燥を行い、直ちに0.3J/cm2 の紫外線照射によって塗布膜を硬化させ、膜厚6μmの情報記録層を有する情報記録媒体を得た。
情報記録層面を熱メタノールを用いて液晶を抽出し、乾燥させた後、走査型電子顕微鏡(日立製作所製 S−800)で1000倍の倍率で内部構造を観察したところ、層の表面は0.6μmの紫外線硬化型樹脂で覆われ、層内部には連続層を成す液晶相中に粒径0.1μmの樹脂粒子相が充填した構造を有していた。
(情報記録方法および記録特性)
実施例1で得られた光センサーと情報記録媒体とを図7に示すようにして、厚さ10μmのポリイミドフィルムのスペーサを介して空気層を設けて対向させて積層した。この積層体を図9に示すように撮像用カメラ(マミヤ社製RB67)に写真フィルムに代えて装着し、光センサーと情報記録媒体の両電極間に700Vの直流電圧を0.04秒間印加すると同時に、グレースケール露光量が2〜200ルックスで1/30秒間、光センサー側から投影露光した。露光後、情報記録媒体を取り出した。透過光により情報記録媒体を観察したところ、情報記録層にはグレースケールに応じた光透過部からなる記録部が観察された。
ついで、情報記録媒体における情報記録を図11に示す情報出力装置により再生した。図中41は、情報記録媒体用スキャナー、42はパソコン、43はプリンターである。
情報記録媒体をCCDラインセンサーを用いたイメージスキャナーによって記録情報を読み取り、その情報を昇華転写プリンター(日本ビクター社製SP−5500)を使用して情報出力した結果、グレースケールに応じた階調性を有した良好な印刷物が得られた。
また、プリズムとカラーフィルターによってR、G、Bの3色に分解して同様にカラー画像を記録したところ、記録された画像は良好で、カラー画像の記録情報を同様に読み取って情報出力した結果、良好な印刷物が得られた。
実施例1で作製した光センサーの光導電層上に、ポリビニルアルコール5重量部(日本合成化学製 AH−26、ケン化度97〜99%)を水95重量部中に溶解した塗布液を用いて、これをスピンナーにて塗布を行い、膜厚0.6μmの誘電体層を積層した。
次いで、この誘電体層上に、実施例3で示した情報記録層の作製方法と同様に情報記録層を作製し、さらにその情報記録層上にスパッタリングでITOを20nm成膜することにより導電層を積層し、情報記録媒体を作製した。
この情報記録媒体の両電極間に700Vの直流電圧を印加すると同時に、実施例3同様にグレースケールを1/30秒間、光センサー側から投影露光した。電圧印加時間は0.05秒間とした。露光後、情報記録媒体を取り出し実施例1同様の情報出力装置により、読み取りおよび出力を行ったところ、良好な印刷物が得られた。
情報記録媒体に情報記録をし、また情報露光を終了した後も電圧を印加し続けると増加した導電性を持続し、引き続き情報記録媒体に情報記録を継続する作用を有する光センサーは大きな増幅作用とともに、光導電層中に含有した蛍光物質によって光導電層の青色感度が向上し、カラー画像情報の記録においてカラーバランスに優れた画像を得ることができる。
単層型の光センサーを説明する断面図である。 光導電層が電荷発生層と電荷輸送層から構成される積層型光センサーを説明する断面図である。 使用したフィルターの特性を説明する図である。 本発明における光電流の増幅作用を有する光センサーと、光電流増幅作用を有しない光センサーとの特性を説明する図である。 増幅作用を有さない光センサーの光照射中の量子効率の変化を説明する図である。 増幅作用を有する光センサーの光照射中の量子効率の変化を説明する図である。 情報記録装置の一例を説明する断面図である。 他の情報記録装置を説明する図である。 本発明の情報記録装置を用いた情報記録方法を説明する図である。 記録情報の再生方法を説明する図である。 情報出力装置を説明する図である。 電流測定装置を説明する図である。 本発明の光センサーの1実施例の特性を説明する図である。 本発明の光センサーの1実施例の光導電層の各波長における利得を説明する図である。 本発明の光センサーの1実施例の電荷輸送層の各波長の吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルを説明する図である。 本発明の光センサーの他の実施例の特性を説明する図である。 本発明の光センサーの他の実施例の光導電層の各波長における利得を説明する図である。 本発明の光センサーの他の実施例の電荷輸送層の各波長の吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルを説明する図である。 比較例の光センサーの特性を説明する図である。 比較例の光センサーの光導電層の各波長における利得を説明する図である。 電荷発生層の吸収スペクトルを説明する図である。 比較例の光センサーの電荷輸送層の各波長の吸収スペクトルおよび蛍光スペクトルを説明する図である。 RGBの各波長領域の分布特性を説明する図である。
符号の説明
1…光センサー、2…情報記録媒体、13…電極、13’…電極、14…光導電層、14’…電荷発生層、14’’…電荷輸送層、15…基板、17…電荷、19…スペーサー、11…情報記録層、20…誘電体層、21…光源、22…駆動機構を有するシャッター、23…パルスジェネレーター、24…暗箱、30…金電極、31…光源、32…シャッター、33…シャッター駆動機構、34…パルスジェネレーター、35…オシロスコープ、41…情報記録媒体用スキャナー、42…パソコン、43…プリンター

Claims (6)

  1. 電極上に電荷発生性物質を有する半導電性の光センサーにおいて、光センサーに露光した状態で電圧を印加するか、あるいは電圧を印加した状態で露光すると、露光時のフォトン数に相当する以上に増幅された光誘起電流を流し、また、露光を終了した後も電圧を印加し続けると光誘起電流が徐々に減衰する挙動を示す光センサーであり、電荷発生性物質の光吸収波長領域外に光吸収領域を有し、かつ、電荷発生性物質の光吸収波長領域内に蛍光を発する蛍光性物質を含有することを特徴とする光センサー。
  2. 電荷発生性物質の光吸収波長領域外の波長で蛍光性物質の光吸収波長領域内の波長を露光した際に、露光時のフォトン数に相当する以上に増幅された光誘起電流を流し、また、露光を終了した後も電圧を印加し続けると光誘起電流が徐々に減衰する挙動を示すことを特徴とする請求項1記載の光センサー。
  3. 光センサーは、電荷発生層、電荷輸送層を有し、電荷輸送層に前記の蛍光性物質を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の光センサー。
  4. 光センサーへ105〜106V/cmの電界強度の印加時に、未露光部での通過電流密度が10-4〜10-7A/cm2であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の光センサー。
  5. 該蛍光性物質が、370nm〜450nmの範囲に最大吸収波長を持つとともに、350nm〜500nmの範囲内の波長の光を吸収し、470nm〜550nmの範囲に最大蛍光発光波長を持ち、450nm〜600nmの範囲内の蛍光発光をする蛍光性物質であり、蛍光の光増感作用を有することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の光センサー。
  6. 情報記録媒体への情報形成に使用され、光センサーの電極と情報記録媒体との電極間に露光した状態で電圧を印加するか、あるいは電圧を印加した状態で露光すると、情報記録媒体に露光に起因する電流以上に増幅された強度で情報記録をすることが可能であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の光センサー。
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