JPH05283219A - 磁気記録用磁性粉およびそれを用いた磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録用磁性粉およびそれを用いた磁気記録媒体

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JPH05283219A
JPH05283219A JP4074817A JP7481792A JPH05283219A JP H05283219 A JPH05283219 A JP H05283219A JP 4074817 A JP4074817 A JP 4074817A JP 7481792 A JP7481792 A JP 7481792A JP H05283219 A JPH05283219 A JP H05283219A
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Osamu Kubo
修 久保
Etsuji Ogawa
悦治 小川
Masaru Hayashi
勝 林
Hiroshi Endo
博 遠藤
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 分散しやすく安定した特性を有する六方晶系
フェライト磁性粉を提供し、それを用いて作製する高再
生出力および高S/N比を有し、耐久性にもすぐれた磁
気記録媒体を提供する。 【構成】 六方晶系フェライト磁性粉の粒子表面に、B
a,Sr,Ca,Mg,Zn,Al,TiおよびZrから選ばれた少なくとも
一種の元素とSiとを共に含む酸化物および/または水酸
化物を被着させて、磁気記録用磁性粉とする。酸化物に
換算して算出した各元素の被着量は、磁性粉に対する総
被着量として 0.1〜5重量%の範囲が好ましい。上記被
着物は粒子表面に容易にしかも強固に沈着し、そのため
磁性粉の磁気凝集が低下して分散性が向上する。上記磁
性粉を用いることにより所期の目的を満足する磁気記録
媒体が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高密度の磁気記録に適
した磁気記録用磁性粉およびそれを用いた磁気記録媒体
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、塗布型の磁気記録媒体は、ポリエ
ステルフィルムやポリエチレンテレフタレートフィルム
などの基体上に、磁性粉を樹脂バインダとともに塗布し
て得られている。このような磁性粉として、たとえばγ
−Fe2 3 、Co−γ−Fe2 3やCrO2 などの針状磁性
粉が用いられ、これら針状磁性粉の塗布面内長手方向の
磁化を利用した磁気記録媒体が広く知られている。
【0003】近年、磁気記録媒体に対する高記録密度化
の要求の高まりに伴い、上記した従来の記録媒体よりも
さらに高密度な記録が可能な媒体として、Baフェライト
など板状の六方晶系フェライト磁性粉を用いた垂直磁気
記録方式による記録媒体が注目され、一部で実用化が進
められている。この六方晶系フェライト磁性粉は板面に
垂直な磁化容易軸を有しており、これを用いて得られる
磁気記録媒体は、針状磁性粉を用いた従来媒体にくらべ
て短波長領域で高い出力が得られるという特長を有す
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記六
方晶系フェライト磁性粉は、針状磁性粉にくらべて樹脂
バインダ中への均一な分散が困難である。これは、六方
晶系フェライト磁性粉は一般に粒子形状が板状であるた
め、板面に垂直な方向に磁気凝集(スタッキング)しや
すく、これらの磁気凝集により分散性が阻害されること
に起因する。そして、従来の六方晶系フェライト磁性粉
を用いた磁気記録媒体においては、このような理由で磁
性粉の均一な分散が困難であるため、磁性粉本来の特性
が最大限には引き出されていない。したがって、その出
力は期待されるほど大きくはないのが現状である。そこ
で、上記六方晶系フェライト磁性粉の良好な分散状態を
実現するためには、これまでにも、たとえば分散工程に
比較的長い時間をかけるなどの、種々の工夫がなされて
きた。
【0005】ところが、分散工程が長時間に亘る場合に
は、磁性粉の結晶形状の破壊を招き易い。そのため、分
散時間を長くして作製された磁気記録媒体においては、
その磁気変換特性が損なわれ、再生出力の低下や雑音レ
ベルの上昇といった不都合が生じていた。
【0006】そこで、本発明はこのような不都合に対処
するためになされたものであり、長時間の分散工程を必
要とせずに分散しやすく、また安定した特性を有する六
方晶系フェライトの超微粒子からなる磁気記録用磁性粉
を提供することを、その目的とする。そして、その磁気
記録用磁性粉を用いて良好な再生出力およびS/N比を
有し、耐久性にもすぐれた磁気記録媒体を提供すること
を、本発明のさらなる目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の磁気記録用磁性
粉は、六方晶系フェライト磁性粉の粒子表面に、Ba,Sr,
Ca,Mg,Zn,Al,Ti およびZrから選ばれた少なくとも一種
の元素とSiとを共に含む酸化物および/または水酸化物
が、被着されていることを特徴としている。
【0008】本発明は、Ba,Sr,Ca,Mg,Zn,Al,TiおよびZr
から選ばれた少なくとも一種の元素と、Siとを組み合わ
せて六方晶系フェライト磁性粉に被着させることによ
り、Ba,Sr,Ca,Mg,Zn,Al,Ti,Zr あるいはSiの単独被着に
比較し、その分散効果が著しく改善されるという知見に
基づいたものである。
【0009】ここで、六方晶系フェライト磁性粉の粒子
表面にBa,Sr,Ca,Mg,Zn,Al,TiおよびZrを被着させるため
に使用可能な処理剤としては、たとえばBaCl2 , SrC
l2 , CaCl2 , MgCl2 , ZnCl2 , AlCl3 , TiCl4 およびZ
rOCl2 などの各種化合物があげられる。これらの化合
物の水溶液が好適に使用される。また、Siを被着させる
ために使用可能な処理剤としては、たとえば、水ガラス
(Na4 SiO4 )などがあげられる。
【0010】本発明において上記元素の被着量は、それ
ぞれ酸化物(具体的にはBaO, SrO、CaO, MgO, Zn
O, Al2 3 , TiO2 、ZrO2 およびSiO2 )として算
出する。そして上記元素の被着量を合計し、磁性粉に対
する総被着量として 0.1〜5重量%の範囲が好ましい。
総被着量が 0.1重量%未満では、磁性粉の分散性の改善
効果が不十分となる。また5重量%より多くなると、磁
性粉の飽和磁化が顕著に低下するため好ましくない。
【0011】本発明において使用可能な六方晶系フェラ
イトとしては、たとえばM型(マグネトプランバイト
型)、W型などのBaフェライト、Srフェライト、Pbフェ
ライトおよびBa,Sr,Pbの一部をCaで置換したフェライ
ト、あるいはこれらの固溶体もしくはイオン置換体、ス
ピネルフェライトと上記単相六方晶系フェライトが複合
化されたフェライトなどがあげられる。
【0012】またこれらの六方晶系フェライト磁性粉の
粒径の適正範囲は、用途にもよるが、高密度磁気記録用
として用いる場合は、概ね0.02〜0.2 μm の範囲が好ま
しい。平均粒径が0.02μm 未満では、磁化および保磁力
が減少して磁気記録媒体の再生出力が低下する。また0.
2 μm を越えると、記録分解能が低下する。また、保磁
力は 200〜2,000 Oe の範囲が好ましい。200 Oe 未満
では、磁気記録媒体における記録信号の残存が不十分と
なり、また2,000 Oe を越えると磁気ヘッドによる信号
の書き込みが困難となるためである。
【0013】本発明の磁気記録用磁性粉は以下のように
して得られる。まず、本発明の表面処理の対象となる磁
気記録用磁性粉を製造する。製造方法としては、ガラス
結晶化法、水熱合成法、共沈法などがあげられるが、本
発明の表面処理は、ガラス結晶化法で作製された磁性粉
に適用した場合に、特にその効果が著しい。上記した方
法などにより常法にしたがって作製された磁性粉は、次
のようにして表面処理を行うことにより、本発明の磁気
記録用磁性粉が得られる。
【0014】まず、六方晶系フェライト磁性粉を純水中
に分散させる。この分散液中に、Ba,Sr,Ca,Mg,Zn,Al,Ti
およびZrを被着させるための処理剤および水ガラスを加
えて、十分に攪拌する。そして、この分散液を中性〜弱
アルカリ性に調整し、六方晶系フェライト磁性粉の粒子
表面に上記した元素の水酸化物を被着させる。粒子表面
に上記した元素が水酸化物として被着した六方晶系フェ
ライト磁性粉を、沈殿させ水洗いの後濾別する。そし
て、これをたとえば熱風循環炉などを用いて乾燥または
焼成することにより、本発明の磁気記録用磁性粉が得ら
れる。この乾燥時の温度が低い場合に、上記元素は水酸
化物として六方晶系フェライト磁性粉に被着している
が、 200〜 300℃と高温の場合には酸化物として被着す
る。
【0015】さて、本発明の磁気記録媒体は、上記のよ
うにして得られた本発明の六方晶系フェライト磁性粉
が、非磁性基体上に付着、もしくはバインダ樹脂ととも
に塗布されることにより磁性層が形成されていることを
特徴とするものである。本発明の磁気記録媒体のうち、
塗布により磁性層が形成されるものは、上記した本発明
の磁性粉を用いて常法に従い、以下のようにして製造す
ることができる。すなわち、磁性粉、樹脂バインダ、お
よび必要に応じて各種添加剤を混合し、混練分散して磁
気塗料を調製した後、これらを基体上に塗布することに
より、磁性層が形成される。磁性層に含有させることが
可能な各種添加剤は、たとえば分散剤、潤滑剤、帯電防
止剤などがあげられる。磁性層形成ののち、磁界配向処
理、乾燥処理に続いて表面平滑化処理などを経て、本発
明の磁気記録媒体が得られる。
【0016】本発明の磁気記録媒体において、非磁性基
体を構成する素材としてはたとえばポリエチレンテレフ
タレ−トあるいはポリエチレンナフタレ−トなどのポリ
エステル類などの他、ポリオレフィン類、セルロース誘
導体などの各種素材が使用可能である。
【0017】本発明の磁気記録媒体において、樹脂バイ
ンダとしては、磁気記録媒体用に通常用いられている樹
脂であるならば、たとえば、ポリエステル樹脂、ポリエ
ーテル樹脂、ポリウレタン樹脂、あるいはポリアクリル
樹脂など、どのようなものでも使用可能である。
【0018】
【作用】六方晶系フェライト本来の保磁力は大きいた
め、磁性粉として使用する場合には垂直磁気記録に適し
た値まで低減化する必要があり、そのため構成原子の一
部を特定の他の原子を単独あるいは組み合わせて置換す
ることが行われている。ところが磁性粉粒子表面のこれ
ら置換成分は、製造工程中の水や酸による洗浄により失
われ易く、保磁力の低減化が不十分になることがあっ
た。そしてこのような現象も、六方晶系フェライト磁性
粉の磁気凝集を高める原因の1つになっていた。
【0019】本発明の磁気記録用磁性粉においては、そ
の粒子表面の磁気凝集を低下させるための表面処理剤と
して、Ba,Sr,Ca,Mg,Zn,Al,TiおよびZrから選ばれた少な
くとも一種の元素を含む化合物と、Siを含む化合物とを
組み合わせて使用している。これらの化合物を水溶液と
して組み合わせて処理時に同時添加することにより、処
理効果が著しく現れる。これは、おそらく同時添加によ
り、上記8種の元素のいずれか1種とSiとを共に含む化
合物、たとえばBaSiO3 などのケイ酸塩のような化合物
が、容易にしかも強固に磁性粉表面に均一に形成される
ためと推察される。
【0020】上記した化合物が磁性粉表面に被着される
結果、失われがちであった保磁力低減化成分が磁性粉表
面に補われるばかりか、磁性粉内部の保磁力よりも磁性
粉表面の保磁力が低減される。したがって磁性粉の磁気
凝集が低下し、分散性が改善される。そして、そのよう
にして分散性が改善された磁性粉を用いることにより、
短時間で良好な分散状態が実現可能となり、高出力、高
S/N比を有する磁気記録媒体が得られる。
【0021】
【実施例】以下本発明の実施例について説明する。
【0022】実施例1 Co−Ti置換Baフェライト(保磁力900 Oe 、飽和磁化59
emu/g、平均粒径0.05μm )の 30 g を含む分散液 300
ml に、水ガラスおよびBaCl2 水溶液を加え、十分撹拌
した。そして、この水溶液に pH8になるようにNaOH
水溶液を加えて、十分に撹拌した。その後、この磁性粉
スラリーを水洗いした。水洗い後のスラリーを濾別した
後、 200℃にて乾燥した。このようにして得られた本発
明の実施例1のBaフェライト磁性粉中のBa−Si被着処理
量は、化学分析の結果、BaOおよびSiO2 としてそれぞ
れ0.7 重量%および0.3 重量%であった。
【0023】次に、このようにして得られた本発明の磁
性粉実施例1を用いて磁気記録媒体を作製するために、
まず、下記の材料組成物を混練し常法にしたがって塗料
化し磁性塗料を作製した。
【0024】磁性塗料組成 Baフェライト磁性粉 100重量部 塩化ビニルー酢酸ビニル共重合体 5重量部 ポリウレタン樹脂 5重量部 酸化アルミニウム 2重量部 潤滑剤 1.5重量部 分散剤(レシチン) 2重量部 メチルエチルケトン 70重量部 トルエン 70重量部 シクロヘキサノン 40重量部 硬化剤 5重量部 そして、このようにして得られた磁性塗料を、厚さ15μ
m のポリエチレンテレフタレートフィルム上に、常法に
したがって塗布し、その後乾燥処理、カレンダー処理、
スリッティング加工を行ない、厚さ 3.5μm の磁性層を
有する本発明の磁気記録媒体実施例1の磁気テープを作
製した。
【0025】実施例2 実施例1の磁性粉と同様な手順により、Baフェライト磁
性粉中のBa−Si被着処理量が、BaOおよびSiO2 とし
て、それぞれ2.80重量%および1.2 重量%である磁性粉
実施例2を作製した。
【0026】次に、磁性粉実施例1の代わりにこの磁性
粉実施例2を用いた他は磁気記録媒体実施例1と同様に
して、磁気記録媒体実施例2を作製した。
【0027】実施例3 実施例1の磁性粉におけるBaCl2 水溶液の代わりにAlCl
3 を用い、Al−Si被着処理量をAl2 3 およびSiO2
して、それぞれ1.26重量%および0.74重量%とした以外
は実施例1と同様にして、本発明の実施例3のBaフェラ
イト磁性粉を作製した。
【0028】次に、磁性粉実施例1の代わりにこの磁性
粉実施例3を用いた他は磁気記録媒体実施例1と同様に
して、磁気記録媒体実施例3を作製した。
【0029】実施例4 実施例1の磁性粉におけるBaCl2 水溶液の代わりにZnCl
2 を用い、Zn−Si被着処理量をZnOおよびSiO2 とし
て、それぞれ1.16重量%および0.84重量%とした以外は
実施例1と同様にして、本発明の実施例4の磁性粉を作
製した。
【0030】次に、磁性粉としてこの磁性粉実施例4を
用いた他は磁気記録媒体実施例1と同様にして、磁気記
録媒体実施例4を作製した。
【0031】実施例5、6 実施例1の磁性粉におけるBaCl2 水溶液の代わりにZrO
Cl2 を用い、Zr−Si被着処理量を、ZrO2 およびSiO2
としてそれぞれ1.34重量%および0.66重量%(実施例
5)、または、2.68重量%および1.32重量%(実施例
6)とした以外は実施例1と同様にして、本発明の実施
例5、6の磁性粉を作製した。
【0032】次に、磁性粉としてこの磁性粉実施例5、
6を用いた他は磁気記録媒体実施例1と同様にして、磁
気記録媒体実施例5、6を作製した。
【0033】比較例1 Co−Ti置換Baフェライト(保磁力900 Oe 、飽和磁化59
emu/g、平均粒径0.05μm )の 30 g を含む pH 4.5の
分散液 300 ml に、水ガラスを所定量加えた。そして、
この水溶液を pH7になるように調整した後、十分撹拌
した。その後、この磁性粉スラリーを水洗いした。水洗
い後のスラリーを濾別した後、 200℃にて乾燥した。こ
のようにして得られた比較例1の磁性粉中のSi被着処理
量は、化学分析の結果、SiO2 として2.0 重量%であっ
た。
【0034】次に、磁性粉実施例1の代わりにこの磁性
粉比較例1を用いた他は磁気記録媒体実施例1と同様に
して、磁気記録媒体比較例1を作製した。
【0035】比較例2 Co−Ti置換Baフェライト(保磁力900 Oe 、飽和磁化 5
9 emu/g 、平均粒径0.05μm )の 30 g を含む pH 4.5
の分散液 300 ml に、ZrOCl2 水溶液を所定量加えた。
そして、この水溶液を pH8になるように調整した後、
十分撹拌した。その後、この磁性粉スラリーを水洗いし
た。水洗い後のスラリーを濾別した後、 200℃にて乾燥
した。このようにして得られた比較例2の磁性粉中のZr
被着処理量は、化学分析の結果、ZrO2 として2.0 重量
%であった。
【0036】次に、磁性粉実施例1の代わりにこの磁性
粉比較例2を用いた他は磁気記録媒体実施例1と同様に
して、磁気記録媒体比較例2を作製した。
【0037】比較例3 Co−Ti置換Baフェライト(保磁力900 Oe 、飽和磁化 5
9 emu/g 、平均粒径0.05μm )の 30 g を含む pH 4.5
の分散液 300 ml に、ZnCl2 水溶液を所定量加えた。そ
して、この水溶液を pH8になるように調整した後、十
分撹拌した。その後、この磁性粉スラリーを水洗いし
た。水洗い後のスラリーを濾別した後、200℃にて乾燥
した。このようにして得られた比較例2の磁性粉中のZn
被着処理量は、化学分析の結果、ZnO2 として2.0 重量
%であった。
【0038】次に、磁性粉実施例1の代わりにこの磁性
粉比較例3を用いた他は磁気記録媒体実施例1と同様に
して、磁気記録媒体比較例3を作製した。
【0039】比較例4 Co−Ti置換Baフェライト(保磁力900 Oe 、飽和磁化 5
9 emu/g 、平均粒径0.05μm )の 30 g を含む pH 4.5
の分散液 300 ml に、AlCl3 水溶液を所定量加えた。そ
して、この水溶液を pH8になるように調整した後、十
分撹拌した。その後、この磁性粉スラリーを水洗いし
た。水洗い後のスラリーを濾別した後、200℃にて乾燥
した。このようにして得られた比較例2の磁性粉中のAl
被着処理量は、化学分析の結果、Al2 3 として2.0 重
量%であった。
【0040】次に、磁性粉実施例1の代わりにこの磁性
粉比較例4を用いた他は磁気記録媒体実施例1と同様に
して、磁気記録媒体比較例4を作製した。
【0041】比較例5 Co−Ti置換Baフェライト(保磁力900 Oe 、飽和磁化 5
9 emu/g 、平均粒径0.05μm )の 30 g を含む pH 4.5
の分散液 300 ml に、BaCl2 水溶液を所定量加えた。そ
して、この混合液にNa2 CO3 を加えた後、十分撹拌し
た。その後、この磁性粉スラリーを水洗いした。水洗い
後のスラリーを濾別した後、 200℃にて乾燥した。この
ようにして得られた比較例2の磁性粉中のBa被着処理量
は、化学分析の結果、BaOとして2.0 重量%であった。
【0042】次に、磁性粉実施例1の代わりにこの磁性
粉比較例5を用いた他は磁気記録媒体実施例1と同様に
して、磁気記録媒体比較例5を作製した。
【0043】比較例6 実施例1の磁性粉と同様な手順により、Baフェライト磁
性粉中のBa−Si被着処理量がBaOおよびSiO2 として、
それぞれ0.05重量%および0.02重量%である磁性粉比較
例6を作製した。
【0044】次に、磁性粉実施例1の代わりにこの磁性
粉比較例6を用いた他は磁気記録媒体実施例1と同様に
して、磁気記録媒体比較例6を作製した。
【0045】比較例7、8 実施例1の磁性粉におけるBaCl2 水溶液の代わりにZrO
Cl2 を用い、Zr−Si被着処理量をZrO2 およびSiO2
して、それぞれ0.05重量%および0.02重量%(比較例
7)、または、4.02重量%および1.98重量%(比較例
8)とした以外は実施例1と同様にして、本発明の比較
例7、8の磁性粉を作製した。
【0046】次に、磁性粉実施例1の代わりにこの磁性
粉比較例7、8を用いた他は磁気記録媒体実施例1と同
様にして、磁気記録媒体比較例7、8を作製した。
【0047】比較例9 Co−Ti置換Baフェライト(保磁力900 Oe 、飽和磁化 5
9 emu/g 、平均粒径0.05μm )に、上記実施例1〜6あ
るいは比較例1〜8において行ったような表面処理をし
ないものを、磁性粉比較例9とした。
【0048】次に、磁性粉実施例1の代わりにこの磁性
粉比較例9を用いた他は磁気記録媒体実施例1と同様に
して、磁気記録媒体比較例9を作製した。
【0049】以上得られた実施例1〜6および比較例1
〜9の15種の磁気記録媒体テープ試料の特性評価を行
った。磁性層中の磁性粉の分散状態を調べるためには、
磁性塗料塗布後カレンダ前の塗膜の光沢度(入射角60度
での反射率)の分散時間依存性を測定した。また、作製
されたこれら磁気テープの再生出力とS/N比およびス
チル耐久性を測定した。測定は、トラック幅 35 μm 、
ギャップ幅 0.3μm のリングヘッドを組み込んだドラム
テスターを用いて、相対速度3.8 m/sec 、7MHz におい
て行った。結果を次の表1に示す。なおここでスチル耐
久性は、常温常湿(温度20℃、湿度60%)において、テ
ープ出力が70%に低下するまでの時間をもって評価し
た。その評価結果を、表面処理の内容とともに以下の表
1に示す。
【0050】
【表1】 表1から明らかなように、本発明の表面処理を行ったBa
フェライト磁性粉は分散性にすぐれ、それを用いて作製
した磁気記録媒体は、無処理磁性粉もしくはSi、Baなど
の単独処理磁性粉を用いた磁気記録媒体や、表面被着処
理量が本発明の範囲外の磁性粉を用いた磁気記録媒体に
比較して、再生出力やS/N比などの電磁変換特性や耐
久性にすぐれている。
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
六方晶系フェライト磁性粉の粒子表面にBa,Sr,Ca,Mg,Z
n,Al,TiおよびZrから選ばれた少なくとも一種の元素とS
iとを共に含む酸化物および/または水酸化物を被着さ
せることにより、塗膜中での分散性が著しく改善された
磁性粉が得られる。そして、本発明の磁性粉を用いるこ
とにより、良好な再生出力およびS/N比を有し、耐久
性にもすぐれ、高密度の磁気記録に適した磁気記録媒体
が得られる。
【0052】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 遠藤 博 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 東 芝リサーチコンサルティング株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 六方晶系フェライト磁性粉の粒子表面
    に、Ba,Sr,Ca,Mg,Zn,Al, TiおよびZrから選ばれた少な
    くとも一種の元素とSiとを共に含む酸化物および/また
    は水酸化物が、被着されていることを特徴とする磁気記
    録用磁性粉。
  2. 【請求項2】 非磁性基体上に、磁性粉と樹脂バインダ
    を含む磁性層を形成してなる磁気記録媒体において、前
    記磁性粉が、特許請求の範囲請求項1記載の磁気記録用
    磁性粉であることを特徴とする磁気記録媒体。
JP4074817A 1992-03-31 1992-03-31 磁気記録用磁性粉およびそれを用いた磁気記録媒体 Withdrawn JPH05283219A (ja)

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