JP3964366B2 - 電波到来方向探知方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複数のアンテナ素子を備えて指向特性を変化させることができるアレーアンテナを用いた電波到来方向探知方法に関し、特に、指向特性を適応的に変化させることができる電子制御導波器アレーアンテナ装置(Electronically Steerable Passive Array Radiator Antenna)を用いた電波到来方向探知方法に関する。
アレーアンテナに入射する信号の到来角又は到来方向(Direction-of-Arrival:DOA)の推定は、ディジタルアレー処理における興味ある、かつ重要な問題である。この問題を解決するために、いくつかの方法が提案されている。特に、非特許文献1に記載のMUSIC(MUltiple SIgnal Classification)アルゴリズムは、漸近的に不偏推定量に近づく結果を提供するものとして広く知られている。
特許文献1や非特許文献2及び3において提案されている電子制御導波器アレーアンテナ装置は、無線信号が給電される励振素子と、この励振素子から所定の間隔だけ離れて設けられ、無線信号が給電されない少なくとも1個の非励振素子と、この非励振素子に接続された可変リアクタンス素子とから成るアレーアンテナを備え、上記可変リアクタンス素子のリアクタンス値を変化させることにより、上記アレーアンテナの指向特性を変化させることができる。この電子制御導波器アレーアンテナ装置は、従来型のアレーアンテナに比べて低コスト、低電力消費でありかつ構成が簡単である。従って、この電子制御導波器アレーアンテナ装置は、移動体ユーザ端末へのアプリケーションとして非常に有望な候補である。しかしながら、この電子制御導波器アレーアンテナ装置は単一ポートの出力構成であるので、従来型のアレーアンテナのためのアルゴリズムはそのままでは使用できない。
最近、特許文献1のアレーアンテナを用いて電波到来角を推定するために、改良されたMUSICアルゴリズムに基づく「リアクタンス領域MUSICアルゴリズム」が提案されている(非特許文献4を参照。)。このアルゴリズムは、上記アレーアンテナの相関行列を取得し、また複数の入射信号の到来角を推定している。この従来技術の電波到来方向探知方法では、これに用いる電子制御導波器アレーアンテナ装置に固有の等価ウエイトベクトルの校正が十分でなかったために、MUSICスペクトラムのピークが鈍く分解能が低かった。そのため、複数の近接した到来波に対してポテンシャルを十分に発揮できず、これら複数の到来波を分解して探知することができないという問題点があった。
この問題点を解決するために、本発明者らは、素子数と同数の指向性パターンを回転させることによって相関行列を生成し,その信号部分空間から素子間結合を含んだ等価ウエイト行列を求めるキャリブレーション方法が有効であることを非特許文献10において示している。
特開2001−24431号。 R. O. Schmidt, "Multiple Emitter Location and Signal Parameter Estimation", IEEE Transactions on Antennas and Propagation, Vol. AP-34, No. 3, pp. 276-280, March, 1986。 T. Ohira et al., "Electronically steerable passive array radiator antennas for low-cost analog adaptive beamforming", 2000 IEEE International Conference on Phased Array System & Technology pp. 101-104, Dana point, California, May 21-25, 2000。 T. Ohira, et al., "Equivalent weight vector and array factor formulation for Espar antennas," IEICE Technical Report, AP2000-44, SAT2000-41, NW2000-41, July, 2000。 プラプース・シリルほか,「エスパアンテナによるリアクタンスドメインMUSIC法」,電子情報通信学会技術研究報告,RCS2002−147,電子通信情報学会発行,2002年8月。 大平孝,"エスパアンテナの等価ウエイトベクトルとその勾配に関する基本的定式化",電子情報通信学会研究技術報告,AP2001−16,SAT2001−3,電子情報通信学会発行,pp.15−20,2001年5月。 C. M. S. See, "Sensor array calibration in the presence of mutual coupling and unknown sensor gains and phases", Electronics Letters, Vol.30, No.3, pp.373-375, March 1994。 平田明史ほか,"エスパアンテナのリアクタンスドメイン信号処理−空間相関及び相関行列−",電子情報通信学会研究技術報告,RCS2002−148,電子情報通信学会発行,pp.9−14,2002年8月。 R. Janaswamy, "Radiowave Propagation and Smart Antennas for Wireless Communications", pp.185-217, ISBN0-7923-7241-7, Kluwer Academic Publishers, 2001。 太郎丸真ほか,"エスパアンテナのリアクタンス空間から等価ウエイトベクトル空間への写像に関する考察",電子情報通信学会研究技術報告,RCS2002−179,電子情報通信学会発行,pp.43−48,2002年10月。 平田明史ほか,"等価ウエイト行列をキャリブレートしたエスパアンテナの高分解能到来方向推定",電子情報通信学会研究技術報告,SST2002−127,AP2002−226,RCS2002−343,MoMuC2002−152,MW2002−234,電子情報通信学会発行,pp.1−8,2003年3月。 菊間信良,"アレーアンテナによる適応信号処理",pp.247−268,ISBN4−87653−054−8,科学技術出版発行,1998年。 新井宏之ほか,"既知の波源を用いたスーパレゾリューションアレー校正法について",電子情報通信学会論文誌(B),Vol.J.86−B,No.3,pp.527−535,電子情報通信学会発行,2003年3月。
しかしながら、これまで、複数の到来波に対してその到来方向を推定する実験結果は示されておらず、特に直接波と壁面からの反射波が到来する環境におけるコヒーレント波のDOA推定は、端末用高分解能到来方向探知機としての利用が期待される電子制御導波器アレーアンテナ装置では追求すべき課題の1つであった。従来、MUSICによるコヒーレント波の到来方向推定では,サブアレーを平行移動する空間平均法(Spatial Smoothing Preprocessing:SSP)によって相互相関を抑圧する方法がよく知られている(例えば、非特許文献11参照。)が、上記電子制御導波器アレーアンテナ装置や、当該電子制御導波器アレーアンテナ装置における非励振素子も励振素子とするアレーアンテナ装置を含む円形配列アレーアンテナ装置では空間平均法を適用することができなかった。
また、従来例では、複数の方向からの電波の到来方向を2次元で検出することができなかった。
本発明の目的は以上の問題点を解決し、上記円形配列アレーアンテナ装置を用いて電波到来角を探知するときに、互いにコヒーレントな複数の方向からの電波が到来する場合であっても、より高い分解能で1次元又は2次元で電波到来方向を計算できる電波到来方向探知方法を提供することにある。
第1の発明に係る電波到来方向探知方法は、無線信号を受信するための励振素子と、上記励振素子から所定の間隔だけ離れて設けられた6本の非励振素子と、上記各非励振素子にそれぞれ接続された可変リアクタンス素子とを備え、上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を変化させることにより、上記各非励振素子をそれぞれ導波器又は反射器として動作させて指向特性を変化させるアレーアンテナを用いた電波到来方向探知方法において、
上記アレーアンテナの互いに異なる複数の放射パターンの各可変リアクタンス素子のリアクタンス値の複数のセットとによりそれぞれ設定された互いに異なる複数の放射パターンの状態において上記アレーアンテナで受信し、上記受信された各受信信号を検出し、上記検出された複数の受信信号間の相関を示す相関行列Ryyを計算し、上記計算された相関行列Ryyに基づいて固有値分解法を用いて各方位角毎の受信信号に対する固有値及び固有ベクトルを計算し、上記各方位角の方向毎の最大値の固有値に対応する固有ベクトルを用いて、上記アレーアンテナの各可変リアクタンス素子による放射パターンの各方向ベクトルに対する重み付けを表す等価的なベクトルからなる等価ウエイト行列を校正するステップと、
上記互いに異なる可変リアクタンス素子のリアクタンス値の複数のセットをそれぞれ設定したときに上記アレーアンテナによって受信される各受信信号を検出し、上記複数の受信信号間の相関を表す相関行列Ryyを計算し、上記計算された各相関行列Ryyを固有値分解して上記各相関行列Ryyの固有値を計算するステップと、
上記計算された各相関行列Ryyの固有値と、上記校正された等価ウエイト行列とに基づいて、上記アレーアンテナの素子空間に変換された相関行列Rxxを計算し、上記計算された相関行列Rxxに基づいて、上記アレーアンテナにおいて互いに平行移動可能な1対のサブアレーの複数のセットのうちの各セットに対する相関行列Rxx (j)を計算し、上記計算された各セットに対する相関行列Rxx (j)に対して空間平均法の処理を適用した後固有値分解して各セットに対する固有値及び固有ベクトルを計算し、上記計算された各セットに対する固有値及び固有ベクトルに基づいてMUSIC(MUltiple SIgnal Classification)法を用いて各セットに対するMUSICスペクトルを計算し、上記計算された各セットに対するMUSICスペクトルに基づいて上記アレーアンテナによって受信された受信信号の到来方向を計算するステップとを含むことを特徴とする。
上記電波到来方向探知方法において、上記計算された各セットに対するMUSICスペクトルの積を計算することにより合成されたMUSICスペクトラムを計算し、上記計算された合成されたMUSICスペクトラムに基づいて上記アレーアンテナによって受信された受信信号の到来方向を計算するステップをさらに含むことを特徴とする。
また、電波到来方向探知方法において、上記アレーアンテナにおいて互いに平行移動可能な1対のサブアレーの複数のセットは、それぞれ1本の励振素子と3本の非励振素子により形成される1対の菱形のサブアレーの3組のセットであることを特徴とする。もしくは、上記電波到来方向探知方法において、上記アレーアンテナにおいて互いに平行移動可能な1対のサブアレーの複数のセットは、それぞれ1本の励振素子と2本の非励振素子により形成される1対の三角形のサブアレーの6組のセットであることを特徴とする。
第2の発明に係る電波到来方向探知方法は、無線信号を受信するための中央の励振素子と、上記中央の励振素子から所定の間隔だけ離れて設けられ、上記受信信号を受信するための6本の周囲の励振素子とを備えたアレーアンテナを用いた電波到来方向探知方法において、
上記7本の励振素子からなるアレーアンテナで受信し、上記各励振素子でそれぞれ受信された各受信信号を検出し、上記検出された複数の受信信号間の相関を示す相関行列Rzzを計算するステップと、
上記計算された相関行列Rzzに基づいて、上記アレーアンテナにおいて互いに平行移動可能な1対のサブアレーの複数のセットのうちの各セットに対する相関行列Rzz (j)を計算し、上記計算された各セットに対する相関行列Rzz (j)に対して空間平均法の処理を適用した後固有値分解して各セットに対する固有値及び固有ベクトルを計算し、上記計算された各セットに対する固有値及び固有ベクトルに基づいてMUSIC(MUltiple SIgnal Classification)法を用いて各セットに対するMUSICスペクトルを計算し、上記計算された各セットに対するMUSICスペクトルに基づいて上記アレーアンテナによって受信された受信信号の到来方向を計算するステップとを含むことを特徴とする。
上記電波到来方向探知方法において、上記計算された各セットに対するMUSICスペクトルの積を計算することにより合成されたMUSICスペクトラムを計算し、上記計算された合成されたMUSICスペクトラムに基づいて上記アレーアンテナによって受信された受信信号の到来方向を計算するステップをさらに含むことを特徴とする。
また、上記電波到来方向探知方法において、上記アレーアンテナにおいて互いに平行移動可能な1対のサブアレーの複数のセットは、それぞれ中央の励振素子と3本の周囲の励振素子により形成される1対の菱形のサブアレーの3組のセットであることを特徴とする。もしくは、上記電波到来方向探知方法において、上記アレーアンテナにおいて互いに平行移動可能な1対のサブアレーの複数のセットは、それぞれ中央の励振素子と2本の周囲の励振素子により形成される1対の三角形のサブアレーの6組のセットであることを特徴とする。
さらに、上記到来方向は、1次元又は2次元の到来方向であり、上記接地導体の平面上の方位角と、上記接地導体からの仰角との少なくとも一方を含むことを特徴とする。
従って、例えば7素子の電子制御導波器アレーアンテナ装置を用いた、本発明に係る電波到来方向探知方法によれば、例えば、詳細後述するように、図8に示す等価ウエイト行列を校正して計算する処理を実行し、例えば図9に示す方位角推定処理を実行し、例えば図10に示す空間平均処理を実行する。従って、上記電子制御導波器アレーアンテナ装置を用いて電波到来角を探知するときに、互いにコヒーレントな複数の方向からの電波が到来する場合であっても、より高い分解能で電波到来角を計算できる。
また、7素子の電子制御導波器アレーアンテナ装置において周囲の非励振素子をすべて励振素子とした円形配列アレーアンテナ装置を用いた、本発明に係る電波到来方向探知方法によれば、各励振素子でそれぞれ受信した各受信信号に基づいて相関行列Rzzを計算し、上記計算された相関行列Rzzに基づいて、例えば図10に示す空間平均処理を実行する。従って、当該円形配列アレーアンテナ装置を用いて電波到来角を探知するときに、互いにコヒーレントな複数の方向からの電波が到来する場合であっても、より高い分解能で1次元又は2次元で電波到来角を計算できる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図面において、同様の構成要素については、同一の符号を付している。
図1は本発明に係る実施形態である電波到来方向探知装置の構成を示すブロック図である。この実施形態の電波到来方向探知装置は、特許文献1において開示された、1つの励振素子A0と、6個の非励振素子A1乃至A6とを備えて構成されている電子制御導波器アレーアンテナ装置(以下、アレーアンテナ装置という。)100と、無線受信機4と、電波到来方向探知コンピュータ20と、リアクタンス値コントローラ10とを備えている。電波到来方向探知コンピュータ20は、例えばディジタル計算機で構成され、本実施形態では、図7に示すように、等価ウエイト行列を校正して計算する処理(ステップS1)を実行した後、例えば非特許文献1などにおいて開示されたMUSICアルゴリズムを用いて方位角推定処理(ステップS2)を実行することによりMUSICスペクトラムを計算し、さらに、空間平均処理(ステップS3)を実行することにより空間平均処理後の合成されたMUSICスペクトラムPMUSIC(θ)を計算しその値のピーク値に対応する方位角を到来角として推定することを特徴としている。
本実施形態においては、特に、アンテナ装置の中央部にのみ励振素子A0を有しかつ周囲に非励振素子A1乃至A6を有する7素子の円形配列アレーアンテナ装置である図1のアレーアンテナ装置100において、菱形をサブアレーとしてとらえ平行移動することによって空間平均法を適用する。ここで、アレーアンテナ装置100において、菱形のサブアレーの平行移動が図5に示すように3対取れることを利用し、それぞれのサブアレーセットでForward-Backward(F/B)空間平均法(修正空間平均法、改良空間平均法ともいう。例えば、非特許文献11参照。)を実行した後、固有値分解した結果を合成することによって、DOAの推定精度の到来角度依存性を低減することができる。なお、アレーアンテナ装置100は素子間結合を有効に利用した空間結合型アレーアンテナであるが、等価ウエイト行列を校正して素子間結合を精度よく求めることによって、素子間結合を打ち消したエレメントスペース(素子空間)への変換を行っている。
図1において、アレーアンテナ装置100は、接地導体11上に設けられた励振素子A0及び非励振素子A1乃至A6から構成され、励振素子A0は、半径rの円周上に設けられた6本の非励振素子A1乃至A6によって囲まれるように配置されている。好ましくは、各非励振素子A1乃至A6は上記半径rの円周上に互いに等間隔を保って設けられる。励振素子A0及び各非励振素子A1乃至A6の長さは、例えば約λ/4(但し、λは所望波の波長である。)になるように構成され、本実施形態では0.23λである。また、上記半径rはλ/4になるように構成される。接地導体11は、半径λ/2の円板形状の上面部と、上面部の外周縁端部から下に延在する長さλ/4の円筒形状のスカート部とから構成され、このスカート部を備えた構成により、主ビームの仰角を減少させることができる。励振素子A0の給電点は同軸ケーブル9を介して無線受信機4の低雑音増幅器(LNA)1に接続され、また、非励振素子A1乃至A6はそれぞれ可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に接続され、これら可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のリアクタンス値はリアクタンス値コントローラ10からのリアクタンス値信号によって設定される。
図2は、アレーアンテナ装置100の縦断面図である。励振素子A0は接地導体11と電気的に絶縁され、各非励振素子A1乃至A6は、可変リアクタンス素子12−1乃至12−6を介して、接地導体11に対して高周波的に接地される。可変リアクタンス素子12−1乃至12−6は、例えば、制御電圧(又はバイアス電圧)が印加されることによってそのリアクタンス値が変化する可変容量ダイオードであって、制御電圧はリアクタンス値コントローラ10からのリアクタンス値信号を介して印加される。リアクタンス値コントローラ10は、デジタルシグナルプロセッサをベースとするコントローラであって、リアクタンス値テーブルメモリ13内に予め設定されたディジタル電圧値を参照し、内蔵した6個のD/A変換器(図示せず。)を使って上記ディジタル電圧値をアナログの制御電圧値に変換し、この制御電圧値をリアクタンス値信号としてアレーアンテナ装置100の各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に印加することにより、アレーアンテナ装置100上で、対応する各指向性ビームパターンが形成される。
可変リアクタンス素子12−1乃至12−6の動作を説明すると、例えば励振素子A0と非励振素子A1乃至A6の長手方向の長さが実質的に同一であるとき、例えば、可変リアクタンス素子12−1がインダクタンス性(L性)を有するときは、可変リアクタンス素子12−1は延長コイルとなり、非励振素子A1の電気長が励振素子A0に比較して長くなり、反射器として働く。一方、例えば、可変リアクタンス素子12−1がキャパシタンス性(C性)を有するときは、可変リアクタンス素子12−1は短縮コンデンサとなり、非励振素子A1の電気長が励振素子A0に比較して短くなり、導波器として働く。また、他の可変リアクタンス素子12−2乃至12−6に接続された非励振素子A2乃至A6についても同様に動作する。従って、図1のアレーアンテナ装置100において、各非励振素子A1乃至A6に接続された可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のリアクタンス値を変化させることにより、アレーアンテナ装置100の平面指向性特性を変化させることができる。
図1のアレーアンテナの制御装置において、アレーアンテナ装置100は無線信号u(t)を受信し、上記受信された無線信号である受信信号は、励振素子A0に接続された同軸ケーブル9から出力される。出力された受信信号は、無線受信機4の低雑音増幅器1を介してダウンコンバータ2に入力され、ダウンコンバータ2は入力される受信信号を所定の中間周波数の中間周波信号に周波数変換した後、A/D変換器3に出力する。A/D変換器3は、入力されるアナログの中間周波信号をディジタルの中間周波信号に変換した後、電波到来方向探知コンピュータ20に出力する。さらに、電波到来方向探知コンピュータ20は、入力される中間周波信号に基づいて、その中間周波信号の相関行列(後述する数8参照。)を計算して、受信された無線信号の到来角を計算し、その結果をCRTディスプレイ21に出力して表示する。ここで、電波到来方向探知コンピュータ20は、本実施形態では、図7に示すように、等価ウエイト行列を校正して計算する処理(ステップS1)を実行した後、例えば非特許文献1などにおいて開示されたMUSICアルゴリズムを用いて方位角推定処理(ステップS2)を実行することによりMUSICスペクトラムを計算し、さらに、空間平均処理(ステップS3)を実行することにより空間平均処理後の合成されたMUSICスペクトラムPMUSIC(θ)を計算しその値のピーク値に対応する方位角を到来角として推定する。
ここで、上記ステップS1の処理を実行するときに、電波到来方向探知コンピュータ20からの制御信号に基づいて、アレーアンテナ装置100を励振素子A0を中心軸として回転させる回転機構30が設けられている。
次いで、まず、非特許文献4において開示されている「リアクタンスドメインMUSIC法」について以下に説明する。
「リアクタンスドメインMUSIC法」はアレーアンテナ装置100のリアクタンスドメイン信号処理によって生成される相関行列を利用した高分解能到来方向推定法である。非励振素子A1乃至A6に装荷された可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のリアクタンス値を表1のように設定し、それぞれの指向性パターンによって受信された、同一のシーケンス信号系列を含む受信信号に基づいて相関行列(数8)を生成する(図3及び図4参照。)。そして、この相関行列にMUSIC法を適用して到来方向推定を行う。
表1に記載の可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のリアクタンス値xmk(m=0,1,2,…,6;k=1,2,…,6)の7組のセットは、1つのオムニパターンを発生するためのセットと、図3に示すように、それぞれ励振素子A0から各非励振素子A1乃至A6に向かう方向の6個のセクタパターンとを発生するためのセットとを含む。なお、本実施形態においては、上記の7つのパターンを用いているが、本発明はこれに限らず、複数の所定のパターンを用いてもよい。表1において、最大値及び最小値はそれぞれ、装荷された可変リアクタンス素子12−1乃至12−6の各リアクタンス値の可動範囲の最大値及び最小値を意味する。また、本実施形態においては、送信側の無線送信機のシーケンス信号発生器(図示せず。)は、図4に示すように、表1に示す各パターンで、互いに所定のガードタイムを挟み、それぞれPシンボル(例えば、2msec)のシーケンス信号を順次発生し、シーケンス信号発生器で発生されるシーケンス信号を含む受信信号の相関行列(数8)を計算してMUSIC法を適用する。
L個の波の平面波がアレーアンテナ装置100に到来するとき、表1のm番目の指向性パターン(m=0,1,…,6)で受信される受信信号y(t)は次式で表される。
ここで、行列Aは次式で表される。
また、a(θ)は到来角θ(l=1,2,…,L)における方向ベクトルであり、u(t)は次式で表される到来する無線信号である。
さらに、n(t)は熱雑音であり、上付き添字は行列の転置を表す。wは等価ウエイトベクトルであり、素子間結合を含めたインピーダンス行列Zを用いて、次式で表される(例えば、非特許文献5参照。)。
ここで、等価ウエイトベクトルとは、アレーアンテナ装置100において可変リアクタンス素子による放射パターンの各方向ベクトルに対する重み付けを表す等価的なベクトルである。zは受信機の内部インピーダンスであり、uは次式で表される単位ベクトルである。
上記等価ウエイトベクトルからなる次式の行列Wを
「等価ウエイト行列」と定義し(なお、等価ウエイト行列Wとは、アレーアンテナ装置100において可変リアクタンス素子による放射パターンの各方向ベクトルに対する重み付けを表す等価的な行列である。)、ベクトル表記の受信信号系列を次式で表されるとすると、
相関行列と固有ベクトルの関係から、複数の受信信号から検出した複数のシーケンス信号間の相関行列Ryyは次式で表される。
ここで、E[・]はエルゴード性を仮定した所定の時間期間における時間平均値(又はアンサンブル平均値)であり、上付き添字は行列のエルミート転置を表す。λは固有値であり、eは信号部分空間を張る第lの固有ベクトル(l=1,2,…,L)である。すなわち、相関行列Ryyを固有値分解することにより7個の固有値と7個の固有ベクトルを得ることができる。
アレーアンテナ装置100のMUSICスペクトラムPMUSIC(θ)は等価ウエイト行列を用いて、次式で表される。
ここで、
である。
すなわち、MUSIC法では、雑音の固有ベクトルからなる行列EによりMUSICスペクトルを計算でき、これに基づいて到来角を計算できる。
次いで、オムニパターンを含めた7つの指向性パターンを用いて、信号部分空間からアレーアンテナ装置100の「等価ウエイト行列」の校正処理(図7のステップS1)について以下に説明する。
上記数4においてインピーダンス行列Zの各要素は未知である。鋭いMUSICスペクトラムを求め角度分解能を向上させるためには、このインピーダンス行列Zを含んだ等価ウエイト行列Wを校正する必要がある。本実施形態では、校正方法として7つの指向性パターンで受信した受信信号系列を用いて、信号の固有値に対応する信号固有ベクトルによって等価ウエイト行列を推定する方法を提案する。校正では到来波は1波のみ(L=1)とし、平面波を12方位から順次に到来させる。
校正の手順の具体的な詳細は後述するが、その概略を説明すると、図8に示すように、まず、受信アンテナであるアレーアンテナ装置100から見た電波到来方向を0°に固定する(ステップS12でθ=0゜)。次に、可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のリアクタンス値を表1のように7通り(m=0,1,…,6)に設定し、指向性パターンを回転させて受信信号系列y(t)を取得する(ステップS13−S16)。tはサンプリング時刻を表し、1シンボルにつき1回サンプリングを行う。指向性パターン毎にPサンプル(=Pシンボル)の信号を受信する。受信信号系列を上記数7のようにベクトル表記し(ステップS18)、上記数8の相関行列Ryyを固有値分解した後(ステップS19)、信号の固有値(最大値の固有値)に対応する信号固有ベクトルe (1)を取得する(ステップS20)。
次いで、電波到来方向を30°に固定し(ステップS12)、同様の手順によって信号固有ベクトルe (2)を取得する(ステップS13−S20)。以降、電波到来方向を0°から30°間隔で12方位に順に設定し、同様の手順を繰り返すと12個の信号固有ベクトルが得られる(S12−S22の繰り返しフロー)。電波到来方向は既知であり、その方向の方向ベクトルも既知であるため、次式が成立する。
ここで、上述の校正手順で計算された各方位角での最大値の固有値からなる固有ベクトル
[数式1]
[e (1) (2) … e (12)
を行列Eと置き換え、各方位角毎のステアリングベクトルからなるステアリング行列
[数式2]
[a(θ) a(θ) … a(θ12)]
を行列Aと置き換えると、等価ウエイト行列Wは次式で表される(例えば、非特許文献6参照。)。なお、当該明細書において、数式がイメージ入力された墨付き括弧の数番号と、数式が文字入力された大括弧の数式番号とを混在して用いている。
上記数12から明らかなように、等価ウエイト行列Wを、上述の校正手順で計算された各方位角での最大値の固有値からなる固有ベクトルの行列と、各方位角毎のステアリングベクトルからなるステアリング行列とを用いて校正している。
なお、アレーアンテナ装置100の方向ベクトルa(θ)は次式で表される。
ここで、
である。
次いで、菱形のサブアレーセットを用いた空間平均処理について以下に説明する。上記数7における等価ウエイト行列Wは、信号部分空間を用いた校正処理によって精度よく求めることができる。以降のWは校正処理後の等価ウエイト行列を表す。
等価ウエイト行列Wはアンテナ素子間の素子間結合を含んでおり、相関行列Ryyはそのままでは空間平均処理を適用することができない。そこで、等価ウエイト行列Wの逆行列によって素子間結合を打ち消した素子空間(エレメントスペース)への変換を次式を用いて行う。
ここで、相関行列Ryyを固有値分解することにより固有値及び固有ベクトルを計算することができ、こうして得られるL個の信号の固有値は、λ(i=1,2,…,L)で表すことができ、それ以外の雑音の固有値はλ(i=L+1,L+2,…,7)で表すことができるので、当該(7−L)個の雑音の固有値を平均した雑音電力の推定値の2乗値σは次式で求められる。
本実施形態に係るアレーアンテナ装置100は上述のように、円形配列アレーアンテナ装置の1種であるが、その中央部に励振素子A0を有しているために、図5に示すように菱形のサブアレーセットを3対形成することができる。空間平均処理の方向によって、図5の各サブアレーセットを以下のように呼ぶこととする。
(1)図5(a)のサブアレーセット[SSP000]:励振素子A0と非励振素子A1,A2,A6からなる0度方向の菱形サブアレーSA11と、励振素子A0と非励振素子A3,A4,A5からなる180度方向の菱形サブアレーSA12とをいう。これら2つのサブアレーSA11,SA12は、図5(a)に示すように、互いに平行移動可能な関係を有している。
(2)図5(b)のサブアレーセット[SSP060]:励振素子A0と非励振素子A1,A2,A3からなる60度方向の菱形サブアレーSA21と、励振素子A0と非励振素子A4,A5,A6からなる240度方向の菱形サブアレーSA22とをいう。これら2つのサブアレーSA21,SA22は、図5(b)に示すように、互いに平行移動可能な関係を有している。
(3)図5(c)のサブアレーセット[SSP120]:励振素子A0と非励振素子A2,A3,A4からなる120度方向の菱形サブアレーSA31と、励振素子A0と非励振素子A5,A6,A1からなる300度方向の菱形サブアレーSA32とをいう。これら2つのサブアレーSA31,SA32は、図5(c)に示すように、互いに平行移動可能な関係を有している。
ところで、一般的に、空間平均法を用いる理由は、アレーアンテナ装置において相関性干渉波に対する抑圧効果を高めるためであり、本実施形態のような到来方向の推定においてもコヒーレント波に対して空間平均法を導入することは十分に有効であると考えられる。空間平均法の基本原理は、非特許文献11に開示されているように、相関のある波の位相関係(相互相関係数の位相)は受信位置で異なるので、受信点を適当に平行移動させて相関行列を求めれば、その平均効果により相互相関値が低下するというものである。その一般的な方法は、アレーを動かさずに全体のアレーから同じ配列を持つ部分アレー(サブアレー)を複数個取り出し、それらからの相関行列を平均する方法を取る。本実施形態では、図5のようにサブアレーセットを形成した。図5において互いに平行移動可能な1対の菱形のサブアレーにおける平行移動方向に対して空間平均処理を実行しており、当該平行移動方向に対して直交する方向からの干渉波についてはその直交性により検出不可能となり、抑圧できない。
本実施形態においては、次いで、相関行列Rxxの各要素の順序を空間平均処理が可能なように並び替える。例えば、図5(a)のサブアレーセット[SSP000]を用いて空間平均処理を行うためには、並び替え処理後の第1の相関行列をRxx (1)とおき、相関行列Rxxの第k列ベクトルをr(k=0,1,…,6)とし、相関行列Rxxの第k列の第m行目の要素をrmk(m=0,1,…,6;k=0,1,…,6)として次式のように並び替えをすればよい。
次いで、並び替え処理後の第1の相関行列Rxx (1)に公知のF/B空間平均処理を施して、当該F/B空間平均処理後の第1の相関行列Rfb (1)を次式のように得る。
ここで、上付きの*は複素共役であり、Jは次式で表される7次の正方行列である。
さらに、F/B空間平均処理後の第1の相関行列Rfb (1)の第1行から第4行までと第1列から第4列までからなる菱形サブアレーSA11の相関行列をRfb (1)(1:4,1:4)として表し、F/B空間平均処理後の第1の相関行列Rfb (1)の第4行から第7行までと第4列から第7列までからなる菱形サブアレーSA12の相関行列をRfb (1)(4:7,4:7)として表すと、2つの菱形サブアレーSA11,SA12からなるサブアレーセット[SSP000]についての空間平均された相関行列Rsub (1)は次式で表される。
同様にして、図5(b)のサブアレーセット[SSP060]においてF/B空間平均処理を行う第2の相関行列Rxx (2)と、図5(c)のサブアレーセット[SSP120]においてF/B空間平均処理を行う第3の相関行列Rxx (3)は次式の並び替えにより得られる。
ここで、
である。
ここで、
である。
すなわち、相関行列Rxxの「行」及び「列」をそれぞれ同じ順序に並び替えることにより、各サブアレーセットの相関行列を構成することができる。次いで、3つのサブアレーセットの相関行列Rxx (1),Rxx (2),Rxx (3)にそれぞれ、F/B空間平均処理法(例えば、非特許文献11参照。)による処理を実行し、さらに固有値分解を施すことにより固有値と固有ベクトルを計算し、当該固有値分解により得られた3つのサブアレーセットに対する固有ベクトルからなる行列E (1),E (2),E (3)に基づいて、対応する3つのサブアレーセットのMUSICスペクトラムPMUSIC (1)(θ),PMUSIC (2)(θ),PMUSIC (3)(θ)は次式で表される。
ここで、3つのサブアレーセットの方向ベクトルasub (1)(θ),asub (2)(θ),asub (3)(θ)は、上記数14の方向ベクトルa(θ)を次の数29で表すと、それぞれ次の数30乃至数32のように表すことができる。
ここで、各サブアレーセットに対する固有ベクトルからなる行列E (j)(j=1,2,3,)は、各サブアレーセットの相関行列Rsub (j)を固有値分解した後の雑音の固有ベクトルeL+1 (j),…,e (j)によって次式で表される。
上記数26乃至数28で求められるMUSICスペクトラムには、そのDOAの推定精度が電波到来角に依存するという問題があることが予想される。平行移動の方向とその逆方向から到来する波に対しては精度よく推定できるが、平行移動の軸方向に垂直な方向からの2波に対してはDOA推定ができない。そこで、上記数26乃至数28を組み合わせて到来角依存性を低減する形で空間平均適用時のMUSICスペクトラムを次式のように定義する。
上記数26乃至数28の分母を積の形式で結合するによってMUSICスペクトラムの発散点の和集合をとることができる。なお、本実施形態で用いるF/B空間平均処理の手順を図10に示し、詳細後述する。
図7は、上述したごとく、図1の電波到来方向探知コンピュータ20によって実行される、実施形態に係る電波到来方向推定処理を示すフローチャートである。図7のステップS1において、図8の等価ウエイト行列を校正して計算する処理を実行し、ステップS2において、図9の方位角推定処理を実行し、ステップS3において、図10の空間平均処理を実行して当該電波到来方向推定処理を終了する。
図8は図7のサブルーチンである等価ウエイト行列を校正して計算する処理(ステップS1)の詳細を示すフローチャートである。なお、リアクタンス値テーブルメモリ13には、図3に図示した放射パターンを順次設定するために、例えば、表1に示した7組のリアクタンス値セット(m=0,1,2,…,6)が格納されている。ただし、これは一例であって、少なくとも1組のオムニパターンと複数組のセクタパターンのリアクタンス値セットを含む、互いに異なる複数のリアクタンス値セットであってもよい。もしくは、オムニパターンを含まない、複数組のセクタパターンのリアクタンス値セットを含む、互いに異なる複数のリアクタンス値セットであってもよい。
図8のステップS11において、電波到来方向設定パラメータnを1に初期化し、ステップS12において、回転機構30を用いてアレーアンテナ装置100を、モータを用いて機械的に回転させて送信無線信号に対して到来角θ=30×(n−1)[度]となるように設定する。次いで、ステップS13において、放射パターンパラメータmを0に初期化し、ステップS14において、リアクタンス値コントローラ10を制御してリアクタンス値テーブルメモリ13からm番目のリアクタンス値セットを読み出してアレーアンテナ装置100の各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に設定する。そして、ステップS15において、受信信号y(t)を受信して電波到来方向探知コンピュータ20内の一時記憶メモリに格納し、ステップS16において放射パターンパラメータm≧6であるか否かが判断され、NOであるときは、ステップS17で放射パターンパラメータmを1だけインクリメントした後、ステップS14に戻る。一方、ステップS16でYESであるときは、ステップS18に進む。
次いで、ステップS18で一時記憶メモリに格納された7個の受信信号y(t)を数7のように受信信号ベクトルとして電波到来方向探知コンピュータ20内の一時記憶メモリに格納し、ステップS19で、受信信号ベクトルに基づいて数8を用いて相関行列Ryyを計算し、固有値分解法を用いて受信信号に対する複数の固有値及び複数の固有ベクトルを計算する。さらに、ステップS20において、計算された複数の固有ベクトルのうち信号の固有値(最大の固有値)に対応する固有ベクトルをe (n)とし、ステップS21において電波到来方向設定パラメータn≧12であるか否かが判断され、NOのときはステップS22に進み、電波到来方向設定パラメータnを1だけインクリメントした後、ステップS12に戻る。一方、ステップS21でYESであるときは、ステップS23に進み、得られた信号固有ベクトルからなる行列Eと、各放射パターンのステアリングベクトルからなるステアリング行列Aとに基づいて、数11に基づく数12を用いて校正された等価ウエイト行列Wを推定して計算して、元のメインルーチンに戻る。
図9は図7のサブルーチンである方位角推定処理(ステップS2)の詳細を示すフローチャートである。
図9のステップS31において、放射パターンパラメータmを0に初期化し、ステップS32において、リアクタンス値コントローラ10を制御してリアクタンス値テーブルメモリ13からm番目のリアクタンス値セットを読み出してアレーアンテナ装置100の各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に設定する。次いで、ステップS33において、受信信号y(t)を受信して電波到来方向探知コンピュータ20内の一時記憶メモリに格納し、ステップS34において放射パターンパラメータm≧6であるか否かが判断され、NOであるときは、ステップS35で放射パターンパラメータmを1だけインクリメントした後、ステップS32に戻る。一方、ステップS34でYESであるときは、ステップS36に進む。
次いで、ステップS36で一時記憶メモリに格納された7個の受信信号y(t)を数7のように受信信号ベクトルとして電波到来方向探知コンピュータ20内の一時記憶メモリに格納し、ステップS37で、受信信号ベクトルに基づいて数8を用いて相関行列Ryyを計算し、相関行列Ryyを固有値分解法を用いて固有値分解することにより受信信号に対する7個の固有値及び7個の固有ベクトルを計算する。なお、ステップS37では、受信信号に対する7個の固有値及び7個の固有ベクトルを計算しているが、以降の計算では、少なくとも固有ベクトルのみを用いるので、それのみ計算すればよい。さらに、ステップS38において、上記計算された雑音の固有ベクトルに基づいて、数9及び数10を用いてMUSICスペクトラムを計算し、その値のピーク値に対応する方位角を到来角(DOA)として推定し、CRTディスプレイ21に出力して表示して、元のメインルーチンに戻る。
図10は図7のサブルーチンである空間平均処理(ステップS3)の詳細を示すフローチャートである。
図10のステップS51において、計算された雑音の固有値λ(i=L+1,…,7)に基づいて、数16を用いて平均化した雑音電力の推定値σを計算し、ステップS52において相関行列Ryyと雑音電力の推定値σに基づいて、数15を用いて素子空間に変換された相関行列Rxxに変換して求める。次いで、ステップS53において、求められた相関行列Rxxの各要素に基づいて、数17,数18,数22乃至数25を用いて相関行列Rxx (j)(j=1,2,3)の並べ替え処理を実行し、ステップS54において並べ替え処理後の相関行列Rxx (j)(j=1,2,3)に対して、数21などを用いてF/B相関空間平均法を適用した後、固有値分解して固有値及び固有ベクトルを計算し、当該固有ベクトルからなる行列E (j)(j=1,2,3)を計算する。さらに、ステップS55において、計算された、固有ベクトルからなる行列E (j)(j=1,2,3)に基づいて、数26,数27,数28を用いて、3組の個々のMUSICスペクトラムPMUSIC (j)(θ)(j=1,2,3)を計算し、それをCRTディスプレイ21に表示するとともに、その値のピーク値に対応する方位角を到来角(DOA)として推定し、CRTディスプレイ21に表示する。最後に、ステップS56において、計算されたMUSICスペクトラムPMUSIC (j)(θ)(j=1,2,3)に基づいて、数34を用いて合成されたMUSICスペクトラムPMUSIC(θ)を計算し、それをCRTディスプレイ21に表示するとともに、その値のピーク値に対応する方位角を到来角(DOA)として推定し、CRTディスプレイ21に表示して元のメインルーチンに戻る。
以上の実施形態においては、図9の方位角推定処理において、ステップS41で空間平均処理前のMUSICスペクトラムを計算し、図10のステップS55において各サブアレーセットについてのMUSICスペクトラムを計算しているが、本発明はこれに限らず、空間平均処理後の上記数34を用いて合成されたMUSICスペクトラムのみを計算する場合は、これらの計算を省略してもよい。また、各サブアレーセットについてのMUSICスペクトラムを計算し、これに基づいて到来角を計算してもよい。
以上の実施形態においては、図5のサブアレーセットを用いて空間平均処理を行っているが、本発明はこれに限らず、以下に示すように図6のサブアレーセットを用いて空間平均処理を実行してもよい。
図6(a)の三角形のサブアレーセット[SSA030]では、励振素子A0と2つの非励振素子A1,A2からなる三角形のサブアレーSA41と、励振素子A0と2つの非励振素子A3,A4からなる三角形のサブアレーSA42とは互いに平行移動可能な関係にあり、1組のサブアレーセットを形成している。また、サブアレーSA42と、励振素子A0と2つの非励振素子A5,A6からなる三角形のサブアレーSA43とは互いに平行移動可能な関係にあり、1組のサブアレーセットを形成している。さらに、サブアレーSA43と、サブアレーSA41とは互いに平行移動可能な関係にあり、1組のサブアレーセットを形成している。
図6(b)の三角形のサブアレーセット[SSA090]では、励振素子A0と2つの非励振素子A2,A3からなる三角形のサブアレーSA51と、励振素子A0と2つの非励振素子A4,A5からなる三角形のサブアレーSA52とは互いに平行移動可能な関係にあり、1組のサブアレーセットを形成している。また、サブアレーSA52と、励振素子A0と2つの非励振素子A6,A1からなる三角形のサブアレーSA53とは互いに平行移動可能な関係にあり、1組のサブアレーセットを形成している。さらに、サブアレーSA53とサブアレーSA51とは互いに平行移動可能な関係にあり、1組のサブアレーセットを形成している。
以上の実施形態及び変形例においては、図1のアレーアンテナ装置100を用いて空間平均処理を実行しているが、本発明はこれに限らず、アレーアンテナ装置100の非励振素子A1乃至A6も励振素子とした7素子(中央の励振素子A0と、6本の周囲の励振素子からなる)の円形配列アレーアンテナ装置を用いて、本実施形態と同様に、以下のように空間平均処理を用いて電波到来方向を推定することができる。この円形配列アレーアンテナ装置における受信信号z(t)は7個の励振素子A0乃至A6によりそれぞれ受信された7個の受信信号からなる受信信号ベクトルにてなり、到来波環境を上記数7と同様であるとすると、次式で表される。
その受信信号ベクトルz(t)の相関行列Rzzは次式で表される。
従って、相関行列Rzzは7次の正方行列となる。従って、この相関行列Rzzに上記数17乃至数34を適用することにより、上述と同様の空間平均処理の論理が成り立つ。すなわち、菱形サブアレー又は三角形サブアレーへの相関行列要素の並び替えや3組のF/B空間平均処理を適用することができる。この場合においては、上記数36により上記数8に対応する相関行列Rzzを計算できるので、図8のステップS11から図9のステップS36までの処理を省略できる。
本発明者らは、図7に示した、空間平均処理を含む電波探知方向推定処理について、試作した実験システムを用いて以下のごとく検証実験を行った。
本実施例における実験環境を図11に示す。実験は電波暗室200内で行った。受信アンテナとしてのアレーアンテナ装置100から見て0度方向にホーンアンテナHA1を置き、90度方向、225度方向、270度方向及び315度方向にそれぞれ八木アンテナYA1,YA2,YA3,YA4を設置している。ただし、0度方向以外の、八木アンテナYA1,YA2,YA3,YA4を設置した角度に関しては、十分な精度での設置ができておらず、数度の角度誤差を含んでいる場合があることを考慮する必要がある。ホーンアンテナHA1と八木アンテナYA1,YA2,YA3,YA4からはそれぞれ信号発生器SG1,SG2からの無相関のM系列PNシーケンス信号でBPSK変調された無線信号を送信している。八木アンテナYA1,YA2,YA3,YA4相互間では同一のPN符号を送信しており、実環境における直接波と短遅延の反射波のようなコヒーレント波を模擬している。送信アンテナと受信アンテナ間の距離は異なっているが、受信アンテナであるアレーアンテナ装置100の中央素子A0において等電力となるように送信電力を調節している。受信アンテナのアレーアンテナ装置100に同時に到来する波は2波までとする。従って、0度方向ホーンアンテナHA1とその他の八木アンテナYA1,YA2,YA3,YA4間では無相関2波の到来方向推定実験が可能であり、任意の八木アンテナYA1,YA2,YA3,YA4の対では互いにコヒーレントな2方向の電波(コヒーレントな2波)の到来方向推定実験が可能となる。本実施例における実験条件を表2にまとめて示す。
まず、無相関2波の到来方向推定実験の実験結果について以下に説明する。まず最初に、0度方向と225度方向から到来する無相関2波のDOA推定実験を行い、その結果を図12に示す。図中の矢印は225度方向を示している。このときのMUSICスペクトラムはF/B空間平均処理を行わずに求められたものである。0度方向付近及び225度付近にピークが見られ到来方向を推定している様子が分かる。2波の到来角には大きな角度差があり2波を十分に分離できている。得られたMUSICスペクトラムにおいて、0度方向付近のピーク値は1度方向に18.3dBで現れ、225度方向付近のピーク値は228度方向に25.2dBで現れている。
次に、2波の到来角が接近している場合のDOA推定実験を行い、その結果を図13に示す。到来角は0度及び315度である。図中の矢印は315度方向を示している。この場合にも0度方向付近及び315度付近にピークが見られ到来方向を推定しており、角度差45度の場合にも2波を分離可能であることが分かる。得られたMUSICスペクトラムにおいて、0度方向付近のピーク値は2度方向に20.7dBであり、315度方向付近のピーク値は314度方向に21.6dBである。なお、シミュレーションでは2波の到来角度差が10度程度の場合でも2波を分離できることを確認している。
次いで、八木アンテナの対による互いにコヒーレンな2方向からの電波の到来方向推定実験の結果を以下に示す。生成した相関行列に対してF/B空間平均処理を施しており、MUSICスペクトラムは「空間平均を適用しない場合」、「3組の空間平均の結果を個々に表示した場合(図10のステップS55における個々のMUSICスペクトラム)」、「3組の空間平均の結果を合成した場合(図10のステップS56における合成されたMUSICスペクトラム)」に分けて表示した。
まず到来角90度及び270度の場合である。図14の「空間平均を適用しない場合」では2波の相関が高いために2波が分離できていない様子が分かる。図15の「3組の空間平均の結果を個々に表示した場合」では、サブアレーセット[SSP060]及び[SSP120]の場合にピークが出現しており、サブアレーセット[SSP000]の場合にはDOAの推定ができていない。これは、図5(a)に示すように0度方向と180度方向の菱形のサブアレーによる空間平均処理では、D0A=90度、270度の2波に対して位相差を生じさせることができないからである。このような空間平均処理における角度依存性を低減するために、3組のF/B空間平均処理を適用する。また、図16の「3組の空間平均の結果を合成した場合」では90度方向と270度方向にピークが出現しており、本実施形態に係る方法によって互いにコヒーレントな2方向からの電波の到来方向推定が可能であることを示している。図16のMUSICスペクトラムにおいては、90度方向付近のピーク値は90度方向に58.4dBであり、270度方向付近のピーク値は272度方向に52.3dBである。
次に、互いにコヒーレントな2方向からの電波の到来角が接近している場合のDOA推定実験を行い、その結果を図17、図18及び図19に示す。到来角は270度及び315度であり、角度差が45度の場合である。図18から特筆すべき点は、ピーク値の位置が到来方向から7度程度の誤差をもっているものの、2波の到来角が45度に接近している場合にも、サブアレーセット[SSP060]及び[SSP120]の空間平均処理後のMUSICスペクトラムでは、35dBを超える2つのピーク値が出現している点である。その結果として図19の「3組の空間平均の結果を合成した場合」のMUSICスペクトラムにおいて、270度方向付近には266度方向に97.6dBのピーク値を、315度方向付近には322度方向に104.8dBのピークを見出すことができる。ただし、当該条件の試行において毎回2つのピーク値が検出できるわけではなく、2波が分離できない場合もある。2つのピーク値が検出できる割合は全試行のうち5割程度であり、残りの試行においては2波が分離できず、270度方向と315度方向の中間に1つのピーク値をもつようなMUSICスペクトラムが得られる場合がある。また3つ以上のピーク値が検出される場合もある。
さらに、計算機シミュレーションによる定性的評価の結果について以下に示す。上述のように、接近して到来する互いにコヒーレントな2方向からの電波に対して本実施形態に係る方法の空間平均処理を適用した場合には到来方向推定精度の不安定性が起こる。この不安定性について定性的に評価するために、計算機シミュレーションによって上述の実験と同様の条件にて検証を行った。ここで、入力SNR=20dB、系列長P=1000シンボルである。等価ウエイト行列の校正処理を行った後、図19のように270度方向及び315度方向から、互いにコヒーレントな2方向からの電波を到来させて3組のF/B空間平均処理を施した。図20はその3組のスペクトラムを合成したものである。図20のMUSICスペクトラムにおいては、図19に比較して精度よく到来方向を推定しているが、実験と同様に2つのピーク値が検出できる割合は全試行のうち5割程度である。従って、実験において見受けられた到来方向推定の不安定性は実験環境に起因するものではなく、本実施形態に係る方法の分解能に関わる性質であると考えられる。なお、より理想的な条件下では確率は向上するものと考えられる。
以上説明したように、本実施例によれば、図5のサブアレーセットを利用し3組のF/B空間平均処理を施して、互いにコヒーレントな2方向からの電波(コヒーレントな2波)の到来方向推定実験を行い、当該2波の到来方向に分解能以上の角度差がある場合に当該2波を分離して2つのピーク値を検出できることを示した。また、互いにコヒーレントな2方向からの電波(コヒーレントな2波)が近接して到来する場合(角度差:45度)には試行回数に対して5割程度の割合で2つのピークを検出できることが分かった。同様の結果が計算機シミュレーションからも認められ、本実施形態に係る方法であるアレーアンテナ装置100によるF/B空間平均法は当該コヒーレントな2波の到来方向推定に関して、5割程度の割合で45度程度の分解能をもつと考えられる。
以上の実施形態や実施例では、互いにコヒーレントな2方向からの電波(コヒーレントな2波)の到来方向推定を行っているが、本実施形態では、複数の方向からの電波の到来方向を推定できる。
変形例.
以上の実施形態においては、接地導体11の平面上での方位角θに関する1次元の到来方向を検出する電波到来方向探知装置について説明しているが、以下の方法を用いることにより、上記方位角θと、接地導体11の平面からの仰角φとに関する2次元の到来方向を検出することができる。以下、変形例における実施形態との相違点について説明する。
まず、2次元の到来方向を検出するときのステアリング行列Aは次式で表される。
また、a(θ,φ)は方位角θ及び仰角φ(l=1,2,…,L)における方向ベクトルである。さらに、相関行列と固有ベクトルの関係から、複数の受信信号から検出した複数のシーケンス信号間の相関行列Ryyは次式で表される。
ここで、相関行列Ryyを固有値分解することにより7個の固有値と7個の固有ベクトルを得ることができる。アレーアンテナ装置100のMUSICスペクトラムは等価ウエイト行列を用いて、次式で表される。
ここで、
である。
また、電波到来方向が既知であるため、その方向の方向ベクトルも既知なので、次式が成立する。
ここで、上述の校正手順で計算された各方位角での最大値の固有値からなる固有ベクトル
[数式3]
[e (1) (2) … e (12)
を行列Eと置き換え、各方位角毎のステアリングベクトルからなるステアリング行列
[数式4]
[a(θ,φ) a(θ,φ) … a(θ12,φ12)]
を行列Aと置き換えると、等価ウエイト行列Wは上記数12で表される。なお、アレーアンテナ装置100の方向ベクトルa(θ,φ)は次式で表される。
さらに、3つのサブアレーセットの相関行列Rxx (1),Rxx (2),Rxx (3)にそれぞれ、F/B空間平均処理法による処理を実行し、さらに固有値分解を施すことにより固有値と固有ベクトルを計算し、当該固有値分解により得られた3つのサブアレーセットに対する固有ベクトルからなる行列E (1),E (2),E (3)に基づいて、対応する3つのサブアレーセットのMUSICスペクトラムPMUSIC (1)(θ,φ),PMUSIC (2)(θ,φ),PMUSIC (3)(θ,φ)は次式で表される。
ここで、3つのサブアレーセットの方向ベクトルasub (1)(θ,φ),asub (2)(θ,φ),asub (3)(θ,φ)は、上記数42の方向ベクトルa(θ)を次の数46で表すと、それぞれ次の数47乃至数49のように表すことができる。
さらに、上記数43乃至数45を組み合わせて到来角依存性を低減する形で空間平均適用時のMUSICスペクトラムを次式のように定義する。
図21は変形例に係る電波到来方向探知装置によって実行される、電波到来方向推定処理を示すフローチャートである。図21の電波到来方向推定処理は、図7に比較して、ステップS1に代えて、ステップS1Aで等価ウエイト行列を校正して計算する処理を実行し、ステップS2に代えて、ステップ2Aで方位角及び仰角推定処理を実行し、ステップS3に代えて、ステップS3Aで空間平均処理を実行することを特徴としている。
図22は図21のサブルーチンである等価ウエイト行列を校正して計算する処理(ステップS1A)の詳細を示すフローチャートである。当該校正して計算する処理は、図8に比較して、以下の点が異なる。
(1)ステップS19に代えて、ステップS19Aにおいて、受信信号ベクトルに基づいて上記数38を用いて相関行列Ryyを計算し、固有値分解法を用いて受信信号に対する複数の固有値及び複数の固有ベクトルを計算する。
(2)ステップS23に代えて、ステップS23Aにおいて、得られた信号固有ベクトルからなる行列Eと、各放射パターンのステアリングベクトルからなるステアリング行列Aとに基づいて、数41に基づく数12を用いて校正された等価ウエイト行列Wを推定して計算して、元のメインルーチンに戻る。
図23は図21のサブルーチンである方位角及び仰角推定処理(ステップS2A)の詳細を示すフローチャートである。図23の方位角及び仰角推定処理は、図9に比較して、以下の点が異なる。
(1)ステップS37に代えて、ステップS37Aにおいて、受信信号ベクトルに基づいて数38を用いて相関行列Ryyを計算し、相関行列Ryyを固有値分解法を用いて固有値分解することにより受信信号に対する7個の固有値及び7個の固有ベクトルを計算する。
(2)ステップS38に代えて、ステップS38Aにおいて、上記計算された雑音の固有ベクトルに基づいて、数39及び数40を用いてMUSICスペクトラムを計算し、その値のピーク値に対応する方位角を到来角(DOA)として推定し、CRTディスプレイ21に出力して表示する。
図24は図21のサブルーチンである空間平均処理(ステップS3A)の詳細を示すフローチャートである。図24の空間平均処理は、図10に比較して、以下の点が異なる。
(1)ステップS55に代えて、ステップS55Aにおいて、計算された、固有ベクトルからなる行列E (j)(j=1,2,3)に基づいて、数43,数44,数45を用いて、3組の個々のMUSICスペクトラムPMUSIC (j)(θ)(j=1,2,3)を計算し、それをCRTディスプレイ21に表示するとともに、その値のピーク値に対応する方位角を到来角(DOA)として推定し、CRTディスプレイ21に表示する。
(2)ステップS56に代えて、ステップS56Aにおいて、計算されたMUSICスペクトラムPMUSIC (j)(θ)(j=1,2,3)に基づいて、数50を用いて合成されたMUSICスペクトラムPMUSIC(θ)を計算し、それをCRTディスプレイ21に表示するとともに、その値のピーク値に対応する方位角を到来角(DOA)として推定し、CRTディスプレイ21に表示する。
図25は変形例に係る電波到来方向探知装置によるシミュレーション結果であって、互いにコヒーレントな2波を受信したときであって、空間平均処理を実行せずに電波到来方向推定処理を実行したときの2次元の到来方向のMUSICスペクトラムを示すグラフである。図25から明らかなように、互いにコヒーレントな2波(θ=250゜,φ=60゜)(θ=130゜,φ=20゜)を受信した場合に、空間平均処理を実行していないので、全く電波到来方向を検出できていない。
図26は変形例に係る電波到来方向探知装置によるシミュレーション結果であって、互いにコヒーレントな2波を受信したときであって、空間平均処理を実行して電波到来方向推定処理を実行したときの2次元の到来方向のMUSICスペクトラムを示すグラフである。図26では、空間平均処理を実行したので、互いにコヒーレントな2波(θ=250゜,φ=60゜)(θ=130゜,φ=20゜)を受信した場合に、きわめて高精度で2次元で電波到来方向を検出することができることがわかる。
本発明の実施形態に係る電波到来方向探知装置の構成を示すブロック図である。 本実施形態に係るアレーアンテナ装置100の詳細な構成を示す断面図である。 本実施形態に係るアレーアンテナ装置100で受信される、周期的シーケンス信号を含む無線信号と、受信指向性パターンとを示す平面図である。 本実施形態で用いる、周期的シーケンス信号系列を示すタイミングチャートである。 本実施形態に係る空間平均処理において用いる3組のサブアレーセットであって、(a)はサブアレーSA11とサブアレーSA12とからなるサブアレーセット[SSP000]を示す平面図であり、(b)はサブアレーSA21とサブアレーSA22とからなるサブアレーセット[SSP060]を示す平面図であり、(c)はサブアレーSA31とサブアレーSA32とからなるサブアレーセット[SSP120]を示す平面図である。 変形例に係る空間平均処理において用いる2組のサブアレーセットであって、(a)はサブアレーSA41とサブアレーSA42とサブアレーSA43とからなるサブアレーセット[SSA030]を示す平面図であり、(b)はサブアレーSA51とサブアレーSA52とサブアレーSA53とからなるサブアレーセット[SSA090]を示す平面図である。 本実施形態に係る電波到来方向探知コンピュータ20によって実行される、実施形態に係る電波到来方向推定処理を示すフローチャートである。 図7のサブルーチンである等価ウエイト行列を校正して計算する処理(ステップS1)の詳細を示すフローチャートである。 図7のサブルーチンである方位角推定処理(ステップS2)の詳細を示すフローチャートである。 図7のサブルーチンである空間平均処理(ステップS3)の詳細を示すフローチャートである。 実施例で用いる電波暗室における実験システムの構成を示すブロック図である。 本実施例において0度方向と225度方向から到来する、無相関2波のDOA推定実験におけるMUSICスペクトラムを示すグラフである。 本実施例において到来角度差45度の無相関2波のDOA推定実験におけるMUSICスペクトラムを示すグラフである。 本実施例において90度方向と270度方向から到来する、互いにコヒーレントな2方向からの電波のDOA推定実験で「空間平均を適用しない場合」におけるMUSICスペクトラムを示すグラフである。 本実施例において90度方向と270度方向から到来する、互いにコヒーレントな2方向からの電波のDOA推定実験で「3組の空間平均の結果を個々に表示した場合」におけるMUSICスペクトラムを示すグラフである。 本実施例において90度方向と270度方向から到来する、互いにコヒーレントな2方向からの電波のDOA推定実験で「3組の空間平均の結果を合成した場合」におけるMUSICスペクトラムを示すグラフである。 本実施例において270度方向と315度方向から到来する、互いにコヒーレントな2方向からの電波のDOA推定実験で「空間平均を適用しない場合」におけるMUSICスペクトラムを示すグラフである。 本実施例において270度方向と315度方向から到来する、互いにコヒーレントな2方向からの電波のDOA推定実験で「3組の空間平均の結果を個々に表示した場合」におけるMUSICスペクトラムを示すグラフである。 本実施例において270度方向と315度方向から到来する、互いにコヒーレントな2方向からの電波のDOA推定実験で「3組の空間平均の結果を合成した場合」におけるMUSICスペクトラムを示すグラフである。 本実施例に係る計算機シミュレーションによる270度方向と315度方向から到来する、互いにコヒーレントな2方向からの電波のDOA推定実験で「3組の空間平均の結果を合成した場合」におけるMUSICスペクトラムを示すグラフである。 変形例に係る電波到来方向探知装置によって実行される、電波到来方向推定処理を示すフローチャートである。 図21のサブルーチンである等価ウエイト行列を校正して計算する処理(ステップS1A)の詳細を示すフローチャートである。 図21のサブルーチンである方位角及び仰角推定処理(ステップS2A)の詳細を示すフローチャートである。 図21のサブルーチンである空間平均処理(ステップS3A)の詳細を示すフローチャートである。 変形例に係る電波到来方向探知装置によるシミュレーション結果であって、互いにコヒーレントな2波を受信したときであって、空間平均処理を実行せずに電波到来方向推定処理を実行したときの2次元の到来方向のMUSICスペクトラムを示すグラフである。 変形例に係る電波到来方向探知装置によるシミュレーション結果であって、互いにコヒーレントな2波を受信したときであって、空間平均処理を実行して電波到来方向推定処理を実行したときの2次元の到来方向のMUSICスペクトラムを示すグラフである。
符号の説明
A0…励振素子、
A1乃至A6…非励振素子、
1…低雑音増幅器(LNA)、
2…ダウンコンバータ、
2a…局部発振器、
2b…混合器、
2c…中間周波帯域通過フィルタ、
3…A/D変換器、
4…無線受信機、
5…混合器回路、
7…コントローラ、
9…同軸ケーブル、
10…リアクタンス値コントローラ、
11…接地導体、
12−1乃至12−6…可変リアクタンス素子、
13…リアクタンス値テーブルメモリ、
20…電波到来方向探知コンピュータ、
21…CRTディスプレイ、
30…回転機構、
100…アレーアンテナ装置、
200…電波暗室、
HA1…ホーンアンテナ、
YA1,YA2,YA3,YA4…八木アンテナ、
SG1,SG2…信号発生器。

Claims (9)

  1. 無線信号を受信するための励振素子と、上記励振素子から所定の間隔だけ離れて設けられた6本の非励振素子と、上記各非励振素子にそれぞれ接続された可変リアクタンス素子とを備え、上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を変化させることにより、上記各非励振素子をそれぞれ導波器又は反射器として動作させて指向特性を変化させるアレーアンテナを用いた電波到来方向探知方法において、
    上記アレーアンテナの互いに異なる複数の放射パターンの各可変リアクタンス素子のリアクタンス値の複数のセットとによりそれぞれ設定された互いに異なる複数の放射パターンの状態において上記アレーアンテナで受信し、上記受信された各受信信号を検出し、上記検出された複数の受信信号間の相関を示す相関行列Ryyを計算し、上記計算された相関行列Ryyに基づいて固有値分解法を用いて各方位角毎の受信信号に対する固有値及び固有ベクトルを計算し、上記各方位角の方向毎の最大値の固有値に対応する固有ベクトルを用いて、上記アレーアンテナの各可変リアクタンス素子による放射パターンの各方向ベクトルに対する重み付けを表す等価的なベクトルからなる等価ウエイト行列を校正するステップと、
    上記互いに異なる可変リアクタンス素子のリアクタンス値の複数のセットをそれぞれ設定したときに上記アレーアンテナによって受信される各受信信号を検出し、上記複数の受信信号間の相関を表す相関行列Ryyを計算し、上記計算された各相関行列Ryyを固有値分解して上記各相関行列Ryyの固有値を計算するステップと、
    上記計算された各相関行列Ryyの固有値と、上記校正された等価ウエイト行列とに基づいて、上記アレーアンテナの素子空間に変換された相関行列Rxxを計算し、上記計算された相関行列Rxxに基づいて、上記アレーアンテナにおいて互いに平行移動可能な1対のサブアレーの複数のセットのうちの各セットに対する相関行列Rxx (j)を計算し、上記計算された各セットに対する相関行列Rxx (j)に対して空間平均法の処理を適用した後固有値分解して各セットに対する固有値及び固有ベクトルを計算し、上記計算された各セットに対する固有値及び固有ベクトルに基づいてMUSIC(MUltiple SIgnal Classification)法を用いて各セットに対するMUSICスペクトルを計算し、上記計算された各セットに対するMUSICスペクトルに基づいて上記アレーアンテナによって受信された受信信号の到来方向を計算するステップとを含むことを特徴とする電波到来方向探知方法。
  2. 上記計算された各セットに対するMUSICスペクトルの積を計算することにより合成されたMUSICスペクトラムを計算し、上記計算された合成されたMUSICスペクトラムに基づいて上記アレーアンテナによって受信された受信信号の到来方向を計算するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の電波到来方向探知方法。
  3. 上記アレーアンテナにおいて互いに平行移動可能な1対のサブアレーの複数のセットは、それぞれ1本の励振素子と3本の非励振素子により形成される1対の菱形のサブアレーの3組のセットであることを特徴とする請求項1又は2記載の電波到来方向探知方法。
  4. 上記アレーアンテナにおいて互いに平行移動可能な1対のサブアレーの複数のセットは、それぞれ1本の励振素子と2本の非励振素子により形成される1対の三角形のサブアレーの6組のセットであることを特徴とする請求項1又は2記載の電波到来方向探知方法。
  5. 無線信号を受信するための中央の励振素子と、上記中央の励振素子から同一の間隔だけ離れて設けられ、上記受信信号を受信するための6本の周囲の励振素子とを備えたアレーアンテナを用いた電波到来方向探知方法において、
    上記7本の励振素子からなるアレーアンテナで受信し、上記各励振素子でそれぞれ受信された各受信信号を検出し、上記検出された複数の受信信号間の相関を示す相関行列Rzzを計算するステップと、
    上記計算された相関行列Rzzに基づいて、上記アレーアンテナにおいて互いに平行移動可能な1対のサブアレーの複数のセットのうちの各セットに対する相関行列Rzz (j)を計算し、上記計算された各セットに対する相関行列Rzz (j)に対して空間平均法の処理を適用した後固有値分解して各セットに対する固有値及び固有ベクトルを計算し、上記計算された各セットに対する固有値及び固有ベクトルに基づいてMUSIC(MUltiple SIgnal Classification)法を用いて各セットに対するMUSICスペクトルを計算し、上記計算された各セットに対するMUSICスペクトルに基づいて上記アレーアンテナによって受信された受信信号の到来方向を計算するステップとを含むことを特徴とする電波到来方向探知方法。
  6. 上記計算された各セットに対するMUSICスペクトルの積を計算することにより合成されたMUSICスペクトラムを計算し、上記計算された合成されたMUSICスペクトラムに基づいて上記アレーアンテナによって受信された受信信号の到来方向を計算するステップをさらに含むことを特徴とする請求項5記載の電波到来方向探知方法。
  7. 上記アレーアンテナにおいて互いに平行移動可能な1対のサブアレーの複数のセットは、それぞれ中央の励振素子と3本の周囲の励振素子により形成される1対の菱形のサブアレーの3組のセットであることを特徴とする請求項5又は6記載の電波到来方向探知方法。
  8. 上記アレーアンテナにおいて互いに平行移動可能な1対のサブアレーの複数のセットは、それぞれ中央の励振素子と2本の周囲の励振素子により形成される1対の三角形のサブアレーの6組のセットであることを特徴とする請求項5又は6記載の電波到来方向探知方法。
  9. 上記到来方向は、1次元又は2次元の到来方向であり、上記接地導体の平面上の方位角と、上記接地導体からの仰角との少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1乃至8のうちのいずれか1つに記載の電波到来方向探知方法。
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