JP2006214052A - 繊維構造物及びその製造方法、並びにフィラー固着繊維の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】繊維と、その表面のバインダー樹脂を含有する繊維構造物であって、前記バインダー樹脂は、湿熱ゲル化樹脂であり、前記繊維構造物は、湿熱ゲル化樹脂が湿熱ゲル化した膜状に拡がったゲル化物によって複数本の繊維を被覆した膜状繊維集束部、及び繊維同士の交点において膜状に拡がったゲル化物により接着している膜状繊維接着部のうち少なくとも一部を含んでいる繊維構造物。
【選択図】 図3
Description
(I)湿熱ゲル化樹脂繊維成分と他の熱可塑性合成繊維成分とを含む複合繊維、
(II)前記複合繊維と他の繊維を混合したもの、
(III)前記複合繊維と湿熱ゲル化樹脂を混合したもの、及び
(IV)湿熱ゲル化樹脂と他の繊維を混合したもの
から選ばれる少なくとも一つが挙げられる(以下、「形態(I)〜(IV)」という。)。前記形態(I)は、「バインダー樹脂」を湿熱ゲル化樹脂繊維成分とし、「繊維」を他の熱可塑性合成繊維成分とした湿熱ゲル化複合繊維である。前記形態(II)は、「バインダー樹脂」を湿熱ゲル化複合繊維とし、「繊維」を他の繊維としこれを混合したものである。前記形態(III)は、「繊維」を湿熱ゲル化複合繊維とし、さらに「バインダー樹脂」を湿熱ゲル化樹脂としこれを混合したものである。前記形態(IV)は、「バインダー樹脂」を前記湿熱ゲル化複合繊維以外の形態を採る湿熱ゲル化樹脂(例えば、湿熱ゲル化樹脂単独の繊維、パウダー状、チップ状)とし、「繊維」を他の繊維としこれを混合したものである。
ガス吸着材として以下のものを準備した。
鞘成分がエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH、エチレン含有量38モル%、融点176℃)であり、芯成分がポリプロピレン(PP、融点161℃)であり、EVOH:PPが50:50の割合(容積比)である芯鞘型複合繊維(繊度2.8dtex、繊維長51mm)を準備した。
ガス吸着性フィラーとしては、活性炭粒子:「クラレコール PL−D」(クラレケミカル製、ヤシガラ炭、平均粒子径40〜50μm)を使用した。
ガス吸着性化合物として、ポリアリルアミン10mass%水溶液を使用した。
前記水流交絡不織布原反を、16mass%の前記活性炭粒子を含むフィラー分散溶液(20℃)に浸漬し、マングルロールの絞り圧力でピックアップ率を調整した。なお、ここでいうピックアップ率とは、繊維構造物の質量に対して付着しているフィラー分散溶液質量(水分の質量とガス吸着性フィラーの質量とガス吸着性化合物の質量とを合わせた質量)に百を乗じた値である。次いで、フィラー分散溶液を含浸させた前記不織布原反を、不織布原反付近の温度が100℃になるように調整したスチームを充満させたパッドスチーマー内で、湿熱処理を行った。パッドスチーマー内の滞留時間は20秒であった。次に、熱風循環式の乾燥機内に通して乾燥させ、水洗槽で水洗を行った後、温度140℃に調整したテンター方式の乾燥機内で乾燥させ、本発明の実施例である実施例1の不織布(ガス吸着材)を得た。
実施例1に使用される水流交絡不織布原反を、16mass%の前記活性炭粒子と前記ガス吸着性化合物1mass%を含む水分散液(20℃)に浸漬し、マングルロールの絞り圧力でピックアップ率を調整した以外は、実施例1と同様の方法で不織布を作製し、実施例2の不織布(ガス吸着材)を得た。
テンター方式の乾燥機内で、拡幅しながら乾燥させた以外は、実施例2と同様の方法で不織布を作製し、実施例3の不織布(ガス吸着材)を得た。
1.45dtex×38mmのポリエステル繊維(東レ株式会社製、商品名「403」)を70%と、2.2dtex×51mmのPP/PE芯鞘型複合繊維(大和紡績株式会社製、商品名「NBF(H)」)30%を使用して30g/m2の水流交絡不織布を作製した。実施例3の不織布(ガス吸着材)の上下に前記水流交絡不織布を載置し、135℃の熱処理温度のヒートエンボスロール加工を施し、実施例4の不織布(ガス吸着材)を得た。
自己架橋型アクリル酸エステルエマルジョン(日本カーバイド工業製、商品名「ニカゾールFX−555A」)を15mass%と、前記活性炭粒子を10mass%含有した配合液を準備した。次に、前記配合液に前述した実施例1に使用される水流交絡不織布原反と同じ不織布原反を浸漬し、マングルロールで絞り、熱風乾燥機を用いて温度140℃、処理時間15分で乾燥させるとともに硬化させ、活性炭粒子の固着量が38g/m2のケミカルボンド不織布(比較例1)を得た。
比較例2として、表面に消臭剤が固着された2枚のスパンボンド不織布間に、活性炭粒子がホットメルト剤で固着されたVOCガス吸着シート(旭化成せんい製、商品名「セミアV」、目付134g/m2、活性炭粒子の固着量約40g/m2)を用意した。
実施例1〜5のシートを、それぞれ縦28cm×横17.6cmの大きさ(B5サイズ)に切断し、容量が5リットルの公害分析用バッグ(商品名「テドラーバッグ」)に入れ、表2〜4に示す初期濃度となるように空気と調合された各VOCガスを注入した。そして、注入時点を開始時間とし、経時毎にガス検知管でバッグ内の各VOCガスの濃度を測定した。結果を表2〜4に示す。なお、表2〜4において、「ND」とは、各VOCガスの濃度が、それぞれ使用したガス検知管の測定限界(ホルムアルデヒド・・0.05ppm,トルエン・・0.5ppm,キシレン・・2ppm,エチルベンゼン、スチレン、パラジクロロベンゼン・・1ppm)未満となった場合を示す。
[VOCガス吸着試験方法−2]
比較例1及び比較例2のシートを、それぞれ縦10cm×横10cmの大きさに切断し、容量が5リットルの公害分析用バッグ(商品名「テドラーバッグ」)に入れ、表3に示す初期濃度となるように空気と調合された各VOCガスを注入した。そして、注入時点を開始時間とし、経時毎にガス検知管でバッグ内の各VOCガスの濃度を測定した。結果を表3に示す。なお、表3において、「ND」とは、各VOCガスの濃度が、それぞれ使用したガス検知管の測定限界(トルエン・・0.5ppm,キシレン・・2ppm)未満となった場合を示す。
表2に示すとおり、実施例2〜4の不織布を使用した場合は、アセトアルデヒドガスの濃度減少速度が速く、ガスの吸着性能が向上した。また、表3に示すように実施例2の不織布は、VOCガスの中でも除去しにくいアセトアルデヒドガスに対して、濃度減少速度が速く、優れた効果を発揮している。また、表4に示すように、従来除去しにくかったVOCガスが低濃度の場合でも、実施例2〜4の不織布を使用した場合は、VOCガスを充分に除去している。これは、実施例2〜4の不織布中のガス吸着性フィラーが、繊維の表面に固着された湿熱ゲル化したゲル化物によって固着されているため、ガス吸着性フィラーが表面に露出した状態で固着されているので、ガス吸着性フィラーの比表面積の減少が抑制されたことによるものと考えられる。なお、実施例2〜4の不織布は、繊維形状を保持しており、ゲル加工時に不織布が収縮することはなかった。
実施例1に使用される水流交絡不織布原反を、水(20℃)に浸漬し、マングルロールの絞り圧力でピックアップ率を調整した。次いで、水溶液を含浸させた前記不織布原反を、不織布原反付近の温度が100℃になるように調整したスチームを充満させたパッドスチーマー内で、湿熱処理を行った。パッドスチーマー内の滞留時間は20秒であった。次に、熱風循環式の乾燥機内に通して乾燥させ、水洗槽で水洗を行った後、温度140℃に調整したテンター方式の乾燥機内で乾燥させ、本発明の実施例である実施例5の不織布を得た。
2 芯成分
3 フィラー
4 バインダー
5,6,9 複合繊維
7 エチレン−ビニルアルコール共重合体
8 ポリプロピレン
11 繊維層
12 ガス吸着性フィラー固着繊維層
21 膜状繊維集束部
22 膜状繊維接着部
31 繊維(または不織布)
32 槽
33 水溶液またはフィラー分散溶液
34 絞りロール
35 パッドスチーマー
39 巻き取り機
41 乾燥機
Claims (16)
- 繊維と、その表面のバインダー樹脂を含有する繊維構造物であって、
前記バインダー樹脂は、湿熱ゲル化樹脂であり、
前記繊維構造物は、湿熱ゲル化樹脂が湿熱ゲル化した膜状に拡がったゲル化物によって複数本の繊維を被覆した膜状繊維集束部、及び繊維同士の交点において膜状に拡がったゲル化物により接着している膜状繊維接着部のうち少なくとも一部を含むことを特徴とする繊維構造物。 - 前記膜状繊維集束部は、その繊維本数が5〜60本である集束部を含む、請求項1に記載の繊維構造物。
- 前記繊維構造物は、繊維と、その表面のバインダー樹脂と、前記バインダー樹脂に固着されたフィラーを含むフィラー固着繊維を含有する繊維構造物であり、
前記フィラーは、前記湿熱ゲル化樹脂がゲル化したゲル化物によって固着されている請求項1または2に記載の繊維構造物。 - 前記フィラーが粒子であり、その平均粒子径が0.01〜1000μmの範囲である、請求項3に記載の繊維構造物。
- 前記湿熱ゲル化樹脂がエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂である、請求項1に記載の繊維構造物。
- 前記繊維及び前記バインダー樹脂は、
(I)湿熱ゲル化樹脂成分と他の熱可塑性合成繊維成分とを含む複合繊維、
(II)前記複合繊維と他の繊維を混合したもの、
(III)前記複合繊維と湿熱ゲル化樹脂を混合したもの、及び
(IV)湿熱ゲル化樹脂と他の繊維を混合したもの
から選ばれる少なくとも一つの組み合わせを有する、請求項1に記載の繊維構造物。 - 前記繊維及び前記バインダー樹脂は、バインダー樹脂を鞘成分とし、他の熱可塑性合成繊維成分を芯成分とした、鞘芯型の湿熱ゲル化複合繊維である、請求項6記載の繊維構造物。
- 前記湿熱ゲル化複合繊維は、繊維構造物中に30mass%以上含んで成る、請求項7に記載の繊維構造物。
- 前記繊維構造物は、不織布である、請求項1に記載の繊維構造物。
- 繊維と、その表面のバインダー樹脂と、前記バインダー樹脂に固着されたフィラーを含むフィラー固着繊維の製造方法であって、
前記繊維及び前記バインダー樹脂が湿熱ゲル化繊維であり、
前記湿熱ゲル化繊維を、前記フィラーを溶液に分散させたフィラー分散溶液を付与した後、湿熱ゲル化樹脂がゲル化する温度以上にスチームを充満させたチャンバー内で繊維を接触させてスチーム処理を施し、前記湿熱ゲル化樹脂をゲル化させたゲル化物によって前記フィラーを繊維表面に固着することを特徴とするフィラー固着繊維の製造方法。 - 前記スチーム処理温度は、80〜120℃である、請求項10に記載のフィラー固着繊維の製造方法。
- 前記スチーム処理温度は、90〜110℃である、請求項10に記載のフィラー固着繊維の製造方法。
- 繊維と、その表面のバインダー樹脂を含有する繊維構造物の製造方法であって、
前記繊維と前記バインダー樹脂を含有する被処理繊維構造物に、水分を付与した後、湿熱ゲル化樹脂がゲル化する温度以上にスチームを充満させたチャンバー内で被処理繊維構造物を接触させてスチーム処理を施し、前記湿熱ゲル化樹脂をゲル化させることを特徴とする繊維構造物の製造方法。 - 繊維と、その表面のバインダー樹脂と、前記バインダー樹脂に固着されたフィラーを含むフィラー固着繊維を含有する繊維構造物の製造方法であって、
前記繊維と前記バインダー樹脂を含有する被処理繊維構造物に、前記フィラーを溶液に分散させたフィラー分散溶液を付与した後、湿熱ゲル化樹脂がゲル化する温度以上にスチームを充満させたチャンバー内で被処理繊維構造物を接触させてスチーム処理を施し、前記湿熱ゲル化樹脂をゲル化させたゲル化物によって前記フィラーを繊維表面に固着することを特徴とする繊維構造物の製造方法。 - 前記スチーム処理温度は、80〜120℃である、請求項13または14に記載の繊維構造物の製造方法。
- 前記スチーム処理温度は、90〜110℃である、請求項13または14に記載の繊維構造物の製造方法。
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