JP2006233054A - 岩盤ないし地盤固結用の注入薬液組成物及びそれを用いた土壌安定強化止水工法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、ポリイソシアネート組成物(A液)と、珪酸塩水溶液、活性水素化合物、触媒等との混合物(B液)の組み合わせからなる岩盤固結用注入薬液組成物におけるB液成分の層分離を抑制する。
【解決手段】ジフェニルメタンジイソシアネート系ポリイソシアネート組成物(A)、珪酸塩水溶液(B)、ポリプロピレングリコール及び/又はポリエチレングリコール(C)、アミン系化合物(D)、相溶化剤(E)からなる岩盤ないし地盤固結用の注入薬液組成物において、
相溶化剤(E)として、ナフタリンスルホン酸系界面活性剤を用いることにより解決する。
【選択図】なし
【解決手段】ジフェニルメタンジイソシアネート系ポリイソシアネート組成物(A)、珪酸塩水溶液(B)、ポリプロピレングリコール及び/又はポリエチレングリコール(C)、アミン系化合物(D)、相溶化剤(E)からなる岩盤ないし地盤固結用の注入薬液組成物において、
相溶化剤(E)として、ナフタリンスルホン酸系界面活性剤を用いることにより解決する。
【選択図】なし
Description
本発明は、低温安定性に優れ、混合時の粘度が低く作業性、浸透性に優れた、ポリイソイソシアネート組成物(A液)と、珪酸塩水溶液、活性水素化合物、触媒、相溶化剤からなる混合物(B液)との組み合わせからなる注入薬液組成物及びその組成物を低圧の混合装置を使用して岩盤ないし地盤に注入する土壌安定強化止水工法に関するものである。
不安定岩盤や不安定地盤の強化方法として、無機−有機複合系の土壌安定化のための薬液である水ガラスと称する珪酸塩水溶液とポリイソシアネート組成物とを組み合わせる技術が多く開示されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
特許文献1によれば、記載されている希釈剤(粘度低下剤)は、珪酸塩水溶液のアルカリ性によりアルカリ加水分解されることが示されており、例えば、エチレングリコールジアセテートは加水分解してエチレングリコールと酢酸が生成するとされている。一般的にこのような非反応型の添加剤は、樹脂中に取り込まれた後、経時により僅かながら少しずつ樹脂外へしみ出してくるのが通例である。従って、土壌汚染の防止の観点からは好ましくない。また、反応性希釈剤であっても、その未反応物が経時によりしみ出してくる可能性がある。例えば、反応性希釈剤としてのプロピレンカーボネートのようなアルキレンカーボネートを用いた場合、分解して土壌に浸透し、地下水の水質の汚濁状況の指標である過マンガン酸カリウム消費量(COD値とも表現する)の増大の原因となる。
環境保護上、これらの希釈剤や可塑剤を使用しなければ必然的にシステムの粘度上昇や低温での固化現象をきたして実用に供する事が困難となり、実用上の利点と環境保護との両立を図ることが困難な状況であった。特に、珪酸塩水溶液に比べてポリイソシアネート組成物の方は相対的に粘度が高く、更にはそれを活性水素化合物で変性したイソシアネート基(以下、NCO基と略称する。)末端のプレポリマーの場合にはより粘度が高くなり、特に寒冷期や寒冷地では更に粘度が高くなるため混合性や岩盤ないし地盤への浸透性が悪くなり、固化(結晶化)の改良とともにその改良が求められていた。
一方、相溶性の点に着目した場合、これらいずれの技術も、珪酸塩水溶液との相溶性の向上や、均一な固結体の形成を得るとの目的から、有機ポリイソシアネートとポリオールとの反応によりイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを得る場合、エチレンオキシド単位を少なくとも5質量%以上含むポリオールを用いて変性することにで、親水性を付与するのが好ましいと記されている。
しかし、有機ポリイソシアネートを親水性ポリオールで変性した親水性NCO基末端ウレタンプレポリマーの場合、珪酸塩水溶液との反応により得られる発泡体が親水性となり、岩盤ないし地盤に含まれる水分に対する親和性も必然的に向上し、雨水等により溶出して地下水や井戸水又は河川水の汚染の原因となっていた。
また、NCO基末端ウレタンプレポリマーが親水性の場合、珪酸塩水溶液又は珪酸塩水溶液に含まれる水との反応性が向上し、混合液の増粘が激しくなり、現場施工の場合、ポンプ時圧力を高くしないと混合不良の問題が起こる可能性があった。通常、送液のためのポンプ圧力は5MPaを越えると配管などの破損のおそれがあることから施工不可の判断がなされている。気温が高い夏期に於いては増粘が速くなるため、この不具合は現場施工の条件を制限するものとして位置づけられていた。
加えて、珪酸塩水溶液を含んだ主剤である薬液では、混合するポリオールやその他硬化促進剤として用いられる三級アミン触媒との原液比重差から短期間で液の相分離を生ずることが多く、施工現場に於ける装置面での工夫(注入前に再度混合を行う)等の工夫が必要となり、また、注入される薬液が均一でない場合が発生することから、前述のような”配合比のズレ”と同様、得られる固結樹脂に所望される性能を具備しないものが形成されてしまうという不具合が生じ、施工上、大きな妨げとなっている。
本発明は、前述のような一連の事情に背景に基いてなされたものである。具体的には、本発明者らは環境保護の観点から、希釈剤、可塑剤、難燃剤等を使用せず、ポリイソシアネートの低温時の結晶固化を防ぎ、発泡体のもろさを出すことなく強度向上を図り、発泡体の土壌汚染の程度を軽減でき、さらに、特に近年高まっている要望、即ち、現場施工時の送液の圧力が低くても良好な固結樹脂が安定して得られる注入薬液組成物であって、触媒と予め混合する水ガラス側(以下、B成分という)の相分離が生じにくい組成物を提供することにある。
前述の目的を達成すべく本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、特定のポリイソシアネート組成物を用い、特定の相溶化剤を組成物中に導入することにより、前述の一連の課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は以下の(1)〜(4)に示されるものである。
(1) ジフェニルメタンジイソシアネート(a1)とジフェニルメタンジイソシアネート系多核縮合体(a2)を含有する有機ポリイソシアネート(a)と活性水素基含有化合物(b)との反応から得られるイソシアネート基末端プレポリマーを含有するポリイソシアネート組成物(A)、珪酸塩水溶液(B)、ポリプロピレングリコール及び/又はポリエチレングリコール(C)、アミン系化合物(D)、相溶化剤(E)からなる岩盤ないし地盤固結用の注入薬液組成物において、
相溶化剤(E)が、ナフタリンスルホン酸系界面活性剤であることを特徴とする、岩盤ないし地盤固結用の注入薬液組成物。
相溶化剤(E)が、ナフタリンスルホン酸系界面活性剤であることを特徴とする、岩盤ないし地盤固結用の注入薬液組成物。
(2) 前記(1)記載の各成分の質量配合比が、(A):[(B)+(C)+(D)+(E)]=1:1〜3.5であることを特徴とする、(1)に記載の岩盤ないし地盤固結用の注入薬液組成物。
(3) 岩盤ないし地盤に所定間隔で複数個の孔を穿設し、前記孔内に中空の注入ボルトを挿入し、(1)又は(2)のいずれかに記載の注入薬液組成物を、岩盤ないし地盤に注入して固結させることを特徴とする、土壌安定強化止水工法。
(4) (1)又は(2)のいずれかに記載の注入薬液組成物を、0.1〜1MPaの圧力にて送液混合し、岩盤ないし地盤に注入して固結させることを特徴とする、(3)に記載の土壌安定強化止水工法。
本発明の注入薬液組成物を用いることにより、土壌汚染を引き起こしやすい希釈剤、可塑剤、難燃剤等を使用することなく、ポリイソシアネートの低温時の結晶固化を防ぎ、発泡体のもろさを出すことなく強度向上を図り、発泡体の土壌汚染の程度を軽減できることができるのは勿論のこと、既知の注入薬液組成物と違い、配合比のズレが生じても発泡性が非常に安定していることから、特に近年高まっている要望、即ち、現場施工時の送液の圧力が低くても良好な固結が安定して得られるようになった。
また、本発明のような岩盤ないし地盤固結用の注入薬液組成物は浸透性にも非常に優れている。このため、現場施工時の送液の圧力が低くても、土壌への優れた浸透性、充填性が得ることが可能である。これら一連の優れた効果を奏する本発明の注入薬液組成物を用いた土壌安定強化止水工法により、土壌を広範囲に、確実に、高強度で安定した止水を施すことができるようになった。
本発明をさらに詳細に説明する。
本発明に用いられるポリイソシアネート組成物(A)は、いわゆる2核体と言われるイソシアネート基及びベンゼン環を1分子中に各々2個有するジフェニルメタンジイソシアネート(以下「MDI」と略記)(a1)と、いわゆる多核体と言われるイソシアネート基及びベンゼン環を1分子中に各々3個以上有するジフェニルメタンジイソシアネート系多核縮合体(以下「ポリメリックMDI」と略記)(a2)を含有する有機ポリイソシアネート(a)と、活性水素基含有化合物(b)との反応から得られるイソシアネート基末端プレポリマーを含有するものである。
本発明に於けるMDI(a1)は、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下「2,2′−MDI」と略記)(イ)、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下「2,4′−MDI」と略記)(ロ)、及び4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下「4,4′−MDI」と略記)(ハ)からなるものである。
本発明に於いては、MDI(a1)の質量構成比が((イ)+(ロ)):(ハ)=5:95〜60:40(好ましくは((イ)+(ロ)):(ハ)=10:90〜55:45、 より好ましくは((イ)+(ロ)):(ハ)=15:85〜50:50)のものを用いる。
該MDI(a1)中に於ける2,2′−MDI(イ)と2,4′−MDI(ロ)の合計量((イ)+(ロ))が5質量%以下の場合、低温下に於ける固化(結晶化)が発生し易くなり、後述する珪酸塩水溶液(B)やポリプロピレングリコール及び/又はポリエチレングリコール(C)との相溶性が低下し易くなり、また、(ハ)については(イ)や(ロ)よりも珪酸塩水溶液(B)に於ける水やポリプロピレングリコール及び/又はポリエチレングリコール(C)に於ける活性水素基との反応が速いことから、混合後の液の増粘が激しくなり混合装置(ポンプ)の圧力を高くしないと相溶性不良が生じるため、好ましくない。また、該MDI(a1)中に於ける2,2′−MDI(イ)と2,4′−MDI(ロ)の合計量((イ)+(ロ))が60質量%を越える場合、(ハ)と比べて(イ)や(ロ)は分子構造的に柔軟であるため強度が発現しにくく、例えばトンネル工事現場等のように強度が要求される岩盤ないし地盤用固結剤としては不適当である。
本発明に於いては、有機ポリイソシアネート(a)に於けるMDI(a1)とポリメリックMDI(a2)の質量比が、(a1):(a2)=20:80〜80:20であることが好ましく、中でも、低粘度化による作業性の向上、MDI自体の有する毒性の抑止、また、岩盤ないし地盤固結用としての樹脂に要求される強度の確保等を総合的に考慮した場合、(a1):(a2)=40:60〜65:35であることが特に好ましい。
該有機ポリイソシアネート(a)に於けるMDI(a1)が少な過ぎる場合、作業性の向上を目的とした低粘度化が得られ難くなるので、好ましくない。また、該有機ポリイソシアネート(a)に於けるMDI(a1)が多過ぎる場合、MDI(a1)に起因する低温下に於ける固化(結晶化)が発生し易くなり、好ましくない。
なお、少量であれば、該有機ポリイソシアネート(a)とともに、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、また、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネートを用いることができる。また、これらの化合物に於けるイソシアネート基の一部を、ビウレット、アロファネート、カルボジイミド、ウレトンイミン、イソシアヌレート(3量体)、ウレトジオン(2量体)、オキサゾリドン、アミド、イミド等に変性したものも用いることができる。これらは、単独又は2種以上の混合物として用いることができる。但し、蒸気圧の低いポリイソシアネートについては、作業環境の悪化を来さないとの観点から、できる限り使用しないほうが好ましい。
本発明に於けるポリイソシアネート組成物(A)を構成する活性水素基含有化合物(b)は、オキシプロピレンユニットを5質量%以上、好ましくは50質量%以上有するポリオキシアルキレン(モノ又は)ポリオールである。オキシプロピレンユニットが5質量%未満の場合、得られる発泡体に親水性が付与され土壌汚染の原因となり、また、前述の有機ポリイソシアネート(a)との反応により得られるイソシアネート基末端プレポリマーが、後述する珪酸塩水溶液(B)中に於ける水やアルキレングリコール及び/又はポリオキシアルキレングリコール(C)の活性水素基との反応が速くなるため、混合後の液の増粘が大きくなり、混合装置(ポンプ)の圧力を高くしないと相溶性不良が生じ、また、岩盤や地盤の注入が円滑に進まず強度不足が生じ易くなるため、好ましくない。
ここで「オキシプロピレンユニットを有する」とは、活性水素基を除いた部分に於いて
−CH(CH3)CH2O−
または
−CH2CH2CH2O−
という(繰り返し)構造を有するという意味であり、プロピレンオキシドの付加により分子中に導入される。
−CH(CH3)CH2O−
または
−CH2CH2CH2O−
という(繰り返し)構造を有するという意味であり、プロピレンオキシドの付加により分子中に導入される。
ポリオキシアルキレン(モノ又は)ポリオールは、下記の化合物を開始剤としてプロピレンオキシドを含有する低分子環状エーテルの単独又は2種以上を公知の方法により付加重合させて得られる。低分子環状エーテルとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等のアルキレンオキシド、グリシジルエーテル、メチルグリシジルエーテル等が挙げられる。
開始剤としては、メチルアルコール、エチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の官能基数が1〜5のモノ又はポリオール類、エチレンジアミン、プロピレンジアミン等のジアミン類、モノエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン等の2官能アミノアルコール類、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類が挙げられる。なお、これらは単独又は2種以上の混合物として開始剤として使用することができる。
該活性水素基含有化合物(b)の数平均分子量は76〜10000が好ましい。中でも、珪酸塩水溶液(B)との混合性の向上、ポリイソシアネート組成物(A)に於ける低粘度の確保、また、得られる発泡体に所望される強度の確保等の観点から、より好ましくは800〜8000である。数平均分子量が76未満の場合、前述の有機ポリイソシアネート(a)との反応により得られるイソシアネート基末端プレポリマーに於けるウレタン基濃度が必要以上に高くなり、得られる発泡体の強度は所望される程度に発現するものの、得られるイソシアネート基末端プレポリマーが低温下で固化する恐れがあり、好ましくない。また、数平均分子量が10000を越える場合、前述の有機ポリイソシアネート(a)との反応により得られるイソシアネート基末端プレポリマーに於けるウレタン基濃度が極度に低くなり、得られる発泡体の強度が不足し、岩盤ないし地盤固結用としては不十分なものとなるため、好ましくない。
該活性水素基含有化合物(b)には、活性水素基がアミノ基又はメルカプト基である化合物を含んでいても良い。
また、該活性水素基含有化合物(b)の平均官能基数は、1〜5であることが好ましい。中でも、前述の有機ポリイソシアネート(a)との反応により得られるイソシアネート基末端プレポリマーの粘度を低く抑えるとの観点から、1〜3であることが特に好ましい。
前述のイソシアネート基末端プレポリマーを得る際、前述の有機ポリイソシアネート(a)と前述の活性水素基含有化合物(b)を反応させる割合としては、イソシアネート基過剰である必要があり、イソシアネート基/活性水素基(モル比)=10/1〜300/1の範囲であることが好ましい。
本発明に於けるポリイソシアネート組成物(A)のイソシアネート基含有量(以下「NCO含量」と略記)は、20〜31質量%であることが好ましく、中でも、配合比、(B)成分との相溶性の観点から、25〜30質量%であることが特に好ましい。
また、本発明に於けるポリイソシアネート組成物(A)の25℃における粘度は、40〜400mPa・sであることが好ましい。中でも、取扱上或いは岩盤への浸透性の観点から、100〜330mPa・sであることが特に好ましい。
また、本発明のポリイソシアネート組成物は、後述するシリコン系界面活性剤を含んでいることが好ましい。
本発明に於ける珪酸塩水溶液(B)としては、二酸化珪素を20〜40質量%、酸化ナトリウムを5〜20質量%含有する水溶液が好ましく、固結強度の観点から、二酸化珪素を21〜36質量%、酸化ナトリウムを8〜17質量%含有する珪酸塩水溶液がより好ましい。
該珪酸塩水溶液(B)としては、例えば「1号珪酸ソーダS2」、「1号珪酸ソーダO0」、「1号珪酸ソーダO2」、「2号珪酸ソーダT8」(いずれも東曹産業(株)製)を挙げることができる。
なお、本発明に於いては、ポリイソシアネート組成物(A)と珪酸塩水溶液(B)との質量比は、イソシアネート側と珪酸塩水溶液側の液比を1に近づけるとの観点から、(A)/(B)=0.7/1〜1:3の範囲で使用するのが好ましい。
本発明に於いては、得られる組成物に於ける相溶性の向上や、得られる発泡体に於ける物性の向上を目的として、アルキレングリコール及び/又はポリオキシアルキレングリコール(C)を用いる。
該ポリプロピレングリコールとは、水、エチレングリコールやプロピレングリコール等のジオール類、エチレンジアミン、プロピレンジアミン等のジアミン類、モノエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン等の2官能アミノアルコール類、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類を開始剤として、プロピレンオキシドを公知の方法により付加重合させて得られる、末端に水酸基を平均して2個有するポリオールである。
また、該ポリエチレングリコールとは、水、エチレングリコールやプロピレングリコール等のジオール類、エチレンジアミン、プロピレンジアミン等のジアミン類、モノエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン等の2官能アミノアルコール類、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類を開始剤として、エチレンオキシドを公知の方法により付加重合させて得られる、末端に水酸基を平均して2個有するポリオールである。
該ポリプロピレングリコール及び/又は該ポリエチレングリコール(C)の数平均分子量は、得られる発泡体に於いて所望される強度の確保、また、液の粘度を低く抑えるとの観点から、62〜10000が好ましく、100〜8000がより好ましい。 150〜1000であることが特に好ましい。
本発明に於いては、主に、ポリイソシアネート組成物(A)と珪酸塩水溶液(B)との二相間の反応性を調整する目的で、分子中に一級アミン及び/又は二級アミン及び/又は三級アミンを有する化合物であるアミン系化合物(D)を用いる。
本発明に於いては、該アミン系化合物(D)として、水溶性で、微臭であり、且つ安定性に優れるとの観点から、三級アミン系化合物を用いるのが好ましい。三級アミン系化合物としては、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルイミダゾール、ピリジン、N,N,N′,N′−テトラメチルヘキサンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、α−ピコリン等を挙げることができる。中でも、経時により土壌中にしみ出ず土壌汚染を起こす心配がないとの観点から、ジメチルアミノエチルモルフォリン、1,2−ジメチルイミダゾール、メチルトリエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、トリスジメチルアミノプロピルエタノールアミンから1種以上を選択して用いるのがより好ましい。
本発明に於ける岩盤ないし地盤固結用の注入薬液組成物は、ポリイソシアネート組成物(A)、珪酸塩水溶液(B)、ポリプロピレングリコール及び/又は該ポリエチレングリコール(C)、アミン系化合物(D)の質量配合比率を、(A):[(B)+(C)+(D)]=1:1〜3.5として用いられる。
本発明に於ける注入薬液組成物の最大の特徴は、この点にある。即ち、質量配合比率が(A):[(B)+(C)+(D)]=1:1〜3.5と著しい変動(配合比のズレ)が生じても、発泡性が非常に安定している。このような特徴は、特に近年高まっている要望、即ち、現場施工時の送液の圧力が低くても、良好な固結を安定して得ることが可能となる。
本発明に於いては、珪酸塩水溶液(B)とその他の成分との相溶性を向上させるとの観点から、ナフタリンスルホン酸系相溶化剤(E)を用いる。
該ナフタリンスルホン酸系相溶化剤(E)を用いる場合に於ける岩盤ないし地盤固結用の注入薬液組成物は、ポリイソシアネート組成物(A)、珪酸塩水溶液(B)、ポリプロピレングリコール及び/又は該ポリエチレングリコール(C)、アミン系化合物(D)、及びナフタリンスルホン酸系相溶化剤(E)の質量配合比率を、(A):[(B)+(C)+(D)+(E)]=1:1〜3.5として用いられる。
なお、該ナフタリンスルホン酸系相溶化剤(E)は、珪酸塩水溶液(B)に対して 0.05〜5質量%の割合になるように用いられるのが好ましい。
ここで、本発明に於けるナフタリンスルホン酸系相溶化剤(E)とは、ナフタリンスルホン酸ソーダとホルマリンの縮合反応により得られる縮合物を有効成分として水などで希釈された混合物である。該縮合物は分子中に次の構造を有する。
該混合物は、例えば「エスコール30(有効成分に於ける平均縮合度約3.5:日本乳化剤(株)製)」として入手が可能である。
本発明に於いては、ポリイソシアネート組成物(A)と珪酸塩水溶液(B)の二相関の分散や反応性を調整する目的から、前述のナフタリンスルホン酸系相溶化剤(E)に加えて、さらに界面活性剤(F)を用いると、より好適である。
本発明に於いては、ポリイソシアネート組成物(A)と珪酸塩水溶液(B)の二相関の分散や反応性を調整する目的から、前述のナフタリンスルホン酸系相溶化剤(E)に加えて、さらに界面活性剤(F)を用いると、より好適である。
界面活性剤(F)としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを含有するポリグリコールエーテルと、少なくとも1個の活性水素を含有する有機化合物とを縮合することによって得られる。この少なくとも1個の活性水素を含有する有機化合物としては、アルコール、フェノール、チオール、1級又は2級アミンや、1個以上のアルキル置換基を有するフェノール系化合物のポリアルキレンオキシド誘導体を挙げることができる。
界面活性剤(E)を用いる場合、予め珪酸塩水溶液(B)及び/又はポリイソシアネート組成物(A)に添加することができるが、珪酸塩水溶液(B)に予め混合した場合、攪拌した際の泡立ちが原因で正確な計量ができなくなるため、ポリイソシアネート組成物(A)のみに混合してから使用するのが好ましい。なお、界面活性剤(F)の添加量は、珪酸塩水溶液(B)又はポリイソシアネート組成物(A)に対して0.05〜5質量%の割合で用いられるのが好ましい。
また、界面活性剤(F)として、シリコーン系界面活性剤も挙げることができる。これには活性水素基を含有するものと含有しないものとがある。好ましいのは、活性水素基を含有しないタイプである。例えば、各種のシロキサンポリアルキレンオキシドブロック共重合体を挙げることができ、例えば、「L−5340(日本ユニカー(株)製)」、「B−8232(テー・ゴールドシュミット社製)」「B−8407(テー・ゴールドシュミット社製)」「F−505(信越化学工業(株)製)」として入手が可能である。
本発明に於ける注入薬液組成物には、この他に、各種カップリング剤、各種発泡剤、分散剤、増粘剤、酸化防止剤、耐熱性付与剤等の各種添加剤を添加することも可能である。但し、本発明の目的から外れないもの、即ち、土壌汚染を引き起こさないものに限定すべきである。
本発明で得られる岩盤ないし地盤固結用の注入薬液組成物は発泡性であり、かつ無機及び有機の双方の良好な特性を併せ持っている。本発明の注入薬液組成物は、珪酸塩水溶液とポリイソシアネート組成物とを公知の攪拌・混合装置を使用し、強制混合することにより発泡し固化する。また、本発明の注入薬液組成物は、混合後の粘度上昇が大きくないため、0.1〜1MPaという低圧での注入が可能となり、現場での施工性が格段に向上する。
本発明の土壌安定強化止水工法は、空隙やクラックの多い軟質ないし不安定な地盤、岩盤、破砕帯層等の土壌や地盤に所定間隔で複数個の孔を穿設し、前記孔内に中空の注入ボルトを挿入し、これを介して前述の注入薬液組成物を注入し固結させることを特徴とする。注入固結する方法については特に限定はなく、公知の方法はいずれも採用しうる。
例えば、珪酸塩水溶液とポリイソシアネート組成物のそれぞれの注入量、圧力、配合比等をコントロールしうる比例配合ポンプを用い、それぞれを別々のタンクに入れる。そして、岩盤等の所定箇所(例えば、所定間隔で穿設された複数の孔)に、あらかじめ固定されたスタティックミキサーや逆止弁等を内装した有孔のロックボルトや注入ロッドを通して、この中に前期タンク内の各成分を加圧注入し、スタティックミキサーを通して、所定量の各成分を均一に混合する。そうすることにより、不安定な岩盤や地盤等の所定の土壌に注入浸透、硬化させて固結安定化できる。
また例えば、トンネルの天盤部に注入する場合には、注入に先立ち、例えば所定の間隔でレッグオーガー等を用いて削孔し、所定の深さ、削孔角度の注入孔を設け、この注入孔にスタティックミキサー及びロックボルトを挿入する。そして、このロックボルトの口元を、注入薬液の逆流を防ぐために、急結セメントや発泡硬質ポリウレタン樹脂をあらかじめ含浸させたウエス等を用いてシールし、前記組成物を前記と同様の方法で注入することもできる。
このときの薬液注入時に於ける圧力は0.1〜1MPaであることが好ましい。0.1MPa未満の場合、岩盤・地盤への薬液の注入が困難になるので、好ましくない。また、1MPaを越える場合、作業時において特に問題は起こるわけではないが、強力なポンプを用意する必要があることとなり、不経済である。
以下、本発明の実施例について詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定して解釈されるものではない。なお、特に断り書きのない限り、以下の「部」及び「%」はそれぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
[ポリイソシアネート組成物の合成]
合成に用いた有機ポリイソシアネート
NCO−1:NCO含量=31.2%
NCO−1の核体分布;2,2′−MDI+2,4′−MDI=6%
4,4′−MDI =41%
ポリメリックMDI =53%
(参考)ポリメリックMDI中の核体分布(GPCピーク面積)
(GPCの3核体以上の合計ピーク面積が53%になるように比例配分した数値)
3核体: 28%
4核体: 9%
5核体+6核体:4%
7核体以上: 12%
合成に用いた有機ポリイソシアネート
NCO−1:NCO含量=31.2%
NCO−1の核体分布;2,2′−MDI+2,4′−MDI=6%
4,4′−MDI =41%
ポリメリックMDI =53%
(参考)ポリメリックMDI中の核体分布(GPCピーク面積)
(GPCの3核体以上の合計ピーク面積が53%になるように比例配分した数値)
3核体: 28%
4核体: 9%
5核体+6核体:4%
7核体以上: 12%
[合成に用いた活性水素基含有化合物]
OH−1:ポリオキシプロピレンポリオール
「サンニックス PP−4000(三洋化成工業(株)製)」
数平均分子量=4000
平均官能基数=2
プロピレンオキシドユニット=100%
OH−1:ポリオキシプロピレンポリオール
「サンニックス PP−4000(三洋化成工業(株)製)」
数平均分子量=4000
平均官能基数=2
プロピレンオキシドユニット=100%
上記のNCO−1の970gとOH−1の20gとを反応させることでポリイソシアネートAを合成した。NCO含量は30.2%であった。
このものの低温貯蔵安定性を調べたところ、−10℃雰囲気下に継続して1ヶ月間静置した場合でも結晶が発生していなかった。
このものの低温貯蔵安定性を調べたところ、−10℃雰囲気下に継続して1ヶ月間静置した場合でも結晶が発生していなかった。
[実施例1〜6]
表1に示す配合比に従い、ポリイソシアネート組成物と界面活性剤を用いて、A液を調合した。これとは別に、珪酸塩水溶液、グリコール類、アミン系化合物、相溶化剤を用いて、B液を調合した(なお、B液については、後述の分離速度判定のため、調合した液の一部を採取し、判定に用いた)。調合したA液とB液を、各々液温20℃に調温した。調温後、表1に示す配合比に従い、合計100gになるようにA液とB液を配合して、高速撹拌機(回転数は300rpmに設定)を用い直ちに混合攪拌して、岩盤ないし地盤固結用の注入薬液組成物を得た。得られた該組成物を直ちに2リットルのポリエチビーカーに入れ、発泡を行った。発泡完了後、発泡体の外観、発泡倍率、一軸圧縮強度測定、並びに耐水性測定を行った。結果を表1に示す。
表1に示す配合比に従い、ポリイソシアネート組成物と界面活性剤を用いて、A液を調合した。これとは別に、珪酸塩水溶液、グリコール類、アミン系化合物、相溶化剤を用いて、B液を調合した(なお、B液については、後述の分離速度判定のため、調合した液の一部を採取し、判定に用いた)。調合したA液とB液を、各々液温20℃に調温した。調温後、表1に示す配合比に従い、合計100gになるようにA液とB液を配合して、高速撹拌機(回転数は300rpmに設定)を用い直ちに混合攪拌して、岩盤ないし地盤固結用の注入薬液組成物を得た。得られた該組成物を直ちに2リットルのポリエチビーカーに入れ、発泡を行った。発泡完了後、発泡体の外観、発泡倍率、一軸圧縮強度測定、並びに耐水性測定を行った。結果を表1に示す。
表1におけるグリコールは、PP−400を使用した。
PP−400は、ポリオキシプロピレンジオールであり、数平均分子量は400。
触媒は、N,N´−テトラメチルヘキサメチレンジアミンを使用した。
PP−400は、ポリオキシプロピレンジオールであり、数平均分子量は400。
触媒は、N,N´−テトラメチルヘキサメチレンジアミンを使用した。
[分離速度の測定]
分離速度の測定は、B液成分である、珪酸塩水溶液とグリコール類、アミン系化合物、相溶化剤を撹拌し、200mlのサンプル瓶に放置して、アミン系化合物が上層として区別できるまでの時間を測定した。
分離速度の測定は、B液成分である、珪酸塩水溶液とグリコール類、アミン系化合物、相溶化剤を撹拌し、200mlのサンプル瓶に放置して、アミン系化合物が上層として区別できるまでの時間を測定した。
相溶化剤は、以下の通り。
エスコール30:ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のNa塩、日本乳化剤製。
ニューコール271−A:アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、日本乳化剤製。
ニューコール861−SE:オクチルフェノキシエトキシスルホン酸Na塩、日本乳化剤製。
ニューコール210:ドデシルベンゼンスルホン酸NH4塩、日本乳化剤製。
ニューコール560:ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、日本乳化剤製。
テクスノールL7:アルキルアンモニウムハイドロオキサイド、日本乳化剤製
エスコール30:ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のNa塩、日本乳化剤製。
ニューコール271−A:アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、日本乳化剤製。
ニューコール861−SE:オクチルフェノキシエトキシスルホン酸Na塩、日本乳化剤製。
ニューコール210:ドデシルベンゼンスルホン酸NH4塩、日本乳化剤製。
ニューコール560:ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、日本乳化剤製。
テクスノールL7:アルキルアンモニウムハイドロオキサイド、日本乳化剤製
液分離能力は、表1及び表2に示すように、エスコール30では、添加部数の多少に係わらず、3時間以上に渡ってB液の層分離を防止した。
しかし、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩タイプのニューコール271−Aでは、相溶化剤としての効果は、限られた濃度範囲のみで有効であり、この狭い範囲を外れると、ほとんど相溶化の効果を発揮しなかった。
また、界面活性剤として汎用されているドデシルベンゼンスルホン酸塩型のニュウーコール210は、本願のような珪酸ソーダと有機物との相溶化には全く効果を発揮しなかった。
しかし、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩タイプのニューコール271−Aでは、相溶化剤としての効果は、限られた濃度範囲のみで有効であり、この狭い範囲を外れると、ほとんど相溶化の効果を発揮しなかった。
また、界面活性剤として汎用されているドデシルベンゼンスルホン酸塩型のニュウーコール210は、本願のような珪酸ソーダと有機物との相溶化には全く効果を発揮しなかった。
実施例7〜9
表3に示す配合比に従い、実施例1と同様にA液、B液を調合した。調合したA液とB液を、各々液温20℃に調温した。調温後、表3に示す配合比に従い、合計100gになるようにA液とB液を配合して、高速撹拌機(回転数は300rpmに設定)を用い直ちに混合攪拌して、岩盤ないし地盤固結用の注入薬液組成物を得た。得られた該組成物を直ちに2リットルのポリエチビーカーに入れ、発泡を行った。発泡完了後、発泡体の外観、発泡倍率、一軸圧縮強度測定、並びに耐水性測定を行った。結果を表3に示した。
表3に示す配合比に従い、実施例1と同様にA液、B液を調合した。調合したA液とB液を、各々液温20℃に調温した。調温後、表3に示す配合比に従い、合計100gになるようにA液とB液を配合して、高速撹拌機(回転数は300rpmに設定)を用い直ちに混合攪拌して、岩盤ないし地盤固結用の注入薬液組成物を得た。得られた該組成物を直ちに2リットルのポリエチビーカーに入れ、発泡を行った。発泡完了後、発泡体の外観、発泡倍率、一軸圧縮強度測定、並びに耐水性測定を行った。結果を表3に示した。
[発泡体の試験方法]
(1)発泡体の外観
前述のようにポリイソシアネート組成物と珪酸塩水溶液とを配合して得られた発泡体をナイフで切断し、その内部の状況を観察した。断面が不均一状態であるものを「不良」と判定し、均一状態であるものを「良好」と判定した。
(2)発泡倍率
発泡倍率=発泡後の発泡体の容積(cm3)/発泡前の配合液の容積(cm3)
(3)一軸圧縮強度
JSF T511(土壌工学会基準の土の一軸圧縮試験方法)に準じて、10、20、40℃について行った。
(4)耐水性
ポリイソシアネート組成物と珪酸塩水溶液とをそれぞれ50ccずつ配合し、その直後の流動状態の液体をあらかじめ300cm3 の水を入れたポリカップに素早く入れて、水中での発泡状態を観察する。その際に、ポリカップの水が白濁したものを「不良」と判定し、透明であるものを「良好」と判定した。
(1)発泡体の外観
前述のようにポリイソシアネート組成物と珪酸塩水溶液とを配合して得られた発泡体をナイフで切断し、その内部の状況を観察した。断面が不均一状態であるものを「不良」と判定し、均一状態であるものを「良好」と判定した。
(2)発泡倍率
発泡倍率=発泡後の発泡体の容積(cm3)/発泡前の配合液の容積(cm3)
(3)一軸圧縮強度
JSF T511(土壌工学会基準の土の一軸圧縮試験方法)に準じて、10、20、40℃について行った。
(4)耐水性
ポリイソシアネート組成物と珪酸塩水溶液とをそれぞれ50ccずつ配合し、その直後の流動状態の液体をあらかじめ300cm3 の水を入れたポリカップに素早く入れて、水中での発泡状態を観察する。その際に、ポリカップの水が白濁したものを「不良」と判定し、透明であるものを「良好」と判定した。
実施例10
破砕帯を有するトンネル天盤部に、42mmφビットのレッグオーガーにより2m間隔で削孔角度25〜35°(トンネル掘削方向に対する角度)で5個削孔し、この孔に炭素鋼製の注入ボルト(外径27.2mm、内径15mm、長さ3m、静止ミキサー及び逆止弁内蔵)を挿入し、口元部分30cmに2液硬質発泡ポリウレタン樹脂を含浸させたメリヤス製ウエスを鉄棒で押し込みシールした。次いで、この固定した各注入孔に、実施例1で調製した注入薬液組成物を注入圧2〜5MPa、孔当たり80〜120kg注入した。注入してから50分後に掘進によりトンネル地盤の状態を調査したところ、地盤は、表面の孔を中心とした半径5mの半球状で固結安定化していて、また、この範囲から、漏水は全く確認されなかった。薬液注入固結部分をサンプラーで5cmφ×10cmの円柱形状にサンプリングし、一軸圧縮強度を測定したところ、20MPaであった。なお、未改良部は、破砕帯のためサンプリング不可能であった。
破砕帯を有するトンネル天盤部に、42mmφビットのレッグオーガーにより2m間隔で削孔角度25〜35°(トンネル掘削方向に対する角度)で5個削孔し、この孔に炭素鋼製の注入ボルト(外径27.2mm、内径15mm、長さ3m、静止ミキサー及び逆止弁内蔵)を挿入し、口元部分30cmに2液硬質発泡ポリウレタン樹脂を含浸させたメリヤス製ウエスを鉄棒で押し込みシールした。次いで、この固定した各注入孔に、実施例1で調製した注入薬液組成物を注入圧2〜5MPa、孔当たり80〜120kg注入した。注入してから50分後に掘進によりトンネル地盤の状態を調査したところ、地盤は、表面の孔を中心とした半径5mの半球状で固結安定化していて、また、この範囲から、漏水は全く確認されなかった。薬液注入固結部分をサンプラーで5cmφ×10cmの円柱形状にサンプリングし、一軸圧縮強度を測定したところ、20MPaであった。なお、未改良部は、破砕帯のためサンプリング不可能であった。
実施例11
注入圧力を0.5〜0.9MPaにする以外は実施例7と同様にして評価した。注入してから50分後に掘進によりトンネル地盤の状態を調査したところ、地盤は、表面の孔を中心とした半径5mの半球状で固結安定化していて、また、この範囲から、漏水は全く確認されなかった。薬液注入固結部分をサンプラーで5cmφ×10cmの円柱形状にサンプリングし、一軸圧縮強度を測定したところ、5.5MPaであった。
注入圧力を0.5〜0.9MPaにする以外は実施例7と同様にして評価した。注入してから50分後に掘進によりトンネル地盤の状態を調査したところ、地盤は、表面の孔を中心とした半径5mの半球状で固結安定化していて、また、この範囲から、漏水は全く確認されなかった。薬液注入固結部分をサンプラーで5cmφ×10cmの円柱形状にサンプリングし、一軸圧縮強度を測定したところ、5.5MPaであった。
Claims (4)
- ジフェニルメタンジイソシアネート(a1)とジフェニルメタンジイソシアネート系多核縮合体(a2)を含有する有機ポリイソシアネート(a)と活性水素基含有化合物(b)との反応から得られるイソシアネート基末端プレポリマーを含有するポリイソシアネート組成物(A)、珪酸塩水溶液(B)、アルキレングリコール及び/又はポリオキシアルキレングリコール(C)、アミン系化合物(D)からなる岩盤ないし地盤固結用の注入薬液組成物において、
ポリイソシアネート組成物(A)が、(a1)中に於ける2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート(イ)、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(ロ)、及び4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(ハ)の質量構成比が((イ)+(ロ)):(ハ)=5:95〜60:40であり、(b)が数平均分子量76〜10000、オキシプロピレンユニットを5質量%以上含有するものであり、
特定のアミン系化合物(D)が、ジメチルアミノエチルモルフォリン、1,2−ジメチルイミダゾール、メチルトリエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、トリスジメチルアミノプロピルエタノールアミンのいずれかを含有するものであり、且つ、
質量配合比率が、(A):[(B)+(C)+(D)]=1:1〜3
であることを特徴とする、岩盤ないし地盤固結用の注入薬液組成物。 - ナフタリンスルホン酸系相溶化剤(E)を含有し、且つ、
質量配合比率が、(A):[(B)+(C)+(D)+(E)]=1:1〜3
であることを特徴とする、請求項1に記載の岩盤ないし地盤固結用の注入薬液組成物。 - 岩盤ないし地盤に所定間隔で複数個の孔を穿設し、前記孔内に中空の注入ボルトを挿入し、請求項1又は2のいずれかに記載の注入薬液組成物を、岩盤ないし地盤に注入して固結させることを特徴とする、土壌安定強化止水工法。
- 請求項1又は2のいずれかに記載の注入薬液組成物を、0.1〜1MPaの圧力にて送液混合し、岩盤ないし地盤に注入して固結させることを特徴とする、請求項3に記載の土壌安定強化止水工法。
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2005
- 2005-02-25 JP JP2005050585A patent/JP2006233054A/ja active Pending
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