JP4601442B2 - フィラー固着繊維の製造方法及び繊維構造物の製造方法 - Google Patents

フィラー固着繊維の製造方法及び繊維構造物の製造方法 Download PDF

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本発明は、フィラーを繊維表面に固着したフィラー固着繊維及びフィラー固着繊維を有する繊維構造物に関する。
従来から、繊維の表面にフィラーを付着させる方法として、不織布の表面に乾式法で粒子を担持させた後、繊維の軟化点以上の温度に加熱して粒子を付着させる方法が提案されている(特許文献1)。さらに、粒子を含有する水分散溶液に、シート状またはブロック繊維成型物を含浸、圧搾後、繊維の融点乃至融点より60℃を超えない温度で加熱して粒子を付着させる方法が提案されている(特許文献2)。
そして、従来からフィラーを繊維表面に付着した繊維製品は、様々な用途に使用されている。例えば、研磨や清浄化を目的とする繊維や布は、清浄化を目的とする繊維として、歯間を磨くフィラメント繊維(デンタルフロス)が一般的に良く知られている。また工業用途としては、レンズ、半導体、金属、プラスチック、セラミック、ガラスなど様々な分野で研磨布又は研磨紙が使用されている。さらに家庭用又は業務用キッチンなどにおいても研磨布は使用されている。
また、揮発性有機化合物(以下、VOCと略称する)の吸入によるシックハウス症候群等のアレルギー症状の発生が増加しているため、VOCガス等の有害ガスを吸着するガス吸着材が要望されている。前記ガス吸着材としては、例えば特許文献3に、VOCガス全般に対して吸着効果を有するガス吸着シートが提案されている。特許文献3に提案されたガス吸着シートは、2枚のシート材の間に活性炭粒子を挟持させ固定化させるとともに、前記シート材のうち少なくとも一方のシート材に吸着剤粒子を固定化させている。吸着剤粒子の固定化方法としては、(1)バインダー樹脂溶液に吸着剤粒子を混合して一方のシート材にコーティングし、その上に他方のシート材を重ねる方法や、(2)予め一方のシート材にホットメルト剤等をコーティングし、その上に吸着剤粒子を散布し、更にその上に、他方のシート材を重ねる方法等が例示されている。
さらに、工場廃水等を浄化する水質浄化材として、活性炭粒子等の有機物吸着性粒子を、不溶性のバインダーを介してシート状部材に固着させた水質浄化フィルターが、特許文献4に提案されている。
特開平7−268767号公報 特公昭51−22557号公報 特開2000−246827号公報 特開平9−201583号公報
しかし、前記特許文献1〜2のように、繊維を軟化点又は融点以上の温度に加熱すると、繊維は収縮して硬くなり、しかも軟化点程度では粒子を繊維に有効に固着させることはできず、融点以上の温度にする必要があり、このようにすると繊維形態を保てなくなる問題もあった。さらに、繊維は収縮して硬くなり、ひいては不織布にしたときに収縮を伴って不織布形態を保てなくなる問題があった。
また、前記特許文献3に提案されたガス吸着シートにおける前記(1)の固定化方法では、吸着剤粒子がバインダー樹脂溶液に埋没してしまい、充分なガス吸着効果が得られなくなるおそれがあった。また、前記(2)の固定化方法では、ホットメルト剤と吸着剤粒子との接触面積が少ないため、吸着剤粒子が脱落するおそれがあった。さらに、特許文献3に提案されたガス吸着シートは、通気性を高めるために、前記2枚のシート材のうち、少なくとも一方に多孔質シート材を使用しているが、前記2枚のシート材の間に活性炭粒子を挟持させる際、活性炭粒子が脱落しないように、活性炭粒子の粒径を多孔質シート材の最大孔径より大きくする必要があった。そのため、活性炭粒子には、100μm〜1000μmの粒径のものが使用されており、活性炭粒子の比表面積が小さいために充分なガス吸着効果が得られなくなるおそれがあった。
前記特許文献4に提案された水質浄化フィルターでは、粉粒体状の水質浄化材がバインダーに埋没してしまい、粒子の比表面積が減少して、充分な浄化性能が得られなくなるおそれがあった。
本発明は、前記従来の問題を解決するため、本来の繊維の性質を保持したまま、繊維表面にフィラーを有効に固着したフィラー固着繊維を含み、繊維表面に固着されたフィラーの脱落を防止し、フィラーの比表面積の減少を抑制することができる、研磨材、ガス吸着材、水質浄化材など様々な用途に有用な繊維構造物及びその製造方法、並びにフィラー固着繊維の製造方法を提供する。
本発明の繊維構造物は、繊維と、その表面のバインダー樹脂と、前記バインダー樹脂に固着されたフィラーを含むフィラー固着繊維を含有する繊維構造物であって、前記バインダー樹脂は、水分存在下で加熱することによってゲル化する湿熱ゲル化樹脂であり、前記フィラーは、前記湿熱ゲル化樹脂がゲル化したゲル化物によって固着されており、前記繊維構造物は、繊維同士の交点において繊維形状を保持したままでゲル化物により接着していることを特徴とする。
本発明のフィラー固着繊維の製造方法は、繊維と、その表面のバインダー樹脂と、前記バインダー樹脂に固着されたフィラーを含むフィラー固着繊維の製造方法であって、前記繊維及び前記バインダー樹脂が湿熱ゲル化繊維であり、前記湿熱ゲル化繊維を、湿熱ゲル化樹脂がゲル化する温度以上に加熱した前記フィラーを溶液に分散させたフィラー分散溶液に接触させて湿熱処理して、前記湿熱ゲル化樹脂をゲル化させ、ゲル化物によって前記フィラーを繊維表面に固着することを特徴とする。
本発明の繊維構造物の製造方法は、繊維と、その表面のバインダー樹脂と、前記バインダー樹脂に固着されたフィラーを含むフィラー固着繊維を含有する繊維構造物の製造方法であって、前記バインダー樹脂は、湿熱ゲル化樹脂であり、前記繊維と前記バインダー樹脂を含有する被処理繊維構造物を、前記湿熱ゲル化樹脂がゲル化する温度以上に加熱した前記フィラーを溶液に分散させたフィラー分散溶液に接触させて湿熱処理して、前記湿熱ゲル化樹脂をゲル化させ、ゲル化物によって前記フィラーを繊維表面に固着することを特徴とする。
本発明の繊維構造物は、繊維表面にフィラーがゲル化物によって固着しているので、フィラーが容易に脱落することなく、繊維表面に露出した状態で固着することができる。さらに、繊維同士の交点においてゲル化物が膜状に拡がることなく、繊維形状を保持したままで繊維同士が接着しているので、本来の繊維構造物の持つ嵩高性及び柔軟性等を低下させることが少ない。また、本発明の繊維構造物は、機能性を有するフィラーが繊維表面に有効に固着され、繊維構造物本来の性能を維持するので、従来から繊維構造物が使用されている用途に、さらに機能性を付与した繊維構造物を提供することができる。
本発明のフィラー固着繊維及び繊維構造物の製造方法によれば、繊維構造物への水分の付与と、フィラーの繊維構造物への付与と、湿熱ゲル化樹脂のゲル加工とを一工程で同時に行うことができるので、省スペースで、かつ低コストで生産することができる。さらに、本来の繊維構造物の持つ嵩高性及び柔軟性等を低下させることが少なく、機能性を有するフィラーが繊維表面に有効に固着することができる。
本発明の繊維構造物において、湿熱ゲル化樹脂とは、水分存在下で、加熱することによってゲル化し得る樹脂のことをいう。ゲル化し得る樹脂とは、50℃以上の温度でゲル化膨潤しゲル化物となって繊維構造物の構成繊維を固定可能な樹脂のことを示す。本発明でいうゲル化物とは、湿熱ゲル化樹脂が湿熱によってゲル化したのち固化した樹脂(固化物)のことを示し、本発明の繊維構造物は、そのゲル化物によって、フィラーが固着されており、フィラー固着繊維同士及び/又は他の繊維とも交点においてゲル化物が必要以上に膜状に拡がることなく、繊維形状を保持したままで繊維同士を接着している。
前記湿熱ゲル化樹脂の好ましいゲル化温度は、60℃以上である。より好ましいゲル化温度は、80℃以上である。60℃未満でゲル化し得る樹脂を用いると、ゲル加工の際、ロール等への粘着が激しくなって繊維構造物の生産が難しくなるか、夏場や高温環境下での使用ができなくなる場合がある。なお、「ゲル加工」とは、湿熱ゲル化樹脂をゲル化させる加工のことをいう。
前記湿熱ゲル化樹脂は、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂であることが好ましい。エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂は、湿熱によってゲル化でき、他の繊維及び/又は他の熱可塑性合成繊維成分を変質させないからである。
エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂とは、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂を鹸化することによって得られる樹脂であり、その鹸化度は95%以上が好ましい。より好ましい鹸化度は、98%以上である。また、好ましいエチレン含有率は、20モル%以上である。好ましいエチレン含有率は、50モル%以下である。より好ましいエチレン含有率は、25モル%以上である。より好ましいエチレン含有率は、45モル%以下である。鹸化度が95%未満ではゲル加工の際、ロール等への粘着により繊維構造物の生産が難しくなる場合がある。また、エチレン含有率が20モル%未満の場合も同様に、ゲル加工の際、ロール等への粘着により繊維構造物の生産が難しくなる場合がある。一方、エチレン含有率が50モル%を超えると、湿熱ゲル化温度が高くなり、加工温度を融点近傍まで上げざるを得なくなり、その結果、繊維構造物の寸法安定性に悪影響を及ぼす場合がある。
湿熱ゲル化樹脂の形態は、パウダー状、チップ状、繊維状等が挙げられる。特に、湿熱ゲル化樹脂は、繊維状であることが好ましい。繊維状の湿熱ゲル化樹脂(以下、「湿熱ゲル化繊維」という)としては、湿熱ゲル化樹脂を含む繊維か、又は湿熱ゲル化樹脂繊維成分と、他の熱可塑性合成繊維成分とを含む複合繊維(以下、「湿熱ゲル化複合繊維」という。)を用いる。これにより、他の繊維又は少なくとも他の熱可塑性合成繊維成分は、繊維の形態を保ち、かつ湿熱ゲル化樹脂がゲル化されてフィラーを固着させるバインダーとしての作用機能を発揮する。そして、フィラーは、湿熱ゲル化樹脂繊維成分又は繊維の表面に接着された湿熱ゲル化樹脂が湿熱ゲル化したゲル化物によって固着されている。好ましくは、フィラーは露出して固着されている。また、湿熱ゲル化樹脂繊維成分又は繊維の表面に接着された湿熱ゲル化樹脂が湿熱ゲル化したゲル化物によって、湿熱ゲル化繊維同士及び/又は他の繊維は接着されている。
本発明の繊維構造物は、前記繊維及び前記バインダー樹脂を含むものである。本発明の繊維構造物は、糸、繊維束、繊維塊、不織布、織編物、ネット等の繊維により形成されたものをいう。特に、不織布は、加工性が高いため、様々な用途へ適用することができる。前記不織布の形態としては、特に限定されるものではなく、その用途、固着するフィラーの大きさ等を考慮し、適宜選択される。不織布の製法としては、例えば、ニードルパンチ法、水流交絡法、エアレイド法、スパンボンド法、メルトブロー法、湿式法などが挙げられる。
前記繊維及び前記バインダー樹脂の好ましい組み合わせとしては、
(I)湿熱ゲル化樹脂繊維成分と他の熱可塑性合成繊維成分とを含む複合繊維、
(II)前記複合繊維と他の繊維を混合したもの、
(III)前記複合繊維と湿熱ゲル化樹脂を混合したもの、及び
(IV)湿熱ゲル化樹脂と他の繊維を混合したもの
から選ばれる少なくとも一つが挙げられる(以下、「形態(I)〜(IV)」という。)。前記形態(I)は、「バインダー樹脂」を湿熱ゲル化樹脂繊維成分とし、「繊維」を他の熱可塑性合成繊維成分とした湿熱ゲル化複合繊維である。前記形態(II)は、「バインダー樹脂」を湿熱ゲル化複合繊維とし、「繊維」を他の繊維としこれを混合したものである。前記形態(III)は、「繊維」を湿熱ゲル化複合繊維とし、さらに「バインダー樹脂」を湿熱ゲル化樹脂としこれを混合したものである。前記形態(IV)は、「バインダー樹脂」を前記湿熱ゲル化複合繊維以外の形態を採る湿熱ゲル化樹脂(例えば、湿熱ゲル化樹脂単独の繊維、パウダー状、チップ状)とし、「繊維」を他の繊維としこれを混合したものである。
前記形態(I)〜(III)に用いられる湿熱ゲル化複合繊維は、湿熱ゲル化樹脂繊維成分が露出しているかまたは部分的に区分されている複合繊維であることが好ましい。その複合形状は、(同心円)芯鞘型、偏心芯鞘型、並列型、分割型、海島型等を指す。特に同心円芯鞘型はフィラーが繊維表面に固着しやすいので好ましい。また、その断面形状は、円形、中空、異型、楕円形、星形、偏平形等いずれであってもよいが、繊維製造の容易さから円形であることが好ましい。分割型複合繊維はあらかじめ高圧水流等を噴射して部分的に分割しておくのが好ましい。このようにすると、分割された湿熱ゲル化樹脂繊維成分は、湿熱処理によりゲル化し、ゲル化物を形成して他の繊維の表面に付着し、フィラーを固着する。すなわち、バインダーとして機能する。
前記湿熱ゲル化複合繊維に占める湿熱ゲル化樹脂繊維成分の割合は、10mass%以上90mass%以下の範囲内であることが好ましい。より好ましい湿熱ゲル化樹脂繊維成分の含有量は、30mass%以上である。より好ましい湿熱ゲル化樹脂繊維成分の含有量は、70mass%以下である。湿熱ゲル化樹脂繊維成分の含有量が10mass%未満であると、フィラーが固着しにくくなる傾向にある。湿熱ゲル化樹脂繊維成分の含有量が90mass%を超えると、複合繊維の繊維形成性が低下する傾向にある。
前記湿熱ゲル化複合繊維における他の熱可塑性合成繊維成分は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等いかなるものであってもよいが、好ましくはポリオレフィンである。ポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリスチレン等がある。湿熱ゲル化樹脂繊維成分としてエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂を使用した場合、溶融紡糸による複合繊維(コンジュゲート繊維)を形成しやすい。
また、他の熱可塑性合成繊維成分として、湿熱ゲル化樹脂繊維成分をゲル化させる温度よりも高い融点を有する熱可塑性合成繊維成分を用いることが好ましい。他の熱可塑性合成繊維成分がゲル化物を形成させる温度よりも低い融点を有する熱可塑性合成繊維成分であると、他の熱可塑性合成繊維成分自体が溶融して硬くなる傾向にあり、例えば不織布にしたときに収縮を伴って不均一になることがある。
前記湿熱ゲル化複合繊維が繊維構造物に占める割合は、フィラーを固着することができる量であれば特に限定されないが、ゲル化物によって繊維を固着する及び/又はフィラーを有効に固着するのに要する複合繊維の割合は、10mass%以上であることが好ましい。より好ましい複合繊維の割合は、30mass%以上である。さらに好ましい複合繊維の割合は、50mass%以上である。例えば、繊維構造物において、複合繊維を含むウェブが両表面に存在し、内部に他の繊維が存在している場合、複合繊維を含むウェブにおける含有量のことを指す。
前記形態(III)では、前記湿熱ゲル化複合繊維に、さらに湿熱ゲル化樹脂を含有させて複合繊維の表面にゲル化物を形成させることも可能である。これにより、フィラーの固着効果をより向上させることができる。
前記形態(II)または前記形態(IV)に用いられる他の繊維としては、レーヨン等の化学繊維、コットン、麻、ウール等の天然繊維等、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂等の合成樹脂を単独又は複数成分とする合成繊維等、任意なものを選択して使用できる。
前記形態(IV)において、湿熱ゲル化樹脂は、繊維構造物に対して1mass%以上90mass%以下の範囲内で含有させるのが好ましい。より好ましい含有量は、3mass%以上である。より好ましい含有量は、70mass%以下である。湿熱ゲル化樹脂の含有量が1mass%未満であると、ゲル化物によって他の繊維を接着することが困難となるか、あるいはフィラーを固着しにくくなる傾向にある。湿熱ゲル化樹脂の含有量が90mass%を超えると、繊維形状が消失してフィルム状になるか、あるいはフィラーがゲル化物に埋没することがある。
本発明でいうフィラーとは、粒子状、短繊維状など、繊維構造物の内部に保持することができる形状のものであれば特に限定されない。例えば、フィラーとしては、無機フィラーであることが好ましい。無機フィラーであれば、研磨剤として用いた場合、研磨作用が大きいからである。前記無機フィラーとしては、アルミナ、シリカ、トリポリ、ダイヤモンド、コランダム、エメリー、ガーネット、フリント、合成ダイヤ、窒化硼素、炭化珪素、炭化硼素、酸化クロム、酸化セリウム、酸化鉄、ケイ酸コロイド、炭素、グラファイト、ゼオライト及び二酸化チタン、カオリン、クレイなどを挙げることができる。これらの粒子は適宜混合して使用することもできる。
前記フィラーとしては、有機フィラーも用いることができる。有機フィラーとしては、例えば、スチレン系,アクリル系,メタクリル系,メラミン系,フェノール系,エポキシ系,フッ素系,シリコーン系,ポリエステル系,ポリオレフィン系などの樹脂が挙げられる。
前記フィラーがガス吸着性フィラー及び/又は有機物吸着性フィラーの場合、空気中の気体物質を吸着する機能を有するものであれば特に限定されないが、活性炭粒子、ゼオライト、シリカゲル、活性白土、層状リン酸塩等の多孔質粒子、これらの多孔質粒子に化学吸着剤を担持させた多孔質粒子等が好ましい。多孔質粒子の中では、活性炭粒子が特に好ましい。
前記フィラーがイオン交換性フィラーの場合、活性炭,ゼオライト,シリカゲル,活性白土,層状リン酸塩等の多孔質粒子にアルカリ性物質や酸性物質を含ませた多孔質粒子、及びスチレン系,アクリル系,メタクリル系などのカチオン交換樹脂、スチレン系,アクリル系などのアニオン交換樹脂等の有機高分子系イオン交換樹脂などを用いることができる。
さらに前記研磨剤、ガス吸着性粒子及び有機物吸着性粒子以外にも、例えば乾燥剤としてのシリカゲル等、光触媒として二酸化チタン等、抗菌剤としての銀イオン,亜鉛イオン,銅イオン等の抗菌性金属イオンを担持したゼオライト,リン酸ジルコニウム,ハイドロキシアパタイト等、蓄熱剤や吸発熱剤などをマイクロカプセル化したフィラー、ウイルス吸着/分解剤、消臭剤、導電剤、制電剤、調湿剤、防虫剤、防カビ剤、難燃剤等の機能性フィラーを1又は2以上用いることができる。
前記フィラーが粒子状である場合、その平均粒子径は、0.01〜1000μmの範囲であることが好ましい。より好ましい平均粒子径は、0.1μm以上であり、さらにより好ましくは1μm以上である。より好ましい平均粒子径は、800μm以下であり、さらにより好ましくは、500μm以下である。特に、本発明では、平均粒子径が0.01〜100μmの微粒子フィラーを有効、かつ強固に繊維表面に固着することができる。平均粒子径が0.1μm未満では、フィラーがゲル化物に埋没することがある。一方、平均粒子径が1000μmを超える場合は、フィラーの比表面積が小さくなり、フィラーの機能性が十分に発揮できない場合がある。
前記フィラーが短繊維状である場合、その繊維長または繊維断面長のうち大きい方の長さ(以下、「短繊維長さ」という)は、0.1〜1000μmの範囲であることが好ましい。より好ましい短繊維長さは、10μm以上である。より好ましい短繊維長さは、500μm以下である。短繊維長さが0.1μm未満では、フィラーがゲル化物に埋没することがある。一方、短繊維長さが1000μmを超える場合は、フィラーの比表面積が小さくなり、フィラーの機能性が十分に発揮できない場合がある。
本発明の繊維構造物は、フィラーの機能性を効率良く発揮させるために、フィラーの固着量が繊維構造物1m2あたり2g以上であることが好ましく、5g以上であることがより好ましく、10g以上であることが特に好ましい。一方、フィラーの固着量において上限は特に限定されないが、繊維構造物の質量に対して5倍以下であることが好ましく、より好ましくは3倍以下である。
本発明の繊維構造物は、その片面あるいは両面に、他のシートを積層してもよい。繊維構造物の片面に他のシートを積層した場合、他のシートの機能を付与することができ、例えば成型性、接着性を向上させることができる。例えば、本発明の繊維構造物に液体を含ませるような研磨不織布として使用する場合、フィラー固着繊維が両表面にウェブ状に存在し、内部に親水性繊維を存在させたことが好ましい。前記親水性繊維は、レーヨン繊維、コットン繊維及びパルプから選ばれる少なくとも一つの繊維であることが好ましい。水、界面活性剤、洗浄剤等の液体を付与して研磨する際に、水分の保持性が高いからである。
また、繊維構造物の両面に他のシートを積層した場合、例えばフィラーの固着が不十分であったときでもフィラーの脱落を抑制したり、用途によりフィラーの色を隠蔽する効果を与えることもできる。さらに、他のシートの機能を付与することができ、例えば成型性、接着性を向上させることができる。例えば、ガス吸着材や水質浄化フィルターなどフィラーの脱落やフィラーの色が懸念される用途において好ましい。
他のシートとしては、例えば、サーマルボンド不織布,スパンボンド不織布,ニードルパンチ不織布,水流交絡不織布などの不織布、多孔フィルム、ネット等が挙げられる。他のシートの目付は、用途に応じて適宜設定するとよいが、15〜300g/m2であることが好ましく、30〜100g/m2であることがより好ましい。
本発明の一実施形態として、例えばフィラーとしてガス吸着性フィラーを用いたガス吸着材は、不織布に限定されず、前記フィラー固着繊維を複数束ねて形成された繊維束をガス吸着部とするガス吸着モジュールとしてもよい。また前記フィラー固着繊維の集合物を円筒状に巻きつけたものや、プリーツ状に成形したものを、ガス吸着フィルターとして用いることもできる。またフィラーとして有機物吸着性フィラーを用いた水質浄化材は、不織布に限定されず、前記フィラー固着繊維を複数束ねて形成された繊維束を有機物吸着部とする水質浄化モジュールとしてもよい。また前記フィラー固着繊維の集合物を円筒状に巻きつけたものや、プリーツ状に成形したものを、水質浄化フィルターとして用いることもできる。
次に、本発明のフィラー固着繊維及び繊維構造物の製造方法について説明する。本発明における湿熱処理は、湿熱雰囲気で施される。ここでいう「湿熱雰囲気」とは、水分を含み、加熱された雰囲気のことをいう。前記湿熱処理とは、バインダー樹脂を付与した繊維、湿熱ゲル化繊維成分を含む繊維、又はこれらの繊維を含む湿熱処理前の繊維構造物(以下、両者を併せて「被処理物」という)に、湿熱ゲル化樹脂がゲル化する温度以上に加熱したフィラーを溶液に分散させたフィラー分散溶液を接触させる処理(以下、「加熱液接触法」という)のことを示す。具体的には、加熱したフィラー分散溶液中に浸漬する方法、加熱したフィラー分散液を被処理物に噴霧する方法などが挙げられる。かかる方法によれば、ゲル加工時に被処理物に対して必要以上に面圧が加わらず、ゲル化した湿熱ゲル化繊維の流動性が少ないため、繊維構造物は繊維形態を維持しつつ、繊維同士の交点においてもゲル化物が膜状に拡げられることが少なく、繊維形状を保持したままで接着させることができる。その結果、フィラーを繊維表面に露出させた状態で固着することができ、繊維構造物に本来の嵩高性及び/又は柔軟性を与えることができる。また、かかる方法によれば、被処理物への水分の付与と、フィラーの被処理物への付与と、湿熱ゲル化樹脂のゲル加工とを一工程で同時に行うことができるので、省スペースで、かつ低コストで生産することができる。さらに、ゲル加工が一工程で同時に行うことができるので、フィラー分散溶液中のフィラーの濃度と、加熱温度を調整することにより、フィラーの固着量を容易に調整することができる。
前記被処理物には、親水処理を施してもよい。親水処理を施すと、被処理物が疎水性繊維を含む場合、被処理物に略均一に水分を付与することができる。その結果、湿熱ゲル化樹脂の周囲に略均一に水分が存在して、略均一に湿熱ゲル化されて、フィラーが固着しやすくなる。親水処理としては、界面活性剤処理、コロナ放電法やグロー放電法、プラズマ処理法、電子線照射法、紫外線照射法、γ線照射法、フォトン法、フレーム法、フッ素処理法、グラフト処理法、及びスルホン化処理法等が挙げられる。
前記繊維構造物の好ましい目付の範囲は、10〜1000g/m2であり、より好ましい目付の範囲は、30〜200g/m2であり、更に好ましい目付の範囲は、40〜80g/m2である。目付が10g/m2未満であると、固着されるフィラーの量が少なくなり、充分な機能を発揮できない場合がある。目付が1000g/m2を超えると、フィラーを付与する際に、フィラーが繊維構造物の内部に入り込みにくくなり、フィラーの固着量が少なくなることがある。
本発明の繊維構造物において、その片面あるいは両面に、他のシートを積層する場合、例えば、1)フィラーを付与する前の被処理物に他のシートを積層する方法、2)フィラーを被処理物に付与した後、湿熱処理をする前に他のシートを積層する方法、3)湿熱処理によりフィラーを被処理物に固着した後、他のシートを積層する方法のいずれであってもよい。上記1),2)の方法であれば、他のシートをゲル化物によって接着することもできる。上記3)の方法であれば、熱処理等により一体化することができる。
前記フィラー分散溶液のフィラー濃度は、使用する繊維又は繊維構造物の目付、フィラーの種類、フィラーの固着量、フィラー分散溶液の温度及び粘度等により適宜設定すればよい。好ましいフィラー濃度は、0.1〜75mass%であり、より好ましくは1〜50mass%である。フィラー濃度が0.1mass%未満であると、フィラーの機能を十分に発揮することができない場合があり、フィラー濃度が75mass%を超えると、フィラーが均一に固着できない場合がある。
前記加熱液接触法におけるフィラー分散溶液の加熱温度は、湿熱ゲル化樹脂又は湿熱ゲル化樹脂繊維成分のゲル化温度以上融点−20℃以下であることが好ましい。より好ましい加熱温度は85〜120℃であり、さらにより好ましくは85〜100℃である。最も好ましい加熱温度は90〜98℃である。加熱温度がゲル化する温度未満であると、フィラーの固着が充分になされない場合があり、湿熱ゲル化樹脂の融点−20℃を超えると、湿熱ゲル化樹脂の融点に近くなるため、繊維構造物にしたときに収縮を引き起こすことがある。
前記加熱液接触法のうち、加熱したフィラー分散溶液中に浸漬する方法(以下、「加熱液浸漬法」という)は、湿熱ゲル化樹脂又は湿熱ゲル化繊維のゲル化と、フィラーの固着が同時に溶液中で行われ、被処理物の全体が溶液に浸漬するので、繊維構造物の場合はその内部まで略均一にフィラーを固着することができ、好ましい。
前記湿熱処理を施した繊維構造物は、そのまま乾燥処理を行ってもよいし、一旦水洗を行った後、乾燥処理を行ってもよいし、一旦乾燥させた後水洗を行いその後で乾燥処理を行ってもよい。一旦乾燥させた後、水洗を行いその後で乾燥処理を行う方が、フィラーの固着量が多くなるので都合がよい。
前記乾燥処理温度は、繊維及び繊維構造物が乾燥する温度であれば、特に限定されない。また、この乾燥処理時においては、必要に応じて繊維構造物を、幅方向(機台に垂直な方向)に拡幅しながら乾燥処理を行ってもよい。繊維構造物を幅方向に拡幅することにより、目付の調整、及び長さ方向と幅方向の寸法安定性等が付与することができる。
なお、本発明のフィラー固着繊維及び繊維構造物は、前記加熱液接触法により湿熱処理されるが、前記湿熱処理を繰り返し行ってもよいし、他の湿熱処理、例えば、被処理物にフィラー分散溶液を付与した後スチーム処理する方法(以下、「スチーム処理法」という)、フィラー分散溶液を付与した後加熱体に接触させる方法(以下、「加熱体接触法」という)などを組み合わせてもよい。また、繊維構造物のフィラーの脱落をさらに抑えるために、前記加熱液接触法により湿熱処理した後、ロール等で圧縮処理をしてもよい。
次に、本発明の一実施形態について図面を用いて説明する。図1A〜Cは、本発明の一実施形態におけるフィラー固着繊維の断面図である。図1Aは、ポリプロピレンを芯成分2とし、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂を鞘成分1とした複合繊維5であって、鞘成分1はバインダー樹脂として機能し、鞘成分1にフィラー3を固着させた例である。図1Bは、ポリプロピレンを芯成分2とし、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂を鞘成分1とした複合繊維6であって、鞘成分6の外側にエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂をバインダー樹脂4として付着させ、このバインダー樹脂4中にフィラー3を混合させた例である。図1Cは、ポリプロピレン8とエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂7を多分割に配置した複合繊維9とし、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂7はバインダー樹脂として機能し、その周辺部内にフィラー3を固着させた例である。
図2は、本発明の一実施形態に係る製造方法の一例工程図である。被処理物(被処理繊維又は被処理繊維構造物)31を、槽32内のフィラーを含む加熱されたフィラー分散溶液33に含浸して湿熱処理し、必要に応じて水洗・脱水(図示せず)したのち、乾燥機41で乾燥させて巻き取り機39で巻き取る。なお、フィラー分散溶液33の加熱は、例えばヒーター(図示せず)等の加熱手段により行えばよい。
図3は、本発明の一実施例で得られた不織布とその構成繊維にフィラーが固着している状態を示す走査電子顕微鏡平面写真(倍率200)である。図4は、同断面写真(倍率200)である。
本発明のフィラー固着繊維及び繊維構造物をガス吸着材として用いて、評価した。
[実施例1]
(不織布原反の作製)
鞘成分がエチレン−ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH、エチレン含有量38モル%、融点176℃)であり、芯成分がポリプロピレン(PP、融点161℃)であり、EVOH:PPが50:50の割合(容積比)である芯鞘型複合繊維(繊度2.8dtex、繊維長51mm)を準備した。
前記芯鞘型複合繊維をセミランダムカード機で開繊し、表3に示す目付を有するカードウェブを作製した。次いで、前記カードウェブを90メッシュの平織り支持体に載置し、前記カードウェブの幅方向に一列にオリフィス(径:0.12mm、ピッチ:0.6mm)が配置されたノズルから前記カードウェブに向けて水流を水圧3MPaで噴射した後、更に水圧4MPaで噴射した。続いて、前記カードウェブを裏返して、前記ノズルから水圧4MPaで水流を噴射して、実施例1に使用される水流交絡不織布原反を作製した。
(フィラーの準備)
フィラーとしてガス吸着性粒子を準備した。ガス吸着性粒子としては、活性炭粒子:「クラレコール PL−D」(クラレケミカル製、ヤシガラ炭、平均粒子径40〜50μm)を使用した。
(フィラー固着繊維を含有する不織布の作製)
前記水流交絡不織布原反を、水中に5mass%の前記活性炭粒子を分散させたフィラー分散溶液(95℃)に30秒間浸漬した後、引き上げた。そして、前記不織布原反の温度が50℃になるまで前記不織布原反を釣支した。その後、前記不織布原反を水洗し、熱風ドライヤー(100℃)で乾燥して、本発明のフィラー固着繊維及び繊維構造物を得た。
[実施例2〜3]
表1に示す目付を有するカードウェブを作製した以外は、実施例1に使用される水流交絡不織布と同じ不織布原反を、16mass%の前記活性炭粒子を含む水分散液(95℃)に1分間浸漬した後、熱風循環式の乾燥機内に通して乾燥させ、水洗槽で水洗を行った後、温度140℃に調整したテンター方式の乾燥機内で乾燥させ、本発明のフィラー固着繊維及び繊維構造物を得た。
[実施例4]
表1に示す目付を有するカードウェブを作製し、実施例1に使用される水流交絡不織布と同じ不織布原反を、16mass%の前記活性炭粒子を含む水分散液(95℃)に1分間浸漬した後、温度140℃に調整したテンター方式の乾燥機内で乾燥させた以外は、実施例2〜3と同様の方法で、本発明のフィラー固着繊維及び繊維構造物を得た。
[比較例1]
自己架橋型アクリル酸エステルエマルジョン(日本カーバイド工業製、商品名「ニカゾールFX−555A」)を15mass%と、前記活性炭粒子を10mass%含有した配合液を準備した。次に、前記配合液に前述した実施例1に使用される水流交絡不織布原反と同じ不織布原反を浸漬し、マングルロールで絞り、熱風乾燥機を用いて温度140℃、処理時間15分で乾燥させるとともに硬化させ、活性炭粒子の固着量が38g/m2のケミカルボンド不織布(比較例1)を得た。
[比較例2]
比較例2として、表面に消臭剤が固着された2枚のスパンボンド不織布間に、活性炭粒子がホットメルト剤で固着されたVOCガス吸着シート(旭化成せんい製、商品名「セミアV」、目付134g/m2、活性炭粒子の固着量約40g/m2)を用意した。
[VOCガス吸着試験方法]
各シートを、それぞれ縦10cm×横10cmの大きさに切断し、容量が5リットルの公害分析用バッグ(商品名「テドラーバッグ」)に入れ、表2に示す初期濃度となるように空気と調合された各VOCガスを注入した。そして、注入時点を開始時間とし、経時毎にガス検知管でバッグ内の各VOCガスの濃度を測定した。結果を表2に示す。なお、表2において、「ND」とは、各VOCガスの濃度が、使用したガス検知管の測定限界未満となった場合を示す。各VOCガスの測定限界は、ホルムアルデヒドが0.05ppm,トルエンが0.5ppm,エチルベンゼン、スチレン、パラジクロロベンゼン1ppmである。
[結果]
表2に示すとおり、実施例1は、比較例1に比べ活性炭粒子の固着量が少ないにもかかわらず、比較例1と同等のホルムアルデヒドの吸着性能を示した。また、実施例1〜4は、比較例1,2に比べ、各VOCガスの濃度の減少速度が速く、ガスの吸着性能が著しく向上した。これは、実施例1〜4の繊維構造物中の活性炭粒子(ガス吸着性粒子)が、繊維の表面に固着された湿熱ゲル化したゲル化物によって固着されているため、粒子が表面に露出した状態で固着され、比較例1,2に比べ、活性炭粒子の比表面積の減少を抑制したことによるものと考えられる。なお、実施例1〜4の繊維構造物は、繊維形状を保持しており、ゲル加工時に不織布が収縮することはなかった。また、実施例1〜4の繊維構造物は、フィラーの脱落がなかった。
本発明のフィラー固着繊維及び繊維構造物は、歯間を磨くフィラメント繊維(デンタルフロス)、工業用研磨材として、レンズ、半導体、金属、プラスチック、セラミック、ガラスなど様々な分野の研磨材、家庭用又は業務用キッチンなどで使用する研磨材、有害ガスなどを吸着するガス吸着材、抗菌材、消臭材、イオン交換材、汚水処理用材、吸油材、金属吸着材、電池セパレータ用不織材、導電性材、制電性(帯電防止)材、調湿,除湿(結露防止)材、吸音,防音材、防虫,防カビ材、抗ウイルス材、育苗材、芳香材、磁性材、遠赤外線材などに有用である。例えば、ガス吸着材、抗ウイルス材は、家庭用,車両用等の内装材、建材の養生シート、壁紙、カーテン、マット、カーペット、医療用などのガウン、衣料、マスク、ワイパー、空調用などのフィルター等に使用することができる。
本発明の一実施形態における繊維構造物を構成するフィラー固着繊維の断面図である。 本発明の一実施形態における繊維構造物の製造方法の一例工程図である。 本発明の一実施例を示す走査電子顕微鏡平面写真(倍率200)である。 本発明の一実施例を示す走査電子顕微鏡断面写真(倍率200)である。
符号の説明
1 鞘成分
2 芯成分
3 フィラー
4 バインダー樹脂
5,6,9 複合繊維
7 エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂
8 ポリプロピレン
31 被処理物(被処理繊維又は被処理繊維構造物)
32 槽
33 フィラー分散溶液
41 乾燥機

Claims (6)

  1. 繊維と、その表面のバインダー樹脂と、前記バインダー樹脂に固着されたフィラーを含むフィラー固着繊維の製造方法であって、
    前記繊維及び前記バインダー樹脂が湿熱ゲル化繊維であり、
    前記湿熱ゲル化繊維を、湿熱ゲル化樹脂がゲル化する温度以上に加熱した前記フィラーを溶液に分散させたフィラー分散溶液に接触させて湿熱処理して、前記湿熱ゲル化樹脂をゲル化させ、ゲル化物によって前記フィラーを繊維表面に固着することを特徴とするフィラー固着繊維の製造方法。
  2. 前記フィラー分散溶液に接触させた湿熱処理は、85℃以上に加熱されたフィラー分散溶液に湿熱ゲル化繊維を浸漬する処理である、請求項に記載のフィラー固着繊維の製造方法。
  3. 前記フィラー分散溶液の温度が、85〜100℃である、請求項またはに記載のフィラー固着繊維の製造方法。
  4. 繊維と、その表面のバインダー樹脂と、前記バインダー樹脂に固着されたフィラーを含むフィラー固着繊維を含有する繊維構造物の製造方法であって、
    前記バインダー樹脂は、湿熱ゲル化樹脂であり、
    前記繊維と前記バインダー樹脂を含有する被処理繊維構造物を、前記湿熱ゲル化樹脂がゲル化する温度以上に加熱した前記フィラーを溶液に分散させたフィラー分散溶液に接触させて湿熱処理して、前記湿熱ゲル化樹脂をゲル化させたゲル化物によって前記フィラーを繊維表面に固着することを特徴とする繊維構造物の製造方法。
  5. 前記フィラー分散溶液に接触させた湿熱処理は、85℃以上に加熱されたフィラー分散溶液に被処理繊維構造物を浸漬する処理である、請求項に記載の繊維構造物の製造方法。
  6. 前記フィラー分散溶液の温度が、85〜100℃である、請求項またはに記載の繊維構造物の製造方法。
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