JP2816075B2 - トンネル掘削用の安定化用注入薬液組成物およびそれを用いた安定強化止水工法 - Google Patents

トンネル掘削用の安定化用注入薬液組成物およびそれを用いた安定強化止水工法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、トンネル掘削用の安定
化用注入薬液組成物およびそれ用いた安定強化止水工法
に関する。さらに詳しくは、トンネルの掘削などにおい
破砕帯を有する岩盤や不安定軟弱地盤の固結安定化な
いし封止、漏水、湧水のある岩盤ないし地盤の止水工法
ならびにそれに用いる安定化用注入薬液組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、トンネル掘削時の不安定岩盤や地
盤の安定強化工法の1つとして無機ないし有機系グラウ
トの注入が行なわれ、ある程度の効果をあげている。
【0003】しかしながら、これらの方法を詳細にチェ
ックすると、必ずしも満足しうる結果がえられていな
い。たとえば、一般に多用されているセメントミルクは
懸濁液であるため、岩盤などのクラックや砂礫などの地
盤層への浸透性がわるく、しかも固結速度や強度発現が
遅いため、短時間に固結して強度が発現することが要求
されるトンネル掘削時の不安定地盤を早期に安定強化さ
せる目的が達成しえない。さらに、湧水や漏水のみられ
るばあいには、なおさら注入セメントミルクが希釈、流
失してしまう。また代表的な無機系グラウトである水ガ
ラス系2液システムグラウトについても固結体強度が3
〜10kg/cm2 程度と低く、さらに固結体が水と接触する
と経時変化が起こり、Na2 OやSiO2 などの主成分
が溶脱し、アルカリ汚染や大幅な強度低下にいたるとい
う問題がある。
【0004】一方、尿素系などの有機系グラウトについ
ても固結強度不足や、硫酸、ホルマリンなどの硬化成分
や助剤成分の溶出が発生するという問題がある。また、
特公昭63-63687号公報、同63-63688号公報、同63-63688
号公報、特開昭63-7413 号公報、同63-7490 号公報、同
63-7491 号公報、同63-8477 号公報、同63-35913号公報
などには、ポリオールとポリイソシアネートを主成分と
する速硬性硬質発泡ウレタンシステム注入による岩盤の
固結工法が記載されているが、これらの工法によれば、
固結効果は期待しうるものの、その原料がきわめて高価
なうえ可燃性を呈するものであるので、経済性や安全性
の面で改善が要求されている。
【0005】さらに特開昭61-9482 号公報には、ポリイ
ソシアネートと水ガラス(ケイ酸ソーダ水溶液)とを用
い、水ガラス側にポリイソシアネートの三量化触媒とし
て特定の3級アミンを配合してなる注入薬液組成物が記
載されている。この組成物は、難燃性であるが、無発泡
状の固結体となるため、かかる固結体の強度が比較的大
きいものの高価な注入材となり、汎用化が妨げられてい
る。また、コストダウンをはかるためにこれらの系に有
機溶剤を配合し、発泡固結体とすることが検討されてい
るが、このように有機溶剤を用いたばあいには、安全衛
生面で問題があり、発泡倍率が低く、充分な経済効果が
えられず、さらに発泡固結体が脆いため充分な強度がえ
られないなどの欠点がある。
【0006】また、特開昭55-160079 号公報には、水ガ
ラスとアニリン−ホルムアルデヒド縮合生成物をホスゲ
ンで処理してえられる生成物(C−MDI)との混合物
を主成分とする組成物が記載されているが、かかる組成
物も固結体の発泡倍率が低く、発泡固結体が脆いため充
分な強度がえられないなどの欠点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術に着目してなされたもので、無溶剤系の特定成分より
なる注入薬液組成物を注入し、従来形成することが困難
であった発泡状の無機−有機複合固結体を形成すること
により、固結強度が大きく、安定強化効果、耐久性、注
入作業性、安全性および経済性にすぐれたトンネル掘削
時の岩盤ないし地盤の安定強化ないしは止水を可能なら
しめることを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、
(A)(イ)固形分濃度10〜70重量%のアルカリケ
イ酸塩水溶液、 (ロ)平均分子量40〜3000のポリオール成分およ
び (B)エチレンオキシド単位を5〜99.5重量%含む
ポリオールとポリメチレンポリフェニルポリイソシアネ
ートまたはジフェニルメタンジイソシアネートとの反応
生成物から選ばれた少なくとも1種の末端イソシアネー
ト基含有ウレタンプレポリマー成分 からなるトンネル掘削用の岩盤または地盤の安定化用注
入薬液組成物を第1の発明とし、岩盤ないし地盤に所定
間隔で複数個の孔を穿設し、前記孔内に中空の注入ボル
トを挿入し、ボルトの開口部より前記安定化用注入薬液
組成物を岩盤ないし地盤に注入し、固結ないし封止せし
めることを特徴とするトンネル掘削のための岩盤ないし
地盤の安定強化止水工法を第2の発明とするものであ
る。
【0009】
【作用および実施例】本発明における硬化時の反応固結
機構は、複雑であるため明確ではないが、おそらく以下
に述べるガス化反応とゲル化反応とに基づくものと推定
される。
【0010】まず(A)(イ)アルカリケイ酸塩水溶液
(以下、(A)(イ)成分という)中の水と(B)末端
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマー成分(以
下、(B)成分という)中のイソシアネート基との反応
により、尿素結合が形成されてポリマー化する。また、
(B)成分中のイソシアネート基と((ロ)ポリオ
ール成分(以下、((ロ)成分という)中のヒドロ
キシル基との反応により、ウレタン結合が形成されてポ
リマー化する。このとき、炭酸ガスが発生する(ガス化
反応)。前記炭酸ガスの作用によって(A)(イ)成分
中の無水ケイ酸コロイドの一部が脱水化し、無水ケイ酸
ゲルが生成する(ゲル化反応)。つぎに(A)(イ)
分中のシラノール基と(B)成分中のイソシアネート基
との反応によりウレタン結合が形成され、無水ケイ酸−
ウレタン複合体が形成される。さらに(B)成分中に反
応性希釈剤が存在すれば、(A)(イ)成分のアルカリ
により分解され、その生成物が(A)(イ)成分中の無
水ケイ酸コロイドと接触することによって無水ケイ酸ゲ
ルが生成し(ゲル化反応)、また分解生成物と(B)成
分中のイソシアネート基とによりウレタン結合および尿
素結合が形成されてポリマー化するものである。
【0011】前記ガス化反応とゲル化反応とのバランス
により、発泡状ないし無発泡状の固結体が形成される。
すなわち、ガス化反応よりゲル化反応が優先したり、ガ
ス化反応が極端に早すぎるばあいには、発生したガスを
捕えることができずに無発泡状の固結体となる。一方、
ガス化反応とゲル化反応とのバランスが適切であるばあ
いには、すなわち、ガス化反応がさかんなときにゲル化
反応が進行しているばあいには、発生したガスが適切に
ケイ酸ソーダ−ウレタン複合体の骨格内に捕えられ、発
泡状の固結体が形成される。また、(B)成分と(
(ロ)成分との反応によりえられるウレタン樹脂は、固
結体に可撓性を付与するものであり、((ロ)成分
が存在しない系と比較して固結体の強度がさらに向上
固結速度が速くなる。
【0012】本発明の安定化用注入薬液組成物は、フロ
ン、塩化メチレン、アセトンなどの従来の発泡剤を配合
しなくても容易に発泡し、しかもえられる発泡状の固結
体の強度が大きいものである。
【0013】以下、本発明の安定化用注入薬液組成物
(以下、注入薬液組成物という)について述べる。
【0014】本発明に用いられる(A)(イ)成分であ
るアルカリケイ酸塩水溶液としては、たとえば式:Na
2 O・xSiO2 (式中、xは1〜4の数を示す。)で
表わされるケイ酸ソーダの水溶液があげられる。
【0015】前記アルカリケイ酸塩水溶液の固形分濃度
、10〜70重量%、なかんづく40〜50重量%となるよう
に調整することが好ましい。
【0016】本発明に用いられる(B)成分であるポリ
イソシアネート成分としては、前記特定の末端イソシア
ネート基含有ウレタンプレポリマー(以下、(B)
(イ)成分という)、(B)(イ)成分および(ロ)、
(B)(イ)成分とは反応しないが(A)(イ)成分に
よりアルカリ加水分解され、その分解生成物が(A)
(イ)成分および/または(B)(イ)成分と反応する
エステルまたはエーテルである反応性希釈剤(以下、
(B)(ロ)成分という)からなるものなどがあげられ
る。
【0017】
【0018】前記末端イソシアネートウレタンプレポリ
マーの合成に用いられるポリオールはエチレンオキシド
単位を5〜99.5重量%含む変性ポリオールであり、
以下に示す各種ポリオールにエチレンオキシド、さらに
要すればプロピレンオキシドなどのアルキレンオキシド
を付加重合してえられる。エチレンオキシドなどを付加
重合する各種ポリオールとしては、たとえば1,3-ブタン
ジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール
などの2価アルコール、エチレングリコール、ジエチレ
ングリコール、トリエチレングリコール、プロピレング
リコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコー
ル、グリセリン、トリメチロールプロパン、モノエタノ
ールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミ
ン、ジグリセリン、ソルビトール、庶糖などの単独また
は2種以上の混合物ヒマシ油、さらにアジピン酸、無
水フタル酸などの二塩基酸とエチレングリコール、ジエ
チレングリコール、トリメチロールプロパンなどのグリ
コールやトリオールとの脱水縮合反応によりえられる各
種ポリエステルポリオール、ε−カプロラクタムの開環
重合によりえられるラクトン系ポリエステルポリオー
ル、ポリオールのホスゲン化、ジフェニルカーボネート
によるエステル交換法で合成されるポリカーボネートジ
オール、その他アクリルポリオール、ポリブタジエン系
ポリオール、さらにマンニッヒポリオール、ノボラック
樹脂、レゾール樹脂などフェノール系ポリオール、さ
らにポリオール中でアクリロニトリル、スチレンなどの
ビニル系モノマーをラジカル重合させたものや、これら
のポリマーをポリオール中に分散溶解させたポリマーポ
リオール、テトラヒドロフランのカチオン重合によりえ
られるポリテトラメチレングリコールなどもあげられ
る。
【0019】これらのエチレンオキシド単位を5〜9
9.5重量%含むポリオールの平均分子量は40〜20000
であることが好ましい。また、ポリオールとしては若干
親水性を有するものが相溶性にすぐれているので好まし
く、具体的には平均分子量が1000をこえるばあいには、
エチレンオキシド単位が分子中に5〜99.5重量%、好ま
しくは10〜50重量%含まれるように付加し、親水性を付
する
【0020】これらのポリオールと反応させるポリイソ
シアネートとしては、たとえばポリメチレンポリフェニ
ルポリイソシアネート(ポリメリックMDI)または
フェニルメタンジイソシアネート(液状のものも含む
単独または2種以上の混合物が用いられる。
【0021】この特定の各種ポリオールによるポリイソ
シアネートの変性率は、固結体圧縮強度向上の効果の点
から、ポリオール量として2重量%以上であることが有
効である。
【0022】なお、前記ポリメチレンポリフェニルポリ
イソシアネートのポリオール変性率は、形成される固結
体の圧縮強度を向上させるために、2重量%以上である
ことが好ましいが、あまりにも大きすぎるばあいには、
変性ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートが高
粘度となってポンプ注入が困難となり、また圧縮強度が
低下する傾向がある。また、2重量%未満の変性率では
変性効果がきわめて小さく、固結体が脆く、圧縮強度が
向上しなくなる。試験の結果、ポリメチレンポリフェニ
ルポリイソシアネートのポリオール変性率は2〜80重量
%、なかんづく5〜50重量%であることが望ましい。
【0023】これらの特定のポリオールと特定のポリイ
ソシアネートとからなる末端イソシアネート基含有ウレ
タンプレポリマーは公知の方法で容易に製造される。
【0024】前記(B)(イ)成分は、(A)(イ)
分との反応性や固結性にすぐれているが、粘度が比較的
高いため岩盤や地盤への浸透性が充分ではないため、従
来では流動性や浸透性を向上させるためにトルエンやキ
シレン、1,1,1-トリクロロエタン、塩化メチレン、トリ
クロロフルオロメタンなどの有機溶剤を希釈剤として用
いられている。しかし、これらの有機溶剤は揮発性であ
り、固結後放出されて環境を損うことがあるため、でき
るだけ使用しないほうが好ましい。
【0025】そこで(B)(イ)成分の希釈剤として、
(B)(イ)成分と混合してもイソシアネート基とは反
応せず、(B)(イ)成分の貯蔵安定性や減粘にすぐ
れ、一方、(A)(イ)成分と混合接触したばあいに
は、前記のごとくただちに反応して硬化し、環境への影
響も少ない反応性希釈剤である(B)(ロ)成分を配合
することが好ましい。
【0026】前記(B)(ロ)成分は、(B)(イ)成
分を希釈して注入時の粘度を低下させる働きを有すると
ともに、(A)(イ)成分と接触することによってアル
カリ加水分解を受け、(A)(イ)成分および/または
(B)(イ)成分と反応して該(A)(イ)成分と
(B)(イ)成分との硬化反応に積極的に関与し、より
強い無水ケイ酸−ウレタン複合体や無水ケイ酸−尿素架
橋複合体、網状の無水ケイ酸ゲルを主体とする無機−有
機複合固結体を形成せしめ、かつ反応固結時の発泡性を
向上させるエステルまたはエーテルである。
【0027】(B)(ロ)成分のアルカリ加水分解生成
物は、前記のとおり(A)(イ)成分および/または
(B)(イ)成分と反応する官能基を少なくとも1個有
しているが、かかる反応性の官能基としては、たとえば
アルコール性水酸基、カルボキシル基、1級または2級
アミノ基、チオール基などがあげられる。たとえば
(B)(ロ)成分としてエチレングリコールジアセテー
トを用いたばあいには、加水分解生成物としてエチレン
グリコールと酢酸が生成し、かかるエチレングリコール
(B)(イ)成分のポリイソシアネートと反応して三
次元のポリウレタン架橋物を形成し、一方、酢酸は
(A)(イ)成分のケイ酸ソーダを中和または脱水して
網目状のシロキサン結合を形成してゲル化を促進させて
いるものと推定される。
【0028】このように、前記(B)(ロ)成分を配合
することにより、有機溶剤を用いることなく機械的強度
や硬度がより一層大きな無機−有機複合固結体をうるこ
とができる。
【0029】ここで、(B)(ロ)成分を配合しないば
あいと比較すると、(B)(イ)成分の低粘度化による
岩盤や地盤への浸透性を大きく向上させ、揮発性が小さ
く労働安全環境衛生上好ましく、(B)(イ)成分の貯
蔵安定性が向上し、反応固結時の発泡性が向上し、反応
によって複合的な反応固結構造物がえられ、固結体強度
が大幅に向上するなどといったいくつもの効果が奏され
る。
【0030】(B)(ロ)成分は、前記したごとく、使
用環境温度(約−5〜40℃)で低粘性の液状であり揮発
性が小さい(常温、1気圧下での沸点が100 ℃以上であ
る)こと、(B)(イ)成分に不活性であること、
(A)(イ)成分により加水分解されること、加水分解
生成物が(A)(イ)成分および/または(B)(イ)
成分と反応することなどの要件を満足するものである。
前記加水分解生成物の反応性基としては、たとえば水酸
基、カルボキシル基、1級または2級アミノ基、チオー
ル基などがあげられ、これらの反応性基を1個または2
個以上有するものが好ましい。
【0031】(B)(ロ)成分の代表例としては、たと
えば低分子量二塩基酸のジエステル類、1価または多価
アルコール類の酢酸エステル類、アルキレンカーボネー
ト類、エーテル類、環状エステル類、酸無水物、(メ
タ)アクリル酸エステルなどがあげられる。
【0032】低分子量二塩基酸のジエステル類として
は、たとえばグルタール酸、コハク酸、アジピン酸、マ
ロン酸、シュウ酸、ピメリン酸などのジメチルエステ
ル、ジエチルエステルなどのジアルキルエステルなどが
あげられる。
【0033】1価または多価アルコール類の酢酸エステ
ル類としては、たとえばメチルセロソルブ、エチルセロ
ソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールメチ
ルエーテル、エチルカルビトール、ブチルカルビトール
などのグリコールエーテル類のアセテート;3-メトキシ
ブチルアルコール、3-メチル-3- メトキシブチルアルコ
ールなどのアルコキシアルキルアルコール類のアセテー
ト;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコールなどのグリコール類のジアセテート
などがあげられる。
【0034】アルキレンカーボネート類としては、たと
えばプロピレンカーボネート、各種希釈剤に溶解した液
状エチレンカーボネートなどがあげられる。
【0035】エーテル類としては、たとえば脱水ヒマシ
油などの環状エーテルなどがあげられる。
【0036】環状エステル類としては、たとえばγ−ブ
チルラクトンなどのラクトン類;ε−カプロラクタムな
どのラクタム類などがあげられる。
【0037】酸無水物としては、たとえば無水プロピオ
ン酸、無水酪酸、無水マレイン酸などがあげられる。
【0038】(メタ)アクリル酸エステルとしては、た
とえば(メタ)アクリル酸のメチル、エチル、ブチルな
どのアルキルエステル、(メタ)アクリル酸とエチレン
グリコール、ジエチレングリコール、平均分子量が100
〜1000のポリエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ジプロピレングリコール、平均分子量が100 〜1000
のポリプロピレングリコール、平均分子量が100 〜5000
のエチレンオキシドやプロピレンオキシド共重合ジオー
ルまたはトリオールなどのアルコール類との(メタ)ア
クリル酸エステルなどがあげられる。
【0039】(B)(ロ)成分の配合量は、(B)成分
中5〜90重量%、好ましくは10〜50重量%であることが
望ましく、かかる範囲内で(B)(イ)成分の種類や粘
度、使用目的などによって適宜選定することが好まし
い。かかる(B)(ロ)成分の配合量が少なすぎるばあ
いには、(B)(イ)成分に対する減粘効果や固結強度
向上効果が充分に発現されにくくなる傾向があり、また
多すぎるばあいには、逆に固結体強度が低下するように
なる傾向がある。
【0040】本発明において(A)(イ)成分に配合し
て用いられる(A)(ロ)成分であるポリオール成分と
しては、たとえば前記(B)(イ)成分である末端イソ
シアネート基含有ウレタンプレポリマーに用いられるポ
リオールなどがあげられ、これらは単独でまたは2種以
上を混合して用いることができる。また、これらのポリ
オールの平均分子量は40〜3000である。
【0041】(A)(イ)成分と(B)成分との配合割
合((A)(イ)成分/(B)成分)は、通常重量比で
10/100 〜 100/10、好ましくは20/100 〜100 /20と
なるように調整することが望ましい。かかる配合割合が
10/100 よりも小さいばあいには、注入薬液組成物コス
トが高価なものとなり不経済となるうえ比例式注入ポン
プでの配合比のコントロールが極めて困難となるうえ、
硬化が遅くなる傾向があり、また 100/10をこえるばあ
いには、発泡性が阻害され、固化が不充分で未硬化状と
なり、たとえ硬化しても非常に弱く、脆くて実用に供し
えなくなる傾向がある。
【0042】(B)成分と((ロ)成分との配合割
合は、(B)成分中のNCO基と((ロ)成分中の
OH基との当量比(NCO/OH)が0.5 〜500 、好ま
しくは1〜120 となるように調整することが望ましい。
かかる当量比が0.5 未満であるばあいには、注入薬液組
成物からえられる固結体が柔かすぎて実用に供しにくく
なる傾向があり、また500 をこえるばあいには、固結体
が脆くなる傾向がある。
【0043】また、本発明の注入薬液組成物には、前記
(A)成分および(B)成分のほかに()3級アミン
(以下、()成分という)を配合することができる。
【0044】前記()成分は、(A)成分および
)成分の反応硬化を促進させるための触媒として作
用するものである。かかる()成分としては、触媒活
性や貯蔵安定性の点から3級アルキルアミンや環状3級
アミンが好ましく、たとえばジメチルオクチルアミン、
ジメチルラウリルアミン、ジメチルパルミチルアミン、
N−メチルモルホリン、トリエチレンジアミン、ビスジ
メチルアミノエチルエーテル、トリエタノールアミンな
どがあげられる。
【0045】前記()成分の配合量は、前記(A)
(イ)成分中0.1 〜20重量%、好ましくは0.5 〜10重量
%であることが望ましい。かかる()成分の配合量が
0.1 重量%未満であるばあいには、固結反応が遅く、目
的とした発泡状の固結体がえられにくくなる傾向があ
り、また20重量%をこえるばあいには、(A)(イ)
分がゲル化したり、固結反応が速すぎてえられる固結体
が実用に供しにくくなる傾向がある。
【0046】また、前記()成分を(A)(イ)成分
に乳化分散させるために、必要に応じて界面活性剤を用
いることができる。たとえば()成分として3級アル
キルアミンを用いるばあいには、アニオン系、非イオン
系、カチオン系、両性系のいずれの界面活性剤を使用す
ることもでき、具体例としては、たとえばアルキルサル
フェート、アルキルベンゼンスルホネート、エトキシア
ルキルサルフェート、エトキシアルキルベンゼンサルフ
ェートなどのナトリウム塩、アミン塩、アンモニウム塩
などの水溶液、さらにアルキルリン酸塩のほか、アルコ
ールやアルキルフェノールにエチレンオキシドを数モル
付加重合させた非イオン系界面活性剤などがあげられ
る。これらの界面活性剤の使用量は、()成分の1〜
100 重量%、好ましくは10〜20重量%であることが望ま
しい。
【0047】さらに本発明においては、セメント、高炉
スラグ、石こう、炭酸カルシウム、粘土、水酸化アルミ
ニウム、三酸化アンチモン、生石灰、消石灰、ベントナ
イトなどの無機充填剤を注入薬液組成物に配合すること
ができる。これらの無機充填剤は、(A)成分と混合さ
れると硬化して複合固結体を形成する性質を有し、その
結果、固結強度が向上し、クラックや空隙の充填シール
効果が向上する。かかる無機充填剤の配合量は、(B)
成分中0〜80重量%、好ましくは5〜50重量%であるこ
とが望ましく、注入作業時に(B)成分中へ添加混合
し、(A)成分とともにポンプ注入すればよい。
【0048】またオルガノポリシロキサンなどのシリコ
ーン系整泡剤、たとえば溶剤タイプの加硫または未加硫
ゴム、すなわちブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ス
チレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴムや
これらのエマルジョン、各種ポリアクリル樹脂エマルジ
ョン、ポリビニルアルコール、エチレン−酸酸ビニル樹
脂エマルジョン、ポリウレタンディスパージョン、ポリ
エチレンオキサイドなどの固結体の弾力性や機械的強度
を向上させるための各種高分子材料などを、注入時に必
要量配合することができる。
【0049】さらに要すれば、各種老化防止剤、耐熱性
付与剤、抗酸化剤などの安定化剤を配合することもがき
る。これらの安定化剤の配合量は一般に(B)成分中0
〜2重量%でよい。
【0050】本発明の注入薬液組成物は、(A)(イ)
成分、(A)(ロ)成分および(B)成分の3成分から
基本的になり、岩盤などへの注入直前に両成分を混合す
る。混合方法については後述する方法や、ゲル化時間が
長いばあいや小規模注入のばあいは(A)成分および
)成分をあらかじめ混合してワンショット法で注入
するなどの公知の方法を採用することができる。
【0051】(A)(イ)成分の調製は、(A)(イ)
成分単独使用のばあいには、前記したように、固形分濃
度が約10〜70重量%となるように調整すればよいが、他
の成分、たとえば()成分を配合するばあいには、必
要に応じて界面活性剤を用いて撹拌下に充分に分散させ
ればよい。
【0052】また、(B)成分の調製は、(B)(イ)
成分および(B)(ロ)成分からなるものであるばあい
には、(B)(イ)成分に(B)(ロ)成分を加え、充
分混合して行なう。なお、セメントなどの無機充填剤を
配合するばあいには、これらをあらかじめ混合しておく
と貯蔵中に(B)成分の増粘やゲル化が生じたり、沈澱
物が生じることがあるため、(A)成分との混合直前に
加えることが好ましい。
【0053】また((ロ)成分は、あらかじめ
(B)成分と混合すると反応するため、あらかじめ
(A)(イ)成分と混合しておく。
【0054】本発明における特殊な注入薬液である
(A)(イ)成分、((ロ)成分および()成分
からなる注入薬液組成物は、トンネル掘削において空隙
やクラックの多い軟質ないし不安定な地盤、岩盤、破砕
層に注入され、固結ないし封止されるが、このように
注入して固結ないし封止する方法についてはとくに限定
がなく、公知の方法を採用しうる。その一例をあげれ
ば、たとえば(A)(イ)成分、((ロ)成分およ
び()成分の注入量、圧力、配合比などをコントロー
ルしうる比較配合式ポンプを用い、(A)(イ)成分お
よび((ロ)成分の混合物と(B)成分とを別々の
タンクに入れ、岩盤などの所定箇所(たとえば0.5〜3
m程度の間隔で穿設された複数個数の孔)に、あらかじ
め固定されたスタチックミキサーや逆止弁などを内装し
た有孔のロックボルトや注入ロッドを通し、この中に前
記タンク内の各成分を注入圧 0.5〜70kg/cm2 ・G で注
入し、スタチックミキサーを通して所定量の(A)
(イ)成分、((ロ)成分および()成分を均一
に混合させ、所定の不安定岩盤ないし地盤箇所に注入浸
透、硬化させて固結ないし封止し、安定化する方法など
がある。
【0055】なお、たとえばトンネル切羽先端の天盤部
に注入するばあいには、注入に先立ち、たとえば約1m
の所定の間隔でたとえば42mmφビットでジャンボ機を用
いて削孔し、深さ2m、削孔角度10〜25°の注入孔を設
け、この注入孔にスタチックミキサーを内挿した長さ3
mの中空炭素鋼管製注入ボルトを挿入し、注入薬液組成
物を前記した方法で注入することが好ましい。注入作業
は、注入圧が急激な上昇した時点で終了する。一般に、
注入孔1個あたり薬液量は30〜200kg である。
【0056】本発明の安定強化止水工法では、用いる薬
液の粘性が低い薬液組成物が用いられ、発泡倍率が2倍
以上の発泡状の固結体が形成されるため、不安定地盤、
クラックおよび破砕帯などへの浸透性がよく、広範囲に
わたって不安定岩盤や地盤の安定化や止水を図ることが
できる。また、形成された硬化固結物は、高強度で耐久
性を有し、岩盤などへの付着、密着性にすぐれ、かつ難
燃性を呈し、しかも経済的なものとなる。
【0057】つぎに本発明のトンネル掘削用の盤の
定化用注入薬液組成物およびそれを用いた安定強化止水
工法を製造例および実施例に基づいてさらに詳細に説明
するが、本発明はかかる製造例および実施例のみに限定
されるものではない。なお、製造例中の部は重量部であ
る。
【0058】製造例1〜および比較製造例1 表1に示す配合割合で成分Aと成分Bとをそれぞれ別々
に調製し、成分Aに成分Bを撹拌下で添加して混合し
た。
【0059】なお、混合時からのゲル化するまでの時間
(ゲルタイム、20℃)、えられた固結体の発泡倍率およ
び強度を調べた。これらの結果を表1に示す。
【0060】固結体の発泡倍率は、固結体の容積を成分
Aおよび成分Bの合計容量で除してえられた値である。
【0061】固結体の強度は、該固結体を鋼製ヘラで力
を入れてつつき、なかなか破壊されなければ○、破壊さ
れやすければ×と評価した。また総合評価は、発泡倍率
が2倍以上であり、かつ強度の評価が○であるばあいを
○、それ以外のばあいを×と評価した。
【0062】なお、(A)(イ)成分には、ケイ酸ソー
ダ水溶液(40%)を用いた。また((ロ)成分、
)成分および界面活性剤は(A)(イ)成分へ添加
混合した。
【0063】(B)成分には、(B)(イ)成分に
(B)(ロ)成分を添加し、混合したものを用いた。
【0064】
【表1】
【0065】なお、表1中の当量比は、(B)(イ)
分中のNCO基と((ロ)成分中のOH基との当量
比である。
【0066】また、表1中の各略号はつぎのことを意味
する。
【0067】 ((B)(イ)成分) C-MDIポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート
(ポリメリックMDI) PEG-5000MDIポリオキシエチレングリコール(平均分子
量5000)150 部に対してC-MDI を850 部反応させた末端
NCO 基含有ウレタンプレポリマー PEG-2000MDIポリオキシエチレングリコール(平均分子
量2000) 100部に対してC-MDI を900 部反応させた末端
NCO 基含有ウレタンプレポリマー GPE-3000MDI-Lプロピレンオキシドとエチレンオキシド
との混合比が50/50(重量比)の混合アルキレンオキシ
ドをグリセリンに付加重合してえられるトリオール(平
均分子量3000) 100部に対して液状ジフェニルメタンジ
イソシアネートを900 部反応させた末端NCO 基含有ウレ
タンプレポリマー ((B)(ロ)成分) EGDAエチレングリコールジアセテート EC/POCエチレンカーボネートとプロピレンカーボネート
との混合比が25/75(重量比)の混合物 PAH無水プロピオン酸 MMB-AC3-メチル-3- メトキシブチルアセテート POCプロピレンカーボネート (((ロ)成分) GPE-3000プロピレンオキシドとエチレンオキシドとの混
合比が50/50(重量比)の混合アルキレンオキシドをグ
リセリンに付加重合してえられるトリオール(平均分子
量3000) (()成分) DPAジメチルパルミチルアミン (界面活性剤) NPS-4ノニルフェノール1モルにエチレンオキシドを4
モル付加したものの硫酸アンモニウム塩 NPE-11ノニルフェノール1モルにエチレンオキシドを11
モル付加した非イオン系界面活性剤 実施例 不安定なトンネル切羽先端の天盤部(大きな空隙を有す
る花崗岩破砕帯)の空隙充填および安定化を図るため
に、表1における製造例の薬液注入による安定化を行
なった。施工方法は以下のようにして行なった。
【0068】すなわち、トンネル切羽先端の天盤部にト
ンネルアーチの中心から左右に60°、合計120 °の扇状
範囲内で、ジャンボ機で42mmφビットにより80cm間隔で
深さ3mの注入孔を10個削孔した。削孔角度は20°であ
った。えられた孔内に炭素鋼製(JIS G 3455、STKM 17
C)の注入ボルト(外径27.2mm、内径15mm、
長さ3m、静止ミキサーおよび逆止弁内装)を挿入し、
口元部分の約30cmを2液硬質発泡ウレタン樹脂を含
浸させたメリヤス製ウエスを鉄棒で押し込みシールし
た。なお、各注入孔のボルトは、掘削方向に対して左60
°の位置のものから右60°の位置のものへ向かってNo.
1〜10とした。
【0069】表1における製造例の注入薬液組成物の
成分A20.5kgを薬液タンクAへ、成分B40kgを薬液タン
クBへそれぞれ入れた。
【0070】つぎに成分Aおよび成分Bの各吐出ホース
先端をT字型ユニットに接続後、前記地山に固定した、
各注入孔のボルト(No. 1〜5)にジョイントし、No.
1、3、5、2、4の順で注入圧1〜10kg/cm2 ・G、
注入スピード5〜12kg/分で1孔あたり約120kg 、No.
1〜5で合計600kg 注入した。なお、比較のために、注
入孔のボルトNo. 6〜10については比較製造例1の注入
薬液組成物を用い、No. 6、8、10、7、9の順で同様
にして合計600kg 注入した。
【0071】注入薬液組成物を注入してから約90分間経
過後に地山の安定化状況を確認するために注入孔周辺を
掘進し調査したところ、No. 1〜5の左側天盤部は、固
結範囲が半径約40cmで半球状に固結しており、かつ大き
な空隙部も高密度でよくシールされていた。また、掘削
時にも天盤部からの崩落はなく、よく安定化されてい
た。
【0072】一方、No. 6〜10の右側天盤部について
は、固結範囲が半径約11cmで半球状に固結していたが、
固結土と固結土との間隙に薬液が浸透していない未固結
土部が存在し、掘進時に一部土砂の崩落が発生し、改良
が不充分であった。
【0073】実施例の結果より、本発明の注入薬液組
成物は注入ボルトより大きな空隙を有する花崗岩破砕帯
部に注入することにより空隙を完全にシールしかつ破砕
帯部にもよく浸透固結し、岩盤の安定化を図ることがで
き、トンネル掘削工事において非常に有益であることが
立証された。
【0074】
【発明の効果】本発明のトンネル掘削用の安定化用注入
薬液組成物およびそれを用いた安定強化止水工法は、以
下に述べる〜の効果を奏する。
【0075】 (A)(イ)成分であるアルカリケイ
酸塩水溶液、(A)(ロ)成分であるポリオール成分お
よび(B)成分である特定の末端イソシアネート基含有
ウレタンプレポリマーによって確実な尿素−無水ケイ酸
複合体、ウレタン−無水ケイ酸複合体および網状の無水
ケイ酸ゲル体を主体とする発泡倍率が2倍以上である発
泡状の複合固結体が形成され、さらに無機充填剤などを
用いるばあいには、ケイ酸ソーダまたは無水ケイ酸と発
泡状の複合固結体を形成して硬化し、固結強度が増加す
る。したがって、固結硬化性能が高く確実にトンネル掘
削時の岩盤ないし地盤の安定強化を達成することがで
き、かつ漏洩部では確実な止水効果が奏される。
【0076】 (A)(イ)成分、((ロ)
分、()成分ともに粘性が低く、確実に発泡固結する
ため浸透性にすぐれている。
【0077】 フロン、塩化メチレンなどの従来の発
泡剤を用いることなく発泡倍率が2倍以上である発泡状
の固結体となるため注入量が少なくてすみ、経済的であ
る。
【0078】 確実に2倍以上の発泡倍率で発泡硬化
し、固結体強度が大きいため、空隙が大きいまたはクラ
ックが多い、強度が要求される不安定岩盤、地盤、構造
物などの充填、安定強化に有効である。
【0079】 無溶剤系であるため為労働安全衛生面
においても安全性が高く、固結体の耐久性にもすぐれて
いる。
【0080】このように本発明の工法はすぐれた特徴を
有しており、一般山岳トンネルはもちろんのこと、大断
面トンネル掘削工事や大深度地下土木工事などにおいて
要求される、より確実かつ高強度で、経済的であり、安
全性にすぐれた不安定岩盤ないし地盤の安定強化、封止
および止水を達成するのにきわめて有効な工法である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C09K 103:00 (56)参考文献 特開 平4−318096(JP,A) 特開 平4−283290(JP,A) 特開 昭55−160079(JP,A) 特開 昭55−38862(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C09K 17/46 C04B 28/24 C09K 17/30 C09K 17/48 E02D 3/12 101

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)(イ)固形分濃度10〜70重量
    %のアルカリケイ酸塩水溶液、 (ロ)平均分子量40〜3000のポリオール成分およ
    び (B)エチレンオキシド単位を5〜99.5重量%含む
    ポリオールとポリメチレンポリフェニルポリイソシアネ
    ートまたはジフェニルメタンジイソシアネートとの反応
    生成物から選ばれた少なくとも1種の末端イソシアネー
    ト基含有ウレタンプレポリマー成分 からなるトンネル掘削用の岩盤または地盤の安定化用注
    入薬液組成物。
  2. 【請求項2】 前記ウレタンプレポリマー成分が、 (イ)エチレンオキシド単位を5〜99.5重量%含む
    ポリオールとポリメチレンポリフェニルポリイソシアネ
    ートまたはジフェニルメタンジイソシアネートとの反応
    生成物から選ばれた少なくとも1種の末端イソシアネー
    ト基含有ウレタンプレポリマーおよび (ロ)前記(イ)のウレタンプレポリマーとは反応しな
    いが、(A)(イ)のアルカリケイ酸塩水溶液によりア
    ルカリ加水分解され、その分解生成物が(A)(イ)の
    アルカリケイ酸塩水溶液および/または前記(イ)のウ
    レタンプレポリマーと反応するエステルまたはエーテル
    である反応性希釈剤からなるものである請求項1記載の
    安定化用注入薬液組成物。
  3. 【請求項3】 岩盤ないし地盤に所定間隔で複数個の孔
    を穿設し、前記孔内に中空の注入ボルトを挿入し、ボル
    トの開口部より請求項1または2記載の安定化用注入薬
    液組成物を岩盤ないし地盤に注入し、固結ないし封止せ
    しめることを特徴とするトンネル掘削のための岩盤ない
    し地盤の安定強化止水工法。
  4. 【請求項4】 注入薬液組成物の注入を静止ミキサーを
    介して行なう請求項3記載の安定強化止水工法。
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