JP4527370B2 - トンネル掘削用の安定化用注入薬液組成物、および、それを用いた安定強化工法 - Google Patents

トンネル掘削用の安定化用注入薬液組成物、および、それを用いた安定強化工法 Download PDF

Info

Publication number
JP4527370B2
JP4527370B2 JP2003290087A JP2003290087A JP4527370B2 JP 4527370 B2 JP4527370 B2 JP 4527370B2 JP 2003290087 A JP2003290087 A JP 2003290087A JP 2003290087 A JP2003290087 A JP 2003290087A JP 4527370 B2 JP4527370 B2 JP 4527370B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyisocyanate
composition
sodium silicate
component
stabilization
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2003290087A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004099880A (ja
Inventor
亨 山田
博 鮫沢
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DKS CO. LTD.
Original Assignee
DKS CO. LTD.
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by DKS CO. LTD. filed Critical DKS CO. LTD.
Priority to JP2003290087A priority Critical patent/JP4527370B2/ja
Publication of JP2004099880A publication Critical patent/JP2004099880A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4527370B2 publication Critical patent/JP4527370B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Excavating Of Shafts Or Tunnels (AREA)
  • Soil Conditioners And Soil-Stabilizing Materials (AREA)

Description

本発明は、トンネル堀削時に、破砕帯を有する岩盤や不安定軟弱基板の固結安定化、漏水、湧水のある岩盤ないし地盤の止水や空隙充填などを目的として用いられる安定化用注入薬液組成物、および、安定強化工法に関する。
トンネル堀削時の不安定岩盤や地盤の安定強化工法の1つとして、ポリイソシアネートとケイ酸ナトリウム水溶液を主成分とする注入薬液組成物を注入する方法がある。ポリイソシアネートとケイ酸ナトリウムは反応性に優れ、これらを主成分とする注入薬液組成物は、固結性が高い。しかしながら、ポリイソシアネートは、粘度が比較的高いため、岩盤や地盤への浸透性が充分ではなく、流動性や浸透性を向上させるために、希釈剤が用いられる。
従来、希釈剤としては、酢酸エチル、トルエン、キシレン、1,1,1−トリクロロエタン、塩化メチレン、トリフルオロクロロメタンなどの有機溶媒が用いられていた。しかしながら、これらの有機溶媒は、揮発性が高く、固結後放出されて環境を損なうという問題があった。
前記の問題を解決する手段として、希釈剤として、エチレングリコールジアセテートやトリエチレングリコールジメチルエーテルなどのケイ酸ナトリウム水溶液により加水分解され得る反応性希釈剤を用いる方法が開示されている(たとえば、特許文献1参照)。この方法によれば、ポリイソシアネートに反応性希釈剤を添加することによって、ポリイソシアネートの粘性を調整し、ケイ酸ナトリウム水溶液とポリイソシアネートとの相溶性を向上することができる。さらに、反応性希釈剤の加水分解によって、複合的な反応固結構造物が得られ、固結物の物性が改良される。
しかしながら、エチレングリコールジアセテートやトリエチレングリコールジメチルエーテルなどの希釈剤は、比較的引火点が低く、ポリイソシアネートに添加してポリイソシアネートの引火点を低下させ、作業安全性の観点から取扱いに対してより配慮する必要があり、また一次保管貯蔵数量についても制限を受けていた。
特許第2591540号公報
本発明の目的は、ケイ酸ナトリウム水溶液とポリイソシアネートとの相溶性および反応性が高く、固結物の物性が向上され、かつ、作業環境及び輸送・貯蔵数量の面においてより安全に取扱うことができるトンネル掘削用の安定化用注入薬液組成物、および、それを用いた安定強化工法を提供することにある。
本発明は、(A)ケイ酸ナトリウム水溶液と、(B)(B1)ポリイソシアネートおよび(B2)希釈剤を含有するポリイソシアネート組成物とからなるトンネル掘削用の安定化用注入薬液組成物において、
ポリイソシアネート組成物(B)の引火点が200℃以上であり、
希釈剤(B2)が、脂肪族ジカルボン酸とポリオキシアルキレンアルキルエーテルアルコールから得られるジエステル、およびプロピレンカーボネートからなり、
前記プロピレンカーボネートの添加部数が、(B)成分中に5重量%未満であることを特徴とすることを特徴とする安定化用注入薬液組成物に関する。
前記安定化用注入薬液組成物において、ケイ酸ナトリウム水溶液(A)がアミン触媒を含有することが好ましい。
前記安定化用注入薬液組成物において、ケイ酸ナトリウム水溶液(A)がポリオールを含有することが好ましい。
前記安定化用注入薬液組成物において、ポリイソシアネート(B1)が、ポリイソシアネートとポリオールとを反応させて得られる末端イソシアネート(NCO)基含有ウレタンプレポリマーからなることが好ましい。
前記安定化用注入薬液組成物において、ポリイソシアネート組成物(B)がシリコーン整泡剤を含有することが好ましい。
また、本発明は、山岳トンネル工法におけるトンネル掘削用の安定強化工法であって、ウレタン系注入式フォアポーリング工法および/または注入式長尺先受工法により、前記各安定化用注入薬液組成物を岩盤ないし地盤に注入し、固結させる安定強化工法に関する。
本発明によれば、(A)ケイ酸ナトリウム水溶液と、(B)(B1)ポリイソシアネートおよび(B2)希釈剤を含有するポリイソシアネート組成物とからなるトンネル掘削用の安定化用注入薬液組成物において、希釈剤(B2)として、ジカルボン酸とポリエーテルアルコールから得られるジエステルを用いることによって、(A)成分と(B)成分の相溶性、反応性、固結物の物性を向上することができる。
また、(B)成分の引火点を200℃以上とすることにより、作業環境および輸送・貯蔵数量の面において、より安全に取扱いを行なうことができる。
本発明の安定化用注入薬液組成物は、(A)ケイ酸ナトリウム水溶液と、(B)(B1)ポリイソシアネートおよび(B2)希釈剤を含有するポリイソシアネート組成物とからなるトンネル掘削用の安定化用注入薬液組成物において、
ポリイソシアネート組成物(B)の引火点が200℃以上であり、
希釈剤(B2)が、脂肪族ジカルボン酸とポリオキシアルキレンアルキルエーテルアルコールから得られるジエステル、およびプロピレンカーボネートからなり、
前記プロピレンカーボネートの添加部数が、(B)成分中に5重量%未満である
(A)成分のケイ酸ナトリウム水溶液としては、通常市販されているケイ酸ナトリウムの水溶液を主成分として用いることができる。ケイ酸ナトリウムは、一般式:
Na2O・xSiO2・nH2
で表わされる。ここで、xは、SiO2(酸化ケイ素)とNa2O(酸化ナトリウム)とのモル比を表し、好ましくは0.5〜4、より好ましくは2〜3.5である。xが0.5より小さいと、発泡硬化反応における無水ケイ酸ゲル化反応の割合が減少するため、反応性のバランスが悪くなる傾向があり、4をこえると、ケイ酸ナトリウム水溶液の粘度が高くなるため、(B)成分との混合性および使用時の作業性が低下する傾向がある。
水溶液の固形分濃度は、好ましくは20〜60重量%、より好ましくは30〜50重量%となるように調製する。固形分濃度が20重量%未満では、固結物中無機成分が減少するため、難燃性が低下する傾向があり、60重量%をこえると(A)成分の粘度が高くなるため、(B)成分との混合性および使用時の作業性が低下する傾向がある。
(B)成分のポリイソシアナート組成物は、ポリイソシアネート(B1)および希釈剤(B2)を含有する。
ポリイソシアネート(B1)としては、たとえば、ジフェニルメタンジイソシアネートおよびその異性体、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(ポリメリックMDI)、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、クルードトリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、トリメチレンキシリレンジイソシアネートなどのポリイソシアネートの単独または混合物があげられる。さらに、前記ポリイソシアネートを水や低級モノアルコールもしくは多価アルコールで変性したアダクト体、または、ポリイソシアネートと各種ポリオールとを反応させた末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの単独または混合物;さらに、これらのアダクト体;もしくは、プレポリマー類と前記各種ポリイソシアネートの1種または2種以上との混合物など;さらに、前記ポリイソシアネートに触媒を加え、2量体または3量体としたものなどがあげられる。
また、前記ポリイソシアネートと、後述のモノオールまたはポリオールとを、たとえばNCO基とOH基との当量比(NCO基/OH基)が1.5〜300、好ましくは2.0〜100の範囲となるように、公知の方法で反応させて得られる末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーも、ポリイソシアネート(B1)として好適に用いることができる。NCO基とOH基との当量比が1.5未満では、液の粘性が高くなるため、使用時の作業性が低下する傾向があり、300をこえると、ウレタンプレポリマーに変性する効果が小さくなる傾向がある。
前記ポリエーテルモノオールおよびポリエーテルポリオールは、活性水素化合物に、アルキレンオキシドを公知の方法で付加重合して得られる。前記活性水素化合物としては、たとえば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、オクタノール、ラウリルアルコールなどのモノオール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどのジオール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどのポリオール;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジグリセリン、ソルビトール、蔗糖などのその他のアルコール類があげられる。これらの活性水素化合物は単独で、または二種以上を混合して使用しても良い。前記アルキレンオキシドとしては、たとえば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシドなどがあげられる。これらのアルキレンオキシドは単独で、または二種以上を混合して使用しても良い。
これらのポリイソシアネート成分のなかでも、安全衛生面および経済性の点から、取扱い環境温度下での揮発性が極めて小さく、液状でしかも経済性の伴った構成のものであるポリメリックMDI、および、これを用いたプレポリマーが好ましい。
ポリイソシアネート(B1)のイソシアネート基含有量は、10〜50重量%、とくには20〜35重量%であることが好ましい。イソシアネート基含有量が10重量%未満では、無水ケイ酸−ウレタン複合反応および尿素結合などによる架橋構造が減少するため、固結物の強度が低下する傾向があり、50重量%をこえると、反応固結物中の架橋点が極端に多くなるため、固結物が脆くなる傾向がある。
希釈剤(B2)は、ポリイソシアネート(B1)との相溶性、減粘性に優れ、さらに(B)成分の貯蔵安定性に優れる希釈剤であることが必要である。たとえば、特許第2591540号公報には、反応性希釈剤として、低分子量二塩基酸のジエステル類、モノまたは多価アルコール類の酢酸エステル類、アルキレンカーボネート類、エーテル類、環状エステル類、酸無水物、各種のアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなどがあげられている。本発明では、希釈剤(B2)として、ジカルボン酸とポリエーテルアルコールから得られるジエステルを用い、より好ましくは、(B)成分の引火点を200℃以上とすることによって、より作業環境の観点から安全性に優れた安定化薬液組成物が得られる。
前記希釈剤(B2)は、ジカルボン酸とポリエーテルアルコールから得られるジエステルであれば、前記反応性希釈剤のようにケイ酸ナトリウム水溶液によりアルカリ加水分解されるものであってもよいし、アルカリ加水分解されないものであってもよく、とくに限定されない。なかでも、ケイ酸ナトリウム水溶液(A)およびポリイソシアネート(B1)との反応性がよい点で、ケイ酸ナトリウム水溶液によりアルカリ加水分解されるものであることが好ましい。ここで、前記加水分解とは、沸騰還流条件下で、アミン触媒存在下にケイ酸ナトリウムと混合したとき、2時間後の加水分解率が5〜100%であることをいう。とくには、沸騰還流下で、アミン触媒としてN,N,N’−トリメチルアミノエチルエタノールアミンを1%添加した1号ケイ酸ナトリウム(固形分:40%、SiO2/Na2O比:2.2)100重量部に対して、希釈剤15重量部を混合したとき、2時間後の加水分解率が5〜100%であることをいう。
さらに、前記ジカルボン酸とポリエーテルアルコールから得られるジエステルのなかでも、脂肪族ジカルボン酸とポリオキシアルキレンアルキルエーテルアルコールから得られるジエステルがとくに有効である。
前記脂肪族ジカルボン酸としては、たとえば、炭素数2〜12、好ましくは4〜8の脂肪族ジカルボン酸が用いられ、具体的には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などの脂肪族飽和ジカルボン酸や、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族不飽和ジカルボン酸などがあげられる。
また、前記ポリオキシアルキレンアルキルエーテルアルコールとしては、脂肪族モノアルコールを開始剤として、アルキレンオキシドを公知の方法で付加させたものがあげられる。脂肪族モノアルコールとしては、たとえば、炭素数1〜24、好ましくは1〜8のモノアルコールが用いられ、具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、n−アミルアルコール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノ−ル、n−オクタノール、n−ノナノール、n−デカノール、n−ラウリルアルコール、n−トリデカノール、n−テトラデカノール、n−ペンタデカノール、n−ヘプタデカノール、n−オクタデカノール(ステアリルアルコール)、イソプロパノール、イソブタノール、2−エチルヘキサノール、メチル−1−ノナノール、ジメチル−1−オクタノール、テトラメチル−1−ヘキサノール、3−エチル−4,5,6−トリメチルオクタノール、4,5,6,7−テトラメチルノナノール、2−ヘキシルドデカノール、2−ヘキサデシルオクタノールなどのアルキルアルコールの単独または混合物があげられる。アルキレンオキシドとしては、たとえば、炭素数2〜8、好ましくは2〜4のアルキレンオキシドが用いられ、具体的には、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなどの単独または混合物があげられる。
本発明においては、(B)成分の粘性を適度に調節し、作業性を向上させ、また、(A)成分と(B)成分との相溶性改良効果が大きいことから、アジピン酸とn−ブタノールにエチレンオキシドを付加させたものから得られるジエステルが、とくに好ましい。
前記脂肪族ジカルボン酸とポリオキシアルキレンアルキルエーテルアルコールから得られるジエステルの引火点は、70℃以上、とくには200℃以上であることが好ましい。引火点が70℃未満では、ジエステルの添加量が少量であっても(B)成分の引火点が200℃未満に低下してしまう傾向がある。
また、前記脂肪族ジカルボン酸とポリオキシアルキレンアルキルエーテルアルコールから得られるジエステルの数平均分子量は200〜2000、とくには300〜600であることが好ましい。
前記の希釈剤(B2)に、プロピレンカーボネートを併用することによって、(A)成分と(B)成分との相溶性をさらに向上させることができる。ただし、たとえば、ポリイソシアネート(B1)に、ポリメリックMDIを用い、希釈剤(B2)としてプロピレンカーボネートを併用する場合、プロピレンカーボネートの配合部数が多いと、プロピレンカーボネートの引火点が約130℃と低いため、(B)成分の引火点が200℃未満となる。したがって、この場合、プロピレンカーボネートの添加部数は、(B)成分中に5重量%未満とする必要がある。
希釈剤(B2)の添加量は、(B)成分中に、好ましくは0.5〜80重量%、より好ましくは1〜50重量%である。希釈剤(B2)の添加量が0.5重量部より少ない場合は、(B)成分の希釈効果および混合液の相溶性向上効果が充分に得られない傾向がある。また、80重量部より多い場合は、(B)成分中のポリイソシアネート(B1)が少ないために、(A)成分と(B)成分との混合液の反応硬化性が劣ることから、固結物の強度が充分に発現されない傾向がある。
(A)成分と(B)成分との混合割合は、(A)成分100重量部に対して、(B)成分が10〜1000重量部、とくには50〜500重量部であることが好ましい。(B)成分が10重量部より少ない場合は、混合物の安定性がわるくなり、均一にならない傾向がある。また、(B)成分が1000重量部より多い場合は、固結物中の無機成分が少なくなり、充分な難燃性が得られない傾向がある。
なお、本発明では、(A)成分にアミン触媒を配合することができ、それによって、(A)成分と(B)成分の反応硬化を促進することができる。アミン触媒の具体例としては、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N’,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N’,N’−トリメチルアミノエチルピペラジン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ビス−(ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N’,N’−トリス(3−ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−S−トリアジン、2−メチルトリエチレンジアミン、N,N−ジメチルアミノエチルモルホリン、ジメチルアミノプロピルイミダゾール、ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、ヘキサメチルトリプロピレンテトラミン、N,N,N−トリス(3−ジメチルアミノプロピル)アミン、N−メチル−N,N−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)アミン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N−ジメチルアミノヘキサノール、N,N,N’−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N−メチル−N’−ヒドロキシエチルピペラジンなどがあげられ、これらは単独で、または混合して用いることができる。なかでも、作業環境の観点から、臭気や皮膚刺激性の弱いN,N−ジメチルアミノヘキサノール、N,N,N’−トリメチルアミノエチルエタノールアミンがとくに好ましい。
前記アミン触媒の添加量は、(A)成分中に0.01〜20重量%であることが好ましい。アミン触媒が0.01重量%未満では、発泡硬化反応をコントロールすることが難しくなる傾向があり、20重量%をこえると経済的に高価となる傾向がある。
また、(A)成分にポリオールを配合することができ、それによって、混合物の反応硬化性を調節することができる。ポリオールとしては、たとえば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどのジオールや、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどのポリオールがあげられる。また、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジグリセリン、ソルビトール、蔗糖などの単独もしくは混合物に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシドなどのアルキレンオキシドを単独で用い、または併用し、公知の方法で付加重合して得られるポリエーテルオール、そのほか、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールなども使用することができる。これらのなかでも、(A)成分中において安定性がよく、比較的低分子量であるエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパンなどが、とくに好ましい。
前記ポリオールの添加量は、(A)成分中に0.1〜50重量%であることが好ましい。ポリオールが0.1重量%未満では、ウレタン結合による架橋構造が少なくなるため、固結物が脆くなりやすい傾向があり、50重量%をこえると固結物中の無機成分が少なくなるため、固結物の難燃性が低下する傾向がある。
また、(B)成分には、ジメチルポリシロキサンを主成分とするシリコーン整泡剤を配合することができるが、(B)成分中において安定性がよく、活性水素基を含有しないものが好ましい。
シリコーン整泡剤の添加量は、(B)成分中に0.01〜5重量%であることが好ましい。シリコーン整泡剤が0.01重量%未満では、発泡体の整泡効果が小さくなるため、発泡倍率のコントロールが難しくなる傾向があり、5重量%をこえると、経済的に高価となり、本用途には不向きになる傾向がある。
特殊な注入薬液である(A)成分および(B)成分からなる本発明の注入薬液組成物は、トンネル掘削の際、切羽天端の崩落防止や緩みの拡大防止を目的として行なわれるウレタン系フォアポーリング工法または注入式長尺先受工法(AGF工法)において、空隙やクラックの多い軟質ないし不安定な地盤、岩盤、破砕帯層に注入固結される。かかる注入固結する方法については、とくに限定はなく、公知の方法を採用し得る。その一例をあげれば、たとえば、(A)成分および(B)成分の注入量、圧力、配合比などをコントロールし得る比較配合式ポンプを用いる方法などがある。この方法では、(A)成分と(B)成分とを別々のタンクに入れ、岩盤などの所定箇所(たとえば0.5〜3m程度の間隔で穿設された複数個の孔)に、あらかじめ固定されたスタチックミキサーや逆止弁などを内装した有孔のロックボルトや注入ロッドを通し、この中に前記タンク内の各成分を注入圧0.05〜5MPaで注入し、スタチックミキサーを通して、所定量の(A)成分と(B)成分を均一に混合させ、所定の不安定岩盤ないし地盤箇所に注入浸透、硬化させて固結安定化する。
なお、たとえばトンネルの天盤部に注入する場合には、注入に先立ち、たとえば約2mの所定の間隔で、たとえば42mmφビットのレッグオーガーを用いて削孔し、深さ2m、削孔角度10〜30°の注入孔を設け、この注入孔に、スタチックミキサーおよび逆止弁を内装した有孔の長さが3mである中空炭素鋼管製ロックボルトを挿入し、該ロックボルトの口元を、注入薬液の逆流を防ぐために、ウエスおよび発泡硬質ウレタン樹脂などを用いてシールし、薬液を前記の方法で注入することが好ましい。注入作業は、注入圧が急激に上昇した時点、または所定注入量よりもさらに約50%増量した時点で終了する。一般に、注入孔1個あたり薬液は30〜200kg注入することが好ましい。
本発明の安定強化止水工法によれば、薬液の粘性が低く、不安定地域、クラックおよび破砕帯などへの浸透性がよく、広い範囲にわたって不安定岩盤や地盤などの安定化や止水を図ることができる。また、形成された硬化固結物は、高強度で耐久性を有するものであり、岩盤などへの付着、密着性にすぐれ、かつ難燃性を呈するものであり、しかも経済的であるので、実用上有利な方法である。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
<A液の調製>
表1に示すように、原料をそれぞれ添加・混合し、A液を調製した。A液の調製に用いた原料を、以下にまとめて説明する。
(ケイ酸ナトリウム水溶液)
ケイ酸ナトリウム1:SiO2/Na2O比2.5(モル比)、固形分37重量%
ケイ酸ナトリウム2:SiO2/Na2O比2.5(モル比)、固形分40重量%
ケイ酸ナトリウム3:SiO2/Na2O比2.2(モル比)、固形分41重量%
(アミン触媒)
TMAEEA:N,N,N’−トリメチルアミノエチルエタノールアミン
(ポリオール)
EG:エチレングリコール
Figure 0004527370
<B液の調製>
表2に示すように、原料をそれぞれ添加・混合し、B液を調製した。B液の調製に用いた原料を、以下にまとめて説明する。
(ポリイソシアネート)
P−MDI−1:PAPI135(ダウ・ポリウレタン日本(株)製)、NCO含量31.5重量%
P−MDI−2:ポリメリックMDI系プレポリマー。NCO含量27.5重量%(PAPI135(ダウ・ポリウレタン日本(株)製)95重量部と、グリセリンにプロピレンオキシド70重量%とエチレンオキシド30重量%を付加重合させて得られた数平均分子量1500のポリオキシアルキレントリオール5重量部とを、80℃で、3時間反応させて得た。)
(希釈剤)
DBEEA:アジピン酸とn−ブタノールのエチレンオキシド付加物とのジエステル、引火点215℃、数平均分子量434
PC:プロピレンカーボネート、引火点132℃
EGDAC:エチレングリコールジアセテート、引火点96℃
(シリコーン整泡剤)
SZ−1642:日本ユニカー(株)製シリコーン系整泡剤
Figure 0004527370
参考例、実施例2、3および比較例1〜3
容量1リットルのポリカップに、表3に示す組み合わせで、20℃に温度調節したA液およびB液を100gずつ計量し、ミキサーで500RPMの回転速度で10秒間混合・撹拌した。このときの性状について、以下の評価を行なった。結果を表3に示す。なお、比較例3は、発泡倍率が低いために3倍発泡供試体を成型することができず、圧縮強度の測定が不可能であった。
(1)B液の引火性:B液の引火点の測定値(クリーブランド開放式)が、200℃以上のもの(消防法危険物第4類第4石油類該当)を○、200℃未満70℃以上のもの(消防法危険物第4類第3石油類該当)を×とした。
(2)混合液の相溶性:A液、B液を前記の方法にて混合した液を目視にて確認し、均一に混合され反応固結物も均一のものを○、混合液が不均一で反応固結物もいびつなものを×とした。
(3)発泡倍率:前記の方法にて混合した場合の反応硬化後の発泡体の容積をポリカップの目盛りから読み取り、反応硬化前の混合液容積で除した値を発泡倍率とした。
(4)硬化時間:前記の方法にて混合した場合の混合液が反応硬化した時間を、ストップウォッチにて計測した。
(5)圧縮強度:前記の方法にて混合した混合液約90gを、直径5cm、高さ10cmの円筒状モールドにすみやかに充填し、ふたをして内容物の漏れを防ぐことにより圧密して約3倍発泡固結体を成型した。常温で24時間静置後に得られた供試体の一軸圧縮強度をJIS K 7220(硬質発泡プラスチックの圧縮試験方法)に準じて測定した。
(6)総合評価:評価(1)〜(5)において、×が1つでもある場合を×、そうでない場合を○とした。
Figure 0004527370

Claims (6)

  1. (A)ケイ酸ナトリウム水溶液と、(B)(B1)ポリイソシアネートおよび(B2)希釈剤を含有するポリイソシアネート組成物とからなるトンネル掘削用の安定化用注入薬液組成物において、
    ポリイソシアネート組成物(B)の引火点が200℃以上であり、
    希釈剤(B2)が、脂肪族ジカルボン酸とポリオキシアルキレンアルキルエーテルアルコールから得られるジエステル、およびプロピレンカーボネートからなり、
    前記プロピレンカーボネートの添加部数が、(B)成分中に5重量%未満であることを特徴とする安定化用注入薬液組成物。
  2. ケイ酸ナトリウム水溶液(A)がアミン触媒を含有する請求項1記載の安定化用注入薬液組成物。
  3. ケイ酸ナトリウム水溶液(A)がポリオールを含有する請求項1記載のトンネル掘削用の安定化用注入薬液組成物。
  4. ポリイソシアネート(B1)が、ポリイソシアネートとポリオールとを反応させて得られる末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーからなる請求項1記載の安定化用注入薬液組成物。
  5. ポリイソシアネート組成物(B)がシリコーン整泡剤を含有する請求項1記載の安定化用注入薬液組成物。
  6. 山岳トンネル工法におけるトンネル掘削用の安定強化工法であって、ウレタン系注入式フォアポーリング工法および/または注入式長尺先受工法により、請求項1〜記載の注入薬液組成物を岩盤ないし地盤に注入し、固結させる安定強化工法。
JP2003290087A 2002-08-22 2003-08-08 トンネル掘削用の安定化用注入薬液組成物、および、それを用いた安定強化工法 Expired - Lifetime JP4527370B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003290087A JP4527370B2 (ja) 2002-08-22 2003-08-08 トンネル掘削用の安定化用注入薬液組成物、および、それを用いた安定強化工法

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002241707 2002-08-22
JP2003290087A JP4527370B2 (ja) 2002-08-22 2003-08-08 トンネル掘削用の安定化用注入薬液組成物、および、それを用いた安定強化工法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004099880A JP2004099880A (ja) 2004-04-02
JP4527370B2 true JP4527370B2 (ja) 2010-08-18

Family

ID=32301117

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003290087A Expired - Lifetime JP4527370B2 (ja) 2002-08-22 2003-08-08 トンネル掘削用の安定化用注入薬液組成物、および、それを用いた安定強化工法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4527370B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6926831B2 (ja) * 2017-08-30 2021-08-25 東ソー株式会社 岩盤固結用注入薬液組成物

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5652074B2 (ja) * 1973-03-29 1981-12-09
JPH08302348A (ja) * 1995-05-10 1996-11-19 Bridgestone Corp 地盤改良用発泡性薬液及びその樹脂組成物
JP2001031970A (ja) * 1999-07-19 2001-02-06 Tokai Rubber Ind Ltd 掘削機により地盤を掘削するに際しての空隙充填工法用薬液
JP2001181634A (ja) * 1999-12-27 2001-07-03 Nippon Polyurethane Ind Co Ltd 岩盤、地盤、人工構造物等の安定化用注入薬液組成物及びそれを用いた安定強化止水工法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5652074B2 (ja) * 1973-03-29 1981-12-09
JPH08302348A (ja) * 1995-05-10 1996-11-19 Bridgestone Corp 地盤改良用発泡性薬液及びその樹脂組成物
JP2001031970A (ja) * 1999-07-19 2001-02-06 Tokai Rubber Ind Ltd 掘削機により地盤を掘削するに際しての空隙充填工法用薬液
JP2001181634A (ja) * 1999-12-27 2001-07-03 Nippon Polyurethane Ind Co Ltd 岩盤、地盤、人工構造物等の安定化用注入薬液組成物及びそれを用いた安定強化止水工法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004099880A (ja) 2004-04-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5851481B2 (ja) 土質の安定強化止水用注入薬液組成物およびそれを用いた安定強化止水工法
EP1391440B1 (en) Chemical grout composition for stabilization when digging tunnels and construction method for increasing stability using same
JP2006265436A (ja) 土質などの安定化用注入薬液組成物およびそれを用いた安定強化止水工法
JP2017145633A (ja) 建設基礎用薬液
JP2006131785A (ja) 土質の安定化用注入薬液組成物およびそれを用いた安定強化止水工法
JP7084175B2 (ja) 土質の安定強化止水用注入薬液組成物およびこれを用いた安定強化止水工法
JP4527370B2 (ja) トンネル掘削用の安定化用注入薬液組成物、および、それを用いた安定強化工法
JP2017155076A (ja) 岩盤又は地盤固結用の注入薬液組成物及びそれを用いた土壌安定強化止水工法
JP3997672B2 (ja) 地盤や人工構造物等の安定化用注入薬液組成物及びそれを用いた安定強化止水工法
JP4527413B2 (ja) 土質の安定化用注入薬液組成物およびそれを用いた安定強化止水工法
JP3944878B2 (ja) 地山固結用薬液組成物
JP4392647B2 (ja) 空隙充填用注入薬液組成物、及びそれを用いた空隙充填工法
JP2016041822A (ja) 土質の安定強化止水用注入薬液組成物およびそれを用いた安定強化止水工法
JP3952486B2 (ja) 岩盤ないし地盤固結用の注入薬液組成物及びそれを用いた安定強化止水工法
JP3358188B2 (ja) 土壌固結用注入薬液組成物及びそれを用いた土壌安定強化止水工法
JP4790928B2 (ja) 地山固結用薬液組成物
JP2002194354A (ja) 空隙充填用注入薬液組成物、及びそれを用いた空隙充填工法
JP2021066774A (ja) 地山固結剤およびそれを用いた地山の固結方法
JP3358189B2 (ja) 土壌固結用注入薬液組成物及びそれを用いた土壌安定強化止水工法
JP7357843B2 (ja) 地山固結剤およびそれを用いた地山の固結方法
JP2002047490A (ja) 岩盤、地盤、人工構造物等の安定強化用注入薬液組成物及びそれを用いたその安定強化止水工法
JP4092838B2 (ja) 岩盤、地盤等の安定化用注入薬液組成物及びそれを用いた安定強化止水工法
JP7276660B2 (ja) 地山止水剤およびそれを用いた地山の止水方法
JP2000345158A (ja) 岩盤ないし地盤固結用の注入薬液組成物及びそれを用いた安定強化止水工法
JP2896083B2 (ja) 地盤の安定化用注入薬液組成物およびそれを用いた安定強化止水工法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060426

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20091209

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091215

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100129

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20100129

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100302

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20100408

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20100408

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100518

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100603

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130611

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4527370

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130611

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140611

Year of fee payment: 4

EXPY Cancellation because of completion of term