JP2007225544A - 到来方向推定装置 - Google Patents

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タユフェール エディ
Wataru Nomura
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Abstract

【課題】複数のコヒーレント波に対して全ての到来方向を正確に推定可能な到来方向推定装置を提供する。
【解決手段】方向推定手段30は、アレーアンテナ10のアンテナ素子1から受けた受信信号ベクトル<y>に基づいて、平行移動によって重なり合うサブアレーの組合せをN個に変化させながらESPRIT法を用いて到来波1〜Lの推定角θkn(k=1〜L,n=1〜N)を求める。そして、方向推定手段30は、N×L個の推定角θknに基づいて、到来波が推定角θknの方向から到来したときのアレーアンテナ10の計算された出力信号と、アレーアンテナ10の実際の出力信号との相関値α(θkn)(N×L個)を演算する。そうすると、方向推定手段30は、1つの到来波に対して計算されたN個の相関値α(θkn)が最大になるときの推定角を到来方向とする処理を到来波1〜Lに対して行なう。
【選択図】図1

Description

この発明は、コヒーレント波の到来方向を推定する到来方向推定装置に関するものである。
非特許文献1は、電気的に指向性を切換可能なアレーアンテナを用いて3個のコヒーレント波の到来方向を推定する到来方向推定方法を開示する。アレーアンテナは、1本の給電素子と、6本の無給電素子とからなり、6本の無給電素子は、給電素子の回りに円形配列される。より具体的には、6本の無給電素子は、給電素子を中心にして正六角形に配置される。また、6本の無給電素子には、可変容量素子であるバラクタダイオードが装荷されており、バラクタダイオードの容量を変えることによってアレーアンテナの指向性が切換えられる。
非特許文献1に開示された到来方向推定方法は、空間平均法(SSP:Spatial Smoothing Preprocessing)と、MUSIC法(MUltiple SIgnal Classification)とを組み合わせた方法である。
即ち、この到来方向推定方法は、指向性を切換えながらアレーアンテナによって受信された受信信号に基づいて、到来する複数のコヒーレント波間の相関を示す相関行列を空間平均法を施して演算し、その演算した相関行列に固有値分解を施して到来方向を推定する。
具体的には、次の方法によって相関行列が演算される。
アレーアンテナの1本の給電素子と正六角形に配置された6本の無給電素子とからなる7本のアンテナ素子を平行移動可能な菱形からなる複数のサブアレーに分割する。アレーアンテナの1本の給電素子と正六角形に配置された6本の無給電素子とからなる7本のアンテナ素子においては、平行移動可能な菱形のサブアレーは、3対(3つの方向の各々において2個)形成される。
そして、各方向において菱形のサブアレーを順方向に平行移動したときの順方向部分相関行列と、菱形のサブアレーを逆方向に平行移動したときの逆方向部分相関行列とを演算し、さらに、順方向部分相関行列と逆方向部分相関行列との平均を演算して各方向における部分相関行列を演算する。その結果、3つの方向に対して3つの部分相関行列が演算される。
その後、3つの部分相関行列の各々に対して固有値分解を施して3つのMUSICスペクトラムを演算し、その演算した3つのMUSICスペクトラムに平均化処理を施して3つのMUSICスペクトラムを合成する。そして、この合成したMUSICスペクトラムから到来方向を推定する。
また、6本の無給電素子が1本の給電素子の周囲に円形配列されたアレーアンテナにESPRIT(Estimation of Signal Parameters via Rotational Invariance Techniques)法を適用して到来波の到来方向を推定する方法も知られている(非特許文献2)。
平田 明史、タユフェールエディ、青野 智之、山田 寛喜、大平 孝、「エスパアンテナを用いたリアクタンスドメインMUSIC法によるコヒーレント2波の到来方向推定実験」,信学技報,AP2003−24,pp.59−64,May 2003. E. Chu, E. Taillefer, T. Ohira, "Direction-of-Arrival Estimation with a 7-Element Regular-Hexagonal Shaped ESPAR Antenna Employing the ESPRIT Algorithm", IEICE Technical report A.P2003-119, pp. 19-24, Aug. 2003.
しかし、非特許文献2に開示された到来方向推定方法は、平行移動によって重なり合う2つのサブアレー間に到来するコヒーレント波の位相差を検出してコヒーレント波の到来方向を推定するため、平行移動の方向とコヒーレント波の到来方向との関係によっては、推定した到来方向の確からしさが低いという問題がある。
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、複数のコヒーレント波に対して全ての到来方向を正確に推定可能な到来方向推定装置を提供することである。
この発明によれば、到来方向推定装置は、L(Lは、正の整数)個のコヒーレント波の到来方向を推定する到来方向推定装置であって、アレーアンテナと、指向性切換手段と、方向推定手段とを備える。アレーアンテナは、1本の給電素子と給電素子の周囲に円形配列されたM(Mは、M+1≧2Lを満たす整数)本の無給電素子とからなるM+1本のアンテナ素子を含む。指向性切換手段は、M本の無給電素子に装荷された可変容量素子の少なくとも1つの容量を変化させてアレーアンテナの指向性を切換える。方向推定手段は、アレーアンテナの指向性が複数の指向性に切換えられたときにアレーアンテナが受信する受信信号に基づいて、アレーアンテナ内に形成され、かつ、平行移動によって重なり合う2つのサブアレー間におけるコヒーレント波の位相差を演算してL個のコヒーレント波の到来方向を推定する。そして、方向推定手段は、L個のコヒーレント波の到来方向を示すL個の到来角の各々の検出に最適な方向へ平行移動する2つのサブアレーを選択し、その選択した2つのサブアレー間におけるコヒーレント波の位相差を演算してL個のコヒーレント波の到来方向を推定する。
好ましくは、方向推定手段は、推定角演算手段と、方向検出手段とを含む。推定角演算手段は、平行移動によって重なり合う2つのサブアレー間におけるコヒーレント波の位相差を演算してL個のコヒーレント波の到来方向の推定結果であるL個の推定角を求める推定角演算処理をN(Nは2以上の整数)個のサブアレー群の各々について行ない、N×L個の推定角を求める。方向検出手段は、N個のサブアレー群を用いて推定された1つの到来角に対するN個の推定角のうち、推定の確からしさを示す推定確度が最も高い推定角を1つの到来角として検出する到来角検出処理をN×L個の推定角を用いてL個の到来角の各々について行ない、L個のコヒーレント波の到来方向を検出する。そして、N個のサブアレー群は、各々が2つのサブアレーからなり、かつ、サブアレーの平行移動の方向が相互に異なる。
好ましくは、方向検出手段は、到来角検出処理において、N個の推定角に基づいてコヒーレント波がN個の推定角の各々の方向からアレーアンテナに到来したときのアレーアンテナの出力信号であるN個の第1の出力信号を演算し、その演算したN個の第1の出力信号と、アレーアンテナの実際の出力信号である第2の出力信号との相関を示すN個の相関値を演算し、その演算したN個の相関値のうち最大の相関値が得られるときの推定角を1つの到来角として検出する。
好ましくは、方向推定手段は、推定角演算手段と、方向検出手段とを含む。推定角演算手段は、平行移動によって重なり合う2つのサブアレー間におけるコヒーレント波の位相差を演算してL個のコヒーレント波の到来方向の推定結果であるL個の推定角を求める推定角演算処理をN個のサブアレー群について行ない、N×L個の推定角を求める。方向検出手段は、N×L個の推定角に基づいて、推定の確からしさを示す推定確度が相対的に高いL個の推定角をコヒーレント波間の相互の干渉を除去して抽出し、その抽出したL個の推定角をL個のコヒーレント波の到来方向として検出する。そして、N個のサブアレー群は、各々が2つのサブアレーからなり、かつ、サブアレーの平行移動の方向が相互に異なる。
この発明においては、L個のコヒーレント波の到来方向を示すL個の到来角の各々の検出に最適な方向へ平行移動する2つのサブアレー間におけるコヒーレント波の位相差を演算してL個のコヒーレント波の到来方向が推定される。
従って、この発明によれば、L個のコヒーレント波の全てに対して、その到来方向を正確に推定できる。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による到来方向推定装置100の概略図である。この発明の実施の形態1による到来方向推定装置100は、アレーアンテナ10と、指向性切換手段20と、方向推定手段30とを備える。
アレーアンテナ10は、アンテナ素子1〜7と、バラクタダイオード11〜16とを含む。アンテナ素子1〜7は、x軸、y軸およびz軸からなるxyz直交座標におけるz軸に沿ってx−y平面(所定平面)に配置される。
図2は、図1に示すx−y平面におけるアンテナ素子1〜7の平面配置図である。アンテナ素子1〜7は、アンテナ素子1を中心にして半径λ/4(λ:アレーアンテナ10によって送受信される電波の波長)の円周上に円形に配置される。この場合、アンテナ素子2〜7は、等間隔に配置される。
アンテナ素子1は、給電素子であり、アンテナ素子2〜7は、無給電素子である。バラクタダイオード11〜16は、それぞれ、アンテナ素子2〜7と接地ノードとの間に接続される。これによって、無給電素子であるアンテナ素子2〜7には、可変容量素子であるバラクタダイオード11〜16がそれぞれ装荷される。
このように、アレーアンテナ10は、1本の給電素子(アンテナ素子1)と、6本の無給電素子(アンテナ素子2〜7)とからなる7本のアンテナ素子が給電素子を中心にして円形に配列された構造からなる。
指向性切換手段20は、バラクタダイオード11〜16に制御電圧セットCVL0〜CVL6を供給し、アレーアンテナ10の指向性を切換える。制御電圧セットCVL0〜CVL6の各々は、6個のバラクタダイオード11〜16に対応して6個の電圧V1〜V6からなる。
6個の電圧V1〜V6の各々は、例えば、−20Vまたは0Vからなる。バラクタダイオード11〜16の各々は、−20Vの電圧が印加されると、リアクタンス値が“hi”(最大値)になり、0Vの電圧が印加されると、リアクタンス値が“lo”(最小値)になる。このように、バラクタダイオード11〜16の各々は、印加される電圧によってリアクタンス値が変化する。
指向性切換手段20は、各バラクタダイオード11〜16におけるリアクタンス値が“hi”(最大値)または“lo”(最小値)になるように各制御電圧セットCVL0〜CVL6の電圧V1〜V6を決定し、制御電圧セットCVL0〜CVL6をバラクタダイオード11〜16へ供給する。
この場合、指向性切換手段20は、バラクタダイオード11〜16におけるリアクタンス値xm1〜xm6のリアクタンスセットxが表1に示すように変化するように制御電圧セットCVL0〜CVL6をバラクタダイオード11〜16へ供給する。
リアクタンス値xm1〜xm6の全てが“hi”であるとき(m=0)、アレーアンテナ10は、全方位に感度があるオムニパターンに近いパターンからなるビームパターンBPM0(図2参照)を放射する。また、リアクタンス値xm1が“hi”であり、リアクタンス値xm2〜xm6が“lo”であるとき(m=1)、アレーアンテナ10は、0度の方向に指向性を有するビームパターンBPM1(図2参照)を放射する。なお、アンテナ素子1からアンテナ素子2への方向を0度の方向とする(図2参照)。
更に、リアクタンス値xm2が“hi”であり、リアクタンス値xm1,xm3〜xm6が“lo”であるとき(m=2)、アレーアンテナ10は、60度の指向性を有するビームパターンBPM2(図2参照)を放射する。
以下、同様にして、各リアクタンス値xm3〜xm6のいずれかが“hi”であり、それ以外のリアクタンス値が“lo”であるとき(m=3〜6)、アレーアンテナ10は、それぞれ、120度、180度、240度および300度の方向に指向性を有するビームパターンBPM3〜BPM6を放射する(図2参照)。
このように、指向性切換手段20は、無給電素子であるアンテナ素子2〜7に装荷されたバラクタダイオード11〜16のリアクタンス値xm1〜xm6からなるリアクタンスセットxを変えることによってアレーアンテナ10の指向性を切換える。
方向推定手段30は、アレーアンテナ10の給電素子であるアンテナ素子1と接続され、アレーアンテナ10のビームパターンが図2に示すビームパターンBPM0〜BPM6に順次切換えられたときの受信信号y(t)(m=0〜6)をアンテナ素子1から受ける。そして、方向推定手段30は、受信信号y(t)に基づいて、後述する方法によって、アレーアンテナ10に到来するコヒーレント波の到来方向を推定する。
この発明においては、図1に示すx−y平面内における方角を示す方位角を有するコヒーレント波を到来方向推定の対象とする。
L(Lは正の整数)個のコヒーレント波がアレーアンテナ10に到来している環境を考える。L個のコヒーレント波がアレーアンテナ10に到来する場合、リアクタンスセットx(=xm1〜xm6)で得られる受信信号ベクトル<y>は、次式によって表わされる。
ただし、ベクトル<W>は、等価ウエイト行列であり、ベクトル<A>は、ステアリング行列であり、ベクトル<u(t)>は、到来信号ベクトルであり、ベクトル<n(t)>は、熱雑音である。また、Tは、転置を表わす。
なお、式(1)において、θ(i=1〜L)=θ,・・・,θは、アンテナ素子1(給電素子)からアンテナ素子2(無給電素子)への方向を0度とするL個のコヒーレント波の到来方向であり、φ,・・・,φは、アンテナ素子1(給電素子)からアンテナ素子2(無給電素子)への方向を0度とするM本の無給電素子(アンテナ素子2〜7)の方位角である。
また、この明細書においては、表記<X>は、行列XまたはベクトルXを意味する。したがって、表記<y>は、式(1)におけるベクトルyを表わす。
そして、式(1)における等価ウエイト行列<W>の要素ベクトル<w>(m=0〜M)は、次式によって表される。
式(2)において、行列<Z>は、素子間結合を含めたインピーダンス行列であり、zは、受信機、即ち、到来方向推定装置100の内部インピーダンスであり、ベクトル<u>は、M+1個の要素からなる単位ベクトルである。
方向推定手段30は、指向性切換手段20によってアレーアンテナ10の指向性が順次切換えられたとき、式(1)に示す受信信号ベクトル<y>をアレーアンテナ10のアンテナ素子1から受信し、その受信した受信信号ベクトル<y>に基づいて、後述する方法によってアレーアンテナ10に到来するL個のコヒーレント波の到来方向を推定する。
次に、方向推定手段30におけるL個のコヒーレント波の到来方向の推定方法について説明する。
方向推定手段30は、受信信号ベクトル<y>をアレーアンテナ10のアンテナ素子1(給電素子)から受けると、受信信号ベクトル<y>に基づいて、次式によって相関行列<Ryy>を演算する。
なお、Hは、エルミート転置を表す。式(3)によって演算された相関行列<Ryy>は、アンテナ素子1〜7間の素子間結合が反映され、かつ、L個のコヒーレント波の相関を示す行列である。
その後、方向推定手段30は、相関行列<Ryy>に固有値分解を施して固有値λ(m=1〜M+1)を演算するとともに、その演算したM+1個の固有値λ,λ,・・・,λM+1に対応するM+1個の固有ベクトルν,ν,・・・,νM+1の中から大きい順にL個の固有ベクトルν,ν,・・・,νを選択して次式に示すリアクタンスドメインにおけるサブ空間信号<E>を演算する。
また、方向推定手段30は、M+1個の固有ベクトルν,ν,・・・,νM+1の中からM+1−L個の固有ベクトルνL+1,νL+2,・・・,νM+1を選択して次式に示すリアクタンスドメインにおける雑音空間信号<E>を演算する。
この場合、信号の固有値Λは、次の式(6)によって表され、雑音の固有値Λは、次の式(7)によって表される。
このように、方向推定手段30は、L個のコヒーレント波およびノイズに対する受信信号成分を示すM+1個の固有ベクトルν,ν,・・・,νM+1のうち、L個のコヒーレント波のみに対する受信信号成分を示すL個の固有ベクトルν,ν,・・・,νを抽出してリアクタンスドメインにおけるサブ空間信号<E>を演算し、雑音を示す残りのM+1−L個の固有ベクトルνL+1,νL+2,・・・,νM+1を抽出して雑音空間信号<E>を演算する。
方向推定手段30は、リアクタンスドメインにおけるサブ空間信号<E>を演算すると、アンテナ素子1〜7の素子間結合が反映されたリアクタンスドメインにおけるサブ空間信号<E>を式(2)に示す要素ベクトル<w>からなる等価ウエイト行列<W>を用いてアンテナ素子1〜7の素子間結合を除去したサブ空間信号<E’>へ変換する。
即ち、方向推定手段30は、式(1)および(2)によって等価ウエイト行列<W>を演算し、その演算した等価ウエイト行列<W>と、式(4)によって演算したサブ空間信号<E>とを次式に代入してリアクタンスドメインにおけるサブ空間信号<E>をサブ空間信号<E’>へ変換する。
その後、方向推定手段30は、式(5)に示す雑音空間信号<E>と、式(7)に示す雑音の固有値Λとを次式に代入してノイズ共分散行列を演算する。
そうすると、方向推定手段30は、サブ空間信号<E’>にESPRIT法を適用してL個のコヒーレント波の到来方向を推定する。
次に、サブ空間信号<E’>にESPRIT法を適用したL個のコヒーレント波の到来方向の推定について説明する。
まず、方向推定手段30は、サブ空間信号<E’>に基づいて次式により行列<E>,<E>を作る。
式(10)において、行列<J>および<J>は、選択行列である。
そして、方向推定手段30は、行列<E>,<E>を次式へ代入して行列<Ψ>を演算する。
そうすると、方向推定手段30は、行列<Ψ>に固有値分解を施して固有値φを演算し、その演算した固有値φを次式へ代入して推定角θを求める。
式(12)において、θref=π/2であり、ω=2πf(fは、例えば、f=2.4GHzである)であり、c=3×10(m/s)であり、Δ=λ/4(7素子の電子制御誘導器アレーアンテナ装置の場合であり、λ=c/fである)であり、Re(φ)は、固有値φの実部であり、Im(φ)は、固有値φの虚部である。
図3は、図1に示すアレーアンテナ10におけるサブアレーを示す平面図である。アレーアンテナ10は、アンテナ素子1(給電素子)の周囲に6本のアンテナ素子2〜7(無給電素子)が正六角形に配置された構造からなるので、4本のアンテナ素子からなるサブアレー(SA1〜SA6)は、図3に示すように6個形成される。
サブアレーSA1は、アンテナ素子1,2,3,7からなり、サブアレーSA2は、アンテナ素子1,4〜6からなる(図3の(a)参照)。また、サブアレーSA3は、アンテナ素子1〜4からなり、サブアレーSA4は、アンテナ素子1,5〜7からなる(図3の(b)参照)。更に、サブアレーSA5は、1,3〜5からなり、サブアレーSA6は、1,2,6,7からなる(図3の(c)参照)。
そして、サブアレーSA1,SA2は、平行移動によって相互に重なり合う2つのサブアレーを構成し、サブアレーSA3,SA4は、平行移動によって相互に重なり合う2つのサブアレーを構成し、サブアレーSA5,SA6は、平行移動によって相互に重なり合う2つのサブアレーを構成する。
ESPRIT法は、平行移動によって相互に重なり合う2つのサブアレー間におけるコヒーレント波の位相差を演算してコヒーレント波の到来方向を推定する方法であり、平行移動によって相互に重なり合う2つのサブアレーをどのように選択するかによって式(10)における選択行列<J>,<J>が異なる。
サブアレーSA1,SA2を用いてESPRIT法によってコヒーレント波の到来方向を推定する場合、選択行列<J>は、アンテナ素子[2,3,1,7]を選択する行列からなり、選択行列<J>は、アンテナ素子[1,4,5,6]を選択する行列からなる。
従って、サブアレーSA1,SA2が用いられる場合、選択行列<J>,<J>は、それぞれ、選択行列<J11>,<J21>からなり、選択行列<J11>,<J21>は、それぞれ、式(13),(14)によって表される。
また、サブアレーSA3,SA4が用いられる場合、選択行列<J>,<J>は、それぞれ、選択行列<J12>,<J22>からなり、選択行列<J12>,<J22>は、それぞれ、式(15),(16)によって表される。
更に、サブアレーSA5,SA6が用いられる場合、選択行列<J>,<J>は、それぞれ、選択行列<J13>,<J23>からなり、選択行列<J13>,<J23>は、それぞれ、式(17),(18)によって表される。
方向推定手段30は、サブアレーSA1をサブアレーSA2へ平行移動したときのサブアレーSA1,SA2間におけるコヒーレント波の位相差を演算してESPRIT法によってコヒーレント波の到来方向を推定する場合、式(10)〜(14)を用いてコヒーレント波の到来方向を推定する。
また、方向推定手段30は、サブアレーSA3をサブアレーSA4へ平行移動したときのサブアレーSA3,SA4間におけるコヒーレント波の位相差を演算してESPRIT法によってコヒーレント波の到来方向を推定する場合、式(10)〜(12),(15),(16)を用いてコヒーレント波の到来方向を推定する。
更に、方向推定手段30は、サブアレーSA5をサブアレーSA6へ平行移動したときのサブアレーSA5,SA6間におけるコヒーレント波の位相差を演算してESPRIT法によってコヒーレント波の到来方向を推定する場合、式(10)〜(12),(17),(18)を用いてコヒーレント波の到来方向を推定する。
更に、方向推定手段30は、サブアレーSA2をサブアレーSA1へ平行移動したときのサブアレーSA2,SA1間におけるコヒーレント波の位相差を演算してESPRIT法によってコヒーレント波の到来方向を推定する場合、式(10)〜(14)を用いてコヒーレント波の到来方向を推定する。この場合、選択行列<J>は、式(14)に示す選択行列<J21>からなり、選択行列<J>は、式(13)に示す選択行列<J11>からなる。
更に、方向推定手段30は、サブアレーSA4をサブアレーSA3へ平行移動したときのサブアレーSA4,SA3間におけるコヒーレント波の位相差を演算してESPRIT法によってコヒーレント波の到来方向を推定する場合、式(10)〜(12),(15),(16)を用いてコヒーレント波の到来方向を推定する。この場合、選択行列<J>は、式(16)に示す選択行列<J22>からなり、選択行列<J>は、式(15)に示す選択行列<J12>からなる。
更に、方向推定手段30は、サブアレーSA6をサブアレーSA5へ平行移動したときのサブアレーSA6,SA5間におけるコヒーレント波の位相差を演算してESPRIT法によってコヒーレント波の到来方向を推定する場合、式(10)〜(12),(17),(18)を用いてコヒーレント波の到来方向を推定する。この場合、選択行列<J>は、式(18)に示す選択行列<J23>からなり、選択行列<J>は、式(17)に示す選択行列<J13>からなる。
このように、方向推定手段30は、4本のアンテナ素子からなるサブアレーを用いてESPRIT法によってコヒーレント波の到来方向を推定する場合、上述した6個のサブアレー群[SA1→SA2],[SA2→SA1],[SA3→SA4],[SA4→SA3],[SA5→SA6],[SA6→SA5]を用いてコヒーレント波の到来方向を推定する。
この場合、1個のサブアレー群を用いてL個のコヒーレント波の到来方向を推定すれば、L個の推定角θ(k=1〜L)が得られるので、サブアレー群[SA1→SA2]を用いて推定される推定角をθk1とし、サブアレー群[SA2→SA1]を用いて推定される推定角をθk2とし、サブアレー群[SA3→SA4]を用いて推定される推定角をθk3とし、サブアレー群[SA4→SA3]を用いて推定される推定角をθk4とし、サブアレー群[SA5→SA6]を用いて推定される推定角をθk5とし、サブアレー群[SA6→SA5]を用いて推定される推定角をθk6とする。
その結果、6個のサブアレー群[SA1→SA2],[SA2→SA1],[SA3→SA4],[SA4→SA3],[SA5→SA6],[SA6→SA5]を用いて推定される推定角は、推定角θkn(k=1〜L,n=1〜6)となる。
方向推定手段30は、複数のサブアレー群を用いてESPRIT法によってコヒーレント波の到来方向(=推定角θkn)を推定すると、その推定した推定角θknの相関値α(θkn)を次式によって演算する。
式(19)において、受信信号ベクトル<y(θkn)>は、推定角θknを用いたステアリングベクトル<a(θkn)>と、等価ウエイト行列<W>の転置<W>との積によって決定される。即ち、受信信号ベクトル<y(θkn)>は、コヒーレント波が推定角θknの方向からアレーアンテナ10に到来したときのアレーアンテナ10の計算された出力信号である。そして、式(19)における受信信号ベクトル<y(θkn)>と式(1)における受信信号ベクトル<y>との対比から明らかなように、受信信号ベクトル<y(θkn)>は、雑音成分を除去した信号成分のみからなる。
また、式(19)において、相関行列(<Ryy>−<RNN>)は、アレーアンテナ10の実際の出力空間行列である相関行列<Ryy>から雑音行列である相関行列<RNN>を減算したものであり、アレーアンテナ10の雑音成分を除去した実際の信号成分のみを表す。相関行列<Ryy>は、<Ryy>=(信号成分)+(雑音成分)によって表されるからである。
従って、式(19)によって演算された相関値α(θkn)は、コヒーレント波が推定角θknの方向からアレーアンテナ10に到来したときのアレーアンテナ10の計算された出力信号<y(θkn)>と、アレーアンテナ10の実際の出力信号(<Ryy>−<RNN>)との相関を演算したものである。そして、出力信号<y(θkn)>および出力信号(<Ryy>−<RNN>)は、上述したように雑音成分を除去した信号成分のみからなるので、相関値α(θkn)は、アレーアンテナ10の計算された信号成分と、アレーアンテナ10の実際の信号成分との相関を表す。
方向推定手段30は、相関値α(θkn)を演算すると、その演算した相関値α(θkn)が最大になるときの推定角θknをコヒーレント波の到来方向と推定する。この相関値α(θkn)が最大になるときの推定角θknを求める方法について次に説明する。
図4は、アレーアンテナ10に到来する到来波(コヒーレント波)の模式図である。到来波1〜Lは、それぞれ、角度θ〜θの方向からアレーアンテナ10に到来する。そして、角度θ〜θは、θ<θ<・・・<θの関係を有する。
そうすると、サブアレー群SAG1:[SA1→SA2]を用いて推定された推定角θ11〜θL1の間には、θ11<θ21<・・・<θL1の関係が成立する。また、サブアレー群SAG2:[SA2→SA1]を用いて推定された推定角θ12〜θL2の間には、θ12<θ22<・・・<θL2の関係が成立する。以下、同様にして、それぞれ、サブアレー群SAG3:[SA3→SA4],SAG4:[SA4→SA3],SAG5:[SA5→SA6],SAG6:[SA6→SA5]を用いて推定された推定角θ13〜θL3;θ14〜θL4;θ15〜θL5;θ16〜θL6の間には、それぞれ、θ13<θ23<・・・<θL3;θ14<θ24<・・・<θL4;θ15<θ25<・・・<θL5;θ16<θ26<・・・<θL6の関係が成立する。
即ち、サブアレー群SAG1:[SA1→SA2],SAG2:[SA2→SA1],SAG3:[SA3→SA4],SAG4:[SA4→SA3],SAG5:[SA5→SA6],SAG6:[SA6→SA5]を用いて推定された推定角θ11〜θL1;θ12〜θL2;θ13〜θL3;θ14〜θL4;θ15〜θL5;θ16〜θL6の間には、表2に示す関係が成立する。
なお、推定角θ11〜θL1;θ12〜θL2;θ13〜θL3;θ14〜θL4;θ15〜θL5;θ16〜θL6=θkn(k=1〜L,n=1〜6)の2個の添え字“kn”のうち、kは、到来波を示し、nは、サブアレー群SAG1〜SAG6を示す。
表2に示す推定角θ11〜θL1;θ12〜θL2;θ13〜θL3;θ14〜θL4;θ15〜θL5;θ16〜θL6のうち、推定角θ11,θ12,θ13,θ14,θ15,θ16は、6個のサブアレー群SAG1〜SAG6を用いて推定された到来波1に対する推定角であり、推定角θ21,θ22,θ23,θ24,θ25,θ26は、サブアレー群SAG1〜SAG6を用いて推定された到来波2に対する推定角であり、以下、同様に、推定角θL1,θL2,θL3,θL4,θL5,θL6は、サブアレー群SAG1〜SAG6を用いて推定された到来波Lに対する推定角である。
そこで、この発明においては、方向推定手段30は、ESPRIT法を用いて推定した6個の推定角θ11,θ12,θ13,θ14,θ15,θ16を式(19)に代入して6個の相関値α(θ11),α(θ12),α(θ13),α(θ14),α(θ15),α(θ16)を演算し、その演算した6個の相関値α(θ11),α(θ12),α(θ13),α(θ14),α(θ15),α(θ16)のうち、最大の相関値が得られるときの推定角を到来波1の到来角として推定する。例えば、方向推定手段30は、相関値α(θ13)が最大であれば、推定角θ13を到来波1の到来方向として推定する。
また、方向推定手段30は、ESPRIT法を用いて推定した6個の推定角θ21,θ22,θ23,θ24,θ25,θ26を式(19)に代入して6個の相関値α(θ21),α(θ22),α(θ23),α(θ24),α(θ25),α(θ26)を演算し、その演算した6個の相関値α(θ21),α(θ22),α(θ23),α(θ24),α(θ25),α(θ26)のうち、最大の相関値が得られるときの推定角を到来波2の到来角として推定する。
以下、同様にして、方向推定手段30は、ESPRIT法を用いて推定した6個の推定角θL1,θL2,θL3,θL4,θL5,θL6を式(19)に代入して6個の相関値α(θL1),α(θL2),α(θL3),α(θL4),α(θL5),α(θL6)を演算し、その演算した6個の相関値α(θL1),α(θL2),α(θL3),α(θL4),α(θL5),α(θL6)のうち、最大の相関値が得られるときの推定角を到来波Lの到来角として推定する。
このように、この発明の実施の形態1においては、方向推定手段30は、到来角の推定に用いるサブアレー群を6個のサブアレー群SAG1〜SAG6に順次変えながらESPRIT法によって到来波1に対する推定角θ11〜θ16を求め、その求めた推定角θ11〜θ16を用いて計算したアレーアンテナ10の出力信号<y(θ11)>〜<y(θ16)>と、アレーアンテナ10の実際の出力信号(<Ryy>−<RNN>)との相関値α(θ11)〜α(θ16)を演算し、その演算した相関値α(θ11)〜α(θ16)のうち、最大の相関値が得られるときの推定角を到来波1の到来方向として推定する。
また、方向推定手段30は、到来波2〜Lに対しても、到来波1の場合と同様にして到来波2〜Lの到来方向を推定する。
そして、到来角の推定に用いるサブアレー群を6個のサブアレー群SAG1〜SAG6に順次変えながらESPRIT法によって到来波1に対する推定角θ11〜θ16を求め、その求めた推定角θ11〜θ16に基づいて相関値α(θ11)〜α(θ16)を演算し、その演算した相関値α(θ11)〜α(θ16)のうち、最大の相関値が得られるときの推定角を到来波1の到来方向として推定することは、到来波1の検出に最適な方向へ平行移動する2つのサブアレー(=1つのサブアレー群)を選択し、その選択した2つのサブアレー間における到来波1の位相差を演算して到来波1の到来方向を推定することに相当する。到来波2〜Lの到来方向の推定についても同様である。
従って、この発明においては、到来波1〜Lの各々の検出に最適な方向へ平行移動する2つのサブアレー(=1つのサブアレー群)を選択し、その選択した2つのサブアレー間における各到来波1〜Lの位相差を演算して到来波1〜Lの到来方向を推定することを特徴とする。
そして、この特徴は、到来角の推定に用いるサブアレー群を6個のサブアレー群SAG1〜SAG6に順次変えながらESPRIT法によって推定した6個の推定角θk1,θk2,θk3,θk4,θk5,θk6(k=1〜L)のうち、推定の確からしさを示す推定確度が最も高い推定角を1つの到来角として検出する到来角検出処理をL個の到来角の各々に対して行なうことによって実現される。
図5は、コヒーレント波の到来方向を推定する動作を説明するための実施の形態1におけるフローチャートである。一連の動作が開始されると、方向推定手段30は、アレーアンテナ10の素子数M+1を“7”に設定し、角度θでアレーアンテナ10に到来するコヒーレント波をL波とすると同時に、サブアレーのアンテナ素子数Kとサブアレーの平行移動数Nとを選択する(ステップS1)。この場合、方向推定手段30は、例えば、サブアレーのアンテナ素子数Kとして“4”を選択し、サブアレーの平行移動数Nとして“6”を選択する。
そして、アレーアンテナ10は、指向性切換手段20によって指向性が複数の指向性に順次切換えられたときの電波を受信し、その受信した電波の出力信号である受信信号ベクトル<y>を測定し(ステップS2)、その測定した受信信号ベクトル<y>をアンテナ素子1(=給電素子)から方向推定手段30へ出力する。
方向推定手段30は、アレーアンテナ10のアンテナ素子1から受信信号ベクトル<y>を受けると、その受けた受信信号ベクトル<y>を式(3)に代入して相関行列<Ryy>を演算する(ステップS3)。
その後、方向推定手段30は、上述した方法によって、相関行列<Ryy>に基づいてサブ空間信号<E>、雑音の固有値に対する固有ベクトル(=雑音空間信号)<E>、信号の固有値Λおよび雑音の固有値Λを求める(ステップS4)。
そして、方向推定手段30は、式(1),(2)を用いて、等価ウエイト行列<W>を演算し(ステップS5)、その演算した等価ウエイト行列<W>と、ステップS4において求めたサブ空間信号<E>とを式(8)に代入してサブ空間信号<E’>を演算する(ステップS6)。
そうすると、方向推定手段30は、サブ空間信号<E’>にESPRIT法を適用して推定角θknを求める(ステップS7)。一方、方向推定手段30は、ステップS4において演算した雑音空間信号<E>および雑音の固有値Λを式(9)に代入してノイズ共分散行列<Rnn>を演算する(ステップS8)。
そして、方向推定手段30は、ステップS7において求めた推定角θknと、ステップS8において求めたノイズ共分散行列<Rnn>とを式(19)に代入して相関値α(θkn)を演算し、その演算した相関値α(θkn)が最大になる推定角を上述した方法によって求め、その求めた推定角を到来波1〜Lに対する到来角θとする(ステップS9)。これによって、一連の動作が終了する。
図6は、図5に示すステップS7の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。図5に示すステップS6の後、方向推定手段30は、n=1を設定し(ステップS71)、n≦Nであるか否かを判定する(ステップS72)。
ステップS72において、n≦Nであると判定されると、方向推定手段30は、サブ空間信号<E’>と、式(13)に示す選択行列<J11>からなる選択行列<J>と、式(14)に示す選択行列<J21>からなる選択行列<J>とを式(10)へ代入して行列<E>,<E>を演算し、素子空間のサブ空間信号<E’>を選択行列<J>,<J>によってサブアレーに分離する(ステップS73)。
そして、方向推定手段30は、行列<E>,<E>を式(11)に代入して行列<Ψ>を演算し(ステップS74)、その演算した行列<Ψ>に固有値分解を施して固有値Φを演算する(ステップS75)。
その後、方向推定手段30は、固有値Φを式(12)に代入して推定角θknを求める(ステップS76)。これによって、サブアレー群SAG1を用いて推定した推定角θ11〜θL1が求められる。
ステップS76の後、方向推定手段30は、n=n+1を設定する(ステップS77)。そして、一連の動作は、ステップS72へ戻り、ステップS72において、n≦Nでないと判定されるまで、上述したステップS72〜ステップS77が繰り返し実行される。この場合、ステップS72〜ステップS77が2回目に実行されると、サブアレー群SAG2を用いて推定した推定角θ12〜θL2が求められ、ステップS72〜ステップS77が3回目に実行されると、サブアレー群SAG3を用いて推定した推定角θ13〜θL3が求められ、ステップS72〜ステップS77がN(=6)回目に実行されると、サブアレー群SAG6を用いて推定した推定角θ16〜θL6が求められる。
その後、ステップS72において、n≦Nでないと判定されると、方向推定手段30は、推定角θknを得る(ステップS78)。そして、ステップS78の後、一連の動作は、図5に示すステップS9へ移行する。これにより、図5に示すステップS7の詳細な動作が終了する。
上記においては、アンテナ素子数が4本であるサブアレーSA1〜SA6を用いてコヒーレント波の到来方向を推定すると説明したが、この発明においては、これに限らず、アンテナ素子数が3本である複数のサブアレーを用いてコヒーレント波の到来方向を推定するようにしてもよい。
図7は、アンテナ素子数が3本である複数のサブアレーを示す平面図である。アレーアンテナ10は、上述したように、アンテナ素子1(給電素子)の周囲に6本のアンテナ素子2〜7(無給電素子)が正六角形に配置された構造からなるので、平行移動によって相互に重なり合う2つのサブアレーからなるサブアレー群を形成する場合、3本のアンテナ素子からなるサブアレー(SA11〜SA16)は、図7に示すように6個形成される。
サブアレーSA11は、アンテナ素子1,4,5からなり(図7の(a),(b)参照)、サブアレーSA12は、アンテナ素子1,2,3からなる(図7の(a),(c)参照)。また、サブアレーSA13は、アンテナ素子1,6,7からなり(図7の(b),(c)参照)、サブアレーSA14は、アンテナ素子1,5,6からなる(図7の(d),(f)参照)。更に、サブアレーSA15は、1,2,7からなり(図7の(d),(e)参照)、サブアレーSA16は、1,3,4からなる(図7の(e),(f)参照)。
そして、サブアレーSA11,SA12は、平行移動によって相互に重なり合う2つのサブアレーを構成し、サブアレーSA11,SA13は、平行移動によって相互に重なり合う2つのサブアレーを構成し、サブアレーSA12,SA13は、平行移動によって相互に重なり合う2つのサブアレーを構成する。また、サブアレーSA14,SA15は、平行移動によって相互に重なり合う2つのサブアレーを構成し、サブアレーSA15,SA16は、平行移動によって相互に重なり合う2つのサブアレーを構成し、サブアレーSA14,SA16は、平行移動によって相互に重なり合う2つのサブアレーを構成する。
サブアレーの平行移動の方向としては、図7の(a)〜(f)の各々に示す方向の逆方向も想定されるので、サブアレー[SA11→SA12]をサブアレー群SAG11とし、サブアレー[SA12→SA11]をサブアレー群SAG12とし、サブアレー[SA11→SA13]をサブアレー群SAG13とし、サブアレー[SA13→SA11]をサブアレー群SAG14とし、サブアレー[SA12→SA13]をサブアレー群SAG15とし、サブアレー[SA13→SA12]をサブアレー群SAG16とし、サブアレー[SA14→SA15]をサブアレー群SAG17とし、サブアレー[SA14→SA15]をサブアレー群SAG17とし、サブアレー[SA15→SA14]をサブアレー群SAG18とし、サブアレー[SA15→SA16]をサブアレー群SAG19とし、サブアレー[SA16→SA15]をサブアレー群SAG20とし、サブアレー[SA14→SA16]をサブアレー群SAG21とし、サブアレー[SA16→SA14]をサブアレー群SAG22とする。
従って、6個のサブアレーSA11〜SA16を用いてESPRIT法によってコヒーレント波の到来方向を推定する場合、方向推定手段30は、12個のサブアレー群SAG11〜SAG22を用いてESPRIT法によってコヒーレント波の到来方向を推定する。
ESPRIT法は、平行移動によって相互に重なり合う2つのサブアレー間におけるコヒーレント波の位相差を演算してコヒーレント波の到来方向を推定する方法であり、平行移動によって相互に重なり合う2つのサブアレーをどのように選択するかによって式(10)における選択行列<J>,<J>が異なる。
サブアレーSA11,SA12を用いてESPRIT法によってコヒーレント波の到来方向を推定する場合、選択行列<J>は、アンテナ素子[1,4,5]を選択する行列からなり、選択行列<J>は、アンテナ素子[1,2,3]を選択する行列からなる。
従って、サブアレーSA11,SA12が用いられる場合、選択行列<J>,<J>は、それぞれ、選択行列<J14>,<J24>からなり、選択行列<J14>,<J24>は、それぞれ、式(20),(21)によって表される。
また、サブアレーSA11,SA13が用いられる場合、選択行列<J>,<J>は、それぞれ、選択行列<J15>,<J25>からなり、選択行列<J15>,<J25>は、それぞれ、式(22),(23)によって表される。
更に、サブアレーSA12,SA13が用いられる場合、選択行列<J>,<J>は、それぞれ、選択行列<J16>,<J26>からなり、選択行列<J16>,<J26>は、それぞれ、式(24),(25)によって表される。
更に、サブアレーSA14,SA15が用いられる場合、選択行列<J>,<J>は、それぞれ、選択行列<J17>,<J27>からなり、選択行列<J17>,<J27>は、それぞれ、式(26),(27)によって表される。
更に、サブアレーSA15,SA16が用いられる場合、選択行列<J>,<J>は、それぞれ、選択行列<J18>,<J28>からなり、選択行列<J18>,<J28>は、それぞれ、式(28),(29)によって表される。
更に、サブアレーSA14,SA16が用いられる場合、選択行列<J>,<J>は、それぞれ、選択行列<J19>,<J29>からなり、選択行列<J19>,<J29>は、それぞれ、式(30),(31)によって表される。
方向推定手段30は、サブアレーSA11をサブアレーSA12へ平行移動したときのサブアレーSA11,SA12間におけるコヒーレント波の位相差を演算してESPRIT法によってコヒーレント波の到来方向を推定する場合、式(10)〜(12),(20),(21)を用いてコヒーレント波の到来方向を推定する。
また、方向推定手段30は、サブアレーSA11をサブアレーSA13へ平行移動したときのサブアレーSA11,SA13間におけるコヒーレント波の位相差を演算してESPRIT法によってコヒーレント波の到来方向を推定する場合、式(10)〜(12),(22),(23)を用いてコヒーレント波の到来方向を推定する。
更に、方向推定手段30は、サブアレーSA12をサブアレーSA13へ平行移動したときのサブアレーSA12,SA13間におけるコヒーレント波の位相差を演算してESPRIT法によってコヒーレント波の到来方向を推定する場合、式(10)〜(12),(24),(25)を用いてコヒーレント波の到来方向を推定する。
更に、方向推定手段30は、サブアレーSA14をサブアレーSA15へ平行移動したときのサブアレーSA14,SA15間におけるコヒーレント波の位相差を演算してESPRIT法によってコヒーレント波の到来方向を推定する場合、式(10)〜(12),(26),(27)を用いてコヒーレント波の到来方向を推定する。
更に、方向推定手段30は、サブアレーSA15をサブアレーSA16へ平行移動したときのサブアレーSA15,SA16間におけるコヒーレント波の位相差を演算してESPRIT法によってコヒーレント波の到来方向を推定する場合、式(10)〜(12),(28),(29)を用いてコヒーレント波の到来方向を推定する。
更に、方向推定手段30は、サブアレーSA14をサブアレーSA16へ平行移動したときのサブアレーSA14,SA16間におけるコヒーレント波の位相差を演算してESPRIT法によってコヒーレント波の到来方向を推定する場合、式(10)〜(12),(30),(31)を用いてコヒーレント波の到来方向を推定する。
更に、方向推定手段30は、サブアレーSA12をサブアレーSA11へ平行移動したときのサブアレーSA12,SA11間におけるコヒーレント波の位相差を演算してESPRIT法によってコヒーレント波の到来方向を推定する場合、式(10)〜(12),(20),(21)を用いてコヒーレント波の到来方向を推定する。この場合、選択行列<J>は、式(21)に示す選択行列<J24>からなり、選択行列<J>は、式(20)に示す選択行列<J14>からなる。
更に、方向推定手段30は、サブアレーSA13をサブアレーSA11へ平行移動したときのサブアレーSA13,SA11間におけるコヒーレント波の位相差を演算してESPRIT法によってコヒーレント波の到来方向を推定する場合、式(10)〜(12),(22),(23)を用いてコヒーレント波の到来方向を推定する。この場合、選択行列<J>は、式(23)に示す選択行列<J25>からなり、選択行列<J>は、式(22)に示す選択行列<J15>からなる。
更に、方向推定手段30は、サブアレーSA13をサブアレーSA12へ平行移動したときのサブアレーSA13,SA12間におけるコヒーレント波の位相差を演算してESPRIT法によってコヒーレント波の到来方向を推定する場合、式(10)〜(12),(24),(25)を用いてコヒーレント波の到来方向を推定する。この場合、選択行列<J>は、式(25)に示す選択行列<J26>からなり、選択行列<J>は、式(24)に示す選択行列<J16>からなる。
更に、方向推定手段30は、サブアレーSA15をサブアレーSA14へ平行移動したときのサブアレーSA15,SA14間におけるコヒーレント波の位相差を演算してESPRIT法によってコヒーレント波の到来方向を推定する場合、式(10)〜(12),(26),(27)を用いてコヒーレント波の到来方向を推定する。この場合、選択行列<J>は、式(27)に示す選択行列<J27>からなり、選択行列<J>は、式(26)に示す選択行列<J17>からなる。
更に、方向推定手段30は、サブアレーSA16をサブアレーSA15へ平行移動したときのサブアレーSA16,SA15間におけるコヒーレント波の位相差を演算してESPRIT法によってコヒーレント波の到来方向を推定する場合、式(10)〜(12),(28),(29)を用いてコヒーレント波の到来方向を推定する。この場合、選択行列<J>は、式(29)に示す選択行列<J28>からなり、選択行列<J>は、式(28)に示す選択行列<J18>からなる。
更に、方向推定手段30は、サブアレーSA16をサブアレーSA14へ平行移動したときのサブアレーSA16,SA14間におけるコヒーレント波の位相差を演算してESPRIT法によってコヒーレント波の到来方向を推定する場合、式(10)〜(12),(30),(31)を用いてコヒーレント波の到来方向を推定する。この場合、選択行列<J>は、式(31)に示す選択行列<J29>からなり、選択行列<J>は、式(30)に示す選択行列<J19>からなる。
このように、方向推定手段30は、3本のアンテナ素子からなるサブアレーを用いてESPRIT法によってコヒーレント波の到来方向を推定する場合、上述した12個のサブアレー群SAG11=[SA11→SA12],SAG12=[SA12→SA11],SAG13=[SA11→SA13],SAG14=[SA13→SA11],SAG15=[SA12→SA13],SAG16=[SA13→SA12],SAG17=[SA14→SA15],SAG18=[SA15→SA14],SAG19=[SA15→SA16],SAG20=[SA16→SA15],SAG21=[SA14→SA16],SAG22=[SA16→SA14]を用いてコヒーレント波の到来方向を推定する。
そして、方向推定手段30は、図5に示すフローチャートに従って12個のサブアレー群SAG11〜SAG22を用いてコヒーレント波の到来方向を推定する。この場合、方向推定手段30は、ステップS1において、サブアレーのアンテナ素子数Kを“3”に設定し、サブアレーの平行移動数Nを“12”に設定する。その他は、上述したとおりである。
なお、方向推定手段30は、12個のサブアレー群SAG11〜SAG22から選択される任意の6個のサブアレー群を用いてコヒーレント波の到来方向を推定してもよい。
この発明においては、アンテナ素子数が2本である複数のサブアレーを用いてコヒーレント波の到来方向を推定するようにしてもよい。
図8および図9は、それぞれ、アンテナ素子数が2本である複数のサブアレーを示す第1および第2の平面図である。図8および図9においては、各々が平行移動によって相互に重なり合う2つのサブアレーからなる15個のサブアレー群を示す。そして、実線で囲まれたサブアレーと点線で囲まれたサブアレーとの間で平行移動してESPRIT法によってコヒーレント波の到来方向を推定する。
従って、アンテナ素子数が2本である複数のサブアレーを用いてESPRIT法によってコヒーレント波の到来方向を推定する場合、サブアレーのアンテナ素子数Kは、“2”に設定され、サブアレーの平行移動数Nは、“30”に設定される。
そして、図8および図9において、実線で囲まれたサブアレーおよび点線で囲まれたサブアレーを選択する選択行列<J>,<J>は、アンテナ素子数が3本または4本である複数のサブアレーを選択する選択行列<J11>,<J21>〜<J19>,<J29>の作成方法と同じ方法によって作成される。
方向推定手段30は、アンテナ素子数が2本である複数のサブアレーを用いてESPRIT法によってコヒーレント波の到来方向を推定する場合、図5に示すフローチャートに従ってコヒーレント波の到来方向を推定する。この場合、方向推定手段30は、ステップS1において、サブアレーのアンテナ素子数Kを“2”に設定し、サブアレーの平行移動数Nを“30”に設定する。その他は、上述したとおりである。
なお、方向推定手段30は、図8および図9の(a)〜(o)までの一部のサブアレー群を用いてESPRIT法によってコヒーレント波の到来方向を推定するようにしてもよい。
上述したように、この発明においては、アンテナ素子数Kが2本以上の複数のサブアレーを用いてESPRIT法によってコヒーレント波の到来方向を推定する。
[相関値の他の演算方法]
上記においては、式(19)によって演算された相関値α(θkn)に基づいてコヒーレント波1〜Lの到来方向を推定すると説明したが、この発明においては、これに限らず、以下に説明する相関値α(θkn)〜α(θkn)に基づいてコヒーレント波1〜Lの到来方向を推定してもよい。
相関値α(θkn)は、式(32)によって演算される。
なお、式(32)における“*”は、複素共役を表す。式(32)において、受信信号ベクトル<y(θkn)>は、推定角θknを用いたステアリングベクトルa(θkn)によって決定される。即ち、受信信号ベクトル<y(θkn)>は、コヒーレント波が推定角θknの方向からアレーアンテナ10に到来したときのアレーアンテナ10の構造パラメータを除去した出力信号である。
また、式(32)において、相関行列[(<W>)−1(<Ryy>−<RNN>)(<W>)−1]は、アレーアンテナ10の実際の信号成分(<Ryy>−<RNN>)からアレーアンテナ10の構造パラメータを除去したものであり、アレーアンテナ10の構造パラメータを除去した実際の出力信号である。
従って、式(32)によって演算された相関値α(θkn)は、コヒーレント波が推定角θknの方向からアレーアンテナ10に到来したときのアレーアンテナ10の計算された出力信号<y(θkn)>と、アレーアンテナ10の実際の出力信号[(<W>)−1(<Ryy>−<RNN>)(<W>)−1]との相関を演算したものである。
相関値α(θkn)は、式(33)によって演算される。
式(33)における受信信号ベクトル<y(θkn)>は、式(32)における受信信号ベクトル<y(θkn)>と同じである。また、サブ空間信号<E’>は、サブ空間信号<E>から構造パラメータを除去した信号であるので、相関値α(θkn)は、信号空間の部分に構造パラメータの除去処理を施したものであり、実質的には、相関値α(θkn)と同じである。
相関値α(θkn)は、式(34)によって演算される。
式(34)における受信信号ベクトル<y(θkn)>は、式(19)における受信信号ベクトル<y(θkn)>と同じである。そして、相関値α(θkn)は、推定角θknを用いて計算されたアレーアンテナ10の出力信号<y(θkn)>と、サブ空間信号<E>との相関を示す。
相関値α(θkn)は、式(35)によって演算される。
式(35)における受信信号ベクトル<y(θkn)>は、式(19)における受信信号ベクトル<y(θkn)>と同じである。そして、相関値α(θkn)は、推定角θknを用いて計算されたアレーアンテナ10の出力信号<y(θkn)>と、実際の雑音空間信号<E>との相関値の逆数を演算したものである。この計算された出力信号<y(θkn)>と、雑音空間信号<E>との相関値の逆数を演算することにより、相関値α(θkn)は、実質的には、計算された出力信号<y(θkn)>と、実際の信号成分との相関を示す。
相関値α(θkn)は、式(36)によって演算される。
相関値α(θkn)は、相関値α(θkn)と相関値α(θkn)との積からなる。つまり、相関値α(θkn)は、相関値α(θkn)の利点と、相関値α(θkn)の利点とを用いて演算される。
方向推定手段30は、相関値α(θkn)に代えて相関値α(θkn)〜α(θkn)のいずれかを用いて上述した方法によってコヒーレント波1〜Lの到来方向を推定する。方向推定手段30は、相関値α(θkn)を用いてコヒーレント波1〜Lの到来方向を推定する場合、図5に示すフローチャートに従ってコヒーレント波1〜Lの到来方向を推定し、相関値α(θkn)〜α(θkn)のいずれかを用いてコヒーレント波1〜Lの到来方向を推定する場合、図10に示すフローチャートに従ってコヒーレント波1〜Lの到来方向を推定する。
図10は、コヒーレント波の到来方向を推定する動作を説明するための実施の形態1における他のフローチャートである。図10に示すフローチャートは、図5に示すフローチャートのステップS9をステップS9Aに代え、ステップS8を削除したものであり、その他は、図5に示すフローチャートと同じである。
方向推定手段30は、上述したステップS1〜ステップS7を実行すると、ステップS4において演算したサブ空間信号<E>、雑音空間信号<E>および信号の固有値Λを用いて相関値α(θkn)〜α(θkn)のいずれかを演算し、その演算した相関値が最大になる推定角を求めてコヒーレント波1〜Lの到来方向を推定する(ステップS9A)。
図11は、コヒーレント波の到来方向の推定確率を示す図である。図11において、縦軸は、推定確率を表し、横軸は、コヒーレント波の到来方向を表す。また、直線k1は、この発明による到来方向の推定方法を用いた場合の推定確率を示し、曲線k2は、従来のESPRIT法を用いた場合の推定確率を示す。
この発明による到来方向の推定方法を用いた場合、到来方向の推定確率は、0〜360度の範囲の全ての到来方向に対して“1”である(直線k1参照)。一方、従来のESPRIT法を用いた場合、到来方向の推定確率は、0〜360度の範囲のうち、0度、60度、120度、180度、240度、300度および360度の到来方向に対して0.3よりも低くなっている(曲線k2)。即ち、従来のESPRIT法を用いた場合、アレーアンテナ10のアンテナ素子2〜7(=無給電素子)が存在する方向からコヒーレント波がアレーアンテナ10に到来した場合、推定確率が低くなる。
従って、この発明による到来方向の推定方法を用いることにより、L個のコヒーレント波がどのような方向からアレーアンテナ10に到来しても、L個のコヒーレント波の到来方向を正確に推定できる。
図12は、コヒーレント波の到来方向の推定誤差を示す図である。図12において、縦軸は、推定誤差を表し、横軸は、コヒーレント波の到来方向を表す。曲線k3は、サブアレーのアンテナ素子数Kが“3”であり、サブアレーの平行移動数Nが“12”であり、相関値α(θkn)(式(19)参照)を用いた場合の推定誤差を示す。
曲線k4は、サブアレーのアンテナ素子数Kが“3”であり、サブアレーの平行移動数Nが“12”であり、相関値α(θkn)(式(32)参照)または相関値α(θkn)(式(33)参照)を用いた場合の推定誤差を示す。
曲線k5は、サブアレーのアンテナ素子数Kが“3”であり、サブアレーの平行移動数Nが“6”であり、相関値α(θkn)(式(19)参照)を用いた場合の推定誤差を示す。
曲線k6は、サブアレーのアンテナ素子数Kが“3”であり、サブアレーの平行移動数Nが“6”であり、相関値α(θkn)(式(32)参照)または相関値α(θkn)(式(33)参照)を用いた場合の推定誤差を示す。
曲線k7は、サブアレーのアンテナ素子数Kが“4”であり、サブアレーの平行移動数Nが“6”であり、相関値α(θkn)(式(19)参照)を用いた場合の推定誤差を示す。
曲線k8は、サブアレーのアンテナ素子数Kが“4”であり、サブアレーの平行移動数Nが“6”であり、相関値α(θkn)(式(32)参照)または相関値α(θkn)(式(33)参照)を用いた場合の推定誤差を示す。
曲線k9は、従来のESPRIT法を用いた場合の推定誤差を示す。
なお、曲線k3〜k9の各々は、信号対ノイズ比(SNR)が15dBである場合に、1000個の試料を用いて到来方向の推定を5000回行なったときの推定誤差の平均を示す。
この発明による到来方向の推定方法(曲線k3〜k8参照)は、従来のESPRIT法(曲線k9参照)よりも推定誤差が小さい。
また、サブアレーのアンテナ素子数Kおよびサブアレーの平行移動数Nが同じである場合、相関値α(θkn)または相関値α(θkn)を用いるよりも相関値α(θkn)を用いた方が推定誤差は小さくなる(曲線k3,k4の対比、曲線k5,k6の対比、および曲線k7,k8の対比参照)。
更に、相関値α(θkn)を用いた場合、サブアレーの平行移動数Nを多くすることにより、推定誤差は、小さくなる(曲線k3,k5参照)。相関値α(θkn)または相関値α(θkn)を用いた場合も、サブアレーの平行移動数Nを多くすることにより、推定誤差は、小さくなる(曲線k4,k6参照)。これは、サブアレーの平行移動数Nを増加することは、到来方向の推定に用いるサブアレー群を増加させることになり、コヒーレント波の到来方向(=到来角)の検出により適したサブアレー群を用いて到来方向を推定できるためである。
更に、同じ相関値を用い、かつ、サブアレーの平行移動数Nが同じである場合、サブアレーのアンテナ素子数Kを“4”から“3”に減少させることにより、推定誤差は、小さくなる(曲線k5,k7の対比および曲線k6,k8の対比参照)。
図13は、コヒーレント波の到来方向の推定誤差を示す他の図である。図13において、縦軸は、推定誤差を表し、横軸は、コヒーレント波の到来方向を表す。曲線k10は、サブアレーのアンテナ素子数Kが“2”であり、サブアレーの平行移動数Nが“30”であり、相関値α(θkn)(式(19)参照)、相関値α(θkn)(式(34)参照)、相関値α(θkn)(式(35)参照)および相関値α(θkn)(式(36)参照)のいずれかを用いた場合の推定誤差を示す。
曲線k11は、サブアレーのアンテナ素子数Kが“3”であり、サブアレーの平行移動数Nが“12”であり、相関値α(θkn)(式(19)参照)、相関値α(θkn)(式(34)参照)、相関値α(θkn)(式(35)参照)および相関値α(θkn)(式(36)参照)のいずれかを用いた場合の推定誤差を示す。
曲線k12は、サブアレーのアンテナ素子数Kが“2”であり、サブアレーの平行移動数Nが“30”であり、相関値α(θkn)(式(32)参照)または相関値α(θkn)(式(33)参照)を用いた場合の推定誤差を示す。
曲線k13は、サブアレーのアンテナ素子数Kが“3”であり、サブアレーの平行移動数Nが“12”であり、相関値α(θkn)(式(32)参照)または相関値α(θkn)(式(33)参照)を用いた場合の推定誤差を示す。
サブアレーのアンテナ素子数Kおよびサブアレーの平行移動数Nが同じである場合、相関値α(θkn)または相関値α(θkn)を用いるよりも相関値α(θkn)、相関値α(θkn)、相関値α(θkn)および相関値α(θkn)のいずれかを用いた方が推定誤差は小さくなる(曲線k10,k12の対比および曲線k11,k13の対比参照)。
相関値α(θkn)、相関値α(θkn)、相関値α(θkn)および相関値α(θkn)の各々は、推定角θknを用いたステアリングベクトルa(θkn)と、アレーアンテナ10の構造パラメータである等価ウエイト行列<W>とを用いて計算されたアレーアンテナ10の出力信号(式(19),(34)〜(36)参照)と、アレーアンテナ10の実際の出力信号との相関値であるので、推定角θknを用いたステアリングベクトルa(θkn)をアレーアンテナ10の計算された出力信号として演算される相関値α(θkn)または相関値α(θkn)よりも信頼性が高いものと考えられる。
また、同じ相関値を用いる場合、サブアレーの素子数Kおよびサブアレーの平行移動数Nをそれぞれ“3”および“12”から“2”および“30”に変更することによって、推定誤差は小さくなる(曲線k10,k11の対比および曲線k12,k13の対比参照)。
これは、上述したように、サブアレーの平行移動数Nを増加することにより、コヒーレント波の到来方向の検出により適したサブアレー群を用いて到来方向を推定できるためである。
図14は、コヒーレント波の到来方向の推定誤差と信号対ノイズ比との関係を示す図である。図14において、縦軸は、推定誤差を表し、横軸は、信号対ノイズ比を表す。曲線k14は、サブアレーのアンテナ素子数Kが“3”であり、サブアレーの平行移動数Nが“12”であり、相関値α(θkn)(式(19)参照)を用いた場合の推定誤差を示す。
曲線k15は、サブアレーのアンテナ素子数Kが“3”であり、サブアレーの平行移動数Nが“12”であり、相関値α(θkn)(式(32)参照)または相関値α(θkn)(式(33)参照)を用いた場合の推定誤差と、サブアレーのアンテナ素子数Kが“3”であり、サブアレーの平行移動数Nが“6”であり、相関値α(θkn)(式(32)参照)または相関値α(θkn)(式(33)参照)を用いた場合の推定誤差とを示す。
曲線k16は、サブアレーのアンテナ素子数Kが“3”であり、サブアレーの平行移動数Nが“6”であり、相関値α(θkn)(式(19)参照)を用いた場合の推定誤差を示す。
曲線k17は、サブアレーのアンテナ素子数Kが“4”であり、サブアレーの平行移動数Nが“6”であり、相関値α(θkn)(式(19)参照)を用いた場合の推定誤差を示す。
曲線k18は、サブアレーのアンテナ素子数Kが“4”であり、サブアレーの平行移動数Nが“6”であり、相関値α(θkn)(式(32)参照)または相関値α(θkn)(式(33)参照)を用いた場合の推定誤差を示す。
曲線k19は、従来のESPRIT法を用いた場合の推定誤差を示す。
この発明による到来方向の推定方法を用いることにより、信号対ノイズ比(SNR)の−10〜30dBの全領域において、推定誤差が小さくなる(曲線k14〜k18と曲線k19との対比参照)。特に、推定誤差は、信号対ノイズ比(SNR)の約−5〜13dBの範囲において大きく低下する。
また、サブアレーのアンテナ素子数Kおよびサブアレーの平行移動数Nが同じである場合、相関値α(θkn)または相関値α(θkn)を用いるよりも相関値α(θkn)を用いた方が推定誤差は小さくなる(曲線k14,k15の対比、曲線k15,k16の対比および曲線k17,k18の対比参照)。
更に、同じ相関値を用いた場合、サブアレーのアンテナ素子数Kおよびサブアレーの平行移動数Nをそれぞれ“4”および“6”、“3”および“6”および“3”および“12”へ変更することによって、推定誤差は、順次、小さくなる(曲線k14,16,k17の対比および曲線k15,k18の対比参照)。
上述したように、この発明による到来方向の推定方法を用いることにより、従来のESPRIT法よりも到来方向の推定確率を高くでき、かつ、従来のESPRIT法よりも到来方向の推定誤差を低くできることがわかった。
なお、図5および図10に示すステップS7において、サブアレー群SAG1〜SAG6の各々(またはサブアレー群SAG11〜SAG22の各々)を用いてL個の推定角θ1n〜θLnを求める処理は、「推定角演算処理」を構成する。
また、図5および図10に示すステップS7において、N個のサブアレー群SAG1〜SAG6(またはサブアレー群SAG11〜SAG22)を用いてN×L個の推定角θkn(k=1〜L,n=1〜N)を求める方向推定手段30は、「推定角演算手段」を構成する。
更に、図5に示すステップS9および図10に示すステップS9Aに従って到来角θ(k=1〜L)を求める方向推定手段30は、「方向検出手段」を構成する。
更に、y(θk1)〜y(θkN)(またはy(θk1)〜y(θkN)またはy(θk1)〜y(θkN)またはy(θk1)〜y(θkN)またはy(θk1)〜y(θkN)またはy(θk1)〜y(θkN))は、「N個の第1の出力信号」を構成する。
更に、式(19)における(<Ryy>−<RNN>)、式(32)における((<W>−1(<Ryy>−<RNN>)(<W>−1)、式(33)における(<E’><Λ><E>)、式(34)における(<E><E >)、式(35)における1/(<E><E >)および式(36)における(<E><E >)/(<E><E >)の各々は、「第2の出力信号」を構成する。
更に、1つの到来波に対して相関値α(θkn),α(θkn),α(θkn)のいずれかを演算することは、N個の第1の出力信号とアレーアンテナのビーム空間における第2の出力信号とのN個の相関値を演算することに相当する。
更に、1つの到来波に対して相関値α(θkn),α(θkn),α(θkn)のいずれかを演算することは、N個の第1の出力信号とアレーアンテナの信号空間および/または雑音空間における第2の出力信号とのN個の相関値を演算することに相当する。
[実施の形態2]
図15は、実施の形態2による到来方向推定装置100Aの概略図である。実施の形態2による到来方向推定装置100Aは、図1に示す到来方向推定装置100の方向推定手段30を方向推定手段30Aに代えたものであり、その他は、到来方向推定装置100と同じである。
方向推定手段30Aは、アレーアンテナ10のアンテナ素子1(=給電素子)から受けた受信信号ベクトル<y>(式(1)参照)に基づいて、以下に説明する方法によって、アレーアンテナ10に到来するコヒーレント波1〜Lの到来方向を推定する。以下、実施の形態2における到来方向の推定方法について説明する。
(推定方法1)
方向推定手段30Aは、方向推定手段30と同じ方法によって推定角θkn(k=1〜L,n=1〜N)を求める。そして、方向推定手段30Aは、N×L個の推定角θknを式(19)に代入してN×L個の相関値α(θkn)を演算する。
その後、方向推定手段30Aは、その演算したN×L個の相関値α(θkn)のうち、最大の相関値が得られるときの推定角を到来波1の到来角γとして求める。そして、方向推定手段30Aは、到来角γを次式に代入してアレーアンテナ10に到来する複数のコヒーレント波間の干渉を除去するための干渉除去行列<Δ>を演算する。
そうすると、方向推定手段30Aは、演算した干渉除去行列<Δ>を次式へ代入してN×L個の相関値β(θkn)を演算する。
式(38)における<y(θkn)>は、式(19),(34)〜(36)における<y(θkn)>,<y(θkn)>〜<y(θkn)>と同じものであり、推定角θknを用いたステアリングベクトルa(θkn)と、アレーアンテナ10の構造パラメータである等価ウエイト行列<W>とを用いて計算されたアレーアンテナ10の出力信号であり、コヒーレント波間の干渉を含んでいない。
また、出力信号(<Ryy>−<RNN>−<Δ>)は、アレーアンテナ10の実際の出力信号<Ryy>からノイズ成分(<RNN>)とコヒーレント波間の干渉成分(<Δ>)とを除去した出力信号である。
従って、相関値β(θkn)は、コヒーレント波間の干渉を除去したアレーアンテナ10の計算された出力信号<y(θkn)>と、コヒーレント波間の干渉を除去したアレーアンテナ10の実際の出力信号(<Ryy>−<RNN>−<Δ>)との相関を示す。
方向推定手段30Aは、N×L個の相関値β(θkn)を演算すると、その演算したN×L個の相関値β(θkn)に基づいて、最大の相関値が得られるときの推定角を到来波2の到来角γとして求める。
その後、方向推定手段30Aは、式(37)および式(38)を用いて到来波3〜Lの到来角γ〜γを順次求める。
図16は、コヒーレント波の到来方向を推定する動作を説明するための実施の形態2におけるフローチャートである。図16に示すフローチャートは、図5に示すフローチャートのステップS9をステップS10に代えたものであり、その他は、図5に示すフローチャートと同じである。
方向推定手段30Aは、上述したステップS1〜ステップS8を順次実行すると、式(37)および式(38)を用いることにより、コヒーレント波の干渉を除去して相関値α(θkn),β(θkn)を最大にするθknを検出し、その検出したθknを到来波の到来角θとし、到来波1〜Lの到来方向を順次推定する(ステップS10)。
図17は、図16に示すステップS10の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。図16に示すステップS8が終了すると、方向推定手段30Aは、p=1を設定し(ステップS101)、ステップS7において求めたN×L個の推定角θknを式(19)に代入してN×L個の相関値α6(θkn)を演算する。そして、方向推定手段30Aは、N×L個の相関値α6(θkn)のうち、最大の相関値が得られるときの推定角を到来角γとして求める(ステップS102)。
その後、方向推定手段30Aは、pがLよりも小さいか否かを判定し(ステップS103)、pがLよりも小さいとき、到来角γを式(37)に代入して干渉除去行列<Δ>を演算する(ステップS104)。
そして、方向推定手段30Aは、推定角θknを用いて出力信号<y(θkn)>を演算し、その演算した出力信号<y(θkn)>と、ステップS4において求めた相関行列<Ryy>と、ステップS8において演算したノイズ共分散行列<RNN>と、ステップS104で演算した干渉除去行列<Δ>とを式(38)に代入してN×L個の相関値β(θkn)を演算する(ステップS105)。
その後、方向推定手段30Aは、p=p+1を設定し(ステップS106)、N×L個の相関値β(θkn)のうち、最大の相関値が得られるときの推定角を到来角γとして求める(ステップS107)。
そうすると、一連の動作は、ステップS103へ戻り、ステップS103において、pがLよりも小さくないと判定されるまで、上述したステップS103〜ステップS107が繰り返し実行される。
そして、ステップS103において、pがLよりも小さくないと判定されると、方向推定手段30Aは、L個の到来角γを得る。L個の到来角γ〜γの間には、γ<γ<・・・<γの関係が成立するので、L個の到来角γ〜γを小さい順に並べ(Γ=sort(γ,γ,・・・,γ))、到来角γ,γ,・・・,γをそれぞれ到来波1〜Lの到来方向として推定する(ステップS108)。これにより、図16に示すステップS10の詳細な動作が終了する。
上述したステップS104,S105が2回目に実行される場合、p=2であり、干渉除去行列<Δ>は、<Δ>=<y(γ)><y(γ)>+<y(γ)><y(γ)>として演算され(ステップS104参照)、相関値β(θkn)は、干渉除去行列<Δ>=<y(γ)><y(γ)>+<y(γ)><y(γ)>によって干渉が除去された出力信号(<Ryy>−<RNN>−<Δ>)と、計算された出力信号<y(θkn)>との相関値として演算される(ステップS105参照)。その結果、2回目に演算された相関値β(θkn)は、到来波1と到来波2との干渉を除去した相関値として演算される。
また、上述したステップS104,S105が3回目に実行される場合、p=3であり、干渉除去行列<Δ>は、<Δ>=<y(γ)><y(γ)>+<y(γ)><y(γ)>+<y(γ)><y(γ)>として演算され(ステップS104参照)、相関値β(θkn)は、干渉除去行列<Δ>=<y(γ)><y(γ)>+<y(γ)><y(γ)>+<y(γ)><y(γ)>によって干渉が除去された出力信号(<Ryy>−<RNN>−<Δ>)と、計算された出力信号<y(θkn)>との相関値として演算される(ステップS105参照)。その結果、3回目に演算された相関値β(θkn)は、到来波1〜到来波3間の干渉を除去した相関値として演算される。
以下、同様にして、上述したステップS104,S105がL回目に実行される場合、p=Lであり、干渉除去行列<Δ>は、<Δ>=<y(γ)><y(γ)>+<y(γ)><y(γ)>+・・・+<y(γ)><y(γ)>として演算され(ステップS104参照)、相関値β(θkn)は、干渉除去行列<Δ>=<y(γ)><y(γ)>+<y(γ)><y(γ)>+・・・+<y(γ)><y(γ)>によって干渉が除去された出力信号(<Ryy>−<RNN>−<Δ>)と、計算された出力信号<y(θkn)>との相関値として演算される(ステップS105参照)。その結果、L回目に演算された相関値β(θkn)は、到来波1〜到来波L間の干渉を除去した相関値として演算される。
従って、図17に示すフローチャートに従って求められた到来角γ,γ,・・・,γは、到来波1〜到来波L間の干渉を除去した相関値β(θkn)が最大になる推定角である。
(推定方法2)
方向推定手段30Aは、方向推定手段30と同じ方法によって推定角θkn(k=1〜L,n=1〜N)を求める。そして、方向推定手段30Aは、N×L個の推定角θknを式(36)に代入してN×L個の相関値α(θkn)を演算する。
その後、方向推定手段30Aは、その演算したN×L個の相関値α(θkn)のうち、最大の相関値が得られるときの推定角を到来波1の到来角γとして求める。そして、方向推定手段30Aは、到来角γを次式に代入してアレーアンテナ10に到来する複数のコヒーレント波間の干渉を除去するための干渉除去行列<Δ>,<Δ>を演算する。
干渉除去行列<Δ>は、信号成分の干渉を除去する行列であり、干渉除去行列<Δ>は、ノイズ成分の干渉を除去する行列である。
そうすると、方向推定手段30Aは、演算した干渉除去行列<Δ>,<Δ>を次式へ代入してN×L個の相関値β(θkn)を演算する。
式(40)における<y(θkn)>は、式(19),(34)〜(36)における<y(θkn)>,<y(θkn)>〜<y(θkn)>と同じものであり、推定角θknを用いたステアリングベクトルa(θkn)と、アレーアンテナ10の構造パラメータである等価ウエイト行列<W>とを用いて計算されたアレーアンテナ10の出力信号であり、コヒーレント波間の干渉を含んでいない。
また、出力信号(<E><E >−<Δ>)は、アレーアンテナ10の実際の信号成分<E><E >からコヒーレント波間の干渉成分(<Δ>)を除去した出力信号であり、出力信号(<E><E >−<Δ>)は、アレーアンテナ10の実際のノイズ成分<E><E >からコヒーレント波間のノイズ干渉成分(<Δ>)を除去したノイズ出力信号である。
従って、相関値β(θkn)は、コヒーレント波間の干渉を除去したアレーアンテナ10の計算された出力信号<y(θkn)>と、コヒーレント波間の干渉を除去したアレーアンテナ10の実際の出力信号(<E><E >−<Δ>)との相関、およびコヒーレント波間の干渉を除去したアレーアンテナ10の計算された出力信号<y(θkn)>と、コヒーレント波間の干渉を除去したアレーアンテナ10の実際のノイズ出力信号(<E><E >−<Δ>)との逆相関を示す。
方向推定手段30Aは、N×L個の相関値β(θkn)を演算すると、その演算したN×L個の相関値β(θkn)のうち、最大の相関値が得られるときの推定角を到来波2の到来角γとして求める。
その後、方向推定手段30Aは、式(39)および式(40)を用いて到来波3〜Lの到来角γ〜γを順次求める。
この推定方法2を用いて到来波1〜Lの到来方向を推定する場合、方向推定手段30Aは、図18に示すフローチャートに従って到来波1〜Lの到来方向を推定する。図18は、コヒーレント波の到来方向を推定する動作を説明するための実施の形態2における他のフローチャートである。
図18に示すフローチャートは、図5に示すフローチャートのステップS9をステップS10Aに代えたものであり、その他は、図5に示すフローチャートと同じである。
方向推定手段30Aは、上述したステップS1〜ステップS8を順次実行すると、式(39)および式(40)を用いることにより、コヒーレント波の干渉を除去して相関値α(θkn),β(θkn)を最大にするθknを検出し、その検出したθknを到来波の到来角θとし、到来波1〜Lの到来方向を順次推定する(ステップS10A)。
図19は、図18に示すステップS10Aの詳細な動作を説明するためのフローチャートである。図18に示すステップS8が終了すると、方向推定手段30Aは、p=1を設定し(ステップS111)、ステップS7において求めたN×L個の推定角θknを式(36)に代入してN×L個の相関値α(θkn)を演算する。そして、方向推定手段30Aは、N×L個の相関値α(θkn)のうち、最大の相関値が得られるときの推定角を到来角γとして求める(ステップS112)。
その後、方向推定手段30Aは、pがLよりも小さいか否かを判定し(ステップS113)、pがLよりも小さいとき、到来角γを式(39)に代入して干渉除去行列<Δ>,<Δ>を演算する(ステップS114)。
そして、方向推定手段30Aは、推定角θknを用いて出力信号<y(θkn)>を演算し、その演算した出力信号<y(θkn)>と、ステップS4において求めたサブ空間信号<E>および雑音空間信号<E>と、ステップS114で演算した干渉除去行列<Δ>,<Δ>とを式(40)に代入してN×L個の相関値β(θkn)を演算する(ステップS115)。
その後、方向推定手段30Aは、p=p+1を設定し(ステップS116)、N×L個の相関値β(θkn)のうち、最大の相関値が得られるときの推定角を到来角γとして求める(ステップS117)。
そうすると、一連の動作は、ステップS113へ戻り、ステップS113において、pがLよりも小さくないと判定されるまで、上述したステップS113〜ステップS117が繰り返し実行される。
そして、ステップS113において、pがLよりも小さくないと判定されると、方向推定手段30Aは、L個の到来角γを得る。L個の到来角γ〜γの間には、γ<γ<・・・<γの関係が成立するので、L個の到来角γ〜γを小さい順に並べ(Γ=sort(γ,γ,・・・,γ))、到来角γ,γ,・・・,γをそれぞれ到来波1〜Lの到来方向として推定する(ステップS118)。これにより、図18に示すステップS10Aの詳細な動作が終了する。
上述したステップS114,S115が2回目に実行される場合、p=2であり、干渉除去行列<Δ>は、<Δ>=<E(1) ><E(1) >+<E(2) ><E(2) >として演算され、干渉除去行列<Δ>は、<Δ>=<E(1) ><E(1) >+<E(2) ><E(2) >として演算され(ステップS104参照)、相関値β(θkn)は、干渉除去行列<Δ>=<E(1) ><E(1) >+<E(2) ><E(2) >によって干渉が除去された出力信号(<E><E >−<Δ>)と、計算された出力信号<y(θkn)>との相関を示し、かつ、干渉除去行列<Δ>=<E(1) ><E(1) >+<E(2) ><E(2) >によって干渉が除去された出力信号(<E><E >−<Δ>)と、出力信号<y(θkn)>との逆相関を示す相関値として演算される(ステップS115参照)。その結果、2回目に演算された相関値β(θkn)は、到来波1と到来波2との干渉を除去した相関値として演算される。
また、上述したステップS114,S115が3回目に実行される場合、p=3であり、干渉除去行列<Δ>は、<Δ>=<E(1) ><E(1) >+<E(2) ><E(2) >+<E(3) ><E(3) >として演算され、干渉除去行列<Δ>は、<Δ>=<E(1) ><E(1) >+<E(2) ><E(2) >+<E(3) ><E(3) >として演算され(ステップS104参照)、相関値β(θkn)は、干渉除去行列<Δ>=<E(1) ><E(1) >+<E(2) ><E(2) >+<E(3) ><E(3) >によって干渉が除去された出力信号(<E><E >−<Δ>)と、計算された出力信号<y(θkn)>との相関を示し、かつ、干渉除去行列<Δ>=<E(1) ><E(1) >+<E(2) ><E(2) >+<E(3) ><E(3) >によって干渉が除去された出力信号(<E><E >−<Δ>)と、出力信号<y(θkn)>との逆相関を示す相関値として演算される(ステップS115参照)。その結果、3回目に演算された相関値β(θkn)は、到来波1〜到来波3間の干渉を除去した相関値として演算される。
以下、同様にして、上述したステップS114,S115がL回目に実行される場合、p=Lであり、干渉除去行列<Δ>は、<Δ>=<E(1) ><E(1) >+<E(2) ><E(2) >+・・・+<E(L) ><E(L) >として演算され、干渉除去行列<Δ>は、<Δ>=<E(1) ><E(1) >+<E(2) ><E(2) >+・・・+<E(L) ><E(L) >として演算され(ステップS104参照)、相関値β(θkn)は、干渉除去行列<Δ>=<E(1) ><E(1) >+<E(2) ><E(2) >+・・・+<E(L) ><E(L) >によって干渉が除去された出力信号(<E><E >−<Δ>)と、計算された出力信号<y(θkn)>との相関を示し、かつ、干渉除去行列<Δ>=<E(1) ><E(1) >+<E(2) ><E(2) >+・・・+<E(L) ><E(L) >によって干渉が除去された出力信号(<E><E >−<Δ>)と、出力信号<y(θkn)>との逆相関を示す相関値として演算される(ステップS115参照)。その結果、L回目に演算された相関値β(θkn)は、到来波1〜到来波L間の干渉を除去した相関値として演算される。
従って、図19に示すフローチャートに従って求められた到来角γ,γ,・・・,γは、到来波1〜到来波L間の干渉を除去した相関値β(θkn)が最大になる推定角である。
上述したように、実施の形態2においては、到来波1〜到来波L間の干渉を除去して到来角γ,γ,・・・,γを推定することを特徴とする。
図20は、2つのコヒーレント波の到来角の角度差と推定誤差との関係を示す図である。また、図21は、2つのコヒーレント波の到来角の角度差の概念図である。図20において、縦軸は、推定誤差を表し、横軸は、2つのコヒーレント波の到来角の角度差Δθを表す。また、曲線k20は、推定方法1を用いた場合の推定誤差と角度差Δθとの関係を示し、曲線k21は、推定方法2を用いた場合の推定誤差と角度差Δθとの関係を示す。
図21に示すように、到来波1が角度θ(=60度)の方向からアレーアンテナ10に到来し、到来波2が角度θ(=240度)の方向からアレーアンテナ10に到来する。この場合、角度差Δθは、180度である。
従って、到来波1の角度θが大きくなり、到来波2の角度θが小さくなると、角度差Δθが小さくなり、到来波1,2間の干渉が問題となる。実施の形態2による到来方向の推定方法1,2は、上述したように複数の到来波間の干渉を除去して到来方向を推定する方法であるので、その干渉除去の効果が反映されているかを調べるために図20に示す推定誤差と角度差Δθとの関係をシミュレーションした。
推定方法1を用いた場合、推定誤差は、基準値Δθstdまでは、角度差Δθに応じて大きくなり、角度差Δθが基準値Δθstd以上になると、角度差Δθが大きくなるに従って低下する(曲線k20参照)。
一方、推定方法2を用いた場合、推定誤差は、角度差Δθが大きくなるに従って急激に小さくなり、角度差Δθが80度以上になると、ほぼ一定になる(曲線k21参照)。そして、推定方法2を用いた場合の推定誤差は、基準値Δθstd以上の角度差Δθの範囲において、推定方法1を用いた場合の推定誤差よりも小さい。推定方法2は、上述したように、到来波1〜L間の干渉を除去して到来波1〜Lの到来方向を推定し、推定方法1は、到来波1〜L間の干渉を除去しないで到来波1〜Lの到来方向を推定するからである。
そこで、実施の形態2においては、方向推定手段30Aは、好ましくは、角度差Δθが0〜Δθstdの範囲においては、推定方法1を用いてコヒーレント波1〜Lの到来方向を推定し、角度差Δθが基準値Δθstd以上の範囲においては、推定方法2を用いてコヒーレント波1〜Lの到来方向を推定する。これによって、2つのコヒーレント波の到来方向の角度差Δθが小さくなっても、推定誤差を小さくして到来波1〜Lの到来方向を推定できる。
なお、図17または図19に示すフローチャートに従って、N×L個の推定角θknに基づいてL個のコヒーレント波1〜Lの到来方向を推定する方向推定手段30Aは、「方向検出手段」を構成する。
また、図17に示すステップS102または図19に示すステップS112において、それぞれ、N×L個の相関値α(θkn)またはN×L個の相関値α(θkn)を演算する処理は、「相関値演算処理」を構成する。
更に、図17に示すステップS102,S105における相関値α(θkn),β(θkn)の演算は、ビーム空間におけるアレーアンテナ10の出力信号を用いて相関値を演算する「第1の演算処理」を構成し、図19に示すステップS112,S115における相関値α(θkn),β(θkn)の演算は、信号空間および雑音空間におけるアレーアンテナ10の出力信号を用いて相関値を演算する「第2の演算処理」を構成する。そして、第1および第2の演算処理のいずれかを用いて、N×L個の相関値α(θkn)(またはN×L個の相関値α(θkn))およびN×L個の相関値β(θkn)(またはN×L個の相関値β(θkn))を演算する方向推定手段30Aは、「方向検出手段」を構成する。
更に、N×L個の相関値β(θkn)またはN×L個の相関値β(θkn)は、「新たなN×L個の相関値」を構成する。
その他は、実施の形態1と同じである。
この発明においては、サブアレーの平行移動数Nは、2以上に設定される。サブアレーの平行移動数Nが2以上であれば、L個のコヒーレント波の到来方向を示すL個の到来角の各々の検出に、より適した方向へ平行移動する2つのサブアレー(=1つのサブアレー群)を選択してL個のコヒーレント波の到来方向を推定できるからである。
また、この発明においては、無給電素子の素子数Mは、M+1≧2Lを満たす整数であればよい。アレーアンテナ10のアンテナ素子数をM+1本とし、サブアレーのアンテナ素子数をK本とした場合、各到来角度θ,θ,・・・,θを正確に推定するには、N’=M−K+2≧L(N’はサブアレーの個数)が成立する必要がある。つまり、サブアレーの個数N’がコヒーレント波の個数L以上であることが必要である。L個のコヒーレント波を別個独立に受信可能なサブアレーが存在しないとL個のコヒーレント波の到来角度θ,θ,・・・,θを推定できないからである。
また、ESPRIT法を適用する場合、K≧L+1が成立する必要がある。従って、この2つの不等式が成立するには、M+1=N’+K−1≧L+K−1≧2Lが成立する必要がある。
その結果、アンテナ素子数M+1は、予想される到来波数Lの2倍の素子数が必要であり、無給電素子の素子数Mは、M+1≧2Lを満たす。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
この発明は、複数のコヒーレント波に対して全ての到来方向を正確に推定可能な到来方向推定装置に適用される。
この発明の実施の形態1による到来方向推定装置の概略図である。 図1に示すx−y平面におけるアンテナ素子の平面配置図である。 図1に示すアレーアンテナにおけるサブアレーを示す平面図である。 アレーアンテナに到来する到来波(コヒーレント波)の模式図である。 コヒーレント波の到来方向を推定する動作を説明するための実施の形態1におけるフローチャートである。 図5に示すステップS7の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。 アンテナ素子数が3本である複数のサブアレーを示す平面図である。 アンテナ素子数が2本である複数のサブアレーを示す第1の平面図である。 アンテナ素子数が2本である複数のサブアレーを示す第2の平面図である。 コヒーレント波の到来方向を推定する動作を説明するための実施の形態1における他のフローチャートである。 コヒーレント波の到来方向の推定確率を示す図である。 コヒーレント波の到来方向の推定誤差を示す図である。 コヒーレント波の到来方向の推定誤差を示す他の図である。 コヒーレント波の到来方向の推定誤差と信号対ノイズ比との関係を示す図である。 実施の形態2による到来方向推定装置の概略図である。 コヒーレント波の到来方向を推定する動作を説明するための実施の形態2におけるフローチャートである。 図16に示すステップS10の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。 コヒーレント波の到来方向を推定する動作を説明するための実施の形態2における他のフローチャートである。 図18に示すステップS10Aの詳細な動作を説明するためのフローチャートである。 2つのコヒーレント波の到来角の角度差と推定誤差との関係を示す図である。 2つのコヒーレント波の到来角の角度差の概念図である。
符号の説明
1〜7 アンテナ素子、10 アレーアンテナ、20 指向性切換手段、30,30A 方向推定手段、100,100A 到来方向推定装置、SA1〜SA6,SA11〜SA16 サブアレー。

Claims (4)

  1. L(Lは、正の整数)個のコヒーレント波の到来方向を推定する到来方向推定装置であって、
    1本の給電素子と前記給電素子の周囲に円形配列されたM(Mは、M+1≧2Lを満たす整数)本の無給電素子とからなるM+1本のアンテナ素子を含むアレーアンテナと、
    前記M本の無給電素子に装荷された可変容量素子の少なくとも1つの容量を変化させて前記アレーアンテナの指向性を切換える指向性切換手段と、
    前記アレーアンテナの指向性が複数の指向性に切換えられたときに前記アレーアンテナが受信する受信信号に基づいて、前記アレーアンテナ内に形成され、かつ、平行移動によって重なり合う2つのサブアレー間における前記コヒーレント波の位相差を演算して前記L個のコヒーレント波の到来方向を推定する方向推定手段とを備え、
    前記方向推定手段は、前記L個のコヒーレント波の到来方向を示すL個の到来角の各々の検出に最適な方向へ平行移動する前記2つのサブアレーを選択し、その選択した2つのサブアレー間における前記コヒーレント波の位相差を演算して前記L個のコヒーレント波の到来方向を推定する、到来方向推定装置。
  2. 前記方向推定手段は、
    前記平行移動によって重なり合う2つのサブアレー間における前記コヒーレント波の位相差を演算して前記L個のコヒーレント波の到来方向の推定結果であるL個の推定角を求める推定角演算処理をN(Nは2以上の整数)個のサブアレー群の各々について行ない、N×L個の推定角を求める推定角演算手段と、
    前記N個のサブアレー群を用いて推定された1つの到来角に対するN個の推定角のうち、推定の確からしさを示す推定確度が最も高い推定角を前記1つの到来角として検出する到来角検出処理を前記N×L個の推定角を用いて前記L個の到来角の各々について行ない、前記L個のコヒーレント波の到来方向を検出する方向検出手段とを含み、
    前記N個のサブアレー群は、各々が前記2つのサブアレーからなり、かつ、前記サブアレーの平行移動の方向が相互に異なる、請求項1に記載の到来方向推定装置。
  3. 前記方向検出手段は、前記到来角検出処理において、前記N個の推定角に基づいて前記コヒーレント波が前記N個の推定角の各々の方向から前記アレーアンテナに到来したときの前記アレーアンテナの出力信号であるN個の第1の出力信号を演算し、その演算したN個の第1の出力信号と、前記アレーアンテナの実際の出力信号である第2の出力信号との相関を示すN個の相関値を演算し、その演算したN個の相関値のうち最大の相関値が得られるときの推定角を前記1つの到来角として検出する、請求項2に記載の到来方向推定装置。
  4. 前記方向推定手段は、
    前記平行移動によって重なり合う2つのサブアレー間における前記コヒーレント波の位相差を演算して前記L個のコヒーレント波の到来方向の推定結果であるL個の推定角を求める推定角演算処理をN(Nは2以上の整数)個のサブアレー群について行ない、N×L個の推定角を求める推定角演算手段と、
    前記N×L個の推定角に基づいて、推定の確からしさを示す推定確度が相対的に高いL個の推定角を前記コヒーレント波間の相互の干渉を除去して抽出し、その抽出したL個の推定角を前記L個のコヒーレント波の到来方向として検出する方向検出手段とを含み、
    前記N個のサブアレー群は、各々が前記2つのサブアレーからなり、かつ、前記サブアレーの平行移動の方向が相互に異なる、請求項1に記載の到来方向推定装置。
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