JP5179054B2 - 測位方法及び測位装置 - Google Patents

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Description

本発明は、位置が既知である電波発信器から送信される電波の到来方向を推定し、受信位置を求める測位方法及び測位装置に関するものである。
従来から、位置が既知である複数個の基地局において移動局からの電波を受信し、各基地局において検出した移動局からの電波の到来方向の関係を用いることにより移動局の位置を求める技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1には、ロランや、GPS等の既存の測位システムを利用して各移動局において測位を行い、測位結果を通信手段を通じて基地局や他の移動局に伝送する測位方法の開示や、基地局側で移動局の位置を求める場合に、基地局で位置を求める電波と移動局に位置を通知する電波とを共用する測位方法の開示があるが、前者の測位方法では、ロランやGPS等の受信器を別途備える必要があって、コスト、重量、容積の増大等の問題がある。
一方後者では、前者の課題を解決できるものの、移動局が自分の位置を知ることができないという問題がある。
これらの課題を解決する測位方法として、到来方向推定アルゴリズムであるMUSIC(MUltiple SIgnal lassification)法等を用いた電波到来方向推定により自己位置を測位する測位方法も提供されている(例えば、特許文献2)。
特開平9−119970号公報 特開2006−234683号公報
ところで、特許文献2に開示されている電波到来方向推定を用いて自己位置を測位する測位方法では、電波の回折、反射等実際に起こりうる現象の影響等によって、直接波と反射波が同時に受信されるというマルチパスフェージングの問題が発生するという課題があった。
また、特許文献2に開示されているように到来方向推定アルゴリズムの一つであるMUSIC法を使用したものや、電波発信器に冗長性を持たせて4つの到来方向の推定結果から最適な3つの到来方向推定角を抽出し、最適な自己位置推定結果を得るという測位方法も提案されているが、前者では到来波数を一つと仮定するアルゴリズムであるため、また後者では少なくとも3つの正しい到来方向推定結果が得られない限りは自己位置を求めることができないため、マルチパス環境の下では到来方向推定角を正しく求めることができない場合が多いという課題があった。
更にまた、到来波を1波と仮定して、各電波発信器から受信される電波到来方向推定角はそれぞれ1個ずつしか求めず、その結果一つが反射波だった場合には、測位結果が異常となるという問題もあった。
本発明は、上述の点に鑑みて為されたもので、その目的とするところは、マルチパス環境下でも、精度良く自己位置推定ができる測位方法及び測位装置を提供することにある。
上述の目的を達成するために、請求項1の測位方法の発明では、平面内で規定した絶対座標系における既知位置に配置された少なくとも3台の電波発信器から送信され送信元毎に異なる電波を受信する測位装置において、測位装置について設定したローカル座標系における測位装置に対する各電波発信器からの電波の到来方位を用いて、絶対座標系における測位装置の座標位置を検出する測位方法であって、測位装置で受信した電波毎に、ローカル座標系における測位装置に対する電波の到来方位を推定し、測位装置で受信した互いに異なる電波の送信元である電波発信器を3つ選択して組にし、各組毎に、測位装置に対する各電波発信器からの電波の到来方位と既知の各電波発信器の座標位置とを用いて絶対座標系における測位装置の座標位置を求め、測位装置の座標位置から既知の電波発信器を見込むときの絶対座標系における測位装置に対する各電波発信器の存在方位を求めるとともに、到来方位と存在方位とを照合して整合性を判定し、各電波発信器において、絶対座標系に対するローカル座標系の角度とローカル座標系における電波発信器からの電波の到来方位との和と、絶対座標系における電波発信器の存在方位とを比較し、到来方位と存在方位との間に幾何学的な矛盾がなく整合すると判定された組から得られた測位装置の座標位置を採用することを特徴とする。
請求項1の測位方法の発明によれば、直接波と反射波とを分離して到来方向推定角の不適な角度を排除し、反射波を用いた測位結果を除去することによって、マルチパス環境下においても精度の良い測位を行うことができる。
請求項2の測位方法の発明では、請求項1の発明において、電波の到来方位を推定する際に、ビームサーチ法を用いるものであり、到来方位と存在方位との間に幾何学的な矛盾がなく整合すると判定された組が複数となった場合に、ビームサーチ法を用いたときに算出されたスペクトルのピーク値の大きさに基づいて、複数の組から測位装置の座標位置を採用する組を決定することを特徴とする。
請求項2の測位方法の発明によれば、到来方向推定の際に得られた情報を用いて確からしい値を算出することができる。
請求項3の測位方法の発明では、請求項1の発明において、電波発信器からの電波を受信するアンテナの向いている方向検知する方位センサを備え、到来方位と存在方位との間に幾何学的な矛盾がなく整合すると判定された組が複数となった場合に、方位センサにより検知された方向に基づいて、複数の組から測位装置の座標位置を採用する組を決定することを特徴とする。
請求項3の測位方法の発明によれば、到来方向推定の際に、方位センサにより得られた現在位置についての情報を用いて確からしい値を算出することができる。
請求項4の測位方法の発明では、請求項1の発明において、電波の到来方位を推定する際に、スペクトルを算出するものであり、前記スペクトルの時系列の履歴を記憶して、到来方位と存在方位との間に幾何学的な矛盾がなく整合すると判定された組が複数となった場合に、継続的に存在するスペクトルを用いた測位装置の座標位置について優先して選択することを特徴とする。
請求項4の測位方法の発明によれば、安定的に存在するスペクトルを用いて測位するので、測位の安定性が向上する。
請求項5の測位方法の発明では、請求項1の発明において、電波の到来方位を推定する際に、Capon法で得たスペクトルのピーク値が所定値以上となるものの数を到来波数としてMUSIC法を用いることを特徴とする。
請求項5の測位方法によれば、Capon法によって到来波数を求め、その到来波数を用いてMUSIC法を用いるので、マルチパス環境においても精度の良い測位を行うことができる。
請求項6の測位方法の発明では、請求項1の発明において、電波の到来方位を推定する際に、Capon法とMUSIC法で求められた各電波到来方位角の差が閾値以内に収まる到来角を測位に用いることを特徴とする。
請求項6の測位方法の発明によれば、到来方向推定アルゴリズムとして、Capon法とMUSIC法とで求められた各電波到来方位角の差が閾値以内に収まる到来角を測位することにより、より確からしい到来方向推定角のみを絞り込むことができる。
請求項7の測位方法の発明では、請求項1の発明において、到来方位と存在方位との間に幾何学的な矛盾がなく整合すると判定された組が複数となった場合に、測位エリアの地図に基づいて存在不可領域の測位装置の座標位置を削除することを特徴とする。
請求項7の測位方法の発明によれば、存在し得ない領域に測位装置が位置した場合、その測位装置の座標位置を削除することで、更にマルチパスの影響を除去することができる。
請求項8の測位装置の発明では、平面内で規定した絶対座標系における既知位置に配置された3台以上の電波発信器から送信され送信元毎に異なる電波を受信しアレイ応答ベクトルを出力するアンテナと、アンテナで受信した電波毎に、アレイ応答ベクトルを用いてアンテナ座標系におけるアンテナに対する電波の到来方位を推定する電波到来方位推定部と、絶対座標系における電波発信器の座標位置を記憶した発信器座標記憶部と、絶対座標系におけるアンテナの座標位置を求める測位アルゴリズム処理部とを備え、アンテナで受信した互いに異なる電波の送信元である電波発信器を3つ選択して組にし、各組毎に、電波到来方位推定部で推定したアンテナに対する各電波発信器からの電波の到来方位と発信器座標記憶部が記憶している各電波発信器の座標位置とを用いて絶対座標系におけるアンテナの座標位置を求め、アンテナの座標位置から既知の電波発信器を見込むときの絶対座標系におけるアンテナに対する各電波発信器の存在方位を求めるとともに、到来方位と存在方位とを照合して整合性を判定し、各電波発信器において、絶対座標系に対するアンテナ座標系の角度とアンテナ座標系における電波発信器からの電波の到来方位との和と、絶対座標系における電波発信器の存在方位とを比較し、到来方位と存在方位との間に幾何学的な矛盾がなく整合すると判定された組から得られたアンテナの座標位置を採用することを特徴とする。
請求項8の測位装置の発明によれば、直接波と反射波とを分離して到来方向推定角の不適な角度を排除し、反射波を用いた測位結果を除去することによって、マルチパス環境下においても精度の良い測位を行うことができる測位装置を提供できる。
本発明は、直接波と反射波とを分離して到来方向推定角の不適な角度を排除し、反射波を用いた測位結果を除去することによって、マルチパス環境下においても精度の良い測位を行うことができる測位方法を提供でき、またその測位方法を用いた測位装置を提供できるという効果がある。
以下本発明を実施形態により説明する。
(実施形態1)
図3は、本実施形態の測位方法を用いた測位システムの概念的な構成を示しており、図示するように、測位を行う対象空間(対象平面)について規定した絶対座標系O−XYの座標位置として自己位置を検出する。具体的には、絶対座標系O−XYにおける座標位置が既知である3台の電波発信器1(1〜1)から測位装置2に電波が到来する方位をそれぞれ検出し、各電波発信器1からの電波の到来方位と各電波発信器1(1〜1)の既知の座標位置とに基づいて、絶対座標系O−XYにおける測位装置2の座標位置を検出する。測位装置2において各電波発信器1〜1からの電波を区別するために、各電波発信器1〜1から送信する電波はそれぞれ異なる周波数に設定される。
測位装置2は、絶対座標系O−XYにおける電波の到来方位を特定することはできないから、測位装置2について設定したアンテナ座標系(ローカル座標系)O’−X’Y’において電波の到来方位を検出する。アンテナ座標系O’−X’Y’のX’Y’平面は絶対座標系O−XYのXY平面と一致しているか平行であるものとする。
ここで本測位方法を用いて測定を行う測位装置2は、図1に示すように電波発信器1からの電波を受信するアンテナ21と、アンテナ21の出力から電波の到来方位を検出するための成分を取り出すとともに抽出した成分を以後の処理のためにデジタル信号に変換する機能を有したアンテナ信号処理回路部22と、アンテナ信号処理回路部22の出力を用いてアンテナ座標系O’−X’Y’における電波の到来方位を推定する電波到来方向推定部23とを備える。また、測位装置2では、絶対座標系O−XYにおける座標位置を求めるために、電波発信器1の座標位置を知る必要があるから、絶対座標系O−XYにおける電波発信器1の座標をあらかじめ登録した発信器座標記憶部24が設けられ、電波到来方向推定部23で推定された到来方位と発信器座標記憶部24に登録された電波発信器1の座標位置とを用いて測位装置2の座標位置を求める測位アルゴリズム処理部25が設けられる。
測位装置2の座標位置は、測位装置2の代表点の座標位置であって、以下の説明では測位装置2に設けたアンテナ21を基準として設定したアンテナ座標系O’−X’Y’の原点(O)の座標位置を、絶対座標系O−XYにおける測位装置2の座標位置に用いるものとする。
アンテナ21は、電波の到来方位を検出することができるように構成されたものを用い、本実施形態では、複数本のアンテナ素子21aを基台21bに立設した形状のアレイアンテナを用いる。各アンテナ素子21aはモノポールであって、図示例では基台21bの一面に円周上に等間隔4本を立設してある。アンテナ座標系O’−X’Y’の原点(O)は、アンテナ素子21aに囲まれた部位の中心、すなわち円の中心とする。
アンテナ21の出力はアンテナ信号処理回路部22に入力される。アンテナ信号処理回路部22は、図2に示すように、各アンテナ素子21a毎のゲインを切り換えるアッテネータ22aと、アンテナ素子21aで受信した信号を一定周波数に周波数変換する混合回路22bと、混合回路22bに局発信号を与える局部発振回路22cとを備え、更に、混合回路22bの出力をデジタル信号に変換するAD変換部22dを備える。
アッテネータ22a及び混合回路22bはアンテナ素子21aと同数個設けられる。混合回路22bはIQ分離(実数成分と虚数成分の分離)の機能も備える。混合回路22bではダウンコンバートを行っており、局部発振回路22cから出力する局発信号の周波数(局発周波数)を変化させることによって、混合回路22bでは一定周波数への周波数変換を行う。したがって、混合回路22bの出力に所定周波数を通過させる帯域フィルタを設けておくことにより、アンテナ素子21aで受信した信号のうち局発周波数に対応する成分のみが混合回路22bから出力されることになる。つまり、局発周波数を変化させることによって、電波発信器1からの電波に対応した成分を混合回路22bから取り出すことができる。尚、混合回路22bの出力周波数は、AD変換部22dにおけるサンプリングに適した周波数(サンプリング周波数の2分の1以下の周波数)に設定される。
AD変換部22dは、混合回路22bから出力された実数成分と虚数成分とをそれぞれデジタル値に変換する。AD変換部22dについて、サンプリング周波数、サンプリング点数、出力ビット数は、例えば10MHz、1000点、12ビットとする。電波発信器1はそれぞれ異なる周波数の電波を送信しているから、AD変換部22dでは各周波数毎にサンプリング点数分のサンプリングを行う。本実施形態では、3台の電波発信器1からの電波を受信するものとして、受信周波数を3回切り換える(図4参照)。尚、受信周波数は、測位装置2の現在位置に応じて、近距離に存在する電波発信器1からの電波を受信するように選択される。
図4における期間Trは1台の電波発信器1からの電波を受信している期間であり、この期間Trには受信周波数が一定に保たれる。また、図4の期間Tsは受信周波数を切り換える間の期間である。AD変換部22dの出力は、電波到来方向推定部23の機能を実現するDSP(デジタルシグナルプロセッサ)20aに入力される。DSP20aは、アンテナ素子21aで受信した電波の実数成分と虚数成分とを用いて電波の到来方位を推定する。一方、絶対座標系O−XYにおける測位装置2の座標位置を登録した発信器座標記憶部24は、DSP20aに付設された内部メモリ20bにより実現される。発信器座標記憶部24には、電波発信器1の座標位置のほか電波発信器1からの送信信号の周波数も記憶されており、測位装置2から近距離に存在する電波発信器1を3台選択し、当該電波発信器1の周波数に応じて局部発振回路22cの局発周波数を選択できる。
DSP20aは、測位アルゴリズム処理部25としての機能も備えており、AD変換部22dから出力された実数成分及び虚数成分により求めた電波の到来方位と、内部メモリ20bに登録された電波発信器1の座標位置とを用いて、絶対座標系O−XYにおける測位装置2の座標位置を演算により求める。この演算のために、図4に示す期間Ttにおいて、DSP20aでは、AD変換部22dに設けたバッファからAD変換部22dの出力を読み込み、期間Tuにおいて、電波の到来方位を推定する演算を行った後、電波発信器1の座標位置を用いて測位装置2の座標位置を求める演算を行う。演算結果を外部のマイクロコンピュータ(図示せず)等の処理回路へ転送される。図4では演算結果をマイクロコンピュータに転送する時間Tvも示してある。DSP20aからは、座標位置のほか、電波の到来方位と各アンテナ素子21aでの受信電力も出力される。
電波発信器1からの電波をアンテナ21で受信してからDSP20aでの演算結果をマイクロコンピュータに転送するまでの時間は、例えば250msであって、アンテナ21を用いて電波発信器1からの電波を受信する期間は、この期間の一部であるから、3台の電波発信器1からの電波を順に受信しても、その期間には測位装置2の座標位置には実質的に変化が無いとみなすことができる。つまり、実質的に同時刻に受信した3台の電波発信器1からの電波を用いて測位装置2の座標位置を求めていることになる。
測位装置2では、電波発信器1毎に局発周波数を変化させる必要があるが、1台の電波発信器1からの電波の到来方位を検出する間にはアンテナ21の受信条件を変化させる必要が無いから、1台ずつの電波発信器1については電波の到来方位を実質的に同時刻とみなせる程度の短時間で推定することができる。つまり、測位装置2では、電波発信器1とアンテナ21との相対位置が変動する場合があるが、各電波発信器1からの電波の到来方位を推定するのに必要なデータを収集する時間は短いから、電波の到来方位が変動しない程度の短時間で到来方位を推定することができる。
尚本実施形態の測位装置2は、携帯電話のようなハンディタイプ、帽子や服に取り付ける装着タイプリュックなどに取り付けるような荷物タイプなど様々な可搬型の装置を構成するものであるが、その利用形態を制限するものではない。
次に上述した図3の測位システムの概念図を用いて、測位アルゴリズム処理部25において、アンテナ21の座標位置を求める方法について詳説する。
今、図において、3つの電波発信器1〜1が既知の地点P(x,y),P(x,y),P(x,y)に置かれているとする。そのとき、地点P(x,y)からの電波到来方向推定結果がφa,φ、地点(x,y)からの電波到来方向推定結果がφ 、地点(x,y)からの電波到来方向推定結果がφで、それぞれの電波発信器1〜1の座標値と到来方向推定結果とが表1のように求められたとする。尚電波発信器1は直接波と反射波とを共に設定したもので、1a、1bは直接波と反射波とを区別して示す符号である。
Figure 0005179054
ここで、カッシーニの解法を用いて自己位置推定を行う。このカッシーニの解法は既知であるが、図5に基づいて簡単に説明する。
まず図示するように既知点の中の2点同士と未知点を通る円を2つ描き、共通の既知点Pから直径P,Pを引き、まず点P及びPの座標を求める。前方交会法の結果を用いると、数1のようになる。
Figure 0005179054
ここで、(x−x)tan(T21)=(y−y)、また∠P=90°であるから、tanT1CtanT21=−1とし、
これらを数の式に代入して変形すると、
=x +(y −y )tan(T 2C −T 21 )となる。
一方、T2C−T21=(−90°−A)であるから、
=x−(y−y)cotA、同様にして、y=y+(x−x)cotAと表せる。
点Pの座標も同じように表せる。
=x(y−y)cotB、y=y(x−x)cotB
三点P,P,Pは一直線上にあるから、PPの方向角をTC0で表すと、数2のようになる。
Figure 0005179054
点Pの座標を点PとPとから数2のようにして計算すると,数3に示すようになる。
Figure 0005179054
ここで、∠PPPは、直角であるから,tanT20は、数4に示すようになり、数3の式は数5に示すようになる。
Figure 0005179054
Figure 0005179054
同様にして、数6のようになり、未知点(x、y)の座標が導出される。
Figure 0005179054
そして測位システムにおいて、測位装置2のアンテナ21の絶対方位θは、図6に示すように既知点Pの観測された方向をφとすると、未知点の位置(x,y)と適当な電波発信器1の位置(x,yとで、数7の式の計算を行うことによって、算出することが可能となる。
Figure 0005179054
さて本実施形態の測位アルゴリズム処理部25は、上述のカッシーニの解法を用いて自己位置の推定を行うのであるが、組み合わせを重複するような3つずつを選ぶ。上述の表1の例であれば、1a,1,1と1b,1,1である。このとき1a,1,1の組と、1b,1,1の組に対して、以下のような判定を行う。
電波発信器1〜1がP(x,y),P(x,y),P(x,y)の3箇所に存在し、到来方向推定角がφa,φb,φ,φのとき,測位結果は以下の2通りとなる。
,P,P, φa,φ,φ⇒x1a23,y1a23,θ1a23
,P,P, φb,φ,φ⇒x1b23,y1b23,θ1b23
測位結果:P(x,y) (t=1a23,1b23)
電波発信器座標:P(x,y) (i=1,2,3)
を用いると、測位位置P_から見た電波発信器P_の方位(θ)は数8で示すようになる。
Figure 0005179054
正しい測位結果tでは幾何的に
θ=θφ
が成り立つため、tに含まれる全てのi(t=1a23ならi=1a,2,3、t=1b23ならi=1b,2,3)で上式が成立すれば、そのtの組み合わせは正しい測位結果とし、少なくとも一つのiで上式が不成立なら、そのtは間違った測位結果として除去する。つまり測位アルゴリズム処理部25の異常測位結果除去の機能が働くことになる。
ここで、上述のアルゴリズムによって表1の測位結果を処理したものを表2に示す。
尚表2では、推定された到来方位に対応する電波発信器1を添え字のみで示す。また以降に示す表においても同様に添え字で示す。またOKは採用を示し、NGは不採用の測位結果を示す。
Figure 0005179054
よって、判定処理の結果、1a,2,3の組み合わせが選択され,正しい測位結果は(x,y,θ)=(10,10,0)であると求められる。もし電波発信器1からの電波到来方向推定角が2つになったとして、φa,φbが得られたとすれば,電波発信器1の組み合わせとしては、(1a,1a,1)、(1b,1a,1)、(1a,1b,1)、(1b,1b,1)という4通りになる。このときの4通りの組み合わせを表3に全て列挙する。
Figure 0005179054
この4通りの組み合わせに対する判定処理の結果が表4のようになれば、1a,1a、1 の組み合わせのみが採用され、その測位結果(x、y、θ)=(10,10,0)となる。
Figure 0005179054
以上のようにして、本実施形態では、測位アルゴリズム処理部25は、直接波と、反射波とを分離して到来方向推定角の不適な角度を排除することによって、反射波を用いた測位結果を除去(NG)し、マルチパス環境下において精度の良い測位を行うことができるのである。
(実施形態2)
本実施形態では測位アルゴリズム処理部25が上述のアルゴリズムによって判定処理を行った結果、複数個の測定結果で正しいと判定されるような場合に、スペクトルピークの大きさによって前記座標位置を採用する組の決定を行う点に特徴がある。
まず本実施形態で採用するCapon法(ビームサーチ法)も既知の方法であるが、簡単に説明しておく。このCapon法はある方向にメインローブを向けると同時に、他の出力への寄与を最小化しようと考える方向拘束付出力電力最小化法(DCMP)の考え方により、数9に示す式を得る。
Figure 0005179054
このときのアレイ出力電力は数10内の式(a)で表され、Capon法の角度スペクトラムは、出力電力の定係数を取り除き、式(b)で示す形で表される。
Figure 0005179054
さて上述のCapon法を用いて電波発信器1〜1の位置(x、y)、到来方向推定角φ、スペクトルピークの強度表5のように求め、その判定結果が表6のような場合となり、反射波による測位結果も除去されずに残った場合、本実施形態の測位アルゴリズム処理部25は、夫々の到来方向推定の結果の中の「強度」という項目に注目する。この「強度」という項目は、スペクトルピークを抽出した際のスペクトルの大きさ(高さ)を示している。一般的に電波は反射すると−6dBとなるため、直接波に比べて反射波は電波強度が小さい。そして、本実施形態で採用した、複数波の到来方向推定が可能なCapon法は、ビームサーチ法であるため、到来した波の強度に応じてスペクトルピークの大きさが変化する。
Figure 0005179054
Figure 0005179054
よって、到来波のうち,強度の高い(スペクトルピークの高い)波は直接波である可能性がより高いと推定できる。判定の結果、表6で示すように(1a2a,3)と、(11a2b3)という複数の組み合わせが「OK」と出た場合には、2a,2bの内の電波の強度の大きい方を含み(表5参照)、直接波である可能性が高い波の組み合わせ(今回の場合には1a,2a,3)を採用する。
以上のように本実施形態では、到来方向推定の際に得られた情報を用いて確からしい値を算出することができることになる。
尚本実施形態では、Capon法を用いているが、例えば、ビームフォーマ法など、到来角に対する電波強度がスペクトルの強度に対応するビームサーチ法を用いても勿論良く、Caponに限定されるものではない。
(実施形態3)
ところで、実施形態1の方法では、表7のように複数の到来方向推定角が比較的近いときには、表8のように複数個の測位結果が除去されずに残るような場合が生じる。そこで、本実施形態では、ジャイロセンサ、地磁気センサなどの方位を検知する方位センサ26(図2参照)を付設して、この方位センサ26から正しいアンテナ21の姿勢(向いている方向)のデータを測位アルゴリズム処理部25で取得し、照合することで、除去されずに残った複数の測位結果のうち正しいものを判定するようにした点に特徴がある。
Figure 0005179054
Figure 0005179054
つまり、表8で示すように電波発信器1a,1,1の組と、1b,1,1の組みによる夫々の測位結果からアンテナ21の向いている方位θが0,12.6°と計算されたとしたとき、その方位センサ26が検出する向きが0°だったとすれば,電波発信器1a,1,1による測位結果が適するとして、最終的に電波発信器1a,1,1 よる測位結果(x,y,θ)=(10,10,0)を採用する。
このように本実施形態では、複数の到来方向推定角が比較的近いときでも、方位センサ26の値に基づいて、より確からしい測位結果を採用することができる。
(実施形態4)
本実施形態では、図7に示すような時系列的なスペクトルデータを測位アルゴリズム処理部25で履歴を記録し、突然現れたり消えたりする到来角はマルチパスの可能性が高いとして優先度を下げる(マルチパス波だと認識をする)処理を行う機能を持たせてある点に特徴がある。
到来方向推定はある時点のアレイ応答ベクトルに対して信号処理を行うが、本実施形態では、時系列的に行うことによってスペクトルを時間的に連続に求める。そして整合とする測位結果を示す組が複数となったときに、継続的に存在するスペクトルを用いた測定結果について優先的に採用するように判定する。つまり時間的に急激に出現するスペクトルピークに関してはノイズやマルチパスの影響である可能性が高く、時間的に急激に発生したスペクトルピークに関しては測位処理に用いる優先度を低くし、測位結果として候補が複数挙がったときの優先順位を下げることで、正しい確度が高い測位結果を選定するのである。図7ではφbがマルチパスの高い到来方向を示している。
尚本実施形態では、カルマンフィルタのようなフィルタを使用することにより、時系列的な急激な変化を発見して除外することで、ロバスト性の高い測位システムを実現している。
(実施形態5)
本実施形態では、測位アルゴリズム処理部25において、叙述のCapon法と相関行列の固有値・固有ベクトルを用いるMUSIC法とを用いて測位結果を選定するようにしたものである。つまりMUSIC法に必要な波数推定に、Capon法での閾値以上のスペクトル波数を使用するようにしたものである。尚MUSIC法は既知のものであるので、ここでの説明は省略する。
さて、電波到来方向推定アルゴリズム(超分解法)には、大きく分けると1波のみ推定可能なアルゴリズムと、複数波推定が可能なものとが存在する。複数波推定が可能なアルゴリズムは表9に示すようなものがあり、それぞれの到来方向推定アルゴリズムによって特徴も異なり、得手不得手も異なる。この中で、本実施形態では、精度と偽像(電波が実際には到来していない方向にスペクトルピークが現れること)の少なさの兼ね合いでCapon法,MUSIC法を採用している。MUSIC法はヌルサーチの高分解能の到来方向推定技術として一般的であるが、波数推定が必要なことが難点である。一方、Capon法は、ビームサーチの到来方向推定技術であるが、波数推定が必要なく、且つスペクトルピークの高さが到来波の強度に対応するものの、MUSIC法に比べてスペクトルピークのシャープさに欠ける。また、多数波推定では複数の到来波が相関関係でないときにMUSIC法やCapon法といった方式を用いて複数の到来方向推定角を得ることができるが、到来波がコヒーレント波(反射波もこれに含まれる)であった場合には、そのまま信号処理したのでは複数波をうまく分離することができない。そのため円形アレイ(或いはリニアアレイ)中の隣り合う一定数の素子をサブグループとして定義し、そのサブグループを複数個作ってアレイ応答ベクトルの移動平均を施すことによりコヒーレント波の分離をする空間平均という方式もある。
Figure 0005179054
そこで、本実施形態では、複数波の到来方向推定を行うに当たり、まずは偽像が少ないとされるCapon法を用いて到来方向推定を行う。Capon法で到来方向推定した結果、スペクトルのうち或る閾値以上のスペクトルピーク値を持つものを列挙し、ピークの数とピークを取る到来方向推定角、ピークの大きさを記録する。図8はCapon法によって記録するスペクトルを示し、図中のLが閾値である。
ここで例えばφa,φb,φcの3つの到来方向推定角で閾値L以上のスペクトルピークを有し、ピークの大きさの順がφb>φc>φaだったとすると、このとき、φbが直接波である可能性が最も高く、φc,φaはマルチパス波である可能性がある。
次に測位アルゴリズム処理部25は、同じアレイ応答ベクトルに対してMUSIC法の演算を行う。MUSIC法の演算には到来波数が必要となるが、この際にはCapon法で得られたスペクトルの閾値以上のピーク数(この場合は3)を採用する。こうして得られたMUSIC法のスペクトルは図9に示すように3つのピークφa’φb’,φc’を持つはずである。
MUSIC法は、Capon法に比べて到来方向推定精度が高いため、到来方向推定角自体は、Capon法で求められた到来方向推定角に最も近いMUSIC法での到来方向推定角(φ ’,φ b’,φ ’)を採用する。また、このようにすることによって、MUSIC法単体では分からなかった到来波の直接波らしさ(Capon法によるスペクトルピークの高さから類推)や、Capon法では求められなかった高精度な到来方向推定角精度を得ることができる。
尚、到来波数を求めるためのスペクトルを得るには、Capon法である必要は無く、ビームサーチ法であれば到来波の強度とスペクトルピークの大きさが連動するために波数を推定可能である。
よって、本実施形態では、Capon法,MUSIC法単独では得られなかった高い精度と信頼性を備えることができるのである。
(実施形態6)
本実施形態では、実施形態5のように複数のアルゴリズムで求められた各電波到来方位角の差が閾値以内に収まる角度を用いて測位に用いる角度の組を決定するCapon法を用いて到来方向推定を行った結果、図10に示すようにφa,φb,φcにスペクトルピークが得られたとすると、そのとき、Capon法で得られたスペクトルピークの値に対して閾値L分に相当する角度範囲を設定し、次にMUSIC法を用いて到来方向推定し、その結果からその角度範囲内に入らなかった到来方向推定角に関しては、正しく到来方向推定できていないものとして、測位に用いる候補には挙げないようにする機能を測位アルゴリズム処理部25に設けた点に特徴がある。
具体的な状況を図10により説明する。まずCapon法による到来方向推定により、到来波3つ(φa,φb,φc)が得られ、次に、MUSIC法を用いて到来方向推定を行い、(φa’,φb’,φc’)という3つの到来方向推定角が得られたとする。それぞれのアルゴリズムにおける最近接ピークの方位角の差を取り、φaに最も近いのがφa’、φb に最も近いのがφb’、φcに最も近いのがφc’であったとすれば、アルゴリズム別の到来方向推定角の差の絶対値は(|φa’−φa|,|φb’−φb|,|φc’−φc|)となる。ここで、閾値を10°と仮定したとき、|φa’−φa|、|φc’−φc|は上記で設定した閾値内だが|φb’−φb|は閾値範囲外(10°以上の差がある)だったとする。このとき、アルゴリズムの差によって偽像が発生し、アルゴリズムが変わったことで本来電波が無いはずの角度にピークが出てしまっていたと考えられるため、φb及びφb’は到来方向推定結果としてふさわしくないという判断を行い、除外する。また、一般的に言って、Capon法(ビームサーチ法)よりもMUSIC法(ヌルサーチ)の方が到来方向推定精度は高いため、電波発信器1からの到来波の角度として、φa’,φc’を採用する。
而して本実施形態では、より到来方向推定精度を高めることができるのである。
(実施形態7)
上述の実施形態7ではCapon法による到来方向推定角度(3つ)とMUSIC法による到来方向推定角度(3つ)が一致していたが、実際には一致しないことも考えられる。一致しないのは、例えば以下のような場合である。
1)到来波数推定を実施形態5の方法以外で行ったため、ピークの数が一致しない。
2)MUSIC法に比べてCapon法は近接二波の分離性能が低いため、比較的近接した二波が到来した場合、MUSIC法では2つのスペクトルピークが見えても、Capon法では一つしか見えないことがある。具体的には、図11に示すような場合である。
Capon法ではφa,φb,φcの3箇所にピークが、MUSIC法ではφa’,φb’,φc’,φd’の4箇所にピークが見られたとする。
ここで、本実施形態の測位アルゴリズム処理部25は、(φa,φb,φc)と(φa’,φb’,φc’,φd’)の組み合わせ(3×4=12通り)を作り、その中で方位角の差の絶対値が閾値以下のものを抽出する。一例として、表10を示す。
Figure 0005179054
この表10は、Capon法による到来方向推定結果を横方向に、MUSIC法による到来方向推定結果を縦方向に列挙し、その組み合わせでの到来方向推定角度の差の絶対値を記載している。表中斜め字で表記しているのが閾値=10°としたときの閾値内の組み合わせである。このとき、φとφa’、φcとφc’、φcとφd’がピークの差が閾値内に収まるため、測位アルゴリズム処理部25は、実際の到来方位角としてMUSIC法の値を採用して、φa’=30,φc’=220,φd’=230という3波を採用する。
また仮に、万が一Capon法よりもMUSIC法の推定波数の方が少ない表11(アルゴリズム間での到来方位角のずれを示す)のような場合には、MUSIC法におけるφc’がCapon法のφc、φdに分かれて表れているものと考えて、φa’=35,φc’=223を到来波の方向として採用する。
Figure 0005179054
尚、本実施形態ではビームサーチ法の例としてCapon法、ヌルサーチ法の例としてMUSIC法を用いているが、アルゴリズムをこれらに限定するものではない。つまりアルゴリズムAよりも高精度だが偽像が発生したり波数推定が必要だったりするアルゴリズムBがあるとすれば、Capon⇒アルゴリズムA、MUSIC⇒アルゴリズムBと読み替えても問題ない。一般的に、アルゴリズムA=ビームサーチ、アルゴリズムB=ヌルサーチであることが多い。
(実施形態8)
本実施形態では、測位エリアのマップ(図12参照)を例えば内部メモリ20bに予め記憶させ、例えば実施形態1の方法において結果算出された現在位置が想定外の場合には測位結果の除去を行う処理を行う機能を測位アルゴリズム処理部25に持たせた点に特徴がある。
つまり、本来いるはずの無いマップ上の位置に、測位結果が得られたとする。その測位結果は除外できるはずである。そこで、人間やロボットが進入できない場所の座標値を
記載したマップを持たせ、測位結果として、この進入できないエリア内の座標が測位結果として計算されたとすれば、その測位結果は選定する際の優先順位を下げる処理を行う。
図12の例では、測位結果(1a,2,3)と(1b,2,3)が得られたとしたとき,(1a,2,3)は通常の測位エリア内であったものの、(1b,2,3)は測位装置2が進入することができないエリアに測位されたとする。この結果(1b,2,3)の結果は不適なもの(到来方向推定結果の中にマルチパス波やノイズの影響があったものとする)としで、測位結果の候補から排除するのである。
実施形態1の測位装置の構成図である。 実施形態1の測位装置の要部の詳細構成図である。 実施形態1を用いる測位システムの概念図である。 実施形態1の測位装置の動作説明用タイミングチャートである。 カッシーニの解法説明図である。 実施形態1の測位装置のアンテナの絶対方位の算出説明図である。 実施形態4において記録するスペクトルデータの説明図である。 実施形態5に用いるCapon法によって記録するスペクトルデータの説明図である。 実施形態5に用いるMUSIC法によって記録するスペクトルデータの説明図である。 実施形態6におけるスペクトルデータの説明図である。 実施形態7におけるスペクトルデータの説明図である。 実施形態8の動作説明図である。
符号の説明
2 測位装置
21 アンテナ
21a アンテナ素子
21b 基台
22 アンテナ信号処理回路部
23 電波到来方向推定部
24 発信器座標記憶部
25 測位アルゴリズム処理部

Claims (8)

  1. 平面内で規定した絶対座標系における既知位置に配置された少なくとも3台の電波発信器から送信され送信元毎に異なる電波を受信する測位装置において、測位装置について設定したローカル座標系における測位装置に対する各電波発信器からの電波の到来方位を用いて、絶対座標系における測位装置の座標位置を検出する測位方法であって、
    測位装置で受信した電波毎に、ローカル座標系における測位装置に対する電波の到来方位を推定し、
    測位装置で受信した互いに異なる電波の送信元である電波発信器を3つ選択して組にし、
    各組毎に、測位装置に対する各電波発信器からの電波の到来方位と既知の各電波発信器の座標位置とを用いて絶対座標系における測位装置の座標位置を求め、測位装置の座標位置から既知の電波発信器を見込むときの絶対座標系における測位装置に対する各電波発信器の存在方位を求めるとともに、到来方位と存在方位とを照合して整合性を判定し、
    各電波発信器において、絶対座標系に対するローカル座標系の角度とローカル座標系における電波発信器からの電波の到来方位との和と、絶対座標系における電波発信器の存在方位とを比較し、到来方位と存在方位との間に幾何学的な矛盾がなく整合すると判定された組から得られた測位装置の座標位置を採用する
    ことを特徴とする測位方法。
  2. 電波の到来方位を推定する際に、ビームサーチ法を用いるものであり、到来方位と存在方位との間に幾何学的な矛盾がなく整合すると判定された組が複数となった場合に、ビームサーチ法を用いたときに算出されたスペクトルのピーク値の大きさに基づいて、複数の組から測位装置の座標位置を採用する組を決定することを特徴とする請求項1記載の測位方法。
  3. 電波発信器からの電波を受信するアンテナの向いている方向検知する方位センサを備え、到来方位と存在方位との間に幾何学的な矛盾がなく整合すると判定された組が複数となった場合に、方位センサにより検知された方向に基づいて、複数の組から測位装置の座標位置を採用する組を決定することを特徴とする請求項1記載の測位方法。
  4. 電波の到来方位を推定する際に、スペクトルを算出するものであり、前記スペクトルの時系列の履歴を記憶して、到来方位と存在方位との間に幾何学的な矛盾がなく整合すると判定された組が複数となった場合に、継続的に存在するスペクトルを用いた測位装置の座標位置について優先して選択することを特徴とする請求項1記載の測位方法。
  5. 電波の到来方位を推定する際に、Capon法で得たスペクトルのピーク値が所定値以上となるものの数を到来波数としてMUSIC法を用いることを特徴とする請求項1記載の測位方法。
  6. 電波の到来方位を推定する際に、Capon法とMUSIC法で求められた各電波到来方位角の差が閾値以内に収まる到来角を測位に用いることを請求項1記載の特徴とする測位方法。
  7. 到来方位と存在方位との間に幾何学的な矛盾がなく整合すると判定された組が複数となった場合に、測位エリアの地図に基づいて存在不可領域の測位装置の座標位置を削除することを特徴とする請求項1記載の測位方法。
  8. 平面内で規定した絶対座標系における既知位置に配置された3台以上の電波発信器から送信され送信元毎に異なる電波を受信しアレイ応答ベクトルを出力するアンテナと、
    アンテナで受信した電波毎に、アレイ応答ベクトルを用いてアンテナ座標系におけるアンテナに対する電波の到来方位を推定する電波到来方位推定部と、
    絶対座標系における各電波発信器の座標位置を記憶した発信器座標記憶部と、
    絶対座標系におけるアンテナの座標位置を求める測位アルゴリズム処理部とを備え、
    アンテナで受信した互いに異なる電波の送信元である電波発信器を3つ選択して組にし、
    各組毎に、電波到来方位推定部で推定したアンテナに対する各電波発信器からの電波の到来方位と発信器座標記憶部が記憶している各電波発信器の座標位置とを用いて絶対座標系におけるアンテナの座標位置を求め、アンテナの座標位置から既知の電波発信器を見込むときの絶対座標系におけるアンテナに対する各電波発信器の存在方位を求めるとともに、到来方位と存在方位とを照合して整合性を判定し、
    各電波発信器において、絶対座標系に対するアンテナ座標系の角度とアンテナ座標系における電波発信器からの電波の到来方位との和と、絶対座標系における電波発信器の存在方位とを比較し、到来方位と存在方位との間に幾何学的な矛盾がなく整合すると判定された組から得られたアンテナの座標位置を採用する
    ことを特徴とする測位装置。
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