JP2004183197A - 繊維シートの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】繊維シートを親水処理し、水分を繊維表面全体に均一に付与した後、湿熱加熱処理することにより、安価に製造可能で、孔径ムラが小さい繊維シートを製造する方法を提供する。
【解決手段】次のA−C工程により、水分存在下で加熱することによってゲル化し得る湿熱ゲル化樹脂を含む繊維シートを製造する。A.繊維シートを構成する繊維及び湿熱ゲル化樹脂を親水処理する工程。B.前記親水処理した繊維及び湿熱ゲル化樹脂を含む親水繊維シートに水分を付与して含水シートにする工程。C.前記含水シートを、前記湿熱ゲル化樹脂のゲル化温度以上、前記湿熱ゲル化樹脂の融点−20℃以下の温度範囲で湿熱処理し、湿熱ゲル化樹脂をゲル化させるとともに、ゲル化した湿熱ゲル化樹脂によって繊維間を固定する工程。
【選択図】 図3

Description

本発明は、水分存在下で加熱することによってゲル化し得る湿熱ゲル化樹脂を含む繊維シートの製造方法に関するものである。特に、生産性良く湿熱処理することができ、構成する繊維間を略均一に固定することができる繊維シートの製造方法に関するものである。
従来、熱融着繊維シートを得る方法として、熱溶融樹脂または熱溶融繊維(以下「バインダー」という。)を混合して加熱し、前記バインダーを軟化、溶融させる方法が一般的である。そして、繊維シートの強力を大きくする場合、バインダーの融点近傍以上の高温雰囲気中で加工する方法が広く行われている。しかし上記方法では、バインダーの溶融に伴ってバインダーの収縮が発生していた。その結果、繊維シート自身も収縮して寸法安定性が悪いだけでなく、前記バインダーによる構成繊維間の固定状態が不均一となる、あるいは目付、厚み等にムラが生じやすくなるため、繊維シートの歩留まりが低下していた。
また、繊維シートの厚みをより低減させる、あるいは孔径を低減させる場合、バインダーの融点近傍の高温に加熱した熱ロール等の加熱体を用いて、加圧する方法も広く行われている。しかし上記方法では、前記加熱体に直接接触する繊維シート表面の繊維がシート内部の繊維に比べてより熱がかかるため、繊維シート表面は融着の多い密な状態になる一方、シート内部は融着の少ない粗な状態となりやすく、前記バインダーによる構成繊維間の固定状態が不均一であった。
そこで、バインダーの融点以下の温度で接着し得るバインダーの検討がなされ、水分存在下で、バインダーの融点以下の温度で加熱することによってゲル化して構成繊維間を固定する性質を持つ樹脂として、エチレン−ビニルアルコール共重合体繊維を用いた繊維シートの検討がなされていた。例えば、特許文献1では、エチレン−ビニルアルコール共重合体繊維を水中へ浸漬し、水中での仕込み時間とプレスロールで前記エチレン−ビニルアルコール共重合体の飽和水分率の70%となるように調整して湿式抄紙し、乾燥熱処理を施す方法により、加工時の収縮が小さく、耐煮沸性および接着性に優れる紙が提案されている。
また、特許文献2及び特許文献3では、エチレン−ビニルアルコール共重合体繊維を含むウェブにスプレー等で水分を与え、水分を繊維の周囲に付着させて、熱ロール等で加熱加圧する方法が開示され、接着性に優れる不織布が開示されている。特に特許文献2では、ウェブの厚み方向へも構成繊維を均一に接着させることを試みている。
特開昭57−66200号公報 特開昭63−235558号公報 特開平2−106871号公報
しかしながら、上記特許文献1〜3に記載された製造方法には、以下の問題がある。特許文献1の製造方法では、エチレンービニルアルコール共重合体自身を吸水させる必要があり、その吸水させるのに膨大な時間を要していたため、湿式抄造による製造方法に限定されるという問題があった。また、連続生産時のエチレンービニルアルコール共重合体の吸水度の管理が難しいという問題もあった。さらに、構成する繊維が疎水性繊維である場合、エチレンービニルアルコール共重合体のゲル化が均一に行われず、ゲル化物による繊維間の固定が均一とはいえなかった。
また、特許文献2及び特許文献3の製造方法では、水分を単に霧吹き等によって噴霧させるのみであるため、エチレンービニルアルコール共重合体繊維自身に均一に水分を付着することができず、繊維シート表面及び内部において均一にゲル化することができなかった。また、構成する繊維が疎水性繊維である場合に、エチレンービニルアルコール共重合体のゲル化が均一に行われず、ゲル化物による繊維間の固定が均一とはいえなかった。
本発明は、前記課題を解決するため、生産性に優れ、湿熱処理の際の寸法変化が小さく、湿熱ゲル化樹脂を均一にゲル化させて、ゲル化物による構成繊維間を略均一に固定することができる繊維シートの製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明の繊維シートの製造方法は、水分存在下で加熱することによってゲル化し得る湿熱ゲル化樹脂を含む繊維シートの製造方法であって、少なくとも下記の工程を含むことを特徴とする。
A.繊維シートを構成する繊維及び湿熱ゲル化樹脂を親水処理して親水繊維シートにする工程。
B.前記親水繊維シートに水分を付与して含水シートにする工程。
C.前記含水シートを、前記湿熱ゲル化樹脂のゲル化する温度以上、前記湿熱ゲル化樹脂の融点−20℃以下の温度範囲に設定された熱処理機で湿熱処理してゲル加工し、湿熱ゲル化樹脂をゲル化させるとともに、ゲル化したゲル化物で繊維間を固定する工程。
本発明の繊維シートの製造方法において、前記A工程の親水処理は、繊維シートにする前の個々の構成繊維及び湿熱ゲル化樹脂に施す場合、個々の繊維及び湿熱ゲル化樹脂で構成される繊維シートを形成した後に施す場合、及びそれらを組み合わせる場合のいずれであってもよい。
前記親水繊維シートとは、繊維ウェブ、不織布、織物、編物、ネット等平面的に連続した繊維を含む集合物のことをいい、その形態は、構成繊維同士が接合していないもの、交絡、接着、撚り等によって接合したもののいずれであってもよい。
前記湿熱処理とは、前記湿熱ゲル化樹脂を含む親水繊維シートに水分を付与した含水シートを加熱する処理のことを指し、その方法は、加熱雰囲気中へ晒す方法、加熱空気を貫通させる方法、及び加熱体へ接触させる方法等いずれであってもよい。
前記ゲル加工とは、前記湿熱処理を、前記湿熱ゲル化樹脂のゲル化温度以上、前記湿熱ゲル化樹脂の融点−20℃以下の温度範囲に設定した熱処理機で加工することをいう。
また、本発明の製造方法によって得られる繊維シートは、前記親水繊維シートをゲル加工して、湿熱ゲル化樹脂がゲル化して得られるゲル化物によって構成する繊維間を固定したシートのことをいう。
前記ゲル化物とは、湿熱ゲル化樹脂が湿熱によってゲル化したのち固化した樹脂(固化物)のことをいう。
本発明の繊維シートの製造方法は、ゲル加工する前の繊維シートを構成する繊維及び湿熱ゲル化樹脂に対して親水処理を施すことにより、水分を瞬時に且つ均一に繊維シートに付与した含水シートとすることができるため、従来のように湿熱ゲル化樹脂自身へ長時間かけて吸水させる必要がなくなり、生産手段を選ばず、生産速度を向上させることができる。また、本発明の繊維シートの製造方法は、ゲル化膨潤する性質を有する湿熱ゲル化樹脂を使用し、水分を均一に付与した含水シートを、湿熱ゲル化樹脂のゲル化する温度以上、当該樹脂の融点−20℃以下の温度に設定された熱処理機で湿熱処理するため、繊維シートに収縮を伴うことなく寸法変化が小さく、前記湿熱ゲル化樹脂が均一にゲル化し、ゲル化物によって構成繊維間を略均一に固定することができる。その結果、繊維シート表面がより均一であり、孔径ムラの小さい繊維シートを得ることができる。
また、前記ゲル加工として加圧加工を施すことにより、ゲル化物を押し拡げて構成繊維間に浸透させることができるため、繊維シート表面がより均一、且つ平滑にすることができ、繊維シート厚み方向(内部)のゲル化物による構成繊維間の固定がより均一な繊維シートを安価に提供することができる。
さらに、繊維シートを構成する繊維として、繊度の小さい繊維を使用したとき、微多孔膜の代替となり得る、孔径の非常に小さい繊維シートを得ることができる。
本発明者らは鋭意研究を進めた結果、湿熱ゲル化樹脂を用いて構成する繊維間を略均一に固定するには、湿熱処理した時に湿熱ゲル化樹脂のゲル化が均一に行われるとよいことを着想した。そのためには、湿熱処理する前に繊維シートに均一に水分を付与できればよいことを知り、それには湿熱処理する前の繊維シートを構成する繊維及び湿熱ゲル化樹脂が親水性を示せばよいことを知った。
しかしながら、エチレンービニルアルコール共重合体等の湿熱ゲル化樹脂は、オレフィン系の樹脂の中では親水性の大きい樹脂であるが、自身で瞬時に水濡れしたり、吸水したりするものではない。さらに、構成する繊維が疎水性繊維であれば、なおさら吸水するものではない。よって、繊維シートは不均一にしか含水することができない。
そこで、湿熱処理する前の繊維シートを構成する繊維及び湿熱ゲル化樹脂に親水処理を施した親水繊維シートとすることにより、水分を繊維シートに均一に付与できることを見いだし、本発明に到達した。そして、前記親水繊維シートに水分を均一に付与した含水シートを、前記湿熱ゲル化樹脂の融点−20℃以下の温度に設定された熱処理機でゲル加工すれば、寸法変化が小さく、前記湿熱ゲル化樹脂が均一にゲル化したゲル化物によって構成する繊維間を略均一に固定した繊維シートを得ることができることを見いだした。
以下、本発明の一実施形態の繊維シートの製造方法について詳細に説明する。
本発明に使用する湿熱ゲル化樹脂とは、水分存在下で湿熱ゲル化し得る、ゲル化温度以上でゲル化膨潤し繊維シートを構成する繊維間を固定することができる樹脂のこと指す。好ましいゲル化温度の下限は、50℃である。より好ましいゲル化温度の下限は、60℃である。温度が50℃以下でゲル化し得る樹脂を用いると、ゲル加工の際にロール等への粘着が激しくなり、繊維シートの生産が困難となる、あるいは夏場や高温環境下での使用が困難となる場合がある。
前記湿熱ゲル化樹脂は、上記した性質を持つ樹脂であればどのようなものでもよい。中でも、特定の組成をもつエチレン−ビニルアルコール共重合体が、ゲル加工性及び繊維シート加工時の寸法安定性等の点で、好ましい。前記エチレン−ビニルアルコール共重合体とは、エチレン−酢酸ビニル共重合体を鹸化することによって得られる樹脂であり、その鹸化度は95%以上が好ましい。より好ましい鹸化度の下限は、98%である。また、エチレン含有率の好ましい下限は、20モル%である。より好ましいエチレン含有率の下限は、25モル%である。一方、エチレン含有率の好ましい上限は、50モル%である。より好ましいエチレン含有率の上限は、45モル%である。鹸化度が95%未満である、あるいはエチレン含有率が20モル%未満であると、ゲル加工の際にロール等への粘着が激しくなり、繊維シートの生産が困難となる可能性がある。一方、エチレン含有率が50モル%を超えると、湿熱ゲル化する温度が高くなるため、熱処理機の設定温度を融点近傍まで上げざるを得なくなる。その結果、繊維シートに収縮が発生するなど寸法安定性に影響を及ぼす可能性がある。
湿熱ゲル化樹脂の形態としては、パウダー、エマルジョン、フィルム、及び繊維等のいずれであってもよい。なかでも、湿熱ゲル化樹脂が繊維の形態であると、繊維シートの生産性の点で好ましい。繊維形態の場合、前記湿熱ゲル化樹脂が繊維表面の少なくとも一部に存在した湿熱ゲル化繊維であることが好ましい。その場合、湿熱ゲル化樹脂単一の繊維、湿熱ゲル化樹脂と、他の樹脂とを組み合わせた複合繊維が挙げられる。またその断面形状は、円形、中空、異型、楕円形、星形、偏平形等いずれであってもよい。繊維製造の容易さからして、断面形状は円形であることが好ましい。前記複合繊維の複合形態としては、同心円芯鞘型、偏心芯鞘型、並列型、分割型、海島型等いずれであっても構わない。複合繊維の場合、組み合わせる他の樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、及びこれらの共重合体等が挙げられる。
前記湿熱ゲル化繊維の繊度は、0.005dtex以上10dtex以下の範囲内であることが好ましい。より好ましい繊度の下限は、0.05dtexである。より好ましい繊度の上限は、5dtexである。湿熱ゲル化繊維の繊度が小さければ小さいほど、得られる繊維シートは、孔径が略均一なものとなる。湿熱ゲル化繊維の繊度が10dtexを超えると、孔径の均一性を維持し難くなるため、用途が制限される場合がある。
特に、孔径の小さい繊維シートを得る場合、あるいはより孔径ムラの小さい繊維シートを得る場合は、湿熱ゲル化樹脂と、その他の樹脂とが相互に隣接して配置されてなる分割型複合繊維が分割発現した湿熱ゲル化繊維であることが好ましい。分割型複合繊維によれば、0.5dtex以下の湿熱ゲル化繊維を容易、且つ安価に得ることができるからである。前記分割型複合繊維の複合形態としては、放射状型、櫛形、碁盤型等互いが独立して存在しているものが好ましい。分割型複合繊維を構成する他の樹脂としては、湿熱ゲル化樹脂と非相溶性の樹脂であることが好ましい。非相溶性の樹脂であれば、剥離分割が容易であるため、極細繊維とすることによって、より緻密に構成する繊維間を固定することができるからである。他の樹脂としては、特にこだわらないが、中でもポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、及びそれらの共重合体等が好ましく、特にポリプロピレンが繊維製造及びコストの点から好ましい。
前記湿熱ゲル化樹脂の繊維シート全体に占める割合は、目的とする用途に応じて任意の割合を設定することができる。好ましい湿熱ゲル化樹脂の割合の下限は、10mass%である。より好ましい湿熱ゲル化樹脂の割合の下限は、15mass%である。さらにより好ましい湿熱ゲル化樹脂の割合の下限は、20mass%である。一方、好ましい湿熱ゲル化樹脂の割合の上限は、50mass%である。より好ましい湿熱ゲル化樹脂の割合の上限は、45mass%である。さらにより好ましい湿熱ゲル化樹脂の割合の上限は、40mass%である。湿熱ゲル化樹脂の繊維シート全体に占める割合が少なすぎると、ゲル加工、特に加圧加工を施した場合、前記湿熱ゲル化樹脂を繊維シート全体へ拡げて繊維間を固定することが困難となる場合がある。一方、湿熱ゲル化樹脂の繊維シート全体に占める割合が多すぎると、ゲル加工、特に加圧加工を施した場合、フィルムに近くなる傾向があるため、用途によっては好ましくない場合がある。
本発明の繊維シートに用いられる繊維は、コットン、レーヨン、パルプ等のセルロース系繊維、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂等の有機高分子繊維、合成パルプ等の繊維状物、ガラス繊維等の無機繊維等の繊維形態で有していればいずれであってもよい。また、これらが二種類以上含まれていても構わない。上記した繊維の形態は、単一繊維、及び複合繊維等のいずれであっても構わず、その断面形状は、円形、中空、異型、楕円形、星形、偏平形等いずれであっても構わない。前記複合繊維である場合は、同心円芯鞘型、偏心芯鞘型、並列型、海島型、分割型等いずれであっても構わない。また、繊維の繊度も用途によって適宜選択し得るものである。特に、孔径の小さい緻密な繊維シートが必要である場合は、繊度が細い方が好ましく、具体的には繊度が1dtex以下であることが好ましい。
前記湿熱ゲル化樹脂をゲル化して形成されるゲル化物でもって繊維シートを構成する繊維間を略均一に固定するには、前述したとおり、ゲル加工時に、湿熱ゲル化樹脂を繊維シート内部まで略均一にゲル化させることが重要であり、ゲル加工前に水分を繊維シートへ均一に付与させることが重要である。つまり、ゲル加工前の繊維シートの水濡れ性(以下、親水性ともいう)が均一であることが重要である。そこで、本発明の製造方法では、ゲル加工する前の繊維シートに均一な水濡れ性を付与するため、親水処理を施して親水繊維シートとすることが必要である。
前記親水処理とは、一時的親水処理、永続的親水処理、及びこれらを二種類以上併用した処理のことを指す。前記一時的親水処理とは、親水処理後の、繊維及び湿熱ゲル化樹脂(以下「処理物」という。)を水洗することによって、親水性が著しく低減する処理のことをいう。例えば、界面活性剤等を処理物表面に付着させて親水性を発現する処理が挙げられる。この一時的親水処理は、本発明においては、ゲル加工前の繊維シートへ施すことが好ましい。一方、前記永続的親水処理とは、親水処理後の処理物を水洗しても、親水性が低減しにくい処理のことをいう。例えば、処理物を構成する各々の樹脂表面に親水基を導入する処理が挙げられる。永続的親水処理は、ゲル加工の前の繊維シートに施しても構わないし、繊維シートを作製する前の構成繊維及び湿熱ゲル化樹脂の各々に施しても構わない。前記永続的親水処理方法としては、コロナ放電法やグロー放電法、プラズマ処理法、電子線照射法、紫外線照射法、γ線照射法、フォトン法、フレーム法、フッ素ガス雰囲気に晒す処理法(以下、フッ素処理法という)、グラフト処理法、スルホン化処理法等が挙げられる。上記の方法のうち、永続的親水処理の方が水による親水性低減の影響を受けにくいため、本発明のようにゲル加工前の繊維シートへ水を付与させる場合に好ましい。
前記親水処理によって得られる親水繊維シート表面の脱塩水滴下5秒後の接触角は、60度以下であることが好ましい。ここで用いられる接触角は、繊維シートの水濡れ性の程度を表す指標として採用するものである。より好ましい接触角は、55度以下である。さらにより好ましい接触角は、50度以下である。そして、最も好ましい接触角は、0度である。前記親水繊維シート表面の接触角が60度以下となるような親水処理を施すことによって、ゲル加工前の親水繊維シートに瞬時に均一に水分を付与することが可能となる。特に、接触角が0度であると、親水繊維シートへより瞬時に水分を付与することができるため、生産速度の向上に寄与する。前記接触角が60度を超える親水処理では、水濡れ性が不足する傾向にあり、繊維シートに対して均一に水分を付与することが困難となる可能性がある。その結果、ゲル加工時の寸法安定性が悪くなる、あるいは湿熱ゲル化樹脂が均一にゲル化しにくくなるため、構成する繊維間を略均一に固定することが困難になる。親水繊維シート表面の接触角が60度以下であることを満足すれば、水分を付与する方法は、噴霧、含浸等公知のいずれの方法によっても、繊維シート全体に平易に均一に水分を付与することができる。
また、前記永続的親水処理によって得られる親水繊維シートは、親水繊維シートを脱塩水によって十分洗浄した後のシート表面においてX線光電子分光法(ESCA)で測定される酸素元素の全元素に対する組成比(以下、「酸素比」という。)は、4atomic%以上40atomic%以下の範囲内にあることが好ましい。ここで用いられる酸素比は、繊維シートの水濡れ性の程度を表す指標として採用するものである。前記酸素比を上記範囲内に調整することによって、ゲル加工する前の繊維シートへ水分を瞬時に均一に付与することが可能となる。前記酸素比のより好ましい下限は、7atomic%である。さらにより好ましい酸素比の下限は、9atomic%である。一方、前記酸素比のより好ましい上限は、35atomic%である。さらにより好ましい酸素比の上限は、30atomic%である。前記酸素比が4atomic%未満であると、親水性が乏しく親水繊維シートに均一に水分を付与させることが困難となる可能性がある。また、酸素比が40atomic%を超えると、繊維シートを構成する繊維の劣化が大きくなり、得られる繊維シートの強度が低下する可能性がある。
前記永続的親水処理の中で、より親水化度の高い処理は、フッ素処理、プラズマ処理およびグラフト処理等が挙げられる。これらの方法は、繊維シート内部までより均一に親水基を導入することができるため、繊維シート内部まで瞬時に均一に水分を付与させることができるからである。また、これらの処理方法は、処理物のより深くまで親水基を導入することができるため、特に、ポリオレフィン系樹脂等のように無極性であり疎水性の大きい樹脂が主体繊維である場合に有効な方法である。また、これらの方法は、ゲル加工後も親水性の低下を小さくすることができる。そして、前記の処理方法の中で、特にフッ素処理は、より高い親水性を得ることができ、好ましく用いられる。本発明でいう、フッ素処理は、処理物をフッ素ガスへ晒すすべての処理のことをいい、その方法は、フッ素ガス含有ガス雰囲気中へ晒すのみであっても、フッ素ガス含有ガス雰囲気中へ晒すと同時に放電処理を施す方法であっても、公知のいずれの方法でも良い。以下にフッ素処理の一例を説明する。
フッ素処理とは、処理物をフッ素ガスと、酸素ガスや亜硫酸ガス等との混合ガスに接触させて、フッ素ガスにより処理物を構成する各々の樹脂表面に発生したラジカルが酸素ガスや亜硫酸ガス等(以下、反応性ガスという)と反応して、水酸基やカルボキシル基やスルホン基等を生成させ、処理物を構成する各々の樹脂表面を親水化させる方法である。フッ素ガス含有ガスは、通常窒素あるいはヘリウム等の不活性ガスで希釈した混合ガスとして使用される。フッ素ガス混合ガスの希釈濃度は、特に限定する必要はないが、フッ素ガスは、0.01体積%以上50体積%以下の範囲内にあることが好ましい。より好ましいフッ素ガス濃度の下限は、0.1体積%である。より好ましいフッ素ガス濃度の上限は、30体積%である。また、反応性ガスは、0.01体積%以上99.9体積%以下の範囲内から選択され、不活性ガスで通常希釈して用いられる。より好ましくい反応性ガス濃度はフッ素ガス濃度よりも多い濃度が選ばれる。例えば、反応性ガス濃度は、0.5体積%以上90体積%以下の範囲内にあることが好ましい。フッ素ガス濃度が0.01体積%未満であると、改質させる樹脂表面に効率よくラジカルを形成させることが困難となり、親水性が不足する可能性がある。一方、フッ素ガス濃度が50体積%を超えると、反応が激しすぎる傾向にある。また、反応性ガス濃度がフッ素ガス濃度よりも少ない場合は、フッ素化反応がより優先されるため、反応性ガス含有親水基の導入が困難になる可能性がある。
フッ素ガス混合ガスの接触温度は、直接フッ素化反応のみが優先的に進行しない条件が選ばれる。例えばその範囲は、通常−70℃以上130℃以下の範囲内にあることが好ましい。より好ましい接触温度の下限は、−40℃である。さらにより好ましい接触温度の下限は、0℃である。一方、より好ましい接触温度の上限は、90℃である。さらにより好ましい接触温度の上限は、80℃である。フッ素ガス混合ガスの接触温度が−70℃未満であると、フッ素の反応性が極端に低下し、130℃を超えると、フッ素化反応が優先的に進行する傾向であり、その結果、フッ素元素が大量に導入され、−CF2や−CF3等の疎水基が多く生じ、撥水性を示すようになるからである。また、フッ素ガス混合ガスとの接触時間は、適宜選ばれ、通常1秒から数時間、好ましくは1秒から1時間の間に実施することが工程性の面から好ましい。
フッ素ガス混合ガスと処理物との反応は、密閉された反応容器中に処理物を導入し、容器内を脱気した後、混合ガスを導入するか、又は、あらかじめ混合ガスを反応容器内へ充填した後、処理物を導入しフッ素ガス混合ガスと接触させる方法、又は、気体シールの良好な処理室内にフッ素ガス混合ガスを充填し、処理室内へ処理室外から処理物を走行させる方法等が挙げられる。
そして、フッ素ガス混合ガスの導入方法は、あらかじめフッ素ガスと反応性ガスを所定の濃度に混合して用いてもよいし、又は、反応性ガスを処理物に接触させた後フッ素ガスを導入してもよい。そして、フッ素ガス混合ガスと処置物の反応終了後、窒素等の不活性ガスに置換させる方法が好ましい。
また、フッ素処理によって得られた親水繊維シートを脱塩水によって十分洗浄した後のシート表面におけるESCAで測定されるフッ素元素の全元素に対する組成比(以下、「フッ素比」という。)は、1atomic%以上30atomic%以下の範囲内にあることが好ましい。フッ素元素は主に前記のフッ素処理によって導入される。フッ素比を上記範囲に調整することによって、ゲル加工前の親水繊維シートへ水分を瞬時に均一に付与させることが可能となる。フッ素比のより好ましい下限は、2atomic%である。さらにより好ましいフッ素比の下限は、3atomic%である。一方、フッ素比のより好ましい上限は、20atomic%である。さらにより好ましいフッ素比の上限は、10atomic%である。前記フッ素比が1atomic%未満であると、親水性が乏しく、繊維シートに均一に水分を付与させることが困難となる可能性がある。一方、フッ素比が30atomic%を超えると、繊維の劣化が大きくなり、得られる繊維シートの強度が低下する可能性がある。
前述したとおり、特にフッ素処理は、繊維シート内部の繊維及び湿熱ゲル化樹脂表面まで、より均一、且つより深く親水基を導入することができるため、好ましい。しかし、用途(例えば撥水性が必要な場合)、工程性、ゲル加工前の繊維シートの形態等によってはその他の親水処理が好適な場合もあるため、他の方法を選択しても構わない。よって、その他の親水化処理方法について、以下にその一例を示す。
前記一時的親水処理として、界面活性剤等を処理物表面に付着させる方法があり、ここで用いられる界面活性剤等は特に限定されるものではない。例えば、非イオン系界面活性剤では、グリセリンやソルビトール、砂糖などの多価アルコールを親水基とする多価アルコール型非イオン系活性剤(エステル型)や、親水基として機能するエチレンオキサイドを、疎水原料に付加させたポリエチレングリコール型(エーテル型)非イオン活性剤等が挙げられる。また、多価アルコール型の活性剤にエチレンオキサイドを付加させたエーテルエステル型非イオン活性剤等が挙げられる。また、イオン系界面活性剤では、アルキルリン酸エステルなどのリン酸系アニオン活性剤、脂肪族カルボン酸石けんなどの石けん系アニオン活性剤、アルキルサルフォネートなどのサルフェート系アニオン活性剤等が挙げられる。これらの界面活性剤等は2種以上混合してもよい。前記界面活性剤等は、ゲル加工する前の繊維シートへ付着させることが好ましい。また、その付着方法は、いずれの方法であっても構わない。例えば、界面活性剤等を含んだ溶液中に繊維シートを浸漬する方法、あるいはこの溶液を繊維シートに噴霧して付着する方法等が挙げられる。
次に、永続的親水処理として、まず、コロナ放電やプラズマ処理の場合、不活性ガスとして、He、Ar、窒素等、反応性ガスとして、空気、酸素、CO、CO2、硫黄酸化物(例えばSO2、SO3等)、又は、窒素酸化物(例えばNO、NO2、N2O等)等の雰囲気中で行っても良い。これらの不活性ガス及び反応性ガスは、電場をかけると種々の化学種(電子、イオン、ラジカル、励起分子等)を発生する。その結果、処理物と反応しやすくなり、各々の樹脂表面に酸素原子を含む官能基が効果的に導入される効果をもたらす。この際の放電条件としては、コロナ放電であれば処理物の両面にそれぞれ1〜20回処理するとよい。1回あたりの放電量は、0.05kW・分/m2以上であることが好ましい。総放電量は、0.05〜10kW・分/m2の範囲で処理するとよい。総放電量が0.05kW・分/m2未満であると、親水化が不十分になる傾向があり、10kW・分/m2を超えると、過剰処理となり高コストであると共に繊維の劣化が生じて、繊維シート強力が低下する可能性がある。
また、プラズマ処理の場合は、常圧プラズマ処理であると低電圧で処理できるため、繊維の劣化が少なく、さらに、親水性をより大きくすることができる。処理条件としては、電界強度0.5〜250kv/cm、周波数0.5〜100kHz程度で処理することが好ましい。
次に、グラフト重合処理であれば、ビニルモノマーと重合開始剤とを含む溶液中に処理物を浸漬して加熱する方法、処理物にビニルモノマーを塗布した後に放射線等を照射する方法等を用いるとよく、さらに、ビニルモノマー溶液と処理物とを接触させる前に、紫外線照射、コロナ放電、プラズマ放電などにより、処理物表面を改質処理すれば、効率的にグラフト重合でき好ましい。また、スルホン化処理としては、濃硫酸処理、発煙硫酸処理、クロロスルホン酸処理、無水硫酸処理などが挙げられる。前記酸と処理物との接触方法は特に限定しないが、直接浸漬する方法がよく用いられる。例えば濃硫酸を用いる場合は、50〜120℃の温度で、5〜60分浸漬した後、洗浄するのが一般的である。
次いで、前記親水処理によって得られる親水繊維シートは、水分が付与されて含水シートとなす。そして、前記含水シートに付与する水分の割合(以下、水分率という)は、20mass%以上300mass%以下の範囲内にあることが好ましい。より好ましい水分率の下限は、30mass%である。さらにより好ましい水分率の下限は、40mass%である。より好ましい水分率の上限は、200mass%である。さらにより好ましい水分率の上限は、150mass%である。水分率が20mass%未満であると、ゲル化が十分に起こらない可能性がある。一方、水分率が300mass%を超えると、ゲル加工の際、繊維シートの表面と内部に均一に熱がかかりにくく、得られる繊維シートの厚み方向のゲル化度合いが不均一となり、繊維シート厚み方向の構成繊維間の固定が不均一となる傾向にある。水分の付与方法としては、スプレー、水槽へのディッピング等公知のいずれであっても構わない。
次いで、前記含水シートは、湿熱ゲル化樹脂のゲル化する温度以上、融点−20℃以下の温度範囲に設定された熱処理機で湿熱処理してゲル加工することが必要である。好ましいゲル加工温度の下限は、50℃である。より好ましいゲル加工温度の下限は、60℃である。一方、好ましいゲル加工温度の上限は、湿熱ゲル化樹脂の融点−25℃である。より好ましいゲル加工温度の上限は、湿熱ゲル化樹脂の融点−30℃である。ゲル加工温度が、湿熱ゲル化樹脂のゲル化温度未満であると、湿熱ゲル化樹脂がゲル化しないため繊維シートを構成する繊維間をゲル化物によって固定することができない。一方、ゲル加工温度が湿熱ゲル化樹脂の融点−20℃を超えると、湿熱ゲル化樹脂の融点に近くなるため、繊維シートに収縮が発生して、目付及び厚みの変動が大きくなる、あるいは熱ロール等の加熱体によって加工した場合に前記湿熱ゲル化樹脂がロール等へ粘着しやすくなる等して歩留まりが低下する可能性がある。なお、ゲル加工の温度を設定温度としたのは、水分を含んだ不織シートをゲル加工した場合、熱処理機の設定温度を100℃以上にしたとき、まず不織シート内の水分が蒸発する。そのとき湿熱ゲル化樹脂のゲル化が進行するので、ゲル加工の実温度は設定温度よりも低くなる傾向にある。そのため、厳密にゲル加工温度を特定するのが困難な場合があるからである。したがって、他の繊維の融点が熱処理機の設定温度よりも低い場合でも、実質的に溶融しない、あるいは実質的に収縮しないことがあり、ゲル加工温度は他の繊維が実質的に収縮しない温度で処理することが好ましい。
前記ゲル加工は、前記含水シートを加熱雰囲気中へ晒す、加熱空気を貫通させる、及び加熱体へ接触させる等の方法によって実施することができる。特に、加圧を加えることによって、ゲル化物を押し拡げる、あるいはゲル化物を構成繊維間へより浸透させることができるので、好ましい。さらに、加熱体を用いて加圧加工を施すことによって、湿熱ゲル化樹脂を、よりゲル化度合いのムラなく、より瞬時にゲル化させることができるので、好ましい。よって、得ようとする繊維シート表面をより平滑にする場合、構成する繊維間の固定をより均一にする場合、繊維シートの孔径ムラを小さくする場合、及び繊維シートの孔径を小さくする場合等に好ましい。
前記ゲル加工は、特に、熱ロールによる加圧加工であり、前記熱ロールの線圧は、350N/cm以上10000N/cm以下の範囲内にあることが好ましい。かかる方法によれば、瞬時にゲル化できるとともに、ゲル化したゲル化物を押し拡げて構成する繊維間へより内部にまで浸透させることができるので、生産効率よくゲル加工することができる。さらに、加圧加工であると、繊維シート全体の湿熱ゲル化樹脂を、よりゲル化度合いのムラがなく、より瞬時にゲル化させることができるため、特に繊維シート厚み方向のゲル化物による固定がより均一化された繊維シートを得ることができる。この傾向は、加圧加工の圧力が高圧になるほど顕著である。特に、微多孔膜の代替となり得る孔径を必要とする場合は、繊度の小さい繊維を選択して上記線圧で加圧加工することが好ましい。熱ロールの線圧のより好ましい下限は、400N/cmである。一方、より好ましい線圧の上限は、9000N/cmである。熱ロールの線圧が350N/cm未満であると、前述した作用、効果を発揮させることが困難となる可能性があり、例えば、微多孔膜の代替といった用途への適用が困難となる。一方、線圧が10000N/cmを超えると、圧力が大きすぎるため、繊維の切断が起こりやすく、そのために貫通孔が孔きやすくなる傾向にある。その結果、孔径及び孔径ムラが大きくなる、あるいは繊維シートの機械的強力が低下する可能性がある。
また、本発明の繊維シートの製造方法において、ゲル加工を加圧下で実施することによって、湿熱ゲル化樹脂がゲル化しながら押し拡げられ、膜状のゲル化物となって、繊維シート表面を部分的に被覆するようになる。このとき前記膜状のゲル化物の繊維シート全表面に対する割合(以下、「膜状度」という。)は、40%以上90%以下の範囲内にあることが好ましい。より好ましい膜状度の下限は、45%である。さらにより好ましい膜状度の下限は、50%である。一方、より好ましい膜状度の上限は、80%である。さらにより好ましい膜状度の上限は、70%である。この膜状度は、ゲル化物の拡がり度合い、つまり、構成繊維間への浸透度を表す指標であり、この値が大きいほどこのゲル化物が繊維シート表面に均一に拡がっていることを示す。膜状度が40%未満であると、ゲル化物の構成繊維間への浸透が不十分であるため、孔径及び孔径ムラが大きくなりやすい傾向にある。一方、膜状度が90%を超えると、繊維シートがフィルム化されて孔が存在しない領域が大きくなり易い傾向がある。
なお、本発明でいう孔径は、ASTM F 316 86に準拠して測定される平均孔径のことである。この孔径は、目的とする用途に応じた任意の値で構わない。本発明において、加圧加工によって得られる繊維シートのより好ましい平均孔径は、20μm以下である。例えば、微多孔膜等の代替として精密フィルターに用いる場合、好ましい平均孔径は、10μm以下であり、より好ましい平均孔径は、5μm以下である。
また、本発明でいう孔径ムラは、ASTM F 316 86に準拠して測定される平均孔径と最大孔径の比(最大孔径/平均孔径)でもって代用特性とし、この値が小さいほど孔径の幅が小さい、つまり孔径ムラが小さいことを示す。この比は本発明の製造方法によって、15以下となることが好ましい。より好ましい平均孔径と最大孔径の比は、10以下であり、さらに好ましい平均孔径と最大孔径の比は、7以下である。
さらに、前記ゲル加工を加圧下で実施することによって、ゲル化物が繊維シート内部へ押し拡げられ、その結果、ゲル加工前の繊維シート(親水繊維シート)の平均孔径をXとし、ゲル加工後の繊維シートの平均孔径をXBとしたとき、下記式で得られる値を平均孔径低下率(%)としたとき、平均孔径低下率は、60%以上であることが好ましい。
平均孔径低下率(%)={(X−XB)/X}×100
より好ましい平均孔径低下率は、65%以上である。このゲル加工による平均孔径の低減化は、特に孔径の小さい繊維シートを得る場合に重要であって、上述したような熱ロール等による高圧力下での加工によって達成されるものである。平均孔径低下率が60%未満であると、微多孔膜の代替となり得るような特に孔径に小さい繊維シートを得ることが困難となる傾向がある。
また、本発明には、繊維シートを構成する繊維及び湿熱ゲル化樹脂以外に、樹脂バインダー、無機物粉体、機能性粒子等が混合されていても構わない。例えば、前記樹脂バインダーは、親水繊維シートに含水させるときに、その付与する水分散液に予め混合しておくとよい。また、無機物粉体、あるいは機能性粒子の場合、親水繊維シートに含水させるときに、その付与する水分散液に予め混合しておくとよい。前記無機物粉体、あるいは前記機能性粒子としては、例えば、研磨剤、有害ガス吸着/分解剤、抗ウイルス吸着/分解剤、抗菌剤、消臭剤、導電剤、制電剤、調湿剤、乾燥剤、防虫剤、防カビ剤等を1又は2以上用いることができる。本発明の繊維シートの製造方法によれば、前記無機物粉体あるいは前記機能性粒子等を混合することにより、無機物粉体あるいは機能性粒子自体がゲル化物に埋没することなく、ゲル化物の表面に少なくとも一部が露出した状態で固着することができるので、それら粉体あるいは粒子の機能を十分に発揮することができる。
また、ゲル加工の際、湿熱ゲル化樹脂を含む繊維シート同士はそれぞれ積層されていても構わない。また、湿熱ゲル化樹脂の混合割合の異なる繊維シートと積層されていても構わない。さらに、湿熱ゲル化樹脂を含まない他の繊維シート、または他のシートと積層されていても構わない。前記他のシートとしては、フィルム、ネット等積層可能なものであればいずれであっても構わない。また、前記他のシートは、湿熱ゲル化樹脂が含まれたものであっても、含まれていないものであっても構わない。そして、積層する場合、積層形態は二層であっても、多層であっても構わないし、湿熱ゲル化樹脂を含む繊維シートが外層であっても、内層であっても構わない。また、ゲル加工前後のシートに対して、ニードルパンチ加工、水流交絡加工、サーマルボンド加工、ケミカルボンド加工等いずれの加工が施されていても構わない。また、親水処理は少なくとも湿熱ゲル化樹脂を含む繊維シートに施されていればよい。
その結果得られる繊維シートは、例えば、その表面が均一であるため、ワイパーとして好適であり、肌に触れる用途へ使用した場合、肌触りに優れたものとなる。また、前記ゲル加工を加圧加工とした場合、例えば、得られる繊維シートの孔径ムラが小さいため、濾過性能に優れたフィルター等、あるいは電解液の均一保持性に優れ、短絡防止性に優れた電池セパレータやキャパシタ等、尿等の漏れ防止性に優れ、液拡散性に優れた衛生材料等に使用することができる。さらに、前記ゲル加工を加圧加工とした場合、例えば、得られる繊維シートの孔径が小さいため、高精度フィルター、電池セパレータまたはキャパシタ等へ好適に使用することができる。上記以外の用途においても、繊維シート表面がより均一である、あるいは構成する繊維間のゲル化物により略均一に固定しているので、様々な用途へ使用することができる。加えて、前記無機物粉体あるいは前記機能性粒子等を繊維シートに担持させることにより、用途に応じた粉体又は粒子の有する機能を選択することにより、機能性繊維シートとして使用することができる。
以下、本発明の内容について実施例を挙げて説明する。なお、以下の実施例は、本発明を具体的に説明する一例に過ぎないことを付け加えておく。まず、融点、単繊維繊度、単繊維強度、厚み、平均孔径、最大孔径、孔径ムラ、繊維シート表面の膜状度、接触角、酸素比、フッ素比、加工時繊維シート面収縮率、及び湿熱ゲル化樹脂の湿熱ゲル化温度は以下の方法により測定した。
(1)融点:JIS K 7121(DSC法)に準じ測定した。
(2)単繊維繊度:JIS L 1013に準じて測定した。
(3)単繊維強度:JIS L 1015に準じ、引張試験機を用いて、試料の掴み間隔を20mmとし、繊維が切断したときの荷重値を測定し単繊維強度とした。
(4)厚み:175kPa荷重(JIS−B−7502に準じたマイクロメーターによる測定)により、3枚の試料のそれぞれ異なる10箇所で厚みを測定し、計30箇所の平均値を求めた。
(5)平均孔径・最大孔径:パームポロメータ(porous. Materials Inc.製)を使用し、ASTM F 316 86に準じ測定した。
(6)孔径ムラ:最大孔径を平均孔径で除して算出した。
(7)繊維シート表面の膜状度:繊維シートの任意の10箇所の表面を200倍の倍率で電子顕微鏡にて撮影する。例えば、図3(a)〜(d)に示すように、該繊維シート表面において、各繊維が隣接する繊維同士が連続して固定されている面積の繊維シート全面積に対する百分率を算出した。
(8)接触角:繊維シート表面の接触角:協和界面化学社製、接触角計(洗浄度評価システム)、型式:CA−X150を用いて、図1に示すように、ガラス板1の上に、縦1cm,横5cmの試料2をのせてテープで固定する。次に、試料2の上にマイクロシリンジで正確に純水3を2マイクロリットル滴下する。5秒間放置後、図1で示す水滴の直径a及び高さhを測定する。前記直径a及び高さhから、次の算式を用いて接触角θを求める。
tan(θ/2)=h/(a/2)
(9)酸素比及びフッ素比:ESCA−3000(株式会社島津製作所製)を使用し、繊維シート表面の元素組成分析を行った。測定条件は、線源はMg/Al、出力8kW、30mAとし、測定面積50mm2、繊維シートを構成する繊維及び/又は湿熱ゲル化樹脂表面からの深度10nmで繊維及び/又は湿熱ゲル化樹脂表面に存在する元素、及び官能基の割合を測定し、酸素比は、酸素元素量を全元素量で、フッ素比は、フッ素元素量を全元素量でそれぞれ割返した値の百分率を採用した。
(10)加工時繊維シート面積収縮率(%):下記式の通り算出する。
[1−(ゲル加工後繊維シート面積/ゲル加工前繊維シート面積)]×100
(11)湿熱ゲル化樹脂の湿熱ゲル化温度:湿熱ゲル化樹脂20質量%以上とパルプとからなる湿式不織布を作製し、得られた湿式不織布を幅30mm、長さ100mm程度に切断する。次に切断した試料を二枚重ねる。前記試料に約50mass%の水分を付与し、シール幅5mm程度のヒートシールスタンパーを用いて、圧力0.1MPaの条件で、ヒートシール温度を10℃ずつ上げる。そして、接着し始めたときの温度を湿熱ゲル化温度とする。
(12)繊維シートの裂断長
JIS−L−1096に準じ、幅(不織布横方向)50mm、長さ(不織布縦方向)150mmにカットした試験片をつかみ間隔100mmで把持し、定速伸長型引張試験機を用いて伸長したときの試験片の切断時の荷重値(引張強力)を、試料片の目付で除した値を裂断長とした。
実施例及び比較例に用いられる繊維原料は、以下のとおり準備した。
[繊維1]
第1成分(湿熱ゲル化樹脂)を、エチレン含有量38モル%、鹸化度99%のエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH、湿熱ゲル化温度70℃、融点170℃)とし、第2成分をポリプロピレン(PP、融点163℃)とした、繊度が1.4dtex(繊維1A)、繊度が1.2dtex(繊維1B)、放射状の16分割断面形状を有する、繊維長6mmの分割型複合繊維(商品名DF−2、大和紡績(株)製)を用いた。
[繊維2]
鞘成分を高密度ポリエチレン(HDPE、融点132℃)とし、芯成分をポリプロピレン(融点163℃)とした、繊度0.8dtex、繊維長10mmの同芯円鞘芯型複合繊維(商品名NBF(H)、大和紡績(株)製)を用いた。
[繊維3]
ポリプロピレン(融点163℃)からなる、繊度0.5dtex、繊維長10mmの丸断面ポリプロピレン単一繊維(商品名PZ、大和紡績(株)製)を用いた。
[実施例1]
繊維1Aを50mass%、繊維2を30mass%、繊維3を20mass%となるように混合して、全繊維が0.5mass%の濃度になるように水分散スラリーを調製し、得られた水分散スラリーを円網式湿式抄紙機及び短網式湿式抄紙機からそれぞれ目付15g/m2の湿式抄紙ウェブを作製して抄き合わせ、次いでシリンダードライヤー機を用いて135℃で熱処理を施して、乾燥させるとともに、繊維1Aの湿熱ゲル化樹脂及び繊維2の鞘成分により仮接着させ、目付30g/m2の湿式不織布を作製した。得られた湿式不織布は、繊維1Aはほぼ100%分割しており、繊度が約0.09dtexの湿熱ゲル化繊維及び繊度が約0.09dtexのポリプロピレン繊維が分割発現して不織布中に略均一に分散していた。なお分割率は、不織布の長手方向が断面となるように束ねて1mm径の穴のあいた金属プレートに通し、電子顕微鏡を用いて400倍に拡大して、分割された繊維の割合を算出して求めた。
次いで、前記湿式不織布を混合ガス処理器へ導入し、前記処理器の雰囲気を真空置換後、25℃、ガス組成がフッ素1体積%、酸素73体積%、窒素26体積%からなる混合ガスを処理器に導入し、1気圧とし、処理時間を1分とした。その後、真空排気の後、窒素で復圧した。その後、60℃の湯水で洗浄し、熱風乾燥機で70℃にて乾燥して親水繊維シートとした。得られた親水繊維シートの脱塩水による接触角は0度であった。得られた親水繊維シート表面の200倍のSEM顕微鏡写真を図2に示す。
次いで、上記親水繊維シートに、噴霧器を用いて、水分を前記親水繊維シートに対して100mass%となるように均一にスプレーで付与して、含水シートとした。
次いで、前記含水シートに、130℃に加熱した一対の金属フラットロールにて線圧500N/cm、加工速度3.3m/分の条件下でゲル加工を施して、本発明の繊維シートを得た。得られた繊維シート表面の200倍のSEM顕微鏡写真を図3(a)〜(d)に示す。図3(a)においては、中央右から下方にかけて皮膜状に見える部分が、膜状のゲル化物である。同様に図3(b)においては、中央部の上下方向、図3(c)においては、左側部分、図3(d)においては、左側部分と右斜め上部分が、それぞれ膜状のゲル化物である。図4には得られた繊維シートの断面500倍のSEM顕微鏡写真を示す。
[実施例2]
水分を25mass%付与した以外は、実施例1と同様の処理を実施し、本発明の繊維シートを得た。
[実施例3]
水分を180mass%付与した以外は、実施例1と同様の処理を実施し、本発明の繊維シートを得た。
[実施例4]
熱ロール温度を100℃とした以外は、実施例1と同様の処理を実施し、本発明の繊維シートを得た。
[実施例5]
熱ロール温度を140℃とした以外は、実施例1と同様の処理を実施し、本発明の繊維シートを得た。
[実施例6]
熱ロール線圧を400N/cmとした以外は、実施例1と同様の処理を実施し、本発明の繊維シートを得た。
[実施例7]
熱ロール線圧を700N/cmとした以外は、実施例1と同様の処理を実施し、本発明の繊維シートを得た。
[実施例8]
繊維1Bを50mass%、繊維2を30mass%、繊維3を20mass%混合して、0.5mass%の濃度になるように水分散スラリーを調製した。得られた水分散スラリーを、円網式湿式抄紙機及び短網式湿式抄紙機からそれぞれ目付12.5g/m2の湿式抄紙ウェブを作製して抄き合わせた。次いでシリンダードライヤー機を用いて130℃で熱処理し、乾燥させるとともに、繊維1Bの湿熱ゲル化樹脂及び繊維2の鞘成分により仮接着させ、目付25g/m2の湿式不織布を作製した。得られた湿式不織布において、繊維1Bはほぼ100%分割しており、繊度が約0.075dtexの湿熱ゲル化繊維及び繊度が約0.075dtexのポリプロピレン繊維が分割発現して不織布中に略均一に分散していた。
次いで、前記湿式不織布を混合ガス処理器へ導入し、前記処理器の雰囲気を真空置換後、25℃、ガス組成がフッ素1体積%、酸素73体積%、窒素26体積%からなる混合ガスを処理器に導入し、1気圧とし、処理時間を1分とした。その後、真空排気の後、窒素で復圧した。その後、60℃の湯水で洗浄し、熱風乾燥機で70℃にて乾燥して親水繊維シートとした。得られた親水繊維シートの脱塩水による接触角は0度であった。
次いで、上記親水繊維シートに、噴霧器を用いて、水分を前記親水繊維シートに対して100mass%となるように均一にスプレーで付与して、含水シートとした。
次いで、前記含水シートに、90℃に加熱した一対のプレーンロールからなる熱ロールにて線圧8000N/cm、加工速度7m/分の条件下でゲル加工を施して、本発明の繊維シートを得た。得られた親水繊維シート表面の300倍のSEM顕微鏡写真を図5A〜Bに示し、同300倍の断面写真を図5C〜Dに示す。また、得られた本発明の繊維シート表面の300倍のSEM顕微鏡写真を図6A〜Bに示し、同1000倍の断面写真を図6C〜Dに示す。
[比較例1]
水分を付与しなかった以外は、実施例1と同様の処理を実施したが、熱ロール加工の際不織布の収縮が大きく、採取できなかった。
[比較例2]
熱ロール温度を60℃とした以外は、実施例1と同様の処理を実施した。湿熱ゲル化樹脂がゲル化しなかったため、平均孔径の低減率が48%と小さかった。また、不織布表面の膜状度も33%と小さかった。
[比較例3]
熱ロール温度を160℃とした以外は、実施例1と同様の処理を実施したが、ロールに湿熱ゲル化樹脂が粘着し、また、不織布の収縮が大きく、採取できなかった。
[比較例4]
親水処理を施さなかった以外は、実施例1と同様の処理を実施した。ゲル加圧加工前の接触角が大きくなったため、均一に不織布に水分を付与させることができなかった。その結果、孔径及び膜状度のバラツキの大きい不織布となった。
Figure 2004183197
Figure 2004183197
表1から明らかな通り、実施例1〜8の何れにおいても、ゲル加工前の繊維シートに親水処理を施したため、親水繊維シート表面の脱塩水による接触角が小さくなり、水分を瞬時に均一に付与することができ、良好なゲル加工性であった。また、湿熱ゲル化樹脂は均一にゲル化されたため、ゲル化物によって構成する繊維間は略均一に固定されていた。また、本実施例では繊度の小さい繊維を使用したので、孔径が非常に小さく、孔径ムラが小さく、孔径の低減率が大きくなり、不織布表面の膜状度が適正な微多孔膜の代替となりうる不織布を得ることができた。
これに対して、表2に示す比較例1では、水分を含浸させなかったため熱ロール加工の際、繊維シートの収縮が大きく、採取できなかった。比較例2では、熱ロール温度が、湿熱ゲル化樹脂のゲル化温度よりも低かったため、湿熱ゲル化樹脂がゲル化しなかった。その結果、得られた不織布の不織布表面の膜状度及び平均孔径の低減率が小さく、ひいてはゲル化物による構成繊維間の固定が不十分であった。比較例3では、熱ロール温度が、用いた湿熱ゲル化樹脂の融点−20℃よりも高かったため、ロールに湿熱ゲル化樹脂が粘着するとともに不織布の収縮が大きくなったため、採取できなかった。比較例4では、親水処理を施さなかったため、ゲル加工前の接触角が大きく、均一に繊維シートに水分を付与させることができなかった。その結果、不織布の収縮も大きく、また、孔径及び膜状度のバラツキの大きい不織布となり、ゲル化物による構成繊維間の固定ムラが発生するものであった。
[実施例9]
機能性粒子溶液として、日本軽金属社製の“アルミナ”(平均粒径0.7μm)を3mass%の割合で水に懸濁させた溶液を準備した。そして、前記実施例1の親水繊維シートを前記機能性粒子溶液中に浸漬し、マングルロールで絞って、ピックアップ率が約200%前後になるように調整して含水シートとなした。なお、ピックアップ率とは、不織布の質量に対する水分量と機能性粒子量の和に100を乗じた値である。次いで、120℃に加熱した上下の熱板にキャンバスネットを張り、その間に前記含水シートを挟み、0.064MPaの圧力で2秒間のゲル加工をして、本発明の繊維シートを得た。得られた繊維シートは、ゲル化物により構成する繊維が略均一に固定されていた。さらに、機能性粒子は、ゲル化物の表面に一部が露出して固定されていた。
本発明の繊維シートは、電池セパレータ、キャパシタ、フィルター、ワイパー、貼付剤、吸収体、衛生材料等に好適に用いることができる。
本発明に用いられる親水繊維シート表面の接触角を測定する方法を示す断面図である。 本発明の実施例1で得られた親水繊維シート表面の200倍のSEM顕微鏡写真である。 (a)〜(d)は、本発明の実施例1で得られた繊維シート表面の200倍のSEM顕微鏡写真である。 本発明の実施例1で得られた繊維シート断面の500倍のSEM顕微鏡写真である。 本発明の実施例8で得られた親水繊維シート表面の300倍のSEM顕微鏡写真、図5C〜Dは同300倍の断面写真である。 本発明の実施例8で得られた繊維シート表面の300倍のSEM顕微鏡写真、図6C〜Dは同1000倍の断面写真である。
符号の説明
1 ガラス板
2 試料
3 純水
a 水滴の直径
h 水滴の高さ

Claims (10)

  1. 水分存在下で加熱することによってゲル化し得る湿熱ゲル化樹脂を含む繊維シートの製造方法であって、少なくとも下記の工程を含む繊維シートの製造方法。
    A.繊維シートを構成する繊維及び湿熱ゲル化樹脂を親水処理して親水繊維シートにする工程。
    B.前記親水繊維シートに水分を付与して含水シートにする工程。
    C.前記含水シートを、前記湿熱ゲル化樹脂のゲル化する温度以上、前記湿熱ゲル化樹脂の融点−20℃以下の温度範囲に設定された熱処理機で湿熱処理してゲル加工し、湿熱ゲル化樹脂をゲル化させるとともに、ゲル化したゲル化物で繊維間を固定する工程。
  2. 前記親水繊維シートに付与される水分率が、20mass%以上300mass%以下の範囲内にある請求項1に記載の繊維シートの製造方法。
  3. 前記親水繊維シート表面の脱塩水滴下5秒後の接触角が、60度以下である請求項1または2に記載の繊維シートの製造方法。
  4. 前記親水繊維シートにおけるX線光電子分光法(ESCA)で測定した酸素元素の全元素に対する組成比(酸素比)が、4atomic%以上40atomic%以下の範囲内にある請求項1〜3のいずれかに記載の繊維シートの製造方法。
  5. 前記親水処理が、フッ素ガス雰囲気に晒す処理である請求項1〜4のいずれかに記載の繊維シートの製造方法。
  6. 前記親水繊維シートにおけるX線光電子分光法(ESCA)で測定したフッ素元素の全元素に対する組成比(フッ素比)が、1atomic%以上30atomic%以下の範囲内にある請求項5に記載の繊維シートの製造方法。
  7. 前記湿熱ゲル化樹脂が、エチレン−ビニルアルコール共重合体である請求項1〜6のいずれかに記載の繊維シートの製造方法。
  8. 前記湿熱ゲル化樹脂が、当該樹脂を繊維表面の少なくとも一部に存在させた湿熱ゲル化繊維である請求項1〜7のいずれかに記載の繊維シートの製造方法。
  9. 前記ゲル加工が、加圧加工である請求項1〜8のいずれかに記載の繊維シートの製造方法。
  10. 前記ゲル加工が、熱ロールによる加圧加工であり、前記熱ロールの線圧が、350N/cm以上10000N/cmの範囲内にある請求項1〜9のいずれかに記載の繊維シートの製造方法。
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