JP3867069B2 - 電波到来方向探知方法及び装置 - Google Patents

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Description

本発明は、複数のアンテナ素子からなるアレーアンテナ装置の指向特性を変化させることができるアレーアンテナを用いた電波到来方向探知方法及び装置に関し、特に、電子制御導波器アレーアンテナ装置(Electronically Steerable Passive Array Radiator (ESPAR) Antenna)の指向特性を適応的に変化させることができるアレーアンテナを用いた電波到来方向探知方法及び装置に関する。
従来技術の電子制御導波器アレーアンテナ装置は、例えば、非特許文献1や特許文献1において提案されている。この電子制御導波器アレーアンテナ装置は、無線信号が給電される励振素子と、この励振素子から所定の間隔だけ離れて設けられ、無線信号が給電されない少なくとも1個の非励振素子と、この非励振素子に接続された可変リアクタンス素子とから成るアレーアンテナを備え、上記可変リアクタンス素子のリアクタンス値を変化させることにより、上記アレーアンテナの指向特性を変化させることができる。
この電子制御導波器アレーアンテナ装置を用いた電波到来方向探知装置として、特許文献2(以下、従来例という。)において提案されている。この従来例では、「発信装置から放射された発信パルスの電波を、探知装置の受信ビーム方向をすべての方位角にわたって変化させて受信して最大の受信信号強度を検出することにより電波到来方向を検出する電波到来方向探知装置において、上記発信パルスのパルス幅は、探知装置の受信ビーム方向をすべての方位角にわたって変化させて受信して最大の受信信号強度を検出する処理に係る時間以上に設定され、上記発信パルスの立ち上がりを検出し、当該検出時点から探知装置の受信ビーム方向をすべての方位角にわたって変化させて受信して最大の受信信号強度を検出することにより電波到来方向を検出する制御手段を備えた電波到来方向探知装置」が開示されている。従って、発信パルスのパルス幅は、受信ビーム方向をすべての方位角にわたって変化させて受信して最大の受信信号強度を検出することにより電波到来方向を検出する処理に係る時間を含み、必ず、発信装置の方向である最大の強度値の方向(すなわち、電波到来方向)を含む。それ故、最大の受信信号強度の方向を常に正確に検出することができるという特有の効果を有している。
特開2001−024431号公報。 特開2003−114268号公報。 T. Ohira et al., "Electronically steerable passive array radiator antennas for low-cost analog adaptive beamforming," 2000 IEEE International Conference on Phased Array System & Technology pp. 101-104, Dana point, California, May 21-25, 2000。 Ralph O. Schmidt, "Multiple Emitter Location and Signal Parameter Estimation", IEEE Transactions on Antennas and Propagation, Vol. AP-34, No. 3, March 1986。 大平孝,"エスパアンテナの主ビームを所望方法へ形成するためのリアクタンスを簡単に求める方法:準同期合成と最急勾配法",電子情報通信学会研究技術報告,電子情報通信学会発行,AP2001−48,pp.1−6,2001年7月。
しかしながら、この従来例では、電波到来方向の検出精度が低く、かつ複数の無線信号の電波到来方向を検出できないという問題点があった。また、2次元で電波到来方向を検出できなかった。
本発明の目的は以上の問題点を解決し、従来例に比較して高い検出精度で、複数の無線信号の電波到来方向を1次元又は2次元で同時に検出できる電波到来方向探知方法及び装置を提供することにある。
第1の発明に係る電波到来方向探知方法は、無線信号を受信するための励振素子と、上記励振素子から所定の間隔だけ離れて設けられた複数の非励振素子と、上記各非励振素子にそれぞれ接続された可変リアクタンス素子とを備え、上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を変化させることにより、上記各非励振素子をそれぞれ導波器又は反射器として動作させ、アレーアンテナの指向特性を変化させるアレーアンテナを用いた電波到来方向探知方法であって、
上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値に対して互いに異なるリアクタンス値の複数のセットをそれぞれ設定したときに、送信側から送信される無線信号を上記アレーアンテナにより受信することにより、上記複数のセットにそれぞれ対応する複数の無線信号y(t)を受信して検出し、上記各受信信号に基づく相関行列Ryyを計算し、上記計算された相関行列Ryyを固有値分解して上記相関行列Ryyの固有ベクトルを計算し、上記計算された固有ベクトルに基づいて、MUSIC(MUltiple SIgnal Classification)法を用いてMUSICスペクトラムを計算し、上記計算されたMUSICスペクトラムに基づいて上記アレーアンテナによって受信された受信信号の到来方向を計算するステップを含むことを特徴とする。
上記電波到来方向探知方法において、上記アレーアンテナの上記励振素子及び上記各非励振素子はそれぞれ、接地導体上に当該接地導体とは電気的に絶縁されて立設するように設けられ、上記到来方向は、1次元又は2次元の到来方向であり、上記接地導体の平面上の方位角と、上記接地導体からの仰角との少なくとも一方を含むことを特徴とする。
第2の発明に係る電波到来方向探知装置は、無線信号を受信するための励振素子と、上記励振素子から所定の間隔だけ離れて設けられた複数の非励振素子と、上記各非励振素子にそれぞれ接続された可変リアクタンス素子とを備え、上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を変化させることにより、上記各非励振素子をそれぞれ導波器又は反射器として動作させ、アレーアンテナの指向特性を変化させるアレーアンテナを用いた電波到来方向探知装置であって、
上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値に対して互いに異なるリアクタンス値の複数のセットをそれぞれ設定したときに、送信側から送信される無線信号を上記アレーアンテナにより受信することにより、上記複数のセットにそれぞれ対応する複数の無線信号y(t)を受信して検出し、上記各受信信号に基づく相関行列Ryyを計算し、上記計算された相関行列Ryyを固有値分解して上記相関行列Ryyの固有ベクトルを計算し、上記計算された固有ベクトルに基づいて、MUSIC(MUltiple SIgnal Classification)法を用いてMUSICスペクトラムを計算し、上記計算されたMUSICスペクトラムに基づいて上記アレーアンテナによって受信された受信信号の到来方向を計算する手段を備えたことを特徴とする。
上記電波到来方向探知装置において、上記アレーアンテナの上記励振素子及び上記各非励振素子はそれぞれ、接地導体上に当該接地導体とは電気的に絶縁されて立設するように設けられ、上記到来方向は、1次元又は2次元の到来方向であり、上記接地導体の平面上の方位角と、上記接地導体からの仰角との少なくとも一方を含むことを特徴とする。
従って、本発明に係る電波到来方向探知方法及び装置によれば、電子制御導波器アレーアンテナ装置であるアレーアンテナを備え、当該アレーアンテナ装置の各可変リアクタンス素子のリアクタンス値に対して互いに異なるリアクタンス値の複数のセットをそれぞれ設定したときに、送信側から送信される無線信号を上記アレーアンテナにより受信することにより、上記複数のセットにそれぞれ対応する複数の無線信号y(t)を受信して検出し、上記各受信信号に基づく相関行列Ryyを計算し、上記計算された相関行列Ryyを固有値分解して上記相関行列Ryyの固有ベクトルを計算し、上記計算された固有ベクトルに基づいて、MUSIC(MUltiple SIgnal Classification)法を用いてMUSICスペクトラムを計算し、上記計算されたMUSICスペクトラムに基づいて上記アレーアンテナによって受信された受信信号の到来角を計算する。従って、従来例に比較して高い検出精度で、同時に複数の無線信号を1次元又は2次元で電波到来方向を検出できる。また、ハードウェア回路を従来技術に比較して簡単化できる。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、同様の構成要素については同一の符号を付している。
図1は本発明に係る実施形態である電波到来方向探知装置の構成を示すブロック図である。この実施形態の電波到来方向探知装置は、図1に示すように、1つの励振素子A0と、6個の非励振素子A1乃至A6とを備えてなるアレーアンテナ装置100と、無線受信機10と、コントローラ20とを備え、特に、コントローラ20は、例えばコンピュータなどのディジタル計算機で構成され、互いに異なる各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のリアクタンス値のセットをそれぞれ設定したときにアレーアンテナ装置100によって受信される各受信信号y(t)を検出し、各受信信号に基づく相関行列Ryyを計算し、計算された相関行列Ryyを固有値分解して相関行列Ryyの固有ベクトルを計算し、計算された固有ベクトルに基づいて、公知のMUSIC(MUltiple SIgnal Classification)法を用いてMUSICスペクトラムを計算し、計算されたMUSICスペクトラムに基づいてアレーアンテナ装置100によって受信された受信信号の到来角を計算することを特徴としている。
図1において、アレーアンテナ装置100は、接地導体11上に設けられた励振素子A0及び非励振素子A1乃至A6から構成され、励振素子A0は、半径rの円周上に設けられた6本の非励振素子A1乃至A6によって囲まれるように配置されている。好ましくは、各非励振素子A1乃至A6は上記半径rの円周上に互いに等間隔を保って設けられる。各励振素子A0及び非励振素子A1乃至A6の長さは、例えば約λ/4(但し、λは所望波の波長である。)になるように構成され、また、上記半径rはλ/4になるように構成される。励振素子A0の給電点は同軸ケーブル5を介して無線受信機10の低雑音増幅器(LNA)1に接続され、また、非励振素子A1乃至A6はそれぞれ可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に接続され、これら可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のリアクタンス値はコントローラ20からのリアクタンス値信号によって設定される。
図2は、アレーアンテナ装置100の縦断面図である。励振素子A0は接地導体11と電気的に絶縁され、各非励振素子A1乃至A6は、可変リアクタンス素子12−1乃至12−6を介して、接地導体11に対して高周波的に接地される。可変リアクタンス素子12−1乃至12−6の動作を説明すると、例えば励振素子A0と非励振素子A1乃至A6の長手方向の長さが実質的に同一であるとき、例えば、可変リアクタンス素子12−1がインダクタンス性(L性)を有するときは、可変リアクタンス素子12−1は延長コイルとなり、非励振素子A1乃至A6の電気長が励振素子A0に比較して長くなり、反射器として働く。一方、例えば、可変リアクタンス素子12−1がキャパシタンス性(C性)を有するときは、可変リアクタンス素子12−1は短縮コンデンサとなり、非励振素子A1の電気長が励振素子A0に比較して短くなり、導波器として働く。また、他の可変リアクタンス素子12−2乃至12−6に接続された非励振素子A2乃至A6についても同様に動作する。
従って、図1のアレーアンテナ装置100において、各非励振素子A1乃至A6に接続された可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のリアクタンス値を変化させることにより、アレーアンテナ装置100の平面指向性特性を変化させることができる。
図1のアレーアンテナの制御装置において、アレーアンテナ装置100の励振素子A0は無線信号y(t)を受信し、上記受信された無線信号である受信信号y(t)は同軸ケーブル5を介して無線受信機10の低雑音増幅器1を介してダウンコンバータ2に入力され、ダウンコンバータ2は入力される受信信号を所定の中間周波数の中間周波信号に周波数変換した後、A/D変換器3に出力する。A/D変換器3は、入力されるアナログの中間周波信号をディジタルの中間周波信号に変換した後、コントローラ20に出力する。さらに、コントローラ20は、入力される中間周波信号に基づいて、詳細後述する図5の到来角探索処理を実行することにより、受信信号の電波の到来角を計算し、その結果をCRTディスプレイ21に出力して表示する。ここで、コントローラ20は、具体的には、例えばコンピュータなどのディジタル計算機で構成され、互いに異なる各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のリアクタンス値のセットをそれぞれ設定したときにアレーアンテナ装置100によって受信される各受信信号y(t)を検出し、各受信信号に基づく相関行列Ryyを計算し、計算された相関行列Ryyを固有値分解して相関行列Ryyの固有ベクトルを計算し、計算された固有ベクトルに基づいて、例えば非特許文献2などにおいて開示されたMUSIC(MUltiple SIgnal Classification)法を用いてMUSICスペクトラムを計算し、計算されたMUSICスペクトラムに基づいてアレーアンテナ装置100によって受信された受信信号の到来角を計算する。
次いで、アレーアンテナ装置100における信号モデルについて説明する。アレーアンテナ装置100は1個の励振素子A0と、M個の非励振素子A1乃至AMとを含む(M+1)個の素子で構成され、図1の構成例では、M=6である。上述のように、アレーアンテナ装置100の放射パターンは、非励振素子A1乃至A6に接続された各可変リアクタンス素子12−1乃至12−Mのリアクタンス値x(m=1,2,…,M)を調整することによって制御される。実際のアプリケーションでは、リアクタンスは、例えば−300Ωから300Ωまでといった所定の領域で制御することができる。次式で示されるベクトルはリアクタンスベクトルと呼ばれ、アレーアンテナ装置100のパターン形成に使用される。
Figure 0003867069
ここで、所望波の送信信号u(t)は合計D個存在し、到来方向DOAはθ(d=1,2,…,D)であるものと仮定する。s(t)(m=0,1,…,M)はアレーアンテナ装置100のm番目の素子に入射する信号を示し、s(t)はm番目の成分s(t)を有する列ベクトルであるものとすると、列ベクトルs(t)を次のように表すことができる。
Figure 0003867069
ここで、a(θ)はアレーアンテナ装置100の構成に合致する指向性ベクトルである。この信号モデルによれば、次式のようなアレーアンテナ装置100の出力信号y(t)を得ることができる。
Figure 0003867069
ここで、n(t)は付加される白色ガウス雑音であり、iは高周波電流ベクトルである。高周波電流ベクトルiは、次のように定式化される。
Figure 0003867069
ここで、Xは次式の対角行列で表されるリアクタンス行列である。
Figure 0003867069
また、uは次式で表される(M+1)次元ベクトルである。
Figure 0003867069
さらに、Zは(M+1)×(M+1)行列で表されたインピーダンス行列であり、その成分は素子間の相互アドミタンスによって決定される定数である。具体的には以下のごとく求めることができる。
上記アンテナの構造パラメータからモーメント法による電磁界解析を用いて素子間の相互結合を求め、これをインピーダンス行列Zで表すと次式のようになる(例えば、非特許文献3参照。)。
Figure 0003867069
アレーアンテナ装置100の構造は巡回的な対称性を有しているため、この行列Zの49個の要素のうち独立な要素は6個の要素となる。これらはその物理的意味からそれぞれ以下のように呼ばれるべき複素パラメータである。
[表1]
―――――――――――――――――――――――――――――――
00:励振素子の自己入力インピーダンス
01:励振素子と非励振素子との間の結合インピーダンス
11:非励振素子の自己入力インピーダンス
12:互いに隣接する2つの非励振素子間の結合インピーダンス
13:次に隣接する(1つ間をおいて隣接する)
2つの非励振素子間の結合インピーダンス
14:互いに対向する2つの非励振素子間の結合インピーダンス
―――――――――――――――――――――――――――――――
なお、後述する実施例で用いた各インピーダンス値は以下の通りである。
(a)z00=+52.0−5.7j
(b)z01=+23.9−29.2j
(c)z11=+64.0−3.4j
(d)z21=+29.7−29.8j
(e)z31=−13.9−27.6j
(f)z41=−26.0−16.7j
ここで、インピーダンス値の単位はすべてΩである。
ここで、上記電流ベクトルi及びy(t)はもちろん上記リアクタンスベクトルxの関数である。アレーアンテナ装置100の各素子上に入射する信号ベクトルs(t)は可測性でない点は強調されなければならない。各素子上で受信される信号ベクトルが観測される従来型の適応制御型アレーアンテナとは、この点で相違する。
次いで、アレーアンテナ装置100における単一ポートの相関行列について、以下に説明する。アレーアンテナ装置100の場合、非励振素子A1乃至AM上の信号は観測不能であり、励振素子A0の単一ポートからの出力信号だけが観測されて処理される。これらの素子上の高周波電流は独立したものではなく互いに結合され、かつリアクタンス値に依存する。励振素子A0の単一ポートからの出力信号は、これらの可変リアクタンス値の高度に非線形的な関数である。従来型の適応制御型アレーアンテナでは、相関行列はアレーアンテナ装置100の各素子上の信号を測定することによって生成されるため、問題は、あらゆる種類の単一ポート出力アンテナと同様に、1つしかない出力ポートでいかにして相関行列を生成するかにある。本実施形態の目的は、単一ポート出力のアンテナで従来型のアレーアンテナの空間的ダイバーシティを生成し直すことにある。
まず、従来型のアレーアンテナにおけるM個の素子を同時に監視することは可能であると考える。これは、通常のケースである。
ここでは、単一の素子のみのアンテナについて考える。M個の素子を有する従来型のアレーアンテナで利用可能な空間的ダイバーシティを再生成したい場合には、図3(b)に示すように、本発明者らの単一の素子のアンテナの位置を変更し、毎回同じ信号を送って出力をM回測定しなければならない。こうすれば、M個の素子を有するアンテナを使用しているかのようにM個の出力信号値を取得することができる。事実、本発明者らは、図3(a)に示すように、空間領域を使用してM個の素子を有するアンテナの空間的ダイバーシティを再生成している。よって、これで相関行列の計算に必要な出力はすべて揃ったことになる。単一ポート出力のアレーアンテナ装置100の場合と同じ方法を実行することもできるが、本実施形態では、リアクタンス領域を使用して空間的ダイバーシティを再生成する。
本実施形態で用いるアレーアンテナ装置100は、M個の可変リアクタンス素子12−1乃至12−6を備えている。従って、まずはリアクタンスベクトルを設定して出力を測定するが、リアクタンスセットを変更し同じ信号を送って出力を再度測定すれば、いつでも同じ1つの素子を測定して空間的ダイバーシティを再生成することが可能であり、このプロセスをM回繰り返せば相関行列の生成に必要なM個の出力信号を得ることができる。
次いで、リアクタンス領域のMUSICアルゴリズムについて以下説明する。アレーアンテナ装置100の素子によって受信される信号波形は、入射波形と雑音とのコンビネーションである。従って、所定のリアクタンスセットについて、リアクタンスの関数である等価電流ベクトルiを計算することができる。次いで、後述する式で表すようなアレーアンテナ装置100の出力信号を得ることができる。
アレーアンテナ装置100の場合であって、リアクタンス領域において、図4の出力信号y(m=1,2,…,M)を計算するためには、リアクタンスセットxを使用して電流ベクトルiを計算しかつ出力信号yを取得する。さらに、リアクタンス値の変更、よってアンテナパターン及び電流ベクトルの変更をM回繰り返せば従来のケースにおいて利用可能な空間的ダイバーシティ(図3)を再生成することが可能であり、最終的に相関行列の計算に使用される受信信号yを知ることができる。M回測定される出力信号は、d=1,2,…,Dのとき、
Figure 0003867069
を仮定すれば、次式のように表すことができる。
Figure 0003867069
これにより、次式に表される出力ベクトルyを導くことができる。なお、簡単化のために時刻tを省略している。
Figure 0003867069
または、
Figure 0003867069
リアクタンス領域のMUSICアルゴリズムに対して変形された指向性ベクトルを次式のように表す。
Figure 0003867069
このとき、上記数10を次式のように書き直すことができる。
Figure 0003867069
この式は、こうした形式では、従来のMUSICアルゴリズム(非特許文献2参照。)で使用されるものに類似している。従って、アレーアンテナ装置100による相関行列Ryyの計算方法を得ることができ、リアクタンス領域のMUSICアルゴリズム(図5及び図6の到来角探索処理参照。)についての物理的説明も行うことができる。受信信号ベクトルyのM×Mの相関行列Ryyは、次式によって計算することができる。
Figure 0003867069
ここで、上付きのHは、共役転置を示す。また、E[・]は所定の期間における引数の平均値を表す。この相関行列Ryyの固有分解を実行すれば、固有値(λ(i=D+1,…,M))から、信号のしきい値Tによって決定されるピーク値を取り出すことにより、入射する信号の数を推定することができる。選択された固有値の数は、入射する信号数Dを決定することができる。このとき、N=M−Dは、雑音サブ空間に対応する固有値の数である。従って、アレーアンテナ装置100のMUSICスペクトルは次のようになる。
Figure 0003867069
ここで、0≦θ<360゜であり、EはM×N行列であるものと定義され、当該行列の列はN個の雑音固有ベクトルeであり、i=D+1,…,Mである。すなわち、
Figure 0003867069
である。
この段階に至れば、入射する信号の到来方向の推定は容易であり、MUSICスペクトルのピークの横座標さえ発見されれば受信信号の推定値を発見することができる。
以上で入射する信号の数とそれらの推定された到来方向を知り得るわけであり、次にはこれらの情報を使用して受信信号のパワーを知ることができる。知りたい所望波の信号はより強力な信号であるという仮定の下では、どの信号がその所望波の信号であるかを決定することが極めて興味深い。推定される到来方向を知ることがなければ、A行列が利用可能となり、受信信号のクロスパワー及びオートパワーのD×DのP行列に含まれる受信信号のパラメータの計算に使用することができる。このとき、P行列を次式のように計算することができる。
Figure 0003867069
ここで、IdはM×Mの単位行列であり、λminは相関行列Ryyの最小の固有値である。ここで、上付きの*は共役を示す。これは、従来のMUSICアルゴリズムの場合とほぼ同じ式であり、A行列をIA行列に替えていることが唯一の変更点である。このP行列の対角成分は各受信信号の推定されたパワーを含んでいるため、より強力であるという仮定に基づいて所望波の信号の発見が容易である。
図5及び図6は、図1のコントローラ20によって実行される到来角探索処理を示すフローチャートである。
図5のステップS1において、変数パラメータm及びnをそれぞれ1にリセットし、ステップS2において信号のしきい値T(所定値)をセットする。次いで、ステップS3において当該アレーアンテナ装置100のステアリングベクトルa(θ)を計算し、ステップS4において所定のリアクタンスベクトルテーブル(詳細後述するように、互いに異なるリアクタンスベクトルを複数セット用意してなるテーブルである。)をセットし、ステップS5において、上記セットされたリアクタンスベクトルテーブルに基づいて、上述のごとく、各パターンに対して電流行列Iを計算する。
次いで、ステップS6において、m番目のリアクタンスベクトルxを取り出して、それに対応するリアクタンス値信号を可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に出力することにより、当該リアクタンスベクトルxを設定して所定の放射パターンにセットする。さらに、ステップS7において、当該アレーアンテナ装置100の出力信号y(n)を検出し、ステップS8において、変数パラメータmを1だけインクリメントし、ステップS9において、変数mが非励振素子の個数M以下であるか否かが判断され、YESのときはステップS6に進む一方、NOのときはステップS10に進む。そして、ステップS10においてM個の出力信号y(n)(m=1,2,…,M)からなる信号ベクトルyをメモリに格納し、ステップS11において変数パラメータnを1だけインクリメントし、ステップS12で、変数パラメータnは所定の繰り返し回数N以下であるか否かについて判断し、YESのときはステップS20に進む一方、NOのときは図6のステップS13に進む。
図6のステップS13において、上記メモリに格納されたN個の信号ベクトルyに基づいて、上記数14を用いて相関行例Ryyを計算し、ステップS14において、相関行列Ryyの固有値分解を公知の数値計算法を用いて実行し、固有値λ,λ,…,λ及び固有ベクトルe,e,…,eを計算する。次いで、ステップS15において、信号のしきい値Tを用いて、そのしきい値以上を有する所望波信号Dの数を計算し、さらに、ステップS16において、方位角θを対するMUSICスペクトラムPMU ESPER(θ)を、公知のMUSICアルゴリズムを用いて計算し、その結果をCRTディスプレイ21に表示する。さらに、ステップS17において、計算されたMUSICスペクトラムに基づいて、ピーク値θ,θ,…,θを到来方位角とし、メモリに格納し、その結果をCRTディスプレイ21に表示する。そして、ステップS18において受信信号のクロス及びオートパワーの行列Pを計算し、ステップS19において計算された行列Pに基づいて所望波信号を決定して当該到来角探索処理を終了する。
さらに、到来角探索処理の具体例について以下に説明する。
まず、製造時の設定として、ステップS4のリアクタンスベクトルのテーブルに対応する指向性ビームパターンを設定する必要がある。例えば、アレーアンテナ装置100の非励振素子A1乃至A6に装荷された可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のディジタル制御電圧値V1,V2,…,V6を以下の表のように巡回させ6通りの指向性ビームパターンを形成する。
[表2]
指向性ビームを形成するバラクタ制御電圧値V1,V2,…,V6
――――――――――――――――――――――――――――――――
パターンNo. V1 V2 V3 V4 V5 V6
――――――――――――――――――――――――――――――――
パターン1 D1 D2 D3 D4 D5 D6
パターン2 D6 D1 D2 D3 D4 D5
パターン3 D5 D6 D1 D2 D3 D4
パターン4 D4 D5 D6 D1 D2 D3
パターン5 D3 D4 D5 D6 D1 D2
パターン6 D2 D3 D4 D5 D6 D1
――――――――――――――――――――――――――――――――
この例では、ディジタル制御電圧値V1,V2,…,V6を以下の表のように巡回させて設定している(以下、これをシフト法という。)が、本発明はこれに限らず、互いに放射パターンが異なるディジタル制御電圧値であればよく、例えば、公知の乱数発生法を用いて発生された乱数値を、ディジタル制御電圧値V1,V2,…,V6に設定してもよい。ただし、オムニパターンのディジタル制御電圧値(各非励振素子に対して実質的に同一の値)を採用しないことが好ましい。
次いで、電子制御導波器アレーアンテナ装置の変形されたステアリングベクトルを作成する方法としては、電波到来角θのとき,アレーアンテナ装置100の変形されたステアリングベクトルa(θ)modは素子間結合を含めて次式のように表すことができる。
Figure 0003867069
ここで、a(θ)はアレーアンテナ装置100のステアリングベクトルであって、素子配列の物理的位置(図1)から次式のように7×1の列ベクトルで表される。ここで、Tは転置を表す。
Figure 0003867069
ここで、0≦θ<360゜である。
なお、Iは6通りの等価ウエイトベクトル(数4の高周波電流ベクトル参照)からなる6×7の等価ウエイト行列である。いま,表2のディジタル制御電圧値とバラクタ値の関係を、例えば、次式の近似式で表す。
Figure 0003867069
そして、m番目(m=1,2,…,6)の指向性ビームパターンを形成するリアクタンス行列を次式の対角行列Xであるとする。
Figure 0003867069
このとき、等価ウエイトベクトルi(高周波電流ベクトル)は上記式を用いて、次式のように表される。
Figure 0003867069
従って、等価ウエイト行列Iは上記数22を用いて、次式で表される。
Figure 0003867069
まず、相手先の無線送信機から送信された周期符号を各ビームパターンにて受信する必要があるが、周期符号を受信する方法として以下の2つの実施例がある。
(1)識別符号パターン毎に繰返し受信する第1の方法:図7参照。
(2)識別符号ビット毎に繰返し受信する第2の方法:図8参照。
第1の方法では、例えばPビットの識別符号を6回繰返し、1ビームパターン毎に連続で受信する。すなわち、図7に示すように、第1のビームパターンを設定するための、可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に対してディジタル制御電圧信号(リアクタンス値信号)を出力して設定し(図7では、ハッチングで示している、コントローラ20の終段のD/A変換器のセットアップタイムを考慮したタイミングで実行する。以下同様である。)、Pビットの識別符号を受信してアレーアンテナ装置100からの出力信号をy(t)としてメモリに格納する。次いで、第2のビームパターンを設定するための、可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に対してディジタル制御電圧信号(リアクタンス値信号)を出力して設定し、Pビットの識別符号を受信してアレーアンテナ装置100からの出力信号をy(t)としてメモリに格納する。そして、以下同様にして、第3乃至第6のビームパターンに対して同様の処理を繰り返す。以上の第1の方法では、D/A変換器のセットアップタイムによる時間ロスが少ないという特有の効果を有する。
また、第2の方法では、識別符号のビット毎に6回繰返し、すべてのビームパターンで受信する。すなわち、図8に示すように、第1のビームパターンを設定するための、可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に対してディジタル制御電圧信号(リアクタンス値信号)を出力して設定し(図8では、ハッチングで示している、コントローラ20の終段のD/A変換器のセットアップタイムを考慮したタイミングで実行する。以下同様である。)、Pビットのうちの第1ビットの識別符号を受信してアレーアンテナ装置100からの出力信号をy1,1(t)としてメモリに格納する。次いで、第2のビームパターンを設定するための、可変リアクタンス素子12−1乃至12−6に対してディジタル制御電圧信号(リアクタンス値信号)を出力して設定し、Pビットのうちの第1ビットの識別符号を受信してアレーアンテナ装置100からの出力信号をy1,2(t)としてメモリに格納する。そして、以下同様にして、第3乃至第6のビームパターンに対して同様の処理を繰り返す。さらに、以上の処理を第2ビット乃至第Pビットの識別符号について繰り返す。以上の第2の方法では、メモリの記憶容量を削減することができるという特有の効果を有する。
さらに、相関行列Ryyを計算する方法としては、以下のように行うことができる。m番目(m=1,2,…,6)の指向性ビームパターンにて受信された信号系列をy(t)とし、次式の受信信号ベクトルを計算する。
Figure 0003867069
そして、次式を用いて相関行列Ryyを計算することができる。
Figure 0003867069
ここで,E[・]は所定の期間における時間平均を意味し、H及び*はそれぞれ複素共役転置及び複素共役を表す。
さらに、相関行列Ryyを以下の方法で固有値分解する。ここで、相関行列Ryyを固有値分解して得られる相関行列Ryyの固有値及び固有ベクトルをそれぞれλ,eとすると、次式が成立する。
Figure 0003867069
ここで、L個の到来波が到来する場合,相関行列Ryyの固有値には熱雑音電力をσとして次式の関係が成立する。
Figure 0003867069
実際には到来波数Lは未知であるため,信号しきい値Tを設け、信号しきい値T以上の固有値の数を到来波数として計算することができる。
次いで、公知のMUSICアルゴリズムを用いて、アレーアンテナ装置100のMUSICスペクトラムを以下の方法で計算する。すなわち、上記で得られたアレーアンテナ装置100の変形されたステアリングベクトルa(θ)modを用いて、アレーアンテナ装置100のMUSICスペクトラムを次式で計算できる。
Figure 0003867069
最後に、上記計算されたMUSICスペクトラムに基づいて、その最大値が得られるθを到来方位角として計算できる。
本発明者らは図1の電波到来方向探知装置について以下の通りシミュレーションを行った。以下のすべてのシミュレーションにおいて、すべての受信信号は同一の搬送波周波数を有し、データクロックの同期も完全であると仮定している。なお、ドップラ効果について無視している。
第1のシミュレーションは、MUSICスペクトルから推定された到来方向を得る方法を具体的に示すMUSICスペクトルの例である。本例では、無作為に選択した6つの異なるリアクタンスを使用する。図9はそれぞれ5dBのSNRを有する4つの受信信号のMUSICスペクトルと到来方位角θの推定値を示している。事実、4つの最大ピークのx軸の値は、到来方位角θの推定値を与えるものである。ピークは鋭く、よってリアクタンス領域のMUSICアルゴリズムの精度は約0.5度である。従って、このシミュレーションは、提案したこのリアクタンス領域のMUSICアルゴリズムが電子制御導波器アレーアンテナ装置に入射する信号の到来方位角θの推定に機能し得ることを示している。
第2のシミュレーションでは、リアクタンス領域のMUSICアルゴリズムの解像度をチェックすることを目的とする。ここでは、到来方位角θがわずかに近接している2つの受信信号について考察し、本発明者らが提案するアルゴリズムによって到達可能な最大解像度を推定する。各信号のSNRは5dBである。図10は、2つの信号が10度しか離れていない場合のMUSICスペクトルを示している。これは、到来方位角θを高い精度で推定することのできる限界ケースである。提案のリアクタンス領域のMUSICアルゴリズムの解像度は、最終的に約10度である。
第3のシミュレーションは、リアクタンス領域のMUSICアルゴリズムを使用して電子制御導波器アレーアンテナ装置の性能を位置づけるために行う。このため、アレーアンテナ装置100と同様の素子構造を有する、図11に図示された比較例の従来型円形アレーアンテナとの比較を実行する。図11の円形アレーアンテナにおいて、半径rはアレーアンテナ装置100の場合と同じであり、λ/4に等しい。この半径はλ/2よりも小さく、よってアレーアンテナ装置100を使用する場合のように幾分かの相互結合効果が導入される。この相互結合に対処するために、アレーアンテナ装置100の場合のI行列と同じ役割を果たすC行列を導入しなければならない。C行列は次式で表される。
Figure 0003867069
ここで、Zは対角行列であり、Zはアレーアンテナ装置100に使用されるインピーダンス行列である。図12は、上述の従来型の円形アレーアンテナ及び本実施形態に係るアレーアンテナ装置100のMUSICスペクトルのシミュレーション結果を示している。図12に示すように、リアクタンス領域のMUSICアルゴリズムに関して得られる曲線は、上述の従来型の円形アレーアンテナと共に使用される従来型のMUSICアルゴリズムの場合に得られるものに極めて近い。さらに、推定される到来方位角θは、両アンテナとも同じ領域にある。従って、リアクタンス領域のMUSICアルゴリズムを使用すれば、解像度及び精度に関して従来のケースと同じ性能に到達することができる。
第4のシミュレーションは、リアクタンス領域のMUSICアルゴリズムのさらに実用的なアプリケーションに対応するものである。各リアクタンスセットにはランダム法による乱数値を使用することが可能であるが、電子制御導波器アレーアンテナ装置の構成は対称性であり、またこのアンテナの較正に起因して、実際には1つのリアクタンスセットを使用し、出力の測定を希望する度にリアクタンスの値を、上記のシフト法を用いてシフトする方が簡単である。さらに、このシフト法を使用すれば、必要なハードウェア回路の実現がより簡単化できる。従って、本発明者らは、この方法を用いてシミュレーションすることにより、ランダム法のケースの場合と同じ性能を得ることができるかどうかを検証する。図13は、第1のシミュレーションの場合と同様のランダム法と、受信信号に関するシフト法とによるMUSICスペクトルを示している。図13から明らかなように、シフト法の曲線は、ランダム方法の場合に取得されるものに極めて近く、到来方位角θの推定値の精度もやはり0.5度である。従って、これ以降のシミュレーションでは実際のケースに合わせるためにこのシフト方法を使用する。
第5のシミュレーションでは、受信信号の信号対雑音電力比(SNR)がMUSICスペクトルに与える影響を明らかにする。従って、20dB、5dB及び0dBのSNRに対してシミュレーションを行った。SNR=5dBのケースについては、第1のシミュレーションで既に検討を行った。図14は、これらの個々のSNRのMUSICスペクトルを示したものである。図14から明らかなように、曲線を見れば、SNRが増大するほどピークはより鋭く高くなり、よって解像度がより良好になることは明らかである。到来方位角θの推定値(表3参照。)から分かるように、SNRが増大すると精度も高くなる。但し、SNRが0dBであっても解像度において、かつ特に精度において良好な結果が得られる点に注目すると興味深い。精度は約0.5度であり、これはSNRが5dBのときと同じである。
[表3]
異なったSNRに対する所望波信号の到来方位角θの推定
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
受信信号
1 2 3 4
到来方位角θ 60° 200° 240° 310°
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
SNR=20dB 60.0° 200.1° 240.0° 299.9°
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
SNR=5dB 59.7° 199.5° 240.3° 309.7°
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
SNR=0dB 59.6 199.5° 239.8° 309.5°
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
第6のシミュレーションの目的は、どの信号が所望波信号であるかを決定することである。所望波信号は、入射する他のすべての信号の中から発見しようとしている信号である。この所望波信号は、入射する他の信号よりも強力であることが仮定されている(表4参照。)が、こういった仮定は実際によく行われる。
[表4]
所望波信号の到来方位角θの推定
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
受信信号
1 2 3(所望波信号)4
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
SNR(dB) 3 2 6 4
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
実際の到来方位角θ 10° 110° 180° 300°
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
推定された
到来方位角θ 10.2° 109.6° 180.3° 300.1°
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
MUSICスペクトルは受信信号のパワーに関して十分な情報を与えないため、クロス及びオートパワーのP行列を計算することにより、各信号の個々のパワーを推定することができる。P行列の対角成分は各受信信号の推定されたパワーを与える。すなわち、次式の通りである。
Figure 0003867069
従って、P対角行列における最高値の位置は、上記表3における受信信号の番号に対応する。計算されたP行列は、このシミュレーションでは、対角成分を外れている値が極めて小さい値であるために受信信号はほとんど非相関性であったことを示している。最高値は第3の対角成分8.014であり、それ故、所望波信号は到来方位角θの推定値が180.3度である第3の受信信号であることが分かる(次の表参照)。従って、P行列を計算すれば、MUSICスペクトルから取得される到来方位角θの推定値により、所望波信号をそれがより強力な信号であるという仮定に基づいてあらゆる受信信号の中から決定することができる。
上述の各シミュレーションでは、リアクタンス領域のMUSICアルゴリズムに従って、すべての受信信号を周期的に送信し、相関行列Ryyを計算している。これに対して、第7のシミュレーションでは、所望波信号のみ(第5のシミュレーション参照。)が周期的にアレーアンテナ装置100に送られ、他の信号は未知の信号源から到来するものとされる干渉信号であって周期的には送信されない場合について考察する。この第7のシミュレーションの結果を図15に示す。図15のMUSICスペクトルは、干渉信号の到来方位角θを推定することができない場合でも、所望波信号の到来方位角θは先の各シミュレーションと同じ精度で推定が可能であることを示している。
第8のシミュレーションは、受信信号がメインパスを伝搬した直接波と、直接波の遅延バージョンである遅延波とで構成され、遅延波は直接波に対して非コヒーレントであるものとされ、すなわち遅延波は1つのサンプル持続時間よりも長い場合のリアクタンス領域のMUSICアルゴリズムの処理を示している。メインパスは反射されかつ遅延されたパスより強力であることが仮定されているが、この仮定は、どの入射パスがメインパスであるかを知りたいために行われる。図16は、マルチ環境での遅延波のMUSICスペクトルを示したものである。P行列の対角成分の最高値を求めれば、入射するどのパスが回復させたいメインパスであるかを決定することができ、計算したP行列の結果を以下に示す。
Figure 0003867069
このシミュレーションでは、最高値は対角成分の最初の値の7.8999であり、それ故、メインパスの直接波は次の表における1番目の受信信号であって、その到来方位角θの推定値は49.9度である。マルチパス環境におけるリアクタンス領域のMUSICアルゴリズムの処理は、ピークが鋭くて高いこと、及び到来方位角θの推定値が0.5度という良好な精度に到達していることから良好である。
[表5]
マルチパス環境における到来方位角θの推定
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
受信信号
1 2 3 4
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
SNR(dB) 6 4 4 4
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
遅延数(サンプル数) 0 1 4 7
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
実際の到来方位角θ 50° 120° 230° 320°
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
推定された
到来方位角θ 49.9° 120.3° 229.7° 320.2°
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
第9のシミュレーションでは、リアクタンスの領域の影響について調査する。上述の各シミュレーションでは、リアクタンスの領域は[−300Ω乃至300Ω](以下、広い範囲という。)に設定したが、実際のケースでは利用可能なリアクタンス領域が[−93.6Ω乃至−4.8Ω]であるため、より狭い範囲のリアクタンス領域であってもリアクタンス領域のMUSICアルゴリズムが同じ性能を維持できるかどうかを確認したい。図17は、第1のシミュレーションと同様の受信信号を使用して、広い範囲と狭い範囲のリアクタンス領域に関して取得された結果を示している。従って、次の表に示すように、2つのリアクタンス領域に関して取得されたMUSICスペクトルはほぼ同じであることを検証することができる。最終的には、実際に使用されているリアクタンス領域であっても、より大きいリアクタンスセットを使用した場合と同じ解像度及び精度の性能を取得することが可能であると言うことができる。
[表6]
リアクタンス領域の広い範囲と狭い範囲における到来方位角θの推定
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
受信信号
1 2 3 4
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
SNR(dB) 5 5 5 5
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
到来方位角θ 60° 200° 240° 310°
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
広い範囲で推定される
到来方位角θ 59.7゜ 199.5゜ 240.2゜ 309.7゜
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
狭い範囲で推定される
到来方位角θ 59.8゜ 199.5゜ 240.3゜ 309.8゜
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
上述の各シミュレーションでは、N=1000について相関行列Ryyの計算を実行した。従って、リアクタンス領域のアルゴリズムにおいて使用したサンプルの総数は6000である。この最後のシミュレーションの目的は、相関行列の推定に使用するサンプル数の影響を明らかにすることにある。図18はN=1000及びN=50に関する結果を示しているが、言い替えれば、ここでは300のサンプルを使用するだけで相関行列を推定する。実際のケースでは、最小量のサンプルを使用して可能な限り計算コストを下げ、かつ良好な結果を得たいことから、この点は極めて重要である。図18からは、明らかにサンプル数が減るとピークはより小さくかつ鈍くなり、解像度も低下することが分かるが、次の表における推定された到来方位角θを見れば、推定される到来方位角θの精度は良好なままである、つまり約0.5度であることに気付く。従って、リアクタンス領域のMUSICアルゴリズムは、極めて少ないサンプル数であっても機能し、かつ有益な到来方位角θの推定値を与えることができる。
[表7]
到来方位角θの推定におけるサンプル数の影響
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
受信信号
1 2 3 4
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
SNR(dB) 5 5 5 5
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
到来方位角θ 40° 130° 210° 300°
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
サンプル数=6×1000で推定された
到来方位角θ 40.1° 129.6° 209.6° 300.3°
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
サンプル数=6×50で推定された
到来方位角θ 39.7° 139.5° 209.8° 299.6°
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
以上説明したように、本実施形態によれば、コントローラ20は、互いに異なる各可変リアクタンス素子12−1乃至12−6のリアクタンス値のセットをそれぞれ設定したときにアレーアンテナ装置100によって受信される各受信信号y(t)を検出し、各受信信号に基づく相関行列Ryyを計算し、計算された相関行列Ryyを固有値分解して相関行列Ryyの固有ベクトルを計算し、計算された固有ベクトルに基づいてMUSIC(MUltiple SIgnal Classification)法を用いてMUSICスペクトラムを計算し、計算されたMUSICスペクトラムに基づいて受信された受信信号の到来角を計算する。従って、従来例に比較して高い検出精度で、同時に複数の無線信号の電波到来方向を検出できる。また、ハードウェア回路を従来技術に比較して簡単化できる。
変形例.
以上の実施形態においては、接地導体11の平面上での方位角θに関する1次元の到来方向を検出する電波到来方向探知装置について説明しているが、以下の方法を用いることにより、上記方位角θと、接地導体11の平面からの仰角φとに関する2次元の到来方向を検出することができる。以下、変形例における実施形態との相違点について説明する。
所望波の送信信号u(t)は合計D個存在し、到来方向DOAは方位角θ(d=1,2,…,D)と仰角φ(d=1,2,…,D)との2次元の到来方向であるものと仮定する。このとき、列ベクトルs(t)を次のように表すことができる。
Figure 0003867069
ここで、a(θ,φ)はアレーアンテナ装置100の構成に合致する2次元の指向性ベクトルである。信号モデルによれば、次式のようなアレーアンテナ装置100の出力信号y(t)を得ることができる。
Figure 0003867069
電子制御導波器アレーアンテナ装置であるアレーアンテナ装置100の場合であって、リアクタンス領域において、図4の出力信号y(m=1,2,…,M)を計算するためには、リアクタンスセットxを使用して電流ベクトルiを計算しかつ出力信号yを取得する。さらに、リアクタンス値の変更、よってアンテナパターン及び電流ベクトルの変更をM回繰り返せば従来のケースにおいて利用可能な空間的ダイバーシティ(図3)を再生成することが可能であり、最終的に相関行列の計算に使用される受信信号yを知ることができる。M回測定される出力信号は、d=1,2,…,Dのとき、上記数8の条件を仮定すれば、次式のように表すことができる。
Figure 0003867069
これにより、次式に表される出力ベクトルyを導くことができる。なお、簡単化のために時刻tを省略している。
Figure 0003867069
もしくは上記数11である。リアクタンス領域のMUSICアルゴリズムに対して変形された指向性ベクトルを次式のように表す。
Figure 0003867069
このとき、上記数35を次式のように書き直すことができる。
Figure 0003867069
さらに、アレーアンテナ装置100のMUSICスペクトルは次式で表される。
Figure 0003867069
ここで、0≦θ<360゜,−90゜<φ<90゜である。この段階に至れば、入射する無線信号の2次元の到来方向の推定は容易であり、MUSICスペクトルのピークの方位角θと仰角φさえ発見されれば、受信信号の2次元の到来方向の推定値を発見することができる。すなわち、方位角θと仰角φの両方を走査して上記数38を計算することにより、2次元の到来方向を計算できることとなる。以上で入射する信号の数とそれらの推定された到来方向を知り得るわけであり、次にはこれらの情報を使用して受信信号のパワーを知ることができる。
図19は変形例に係る電波到来方向探知装置によって実行される到来角探索処理の第1の部分を示すフローチャートであり、図20は変形例に係る電波到来方向探知装置によって実行される到来角探索処理の第2の部分を示すフローチャートである。
(1)図19における図5に対する相違点は、ステップS3に代えてステップS3Aとし、当該ステップS3Aにおいて、当該アレーアンテナ装置100のステアリングベクトルa(θ,φ)を計算する。
(2)図20における図6に対する相違点は、ステップS16に代えてステップS16Aとし、ステップS17に代えてステップS17Aとしている。ステップS16Aにおいて、方位角θ及び仰角φを対するMUSICスペクトラムPMU ESPER(θ,φ)を、公知のMUSICアルゴリズムを用いて計算し、その結果をCRTディスプレイ21に表示する。さらに、ステップS17Aにおいて、計算されたMUSICスペクトラムに基づいて、ピーク値セット(θ,φ)(θ,φ),…,(θ,θ)を到来方位角及び到仰角としてメモリに格納し、その結果をCRTディスプレイ21に表示する。
さらに、電子制御導波器アレーアンテナ装置の変形されたステアリングベクトルを作成する方法としては、電波到来方位角θ及び到来仰角φのとき,アレーアンテナ装置100の変形されたステアリングベクトルa(θ,φ)modは素子間結合を含めて次式のように表すことができる。
Figure 0003867069
ここで、a(θ,φ)はアレーアンテナ装置100のステアリングベクトルであって、素子配列の物理的位置(図1)から次式のように7×1の列ベクトルで表される。ここで、Tは転置を表す。
Figure 0003867069
ここで、0≦θ<360゜及び−90゜<φ<90゜である。
なお、上記数28に対応する式は次式で表される。
Figure 0003867069
図21は変形例に係る電波到来方向探知装置のシミュレーション結果であって、方位角θ及び仰角φに対するMUSICスペクトラムを示すスペクトル図である。図21のシミュレーションでは、到来方向が互いに異なる2波(θ=250゜,φ=60゜)(θ=130゜,φ=20゜)を受信したときの結果であるが、図21から明らかなように、2次元の到来方向を高精度で検出可能であることがわかる。
以上の実施形態及び変形例においては、6本の非励振素子A1乃至A6と、それに対応した可変リアクタンス素子12−1乃至12−6とを備えているが、本発明はこれに限らず、複数M個の非励振素子A1乃至AMと、それに対応した可変リアクタンス素子12−1乃至12−Mを備えてもよい。
本発明に係る実施形態である電波到来方向探知装置の構成を示すブロック図である。 図1のアレーアンテナ装置100の詳細な構成を示す断面図である。 (a)は従来技術のアレーアンテナにおいて用いられる空間領域での複数の受信信号を用いた相関行列Ryyを説明するための模式図であり、(b)は従来技術のアレーアンテナにおいて用いられる時間領域において分解された複数の受信信号を用いた相関行列Ryyを説明するための模式図である。 本実施形態に係る電波到来方向探知装置において用いるリアクタンス領域における相関行列を説明するための模式図である。 図1のコントローラ20によって実行される到来角探索処理の第1の部分を示すフローチャートである。 図1のコントローラ20によって実行される到来角探索処理の第2の部分を示すフローチャートである。 図1のコントローラ20によって実行される到来角探索処理における具体例を示す図であって、同期的なシンボル信号を受信する第1の方法を示すタイミングチャートである。 図1のコントローラ20によって実行される到来角探索処理における具体例を示す図であって、同期的なシンボル信号を受信する第2の方法を示すタイミングチャートである。 図1の電波到来方向探知装置のシミュレーション結果であって、ランダムなリアクタンスセットに対する、到来方位角θ=60°,200°,240°,310°で信号対雑音電力比SNR=5dBのときの方位角(度)に対するMUSICスペクトラムを示すスペクトラム図である。 図1の電波到来方向探知装置のシミュレーション結果であって、ランダムなリアクタンスセットに対する、到来方位角θ=170°,180°で信号対雑音電力比SNR=5dBのときの方位角(度)に対するMUSICスペクトラムを示すスペクトラム図である。 比較例である複数の励振素子間で相互結合を有する円形アレーアンテナの構成を示す斜視図である。 図1の電波到来方向探知装置及び図11の比較例のシミュレーション結果であって、到来方位角θ=60°,200°,240°,310°で信号対雑音電力比SNR=5dBのときの方位角(度)に対するMUSICスペクトラムを示すスペクトラム図である。 図1の電波到来方向探知装置のシミュレーション結果であって、ランダム法及びシフト法によって設定されたリアクタンスセットに対する、到来方位角θ=60°,200°,240°,310°で信号対雑音電力比SNR=5dBのときの方位角(度)に対するMUSICスペクトラムを示すスペクトラム図である。 図1の電波到来方向探知装置のシミュレーション結果であって、到来方位角θ=60°,200°,240°,310°で信号対雑音電力比SNR=20dB,5dB,0dBのときの方位角(度)に対するMUSICスペクトラムを示すスペクトラム図である。 図1の電波到来方向探知装置のシミュレーション結果であって、所望波の到来方位角θ=90°で、干渉波の到来方位角θ=150°,210°,300°であるときの方位角(度)に対するMUSICスペクトラムを示すスペクトラム図である。 図1の電波到来方向探知装置のシミュレーション結果であって、マルチパス環境であって、到来方位角θ=50°,120°,230°,320°であるときの方位角(度)に対するMUSICスペクトラムを示すスペクトラム図である。 図1の電波到来方向探知装置のシミュレーション結果であって、リアクタンスセットの広い範囲及び狭い範囲において、到来方位角θ=60°,200°,240°,310°であるときの方位角(度)に対するMUSICスペクトラムを示すスペクトラム図である。 図1の電波到来方向探知装置のシミュレーション結果であって、到来角探索処理における繰り返し回数N=1000,50であるときの方位角(度)に対するMUSICスペクトラムを示すスペクトラム図である。 変形例に係る電波到来方向探知装置によって実行される到来角探索処理の第1の部分を示すフローチャートである。 変形例に係る電波到来方向探知装置によって実行される到来角探索処理の第2の部分を示すフローチャートである。 変形例に係る電波到来方向探知装置のシミュレーション結果であって、方位角θ及び仰角φに対するMUSICスペクトラムを示すスペクトル図である。
符号の説明
A0…励振素子、
A1乃至A6…非励振素子、
1…低雑音増幅器(LNA)、
2…ダウンコンバータ、
3…A/D変換器、
5…給電用同軸ケーブル、
10…無線受信機、
11…接地導体、
12−1乃至12−6…可変リアクタンス素子、
20…コントローラ、
21…CRTディスプレイ、
100…アレーアンテナ装置。

Claims (2)

  1. 無線信号を受信するための励振素子と、上記励振素子から所定の間隔だけ離れて設けられた複数の非励振素子と、上記各非励振素子にそれぞれ接続された可変リアクタンス素子とを備え、上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を変化させることにより、上記各非励振素子をそれぞれ導波器又は反射器として動作させ、アレーアンテナの指向特性を変化させるアレーアンテナを用いた電波到来方向探知方法であって、
    上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値に対して互いに異なるリアクタンス値の複数のセットをそれぞれ設定したときに、送信側から送信される無線信号を上記アレーアンテナにより受信することにより、上記複数のセットにそれぞれ対応する複数の無線信号y(t)を受信して検出し、上記各受信信号に基づく相関行列Ryyを計算し、上記計算された相関行列Ryyを固有値分解して上記相関行列Ryyの固有ベクトルを計算し、上記計算された固有ベクトルに基づいて、MUSIC(MUltiple SIgnal Classification)法を用いてMUSICスペクトラムを計算し、上記計算されたMUSICスペクトラムに基づいて上記アレーアンテナによって受信された受信信号の到来方向を計算するステップを含むことを特徴とする電波到来方向探知方法。
  2. 無線信号を受信するための励振素子と、上記励振素子から所定の間隔だけ離れて設けられた複数の非励振素子と、上記各非励振素子にそれぞれ接続された可変リアクタンス素子とを備え、上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値を変化させることにより、上記各非励振素子をそれぞれ導波器又は反射器として動作させ、アレーアンテナの指向特性を変化させるアレーアンテナを用いた電波到来方向探知装置であって、
    上記各可変リアクタンス素子のリアクタンス値に対して互いに異なるリアクタンス値の複数のセットをそれぞれ設定したときに、送信側から送信される無線信号を上記アレーアンテナにより受信することにより、上記複数のセットにそれぞれ対応する複数の無線信号y(t)を受信して検出し、上記各受信信号に基づく相関行列Ryyを計算し、上記計算された相関行列Ryyを固有値分解して上記相関行列Ryyの固有ベクトルを計算し、上記計算された固有ベクトルに基づいて、MUSIC(MUltiple SIgnal Classification)法を用いてMUSICスペクトラムを計算し、上記計算されたMUSICスペクトラムに基づいて上記アレーアンテナによって受信された受信信号の到来方向を計算する手段を備えたことを特徴とする電波到来方向探知装置。
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