JP2006214885A - ヒータ付きセンサの温度制御装置 - Google Patents

ヒータ付きセンサの温度制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明はヒータ付きセンサの温度制御装置に関し、ヒータへの供給電力の制御方法をオープンループ制御からフィードバック制御へ切替えた後の素子温度の急激な上昇を防止できるようにする。
【解決手段】 ヒータへの電力供給の開始時には、供給電力の制御方法として所定電力をヒータに供給するオープンループ制御を選択する。ヒータへの電力供給の開始後、センサ素子の目標温度と実温度との偏差が所定の基準偏差以内になると予想される所定時間が経過したら、目標温度とセンサ素子の実温度との偏差に基づいてヒータへの供給電力を設定するフィードバック制御へ制御方法を切替える。
【選択図】 図3

Description

本発明は、センサ素子を加熱するためのヒータを備えたヒータ付きセンサの温度制御技術に関し、詳しくは、暖機時における素子温度の急激な上昇を防止するための温度制御技術に関する。
特定のガス成分を検出するガスセンサが知られている。ガスセンサは、固体電解質体とその表裏各面に設けられた一対の電極とからなるセンサ素子を備えている。センサ素子の温度が活性化温度以上になることで、ガスセンサは特定ガス成分を検出可能となる。このため、ガスセンサにはヒータが備えられており、ガスセンサの起動時にはヒータによるセンサ素子の暖機が行われる。
従来、センサ素子の暖機時には、例えば特許文献1に記載されるような方法でヒータへの供給電力が制御されている。従来の制御方法では、センサの起動時、先ず、センサ素子の温度が目標温度付近に達するまでオープンループ制御によって一定電力がヒータに供給される。その後、センサ素子の温度を目標温度に保つように、目標温度と実温度との偏差に基づくフィードバック制御によってヒータへの供給電力が調整される。
特開2003−185626号公報
ところで、実用されているガスセンサとして、内燃機関の排気管に配置されて排気ガス中の酸素濃度を検出する排気ガスセンサ(例えば、酸素センサ、空燃比センサ等)が知られている。内燃機関では、排気ガスセンサからの出力に基づく空燃比フィードバック制御によって燃料噴射量を調整している。
ガソリンエンジン等の排気温度の高い内燃機関では、エンジン始動後の触媒の温度上昇が早く、排気ガスセンサの出力に基づく空燃比フィードバック制御の開始タイミングも早い。このため、排気ガスセンサには早期活性化が求められ、起動後のオープンループ制御時にはヒータには最大電力が供給される。その後、オープンループ制御からフィードバック制御に切替わったときには、ヒータへの供給電力は低下していく方向になり、センサの温度が急激に上昇する可能性は小さい。
一方、ディーゼルエンジン等の排気温度の低い内燃機関では、エンジン始動後の触媒の温度上昇が遅く、空燃比フィードバック制御の開始タイミングも遅いことから、排気温度の高い内燃機関ほどの排気ガスセンサの早期活性化は必要としないケースがある。また、排気温度の低い内燃機関では、昇温時にセンサ素子内の熱勾配が急になりやすく、結果として内部応力が高くなりやすいことから、素子温度の昇温速度を極力遅くすることが望まれている。このため、排気温度の低い内燃機関では、オープンループ制御時にヒータへ供給する電力は、排気ガスセンサの温度上昇が空燃比フィードバック制御の開始タイミングに間に合う範囲で、最低限の電力に設定するのが望ましい。
しかしながら、上記のようにオープンループ制御時のヒータへの供給電力を低く設定する場合、図8に示すように、オープンループ制御からフィードバック制御に切替わったとき、目標温度と実温度との偏差が大きいことが原因で供給電力が急激に上昇するおそれがある。センサ素子の温度が高温のときにヒータへの供給電力が急激に上昇すると、センサ素子の内部応力が急激に変化し、センサ素子が破損する可能性が高まってしまう。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、ヒータへの供給電力の制御方法をオープンループ制御からフィードバック制御へ切替えた後の素子温度の急激な上昇を防止できるようにしたヒータ付きセンサの温度制御装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、暖機されることで活性化するセンサ素子と、電力供給により発熱するヒータとを備えるヒータ付きセンサにおいて、前記ヒータにより前記センサ素子を加熱し、活性化温度以上に設定された所定の目標温度まで前記センサ素子を暖機するための温度制御装置であって、
前記ヒータへの電力供給の開始時には、供給電力の制御方法として所定電力を前記ヒータに供給するオープンループ制御を選択し、その後、前記目標温度と前記センサ素子の実温度との偏差に基づいて前記ヒータへの供給電力を設定するフィードバック制御へ制御方法を切替える供給電力制御手段と、
前記供給電力制御手段が前記オープンループ制御から前記フィードバック制御へ供給電力の制御方法を切替える切替タイミングを判定する切替判定手段とを備え、
前記切替判定手段は、前記ヒータへの電力供給の開始後、前記目標温度と前記実温度との偏差が所定の基準偏差以内になると予想される所定時間が経過したときを前記切替タイミングと判定することを特徴としている。
第2の発明は、第1の発明において、前所定時間は、前記オープンループ制御から前記フィードバック制御への切替直後に前記ヒータへ供給される電力が、前記オープンループ制御時の供給電力と同じか、それよりも小さい電力となるように設定されていることを特徴としている。
また、第3の発明は、上記の目的を達成するため、暖機されることで活性化するセンサ素子と、電力供給により発熱するヒータとを備えるヒータ付きセンサにおいて、前記ヒータにより前記センサ素子を加熱し、活性化温度以上に設定された所定の目標温度まで前記センサ素子を暖機するための温度制御装置であって、
前記ヒータへの電力供給の開始時には、供給電力の制御方法として所定電力を前記ヒータに供給するオープンループ制御を選択し、その後、前記目標温度と前記センサ素子の実温度との偏差に基づいて前記ヒータへの供給電力を設定するフィードバック制御へ制御方法を切替える供給電力制御手段と、
前記供給電力制御手段が前記オープンループ制御から前記フィードバック制御へ供給電力の制御方法を切替える切替タイミングを判定する切替判定手段とを備え、
前記切替判定手段は、前記目標温度と前記実温度との偏差が所定の基準偏差以内になったときを前記切替タイミングと判定することを特徴としている。
第4の発明は、第3の発明において、前記基準偏差は、前記オープンループ制御から前記フィードバック制御への切替直後に前記ヒータへ供給される電力が、前記オープンループ制御時の供給電力と同じか、それよりも小さい電力となるように設定されていることを特徴としている。
第5の発明は、第4の発明において、前記フィードバック制御は、前記目標温度と前記実温度との偏差に比例して前記ヒータへの供給電力の補正量を設定する比例制御を含んでおり、
前記基準偏差は、前記オープンループ制御時の供給電力を前記比例制御のゲインで除した値以下の値に設定されていることを特徴としている。
第6の発明は、第3乃至第5の何れか1つの発明において、前記切替判定手段は、前記目標温度と前記実温度との偏差が所定の基準偏差以内になっていない場合でも、前記ヒータへの電力供給の開始後の経過時間が所定時間に達したときには、前記所定時間の経過時点を前記切替タイミングと判定することを特徴としている。
また、第7の発明は、上記の目的を達成するため、暖機されることで活性化するセンサ素子と、電力供給により発熱するヒータとを備えるヒータ付きセンサにおいて、前記ヒータにより前記センサ素子を加熱し、活性化温度以上に設定された所定の目標温度まで前記センサ素子を暖機するための温度制御装置であって、
前記ヒータへの電力供給の開始時には、供給電力の制御方法として所定電力を前記ヒータに供給するオープンループ制御を選択し、その後、前記目標温度と前記センサ素子の実温度との偏差に基づいて前記ヒータへの供給電力を設定するフィードバック制御へ制御方法を切替える供給電力制御手段を備え、
前記供給電力制御手段は、前記オープンループ制御から前記フィードバック制御への切替後しばらくの間は、前記フィードバック制御により算出される目標供給電力を所定のなまし率でなました値を前記ヒータへの供給電力として設定することを特徴としている。
また、第8の発明は、上記の目的を達成するため、暖機されることで活性化するセンサ素子と、電力供給により発熱するヒータとを備えるヒータ付きセンサにおいて、前記ヒータにより前記センサ素子を加熱し、活性化温度以上に設定された所定の目標温度まで前記センサ素子を暖機するための温度制御装置であって、
前記ヒータへの電力供給の開始時には、供給電力の制御方法として所定電力を前記ヒータに供給するオープンループ制御を選択し、その後、前記目標温度と前記センサ素子の実温度との偏差に基づいて前記ヒータへの供給電力を設定するフィードバック制御へ制御方法を切替える供給電力制御手段と、
前記オープンループ制御から前記フィードバック制御への切替直後における前記ヒータへの供給電力の急変を抑制する電力変化抑制手段と、
を備えることを特徴としている。
第1の発明によれば、センサ素子の目標温度と実温度との偏差が所定の基準偏差以内になると予想される所定時間が経過してから、オープンループ制御からフィードバック制御へヒータへの供給電力の制御方法が切替えられるので、フィードバック制御への切替後に供給電力の急上昇を招くことがなく、素子温度の急激な上昇によるセンサ素子の破損を防止することができる。
第2の発明によれば、オープンループ制御からフィードバック制御への切替直後にヒータへ供給される電力はオープンループ制御時の供給電力と同じか、それよりも小さい電力となるので、素子温度の急激な上昇を確実に防止することができる。
第3の発明によれば、センサ素子の目標温度と実温度との偏差が所定の基準偏差以内になってから、オープンループ制御からフィードバック制御へヒータへの供給電力の制御方法が切替えられるので、フィードバック制御への切替後に供給電力の急上昇を招くことがなく、素子温度の急激な上昇によるセンサ素子の破損を防止することができる。
第4の発明によれば、オープンループ制御からフィードバック制御への切替直後にヒータへ供給される電力はオープンループ制御時の供給電力と同じか、それよりも小さい電力となるので、素子温度の急激な上昇を確実に防止することができる。
第5の発明によれば、オープンループ制御時の供給電力を比例制御のゲインで除した値以下の値に前記基準偏差を設定することで、ヒータへの供給電力の急上昇を確実に防止することができる。
第6の発明によれば、何等かの原因により素子温度が十分に上昇せず、目標温度と実温度との偏差が所定の基準偏差以内にならない場合でも、電力供給の開始から所定時間が経過したときには、オープンループ制御からフィードバック制御へ供給電力の制御方法が切替えられるので、素子温度を目標温度に確実に到達させることができる。
第7の発明によれば、オープンループ制御からフィードバック制御への切替後しばらくの間は、フィードバック制御により算出される目標供給電力を所定のなまし率でなました値がヒータへの供給電力として設定されるので、切替直後におけるセンサ素子の目標温度と実温度との偏差が大きい場合でも供給電力の急上昇を招くことがなく、素子温度の急激な上昇によるセンサ素子の破損を防止することができる。
第8の発明によれば、電力変化抑制手段によってオープンループ制御からフィードバック制御への切替直後におけるヒータへの供給電力の急変が抑制されるので、素子温度の急激な上昇によるセンサ素子の破損を防止することができる。
実施の形態1.
以下、図面を参照して本発明の実施の形態1について説明する。
本実施の形態では、本発明を内燃機関の排気管に配置される酸素センサの温度制御装置に適用している。図1は本発明が適用される酸素センサの構成を説明するための断面図である。図1に示すように、酸素センサ2は、内燃機関の排気管30にその内部に向けて突設されている。酸素センサ2は、センサ素子10、カバー20及びヒータ24を主な要素として構成されている。
センサ素子10は、試験管状に形成された固体電解質体12の外表面に排気側電極層14を固着し、その内表面に大気側電極層16を固着し、さらに、排気側電極層14の表面に多孔質体からなるコーティング層18を設けることにより構成されている。カバー20は、センサ素子10を覆うように排気管30の内壁面に取り付けられている。カバー20の周壁にはカバー内外を連通する多数の小孔22が形成されている。排気管30内を流れる排気ガスはこの小孔22を通ってカバー20内に入り、また、カバー20外へ出て行くようになっている。ヒータ24は、センサ素子10の大気側電極層16内に収容されている。
上記のような構成により、ヒータ24に電力を供給して発熱させることで、センサ素子10をその内部から加熱し、固体電解質体12を昇温させることができる。ヒータ24へ供給される電力は、制御装置40によって制御される。また、固体電解質体12の温度と抵抗値とは相関関係を有していることから、2つの電極層14,16に電位差を与えて電極層14,16間の抵抗値を測定することで、センサ素子10の温度を間接的に測定することができる。測定された電極層14,16間の抵抗値は制御装置40に入力される。
本実施の形態では、図2にフローチャートで示すルーチンに従い、ヒータ24へ供給される電力が制御される。本ルーチンの最初のステップ100では、センサ通電指示フラグがオンとなっているか否か判定される。センサ通電指示フラグは、例えば、イグニッションンスイッチに連動してオン/オフされる。センサ通電指示フラグがオフの場合には、本ルーチンは開始されない。また、本ルーチンの実行中にセンサ通電指示フラグがオフにされた場合には、本ルーチンは終了する。
センサ通電指示フラグがオンの場合、次のステップ102では、センサ通電指示フラグがオンになってから所定時間が経過したか否か判定される。センサ通電指示フラグがオフからオンに切替わってからの経過時間はタイマによって計測されている。判定の結果、所定時間が経過するまでは、ヒータ24への供給電力の制御方法として、一定電力をヒータ24に供給する一定電力制御(オープンループ制御)が実施される(ステップ104)。そして、センサ通電指示フラグがオンから所定時間が経過したら、センサ素子10の目標温度と実温度との偏差に基づいてヒータ24への供給電力を設定する素子温F/B制御(フィードバック制御)へ制御方法が切替えられる(ステップ106)。センサ素子10の目標温度は、その活性化温度よりも高い温度に設定されている。また、センサ素子10の実温度は、前述のように、電極層14,16間の抵抗値の測定結果から間接的に測定することができる。素子温F/B制御の方法としては、PID制御が用いられる。
一定電力制御から素子温F/B制御へ、供給電力の制御方法を切替えた直後の供給電力の挙動は、切替時におけるセンサ素子10の目標温度と実温度との偏差によって決まる。この偏差が大きすぎると、切替直後に供給電力は急上昇することになり、センサ素子10の温度が急激に上昇するおそれがある。このような素子温度の急激な上昇を防止するためには、切替直後の供給電力が一定電力制御時の供給電力と連続するように、或いは、それよりも小さい電力となるように、切替時の目標温度と実温度との偏差を設定するのが望ましい。このような条件を満たす目標温度と実温度との偏差は、予め実験等により求められ、基準偏差として設定されている。そして、目標温度と実温度との偏差がこの基準偏差以内になると予想される時間が上記の所定時間、つまり、一定電力制御の実施時間として設定されている。
図3は、上記ルーチンによってヒータ24への供給電力を制御したときの供給電力及び素子温度の各時間変化を示している。この図に示すように、上記ルーチンによれば、センサ素子10の目標温度と実温度との偏差が基準偏差以内になると予想される時間が経過してから、一定電力制御から素子温F/B制御へ供給電力の制御方法が切替えられるので、切替直後の供給電力の上昇は防止され、素子温度の急激な上昇によるセンサ素子10の破損を防止することができる。
上記実施の形態においては、制御装置40による上記ルーチンの実行により、第1の発明の「供給電力制御手段」が実現され、特に、上記ステップ102の処理の実行により、第1の発明の「切替判定手段」が実現されている。
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
本実施の形態の温度制御装置は、実施の形態1において、制御装置40に、図2に示すルーチンに代えて図4に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
本実施の形態では、図4にフローチャートで示すルーチンに従い、ヒータ24へ供給される電力が制御される。本ルーチンの最初のステップ200では、センサ通電指示フラグがオンとなっているか否か判定される。センサ通電指示フラグがオンの場合、次のステップ202では、電極層14,16間の抵抗値の測定結果から間接的にセンサ素子10の実温度が測定され、目標温度と実温度との偏差が所定の基準偏差以内になっているか否か判定される。判定の結果、目標温度と実温度との偏差が基準偏差以内になるまでは、ヒータ24への供給電力の制御方法として、一定電力をヒータ24に供給する一定電力制御が実施される(ステップ204)。そして、目標温度と実温度との偏差が基準偏差以内になったら、センサ素子10の目標温度と実温度との偏差に基づいてヒータ24への供給電力を設定する素子温F/B制御へ制御方法が切替えられる(ステップ206)。
上記の基準偏差は、前述のように、一定電力制御から素子温F/B制御への切替直後の供給電力が一定電力制御時の供給電力と連続するように、或いは、それよりも小さい電力となるように設定される。本実施の形態では、以下に説明するように、計算によって基準偏差を決定している。
素子温F/B制御の方法としてPID制御を用いる場合、供給電力は次式(1)で計算される。なお、Gpは比例項ゲイン、Giは積分項ゲイン、Gdは微分項ゲインであり、素子温偏差とはセンサ素子10の目標温度と実温度との偏差を意味している。
供給電力=Gp×素子温偏差+Gi×素子温偏差積分値+Gd×素子温変化 ・・・(1)
しかしながら、素子温F/B制御への切替直後は、素子温偏差積分値及び素子温変化はゼロであるから、素子温F/B制御への移行直後の供給電力は次式(2)で表されることになる。
供給電力=Gp×素子温偏差 ・・・(2)
ここで、素子温F/B制御への切替直後に供給電力が上昇するのを防止するためには、次式(3)で表される条件を成立させればよい。
一定電力制御時の電力≧素子温F/B制御開始時の電力=Gp×素子温偏差 ・・・(3)
上記の式において、一定電力制御時の電力と比例項ゲインGpは予め設定される数値であることから、素子温F/B制御へ切替える条件は次式(4)のように設定すればよいこととなる。
素子温偏差≦一定電力制御時の電力/Gp ・・・(4)
本実施の形態では、上記の式(4)によって決まる素子温偏差の範囲内で、上記の基準偏差を設定している。
上記ルーチンによれば、センサ素子10の目標温度と実温度との偏差が基準偏差以内になってから、一定電力制御から素子温F/B制御へ供給電力の制御方法が切替えられるので、切替直後の供給電力の上昇は防止され、素子温度の急激な上昇によるセンサ素子10の破損を防止することができる。なお、上記ルーチンによってヒータ24への供給電力を制御したときの供給電力及び素子温度の各時間変化は、実施の形態1と同様、図3に示すようになる。
上記実施の形態においては、制御装置40による上記ルーチンの実行により、第3の発明の「供給電力制御手段」が実現され、特に、上記ステップ202の処理の実行により、第3の発明の「切替判定手段」が実現されている。
なお、上記ルーチンでは、一定電力制御時、バッテリの異常等の原因によってセンサ素子10の温度が十分に上昇しなかった場合、いつまでも一定電力制御から素子温F/B制御への切替えが実行されない可能性がある。一定電力制御から素子温F/B制御への切替えを確実に行うためには、上記ルーチンにおいて採っている切替判定(ステップ202)に加え、実施の形態1において採っている切替判定(ステップ101)を併せて実行するのが望ましい。つまり、図5にフローチャートで示すルーチンに従い、ヒータ24へ供給される電力を制御するのが望ましい。図5に示すルーチンで実行される各処理のうち、図4に示すルーチンで実行される処理と同一の処理については、同一のステップ番号を付している。
図5に示すルーチンでは、ステップ202の判定の結果、センサ素子10の目標温度と実温度との偏差が基準偏差以内になっていない場合、ステップ208の判定が実施される。ステップ208では、センサ通電指示フラグがオンになってから所定時間が経過したか否か判定される。この所定時間は、目標温度と実温度との偏差が基準偏差以内になると予想される時間よりも幾らか長い時間に設定されている。ステップ208の判定の結果、所定時間が経過していない場合には、一定電力をヒータ24に供給する一定電力制御が実施されるが(ステップ204)、所定時間が経過したときには、ステップ202の判定結果にかかわらず、一定電力制御から素子温F/B制御へ制御方法が切替えられる(ステップ206)。
上記ルーチンによれば、センサ通電指示フラグのオンから所定時間が経過したときには、一定電力制御から素子温F/B制御へ供給電力の制御方法が切替えられるので、センサ素子10の温度を目標温度に確実に到達させることができる。
実施の形態3.
次に、本発明の実施の形態3について説明する。
本実施の形態の温度制御装置は、実施の形態1において、制御装置40に、図2に示すルーチンに代えて図6に示すルーチンを実行させることにより実現することができる。
本実施の形態では、図6にフローチャートで示すルーチンに従い、ヒータ24へ供給される電力が制御される。実施の形態1及び実施の形態2にかかるルーチンは、一定電力制御から素子温F/B制御への切替時期の設定に特徴を有しているが、本ルーチンは、素子温F/B制御への切替後の処理に特徴を有している。
本ルーチンの最初のステップ300では、センサ通電指示フラグがオンとなっているか否か判定される。センサ通電指示フラグがオンの場合、次のステップ302では、一定電力制御から素子温F/B制御への切替タイミングが到来したか否か判定される。切替タイミングをはかる方法には限定がない。例えば、センサ通電指示フラグがオンになってからの経過時間によって切替タイミングをはかってもよく、センサ素子10の温度によって切替タイミングをはかってもよい。判定の結果、切替タイミングが到来するまでは、ヒータ24への供給電力の制御方法として、一定電力をヒータ24に供給する一定電力制御が実施される(ステップ304)。
ステップ302の判定の結果、切替タイミングが到来した場合には、一定電力制御から素子温F/B制御へ供給電力の制御方法が切替えられる(ステップ306)。切替後の次のステップ308では、素子温F/B制御の開始からの経過時間が所定時間に達したか否か判定される。素子温F/B制御の開始から所定時間が経過するまでの間は、素子温F/B制御によって算出される目標電力をそのまま供給するのではなく、次式(5)によって供給電力のなまし処理が行われる(ステップ310)。
i=Wi-1+(TWi−Wi-1)/A ・・・(5)
上記の式(5)において、は、Wiは供給電力であり、Wi-1は前回の供給電力である。TWiは通常の素子温F/B制御によって算出される目標電力であり、Aはなまし率である。ステップ308の判定が成立するまでは、上記の式により算出される供給電力Wiがヒータ24へ供給される。
ステップ308の判定の結果、素子温F/B制御の開始から所定時間が経過した場合には、なまし処理は終了し、通常の素子温F/B制御によって算出される目標電力がヒータ24へ供給される(ステップ312)。なお、ステップ308の判定にかかる所定時間としては、なまし処理の終了直後に供給電力が急上昇しないだけの時間を確保しておく。また、ここでは、時間によってなまし処理の終了時期を判定しているが、センサ素子10の温度によってなまし処理の終了時期を判定してもよい。
図7は、上記ルーチンによってヒータ24への供給電力を制御したときの供給電力及び素子温度の各時間変化を示している。この図に示すように、上記ルーチンによれば、一定電力制御から素子温F/B制御への切替後しばらくの間は、素子温F/B制御により算出される目標供給電力を所定のなまし率でなました値がヒータ24への供給電力として設定される。これにより、切替直後におけるセンサ素子10の目標温度と実温度との偏差が大きい場合であっても、供給電力の急激な上昇を招くことがなく、素子温度の急激な上昇によるセンサ素子10の破損を防止することができる。
また、上記ルーチンによれば、なまし処理によって素子温F/B制御時の電力値の変化が抑えられている。これにより、センサ素子10の温度測定のために電極層14,16間の抵抗値を測定する際、外乱等によるノイズが測定値に重畳したとしても、その影響による供給電力の急激な変化を抑制することができる。
上記実施の形態においては、制御装置40による上記ルーチンの実行により、第7の発明の「供給電力制御手段」が実現されている。
その他.
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の各実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において変形して実施することもできる。例えば、上記の各実施形態では、本発明を内燃機関の排気通路に配置される酸素センサに適用しているが、本発明は、空燃比センサ、NOxセンサ、HCセンサ等、暖機されることで活性化するセンサ素子と電力供給により発熱するヒータとを備えるヒータ付きのセンサであれば広く適用可能である。
本発明の温度制御装置が適用される酸素センサの構成を説明するための断面図である。 本発明の実施の形態1において実行される供給電流制御ルーチンのフローチャートである。 図2に示す供給電流制御ルーチンによって供給電力を制御したときの供給電力及び素子温度の各時間変化を示す図である。 本発明の実施の形態2において実行される供給電流制御ルーチンのフローチャートである。 図4に示す供給電流制御ルーチンの変形例を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態3において実行される供給電流制御ルーチンのフローチャートである。 図6に示す供給電流制御ルーチンによって供給電力を制御したときの供給電力及び素子温度の各時間変化を示す図である。 従来方法によって供給電力を制御したときの供給電力及び素子温度の各時間変化を示す図である。
符号の説明
2 酸素センサ
10 センサ素子
12 固体電解質体
14 排気側電極層
16 大気側電極層
18 コーティング層
20 カバー
22 小孔
24 ヒータ
30 排気管
40 制御装置

Claims (8)

  1. 暖機されることで活性化するセンサ素子と、電力供給により発熱するヒータとを備えるヒータ付きセンサにおいて、前記ヒータにより前記センサ素子を加熱し、活性化温度以上に設定された所定の目標温度まで前記センサ素子を暖機するための温度制御装置であって、
    前記ヒータへの電力供給の開始時には、供給電力の制御方法として所定電力を前記ヒータに供給するオープンループ制御を選択し、その後、前記目標温度と前記センサ素子の実温度との偏差に基づいて前記ヒータへの供給電力を設定するフィードバック制御へ制御方法を切替える供給電力制御手段と、
    前記供給電力制御手段が前記オープンループ制御から前記フィードバック制御へ供給電力の制御方法を切替える切替タイミングを判定する切替判定手段とを備え、
    前記切替判定手段は、前記ヒータへの電力供給の開始後、前記目標温度と前記実温度との偏差が所定の基準偏差以内になると予想される所定時間が経過したときを前記切替タイミングと判定することを特徴とするヒータ付きセンサの温度制御装置。
  2. 前所定時間は、前記オープンループ制御から前記フィードバック制御への切替直後に前記ヒータへ供給される電力が、前記オープンループ制御時の供給電力と同じか、それよりも小さい電力となるように設定されていることを特徴とする請求項1記載のヒータ付きセンサの温度制御装置。
  3. 暖機されることで活性化するセンサ素子と、電力供給により発熱するヒータとを備えるヒータ付きセンサにおいて、前記ヒータにより前記センサ素子を加熱し、活性化温度以上に設定された所定の目標温度まで前記センサ素子を暖機するための温度制御装置であって、
    前記ヒータへの電力供給の開始時には、供給電力の制御方法として所定電力を前記ヒータに供給するオープンループ制御を選択し、その後、前記目標温度と前記センサ素子の実温度との偏差に基づいて前記ヒータへの供給電力を設定するフィードバック制御へ制御方法を切替える供給電力制御手段と、
    前記供給電力制御手段が前記オープンループ制御から前記フィードバック制御へ供給電力の制御方法を切替える切替タイミングを判定する切替判定手段とを備え、
    前記切替判定手段は、前記目標温度と前記実温度との偏差が所定の基準偏差以内になったときを前記切替タイミングと判定することを特徴とするヒータ付きセンサの温度制御装置。
  4. 前記基準偏差は、前記オープンループ制御から前記フィードバック制御への切替直後に前記ヒータへ供給される電力が、前記オープンループ制御時の供給電力と同じか、それよりも小さい電力となるように設定されていることを特徴とする請求項3記載のヒータ付きセンサの温度制御装置。
  5. 前記フィードバック制御は、前記目標温度と前記実温度との偏差に比例して前記ヒータへの供給電力の補正量を設定する比例制御を含んでおり、
    前記基準偏差は、前記オープンループ制御時の供給電力を前記比例制御のゲインで除した値以下の値に設定されていることを特徴とする請求項4記載のヒータ付きセンサの温度制御装置。
  6. 前記切替判定手段は、前記目標温度と前記実温度との偏差が所定の基準偏差以内になっていない場合でも、前記ヒータへの電力供給の開始後の経過時間が所定時間に達したときには、前記所定時間の経過時点を前記切替タイミングと判定することを特徴とする請求項3乃至5の何れか1項に記載のヒータ付きセンサの温度制御装置。
  7. 暖機されることで活性化するセンサ素子と、電力供給により発熱するヒータとを備えるヒータ付きセンサにおいて、前記ヒータにより前記センサ素子を加熱し、活性化温度以上に設定された所定の目標温度まで前記センサ素子を暖機するための温度制御装置であって、
    前記ヒータへの電力供給の開始時には、供給電力の制御方法として所定電力を前記ヒータに供給するオープンループ制御を選択し、その後、前記目標温度と前記センサ素子の実温度との偏差に基づいて前記ヒータへの供給電力を設定するフィードバック制御へ制御方法を切替える供給電力制御手段を備え、
    前記供給電力制御手段は、前記オープンループ制御から前記フィードバック制御への切替後しばらくの間は、前記フィードバック制御により算出される目標供給電力を所定のなまし率でなました値を前記ヒータへの供給電力として設定することを特徴とするヒータ付きセンサの温度制御装置。
  8. 暖機されることで活性化するセンサ素子と、電力供給により発熱するヒータとを備えるヒータ付きセンサにおいて、前記ヒータにより前記センサ素子を加熱し、活性化温度以上に設定された所定の目標温度まで前記センサ素子を暖機するための温度制御装置であって、
    前記ヒータへの電力供給の開始時には、供給電力の制御方法として所定電力を前記ヒータに供給するオープンループ制御を選択し、その後、前記目標温度と前記センサ素子の実温度との偏差に基づいて前記ヒータへの供給電力を設定するフィードバック制御へ制御方法を切替える供給電力制御手段と、
    前記オープンループ制御から前記フィードバック制御への切替直後における前記ヒータへの供給電力の急変を抑制する電力変化抑制手段と、
    を備える特徴とするヒータ付きセンサの温度制御装置。

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