JP2006234445A - 到来方向推定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 CUBA−MUSIC法を用いて高い分解能でコヒーレント波の到来方向を推定可能な到来方向推定装置を提供する。
【解決手段】 指向性切換手段20は、制御電圧セットCLV1〜CLV6を円形配列のアンテナ素子1〜6に装荷されたバラクタダイオード11〜16へ順次供給し、アレーアンテナ10の指向性を6個の指向性に順次切換える。アレーアンテナ10は、指向性を切換えながら方位角が0〜90度である範囲から到来する複数のコヒーレントを受信し、方向推定手段30は、アレーアンテナ10によって受信された受信信号ベクトル<y>を0〜90度の範囲で離散フーリエ変換し、更に、空間平均法およびMUSIC法を適用して複数のコヒーレント波の相関を示す相関行列を演算し、その演算した相関行列に固有値分解を施して複数のコヒーレント波の到来方向を推定する。
【選択図】 図1
【解決手段】 指向性切換手段20は、制御電圧セットCLV1〜CLV6を円形配列のアンテナ素子1〜6に装荷されたバラクタダイオード11〜16へ順次供給し、アレーアンテナ10の指向性を6個の指向性に順次切換える。アレーアンテナ10は、指向性を切換えながら方位角が0〜90度である範囲から到来する複数のコヒーレントを受信し、方向推定手段30は、アレーアンテナ10によって受信された受信信号ベクトル<y>を0〜90度の範囲で離散フーリエ変換し、更に、空間平均法およびMUSIC法を適用して複数のコヒーレント波の相関を示す相関行列を演算し、その演算した相関行列に固有値分解を施して複数のコヒーレント波の到来方向を推定する。
【選択図】 図1
Description
この発明は、コヒーレント波の到来方向を推定する到来方向推定装置に関するものである。
非特許文献1は、電気的に指向性を切換可能なアレーアンテナを用いて3個のコヒーレント波の到来方向を推定する到来方向推定方法を開示する。このアレーアンテナは、1本の給電素子と、6本の無給電素子とからなり、6本の無給電素子は、給電素子の回りに円形配列される。より具体的には、6本の無給電素子は、給電素子を中心にして正六角形に配置される。また、6本の無給電素子には、可変容量素子であるバラクタダイオードが装荷されており、バラクタダイオードの容量を変えることによってアレーアンテナの指向性が切換えられる。
非特許文献1に開示された到来方向推定方法は、空間平均法(SSP:Spatial Smoothing Preprocessing)と、MUSIC法(MUltiple SIgnal Classification)とを組み合わせた方法である。
すなわち、この到来方向推定方法は、指向性を切換えながらアレーアンテナによって受信された受信信号に基づいて、到来する複数のコヒーレント波間の相関を示す相関行列を空間平均法を施して演算し、その演算した相関行列に固有値分解を施して到来方向を推定する。
具体的には、次の方法によって相関行列が演算される。
アレーアンテナの1本の給電素子と正六角形に配置された6本の無給電素子とからなる7本のアンテナ素子を平行移動可能な菱形からなる複数のサブアレーに分割する。アレーアンテナの1本の給電素子と正六角形に配置された6本の無給電素子とからなる7本のアンテナ素子においては、平行移動可能な菱形のサブアレーは、3対(3つの方向の各々において2個)形成される。
そして、各方向において菱形のサブアレーを順方向に平行移動したときの順方向部分相関行列と、菱形のサブアレーを逆方向に平行移動したときの逆方向部分相関行列とを演算し、さらに、順方向部分相関行列と逆方向部分相関行列との平均を演算して各方向における部分相関行列を演算する。その結果、3つの方向に対して3つの部分相関行列が演算される。
その後、3つの部分相関行列の各々に対して固有値分解を施して3つのMUSICスペクトラムを演算し、その演算した3つのMUSICスペクトラムに平均化処理を施して3つのMUSICスペクトラムを合成する。そして、この合成したMUSICスペクトラムから到来方向を推定する。その結果、7本のアンテナ素子を用いた場合、3個の到来方向が推定可能である。
平田 明史、タユフェールエディ、青野 智之、山田 寛喜、大平 孝、「エスパアンテナを用いたリアクタンスドメインMUSIC法によるコヒーレント2波の到来方向推定実験」,信学技報,AP2003−24,pp.59−64,May 2003. 高梨、田辺、西村、小川、大鐘,"CUBA−MUSICを用いたコヒーレント波の到来方向推定",信学総大,B−1−17,pp.33,March 2002.
平田 明史、タユフェールエディ、青野 智之、山田 寛喜、大平 孝、「エスパアンテナを用いたリアクタンスドメインMUSIC法によるコヒーレント2波の到来方向推定実験」,信学技報,AP2003−24,pp.59−64,May 2003. 高梨、田辺、西村、小川、大鐘,"CUBA−MUSICを用いたコヒーレント波の到来方向推定",信学総大,B−1−17,pp.33,March 2002.
しかし、非特許文献1に記載された到来方向推定方法では、3つの方向の各々において順方向および逆方向空間平均法を用いて3つの部分相関行列を演算し、その演算した3つの部分相関行列の各々に固有値分解を施して3つのMUSICスペクトラムを演算し、さらに、3つのMUSICスペクトラムを平均化処理によって合成するため、演算が複雑になるという問題がある。
一方、簡単な演算により到来方向を推定する方法としてCUBA(Circular Uniform Beam Arrays)−MUSIC法(非特許文献2)があるが、この方法は、回転するビームパターンが適正でない場合には、コヒーレント波の到来方向推定に関する角度分解能が劣化し、0〜360度の範囲でビームパターンを補正しても十分な精度が得られないという問題がある。
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、CUBA−MUSIC法を用いて高い分解能でコヒーレント波の到来方向を推定可能な到来方向推定装置を提供することである。
また、この発明の別の目的は、CUBA−MUSIC法を用いてより多くのコヒーレント波の到来方向を推定できる到来方向推定装置を提供することである。
この発明によれば、到来方向推定装置は、360度の方位角よりも小さい方位角によって定義される所定の範囲から到来する複数のコヒーレント波の到来方向を推定する到来方向推定装置であって、アレーアンテナと、指向性切換手段と、方向推定手段とを備える。アレーアンテナは、1本の給電素子と1本の給電素子を中心にして円形配列されたN−1(Nは7以上の整数)本の無給電素子とからなるN本のアンテナ素子を含む。指向性切換手段は、N−1本の無給電素子に装荷された可変容量素子の少なくとも1つの容量を変え、アレーアンテナの指向性を切換える。方向推定手段は、指向性切換手段によりアレーアンテナの指向性がN−1個の指向性に切換えられたときにアレーアンテナによって受信された複数のコヒーレント波の受信信号である第1の受信信号を所定の範囲に含まれる複数の方向で離散フーリエ変換してN−1本の無給電素子を直線配列に変換したときの受信信号である第2の受信信号を演算し、その演算した第2の受信信号に基づいて複数のコヒーレント波間の相関を示す相関行列を空間平均法を適用して演算し、その演算した相関行列に固有値分解を施して複数のコヒーレント波の到来方向を推定する到来方向推定処理を行う。
好ましくは、方向推定手段は、第1の受信信号を離散フーリエ変換するときの変換行列を最小二乗誤差校正法により演算し、その演算した変換行列を第1の受信信号に乗算して第2の受信信号を演算する。
好ましくは、方向推定手段は、離散フーリエ変換後における周波数領域を正および負の周波数領域まで拡張して相関行列を演算する。
好ましくは、アレーアンテナは、10本以上の無給電素子を含む。そして、方向推定手段は、離散フーリエ変換後における周波数領域を正の周波数領域に限定して相関行列を演算する。
好ましくは、所定の範囲は、方位角が0〜360度の範囲をr(rは、2以上の整数)分の1に分割した1つの範囲からなる。
好ましくは、方向推定手段は、分割されたr個の範囲の各々について到来方向推定処理を実行し、全方位角からアレーアンテナに到来するコヒーレント波の到来方向を推定する。
好ましくは、方向推定手段は、各々がD(Dは、D<Nを満たす正の整数)本のアンテナ素子からなるM(Mは、M<Nを満たす正の整数)個のサブアレーにN本のアンテナ素子を分割し、その分割した各サブアレーにおける複数のコヒーレント波間の相関を示す部分相関行列をM個のサブアレーの各々について演算し、さらに、演算したM個の部分相関行列に空間平均を施して相関行列を演算する。
好ましくは、方向推定手段は、分割された1つのサブアレーを1つの方向へ移動して空間平均を行なう順方向空間平均法によってM個の部分相関行列に空間平均を施す。
好ましくは、方向推定手段は、分割された1つのサブアレーを1つの方向へ移動して空間平均を行なう順方向空間平均法と、分割された1つのサブアレーを1つの方向と反対方向へ移動して空間平均を行なう逆方向空間平均法とによってM個の部分相関行列に空間平均を施す。
この発明による到来方向推定装置においては、アレーアンテナは、その指向性をN−1個の指向性に順次切換えながら、360度の方位角よりも小さい方位角によって定義される所定の範囲から到来する複数のコヒーレント波を受信し、方向推定手段は、アレーアンテナによって受信された複数のコヒーレント波の受信信号である第1の受信信号を所定の範囲で離散フーリエ変換して円形配列されたN−1本の無給電素子を直線配列に変換したときの受信信号である第2の受信信号を演算する。そして、方向推定手段は、その演算した第2の受信信号に基づいて、複数のコヒーレント波の相関を示す相関行列を空間平均法を適用して演算し、その演算した相関行列に固有値分解を施して複数のコヒーレント波の到来方向を推定する。その結果、所定の範囲外からアレーアンテナに到来するコヒーレント波の影響を除去して複数のコヒーレント波の到来方向が推定される。
従って、この発明によれば、所定の範囲において、分解能を高くして複数のコヒーレント波の到来方向を推定できる。その結果、所定の範囲において、推定可能な到来方向の個数を増加できる。
また、この発明による到来方向推定装置においては、方向推定手段は、r個の所定の範囲の1つで実行される到来方向推定処理をr個の所定の範囲の全てについて実行し、0〜360度の範囲から到来するコヒーレント波の到来方向を推定する。
従って、この発明によれば、0〜360度の範囲において、推定可能な到来方向の個数を増加させることができる。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
図1は、この発明の実施の形態による到来方向推定装置の概略図である。図1を参照して、この発明の実施の形態による到来方向推定装置100は、アレーアンテナ10と、指向性切換手段20と、方向推定手段30とを備える。
アレーアンテナ10は、アンテナ素子1〜7と、バラクタダイオード11〜16とを含む。アンテナ素子1〜7は、x軸、y軸およびz軸からなるxyz直交座標におけるz軸に沿ってx−y平面(所定平面)に配置される。
図2は、図1に示すx−y平面におけるアンテナ素子1〜7の平面配置図である。図2を参照して、アンテナ素子1〜6は、アンテナ素子7を中心にして円形に均等配置される。そして、各アンテナ素子1〜6とアンテナ素子7との距離は、アレーアンテナ10が送受信する電波の波長をλとすると、例えば、λ/4に設定される。
再び、図1を参照して、アンテナ素子7は、給電素子であり、アンテナ素子1〜6は、無給電素子である。バラクタダイオード11〜16は、それぞれ、アンテナ素子1〜6と接地ノードとの間に接続される。これによって、無給電素子であるアンテナ素子1〜6には、可変容量素子であるバラクタダイオード11〜16がそれぞれ装荷される。
このように、アレーアンテナ10は、1本の給電素子(アンテナ素子7)と、6本の無給電素子(アンテナ素子1〜6)とからなる7本のアンテナ素子が給電素子を中心にして円形に配置された構造からなる。
指向性切換手段20は、6個の制御電圧セットCVL1〜CVL6をバラクタダイオード11〜16に順次供給し、アレーアンテナ10の指向性を6個の指向性に順次切換える。制御電圧セットCLV1〜CLV6の各々は、6個のバラクタダイオード11〜16に対応して6個の電圧V1〜V6からなる。この場合、電圧V1〜V6は、それぞれ、バラクタダイオード11〜16に印加される。そして、電圧V1〜V6の各々は、例えば、0Vまたは20Vに設定される。電圧V1〜V6の各々が0Vに設定されたとき、バラクタダイオード11〜16の各々のリアクタンス値は、“hi”(最大値)に設定され、電圧V1〜V6の各々が20Vに設定されたとき、バラクタダイオード11〜16の各々のリアクタンス値は、“lo”(最小値)に設定される。
従って、6個のバラクタダイオード11〜16は、各制御電圧セットCVL1〜CVL6によって容量(リアクタンス値)が変化する。指向性切換手段20は、各バラクタダイオード11〜16におけるリアクタンス値が“hi”または“lo”になるように各制御電圧セットCVL1〜CVL6の電圧V1〜V6を決定し、各制御電圧セットCVL1〜CVL6を6個のバラクタダイオード11〜16へ順次供給する。
この場合、指向性切換手段20は、6個のバラクタダイオード11〜16におけるリアクタンス値xm1〜xm6のリアクタンスセットxmが表1に示すように変化するように制御電圧セットCVL1〜CVL6を6個のバラクタダイオード11〜16へ順次供給する。
図3は、図1に示すアレーアンテナ10のビームパターンを示す図である。図3を参照して、リアクタンス値xm1〜xm6の全てが“hi”であるとき(m=0)、アレーアンテナ10は、全方位に感度があるオムニパターンに近いビームパターンBPM0を有する。また、リアクタンス値xm1が“lo”であり、リアクタンス値xm2〜xm6が“hi”であるとき(m=1)、アレーアンテナ10は、0度の方向に指向性があるビームパターンBPM1を有する。なお、アンテナ素子7からアンテナ素子1への方向(即ち、x軸の正の方向)を0度の方向とする。
更に、リアクタンス値xm2が“lo”であり、リアクタンス値xm1,xm3〜xm6が“hi”であるとき(m=2)、アレーアンテナ10は、60度の方向に指向性があるビームパターンBPM2を有する。
以下、同様にして、各リアクタンス値xm3〜xm6が“lo”であり、それ以外のリアクタンス値が“hi”であるとき(m=3〜6)、アレーアンテナ10は、それぞれ、120度、180度、240度および300度の方向に指向性があるビームパターンBPM3〜BPM6を有する。
このように、指向性切換手段20は、無給電素子であるアンテナ素子1〜6に装荷された6個のバラクタダイオード11〜16のリアクタンスセットxm(=xm1〜xm6)を各制御電圧セットCVL1〜CVL6によって変えることによってアレーアンテナ10の指向性を6個の指向性に順次切換える。
図4は、方位角の定義を示す図である。図4を参照して、方位角φは、x−y平面においてx軸の正の方向を0度とする角度と定義される。
図5は、この発明によるコヒーレント波の到来方向を推定する方法を説明するための概念図である。図5を参照して、この発明においては、コヒーレント波の到来方向を推定するとき、アレーアンテナ10が所定の範囲の方位角φを有するコヒーレント波のみを受信するように、フィルター40がアレーアンテナ10上に設置される。フィルター40は、0〜360度の範囲を4分の1に分割した0〜90度の範囲(所定の範囲)から到来するコヒーレント波のみをアレーアンテナ10に導くフィルターである。
従って、フィルター40がアレーアンテナ10上に設置された場合、アレーアンテナ10は、0〜90度の範囲から到来する到来波wv1,wv2のみを受信可能である。到来波wv1,wv2の到来方向を推定する場合、アレーアンテナ10は、ビームパターンをビームパターンBPM1〜BPM6(図3参照)に順次切換えながら0〜90度の範囲から到来する到来波wv1,wv2を受信する。そして、アレーアンテナ10によって受信された受信信号ベクトル<y>=[y1,y2,・・・,y6]Tに基づいて、アレーアンテナ10に到来する到来波wv1,wv2の到来方向が後述する方法(CUBA−MUSIC法)によって推定される。なお、要素y1,y2,・・・,y6は、それぞれ、ビームパターンBPM1〜BPM6におけるアレーアンテナ10の受信信号である。
この場合、アレーアンテナ10は、0〜90度の範囲から到来する到来波wv1,wv2のみをビームパターンBPM1〜BPM6に順次切換えながら受信するが、アレーアンテナ10においては、無給電素子であるアンテナ素子1〜6は、給電素子であるアンテナ素子7と誘導結合するので、アレーアンテナ10のビームパターンが0〜90度の範囲に指向性を有しないビームパターンBPM3〜BPM6に設定された状態でも、受信信号y3〜y6を受信できる。
再び、図1を参照して、方向推定手段30は、アレーアンテナ10のアンテナ素子7(給電素子)と接続され、アレーアンテナ10のビームパターンが図3に示すビームパターンBPM1〜BPM6に順次切換えられたときの受信信号ベクトル<y>をアンテナ素子7から受ける。そして、方向推定手段30は、受信信号ベクトル<y>に基づいて、後述する方法によってアレーアンテナ10に到来するコヒーレント波の到来方向を推定する。
この発明においては、図1に示すx−y平面内における方角を示す方位角φを有するコヒーレント波を到来方向推定の対象とする。
素子数N=6の円アレーにおけるCUBA法では、主ビームの方向をφ(=2π/N=2π/6=60度)づつ変えて信号を受信する。そして、ビームパターンをb(φ)とすると、ビームパターンb(φ)は、次式によって表わされる。
ただし、Tは、転置を表す。なお、この明細書においては、表記<A>は、行列AまたはベクトルAを意味する。したがって、表記<b(φ)>は、式(1)におけるベクトルb(φ)を表わす。
CUBA−MUSIC法においては、円形配列のアレーアンテナを直線配列のアレーアンテナに変換して到来波の到来方向を推定し、式(1)によって表されるビームパターン<b(φ)>は、無給電素子1〜6が円形配列されたアレーアンテナ10におけるビームパターンであるので、アレーアンテナ10によって受信された受信信号に基づいてCUBA−MUSIC法によって到来波の到来方向を推定する場合、ビームパターン<b(φ)>を直線配列のアレーアンテナにおけるビームパターンに変換する必要がある。即ち、ビームパターン<b(φ)>を離散フーリエ変換する必要がある。
そして、ビームパターン<b(φ)>を離散フーリエ変換するときのフーリエ変換行列<F>は、次式によって表される。
式(2)に示すフーリエ変換行列<F>を用いてビームパターン<b(φ)>を離散フーリエ変換すると、次式が得られる。
そして、式(3)におけるBは、次式によって表される。
方位角φからアレーアンテナ10に到来する到来波の受信信号ベクトル<y>は、次式によって表される。
式(5)において、s(t)は、アレーアンテナ10に到来する信号であり、<n>は、6個のビームパターンBPM1〜BPM6に対するノイズベクトルである。
受信信号ベクトル<y>を離散フーリエ変換して得られる直線配列のアレーアンテナにおける受信信号ベクトル<X>は、次式によって表される。
式(3)および式(6)の結果から、直線配列のアレーアンテナにおけるステアリングベクトル<a(φ)>は、<a(φ)>=[1,e−jφ,e−j2φ,・・・,e−j5φ]Tとなる。
従って、無給電素子であるアンテナ素子1〜6が円形配列されたアレーアンテナ10のビームパターン<b(φ)>を離散フーリエ変換すると、直線配列のアレーアンテナにおけるステアリングベクトル<a(φ)>=[1,e−jφ,e−j2φ,・・・,e−j5φ]Tを抽出できる。
そして、アレーアンテナ10によって受信された受信信号ベクトル<y>を直線配列のアレーアンテナにおける受信信号ベクトル<X>に変換する変換行列<T>は、次式によって表される。
この発明においては、変換行列<T>を最小二乗平均誤差校正法(MMSE:Minimum Mean Square Error)によって演算する。この最小二乗平均誤差校正法によって演算された変換行列を<T’>とすると、変換行列<T’>は、次式によって表される。
式(8)において、ベクトル<E>は、K(正の整数)個の到来波のうち、k(=1〜K)番目の到来波に対応する信号空間ベクトルであり、アレーアンテナ10によって受信されたK個の到来波の受信信号の相関行列を固有値分解したときのK個の固有ベクトル<v1,1>,・・・,<v1,k>,・・・<v1,K>からなる。従って、アレーアンテナ10がビームパターンをビームパターンBPM1〜BPM6に順次切換ながら受信した受信信号の相関行列を演算し、その演算した相関行列を固有値分解してK個の固有ベクトルを求めれば、ベクトル<E>を容易に演算できる。
また、ベクトル<A>は、直線配列のアレーアンテナにおけるステアリングベクトルであり、K個の到来角φ1〜φKによって決定される。
そして、変換行列<T’>を演算するとき、K個の到来波の到来角φ1〜φKが0〜90度の範囲において予め決定され、ベクトル<A>,<E>が演算されている。即ち、ベクトル<A>,<E>は、既知である。
従って、変換行列<T’>は、既知であるベクトル<A>,<E>を用いて、‖<T>×<E>−<A>‖が最小になる変換行列<T>として演算される。即ち、変換行列<T’>は、0〜90度の範囲において演算される。
変換行列<T’>が演算されると、アレーアンテナ10によって受信された受信信号ベクトル<y>を次式によって直線配列のアレーアンテナにおける受信信号ベクトル<X>に変換する。
式(5)で表わされる受信信号ベクトル<y>を変換行列<T’>によって離散フーリエ変換することにより、円形配列であったアンテナ素子1〜6が直線配列に変換される。従って、式(9)によって表わされる受信信号ベクトル<X>は、直線配列に変換された各アンテナ素子1〜6によって受信された受信信号を意味する。
CUBA−MUSIC法を用いて到来方向を推定する場合、離散フーリエ変換後の周波数領域におけるデータ数を離散フーリエ変換前のサンプリング数N(=6)の半分以下に設定しないと正確に到来方向を推定できないという制約があるが、離散フーリエ変換後の周波数領域を正および負の周波数領域に拡張することによって離散フーリエ変換後における素子数を“5”に設定できる。
即ち、7本のアンテナ素子1〜7を用い、空間平均法およびCUBA−MUSIC法を適用して到来方向を推定する場合、離散フーリエ変換後において、正および負の周波数領域におけるデータ数の最大数は、−3〜3の“7”であるが、受信信号ベクトル<X>の周波数特性において受信信号ベクトル<X>が有効な値を有するのは、−2〜2の範囲である。その理由は、次のとおりである。
図6は、離散フーリエ変換後における周波数スペクトラムとデータ数との関係図である。図6において、縦軸は、周波数スペクトラムを表し、横軸は、データ数を表す。図6を参照して、周波数スペクトラムは、正の周波数領域と負の周波数領域とにおいて対称になっており、データ数=±3において最小となっている。そこで、有効なデータ数を−2〜2までの“5”とした。
従って、7本のアンテナ素子1〜7からなるアレーアンテナ10を用いた場合、離散フーリエ変換後におけるデータ数は、“5”となり、空間平均法を適用する場合のサブアレーを構成するアンテナ素子数の最大数は、“4”であり、サブアレーの個数は、“2”である。
この発明においては、空間平均法を用いて受信信号ベクトル<X>の相関行列<Rxx>を演算するが、上述したように、離散フーリエ変換後における素子数は5本であるので、この5本のアンテナ素子を対象として空間平均法を適用することになる。
図7は、離散フーリエ変換後に空間平均法を適用する概念を示す図である。図7を参照して、空間平均法を適用する対象となる5本のアンテナ素子としてアンテナ素子1〜5が選択されると、アンテナ素子1〜5を2つのサブアレーSA1,SA2に分割する。サブアレーSA1は、アンテナ素子1〜4からなり、サブアレーSA2は、アンテナ素子2〜5からなる。即ち、サブアレーSA1,SA2の各々は、4本のアンテナ素子からなる。このサブアレーSA1,SA2を構成するアンテナ素子数は、離散フーリエ変換後における周波数特性に基づいて決定される。
このように、各サブアレーSA1,SA2を構成するアンテナ素子数は、離散フーリエ変換後における周波数スペクトラムの周波数特性に基づいて決定される。
アンテナ素子1〜5が2つのサブアレーSA1,SA2に分割されると、2つのサブアレーSA1,SA2に基づいて、空間平均法を適用して相関行列<Rxx>が演算される。この場合、空間平均法を適用する方法として2つの方法がある。1つ目の方法は、順方向空間平均法であり、2つ目の方法は、順方向/逆方向空間平均法である。以下、この2つの空間平均法を適用して相関行列<Rxx>を演算し、その演算した相関行列<Rxx>に基づいて到来方向を推定する方法について説明する。
[順方向空間平均法を適用する場合]
順方向空間平均法は、各サブアレーSA1,SA2における部分相関行列を演算して2つのサブアレーSA1,SA2に対する2つの部分相関行列<Rxx_sub1>,<Rxx_sub2>を演算し、その演算した2つの部分相関行列<Rxx_sub1>,<Rxx_sub2>を平均して相関行列<Rxx>を求める方法である。
順方向空間平均法は、各サブアレーSA1,SA2における部分相関行列を演算して2つのサブアレーSA1,SA2に対する2つの部分相関行列<Rxx_sub1>,<Rxx_sub2>を演算し、その演算した2つの部分相関行列<Rxx_sub1>,<Rxx_sub2>を平均して相関行列<Rxx>を求める方法である。
サブアレーSA1の受信信号を変換行列<T’>を用いて離散フーリエ変換すると、式(9)の受信信号ベクトル<X>に対応する受信信号ベクトル<X1>は、次式により表わされる。
ただし、式(10)の右辺のベクトル<X>の下の添え字1−4は、アンテナ素子1〜4によって受信される信号を要素とすることを示す。
同様にして、サブアレーSA2の受信信号を変換行列<T’>を用いて離散フーリエ変換すると、式(9)の受信信号ベクトル<X>に対応する受信信号ベクトル<X2>は、次式により表わされる。
そうすると、サブアレーSA1の部分相関行列<Rxx_sub1>は、次式によって表わされる。
ただし、Hは、エルミート転置を表わす。また、E[・]は、エルゴート性を仮定した時間平均である。
同様にしてサブアレーSA2の部分相関行列<Rxx_sub2>は、次式によって表わされる。
そして、2つの部分相関行列<Rxx_sub1>,<Rxx_sub2>の平均を演算して次式によって相関行列<Rxx>を求める。
式(12)および(13)によって表わされる部分相関行列<Rxx_sub1>,<Rxx_sub2>は、サブアレーSA1をサブアレーSA2の方向へ平行移動させたとき、即ち、サブアレーSA1を1つの方向に平行移動させたときの部分相関行列である。従って、サブアレーSA1を1つの方向に平行移動させたときの2つの部分相関行列<Rxx_sub1>,<Rxx_sub2>の平均を演算することを順方向空間平均法という。
よって、式(14)によって演算される相関行列<Rxx>は、順方向空間平均法を適用して得られた相関行列である。
相関行列<Rxx>が演算されると、相関行列<Rxx>に固有値分解を施してMUSICスペクトラムPMUSIC(φ)を次式によって演算する。
ただし、モードベクトル<a(φ)>は、<a(φ)>=[a1(φ),・・・,a5(φ)]Tであり、<EN>は、相関行列<Rxx>を固有値分解したときの雑音の固有ベクトル[eK+1,・・・,e5]である。そして、モードベクトル<a(φ)>を構成する要素a1(φ),・・・,a5(φ)の各々は、式(8)における<a(φi)>と同様にして演算される。
[順方向/逆方向空間平均法を適用する場合]
順方向/逆方向空間平均法は、サブアレーSA1をサブアレーSA2の方向へ平行移動させたときの2つの部分相関行列<Rxx_sub_f1>,<Rxx_sub_f2>の平均からなる順方向部分相関行列<Rxx_f>と、サブアレーSA2をサブアレーSA1の方向へ平行移動させたときの2つの部分相関行列<Rxx_sub_b1>,<Rxx_sub_b2>の平均からなる逆方向部分相関行列<Rxx_b>とを演算し、その演算した順方向部分相関行列<Rxx_f>と逆方向部分相関行列<Rxx_b>との平均を演算して相関行列<Rxx>を求める方法である。
順方向/逆方向空間平均法は、サブアレーSA1をサブアレーSA2の方向へ平行移動させたときの2つの部分相関行列<Rxx_sub_f1>,<Rxx_sub_f2>の平均からなる順方向部分相関行列<Rxx_f>と、サブアレーSA2をサブアレーSA1の方向へ平行移動させたときの2つの部分相関行列<Rxx_sub_b1>,<Rxx_sub_b2>の平均からなる逆方向部分相関行列<Rxx_b>とを演算し、その演算した順方向部分相関行列<Rxx_f>と逆方向部分相関行列<Rxx_b>との平均を演算して相関行列<Rxx>を求める方法である。
2つの部分相関行列<Rxx_sub_f1>,<Rxx_sub_f2>は、それぞれ、上述した式(12)および(13)によって表わされるので、順方向部分相関行列<Rxx_f>は、上述した式(14)によって表わされる。
次に、逆方向部分相関行列<Rxx_b>の求め方について説明する。
アンテナ素子1〜5の全体への逆方向入力ベクトルを<Xb>とすると、逆方向入力ベクトル<Xb>は、次式によって表わされる。
ただし、*は、複素共役を表わす。また、行列<J>は、次式によって表わされる4次の正方行列である。
式(16)の逆方向入力ベクトル<Xb>は、式(10)のベクトル<X>に比べて、各到来信号の位相関係が異なるだけで同類・同形と見なせる。この位相関係を空間平均の位相平均化に利用して逆方向入力ベクトル<Xb>による相関行列も空間平均の要素に組み込む。
式(16)に示される逆方向入力ベクトル<Xb>をサブアレーSA1,SA2に分割し、上述した式(12)および(13)と同じ方法によって、2つの部分相関行列<Rxx_sub_b1>,<Rxx_sub_b2>を演算し、その演算した2つの部分相関行列<Rxx_sub_b1>,<Rxx_sub_b2>を平均すると、逆方向部分相関行列<Rxx_b>は、次式によって表わされる。
順方向部分相関行列<Rxx_f>=<Rxx>であるので、順方向/逆方向空間平均法を適用した場合の相関行列<Rxx fb>は、次式によって表わされる。
そして、上述した方法によって相関行列<Rxx fb>に固有値分解を施してMUSICスペクトラムを演算することによって、順方向/逆方向空間平均法を適用した場合の到来方向を推定できる。
なお、上述した空間平均法を適用することによって、図7に示すように、アンテナ素子3に到来するコヒーレント波wv1,wv2間の相関を抑制できる。
順方向/逆方向空間平均法を適用することによって、サブアレーSA1をサブアレーSA2の方向へ平行移動させ、更に、サブアレーSA2をサブアレーSA1の方向へ平行移動させるので、部分相関行列を演算するサブアレーの数が実質的に増加し、推定可能な到来方向の数を増加させることができる。
到来方向推定装置100の方向推定手段30は、0〜90度の範囲に含まれる既知の方位角φ1,・・・,φk,・・・φKを用いて、式(8)に従って変換行列<T’>を予め演算し、その演算した変換行列<T’>を記憶している。
そして、方向推定手段30は、順方向空間平均法を用いて到来波の到来方向を推定する場合、上述した式(9)〜(15)に従って、アレーアンテナ10の受信信号ベクトル<y>を変換行列<T’>によって受信信号ベクトル<X>へ離散フーリエ変換し、その離散フーリエ変換した受信信号ベクトル<X>の相関行列<Rxx>を順方向空間平均法を用いて演算し、更に、その演算した相関行列<Rxx>に固有値分解を施してMUSICスペクトラムPMUSIC(φ)を求め、到来波の到来方向を推定する。
また、方向推定手段30は、順方向/逆方向空間平均法を用いて到来波の到来方向を推定する場合、上述した式(9)〜(19)に従って、アレーアンテナ10の受信信号ベクトル<y>を変換行列<T’>によって離散フーリエ変換して受信信号ベクトル<X>および逆方向入力ベクトル<Xb>を演算し、その演算した受信信号ベクトル<X>および逆方向入力ベクトル<Xb>の相関行列<Rxx fb>を順方向/逆方向空間平均法を用いて演算し、更に、その演算した相関行列<Rxx fb>に固有値分解を施してMUSICスペクトラムPMUSIC(φ)を求め、到来波の到来方向を推定する。
図8は、図1に示す到来方向推定装置100における到来方向の推定のシミュレーション結果を示す図である。図8において、横軸は、方位角を表し、縦軸は、MUSICスペクトラムを表す。また、曲線k1は、この発明によるCUBA−MUSIC法によって演算されたMUSICスペクトラムを示し、曲線k2は、従来のCUBA−MUSIC法によって演算されたMUSICスペクトラムを示す。
なお、従来のCUBA−MUSIC法によって演算されたMUSICスペクトラムとは、アレーアンテナ10によって受信された0〜360度の範囲から到来する到来波の受信信号ベクトル<y’>を複数の方向(0度の方向、60度の方向、120度の方向、180度の方向、240度の方向および300度の方向)で離散フーリエ変換し、その離散フーリエ変換した受信信号ベクトル<X’>に空間平均法を適用して求めた相関行列<R’xx>に基づくMUSICスペクトラムを言う(以下、同じ)。
シミュレーションにおいては、到来波の方位角は、45度および90度に設定された。そして、信号対雑音比SNRは、20dBである。
図8を参照して、従来のCUBA−MUSIC法によって演算されたMUSICスペクトラムは、48度および89度の方位角にピークを有し、48度および89度の方向が到来方向と推定された(曲線k2参照)。従って、従来のCUBA−MUSIC法を用いた到来方向の推定方法は、予め設定された2つの方位角45度および90度のうち、方位角45度に対しては、“3度”の誤差を有し、方位角90度に対しては、“1度”の誤差を有する。
一方、この発明によるCUBA−MUSIC法によって演算されたMUSICスペクトラムは、44度および90度にピークを有し、44度および90度の方向が到来方向と推定された(曲線k1参照)。従って、この発明によるCUBA−MUSIC法を用いた到来方向の推定方法は、予め設定された2つの方位角45度および90度のうち、方位角45度に対しては、“1度”の誤差を有し、方位角90度に対しては、“0度”の誤差を有する。
その結果、この発明によるCUBA−MUSIC法を用いて到来方向を推定することにより、到来方向をより正確に推定できる。
図9は、図1に示す到来方向推定装置100における到来方向の推定のシミュレーション結果を示す他の図である。図9において、横軸は、方位角を表し、縦軸は、MUSICスペクトラムを表す。また、曲線k3は、この発明によるCUBA−MUSIC法によって演算されたMUSICスペクトラムを示し、曲線k4は、従来のCUBA−MUSIC法によって演算されたMUSICスペクトラムを示す。
シミュレーションにおいては、到来波の方位角は、45度および65度に設定された。そして、信号対雑音比SNRは、20dBである。
図9を参照して、従来のCUBA−MUSIC法によって演算されたMUSICスペクトラムは、約52度にピークを有し、約52度の方向が到来方向と推定された(曲線k4参照)。従って、従来のCUBA−MUSIC法を用いた到来方向の推定方法は、予め設定された2つの到来方向(45度の到来方向および65度の到来方向)に対して1つの到来方向(約52度の到来方向)を推定できるだけであり、2つの到来方向を推定できない。そして、推定された約52度の到来方向は、予め設定された2つの到来方向(45度の到来方向および65度の到来方向)に対して大きく誤っている。
一方、この発明によるCUBA−MUSIC法によって演算されたMUSICスペクトラムは、47度および67度にピークを有し、47度および67度の方向が到来方向と推定された(曲線k3参照)。従って、この発明によるCUBA−MUSIC法を用いた到来方向の推定方法は、予め設定された2つの到来方向(45度の到来方向および65度の到来方向)に対して、“2度”の誤差を有するが、予め設定された2つの到来方向を推定できる。
そうすると、従来のCUBA−MUSIC法を用いた到来方向の推定方法は、20度の角度差を有する2つの到来方向(45度の到来方向および65度の到来方向)に対して誤った1つの到来方向(約52度の到来方向)を推定できるだけであり、20度の分解能を有しないが、この発明によるCUBA−MUSIC法を用いた到来方向の推定方法は、20度の角度差を有する2つの到来方向(45度の到来方向および65度の到来方向)に対して“2度”の誤差を生じるが、2つの到来方向(47度の到来方向および67度の到来方向)を推定でき、20度の分解能を有する。
従って、この発明によるCUBA−MUSIC法を用いた到来方向の推定方法は、従来のCUBA−MUSIC法を用いた到来方向の推定方法よりも分解能を高くして到来方向を推定できる。
図10は、図1に示す到来方向推定装置100における到来方向の推定のシミュレーション結果を示す更に他の図である。図10において、横軸は、方位角を表し、縦軸は、MUSICスペクトラムを表す。また、曲線k5は、この発明によるCUBA−MUSIC法によって演算されたMUSICスペクトラムを示し、曲線k6は、従来のCUBA−MUSIC法によって演算されたMUSICスペクトラムを示す。
シミュレーションにおいては、到来波の方位角は、10度、55度および80度に設定された。そして、信号対雑音比SNRは、20dBである。
図10を参照して、従来のCUBA−MUSIC法によって演算されたMUSICスペクトラムは、約30度および約70度にピークを有し、約30度および約70度の方向が到来方向と推定された(曲線k6参照)。そして、推定された約30度の到来方向および約70度の到来方向は、予め設定された3つの到来方向(10度の到来方向、55度の到来方向および80度の到来方向)に対して大きく誤っている。従って、従来のCUBA−MUSIC法を用いた到来方向の推定方法は、予め設定された3つの到来方向(10度の到来方向、55度の到来方向および80度の到来方向)を正確に推定できない。
一方、この発明によるCUBA−MUSIC法によって演算されたMUSICスペクトラムは、10度、58度および81度にピークを有し、10度の方向、58度の方向および81度の方向が到来方向と推定された(曲線k5)。そして、推定された10度の到来方向は、予め設定された10度の到来方向に対して誤差を有さず、推定された58度の到来方向は、予め設定された55度の到来方向に対して“3度”の誤差を有し、推定された81度の到来方向は、予め設定された80度の到来方向に対して“1度”の誤差を有する。従って、この発明によるCUBA−MUSIC法を用いた到来方向の推定方法は、予め設定された3つの到来方向(10度の到来方向、55度の到来方向および80度の到来方向)をほぼ正確に推定できる。
その結果、この発明による到来方向の推定方法は、所定の範囲において、従来の到来方向の推定方法よりも多くの到来方向(3個の到来方向)を推定できる。そして、この発明による到来方向の推定方法は、0〜360度の範囲において、従来の到来方向の推定方法よりも多くの到来方向(12個の到来方向)を推定する。即ち、この発明による到来方向推定装置100は、より多くの到来方向を推定できる。
サブアレーの個数をM(Mは、M<Nを満たす正の整数)個とし、各サブアレーのアンテナ素子数をD(Dは、D<Nを満たす正の整数)個とすると、到来するコヒーレント波の個数がK個であるので、2M≧Kである。一方、MUSIC法の適用条件としてサブアレーのアンテナ素子数Dは、D≧K+1を満たす必要がある。
そうすると、アンテナ素子1〜5を2つのサブアレーSA1,SA2に分割した場合、M=2であり、D=4であるので、K≦3となり、推定可能な到来方向の最大個数は、“3個”となる。
従って、図10に示す推定可能な到来方向の個数“3”は、2M≧K、かつ、D≧K+1の条件式から求めた推定可能な到来方向の最大個数と良い一致を示し、この発明による到来方向の推定方法は、最大個数の到来方向を推定できる。
上述したように、到来方向推定装置100の方向推定手段30は、0〜90度の範囲で変換行列<T’>を演算し、その演算した変換行列<T’>を用いてアレーアンテナ10が受信した受信信号ベクトル<y>を直線配列されたアレーアンテナの受信信号ベクトル<X>に変換し、その変換した受信信号ベクトル<X>に空間平均法(順方向空間平均法または順方向/逆方向空間平均法)を適用して到来方向を推定することにより、従来の到来方向の推定方法よりも分解能を高くして到来方向を推定でき、その結果、所定の範囲(0〜90度の範囲)において、推定可能な到来方向を増加できる。そして、0〜360度の範囲において推定可能な到来方向の個数を、所定の範囲(0〜90度の範囲)において推定可能な到来方向の個数×4まで増加できる。
このように、アレーアンテナ10の指向性を0度の方向、60度の方向、120度の方向、180度の方向、240度の方向および300度の方向に順次切換えながら、0〜90度の範囲から到来するコヒーレント波のみを受信し、その受信したコヒーレント波の受信信号ベクトル<y>を、0〜90度の範囲で演算された変換行列<T’>を用いて離散フーリエ変換して受信信号ベクトル<X>を求め、その求めた受信信号ベクトル<X>に空間平均法およびMUSIC法を適用して到来方向を推定することにより、推定した到来方向の分解能が向上し、推定可能な到来方向が増加するのは、90〜360度の範囲からアレーアンテナ10に到来するコヒーレント波をフィルター40によって除外しているため、90〜360度の範囲からアレーアンテナ10に到来するコヒーレント波の影響を除去できるためである。
到来方向推定装置100の方向推定手段30は、0〜90度の範囲から到来する到来波の到来方向の推定が終了した後、90〜180度の範囲から到来する到来波、180〜270度の範囲から到来する到来波および270〜360度の範囲から到来する到来波について、上述した方法と同じ方法によって、その到来方向を順次推定する。この場合、方向推定手段30は、90〜180度の範囲、180〜270度の範囲および270〜360度の範囲の各々において、式(8)に従って変換行列<T’>を予め演算して記憶している。
アレーアンテナ10の受信信号ベクトル<y>は、各々の変換行列<T’>によって各々の受信信号ベクトル<X>へ変換されるため、受信信号ベクトル<y>は、一度受信するのみでよい。
図11は、90〜180度の範囲から到来する到来波、180〜270度の範囲から到来する到来波および270〜360度の範囲から到来する到来波の到来方向を推定する方法を説明するための概念図である。
90〜180度の範囲から到来する到来波の到来方向を推定する場合、フィルター40は、アレーアンテナ10が90〜180度の範囲から到来する到来波のみを受信できるようにアレーアンテナ10上に設置される(図11の(a)参照)。また、180〜270度の範囲から到来する到来波の到来方向を推定する場合、フィルター40は、アレーアンテナ10が180〜270度の範囲から到来する到来波のみを受信できるようにアレーアンテナ10上に設置される(図11の(b)参照)。更に、270〜360度の範囲から到来する到来波の到来方向を推定する場合、フィルター40は、アレーアンテナ10が270〜360度の範囲から到来する到来波のみを受信できるようにアレーアンテナ10上に設置される(図11の(c)参照)。
従って、0〜90度の範囲から到来する到来波の到来方向が上述した方法によって推定された後、フィルター40は、反時計回りに90度回転されてアレーアンテナ10が90〜180度の範囲から到来する到来波のみを受信できるようにアレーアンテナ10上に配置される(図11の(a)参照)。そして、到来方向推定装置100の方向推定手段30は、90〜180度の範囲から到来する到来波の到来方向を上述した方法によって推定する。
その後、フィルター40は、再び、反時計回りに90度回転されてアレーアンテナ10が180〜270度の範囲から到来する到来波のみを受信できるようにアレーアンテナ10上に配置される(図11の(b)参照)。そして、到来方向推定装置100の方向推定手段30は、180〜270度の範囲から到来する到来波の到来方向を上述した方法によって推定する。
引き続いて、フィルター40は、反時計回りに90度回転されてアレーアンテナ10が270〜360度の範囲から到来する到来波のみを受信できるようにアレーアンテナ10上に配置される(図11の(c)参照)。そして、到来方向推定装置100の方向推定手段30は、270〜360度の範囲から到来する到来波の到来方向を上述した方法によって推定する。
これにより、方向推定手段30は、到来波の到来方向の推定を終了する。
この場合、方向推定手段30は、90〜180度の範囲、180〜270度の範囲および270〜360度の範囲の各々において、3個の到来方向まで推定できる。
上述したように、方向推定手段30は、0〜90度の範囲、90〜180度の範囲、180〜270度の範囲および270〜360度の範囲の各々において、3個の到来方向まで推定できるので、0〜360度の範囲において、3×4=12個の到来方向まで推定できる。
図12は、図1に示す到来方向推定装置100における到来方向を推定する動作を説明するためのフローチャートである。図12を参照して、一連の動作が開始されると、指向性切換手段20は、6個の制御電圧セットCVL1〜CVL6をバラクタダイオード11〜16に順次供給する。そして、アレーアンテナ10は、その指向性を0度方向、60度方向、120度方向、180度方向、240度方向、および300度方向に順次切換えてコヒーレント波を受信し(ステップS1)、その受信したコヒーレント波の受信信号ベクトル<y>をアンテナ素子7から方向推定手段30へ出力する。
その後、Cnd=1が設定される(ステップS2)。そして、条件Cnd=1〜Cnd=4の中から条件Cnd=nが選択される(ステップS3)。
この場合、条件Cnd=1は、0〜90度の範囲で離散フーリエ変換し、90〜360度の範囲の到来波を遮断する条件であり、条件Cnd=2は、90〜180度の範囲で離散フーリエ変換し、0〜90,180〜360度の範囲の到来波を遮断する条件であり、条件Cnd=3は、180〜270度の範囲で離散フーリエ変換し、0〜180,270〜360度の範囲の到来波を遮断する条件であり、条件Cnd=4は、270〜360度の範囲で離散フーリエ変換し、0〜270度の範囲の到来波を遮断する条件である。
ステップS3において、条件Cnd=n(n=1)が選択されると、方向推定手段30は、所定の範囲(0〜90度の範囲)で式(8)に従って予め演算した変換行列<T’>を用いて、アレーアンテナ10から受けた受信信号ベクトル<y>に離散フーリエ変換を施して式(9)によって表される受信信号ベクトル<X>を演算する(ステップS4)。
そして、方向推定手段30は、受信信号ベクトル<X>の周波数特性に基づいて、上述した方法によって離散フーリエ変換後におけるデータ数を決定する(ステップS5)。この場合、方向推定手段30は、上述したように、離散フーリエ変換後の正および負の周波数領域においてデータ数を決定する。
ステップS5の後、方向推定手段30は、ステップS5において決定されたデータ数の範囲において空間平均法を適用し、受信信号ベクトル<X>に基づいて相関行列を演算する(ステップS6)。なお、方向推定手段30は、順方向空間平均法を適用する場合、式(10)〜式(14)によって相関行列<Rxx>を演算し、順方向/逆方向空間平均法を適用する場合、式(16)〜(19)によって相関行列<Rxx fb>を演算する。
方向推定手段30は、相関行列を演算すると、その演算した相関行列に固有値分解を施してMUSICスペクトラムを演算し、MUSICスペクトラムに基づいてコヒーレント波の到来方向を推定する(ステップS7)。
その後、n=4であるか否かが判定され(ステップS8)、n=4でないとき、n=n+1が設定される(ステップS9)。そして、ステップS8において、n=4であると判定されるまで、上述したステップS3〜ステップS9が繰返し実行される。即ち、条件Cnd=1、条件Cnd=2、条件Cnd=3および条件Cnd=4が順次設定され、各条件において、到来方向が推定されるまで、ステップS3〜ステップS9が繰返し実行される。
ステップS8において、n=4であると判定されると、方向推定手段30は、条件Cnd=1〜Cnd=4における各到来方向の推定結果に基づいて、0〜360度の範囲における到来波の到来方向を推定する(ステップS10)。そして、一連の動作は終了する。
なお、図12に示す動作は、実際には、CPU(Central Processing Unit)によって実行される。CPUは、図12に示す各ステップを備えるプログラムをROM(Read Only Memory)から読出し、その読出したプログラムを実行して図12に示すフローチャートに従ってコヒーレント波の到来方向を推定する。
上記においては、離散フーリエ変換後における周波数領域を正の周波数領域および負の周波数領域まで拡張して離散フーリエ変換後におけるデータ数を決定すると説明したが、この発明においては、離散フーリエ変換後における周波数領域を正の周波数領域に限定して離散フーリエ変換後におけるデータ数を決定してもよい。
離散フーリエ変換後のデータ数を正の周波数特性に基づいて決定し、CUBA−MUSIC法を用いて到来方向を推定する場合、離散フーリエ変換後の周波数領域におけるデータ数を離散フーリエ変換前のサンプリング数N(即ち、アンテナ素子数)の半分以下に設定しないと到来方向を正確に推定できないという制約があるので、各所定の範囲(0〜90度の範囲、90〜180度の範囲、180〜270度の範囲および270〜360度の範囲)において、3個の到来方向を推定可能にするためには、アレーアンテナ10の無給電素子数を6本から10本以上に増加させる必要がある。
アレーアンテナ10の無給電素子の素子数を6本から10本以上に増加することにより、離散フーリエ変換後のアンテナ素子数を5本以上に設定でき、サブアレーSA1,SA2のアンテナ素子数を4本以上に設定できるからである。
従って、アレーアンテナ10の無給電素子の素子数を6本から10本以上に増加することにより、上述した方法によって各所定の範囲(0〜90度の範囲、90〜180度の範囲、180〜270度の範囲および270〜360度の範囲)において3個以上の到来方向を推定できる。
そこで、この発明においては、無給電素子の素子数が10本以上のアレーアンテナ10を用いた場合、方向推定手段30は、離散フーリエ変換後における正の周波数領域から離散フーリエ変換後のデータ数を決定し、上述した方法によって、正の周波数領域において空間平均法を適用して相関行列を演算し、その演算した相関行列に基づいて到来波の到来方向を推定する。この場合、方向推定手段30は、空間平均法として、順方向空間平均法および順方向/逆方向空間平均法のいずれの方法を用いてもよい。
そして、離散フーリエ変換後における正の周波数領域から離散フーリエ変換後のデータ数を決定する場合も、方向推定手段30は、図12に示すフローチャートに従って0〜360度の範囲における到来波の到来方向を推定する。
また、上記においては、0〜360度の範囲を4分の1に分割した0〜90度の範囲、90〜180度の範囲、180〜270度の範囲および270〜360度の範囲の各々を所定の範囲とすると説明したが、この発明においては、これに限らず、所定の範囲は、0〜360度の範囲をr(rは2以上の整数)分の1に等分割された範囲であってもよく、不等分に分割され、かつ、0〜360度の範囲よりも狭い範囲であってもよい。
更に、アレーアンテナ10の無給電素子の素子数は、6本以上であればよい。即ち、アレーアンテナ10は、7本以上のアンテナ素子数を有すればよい。
更に、所定の範囲で変換行列<T’>を演算し、その演算した変換行列<T’>によって受信信号ベクトル<y>を受信信号ベクトル<X>に変換することは、所定の範囲に含まれる複数の方向で受信信号ベクトル<y>を離散フーリエ変換することに相当する。
更に、「所定の範囲」とは、360度の方位角よりも小さい方位角によって定義される範囲である。
この発明の実施の形態によれば、方向推定手段30は、0〜360度の範囲よりも狭い各所定の範囲で変換行列<T’>を予め演算し、その予め演算した変換行列<T’>を用いて、アレーアンテナ10が各所定の範囲で受信した受信信号ベクトル<y>を離散フーリエ変換し、更に、空間平均法およびMUSIC法を適用して到来波の到来方向を推定するので、所定の範囲外からアレーアンテナ10に到来する到来波の影響を除去して到来波の到来方向が推定される。従って、分解能を高くして到来方向を推定できる。その結果、0〜360度の範囲よりも狭い各所定の範囲において、最大個数の到来方向を推定できる。
また、方向推定手段30は、0〜360度の範囲よりも狭い各所定の範囲において、最大個数の到来方向を推定できるので、0〜360度の範囲においては、各所定の範囲において推定された到来方向の個数に所定の範囲の個数を乗算した個数の到来方向を推定できる。つまり、従来に比べ、より多くの到来方向を推定できる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明は、CUBA−MUSIC法を用いて高い分解能でコヒーレント波の到来方向を推定可能な到来方向推定装置に適用される。また、この発明は、CUBA−MUSIC法を用いてより多くのコヒーレント波の到来方向を推定できる到来方向推定装置に適用される。
1〜7 アンテナ素子、10 アレーアンテナ、11〜16 バラクタダイオード、20 指向性切換手段、30 方向推定手段、40 フィルター、100 到来方向推定装置。
Claims (9)
- 360度の方位角よりも小さい方位角によって定義される所定の範囲から到来する複数のコヒーレント波の到来方向を推定する到来方向推定装置であって、
1本の給電素子と前記1本の給電素子を中心にして円形配列されたN−1(Nは7以上の整数)本の無給電素子とからなるN本のアンテナ素子を含むアレーアンテナと、
前記N−1本の無給電素子に装荷された可変容量素子の少なくとも1つの容量を変え、前記アレーアンテナの指向性を切換える指向性切換手段と、
前記指向性切換手段により前記アレーアンテナの指向性がN−1個の指向性に切換えられたときに前記アレーアンテナによって受信された前記複数のコヒーレント波の受信信号である第1の受信信号を前記所定の範囲に含まれる複数の方向で離散フーリエ変換して前記N−1本の無給電素子を直線配列に変換したときの受信信号である第2の受信信号を演算し、その演算した第2の受信信号に基づいて前記複数のコヒーレント波間の相関を示す相関行列を空間平均法を適用して演算し、その演算した相関行列に固有値分解を施して前記複数のコヒーレント波の到来方向を推定する到来方向推定処理を行う方向推定手段とを備える到来方向推定装置。 - 前記方向推定手段は、前記第1の受信信号を前記離散フーリエ変換するときの変換行列を最小二乗誤差校正法により演算し、その演算した変換行列を前記第1の受信信号に乗算して前記第2の受信信号を演算する、請求項1に記載の到来方向推定装置。
- 前記方向推定手段は、前記離散フーリエ変換後における周波数領域を正および負の周波数領域まで拡張して前記相関行列を演算する、請求項1または請求項2に記載の到来方向推定装置。
- 前記アレーアンテナは、10本以上の前記無給電素子を含み、
前記方向推定手段は、前記離散フーリエ変換後における周波数領域を正の周波数領域に限定して前記相関行列を演算する、請求項1または請求項2に記載の到来方向推定装置。 - 前記所定の範囲は、方位角が0〜360度の範囲をr(rは、2以上の整数)分の1に分割した1つの範囲からなる、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の到来方向推定装置。
- 前記方向推定手段は、前記分割されたr個の範囲の各々について前記到来方向推定処理を実行し、全方位角から前記アレーアンテナに到来するコヒーレント波の到来方向を推定する、請求項5に記載の到来方向推定装置。
- 前記方向推定手段は、各々がD(Dは、D<Nを満たす正の整数)本のアンテナ素子からなるM(Mは、M<Nを満たす正の整数)個のサブアレーに前記N本のアンテナ素子を分割し、その分割した各サブアレーにおける前記複数のコヒーレント波間の相関を示す部分相関行列を前記M個のサブアレーの各々について演算し、さらに、前記演算したM個の部分相関行列に空間平均を施して前記相関行列を演算する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の到来方向推定装置。
- 前記方向推定手段は、前記分割された1つのサブアレーを1つの方向へ移動して空間平均を行なう順方向空間平均法によって前記M個の部分相関行列に空間平均を施す、請求項7に記載の到来方向推定装置。
- 前記方向推定手段は、前記分割された1つのサブアレーを1つの方向へ移動して空間平均を行なう順方向空間平均法と、前記分割された1つのサブアレーを前記1つの方向と反対方向へ移動して空間平均を行なう逆方向空間平均法とによって前記M個の部分相関行列に空間平均を施す、請求項7に記載の到来方向推定装置。
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