JP2006225484A - 複合誘電体材料及び電子部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】特許文献1に記載の複合誘電体シート及び特許文献2に記載のエポキシ組成物の場合にはいずれも誘電率を高めるために誘電体セラミックや無機質粉末をフィラーとして混合しているが、これらの場合には耐電圧は樹脂だけの場合と比較して低下し、高い誘電率を得ることができず、しかも耐電圧が低く実用できでない。
【解決手段】本発明の複合誘電体材料は、エポキシ変性ポリブタジエン樹脂及びポリビニルフェノールを含有する樹脂成分と、常誘電体セラミックと、を含有し、且つ、上記常誘電体セラミックは、硬化後の上記樹脂成分と上記常誘電体セラミックとの合計に対して、40vol%以下の割合で含有されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、複合誘電体材料及び電子部品に関し、更に詳しくは、高い誘電率と耐電圧性の両電気特性を満足する複合誘電体材料及びこの複合誘電体材料を用いた電子部品に関する。
高電圧下で使用される電子部品絶縁封止材や層間絶縁膜には、耐電圧が高く、熱安定性に優れた特性が要求される。このような特性を備えた絶縁性材料としてエポキシ樹脂が汎用されている。一方、フィルムコンデンサ等の電子部品については、近年の小型化や高機能化の流れに従って、絶縁性樹脂の誘電率を高くすることが要求されている。絶縁性樹脂の誘電率を高める方法としては、一般に高誘電率のフィラーを混合する方法が知られている。
例えば、特許文献1では、エポキシ当量が150〜2500であるエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂中にチタン酸バリウム等の高誘電率を有する誘電体セラミックをフィラーとして含有させ、比誘電率が25以上を示す熱硬化性複合誘電体フィルムが提案されている。この熱硬化性複合誘電体フィルムは、プリント基板等の基板に組み込むことによってコンデンサを形成することができる。
また、特許文献2では、(A)エポキシ樹脂、(B)官能基含有液状ジエン系重合体及び/またはその水素化物を含浸した無機質粉体からなる充填剤及び(C)硬化剤からなるエポキシ樹脂組成物が提案されている。このエポキシ樹脂組成物は、耐衝撃性、耐水性、耐酸性、耐アルカリ性等を向上させることができる。
特開2002−356619号公報 特開平05−039409号公報
しかしながら、特許文献1に記載の複合誘電体シート及び特許文献2に記載のエポキシ組成物の場合にはいずれも誘電率を高めるために誘電体セラミックや無機質粉末をフィラーとして混合しているが、これらの場合には耐電圧は樹脂だけの場合と比較して低下する。この現象は、フィラーと樹脂との誘電率の差や抵抗率の差がそれぞれ大きいため、樹脂に電界が集中しやすくなること、フィラーと樹脂の混合によって内部にボイドが発生すること、等が原因であると考えられる。
従って、誘電体セラミックとエポキシ樹脂との混合物からなるシートは、高い耐電圧が得られず、耐電圧性に劣るという課題があった。高温、高電圧下で用いられる電子部品用の素材としては、高温下での耐電圧は実用上150V/μm以上必要であるが、これまでのところ、エポキシ樹脂にフィラーを混合した場合、6以上の誘電率を有し、150V/μm以上の耐電圧を有する複合誘電体シート等の絶縁性材料は報告されていない。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、高い誘電率及び高い耐電圧の両方の電気的特性を満足することができる複合誘電体材料及び電子部品を提供することを目的とする。
本発明の請求項1に記載の複合誘電体材料は、エポキシ変性ポリブタジエン樹脂及びポリビニルフェノールを含有する樹脂成分と、常誘電体セラミックと、を含有する複合誘電体材料であって、上記常誘電体セラミックは、硬化後の上記樹脂成分と上記常誘電体セラミックとの合計に対して、40vol%以下の割合で含有されていることを特徴とするものである。
また、本発明の請求項2に記載の複合誘電体材料は、請求項1に記載の発明において、上記樹脂成分は、エポキシ基を有する有機シランを含有することを特徴とするものである。
また、本発明の請求項3に記載の複合誘電体材料は、請求項1または請求項2に記載の発明において、上記樹脂成分は、硬化していることを特徴とするものである
また、本発明の請求項4に記載の電子部品は、部品本体と、この部品本体の外部に形成された外部導体と、を備えた電子部品であって、上記部品本体は、請求項3に記載の複合誘電体材料によって形成されていることを特徴とするものである。
また、本発明の請求項5に記載の電子部品は、請求項4に記載の発明において、上記部品本体は、複数の誘電体層が積層された積層体と、この積層体内に形成された内部導体と、を備えたことを特徴とするものである。
また、本発明の複合誘電体材料は、エポキシ変性ポリブタジエン樹脂及びポリビニルフェノールを含有する樹脂成分と、常誘電体セラミックと、を含有している。樹脂成分は、エポキシ変性ポリブタジエン樹脂及びポリビニルフェノール以外に硬化促進剤及び可塑剤等の一般的な添加剤や揮発する溶媒を含有し得る。硬化促進剤としては、例えばアミン、イミダゾール、ルイス酸、ホスフィン等がある。但し、硬化後の樹脂成分は、揮発する溶媒を含まない。
樹脂成分のエポキシ変性ポリブタジエン樹脂とポリビニルフェノールの割合は、エポキシ変性ポリブタジエン樹脂100重量部に対してポリビニルフェノール50〜200重量部の範囲が好ましい。ポリビニルフェノールが50重量部未満では、樹脂成分が硬化せず樹脂硬化物を得られない虞がある。ポリビニルフェノールが200重量部を超えると、樹脂硬化物がキャリアフィルム等の支持体から剥離し難くなる。また、耐熱性を得るためには、エポキシ変性ポリブタジエン樹脂のエポキシ当量は、150〜2000の範囲が好ましく、ポリビニルフェノールの分子量は、5000〜25000の範囲が好ましい。
常誘電体セラミックは、チタン酸バリウム等の強誘電体セラミックと比較して、抵抗率が高く、誘電損失が小さく、熱安定性が高いため、樹脂成分と混合することによって、樹脂成分と常誘電体セラミックとの誘電率の差及び抵抗率の差を小さくすることができ、複合誘電材料として高い誘電率と高い耐電圧を同時に実現することができる。常誘電体セラミックとしては、例えば、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム等がある。
常誘電体セラミックの含有量は、硬化後の樹脂成分と常誘電体セラミックとの合計に対して、40vol%以下である。常誘電体セラミックの含有量が40vol%以下にすることによって、常誘電体セラミックと樹脂成分との混合によって発生する複合誘電体材料中のボイドを抑制することができ、高い誘電率を得ることができると共に高い耐電圧を得ることができる。常誘電体セラミックの含有量が40vol%を超えると、常誘電体セラミックと樹脂成分とを混合する際に常誘電体セラミックに起因するボイドが複合誘電体材料中に発生し易く、例えば150V/μm以上の高い耐電圧を得ることができない。尚、実用上、常誘電体セラミックの含有量は、硬化後の樹脂成分と常誘電体セラミックとの合計に対して、5vol%以上であることが好ましい。
本発明の複合誘電体材料は、樹脂成分及び常誘電体セラミック以外に、エポキシ基を有する有機シランを含有していることが好ましい。複合誘電体材料は、上記組成物の他に、エポキシ基を有する有機シランを含有することによって、樹脂成分と常誘電体セラミックとの親和性が高くなって樹脂成分と常誘電体セラミックとの密着性を高めることができ、延いては耐電圧を高めることができる。また、樹脂成分の耐熱性を向上させることができる。エポキシ基を有する有機シランの含有量は、エポキシ変性ポリブタジエン樹脂100重量部に対して、262重量部以下が好ましい。この含有量が262重量部を超えると、樹脂硬化物がキャリアフィルム等の支持体から剥離し難くなる。
また、複合誘電体材料における樹脂成分は、硬化していることが好ましい。樹脂成分が硬化していないと、溶媒等を含んでいるため、高い誘電率及び高い耐電圧を得ることができず、しかも材料として取り扱い難い。
本発明の電子部品は、部品本体と、この部品本体の外部に形成された外部導体とを備えている。そして、この部品本体が本発明の複合誘電体材料によって形成されている。また、部品本体は、複数の誘電体層を積層してなる積層体と、この積層体の各誘電体層の間に形成された内部導体を備えたものが好ましい。従って、積層体を構成する誘電体層が本発明の複合誘電体材料によって形成されていることになる。本発明の電子部品としては、例えば、コンデンサ、多層配線基板等がある。電子部品の部品本体を本発明の複合誘電体材料によって形成することにより、電子部品は、誘電率及び耐電圧の双方が高くなり、電気的特性に優れたものになる。
本発明の請求項1〜請求項5に記載の発明によれば、高い誘電率及び高い耐電圧の両方の電気的特性を満足することができる複合誘電体材料及び電子部品を提供することができる。
次に、図1〜図4に示す実施形態に基づいて本発明の電子部品について説明する。尚、各図中、図1は本発明の複合誘電体材料を用いた複合材料シートの一実施形態を示す斜視図、図2は図1に示す複合材料シートを用いて作製された本発明の電子部品の一実施形態である積層型電子部品を示す断面図、図3は図1に示す複合材料シートを用いて作製された本発明の電子部品の他の実施形態である巻回型電子部品を部分的に展開して示す斜視図、図4は本発明の複合誘電体材料を用いて作製された本発明の電子部品の更に他の実施形態である多層配線基板を示す断面図である。
本実施形態の複合材料シート1は、例えば図1に示すように、誘電体フィルム1Aと、この誘電体フィルム1Aの上面に形成された電極層1Bとを備えている。誘電体フィルム1Aは、例えばドクターブレード法を用いて本発明の複合誘電体材料を含むスラリーをキャリアフィルム上に塗布することによって形成される。また、電極層1Bは、誘電体フィルム1A上面の一部(図1では上縁部)を残した大部分の領域に、例えばAlを主成分とする導電性金属を真空蒸着することによって形成される。本実施形態では、複合材料シート1の上縁部のみが誘電体フィルム1Aが露呈している。そして、本実施形態の複合材料シート1を用いることによって図2、図3に示す本発明の電子部品を作製することができる。
図2に示す本実施形態の電子部品10は、図1に示す複合材料シート1を複数枚積層して形成された積層体(部品本体)11と、この部品本体11の両端面を被覆し且つこれら両端面から露呈する内部導体としての内部電極層1Bに電気的に接続された外部導体としての外部電極12、12と、を備え、積層型電子部品(積層型コンデンサ)として形成されている。部品本体11は、複数の誘電体フィルム1Aと、上下の誘電体フィルム1A間に介在する内部電極層1Bと、最上層として積層された誘電体フィルム1Aと、を有し、上下の内部電極層1Bの端部は部品本体11の両端面から交互に露呈するように配置されている。そして、積層体11内の内部電極層1Bのない領域は、上下の誘電体フィルム1Aが熱圧着により一体化されている。外部電極12は、例えばZn及びSnを主成分とする導電性金属を部品本体11の両端面に金属溶射することによって形成されている。尚、図1に示す複合材料シートを用いて図2に示す電子部品を作製する際には、電極層1Bが重なるように、且つ、誘電体フィルム1Aの露呈した部分が積層体11の側面に交互に引き出されるようにして、複数の複合材料シート1を積層する。
図3に示す本実施形態の電子部品20は、例えば図1に示す複合材料シート1が二枚積層して巻回されて形成された部品本体21と、この部品本体21の両端面に形成された外部電極22とを備え、巻回型電子部品(巻回型コンデンサ)として形成されている。二枚の複合材料シート1は、それぞれの電極層1Bが部品本体21の両端面から露呈するように配置されている。従って、部品本体21両端面の外部電極22は、部品本体21の両端面から露呈する二枚の複合材料シート1の電極層1Bに電気的に接続されている。本実施形態の外部電極22は、Zn及びSnを主成分とする導電性金属を部品本体21の両端面に金属溶射することによって形成されている。
また、図4に示す本実施形態の電子部品30は、部品本体31と、この部品本体31の上下両面に形成された外部導体32と、を備え、多層配線基板として構成されている。従って、本実施形態では電子部品30を多層配線基板30とも称する。部品本体31は、複数の誘電体層31Aが積層された積層体と、この積層体31内に所定のパターンで形成された内部導体31Bと、を有している。内部導体31Bは、上下の誘電体層31Aの間に所定のパターンで形成された面内導体31Cと、上下の面内導体31C、31C及び面内導体31Cと外部導体32それぞれを電気的に接続するように各誘電体層31Aを所定のパターンで貫通するビア導体31Dと、を有している。
誘電体層31Aは、複合材料シートと同一要領でキャリアフィルム上に形成することができる。そして、例えばレーザ光を用いて、誘電体シート31Aに対して所定のパターンでビアホールを形成した後、スクリーン印刷により導電性ペーストをビアホール内に埋め込んでビア導体31Dを形成する。次いで、スクリーン印刷法を用いて導電性ペーストを所定のパターンで塗布して面内導体31Cまたは外部電極32を形成して、配線パターンの異なる複数の複合材料シートを作製する。そして、これらの複合材料シートを所定の順序で複数枚積層することによって、本実施形態の多層配線基板30を作製することができる。
本実施例では複合材料シートを作製し、その電気的特性を評価した。
(1)複合材料シートの作製
樹脂成分の出発原料として、表1に示すように、エポキシ変性ポリブタジエン(エポキシ当量180)、ポリビニルフェノール(分子量23,000、酸当量120)及びγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(表1では「有機シラン」として記載)をそれぞれ準備した。また、セラミックフィラーとして、表1に示すように、チタン酸ストロンチウム粉末(比誘電率250、平均粒径0.3μm)(表1では「ST」として記載)、チタン酸カルシウム粉末(比誘電率180、平均粒径0.5μm)(表1では「CT」として記載)、ジルコン酸カルシウム粉末(比誘電率30、平均粒径0.5μm)(表1では「CZ」として記載)及びチタン酸バリウム粉末(比誘電率760、平均粒径0.5μm)(表1では「BT」として記載)をそれぞれ準備した。尚、チタン酸バリウムは強誘電体セラミックであり、その他は常誘電体セラミックである。
まず、樹脂成分の各原料それぞれを表1に示す割合になるように秤量した。秤量後の各原料それぞれをトルエン及びエタノールからなる混合溶媒に添加し、各原料を室温で溶解させた。次いで、これらの溶液を濾過してそれぞれの異物を取り除いて各原料の混合割合の異なる複数種の混合溶液を得た。次いで、各セラミック材料それぞれを表1に示す割合になるように秤量した後、各セラミック粉末それぞれを複数種の混合溶媒に加え、これらの混合溶液をボールミルで混合し、表1の試料No.1〜19に示す樹脂成分及びセラミックフィラーを含有するスラリーを調製した。
次いで、ドクターブレード法を用いて、試料No.1〜19のスラリーそれぞれを厚み50μmのキャリアフィルム上に塗布し、各スラリーをそれぞれ室温で5分間乾燥させた後、更に120℃で10分間乾燥させて各試料の樹脂成分を硬化させ、ハンドリング可能なフィルムを得た。これらのフィルムをそれぞれのキャリアフィルムから剥離した後、それぞれのフィルムを金属製の枠に貼り付けて更に180℃で1時間ずつ加熱し、各フィルムの樹脂成分をそれぞれ硬化させて誘電体フィルムを得た。これらの誘電体フィルムは、それぞれ薄い茶褐色で、長さが45mm、幅が25mm、厚みが35μmであった。このようにして得られた試料番号1〜19に示す組成を有する誘電体フィルムそれぞれの両面に、真空蒸着法を用いてAlを主成分とするアルミニウム箔を電極として形成し、試料No.1〜19の複合材料シートを作製した。
(1)複合材料シートの評価
試料No.1〜19の複合材料シートについて、LCRメータ(4284A;アジレント社製)を用いて、測定周波数1kHz、測定電圧1Vにおける比誘電率及び誘電損失tanδをそれぞれ測定した。また、各複合材料シートについて、絶縁破壊試験装置(HVT−501A:S.Y.Electronics社製)を用いて、室温と125℃のオイル中における絶縁破壊電圧をそれぞれ測定し、これらの測定結果をそれぞれ表1に示した。
Figure 2006225484
尚、表1において、*印を付したものは本発明の範囲外のものであり、それ以外は本発明の範囲内のものである。
表1に示す結果によれば、エポキシ変性ポリブタジエン樹脂及びポリビニルフェノールを含有する樹脂成分と、常誘電体セラミックと、を含有し、常誘電体セラミックの含有量が硬化後の上記樹脂成分と上記常誘電体セラミックとの合計に対して、40vol%以下である本発明の範囲にある試料No.2〜6の複合材料シートは、いずれも高い比誘電率を有すると共に125℃の高温下でも150V/μm以上の高い耐電圧を有することが判った。
また、本発明の範囲にある試料No.8〜11、試料No.13〜15及び試料No.18のように、上記各組成にエポキシ基を有する有機シラン(以下、単に「有機シラン」と称す。)が添加された複合材料シートは、耐電圧を更に高められることが判った。本発明の範囲にある試料No.17のように、ポリビニルフェノールの添加量が少ない複合材料シートは、有機シランを含んでいても、有機シランを含まない試料No.2〜6の複合材料シートよりも耐電圧が低下することが判った。従って、ポリビニルフェノールは、エポキシ変性ポリブタジエン樹脂に対して少なくとも50重量部含有させることが好ましいことも判った。
これに対して、試料No.1のように常誘電体セラミック等のフィラーを含まない樹脂材料シートは、比誘電率が低いことが判った。また、試料No.7のように常誘電体セラミックの含有量が40vol%を超える複合材料シートは、比誘電率が高くても耐電圧が150V/μm以下と低いことが判った。試料No.12、16のように有機シランを含有していても常誘電体セラミックの含有量が40vol%を超えると、少なくとも高温下での耐電圧が150V/μm以下と低いことが判った。また、試料No.19のようにフィラーとして強誘電体セラミック(チタン酸バリウム)を添加した複合材料シートは、常誘電体セラミックとしてチタン酸ストロンチウムやチタン酸カルシウムを添加した試料No.9、10と比較すれば明らかなように、常誘電体セラミックを強誘電体セラミックに代えただけで耐電圧が格段に低下し、しかも耐電圧の熱安定性が悪いことが判った。
以上説明したように本実施例によれば、チタン酸バリウム等の強誘電体セラミックに比べて、抵抗率が高く、誘電損失tanδが小さく、熱安定性の高い、チタン酸ストロンチウムやチタン酸カルシウム等の常誘電体セラミックを用いることにより、高い誘電率と耐電圧が両立した複合材料シートが得られることが判った。また、フィラーとしての常誘電体セラミックの含有量が硬化後の樹脂成分との合計量に対して40vol%以下に調整することによって、複合材料シート中でのボイドの発生を抑制し、複合材料シートの耐電圧を150V/μm以上に高められることが判った。更に、エポキシ変性ポリブタジエン樹脂とポリビニルフェノールを含む樹脂成分に有機シランを添加することによって更に耐電圧を高められることが判った。
従って、本実施例の複合材料シートを図2に示す積層型電子部品10及び図3に示す巻回型電子部品20に用いることによって、高誘電率で高耐電圧の電子部品を得ることができる。また、本実施例の複合誘電体材料を多層配線基板30の部品本体に用いることによって、高誘電率で高耐電圧の多層配線基板30を得ることができる。
本発明は、例えばコンデンサや多層配線基板などの電子部品を製造する際に好適に利用することができる。
本発明の複合誘電体材料を用いた複合材料シートの一実施形態を示す斜視図である。 図1に示す複合材料シートを用いて作製された本発明の電子部品の一実施形態である積層型電子部品を示す断面図である。 図1に示す複合材料シートを用いて作製された本発明の電子部品の他の実施形態である巻回型電子部品を部分的に展開して示す斜視図である。 本発明の複合誘電体材料を用いて作製された本発明の電子部品の更に他の実施形態である多層配線基板を示す断面図である。
符号の説明
1 複合材料シート
1A 誘電体フィルム
1B 電極層
10 積層多型電子部品
11 部品本体
12 外部電極(外部導体)
20 巻回型電子部品
21 部品本体
22 外部電極
30 多層配線基板(電子部品)
31 部品本体
31A 誘電体層
31B 内部導体
32 外部導体

Claims (5)

  1. エポキシ変性ポリブタジエン樹脂及びポリビニルフェノールを含有する樹脂成分と、常誘電体セラミックと、を含有する複合誘電体材料であって、上記常誘電体セラミックは、硬化後の上記樹脂成分と上記常誘電体セラミックとの合計に対して、40vol%以下の割合で含有されていることを特徴とする複合誘電体材料。
  2. 上記樹脂成分は、エポキシ基を有する有機シランを含有することを特徴とする請求項1に記載の複合誘電体材料。
  3. 上記樹脂成分は、硬化していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の複合誘電体材料。
  4. 部品本体と、この部品本体の外部に形成された外部導体と、を備えた電子部品であって、上記部品本体は、請求項3に記載の複合誘電体材料によって形成されていることを特徴とする電子部品。
  5. 上記部品本体は、複数の誘電体層が積層された積層体と、この積層体内に形成された内部導体と、を備えたことを特徴とする請求項4に記載の電子部品。
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