JP2006227194A - 近赤外線吸収フィルター及びプラズマディスプレイパネル - Google Patents
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Abstract
【効果】近赤外線吸収フィルター1自体に紫外線カット機能をも持たせることにより、近赤外線吸収剤の劣化を抑制して近赤外線吸収能を維持し、可視光域で近赤外線吸収剤の劣化による新たな吸収域の生成が抑制されてフィルターの色再現性能を維持する。
【選択図】図1
Description
請求項1の発明にかかる近赤外線吸収フィルター(1)は、近赤外線吸収剤(例えばジイモニウム塩化合物)を含有するポリエステルからなる近赤外線カット層(3)と、紫外線吸収剤を含有するポリエステルからなる紫外線カット層(4)とを積層した二軸配向フィルム(2,5)(7,8)である。
<図1,2に示す各種の近赤外線吸収フィルター1についての概要>
図1(a)で概略的に示す近赤外線吸収フィルター1は、近赤外線吸収剤を均一に混合含有するポリエステルからなる近赤外線カット層3と、紫外線吸収剤と所定粒子とを均一に混合含有するポリエステルからなる紫外線カット層4とが、共押出法により一体成形されて積層された二層の二軸配向フィルム2である。この近赤外線吸収剤としては、ジイモニウム塩化合物を採用することができるが、その他の既存のもの(800〜1100nmに吸収極大波長を有する化合物であれば特に限定されるものではないが、例えば、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、インドアニリン化合物、ベンゾピラン化合物、キノリン化合物、アントラキノン化合物、スクアリリウム化合物、ニッケル錯体化合物、銅化合物、タングステン化合物、酸化インジウム錫、酸化アンチモン錫、リン酸イッテルビウム及びこれらの混合物)を採用してもよい。この紫外線吸収剤としては、ベンゾオキサジノン化合物を採用しているが、その他既存のもの(紫外線吸収剤としては、300〜400nmの間に極大吸収を有し、その領域の光を効率よくカットする化合物であれば、有機系、無機系のいずれも特に限定なく用いることができる。例えば有機系紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリチル酸エステル系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、ケイ皮酸系紫外線吸収剤、アクリレート系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤、環状イミノエステル系紫外線吸収剤等が挙げられ、無機系紫外線級剤としては酸化チタン系紫外線吸収剤、酸化亜鉛系紫外線吸収剤、微粒子酸化鉄系紫外線吸収剤等)を採用してもよい。この所定粒子としては、数μmの直径を持つシリカ粒子を採用することができるが、その他の既存のもの(例えば、炭酸カルシウム粒子など)を採用してもよい。この所定粒子をポリエステルフィルムの両面のうち少なくとも一方の面に露出させることにより、ポリエステルフィルムを巻いた状態での密着性を軽減して滑り易くすることができる。特に、このポリエステルにおいて押出成形時の融点は230℃以下に設定されている。ちなみに、以降に記載する「近赤外線吸収剤」や「紫外線吸収剤」や「所定粒子」や「ポリエステル」については、上記のものを指す。なお、この近赤外線吸収フィルター1を後記プラズマディスプレイパネル11に利用する場合には、紫外線カット層4が近赤外線カット層3よりもプラズマディスプレイパネル(以降、PDPと略記することもある。)側に対する反対側に配設される。
図3(a)で概略的に示すプラズマディスプレイパネル11は、複数の積層体として、反射防止層である単層のフィルム12と、粘着剤層である単層のフィルム13と、ガラス基板14と、粘着剤層である単層のフィルム15と、電磁波カット層である単層のフィルム16と、画質補正剤を含有した粘着剤層である単層のフィルム17とを含むとともに、図1(e)で概略的に示す近赤外線吸収フィルター1におけるフィルム5を含む。前記フィルム5とフィルム17とフィルム16とフィルム15とガラス基板14とフィルム13とフィルム12とがPDP側から順次並べられて積層されている。この画質補正剤としては、560〜600nmに極大極大波長を有する可視光線を吸収する化合物であるテトラアザポルフィリン化合物を採用しているが、その他既存のもの(560〜600nmに吸収極大波長を有する化合物であれば特に限定されるものではないが、例えば、シアニン化合物、スクアリリウム化合物、アゾ化合物、フタロシアニン化合物)を採用してもよい。ちなみに、以降に記載する「画質補正剤」については、上記のものを指す。
まず、以下の諸例で使用したポリエステル材料について説明する。
A:エチレングリコールとイソフタル酸とテレフタル酸とから重縮合され、平均粒径2.2ミクロンのシリカ粒子600ppmを含むペレット状にしたポリエステル材料。
AI:ポリエステルAと近赤外線吸収剤(日本化薬社製KAYASORB IRG−022)を270:1でドライブレンドしたポリエステル材料。
BU:ポリエステルBをベント付き二軸押出機に供して、紫外線吸収剤として2,2’−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン](CYTEC社製 CYASORB UV−3638 分子量369 ベンゾオキサジノン系)を10重量%濃度となるように供給して溶融混練りしてペレット状にしたポリエステル材料とポリエステルBを重量比で1:9でドライブレンドしたポリエステル材料。
CI:ポリエステルCと近赤外線吸収剤(日本化薬社製KAYASORB IRG−022)を270:1でドライブレンドしたポリエステル材料。
ポリエステルAと日本化薬社製KAYASORB IRG−022とを300:1でドライブレンドした材料を押出成形機に投入した。この押出成形機では、メルトライン温度を230℃に設定して溶融押出しを行い、溶融樹脂をTダイからシート状に押し出した。そのシート状溶融樹脂を20℃の冷却ドラム上にキャスティングした。このキャスティングの際、静電印加密着法を適用した。このようにして製造した未延伸シートを縦延伸工程に導いた。この縦延伸工程では、ロール延伸法を採用し、複数本のセラミックロールにより70℃に予熱するとともにIRヒーターも併用して3.0倍の延伸倍率で長手方向に延伸した。次いで、この一軸延伸フィルムをテンターに導き、90℃で予熱した後、延伸倍率4.0倍で幅方向に延伸した。その後、同じテンター内で緊張下180℃の温度で熱固定した後、150℃の温度で3%幅方向に弛緩処理を行い、厚さ25μmの二軸配向ポリエステルフィルム(NIR)を得た。
ポリエステル材料AIを第1の押出成形機19に投入し、ポリエステル材料AUを第2の押出成形機20に投入した。これらの押出成形機19,20では、メルトライン温度を230℃に設定して溶融押出しを行い、その溶融押出しの直前にそれらの流路をAI/AUの厚み比が4/1となるように合わせて溶融樹脂をTダイ21からシート状に共押出した。そのシート状溶融樹脂を20℃の冷却ドラム22上にキャスティングした。このキャスティングの際、静電印加密着法を適用した。このようにして製造した未延伸シートを縦延伸機23に導いた。この縦延伸機23では、ロール延伸法を採用し、複数本のセラミックロールにより70℃に予熱するとともにIRヒーターも併用して3.0倍の延伸倍率で長手方向に延伸した。次いで、この一軸延伸フィルムをテンターに導いて90℃で予熱した後、横延伸機24に導いて4.0倍の延伸倍率で幅方向に延伸した。その後、同じテンター内で緊張下180℃の温度で熱固定した後、150℃の温度で3%幅方向に弛緩処理を行い、厚さ25μmの二軸配向配向ポリエステルフィルムを得た。このフィルム特性を下記表1に示す。
ポリエステル材料BIを第1の押出成形機19に投入し、ポリエステル材料BUを第2の押出成形機20に投入した。これらの点を変更するとともにメルトライン温度を250℃に変更した以外は、実施例1と同様に製膜を行って厚さ25μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。このフィルム特性を表1に示す。
前記実施例1において、ポリエステル材料AIをポリエステル材料CI(融点253℃)に変更し、ポリエステル材料AUをポリエステル材料CU(融点253℃)に変更するとともにメルトライン温度を290℃に変更する以外は、実施例1と同様に製膜を行って厚さ25μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。このフィルム特性を下記表1に示す。
押出成形前のポリエステルB(融点220℃)は、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(トランス体98%)184部と、1,4−シクロヘキサンジメタノール(トランス体67%)158部と、Ti(OC4H9)4の6重量%ブタノール溶液0.9部とから重縮合反応を行い、その重縮合反応後に得られたポリマーをストランド状に水中に抜き出し、ペレット状にしたもの材料に、平均粒径2.4μmの非晶質シリカを0.1重量%となるようにブレンドしてストランド状に押し出してペレット状にしたポリエステル材料である。このポリエステルBと近赤外線吸収剤(日本化薬社製KAYASORB IRG−022)を270:1でドライブレンドした材料BIを押出成形機に投入した。この押出成形機では、メルトライン温度を250℃に設定して溶融押出しを行い、溶融樹脂をTダイからシート状に押し出した。そのシート状溶融樹脂を20℃の冷却ドラム上にキャスティングした。このキャスティングの際、静電印加密着法を適用した。このようにして製造した未延伸シートを縦延伸工程に導いた。この縦延伸工程では、ロール延伸法を採用し、複数本のセラミックロールにより70℃に予熱するとともにIRヒーターも併用して3.0倍の延伸倍率で長手方向に延伸した。次いで、この一軸延伸フィルムをテンターに導き、90℃で予熱した後、延伸倍率4.0倍で幅方向に延伸した。その後、同じテンター内で緊張下180℃の温度で熱固定した後、150℃の温度で3%幅方向に弛緩処理を行い、厚さ25μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。このフィルム特性を下記表1に示す。
日本化薬社製KAYASORB IRG−022を0.2gと三菱レイヨン社製ポリメタクリル酸メチル樹脂(ダイヤナールBR−80)5.0gをメチルエチルケトン4.0gとトルエン16.0gの混合溶媒に溶解させ、ここから1.5gを採取し、超音波洗浄機にて完全に溶解させた後、この塗工液をバーコータ#24で三菱化学ポリエステルフィルム社製二軸配向フィルム(O300、厚さ25μm)に塗工して乾燥することにより、近赤外線吸収フィルムを得た。塗布膜厚は、約6μmであった。このフィルム特性を下記表1に示す。
CYTEC社製CYASORB UV−3638を0.35gと三菱レイヨン社製ポリメタクリル酸メチル樹脂(ダイヤナールBR−80)5.0gをメチルエチルケトン4.0gとトルエン16.0gの混合溶媒に溶解させ、ここから1.5gを採取し、超音波洗浄機にて完全に溶解させた後、この塗工液をバーコータ#24で比較例2で得られた近赤外線吸収フィルムに塗工して乾燥することにより、紫外線吸収層と赤外線吸収層の積層フィルムを得た。このフィルム特性を下記表1に示す。
AU;ポリエステルAをベント付き二軸押出機に供して、紫外線吸収剤として2,2’−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン](CYTEC社製 CYASORB UV−3638 分子量369 ベンゾオキサジノン系)を10重量%濃度となるように供給して溶融混練りしてペレット状にしたポリエステル材料とポリエステルAを重量比で1:9でドライブレンドしたポリエステル材料。
BU;ポリエステルBをベント付き二軸押出機に供して、紫外線吸収剤として2,2’−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン](CYTEC社製 CYASORB UV−3638 分子量369 ベンゾオキサジノン系)を10重量%濃度となるように供給して溶融混練りしてペレット状にしたポリエステル材料とポリエステルBを重量比で1:9でドライブレンドしたポリエステル材料。
CI;ポリエステルCと近赤外線吸収剤(日本化薬社製KAYASORB IRG−022)を270:1でドライブレンドしたポリエステル材料。
*2;南側の窓の室内側にて、2ヶ月暴露後に透過率の相対比較。
上記表1から、一つの独立した近赤外線吸収フィルター自体に紫外線カット機能をも持たせることにより、近赤外線吸収剤の劣化(分解や変質)を抑制して、太陽光暴露試験後の820nm−1100nmの近赤外線平均透過率が低く維持されていることが分かる。また、共押出法により付着工程数を減ずることができ、この数が1以下で近赤外線カット層と紫外線カット層とを積層させても外観均質性が確保されていることが分かる。さらに、融点が230℃以下のポリエステルを使うことにより、近赤外線透過性と可視光線透過性の差異をより大きくできることが分かる。
Claims (5)
- 近赤外線吸収剤を含有するポリエステルからなる近赤外線カット層と、紫外線吸収剤を含有するポリエステルからなる紫外線カット層とを積層した二軸配向フィルムであることを特徴とする近赤外線吸収フィルター。
- 近赤外線吸収剤を含有するポリエステルからなる近赤外線カット層と、紫外線吸収剤を含有するポリエステルからなる紫外線カット層とを備え、それらの層が押出成形機から共に溶融押出しされる共押出法により一体成形されて積層された二軸配向フィルムであることを特徴とする近赤外線吸収フィルター。
- 近赤外線吸収剤を有するポリエステルからなる近赤外線カット層を有する二軸配向フィルムと、紫外線吸収剤を有するポリエステルからなる紫外線カット層を有する二軸配向フィルムとを積層したことを特徴とする近赤外線吸収フィルター。
- 前記近赤外線カット層においてポリエステルの融点が230℃以下であることを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3に記載の近赤外線吸収フィルター。
- 請求項1から請求項4のうちいずれかの請求項に記載の近赤外線吸収フィルターを複数の積層体の一部として含み、紫外線カット層を近赤外線カット層よりもプラズマディスプレイ側に対する反対側に配設したことを特徴とするプラズマディスプレイパネル。
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