JP2006229037A - スピネル型フェリ磁性粒子、その製造方法および磁気記録媒体 - Google Patents

スピネル型フェリ磁性粒子、その製造方法および磁気記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】微粒子でありながら高い保磁力を示すと共に、分散性および化学的安定性に優れたスピネル型フェリ磁性粒子、および、優れた周波数特性と高出力特性を有すると共に、優れた耐候性と高い信頼性を有する高密度記録用磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】組成式:(MO)・n/2(Fe)(式中、Mは2価金属で、n=Fe/M(モル比)の値が2.05<n<2.5である)で表されるスピネル型フェリ磁性粒子であって、当該スピネル型フェリ磁性粒子中の超常磁性成分含有量が2質量%以下であり、平均粒子径が5〜30nmであり、且つ、その粒子表面がSi,Al,P及びZnの群から選ばれる1種以上の水酸化物で被覆されており、当該水酸化物の被覆量が金属として10質量%以下であることを特徴とするスピネル型フェリ磁性粒子、および、スピネル型フェリ磁性粒子を含有する磁気記録媒体。
【選択図】 なし

Description

本発明は、スピネル型フェリ磁性粒子、その製造方法および磁気記録媒体に関し、詳しくは、微細な粒子、殊に、平均粒子径が5〜30nmであるにもかかわらず、高い保磁力を示し、化学的安定性に優れると共に、分散性に優れたスピネル型フェリ磁性粒子、その製造方法および磁気記録媒体に関する。
近年、磁気記録媒体である磁気テープ等に対する高性能化、高密度記録化などの要求に伴い、高い保磁力(Hc)を有していて磁性特性に優れた磁気記録媒体が使用されている。磁気記録媒体の前述の特性は、磁気記録媒体に使用される磁性粒子と密接な関係を有しているため、高密度磁気記録材料として、粒子径が比較的微細で、より高い保磁力(Hc)と大きな飽和磁化値(σs)を有するスピネル型フェリ磁性粒子が提案されている。
例えば、式:(CoO)(NiO)・n/2(Fe)(但し、2.0<n=Fe/M(モル比)<3.0、0.4≦x≦0.9、0.1≦y≦0.6、x+y=1)で示されるスピネル型フェリ磁性微粒子(特許文献1参照)および式:(CoO)0.5−x(NiO)0.5−y(MnO)z+y・n/2(Fe)(式中、Mは、CoおよびNiを除く2価金属、2.0<n=Fe/M(モル比)<3.0、0.4≦x<0.5、0≦y<0.5、0<x+y<0.5)で示され、超常磁性成分の含有量が2質量%以下であるスピネル型フェリ磁性微粒子(特許文献2参照)が知られている。
特開2004−231460号公報 国際公開WO2004/100190号公報
しかしながら、上記のスピネル型フェリ磁性粒子を使用した磁気記録媒体は、信頼性が高くかつ耐候性が向上した高密度記録用磁気記録媒体としては、不十分であり、更なる改善が求められている。
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、その第1の目的は、微粒子でありながら高い保磁力を示すと共に、分散性および化学的安定性に優れたスピネル型フェリ磁性粒子を提供することにある。
第2の目的は、優れた周波数特性と高出力特性を有すると共に、優れた耐候性と高い信頼性を有する高密度記録用磁気記録媒体を提供することにある。
本発明者らは、種々検討を重ねた結果、鉄と2価の金属から成るスピネル型フェリ磁性粒子であって、超常磁性成分が特定量以下であり、且つ、特定の水酸化物でその表面を被覆している平均粒子径が30nm以下のスピネル型フェリ磁性粒子は、微粒子でありながら高い保磁力を示すと共に、分散性および化学的安定性に優れていることを見出し、その知見に基づいて本発明を完成するに至った。
本発明は、上記の知見に基づき完成されたものであり、その第1の要旨は、組成式:(MO)・n/2(Fe)(式中、Mは2価金属で、n=Fe/M(モル比)の値が2.05<n<2.5である)で表されるスピネル型フェリ磁性粒子であって、当該スピネル型フェリ磁性粒子中の超常磁性成分含有量が2質量%以下であり、平均粒子径が5〜30nmであり、且つ、その粒子表面がSi,Al,P及びZnの群から選ばれる1種以上の金属の水酸化物で被覆されており、当該水酸化物の被覆量が金属として10質量%以下であることを特徴とするスピネル型フェリ磁性粒子に存する。
本発明の第2の要旨は、鉄(Fe)含有水溶液と2価の金属(M)含有水溶液とを2.05<Fe/M<2.5(モル比)の割合で混合する原料水溶液の調製工程;原料水溶液のアルカリ濃度が0.05〜10Mとなる様に、60℃以上110℃未満の温度でアルカリ水溶液を当該原料水溶液に添加する共沈澱物含有液の生成工程;当該共沈澱物含有液を80〜120℃で加熱処理する黒色粒子の生成工程;黒色粒子を洗浄してアルカリを除去した後、酸を添加して超常磁性成分を除去する黒色粒子のエッチング工程;およびエッチング処理された黒色粒子含有液をろ過および洗浄した後、Si,Al,P,Znの群から選ばれた1種以上の金属含有水溶液を添加する金属水酸化物の被覆工程から成ることを特徴とする第1の要旨に記載のスピネル型フェリ磁性粒子の製造方法に存する。
本発明の第3の要旨は、非磁性支持体と、前記非磁性支持体上に形成されており且つ第1の要旨に記載のスピネル型フェリ磁性粒子と結合剤とから成る磁性層とから成ることを特徴とする磁気記録媒体に存する。
本発明によれば、平均粒子径が5〜30nmでありながら、高い保磁力と、優れた分散性および化学的安定性とを示すことが出来る。さらに、可溶性塩量が可及的に低減されたことにより、可溶性塩に起因する化合物の磁気記録媒体などへの析出を抑制することが出来る。そして、優れた周波数特性と高出力特性を有すると共に、耐候性および保存性に優れた高密度記録用磁気記録媒体を得ることが出来る。
以下、本発明を詳細に説明する。先ず、スピネル型フェリ磁性粒子について説明する。本発明のスピネル型フェリ磁性粒子は、式:(MO)・n/2(Fe)(式中、Mは2価金属で、n=Fe/M(モル比)の値が2.05<n<2.5である)で表されるスピネル型フェリ磁性粒子であって、当該スピネル型フェリ磁性粒子中の超常磁性成分含有量が2質量%以下であり、平均粒子径が5〜30nmであると共に、その粒子表面がSi,Al,P及びZnの群から選ばれる1種以上の水酸化物で被覆され、その水酸化物の被覆量が金属として10質量%以下である。
スピネル型フェリ磁性粒子の組成は、式:(MO)・n/2(Fe)で示される。式中、Mは、2価金属であり、具体的には、Co、Ni、Zn及びMnの群から選ばれる2種以上の金属である。n=Fe/M(モル比)は、スピネル型フェライトの化学量論量より大きい値であり、具体的には、2.05<n<2.5である。スピネル型フェリ磁性微粒子の保磁力の更なる向上を考慮すると、2.10≦n≦2.48が好適である。
n=Fe/M(モル比)が2.05を超え2.5未満の場合は、1相(単相)のスピネル型フェリ磁性粒子が生成する。しかしながら、nが2.05以下の場合は、2相の磁性粒子または異相が混在する粒子を生成する。nが2.5以上の場合は、含水酸化鉄などの酸化鉄が混在する粒子を生成する。2相の磁性粒子、異相が混在する粒子または酸化鉄が混在する粒子は、磁性材料としての磁気特性が低下し、本発明の目的を達成することが困難である。
本発明に係るスピネル型フェリ磁性粒子における2価金属は、Co,Ni及びMn好適である。そして、その様なスピネル型フェリ磁性粒子は、式:(CoO)(NiO)(MnO)・n/2(Fe))(式中、n=Fe/M(モル比)の値が2.05<n<2.5、好ましくは2.09<n<2.40であり、xが通常0.4<x<0.6、好ましくは0.42<x<0.58であり、yが通常0.3<y<0.5、好ましくは0.32<y<0.48であり、zが通常0.02<z<0.2、好ましくは0.03<z<0.18であり、x+y+z=1である。)で示される。
スピネル型フェリ磁性粒子中の超常磁性成分含有量が2質量%以下、好ましくは1質量%以下である。超常磁性成分の含有量が2質量%を超える場合は、周囲の磁界の強さに応じてスピネル型フェリ磁性粒子の磁化状態が変動するため、磁化を安定に保つことが出来ない。なお、本発明で言う「超常磁性成分」とは、常磁性体の中で特に強く磁化される物質を意味し、その成分は、FeとCo、Ni、Zn及び/又はMnとを含む水酸化物と推定される。
スピネル型フェリ磁性粒子の平均粒子径は、5〜30nm、好ましくは9〜25nm、より好ましくは10〜20nmである。平均粒子径が5nm未満の場合は、スピネル型フェリ磁性粒子の飽和磁化値が低くなり、磁性材料としての特性が不十分である。30nmを超える場合は、製造した磁気記録媒体の粒子性ノイズが増加する。
スピネル型フェリ磁性粒子の表面は、Si,Al,P及びZnの群から選ばれる1種以上の水酸化物で被覆されている。水酸化物の中で、Si及び/又はAlの水酸化物が好ましい。被覆されている水酸化物の量は、磁性粒子に対して金属イオンとして10質量%以下、好ましくは5質量%以下、より好ましくは0.01〜1.0質量%である。スピネル型フェリ磁性粒子の表面をSi,Al,P及びZnの群から選ばれる1種以上の水酸化物で被覆することにより、粒子の表面状態が改善され、磁気記録媒体の製造におけるビヒクル中でのスピネル型フェリ磁性粒子の分散性および酸化安定性が向上する。
スピネル型フェリ磁性粒子を表面被覆処理しない場合、すなわち、被覆している水酸化物の量が零の場合は、ビヒクル中でのスピネル型フェリ磁性粒子の分散性が悪化する。水酸化物の量が10質量%を超える場合は、磁性粒子中の磁性体量が少なくなり、その結果、磁気特性が低くなるため、本発明の目的を達成することが困難である。
スピネル型フェリ磁性粒子の保磁力Hcは、通常159.2〜318.4kA/m(2000〜4000Oe)、好ましくは199〜278.6kA/m(2500〜3500Oe)である。保磁力Hcが159.2kA/m未満の場合は、磁性材料としての特性が不十分であり、高画像画質で高密度記録のための磁気記録媒体を得ることが困難である。尚、本願においては、1Oe=10/4πA/mとして換算する(πは円周率)。
スピネル型フェリ磁性粒子の飽和磁化値σsは、通常40〜70Am/kg(40〜70emu/g)、好ましくは45〜70Am/kg(45〜70emu/g)である。その角型比(σr/σs)は、通常0.51〜0.69、好ましくは0.55〜0.69である。飽和磁化値σsが40Am/kg未満の場合は、磁性材料としての特性が不十分であり、高画像画質で高密度記録のための磁気記録媒体を得ることが困難である。尚、1emu/g=4π×10−7Wb・m/kgとして換算する(πは円周率)。
本発明に係るスピネル型フェリ磁性粒子の可溶性Naの含有量は、通常100ppm以下、好ましくは70ppm以下、より好ましくは50ppm以下であり、可溶性Caの含有量は、通常100ppm以下、好ましくは80ppm以下、より好ましくは70ppm以下である。可溶性Naの含有量または可溶性Caの含有量が100ppmを超える場合は、これらに起因した化合物が磁性塗膜表面に析出することがあり、本発明の目的を達成することが困難である。
また、スピネル型フェリ磁性粒子の残存硫黄量は、通常200ppm以下、好ましくは100ppm以下である。残存硫黄量が200ppmを超える場合は、磁性塗膜の表面にブリードして、ヘッドを劣化させることがあり、本発明の目的を達成することが困難である。
次に、本発明におけるスピネル型フェリ磁性粒子の製造方法を説明する。本発明の製造方法は、(1)鉄(Fe)含有水溶液と2価の金属(M)含有水溶液とを2.05<Fe/M<2.5(モル比)の割合で混合する原料水溶液の調製工程;(2)原料水溶液のアルカリ濃度が0.05〜10Mとなる様に、60℃以上110℃未満の温度でアルカリ水溶液を当該原料水溶液に添加する共沈澱物含有液の生成工程;(3)当該共沈澱物含有液を80〜120℃で加熱処理する黒色粒子の生成工程;(4)黒色粒子を洗浄してアルカリを除去した後、酸を添加して超常磁性成分を除去する黒色粒子のエッチング工程;および(5)エッチング処理された黒色粒子含有液をろ過および洗浄した後、Si,Al,P,Znの群から選ばれた1種以上の金属含有水溶液を添加する金属水酸化物の被覆工程から成る。
まず、原料水溶液の調製工程(1)において、原料である鉄及びM(2価金属)、例えば、Co,Ni,Zn及びMnの群から選ばれる2種以上の水可溶性金属塩をそれぞれ水に溶解して、所定濃度のFe3+及びM2+(Co2+、Ni2+、Zn2+及びMn2+)を含有する各水溶液を調整する。そして、各水溶液を2.05<n=Fe/M<2.5のモル比で混合して原料水溶液を調製する。
上述の各水溶液中の金属イオンの濃度は、特に制限なく、通常の金属イオンの濃度の水溶液が調製される。また、各水溶液の温度は、溶解した金属が析出しない範囲であれば、特に制限はない。
本発明で使用する鉄原料としては、塩化第二鉄、硫酸第二鉄などの第二鉄塩が挙げられる。コバルト原料としては、塩化コバルト、硫酸コバルト等が挙げられる。ニッケル原料としては、塩化ニッケル、硫酸ニッケル等が挙げられる。亜鉛原料としては、塩化亜鉛、硫酸亜鉛などが挙げられる。マンガン原料としては、塩化マンガン、硫酸マンガン等が挙げられる。
共沈澱物含有液の生成工程(2)において、60℃以上110℃未満、好ましくは80〜100℃の温度下で、攪拌しながら得られた混合水溶液にアルカリ水溶液を添加して、混合液のアルカリ濃度を0.05〜10M(モル)、好ましくは0.2〜5M(モル)に調整し、共沈澱物含有液を生成する。
アルカリ濃度が0.05M未満の場合は、スピネル型フェリ磁性粒子の結晶化が不完全なことがある。また、アルカリ濃度が10Mを超える場合は、保磁力が著しく低下することがある。
また、共沈澱物含有液中の金属イオン濃度は、通常0.05〜0.5M(モル)、好ましくは0.1〜0.4M(モル)である。金属イオン濃度が0.05M未満の場合は、共沈澱物の濃度が低くなり過ぎて、経済的でない。また、金属イオン濃度濃度が0.5Mを超える場合は、生成するスピネル型フェリ磁性粒子の粒度分布が大きくなり、本発明の目的を達成することが困難である。
混合液の温度が60℃未満の場合は、生成する共沈澱物の粒子サイズが大きくなり、本発明の目的を達成することが困難である。また、混合液の温度が110℃以上の場合は、オートクレーブ等の特殊な装置を必要とするため、経済的でない。
使用するアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水など水可溶性アルカリ類が挙げられる。
添加するアルカリ水溶液の濃度は、特に制限なく、通常の濃度のアルカリ水溶液が使用される。また、アルカリ水溶液の温度は、添加された後の混合液の温度が60℃以上110℃未満の範囲を逸脱しない温度であれば特に制限はない。
黒色粒子の生成工程(3)において、得られた共沈澱物含有液を80〜120℃、好ましくは90〜100℃で通常1〜5時間、好ましくは1〜3時間加熱処理して黒色粒子を生成する。
上述の加熱処理において、共沈澱物含有液の生成工程(2)において得られた共沈澱物の縮重合反応により黒色粒子が生成する。
黒色粒子表面のエッチング工程(4)において、得られた黒色粒子を洗浄してアルカリを除去した後、酸を添加して超常磁性成分を除去する。
アルカリ液の洗浄は、酸によるエッチングを効率よく行うための工程であり、通常デカンテーション法が採用される。デカンテーション法としては、特に制限なく、公知の装置を用いた公知方法が採用される。
洗浄処理後の黒色粒子含有液のアルカリ濃度は、通常0.01M(モル)未満、好ましくは0.001M(モル)以下である。洗浄後のアルカリ濃度が0.01M以上の場合は、エッチングにおける酸の使用量が増大するので、経済的でない。
黒色粒子の酸エッチング方法は、例えば、黒色粒子中に含まれる金属イオンのモル数に対して通常5〜70モル%、好ましくは15〜50モル%に相当する酸当量を添加することから成る。エッチングの温度は、通常5〜90℃、好ましくは20〜50℃である。エッチングの時間は、通常1〜48時間、好ましくは2〜20時間である。添加する酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、シュウ酸などが使用できる。酸の添加方法は、特に限定されず、例えば、一括添加でも、逐次添加でもよい。
酸当量が5モル%未満の場合は、超常磁性成分が多量に残存し、本発明の目的を達成することが困難である。また、酸当量が70モル%を超える場合は、得られる粒子の磁気特性が低下し、経済的でない。
金属水酸化物の被覆工程(5)において、エッチング処理された黒色粒子をろ過および洗浄した後、Si,Al,P,Znの群から選ばれた1種以上の金属含有水溶液を添加して金属水酸化物で粒子表面を被覆する。
黒色粒子表面のエッチング工程(4)後の黒色粒子含有液中には、可溶性金属塩などが含まれているので、洗浄によって可溶性金属塩などを除去する。洗浄方法としては、通常デカンテーション法および通水式洗浄方法が挙げられる。デカンテーション法および通水式洗浄方法としては、特に制限なく、公知の装置を用いた公知方法が採用される。
洗浄処理後の黒色粒子含有液中の電気伝導度は、通常500μS/cm未満、好ましくは100μS/cm以下である。洗浄終了後の黒色粒子含有液中の伝導度が、500μS/cm以上の場合には、可溶性金属イオンの含有量が多いため、本発明の目的を達成することが困難である。
次いで、洗浄された黒色粒子をSi,Al,P及びZnの群から選ばれる1種以上の金属の水酸化物で被覆する。被覆する方法としては、洗浄された黒色粒子含有液に、上記金属の水可溶性塩が溶解した水溶液を攪拌しながら黒色粒子スラリーに20〜100℃の温度でアルカリ水溶液を黒色粒子スラリーに添加する方法によって行われる。水酸化物の被覆量は、黒色粒子に対して通常0.2〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%である。水酸化物の被覆量が0.2質量%未満の場合は、塗料化の際の分散性および樹脂吸着能が悪化する。また、10質量%を超える場合は、磁性粒子中の磁性体量が少なくなり、その結果、磁気特性が低くなるため、本発明の目的を達成することが困難である。
珪素化合物としては、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム等の水可溶性塩類が挙げられ、アルミニウム化合物としては、硫酸アルミニウム、アルミン酸ナトリウム等の水可溶性塩類が挙げられ、リン化合物としては、リン酸水素二ナトリウム、オルト燐酸などの水可溶性塩類が挙げられ、亜鉛化合物としては、塩化亜鉛、硫酸亜鉛などの水可溶性塩類が挙げられる。アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水など水可溶性アルカリ類が挙げられる。
被覆処理後、ろ過、水洗、乾燥してスピネル型フェリ磁性粒子を得る。洗浄方法としては、一般的な通水洗浄方法などが挙げられる。乾燥温度は、通常60〜150℃、好ましくは80〜120℃で、乾燥時間は、通常4〜20時間である。
なお、上述した方法で製造されたスピネル型フェリ磁性粒子を使用して、後述する処方によって得られた磁性塗膜の保磁力Hcは、通常159.2〜318.4kA/m(2000〜4000Oe)、好ましくは199〜278.6kA/m(2500〜3500Oe)であり、角形比(Br/Bm)は、通常0.55以上、好ましくは0.60以上である。
次に、本発明に係る磁気記録媒体について述べる。本発明の磁気記録媒体は、非磁性支持体と前記非磁性支持体上に形成される上述のスピネル型フェリ磁性粒子と結合剤とを含む磁気記録層とから成る。
非磁性支持体としては、現在、磁気記録媒体に汎用されているポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等の合成樹脂フィルム、アルミニウム、ステンレスなどの金属の箔や板および各種の紙が挙げられる。非磁性支持体の厚みは、その材質により種々異なるが、通常1.0〜300μm、好ましくは2.0〜50μmである。
例えば、磁気ディスクの場合、非磁性支持体としては、ポリエチレンテレフタレートが使用され、その厚みは、通常50〜300μmである。磁気テープにおいてポリエチレンテレフタレートが使用される場合、その厚みは、通常3〜100μmであり、ポリエチレンナフタレートが使用される場合、その厚みは、通常3〜50μmであり、ポリアミドが使用される場合、その厚みは、通常2〜10μmである。
結合剤としては、現在、磁気記録媒体の製造にあたって汎用されている樹脂が使用でき、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ウレタン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、ウレタンエラストマー、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリビニルブチラール、ニトロセルロース等セルロース誘導体、ポリエステル樹脂、ポリブタジエン等の合成ゴム系樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイソシアネート、電子線硬化型アクリルウレタン樹脂、その混合物などが挙げられる。
また、上述の結合剤樹脂には−OH、−COOH、−SOX、−OPO、−NH等の極性基(但し、Xは、H、NaまたはKを示す。)が含まれていてもよい。
磁気記録層の塗膜厚さは、通常0.01〜5.0μmの範囲である。塗膜厚さが0.01μm未満の場合は、均一な塗布が困難であり、塗りむら等が生じやすくなる。また、5.0μmを超える場合は、反磁界の影響のため、所望の電磁変換特性を得ることが困難である。
スピネル型フェリ磁性粒子と結合剤樹脂との配合割合は、結合剤樹脂100重量部に対してスピネル型フェリ磁性粒子が通常5〜2000重量部である。
なお、磁気記録層には、磁気記録媒体に使用されている周知の潤滑剤、研磨剤、帯電防止剤などが結合剤樹脂100重量部に対して通常0.1〜50重量部程度含まれていてもよい。
本発明に係る磁気記録媒体の保磁力Hcは、通常159.2〜318.4kA/m(2000〜4000Oe)、好ましくは199〜278.6kA/m(2500〜3500Oe)であり、角形比(Br/Bm)は、通常0.55、好ましくは0.60以上であり、配向度は、通常1.05以上、好ましくは1.1以上であり、表面粗さRaは、通常18nm以下、好ましくは15nm以下である。
本発明に係る磁気記録媒体は、非磁性支持体と磁気記録層との間に非磁性粒子と結合剤樹脂を含む非磁性下地層が形成されてもよい。非磁性下地層の厚さは、通常0.2〜10.0μmのである。0.2μm未満の場合は、非磁性支持体の表面粗さを改善することが困難となる。
非磁性下地層用非磁性粒子としては、通常の磁気記録媒体用非磁性下地層に使用される非磁性無機質粉末を使用することが出来る。具体的には、ヘマタイト、含水酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化タングステン、二酸化ケイ素、α−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、酸化クロム、酸化セリウム、炭化ケイ素、チタンカーバイト、窒化ケイ素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデン、チタン酸バリウム等を単独または組み合わせて使用することが出来る。殊に、ヘマタイト、含水酸化鉄、酸化チタン等が好適である。
なお、非磁性塗料製造時におけるビヒクル中での分散性を改善するため、必要により、非磁性粒子の粒子表面をアルミニウムの水酸化物、アルミニウムの酸化物、ケイ素の水酸化物、ケイ素の酸化物などで表面処理してもよい。また、得られる磁気記録媒体の光透過率、表面電気抵抗値、機械的強度、表面平滑性、耐久性等の諸特性改善のために、必要により、非磁性粒子内部にAl、Ti、Zr、Mn、Sn、Sb等を含有させてもよい。
非磁性粒子の形状としては、球状、粒状、八面体状、六面体状、多面体状などの粒状、針状、紡錘状、米粒状などの針状、板状などが挙げられる。得られる磁気記録媒体の表面平滑性を考慮すれば、非磁性粒子の粒子形状は針状が好適である。
非磁性粒子の平均粒子径は、通常0.01〜0.3μmである。粒子形状が針状の場合、軸比(平均長軸径/平均短軸径)は通常2:1〜20:1であり、粒子形状が板状の場合、板状比(平均板面径/平均厚み)は2:1〜50:1である。
非磁性下地層における結合剤樹脂としては、磁気記録層の形成に使用した前記結合剤樹脂を使用することが出来る。非磁性下地層における非磁性粒子と結合剤樹脂との配合割合は、結合剤樹脂100重量部に対して非磁性粒子が通常5〜2000重量部である。
なお、非磁性下地層の形成において、磁気記録媒体に使用されている周知の潤滑剤、研磨剤、帯電防止剤等を必要により結合剤樹脂100重量部に対して通常0.1〜50重量部程度使用してもよい。
本発明における非磁性下地層を有する磁気記録媒体は、非磁性下地層を有さない磁気記録媒体とほぼ同様の特性を有する。本発明における非磁性下地層を有する磁気記録媒体は特に、カレンダーによる表面平滑化が容易となり、また、非磁性下地層から潤滑剤が供給させるため走行耐久性が向上する。
以下に実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下の実施例におけるスピネル型フェリ磁性粒子および磁気記録媒体の特性は、以下の方法によって測定した。
本発明におけるスピネル型フェリ磁性粒子の平均径は、透過型電子顕微鏡写真から測定した数値の平均値で示した。また、粒子形状も透過型電子顕微鏡写真により測定した。
本発明におけるスピネル型フェリ磁性粒子のFe含有量、Co含有量、Ni含有量、Mn含有量、Si含有量、Al含有量、P含有量、Zn含有量、Na含有量、Ca含有量およびその他の金属元素の含有量は、誘導結合プラズマ発光分光分析装置「SPS4000」(商品名、セイコー電子工業(株)製)を使用して測定した。
Si,Al,P及びZnの群から選ばれる1種以上の金属の水酸化物の被覆は、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子(株)製)を使用して測定した。
スピネル型フェリ磁性粒子の残存硫黄分量は、炭素・硫黄測定装置(Horiba(株)製)を使用して測定した。
超常磁性成分含有量は、メスバウアー分光分析装置(トボロニクス(株)製)を使用してメスバウアースペクトル測定法により測定した。
BET比表面積値は、「モノソーブMS−11」(商品名、カンタクロム(株)製)を使用して、BET法により測定した値で示した。
溶液伝導度は、導電率計「DSー12」(商品名、Horiba(株)製)を使用して測定した。
スピネル型フェリ磁性粒子、磁性シートおよび磁気テープの磁気特性は、振動試料磁力計「VSM−3S−15」(商品名、東英工業(株)製)を使用して、外部磁場795.8kA/m(10kOe)で測定した。なお、磁性シートは、以下の方法で製造した。
<磁性シートの製造>
磁性シートを次の様にして作製した。表1に示す成分を100mlのポリビンに入れた後、ペイントシェーカー(レッドデビル社製)で8時間混合分散をした。厚さ25μmのポリエチレンテレフタートフィルム上にアプリケータを使用して、得られた磁性塗料を50μmの厚さに塗布し、次いで、500mT(5kGauss)の磁場中で乾燥させて、磁性シートを得た。
Figure 2006229037
磁気テープの表面粗度Raは、触針式表面粗さ計「Surfcom−575A」(商品名、東京精密(株)製)を用いて中心線平均粗さを測定した。
実施例1:
<スピネル型フェリ磁性粒子の製造>
金属塩として、塩化第二鉄六水塩、塩化コバルト六水塩、塩化ニッケル六水塩、塩化マンガン四水塩をそれぞれ10リットル樹脂製ビーカ中で純水に溶解して、0.225〔mol/l〕のFe3+水溶液、0.10〔mol/l〕のCo2+水溶液、0.08〔mol/l〕のNi2+水溶液および0.02〔mol/l〕のMn2+水溶液を各々10リットル調整した。攪拌機と温度計を装備した容積が20リットルの樹脂性容器にFe3+水溶液4リットル、Co2+水溶液2リットル、Ni2+水溶液2リットル、Mn2+水溶液2リットルを投入して、Fe/(Co+Ni+Mn)=2.25の混合水溶液10リットルを調製した後、十分攪拌して混合水溶液温度を50℃に加熱した(A溶液)。次に、濃度が1.0〔mol/l〕の水酸化ナトリウム水溶液7.2リットル(B液)をステンレス製反応容器(30リットル)に投入して、攪拌しながら95℃に加熱した。上記A溶液を攪拌しながら水酸化ナトリウム水溶液に投入し、中和反応により69℃の黒褐色の沈澱スラリーを得た。
次いで、得られた黒褐色の沈澱スラリー(共沈澱物スラリー)を攪拌しながら95℃の温度で120分間加熱処理して、金属混合沈澱から縮重合反応により黒色粒子を生成した。得られた黒色粒子スラリーの一部をサンプリングし、ろ過処理した。得られたろ過液の過剰アルカリ濃度(アルカリ濃度)を測定した結果、アルカリ濃度は0.21Nであった。また、得られた沈澱物(黒色粒子)を乾燥し、誘導結合プラズマ発光分光分析装置を使用して元素分析をした結果、Feが46.5質量%、Coが10.33質量%、Niが8.69質量%、Mnが2.03質量%であった。従って、その組成を式:(CoO)(NiO)(MnO)・n/2(Fe)で表した場合、n=Fe/M(モル比)の値が2.25であり,x=0.500,y=0.400,Z=0.100であった。得られた黒色粒子のBET比表面積は95.8m/gであり、また、振動試料磁力計(VSM)を使用して磁気測定した結果、保磁力が179.0kA/m(2250Oe)、飽和磁化値σsが52.1Am/kg(52.1emu/g)であり、角型比が0.525であった。
得られた黒色粒子スラリー17リットルを100リットル樹脂製容器に移して、デカンテーション法を12時間毎に5回繰り返して洗浄した。黒色粒子スラリーの溶液伝導度は、400μSであり、pHは10.8であった。
得られた洗浄黒色粒子スラリー15リットル(20℃)に10質量%硫酸溶液0.51リットルを攪拌しながら添加して、20℃で5時間、酸によるエッチング処理をした。
得られた酸エッチング黒色粒子スラリーをデカンテーション法で12時間毎に5回繰り返して洗浄した。得られた黒色粒子スラリーをpHは5.8であった。黒色粒子スラリーの一部をサンプリングし、ろ過処理した。誘導結合プラズマ発光分光分析装置を使用して得られた沈澱物を元素分析した結果、Feが46.6質量%、Coが11.05質量%、Niが7.98質量%、Mnが2.13質量%であった。従って、その組成を式:(CoO)(NiO)(MnO)・n/2(Fe)で表した場合、n=Fe/M(モル比)の値が2.30であり,x=0.518,y=0.375,Z=0.107であった。得られた黒色粒子のBET比表面積は55.4m/gであり、また、振動試料磁力計(VSM)を使用して磁気測定した結果、保磁力が181.4kA/m(2280Oe)であり、飽和磁化値σsが62.7Am/kg(62.7emu/g)であり、角型比が0.527であった。
得られた黒色粒子スラリーに固形分当たり3質量%に相当する硫酸アルミニウム八水塩含有水溶液0.3リットルを攪拌しながら20℃の温度下で1時間かけて滴下した。当該滴下は、0.5N水酸化ナトリウム溶液を添加して黒色粒子スラリーのpHを9.2にコントロールしながら行った。
攪拌しながら20℃で1時間保持した後、得られた黒色粒子スラリーを、デカンテーション法を12時間毎に5回繰り返して洗浄した。そして、溶液電気伝導度が100μSである黒色粒子スラリーをヌッチエで吸引ろ過し、ろ過ケーキを60℃で12時間乾燥した。
得られた黒色粒子は、X線回折測定の結果、スピネル型構造を有しており、透過型電子顕微鏡(TEM)による観察の結果、平均径が19nmの均一な粒度分布をもった粒子であった。BET比表面積は57.3m/gであった。メスバウアースペクトル測定の結果、超常磁性成分が含まれていなかった(1質量%以下であった)。振動試料磁力計(VSM)を使用した磁気測定の結果、保磁力が183.1kA/m(2300Oe)であり、飽和磁化値σsが62Am/kg(62emu/g)であり、角形比0.555であった。
誘導結合プラズマ発光分光分析装置を使用して得られた黒色粒子の元素分析の結果、Feが46.1質量%、Coが10.94質量%、Niが7.90質量%、Mnが2.11質量%、Alが0.34質量%であった。そして、その組成式を(CoO)(NiO)(MnO)・n/2(Fe)で表した場合、n=Fe/M(モル比)の値は、2.30であり,x=0.517,y=0.375,Z=0.107であった。また、可溶性Na含有量は45ppmであり、可溶性Ca含有量は23ppmであり、残存硫黄分は98ppmであった。
得られたスピネル型フェリ磁性粒子の磁性塗膜の特性は、保磁力Hcが187.8kA/m(2360Oe)であり、角形比(Br/Bm)が0.585であった。
<磁気テープの製造>
次に、非磁性下地層を有する磁気テープを作製した。まず、表2に示す塗料組成成分の磁性塗料を製造した。
Figure 2006229037
上述のスピネル型フェリ磁性粒子、塩化ビニル系共重合体樹脂、α−アルミナ及びカーボンブラックを混合し、溶剤(70重量部)を加えて加圧ニーダーで混練した後、溶剤(50重量部)を加えて希釈した。得られた希釈混合物にウレタン系共重合体樹脂を加えてサンドミルで分散させ後、潤滑剤および溶剤(108重量部)を加えて更に分散させ、フィルターで濾過した。そして、塗布前に得られた濾過物に攪拌しながら硬化剤を添加して磁性塗料を得た。
別に、表3に示す非磁性塗料成分の非磁性塗料を製造した。
Figure 2006229037
上述のヘマタイト粒子、塩化ビニル系共重合体樹脂に溶剤(70重量部)を加えて混合し、加圧ニーダーで混練した後、溶剤(50重量部)を更に加えて希釈した。得られた希釈混合物にウレタン系共重合体樹脂を加えてサンドミルで分散した後、潤滑剤、溶剤(64重量部)を加えて更に分散させた後、フィルターで濾過した。そして、塗布前に得られた濾過物に攪拌しながら硬化剤を添加して非磁性塗料を得た。
得られた磁性塗料および非磁性塗料を使用して以下の方法で磁気テープを作製した。厚さ7μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に非磁性塗料と磁性塗料を乾燥時の非磁性層厚および磁性層厚がそれぞれ1.1μm及び0.10μmになる様に同時に塗布し、ソレノイド磁石による配向処理を行い、乾燥させ、カレンダーによる表面平滑化および硬化処理を行った。引き続き、カーボンブラック、塩化ビニル系共重合体樹脂およびポリウレタン系樹脂から成るバックコート用の塗料を上記非磁性層とは反対のポリエチレンテレフタレートフィルム面に塗布、乾燥してバックコート層を形成した。次いで、得られた磁性媒体を8mm幅にスリットして磁気テープを得た。
得られた磁気テープの保磁力Hcは198.1kA/m(2490Oe)であり、角形比(Br/Bm)は0.615であり、配向度(OR)は1.10であり、表面平滑性Raが14.5nmであった。
実施例2〜7、比較例1〜3:
スピネル型フェリ磁性粒子の製造条件を種々変化させた以外は実施例1と同様にしてスピネル型フェリ磁性粒子を得た。このときの製造条件を表4〜9に、得られた共沈澱物粒子の特性を表10、酸エッチングスピネル型フェリ磁性粒子の特性を表11、スピネル型フェリ磁性粒子の特性を表12〜13に示す。そして、スピネル型フェリ磁性粒子の磁性塗膜の特性を表14に示す。なお、実施例2〜7で得られたスピネル型フェリ磁性粒子をメスバウアースペクトル測定した結果、何れの場合も超常磁性成分が含まれていなかった(1質量%以下であった)。
Figure 2006229037
Figure 2006229037
Figure 2006229037
Figure 2006229037
Figure 2006229037
Figure 2006229037
Figure 2006229037
Figure 2006229037
Figure 2006229037
Figure 2006229037
Figure 2006229037
次いで、得られたスピネル型フェリ磁性粒子を変えた以外は実施例1と同様にして磁気テープを得た。実施例1,4,7及び参考例1の磁気テープの諸特性を表15に示す。
Figure 2006229037

Claims (7)

  1. 組成式:(MO)・n/2(Fe)(式中、Mは2価金属で、n=Fe/M(モル比)の値が2.05<n<2.5である)で表されるスピネル型フェリ磁性粒子であって、当該スピネル型フェリ磁性粒子中の超常磁性成分含有量が2質量%以下であり、平均粒子径が5〜30nmであり、且つ、その粒子表面がSi,Al,P及びZnの群から選ばれる1種以上の金属の水酸化物で被覆されており、当該水酸化物の被覆量が金属として10質量%以下であることを特徴とするスピネル型フェリ磁性粒子。
  2. 前記MがCo,Ni,Zn及びMnの群から選ばれる2種以上の金属である請求項1に記載のスピネル型フェリ磁性粒子。
  3. 保磁力が159.2〜318.4kA/m(2000〜4000Oe)で、飽和磁化値σsが40〜70Am/kg(40〜70emu/g)である請求項1に記載のスピネル型フェリ磁性粒子。
  4. 前記スピネル型フェリ磁性粒子中の可溶性Na含有量が100ppm以下で、可溶性Ca含有量が100ppm以下である請求項1に記載のスピネル型フェリ磁性粒子。
  5. スピネル型フェリ磁性粒子が式:(CoO)(NiO)(MnO)・n/2(Fe))(式中、n=Fe/M(モル比)の値が2.05<n<2.5であり、xが0.4<x<0.6であり、yが0.3<y<0.5であり、zが0.02<z<0.2であり、x+y+z=1である。)で表される請求項1に記載のスピネル型フェリ磁性粒子。
  6. 鉄(Fe)含有水溶液と2価の金属(M)含有水溶液とを2.05<Fe/M<2.5(モル比)の割合で混合する原料水溶液の調製工程;原料水溶液のアルカリ濃度が0.05〜10Mとなる様に、60℃以上110℃未満の温度でアルカリ水溶液を当該原料水溶液に添加する共沈澱物含有液の生成工程;当該共沈澱物含有液を80〜120℃で加熱処理する黒色粒子の生成工程;黒色粒子を洗浄してアルカリを除去した後、酸を添加して超常磁性成分を除去する黒色粒子のエッチング工程;およびエッチング処理された黒色粒子含有液をろ過および洗浄した後、Si,Al,P,Znの群から選ばれた1種以上の金属含有水溶液を添加する金属水酸化物の被覆工程から成ることを特徴とする請求項1に記載のスピネル型フェリ磁性粒子の製造方法。
  7. 非磁性支持体と、前記非磁性支持体上に形成されており且つ請求項1〜5の何れかに記載のスピネル型フェリ磁性粒子と結合剤とから成る磁性層とから成ることを特徴とする磁気記録媒体。
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