JP4071490B2 - ガスセンサの温度制御方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、活性化温度以上になることで特定ガスを検出可能となるガス検出部を有するガスセンサにおいて、電力供給によって発熱するヒータを用いて加熱することで、ガス検出部の温度を活性化温度よりも高温の常用温度に維持するためのガスセンサの温度制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、所定の活性化温度以上となることで特定ガスの検出が可能となるガスセンサが知られており、このようなガスセンサは、起動した後、早期に特定ガスの検出が可能な状態(活性化状態)となるように、ヒータが備えられている。なお、活性化温度以上になることで特定ガスの検出が可能となるガスセンサとしては、例えば、全領域空燃比センサ(UEGOセンサ)、NOxガスセンサ、HCガスセンサなどが挙げられる。
【0003】
そして、ガスセンサを加熱するためのヒータは、外部からの電力供給により発熱するものが多く使用されており、このようなヒータは、印加電圧の大きさに応じて発熱量を制御することができる。
また、ガスセンサは、例えば、内燃機関などに備えられて排気ガス中の特定ガス検出などに使用されるが、内燃機関の始動後、特定ガス検出が可能となるまでの時間の短縮に対する要求(早期活性化の要求)が高まっている。このため、ガスセンサの起動直後に、ヒータに対して印加可能な最大電圧を印加することで、ガスセンサを迅速に加熱して早期活性化を実現するガスセンサの温度制御方法が知られている。
【0004】
ここで、従来の温度制御方法の一例として、全領域空燃比センサにおける温度制御処理を、図6に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、図6に示す温度制御処理は、全領域空燃比センサの起動と同時に実行される。
そして、温度制御処理が起動されると、まずS110(Sはステップを表す)では、ヒータへの印加電圧値となる印加電圧指令値VH(rms)に12[V]を設定する。これにより、全領域空燃比センサのヒータに対して12[V]の電圧が印加され、ヒータによる全領域空燃比センサの加熱が開始される。
【0005】
次のS120では、全領域空燃比センサの温度測定が可能であるか否かを判断しており、肯定判定した場合にはS130に移行し、否定判定した場合には、S140に移行する。
ここで、全領域空燃比センサのガス検出部として備えられる酸素濃度測定セルの多孔質電極間の抵抗値Rpvsと全領域空燃比センサの温度については、図5に示すような相関関係があるが、このような相関関係は、酸素濃度測定セルの温度が所定温度範囲となる場合にのみ有効となる。つまり、酸素濃度測定セルの温度が所定温度以下である場合には、抵抗値Rpvsは無限大となり測定できず、抵抗値Rpvsに基づいて酸素濃度測定セルの温度を測定することはできない。このため、酸素濃度測定セルの多孔質電極間の起電力Vsを検出し、起電力Vsが所定電圧以下(例えば、1.7[V]以下)であるか否かを判断することで、温度測定の可否判断を行っている。つまり、起電力Vsが所定電圧以下である場合に肯定判定し、起電力Vsが所定電圧よりも大きい場合には否定判定するのである。
【0006】
そして、S120で肯定判定されて、S130に移行すると、S130では、全領域空燃比センサの温度が、全領域空燃比センサの通常使用時の温度として定められた常用温度になるように、検出した全領域空燃比センサの温度と常用温度との差分に基づいて、ヒータへの印加電圧値を制御するPID制御(PIDコントロール)を行う。なお、S130で実行されるPID制御では、検出した全領域空燃比センサの温度と常用温度との差分における比例成分(Proportinal )、積分成分(lntegral)、微分成分(Derivative)を有する演算式f(ΔR)に基づいて、全領域空燃比センサの温度が常用温度となるように、ヒータへの印加電圧指令値VH(rms)を設定する制御を行っている。そして、S130での処理が完了すると、再びS120に移行する。
【0007】
また、S120で否定判定されて、S140に移行すると、S140では、本温度制御処理の起動から、所定時間(例えば、5[sec] )が経過したか否かを判断しており、肯定判定されるとS150に移行し、否定判定されるとS160に移行する。なお、本温度制御処理では、開始時点においてタイマカウンタCtを初期化(Ctに0を設定)しており、S140では、このタイマカウンタCtに基づいて所定時間が経過したか否かを判断している。
【0008】
そして、S140で肯定判定されて、S150に移行すると、S150では、印加電圧指令値VH(rms)に13[V]を設定し、この結果、ヒータへの印加電圧が13[V]となる。なお、S150での処理が完了すると、再びS120に移行する。
【0009】
また、S140で否定判定されて、S160に移行すると、S160では、印加電圧指令値VH(rms)に12[V]を設定し、この結果、ヒータへの印加電圧が12[V]となる。なお、S160での処理が完了すると、再びS120に移行する。
【0010】
つまり、図6に示す処理内容の全領域空燃比センサの温度制御処理によれば、全領域空燃比センサの起動直後の所定期間内は、全領域空燃比センサの温度が低く、抵抗値Rpvsによる温度測定ができないため、S120で否定判定されて、ヒータへの印加電圧は12[V]または13[V]の固定電圧に設定される。
【0011】
そして、抵抗値Rpvsによる温度測定が可能となると、PID制御によりヒータへの印加電圧が設定されることになり、検出した全領域空燃比センサの温度と常用温度との差分に基づいて、ヒータへの印加電圧値が制御される。このとき、検出した全領域空燃比センサの温度が常用温度よりも低い場合には、ヒータへの印加電圧を高電圧に設定して、全領域空燃比センサの温度を早期に上昇させるような制御が実行される。そして、全領域空燃比センサの温度が常用温度に達した後は、PID制御により、全領域空燃比センサの温度を常用温度に維持するように、ヒータへの印加電圧が制御される。
【0012】
このようにしてヒータへの印加電圧を制御することで、全領域空燃比センサを早期に活性化することができ、また、全領域空燃比センサの温度を常用温度に維持することができる。
なお、ヒータへの通電開始直後から高電圧(13[V])を印加した場合には、急激な温度上昇による温度分布のばらつきにより熱衝撃が発生して全領域空燃比センサが破損する虞がある。このため、図6に示す温度制御処理では、起動から所定時間を経過するまで(S140で否定判定されるまで)は、ヒータへの印加電圧を低い電圧(12[V])に設定することで、熱衝撃による全領域空燃比センサの破損を防いでいる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来の温度制御処理においては、全領域空燃比センサの温度が常用温度よりも高い温度まで上昇するオーバーシュートが発生する場合があり、オーバーシュートが発生すると、ヒータの寿命やセンサ検出精度に悪影響を及ぼす虞がある。
【0014】
つまり、上述の温度制御処理では、起動したあと温度測定が可能となるまでは、センサの実際の温度によらず一定電圧をヒータに印加し、そのあと、検出した全領域空燃比センサの温度が常用温度になるようにPID制御を行っている。
そして、このPID制御では、全領域空燃比センサの温度を安定して常用温度に維持するために、最新の差分のみに基づいてヒータへの印加電圧を設定するのではなく、過去一定期間における差分にも基づいてヒータへの印加電圧を設定している。つまり、過去一定期間における差分を用いることで、抵抗値Rpvsの検出値がノイズなどの影響により瞬時的に大きく変動した場合でも、ノイズの影響を抑えることができ、安定した温度制御が可能となる。
【0015】
このような制御は、一定温度を継続して維持する温度制御を行う場合には、ノイズなどの影響を抑えて一定温度を維持できるため適しているが、目標温度から離れた温度から目標温度に向けて温度制御を行う場合には、目標温度に達した後も過去一定期間の差分の影響を受けてしまい、ガスセンサの温度が目標温度を超えるオーバーシュートが発生する虞がある点が問題となる。
【0016】
とりわけ、ヒータからガスセンサに対して熱が伝導するには、ある程度の時間を要することから、検出したガスセンサの温度と目標温度が一致した時点でヒータの発熱量を低下させたとしても、既にその時点でヒータに発生した熱がガスセンサに伝導することで、ガスセンサの温度が必要以上に上昇することになる。
【0017】
そして、ガスセンサの活性化に用いるヒータにおいては、オーバーシュートが発生してヒータの耐熱温度を超えてしまうと、耐熱温度を上回る高温によりヒータの劣化が生じて、ヒータ自体の寿命が短くなる虞がある。
また、活性化温度以上となることで特定ガスが検出可能となるガスセンサは、センサ出力値に温度依存性があり、温度変化によって出力値が変動してしまう。このため、オーバーシュートが発生して常用温度から逸脱している期間は、常用温度で出力されるセンサ出力とは異なる大きさのセンサ出力が出力されることになり、ガスセンサのセンサ検出精度が低下する虞がある。
【0018】
そこで、本発明は、ヒータを用いてガスセンサを活性化温度まで加熱するための温度制御方法として、ガスセンサの起動後におけるオーバーシュートの発生を抑制することができるガスセンサの温度制御方法を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明方法は、活性化温度以上になることで特定ガスを検出可能となるガス検出部を有するガスセンサにおいて、電力供給によって発熱するヒータを用いて加熱することで、ガス検出部の温度を活性化温度よりも高温の常用温度に維持するためのガスセンサの温度制御方法であって、ヒータへの通電開始後、ガス検出部の温度が、活性化温度から常用温度までの範囲内で設定された第1目標温度に到達するまでは、ガスセンサの早期活性化ができるよう定められた第1電圧を前記ヒータへの印加電圧として設定し、ガス検出部の温度が第1目標温度を超えた後、ヒータへの印加電圧を第1電圧より小さい第2電圧に変更し、ガス検出部の温度が第1目標温度を超えてから常用温度に達するまでは、検出したガス検出部の温度と常用温度との差分に基づいて、ガス検出部の温度が常用温度になるように、ヒータへの印加電圧を増加させる印加電圧増加制御を行い、印加電圧増加制御において、検出したガス検出部の温度と常用温度との差分のうち過去一定期間内の差分を積分して得られる積分値に第1積分係数を乗じた第1積分成分値を算出し、第2電圧に第1積分成分値のみを加算した電圧値を、ヒータへの印加電圧として設定すること、を特徴とするガスセンサの温度制御方法である。
【0020】
ここで、第1電圧は、ガスセンサの早期活性化を実現するために、ヒータに対して印加可能な範囲の最大電圧値に設定されており、第1電圧が印加された時のヒータは、発熱量が大きくなり、ガスセンサ(詳細にはガス検出部)を速やかに加熱することができる。
【0021】
そして、本発明方法においては、ガス検出部の温度が常用温度に達する前に、ヒータへの印加電圧を第1電圧から第2電圧に低下させることで、ヒータの発熱量を低下させ、ガスセンサの温度が常用温度を大幅に超えてしまうオーバーシュートの発生を防止している。
【0022】
よって、本発明方法(請求項1)によれば、ガスセンサの早期活性化を実現しつつ、ガスセンサの温度がオーバーシュートするのを防ぐことができ、ヒータの寿命やガスセンサの検出精度への悪影響を抑えることができる。
なお、ヒータへの印加電圧の切換時期は、ガス検出部の温度が第1目標温度に到達した時点であるが、この第1目標温度を常用温度の近傍の値に設定すると、ヒータ発熱量の低減時期が遅れてしまい、オーバーシュートの抑制が十分ではなくなる。また、第1目標温度を常用温度から離れた値に設定すると、ヒータ発熱量の低減時期が早すぎるために発熱量が不足し、ガス検出部の温度が常用温度に達するまでの時間(ライトオフ時間)が長くなる虞がある。このため、第1目標温度は、オーバーシュートの抑制およびライトオフ時間の短縮を考慮して、適切な値に設定すると良い。
【0023】
ところで、ヒータへの印加電圧を第1電圧から第2電圧に低下させることで、ガスセンサの温度がオーバーシュートするのを抑制することができるが、印加電圧の低下に伴いヒータの発熱量が必要以上に低下した場合には、ガスセンサの温度上昇が停滞して、ガスセンサを常用温度まで昇温できなくなる虞がある。とりわけ、印加電圧を低下させた後に、ガスセンサの周囲環境がガスセンサの熱を奪うような環境に変化した場合(例えば、被測定ガスの流速が増加した場合等)には、ガスセンサを良好に温度上昇させることが出来ない可能性が高くなる。
【0024】
なお、常用温度に到達しなくとも、活性化温度を越えたガスセンサは、少なくとも特定ガス濃度に応じたセンサ出力を出力することは可能である。しかし、センサ出力の大きさには温度依存性があることから、常用温度から離れた温度に設定されたガスセンサのセンサ出力は、常用温度時における大きさとは異なる大きさとなるために、検出精度が低下する虞がある。
【0025】
そこで、本発明方法では、ガス検出部の温度が第1目標温度を超えてから常用温度に達するまでは、検出したガス検出部の温度と常用温度との差分に基づいて、ガス検出部の温度が常用温度になるように、ヒータへの印加電圧を増加させる印加電圧増加制御を行っている。
【0026】
つまり、ヒータへの印加電圧を一定値に固定するのではなく、検出したガス検出部の温度と常用温度との差分に基づいて、ヒータへの印加電圧を増加させることで、ヒータの発熱量を増大させるのである。これにより、ガスセンサの熱が奪われるような周囲環境となる場合でも、ヒータの発熱量が不足するのを防ぐことができ、ガス検出部の温度が確実に常用温度に到達するように、ガスセンサの温度を制御を行うことができる。
【0027】
よって、本発明方法(請求項1)によれば、ガスセンサの温度上昇が停滞するのを防止でき、ガス検出部の温度を確実に常用温度に到達させることができ、ガスセンサの検出精度の低下を防ぐことが出来る。
【0028】
そして、本発明方法では、印加電圧増加制御において、検出したガス検出部の温度と常用温度との差分のうち過去一定期間内の差分を積分して得られる積分値に第1積分係数を乗じた第1積分成分値を算出し、第2電圧に第1積分成分値のみを加算した電圧値を、ヒータへの印加電圧として設定する制御を行う。
【0029】
つまり、過去一定期間における差分の積分値を用いてヒータの印加電圧を設定する場合には、センサ出力がノイズなどの影響により瞬時的に大きく変動した場合でも、差分の積分値は大きく変動することが無いため、ノイズの影響を抑えることができ、安定した温度制御が可能となる。
【0030】
また、検出したガス検出部の温度と常用温度との差分が大きいほど、ガスセンサに供給する熱量は大きく設定する必要があることから、差分に比例した大きさの電圧をヒータに印加することで、ガスセンサの温度を常用温度に近づけることができる。そして、ガスセンサの温度を常用温度まで上昇させるに際してヒータの印加電圧が適切な値となるように第1積分係数を定めておき、差分の積分値に第1積分係数を乗じた第1積分成分値を算出し、第2電圧に第1積分成分値のみを加算した電圧値をヒータへの印加電圧として設定するのである。これにより、ヒータの発熱量が適切に設定されることになり、ガスセンサの温度上昇に必要な熱量をヒータで発生させることが出来る。
【0031】
よって、本発明方法(請求項1)によれば、ガスセンサの温度上昇が停滞するのを防いで、ガス検出部の温度を確実に常用温度に到達させることができ、ガスセンサの検出精度の低下を防ぐことが出来る。また、外部からのノイズの影響を抑えることができ、安定した温度制御が可能となることからも、ガスセンサの検出精度の低下を防ぐことが出来る。
【0032】
なお、ガスセンサの温度が常用温度に達した後も、印加電圧増加制御を継続した場合、ヒータへの印加電圧が過剰に増加してヒータの発熱量が過剰となり、ガスセンサの温度がオーバーシュートする虞がある。このため、常用温度に到達した後のガスセンサにおいては、温度を一定温度に維持するのに適した温度制御を行うことが必要となる。
そして、常用温度に到達した後のガスセンサを一定温度に安定して維持するためには、ノイズなどの影響を抑えることが重要であることから、最新の差分のみに基づいてヒータへの印加電圧を設定するのではなく、過去一定期間における差分にも基づいてヒータへの印加電圧を設定することが好ましい。
【0033】
しかし、常用温度に到達する前の期間を含む過去一定期間における差分を用いると、ガスセンサ自体は既に常用温度であるにも拘わらず、ガス検出部が常用温度に到達する前の差分を用いることになり、このときの差分が影響して、ヒータへの印加電圧が適切な値よりも大きくなる虞がある。
【0034】
そこで、上述(請求項1)の発明方法においては、請求項2に記載のように、ヒータへの通電開始後、ガス検出部の温度が最初に常用温度を超えた後は、この時点よりも後に検出したガス検出部の温度と常用温度との差分に基づいて、ガス検出部の温度を常用温度に維持するようにヒータへの印加電圧を設定する常用運転制御を行うとよい。
【0035】
つまり、検出したガス検出部の温度と常用温度との差分のうち、ガス検出部の温度が常用温度に達する前の差分は用いず、ガス検出部の温度が最初に常用温度を超えた後の差分のみを用いて、ヒータへの印加電圧を設定するのである。これにより、印加電圧を設定するに際し、ガス検出部の温度が常用温度に到達する前の期間における差分の影響を受けることがなくなり、ヒータへの印加電圧が不適切な値に設定されるのを防ぐことが出来る。
【0036】
よって、本発明方法(請求項2)によれば、ガスセンサが常用温度に到達した後に、ヒータへの印加電圧が不適切な値となることで発熱量が過剰となって、ガスセンサの温度がオーバーシュートするのを防ぐことができる。これにより、オーバーシュートの発生に起因してガスセンサの検出精度が低下するのを防ぐことが出来る。
【0037】
また、上述した常用運転制御の具体的な制御方法としては、例えば、請求項3に記載のように、検出したガス検出部の温度と常用温度との差分のうち、ヒータへの通電開始後、ガス検出部の温度が最初に常用温度を超えた後における過去一定期間内の差分を積分して得られる積分値に第2積分係数を乗じた第2積分成分値と、検出したガス検出部の温度と常用温度との差分のうち最新の差分に第2比例係数を乗じた第2比例成分値とを算出し、第2電圧に対して第2積分成分値および第2比例成分値を加算した電圧値を、ヒータへの印加電圧として設定する制御が挙げられる。
【0038】
この常用運転制御では、ガスセンサの温度を常用温度で一定に維持するに際して、ヒータの印加電圧が適切な値となるように第2積分係数を定めておき、常用温度に到達した後の過去一定期間内における差分の積分値に第2積分係数を乗じた第2積分成分値を算出し、第2電圧に第2積分成分値を加算した電圧値を、ヒータへの印加電圧として設定する。
【0039】
つまり、この常用運転制御は、上述の印加電圧増加制御と同様に、過去一定期間における差分の積分値を用いてヒータへの印加電圧を設定しており、センサ出力がノイズなどの影響により瞬時的に大きく変動した場合でも、差分の積分値は大きく変動することが無いため、ノイズの影響を抑えることができ、安定した温度制御が可能となる。
【0040】
また、この常用運転制御では、ガスセンサの温度を常用温度で一定に維持するに際して、ヒータの印加電圧が適切な値となるように第2比例係数を定めておき、最新の差分に第2比例係数を乗じた第2比例成分値を第2電圧に対して加算した電圧値を、ヒータへの印加電圧として設定する。そして、検出したガス検出部の温度と常用温度との差分のうち最新の差分は、ガスセンサの最新の状態を表す指数であることから、最新の差分を用いることでガスセンサの最新の状態に適した温度制御が可能となる。
【0041】
そして、この制御では、第2積分成分値および第2比例成分値を第2電圧に加算した電圧値をヒータへの印加電圧として設定していることから、外部からのノイズによる影響を抑えることができると共に、ガスセンサの最新の状態に適した温度制御を実現することが出来る。これにより、ヒータの発熱量が適切に設定されることになり、ガスセンサの温度がオーバーシュートするのを防ぐことができると共に、ガスセンサの温度を常用温度に維持するために必要な熱量をヒータから発生させることが出来る。
【0042】
よって、本発明方法(請求項3)によれば、ガスセンサが常用温度に到達した後にヒータでの発熱量が過剰となって、ガスセンサの温度がオーバーシュートするのを防ぐことができ、ガスセンサの検出精度の低下を防ぐことが出来る。
なお、ガスセンサの温度が活性化温度を超えた後に、常用温度まで上昇させるにあたりオーバーシュートを防ぐためには、ガスセンサの温度と常用温度との差分に対するガスセンサへの供給熱量を適切に設定することが望ましく、このためには、ヒータへの印加電圧は微小な単位で変化させることが望ましい。これに対して、ガスセンサの温度が常用温度に達した後に、安定して常用温度を維持するためには、温度変化に対する応答性を良好にすることが望ましく、ガスセンサの温度変化に対してガスセンサに供給するべき熱量が不足しないように、ヒータへの印加電圧を設定することが望ましい。
【0043】
そこで、上述(請求項3)の発明方法においては、請求項4に記載のように、第1積分係数が第2積分係数よりも小さく設定されているとよい。
つまり、印加電圧増加制御においては、第1積分係数の値が小さい値に設定されることとなり、検出したガス検出部の温度と常用温度との差分の積分値に対して第1積分係数を乗じた第1積分成分値は小さい値となることから、ヒータへの印加電圧が微小単位で設定されることになる。これにより、印加電圧増加制御を実行するに際して、ヒータの発熱量を微小な単位で設定することが可能となり、ガスセンサの温度がオーバーシュートするのを防ぐことが出来る。
【0044】
また、常用運転制御においては、第2積分係数が第1積分係数よりも大きい値に設定されており、検出したガス検出部の温度と常用温度との差分の積分値に第2積分係数を乗じた第2積分成分値は大きい値に設定されることになる。これにより、常用運転制御を実行するに際して、温度変化に対するヒータの発熱量が不足するのを防ぐことができ、ガスセンサの温度を安定して常用温度に維持することが出来る。
【0045】
よって、本発明方法(請求項4)によれば、差分の積分値に対して乗する積分係数の値を、ガスセンサの状態に応じて適切な値に設定することで、各状態に適した電圧値をヒータの印加電圧として設定することが可能となり、ガスセンサの温度を適切に制御することができる。
【0046】
ところで、ガスセンサの活性化温度は高温(例えば、全領域空燃比センサの活性化温度は600℃)であり、実使用環境での設定温度である常用温度はさらに高温(たとえば、全領域空燃比センサでは、800℃)である。そして、起動前のガスセンサは、一般に常温(25℃程度)になっていることから、起動直後から急激に温度を上昇させた場合、ガスセンサにおける温度分布のばらつきにより熱衝撃が発生してガスセンサが破損する虞がある。
【0047】
そこで、上述(請求項1から請求項4のいずれか)の発明方法においては、請求項5に記載のように、ヒータへの通電開始直後の一定期間は、第1電圧よりも小さい第3電圧をヒータへの印加電圧として設定し、一定期間の経過後に、第1電圧をヒータへの印加電圧として設定するとよい。
【0048】
このように、起動直後におけるヒータへの印加電圧を低く設定し、ヒータの発熱量を少なくすることで、ガスセンサにおける温度分布のばらつきを抑えることができ、熱衝撃の発生によるガスセンサの損傷を防ぐことが出来る。
そして、ガスセンサの温度上昇におけるオーバーシュートを抑える制御に加えて、起動直後の熱衝撃の発生を抑える制御を併せて実行することで、より確実にガスセンサの損傷を防止することが出来る。
【0049】
よって、本発明方法(請求項5)によれば、ガスセンサを起動したあと常用温度で安定するまでの期間において、ガスセンサが損傷してしまうのをより確実に防ぐことが出来る。
そして、上述(請求項1から請求項5のいずれか)の発明方法においては、請求項6に記載のように、ガス検出部が、固体電解質体表面に一対の電極が形成されてなり、一対の電極間における固体電解質体の電気抵抗値に基づき、ガス検出部の温度を検出するとよい。
【0050】
つまり、一対の電極が形成された固体電解質体は、活性化温度以上となることで、特定ガスの濃度に応じた起電力を発生することから、ガス検出部として使用することができる。また、固体電解質体に形成された一対の電極間の電気抵抗値は、固体電解質体の温度によって変化することから、電極間の電気抵抗値を用いることで、ガス検出部自体の温度を精度良く検出することが可能である。なお、このようにガス検出部自体の温度が検出可能となることで、ガスセンサが活性化状態であるか否かをより正確に判断することが出来る。
【0051】
また、ガス検出部を加熱するためのヒータは、ガス検出部に隣接して配置されるが、ヒータの熱がガス検出部に伝導するまでにはある程度の時間を要することから、ヒータの温度とガス検出部の温度とは必ずしも一致しない場合がある。このため、ヒータの温度を検出するよりも、電極間の電気抵抗値に基づいてガス検出部そのものの温度検出をすることで、確実にガス検出部を活性化状態に導くことができる。
【0052】
一方、ヒータの熱がガス検出部に伝導するまでに時間を要することから、ヒータの温度上昇状態とガス検出部の温度上昇状態には、ある程度の差が生じる事になる。そして、ガス検出部の温度を検出してヒータの発熱量を制御する場合、ガス検出部が常用温度に達した時点でヒータへの印加電圧を低下させたとしても、ガス検出部が常用温度に達するまでに既にヒータで発生した熱が伝導することにより、ガス検出部の温度がオーバーシュートする可能性が高くなる。
【0053】
このため、このようなガス検出部を備えるガスセンサに対して、オーバーシュートを抑制するための上述の本発明方法を適用することで、オーバーシュートによるガスセンサの損傷を抑えることができ、ガスセンサの温度制御を適切に実行することができる。
【0054】
よって、本発明方法(請求項6)によれば、ガス検出部自体の温度を精度良く検出できるとともに、オーバーシュートによるガスセンサの損傷を抑えることができるため、安定した温度制御を実現することが出来る。
そして、上述(請求項1から請求項6のいずれか)の発明方法においては、請求項7に記載のように、ガスセンサが、全領域空燃比センサであるとよい。
【0055】
つまり、全領域空燃比センサは、例えば、内燃機関の排気ガス中の酸素濃度を検出するために使用されるが、起動後早期に活性化状態になることが要求されており、オーバーシュートによる破損が発生しやすい用途に使用されている。
また、全領域空燃比センサは、被測定ガス中の酸素濃度に比例したセンサ出力を出力する必要があり、設置環境の温度変化によるセンサ出力の変動が生じる場合には、検出精度が低下してしまう。
【0056】
このため、上述(請求項1から請求項6のいずれか)の発明方法を適用することで、全領域空燃比センサにおいて、オーバーシュートによる破損を防ぐことができ、また、温度変化による検出精度の低下を防いで、高い検出精度を維持することが出来る。
【0057】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のガスセンサの温度制御方法を適用した実施例として、全領域空燃比センサの温度制御処理を、図面に基づいて説明する。
そして、図1は、全領域空燃比センサ1、全領域空燃比センサに接続されるインターフェース回路31、全領域空燃比センサ1を加熱するためのセラミックヒータ41、およびセラミックヒータ41に接続されるヒータ電圧供給装置43の接続状態を表す説明図である。なお、ヒータ電圧供給装置43およびインターフェース回路31は、全領域空燃比センサ1の起動時に外部から入力されるセンサ起動信号に同期して、それぞれ動作を開始する。
【0058】
まず、全領域空燃比センサ1は、図1に示すように、固体電解質体11aの両側面に多孔質電極13a,13bを有し、酸素(O2 )のポンピングを行う酸素ポンプセル11(以下、Ipセル11ともいう)と、固体電解質体15aの両側面に多孔質電極17a,17bを有し、酸素濃度に応じて起電力を発生する酸素濃度測定セル15(以下、Vsセル15ともいう)と、この酸素ポンプセル11と酸素濃度測定セル15との間に設けられて被測定ガスが導入される空間であるガス検出室19と、被測定ガスをガス検出室19に導入するための経路に配置されたガス拡散多孔質層21と、酸素濃度測定セル15と遮蔽層23との間に設けられて酸素を溜め込む空間である酸素基準室25とを備えている。
【0059】
次に、インターフェース回路31は、ポンプ電流駆動回路33と、電圧出力回路35と、測定電流供給回路37と、基準電圧比較回路39とを備えて構成されている。
このうち、測定電流供給回路37は、酸素濃度測定セル15に測定電流Irpvs(例えば、1.22[mA])を供給するものであり、電圧出力回路35は、酸素濃度測定セル15の多孔質電極17a−17b間に発生する起電力Vsを検出するものである。また、基準電圧比較回路39は、予め定められた基準電圧(本実施例では450[mV])を内部に保持しており、電圧出力回路35にて検出した起電力Vsと基準電圧との比較を行い、比較結果をポンプ電流駆動回路33に通知するものである。そして、ポンプ電流駆動回路33は、基準電圧比較回路39から受け取った比較結果に基づいて、酸素ポンプセル11に流すポンプ電流Ipを制御するものである。
【0060】
そして、全領域空燃比センサ1のうち、酸素濃度測定セル15は、ガス検出室19の内部の雰囲気をモニタするために備えられている。すると、酸素濃度測定セル15の多孔質電極17a−17b間には、ガス検出室19の内部における酸素濃度に応じた起電力Vsが発生する。また、全領域空燃比センサのうち、酸素ポンプセル11は、ポンプ電流駆動回路33から供給されるポンプ電流Ipに応じて、ガス検出室19に対する酸素(O2 )の汲み出し又は汲み入れを行う。
【0061】
つまり、全領域空燃比センサ1では、酸素濃度測定セル15の起電力Vsが一定値(450[mV])となる様に、つまり、ガス検出室19の空燃比が理論空燃比となるように、酸素ポンプセル11を用いてガス検出室19の内部に対する酸素(O2 )の汲み出し又は汲み入れを行う。
【0062】
このように構成される全領域空燃比センサ1では、酸素ポンプセル11に流れるポンプ電流Ipの電流値および電流方向が、被測定ガス中の酸素濃度に応じて変化することから、ポンプ電流Ipの測定結果に基づいて被測定ガス中の酸素濃度を検出することができる。
【0063】
そして、このような全領域空燃比センサ1は、例えば、内燃機関の排気管に配置されることで排気ガス中の酸素濃度を検出することができ、排気ガス中の酸素濃度と空燃比との相関関係から、検出した酸素濃度に基づいて内燃機関の空燃比を測定することができる。
【0064】
また、インターフェース回路31には、図示しない制御部が備えられており、この制御部は、測定電流Irpvsを通電したときの多孔質電極17a−17b間の電圧値の変化量に基づいて、酸素濃度測定セル15の多孔質電極17a−17b間の電気抵抗値Rpvsを検出しており、検出した電気抵抗値Rpvsに応じた抵抗値信号Srをヒータ電圧供給装置に対して出力している。
【0065】
次に、ヒータ電圧供給装置43は、インターフェース回路31からの抵抗値信号Srに基づいて、全領域空燃比センサ1(詳細には、酸素濃度測定セル15)の温度Tcを検出し、検出した温度Tcに基づいてセラミックヒータ41への印加電圧を制御している。
【0066】
ここで、全領域空燃比センサ1のうち、酸素濃度測定セル15における温度Tcと電気抵抗値Rpvsとの間には、図5に示すような相関関係があり、電気抵抗値Rpvsに基づいて全領域空燃比センサの温度Tcを検出することが可能である。なお、図5に示すグラフによれば、酸素濃度測定セル15の電気抵抗値Rpvsが220[Ω]の時には温度Tcは600[℃]であり、また、酸素濃度測定セル15の電気抵抗値Rpvsが75[Ω]の時には温度Tcは800[℃]である。
【0067】
そして、セラミックヒータ41は、ヒータ電圧供給装置43から印加電圧VHが印加されると、印加電圧VHの大きさに応じた発熱量を発生し、全領域空燃比センサ1を加熱する。
ここで、ヒータ電圧供給装置43において実行される温度制御処理の処理内容について、図2に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、ヒータ電圧供給装置43は、マイクロコンピュータ(以下、マイコンともいう)を備えて構成されており、温度制御処理はマイコンの内部処理として実行される。また、温度制御処理は、ヒータ電圧供給装置43の起動と共に処理が開始され、すなわち、全領域空燃比センサの起動と共に温度制御処理が開始される。
【0068】
そして、温度制御処理が開始されると、まずS210では、セラミックヒータ41への印加電圧VHの電圧値となる印加電圧指令値VH(rms)に12[V]を設定する。これにより、セラミックヒータ41に対して12[V]の電圧が印加され、セラミックヒータ41による全領域空燃比センサ1の加熱が開始される。
【0069】
次のS220では、全領域空燃比センサ1の温度測定が可能であるか否かを判断しており、肯定判定した場合にはS230に移行し、否定判定した場合には、S240に移行する。
ここで、酸素濃度測定セル15の多孔質電極17a−17b間の抵抗値Rpvsと全領域空燃比センサの温度については、図5に示すような相関関係があるが、このような相関関係は、酸素濃度測定セル15の温度が所定温度範囲となる場合にのみ有効となる。つまり、酸素濃度測定セル15の温度が所定温度以下である場合には、抵抗値Rpvsは無限大となり測定できず、抵抗値Rpvsに基づいて酸素濃度測定セル15の温度を測定することはできない。このため、酸素濃度測定セル15の多孔質電極17a−17b間の起電力Vsを検出し、起電力Vsが所定電圧以下(本実施例では、1.7[V]以下)であるか否かを判断することで、温度測定の可否判断を行っている。つまり、起電力Vsが所定電圧以下である場合に肯定判定し、起電力Vsが所定電圧よりも大きい場合には否定判定するのである。
【0070】
そして、S220で肯定判定されて、S230に移行すると、S230では、印加電圧指令値VH(rms)に13[V]を設定し、この結果、ヒータへの印加電圧が13[V]となる。なお、S230での処理が完了すると、S260に移行する。
【0071】
また、S220で否定判定されて、S240に移行すると、S240では、本温度制御処理の起動時点から、所定時間(5[sec] )が経過したか否かを判断しており、肯定判定されるとS230に移行し、否定判定されるとS250に移行する。なお、本温度制御処理では、処理開始時点においてタイマカウンタCtを初期化(Ctに0を設定)しており、S240では、このタイマカウンタCtに基づいて所定時間が経過したか否かを判断している。
【0072】
そして、S240で肯定判定されて、S230に移行すると、S230では、上述したように、印加電圧指令値VH(rms)に13[V]を設定し、S230での処理が完了すると、S260に移行する。
また、S240で否定判定されて、S250に移行すると、S250では、印加電圧指令値VH(rms)に12[V]を設定し、この結果、ヒータへの印加電圧が12[V]となる。なお、S250での処理が完了すると、S260に移行する。
【0073】
そして、S230またはS250での処理が完了してS260に移行すると、S260では全領域空燃比センサ1(詳細には、酸素濃度測定セル15)が活性化状態であるか否かを判断しており、肯定判定されるとS270に移行し、否定判定されるとS220に移行する。なお、活性化状態であるか否かの判定は、全領域空燃比センサの温度が第1目標温度以上であるか否かにより行っており、全領域空燃比センサの温度は、酸素濃度測定セル15の多孔質電極17a−17b間の抵抗値Rpvsに基づいて判断される。
【0074】
つまり、S260での判断は、酸素濃度測定セル15の多孔質電極17a−17b間の抵抗値Rpvsに基づいて行っており、具体的には、抵抗値Rpvsが220[Ω]以下である場合には活性化状態であると判定(肯定判定)し、抵抗値Rpvsが220[Ω]よりも大きい場合には活性化状態ではないと判定(否定判定)する。なお、抵抗値Rpvsが220[Ω]となるときの、全領域空燃比センサの温度は、600[℃]である。
【0075】
S260で肯定判定されて、S270に移行すると、S270では、全領域空燃比センサ1の温度Tcが、全領域空燃比センサ1の通常使用時の温度として定められた常用温度(800[℃])になるように、検出した全領域空燃比センサの温度Tcと常用温度との差分に基づいて、ヒータへの印加電圧VHを制御する第1PID制御(PIDコントロール1)を行う。なお、S270で実行される第1PID制御では、検出した全領域空燃比センサの温度と常用温度との差分を一定期間積分した積分成分(lntegral)のみに基づいて、全領域空燃比センサの温度が常用温度となるように、ヒータへの印加電圧指令値VH(rms)を設定する制御を行っている。
【0076】
ここで、第1PID制御においては、検出した全領域空燃比センサの温度Tcと常用温度との差分を、それぞれの温度に対応する抵抗値の差分ΔRに置き換えて処理を実行しており、差分ΔRに対するヒータへの印加電圧指令値VH(rms)を設定するための演算式f1(ΔR)は、[数1]のように表される。
【0077】
【数1】
Figure 0004071490
なお、演算式f1(ΔR)のうち、Aは第1積分係数であり、積分値ΣΔRは第1PID制御の開始後における過去一定期間の差分ΔRを積分した値であり、Vrefは制御基準電圧(本実施例では、10.5[V])である。
【0078】
また、差分ΔRは、[数2]に示す数式により定められる。
【0079】
【数2】
Figure 0004071490
なお、数2に示す数式のうち、Rpvsは酸素濃度測定セル15の多孔質電極17a−17b間の抵抗値であり、Rtaは常用温度に対応した抵抗値が設定された目標抵抗値(本実施例では、75[Ω])である。
【0080】
そして、第1PID制御が開始された直後は、積分値ΣΔRの値はきわめて小さい値となるため、演算式f1(ΔR)の値は、約10.5[V]に設定される。このあと、差分ΔRが0より大きい値となる状態で時間が経過していくと、積分値ΣΔRの値が増大していき、ヒータへの印加電圧VHも増大していく。つまり、全領域空燃比センサの温度Tcが常用温度に到達しない場合には、その時間経過に伴いヒータの発熱量を増大させるのである。
【0081】
そして、S270での処理が完了すると、S280に移行し、S280では、全領域空燃比センサの温度Tcが、目標値(常用温度)に到達したか否かを判断しており、肯定判定されるとS290に移行し、否定判定されると再びS220に移行する。なお、常用温度に達したか否かの判定は、酸素濃度測定セル15の多孔質電極17a−17b間の抵抗値Rpvsを用いて行っており、抵抗値Rpvsが75[Ω]以下である場合には常用温度(本実施例では、800[℃])に達したと判定(肯定判定)し、抵抗値Rpvsが75[Ω]よりも大きい場合には常用温度に達していないと判定(否定判定)する。
【0082】
S280で肯定判定されて、S290に移行すると、S290では、全領域空燃比センサ1の温度Tcが、全領域空燃比センサ1の通常使用時の温度として定められた常用温度(800[℃])に維持されるように、検出した全領域空燃比センサの温度と常用温度との差分に基づいて、ヒータへの印加電圧値を制御する第2PID制御(PIDコントロール2)を行う。なお、S290で実行される第2PID制御では、検出した全領域空燃比センサの温度と常用温度との差分における比例成分(Proportinal )および積分成分(lntegral)に基づいて、全領域空燃比センサの温度が常用温度に維持されるように、ヒータへの印加電圧指令値VH(rms)を設定する制御を行っている。
【0083】
ここで、第2PID制御においては、検出した全領域空燃比センサの温度と常用温度との差分を、それぞれの温度に対応する抵抗値の差分ΔRに置き換えて処理を実行しており、差分ΔRに対するヒータへの印加電圧指令値VH(rms)を設定するための演算式f2(ΔR)は、[数3]のように表すことができる。
【0084】
【数3】
Figure 0004071490
なお、数3に示す数式のうち、Bは第2比例係数であり、Cは第2積分係数であり、積分値ΣΔRは第2PID制御の開始後における過去一定期間の差分ΔRを積分した値であり、Vrefは制御基準電圧(本実施例では、10.5[V])である。このうち、第2積分係数Cは、第1積分係数Aよりも大きい値に設定されている。
【0085】
また、差分ΔRは、上述した[数2]に示す数式により定められる。
そして、第2PID制御では、積分値ΣΔRに第2積分係数Cを乗じた第2積分成分値(C×ΣΔR)と、差分ΔRに第2比例係数Bを乗じた第2比例成分値(B×ΔR)との和を、制御基準電圧Vrefに加算した電圧値を、ヒータへの印加電圧VHとして設定する。このように、第2積分成分値(C×ΣΔR)に加えて第2比例成分値(B×ΔR)の値を加算して、印加電圧VHに設定することから、印加電圧VHは、第1PID制御に比べて高い電圧値に設定されるため、全領域空燃比センサに対して供給する熱量が不足するのを防ぐことが出来る。
【0086】
なお、S290での処理が完了すると、再びS220に移行する。
そして、図2に示す処理内容の全領域空燃比センサの温度制御処理は、全領域空燃比センサが停止されるまで、上述した処理を実行する。
以上、説明したように、図2に示す処理内容の全領域空燃比センサの温度制御処理によれば、全領域空燃比センサの起動直後の所定期間内は、全領域空燃比センサの温度が低く、抵抗値Rpvsによる温度測定ができないため、S220で否定判定されて、ヒータへの印加電圧は12[V]または13[V]の固定電圧に設定される。
【0087】
また、抵抗値Rpvsによる温度測定が可能となった場合でも、全領域空燃比センサが活性化状態ではない場合には、S260で否定判定されて、S220,S230およびS260の処理がこの順に繰り返し実行されることになり、ヒータへの印加電圧は13[V]の固定電圧に設定される。
【0088】
そして、全領域空燃比センサの温度が活性化温度(600[℃])に到達すると、S270で実行される第1PID制御により、ヒータへの印加電圧VHが設定されることになり、検出した全領域空燃比センサの温度Tcと常用温度(800[℃])との差分に基づいて、ヒータへの印加電圧VHが制御される。
【0089】
この第1PID制御が開始された直後は、積分期間が短いことから、差分ΔRの積分値ΣΔRの値は小さい値となるため、セラミックヒータ41への印加電圧VHは、約10.5[V]に設定されることになり、第1PID制御が開始される前の印加電圧VH(12[V]または13[V])よりも低い電圧に設定される。これにより、セラミックヒータ41の発熱量を低減することができ、全領域空燃比センサの温度がオーバーシュートするのを防ぐことができる。
【0090】
また、第1PID制御では、印加電圧VHを設定するための演算式f1(ΔR)に、差分ΔRの積分値ΣΔRに第1積分係数Aを乗じた項を有しており、過去一定期間において差分ΔRが0より大きい値となる場合には、制御基準電圧Vrefよりも高い電圧値が印加電圧VHに設定される。このため、全領域空燃比センサの温度が常用温度に到達しない場合には、時間経過に伴い印加電圧VHとして設定される電圧値が徐々に増加していき、セラミックヒータ41の発熱量が不足するのを防止でき、確実に常用温度まで昇温させることができる。
【0091】
また、第1PID制御では、過去一定期間における差分ΔRの積分値を用いてヒータの印加電圧VHを設定しており、センサ出力がノイズなどの影響により瞬時的に大きく変動した場合でも、差分ΔRの積分値は大きく変動することが無いため、ノイズの影響を抑えることができ、安定した温度制御が可能となる。
【0092】
さらに、第1PID制御では、第2積分係数Cよりも小さい値に設定された第1積分係数Aを用いていることから、差分ΔRの積分値に対する印加電圧VHの変化量は、常用温度を維持する制御における変化量よりも小さく抑えられることになり、セラミックヒータ41の発熱量が過剰となって、全領域空燃比センサの温度がオーバーシュートするのを抑制できる。
【0093】
そして、第1PID制御が実行されて全領域空燃比センサの温度が常用温度(800[℃])に到達すると、S290で実行される第2PID制御により、ヒータへの印加電圧VHが設定されることになり、検出した全領域空燃比センサの温度Tcと常用温度(800[℃])との差分に基づいて、ヒータへの印加電圧VHが制御される。
【0094】
この第2PID制御では、差分ΔRのうち、全領域空燃比センサの温度Tcが常用温度に達する前の差分ΔRは用いず、全領域空燃比センサの温度Tcが最初に常用温度を超えた後の差分ΔRのみを用いて、ヒータへの印加電圧VHを設定している。このため、印加電圧VHを制御する際に、全領域空燃比センサ1(詳細には、酸素濃度測定セル15)の温度が常用温度に到達する前の期間における差分ΔRの影響を受けることがなくなり、ヒータへの印加電圧VHが不適切な値に設定されるのを防ぐことが出来る。
【0095】
この結果、全領域空燃比センサが常用温度に到達した後に、セラミックヒータ41への印加電圧VHが不適切となることで発熱量が過剰となって、全領域空燃比センサの温度がオーバーシュートするのを防ぐことができる。これにより、オーバーシュートの発生に起因するガスセンサの検出精度の低下を防ぐことが可能となる。
【0096】
また、第2PID制御は、第1PID制御と同様に、過去一定期間における差分ΔRの積分値ΣΔRを用いてヒータへの印加電圧VHを設定しており、センサ出力がノイズなどの影響により瞬時的に大きく変動した場合でも、差分ΔRの積分値ΣΔRの値は大きく変動しないため、ノイズの影響を抑えることができ、安定した温度制御が可能となる。
【0097】
さらに、この第2PID制御では、最新の差分ΔRに第2比例係数Bを乗じた第2比例成分値(B×ΔR)を制御基準電圧Vrefに対して加算した電圧値を、ヒータへの印加電圧VHとして設定する。そして、検出した全領域空燃比センサの温度Tcと常用温度との差分ΔRのうち最新の差分ΔRは、全領域空燃比センサの最新の状態を表す指数であることから、最新の差分ΔRの値が反映される第2比例成分値(B×ΔR)を用いることで。全領域空燃比センサの最新の状態に適した温度制御が可能となる。
【0098】
そして、第2PID制御では、第2積分成分値(C×ΣΔR)と第2比例成分値(B×ΔR)との和を制御基準電圧Vrefに加算した電圧値を、ヒータへの印加電圧VHとして設定していることから、外部からのノイズによる影響を抑えることができると共に、全領域空燃比センサの最新の状態に適した温度制御を実現することが出来る。これにより、セラミックヒータ41の発熱量が適切に設定されることになり、全領域空燃比センサの温度がオーバーシュートするのを防ぐことができると共に、全領域空燃比センサの温度を常用温度に維持するために必要な熱量をヒータで発生させることが出来る。
【0099】
よって、第2PID制御によれば、全領域空燃比センサが常用温度に到達した後に、セラミックヒータ41での発熱量が過剰となって、全領域空燃比センサの温度がオーバーシュートするのを防ぐことができ、全領域空燃比センサの検出精度の低下を防ぐことが出来る。
【0100】
また、本温度制御処理においては、起動直後から印加電圧VHを13[V]に設定するのではなく、一旦12[V]に設定した後で、13[V]に設定していることから、急激な温度上昇によって全領域空燃比センサの温度分布にばらつきが生じるのを防止でき、熱衝撃により全領域空燃比センサが破損するのを防ぐことができる。このように、全領域空燃比センサの温度上昇におけるオーバーシュートを抑える制御に加えて、起動直後の熱衝撃の発生を抑える制御を併せて実行することで、より確実に全領域空燃比センサの損傷を防止することが出来る。
【0101】
さらに、本温度制御処理においては、全領域空燃比センサの温度測定を、セラミックヒータ41の温度測定で代替するのではなく、酸素濃度測定セル15の抵抗値を用いて実施していることから、全領域空燃比センサ自体の温度を精度良く検出することが可能である。なお、温度測定位置をヒータとは異なる位置に設定する場合、ヒータから温度測定位置までの熱伝導の時間的な遅れが原因となり、ヒータへの印加電圧が不適切な値に設定されてオーバーシュートが発生する虞があるが、本実施例の温度制御処理によれば、オーバーシュートの発生を抑制することができ、好適な温度制御を実現することが出来る。
【0102】
ここで、本発明方法を適用した温度制御方法(図2に示す温度制御処理)により全領域空燃比センサの温度を制御したときの測定結果を図3(a)に示すと共に、従来の温度制御方法(図1に示す温度制御方法)により全領域空燃比センサの温度を制御した時の測定結果を図3(b)に示す。なお、図3(a)および図3(b)には、(A)ヒータ温度、(B)素子温度(センサ温度)、(C)酸素濃度測定セルの抵抗値Rpvs、(D)ヒータへの印加電圧VH、をそれぞれ示す。
【0103】
まず、図3(a)の測定結果においては、ヒータ温度の最高温度は約970[℃]であり、素子温度の最高温度は約730[℃]であり、また、図3(b)の測定結果においては、ヒータ温度の最高温度は約1030[℃]であり、素子温度の最高温度は約780[℃]である。つまり、本発明の温度制御方法は、従来の温度制御方法に比べて、ヒータ温度および素子温度ともに最高温度が低くなることから、オーバーシュートを低減できることが判る。
【0104】
なお、図3(a)、図3(b)ともに、抵抗値Rpvsの波形(データ)については、起動から11[sec ]が経過するまでの期間は、全領域空燃比センサの実際の抵抗値を表しておらず、起動から11[sec ]経過した後の期間は、全領域空燃比センサの実際の抵抗値を表している。また、本測定では、全領域空燃比センサの常用温度は、約720[℃]である。
【0105】
また、図4に、本発明の温度制御処理および従来の温度制御処理のそれぞれにおけるヒータ温度および全領域空燃比センサの温度(素子温度)の差異を明確に表すために、ヒータ温度および素子温度を同一座標平面上に記した測定結果を示す。なお、図4では、従来の温度制御処理における素子温度を(A)従来素子温として、従来の温度制御処理におけるヒータ温度を(B)従来ヒータ温として、本発明の温度制御処理における素子温度を(C)発明1素子温として、本発明の温度制御処理におけるヒータ温度を(D)発明1ヒータ温として、それぞれ記載する。
【0106】
図4によれば、本発明の温度制御処理において第1PID制御が実行されるまで(起動から12[sec ]経過するまで)は、本発明および従来ともにヒータ温度,素子温度は、同様の推移を呈するが、起動から12[sec ]経過した後は、ヒータ温度、素子温度ともに、従来の制御よりも本発明の制御の方が低い値を示すことが判る。
【0107】
そして、波形D(本発明ヒータ温度)が波形B(従来ヒータ温度)よりも小さい値となることから、本発明の温度制御処理は、従来よりも少ない電力消費量で、全領域空燃比センサを活性化状態とすることができることが判る。
また、起動から活性化温度(600[℃])に達するまでの所要時間(ライトオフ時間)について比較すると、本発明の温度制御方法、従来の温度制御方法ともに、約12[sec ]である。このことから、本発明の温度制御方法は、従来の温度制御方法と同等のライトオフ時間を達成することができ、起動後の早期活性化が実現可能であることが判る。
【0108】
さらに、起動から素子温度が制御目標素子温度(常用温度)で安定するまでの所要時間(目標温度収束時間)について比較すると、本発明の温度制御方法、従来の温度制御方法ともに、約30[sec ]である。このことから、本発明の温度制御方法は、従来の温度制御方法と同等の目標温度収束時間を達成することができ、起動後におけるセンサ出力の安定化を早期に実現することが可能であることが判る。
【0109】
なお、図3(a)に示す測定結果と図4に示す測定結果とを比較すると、ヒータ温度および素子温度共に波形が若干異なっているが、これは、測定環境(全領域空燃比センサの周囲環境)が異なるために生じたものである。そして、図3(a)および図4に示す測定結果によれば、ガスセンサの周囲環境が異なる場合であっても、本発明の温度制御方法を用いることで、オーバーシュートを抑えつつ、ライトオフ時間および目標温度収束時間を従来と同等レベルに維持できることが判る。
【0110】
なお、上述の実施例においては、酸素濃度測定セル15が特許請求の範囲におけるガス検出部に相当し、温度制御処理のS230で設定される印加電圧VH(13[V])が、特許請求の範囲における第1電圧に相当するものであり、制御基準電圧Vrefが特許請求の範囲における第2電圧に相当し、温度制御処理のS210およびS250で設定される印加電圧VH(12[V])が、特許請求の範囲における第3電圧に相当し、第1PID制御が特許請求の範囲における印加電圧増加制御に相当し、第2PID制御が特許請求の範囲における常用運転制御に相当する。
【0111】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明は、こうした実施例に限定されることなく、種々の態様をとることができる。
例えば、本発明の温度制御方法は、全領域空燃比センサの温度制御に限らず、NOxガスセンサやHCガスセンサなど、ヒータにより活性化温度まで加熱されることで使用可能となるガスセンサの温度制御に適用することができる。
【0112】
また、上述の温度制御処理において記載した各数値(例えば、S260での判断基準となる抵抗値(220[Ω])など)は、対象となるガスセンサの種類や設置環境を考慮して、適切な値を適宜設定することができる。つまり、例えば、S260での判断基準は、ガスセンサの活性化温度(600[℃])に対応する抵抗値に限らず、活性化温度以上の温度に対応した抵抗値を設定することができる。
【0113】
さらに、演算式における各係数(A,B,C)についても、対象となるガスセンサの種類や設置環境を考慮して、適切な値を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 全領域空燃比センサ、全領域空燃比センサに接続されるインターフェース回路、セラミックヒータ、およびセラミックヒータに接続されるヒータ電圧供給装置の接続状態を表す説明図である。
【図2】 ヒータ電圧供給装置において実行される温度制御処理の処理内容を示すフローチャートである。
【図3】 (a)は、本発明の温度制御方法により全領域空燃比センサの温度を制御したときの測定結果であり、(b)は、従来の温度制御方法により全領域空燃比センサの温度を制御したときの測定結果である。
【図4】 本発明の温度制御処理および従来の温度制御処理のそれぞれにおけるヒータ温度および全領域空燃比センサの温度(素子温度)を測定したときの測定結果である。
【図5】 酸素濃度測定セルの電極間の抵抗値と全領域空燃比センサの温度についての相関関係を表すグラフである。
【図6】 従来の温度制御処理の処理内容を表すフローチャートである。
【符号の説明】
1…全領域空燃比センサ、11…酸素ポンプセル、11a…固体電解質体、13a,13b…多孔質電極、15…酸素濃度測定セル、15a…固体電解質体、17a,17b…多孔質電極、19…ガス検出室、21…ガス拡散多孔質層、23…遮蔽層、25…酸素基準室、31…インターフェース回路、33…ポンプ電流駆動回路、35…電圧出力回路、37…測定電流供給回路、39…基準電圧比較回路、41…セラミックヒータ、43…ヒータ電圧供給装置。

Claims (7)

  1. 活性化温度以上になることで特定ガスを検出可能となるガス検出部を有するガスセンサにおいて、電力供給によって発熱するヒータを用いて加熱することで、前記ガス検出部の温度を前記活性化温度よりも高温の常用温度に維持するためのガスセンサの温度制御方法であって、
    前記ヒータへの通電開始後、前記ガス検出部の温度が、前記活性化温度から前記常用温度までの範囲内で設定された第1目標温度に到達するまでは、前記ガスセンサの早期活性化ができるよう定められた第1電圧を前記ヒータへの印加電圧として設定し、
    前記ガス検出部の温度が前記第1目標温度を超えた後、前記ヒータへの印加電圧を前記第1電圧より小さい第2電圧に変更し、
    前記ガス検出部の温度が前記第1目標温度を超えてから前記常用温度に達するまでは、検出した前記ガス検出部の温度と前記常用温度との差分に基づいて、前記ガス検出部の温度が前記常用温度になるように、前記ヒータへの印加電圧を増加させる印加電圧増加制御を行い、
    前記印加電圧増加制御において、検出した前記ガス検出部の温度と前記常用温度との差分のうち過去一定期間内の差分を積分して得られる積分値に第1積分係数を乗じた第1積分成分値を算出し、前記第2電圧に前記第1積分成分値のみを加算した電圧値を、前記ヒータへの印加電圧として設定すること、
    を特徴とするガスセンサの温度制御方法。
  2. 前記ヒータへの通電開始後、前記ガス検出部の温度が最初に前記常用温度を超えた後は、
    この時点よりも後に検出した前記ガス検出部の温度と前記常用温度との差分に基づいて、前記ガス検出部の温度を前記常用温度に維持するように前記ヒータへの印加電圧を設定する常用運転制御を行うこと、
    を特徴とする請求項1に記載のガスセンサの温度制御方法。
  3. 前記常用運転制御において、
    検出した前記ガス検出部の温度と前記常用温度との差分のうち、前記ヒータへの通電開始後、前記ガス検出部の温度が最初に前記常用温度を超えた後における過去一定期間内の差分を積分して得られる積分値に第2積分係数を乗じた第2積分成分値と、検出した前記ガス検出部の温度と前記常用温度との差分のうち最新の差分に第2比例係数を乗じた第2比例成分値とを算出し、前記第2電圧に対して前記第2積分成分値および前記第2比例成分値を加算した電圧値を、前記ヒータへの印加電圧として設定すること、
    を特徴とする請求項2に記載のガスセンサの温度制御方法。
  4. 前記第1積分係数が前記第2積分係数よりも小さいこと、
    を特徴とする請求項3記載のガスセンサの温度制御方法。
  5. 前記ヒータへの通電開始直後の一定期間は、前記第1電圧よりも小さい第3電圧を前記ヒータへの印加電圧として設定し、前記一定期間の経過後に、前記第1電圧を前記ヒータへの印加電圧として設定すること、
    を特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のガスセンサの温度制御方法。
  6. 前記ガス検出部は、固体電解質体表面に一対の電極が形成されてなり、
    前記一対の電極間における固体電解質体の電気抵抗値に基づき、前記ガス検出部の温度を検出すること、
    を特徴とする請求項1から請求項5のいずれか記載のガスセンサの温度制御方法。
  7. 前記ガスセンサが、全領域空燃比センサであること、
    を特徴とする請求項1から請求項6のいずれか記載のガスセンサの温度制御方法。
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