JP7357843B2 - 地山固結剤およびそれを用いた地山の固結方法 - Google Patents

地山固結剤およびそれを用いた地山の固結方法 Download PDF

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Description

本発明は、地山固結剤およびそれを用いた地山の固結方法に関する。
従来、不安定岩盤や地盤の安定強化には無機ないし有機系グラウトの注入が行われている。一般に多用されている無機系のセメントミルクでは固結速度が遅く、強度の発現が遅い。そのため、短時間に固結して強度が発現することが要求されるトンネルの掘削時における不安定地山を早期に安定強化させる目的は達し得なかった。
一方、ポリオールとポリイソシアネートを主成分とする硬質発泡ポリウレタンは、固結速度が速く、短時間に地山を固結して強度発現できる点で有用に使用されてきた。特許文献1には、ポリオキシアルキレンジオールとイソシアネートを含む地山固結剤が開示されている。これら地山固結剤は、良好な硬化性および十分な強度を発現させるために、通常、イソシアネート成分としてジフェニルメタンジイソシアネートが使用されてきた。イソシアネート成分をプレポリマー変性する場合も、その粘度の上昇を抑制する観点から一部変性体が使用されており、意図的に未反応のジフェニルメタンジイソシアネートを残存させた設計となっていた。
特許第3944878号公報
ところで、2018年12月25日に厚生労働省から発せられた「薬生薬審発1225第1号」において、ビス(4-イソシアナトフェニル)メタン(即ち、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート)が毒物の判定を受けたことにより、意図的にジフェニルメタンジイソシアネートを残存させない地山固結剤が求められている。
一方、イソシアネート成分をプレポリマー変性する場合、意図的にジフェニルメタンジイソシアネートを残存させない設計にすると、発泡硬化しなかったり、十分な強度を発現しなかったりすることがある。
本発明の実施形態は、意図的にジフェニルメタンジイソシアネートを残存させることなく、発泡硬化して十分な強度を発現することができる地山固結剤を提供することを目的とする。
本発明の実施形態に係る地山固結剤は、活性水素化合物、触媒および水を含む(A)成分と、イソシアネート化合物を含む(B)成分と、を備えるものであって、前記活性水素化合物が、芳香族アミン化合物を含み、前記イソシアネート化合物が、ジフェニルメタンジイソシアネートとポリエーテルポリオールとを、NCO基とOH基との当量比(NCO基/OH基)が1.5~2.0となるように反応させて得られる、イソシアネート基末端プレポリマー、およびキシリレンジイソシアネートを含むものである。
本発明の実施形態に係る地山の固結方法は、岩盤ないし地盤に所定間隔で複数個の孔を穿設する工程、前記孔内に中空のボルトを挿入する工程、および、前記ボルトの開口部より、上記地山固結剤を岩盤ないし地盤に注入し、固結させる工程を含むものである。
本発明の実施形態によれば、意図的にジフェニルメタンジイソシアネートを残存させることなく、短時間に地山を固結して強度発現できる、地山固結剤およびそれを用いた地山の固結方法を提供することができる。
本実施形態に係る地山固結剤は、活性水素化合物と触媒と水を含む(A)成分と、イソシアネート化合物を含む(B)成分と、を備えるものであり、通常は、(A)成分をA液とし、(B)成分をB液とする、二液硬化型の地山固結剤である。(A)成分と(B)成分の他に、任意成分としての第三の成分を備えてもよい。
[(A)成分]
(活性水素化合物)
(A)成分は活性水素化合物を含む。活性水素化合物とは、分子内に1又は複数の活性水素基を有する化合物(但し、水は除く。)である。活性水素化合物としては、一級または二級アミノ基を有するアミン化合物、ポリオール等の水酸基含有化合物が挙げられる。
本実施形態において、活性水素化合物は、一級または二級アミノ基を有する芳香族アミン化合物(a1)を含む。芳香族アミン化合物(a1)の量は、硬化物の圧縮強度を高める観点から、(A)成分および(B)成分の合計量100質量部に対して15質量部以上であることが好ましく、より好ましくは18質量部以上であり、更に好ましくは20質量部以上である。芳香族アミン化合物(a1)の含有量が15質量部以上であることにより、硬化物の圧縮強度を高める効果に優れる。芳香族アミン化合物(a1)の含有量の上限は、特に限定されず、例えば、(A)成分および(B)成分の合計量100質量部に対して、60質量部以下でもよく、50質量部以下でもよく、30質量部以下でもよい。
また、芳香族アミン化合物(a1)の量は、硬化物の圧縮強度を高める観点から、(A)成分中の活性水素化合物の量100質量部に対して70質量部以上であることが好ましく、より好ましくは75質量部以上であり、更に好ましくは80質量部以上であり、更に好ましくは90質量部以上であり、100質量部でもよい。
芳香族アミン化合物(a1)としては、例えば、N-メチルベンジルアミン、ジベンジルアミン、ベンジルアミン、p-メチルベンジルアミン等の芳香族モノアミン; ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル、キシリレンジアミン、フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、ジメチルチオトルエンジアミン等の芳香族ジアミン; 1,3,5-トリス(アミノメチル)ベンゼン等の芳香族トリアミンを挙げることができる。これらの芳香族アミン化合物(a1)は、それぞれ単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
芳香族アミン化合物(a1)としては、上記化合物のうち、硬化物の圧縮強度をより向上させる観点から、2官能以上の芳香族アミン化合物が好ましく、より好ましくは、ジエチルトルエンジアミンおよびジメチルチオトルエンジアミンからなる群から選択される少なくとも一種である。
(A)成分の活性水素化合物としては、上記芳香族アミン化合物(a1)の他に、必要に応じて、例えば、鎖式脂肪族アミン化合物および/または脂環式アミン化合物、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等のポリオールを併用してもよい。その場合、鎖式脂肪族アミン化合物および/または脂環式アミン化合物の配合量は、特に限定されず、(A)成分の活性水素化合物の量100質量部に対して、例えば1~30質量部でもよく、3~20質量部でもよい。また、ポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオールなどのポリオールの配合量も、特に限定されず、(A)成分の活性水素化合物の量100質量部に対して、例えば1~30質量部でもよく、3~20質量部でもよい。
(触媒)
(A)成分は触媒を含む。触媒としては、例えば、三級アミン化合物を挙げることができる。
三級アミン化合物としては、例えば、トリエチレンジアミン、2-メチルトリエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-ペンタメチルジエチレントリアミン、トリメチルアミノエチルピペラジン、ビス-(ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N’,N’’-トリス(ジアルキルアミノアルキル)-s-ヘキサヒドロトリアジン、N,N-ジメチルアミノエチルモルホリン、ジメチルアミノプロピルイミダゾール、ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、ヘキサメチルトリプロピレンテトラミン、N,N,N-トリス(3-ジメチルアミノプロピル)アミン等が挙げられ、これらは単独もしくは2種以上併せて用いることができる。これらの中でも、良好な発泡硬化性の観点からトリエチレンジアミンが好ましい。また、トリアジン系の三級アミン化合物を用いてもよく、例えば、N,N’,N’’-トリス(ジメチルアミノプロピル)-s-ヘキサヒドロトリアジンなどのN,N’,N’’-トリス(ジアルキルアミノアルキル)-s-ヘキサヒドロトリアジンなどが挙げられる。
触媒の量は、特に限定されないが、(A)成分の量100質量部に対して0.1~5.0質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5~4.0質量部である。
(水)
(A)成分は水を含む。水は(B)成分のイソシアネート化合物と反応して炭酸ガスを発生することから発泡剤として作用する。水の量は、(A)成分の量100質量部に対して、0.2~5.0質量部であることが好ましく、より好ましくは0.3~3.0質量部、更に好ましくは0.5~2.0質量部である。これにより、十分な発泡硬化性を有するとともに、硬化物の十分な圧縮強度、長期耐久性、強度発現性を得ることができる。
(その他の成分)
(A)成分には、上記した各成分の他に、必要に応じて、シリコーン系整泡剤、希釈剤、難燃剤、顔料、無機充填剤、架橋剤、カップリング剤等の公知の添加剤を、本実施形態の目的を損なわない範囲で加えることができる。
シリコーン系整泡剤としては、例えば、硬質発泡ウレタン樹脂に通常用いられるポリオキシアルキレンジメチルポリシロキサンコポリマーがあげられる。
希釈剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレートなどのフタル酸エステル、ジブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジイソノニルアジペート、ビス(2-(2-ブトキシエトキシ)エチル)アジペートなどのアジピン酸エステル、トリ(2-エチルヘキシル)トリメリテートなどのトリメリット酸エステルが挙げられる。
難燃剤としては、添加型および反応型のいずれのものを用いることができる。添加型のものの具体例としては、たとえばトリエチルホスフェート、トリクレジルホスフェートなどの含リン系、トリスモノクロロイソプロピルホスフェートなどの含リン含ハロゲン系;塩素化パラフィン、ペンタブロモエチルベンゼン、デカブロモジフェニルエーテルなどの含ハロゲン系のものなどがあげられる。
(粘度)
本実施形態において、(A)成分は、作業性の観点から、その粘度は、25℃において、650mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは600mPa・s以下、さらに好ましくは500mPa・s以下である。
[(B)成分]
(B)成分はイソシアネート化合物を含む。本実施形態では、イソシアネート化合物は、ジフェニルメタンジイソシアネートとポリエーテルポリオールとを、NCO基とOH基との当量比(NCO基/OH基)が1.5~2.0となるように反応させて得られる、イソシアネート基末端プレポリマー(b1)(以下、単にプレポリマー(b1)ともいう。)、およびキシリレンジイソシアネート(b2)を含む。
イソシアネート基と水酸基との当量比NCO基/OH基が1.5以上であることにより、プレポリマー(b1)の粘度を低減して、(B)成分の低粘度化を図ることができる。該当量比NCO基/OH基を2.0以下とするのは、意図的にジフェニルメタンジイソシアネートを残存させない設計にするためである。該当量比NCO基/OH基は、低粘度化を促進する観点から、1.6以上であることが好ましく、より好ましくは1.7以上である。
プレポリマー(b1)を構成するポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオールなどのジオール; グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ソルビトール、蔗糖などのポリオール; エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどのジアミン; モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアルカノールアミンなどの2価以上の活性水素含有化合物の単体もしくはこれらの混合物に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシドなどのアルキレンオキシドを1種または2種以上使用し、公知の方法で付加重合して得られるポリオールが挙げられる。
プレポリマー(b1)を構成するポリエーテルポリオールとしては、プレポリマー(b1)の低粘度化と硬化物の圧縮強度を向上させる観点から、2価のアルコールにプロピレンオキサイドおよび/またはエチレンオキサイドを付加重合した、水酸基価140~560mgKOH/gのジオールからなる群から選択される少なくとも一種を用いることが好ましい。
該ジオールの水酸基価が140mgKOH/g以上であることは、発泡硬化して十分な強度を発現する上で有利である。また、該ジオールの水酸基価が560mgKOH/g以下であることは、プレポリマー(b1)の低粘度化を促進する上で有利である。該ジオールの水酸基価は、より好ましくは150mgKOH/g以上であり、160mgKOH/g以上でもよい。また、400mgKOH/g以下であることが好ましく、より好ましくは300mgKOH/g以下である。ここで、水酸基価は、JIS K1557-1:2007のA法に準拠して測定される。
プレポリマー(b1)を構成するジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)としては、4,4’-MDI、または4,4’-MDIと2,4’-MDIの混合物が通常用いられる。
プレポリマー(b1)におけるNCO基の含有量は、特に限定されないが、プレポリマー(b1)全体を100質量%として、NCO基の比率が4.8~10質量%であることが好ましく、より好ましくは5.0~8.0質量%である。
(B)成分はイソシアネート化合物として、プレポリマー(b1)とともに、キシリレンジイソシアネート(b2)を含む。キシリレンジイソシアネート(XDI、別名1,3-ビス(イソシアナトメチル)ベンゼン)は、芳香脂肪族イソシアネートであり、非毒劇物のイソシアネート化合物である。プレポリマー(b1)とともにキシリレンジイソシアネート(b2)を併用することにより、(B)成分の低粘度化を図りながら、(B)成分中のNCO基の比率を高めることができ、(A)成分との反応性を高めて硬化物の圧縮強度を向上することができる。
イソシアネート基末端プレポリマー(b1)とキシリレンジイソシアネート(b2)との配合比は、(B)成分の低粘度化と硬化物の圧縮強度を向上させる観点から、50/50~90/10であることが好ましく、より好ましくは60/40~80/20である。
(その他の成分)
(B)成分には、その他の成分として、必要に応じて、(A)成分の項で説明した従来公知の添加剤を、本実施形態の目的を損なわない範囲で加えることができる。
(粘度)
本実施形態において、(B)成分は、作業性の観点から、その粘度は、25℃において、650mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは600mPa・s以下、さらに好ましくは500mPa・s以下である。
[(A)成分と(B)成分の混合]
(A)成分と(B)成分は、使用時混合することにより、硬化物を形成する。
(混合比)
(A)成分と(B)成分の混合比は、特に限定されず、例えば、(A)成分中の活性水素基(NH,OH。水の活性水素基も含む。)と、(B)成分中のイソシアネート基(NCO)との反応当量比、すなわち、NCO/活性水素基が1/3~3/1でもよく、1/2~2/1でもよく、3/2~2/3でもよく、5/4~4/5でもよい。
[地山の固結方法]
本実施形態に係る地山固結剤は、例えばトンネル掘削の際に破砕帯を有する岩盤や不安定軟弱地盤等を安定化・強化するために用いられ、(A)成分と(B)成分を混合し岩盤または地盤に注入することで地山を固結することができる。
この注入固結する方法については、とくに限定はなく、公知の方法を採用しうるが、例えば、岩盤ないし地盤に所定間隔で複数個の孔を穿設する工程、前記孔内に中空のボルトを挿入する工程、および、ボルトの開口部より上記地山固結剤を岩盤ないし地盤に注入し、固結させる工程を含むことが好ましい。
その一例を挙げれば、例えば(A)成分および(B)成分の注入量、圧力および配合比などをコントロールできるポンプを用い、(A)成分と(B)成分を別々のタンクに入れ、浸透しにくい砂質土のトンネル切羽や天盤部に、予め固定されたスタティックミキサーや逆止弁などを内装した有孔のロックボルトや注入ロッドを通し、この中に前記タンク内の(A)成分と(B)成分を注入圧0.05~5MPaで注入し、スタティックミキサーを通して均一に混合された(A)成分と(B)成分を地山に浸透、硬化させる。これにより、地山を固結安定化することができる。
本実施形態に係る地山固結剤であると、意図的にジフェニルメタンジイソシアネートを残存させることなく、短時間に地山を固結して強度発現することができる。詳細には、プレポリマー(b1)を得る際のNCO基とOH基との当量比を2.0以下とすることで(B)成分に意図的にジフェニルメタンジイソシアネートを残存させない設計としたものでありながら、イソシアネート化合物としてキシリレンジイソシアネート(b2)を併用し、かつ(A)成分の活性水素化合物として芳香族アミン化合物を用いたことにより、発泡硬化を可能にして十分な強度を発現することができる。
ここで、意図的にジフェニルメタンジイソシアネートを残存させないとは、上記のように(B)成分にジフェニルメタンジイソシアネートを設計上残存させない配合とすることをいう。このように(B)成分はジフェニルメタンジイソシアネートを設計上残存させない配合とするものであるが、不純物として未反応の4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートを少量例えば2質量%以下の量で含むものを除外するものではない。
本実施形態に係る地山固結剤であると、また、低粘度で作業性に優れたものとすることができ、更に、水と触れた際の白濁を抑制することができる。
以下、実施例および比較例に基づいて、本発明についてより詳細に説明する。本発明はこれによって制限されるものではない。
<A液の調製>
以下の原料を使用して、表3に示す配合でA液を調整した。A液における活性水素化合物の量100質量%中の芳香族アミン化合物(a1)の含有率を「活性水素化合物中(a1)含有率(%)」として表3に示した。
[芳香族アミン化合物(a1)]
・芳香族アミン化合物1:ジエチルトルエンジアミン(商品名:DETDA80、ロンザジャパン(株)製)
・芳香族アミン化合物2:ジメチルチオトルエンジアミン(商品名:エタキュア300、三井化学ファイン(株)製)
[脂肪族アミン化合物]
・脂肪族アミン化合物1:ポリオキシプロピレントリアミン(商品名:ポリエーテルアミンT-403、三井化学ファイン(株)製、Mw:440)
[ポリエーテルポリオール]
・ポリエーテルポリオール1:エチレンジアミンにプロピレンオキサイドを付加重合した水酸基価750mgKOH/gのポリエーテルポリオール(商品名:エクセノール750ED、AGC(株)製)
・ポリエーテルポリオール2:エチレンジアミンにエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドを付加重合した水酸基価450mgKOH/gのポリエーテルポリオール(商品名:エクセノール450ED、AGC(株)製)
[触媒]
・触媒1:トリエチレンジアミンのジプロピレングリコール溶液(商品名:TEDA-L33、東ソー(株)製、TEDA含有率:33%)
[難燃剤]
・難燃剤1:トリス(クロロプロピル)ホスフェート(商品名:TMCPP、大八化学工業(株)製)
<プレポリマー(b1)の調製>
以下の原料を使用してプレポリマー(b1)を合成した。詳細には、43質量部のポリエーテルポリオール3と、37質量部のイソシアネート化合物1と、20質量部の難燃剤2とを混合し、80℃で2時間反応させてプレポリマー1を合成した。同様に、下記表1に示す配合でプレポリマー2~4を合成した。プレポリマー(b1)を合成する際のNCO基とOH基との当量比「NCO/OH比」と、得られたプレポリマー(b1)におけるNCO基の含有量「F-NCO(質量%)」を表1に示す。表1中の各成分は以下のとおりである。
[ポリエーテルポリオール]
・ポリエーテルポリオール3:ジエチレングリコールにエチレンオキサイドを付加重合した水酸基価187mgKOH/gのポリエーテルポリオール(商品名:PEG-600S、第一工業製薬(株)製)
・ポリエーテルポリオール4:プロピレングリコールにプロピレンオキサイドを付加重合した水酸基価280mgKOH/gのポリエーテルポリオール(商品名:エクセノール420、AGC(株)製)
[イソシアネート化合物]
・イソシアネート化合物1:ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)(商品名:ミリオネートNM、東ソー(株)製)
[難燃剤]
・難燃剤2:トリエチルホスフェート(商品名:TEP、大八化学工業(株)製)
<B液の調製>
上記プレポリマー1~4と以下の原料を使用して、下記表2に示す配合でB液を調整した。B液100質量%におけるNCO基の含有率「NCO(質量%)」を表2に示す。
[整泡剤]
・整泡剤1:シリコーン整泡剤(商品名:SZ-1671、DOW製)
[イソシアネート化合物]
・イソシアネート化合物2:キシリレンジイソシアネート(XDI)(商品名:タケネート500、三井化学(株)製)
[粘度]
上記で調製したプレポリマー(b1)、A液およびB液について、JIS K-7117-1に準じ、ブルックフィールドBM型粘度計(英弘精機(株)製)にて、25℃における粘度(mPa・s)を測定した。結果を表1~3に示す。
[硬化物の評価]
(ライズタイム、発泡倍率)
A液およびB液を、表3に記載の液比(A液とB液の質量比A/B=1/xであり、表3にはxの値を示す。以下同じ。)で別々に調製した。A液およびB液の温度をいずれも20℃とした後、これらA液およびB液をハンドミキシングにより混合し、ライズタイム(攪拌開始から発泡が完了するまでの時間)を測定した。硬化反応終了後、硬化物の体積を、原料たるA液およびB液の最初の体積で除することにより、発泡倍率を算出した。
表3には、A液とB液の混合比として、B液中のイソシアネート基とA液中の活性水素基との反応当量比「NCO/活性水素基」を示す。また、A液とB液の合計量100質量%中の芳香族アミン化合物(a1)の含有率を「(A液+B液)中の(a1)含有率(%)」として表3に示す。
(圧縮強度)
A液およびB液を、表3に記載の混合比で別々に調製した。直径50mm×高さ100mmの容器を用いて、4倍発泡体となるように拘束した条件でA液とB液を混合して硬化させることにより4倍発泡体を得た。得られた直径50mm×高さ100mmの4倍発泡体について、JIS A1216に準拠して、島津万能試験機で圧縮強度を測定した。
[水中白濁試験]
A液およびB液を、表3に記載の混合比で別々に調製した。A液およびB液をいずれも20℃とした後、これらA液およびB液合計100gを10秒間ハンドミキシングにより混合し、次いで、該混合物を速やかに1Lの水を入れた容器に投入した。発泡終了後、容器内から水を採取し、水の濁りを、目視および分光光度計(日立分光光度計U-3900H((株)日立ハイテクノロジーズ製)で測定した500nmにおける光の透過率(%))で測定した。目視で白濁があるものを「×」、白濁がないものを「○」と評価した。また、分光光度計による透過率は80%以上であることが好ましい。
Figure 0007357843000001
Figure 0007357843000002
Figure 0007357843000003
結果は表3に示すとおりである。表3に示すように、イソシアネート化合物としてプレポリマー1のみを使用しキシリレンジイソシアネートを併用していないB液(B-2)を用いた比較例1ではB液の粘度が高く、A液と混合しても発泡硬化しなかった。また、A液に芳香族アミン化合物を使用しなかった比較例2では、発泡速度が遅く、十分な圧縮強度が得られなかったことに加えて、水中白濁試験において水が白濁した。これに対し、A液に芳香族アミン化合物を使用し、B液にプレポリマー1~4とともにキシリレンジイソシアネートを併用した実施例1~10であると、短時間に発泡硬化し、硬化物が十分な強度を有しており、また水で触れた際の白濁がなかった。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその省略、置き換え、変更などは、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
本実施形態であると、意図的にジフェニルメタンジイソシアネートを残存させることなく、不安定岩盤や地盤等を安定強化することができる十分な強度を発現することができる、地山固結剤およびそれを用いた地山の固結方法を提供することができる。

Claims (6)

  1. 活性水素化合物、触媒および水を含む(A)成分と、イソシアネート化合物を含む(B)成分と、を備え、
    前記活性水素化合物は、芳香族アミン化合物を含み、
    前記イソシアネート化合物は、ジフェニルメタンジイソシアネートとポリエーテルポリオールとを、NCO基とOH基との当量比(NCO基/OH基)が1.5~2.0となるように反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマー、およびキシリレンジイソシアネートを含み、
    前記ポリエーテルポリオールが、2価のアルコールにプロピレンオキサイドおよび/またはエチレンオキサイドを付加重合した、水酸基価140~560mgKOH/gのジオールである地山固結剤。
  2. 活性水素化合物、触媒および水を含む(A)成分と、イソシアネート化合物を含む(B)成分と、を備え、
    前記活性水素化合物は、芳香族アミン化合物を含み、
    前記イソシアネート化合物は、ジフェニルメタンジイソシアネートとポリエーテルポリオールとを、NCO基とOH基との当量比(NCO基/OH基)が1.5~2.0となるように反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマー、およびキシリレンジイソシアネートを含み、
    前記(B)成分において、前記イソシアネート基末端プレポリマーと前記キシリレンジイソシアネートとの配合比が、質量比で50/50~90/10である地山固結剤。
  3. 活性水素化合物、触媒および水を含む(A)成分と、イソシアネート化合物を含む(B)成分と、を備え、
    前記活性水素化合物は、芳香族アミン化合物を含み、
    前記イソシアネート化合物は、ジフェニルメタンジイソシアネートとポリエーテルポリオールとを、NCO基とOH基との当量比(NCO基/OH基)が1.5~2.0となるように反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマー、およびキシリレンジイソシアネートを含み、
    前記芳香族アミン化合物の量は、前記(A)成分および前記(B)成分の合計量100質量部に対して15質量部以上である地山固結剤。
  4. 活性水素化合物、触媒および水を含む(A)成分と、イソシアネート化合物を含む(B)成分と、を備え、
    前記活性水素化合物は、芳香族アミン化合物を含み、
    前記イソシアネート化合物は、ジフェニルメタンジイソシアネートとポリエーテルポリオールとを、NCO基とOH基との当量比(NCO基/OH基)が1.5~2.0となるように反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマー、およびキシリレンジイソシアネートを含み、
    前記芳香族アミン化合物の量は、前記活性水素化合物の量100質量部に対して70質量部以上である地山固結剤。
  5. 活性水素化合物、触媒および水を含む(A)成分と、イソシアネート化合物を含む(B)成分と、を備え、
    前記活性水素化合物は、芳香族アミン化合物を含み、
    前記イソシアネート化合物は、ジフェニルメタンジイソシアネートとポリエーテルポリオールとを、NCO基とOH基との当量比(NCO基/OH基)が1.5~2.0となるように反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマー、およびキシリレンジイソシアネートを含み、
    前記(A)成分および前記(B)成分の粘度がそれぞれ25℃において650mPa・s以下である地山固結剤。
  6. 岩盤ないし地盤に所定間隔で複数個の孔を穿設する工程、
    前記孔内に中空のボルトを挿入する工程、および、
    前記ボルトの開口部より、請求項1~5のいずれか1項に記載の地山固結剤を、岩盤ないし地盤に注入し、固結させる工程、
    を含む、地山の固結方法。
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