JP2004075754A - 岩盤、地盤、人工構造物等の安定強化用注入薬液組成物及びそれを用いたその安定強化止水工法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】珪酸ナトリウム水溶液、有機ポリイソシアネート組成物からなる岩盤、地盤、人工構造物等の安定強化用注入薬液組成物において、珪酸ナトリウム水溶液の二酸化珪素/酸化ナトリウムのモル比が2〜5であり、有機ポリイソシアネート組成物がポリイソシアネート、モノエステル化合物、及び難燃剤を含有することを特徴とする前記薬液組成物により解決する。なお、必要に応じてアミン系触媒、活性水素基含有化合物、界面活性剤を併用してもよい。
【選択図】 なし
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、地盤や人工構造物等の安定強化用注入薬液組成物及びそれ用いた安定強化止水工法に関する。更に詳しくは、破砕帯を有する岩盤や不安定軟弱地盤の固結安定化ないし封止、漏水、湧水のある岩盤ないし地盤の止水や空隙充填、更にコンクリート等の人工構造物のクラック、空隙、既設トンネル等の安定強化、封止及び止水工法並びにそれに用いる安全性の高い、低粘度タイプの安定強化用注入薬液組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、不安定岩盤や地盤の安定強化、人工構造物のクラックや空隙の充填法の1つとして無機ないし有機系グラウトの注入が行なわれ、ある程度の効果をあげている。
【0003】
しかしながら、これらの方法を詳細にチェックすると、必ずしも満足しうる結果が得られていない。例えば、一般に多用されているセメントミルクは懸濁液であるため、岩盤や人工構造物等のクラックや砂礫等の地盤層への浸透性が悪く、しかも固結速度や強度発現が遅いため、短時間に固結して強度が発現することが要求されるトンネルや地下地盤掘削時の不安定地盤を早期に安定強化させる目的を達成しえない。更に、湧水や漏水のみられる場合には、なおさら注入セメントミルクが希釈、流失してしまう。また代表的な無機系グラウトである水ガラス系2液システムグラウトについても固結体強度が0.29〜0.98MPa程度と低く、更に固結体が水と接触すると経時変化が起こり、二酸化珪素(SiO2 )や酸化ナトリウム(Na2 O)等の主成分が溶脱し、アルカリ汚染や大幅な強度低下にいたるという問題がある。
【0004】
一方、尿素系等の有機系グラウトについても固結強度不足や、硫酸、ホルマリン等の硬化成分や助剤成分の溶出が発生するという問題がある。また、特公昭63−63687号公報、特公昭63−63688号公報、特開昭63−7413号公報、特開昭63−7490号公報、特開昭63−7491号公報、特開昭63−8477号公報、特開昭63−35913号公報等には、ポリオールとポリイソシアネートを主成分とする速硬性硬質発泡ウレタンシステム注入による岩盤の固結工法が記載されている。
【0005】
また、特開昭61−9482号公報及び特開昭55−160079号公報には、ポリイソシアネートと水ガラス(珪酸ソーダ水溶液)とを用い、水ガラス側にポリイソシアネートの三量化触媒として特定の芳香族三級アミンであるマンニッヒ塩基を配合してなる注入薬液組成物が記載されている。
【0006】
なお、特開平7−179855号公報では、ポリイソシアネートと水ガラス(珪酸ソーダ水溶液)とを用い、水ガラス側に、分子量120以上で水酸基を1個又は2個有する三級アミン系触媒を用いた注入薬液組成物が記載されている。また、特開平7−207654号公報では、ポリイソシアネートと水ガラスとを用い、水ガラス側に、分子量が120以上で窒素原子数が2以上である水溶性脂肪族三級アミンを用いた注入薬液組成物が記載されている。
【0007】
又、作業環境下では、外気温度や薬液温度により、均一な発泡・浸透性能が得られないという問題を抱えている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術に着目してなされたもので、特定成分よりなる注入薬液組成物を注入し、従来形成することが困難であった発泡状の無機−有機複合固結体を外気温度や薬液注入温度に影響されること無く安定した発泡・浸透性能を付与する事から、より強固な形成力が得られ、固結強度が大きく、岩盤、地盤、人工構造物等の安定強化能が大きいだけでなく、耐久性、水質の低汚染性に優れ、注入作業性及び経済性に優れた岩盤、地盤、人工構造物等の安定強化ないしは止水を可能ならしめることを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(9)に示されるものである。
(1) 珪酸ナトリウム水溶液(A)、25℃での粘度が100mPa・s以下の有機ポリイソシアネート組成物(B)からなる岩盤、地盤、人工構造物等の安定強化用注入薬液組成物において、
珪酸ナトリウム水溶液(A)の二酸化珪素/酸化ナトリウムのモル比が2〜5であり、有機ポリイソシアネート組成物(B)がポリイソシアネート(B1)、脂肪族モノカルボン酸とポリオキシアルキレンアルキルエーテルから得られる数平均分子量が150〜500のモノエステル化合物(B2)と、難燃剤(B3)を含有することを特徴とする前記薬液組成物。
【0010】
(2) アミン系触媒(C)を含有してなる前記(1)の安定強化用注入薬液組成物。
【0011】
(3) 活性水素基含有化合物(D)を含有してなる前記(1)又は(2)の安定強化用注入薬液組成物。
【0012】
(4) 界面活性剤(E)を含有してなる前記(1)〜(3)のいずれかの安定強化用注入薬液組成物。
【0013】
(5) (B1)が、二核体を20〜70質量%含有するジフェニルメタンジイソシアネート系多核縮合体であって、かつ、前記二核体が2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネートと2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートを合計で5〜60質量%含有するものであることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかの安定強化用注入薬液組成物。
【0014】
(6) (B2)が、カプリル酸と、2−エチルヘキサノール又はオクタノールのポリエチレンオキサイド付加体とのエステルであることを特徴とする、前記(1)〜(5)のいずれかの安定強化用注入薬液組成物。
【0015】
(7) (B3)が、ハロゲン系化合物、リン酸エステル系化合物、リン系化合物、窒素化合物、ホウ素系化合物、硫黄系化合物等のいずれかである事を特徴とする、前記(1)〜(6)のいずれかの安定強化用注入薬液組成物。
【0016】
(8) 岩盤ないし地盤に所定間隔で複数個の孔を穿設し、前記孔内に中空の注入ボルトを挿入し、ボルトの開口部より前記(1)〜(7)のいずれかの安定強化用注入薬液組成物を、岩盤ないし地盤に注入し、固結ないし封止させることを特徴とする、岩盤ないし地盤の安定強化止水工法。
【0017】
(9) 人工構造物に注入パイプを挿入し、該注入パイプを介して前記(1)〜(7)のいずれかの安定強化用注入薬液組成物を、人工構造物及び/又はその背面に注入し、固結ないし封止させることを特徴とする、人工構造物の安定強化止水工法。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の岩盤、地盤、人工構造物等の安定強化用注入薬液組成物(以下、注入薬液組成物という)は、珪酸ナトリウム水溶液(A)、25℃での粘度が100mPa・s以下の有機ポリイソシアネート組成物(B)からなる岩盤、地盤、人工構造物等の安定強化用注入薬液組成物であり、必要に応じてアミン系触媒(C)、活性水素基含有化合物(D)、界面活性剤(E)を用いることができる。
【0019】
本発明の注入薬液組成物の固結反応は、極めて複雑であるため明確ではないが、以下に示す反応が並行して進行して固結するものと思われる。
(1)珪酸ナトリウム水溶液(A)と有機ポリイソシアネート組成物(B)とを混合したときに、(A)中に形成されるシラノール基と(B)中のイソシアネート基とが反応して無水珪酸−ウレタン複合体が形成される。
(2)同時に(B)中のイソシアネート基が(A)中の水と反応して炭酸ガスを発生しながら尿素結合による多量体や無水珪酸−尿素架橋複合体が形成される。
(3)また、副生した炭酸ガスの一部は(A)中に溶解し、(A)中のアルカリ珪酸塩をゲル化して無水珪酸ゲルが形成される。
(4)更に、上記活性水素基含有化合物(D)が存在する場合には、(D)中の水酸基と(B)中のイソシアネート基とが反応してウレタン結合が形成される。
【0020】
(B)と水との反応によって発生する炭酸ガス並びに(A)と(B)との反応時及び(B)と(D)との反応時に発生する反応熱によって発生する水蒸気により、前記無水珪酸−ウレタン複合体は発泡状の固結体を形成し、その体積を増大させる。このとき、発泡が生じるが、かかる発泡時の発泡圧により、前記無水珪酸−ウレタン複合体が土砂、岩石、レンガ、石炭、人工構造物等の間隙に入り込みやすくなる。
【0021】
以下、本発明の注入薬液組成物の構成成分について述べる。
本発明における珪酸ナトリウム水溶液(A)は、前記したように、主としてそのシラノール基と後述する(B)中のイソシアネート基との反応によって無水珪酸−ウレタン複合体を形成させる成分である。
【0022】
前記(A)としては、一般式としてNa2 O・nSiO2 で表わされる珪酸ナトリウム(珪酸ソーダ)の水溶液を主成分とするものであり、SiO2 (二酸化珪素)/Na2 O(酸化ナトリウム)のモル比はnで表される。このnは一般的には1〜5であるが、本発明においては2〜5であり、2〜4が好ましい。nが2より小さい場合には、珪酸ナトリウム水溶液のpH値が高くなり、前記、無水珪酸−ウレタン複合体が形成される過程で、本発明に用いられる「脂肪族モノカルボン酸とポリオキシアルキレンアルキルエーテルとのモノエステル化合物」(B2)がアルカリ加水分解されやすく、その分解生成物が単なる混合物として存在し、それが本発明により得られる発泡体表面に移行し、水質汚染性の高い発泡体を形成しやすくなる。一方、nが5より大きい場合には、同一固形分濃度で比較した場合、珪酸ナトリウム水溶液の粘度が高くなり、本発明に規定する有機ポリイソシアネート組成物(B)との混合性が悪くなり、使用の際の作業性が悪くなることや注入薬液組成物としての強度が発現しにくくなるため好ましくない。
【0023】
また、前記(A)の固形分濃度は、通常10〜70質量%であることが好ましく、特に20〜50質量%となるように調整することが好ましい。具体的には、2号珪酸ソーダN6、2号珪酸ソーダQ5、2号珪酸ソーダH3、2号珪酸ソーダT8、3号珪酸ソーダ、4号珪酸ソーダ(いずれも東曹産業株式会社製)等が挙げられる。
【0024】
本発明における有機ポリイソシアネート組成物(B)は、ポリイソシアネート(B1)と希釈剤からなるものである。
【0025】
ポリイソシアネート(B1)としては、例えば、本発明に用いられる有機ポリイソシアネート(B)は、ジフェニルメタンジイソシアネート系多核縮合体(以後ポリメリックMDIと略称する)からなるものである。
【0026】
(B)の粘度は、活性水素基含有化合物(B)との混合性だけでなく、空隙への注入性、浸透性を向上させるため、25℃で100mPa・s以下が好ましく、更に好ましくは80mPa・s以下である。粘度が大きすぎると、作業性が低下しやすいだけではなく、薬液注入の際にポンプ圧を高くしなければならず、ラインの破損を招きやすい。また、(B)のイソシアネート含量は20〜32質量%であり、好ましくは25〜32質量%であり、更に好ましくは28〜32質量%である。
【0027】
本発明に用いられるポリメリックMDI(B)は、縮合度の異なる有機イソシアネート化合物の混合物を意味する。(B例えばアニリンとホルマリンとの縮合反応によって得られる縮合混合物(ポリアミン)をホスゲン化等によりアミノ基をイソシアネート基に転化することによって得られ)の組成は、アニリンとホルマリンとの縮合時の原料組成比や反応条件、各種ポリメリックMDIの混合比等を変えることによって様々なものが得られる。本発明に用いられる(B)は、イソシアネート基への転化後の反応液、又は反応液から溶媒の除去、又は一部ジフェニルメタンジイソシアネート(以後MDIと略称する)を留出分離した缶出液、反応条件や分離条件等の異なった数種の混合物、更にMDIを添加したものであってもよい。本発明に用いられる(B)の組成は、1分子中にイソシアネート基及びベンゼン環を各2個有する、いわゆる二核体を20〜70質量%、及び1分子中にイソシアネート基及びベンゼン環を各3個以上有する、いわゆる多核体混合物を80〜30質量%含む混合物であり、好ましくは二核体を30〜60質量%及び多核体混合物を70〜40質量%含む混合物である。また、イソシアネート基の一部をビウレット、アロファネート、カルボジイミド、オキサゾリドン、アミド、イミド、イソシアヌレート、ウレトジオン等に変性したものであってもよい。
【0028】
(B)中の二核体含有量が20質量%より低い時は、低粘度化が達成できず、70質量%より高い時には二核体自体の低温時の固化(結晶化)による影響が強く出て、特に冬期の貯蔵安定性が低下するため好ましくない。
【0029】
ポリメリックMDI中の二核体すなわちMDIは、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート(以後2,2′−MDIと略称する)、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(以後2,4′−MDIと略称する)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(以後4,4′−MDIと略称する)の3種類の異性体が存在する。本発明に用いられるポリメリックMDI(B)中の二核体は、2,2′−MDIと2,4′−MDIを合計で5〜60質量%、4,4′−MDIが95〜40質量%含有するものであり、好ましくは2,2′−MDIと2,4′−MDIの合計が10〜50質量%、4,4′−MDIが90〜50質量%含有するものである。ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと称する)、MDIとMDI系多核縮合体との混合物(以下、ポリメリックMDIと称する)、2−ニトロジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジフェニルプロパン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、4,4′−ジフェニルプロパンジイソシアネート、1,2−フェニレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、o−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トルエンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート、また、これら有機ジイソシアネートのビウレット変性体、イソシアヌレート変性体、ウレトンイミン変性体、ウレトジオン変性体、カルボジイミド変性体等のいわゆる変性ポリイソシアネートを挙げることができる。これらのイソシアネートは単独又は2種以上の混合物で使用することができる。
【0030】
また、前記のポリイソシアネートを活性水素基含有化合物を変性剤として、例えばイソシアネート基と活性水素基との当量比(NCO基/活性水素基)が1.5〜500、好ましくは2.0〜400の範囲となるように公知の方法で反応させて得られるイソシアネート基含有プレポリマーも前記(B1)として好適に用いることができる。この変性剤としては、低分子モノオール類、低分子ポリオール類、低分子アミノアルコール類、低分子グリコールエーテル類、高分子モノオール類、高分子ポリオール類の他、後述する低分子モノアミン類、低分子ポリアミン類、高分子ポリアミン類等が挙げられる。
【0031】
低分子モノオール類としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、n−アミルアルコール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、n−ノナノール、n−デカノール、n−ラウリルアルコール、n−トリデカノール、n−テトラデカノール、n−ペンタデカノール、n−ヘプタデカノール、n−オクタデカノール(ステアリルアルコール)、i−プロパノール、i−ブタノール、2−エチルヘキサノール、メチル−1−ノナノール、ジメチル−1−オクタノール、テトラメチル−1−ヘキサノール、3−エチル−4,5,6−トリメチルオクタノール、4,5,6,7−テトラメチルノナノール、2−ヘキシルドデカノール、2−ヘキサデシルオクタノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサンメタノール、ベンジルアルコール等の単品又は2種以上の混合物が挙げられる。
【0032】
低分子ポリオール類としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ソルビトール、蔗糖等の単品又は2種以上の混合物が挙げられる。
【0033】
低分子アミノアルコール類としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−n−ブチルエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、N−(β−アミノエチル)イソプロパノールアミン等の単品又は2種以上の混合物が挙げられる。
【0034】
低分子グリコールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールエーテル等の単品又は2種以上の混合物が挙げられる。
【0035】
高分子モノオール類としては、前述の低分子モノオール類、低分子アミノアルコール類、低分子グリコールエーテル類のうち、活性水素を1個有する化合物の単独又は混合物にエチレンオキサイド(以後、EOと略す)、プロピレンオキサイド(以後、POと略す)、ブチレンオキサイド(以後、BOと略す)等のアルキレンオキサイドやスチレンオキサイド等のエポキサイドを単独又は併用し、公知の方法で付加重合して得られるポリエーテルモノオール類が挙げられる。また、前述の低分子モノオールの単独又は混合物に、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン等の環状エステル(ラクトン)モノマーの開環重合で得られるラクトン系ポリエステルモノオールが挙げられる。
【0036】
高分子ポリオール類としては、ポリエーテルポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類等が挙げられる。これらは単独又は2種以上を混合して用いることができる。
【0037】
ポリエーテルポリオール類としては、前述の低分子ポリオール類、低分子アミノアルコール類、低分子ポリアミン類の単独又は2種以上の混合物を開始剤として、EO、PO、BO等のアルキレンオキサイド、スチレンオキサイド、メチルグリシジルエーテル等のアルキルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル等のアリールグリシジルエーテル、テトラヒドロフラン等の環状エーテルモノマー単品又は混合物を公知の方法により付加重合することで得られるものが挙げられる。
【0038】
ポリエステルポリオール類としては、前述の低分子ポリオール類、低分子アミノアルコール類、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トルエンジアミン、メタフェニレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン等の低分子ポリアミン類の単独又は2種以上の混合物と、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロオルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸、ヘキサヒドロトリメリット酸等のポリカルボン酸、酸エステル、又は酸無水物等の1種以上との縮合反応で得られる、ポリエステルポリオール又はポリエステルアミドポリオールが挙げられる。また、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン等の環状エステル(ラクトン)モノマーの開環重合で得られるラクトン系ポリエステルポリオールが挙げられる。
【0039】
ポリカーボネートポリオール類としては、前述のアルコール類のうち1分子中に活性水素基を2個以上有するものと、ジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジフェニルカーボネート等との脱アルコール反応、脱フェノール反応等で得られるものが挙げられる。
【0040】
低分子モノアミン類としては、例えば、エチルアミン、ブチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、アニリン、N−メチルアニリン、ジフェニルアミン等が挙げられる。
【0041】
低分子ポリアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トルエンジアミン、メタフェニレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン等の単品又は2種以上の混合物が挙げられる。
【0042】
高分子ポリアミン類としては、分子内にオキシアルキレン構造を有するポリオキシアルキレンポリアミン類を挙げることができ、例えば、ポリオキシプロピレンジアミンとして、ジェファーミンD−2000(ハンツマン・スペシャリティー・ケミカルズ社製、アミン当量約1,000)やポリオキシプロピレントリアミンとして、テックスリムTR−5050(ハンツマン・スペシャリティー・ケミカルズ社製、アミン当量約1,930)、ジェファーミンT−403(ハンツマン・スペシャリティー・ケミカルズ社製、アミン当量約160)等の単品又は2種以上の混合物が挙げられる。
【0043】
好ましい変性剤としては、得られるイソシアネート基含有プレポリマーの粘度、薬液組成物の他成分の相溶性等を考慮すると、数平均分子量が32〜5,000、平均官能基数が1〜5の脂肪族アルコール、水酸基含有ポリエーテルであり、特に数平均分子量が300〜4,500、平均官能基数が1〜3の水酸基含有ポリエーテルである。
【0044】
これらの変性剤とポリイソシアネートを反応させてイソシアネート基末端プレポリマーを得る際の、イソシアネート基と活性水素基との当量比(NCO基/活性水素基)は、得られるイソシアネート基含有プレポリマーの粘度等を考慮すると、1.5〜500が好ましく、更には5〜400が好ましい。
【0045】
本発明で好ましいポリイソシアネート(B1)は、固結強度等を考慮すると、ポリメリックMDI、ポリメリックMDIを前述の変性剤で変性したイソシアネート基含有プレポリマーが好ましい。
【0046】
また、(B1)がポリメリックMDIや、ポリメリックMDIを前述の変性剤で変性したイソシアネート基含有プレポリマーである場合において、ポリメリックMDI中に存在するMDIは、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、2,2′−MDIと略称する)、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、2,4′−MDIと略称する)、及び4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、4,4′−MDIと略称する)の3種類の異性体の任意割合の混合物である。本発明におけるMDIの異性体質量構成比は、(2,2′−MDI+2,4′−MDI):4,4′−MDI=0:100〜50:50が好ましく、更には(2,2′−MDI+2,4′−MDI):4,4′−MDI=5:95〜45:55がより好ましい。
【0047】
MDI中の2,2′−MDIと2,4′−MDIの合計量が、50質量%を越える場合は、4,4′−MDIよりも、2,2′−MDIや2,4′−MDIの方が分子構造的に柔軟なため、固結強度が発現しにくくなる。
【0048】
MDIとMDI系多核縮合体の質量比は、MDI/MDI系多核縮合体=20/80〜80/20が好ましい。MDIが少なすぎる場合は、薬液の粘度が高くなりやすい。また、MDIが多すぎる場合は、薬液の低温貯蔵時において、MDIの結晶化により析出物が出やすい。
【0049】
本発明に用いられる希釈剤は、(B1)との相溶性、減粘性に優れ、更に貯蔵安定性に優れる希釈剤であることが必要で、例えば特開平4−283290号公報、特開平9−25483号公報、特開平6−207174号公報、特開平7−207654号公報に記載のように、低分子量二塩基酸のジエステル類、モノ又は多価アルコール類の酢酸エステル類、アルキレンカーボネート類、エーテル類、環状エステル類、酸無水物、各種のアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の反応性希釈剤を用いる方法が挙げられている。
【0050】
それに対し本発明は、前記、希釈剤に要求される要件に加えて、安定強化用注入薬液組成物により得られる発泡体表面への移行がなく、固結強度が大きいという特徴を有する点から、「脂肪族モノカルボン酸とポリオキシアルキレンアルキルエーテルから得られる数平均分子量が150〜500のモノエステル化合物」(B2)を希釈剤に選択したことを特徴とする。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(=分子量146)や、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート(=分子量118)のようにエーテルモノエステル化合物の(数平均)分子量が150未満の場合は、強度発現が遅くまた、固結強度も小さい。また、500を越える場合は、(B)の粘度が大きくなり、作業性が低下することがある。又、作業環境下に於いて、外気温度や薬液注入温度に影響される点を考慮し、難燃剤(B3)を併用し、発泡・浸透性能の安定化を特徴とし、希釈剤に選択した。
【0051】
なお、希釈剤としては、更に酢酸エチル、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、1,1,1−トリクロロエタン、塩化メチレン、トリクロロフルオロメタン等の有機溶剤が挙げられるが、これらの有機溶剤は揮発性であり、固結後放出されるので、災害予防や環境破壊の観点から、できるだけ使用しないほうが好ましい。
【0052】
(B2)は、基本的には前述の(A)や(B1)との反応性がほとんどないため、希釈剤の「分解生成物」が発生することがなく、この「分解生成物」が溶出して水質を汚染する恐れがない。また、(B2)は(A)との相溶性も低いものであるが、本発明の薬液組成物から得られる発泡体を水に浸漬させても、(B2)がしみ出てくることはない。これは、前記のように(A)と(B)とを混合したときに、(A)中に形成されるシラノール基と(B)中のイソシアネート基とが反応して無水珪酸−ウレタン複合体が形成され、同時に(B)が(A)に含まれる水と反応して炭酸ガスを発生しながら尿素結合による高分子量体を生成する過程で、(A)と(B)とを混合させて得られる発泡体の中にそのまま物理的に強固に取り込まれるためと考えられる。
【0053】
なお、ここでの「反応性」、「相溶性」におけるタイムスパンは、岩盤等の強化用薬液組成物の使用としてのタイムスパンであり、長くても10分程度である。つまり、岩盤等の強化用薬液組成物は、各成分を混合した後、「直ちに」注入・固化させて使用するものであり、混合から固化までの時間は数分程度である。本発明に用いられる(B2)は、厳密な意味では(A)によりアルカリ加水分解されるが、実質的に加水分解されるまでの所要時間は十時間以上必要であり、薬液組成物における反応性は「ない」として問題ない。このため、(B2)を(A)に配合して使用することも可能である。この場合、(B2)と(A)は2層に分離するが、十分に混合して懸濁状態にしてから使用することになる。
【0054】
脂肪族モノカルボン酸としては、例えば酢酸、プロピオン酸、酪酸、バレリアン酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、安息香酸等及びそのiso−体等の異性体が挙げられる。安息香酸等の芳香族モノカルボン酸やフタル酸、アジピン酸等のジカルボン酸の場合には、得られるエステル化合物、特にジエステル化合物はいわゆる可塑剤として一般的なものであり、これらは(A)との相溶性が低く、希釈剤が発泡体の表面に移行しやすくなるため好ましくない。
【0055】
ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、脂肪族モノアルコールを開始剤として、アルキレンオキサイドを公知の方法で付加させたものが挙げられ、脂肪族モノアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、n−アミルアルコール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、n−ノナノール、n−デカノール、n−ラウリルアルコール、n−トリデカノール、n−テトラデカノール、n−ペンタデカノール、n−ヘプタデカノール、n−オクタデカノール(ステアリルアルコール)、i−プロパノール、i−ブタノール、2−エチルヘキサノール、メチル−1−ノナノール、ジメチル−1−オクタノール、テトラメチル−1−ヘキサノール、3−エチル−4,5,6−トリメチルオクタノール、4,5,6,7−テトラメチルノナノール、2−ヘキシルドデカノール、2−ヘキサデシルオクタノール等アルキルアルコールの単独又は混合物が挙げられる。アルキレンオキサイドとしては、EO、PO、BO等の単独又は混合物が挙げられる。
【0056】
本発明においては、特にカプリル酸と、2−エチルヘキサノール又はオクタノールを開始剤としたポリオキシエチレンモノオールとのモノエステルが特に好ましい。
【0057】
本発明では、薬液が密閉空間で使用され、また、熱源が近くにある状況で使用されることが多いことから、難燃剤(B3)が使用される。難燃剤(B3)を使用することにより、発泡状の無機−有機複合固結体を外気温度や薬液注入温度に影響されること無く、安定した発泡・浸透性能を付与することができる。難燃剤(B3)としては、ハロゲン系化合物、リン酸エステル系化合物、リン系化合物、窒素化合物、ホウ素系化合物、硫黄系化合物等が挙げられる。これらは、単独もしくは併用して使用できる。前記難燃剤用ハロゲン系化合物としては、ヘキサブロモシクロドデカン、1,1,2,2−テトラブロモエタン、1,2,3,4−テトラブロモエタン、1,4,5,6−テトラブロモ無水フタル酸、テトラブロモビスフェノールA等が挙げられる。リン酸エステル系化合物としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ−2−エチルヘキシルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート等のノンハロゲン燐酸エステル類、トリス(β−クロロエチル)ホスフェート、トリス(β−クロロプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリス(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(1,3−ジクロソプロピル)ホスフェート、トリス(2−クロロエチル)ホスフェート、トリス(2,4,6−トリブロモフェニル)ホスフェート、ビス(β−クロロエチル)ビニルホスホン酸エステル、トリアリルホスフェート等の含ハロゲン縮合燐酸エステル類が挙げられる。リン系化合物としては、オルソリン酸、リン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム、リン酸尿素、リン酸グアニル尿素、ポリホスホリルアミド、リン酸メラミン、ポリホスホリルアミドアンモニウム、ホスホリルトリアニライド、ホスホニトリル、トリス(2−カルバモイルエチル)ホスフィン、トリス(2−カルバモイルエチル)ホスフィンオキシド、ホスホリルアミド、ホスフィンアミド、ビニルホスホン酸等が挙げられる。窒素系化合物としては、トリメチロールメラミン、及びN−メチロールアクリルアミド等が挙げられる。ホウ素系化合物としては、ホウ酸、リン酸ホウ素、ホウ酸アンモニウム等が挙げられる。硫黄系化合物としては、チオ尿素、硫酸アンモニウム、スルファミン酸アンモニウム等が挙げられる。その他の難燃剤用化合物としては、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ソーダ、三塩化アンチモン、塩化亜鉛、塩化スズ、二酸化錫、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機化合物が挙げられる。なお、臭素系難燃剤を用いた場合、アンチモン化合物、例えば、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ソーダ等を難燃助剤として用いると難燃効果が向上する。本発明においては、常温液状であり、比重も大きくないリン酸エステル系難燃剤が好ましい。
【0058】
本発明に用いられる有機ポリイソシアネート組成物(B)の粘度は、(A)との混合性だけでなく、岩盤、地盤、人工構造物等への注入性、浸透性を向上させるため、25℃で100mPa・s以下が好ましく、更に好ましくは80mPa・s以下である。粘度が大きすぎると、作業性が低下しやすいだけではなく、薬液注入の際にポンプ圧を高くしなければならず、ラインの破損を招きやすい。この粘度を達成するためには、(B1)と(B2)+(B3)の質量比は、(B2)+(B3)/(B1)=5/100〜100/100にすることが好ましい。
【0059】
前記(A)と(B)の配合比は、(A)中の例えばNa2OとSiO2とのn(モル比)や、(B)のイソシアネート含量等によって異なるので一概には決定することができないが、通常(A)と(B)との配合割合((A)/(B))が質量比で10/100〜100/10が好ましく、特に20/100〜100/20となるように調整することが好ましい。かかる配合割合が前記下限値よりも小さい場合には、注入薬液組成物コストが高価なものとなり不経済となるうえ、比例式注入ポンプでの配合比のコントロールが極めて困難となる傾向があり、また前記上限値よりも大きい場合には、注入薬液組成物の固化が不充分で未硬化状となり、たとえ固化しても強度が低く、脆くて実用に供しえなくなる傾向がある。
【0060】
本発明ではアミン系触媒(C)を用いると、前記(A)、(B)及び後述する(D)の反応硬化を促進するため好ましい。該(C)は、(A)との相溶性が良好で、皮膚や衣服に付着しても水洗によって容易に除去され、触媒活性も高いものが好ましい。
【0061】
このようなアミン系触媒の具体例としては、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、N−メチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、1−エチルイミダゾール、1−プロピルイミダゾール、1−シアノイミダゾール、1−シアノメチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1,4−ジメチルイミダゾール、1−メチル−2−エチルイミダゾール、1−メチル−4−エチルイミダゾール、1−エチル−2−メチルイミダゾール、1−エチル−4−メチルイミダゾール、ピリジン、α−ピコリン等が挙げられる。
【0062】
また、(B)と反応する活性水素基を有するアミン系触媒として、N,N−ジメチルエタノールアミン等のN,N−ジアルキルアルカノールアミン、N−メチルジエタノールアミン等のN−アルキルジアルカノールアミン、トリエタノールアミン等のトリアルカノールアミン、N,N,N′−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルヒドロキシプロピレンジアミン等も使用することができる。
【0063】
なお、同じく反応性を調整する目的で使用される金属系触媒のうち、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート等の触媒は、岩盤ないし地盤固結用の注入薬液に関する「山岳トンネル工法におけるウレタン注入の安全管理に関するガイドライン」(平成4年10月 日本道路公団発行)の中で挙げられている地下水の水質管理の観点から判断して、土壌汚染のおそれがあるため好ましくない。他の金属系触媒であるナフテン酸カルシウム,オクチル酸スズ,オクチル酸亜鉛等の金属系触媒も同様の観点から土壌汚染のおそれがあるため好ましくない。
【0064】
更に(A)と(C)の配合量は質量比で、前記(A)/(C))=100/0.1〜100/20が好ましく、特に100/0.5〜100/15であることが好ましい。かかる(C)の配合量が前記下限値未満である場合には、硬化しにくく固結反応が不充分で、目的とした性能の固結体が得られにくくなる傾向があり、また前記上限値を越える場合には、硬化反応が速すぎて前記(A)、(B)及び後述する必要に応じて用いられる界面活性剤(E)が均一に混合されにくくなる傾向がある。
【0065】
本発明では、活性水素基含有化合物(D)を用いると、固結強度が向上するので好ましい。このような(D)としては、例えば前記(B)であるイソシアネート基末端プレポリマーに用いられる活性水素基含有化合物が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。また、これらのポリオールの数平均分子量は62〜20,000であることが好ましく、特に76〜10,000が好ましい。実質平均官能基数は1以上が好ましく、特に1〜4が特に好ましい。
【0066】
前記(D)の配合量は、用いる(B)の種類等によって異なるので一概には決定することができないが、通常(B)と(D)との配合割合が、(B)中のイソシアネート基と(D)中の活性水素基とのモル比(NCO基/活性水素基)が0.5〜500が好ましく、特に1〜450となるように調整することが好ましい。かかるイソシアネート基と水酸基のモル比が前記下限値未満である場合には、注入薬液組成物から得られる固結体が柔かすぎて実用に供しにくくなる傾向があり、また前記上限値を越える場合には、固結体が脆くなる傾向がある。
【0067】
また、上記と同様に(A)と(B)の二相間の分散や反応性を調整する目的で、界面活性剤(E)を用いることが好ましい。このような(E)としては、EO、PO等のアルキレンオキサイドを含有するポリオキシアルキレンエーテルと、少なくとも1個の活性水素を含有する有機化合物とを縮合することによって得られる。この少なくとも1個の活性水素を含有する有機化合物としては、アルコール、フェノール、チオール、1級又は2級アミンや、1個以上のアルキル置換基を有するフェノール系化合物のポリアルキレンオキサイド誘導体を挙げることができる。
【0068】
また、(E)としては、シリコーン系界面活性剤も挙げることができ、これには活性水素基を含有するものと含有しないものとがある。好ましいのは、活性水素基を含有しないタイプである。例えば、各種のシロキサンポリアルキレンオキシドブロック共重合体が挙げられる。具体的には、日本ユニカー製のL−5340、テー・ゴールドシュミット製のB−8451、B−8407等を挙げることができる。なお、界面活性剤の添加量は、界面活性剤は、あらかじめ(A)及び/又は(B)に添加することができ、(A)及び/又は(B)に対して0.05〜5質量%が好ましい。
【0069】
更に本発明の注入薬液組成物には、必要に応じて、セメント、高炉スラグ、石こう、炭酸カルシウム、粘土、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン、生石灰、消石灰、ベントナイト等の無機充填剤、(B2)、(B3)以外の希釈剤、レベリング剤、難燃剤、シリコーン系整泡剤、老化防止剤、耐熱性付与剤、抗酸化剤、触媒等を適宜配合量を調整して配合することができる。本発明においては、前記の触媒、界面活性剤、各種添加剤等の各種添加剤を添加することもできるが、あくまでも土壌汚染をおこさないものに限定すべきである。
【0070】
本発明の注入薬液組成物を調整する際の前記各成分の混合順序には特に限定がないが、通常、(A)、更には場合によっては(C)、(D)の混合物(以下、A液と称する)と、(B)、更には場合によっては(E)の混合物(以下、B液と称する)との二成分系として用いられる。なお、(E)はB液ではなく、A液に添加しておくことも可能である。
【0071】
本発明における、A液とB液からなる注入薬液組成物は、空隙やクラックの多い軟質ないし不安定な地盤、岩盤、破砕帯層、更にはクラックや空隙を有する人工構造物等に注入され、固結ないし封止されるが、このように注入して固結ないし封止する方法については特に限定がなく、公知の方法を採用しうる。その一例をあげれば、例えばA液、B液の注入量、圧力、配合比等をコントロールしうる比例配合式ポンプを用い、A液とB液とを別々のタンクに入れ、岩盤等の所定箇所(例えば0.5〜3m程度の間隔で穿設された複数個数の孔)に、あらかじめ固定されたスタチックミキサーや逆止弁等を内装した有孔のロックボルトや注入ロッドを通し、この中に前記タンク内の各成分を注入圧0.05〜5MPa(ゲージ圧)で注入し、スタチックミキサーを通して所定量の前記A液とB液とを均一に混合させ、所定の不安定岩盤ないし地盤箇所に注入浸透、硬化させて固結ないし封止し、安定化する方法等がある。なお、本発明において、封止とは、空洞や空隙に注入薬液組成物を充填し、間隙を埋めることをいう。
【0072】
また、例えばトンネル切羽先端の天盤部に注入する場合には、注入に先立ち、例えば約1mの所定の間隔で例えば直径42mmのビットでジャンボ機を用いて削孔し、深さ2m、削孔角度10〜25°の注入孔を設け、この注入孔にスタチックミキサーを内挿した長さ3mの中空炭素鋼管製注入ボルトを挿入し、注入薬液組成物を前記した方法で注入することが好ましい。注入作業は、注入圧が急激な上昇した時点で終了する。一般に、注入孔1個あたり薬液量は30〜200kgであることが好ましい。
【0073】
また、人工構造物のクラック等の安定強化止水は、例えば該クラック面に対して20〜50cm間隔で直径10mm、深さ5〜10cmにドリルで削孔し、孔内の削りくずや粉塵を圧縮空気で吹きとばし、削孔上に脱脂綿を約5mm厚にのせ、その上から直径約10mm、長さ20〜30mmの注入パイプを打ち込み、注入薬液組成物のリークのない状態にセットする。また、クラックや漏水等の発生箇所に対して約30cmピッチでU字又はV字カットし、注入パイプを急結セメントで固定する。次にスタチックミキサー等を内装したY字管又はT字管を通し、A液とB液とを比例配合式ポンプ又は手押し式ポンプ等を用いて所定の配合比で注入圧0.05〜2MPa(ゲージ圧)、好ましくは0.05〜0.2MPa(ゲージ圧)で所定量注入する。
【0074】
本発明の安定強化止水工法では、粘性が低い注入薬液組成物が用いられるため、不安定地盤、クラック及び破砕帯等への浸透性がよく、広範囲にわたって不安定岩盤や地盤、更には人工構造物等の安定化や止水を図ることができる。また、形成された硬化固結物は、高強度で耐久性を有し、水質汚染のおそれがなく、岩盤等への付着、密着性に優れ、かつ難燃性を呈し、しかも経済的なものであるので、実用上極めて有利である。
【0075】
【実施例】
次に本発明の地盤や人工構造物等の安定強化用注入薬液組成物及びそれを用いた安定強化止水工法を製造例及び実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はかかる製造例及び実施例のみに限定されるものではない。
【0076】
[A液の調製]
攪拌機のついた、容量:150kgの混合機を用い、表1に示す量を仕込んで、均一にしてA1〜A5を調製した。各原料の仕込み量を表1に示す。
【0077】
[A液合成用原料]
(珪酸ナトリウム水溶液)
シリケート−1:二酸化珪素/酸化ナトリウム=2.6(モル比)
シリケート−2:二酸化珪素/酸化ナトリウム=2.5(モル比)
(アミン系触媒)
DMIZ:1,2−ジメチルイミダゾール
TMHPDA:N,N,N′,N′−テトラメチルヒドロキシプロピレン ジアミン
(活性水素基含有化合物)
PPG−200:ポリ(オキシプロピレン)ポリオール
数平均分子量=200、平均官能基数=2
PPG−3000:ポリ(オキシプロピレン)ポリオール
数平均分子量=3000、平均官能基数=2
(界面活性剤)
L−5340:日本ユニカー製界面活性剤
【0078】
【表1】
【0079】
[B液の合成]
攪拌機、温度計、冷却器及び窒素ガス導入管のついた、容量:150kgの反応器を用いて、ポリイソシアネートB1〜B8を合成した。
原料イソシアネートと原料ポリオールを表2に示す量を仕込んだ後、80℃まで昇温して3時間反応させて、ポリイソシアネートを得た。原料の種類、使用量、分析値を表2に示す。
【0080】
[B液合成用原料]
(有機ポリイソシアネート組成物)
(ポリイソシアネート原料)
MDI−1:MDI
NCO含量=33.6%
2,2′−MDI+2,4′−MDI=0.1%
MDI−2:MDI
NCO含量=33.6%
2,2′−MDI+2,4′−MDI=28%
PMDI−1:ポリメリックMDI
NCO含量=31.1%
ポリメリックMDI中のMDI含有量=42%
MDI中の2,2′−MDI+2,4′−MDI=0.1%
PMDI−2:ポリメリックMDI
NCO含量=31.3%
ポリメリックMDI中のMDI含有量=36%
MDI中の2,2′−MDI+2,4′−MDI=17%
PEG−300:ポリ(オキシエチレン)ポリオール
数平均分子量=300、平均官能基数=2
GP−4000:ポリ(オキシプロピルグリセリド)ポリオール
数平均分子量=4,000、平均官能基数=2
(希釈剤)
ES−1 :カプリル酸と、2−エチルヘキサノールのエチレンオキサイド
付加体とのモノエステル(数平均分子量=360)
ES−2 :カプリル酸と、2−エチルヘキサノールのプロレンオキサイド
付加体とのモノエステル(数平均分子量=250)
DOP :フタル酸ジオクチルエステル
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
(難燃剤)
難燃剤1 :ファイロールPCF、アクゾノーベル社製リン酸エステル系難
燃剤
(界面活性剤)
B−8407:テー・ゴールドシュミット製シリコーン系界面活性剤
【0081】
【表2】
【0082】
[実施例1〜21、比較例1〜18]
表3〜6に示す組み合わせで、容量300mlのポリカップにA液とB液を各100gづつ秤量し、毎分500回/5秒間で薬液温度を変化させ混合攪拌した。そして、以下の方法にて発泡体の発泡の外観及び発泡体の発泡倍率、物性試験並びに耐水性を測定した。その結果を表3〜6に示す。
【0083】
【表3】
【0084】
【表4】
【0085】
【表5】
【0086】
【表6】
【0087】
表3〜6の各種データを比較すれば、比較例のタイプ及び薬液温度によっては実施例と比較して遜色のないデータもあるが、総じて比較例は配合液の反応性のバランスが悪く、且つ、温度により発泡倍率等が大きく左右されるため、物性や作業性が悪くなっている。特に比較例13〜15は、強度発現が遅く、また、最終強度も小さいものであった。
【0088】
[発泡体の試験方法]
(1)発泡体の外観
前述のようにポリイソシアネート組成物と珪酸塩水溶液とを配合して得られた発泡体をナイフで切断し、その内部の状況を観察した。断面が不均一状態であるものを「不良」と判定し、均一状態であるものを「良好」と判定した。
(2)発泡倍率
発泡倍率=発泡後の発泡体の容積(ml)/発泡前の配合液の容積(ml)
(3)一軸圧縮強度
発泡後、20℃、50%RHの条件下で1時間、1日静置したサンプルを、JSF T511(土壌工学会基準の土の一軸圧縮試験方法)に準じて、20℃について行った。
(4)水質汚染性
A液とB液とをそれぞれ50gずつ配合し、その直後の流動状態の液体をあらかじめ300mlの水を入れたポリカップに素早く入れて、水中での発泡状態を観察した。その際に、ポリカップの水が白濁したものを「不良」と判定し、透明であるものを「良好」と判定した。
【0089】
実施例22
破砕帯を有するトンネル切羽先端の天盤部にトンネルアーチの中心から左右に60°、合計120°の扇状範囲内で、ジャンボ機で直径42mmビットにより1m間隔で削孔角度15°(トンネル掘削方向に対しての角度)で10個削孔し、得られた孔内に炭素鋼製(JIS G 3445、STKM 17C)の注入ボルト(外形27.2mm、内系15mm、長さ3m、静止ミキサー及び逆止弁内装)を挿入し、口元部分約30cmを2液硬質発泡ウレタン樹脂を含浸させたメリヤス製ウエスを鉄棒で押し込みシールした。
【0090】
A液として表1におけるA3を20kg薬液タンクAへ、B液として表2におけるB1を20kg薬液タンクBへそれぞれ入れ、A液、B液各々につき約1〜2分間ポンプ循環を行なった。
次にA液及びB液の各吐出ホース先端をT字型ユニットに接続後、前記地山に固定した、各注入孔のボルトにジョイントし、注入圧0.1〜4MPa(ゲージ圧)、注入スピード6〜14kg/分で1孔あたり約60〜200kgをスムーズに注入することができた。
【0091】
薬液を注入してから約120分間後に、掘進により地山の改良状態を調査したところ、固結範囲は半径50cmの半球状であり、固結安定化していた。
注入固結部分をサンプラーで直径5cm×10cmの円柱形状にサンプリングし、一軸圧縮強度を測定すると24MPaであった。なお、未改良部は破砕帯のためサンプリングが不可能であった。この結果、本発明の注入薬液組成物は、その有効性が充分に証明され、固結安定化層が形成されることが判明した。
【0092】
実施例23
不安定なトンネル切羽先端の天盤部(大きな空隙を有する花崗岩破砕帯)の空隙充填及び安定化を図るために、表1におけるA2と表2におけるB4の組み合わせによる薬液の注入による安定化を行なった。施工方法は以下のようにして行なった。
【0093】
すなわち、トンネル切羽先端の天盤部にトンネルアーチの中心から左右に60°、合計120°の扇状範囲内で、ジャンボ機で直径42mmビットにより80cm間隔で深さ3mの注入孔を10個削孔した。削孔角度は20°であった。得られた孔内に実施例1と同様の炭素鋼製(JIS G 3455、STKM 17C)の注入ボルトを挿入し、口元部を実施例1と同様にしてシールした。なお、各注入孔のボルトは、掘削方向に対して左60°の位置のものから右60°の位置のものへ向かってNo.1〜5とした。
【0094】
A液として表1におけるA2を40kg薬液タンクAへ、B液として表2におけるB4を40kg薬液タンクBへそれぞれ入れ、A液、B液各々につき約1〜2分間ポンプ循環を行なった。
【0095】
次にA液及びB液の各吐出ホース先端をT字型ユニットに接続後、前記地山に固定した、各注入孔のボルト(No.1〜5)にジョイントし、No.1、3、5、2、4の順で注入圧0.1〜1MPa(ゲージ圧)、注入スピード7〜15kg/分で1孔あたり約140kg、No.1〜5で合計700kg注入した。
【0096】
注入薬液組成物を注入してから約90分間経過後に地山の安定化状況を確認するために注入孔周辺を掘進し調査したところ、No.1〜5の左側天盤部は、固結範囲が半径約40cmで半球状に固結しており、かつ大きな空隙部も高密度でよくシールされていた。また、掘削時にも天盤部からの崩落はなく、よく安定化されていた。
【0097】
本発明の注入薬液組成物は注入ボルトより大きな空隙を有する花崗岩破砕帯部に注入することにより空隙を完全にシールしかつ破砕帯部にもよく浸透固結し、岩盤の安定化を図ることができ、トンネル掘削工事において非常に有益であることが立証された。
【0098】
実施例24
鉄筋コンクリート3階建ビルの屋上スラブの立上がりコーナー部にクラックが発生し、降雨時に階下に漏水していた。この漏水部に表1におけるA2と表2におけるB1からなる注入薬液組成物を注入し、止水工事を行なった。
【0099】
まずクラックに沿って直径10mmのドリルを用いて約30cmピッチで深さ約5cmの孔を35個削孔し、孔内の削りくずや粉塵を圧縮空気で吹き飛ばしたのちに削孔上に脱脂綿を約5mm厚にのせ、その上から外径約10mmの注入パイプを木製ハンマーで打ち込んだ。
次にA2を10kg手押ポンプ付薬液タンクAへ、B1を15kg手押ポンプ付薬液タンクBへ入れた。
【0100】
タンクA及びタンクBの吐出ホースの先端を静止ミキサーを内装したY字管に継ぎ、各注入パイプにワンタッチジョイント形式でセットし、成分Aと成分Bとの配合割合(質量比)約1/1.5で手押ポンプを上下に作動させて1孔あたり約1kg注入した。約1.5時間で35個全部の注入作業が完了した。
【0101】
注入後、注入パイプを取り除き、コルク栓を打ち込み、モルタルを塗布して仕上げた。約2週間後に激しい降雨があったが、以前のような漏水はまったく発生せず、クラックシール及び止水に大変有効なことが立証された。
【0102】
【発明の効果】
本発明の岩盤、地盤、人工構造物等の安定強化用注入薬液組成物及びそれを用いた安定強化止水工法は、以下に述べる効果を奏する。
【0103】
脂肪族モノカルボン酸とポリオキシアルキレンアルキルエーテルから得られる数平均分子量が150〜500のモノエステル化合物(B2)は、ウレタン−無水珪酸複合体及び網状の無水珪酸ゲル体、尿素−無水珪酸複合体を主体とする発泡状の複合固結体が形成される過程で、発泡体表面への移行が起こりにくく、水質汚染性が低いという特性がある。く、耐久性に優れ、更には、活性水素化合物によって更に確実な強度を有する固結体が形成される。従って、固結硬化性能が高く、確実に岩盤、地盤、人工構造物等の安定強化を達成することができ、かつ漏洩部では確実な止水効果を発現する。
【0104】
このように本発明で規定される組成物は粘性が低いため、浸透性に優れ、空隙が大きい又はクラックが多い、強度が要求される不安定岩盤、地盤、構造物等の充填、安定強化に有効である。また、本発明で規定される組成物は、発泡状の無機−有機複合固結体を外気温度や薬液注入温度に影響されること無く、安定した発泡・浸透性能を付与することができるという優れた効果を奏する。更に、本発明により得られる工法は、前記のような注入薬液組成物を用いるので、一般山岳トンネルはもちろんのこと、大断面トンネル掘削工事や大深度地下土木工事等において要求される、より確実かつ高強度で、経済的であり、安全性に優れた不安定岩盤ないし地盤及び人工構築物等の安定強化、封止及び止水を達成するのに極めて有効な工法である。
Claims (9)
- 珪酸ナトリウム水溶液(A)、25℃での粘度が100mPa・s以下の有機ポリイソシアネート組成物(B)からなる岩盤、地盤、人工構造物等の安定強化用注入薬液組成物において、
珪酸ナトリウム水溶液(A)の二酸化珪素/酸化ナトリウムのモル比が2〜5であり、有機ポリイソシアネート組成物(B)がポリイソシアネート(B1)、脂肪族モノカルボン酸とポリオキシアルキレンアルキルエーテルから得られる数平均分子量が150〜500のモノエステル化合物(B2)と、難燃剤(B3)を含有することを特徴とする前記薬液組成物。 - アミン系触媒(C)を含有してなる請求項1に記載の安定強化用注入薬液組成物。
- 活性水素基含有化合物(D)を含有してなる請求項1又は2に記載の安定強化用注入薬液組成物。
- 界面活性剤(E)を含有してなる請求項1から3のいずれか1項に記載の安定強化用注入薬液組成物。
- (B1)が、二核体を20〜70質量%含有するジフェニルメタンジイソシアネート系多核縮合体であって、かつ、前記二核体が2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネートと2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートを合計で5〜60質量%含有するものであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の安定強化用注入薬液組成物。
- (B2)が、カプリル酸と、2−エチルヘキサノール又はオクタノールのポリエチレンオキサイド付加体とのエステルであることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の安定強化用注入薬液組成物。
- (B3)が、ハロゲン系化合物、リン酸エステル系化合物、リン系化合物、窒素化合物、ホウ素系化合物、硫黄系化合物等のいずれかである事を特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の安定強化用注入薬液組成物。
- 岩盤ないし地盤に所定間隔で複数個の孔を穿設し、前記孔内に中空の注入ボルトを挿入し、ボルトの開口部より請求項1から7のいずれか1項に記載の安定強化用注入薬液組成物を、岩盤ないし地盤に注入し、固結ないし封止させることを特徴とする、岩盤ないし地盤の安定強化止水工法。
- 人工構造物に注入パイプを挿入し、該注入パイプを介して請求項1から7のいずれか1項に記載の安定強化用注入薬液組成物を、人工構造物及び/又はその背面に注入し、固結ないし封止させることを特徴とする、人工構造物の安定強化止水工法。
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