JP6055264B2 - 止水用薬剤組成物及び止水方法 - Google Patents

止水用薬剤組成物及び止水方法 Download PDF

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Description

本発明は対象地盤又は対象構造物に注入し止水を施す止水用薬剤組成物及び止水方法に関するものである。
トンネル施工建設のようなトンネル工事の際、地下水位よりも低い位置を掘削する場合には、掘削面にも自由水面が生じ、湧水が生じることを避けることができない。湧水によって、切羽の安定性の低下、トンネル支保工の品質の低下、路盤の泥ねい化、地下水位低下による地盤沈下、地下水位低下による井戸等の枯渇、防水シートの設置不能などの問題が引き起こされる。このようなトンネル工事等での湧水対策としては、排水を積極的に行い、地下水位を低下させる排水工法と、薬液注入等による地盤の透水係数を低下させ湧水を極力減少させる止水工法がある。
排水工法には、大別して、ポンプなどを用いて排水を積極的に行う強制排水工法と、重力により自然に排水する重力排水工法がある。前者の例としては、ウェルポイント工法、バキュームディープウェル工法が挙げられる。後者の例としては、水抜き抗工法、水抜きボーリング工法、ディープウェル工法が挙げられる。工事対象地盤に排水工法を施し湧水を抑制している間に、トンネル施工を実施する。例えばウェルポイント工法は、工事対象の地盤内に設置したウェルポイント(集水装置)に集水し、真空状態のヘッダーパイプを経由して排水し、工事対象の地盤内の地下水位を低下させるものである(例えば下記特許文献1参照)。
また、工事対象地盤の地下水位の低下が許されない場合には、止水工法を用いる。この止水工法としては、例えば、薬液注入工法、凍結工法、止水壁、圧気工法等が挙げられる。山岳トンネルの場合は、薬液注入工法を用いた例がほとんどである。
特開2001−98540号公報
ウェルポイント工法など従来のこれら排水工法により工事対象の地盤内での地下水位を低下し湧水を抑制している間にトンネル工事等を行うことができる。しかしながら、排水対策を施しても工事対象の地盤内の地下水位が低下しない過剰湧水が存在する場合、或いは排水対策中に新たな水脈に突き当たって湧水を抑制できなくなる場合が存在する。
このような場合には、ウェルポイント工法など従来のこれら排水工法の排水対策では、工事対象の地盤内の地下水を低下させることは困難である。そのため、次工程へ移行できなかったり、トンネル側面に防水シートを設置できないといった施工に支障をきたしたりする。このような場合には、止水工法に移行することを要する。しかしながら、排水工法から止水工法へ移行するには、既存の排水工法に基づいた設備が既に導入されており、それとは別な止水工法を施すために大幅に設計変更し新たな設備を導入し直したりして、費用がかさみ、工期が遅れてしまう。
本発明は前記の課題を解決するためになされたもので、従来の排水工法で湧水が制御できず次工程に移行できない場合であっても、排水工法の設備を利用して薬剤組成物注入による止水工法に移行でき、工事対象の地盤の透水係数を低下し、或いは構造物内の空洞や亀裂を充填して止水を図ることができる止水用薬剤組成物、及び新たな設備を導入し直したりせずに排水工法で使用した湧水対策用の導水管等を注入管として利用し、止水用薬剤組成物を注入することによる止水方法を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するためになされた、特許請求の範囲の請求項1に記載された止水用薬剤組成物は、過剰湧水が存在する対象地盤又は対象構造物内で発泡して不透水部を形成する止水用薬剤組成物であって、前記止水用薬剤組成物には、二核体を20〜70質量%含有するジフェニルメタンジイソシアネート系多核縮合体とプロピレングリコールユニットを少なくとも5質量%含有する数平均分子量100〜10,000の水酸基含有ポリエーテルとが反応して得られたイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと、それに混合される前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーの硬化剤とを有し、前記ジフェニルメタンジイソシアネート系多核縮合体中に、前記二核体としてのジフェニルメタンジイソシアネートの全量に対して、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネートと2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートとが、その合計量で5〜60重量部含有され、前記硬化剤には、触媒、前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーに対して5〜10質量%含有されている発泡剤としての水及び活性水素化合物が含有されていることを特徴とするものである。
請求項2に記載された止水用薬剤組成物は、請求項1に記載されたものであって、前記止水用薬剤組成物中に、界面活性剤及び難燃剤が含有されていることを特徴とするものである。
請求項3に記載された止水用薬剤組成物は、請求項1又は請求項2に記載されたものであって、前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー及び前記硬化剤の各粘度が、25℃で300mPa・s以下であることを特徴とするものである。
請求項4に記載された止水方法は、請求項1〜のいずれかに記載の止水用薬剤組成物を湧水が存在する対象地盤又は対象構造物に注入して発泡体から成る不透水部を形成する止水方法であって、そのイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと、その硬化剤とを、前記対象地盤又は前記対象構造物に注入する直前に混合することを特徴とするものである。
請求項5に記載された止水方法は、請求項4に記載されたものであって、前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと、前記硬化剤との混合比を、質量比(イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー/硬化剤)で1/1〜3/1とすることを特徴とするものである。
請求項6に記載された止水方法は、請求項4又は請求項5に記載されたものであって、前記対象地盤又は前記対象構造物に設置された排水設備から、前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと前記硬化剤との混合液を前記対象地盤又は前記対象構造物に注入することを特徴とするものである。
本発明に係る止水用薬剤組成物は、地盤への浸透性に優れ、地盤に充分浸透してから硬化するので、湧水箇所周辺地盤の改良・透水係数の低下を可能にする。また地下水の豊富な水中下においても、高い充填性を有し、発泡性を損なわないので、安定して止水を図ることができる。
この止水用薬剤組成物のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーとその硬化剤とを混合した混合液を、混合直後に対象地盤又は対象構造物に注入する。地盤内又は構造物内に注入された混合液は、地下水を汚染することなく地盤内又は構造物内の空洞等で発泡硬化し、地下水の水路や地下水の浸透路等を閉塞して、地下水等の止水を図ることができる。
本発明の止水用薬剤組成物を用いた止水方法によれば、従来の水抜き抗工法、水抜きボーリング工法、ディープウェル工法、ウェルポイント工法、バキュームディープウェル工法等の排水工法で湧水が制御できず次工程に移行できない場合であっても、これら工法の設備を利用して本発明の止水用薬剤組成物による止水工法に移行できる。このため、湧水対策の変更に伴う設備変更も最小限で済み、速やかに止水を図ることができる。本発明に係る止水方法によれば、切羽の安定性の低下を改善し、トンネル支保工の品質の低下を防ぎ、路盤の泥ねい化を回避し、地下水位低下による地盤沈下や地下水位低下による井戸等の枯渇を防ぎ、防水シート等の設置を可能にする。
本発明を適用する止水用薬剤組成物を用いた止水方法によるトンネル工事の地盤改良例の配管図である。 図1に示すヘッダーパイプ、揚水管及び多孔先端部の正面図である。 図2に示す多孔先端部の他の例を示す部分断面図である。 止水実験装置の配管図である。 図4の止水実験装置での止水用薬液組成物による発泡体の吐出状況を説明する状態図である。
以下本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
本発明の止水用薬液組成物は、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと、その硬化剤とを含有する。本発明に用いるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーは、二核体を含有するジフェニルメタンジイソシアネート系多核縮合体と水酸基含有ポリエーテルとが反応して得られたものである。
ジフェニルメタンジイソシアネート系多核縮合体(以下、ポリメリックMDIと称する)は、例えばアニリンとホルマリンとの縮合反応によって得られる縮合混合物(ポリアミン)をホスゲン化等によりアミノ基をイソシアネート基に転化することによって得られる、縮合度の異なる有機イソシアネート化合物の混合物を意味する。ポリメリックMDIの組成は、アニリンとホルマリンとの縮合時の原料組成比や反応条件等を変えることによって様々なものが得られる。このポリメリックMDIとしては、イソシアネート基への転化後の反応液、反応液から溶媒の除去、一部ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと称する)を留出分離した缶出液、反応条件や分離条件等の異なった数種の混合物、或いはMDIを添加したものであってもよい。
更に、本発明で用いるポリメリックMDIは、1分子中にイソシアネート基及びベンゼン環を各2個有する、いわゆる二核体を20〜70質量%(好ましくは30〜60質量%)、1分子中にイソシアネート基及びベンゼン環を各3個以上有する、いわゆる多核体混合物を80〜30質量%(好ましくは70〜40質量%)含む混合物である。また、イソシアネート基の一部をビウレット、アロファネート、カルボジイミド、オキサゾリドン、アミド、イミド、イソシアヌレート、ウレトジオン等に変性したものであってもよい。ここで、ポリメリックMDI中の二核体含有量が20質量%未満の場合は、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーの低粘度化が達成できず、取扱いが困難となる。一方、この二核体含有量が70質量%を超える場合は、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーに二核体自体の低温時の固化(結晶化)による影響が強く出て、特に冬期の貯蔵安定性が低下するため好ましくない。
また、ポリメリックMDI中の二核体としてのジフェニルメタンジイソシアネートには、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、2,2′−MDIと称する)、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、2,4′−MDIと称する)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、4,4′−MDIと称する)の3種類の異性体が存在する。本発明に用いられるポリメリックMDIは、二核体としてのジフェニルメタンジイソシアネートの全体量に対して、2,2′−MDIと2,4′−MDIとの合計量が5〜60重量部(特に好ましくは10〜50重量部)含有するものが好ましい。換言すれば、本発明に用いられるポリメリックMDI中には、4,4′−MDIがジフェニルメタンジイソシアネートの全体量に対して95〜40重量部(好ましくは90〜50重量部)含有するものが好ましい。二核体中の2,2′−MDIと2,4′−MDIの合計量がジフェニルメタンジイソシアネートの全体量に対して5重量部未満の場合は、ポリメリックMDIの低温時の固化(結晶化)による影響が強く出る傾向にあり、後述する硬化剤中の活性水素基含有化合物とポリメリックMDIとの相溶性が低下する傾向にある。一方、2,2′−MDIと2,4′−MDIの合計量がジフェニルメタンジイソシアネートの全体量に対して60重量部を超える場合は、4,4′−MDIよりも2,2′−MDIと2,4′−MDIの方が分子構造的に柔軟なため、得られる発泡体の強度が発現しにくくなる傾向がある。
上述したポリメリックMDIと反応する水酸基含有ポリエーテルは、プロピレングリコールユニットを少なくとも5質量%含有し、数平均分子量が100〜10,000、好ましくはプロピレングリコールユニットを30〜100質量%含有し、数平均分子量が150〜5,000、特に好ましくはプロピレングリコールユニットを50〜100質量%含有し、数平均分子量が200〜3,000のものである。この水酸基含有ポリエーテルの平均官能基数は、必要以上に大きすぎる場合は、得られるポリメリックMDIの低粘度化が達成できない傾向にある。このため、この平均官能基数は1〜10のものが好ましく、特に2〜4のものが好ましい。
水酸基含有ポリエーテルの数平均分子量が100未満の場合は、得られる発泡体のウレタン基濃度が高くなり、強度は発現するが低温時に固化のおそれがある。一方、水酸基含有ポリエーテルの数平均分子量が10,000を超える場合は、得られる発泡体のウレタン基濃度が低くなり、強度不足のため地盤改良及び空隙充填用の薬液組成物としては好ましくない。また、水酸基含有ポリエーテルのプロピレングリコールユニット含有量が5質量%未満の場合、後述する硬化剤中の活性水素基含有化合物との反応により得られる発泡体に親水性が付与され、土壌汚染や水質汚染の原因となり得るため好ましくない。
水酸基含有ポリエーテルは、低分子の活性水素基含有化合物を開始剤として用いてエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、グリシジルエーテル、メチルグリシジルエーテル、スチレンオキサイド等の環状エーテルモノマーの単独又は二種以上の混合物を公知の方法により付加重合することによって得られる。この開始剤に用いられるものとしては、低分子モノオール類、低分子ポリオール類、低分子アミノアルコール類、低分子モノアミン類、低分子ポリアミン類等の他、フェノール、チオールが用いられる。低分子モノオール類としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、オクタノール、ラウリルアルコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。低分子ポリオール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、水素添加ビスフェノールA、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、蔗糖、ジグリセリン等が挙げられる。低分子アミノアルコール類としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−n−ブチルエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、N−(β−アミノエチル)イソプロパノールアミン等が挙げられる。低分子モノアミン類としては、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、アニリン、N−メチルアニリン等が挙げられる。低分子ポリアミン類としては、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、ジエチルトリアミン、ジブチルトリアミン、ジプロピレントリアミン等が挙げられる。
ここで用いる開始剤は、アミノ基を有しない化合物であり、具体的には上述の低分子モノオール、低分子ポリオールから選択されるものである。低分子アミノアルコール類、低分子モノアミン類、低分子ポリアミン類を開始剤に用いると、得られるポリエーテルは三級アミノ基含有ポリオールとなり、イソシアネート基との反応性が必要以上に高くなり、後述するように地盤中に注入する混合液の粘度が大きくなりすぎる傾向にある。
上述したポリメリックMDIと水酸基含有ポリエーテルとを、攪拌機、温度計、窒素シール管及び冷却器の付いた反応器内で、両者を80℃で3時間程度反応させてイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを得ることができる。この反応の際に、イソシアネート基と水酸基との当量比(イソシアネート基/水酸基)は1.5〜500が好ましく、更には5〜400の範囲が好ましい。得られたイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーは、プロピレングリコールユニットとウレタン基を有するものである。このため、後述する活性水素基含有化合物との相溶性が良好であり、得られる発泡体は疎水性が強く、地下水等にしみ出る汚染物質の量が少なくなる。更に、イソシアネートにウレタン基を導入しているため、コンクリートや岩盤に対する接着性が向上することも期待できる。尚、得られたイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーのイソシアネート(NCO)含量は20〜32質量%であることが好ましく、更に好ましくは25〜32質量%であり、特に好ましくは28〜32質量%である。
本発明では、このようにして得られたイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーとその硬化剤とを用いる。硬化剤には、触媒、発泡剤及び活性水素化合物が含有されている。触媒としては、具体的には、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルイミダゾール、ピリジン、N,N,N′,N′−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、α−ピコリン、N,N,N′,N′−テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N−メチルモルホリン、1,2−ジメチルイミダゾール、1,5−ジアザ−ビシクロ(4,3,0)ノネン−5、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7(以下、DBUと称する)、これらアミン系触媒のボラン塩、DBUフェノール塩、DBUオクチル酸塩、DBU炭酸塩等の活性水素基を含有しないアミン系触媒、トリエタノールアミン、N,N,N′−トリメチルアミノエチル−エタノールアミン等活性水素を有するアミン系触媒、ジブチルチンジラウレート、スタナスオクトエート等の錫系触媒、ナフテン酸マグネシウム、ナフテン酸鉛、酢酸カリウム、オクチル酸カリウム等のカルボキシレート類、トリエチルホスフィン、トリベンジルホスフィン等のトリアルキルホスフィン類、ナトリウムメトキシド等のアルコキシド類、亜鉛系有機金属触媒等が挙げられる。触媒の配合量は、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーに対して0.01〜10質量%が好ましく、特に2〜5質量%が好ましい。
本発明で用いる発泡剤は、後述するようにイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーとその硬化剤とを混合して得られた発泡体を、大量の水に投入しても白濁等が生じることのないように、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを十分に発泡し得るものである。この発泡剤としては、水、炭化水素、ハイドロフルオロカーボンから選択されるものであり、特に水単独が好ましい。必要に応じて、通常ウレタン発泡に用いられる公知の発泡剤を併用使用してもよい。発泡剤の配合量は、水の場合は、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーに対して0.05〜20質量%、特に1〜20質量%とすることが好ましい。また、水以外の発泡剤、すなわちペンタン、ヘキサン等の炭化水素や、HFC−245fa、HFC−365mfc、HFC−134a等のハイドロフルオロカーボンの場合は、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーに対して、40質量%以下である。このような発泡剤が含有されていると、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと硬化剤との混合液が地盤中の空洞等を十分に充填できる。
更に、活性水素化合物としては、1分子内に活性水素基を有する化合物であれば使用できる。具体的には、前述した水酸基含有ポリエーテルを使用できる。更に、水酸基含有ポリエーテル以外のポリエーテルポリオール、水酸基含有アミン系ポリエーテル、アミノアルコール、ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル類、アジピン酸、無水フタル酸等の二塩基酸とエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン等のグリコールやトリオールとの脱水縮合反応により得られる各種ポリエステルポリオール、ε−カプロラクタムの開環重合により得られるラクトン系ポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリル系ポリオール、ポリブタジエン系ポリオール、ノボラック樹脂やレゾール樹脂等のフェノール系ポリオール、更にはポリオール中でアクリロニトリル、スチレン等のビニル系モノマーをラジカル重合させたいわゆるポリマーポリオール、テトラヒドロフランのカチオン重合により得られるポリテトラメチレン系ポリオール等を挙げることができる。これらは、単独又は二種以上の混合物として使用することができる。これらの活性水素基含有化合物中で好ましいものは、プロピレングリコールユニットを50質量%以上含有すポリエーテルポリオールである。イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーとの混合性を考慮すると、活性水素基含有化合物の数平均分子量は100〜10,000、更に好ましくは200〜5,000のものであり、特に好ましくは200〜3,000のものである。数平均分子量が100未満の活性水素基含有化合物は、得られる発泡体中のウレタン基濃度が高くなり、強度は発現するが水溶性が高まり、土壌汚染や水質汚染の原因となりうる。一方、数平均分子量が10,000を超える活性水素基含有化合物は、得られる発泡体中のウレタン基濃度が低くなり、強度不足となる傾向にある。また、活性水素基含有化合物の平均官能基数は1〜10のものが好ましく、特に2〜6が好ましい。
硬化剤及びイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーに使用する水酸基含有ポリエーテルの平均官能基数とは、開始剤の「平均官能基数」を意味し、また、プロピレングリコールユニットの含有量とは、付加させる環状エーテルモノマー中のプロピレングリコール基の重量含有量を意味する。
本発明では、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーとその硬化剤とを混合させて発泡させる。その際に、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと硬化剤との粘度は、両者の混合性だけでなく、混合液の地盤等への注入性、浸透性を向上させるため、両者の各粘度を25℃で300mPa・s以下が好ましく、更に好ましくは50〜200mPa・sとする。粘度が大きすぎると、両者の取扱性等の作業性が低下しやすい傾向があり、後述するように薬液注入の際にポンプ圧を高くしなければならず、ポンプの破損を招きやすい傾向にある。
イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーとその硬化剤との混合性や反応性を調整するため、界面活性剤を添加することが好ましい。界面活性剤としては、公知の脂肪酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルアンモニウム塩、アルキルベンゼンアンモニウム塩、アルキルアミノ酸等のイオン性界面活性剤、エチレンオキサイドを50質量%以上含有するアルキレンオキサイドを開環付加させて得られるポリエーテルや日本ユニカー株式会社製のL−5340、テー・ゴールドシュミット社製のB−8451、B−8407等の各種のシロキサンポリアルキレンオキサイドブロック共重合体等のシリコーン系界面活性剤等のノニオン性界面活性剤が挙げられる。界面活性剤は、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー中及び/又は硬化剤中に添加することができる。
また、硬化剤中の水の配合量は、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーに対して0.05〜20質量%が好ましく、特に5〜10質量%とすると、過剰湧水下においても発泡性が安定しており、得られる発泡体の必要強度の確保や、充填性に優れる。水の配合量が5質量%未満では、注入した混合液の発泡性が不安定になる傾向にあり、得られる発泡体の強度不足を招いたり、充填性に欠けたりする傾向にある。一方、水の配合量が20%を超える場合は、混合液の発泡性は飽和に達している傾向にある。
本発明の止水用薬剤組成物は、トンネル等の密閉空間で使用され、熱源が近くにある状況で使用されることが多い。このため、難燃剤を併用することが好ましい。難燃剤としては、ハロゲン系化合物、リン酸エステル系化合物、リン系化合物、窒素化合物、ホウ素系化合物、硫黄系化合物等が挙げられる。これらは、単独もしくは併用して使用できる。ハロゲン系化合物としては、ヘキサブロモシクロドデカン、1,1,2,2−テトラブロモエタン、1,2,3,4−テトラブロモエタン、1,4,5,6−テトラブロモ無水フタル酸、テトラブロモビスフェノールA等が挙げられる。リン酸エステル系化合物としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート等のノンハロゲン燐酸エステル類、トリス(β−クロロエチル)ホスフェート、トリス(β−クロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(1,3−ジクロソプロピル)ホスフェート、トリス(2−クロロエチル)ホスフェート、トリス(2,4,6−トリブロモフェニル)ホスフェート、ビス(β−クロロエチル)ビニルホスホン酸エステル、トリアリルホスフェート等の含ハロゲン縮合燐酸エステル類が挙げられる。リン系化合物としては、オルソリン酸、リン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム、リン酸尿素、リン酸グアニル尿素、ポリホスホリルアミド、リン酸メラミン、ポリホスホリルアミドアンモニウム、ホスホリルトリアニライド、ホスホニトリル、トリス(2−カルバモイルエチル)ホスフィン、トリス(2−カルバモイルエチル)ホスフィンオキシド、ホスホリルアミド、ホスフィンアミド、ビニルホスホン酸等が挙げられる。窒素系化合物としては、トリメチロールメラミン、及びN−メチロールアクリルアミド等が挙げられる。ホウ素系化合物としては、ホウ酸、リン酸ホウ素、ホウ酸アンモニウム等が挙げられる。硫黄系化合物としては、チオ尿素、硫酸アンモニウム、スルファミン酸アンモニウム等が挙げられる。その他の難燃剤用化合物としては、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ソーダ、三塩化アンチモン、塩化亜鉛、塩化スズ、二酸化錫、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機化合物が挙げられる。臭素系難燃剤を用いた場合、アンチモン化合物、例えば、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ソーダ等を難燃助剤として用いると難燃効果が向上する。特に、常温液状であり、比重も大きくないリン酸エステル系難燃剤が好ましい。難燃剤の添加量は、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーに対して1〜30質量%が好ましい。
本発明の止水用薬剤組成物には、必要に応じて、セメント、高炉スラグ、石こう、炭酸カルシウム、粘土、生石灰、消石灰、ベントナイト等の無機充填剤、希釈剤、カップリング剤、更には分散剤、増粘剤、酸化防止剤、耐熱性付与剤、老化防止剤、レベリング剤等の各種添加剤を添加することもできる。但し、土壌汚染をおこさないものに限定すべきである。更に、希釈剤としては、活性水素基含有化合物及び/又はイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーとの相溶性、減粘、貯蔵安定性に優れ、且つ揮発性を有しないものを用いることが好ましい。
薬液組成物は地盤に浸透可能な液体である。その薬液特性は、常温液体であること、薬液の粘度が25℃で300mPa・sであること、発泡のライズタイムの調整が容易であること、注入した薬液及び硬化した樹脂により水質が汚染されない薬液組成物であって、山岳トンネルの安全管理に関するガイドラインに適合した薬液組成物であること、過剰湧水に薬液が希釈されても発泡性能に影響がなく、過剰発泡や発泡不良がなく、また一定の所望強度が得られる薬液組成物であることを、満たすものである。
この止水用薬剤組成物は、例えば水抜き抗工法、水抜きボーリング工法、ディープウェル工法、ウェルポイント工法、バキュームディープウェル工法等の排水工法を用いても湧水が抑制できない場合に、これらの工法に用いられている設備を用いて止水工法に移行する際に用いられる。
具体的には、トンネルの施工現場ではウェルポイント工法のような湧水対策が施されており、ウェルポイントより集水し、導水管を経由して湧水を強制排水するが、この対策を施しても地下水位が低下しない程の過剰湧水がある場合、或いは排水過程で新たな水脈を導いてしまうことで湧水が抑制されない場合に、この止水用薬剤組成物を用いて、止水工法に移行して、止水する。その場合、上述したイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと、その硬化剤とは、混合液にして対象地盤又は対象構造物に、ウェルポイント工法の装置を用いて、注入する。両者は対象地盤又は対象構造物に注入する直前に混合する。本発明の止水用薬剤組成物を用いた止水方法を、図1に示すトンネル工事の地盤改良例で説明する。トンネル10の側壁に沿って設けられたヘッダーパイプ(導水管)12(以下、ヘッダーパイプ12という)から側壁内に打設したライザーパイプ(揚水管)14(以下、揚水管14という)の先端部に多孔先端部16が設けられている。先端部に多孔先端部16が設けられた揚水管14は、図2(a)に示すように、ヘッダーパイプ12の長手方向に沿って複数本が地盤18内に打設されている。このヘッダーパイプ12、揚水管14及び多孔先端部16はウェルポイント工法で地盤内の排水に使用されるものである。
ヘッダーパイプ12には、図1に示すように止水用薬剤組成物の注入装置20と接続されている。注入装置20では、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーが貯留されたタンク22と硬化剤が貯留されたタンク24とから、サクションホース26、26を介して液状のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと硬化剤とが別々に注入ポンプ28に送液される。また、注入ポンプ28からも、デリベリホース30、30を介してイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと硬化剤とが別々にY字管32に送液される。Y字管32で両者を混合して混合液とする。混合液は、反応が混合直後から開始し、ヘッダーパイプ12、揚水管14及び多孔先端部16内で発泡しつつ、地盤内に注入される。注入された混合液は、地盤内を更に発泡しつつ浸透し、混合されてから数時間程度で完全硬化して、樹脂であるウレタンフォームとなり、地盤内に透水係数の低い不透水部を形成する。図2(b)に示すように複数本の揚水管14の各多孔先端部16の近傍に形成された不透水部34は、隣接する不透水部34と接合して不透水帯を形成し止水を図ることができる。このように揚水管14からのウレタンフォームによる閉塞、及び周辺地盤の改良により、止水が実現される。
タンク22に貯留されているイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと、タンク24に貯留されている硬化剤との混合比は、重量比(イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー/硬化剤)で1/1〜3/1となるように注入ポンプ28からの吐出量を調整することが好ましい。また、混合液の注入圧力は、0.05〜10MPa(ゲージ圧)とすることが好ましい。この注入ポンプ28としては、タンク22,24からの各液の吐出量及び吐出圧を調整できる比例配合式ポンプを好適に用いることができる。
また、別の排水工法による湧水対策の例としては、図3(a)(b)に示すようにトンネル10の内壁面から横方向に導水路38が打設されている場合がある。図3に示す導水路38には、その先端部に複数の孔が開口された網体16aが設けられており、この網体16aより吸水し排水している。この導水路38を用いた排水工法でも、前述の図1及び図2に示したウェルポイント工法と同様に減圧による強制排水である。このような導水路38を用いた排水工法から止水工法に移行する場合、導水路38内に、先端部に吐出口36aが開口されたインサート管36を挿入し、このインサート管36の後端をY字管32に接続することにより混合液を注入する。インサート管36は、その吐出口36aの位置を調整することによって、網体16aの所望の位置でウレタンフォームを地盤18内に注入できる。また、図3(b)に示すように、インサート管36の後端が導水路38の入口に開口されていてもよい。このインサート管36は、図1及び図2に示したヘッダーパイプ12内、必要に応じ揚水管14内に挿入してもよい。
ウェルポイント工法によっても湧水が抑制されない場合に、その工法に使用されている装置・設備を用いることで簡便に薬液注入による止水工法へ移行し、この止水用薬剤組成物で止水する例について示したが、水抜き抗工法、水抜きボーリング工法、ディープウェル工法、バキュームディープウェル工法等の排水工法によっても湧水が抑制されない場合に、それら工法に使用されている装置・設備を用いて、この止水用薬剤組成物で止水してもよい。
タンク24に貯留される硬化剤は、触媒、発泡剤及び活性水素含有化合物を予め所定量を配合しておくことが好ましく、界面活性剤を用いる場合は、タンク24に所定量の界面活性剤を配合しておくことが好ましい。また、難燃剤を用いる場合には、タンク22に貯留されるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーに予め所定量の難燃剤を配合しておくことが好ましい。
イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと硬化剤との混合は、図1に示すようにY字管32を用いることによって可能であるが、更にミキシングユニットを設けることが好ましい。特に、ギアポンプ、スクリューポンプ、プランジャーポンプ、エアポンプ等を用いて、揚水管14或いは注入孔に設置した逆止弁等を内装した有孔のロックボルト、注入ロッド、注入パイプ、注入ノズル、注入ホース等を通して行うことができる。この注入孔は、コンクリート面に設けてもよいし、地山の外側からも設けることができる。
図1では、トンネル工事での地盤改良について述べ、また排水工法から止水工法への移行による湧水の止水について述べてきたが、止水を図るべく、本発明の止水用薬剤組成物を、地山、とりわけ湧水地山の岩盤固結、地盤や構造物の空洞、亀裂、隙間への注入等の種々に用いることができる。尚、図1に示す注入装置20の全てを移動式の運搬車に積載して止水工事を行うことができる。また、図1では、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと硬化剤とを混合してから地盤内に注入していたが、地盤内や構造物の空洞に充填する場合は、イソシアネート基末端プレポリマー、硬化剤それぞれを別の注入孔から注入し、地盤内の空洞内部で両者を混合させて発泡、硬化させてもよい。
以下、本発明を適用する止水用薬剤組成物を調製し止水した例を実施例に示し、本発明を適用外の薬剤組成物を調製し止水に供した例を比較例に示す。
実施例1
(1)イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーの調製
下記表1の原料及び配合量で5種類のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーAを調製した。表1の各種のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーAは、表1のポリメリックMDIとポリオールとを、攪拌機、温度計、窒素シール管及び冷却器の付いた反応器内で80℃で3時間反応させた後、表1のMDI,難燃剤及び希釈剤を添加して得た。
Figure 0006055264
表1中でMDI−1〜MDI−4はジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)であって、イソシアネート(NCO)含量はいずれも33.6質量%であった。
但し、MDI−1中に含有されている2,2’−MDIと2,4’−MDIとの合計含有量は、MDIの全含有量に対して50重量部であった(4,4’−MDIの含有量は50重量部であった)。
MDI−2中に含有されている2,2’−MDIと2,4’−MDIとの合計含有量は、MDIの全含有量に対して28重量部であった(4,4’−MDIの含有量は72重量部であった)。
MDI−3中に含有されている2,2’−MDIと2,4’−MDIとの合計含有量は、MDIの全含有量に対して0重量部であった(4,4’−MDIの含有量は100重量部であった)。
MDI−4中に含有されている2,2’−MDIと2,4’−MDIとの合計含有量は、MDIの全含有量に対して100重量部であった(4,4’−MDIの含有量は0重量部であった)。
また、表1中のポリメリックMDI−1〜ポリメリックMDI−4はジフェニルメタンジイソシアネート系多核縮合体である。
但し、ポリメリックMDI−1は、イソシアネート(NCO)含量が31.3%であり、二核体の合計含有量は50質量%(多核体の総合含有量は50質量%)であった。含有されている2,2’−MDIと2,4’−MDIとの合計含有量は、MDIの全含有量に対して10重量部であった(4,4’−MDIの含有量は90重量部であった)。
ポリメリックMDI−2は、イソシアネート(NCO)含量が31.3%であり、二核体の合計含有量は36質量%(多核体の総合含有量は64質量%)であった。含有されている2,2‘−MDIと2,4’−MDIとの合計含有量は、MDIの全含有量に対して17重量部であった(4,4’−MDIの含有量は83重量部であった)。
ポリメリックMDI−3は、イソシアネート(NCO)含量が31.1%であり、二核体の合計含有量は30質量%(多核体の総合含有量は70質量%)であった。含有されている2,2’−MDIと2,4’−MDIとの合計含有量は、MDIの全含有量に対して50重量部であった(4,4’−MDIの含有量は50重量部であった)。
ポリメリックMDI−4は、イソシアネート(NCO)含量が31.1%であり、二核体の合計含有量は42質量%(多核体の総合含有量は58質量%)であった。含有されている2,2’−MDIと2,4’−MDIとの合計含有量は、MDIの全含有量に対して0重量部であった(4,4’−MDIの含有量は100重量部であった)。
表1中のポリオール1〜ポリオール4はポリエーテルポリオールである。
但し、ポリオール1は三洋化成工業株式会社製 サンニックスGP−250であり、数平均分子量は250、プロピレングリコールユニットは100%である。
ポリオール2は三洋化成工業株式会社製 サンニックスPP−200であり、数平均分子量は200、プロピレングリコールユニットは100%である。
ポリオール3は三洋化成工業株式会社製 サンニックスFA−702であり、数平均分子量は6,000、プロピレングリコールユニットは100%である。
ポリオール4は三洋化成工業株式会社製 サンニックスPEG−200であり、数平均分子量は200、プロピレングリコールユニットは0%、ポリエチレングリコールユニット100%)である。
表1中、難燃剤はトリブチルホスフェート、希釈剤はプロピレンカーボネートである。
(2)硬化剤の調製
下記表2の原料及び配合量で5種類の硬化剤Bを調製した。
Figure 0006055264
表2中、触媒:TMHDAは、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミンである。ポリオール5〜ポリオール7はポリエーテルポリオールであってポリオール5が旭硝子株式会社製のエクセノール480A、ポリオール6が旭硝子株式会社製のエクセノール450ED、ポリオール7が旭硝子株式会社製のエクセノール430である。界面活性剤は、シリコーン系界面活性剤:テー・ゴールドシュミット社製のB−8404である。
表1の各種イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーAと表2の各種硬化剤Bとを、下記表3に示す組み合わせで混合し、回転数800rpmで10分間攪拌した。得られた発泡体の発泡倍率を測定し、その結果を表3に併せて示す。また、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーAと硬化剤Bとを混合した混合液を、混合液の10倍量の水に投入し、得られた発泡体の発泡倍率を測定すると共に、水の白濁状況を観察して、その結果を表3に併せて併記した。尚、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーAと硬化剤Bとの重量比(A/B)は100g/30gとした。
Figure 0006055264
表3中、発泡倍率は下記式で算出した。尚、液温は20±1℃、気温は20±1℃であった。
発泡倍率=発泡後の発泡体の容積(cm)/発泡前の混合液の容積(cm
また、水の白濁については、混合液を容器内の水(1.3リットル)中に投入し、水中での発泡状況を観察し、容器内の水が透明であるものを○とし、白濁したものを×として評価して表記した。
表3から明らかなように本発明の範囲内の実施例の組み合わせの薬剤組成物では、水中投入時の発泡倍率が、水に投入しない場合と比較して、過剰発泡することなく、且つ低下することなく安定した結果が得られた。このため、実施例の組み合わせの薬剤組成物は、止水用として対象地盤や対象構造物に注入しても、その発泡体の充填性や強度の確保ができると判断できる。また、水の濁りもなく、水質の汚染は限りなく小さい。一方、比較例の組み合わせの薬剤組成物において、A−3とB−4との組み合わせ、及びA−5とB−4との組み合わせでは、過剰の水に希釈された影響を受けて、水で希釈されない場合と比べ発泡倍率が低下した。また、未反応物が水に溶け出して、水の白濁が確認された。また、A−4とB−1との組み合わせでは、A−4はイソシアネートと親水性の高いポリエチレングリコールユニットとから成るイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーであり、成分の一部が水に溶け出して白濁したものと考えられる。また、A−4はNCO含量が低いため発泡倍率が低い。このため、これらの組み合わせでは、発泡不良による充填性の欠如や水質の汚染が予想される。
実施例2
表3のA−1とB−1との組み合わせの薬剤組成物を用い、図4に示す装置で止水実験を行った。図4に示す装置によれば、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーが貯留されたタンク42と硬化剤が貯留されたタンク44とから、サクションホース46、46を介してイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと硬化剤とを別々に注入ポンプ28に送液する。注入ポンプ48からは、デリベリホース50、50を介してイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと硬化剤とを別々にY字管52に送液する。Y字管32で両者を混合した混合液は、スタティックミキサー54が内挿されている中空ネジ付ボルト(IBOボルト)56で更に混合され、導水管58内に供給される。中空ネジ付ボルト(IBOボルト)56の導水管58上に突出している突出長さLは400mmであり、導水管58の長さLは400mmである。導水管58の略中央部に網付吐出口60が設けられており、導水管58は、水が貯留されている水槽62内に挿入されている。貯留水の深さは350mmであり、導水管58の網付吐出口60は、貯留水中に浸漬されているため、導水管58内は水で満たされている。
注入ポンプ48を駆動し、タンク42のイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーAとタンク44の硬化剤BとをY字管32で混合した混合液は、導水管58内に供給し、導水管58内の発泡体の充填状況及び網付吐出口60からの発泡体の吐出状況を観察した。その結果、導水管58の内部は発泡体でほぼ完全に充填されることを確認した。更に、導水管58内の水は発泡体により外部に排水されることも確認した。また、導水管58の網付吐出口60からは、図5に示すように発泡体64が吐出され、発泡硬化物を形成し止水できることが確認された。
本発明に係る止水用薬剤組成物とそれを使用した止水方法によれば、トンネル工事での地盤改良、湧水地山の岩盤固結、地盤や構造物の空洞、亀裂、隙間への注入等の種々の止水に用いることができる。
またトンネル施工時の止水に限らず、コンクリート構造物等における漏水箇所の止水、海水等の水中下における構造物の空洞充填にも応用することが可能である。さらには、地下構造物の建設やトンネル掘削時における地盤の安定化を目的とした地盤改良剤、トンネル背面に生じた空洞の充填剤等、幅広く応用することができる。
10はトンネル、12はヘッダーパイプ、14は揚水管、16は多孔先端部、16aは網体、18は地盤、20は注入装置、22,24,42,44はタンク、26,46はサクションホース、28,48は注入ポンプ、30,50はデリベリホース、32,52はY字管、34は不透水部、36はインサート管、36aは吐出口、38は導水路、50はサクションホース、54はスタティックミキサー、58は導水管、60は網付吐出口、62は水槽、64は発泡体である。

Claims (6)

  1. 過剰湧水が存在する対象地盤又は対象構造物内で発泡して不透水部を形成する止水用薬剤組成物であって、
    前記止水用薬剤組成物には、二核体を20〜70質量%含有するジフェニルメタンジイソシアネート系多核縮合体とプロピレングリコールユニットを少なくとも5質量%含有する数平均分子量100〜10,000の水酸基含有ポリエーテルとが反応して得られたイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと、それに混合される前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーの硬化剤とを有し、
    前記ジフェニルメタンジイソシアネート系多核縮合体中に、前記二核体としてのジフェニルメタンジイソシアネートの全量に対して、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネートと2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートとが、その合計量で5〜60重量部含有され、
    前記硬化剤には、触媒、前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーに対して5〜10質量%含有されている発泡剤としての水及び活性水素化合物が含有されていることを特徴とする止水用薬剤組成物。
  2. 前記止水用薬剤組成物中に、界面活性剤及び難燃剤が含有されていることを特徴とする請求項に記載の止水用薬剤組成物。
  3. 前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー及び前記硬化剤の各粘度が、25℃で300mPa・s以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の止水用薬剤組成物。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の止水用薬剤組成物を湧水が存在する対象地盤又は対象構造物に注入して発泡体から成る不透水部を形成する止水方法であって、そのイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと、その硬化剤とを、前記対象地盤又は前記対象構造物に注入する直前に混合することを特徴とする止水方法。
  5. 前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと、前記硬化剤との混合比を、質量比(イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー/硬化剤)で1/1〜3/1とすることを特徴とする請求項に記載の止水方法。
  6. 前記対象地盤又は前記対象構造物に設置された排水設備から、前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと前記硬化剤との混合液を前記対象地盤又は前記対象構造物に注入することを特徴とする請求項又は請求項に記載の止水方法。
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