JP2009153670A - 消臭シート - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明の課題は、広い空間にも対応でき、かつ、湿度の高い雰囲気下であっても、優先的に臭い成分や生体に有害とされるVOC成分を吸着し得る消臭シートを提供することにある。
【解決手段】 繊維製布帛の少なくとも片面に、無数の細孔を有する海綿状構造の樹脂層が積層されてなり、その海綿状樹脂は消臭剤を含有しており、消臭剤が疎水性モレキュラーシーブである消臭シート。樹脂層には、消臭剤を2〜20g/m2含有していることがよい。また、繊維製布帛が不織布であることがよい。
【選択図】 なし
【解決手段】 繊維製布帛の少なくとも片面に、無数の細孔を有する海綿状構造の樹脂層が積層されてなり、その海綿状樹脂は消臭剤を含有しており、消臭剤が疎水性モレキュラーシーブである消臭シート。樹脂層には、消臭剤を2〜20g/m2含有していることがよい。また、繊維製布帛が不織布であることがよい。
【選択図】 なし
Description
本発明は、室内空間等における臭い成分やシックハウスの原因物質とされる揮発性有機化合物等を効率的に吸着し、衛生的で快適な空間を提供できる消臭シートに関するものである。
我が国は経済の成長に伴う化学工業の著しい発達とともに合成化学薬品や合成樹脂製品等が広範囲かつ多量に使用されるようになり、これらの廃物が環境ホルモンを生成し揮散され生理機能を阻害する危険も危惧されるようになっている他、様々な化学物質が生体に危害を加える恐れがあることが、年々明らかとなってきている。近年には、比較的、生体への影響が明らかなものとして、有機溶剤や可塑剤が多量に使用されている、塗料や接着剤或いは新建材等と、建物の密閉性の向上が相まって、該有機溶剤や可塑剤等が揮発性有機化合物として建物空間内に揮散滞留し、これらが目まい、吐き気、頭痛、呼吸障害等を発症する所謂シックハウス症候群が問題となっている。
このシックハウスの問題は、有機溶剤や可塑剤の多量な使用と、室内空間の密閉性の高まりにあり、同様な問題はハウス内だけではなく、エアコンディショナーが普及した自動車内にも認められることが分かってきており、シックカー問題として広く知られるようになってきている。
臭い物質を消臭する技術として、例えば特許文献1が挙げられる。これによると、臭気分解剤を不織布に保持させた臭気分解物質と、臭気吸着物質とを通気性のある容器に入れたものである。狭い空間であれば、数個の容器を設置しておくことで空間内の臭いは効果的に消臭されるが、広い空間においてはその空間の容積に応じて、かなりの数の容器を設置する必要がある。
特開2006−14769号公報
本発明の課題は、広い空間にも対応でき、かつ、湿度の高い雰囲気下であっても、優先的に臭い成分や生体に有害とされるVOC成分を吸着し得る消臭シートを提供することにある。
本発明は、上記課題を達成するものであり、繊維製布帛の少なくとも片面に、無数の細孔を有する海綿状構造の樹脂層が積層されてなり、その海綿状樹脂は消臭剤を含有しており、消臭剤が疎水性モレキュラーシーブであることを特徴とする消臭シートを要旨とするものである。
本発明の消臭シートは、繊維製布帛の片面に特定の樹脂層が積層されている。繊維製布帛は、消臭シートの基材となるものである。繊維製布帛には、通気性を有することを要する。なぜなら、樹脂層が含有する消臭剤が臭い成分や揮発性有機化合物を効率良く吸着するには、臭い成分等を運びうる媒体となる空気が消臭剤と接触する必要があるため、消臭シートを構成する繊維製布帛が通気性を有することにより、空気が消臭剤とより接触しやすくなるためである。繊維製布帛の通気度は、布帛の組織、布帛を構成する繊維や糸状の繊度や形態等により適宜決定されるが、繊維製布帛の通気度は、150cc/cm2・秒以上(JIS L 1096 通気性 A法 フラジール形試験機使用)であることが好ましい。また、本発明の消臭シートの通気度については、18cc/cm2・秒以上(JIS L 1096 通気性 A法 フラジール形試験機使用)であることが好ましい。
繊維製布帛の目付は10〜300g/m2がよい。目付が10g/m2以上とすることにより、実用的な強度を保持することとなり、基材としての役割を担え、また、樹脂層の積層加工において安定して加工することができる。また、樹脂層との固着・接合性も良好となる。目付を300g/m2以下とすることによりコスト的にも有利である。なお、目付は、本発明の消臭シートの使用形態等に応じて適宜選択すればよい。
繊維製布帛の形態は、特に限定されず、織物、編物、不織布等が挙げられる。織物を用いると、得られる消臭シートの形態安定性が良好となる。編物や不織布は、適度の伸度を有しているため、成形加工性が良好となるので、得られる消臭シートを立体成型物の一部に使用することに適する。また、不織布は、繊維間空隙が大きいため、樹脂層との接合一体性に優れる。不織布を用いる場合は、短繊維不織布であっても長繊維不織布であってもよい。また、不織布の形態は特に限定されず、ニードルパンチ処理やスパンレース処理により構成繊維同士が交絡しているもの、熱エンボス加工やサーマルボンド加工により繊維同士が熱接着してなるもの、レジンボンド法により接着剤が含浸されて接着剤を介して繊維同士が接着してなるもの等が挙げられる。
繊維製布帛を構成する繊維の種類も特に限定されず、コットン等の天然繊維、レーヨン等の再生繊維、ポリエステル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成繊維等いずれのものも使用できる。また複数種の繊維が混合されたものであってもよい。また、繊維製布帛において、同種もしくは異種の複数枚の布帛が積層されたものであってもよい。
本発明の消臭シートは、繊維製布帛の少なくとも片面に無数の細孔を有する海綿状構造の樹脂層が積層されてなり、その海綿状樹脂は消臭剤を含有している。
本発明において、樹脂層が無数の細孔を有する海綿状構造とするのは、樹脂層が適度な通気性を有するためである。上述した繊維製布帛が適度な通気性を有する理由と同様で、臭い成分等を運びうる媒体となる空気が、樹脂層内に保持している消臭剤と接触させるためである。すなわち、樹脂層が通気性を有することにより、空気が樹脂層内の消臭剤とより接触して臭い成分を吸着しやすくするためである。また、樹脂層の細孔の大きさは、その直径が5〜50μm程度がよい。また、細孔容積(単位質量あたりの細孔の体積)は、2〜4cc/g程度がよい。
無数の細孔を有する海綿状構造の樹脂層を得る方法としては、樹脂エマルションまたは樹脂のコロイド溶液に整泡剤を加えた混合樹脂液に空気を吹き込みながら、撹拌発泡することにより得られるものがよい。撹拌発泡させた樹脂液は、繊維製布帛の少なくとも片面に塗布等により積層し乾燥させることにより樹脂層を得ることができる。このとき、混合樹脂液中に消臭剤も一緒に混合させて撹拌発泡する。混合樹脂液は、樹脂エマルションまたは樹脂のコロイド溶液100質量部に対して、整泡剤は1〜30質量部配合したものを用いるとよい。整泡剤の量を1質量部以上とすることにより安定した泡を形成することができ、塗布〜乾燥工程で泡が壊れることなく、細孔を有する海綿状構造の樹脂層を得ることができる。また、整泡剤の量を30質量部以下とすることにより、樹脂層中の細孔容積が大きくなりすぎず、樹脂層は適度な強度が保持されるため、樹脂層が部分的に崩壊したり剥がれ落ちたりすることはない。
本発明において、樹脂層が含有している消臭剤は、疎水性モレキュラーシーブである。モレキュラーシーブは合成ゼオライトであるが、通常は親水性であり水のような極性物質を優先的に吸着するため、乾燥剤等として多く用いられている。本発明で用いる疎水性モレキュラーシーブは、極性物質である水よりも有機物を優先的に吸着する。すなわち、疎水性モレキュラーシーブは、モレキュラーシーブの化学組成におけるSi02の比率を高めてハイシリカゼオライトにすることにより、モレキュラーシーブ結晶格子内に存在する金属カチオンの比率が減少する等に起因して、極性物質である水との親和性を失い非極性物質をより強く吸着するようにしたものである。したがって、疎水性モレキュラーシーブは、雰囲気中の水分よりも揮発性有機溶剤(VOC)蒸気や臭い物質を優先的に吸着し、VOC除去や消臭を行うことができる。このような疎水性モレキュラーシーブは、ユニオン昭和株式会社の商品名「ABSCENT(アブセンツ)」を商業的に入手することができる。
本発明の消臭シートにおいて、樹脂層が含有する消臭剤の量は単位面積(m2)当たり2〜20gがよい。
なお、本発明においては、消臭シートに含有または担持させる消臭剤は、上記した疎水性モレキュラーシーブの他の剤を併用してもよいことはいうまでもなく、室内に存在するたばこ臭や他の種々の臭い成分を消臭するために、極性物質を選択的に吸着するモレキュラーシーブや活性炭繊維を併用して含有または担持させることや、鉄(二価)キレート化合物等の臭い成分を化学的に分解するような金属錯体を併用するのも好ましい。
本発明の消臭シートは、繊維製布帛の少なくとも片面に、無数の細孔を有する海綿状構造の樹脂層が積層されてなり、海綿状構造の樹脂層が消臭剤を含有するものである。繊維製布帛および樹脂層はともに通気性を有するものであるため、空気中の臭い成分は、空気が媒体となって運ばれて消臭シートと接触し、樹脂層内に保持している消臭剤に良好に吸着させて消臭することができる。したがって、シートとして面的に空気と接触することにより消臭効果を発揮することができるので、広い空間においても、消臭シートの面積を広げることによって容易に空間内に滞留している臭い成分とを高い確率で接触させて消臭することが可能となる。本発明の消臭シートは、消臭シート単体として使用することも可能であるが、他の室内の製品(ブラインド、マット、カーペット、クッション、壁装材、建築資材、内装材等、)の一部に使用することもできる。
また、本発明では、樹脂層が含有する消臭剤が疎水性モレキュラーシーブであるため、キッチンや自動車内のような高温高湿の雰囲気においても有害なVOCを優先的に選択的に吸着することができる。
以下、本発明の実施例について詳細に説明する。
実施例1
繊維製布帛として、ポリエステル長繊維ウェブを熱エンボス加工にて部分的に熱圧着させたポリエステル長繊維不織布(目付50g/m2、通気度150cc/cm2・秒)を用意した。
実施例1
繊維製布帛として、ポリエステル長繊維ウェブを熱エンボス加工にて部分的に熱圧着させたポリエステル長繊維不織布(目付50g/m2、通気度150cc/cm2・秒)を用意した。
次いで、アクリル樹脂を主成分とする樹脂エマルション100質量部に、着色剤としてのカーボンブラック、製泡剤、消臭剤として疎水性モレキュラーシーブとを下に記載する量を混合した混合樹脂液を用意した。この混合樹脂液に空気を吹き込みながら撹拌発泡したものを、上記繊維製布帛の片面にナイフコーターにより塗布し乾燥させた。樹脂層の目付は20g/m2とした。得られた消臭シートには、消臭剤は3g/m2と含有させたものであり、通気度は40cc/cm2・秒であった。
アクリル樹脂(大日本インキ化学工業社製 商品名「ボンコート350」) : 100質量部
カーボンブラック : 3質量部
整泡剤(大日本インキ化学工業社製 商品名「ボンコートF−1」) : 10質量部
疎水性モレキュラーシーブ(ユニオン昭和株式会社の商品名「ABSCENT 2000」) : 10質量部
カーボンブラック : 3質量部
整泡剤(大日本インキ化学工業社製 商品名「ボンコートF−1」) : 10質量部
疎水性モレキュラーシーブ(ユニオン昭和株式会社の商品名「ABSCENT 2000」) : 10質量部
実施例2
実施例1において、混合樹脂液に配合する消臭剤の量を、アクリル樹脂100質量部に対して30質量部としたこと以外は実施例1と同様にして実施例2の消臭シートを得た。得られた消臭シートには、消臭剤は9g/m2と含有させたものであり、通気度は18cc/cm2・秒であった。
実施例1において、混合樹脂液に配合する消臭剤の量を、アクリル樹脂100質量部に対して30質量部としたこと以外は実施例1と同様にして実施例2の消臭シートを得た。得られた消臭シートには、消臭剤は9g/m2と含有させたものであり、通気度は18cc/cm2・秒であった。
比較例1
実施例1において、混合樹脂液に整泡剤を混合しなかったこと以外は実施例1と同様にして比較例1のシート(通気度10cc/cm2・秒)を得た。
実施例1において、混合樹脂液に整泡剤を混合しなかったこと以外は実施例1と同様にして比較例1のシート(通気度10cc/cm2・秒)を得た。
<消臭性能評価>
得られた実施例1,2および比較利1のシートを以下のようにして、消臭性能を測定した。
ガス検知管法容量5リットルのポリフッ化エチレン製の袋内に10cm×10cmにサンプリングした試料と、初期濃度300ppmのトルエンガス3リットルを封入し、室温で3時間放置後のガス濃度をガス検知管(光明理化学工業株式会社製)により測定し、これを濃度Aとする。次にブランクと比較するために、別の容器3リットルのポリフッ化エチレン製の袋内に初期濃度300ppmのトルエンガス3リットルを封入し、室温で2時間放置後のガス濃度をガス検知管により測定し、これを濃度Bとする。脱臭率を次式により算出する。
脱臭率(%)=(濃度B−濃度A)/濃度B×100
測定したところ、実施例1の脱臭率は75%、実施例2の脱臭率は60%、比較例1の脱臭率は20%であり、本発明の実施例1および2のものは脱臭効果が良好であった。
得られた実施例1,2および比較利1のシートを以下のようにして、消臭性能を測定した。
ガス検知管法容量5リットルのポリフッ化エチレン製の袋内に10cm×10cmにサンプリングした試料と、初期濃度300ppmのトルエンガス3リットルを封入し、室温で3時間放置後のガス濃度をガス検知管(光明理化学工業株式会社製)により測定し、これを濃度Aとする。次にブランクと比較するために、別の容器3リットルのポリフッ化エチレン製の袋内に初期濃度300ppmのトルエンガス3リットルを封入し、室温で2時間放置後のガス濃度をガス検知管により測定し、これを濃度Bとする。脱臭率を次式により算出する。
脱臭率(%)=(濃度B−濃度A)/濃度B×100
測定したところ、実施例1の脱臭率は75%、実施例2の脱臭率は60%、比較例1の脱臭率は20%であり、本発明の実施例1および2のものは脱臭効果が良好であった。
Claims (5)
- 繊維製布帛の少なくとも片面に、無数の細孔を有する海綿状構造の樹脂層が積層されてなり、その海綿状樹脂は消臭剤を含有しており、消臭剤が疎水性モレキュラーシーブであることを特徴とする消臭シート。
- 消臭剤を2〜20g/m2含有していることを特徴する請求項1記載の消臭シート。
- 繊維製布帛が不織布であることを特徴とする請求項1または2記載の消臭シート。
- 海綿状構造の樹脂層が、樹脂エマルションまたは樹脂のコロイド溶液に整泡剤と消臭剤とを混合した混合樹脂液に空気を吹き込みながら撹拌発泡することにより得られる泡加工樹脂層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の消臭シート。
- 消臭シートを室内にて用いることを特徴とする室内用消臭シート。
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