JP2003017861A - 多層配線基板及びその製造方法 - Google Patents

多層配線基板及びその製造方法

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JP2003017861A
JP2003017861A JP2001197114A JP2001197114A JP2003017861A JP 2003017861 A JP2003017861 A JP 2003017861A JP 2001197114 A JP2001197114 A JP 2001197114A JP 2001197114 A JP2001197114 A JP 2001197114A JP 2003017861 A JP2003017861 A JP 2003017861A
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JP2001197114A
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Fujito Nakakawaji
藤人 中川路
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Kyocera Corp
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Kyocera Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】低膨張性を有し、高湿雰囲気下でも静電容量の
変化が小さく、安定性に優れた多層配線基板を提供す
る。 【解決手段】熱硬化性樹脂として架橋剤を含む熱硬化型
ポリフェニレンエーテル10〜95重量%と、シリカお
よび/またはガラス5〜90重量%とからなる低誘電率
層1a、1c、1dと、架橋剤を含む熱硬化型ポリフェ
ニレンエーテル10〜95重量%と、チタン酸ストロン
チウム5〜90重量%とからなる高誘電率層1bとを積
層してなる絶縁基板1と、絶縁基板1の表面および/ま
たは内部に配設された配線回路層2と、低誘電率層1
a、1c、1dおよび/または高誘電率層1bを貫通し
て配設されたビアホール導体3とを具備することを特徴
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体素子を収容
するための半導体素子収納用パッケージや混成集積回路
基板等に用いられ、特に所定の静電容量を得ることので
きる容量内蔵型の多層配線基板とその製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来技術】近年、通信機器の普及に伴い、高速動作が
求められる電子機器が広く使用されるようになり、さら
にこれに伴って高速動作が可能なパッケージが求められ
ている。このような高速動作を行うためには、電気信号
ノイズを極力低減する必要がある。そのためには、コン
デンサを能動電子素子の近傍に配置し、電子回路の配線
長を極力短くすることにより、配線部のインダクタンス
を低減することが必要とされている。
【0003】そこで、従来、多層プリント配線板におい
て、絶縁層中に、高い誘電率を有する高誘電率層を形成
し、その高誘電率層の上下に電極を形成し、その電極間
から所定の静電容量を得ることが行われている。
【0004】また、このような高誘電率層としては、熱
硬化性樹脂であるエポキシ樹脂に、チタン酸バリウムや
チタン酸ストロンチウムなどの高誘電率を有する無機質
のフィラーを混合した複合材料等が一般に知られてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、熱硬化
性樹脂がエポキシ樹脂からなる複合材料の熱膨張係数は
50ppm/℃以上と大きく、マザーボードを構成する
一般的なプリプレグの熱膨張係数16〜20ppm/℃
に比較して非常に大きく、熱膨張係数のマッチングが悪
くなり、マザーボードへの実装信頼性が低いという問題
があった。
【0006】また、エポキシ樹脂系を用いることが多い
が、このエポキシ樹脂は吸水率が大きいために、高湿度
雰囲気下での使用において、回路の一部がショートする
などの問題が発生し、信頼性に問題がある。特に高誘電
率層とともに積層された場合、吸着した水分の影響によ
って高誘電率層の誘電率が変化してしまい、その結果、
高誘電率層による静電容量が変化してしまうという致命
的な問題があった。
【0007】従って、本発明は、かかる従来の欠点に鑑
み案出されたものであり、その目的は、低膨張性を有
し、高湿雰囲気下でも静電容量の変化が小さく、安定性
に優れた多層配線基板と、それを効率的に製造すること
のできる製造方法を提供することを目的とするものであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、高誘電
率層として、熱硬化型ポリフェニレンエーテルおよび架
橋剤からなる樹脂分に対して、チタン酸ストロンチウム
を所定の比率で添加、含有せしめるとともに、この高誘
電率層を内蔵する低誘電率層を熱硬化型のポリフェニレ
ンエーテルおよび架橋剤からなる樹脂分に対してシリカ
および/またはガラスを所定の比率で添加、含有せしめ
ることによって、多層配線基板の熱膨張係数を30pp
m/℃以下に小さくすることができるために、マザーボ
ードへの実装信頼性が高く、また吸水率を0.3%以下
に低減できるために、高湿雰囲気下での誘電率の変化が
なく、また低誘電率層と高誘電率層の熱膨張係数を近似
させることが可能であるために、あらゆる環境下でも安
定性に優れた多層配線基板をが得られることを見出し
た。
【0009】即ち、本発明の多層配線基板は、熱硬化性
樹脂として架橋剤を含む熱硬化型ポリフェニレンエーテ
ル10〜95重量%と、シリカおよび/またはガラス5
〜90重量%とからなる低誘電率層と、架橋剤を含む熱
硬化型ポリフェニレンエーテル10〜95重量%と、チ
タン酸ストロンチウム5〜90重量%とからなる高誘電
率層とを積層してなる絶縁基板と、該絶縁基板の表面お
よび/または内部に配設された配線回路層と、前記低誘
電率層および/または高誘電率層を貫通して配設された
ビアホール導体とを具備することを特徴とするものであ
る。
【0010】なお、低誘電率層および高誘電率層におい
て、前記熱硬化型ポリフェニレンエーテルと架橋剤と
は、重量比で30:70〜70:30の比率で配合され
ていることが樹脂としてのミクロ相の分離を防ぎガラス
転移点Tgを高めるうえで望ましい。
【0011】また、前記低誘電率層および高誘電率層の
−55〜150℃における熱膨張係数がいずれも30p
pm/℃以下であり、さらには、前記低誘電率層と高誘
電率層の−55〜150℃における熱膨張係数差が10
ppm/℃以下であることがマザーボードへの実装信頼
性と、安定性を高める上で望ましい。
【0012】また、前記低誘電率層および高誘電率層の
吸水率が、いずれも0.30重量%以下であることを特
徴とするものであって、これによって高誘電率層の高湿
雰囲気下での誘電率の変化を抑制することができる。
【0013】また、高誘電率層による静電容量を確保す
る上で、前記高誘電率層の厚みは5〜100μmである
ことが適当である。特に、高誘電率層の比誘電率は10
以上、前記低誘電率層の比誘電率は10未満であること
が適当である。
【0014】本発明における高誘電率層は、熱硬化性樹
脂として熱硬化型ポリフェニレンエーテルと架橋剤と、
フィラーとしてチタン酸ストロンチウムを含むものであ
るが、かかる組成物からなる硬化体は、高誘電率ととも
に、熱膨張係数が低く、しかも、吸水率が非常に小さい
という特異的な性質を有する。この特異的な性質は、明
確ではないが、フィラーであるチタン酸ストロンチウム
が複雑な結晶粒子形状を有することから、このフィラー
粒子の複雑なパッキング性が熱硬化型ポリフェニレンエ
ーテルと架橋剤からなる樹脂分のレオロジー特性とマッ
チングしたものと考えられ、フィラー粒子が均一にパッ
キングされる結果、樹脂特性を抑えフィラーの特性が引
き出されたものと推定される。
【0015】一方、この高誘電率層を支持、あるいは挟
持する低誘電率層として、高誘電率層中と同じ熱硬化型
ポリフェニレンエーテルと架橋剤からなる熱硬化性樹脂
分に対して、フィラーとしてシリカまたはガラスを含む
組成物も低い吸水率を有することから、上記の特異的な
性質を有する高誘電率層の特性を生かしつつ、高誘電率
層と低誘電率層との密着性を高めることによって安定性
を高めることができる。
【0016】さらに、本発明の多層配線基板の製造方法
によれば、熱硬化性樹脂として架橋剤を含む熱硬化型ポ
リフェニレンエーテル10〜95重量%と、シリカまた
はガラス5〜90重量%とからなる未硬化の低誘電率シ
ートにビアホール導体および/または配線回路層を形成
する工程と、架橋剤および熱硬化型ポリフェニレンエー
テル10〜95重量%と、チタン酸ストロンチウム5〜
90重量%とからなる未硬化の高誘電率シートにビアホ
ール導体および/または配線回路層を形成する工程と、
前記低誘電率シートと、前記高誘電率シートとを積層す
る工程と、該積層物を一括して熱硬化する工程と、を具
備することを特徴とするものである。
【0017】かかる製造方法によれば、低誘電率シート
と高誘電率シートとの積層順序を種々変更することが可
能であるとともに、貫通孔に導体成分を充填してなるビ
アホール導体を具備するために、回路設計を行う上で、
多層配線基板の任意の箇所にいわゆるコンデンサの配置
を行うことができる。また、一括硬化処理を行うため
に、熱硬化工程を簡略化することができる。
【0018】また、印刷方式によって高誘電率層を形成
する場合には、印刷性、解像度が問題となるが、本発明
の製造方法では、高誘電率シートを作製し、低誘電率シ
ートと位置決めして積層するために、印刷性や印刷によ
る解像度などの問題を解消できる。しかも、高誘電率シ
ート中にはチタン酸ストロンチウム粉末を含むことによ
って加工性が良好で、パンチングやレーザー加工によっ
て容易に任意の箇所に穴あけ加工を行うことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】次に、本発明を漆付の図面に基づ
き、詳細に説明する。
【0020】図1は、本発明の多層配線基板の一例を説
明するための概略断面図であって、1は絶縁基板、2は
配線回路層、3はビアホール導体である。
【0021】本発明の多層配線基板によれば、絶縁基板
1は、絶縁層1a、1b、1c、1dを積層することに
よって形成されており、その絶縁層のうち、絶績層1
a、1c、1d、1eは低誘電率層によって、また絶縁
層1bは高誘電率層によって形成されている。また、各
絶縁層には、配線回路層2が形成されており、特に高誘
電率層1bには、一対の電極3a、3bが形成されてい
る。また、各絶縁層には、貫通孔内に導体ペーストを充
填して形成されたビアホール導体4が形成されており、
前記配線回路層2とともに3次元的な回路を形成してい
る。また、ビアホール導体4は、前記一対の電極とも接
続されており、表面の配線回路層2aに接続されてお
り、所定の容量を引き出すことができる。
【0022】また、絶縁基板1表面に形成されている配
線回路層2には、半田などによって半導体素子などの種
々の電子部品などが実装される。
【0023】本発明の多層配線基板において、高誘電率
層1bは、熱硬化型ポリフェニレンエーテル樹脂および
可塑剤とを樹脂分として含み、フィラーとしてチタン酸
ストロンチウムが分散、含有していることが重要であ
る。
【0024】この高誘電率層1bにおけるチタン酸スト
ロンチウム量は、誘電率を制御する要因であって、チタ
ン酸ストロンチウム量が5重量%未満では誘電率10以
上の特性を得ることができず、90重量%を超えるとチ
タン酸ストロンチウムを前記樹脂分によって強固に結合
することが困難となり、高誘電率層4を安定に形成する
ことができない。従って、高誘電率層1bにおけるチタ
ン酸ストロンチウムの含有量は10〜90重量%、特に
55〜80重量%であることが必要である。
【0025】また、高誘電率層1b中のチタン酸ストロ
ンチウムの平均粒径は0.1〜20μm、特に0.7〜
3μmであることが望ましい。これは、平均粒径が0.
1μmよりも小さいと、粉末の比表面積が大きくなるこ
とから、シート化する際のスラリーの粘度が高くなりシ
ートを安定して形成することが難しくなる場合があり、
20μmを超えると高誘電率シートの表面粗さが粗くな
るため、金属ペーストの印刷等によりその表面に均一な
配線回路層や電極を形成することが困難となる場合があ
る。
【0026】また、樹脂分は、熱硬化型ポリフェニレン
エーテルと架橋剤とから構成されるが、架橋剤として
は、トリアリルイソシアヌル酸、ジアリルイソシアヌル
酸、ジアリルモノグリシジルイソシアヌル酸、ジアリル
ベンジルイソシアヌル酸の群から選ばれる少なくとも1
種が挙げられる。
【0027】また、熱硬化型ポリフェニレンエーテルと
架橋剤とは、30:70〜70:30の重量比で配合さ
れていることが望ましい。即ち、これらの量比が上記範
囲から逸脱するとミクロな相分離が起こりTgが低下し
てしまうためである。
【0028】また、誘電特性を充分に発揮する上で、高
誘電率層の厚みは100μm以下、特に50μm以下が
適当である。なおコンデンサとしての機能としては、下
限を定めるものではないが、薄すぎると、シート加工性
が低下するために、5μm以上が適当である。
【0029】なお、この高誘電率層は、誘電特性上は、
誘電率が10以上、特に20以上であることが望まし
い。誘電率が10よりも低いと高容量を得るために薄く
する必要がありその結果、厚みのばらつきなどが発生し
やすくなり信頼性が低下する。
【0030】また、本発明によれば、上記の高誘電率層
は、上記の組成物によって吸水率が0.30重量%以下
であることも大きな特徴である。このような吸水率を有
することによって、高湿雰囲気下でも高誘電率層の誘電
率が変化することがないために、静電容量の安定した特
性を得ることができる。
【0031】また、かかる高誘電率層の−55〜150
℃における熱膨張係数が30ppm/℃以下であること
が望ましい。これは、低誘電率層との熱膨張係数を整合
させるとともに、マザーボードなどへの実装時における
熱膨張差を緩和させるためである。
【0032】一方、低誘電率層1a、1c、1dを形成
する材料は、樹脂分として、前記高誘電率層1bを形成
する材料と同様に、熱硬化型ポリフェニレンエーテルと
架橋剤とからなり、フィラーとして、少なくともシリカ
またはガラスを含むものである。
【0033】本発明によれば、低誘電率層を上記の材料
によって形成することによって、本発明によれば、樹脂
分として、高誘電率層1bを構成する樹脂分と実質的に
同じ熱硬化型ポリフェニレンエーテルと架橋剤によって
形成することによって、高誘電率層1bと、これを挟持
する低誘電率層1a、1cとの密着性を高めることがで
きとともに、高誘電率層と低誘電率層との熱膨張差を近
似させることができる。
【0034】この低誘電率層においても前記高誘電率層
と同様に、熱硬化型ポリフェニレンエーテルと架橋剤と
は、30:70〜70:30の重量比で配合されている
ことが望ましく、特に高誘電率層と同じ量比からなるこ
とが高誘電率層と低誘電率層とのマッチング性の点で望
ましい。
【0035】また、低誘電率層中のフィラーとして、少
なくともシリカまたはガラスを用いることによって、低
誘電率層の誘電率を10未満、特に5以下に低下させる
ことができるとともに、低誘電率層の効果的に強度を高
めることができるために、基板同士の衝突による欠けや
割れ、クラック等の発生を防止することができる。
【0036】このフィラーは、粉末状でも、また繊維状
であってもよい。例えば、粒状シリカ粉末を含有、分散
させたり、ガラス繊維からなる織布または不織布に上記
樹脂分を含浸させたものであってもよい。
【0037】この低誘電率層における前記樹脂分とシリ
カおよびガラスのフィラーとは、樹脂分を10〜95重
量%、特に30〜80重量%と、前記フィラーを5〜9
0重量%、特に20〜70重量%の割合で含むことが望
ましい。これはフィラーの含有量が5重量%よりも少な
いと、フィラー成分の上記効果が充分に発揮されず、ま
た絶縁基板1の熱膨張係数が大きくなる傾向にあり、フ
ィラー量が90重量%よりも多いと、フィラー成分を熱
硬化性樹脂で強固に結合することが困難となるためであ
る。
【0038】また、フィラーとして、シリカおよびガラ
スの20重量%以下を酸化アルミニウム、窒化アルミニ
ウム、炭化ケイ素、ゼオライトの群から選ばれる少なく
とも1種によって置換することによって、低誘電率層の
熱膨張係数を高誘電率層の熱膨張に近似させることがで
きる。
【0039】かかる低誘電率層は、誘電率が10未満、
特に5以下であり、さらには、吸水率が0.30重量%
以下であることが望ましい。これによって、前記高誘電
率層との積層構造において、高湿雰囲気下で高誘電率層
の周辺での水分の吸着によって、高誘電率層の誘電率の
変化を抑制し、安定した静電容量を引き出すことができ
る。
【0040】また、マザーボードなどへの実装時におけ
る熱膨張差を緩和させるために、かかる低誘電率層の−
55〜150℃における熱膨張係数も高誘電率層と同様
に30ppm/℃以下であることが望ましい。
【0041】また、高誘電率層と低誘電率層との熱膨張
差は、高誘電率層と低誘電率層とを積層した構造におい
ては耐久性の観点から小さいことが望ましく、特に高誘
電率層と低誘電率層との熱膨張差の絶対値が10ppm
/℃以下、特に8ppm・℃以下であることが望まし
く、この熱膨張差が10ppm/℃よりも大きいと、耐
久試験において高誘電率層と低誘電率層との剥離などが
発生しやすくなる。
【0042】また、配線回路層2は、銅、銀、金の群か
ら選ばれる少なくとも1種の金属から形成されており、
この配線回路層2は、これらの金属粉末に、有機樹脂を
混合した導体ペーストを印刷したもの、または金属箔に
よって形成することができる。また、ビアホール導体3
も、上記と同じ金属を充填したものであって、このビア
ホール導体3は、上記の導体ペーストを充填して形成さ
れる。
【0043】尚、前記導体ペーストにおける金属粉末
は、その含有量が70重量%未満では配線回路層2やビ
アホール導体3の導電性が悪くなる傾向にあり、また9
5重量%を越えると金属粉末を有機樹脂で強固に結合す
ることが困難となる傾向にある。従って、前記配線回路
層2やビアホール導体3を形成するペースト中の金属粉
末の含有量は70乃至95重量%の範囲が好ましい。な
お、このビアホール導体の有機樹脂分として、前記架橋
剤成分を8〜15重量%以下の比率で配合することによ
って、高誘電率層および/または低誘電率層にビアホー
ル導体を形成した場合に、ビアホール導体と低誘電率層
および/または高誘電率層とを強固に接着させることが
できる。
【0044】また、配線回路層2は、その露出する表面
に、Ni、Auの群から選ばれる少なくとも1種の耐食
性に優れ、且つ良導電性の金属をメッキ法により1.0
乃至20μmの厚みに被着させておくと、配線回路層2
の酸化腐食を有効に防止することができる。従って、通
常、配線回路層2の露出する表面には、上記金属による
メッキ層を1.0〜20μmの厚みで形成することが望
ましい。
【0045】次に、上述の本発明の多層配線基板の製造
方法について図2(a)〜(f)に基づいて説明する。
【0046】(a)先ず、高誘電率シートとして、架橋
剤および熱硬化型ポリフェニレンエーテルと、チタン酸
ストロンチウムを含有する未硬化の高誘電率シート11
bを準備する。なお、この未硬化とは、硬化処理を行っ
ていない、または半硬化状態を意味する。
【0047】具体的には、架橋剤および熱硬化型ポリフ
ェニレンエーテル10〜95重量%と、チタン酸ストロ
ンチウム5〜90重量%とからなり、架橋剤および熱硬
化型ポリフェニレンエーテルを30:70〜70:30
の重量比で配合した樹脂分に、平均粒径が0.1〜20
μmのチタン酸ストロンチウムを混合したスラリーを調
製する。そして、このスラリーをダイコーター法等のシ
ート成形法によって厚さ5〜100μmの高誘電率シー
ト11bを作製する。そして、適宜、約25〜130℃
の温度で半硬化させる。
【0048】また、低誘電率シートとして、架橋剤およ
び熱硬化型ポリフェニレンエーテルと、シリカまたはガ
ラスを含有する未硬化の低誘電率シート11a、11
c、11dを準備する。
【0049】具体的には、架橋剤および熱硬化型ポリフ
ェニレンエーテル10〜95重量%と、チタン酸ストロ
ンチウム5〜90重量%とからなり、架橋剤および熱硬
化型ポリフェニレンエーテルを30:70〜70:30
の重量比で配合した樹脂分に、平均粒径が0.1〜20
μmのシリカ粉末を混合したスラリーを調製し、これを
ダイコーター法などのシート成形法によって厚さ30〜
100μmのシート状に成形することによって作製され
る。そして、適宜、約25〜100℃の温度で1〜60
分間加熱し半硬化させる。
【0050】また、他の方法として、ガラス繊維による
織布または不織布に対して、上記樹脂分を含浸させて、
厚さ80〜150μmのいわゆるプリプレグを作製して
もよい。
【0051】次に図2(b)に示すように、上記低誘電
率シート11bおよび高誘電率シート11a、11c、
11dの所定箇所にそれぞれ周知のパンチング法、レー
ザー法を用いて貫通孔を形成し、その貫通孔に、金属粉
末および有機樹脂を含む導体ペーストを充填してビアホ
ール導体12を形成する。
【0052】その後、図2(c)に示すように、ビアホ
ール導体12を形成した低誘電率シート11bおよび高
誘電率シート11a、11c、11dの各表面に、配線
回路層13を形成する。
【0053】この配線回路層13は、ビアホール導体1
2に充填したのと同様な導体ペーストを用いてスクリー
ン印刷によって所定の回路状に形成することができる。
この導体ペーストを用いて印刷によって形成する場合に
は、上記のビアホール導体12の形成と配線回路層13
との形成を同時に行うことができる。なお、導体ペース
トによってビアホール導体や配線回路層形成後に、約2
5〜100℃の温度で1〜60分間加熱し半硬化させる
ことが望ましい。
【0054】また、配線回籍層13は、金属箔によって
形成することもできる。金属箔によって形成する場合に
は、ビアホール導体12を形成した低誘電率シート11
bおよび高誘電率シート11a、11c、11dの各表
面に金属箔を接着した後、エッチング処理して回路状に
形成するか、または所定の転写フィルム上で金属箔を用
いて回路状に形成した後に、各シート表面に転写して形
成することもできる。この転写法によれば、絶縁シート
の形成と配線回路層の形成を平行して行うことができる
点で有効である。
【0055】尚、上記で用いられる導体ペーストは、例
えば平均粒径が0.1〜20μmのCuなどの金属粉末
に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エ
ポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂等の熱
硬化性樹脂と、アミン系硬化剤、イミダゾール系硬化
剤、酸無水物系硬化剤等の硬化剤等を添加混合すること
によって製作される。特に、導体ペースト中には、前記
低誘電率層および高誘電率層を構成するトリアリルイソ
シアヌレートなどの架橋剤を8〜15重量%の割合で添
加することによって、低誘電率層および高誘電率層とビ
アホール導体や配線回路層と強固な接着を行うことがで
きる。
【0056】また、この導体ペースト中には、Cuなど
の金属粉末に加え、錫一鉛半田等から成る低融点金属粉
末を配合させ、硬化処理時に低融点金属粉末を溶融さ
せ、この溶融した低融点金属により金属粉末を結合する
ことによって配線回路層やビアホール導体の低抵抗化を
図ることができる。
【0057】そして、図2(c)に示すように、ビアホ
ール導体12、配線回路層13が形成された低誘電率シ
ート11a、11c、11dとともに、高誘電率シート
11bを内層にして積層し、各シート中に含まれる架橋
剤および熱硬化型ポリフェニレンエーテルが反応して硬
化する温度、具体的には、150〜300℃の温度で、
約10秒〜24時間加熱することによって、それらを完
全に硬化することによって本発明の多層配線基板を作製
することができる。
【0058】上記図2の例では、3枚の低誘電率シート
11a、11c、11dと、高誘電率シート11bを積
層することによって多層配線基板を製作したが、低誘電
率シート、高誘電率シートの層数は、絶縁シートの層数
は、4枚以上でも、また2枚であってもよい。また、絶
縁シートと高誘電率シートの位置と枚数は目的に合わせ
て任意に配置しても良い。
【0059】
【実施例】(低誘電率層)表1に示す種々の熱硬化性樹
脂と、フィラーとの組み合わせの混合物に対して、溶媒
としてトルエンを加え、さらに有機樹脂の硬化を促進さ
せるための触媒を添加混合した後、スラリーをダイコー
ター法により厚さ100μmの低誘電率シートを作製し
た。そして、このシートに対して、炭酸ガスレーザーで
直径100μmのビアホールを形成し、そのホール内に
銀をメッキした銅粉末とバインダーとしてエポキシ樹脂
を含む導体ペーストを充填してビアホール導体を形成し
た。
【0060】一方、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)の樹脂フィルム表面に、表面粗さ(Ra)0.4μ
m、厚み12μmの電解銅箔をアクリル系の接着剤を介
して接着した。そして、この銅箔の表面に感光性のレジ
ストを塗布し、ガラスマスクを通して露光して回路パタ
ーンを形成した後、これに塩化第二鉄溶液中を噴霧して
非パターン部を35μm/minの速度でエッチング除
去して鏡像の配線回路層を形成した。
【0061】そして、配線回路層が形成された樹脂フィ
ルムをビアホール導体が形成された低誘電率シートの表
面に位置合わせして積層して、30kg/cm2の圧力
で30秒加圧した後、樹脂フィルムと接着層のみを剥離
して絶縁シートに配線回路層を転写させた。なお、絶縁
シートに転写された配線回路層は、絶縁シートの表面に
完全に埋設され、絶縁シート表面と配線回路層の表面と
は同一平面となっていることを確認した。 (高誘電率層)表2に示す種々の熱硬化性樹脂と、フィ
ラーとの組み合わせの混合物に対して、溶媒としてトル
エンを加え、さらに有機樹脂の硬化を促進させるための
触媒を添加混合してスラリーを形成した後、このスラリ
ーを用いてダイコーター法によりシート加工し、厚さ4
0μmの良好な高誘電率シートを作製した。そしてこの
高誘電率シートに対して、炭酸ガスレーザーで加工を行
い、直径が50μmの貫通孔を形成することができた。
【0062】そして、上記低誘電率シートと高誘電率シ
ートとして、表3の組み合わせでABAAの順序で積層
して、これらを30kg/cm2の圧力で、200℃、
2時間加熱処理して多層配線基板を作製した。
【0063】なお、低誘電率シートおよび高誘電率シー
トに対して、それぞれ個別に積層した後、硬化処理して
厚さ1mmの基板を作製して、3.3GHzにおける比
誘電率、誘電正接を測定するとともに、DMA(動的粘
弾性)によるガラス転移点(Tg)の測定を行うととも
に、TMA圧縮法によって室温からTgまでの熱膨張係
数を測定した。さらに、基板を50℃で24時間乾燥処
理した後、23℃の純水中に24時間浸漬し周囲の水分
を取り除いた後の重量を測定して吸水率を測定した。
【0064】なお、作製した多層配線基板に対して、−
55〜125℃の温度サイクルを2000サイクル行っ
た後の多層配線基板の内層や、絶縁基板と高誘電率層と
の界面を観察し、層間剥離の有無を観察した。なお、各
試料について20個のサンプルについて層間剥離の発生
したものの個数を表3に示した。
【0065】また試験の前後での静電容量値の変化率
(試験後の静電容量/初期の静電容量)を各サンプルに
ついて測定しその平均値を表3に示した。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】
【0069】表1の結果から明らかなように、熱硬化性
樹脂として熱硬化型ポリフェニレンエーテルに対して、
フィラーとしてアルミナよりもシリカ、ガラスを用いる
ことによって低誘電率化が可能であること、また表1お
よび表2から、樹脂として熱硬化型ポリフェニレンエー
テルを用いることによってエポキシ樹脂やBTレジンよ
りも吸水率を低下させることができることがわかる。
【0070】さらに表3による表1の各種低誘電率層と
表2の各種高誘電率層との組み合わせにおいて、熱硬化
性樹脂として架橋剤を含む熱硬化型ポリフェニレンエー
テルと、シリカおよび/またはガラスとからなる低誘電
率層と、架橋剤を含む熱硬化型ポリフェニレンエーテル
と、チタン酸ストロンチウムとからなる高誘電率層との
組み合わせが、最も吸水率が小さく、低熱膨張係数を有
し、また温度サイクル試験後の不良も少なく、容量変化
も小さい良好な特性を示した。
【0071】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明によれば、高
誘電率層として、熱硬化型ポリフェニレンエーテル樹脂
および架橋剤の混合樹脂からなる熱硬化性樹脂と、チタ
ン酸ストロンチウムとの複合材料によって、また低誘電
率層を上記熱硬化性樹脂とシリカまたはガラスとの複合
材料によって形成することによって、低熱膨張で、吸水
率が小さく、マザーボードへの実装信頼性、容量変化や
層剥離などの発生のない耐久性に優れた高信頼性の多層
配線基板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における多層配線基板の一例を説明する
ための概略断面図である。
【図2】本発明の多層配線基板を作製するための方法を
説明するための工程図である。
【符号の説明】
1a、1c、1d 低誘電率層 1c 高誘電率層 1 絶縁基板 2 配線回路層 3a,3b 電極 4 ビアホール導体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05K 1/03 610 H05K 1/03 610H 610R 630 630D Fターム(参考) 4F100 AA20A AA21B AG00A AK54A AK54B AR00C BA03 BA07 BA10A BA10B BA10C CA02A CA02B GB41 JB13A JB13B JG01A JG01C JG05 JG05B YY00A YY00B 5E346 AA12 AA15 AA22 AA23 AA33 AA36 AA43 AA51 BB20 CC02 CC08 CC16 CC21 CC32 FF45 HH01 HH11

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】熱硬化性樹脂として架橋剤を含む熱硬化型
    ポリフェニレンエーテル10〜95重量%と、シリカお
    よび/またはガラス5〜90重量%とからなる低誘電率
    層と、架橋剤を含む熱硬化型ポリフェニレンエーテル1
    0〜95重量%と、チタン酸ストロンチウム5〜90重
    量%とからなる高誘電率層とを積層してなる絶縁基板
    と、該絶縁基板の表面および/または内部に配設された
    配線回路層と、前記低誘電率層および/または高誘電率
    層を貫通して配設されたビアホール導体とを具備するこ
    とを特徴とする多層配線基板。
  2. 【請求項2】前記低誘電率層および高誘電率層におい
    て、前記熱硬化型ポリフェニレンエーテルと架橋剤と
    が、30:70〜70:30の重量比で配合されている
    ことを特徴とする請求項1記載の多層配線基板。
  3. 【請求項3】前記低誘電率層および高誘電率層の−55
    〜150℃における熱膨張係数がいずれも30ppm/
    ℃以下であることを特徴とする請求項1または請求項2
    記載の多層配線基板。
  4. 【請求項4】前記低誘電率層と高誘電率層の−55〜1
    50℃における熱膨張係数差が10ppm/℃以下であ
    ることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか記
    載の多層配線基板。
  5. 【請求項5】前記低誘電率層および高誘電率層の吸水率
    がいずれも0.30重量%以下であることを特徴とする
    請求項1乃至請求項4のいずれか記載の多層配線基板。
  6. 【請求項6】前記高誘電率層の厚みが5〜100μmで
    あることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか
    記載の多層配線基板。
  7. 【請求項7】前記高誘電率層の比誘電率が10以上であ
    り、前記低誘電率層の比誘電率が10未満であることを
    特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか記載の多層
    配線基板。
  8. 【請求項8】熱硬化性樹脂として架橋剤を含む熱硬化型
    ポリフェニレンエーテル10〜95重量%と、シリカお
    よび/またはガラス5〜90重量%とからなる未硬化の
    低誘電率シートにビアホール導体および/または配線回
    路層を形成する工程と、架橋剤および熱硬化型ポリフェ
    ニレンエーテル10〜95重量%と、チタン酸ストロン
    チウム5〜90重量%とからなる未硬化の高誘電率シー
    トにビアホール導体および/または配線回路層を形成す
    る工程と、前記低誘電率シートと、前記高誘電率シート
    とを積層する工程と、該積層物を一括して熱硬化する工
    程と、を具備することを特徴とする多層配線基板の製造
    方法。
  9. 【請求項9】前記低誘電率シートおよび高誘電率シート
    において、前記熱硬化型ポリフェニレンエーテルと架橋
    剤とが、30:70〜70:30の重量比で配合されて
    いることを特徴とする請求項8記載の多層配線基板の製
    造方法。
  10. 【請求項10】前記高誘電率シートの厚みが5〜100
    μmであることを特徴とする請求項8または請求項9記
    載の多層配線基板の製造方法。
  11. 【請求項11】前記高誘電率シートの硬化後の比誘電率
    が10以上であり、前記低誘電率シートの硬化後の比誘
    電率が10未満であることを特徴とする請求項8乃至請
    求項10のいずれか記載の多層配線基板の製造方法。
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