JP4306294B2 - 面光源反射板用ポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば液晶ディスプレイパネルなどの情報表示機器を始めとする各種電子機器などの面光源反射板に利用されるポリエステルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コンピューターディスプレイやその他の情報表示機器などで近年多用されている液晶ディスプレイパネルでは、その輝度向上のためにバックライトによる照明が採用されている。このバックライトは、液晶表示基板やカラーフィルターの後方に配置されており、後方から白色光を供給することで、ディスプレイの表示を明るく、また見やすくするという役割を担っている。
【0003】
ノートパソコンなどに用いられる一般的なバックライトでは、冷陰極蛍光管による画面端部からの照明光を、導光板を通じて画面内に導くと共に、導光板の背面に設けられた反射板でディスプレイ前面側に光を反射させることにより、液晶画面に白色光を供給している。またデスクトップパソコンやその他の大型情報表示機器などでは、画面内に蛍光管が配置されて、液晶画面に直接白色光を供給しているが、この場合においても、背面側に放射された光を効率よく利用するため、多くの場合において背面に反射板が設置されている。
【0004】
これらの用途に用いられる反射板としては、一般にガラスやプラスチック基材の表面に蒸着やコーティングを施したものや、白色顔料を含有したプラスチックフィルム、微細空洞を含有したプラスチックフィルムなどが用いられるが、近年は軽量化・高輝度化のため、空洞含有ポリエステルフィルムが多く用いられるようになっている(例えば、特許文献1〜3)。
【0005】
例えば、上記特許文献1の技術では、波長400〜700nmの光の反射率を確保すると共に、波長400nm未満の光の反射率向上も目的としており、該目的を、空洞含有フィルムに蛍光増白剤を含有させる構成を採用することで達成している。
【0006】
しかしながら、近年では、反射板と共に使用される冷陰極管が3波長型になることで、400nm以下の発光が減少しており、また、例えば、液晶ディスプレイでは表示に用いられるカラーフィルターの有効な青色波長域が450nm付近に設定されているなどの事情から、上記の各特許文献に記載の技術では、明るい表示機器を得ることが困難になりつつある。
【0007】
また、例えば特許文献1に開示の反射板では、紫外線の反射が多いため、該反射板の周辺に配置される部材において、反射紫外線による劣化の懸念がある。また、蛍光増白剤の劣化によって経時的に輝度が低下したり、蛍光増白剤が反射板表面にブリードアウトして、上記周辺部材へ悪影響を及ぼす懸念もある。
【0008】
また、面光源反射板用では、長期間使用しても劣化が抑えられており、安定に使用できることが求められている。例えば、特許文献4には、面光源反射板の耐光性を高めて長期間の使用安定性を確保すべく、紫外線吸収剤(耐光剤)を含有させた空洞含有ポリエステルフィルムが開示されている。特許文献4に開示の反射板であれば、入射した紫外線が紫外線吸収剤によって吸収されるため、反射板を構成する空洞含有ポリエステルフィルムの劣化が抑制され、また、反射紫外線を低減できるため、周辺部材の劣化も抑制される。
【0009】
しかし、特許文献4に開示の技術では、紫外線吸収剤や蛍光増白剤のブリードアウトによる反射板の周辺部材への悪影響の問題がある。
【0010】
さらに近年では、液晶ディスプレイパネルの如き情報表示機器においても、写真画像や動画などの表示がなされるなど、従来にない高度な表示能力が求められており、これに伴ってバックライトの高輝度化や白再現性の向上など、高性能化の要求が高まっている。これらの要求に対応するため、バックライトでは、冷陰極管などの高出力化や色温度の向上などが図られており、面光源反射板に要求される紫外線吸収性や耐光性などの特性も、さらに高まっている。
【0011】
【特許文献1】
特開平4−239540号公報
【特許文献2】
特開平6−226894号公報
【特許文献3】
特開平9−326221号公報
【特許文献4】
特開2001−228313号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情の下でなされたものであり、その目的は、紫外線の吸収を高めて自身の耐光性および周辺部材の紫外線劣化抑制能を向上させつつ、可視光の吸収を抑えて高い輝度を確保し得る面光源反射板用ポリエステルフィルム、および該フィルムを用いた面光源反射板を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成し得た本発明の面光源反射板用ポリエステルフィルムは、空洞含有ポリエステルフィルムを構成要素とするものであり、ルチル型を主体とする酸化チタン粒子を含有しており、且つ分光反射率が下式(1)および(2)を満足するものであるところに要旨を有するものである。
bl≧0.98 (1)
uv/Rbl≦0.80 (2)
ここで、RblおよびRuvは、青色光および紫外線の分光反射率(%)である。
【0014】
なお、上記面光源反射板用ポリエステルフィルムにおいては、上記酸化チタン粒子の含有量が0.1〜30質量%であることが好ましく、その平均粒径は、0.02〜2μmであることが望ましい。また、全酸化チタン粒子中のアナターゼ型酸化チタン量は、10質量%以下であることが推奨される。
【0015】
また、上記面光源反射板用ポリエステルフィルムでは、蛍光増白剤を実質的に含有しないことが好ましい。
【0016】
他方、上記面光源反射板用ポリエステルフィルムが、紫外線吸収剤、蛍光増白剤または酸化防止剤の少なくとも1種を含むときであって、且つ該紫外線吸収剤、該蛍光増白剤および該酸化防止剤が、分子内に窒素原子を含有するものである場合には、フィルム表面の構成元素濃度が、下式(3)を満足するものであることが望ましい。
Pn/Pc≦0.01 (3)
ここで、PnおよびPcは、窒素原子および炭素原子の濃度(at%)である。
【0017】
また、上記面光源反射板用ポリエステルフィルムでは、紫外線吸収剤、蛍光増白剤および酸化防止剤を実質的に含有しない層を、少なくとも片面に有する場合も、好ましい実施態様である。
【0018】
上記面光源反射板用ポリエステルフィルムでは、見かけ密度が、0.8〜1.2g/cmであることが推奨される。
【0019】
さらに本発明には、上記の面光源反射板用ポリエステルフィルムを用いた面光源反射板も包含される。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明者等は、面光源反射板用ポリエステルフィルムの耐光性(特に紫外線に対する耐性)を高めるべく、該フィルムを構成する空洞含有ポリエステルフィルムに含有させる耐光性向上成分として、特定の酸化チタンに着目した。そして、この酸化チタンを用いることにより、面光源反射板用ポリエステルフィルムの紫外線吸収性能を高めて耐光性を向上させつつ、可視光の吸収を抑えて高い輝度を確保し得ることを見出し、本発明を完成させたのである。
【0021】
本発明の面光源反射板用ポリエステルフィルム(以下、単に「本発明のフィルム」という場合がある)は、空洞含有ポリエステルフィルムを構成要素とするものであり、ルチル型を主体とする酸化チタン粒子を含有しており、且つ分光反射率が下式(1)および(2)を満足するものである。
bl≧98 (1)
uv/Rbl≦0.80 (2)
ここで、RblおよびRuvは、青色光および紫外線の分光反射率(%)である。
【0022】
上記式(1)は、本発明のフィルムでは、青色光の分光反射率が98%以上であることを示しており、上記式(2)は、本発明のフィルムでは、青色光の分光反射率に対する紫外線の分光反射率が80%以下であることを示している。本発明のフィルムは、上記式(1)および式(2)を満足するものであり、青色光、すなわち可視光の分光反射率が大きく、且つ、可視光よりも紫外線の吸収が大きい。これにより、高い輝度を備えつつ、紫外線劣化を抑制し得る特性を有するものとなる。
【0023】
上記式(1)における青色光の分光反射率が98%を下回る場合には、可視光に対する反射性能が不十分となる。より好ましくは99%以上、さらに好ましくは101%以上である。
【0024】
また、上記式(2)における青色光の分光反射率に対する紫外線の分光反射率が80%を超える場合は、可視光の反射性能(すなわち、可視光の輝度)を十分に確保しながら、紫外線に対する劣化を抑制することが困難となる。より好ましくは65%以下、さらに好ましくは50%以下である。
【0025】
なお、本発明のフィルムにおいて、分光反射率RblおよびRuvは、以下の測定法によって求められる値である。分光光度計(例えば、日立計測器サービス社製スペクトロフォトメーター「U−3500」)に積分球を装着し、標準反射板(例えば、日立計測器サービス社製アルミナ白板「210−0740」)の反射率を100%として校正し、分光反射率を測定する。測定は波長300〜700nmの領域で5nm刻みに行う。Ruvは、340〜360nmでの計5点の測定結果を算術平均して求められる値である。また、Rblは、420〜440nmの同平均より求められる値である。
【0026】
本発明のフィルムで要求される上記式(1)および(2)で表す特性は、以下の構成を採用することで確保できる。
【0027】
本発明のフィルムの構成主体は、空洞含有ポリエステルフィルムである。この空洞によって、白色の反射光を確保している。この空洞含有ポリエステルフィルムは、例えば、ポリエステル系樹脂に、該樹脂と非相溶の熱可塑性樹脂を分散させ、これを延伸することで得ることができる。
【0028】
上記ポリエステル系樹脂とは、ジカルボン酸(またはそのエステル誘導体)とグリコールから形成されるエステルユニットを主たる構成ユニットとするものである。ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸またはこれらのエステル(メチルエステルなどのアルキルエステルなど)誘導体などや、その他公知の脂肪族ジカルボン酸などが挙げられる。また、グリコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールなどが挙げられる。これらのポリエステル系樹脂は、ジカルボン酸とグリコールとを直接反応させる方法の他、ジカルボン酸のアルキルエステルとグリコールとをエステル交換反応させた後重縮合させるか、あるいはジカルボン酸のジグリコールエステルを重縮合させるなどの方法によって製造することができる。
【0029】
このようなポリエステル系樹脂の代表例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリエチレンブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどが挙げられる。このポリエステルはホモポリマーであってもよく、第3成分を共重合したものであっても良い。本発明では、構成ユニット100モル%中、エチレンテレフタレートユニット、プロピレンテレフタレートユニット、ブチレンテレフタレートユニットあるいはエチレン−2, 6−ナフタレートユニットが70モル%以上、好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上であるポリエステルを用いることが推奨される。
【0030】
上記のポリエステル系樹脂に非相溶の熱可塑性樹脂(以下、単に「非相溶性熱可塑性樹脂」という場合がある)は、空洞発現剤として作用し、ポリエステル系樹脂フィルム中の微細空洞形成に寄与するものである。この非相溶性熱可塑性樹脂としては、一般的な方法で上記ポリエステル系樹脂に溶融混合した際に相分離するものであれば特に限定されず、ホモポリマーであっても、共重合成分を有するポリマーであっても構わない。例えば、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、このポリオレフィン系樹脂にポリスチレン系樹脂を配合して用いることがより好ましい。
【0031】
上記のポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテンなどの各樹脂が挙げられる。中でも、高温でも軟化し難く、優れた空洞発現性を発揮し得る点で、ポリメチルペンテン樹脂が好適である。これらのポリオレフィン系樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0032】
また、上記のポリスチレン系樹脂としては、ホモポリマーの他、種々の共重合成分を有する共重合ポリマーであってもよい。ただし、後者の場合には、共重合成分が本発明の効果を損なわないことが要求される。
【0033】
なお、本発明のフィルム形成に当たっては、非相溶性熱可塑性樹脂の使用量は、ポリエステル系樹脂100質量部に対し、5質量部以上、より好ましくは8質量部以上であって、50質量部以下、より好ましくは30質量部以下とすることが推奨される。非相溶性熱可塑性樹脂の使用量が上記範囲を下回ると、空洞形成が不十分となる場合がある。他方、非相溶性熱可塑性樹脂の使用量が上記範囲を超えるとフィルム製造時にフィルム破れが生じ易くなり、生産性が著しく低下すると共に、得られるフィルムについても、折れ皺が発生し易くなるなど、ハンドリング性が低下する傾向にあるため、好ましくない。その他、空洞含有ポリエステルフィルム製造の詳細については、後述する。
【0034】
本発明のフィルムでは、上記空洞含有ポリエステルフィルムが、ルチル型を主体とする酸化チタン粒子を含有している。酸化チタンでは、主にルチル型とアナターゼ型の2つの結晶形態が知られているが、アナターゼ型は紫外線の分光反射率が非常に大きいのに対し、ルチル型は紫外線の吸収率が大きい(分光反射率が小さい)という特性を有している。また、ルチル型、アナターゼ型を問わず、青色光の分光反射率は大きい。本発明者等は、酸化チタンの結晶形態におけるこうした分光特性の違いに着目し、ルチル型の紫外線吸収性能を利用することで、面光源反射板用ポリエステルフィルムにおいて、耐光性を向上させつつ、優れた可視光の反射性能も確保し得ることを見出したのである。
【0035】
また、本発明のフィルムでは、酸化チタン粒子によって紫外線吸収性能を確保しているため、劣化防止のための紫外線吸収剤や酸化防止剤の使用の必要がないか、またはその使用量を極力低減できる。さらに、本発明のフィルムでは、紫外線吸収性能が高いため、蛍光増白剤を添加することによる白度や明度の向上効果があまり得られず、実質的に蛍光増白剤を用いる利点は殆どない。これらのことから、本発明のフィルムでは、液晶ディスプレイなどに用いた場合に、紫外線吸収剤や酸化防止剤、蛍光増白剤のブリードアウトによる周辺部材への悪影響の問題を回避することもできる。
【0036】
本発明のフィルムにおける酸化チタン粒子の含有量は、該フィルム全量に対し、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上であって、30質量%以下、好ましくは10質量%以下であることが推奨される。酸化チタン粒子の含有量が上記範囲を下回る場合には、紫外線吸収性能や可視光の反射性能が十分に確保できない場合がある。他方、酸化チタン粒子の含有量が上記範囲を超える場合には、フィルム製造の際に、延伸などの操作が困難となり、生産性が低下する場合がある。
【0037】
また、上記酸化チタン粒子は、その平均粒径が0.02μm以上、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上であって、2μm以下、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下であることが推奨される。酸化チタン粒子の平均粒径が上記範囲を下回るか超える場合には、該酸化チタン粒子とフィルムを形成している樹脂との界面での総面積が小さくなることに伴い、可視光の反射性能が低下する場合があり、好ましくない。
【0038】
ちなみに、上記酸化チタン粒子が上記範囲の中でも、より大きなものである場合は、それ自体が非相溶性熱可塑性樹脂と同じように、フィルムの空洞形成能を有するため、上記(1)式および(2)を満足させ得る範囲において、非相溶性熱可塑性樹脂を使用しないか、またはその使用量を低減させてフィルムを製造することができる。
【0039】
なお、上記の通り、本発明に係る酸化チタン粒子は、ルチル型を主体とするものである。ここでいう「主体」とは、全酸化チタン粒子中のルチル型酸化チタン量が50質量%を超えていることを意味する。また、全酸化チタン粒子中のアナターゼ型酸化チタン量が10質量%以下であることが好ましい。より好ましくは5質量%以下である。アナターゼ型酸化チタンの含有量が上記上限値を超えると、全酸化チタン粒子中に占めるルチル型酸化チタン量が少なくなるために紫外線吸収性能が不十分となる場合がある他、アナターゼ型酸化チタンは光触媒作用が強いため、この作用によっても耐光性が低下する傾向にある。
【0040】
なお、本発明のフィルムでは、上述のブリードアウトの問題が生じない範囲で、紫外線吸収剤や、酸化防止剤、蛍光増白剤といった添加剤を用いてもよい。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系やベンゾフェノン系、ベンズオキサジノン系、サリシレート系、シアノアクリレート系、オキサリニド系など一般にプラスチック用として使用されているものが有効である。中でもベンゾトリアゾール系やシアノアクリレート系、オキサリニド系などがブリードアウトの軽減のため好ましい。また、酸化防止剤としては、プラスチック用として一般に用いられているフェノール系、イオウ系、リン系、アミン系などの各種酸化防止剤が挙げられる。この他、蛍光増白剤としては、プラスチック用として一般に用いられているベンゾオキサゾール系蛍光増白剤などが挙げられる。
【0041】
なお、紫外線吸収剤、酸化防止剤、および蛍光増白剤の1種以上を用いる場合であって、これらの添加剤が窒素原子を含有する場合は、フィルム表面の構成元素濃度が、下式(3)を満足することが望ましい。
Pn/Pc≦0.01 (3)
ここで、PnおよびPcは、窒素原子および炭素原子の濃度[原子%(at%)]である。
【0042】
Pn/Pc値は、以下のようにして測定される値である。X線光電子分光計(例えば、島津製作所製「ESCA−3300」)を用いてフィルム表面の元素量を定量する。窒素に由来するスペクトルのピークと炭素に由来するピークの強度を測定し、この比率からPn/Pc値を求める。
【0043】
上記式(3)は、フィルム表面に存在する窒素原子の割合が、同炭素原子の割合に対して1%以下であることを示している。このことは、フィルム表面に窒素原子を含有する紫外線吸収剤、蛍光増白剤、および/または酸化防止剤のブリードアウトが殆ど生じていないことを意味している。
【0044】
Pn/Pc値が0.01を超える場合は、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、および/または酸化防止剤のブリードアウト量が多く、電子機器などに組み込んだ際の汚染の問題や、フィルムの後加工段階での塗工適性、印刷性などが低下する問題が生じる場合があるため好ましくない。Pn/Pc値は0.005以下であることがより好ましく、0.002以下であることがさらに好ましい。
【0045】
Pn/Pc値を上記範囲とするためには、例えば、以下のようにすればよい。紫外線吸収剤を用いる場合は、分子量が200〜2000のものを使用することが好ましい。より好ましくは300〜1500のもの、さらに好ましくは400〜1200のものである。分子量が上記範囲を下回る紫外線吸収剤では、一般に揮発性が高く、ポリエステル系樹脂との溶融混合やフィルム成形工程の際にブリードアウトし易いため好ましくない。他方、分子量が上記範囲を超える紫外線吸収剤を用いると、ポリエステル系樹脂に対する相溶性または分散性が悪くなる傾向にあり、均質なフィルムを作成することが困難となる場合がある。また、紫外線吸収剤の含有量は、フィルム全量に対し、10〜20000ppmとすることが好ましく、50〜10000ppmとすることがより好ましい。紫外線吸収剤の含有量が上記範囲を下回ると、紫外線吸収剤を添加した効果が十分に確保できない場合がある。他方、含有量が上記範囲を超える場合は、紫外線吸収剤自身の色相がフィルムに現れたり、ブリードアウトが生じ易くなるため好ましくない。
【0046】
また、蛍光増白剤については、本発明のフィルムが実質的に蛍光増白剤を含有しないことが好ましい。本発明のフィルムにおいても、白度や明度向上を目的として蛍光増白剤を用いることは可能であるが、上述の通り、本発明のフィルムは紫外線吸収性能が高いため、蛍光増白剤を添加することによる白度や明度の向上効果があまり得られず、実質的に蛍光増白剤を用いる利点は殆どない。また、蛍光増白剤は、長期間の使用によってその効果が減少するため、これを用いた場合には経時的に安定した輝度を確保することが困難であり、品質の安定性の面からも、その使用は好ましくない。なお、上記の「実質的に蛍光増白剤を含有しない」とは、本発明のフィルムの製造工程において、積極的に蛍光増白剤を添加した結果、フィルムが蛍光増白剤を含有することとなった場合以外の態様を意味している。
【0047】
また、酸化防止剤を用いる場合には、分子量が200〜2000のものを使用することが好ましい。より好ましくは300〜1500のもの、さらに好ましくは400〜1200のものである。分子量が上記範囲を下回るものでは、一般に分子の拡散性が高く、ポリエステル系樹脂との溶融混合工程やフィルム成形工程において、ブリードアウトが生じ易くなるため好ましくない。また、分子量が上記範囲を超えるものでは、ポリエステル系樹脂に対する相溶性または分散性が低下する傾向にあるため、好ましくない。
【0048】
この酸化防止剤の含有量は、フィルム全量に対して100〜10000ppmとすることが好ましく、300〜3000ppmとすることがより好ましい。この含有量が上記範囲を下回るときには、酸化防止剤の添加によるポリエステル系樹脂の劣化防止効果が十分に確保できない場合がある。他方、上記範囲を超えて添加した場合には、酸化防止剤の色相がフィルムに現れたり、フィルム表面へ酸化防止剤がブリードアウトし易くなる傾向にあるため、好ましくない。
【0049】
この他、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、および/または酸化防止剤のブリードアウトを防止して、例えばPn/Pc値を上記範囲内とするには、本発明のフィルムが、少なくとも片面に紫外線吸収剤、蛍光増白剤、および酸化防止剤を実質的に含有しない層を有することも好ましい。この層が設けられた面では、該層が紫外線吸収剤などのバリア層として作用するため、ブリードアウトが防止されて、例えばPn/Pc値を上記範囲内とすることができる。なお、ここでいう「紫外線吸収剤、蛍光増白剤、および酸化防止剤の実質的に含有しない層」とは、本発明のフィルムの製造工程において、該層を形成するに当たり、積極的に紫外線吸収剤、蛍光増白剤、および/または酸化防止剤を添加した結果、該層がこれらの添加剤を含有することとなった場合以外の態様を意味している。
【0050】
さらに、上記の紫外線吸収剤、蛍光増白剤、および酸化防止剤の実質的に含有しない層(以下、単に「層」と言う場合がある)に公知の帯電防止剤を添加するなどしたり、該層を構成する樹脂として他の部材との接着性を高め得るもの採用したりすることで、フィルムの帯電防止性や接着性などを改善することもできる。
【0051】
上記の層を構成する樹脂としては、例えば、本発明の構成主体である空洞含有ポリエステルフィルムの素材として例示した各ポリエステル系樹脂の他、通常のポリエステルフィルムの接着性や帯電防止性を向上させ得るものとして公知の樹脂(ポリウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、アクリル系樹脂など)などが挙げられる。なお、これらの樹脂や添加剤(帯電防止剤など)を選定するに当たっては、該添加剤がフィルム表面へブリードアウトし難いような種類のものを採用することが好ましい。
【0052】
上記の層を積層するに当たっては、例えば、上述のポリエステル系樹脂を素材とする場合では、基材である空洞含有部分を形成する層と共押出する方法を採用することが好ましい。なお、この場合、上記層が、上述の空洞発現剤(上記の非相溶性熱可塑性樹脂)や上記酸化チタン粒子を含有していてもよい。
【0053】
また、ポリエステル系樹脂以外の上記樹脂を素材とする場合では、例えば、塗布法によって上記層を形成することが好ましい。なお、ポリエステル系樹脂を素材とする層を、塗布法で形成することもできる。
【0054】
塗布法を採用する場合は、例えば、素材となる樹脂を含む溶液または分散液を、空洞含有ポリエステルフィルム表面に塗布し、溶媒を乾燥して上記の層を形成する。塗布方法としては、グラビアコート方式、キスコート方式、ディップ方式、スプレイコート方式、カーテンコート方式、エアナイフコート方式、ブレードコート方式、リバースロールコート方式など一般的に用いられている方法が適用できる。塗布する段階としては、フィルムの延伸前、縦延伸後、配向処理の終了した後などのいずれを採用してもよい。
【0055】
また、上記の層が金属を素材とする金属薄層であってもよい。これにより、上記のブリードアウト防止の他、フィルムの反射率や耐光性をさらに高めることも可能となる。金属薄層を構成する金属としては、例えば、アルミニウム、銀、白金、パラジウム、ニッケル、金、銅、コバルト、鉄、クロム、モリブデン、タングステン、チタン、マンガン、錫などの金属、これらの合金、およびこれらの酸化物など、一般に蒸着やスパッタリングに使用される材料が挙げられる。金属薄層を形成する際には、これらの金属を用いて蒸着法やスパッタリング法など公知の金属層形成法を採用すればよい。
【0056】
さらに、上記例示の各層は、同種の層(例えば、ポリエステル系樹脂層とポリウレタン樹脂層など)または異種の層(例えばポリエステル系樹脂層と金属薄層など)が2層以上積層されていてもよい。
【0057】
本発明のフィルムでは、見かけ密度が0.8g/cm以上、より好ましくは0.9g/cm以上であって、1.2g/cm以下、より好ましくは1.1g/cm以下であることが望ましい。見かけ密度が上記範囲を下回る場合は、フィルムのコシ感が低下し、後加工する際のハンドリング性が低下する傾向にある。他方、見かけ密度が上記範囲を超える場合には、空洞含有量が不十分となって、必要とされる反射性能を確保できない場合がある。なお、ここでいう「見かけ密度」は、後述の実施例で採用する方法によって測定される値である。
【0058】
本発明のフィルムの厚みは特に限定されず、フィルムが適用される装置などに応じて適宜設定することができるが、フィルムの強度などを考慮すると、全厚みが50〜350μmであることが一般的であり、75〜250μmであることがより好ましい。
【0059】
次に、本発明のフィルムの製造方法について説明する。本発明のフィルムの製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、目的とするフィルムの組成からなる混合物(例えば、ポリエステル系樹脂、非相溶性熱可塑性樹脂、および酸化チタン粒子を含む混合物)を溶融し、フィルム状に押出成形して未延伸フィルムとした後、該未延伸フィルムを延伸するといった一般的な方法を採用することができる。
【0060】
上述のフィルム製造においては、原料混合物を溶融押出して成形するまでの過程で、ポリエステル系樹脂に非相溶性熱可塑性樹脂を分散させている。なお、後述の実施例では、原料となる各種樹脂に、ペレット形状で供給されているものを用いているが、このようなペレット形状以外のものから製造することも可能である。
【0061】
例えば、フィルム状に溶融押出成形するために押出機に投入する原料が、ポリエステル系樹脂ペレットと非相溶性熱可塑性樹脂ペレットの混合物の場合、これらの樹脂の比重の違いから、予め混合したペレットが押出機に供給される過程で分離する場合がある。特に非相溶性熱可塑性樹脂が上記のポリオレフィン系樹脂の場合には、ポリエステル系樹脂との比重が大きく異なるため、上記分離現象が起こり易い。
【0062】
よって、この場合、混合したポリエステル系樹脂ペレットと非相溶性熱可塑性樹脂ペレットが、押出機に供給するまでの過程で再分離しない工夫を施すことが好ましい。例えば、事前に原料樹脂の一部または全部を組み合わせて混練り・ペレタイズし、マスターバッチペレットとしておく方法などが挙げられる。
【0063】
また、ポリエステル系樹脂と非相溶性熱可塑性樹脂の押出においては、溶融状態で混合してポリエステル系樹脂中に非相溶性熱可塑性樹脂を微分散させた後であっても、その後の押出成形のためにマスターバッチペレットを溶融した際に、樹脂間の界面エネルギーを減少させようとする作用が働き、分散樹脂が再凝集する場合がある。これは、押出成形によって上記未延伸フィルムを得る際に、空洞発現剤である非相溶性熱可塑性樹脂を粗分散化させ、要求される特性発現の妨げとなる現象である。
【0064】
こうした再凝集現象を防止する観点からは、上記のマスターバッチペレット作製のための混練り機として、混練り効果の高い二軸押出機を用い、非相溶性熱可塑性樹脂を予め微分散させておくことが好ましい。また、この操作が困難な場合は、補助的な手段として、押出機から吐出される樹脂を伸張流動分散器に通して非相溶性熱可塑性樹脂を微分散させてから、フィードブロックまたはダイスに供給することも好ましい。ただし、これらの方法を採用した場合には、メルトライン中に熱劣化した樹脂を滞留させることになる場合もあるため、注意を要する。なお、溶融状態の非相溶性熱可塑性樹脂の再凝集は、低せん断状態の場合に時間と共に進行すると考えられるので、押出機からダイスに至るメルトライン中における、樹脂の滞留時間を減少させることが根本的な解決策である。
【0065】
例えば、上記の滞留時間を60分以下とすることが好ましく、30分以下とすることがより好ましく、20分以下とすることがさらに好ましい。
【0066】
また、上記の溶融押出をする際の樹脂温度は、ポリエステル系樹脂の融点をTm(℃)とする場合、Tm以上、Tm+20℃以下であることが好ましく、Tm+10℃以下であることがより好ましい。樹脂温度が上記範囲を超える場合には、例えば紫外線吸収剤などの添加剤を用いた場合に、該添加剤が熱劣化する傾向にある。また、ポリエステル系樹脂の溶融粘度が小さくなるため、これら添加剤の相分離が生じ易く、ブリードアウトを促進する傾向にある。
【0067】
この溶融押出では、押出機中で樹脂温度を上記範囲内として溶融させた後、ダイスに導く経路において、樹脂温度をTm〜Tm−30℃まで下げておくことも好ましい。これにより、紫外線吸収剤などの添加剤のブリードアウトをさらに抑制することができる。ただし、樹脂温度が上記範囲を下回る場合には、樹脂の溶融粘度の異常な上昇や、メルトライン中での樹脂の固化が生じ、押出しが困難となる。
【0068】
上記の溶融押出工程で得られる未延伸フィルムに延伸・配向処理を施し、本発明のフィルムとする。その際の各処理条件は、フィルムの物性と密接に関係する。以下に、特に好ましい延伸法である逐次二軸延伸によって、未延伸フィルムの長手方向、幅方向の順に延伸する場合を例に取り、延伸・配向処理の各好適条件を説明する。
【0069】
フィルムの長手方向の延伸(縦延伸工程)では、未延伸フィルムを、周速が異なる2本あるいは多数本のロール間を通過させることで延伸し、一軸延伸フィルムとする。このときの加熱は、加熱ロールによってもよく、非接触の加熱手段を採用してもよく、これらを併用しても構わない。フィルムの温度は、85〜100℃とすることが一般的である。また、延伸倍率は3.0〜3.6倍とすることが好ましい。次いで、例えばテンターによって、上記一軸延伸フィルムの幅方向を、Tm−10℃以下の温度で、2.0〜5倍に延伸し(幅延伸工程)、二軸延伸フィルムとする。
【0070】
なお、上記の二軸延伸フィルムに対し、必要に応じて熱処理を施してもよい。熱処理は、例えば、幅延伸工程で用いるテンター内で施すことが好ましく、その温度はTm−60℃〜Tm−20℃の範囲内とすることが推奨される。この熱処理温度は、一般に仕上がりフィルムの熱収縮率を鑑みて設定されるが、本発明のフィルムでは、紫外線吸収剤などの添加剤のフィルム表面へのブリードアウトを低減する観点から、上記の温度範囲内で、できるだけ低温側とすることが望ましい。
【0071】
上記の製造方法によって得られるポリエステルフィルムは、内部に存在する微細空洞によって高い反射能を有すると共に、ルチル型を主体とする酸化チタン粒子によって、青色光の反射率を維持しつつ良好な紫外線吸収能を有しており、面光源反射板材料として優れたものである。
【0072】
また、本発明の面光源反射板は、上記本発明のフィルムを用いたものであり、液晶ディスプレイなどの情報表示機器を始めとして、各種電子機器などに用いられるものである。この面光源反射板においては、本発明のフィルムを、使用する機器の形状やサイズに合わせて適切な形状に裁断し、バックライトなどの照明装置を背面に配置して使用する。これによって導光板などから導入される照明光を表示装置前面側に反射して、表示画面の輝度を向上させる。
【0073】
本発明の面光源反射板では、本発明のフィルムの表面および/または背面に、反射光の指向性や色特性を調整するための表面加工を施して使用することも好ましい。このような表面加工を施す手段としては、各種の粒子や色素などをバインダー樹脂に分散させて塗工し、塗布層を形成させる方法;金属やその酸化物を蒸着またはスパッタリングして造膜する方法;など、公知の各手法が採用可能である。これらの手法によって表面形状や屈折率、波長選択性を制御した反射板は、フィルム単体を用いた場合に比べ、視認性や表現性がより好ましいものとなる。
【0074】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施をすることは、全て本発明の技術的範囲に包含される。なお、本実施例において採用する測定方法・評価方法は、以下の通りである。
【0075】
(1)フィルムの厚み
フィルムを一辺50mmの正方形に4枚切り出して測定試料とする。これを4枚重ねにして、その厚み(μm)をデジタルマイクロメーター(SONY Precision Technology社製「M−30」)を用いて、有効数字3桁で10点測定し、重ね厚みの平均値を求める。この平均値を4で除した後に四捨五入で小数点以下を丸め、一枚あたりの平均のフィルム厚みを求める。
【0076】
(2)フィルムの見かけ密度
上記の厚み測定で用いた試料4枚の質量(g)を、自動天秤により有効数字3桁で測定する。これをフィルムの体積[厚み×(一辺の長さ)×4枚]で除し、単位をg/cmに換算してフィルムの見かけ密度を求める。
【0077】
(3)酸化チタン粒子の平均粒径
フィルム片20gを坩堝に入れ、電気炉を用いて空気雰囲気下、700℃で、30分間加熱する。この残留物を取り出して、これを定法により透過型電子顕微鏡で検鏡する。拡大率:25000倍で酸化チタン粒子200個の直径を測定し、その算術平均値を平均粒径とする。
【0078】
(4)ポリエステル系樹脂の固有粘度
JIS K 7367−5に基づいて測定する。溶媒には、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン=60/40(質量比)混合溶媒を用いる。
【0079】
(5)酸化チタン粒子中のアナターゼ型酸化チタン含有量
X線回折装置(理学電機社製「RINT2000」)を用い、Cu−Kα線をフィルム面に垂直に入射させて広角X線回折像を撮影する。この回折プロファイルから、アナターゼ型酸化チタンの(101)積分強度(Ia)と、ルチル型酸化チタンの(110)積分強度(Ir)を測定する。この結果から、下式を用いてアナターゼ型酸化チタンの含有量(A型含有量、質量%)を求める。
A型含有量=(100×Ia)/(Ia+1.26×Ir)。
【0080】
(6)分光反射率
分光光度計(日立計測器サービス社製スペクトロフォトメーター「U−3500」)に積分球を装着し、標準反射板(日立計測器サービス社製アルミナ白板「210−0740」)の反射率を100%として校正し、分光反射率を測定する。測定は波長300〜700nmの領域で5nm刻みに行う。紫外線の反射率(Ruv)は340〜360nmでの計5点の測定結果を算術平均して求める。また青色光の反射率(Rbl)は420〜440nmの同平均より求める。
【0081】
(7)フィルム表面の元素濃度
X線光電子分光計(島津製作所製「ESCA−3300」)を用いてフィルム表面の元素量を定量する。窒素に由来するスペクトルのピークと炭素に由来するピークの強度を測定し、この比率からPn/Pc値を求める。
【0082】
(8)紫外線劣化評価
フィルムの紫外線劣化特性を評価するため、JIS B 7753の規定に準じて、サンシャインカーボンアーク灯で1000時間の曝露試験を行う。曝露は温度63℃、相対湿度50%の環境下で行い、試験片表面への水噴霧は実施しない。この曝露試験実施後のフィルムを、市販の14インチ型サイドライト式バックライトユニットに、反射シートとして挿入し、輝度と色相を評価する。曝露試験を実施していないフィルムについても、同じように市販の14インチ型サイドライト式バックライトユニットに、反射シートとして挿入し、輝度と色相を評価し、曝露前後での差異の有無によって紫外線劣化特性を判定する。判定は目視で行い、曝露前後での差異が認められないものを「◎」、僅かに差異が認められるが、黄味や暗さは認められないものを「○」、明確に差異が認められるものを「×」とする。
【0083】
(9)低分子量添加物のブリードアウト評価
フィルムにおける低分子量添加物のブリードアウトを評価するため、加熱促進試験を実施する。イソプロピルアルコールを用いて清拭した透明な2枚のパイレックス(登録商標)板ガラス(厚み:約1mm)にフィルムを挟み、およそ0.3kPaの荷重を加える。これを150℃の熱風オーブン中で3時間加熱した後に取り出し、板ガラスの汚れを目視評価する。汚れが認められなかったものを「○」、汚れが認められたものを「×」とする。
【0084】
<ポリエチレンテレフタレート樹脂の合成>
まず、二次凝集粒子径が1.5μmの凝集シリカ粒子をエチレングリコール中に混合してスラリーを準備した。このスラリーを高圧式均質分散機により50MPaで5パス相当時間循環処理した。これを95%カット径が30μmのビスコースレーヨン製フィルターで濾過処理して、平均粒径が1.0μmの凝集シリカ粒子のエチレングリコールスラリーを得た。このスラリー濃度は140g/Lであった。
【0085】
次に、エステル化反応缶を昇温し、200℃に到達した時点で、テレフタル酸:86.4質量部およびエチレングリコール:64.4質量部からなるスラリーを注入した。これを攪拌しながら触媒として三酸化アンチモン:0.03質量部、および酢酸マグネシウム四水和物:0.09質量部、トリエチルアミン:0.16質量部を添加した。続いて加圧昇温を行い、ゲージ圧:0.34MPa、240℃の条件で、加圧エステル化反応を行った。
【0086】
その後、エステル化反応缶内を常圧に戻し、リン酸トリメチル:0.040質量部を添加した。さらに260℃に昇温し、リン酸トリメチルの添加から15分経過後、上記シリカ粒子のエチレングリコールスラリーを、生成ポリエステルに対して500ppmとなるように添加した。15分後、得られたエステル化反応生成物を重縮合反応缶に移送し、減圧下、280℃で重縮合反応を行った。
【0087】
重縮合反応終了後、95%カット径が28μmのナスロン製フィルターで濾過処理を行い、固有粘度が0.64dl/gのシリカ粒子含有ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂を得た。この樹脂をペレット状に成形してPET樹脂ペレットを得た。
【0088】
<マスターバッチペレットの調製>
(a)マスターバッチペレットMAの調製
真空オーブンを用い、平均粒径:0.2μmのアナターゼ型酸化チタン粒子(ルチル型混入率3%)を170℃、10Paの条件で乾燥した。また、上記のPET樹脂ペレットを140℃、10Paの条件で6時間乾燥した。乾燥後の上記酸化チタン粒子50質量%と上記PET樹脂ペレット50質量%を、ベント式二軸押出機に供給して270℃で予備混練した。この際、偏析による原料の組成変動を防ぐため、上記酸化チタン粒子は、押出機の原料投入口へ連続的に直接供給した。予備混練後の溶融樹脂を連続的にベント式単軸混練機に供給し、275℃で混練して押出し、得られたストランドを冷却、切断してアナターゼ型酸化チタン粒子含有マスターバッチペレットMAを得た。
【0089】
(b)マスターバッチペレットMRの調製
アナターゼ型酸化チタン粒子に代えて、平均粒径:0.3μmのルチル型酸化チタン粒子(アナターゼ型混入率5%)を用い、上記(a)と同様にして、ルチル型酸化チタン粒子含有マスターバッチペレットMRを得た。
【0090】
(c)マスターバッチペレットMPの作成
ポリメチルペンテン樹脂(三井化学社製「DX845」)70質量%とポリスチレン樹脂(日本ポリスチレン社製「G797」)30質量%を上記の二軸押出機に投入し、260℃で溶融混合して非相溶性熱可塑性樹脂マスターバッチペレットMPを得た。
【0091】
(d)マスターバッチペレットMU1の作成
上記(a)と同様に乾燥処理したPET樹脂ペレット:98質量%を、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(分子量:448):2質量%と共に上記二軸押出機に投入し、紫外線吸収剤含有マスターバッチペレットMU1を得た。
【0092】
(e)マスターバッチペレットMU2の作成
上記(a)と同様に乾燥処理したPET樹脂ペレット:99.5質量%を、シアノアクリレート系紫外線吸収剤(分子量:1060):0.5質量%と共に上記二軸押出機に投入し、紫外線吸収剤含有マスターバッチペレットMU2を得た。
【0093】
(f)マスターバッチペレットMBの作成
上記(a)と同様に乾燥処理したPET樹脂ペレット:90質量%を、ビスベンゾオキサゾール系蛍光増白剤(分子量:414):10質量%と共に上記二軸押出機に投入し、蛍光増白剤含有マスターバッチペレットMBを調整した。
【0094】
<原料樹脂の乾燥>
上記のPET樹脂ペレットおよび各マスターバッチペレットMA、MR、MU1、MU2、並びにMBを、140℃、10Paの条件で8時間乾燥させた。また、マスターバッチペレットMPは70℃の熱風で4時間乾燥させた。これらを、以下の各実施例・比較例でのフィルム原料として用いた。
【0095】
実施例1
上記PET樹脂ペレット、マスターバッチペレットMP、およびマスターバッチペレットMRを、夫々91.6/8.0/0.4(質量%)の比率になるよう連続計量しながら、270℃に温調した二軸押出機Aに供給して溶融、混練りした。この樹脂を溶融路中で240℃まで冷却しながらダイスに導き、25℃に調温した冷却ロール上にTダイより押出して未延伸フィルムを作製した。
【0096】
得られた未延伸フィルムを、加熱ロールを用いて65℃に均一加熱し、周速が異なる二対のロール間で3.4倍に縦延伸した。この際、補助加熱装置として、ニップロール中間部に金反射膜を備えた赤外線加熱ヒーター(定格出力:20W/cm)を、フィルムの両面に対向してフィルム面から2cmの位置に設置し、フィルムを加熱した。このようにして得られた一軸延伸フィルムをテンターに導き、120℃に加熱して3.7倍に横延伸し、幅固定しながら230℃で5秒間の熱処理を施し、さらに180℃で幅方向に4%緩和させることにより、厚み:約190μmのポリエステル系フィルムを得た。得られたポリエステル系フィルムの評価結果を表1に示す。
【0097】
実施例2
上記PET樹脂ペレット、マスターバッチペレットMP、およびマスターバッチペレットMRを、夫々89/10/1(質量%)の比率になるように連続計量して上記押出機Aに供給し、厚みを延伸・熱処理後で約140μmとした他は実施例1と同様にして、ポリエステル系フィルムを得た。得られたポリエステル系フィルムの評価結果を表1に示す。
【0098】
実施例3
上記PET樹脂ペレット、マスターバッチペレットMP、マスターバッチペレットMR、およびマスターバッチペレットMU1を、夫々65/10/20/5(質量%)の比率になるよう計量して上記押出機Aに供給した。また上記PET樹脂ペレットとマスターバッチペレットMRを、80/20(質量%)の比率になるように混合し、上記とは別の押出機B(温度:265℃)に供給した。
【0099】
上記押出機Aおよび押出機Bから供給される溶融樹脂をTダイの中で積層した。この際、押出機Bから供給される樹脂がフィルムの両表面側となり、厚み比率が20/50/20となるように積層した。また、フィルム厚みを延伸・熱処理後で約90μmとなるよう調節した。この他は実施例1と同様にして、ポリエステル系フィルムを得た。得られたポリエステル系フィルムの評価結果を表1に示す。
【0100】
実施例4
マスターバッチペレットMU1に代えてマスターバッチペレットMU2を用いた他は実施例3と同様にして、厚み:約90μmのポリエステル系フィルムを得た。得られたポリエステル系フィルムの評価結果を表1に示す。
【0101】
比較例1
マスターバッチペレットMRに代えてマスターバッチペレットMAを用いた他は実施例1と同様にして、厚み:約190μmのポリエステル系フィルムを得た。得られたポリエステル系フィルムの評価結果を表1に示す。
【0102】
比較例2
上記PET樹脂ペレット、マスターバッチペレットMP、およびマスターバッチペレットMBを、夫々91/4/5(質量%)の比率になるように連続計量して上記押出機Aに供給し、厚みを延伸・熱処理後で144μmとした他は実施例1と同様にしてポリエステル系フィルムを得た。得られたポリエステル系フィルムの評価結果を表1に示す。
【0103】
【表1】
Figure 0004306294
【0104】
表1に示すように、実施例1、2のフィルムでは、ルチル型を主体とする酸化チタン粒子の微量添加によって、紫外線の反射が少ない良好なフィルムが得られた。これらのフィルムでは、ブリードアウトの懸念がある紫外線吸収剤などの添加剤を含有しておらず、このブリードアウトによる問題は一切生じない。また、実施例3および4のフィルムでは、ルチル型を主体とする酸化チタン粒子および紫外線吸収剤を含有しており、且つフィルム両表面側に、実質的に紫外線吸収剤を含有しない層を有する積層構造である。これらの構成により、紫外線の反射が少なく、また紫外線吸収剤のブリードアウトも少ない良好なフィルムが得られた。これら実施例1〜4のフィルムは、その紫外線吸収能により、紫外線に対する耐性が優れていると共に、周辺部材の紫外線劣化抑制能も良好であり、高性能電子機器の部材、特に面光源反射板用途に好適なポリエステルフィルムであった。
【0105】
これに対し、比較例1のフィルムは、アナターゼ型主体の酸化チタン粒子を含有する例であり、紫外線の反射が低減されていない。また、比較例2のフィルムは、酸化チタン粒子を含有しておらず、蛍光増白剤を多量に有する例であり、やはり紫外線の反射が低減されておらず、さらにフィルム表面へのブリードアウトも多い。よって、上記の用途に好適とはいえないフィルムであった。
【0106】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のポリエステルフィルムでは、可視光の吸収を抑えて高度な反射性能を確保しつつ、紫外線に対する吸収能が付与されており、液晶ディスプレイパネルのバックライトなどの面光源反射板用として用いた際に、周囲の構成部材および反射板自身の紫外線劣化を軽減できるものである。また、同時に紫外線吸収剤などの低分子量添加物のフィルム表面へのブリードアウトが低減されており、高性能電子機器の構成部材として好適に用い得る。

Claims (5)

  1. 空洞含有ポリエステルフィルムを構成要素とする面光源反射板用ポリエステルフィルムであって、
    上記空洞含有ポリエステルフィルムは、ポリエステル系樹脂に、該樹脂と非相溶の非相溶性熱可塑性樹脂を分散させて延伸することにより得られたものであり、上記非相溶性熱可塑性樹脂の使用量が、ポリエステル系樹脂100質量部に対し、5質量部以上、50質量部以下であり、
    上記面光源反射板用ポリエステルフィルムは、全酸化チタン粒子中のアナターゼ型酸化チタン量が10質量%以下である、ルチル型を主体とする酸化チタン粒子を0.1〜30質量%含有しており、蛍光増白剤を実質的に含有しないものであり、
    且つ上記面光源反射板用ポリエステルフィルムの分光反射率が下式(1)および(2)を満足するものであることを特徴とする面光源反射板用ポリエステルフィルム。
    bl≧98 (1)
    uv/Rbl≦0.80 (2)
    ここで、RblおよびRuvは、青色光および紫外線の分光反射率(%)である。
  2. 上記酸化チタン粒子は、平均粒径が0.02〜2μmである請求項に記載の面光源反射板用ポリエステルフィルム。
  3. 見かけ密度が、0.8〜1.2g/cmである請求項1または2に記載の面光源反射板用ポリエステルフィルム。
  4. 厚みが、50〜350μmである請求項1〜3のいずれかに記載の面光源反射板用ポリエステルフィルム。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の面光源反射板用ポリエステルフィルムを用いたものであることを特徴とする面光源反射板。
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