JP7073567B1 - 地山固結剤およびそれを用いた地山の固結方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】硬化性に優れ、水と触れた際の水の泡立ちが少なく、加えて、硬化物が十分な難燃性を有する地山固結剤およびそれを用いた地山の固結方法を提供する。【解決手段】実施形態に係る地山固結剤は、芳香族ポリオール、第一級アミン、および難燃剤を含む(A)成分と、イソシアネートを含む(B)成分と、を備える。【選択図】なし

Description

本発明は、地山固結剤およびそれを用いた地山の固結方法に関する。
従来、不安定岩盤や地盤の安定強化には無機ないし有機系グラウトの注入が行われている。一般に多用されている無機系のセメントミルクでは固結速度が遅く、強度の発現が遅い。そのため、短時間に固結して強度が発現することが要求されるトンネルの掘削時における不安定地山を早期に安定強化させる目的は達し得なかった。
一方、ポリオールとポリイソシアネートを主成分とする硬質発泡ポリウレタンは、固結速度が速く、短時間に地山を固結して強度発現できる点で有用に使用されてきた。特許文献1には、ポリオールおよびアミン化合物とイソシアネート化合物を含んでなる土質の安定強化止水用注入薬液組成物が開示されている。このような注入薬液組成物は、使用時に湧水と接触した場合、薬液成分が流出し排水が泡立つといった、水質への悪影響が問題になっている。
特許第5851481号公報
本発明の実施形態は、硬化性に優れ、水と触れた際の水の泡立ちが少なく、加えて、硬化物が十分な難燃性を有する地山固結剤およびそれを用いた地山の固結方法を提供することを目的とする。
本発明は以下に示される実施形態を含む。
[1] 芳香族ポリオール、第一級アミン、および難燃剤を含む(A)成分と、イソシアネートを含む(B)成分と、を備える、地山固結剤。
[2] 前記(A)成分が、前記芳香族ポリオールおよび/または他のポリオールとして、水酸基価が700mgKOH/g以上のポリオールを含む、[1]に記載の地山固結剤。
[3] 前記(A)成分が第三級アミン触媒をさらに含む、[1]又は[2]に記載の地山固結剤。
[4] 前記イソシアネートがポリメリックMDIを含む、[1]~[3]のいずれか1項に記載の地山固結剤。
[5] 前記芳香族ポリオールが芳香族ポリエーテルポリオールを含む、[1]~[4]のいずれか1項に記載の地山固結剤。
[6] 前記(A)成分の25℃での粘度が650mPa・s以下である、[1]~[5]のいずれか1項に記載の地山固結剤。
[7] 前記第一級アミンが芳香族第一級アミンを含む、[1]~[6]のいずれか1項に記載の地山固結剤。
[8] 前記難燃剤がリン酸エステル系難燃剤である、[1]~[7]のいずれか1項に記載の地山固結剤。
[9] 岩盤ないし地盤に所定間隔で複数個の孔を穿設する工程、前記孔内に中空のボルトを挿入する工程、および、前記ボルトの開口部より、[1]~[8]のいずれか1項に記載の地山固結剤を、岩盤ないし地盤に注入し、固結させる工程を含む、地山の固結方法。
本発明の実施形態によれば、硬化性に優れ、水と触れた際の水の泡立ちが少なく、加えて、硬化物が十分な難燃性を有する地山固結剤およびそれを用いた地山の固結方法を提供することができる。
本実施形態に係る地山固結剤は、芳香族ポリオール、第一級アミン、および難燃剤を含む(A)成分と、イソシアネートを含む(B)成分と、を備える。該地山固結剤は、通常は、(A)成分をA液とし、(B)成分をB液とする、二液硬化型の地山固結剤である。(A)成分と(B)成分の他に、任意成分としての第三の成分を備えてもよい。
[(A)成分]
(A)成分は活性水素化合物を含む。活性水素化合物とは、分子内に1又は複数の活性水素基を有する化合物(但し、水は除く。)である。活性水素基とは、イソシアネート基と反応する水素原子を含む基であり、例えば、水酸基、第一級アミノ基(-NH)、第二級アミノ基(-NHR)が挙げられる。従って、活性水素化合物としては、ポリオール等の水酸基含有化合物、第一級または第二級アミノ基を有するアミン化合物が挙げられる。
(芳香族ポリオール(a1))
本実施形態において、(A)成分は、活性水素化合物として、芳香族ポリオール(a1)を含む。芳香族ポリオール(a1)とは、分子内に1つまたは複数の芳香環を持つポリオールをいう。芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環などが挙げられる。
芳香族ポリオール(a1)としては、例えば、アニリン、トルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4'-ジアミノ-3,3'-ジエチルジフェニルメタン、ビスフェノールA等の芳香環を1つ以上含む活性水素化合物の単体もしくはこれらの混合物に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを1種または2種以上使用し、公知の方法で付加重合して得られるポリオール(アルキレンオキサイド付加型芳香族ポリオール)、アルキレンオキサイドを付加していない芳香族ポリオール、および、マンニッヒ系ポリオールなどが挙げられる。
芳香族ポリオール(a1)としては、また、上記で例示した芳香族ポリオールと後述するイソシアネートとを反応させてなる水酸基末端ウレタンプレポリマーも使用することができる。
これらのうち、芳香族ポリオール(a1)としては、アニリンにプロピレンオキサイドを付加重合したポリエーテルポリオール、トルエンジアミンにプロピレンオキサイド付加重合したポリエーテルポリオール、ビスフェノールAにプロピレンオキサイド付加重合したポリエーテルポリオールなどの芳香族ポリエーテルポリオールが好ましい。芳香族ポリオール(a1)として芳香族ポリエーテルポリオールを用いることにより、耐加水分解性を向上することができる。一実施形態において、芳香族ポリオール(a1)は、芳香族ポリエーテルポリオールを主成分とすることが好ましく、芳香族ポリオール(a1)のうちの60質量%以上、より好ましくは80質量%以上が芳香族ポリエーテルポリオールでもよく、芳香族ポリエーテルポリオールの単独使用でもよい。
芳香族ポリオール(a1)の官能基数(水酸基の数)は、作業性の観点から、4以下であることが好ましい。
上記の芳香族ポリオール(a1)は、それぞれ単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
芳香族ポリオール(a1)の重量平均分子量(Mw)は、特に限定しないが、作業性および硬化物の圧縮強度を保持する観点から、1200以下であることが好ましく、より好ましくは900以下であり、更に好ましくは600以下である。芳香族ポリオール(a1)はアルキレンオキサイドを付加していないモノマーでもよいことから、分子量の下限は特に限定されず、例えば110以上でもよく、150以上でもよい。なお、アルキレンオキサイド付加型芳香族ポリオールの場合、重量平均分子量(Mw)の下限は、例えば200以上でもよい。
本明細書において、重量平均分子量は、GPC法により測定される値である。GPC法としては、例えば、GPC本体として東ソー(株)製のHLC-8020を使用し、カラム温度40℃、ポンプ流量0.6~1.0mL/分、検出器としてRI(GPC本体に内蔵されている)を用いて実施する方法を挙げることができる[カラム:TSKgel G6000H HR + G4000H HR +G3000H HR + G2000H HR (4本つないで使用); 移動相:THF; 注入量:80μL; サンプル濃度:0.2%(w/v)]。本法においては、例えば、あらかじめ分子量が既知の標準PPGの検量線(分子量250以上での検量)を用いて、PPG換算分子量として、分子量を求めることができる。また、分子量250未満の分子量は、例えばカタログ等に記載されたメーカーによる測定値を採用することができる。
芳香族ポリオール(a1)の量は、特に限定しないが、(A)成分全量に対して、5~50質量%であることが好ましく、より好ましくは10~40質量%であり、更に好ましくは15~30質量%である。芳香族ポリオール(a1)の量が5質量%以上であることにより、水の泡立ち抑制効果を高めることができ、また50質量%以下であることにより、薬液の粘度上昇を抑えることができ、作業性を向上することができる。
(他のポリオール)
(A)成分には、活性水素化合物として、芳香族ポリオール(a1)以外のポリオールが含まれてもよい。このような他のポリオールとして、本実施形態では、薬液の粘度を低減できることから、脂肪族ポリオール(a2)を用いることが好ましい。すなわち、一実施形態において、(A)成分を構成するポリオールは、上記芳香族ポリオール(a1)とともに、脂肪族ポリオール(a2)をさらに含有してもよい。
脂肪族ポリオール(a2)としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオールなどのジオール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどのポリオール;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、アンモニア、ジグリセリン、ソルビトール、蔗糖などの活性水素化合物の単体もしくはこれらの混合物に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを1種又は2種以上使用し、公知の方法で付加重合して得られるポリオール(アルキレンオキサイド付加型脂肪族ポリオール)、および、アルキレンオキサイドを付加していない脂肪族ポリオールなどが挙げられる。
脂肪族ポリオール(a2)としては、また、上記で例示した脂肪族ポリオールと後述するイソシアネートとを反応させてなる水酸基末端ウレタンプレポリマーも使用することができる。
これらのうち、脂肪族ポリオール(a2)としては、グリセリンにプロピレンオキサイドを付加重合したポリエーテルポリオール、プロピレングリコールにプロピレンオキサイド付加重合したポリエーテルポリオール、ソルビトールにプロピレンオキサイド付加重合したポリエーテルポリオールなどの脂肪族ポリエーテルポリオールが好ましい。一実施形態において、脂肪族ポリオール(a2)は、脂肪族ポリエーテルポリオールを主成分とすることが好ましく、脂肪族ポリオール(a2)のうちの60質量%以上、より好ましくは80質量%以上が脂肪族ポリエーテルポリオールでもよく、脂肪族ポリエーテルポリオールの単独使用でもよい。
脂肪族ポリオール(a2)の官能基数(水酸基の数)は、作業性の観点から、4以下であることが好ましく、より好ましくは3以下である。
上記の脂肪族ポリオール(a2)は、それぞれ単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
脂肪族ポリオール(a2)の重量平均分子量(Mw)は、特に限定しないが、作業性および硬化物の圧縮強度を保持する観点から、800以下であることが好ましく、より好ましくは650以下であり、更に好ましくは500以下である。脂肪族ポリオール(a2)はアルキレンオキサイドを付加していないモノマーでもよいことから、分子量の下限は特に限定されず、例えば62以上でもよく、90以上でもよい。なお、アルキレンオキサイド付加型脂肪族ポリオールの場合、重量平均分子量(Mw)の下限は、例えば200以上でもよい。
脂肪族ポリオール(a2)の量は、特に限定しないが、(A)成分全量に対して、20~60質量%でもよく、20~50質量%でもよい。脂肪族ポリオール(a2)の量が20質量以上であることにより、薬液の粘度を低減することができ、また60質量%以下であることにより、硬化物の圧縮強度を向上することができる。
前記芳香族ポリオール(a1)と脂肪族ポリオール(a2)の配合割合は、特に限定しないが、両者の質量比(a1)/(a2)が0.1~5.0であることが好ましく、より好ましくは0.2~2.0であり、0.3~1.0でもよい。(a1)/(a2)が0.1以上であることにより、水の泡立ち抑制効果を高めることができ、また5.0以下であることにより、薬液粘度の上昇を抑えることができる。
(水酸基価700mgKOH/g以上のポリオール)
(A)成分には、水酸基価が700mgKOH/g以上のポリオールが含まれてもよい。このような水酸基価が高いポリオールが含まれることにより、水の泡立ち抑制効果をより高めることができる。
水酸基価700mgKOH/g以上のポリオールは、上記芳香族ポリオール(a1)として含まれてもよく、上記他のポリオールとして含まれてもよく、両ポリオールとして含まれてもよい。すなわち、芳香族ポリオール(a1)の全体または一部が水酸基価700mgKOH/g以上のポリオールでもよく、他のポリオールの全体または一部が水酸基価700mgKOH/g以上のポリオールでもよい。好ましくは、他のポリオールの一部が水酸基価700mgKOH/g以上のポリオールであり、より好ましくは、上記脂肪族ポリオール(a2)の一部が水酸基価700mgKOH/g以上のポリオールである。すなわち、好ましい一実施形態において、(A)成分のポリオールは、水酸基価700mgKOH/g未満の芳香族ポリオール(a1)(好ましくは芳香族ポリエーテルポリオール)と、水酸基価700mgKOH/g未満の脂肪族ポリオール(a2)(好ましくは脂肪族ポリエーテルポリオール)と、水酸基価700mgKOH/g以上の脂肪族ポリオール(a2)とで構成されてもよい。
水酸基価700mgKOH/g以上のポリオールの具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリエタノールアミンなどが挙げられ、また、水酸基価700mgKOH/g以上であれば上記アルキレンオキサイド付加型脂肪族ポリオールでもよい。
水酸基価700mgKOH/g以上のポリオールにおいて、水酸基価の上限は特に限定されないが、通常は1900mgKOH/g以下である。ここで、水酸基価は、JIS K1557-1:2007のA法に準拠して測定される。
水酸基価700mgKOH/g以上のポリオールの量は、特に限定しないが、(A)成分全量に対して、1~30質量%でもよく、3~25質量%でもよく、5~20質量%でもよい。また、ポリオール100質量%に対する水酸基価700mgKOH/g以上のポリオールの量は、3~40質量%でもよく、5~30質量%でもよく、7~25質量%でよい。
(第一級アミン(a3))
本実施形態において、(A)成分は、活性水素化合物として、第一級アミン(a3)を含む。第一級アミン(a3)としては、芳香族第一級アミン、脂肪族第一級アミン、脂環式第一級アミンが挙げられる。
第一級アミン(a3)の具体例として、芳香族第一級アミンとしては、例えば、ベンジルアミン、p-メチルベンジルアミン等の芳香族第一級モノアミン; ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルスルホン、キシリレンジアミン、フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、ジメチルチオトルエンジアミン等の芳香族第一級ジアミン; 1,3,5-トリス(アミノメチル)ベンゼン等の芳香族第一級トリアミン等が挙げられる。
脂肪族第一級アミンとしては、例えば、モノメチルアミン、モノエチルアミン、モノブチルアミン等のアルキルモノアミン、モノエタノールアミン等のアルカノールモノアミン; ヒドラジン、エチレンジアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,3-ジアミノプロパン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ネオペンタンジアミン等の脂肪族第一級ジアミン; ジエチレントリアミン等の脂肪族トリアミン; 水、エチレングリコールまたはプロピレングリコール等にプロピレンオキサイドおよび/またはエチレンオキサイドを付加重合して得たポリオキシアルキレングリコール類の水酸基を第一級アミノ基に変換して得られるポリエーテルジアミン(即ち、ポリオキシアルキレンジアミン); グリセリンまたはトリメチロールプロパン等にプロピレンオキサイドおよび/またはエチレンオキサイドを付加重合して得たポリオキシアルキレントリオール類の水酸基を第一級アミノ基に変換して得られるポリエーテルトリアミン(即ち、ポリオキシアルキレントリアミン)等が挙げられる。
脂環式第一級アミンとしては、例えば、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミン等の脂環式第一級モノアミン; 4,4'-ジアミノシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミン、ビスアミノメチルシクロヘキサン、2,5-または2,6-ジアミノメチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプタン、ジアミノシクロヘキサン、ノルボルナンジアミン等の脂環式第一級ジアミン; 1,3,5-トリス(アミノメチル)シクロヘキサン等の脂環式第一級トリアミン等が挙げられる。
これらの第一級アミン(a3)は、それぞれ単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
第一級アミン(a3)としては、硬化物の圧縮強度を向上させる観点から、2官能以上の第一級アミンが好ましい。また、水に触れた際の水の白濁を抑制する観点から芳香族第一級アミンが好ましい。そのため、第一級アミン(a3)としては、2官能以上の芳香族第一級アミンが好ましい。一実施形態において、第一級アミン(a3)は、その60質量%以上、より好ましくは80質量%、更に好ましくは100質量%が芳香族第一級アミン(より好ましくは2官能以上の芳香族第一級アミン)であることが好ましい。
一実施形態において、第一級アミン(a3)は、ジエチルトルエンジアミン、ポリエーテルジアミンおよびポリエーテルトリアミンからなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。ポリエーテルジアミンおよびポリエーテルトリアミンにおいて、その重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、100~5000であることが好ましく、より好ましくは150~2000であり、更に好ましくは200~1000である。
第一級アミン(a3)の量は、特に限定されないが、水の泡立ち抑制を高める観点から、(A)成分全量に対して、3~15質量%であることが好ましく、より好ましくは4~12質量%であり、更に好ましくは5~9質量%である。第一級アミン(a3)の量が3質量%以上であることにより水の泡立ち抑制効果を高めることができ、また15質量%以下であることにより、施工時にミキサーボルト等にかかる負荷を低減することができる。
本実施形態において、(A)成分は、活性水素基を持つアミン化合物として、上記第一級アミン(a3)とともに第二級アミンを含んでもよい。第二級アミンとしては、芳香族第二級アミン、脂肪族第二級アミン、脂環式第二級アミンが挙げられる。
芳香族第二級アミンとしては、例えば、N-メチルベンジルアミン、ジベンジルアミン等の芳香族第二級モノアミン; 4,4’-メチレンビス[N-(1-メチルプロピル)アニリン等の芳香族第二級ジアミン; N,N’,N”-トリフェニル-1,3,5-ベンゼントリアミン等の芳香族トリアミン等が挙げられる。脂肪族第二級アミンとしては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジn-プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミン、ジヘキシルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルイソプロピルアミン、エチルプロピルアミン、エチルイソプロピルアミン、N-メチルドデシルアミン、ビス(2-エチルヘキシル)アミン等のアルキルモノアミン; ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等のアルカノールモノアミン; N,N’-ジメチルエチレンジアミン等の脂肪族第二級ジアミン; N,N’-ジメチルジエチレントリアミン等の脂肪族第二級トリアミン等が挙げられる。脂環式第二級アミンとしては、例えば、N-メチルシクロヘキシルアミン、N-エチルシクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の脂環式第二級モノアミン; モルホリン、ピロリジン、ピペリジン等のヘテロ環式モノアミン; 1,3-ビス(メチルアミノ)シクロヘキサン等の脂環式第二級ジアミン; N,N’,N”-トリメチル-1,3,5-トリアミノシクロヘキサン等の脂環式第二級トリアミン等が挙げられる。
(難燃剤)
本実施形態において、(A)成分は難燃剤を含む。これにより硬化物に難燃性を付与することができる。難燃剤としては、特に限定されず、添加型および反応型のいずれのものを用いてもよい。好ましくは、添加型の難燃剤を用いることである。
添加型の難燃剤の具体例としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリス(クロロプロピル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートなどのリン酸エステル系難燃剤、塩素化パラフィン、ペンタブロモエチルベンゼン、デカブロモジフェニルエーテルなどの含ハロゲン系難燃剤などが挙げられる。これらはそれぞれ単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
反応型の難燃剤の具体例としては、ジブロモネオペンチルグリコール、テトラブロモビスフェノールA、O,O-ジエチルN,N-ジヒドロキシエチルアミノメチルホスホテート、各種含リンポリオール等の水酸基またはアミノ基等を有する含ハロゲン含リン化合物等を挙げることができる。
これらのなかでも難燃剤としては、リン酸エステル系難燃剤を用いることが好ましい。
難燃剤(好ましくはリン酸エステル系難燃剤)の量は、特に限定されず、例えば、(A)成分全量に対して、5~40質量%でもよく、10~35質量%でもよく、15~30質量%でもよい。
(触媒)
(A)成分には触媒が含まれてもよい。触媒としては、例えば、第三級アミン触媒、脂肪酸アルカリ金属塩、第四級アンモニウム塩等を挙げることができる。これらはいずれか1種又は2種以上併用してもよい。
第三級アミン触媒としては、例えば、トリエチレンジアミン、2-メチルトリエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-ペンタメチルジエチレントリアミン、トリメチルアミノエチルピペラジン、ビス-(ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N’,N’’-トリス(ジアルキルアミノアルキル)-s-ヘキサヒドロトリアジン、N,N-ジメチルアミノエチルモルホリン、ジメチルアミノプロピルイミダゾール、ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、ヘキサメチルトリプロピレンテトラミン、N,N,N-トリス(3-ジメチルアミノプロピル)アミン等が挙げられ、これらは単独もしくは2種以上併せて用いることができる。
脂肪酸アルカリ金属塩としては、例えば、三量化触媒として酢酸またはオクチル酸のアルカリ金属塩が挙げられる。ここで、脂肪酸アルカリ金属塩を構成する脂肪酸の炭素数としては1~10でもよい。脂肪酸アルカリ金属塩の具体例としては、酢酸カリウム、オクチル酸カリウムが挙げられ、いずか一方または両者を併用してもよい。酢酸カリウム、オクチル酸カリウムは固体であるため、酢酸カリウムは水などに溶解して、オクチル酸カリウムはトリエチレングリコールやジエチレングリコールなどのポリオールに溶解して用いてもよい。ここで、脂肪酸アルカリ金属塩を水に溶解して用いる場合、その水の量は後述する発泡剤としての水の量に含まれる。また、ポリオールに溶解して用いる場合、そのポリオールの量は上記活性水素化合物としてのポリオールの量に含まれる。
第四級アンモニウム塩としては、特に限定されず、3量化触媒として市販されているものを用いることができ、例えば、カオライザーNo.410、カオライザーNo.420(花王株式会社製)、TOYOCAT-TR20、TOYOCAT-TRX(東ソー株式会社製)などが挙げられる。
触媒(好ましくは第三級アミン触媒)の量は、特に限定されないが、(A)成分全量に対して、0.2~10質量%が好ましく、より好ましくは0.3~7質量%である。第三級アミン触媒の量が0.2質量%以上であることにより作業性を向上することができ、また10質量%以下であることにより施工時にミキサーボルト等にかかる負荷を低減することができる。
(発泡剤)
(A)成分には、発泡剤を含んでもよく、含まなくてもよい。発泡剤としては、水が例示される。水は(B)成分のイソシアネートと反応して炭酸ガスを発生することから発泡剤として作用する。添加する場合、水の量は、特に限定されないが、(A)成分全量に対して、0.2~5.0質量%であることが好ましく、より好ましくは0.3~3.0質量%であり、更に好ましくは0.5~2.0質量%である。これらの範囲であれば、十分な発泡硬化性を有するとともに、硬化物の十分な圧縮強度、長期耐久性、強度発現性を得ることができる。
(その他の成分)
(A)成分には、上記した各成分の他に、必要に応じて、シリコーン系整泡剤、希釈剤、顔料、無機充填剤、架橋剤、カップリング剤等の公知の添加剤を、本実施形態の目的を損なわない範囲で加えることができる。
シリコーン系整泡剤としては、例えば、硬質発泡ウレタン樹脂に通常用いられるポリオキシアルキレンジメチルポリシロキサンコポリマーがあげられる。
希釈剤としては、例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレートなどのフタル酸エステル、ジブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジイソノニルアジペート、ビス(2-(2-ブトキシエトキシ)エチル)アジペートなどのアジピン酸エステル、トリ(2-エチルヘキシル)トリメリテートなどのトリメリット酸エステルが挙げられる。
(粘度)
(A)成分は、作業性の観点から、その粘度が25℃において650mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは600mPa・s以下であり、さらに好ましくは500mPa・s以下である。
[(B)成分]
(B)成分はイソシアネートを含む。
(イソシアネート)
イソシアネートとしては、分子中に複数のイソシアネート基を有する化合物を用いることができ、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネートなどが挙げられる。
イソシアネートの具体例としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)およびその異性体、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(ポリメリックMDI)、トリレンジイソシアネート、クルードトリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、トリメチレンキシリレンジイソシアネートなどのポリイソシアネートの単独または混合物; これらポリイソシアネートのカルボジイミド変性体や、触媒を加えて2量体または3量体としたもの: これらポリイソシアネートを、上記の芳香族ポリオール(a1)および/または脂肪族ポリオール(a2)と反応させてなるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーの単独または混合物などが挙げられる。これらイソシアネートは、それぞれ単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
これらの中でも、イソシアネートとしては、硬化性や泡立ち抑制の観点から、芳香族ポリイソシアネートを用いることが好ましく、より好ましくは、ポリメリックMDI、およびポリメリックMDIをポリオールと反応させて得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーである。一実施形態において、イソシアネートは、その60質量%以上、より好ましくは80質量%、更に好ましくは100質量%が芳香族ポリイソシアネート(より好ましくはポリメリックMDI)であることが好ましい。
(その他の成分)
(B)成分は、上記イソシアネートのみで構成されてもよい。(B)成分には、その他の成分として、必要に応じて、(A)成分の項で説明した従来公知の添加剤を、本実施形態の目的を損なわない範囲で加えることができる。
(粘度)
(B)成分は、作業性の観点から、その粘度が25℃において700mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは500mPa・s以下であり、さらに好ましくは300mPa・s以下である。
[(A)成分と(B)成分の混合]
(A)成分と(B)成分は、使用時混合することにより、硬化物を形成する。
(混合比)
(A)成分と(B)成分の混合比は、特に限定しないが、(B)成分中のイソシアネート基(NCO)と(A)成分中の活性水素化合物の活性水素基(NH,OH)との反応当量比、すなわち、NCO/活性水素基が、1/5~5/1の範囲にあるのが好ましく、より好ましくは1/2~3/1であり、さらに好ましくは2/3~2/1であり、1/1~3/2でもよい。該反応当量比が上記範囲内であることにより、適度な強度の硬化物を適度な硬化時間で得ることができる。
(A)成分と(B)成分の質量比(液比)も、特に限定されないが、(A)成分/(B)成分が1/2~2/1の範囲内であることが好ましく、より好ましくは2/3~3/2であり、更に好ましくは4/5~5/4である。(A)成分と(B)成分の質量比を1に近い値にすることで、混合時における薬液成分の流出抑制効果を高めることができる。
[地山の固結方法]
本実施形態に係る地山固結剤は、例えばトンネル掘削の際に破砕帯を有する岩盤や不安定軟弱地盤等を安定化・強化するために用いられ、(A)成分と(B)成分を混合し岩盤または地盤に注入することで地山を固結することができる。
この注入固結する方法については、とくに限定はなく、公知の方法を採用しうるが、例えば、岩盤ないし地盤に所定間隔で複数個の孔を穿設する工程、前記孔内に中空のボルトを挿入する工程、および、ボルトの開口部より上記地山固結剤を岩盤ないし地盤に注入し、固結させる工程を含むことが好ましい。
その一例を挙げれば、例えば(A)成分および(B)成分の注入量、圧力および配合比などをコントロールできるポンプを用い、(A)成分と(B)成分を別々のタンクに入れ、浸透しにくい砂質土のトンネル切羽や天盤部に、予め固定されたスタティックミキサーや逆止弁などを内装した有孔のロックボルトや注入ロッドを通し、この中に前記タンク内の(A)成分と(B)成分を注入圧0.05~5MPaで注入し、スタティックミキサーを通して均一に混合された(A)成分と(B)成分を地山に浸透、硬化させる。これにより、地山を固結安定化することができる。
上記の(A)成分と(B)成分で構成される地山固結剤は、硬化性に優れることから、大量の漏水や湧水を止水することができる。そのため、本実施形態の地山固結剤は、土質の安定強化止水用の注入薬液組成物として用いてもよく、当該注入薬液組成物を用いた安定強化止水工法を提供することができる。また、該地山固結剤は、水と触れた際の水の泡立ちが少なく、そのため、水質への悪影響を低減することができる。また、該地山固結剤は、硬化物に十分な難燃性を付与することができる。
以下、実施例および比較例に基づいて、本発明についてより詳細に説明する。本発明はこれによって制限されるものではない。
[使用原料]
(芳香族ポリオール(a1))
・芳香族ポリオール(a1-1):アニリンにプロピレンオキサイドを付加重合した芳香族ポリエーテルポリオール、官能基数2、重量平均分子量267、水酸基価420mgKOH/g(商品名:ポリハードナーPA-400、第一工業製薬(株)製)
・芳香族ポリオール(a1-2):アニリンにプロピレンオキサイドを付加重合した芳香族ポリエーテルポリオール、官能基数2、重量平均分子量209、水酸基価537mgKOH/g(商品名:OKオール100、岡畑産業(株)製)
・芳香族ポリオール(a1-3):ビスフェノールAにプロピレンオキサイドを付加重合した芳香族ポリエーテルポリオール、官能基数2、重量平均分子量400、水酸基価281mgKOH/g(商品名:アデカポリエーテルBPX21、ADEKA(株)製)
(脂肪族ポリオール(a2))
・脂肪族ポリオール(a2-1):グリセリンにプロピレンオキサイドを付加重合した脂肪族ポリエーテルポリオール、官能基数3、重量平均分子量420、水酸基価401mgKOH/g(商品名:エクセノール430、AGC(株)製)
・脂肪族ポリオール(a2-2):プロピレングリコールにプロピレンオキサイド付加重合した脂肪族ポリエーテルポリオール、官能基数2、重量平均分子量400、水酸基価281mgKOH/g(商品名:エクセノール420、AGC(株)製)
・脂肪族ポリオール(a2-3):エチレンジアミンにプロピレンオキサイドを付加重合した脂肪族ポリエーテルポリオール、官能基数4、重量平均分子量295、水酸基価760mgKOH/g(商品名:エクセノール750ED、AGC(株)製)
・脂肪族ポリオール(a2-4):グリセリン、官能基数3、水酸基価1830mgKOH/g(商品名:精製グリセリン、花王(株)製)
・脂肪族ポリオール(a2-5):トリエタノールアミン、官能基数3、水酸基価1163mgKOH/g(商品名:トリエタノールアミン、(株)日本触媒製)
(第一級アミン/第二級アミン)
・第一級アミン(a3-1):ジエチルトルエンジアミン、芳香族第一級ジアミン(商品名:DETDA80、ロンザジャパン(株)製)
・第一級アミン(a3-2):ポリオキシプロピレンジアミン、脂肪族第一級ジアミン(商品名:ポリエーテルアミンD-230、三井化学ファイン(株)製、Mw:230)
・第二級アミン1:4,4’-メチレンビス[N-(1-メチルプロピル)アニリン]、芳香族第二級ジアミン(商品名:エタキュア420、三井化学ファイン(株)製)
(触媒)
・第三級アミン触媒1:N,N,N-トリス(3-ジメチルアミノプロピル)アミン(商品名:ポリキャット9、EVONIK社製)
(難燃剤)
・難燃剤1:トリス(クロロプロピル)ホスフェート(商品名:TMCPP、大八化学工業(株))
・難燃剤2:トリクレジルホスフェート(商品名:TCP、大八化学工業(株))
(イソシアネート)
・イソシアネート1:ポリメリックMDI(商品名:ミリオネートMR-200、東ソー(株)製)
・イソシアネート2:ポリメリックMDI(商品名:ミリオネートMR-400、東ソー(株)製)
[A液およびB液の調製]
(A)成分からなる液をA液、(B)成分からなる液をB液とし、下記表1記載の配合(質量部)に従い原料を適宜混合することにより、A液およびB液をそれぞれ調製した。
[粘度]
A液およびB液について、JIS K7117-1に準じ、ブルックフィールドBM型粘度計(英弘精機(株)製)にて、25℃における粘度(mPa・s)を測定した。
[評価]
(ゲルタイム、ライズタイム、発泡倍率)
表1記載の配合に従い調製したA液およびB液を、表1に記載の混合比(A液とB液の質量比A/B=1/xであり、表1にはxの値を示す。以下同じ。)で別々に調製した。A液およびB液の温度をいずれも20℃とした後、これらA液およびB液をハンドミキシングにより混合し、ゲルタイム(硬化が進行し、糸引きが始まる時間)またはライズタイム(攪拌開始から発泡が完了するまでの時間)を測定した。硬化反応終了後、硬化物の体積を、原料たるA液およびB液の最初の体積で除することにより、発泡倍率を算出した。
(燃焼試験)
表1記載の配合に従い調製したA液およびB液を、表1に記載の混合比で別々に調製した。縦150mm×横50mm×高さ13mmの容器を用いて、4倍発泡体となるように拘束した条件でA液とB液と水(A液に対して1質量%)を混合して硬化させることにより4倍発泡体を得た。得られた発泡体について、JIS A9511 B法に準拠して、燃焼性を試験した。5回の試験の平均値について、試験片に炎を当ててから試験片の炎が消えるまでの時間が60秒以内、かつ試験片の燃えた部分の内燃焼長さが最も長い部分の長さが60mm以内である場合、合格とし、それ以外を不合格とした。
(泡立ち試験)
表1記載の配合に従い調製したA液およびB液を、表1に記載の混合比で別々に調製した。A液およびB液をいずれも20℃とした後、これらA液およびB液を10秒間ハンドミキシングにより混合し、次いで、該混合物30gを速やかに300gの水を入れた容器に投入した。該容器に蓋をし、A液およびB液の混合開始から30秒後に、該容器全体を激しく上下に振とうし、10秒間継続した。硬化終了後、容器内から水を採取し、100mLスクリュー管に50g移した。スクリュー管を10秒間激しく上下に振とうし、目視で泡が消えるまでの時間を計測した。消泡時間が19秒以内のものを「◎」、20秒~29秒までのものを「○」、30秒以上のものを「×」と評価した。消泡時間は29秒以内であることが好ましい。また、採取した水に目視で白濁があるものを「あり」、白濁がないものを「なし」と評価した。
Figure 0007073567000001
結果は表1に示すとおりである。A液に芳香族ポリオールを用いていない比較例1では、水に触れた時の泡立ち大きかった。また、A液に第一級アミンを用いていない比較例2では、水に触れた時の泡立ちが大きく、白濁も見られた。第一級アミンの代わりに第二級アミンを配合した比較例3は、比較例2と同様、水に触れた時の泡立ちが大きく、白濁も見られた。また、A液に難燃剤を用いていない比較例4では、難燃性が得られなかった。また、難燃剤をA液ではなくB液に添加した比較例5では、水に触れた時の泡立ちが大きかった。
これに対し、A液に芳香族ポリオールと第一級アミンと難燃剤を併用した実施例1~10であると、硬化性に優れるとともに、水に触れた時の泡立ちが少なく、硬化物が十分な難燃性を有していた。実施例1と実施例4との対比より、第一級アミンとしては脂肪族アミンよりも芳香族アミンの方が白濁抑制の点で有利なことが分かる。また、実施例1,6,7と実施例8との対比より、水酸基価700mgKOH/g以上のポリオールを配合することが泡立ち抑制効果の点で有利なことが分かる。
なお、明細書に記載の種々の数値範囲は、それぞれそれらの上限値と下限値を任意に組み合わせることができ、それら全ての組み合わせが好ましい数値範囲として本明細書に記載されているものとする。また、「X~Y」との数値範囲の記載は、X以上Y以下を意味する。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその省略、置き換え、変更などは、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。

Claims (8)

  1. 芳香族ポリオール、第一級アミン、および難燃剤を含む(A)成分と、
    イソシアネートを含む(B)成分と、
    を備え、前記芳香族ポリオールが芳香族ポリエーテルポリオールを含む、地山固結剤。
  2. 前記(A)成分が、前記芳香族ポリオールおよび/または他のポリオールとして、水酸基価が700mgKOH/g以上のポリオールを含む、請求項1に記載の地山固結剤。
  3. 前記(A)成分が第三級アミン触媒をさらに含む、請求項1又は2に記載の地山固結剤。
  4. 前記イソシアネートがポリメリックMDIを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の地山固結剤。
  5. 前記(A)成分の25℃での粘度が650mPa・s以下である、請求項1~のいずれか1項に記載の地山固結剤。
  6. 前記第一級アミンが芳香族第一級アミンを含む、請求項1~のいずれか1項に記載の地山固結剤。
  7. 前記難燃剤がリン酸エステル系難燃剤である、請求項1~のいずれか1項に記載の地山固結剤。
  8. 岩盤ないし地盤に所定間隔で複数個の孔を穿設する工程、
    前記孔内に中空のボルトを挿入する工程、および、
    前記ボルトの開口部より、請求項1~のいずれか1項に記載の地山固結剤を、岩盤ないし地盤に注入し、固結させる工程
    を含む、地山の固結方法。
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