JP3623027B2 - 光センサー、情報記録装置及び情報記録再生方法 - Google Patents

光センサー、情報記録装置及び情報記録再生方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光情報を可視情報または静電情報の形態で情報記録媒体へ記録することができる光センサーに関し、電荷発生性物質、電荷輸送性物質の少なくともいずれか一方の濃度勾配をもって構成した層を形成した光センサーに関する。また、該光センサーと情報記録媒体とからなる情報記録装置、情報記録再生方法に関し、特に情報記録媒体への情報記録性能が著しく増幅され、所定の画像濃度を得られるとともに、さらに画像むらや画像ノイズがない、電荷発生性物質、電荷輸送性物質の少なくともいずれか一方に濃度勾配を形成した光センサーからなる情報記録装置、情報記録方法および情報記録再生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光情報を情報記録媒体に記録するために、前面に電極が設けられた光導電層からなる光センサーと、該光センサーに対向し、後面に電極が設けられた電荷保持層からなる情報記録媒体とを光軸上に配置し、両電極層間に電圧を印加しつつ露光し、入射光学像に応じて、電荷保持層に静電電荷を記録させ、その静電電荷をトナー現像するかまたは電位読み取り装置により再生する方法は、例えば特開平1−290366号公報、特開平1−289975号公報に記載されている。また、前記方法における電荷保持層を熱可塑性樹脂層とし、静電電荷を熱可塑樹脂層表面に記録した後加熱し、熱可塑性樹脂層表面にフロスト像を形成することにより記録された静電電荷を可視化する方法は、例えば特開平3−192288号公報に記載されている。
【0003】
さらに、本出願人等は、前記情報記録媒体における情報記録層を高分子分散型液晶層として、前記同様に電圧印加時に露光し、光センサーにより形成される電界により液晶層を配向させて情報記録を行い、情報記録の再生にあたっては透過光あるいは反射光により可視情報として再生する情報記録再生方法を、先に特願平4−3394号、特願平4−24722号、特願平5−266646号として出願した。この情報記録再生方法は、偏向板を使用しなくとも記録された情報を可視化できる。
こうした情報記録方法において、さらに高感度、高画質の光センサーが求められていた。また、本発明の光センサーは高解像度と高感度であるという特徴とを有しているために、撮像を行った場合に一定の画像濃度を地汚れのない画像を形成する上で、さらに注入電流の安定性が高く、感度むら、ノイズのない光センサーが求められていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、情報記録媒体への情報形成に使用される光センサーであって、高解像度と高感度である光センサーにおいて顕著な問題となる画像濃度変化や感度むら、ノイズがなく高品質の画像を得ることができ、情報形成能に優れ、情報記録感度の向上した光センサーおよび該光センサーからなる情報記録装置、情報記録再生方法の提供を課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、電極上に光導電層を有し、情報記録媒体への情報形成に使用される光センサーにおいて、半導電性であり、光センサーの電極と情報記録媒体との電極間に露光した状態で電圧を印加するか、あるいは電圧を印加した状態で露光すると、情報記録媒体に露光を起因する電流以上に増幅された強度で情報記録をすることができ、また露光を終了した後も電圧を印加し続けると導電性が徐々に減衰する挙動を示し、引き続き情報記録媒体に情報記録を継続する作用を有することを特徴とする光センサーにおいて、電荷発生性物質、電荷輸送性物質の少なくともいずれか一方が積層方向に濃度勾配を有している層を光導電層中に設けた光センサーである。
【0006】
また、電極上に光導電層を有し、情報記録媒体への情報形成に使用される光センサーにおいて、電極上に電界または電荷量により情報形成が可能な情報記録層を積層した情報記録媒体と対向して配置して使用され、半導電性であり、光センサーの電極と情報記録媒体との電極間に露光した状態で電圧を印加するか、あるいは電圧を印加した状態で露光すると、情報記録媒体に付与される電界または電荷量が増幅され、また、露光を終了した後でも電圧を印加し続けると導電性が徐々に減衰する挙動を示し、引き続き電界または電荷量を情報記録媒体に付与しつ付ける作用を有することを特徴とする光センサーにおいて、電荷発生性物質、電荷輸送性物質の少なくともいずれか一方が積層方向に濃度勾配を有している層を光導電層中に設けた光センサーである。
電圧印加時において、光センサーへ10〜10V/cmの電界強度の印加時に、未露光部での通過電流密度が10−4〜10−7A/cm である前記の光センサーである。
【0007】
また、露光によって情報記録媒体へ光情報を記録する情報記録装置において、前記の光センサーと電極上に情報記録層を形成した情報記録媒体とを間隙を設けて光軸上に対向配置し、光センサーの電極と情報記録媒体の電極間に電圧印加を可能に結線した情報記録装置である。
情報記録層が、少なくとも液晶相および樹脂相からなる前記の情報記録装置である。
情報記録層が熱可塑性樹脂からなり、情報露光に応じた電荷が情報記録層表面に付与された後加熱され、露光に応じたフロスト像が情報記録層表面に形成されるものである前記の情報記録装置である。
情報記録層が電荷保持層からなり、露光に応じた電荷が情報記録層表面に付与され、露光に応じた電荷が情報記録層表面に形成されたものであるか、もしくは情報記録層表面に形成された電荷をトナーによって現像する前記の情報記録装置である。
情報記録層がメモリー性を有する前記の情報記録装置である。
光センサーへ10〜10V/cmの電界強度の印加時に、未露光部での通過電流密度が10−4〜10−7A/cmであり、情報記録媒体の比抵抗が1010〜1013Ω・cmである前記の情報記録装置である。
【0008】
また、下部電極上に光導電層、誘電体層、情報記録層、上部電極を順に積層した情報記録装置において、下部電極、光導電層からなる光センサー部は、前記の光センサーからなり、下部電極と上部電極との間に電圧印加を可能に結線した前記の情報記録装置である。
情報記録媒体における情報記録層が、少なくとも液晶相および樹脂相からなる前記の情報記録装置である。
【0009】
また、露光によって情報記録媒体へ光情報を記録する情報記録再生方法において、前記の光センサーと電極上に情報記録相を形成した情報記録媒体を使用し、光センサーもしくは情報記録媒体の少なくともいずれか一方の電極を透明電極とするとともに、光センサーと情報記録媒体を間隙を設けて光軸上に対向配置し、両電極間に露光した状態で電圧を印加する、あるいは電圧を印加した状態での露光により情報記録媒体への情報記録を行い、透過光あるいは反射光により可視情報として情報記録媒体に記録した光情報の再生を行う情報記録再生方法である。
露光によって情報記録媒体へ光情報を記録する情報記録方法において、前記の光センサーと電極上に熱可塑性樹脂からなる情報記録層を形成した情報記録媒体を使用し、光情報の露光によって電荷が情報記録層上に付与された後に加熱し、情報露光に応じたフロスト像を形成し、透過光あるいは反射光により可視情報として情報記録媒体に記録した光情報の再生を行う情報記録再生方法である。
露光によって情報記録媒体へ光情報を記録する情報記録方法において、前記の光センサーと電極上に電荷保持層からなる情報記録層を形成した情報記録媒体を使用し、光情報の露光によって電荷を情報記録層上に付与した後に、記録した光情報を電位センサーによって読み取り再生を行う情報記録再生方法である。
露光によって情報記録媒体へ光情報を記録する情報記録再生方法において、前記の光センサーと電極上に電荷保持層からなる情報記録層を形成した情報記録媒体を使用し、光情報の露光によって電荷を情報記録層上に付与した後に、記録した光情報をトナーによって現像し、透過光または反射光によって可視情報として光情報の再生を行う情報記録再生方法である。
露光によって情報記録媒体へ光情報を記録する情報記録方法において、情報記録媒体が下部電極上に光導電層、誘電体層、情報記録層、上部電極を順に積層しており、下部電極、光導電層からなる光センサー部は、前記の光センサーからなり、下部電極と上部電極の少なくともいずれか一方は透明電極とし、下部電極と上部電極との間に露光した状態で電圧を印加する、あるいは電圧を印加しつつ露光により情報記録媒体への情報記録を行い、透過光あるいは反射光により可視情報として情報記録媒体に記録した光情報の再生を行う情報記録再生方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の情報記録装置における光センサーは、電極上に光導電層を積層してなり、この光導電層は、電荷発生層、電荷輸送層を積層した構成よりなる。光導電層は、一般には光が照射されると照射部分で光誘起電荷キャリア(電子、正孔)が発生し、それらのキャリアが層幅を移動することができる機能を有するものであるが、本発明の光センサーは電荷発生性物質もしくは電荷輸送性物質の少なくともいずれか一方の濃度勾配を有する層を設けたものであり、とくに電荷発生層と電荷輸送層の間に設けたことにより、光センサーへの光照射時において情報記録媒体に付与される電界または電荷量が光照射につれて経時的に増幅され、また光照射を終了した後でも電圧を印加し続けるとその増加した導電性は徐々に減衰しながらも持続し、引続き電界または電荷量を情報記録媒体に付与し続ける作用を有するに到るものである。
また、本発明の光センサーは電荷発生性物質、電荷輸送性物質の少なくともいずれか一方の濃度勾配層を形成することにより、電荷発生層と電荷輸送層間の電荷キャリア注入を安定に制御し、光照射をしていないときの光センサーの導電性を半導電性にするとともに、光照射時に生じやすい光センサーの部分的あるいは局所的な感度むら、画像を形成した場合に白抜け、黒点等として現れるノイズを減少する作用を有する。
【0011】
本発明の光センサーにおける光誘起電流増幅作用について説明する。増幅作用の測定用光センサーとして、透明ガラス上にITO電極が設けられ、該電極上に光導電層が積層された光センサーにおいて、その光導電層上に0.16cmの金電極を積層する。そして、この両電極間にITO電極を正極として直流の一定電圧を印加すると共に、電圧印加開始後0.5秒後に基板側から0.033秒間光照射し、測定時間中の光センサーにおける電流値の挙動を、光照射開始時(t=0)から測定する。なお、照射光はキセノンランプ(浜松ホトニクス社製L2274)を光源に、グリーンフィルター(日本真空光学社製)により得られる緑色光を20lux(ルクス)の強度で照射した。照射光強度を照度計(ミノルタ社製)で測定し、使用したフィルターの特性を図4に示す。
この光強度で光照射したとき、透明基板、ITO膜の光透過率、フィルターの分光特性を考慮すると、光導電層には4.2×1011個/cm秒のフォトンが入射する。そして、入射したフォトンが全て光キャリアに変換されると、理論的には光電流としては単位面積当たり1.35×10−6A/cmの電流が発生する。ここで、前記測定装置により測定する場合に、理論的光電流に対して、光センサーで実際に発生した光誘起電流の割合、すなわち量子効率=(光センサーで実際に発生する光誘起電流値/理論的光電流値)として光センサーにおける量子効率と定義する。また、光誘起電流とは、光照射部の電流値から光を照射しない部分で流れる電流であるベース電流値を差し引いたものであり、光照射中あるいは光照射後もベース電流以上の光照射に起因する電流が流れるものをいい、いわゆる光電流とは相違する。本発明の光センサーにおける光誘起電流増幅作用とは、このような光誘起電流の挙動のことであると定義する。
【0012】
本発明における光誘起電流増幅作用を有する光センサーと、光誘起電流増幅作用を有さない光センサー(以下、比較センサーという)とを、前記測定装置での測定結果を使用して説明する。まず、比較センサーについての測定結果を図5に示す。図5において、(m)線は、前記理論値(1.35×10−6A/cm)を示す参考線で、光照射を0.033秒間行い、光照射後も電圧印加を継した状態を示す。(n)線は比較センサーの実測線で光照射中の光電流の増加は小さく、その値も理論値(1.35×10−6A/cm)を越えず、この比較センサーにおける量子効率は最高で約0.33までにしかならない。光照射中の量子効率の変化を図6に示す。
【0013】
これに対して、本発明の光センサーは、一例として図7に示すように光照射時は光誘起電流が増加し、量子効率との関係を示す図8から明らかなように、約0.015秒で量子効率は1を超え、その後も量子効率は増加を続けることがわかる。また、比較センサーでは光照射終了と同時に光電流が急激に減衰するため、光照射後継続して電圧印加しても光情報として有効な電流は得られない。これに対して、本発明の光センサーにおいては、光照射後も電圧印加を継続することにより光誘起電流が徐々に減衰しながらも継続して流れ、引き続いて光誘起電流を取り出すことができ、光情報を続けて得ることができる。本発明における緩和型減衰挙動とは、このような光誘起電流の挙動のことであると定義する。
【0014】
その詳細な理由は不明であるが、本発明の光センサーにおいては、情報光の照射に伴い発生する光誘起電荷キャリアのうち全てが電圧印加状態において光導電層の層幅方向に移動するわけでなく、光誘起電荷キャリアの一部が光導電層中あるいは電極と光導電層の界面に存在するトラップサイトにトラップされたような状態となり、このトラップされた電荷は経時的に蓄積され、電圧印加した状態では露光により発生する光電流に加えて、このトラップされた電荷により誘起される電極からの注入電流が流れ、見かけの光誘起電流量を経時的に増幅させるものと考えられる。ただし、この現像は電荷発生層から電荷輸送層への電荷キャリアの注入が充分になされた場合生じるのであり、充分な注入が行われない場合には増幅作用はほとんどみられない。本発明では、光センサーの光導電層中に電荷発生性物質、電荷輸送性物質の少なくともいずれか一方の濃度勾配層を構成することにより、電荷発生層から電荷輸送層への電荷キャリアの注入が充分になされ、光誘起電流増幅作用が有効に生じることができる。そして電圧を印加した状態を維持しつつ露光を終了する場合には、露光により生じる光キャリアはただちに減衰して消滅するが、トラップされた電荷の減衰は緩やかであるためトラップされた電荷により誘起される電極からの注入電流は減衰しながらも充分な量が流れ、緩和型減衰が生じると推測される。この光誘起電流は本発明の光センサーにおける光をトリガーとした電流増幅による効果であり、通常の感光体で予想される入射した光に起因する光電流以上の電流が流れるために、情報記録媒体に対して効果的な光情報供与を可能とするものである。
【0015】
次に、本発明の光センサーにおける注入電流安定化作用について説明する。
注入電流安定化作用には、注入量の制御作用と注入の均一化作用の2つの作用があり、まず第1の注入量の制御作用から説明する。
本発明の光センサーは、素子全体として半導電性であり、流れる電流密度から暗時の比抵抗が10〜1013Ω・cm であることが好ましい。特に、比抵抗が1010〜1013Ω・cmの範囲のもので増幅作用が顕著である。比抵抗が1013Ω・cmよりも大きい光センサーでは、10〜10V/cmの電界強度範囲では本発明の光センサーのような増幅作用は示さない。また、比抵抗が10Ω・cm未満の光センサーでは電流が非常に多く流れ、電流によるノイズが発生し易く好ましくない。
光センサーの光導電層中に、電荷発生性物質、電荷輸送性物質の少なくともいずれか一方の濃度勾配を形成することにより、電荷発生層から電荷輸送層への電荷キャリアの注入量を制御し、素子全体としての光センサーの導電性を好ましい程度に設定することができ、非常に増幅特性の良好な光センサーを得ることができる。
【0016】
これに対して、一般の電子写真用で用いられる感光体素子は、暗抵抗率が1014〜1016Ω・cmのものが用いられており、本発明の光センサーは電子写真において、その目的を達することができず、また一般の電子写真用の暗抵抗率が大きな光導電層を有する光センサーは、本発明の目的には使用することができない。 また、光センサーの比抵抗ρ(Ω・cm)と電流密度J(A/cm)の間には、光センサーの膜厚d、電極面積S、および印加電界強度E(V/cm)の間には、
ρ=(E・d/J・S)×(S/d)=E/J
の関係式が成立するので、印加電圧強度と電流密度から求めることができるが、本発明の各実施例においては電流密度によって表現する。
【0017】
また、情報記録媒体における情報記録層が特に高分子分散型液晶である場合には、液晶の動作電圧領域に光センサーの感度を設定することが必要である。すなわち、露光部において情報記録媒体に印加される電位(明電位)と未露光部において情報記録媒体に印加される電位(暗電位)との差であるコントラスト電圧を情報記録媒体における液晶の動作電圧領域において所定の大きさとすることが必要となる。
【0018】
そのため、例えば光センサーの未露光部の液晶層に印加される暗電位は、液晶の動作開始電位程度に設定する必要がある。したがって、情報記録媒体の抵抗率が常温で1010〜1013Ω・cmであり、光センサーに10〜10V/cmの電界が与えられた状態で、10−4〜10−7A/cmのベース電流が生じる程度の導電性が要求され、好ましくは10−5〜10−6A/cmの範囲がよい。ベース電流が10−7A/cm未満の光センサーでは液晶層が露光状態でも配向せず、また10−4A/cm以上のベース電流での光センサーでは未露光状態でも電圧印加と同時に電流が多く流れ、液晶が配向し、露光したとして未露光部との間で透過率の差が得られない。また、液晶によって動作電圧および範囲が異なるものもあるので、印加電圧および電圧印加時間を設定するにあたっては、情報記録媒体における電圧配分を考慮する必要がある。
【0019】
光センサーの光導電層中の電荷発生性物質、電荷輸送性物質の少なくともいずれか一方に濃度勾配を形成することにより、光センサー素子全体の導電性を制御することができるため、液晶媒体の動作電圧および範囲に見合った光センサーを得ることができる。そのため、記録画像濃度を一定の範囲内のものとすることができ、安定した光情報の記録をすることが可能となる。
【0020】
その詳細な理由は不明であるが、本発明の光センサーにおいては、注入電流が多く、その電荷キャリアの注入量は電荷発生層から電荷輸送層への電荷キャリアの注入により大きな制限を受けると考えられ、電荷発生層と電荷輸送層との界面状態が重要である。したがって、光導電層中の電荷発生層と電荷輸送層との界面に電荷発生性物質、電荷輸送性物質の少なくともいずれかの濃度勾配を有する層を形成することにより、電荷発生層から濃度勾配層を介しての電荷輸送層への電荷キャリアー注入量が制御でき、光センサー素子全体の導電性を所定の大きさに設定することができるものと考えられる。
【0021】
次に、本発明の光センサーにおける注入電流安定化作用の第2の作用である注入均一化作用について説明する。
本発明の光センサーは高解像度、高感度であるため通常の感光体では問題とならない感度むらやノイズが顕著に情報記録媒体に記録されてしまい、記録した画像の画質において大きな問題となる。本発明では光センサーの光導電層中に電荷発生性物質、電荷輸送性物質の少なくともいずれか一方の濃度勾配を有する層を形成することにより、画像むらや画像ノイズを軽減することが可能となる。
【0022】
その詳細な理由は不明であるが、電荷発生層または電荷発生層に濃度勾配を設けず、電荷輸送層を積層するとなんらかの原因で電荷発生層と電荷輸送層との接触状態に部分的にあるいは局所的に不均一性を生じると、その不均一性が最終的な画像における画像むらや画像ノイズに反映されると考えられるが、電荷発生性物質、電荷輸送性物質の少なくともいずれか一方の濃度勾配を形成した層を設けることによって電荷発生層と電荷輸送層との不均一な接触状態が解消され、その結果電荷発生層から濃度勾配を介しての電荷輸送層への電荷キャリヤー注入が均一化され、画像むらや画像ノイズが大きく軽減することができると考えられる。
【0023】
次に、本発明の光センサーについて説明する。図1は本発明の光センサーを説明するための断面図であり、図中13は電極、16は濃度勾配領域、14’は電荷発生層、14’’は電荷輸送層、15は基板である。
【0024】
図に示すように、光センサーは電極上に電荷発生層、電荷輸送層を順次積層して形成され、光導電層の材料は無機材料と有機材料とがある。
無機材料からなる電荷発生層14’はSe−Te、硫黄や酸素等をドープしたSi等を電極上に蒸着、スパッタリング、CVD等により、0.05〜1μmの膜厚に積層される。
有機材料からなる電荷発生層14’は電荷発生性物質とバインダーから構成されている。電荷発生性物質としては、ピリリウム系染料、チアピリリウム系染料、アズレニウム系染料、シアニン系染料、アズレニウム系染料等のカオチン系染料、スクアリリウム塩系染料、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ピラントロン系顔料等の多環キノン系顔料、インジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ピロール系顔料、アゾ系顔料等の染料、顔料を単独もしくは複数のものを組み合わせて使用することができる。
【0025】
バインダーとしては例えばシリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ビニルホルマール樹脂、ビニルアセタール樹脂、ビニルブチラール樹脂、スチレン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、飽和または不飽和ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂等が挙げられ、それぞれバインダー樹脂を単独または複数のものを組み合わせて使用することができる。
これらの電荷発生剤とバインダーの混合比は、電荷発生剤1重量部に対してバインダーを0.1〜10重量部、好ましくは0.2〜1重量部の割合で使用することが望ましい。電荷発生層は乾燥後膜厚として0.01〜2μmであり、好ましくは0.1〜0.5μmとするとよく、このような膜厚とすることによって良好な感度と画質を示す。
また、先に示した電荷発生性物質のうち蒸着法で成膜可能なものは、バインダーを用いず、単独で成膜することもできる。
【0026】
電荷輸送層14’’は電荷輸送性物質とバインダーとからなる。電荷輸送性物質は、電荷発生層で発生した電荷の輸送特性が良い物質であり、例えばオキサジアゾール系、オキサゾール系、トリアゾール系、チアゾール系、トリフェニルメタン系、スチリル系、ピラゾリン系、ヒドラゾン系、芳香族アミン系、カルバゾール系、ポリビニルカルバゾール系、スチルベン系、エナミン系、アジン系、トリフェニルアミン系、ブタジエン系、多環芳香族化合物系、スチルベン二重体ビフェニル系等があり、ホール輸送特性の良い物質とすることが必要である。
【0027】
バインダーとしては、前記した電荷発生層におけるバインダーと同様のもの、さらにポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂が使用できるが、好ましくはスチレン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、ポリカーボネート樹脂である。バインダーは、電荷輸送性物質1重量部に対して0.1〜10重量部、好ましくは0.1〜1重量部の割合で使用することが望ましい。電荷輸送層は乾燥後膜厚として1〜50μmであり、好ましくは3〜20μmとするとよく、このような膜厚とすることによって良好な感度と画質が得られる。
また、先に示した電荷輸送性物質で蒸着法によって成膜可能なものは、バインダーを用いず、単独で成膜することもできる。
【0028】
電極13は、後述する情報記録媒体が不透明であれば透明性を有することが必要であるが、情報記録媒体が透明性を有する場合には透明、不透明いずれでもよく、10Ω・cm 以下の比抵抗を安定して与える材料、例えば金、白金、亜鉛、チタン、同、鉄、錫等の金属薄膜導電膜、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化タングステン、酸化バナジウム等の金属酸化物導電膜、四級アンモニウム含有導電性樹脂等の有機導電膜等を、単独あるいは二種以上の複合材料として用いることができる。なかでも酸化物導電体が好ましく、特に酸化インジウム錫(ITO)が好ましい。
【0029】
電極13は蒸着、スパッタリング、CVD、塗布、めっき、浸漬、電解重合等の方法により形成される。また、その膜厚は電極を構成する材料の電気特性、および情報記録の際の印加電圧により変化させる必要があるが、例えばITO膜では10〜300nm程度であり、情報記録層との間の前面、あるいは任意のパターンに合わせて形成される。また、二種類以上の材料を積層して用いることもできる。
【0030】
基板15は、後述する情報記録媒体が不透明であれば透明であることが必要であるが、情報記録媒体が透明である場合には透明、不透明いずれでもよく、カード、フィルム、テープ、ディスク等の形状を有し、光センサーを強度的に支持するものである。光センサー自体が支持性を有する場合には設ける必要がないが、光センサーを支持することができるある程度の強度を有していれば、その材質、厚みは特に制限がない。例えば可撓性のあるプラスチックフィルム、或いはガラス、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエステル、ポリカーボネート等のプラスチックシート、カード等が使用される。
なお、基板の電極13が設けられる面の他方の面には、電極13が透明であれば必要に応じて反射防止効果を有する層を積層するか、また反射防止効果を発現しうる膜厚に透明基板を調整するか、更に両者を組み合わせることにより反射防止性を付与するとよい。
【0031】
電荷発生層、電荷輸送層には、電子受容性物質、増感色素、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を添加してもよい。電子受容性物質および増感色素にはベース電流の調整、ベース電流の安定化、増感等の作用がある。
電子受容性物質としては、例えばニトロ置換ベンゼン類、アミノ置換ベンゼン類、ハロゲン置換ベンゼン類、置換ナフタレン類、ベンゾキノン類、ニトロ置換フルオレノン類、クロラニル類あるいは電荷輸送性物質に列挙した化合物等が、増感色素としてはトリフェニルメタン色素、ピリリウム塩色素、キサンテン色素、ロイコ色素等が挙げられる。
【0032】
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤を、紫外線吸収剤としては、サリチル酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤を、光安定剤としては、紫外線安定剤、ヒンダートアミン系光安定剤等を挙げることができる。
【0033】
電子受容性物質、増感色素は、電荷発生性物質または電荷輸送性物質1重量部に対して0.001〜10重量部、好ましくは0.01〜1重量部の割合で添加される。0.001重量部よりも少ないと作用を示さず、10重量部よりも多い場合には画質に悪影響を与える。
酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤については単独あるいは複数を組み合わせて、電荷発生性物質または電荷輸送性物質1重量部に対して0.001〜10重量部、好ましくは0.01〜1重量部の割合で添加される。0.001重量部よりも少ないとこれらの物質の添加の効果が得られず、10重量部よりも多い場合には、画質に悪影響を与える。電荷発生層、電荷輸送層中にそれぞれ同様の割合で添加することができる。好ましくは、これらの物質は電荷発生層中に添加するとよい。
【0034】
次に、光センサーの光導電層中の電荷発生性物質、電荷輸送性物質の少なくともいずれか一方の濃度に勾配を有する濃度勾配領域について説明する。
濃度勾配領域を電荷発生層と電荷輸送層の界面に設けた電荷発生性物質および電荷輸送性物質の濃度勾配の様子は例えば図15に示すように、光センサー膜厚に対し、電荷発生性物質は徐々に濃度が低くなるように構成され、電荷輸送性物質は徐々に濃度が高くなるように構成される。この濃度勾配変化は、なめらかでつながりのあるように構成されることが好ましいが、実際に作製する場合は、多層コーティングなどの手法を用いるため、なめらかさを欠いてしまうこともある。 濃度勾配領域の厚さは0.01〜1μm、好ましくは0.03〜0.3μmが良く、ディップコーティング、ロールコーティング、スピンコーティング、スライドコーティング、ビードコーティング等の方法によって塗布することができる。0.01μmよりも薄いと、その機能を果たさなく、また1μmよりも厚いと画像ノイズの原因となる。ここでは両者を説明したが、どちらか一方でも同様の効果がある。
【0035】
また、光センサーの電極と光導電層の間に光誘起電流増幅層を設けてもよい。
光誘起電流増幅層には、前記した電荷発生層におけるバインダー樹脂と同様のものが使用可能であり、それぞれバインダー樹脂を単独または複数のものを組み合わせて使用することができる。特に、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂が好ましい。
光誘起電流増幅層の厚さは、0.005〜5μm、好ましくは0.05〜0.5μmが良く、ディップコーティング、ロールコーティング、スピンコーティング等の方法によって塗布することができる。0.005μmよりも薄いと、画像ノイズの軽減作用はなくなり、また5μmよりも厚いと電極から電荷発生層への電荷キャリヤー注入を妨げてしまう。
【0036】
また、光誘起電流増幅層には必要に応じて、各種の電子受容性物質、光導電性物質、無機塩類、有機塩類が添加され、それぞれの添加物を単独または複数のものを組み合わせて使用することができる。
電子受容性物質としては、例えば1,3−ジニトロベンゼンに代表される置換ベンゼン類、置換ナフタレン類、p−ベンゾキノン、2,5−ジクロロ−p−ベンゾキノン、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノンに代表される置換および無置換ベンゾキノン類、置換および無置換ナフトキノン類、置換および無置換アントラキノン類、2,4,7,−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノンに代表される置換フルオレノン類、p−クロラニル,o−クロラニルに代表されるクロラニル類、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタンに代表される置換キノジメタン類を挙げることができる。光導電性物質としては、前記した電荷発生性物質を用いることができ、それぞれを単独もしくは複数のものを組み合わせて使用することができる。
無機塩類、有機塩類としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム等の金属イオン、第四級アンモニウムイオン、有機イオン等をカチオン種とする過塩素酸塩、ホウフッ化塩およびチオシアン酸塩、硝酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩、ハロゲン化物等が挙げられる。
これらの添加物は、バインダー樹脂1重量部に対して、0.001〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部の割合で添加され、それぞれ添加物を単独または複数のものを組み合わせて使用することができ、特に置換ベンゾキノン類とアゾ顔料との組み合わせのように電子受容性化合物と有機光導電性顔料を組み合わせて用いることにより大きな増幅作用が得られ好ましい。
【0037】
情報記録媒体2について説明する。まず、本発明における情報記録媒体としては、その情報記録層が液晶高分子複合体(以下LCPCと示す)とする場合が挙げられる。
LCPCは液晶相中に樹脂粒子が分散した構造を有しているが、液晶材料は、スメクチック液晶、ネマチック液晶、コレステリック液晶あるいはこれらの混合物を使用することができる。液晶としては、その配向性を保持し、情報を永続的に保持させる、所謂メモリー性の観点からスメクチック液晶を使用するのが好ましい。
スメクチック液晶としては、液晶性を呈する物質の末端基の炭素基が長いシアノビフェニル系、シアノタ−フェニル系、フェニルエステル系、更にフッ素系等のスメクチックA相を呈する液晶物質、強誘電性液晶としては用いられるスメクチックC相を呈する液晶物質、あるいはスメクチックH、G、E、F等を呈する液晶物質等が挙げられる。
【0038】
樹脂粒子を形成する材料としては、例えば、紫外線硬化型樹脂であって、モノマー、オリゴマーの状態で液晶材料と相溶性を有するもの、あるいはモノマー、オリゴマーの状態で液晶材料と共通の溶媒に相溶性を有するものを好ましく使用できる。このような紫外線硬化型樹脂としては、例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等が挙げられる。その他、液晶材料と共通の溶媒に相溶性を有する溶媒可溶性の熱硬化性樹脂、例えばアクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂およびこれらを主体とした共重合体等、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等を使用してもよい。
【0039】
液晶材料と樹脂の使用割合は、液晶の含有率が10重量%〜90重量%、好ましくは40重量%〜80重量%となるように使用するとよく、10重量%未満であると情報記録により液晶相が配向しても光透過性が低く、また、90重量%を超えると液晶のしみ出し等の現象が生じ、画像むらが生じ好ましくない。
情報記録層の膜厚は解像性に影響を与えるので、乾燥後膜厚0.1〜10μm、好ましくは3〜8μmとすると良く、高解像性を維持しつつ、動作電圧も低くすることができる。膜厚が薄すぎると情報記録部のコントラストが低く、また、厚すぎると動作電圧が高くなるので好ましくない。
この情報記録媒体は、図2に示すように上述した光センサーとポリイミドのような絶縁性樹脂フィルムスペーサー19を介して対向配置し、両電極13、13’を電圧源Vを介して結線して第1の情報記録装置とされる。この装置における電極13、13’は、いずれか一方、または両方が透明性であればよい。
【0040】
次に、第2の情報記録装置について説明する。図3は、本発明の第2の情報記録装置を断面図により示す図であり、図中20は誘電体層であり、また、図2と同一符号は同一内容を示す。
第2の情報記録装置は、第1の情報記録装置における光センサーと情報記録媒体とを誘電体層20を介して対向配置し、直接積層したものである。第2の情報記録装置には、光センサーにおける光導電層が溶媒を使用して塗布形成される場合に特に適しており、光導電層上に情報記録層を直接塗布形成すると、それらの相互作用により情報記録層における液晶が溶出したり、また、情報記録層形成用の溶媒により光導電材料が溶出することによる画像むらを防止することができ、また光センサーと情報記録媒体との一体化を可能とするものである。
【0041】
誘電体層20は、その形成にあたって、光導電層形成材料、情報記録層形成材料にいずれに対しても溶解性を有しないことが必要であり、また導電性を有しないことが必要である。導電性を有する場合には、空間電荷の拡散が生じ、解像度の劣化が生じることから絶縁性が要求される。また、誘電体層は液晶層に印加される分配電圧を低下させたり、あるいは解像性を悪化させるので、膜厚は薄い方が好ましく、2μm以下とすると良いが、逆に薄くすることにより、経時的な相互作用による画像ノイズの発生ばかりでなく、積層塗布する際にピンホール等の欠陥による浸透の問題が生じる。ピンホール等の欠陥による浸透性は積層塗布する材料の固形分比率、溶媒の種類、粘度により異なるので、積層塗布されるものの膜厚は適宜設定されるが、少なくとも10μm以下の膜厚とすると良く、好ましくは0.1〜3μmとすると良い。さらに、各層に印加される電圧分配を考慮した場合、薄膜化と共に誘電率の高い材料が好ましい。
【0042】
誘電体層を形成する材料としては、無機材料ではSiO、TiO、CeO、Al、GeO、Si、AlN、TiN、MgF、ZnS、二酸化ケイ素と二酸化チタンの組み合わせ、硫化亜鉛とフッ化マグネシウムの組み合わせ、酸化アルミニウムとゲルマニウムの組み合わせ等を使用し、蒸着法、スパッタリング法、CVD法等により積層して形成するとよい。また、有機溶剤に対して相溶性の少ない水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコール、水系ポリウレタン、水ガラス等の水溶液を使用し、スピンコート法、ブレードコート法、ロールコート法等により積層してもよい。さらに、塗布可能なフッ素樹脂を使用してもよく、この場合にはフッ素系溶剤に溶解し、スピンコート法により塗布するか、またブレードコート法、ロールコート法、ビードコート法、スライドコート法等により積層してもよい。
塗布可能なフッ素樹脂としては、例えば特開平4−24722号公報等に開示されたフッ素樹脂、さらに真空系で膜形成されるポリパラキシリレン等の有機材料を好ましく使用することができる。
【0043】
次に、本発明の第1および第2の情報記録装置における情報記録方法について説明する。図9は本発明の第1の情報記録装置における情報記録方法を説明するための図である。第2の情報記録装置においても同様である。図中11は情報記録層、13は光センサーの電極、13’は情報記録媒体の電極、14’は電荷発生層、14’’は電荷輸送層、16は濃度勾配領域、21は光源、22は駆動機構を有するシャッター、23は電源となるパルスジェネレーター、24は暗箱を示す。
電極13、13’の間にパルスジェネレーター23により適当な電圧を印加しつつ、光源21から情報光を入射させると、光が入射した部分の電荷発生層14’で発生した光キャリアは、両電極により形成される電界により情報記録層11側の界面まで移動し、電圧の再分配が行われ、情報記録層11における液晶層が配向し、情報光のパターンに応じた記録が行われる。
【0044】
本発明の情報記録方法においては面状アナログ記録が可能であり、液晶レベルでの記録が得られるので、高解像度の記録となり、また、露光パターンは液晶相の配向により可視像化されて保持される。
情報記録装置の形態しては、カメラによる方法、またレーザーによる記録方法がある。カメラによる方法としては、通常のカメラに使用されている写真フィルムの代わりに情報記録媒体が使用され、記録部材とするもので光学的なシャッタも使用し得るし、また電気的なシャッタも使用し得るものである。また、プリズム、カラーフィルターの少なくともいずれか一方により光情報を、R、G、B光成分に分離し、平行光として取り出し、R、G、Bの各色用の3個の情報記録媒体で1コマを形成するか、または1個の情報記録媒体の異なる部分にR、G、Bの各画像を記録して1コマとすることにより、カラー撮影することもできる。
【0045】
また、レーザーによる記録方法としては、光源としてはアルゴンレーザー(514.488nm)、ヘリウム−ネオンレーザー(633nm)、半導体レーザー(780nm、810nm等)が使用でき、画像信号、文字信号、コード信号、線画信号に対応したレーザー露光をスキャンして行うものである。画像のようなアナログ的な記録は、レーザーの光強度を変調して行い、文字、コード、線画のようなデジタル的な記録はレーザ光のON−OFF制御により行う。また、画像において網点形成されるものには、レーザ光にドットジェネレーターON−OFF制御をかけて形成するものである。なお、光センサーにおける光導電層の分光特性は、パンクロマティックである必要はなく、レーザー光源の波長に感度を有していればよい。
【0046】
情報記録媒体に記録された露光情報は、図10に示すように第1の情報記録装置の場合には情報記録媒体を分離して、また第2の情報記録装置の場合にはそのまま透過光により情報を再生すると、情報記録部では液晶が電界方向に配向するために光Aは透過するのに対して、情報を記録していない部位においては光Bは散乱し、情報記録部とのコントラストがとれる。また、光反射層を介して反射光により読み取ってもよい。
【0047】
図9に示すように第1の情報記録装置において、例えば、撮像用カメラ(マミヤ製RB67)のフィルムに代えてこの積層体を装着し、光センサーと情報記録媒体における両電極間に700Vの直流電圧を0.04秒印加すると同時に、グレースケールを1/30秒間、光センサー側から投影露光することにより、情報記録媒体の情報記録層にグレースケールに応じた光透過部からなる記録部が形成され、情報記録を行うことができる。
また、撮像用カメラにプリズムおよびカラーフィルターを用いて光情報を、R、G、B光成分に分離し、平行光として取り出しR、G、Bの各色用の3個の情報記録媒体で1コマを形成するか、または1個の情報記録媒体の異なる部分にR、G、Bの各画像を記録して1コマとすることにより、カラー撮影することもできる。
【0048】
次いで、情報記録媒体における記録情報を図11に示す情報出力装置により、情報記録媒体をCCDラインセンサーを有するイメージスキャナーによって記録情報を読み取り、その情報を昇華転写プリンター(例えば、日本ビクター社製 SP−5500)を使用して情報出力することにより、グレースケールに応じた良好な印刷物を得ることができる。
【0049】
液晶の配向により記録された情報は、目視による読み取りが可能な可視情報であるが、投影機により拡大して読み取ることもでき、レーザースキャニング、あるいはCCDを用いて高精度で情報を読み取ることができる。なお、必要に応じてシュリーレン光学系を用いることにより散乱光を防ぐことができる。
以上、情報記録媒体として情報露光による記録を液晶の配向により可視化した状態とするものであるが、液晶と樹脂との組み合わせを選ぶことにより一度配向し、可視化した情報は消去せず、メモリ性を付与することができる。また、等方相転移付近の高温に加熱すると、メモリ性を消去することができるので、再度の情報記録に使用することができる。
【0050】
情報記録システムにおける情報記録媒体としては、例えば特開平3−7942号、特開平5−107775号、特開平5−107776号、特開平5−107777号公報、特開平4−70842号公報等に記載されている電荷保持層を情報記録層とする静電情報記録媒体を使用してもよく、この場合には情報は情報記録媒体において静電荷の形態で蓄積されるので、その静電電荷をトナー現像するか、またはその静電電荷を例えば特開平1−290366号公報等に記載されるように電位読み取り装置により再生することができる。また、特開平4−46347号公報等に記載される。熱可塑性樹脂層を情報記録層とする情報記録媒体を使用してもよく、この場合には、前記同様に情報を静電荷の形態で表面に蓄積した後、熱可塑性樹脂層が加熱されることにより、情報をフロスト層として蓄積し、可視情報として情報再生することが可能である。
【0051】
本発明の情報記録媒体への光情報の記録に使用する光センサーは、電極上に光導電層が積層されており、半導電性であり、情報記録媒体との間で情報露光した状態で電圧を印加する、あるいは電圧を印加した状態で情報露光すると、情報記録媒体に付与される電界または電荷量が増幅され、また、情報露光を終了した後も電圧を印加し続けると導電性を持続し、引続き電界または電荷量を情報記録媒体に付与し続ける作用を有しており、光センサーの光導電層中の電荷発生性物質、電荷輸送性物質の少なくともいずれか一方の濃度勾配領域を形成したので、高感度であるとともに、感度むらやノイズの生じない情報記録を行うことができる。
【0052】
【実施例】
実施例1
(積層型光センサーの作製)
厚さ1.1mmのガラス基板上に形成された面積抵抗80Ω/□、膜厚100nmのITO膜を充分洗浄し、この電極上に電荷発生性物質としてジスアゾ系顔料分散液(DPDD−3、大日精化工業(株)製、顔料:バインダー樹脂=3:2の比率、固形分2%)を塗布液とし、ブレードコーターで塗布し、風乾後、100℃、1時間乾燥して、膜厚0.2μmの電荷発生層を積層した。
次に、この電荷発生層上に、電荷発生性物質として下記構造
【0053】
【化1】
Figure 0003623027
【0054】
を有するジスアゾ顔料3重量部とポリビニルホルマール樹脂2重量部とを1,4−ジオキサン85重量部、シクロヘキサノン85重量部と混合し、ペイントシェーカーによって充分に混練をおこない分散液とし、さらにこの分散液中に、下記構造
【0055】
【化2】
Figure 0003623027
【0056】
を有するブタジエン誘導体5重量部、ポリカーボネート樹脂1重量部とを、完全に溶解し、塗布液とし、ス
ピンナーにて2000rpm、1秒で塗布し、風乾後、80℃、1時間乾燥して、膜厚0.05μmの濃度勾配層1を積層した。
さらに、この濃度勾配層1の上に、上述の電荷発生性物質であるジスアゾ顔料1.5重量部とポリビニルホルマール樹脂1重量部とを、1、4−ジオキサン85重量部、シクロヘキサノン85重量部とを混合し、ペイントシェーカーによって充分に混練を行い分散液とし、さらにこの分散液中に、上述の電荷輸送性物質であるブタジエン誘導体10重量部、ポリカーボネート樹脂2重量部とを、完全に溶解し塗布液とし、スピンナーにて2700rpm、1秒で塗布し、風乾後、80℃、1時間乾燥して、膜厚0.05μmの濃度勾配層2を積層した。
さらに、この濃度勾配層2の上に、上述の電荷発生性物質であるジスアゾ顔料0.75重量部とポリビニルホルマール樹脂0.5重量部とを、1,4−ジオキサン85重量部、シクロヘキサノン85重量部と混合し、ペイントシェーカーによって充分に混練を行い、分散液とし、さらにこの分散液中に、上述の電荷輸送性物質であるブタジエン誘導体20重量部、ポリカーボネート樹脂4重量部とを、完全に溶解し塗布液とし、スピンナーにて4000rpm、1秒で塗布し、風乾後、80℃、1時間乾燥して、膜厚0.05μmの濃度勾配層3を積層し、3層よりなる膜厚0.15ミクロンの濃度勾配層を積層し、濃度勾配領域を形成した。
【0057】
ついで、得られた濃度勾配領域上に電荷輸送性物質として上記構造を有するブタジエン誘導体5重量部とポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学工業(株)製 ユーピロンZ200)1重量部とトルエン24重量部を均一に溶解し、塗布液とし、スピンナーにて500rpm、0.4秒で塗布し、塗膜の表面に皮膜が形成されて、塗膜の表面が付着しなくなるまでの間、無風下で放置し、レベリング乾燥を行った後、80℃、2時間乾燥して電荷輸送層を積層し、電荷発生層、濃度勾配領域、電荷輸送層とからなる膜厚10μmの光導電層を有する本発明における光センサを作製した。
【0058】
(光センサーの電気特性)
得られた光センサーの電気特性を測定するために、光センサーにおける電荷輸送層上に、0.16cm、厚さ10nm、表面抵抗1kΩ/□の金電極を蒸着して電極とし、測定用媒体し、図12に示すような電流測定装置を構成した。
図中、15は光センサー支持体、13は光センサー電極、16は濃度勾配領域、14’’は電荷発生層、14’は電荷輸送層、20は金電極、31は光源、32はシャッター(コパル(株)製 No.0 電磁シャッター)、33はシャッター駆動機構、34はパルスジェネレーター(横河ヒューレットパッカード社製)、35はオシロスコープである。
【0059】
この電流測定装置において、光センサーにおける電極13は正、金電極を負として、両電極間に150Vの直流電圧を印加するとともに、電圧印加開始後0.5秒後にガラス基板側から0.033秒間光照射し、光照射開始時間をt=0として、光センサーに流れる電流を測定した。照射光は、キセノンランプ(浜松ホトニクス社製L2274)を光源に、グリーンフィルター(日本真空光学社製)により得られる緑色光を20luxの強度で照射した。照射光強度を照度計(ミノルタ社製)で測定し、使用したフィルターの特性を図4に示す。
光照射の終了後も、電圧印加を継続し、光照射開始時間から0.15秒間電圧印加を継続した。その間の電流の時間変化をオシロスコープにより測定し、測定結果を図13におけるA線で示す。横軸は電圧印加時間(秒)、縦軸はcm当たりの電流密度である。
【0060】
(情報記録媒体の作製)
厚さ1.1mmのガラス基板上に膜厚100nmのITO膜をスパッタリングにより成膜し、電極を得たのち、表面洗浄を行った。
この電極上、多官能性モノマー(ジペンタエリストールヘキサアクリレート、東亜合成化学工業製、M−400)40重量部、光硬化開始剤(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チバガイギー社製、ダロキュア1173)2重量部、液晶(スメクチック液晶(メルク社製、S−6)を90%、ネマチック液晶(メルク社製、E31LV)が10%含有)50重量部、界面活性剤(住友スリーエム社製、フロラードFC−430)3重量部をキシレン96重量部中に均一に溶解して得た塗布液を、50μmの感覚を設定したブレードコーターをもちてい塗布した後、47℃で3分間乾燥し、ついで47℃で2分間減圧乾燥を行い、ただちに0.3J/cmの紫外線照射によって塗布膜を硬化させ、膜厚6μmの情報記録層を有する情報記録媒体を得た。
情報記録層面を熱メタノールを用いて液晶を抽出し、乾燥させた後、走査型電子顕微鏡(日立製作所製、S−800)で1000倍で内部構造を観察したところ、層の表面は0.6μmの紫外線硬化型樹脂で覆われ、層内部には連続層を成す液晶相中に、粒径0.1μmの樹脂粒子相が充填した構造を有していた。
【0061】
(情報記録方法および記録特性)
得られた光センサーと情報記録媒体とを、図2に示すようにして、厚さ10μmのポリイミドフィルムのスペーサを介して空気相を設けて対向させて積層した。
【0062】
この積層体を図9に示すように、撮像用カメラ(マミヤ社製RB67)に写真フィルムに代えて装着し、光センサーと情報記録媒体の両電極間に700Vの直流電圧を0.04秒印加すると同時に、グレースケール露光量が、0.2〜200ルックスで1/30秒間、光センサー側から投影露光した。露光後、情報記録媒体を取り出した。透過光により情報記録媒体を観察したところ、情報記録相にはグレースケールに応じた光透過部からなる記録部が観察された。
ついで、情報記録媒体における情報記録を図11に示す情報出力装置により再生した。図中、41は情報記録用のスキャナー、42はパソコン、43はプリンターである。
【0063】
情報記録媒体をCCDラインセンサーを用いたイメージスキャナーによって記録情報を読み取り、その情報を昇華転写プリンター(日本ビクター社製 SP−5500)を使用して情報出力した結果、グレースケールに応じた階調性を有した良好な印刷物が得られた。
また、プリズムとカラーフィルターによってR、G、Bの3色に分解して同様にカラー画像を記録したところ、記録された画像は良好で、カラー画像の記録情報を同様に読み取って情報出力した結果、良好な印刷物が得られた。
【0064】
比較例1
濃度勾配領域を形成しなかった点を除き、他は実施例1と同様にして作製した光センサーについて実施例1と同様に電気特性を測定し、その結果を図13のB線で示す。濃度勾配領域を形成しない場合には、光センサーとしての充分な機能を得ることができなかった。また、実施例1と同様にして情報記録を試みたが、情報記録を行うことができなかった。
【0065】
実施例2
(積層型光センサーの作製)
厚さ1.1mmのガラス基板上に形成された面積抵抗80Ω/□、膜厚100nmのITO膜を充分洗浄し、この電極上に、電荷発生性物質としてジスアゾ計顔料分散液(DPDD−3、大日精化工業(株)製)を塗布液とし、ブレードコーターでコーティングし、風乾後、100℃、1時間乾燥して、膜厚0.2μmの電荷発生層を積層した。
次に、この電荷発生層上に、電荷発生性物質として下記構造
【0066】
【化3】
Figure 0003623027
【0067】
を有するブタジエン誘導体5重量部、ポリカーボート樹脂1重量部と1,2−ジクロロメタン40重量部とクロロベンゼン60重量部を均一に溶解し塗布液とし、スピンナーにて2000rpm、0.4秒でコーティングし、塗膜の表面に皮膜が形成されて、塗膜の表面が付着しなくなるまでの間、無風下で放置し、レベリング乾燥を行った後、80℃、2時間乾燥して、膜厚0.05μmの濃度勾配層1を積層した。
さらに濃度勾配層1の上に、上記構造を有するブタジエン誘導体5重量部、ポリカーボネート樹脂1重量部と、1,2−ジクロロメタン20重量部とクロロベンゼン30重量部を均一に溶解し、塗布液とし、スピンナーにて2000rpm、0.4秒でコーティングし、塗膜の表面に皮膜が形成されて、塗膜の表面が付着しなくなるまでの間、無風下で放置し、レベリング乾燥を行った後、80℃、2時間乾燥して、膜厚0.05μmの濃度勾配層2を積層した。
【0068】
さらに、濃度勾配層2の上に、上記構造を有するブタジエン誘導体5重量部、ポリカーボネート樹脂1重量部と1、2−ジクロロメタン10重量部とクロロベンゼン15重量部を均一に溶解し、塗布液とし、スピンナーにて500rpm、0.4秒でコーティングし、塗膜の表面に皮膜が形成されて、塗膜の表面が付着しなくなるまでの間、無風下で放置し、レベリング乾燥を行った後、80℃、2時間乾燥して、電荷輸送層を積層し、電荷発生層、濃度勾配領域、電荷輸送層とからなる膜厚10μmの光導電層を有する本発明の光センサーを作製した。
【0069】
(光センサーの電気特性および情報記録特性)
実施例1と同様にして電気特性を測定したところ、良好な特性を示した。結果を図14に示す。
また、実施例1と同様にして情報記録を行ったところ、情報記録層にはグレースケールに応じた光透過部からなる記録部が観察され、情報出力した結果、グレースケールに応じた階調性を有した良好な印刷物が得られた。
また、プリズムとカラーフィルターによってR、G、Bの3色に分解して同様にカラー画像を記録したところ、記録された画像は良好で、カラー画像の記録情報を同様に読み取って情報出力した結果、良好な印刷物が得られた。
【0070】
実施例3
実施例1で作製した光センサーにおける光導電層上に、ポリビニルアルコール5重量部(日本合成化学(株)製、AH−26、ケン化度97〜99%)をイオン交換水95重量部中に溶解した塗布液を用いて、これをスピンナーにて塗布を行い、膜厚1μmの誘電体層を積層した。
ついで、この誘電体層上に、実施例1で示した情報記録層の作製方法と同様に情報記録層を作製し、さらにその情報記録層上にスパッタリングでITOを20nm成膜することにより、導電層を積層し、情報記録媒体を作製した。
この情報記録媒体の両電極間に680Vの直流電圧を印加すると同時に、実施例1同様にグレースケールを1/30秒間、光センサー側から投影露光した。電圧印加時間は0.03秒間とした。露光後、情報記録媒体を取り出し、実施例1同様の情報出力装置により、読み取りおよび出力を行ったところ、良好な印刷物が得られた。
【0071】
実施例4
(情報記録媒体の作製)
充分に洗浄したガラス基板上に酸化錫を100nm蒸着し、電極を作製した後、電極を実施例1と同様の洗浄処理を行った。この電極上にβ−ピネン重合体(理化ハーキュレス社製、クリスタレックス3100)16重量部、キシレン80重量部を均一になるように混合して得られた塗布液を、スピンナーにて2000rpm、5秒間で塗布した後、室温にて30分間放置して、膜厚0.7μmの情報記録媒体を得た。
【0072】
(情報記録方法)
得られた情報記録媒体と実施例1で作製した光センサーとを使用して実施例1と同様の情報記録装置を作製し、両電極間に800Vの直流電圧を印加すると同時にグレースケールを0.1秒間、光センサー側から投影露光した。電圧印加時間は0.5秒間とした。露光後、情報記録媒体を取り出し、80℃、30秒間加熱して現像を行ったところ、グレースケールに対応したフロスト像が形成された。 この情報記録媒体におけるフロスト像を実施例1と同様の情報出力装置により読み取ることができ、良好な画像が得られた。
【0073】
実施例5
(情報記録媒体の作製)
充分洗浄した厚さ1.1mmのガラス基板上に、膜厚100nmのITO膜をスパッタリング法により成膜し電極を得た後、電極を実施例1と同様の洗浄処理を行った。
その電極上にフッ素樹脂(サイトップ、旭硝子製、ガラス転移温度100℃、吸水率0.01%、比抵抗1×1018Ω・cm)の7%フッ素系溶剤溶液を、スピンナーにて1500rpm、20秒間で塗布し、室温で3時間乾燥後、情報記録層の膜厚3μmの情報記録層を有する情報記録媒体を得た。
【0074】
(情報記録方法)
この情報記録媒体と実施例1で作製した光センサーとを使用して実施例1同様の情報記録装置を作製し、両電極間に900Vの直流電圧を印加すると同時にグレースケールを1/30秒間、光センサー側から投影露光した。電圧印加時間は0.1秒間とした。
情報記録媒体の樹脂面の静電情報を、振動容量型表面電位計(モデル344、トレック製)を用いて読み取ることができた。
【0075】
【発明の効果】
光センサーと情報記録媒体とを対向配置し、電圧を印加しつつ、情報露光することにより、情報記録媒体における液晶を配向させ、情報露光に応じて光透過性とし、未露光部とのコントラストにより情報記録を行う、情報記録媒体に付与される電界、または電荷量が光照射につれて増幅され、光照射を終了した後でも電圧を印加し続けるとその導電性を持続し、引きつづき電界、または電荷量を情報記録媒体に付与し続ける作用を有する情報記録媒体への情報形成に使用される光センサーにおいて、光導電層には、電荷発生性物質、電荷輸送性物質の少なくともいずれか一方の濃度勾配領域を設けたので高感度であるとともに、画像のノイズあるいはむらがない画像を情報記録媒体へ記録することができ、情報記録媒体への情報記録特性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光センサーを説明する断面図である。
【図2】本発明の第1の情報記録装置を説明する断面図である。
【図3】本発明の第2の情報記録装置を説明する断面図である。
【図4】本発明の光センサーの光電流の増幅作用の測定に使用したグリーンフィルターの分光特性を示す図である。
【図5】本発明と比較センサーの光電流増幅作用の測定結果を示す図である。
【図6】本発明の光センサーの光照射中における量子効率の変化を示す図である。
【図7】本発明の光センサーにおける光電流増幅作用の測定結果を示す図である。
【図8】本発明の光センサーの光照射中における量子効率の変化を示す図である。
【図9】本発明の情報記録方法を説明するための図である。
【図10】本発明の情報記録装置における記録情報の再生方法を説明するための図である。
【図11】本発明の情報記録装置システムにおける記録情報の他の再生方法を説明するための図である。
【図12】光センサーの電流測定装置を説明する図である。
【図13】本発明の光センサーの電流測定結果を示す図である。
【図14】本発明の光センサーの電流測定結果を示す図である。
【図15】本発明の光センサーの光導電層の濃度勾配領域を説明する図である。
【符号の説明】
1…光センサー、2…情報記録媒体、11…情報記録層、13、13′…電極、14′…電荷発生層、14″…電荷輸送層、15…基板、16…濃度勾配領域、19…スペーサー、20…誘電体層、21…光源、22…駆動機構を有するシャッター、23…パルスジェネレーター(電源)、24…暗箱、30…金電極、31…光源、32…シャッター、33…シャッター駆動機構、34…パルスジェネレーター、35…オシロスコープ、41…フィルムスキャナー、42…パソコン、43…プリンター

Claims (16)

  1. 電極上に光導電層を有し、情報記録媒体への情報形成に使用される光センサーにおいて、半導電性であり、光センサーの電極と情報記録媒体との電極間に露光した状態で電圧を印加するか、あるいは電圧を印加した状態で露光すると、情報記録媒体に露光を起因する電流以上に増幅された強度で情報記録をすることができ、また露光を終了した後も電圧を印加し続けると導電性が徐々に減衰する挙動を示し、引き続き情報記録媒体に情報記録を継続する作用を有することを特徴とする光センサーにおいて、電荷発生性物質、電荷輸送性物質の少なくともいずれか一方が積層方向に濃度勾配を有している層を光導電層中に設けたことを特徴とする光センサー。
  2. 電極上に光導電層を有し、情報記録媒体への情報形成に使用される光センサーにおいて、電極上に電界または電荷量により情報形成が可能な情報記録層を積層した情報記録媒体と対向して配置して使用され、半導電性であり、光センサーの電極と情報記録媒体との電極間に露光した状態で電圧を印加するか、あるいは電圧を印加した状態で露光すると、情報記録媒体に付与される電界または電荷量が増幅され、また、露光を終了した後でも電圧を印加し続けると導電性が徐々に減衰する挙動を示し、引き続き電界または電荷量を情報記録媒体に付与しつ付ける作用を有することを特徴とする光センサーにおいて、電荷発生性物質、電荷輸送性物質の少なくともいずれか一方が積層方向に濃度勾配を有している層を光導電層中に設けたことを特徴とする光センサー。
  3. 電圧印加時において、光センサーへ10〜10V/cmの電界強度の印加時に、未露光部での通過電流密度が10−4〜10−7A/cm であることを特徴とする請求項1〜2記載の光センサー。
  4. 露光によって情報記録媒体へ光情報を記録する情報記録装置において、請求項1〜3に記載の光センサーと電極上に情報記録層を形成した情報記録媒体とを間隙を設けて光軸上に対向配置し、光センサーの電極と情報記録媒体の電極間に電圧印加を可能に結線したことを特徴とする情報記録装置。
  5. 情報記録層が、少なくとも液晶相および樹脂相からなることを特徴とする請求項4記載の情報記録装置。
  6. 情報記録層が熱可塑性樹脂からなり、情報露光に応じた電荷が情報記録層表面に付与された後加熱され、露光に応じたフロスト像が情報記録層表面に形成されるものであることを特徴とする請求項4記載の情報記録装置。
  7. 情報記録層が電荷保持層からなり、露光に応じた電荷が情報記録層表面に付与され、露光に応じた電荷が情報記録層表面に形成されたものであるか、もしくは情報記録層表面に形成された電荷をトナーによって現像することを特徴とする請求項4記載の情報記録装置。
  8. 情報記録層がメモリー性を有することを特徴とする請求項4〜7記載の情報記録装置。
  9. 光センサーへ10〜10V/cmの電界強度の印加時に、未露光部での通過電流密度が10−4〜10−7A/cmであり、情報記録媒体の比抵抗が1010〜1013Ω・cmであることを特徴とする請求項4または5記載の情報記録装置。
  10. 下部電極上に光導電層、誘電体層、情報記録層、上部電極を順に積層した情報記録装置において、下部電極、光導電層からなる光センサー部は、請求項1〜3に記載の光センサーからなり、下部電極と上部電極との間に電圧印加を可能に結線したことを特徴とする情報記録装置。
  11. 情報記録媒体における情報記録層が、少なくとも液晶相および樹脂相からなることを特徴とする請求項10記載の情報記録装置。
  12. 露光によって情報記録媒体へ光情報を記録する情報記録再生方法において、請求項1〜3に記載の光センサーと電極上に情報記録相を形成した情報記録媒体を使用し、光センサーもしくは情報記録媒体の少なくともいずれか一方の電極を透明電極とするとともに、光センサーと情報記録媒体を間隙を設けて光軸上に対向配置し、両電極間に露光した状態で電圧を印加する、あるいは電圧を印加した状態での露光により情報記録媒体への情報記録を行い、透過光あるいは反射光により可視情報として情報記録媒体に記録した光情報の再生を行うことを特徴とする情報記録再生方法。
  13. 露光によって情報記録媒体へ光情報を記録する情報記録方法において、請求項1〜3に記載の光センサーと電極上に熱可塑性樹脂からなる情報記録層を形成した情報記録媒体を使用し、光情報の露光によって電荷が情報記録層上に付与された後に加熱し、情報露光に応じたフロスト像を形成し、透過光あるいは反射光により可視情報として情報記録媒体に記録した光情報の再生を行うことを特徴とする情報記録再生方法。
  14. 露光によって情報記録媒体へ光情報を記録する情報記録方法において、請求項1〜3に記載の光センサーと電極上に電荷保持層からなる情報記録層を形成した情報記録媒体を使用し、光情報の露光によって電荷を情報記録層上に付与した後に、記録した光情報を電位センサーによって読み取り再生を行うことを特徴とする情報記録再生方法。
  15. 露光によって情報記録媒体へ光情報を記録する情報記録再生方法において、請求項1〜3に記載の光センサーと電極上に電荷保持層からなる情報記録層を形成した情報記録媒体を使用し、光情報の露光によって電荷を情報記録層上に付与した後に、記録した光情報をトナーによって現像し、透過光または反射光によって可視情報として光情報の再生を行うことを特徴とする情報記録再生方法。
  16. 露光によって情報記録媒体へ光情報を記録する情報記録方法において、情報記録媒体が下部電極上に光導電層、誘電体層、情報記録層、上部電極を順に積層しており、下部電極、光導電層からなる光センサー部は、請求項1〜3に記載の光センサーからなり、下部電極と上部電極の少なくともいずれか一方は透明電極とし、下部電極と上部電極との間に露光した状態で電圧を印加する、あるいは電圧を印加しつつ露光により情報記録媒体への情報記録を行い、透過光あるいは反射光により可視情報として情報記録媒体に記録した光情報の再生を行うことを特徴とする情報記録再生方法。
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