JP2006205058A - アニオン性ビニルモノマー - Google Patents

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吉隆 勝川
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Abstract

【課題】 室温〜50℃で数ヶ月間保存しても加水分解されにくい(ポリ)オキシアルキレン鎖含有アニオン性ビニルモノマーおよび該モノマーを必須構モノマーとするビニルポリマーを提供することである。
【解決手段】 下記一般式(1)で示されるアニオン性ビニルモノマーおよび該モノマーを必須構モノマーとするビニルポリマーである。
【化5】

式中、Qはアニオン性基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基;Xは−COOM1/r、−COOR1、−CONR23または−CNで表される基、Mは水素原子またはr価のカチオン基、rは1または2、R1は炭素数1〜36の炭化水素基、R2およびR3は水素原子または炭素数1〜6の炭化水素基;nは1〜200の整数を表す。
【選択図】なし

Description

本発明はアニオン性ビニルモノマーに関する。詳しくは(ポリ)オキシアルキレン鎖を有するアニオン性ビニルモノマー、該モノマーからなるビニル重合性乳化剤および該モノマーを必須構成モノマーとしてなるビニル重合体に関する。
オキシアルキレン基またはポリオキシアルキレン鎖[以下において、オキシアルキレンとポリオキシアルキレンを総称して(ポリ)オキシアルキレンと略記する]を有するアニオン性ビニルモノマーとしては、(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレートの硫酸化物(特許文献−1参照)の他に、ビニル重合性の不飽和基(アクリロイル基、メタクリロイル基またはアリル基など)、炭化水素基などの疎水基、ポリオキシエチレン基および硫酸エステル基などの親水性を1分子中に有した構造の種々の化合物が提案されている(特許文献−2〜4参照)。
これらのアニオン性ビニルモノマーは、ビニル重合性乳化剤として、(メタ)アクリル酸エステル系エマルジョン、酢酸ビニル系エマルジョン、合成ゴム系エマルジョン、ABS系エマルジョン等の製造時に添加されて、非重合性乳化剤を使用した場合に比べて得られる樹脂フィルムの耐水性向上に効果があると言われている。
特開平9−286806号公報 特開昭62−104803号公報 特開昭62−286528号公報 特開平8−41112号公報
しかし、上記の(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレートの硫酸化物等のアニオン化物は、他のモノマーとの共重合性に優れているが、(ポリ)アルキレングリコールに直結した比較的加水分解されやすいタイプのエステル基を有しており、(ポリ)アルキレングリコールのアニオン化物と、(メタ)アクリル酸とに加水分解され易いため保存安定性が不十分であるという問題があった。
また、その他の従来のビニル重合性乳化剤は、他のモノマーとの共重合性が十分ではないため、得られたエマルジョンの乾燥皮膜の耐水性が悪かったり、エステル基を有するものではモノマーの状態で加水分解されやすいという問題点があった。
また、加水分解されやすいモノマーを必須構成単位とする重合体はモノマーと同様に比較的加水分解されやすいという問題があった。
本発明の課題は、他のモノマーとの共重合性が良好で、乳化重合用のビニル重合性乳化剤として使用した場合に残存しにくく、エマルジョンの乾燥皮膜の耐水性が良好であり、かつ、室温〜50℃で数ヶ月間保存しても加水分解されにくい(ポリ)オキシアルキレン鎖含有アニオン性ビニルモノマーおよび該モノマーを必須構モノマーとするビニル重合体を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち本発明は、一般式(1)で表されるアニオン性ビニルモノマー;該アニオン性ビニルモノマーからなるビニル重合性乳化剤;該ビニル重合性乳化剤を用いてビニルモノマーを乳化重合して得られるビニル重合体エマルジョン;該アニオン性ビニルモノマーを必須構成モノマーとしてなるビニル重合体;である。
式中、Qはアニオン性基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基;Xは−COOM1/r、−COOR1、−CONR23または−CNで表される基、Mは水素原子またはr価のカチオン基、rは1または2、R1は炭素数1〜36の炭化水素基、R2およびR3は水素原子または炭素数1〜6の炭化水素基;nは1〜200の整数を表す。
本発明のアニオン性ビニルモノマーは、(ポリ)アルキレングリコールのアニオン化物と、(メタ)アクリル酸とに加水分解されにくく長期間保存しても安定である。
さらに、本発明のアニオン性ビニルモノマーは共重合性が良好であり、ビニル重合性乳化剤として使用した場合、得られるエマルジョンの乾燥被膜は耐水性が良好である。
また、本発明のアニオン性ビニルモノマーを構成単位とするビニル重合体は加水分解されにくく長期間保存しても安定である。
一般式(1)において、Qで表されるアニオン性基としては、一般式(2)〜(6)のいずれかで表される基が挙げられる。
式中、R4は炭素数1〜36の炭化水素基、1分子中の2個のLのうちの一方は−SO31/rで、他方は水素原子、Mは水素原子またはr価のカチオン基、好ましくはカチオン基、rは1または2、好ましくは1、pは0または1〜5の整数、好ましくは0を表す。
4で表される炭化水素基としては、直鎖もしくは分岐の、アルキル基(メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、オクタデシルおよびエイコシル基など)、アルケニル基(ビニル、アリル、メタリル、オクテニルおよびドデセニル基など)、アリール基(フェニルおよびナフチル基など)、アラルキル基(ベンジルおよびフェニルエチル基など)およびアルキルアリール基(メチルフェニル、エチルフェニルおよびノニルフェニル基など)が挙げられる。R4のうち好ましいのは炭素数1〜12のアルキル基である。
Mで示されるr価のカチオン基としては、rが1のもの[ナトリウム、カリウムおよびリチウムなどのアルカリ金属、アンモニウム、1級アミン、2級アミン、3級アミン並びにテトラハイドロカルビル(1つのハイドロカルビル基の炭素数1〜18)アンモニウムなど]およびrが2のもの[カルシウムおよびマグネシウムなどのアルカリ土類金属など]が挙げられる。Mのうち好ましいのはアルカリ金属およびアンモニウムである。
一般式(1)におけるAで表される炭素数2〜4のアルキレン基としては、エチレン、プロピレンおよびブチレン基が挙げられる。
これらのうち、製造しやすさの観点等から、エチレンおよびプロピレン基が好ましい。
これらのアルキレン基は、1種類でも2種類以上の混合でもよい。2種類以上の混合のとき、n個の(AO)の結合様式はブロック、ランダム及びこれらの組合せのいずれでもよい。また、nは、1〜200、好ましくは1〜100、さらに好ましくは1〜20の整数である。
一般式(1)におけるXは、−COOM1/r、−COOR1、−CONRR23又は−CNで表される基であり、Mはおよびrは前述と同様であり、R1は炭素数1〜36の炭化水素基であり、前述のR4で挙げた基と同様の基が挙げられ、好ましいのは炭素数1〜24のアルキル基である。R2およびR3は水素原子または炭素数1〜6の炭化水素基であり前述のR4で挙げた基のうちの炭素数1〜4の基が挙げられる。
Xのうち好ましいのは、耐加水分解性の観点から、−COOM1/rおよびCOOR1で表される基である。
一般式(1)で表されるアニオン性ビニルモノマーとしては、以下の(a)〜(f)等の種類のものが例示される。
(a)モノカルボン酸(塩)[Qが一般式(2)で表される基で、Xが−COOR1、−CONRR23又は−CNで表される基]、
(b)ジカルボン酸(塩)[Qが一般式(2)で表される基で、Xが−COOM1/r]、
(c)モノ硫酸エステル(塩)[Qが一般式(3)で表され、p=0である基で、Xが−COOR1、−CONRR23または−CNで表される基]、
(d)モノ硫酸エステルモノカルボン酸(塩)[Qが一般式(3)で表され、p=0である基で、Xが−COOM1/rで表される基]、
(e)モノ燐酸エステル(塩)[Qが一般式(4)で表される基で、Xが−COOR1、−CONRR23または−CNで表される基]、
(f)スルホコハク酸エステル(塩)[Qが一般式(5)で表される基]、
(g)スルホコハク酸エステル(塩)[Qが一般式(6)で表される基]、
上記(a)〜(g)の具体例としては以下の化合物が挙げられる。
(a)
α−(カルボキシメチルオキシエチルオキシメチル)アクリル酸アルキルエステル、α−{カルボキシメチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル}アクリル酸アルキルエステル、α−(カルボキシメチルオキシプロピルオキシメチル)アクリル酸アルキルエステル、α−{カルボキシエチル(ポリオキシプロピレン)オキシメチル}アクリル酸アルキルエステル、α−{カルボキシメチル(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン)オキシメチル}アクリル酸アルキルエステル;α−(カルボキシメチルオキシエチルオキシメチル)N,N−ジアルキルアクリルアミド、α−{カルボキシメチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル}N,N−ジアルキルアクリルアミド、α−(カルボキシメチルオキシプロピルオキシメチル)N,N−ジアルキルアクリルアミド;α−(カルボキシメチルオキシエチルオキシメチル)アクリロニトリル、α−{カルボキシメチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル}アクリロニトリル、α−(カルボキシメチルオキシプロピルオキシメチル)アクリロニトリル;並びにこれらの塩、
(b)
α−(カルボキシメチルオキシエチルオキシメチル)アクリル酸、α−{カルボキシメチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル}アクリル酸、α−(カルボキシメチルオキシプロピルオキシメチル)アクリル酸、α−{カルボキシエチル(ポリオキシプロピレン)オキシメチル}アクリル酸、α−{カルボキシメチル(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン)オキシメチル}アクリル酸、およびこれらの塩、
(c)
α−(ヒドロキシエチルオキシメチル)アクリル酸アルキルエステルの硫酸エステル、α−{ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル}アクリル酸アルキルエステルの硫酸エステル、α−(ヒドロキシオキシプロピルオキシメチル)アクリル酸アルキルエステルの硫酸エステル、α−{ヒドロキシプロピル(ポリオキシプロピレン)オキシメチル}アクリル酸アルキルエステルの硫酸エステル、α−{ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン)オキシメチル}アクリル酸アルキルエステルの硫酸エステル; α−(ヒドロキシエチルオキシメチル)N,N−ジアルキルアクリルアミドの硫酸エステル、α−{ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル}N,N−ジアルキルアクリルアミドの硫酸エステル、α−(ヒドロキシオキシプロピルオキシメチル)N,N−ジアルキルアクリルアミドの硫酸エステル;α−(ヒドロキシエチルオキシメチル)アクリロニトリルの硫酸エステル、α−{ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル}アクリロニトリルの硫酸エステル、α−(ヒドロキシオキシプロピルオキシメチル)アクリロニトリルの硫酸エステル;およびこれらの塩、
(d)
α−(ヒドロキシエチルオキシメチル)アクリル酸の硫酸エステル、α−{ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル}アクリル酸の硫酸エステル、α−(ヒドロキシオキシプロピルオキシメチル)アクリル酸の硫酸エステル、
(e)
α−(ヒドロキシエチルオキシメチル)アクリル酸アルキルエステルの燐酸エステル、α−{ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル}アクリル酸アルキルエステルの燐酸エステル、α−(ヒドロキシオキシプロピルオキシメチル)アクリル酸アルキルエステルの燐酸エステル;α−(ヒドロキシエチルオキシメチル)N,N−ジアルキルアクリルアミドの燐酸エステル、α−{ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル}N,N−ジアルキルアクリルアミドの燐酸エステル;α−(ヒドロキシエチルオキシメチル)アクリロニトリルの燐酸エステル、α−{ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル}アクリロニトリルの燐酸エステル;およびこれらの塩、
(f)
α−(ヒドロキシエチルオキシメチル)アクリル酸アルキルエステルのスルホコハク酸モノエステル、α−{ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル}アクリル酸アルキルエステルのスルホコハク酸モノエステル、α−(ヒドロキシオキシプロピルオキシメチル)アクリル酸アルキルエステルのスルホコハク酸モノエステル;α−(ヒドロキシエチルオキシメチル)N,N−ジアルキルアクリルアミドのスルホコハク酸モノエステル、α−{ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル}N,N−ジアルキルアクリルアミドのスルホコハク酸モノエステル;α−(ヒドロキシエチルオキシメチル)アクリロニトリルのスルホコハク酸モノエステル、α−{ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル}アクリロニトリルのスルホコハク酸モノエステル;およびこれらの塩、
(g)
α−(ヒドロキシエチルオキシメチル)アクリル酸アルキルエステルおよびアルカノールのスルホコハク酸ジエステル、α−{ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル}アクリル酸アルキルエステルおよびアルカノールのスルホコハク酸ジエステル;
α−{ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル}N,N−ジアルキルアクリルアミドおよびアルカノールのスルホコハク酸ジエステル;α−{ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル}アクリロニトリルおよびアルカノールのスルホコハク酸ジエステル;およびこれらの塩、
本発明のアニオン性ビニルモノマーは、以下の公知の製造方法を組み合わせて得ることができる。
(1)α−ヒドロキシメチル化反応;
[α−ヒドロキシメチルアクリル酸アルキルエステル、α−ヒドロキシメチルアクリロニトリルまたはN,N−ジアルキル−α−ヒドロキシメチルアクリルアミドの製造]
アクリル酸アルキルエステル、アクリロニトリルまたはN,N−ジアルキルアクリルアミドとホルムアルデヒドとを三級アミンの存在下に反応させることにより、α−ヒドロキシメチルアクリル酸アルキルエステル、α−ヒドロキシメチルアクリロニトリルまたはN,N−ジアルキル−α−ヒドロキシメチルアクリルアミドを得る(たとえば、特開昭61−134353号公報、米国特許第4654432号明細書、特開平5−70408号公報)。
(2)α−ヒドロキシメチル基へ(ポリ)オキシアルキレン基の導入;
α−ヒドロキシメチルアクリル酸アルキルエステル、α−ヒドロキシメチルアクリロニトリルまたはN,N−ジアルキル−α−ヒドロキシメチルアクリルアミドのヒドロキシル基に、炭素数2〜4のアルキレンオキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびブチレンオキシド等)を開環付加反応させる(公知のアルカリまたは酸触媒が使用できる)。
(3)Xの加水分解等;
[カルボン酸(Xが−COOH)またはカルボン酸塩(Xが−COOM1/r)へ誘導]
α−ヒドロキシメチルアクリル酸アルキルエステル、α−ヒドロキシメチルアクリロニトリルまたはN,N−ジアルキル−α−ヒドロキシメチルアクリルアミドの(ポリ)オキシアルキレン誘導体を加水分解する(たとえば、第4版実験化学講座22、有機合成IV−酸・アミノ酸・ペプチド−、平成4年11月30日、(財)日本化学会編、丸善株式会社発行)。
[その他の加水分解]
カルボン酸ニトリル(Xが−CN)から、アミド(Xが−CONH2)へ加水分解することもできる(たとえば、上記の実験化学講座22、151〜156頁)。
また、カルボン酸アルキルエステル(Xが−COOR1)から、アミド(Xが−CONR23)へ変換することもできる(たとえば、上記の実験化学講座22、148〜151頁)。
カルボン酸ニトリル(Xが−CN)から、カルボン酸エステル(Xが−COOR1)へ変換することができる(たとえば、上記の実験化学講座22、53頁)。
(4)アニオン基の導入;
[一般式(2)で示されるアニオン基の導入]
(ポリ)オキシアルキレン基の末端水酸基への一般式(2)で示される基の導入は、通常のカルボキシアルキル化方法により行うことができる。例えばアルカリ(水酸化ナトリウムなど)の存在下にモノハロゲン化アルキルカルボン酸(アルキル基の炭素数1〜6好ましくは1;モノクロル酢酸、モノブロム酢酸など)を反応させる方法、ならびにアルカリの存在下にアクリロニトリル又はアクリル酸低級アルキル(炭素数1〜4)エステルをマイケル付加させた後加水分解する方法が挙げられる。これらの場合、水酸基に対するモノハロゲン化アルキルカルボン酸、アクリロニトリル又はアクリル酸低級アルキルエステルの当量比は通常0.95〜1.5/水酸基である。また反応温度は通常30〜120℃である。アニオン化度は通常90モル%以上であり、好ましくは95モル%以上である。
[一般式(3)で示されるアニオン基の導入]
(ポリ)オキシアルキレン基の末端水酸基への一般式(3)で示される基の導入は、通常のスルホン化または硫酸化方法、例えばクロロスルホン酸、無水硫酸、スルファミン酸または硫酸を反応させる方法により行うことができる。無水硫酸については、乾燥窒素等で希釈して用いる。いずれの場合も、硫酸化剤のモル比は通常0.95〜1.03/水酸基であり、反応温度は、クロロスルホン酸または無水硫酸の場合は0〜70℃、スルファミン酸または硫酸の場合は50〜150℃である。結合硫酸量の測定によって求められるアニオン化度は通常90%モル以上であり、好ましくは95モル%以上である。
[一般式(4)で示されるアニオン基の導入]
(ポリ)オキシアルキレン基の末端水酸基への一般式(4)で示される基の導入は、通常のリン酸化方法、例えばリン酸、ポリリン酸、無水リン酸、オキシ塩化リン等のリン酸化剤と反応させる方法により行うことができる。一例として、無水リン酸との反応は、反応温度30〜150℃で、窒素雰囲気中で行うことができる。無水リン酸を使用する場合、無水リン酸のモル比は通常0.7〜1.5/水酸基である。生成物の酸価の測定によって求められるアニオン化度は通常90モル%以上であり、好ましくは95モル%以上である。
[一般式(5)で示されるアニオン基の導入]
(ポリ)オキシアルキレン基の末端水酸基への一般式(5)で示される基の導入は、通常のスルホコハク酸エステル化方法(マレイン化しスルホン化する方法)、例えば無水マレイン酸と(ポリ)オキシアルキレン化物を無触媒で非水系で反応させ、マレイン酸ハーフエステルであるモノエステルを製造し、さらに、亜硫酸塩または酸性亜流酸塩を反応させる方法により行うことができる。ハーフエステル化反応の温度は通常40〜150℃であり、無水マレイン酸のモル比は0.9〜1.1/水酸基である。スルホン化の温度は40〜100℃であり、亜硫酸塩または酸性亜流酸塩の当量比は0.9〜1.5/水酸基である。結合硫酸量の測定によって求められるアニオン化度は通常90%以上であり、好ましくは95%以上である。
[一般式(6)で示されるアニオン基の導入]
(ポリ)オキシアルキレン基の末端水酸基への一般式(6)で示される基の導入は、
上記のマレイン酸ハーフエステルを製造した後、さらに炭素数1〜36の炭化水素基を有するアルコールを脱水しながら(必要により触媒、アルカリ触媒もしくは酸触媒を使用し)エステル化し、さらに、上記と同様にして亜硫酸塩または酸性亜流酸塩を反応させる方法により行うことができる。脱水エステル化の温度は通常80〜150℃、好ましくは80〜120℃である。
本発明のアニオン性ビニルモノマー は、必要により、各工程の反応生成物を精留、抽出及び再結晶等の精製方法により精製してもよい。
本発明のアニオン性ビニルモノマーの製造における反応の順序は、好ましくは(1)−(2)−(4)又は(1)−(2)−(3)−(4)の順序である。
本発明のビニル重合性乳化剤は、上記のアニオン性ビニルモノマーからなる乳化剤であり、ビニルモノマーの乳化重合において、乳化性と共重合性を発揮するものである。
ビニル重合性乳化剤としては、乳化性の観点から、一般式(1)におけるXが−COOR1で、R1が炭素数6〜36であるものが好ましく、それらのうちQが一般式(6)で表されるものである場合は、R1またはR4のいずれかが炭素数6〜36であることが好ましい。
本発明のビニル重合体エマルジョンは、上記のビニル重合性乳化剤を用いてビニルモノマーを乳化重合して得られるビニル重合体エマルジョンである。
本発明のアニオン性ビニルモノマーからなるビニル重合性乳化剤(A)を用いて乳化重合できるビニルモノマー(m)としては以下のアニオン性モノマー(m1)、カチオン性モノマー(m2)および非イオン性モノマー(m3)〜(m9)が挙げられる。
アニオン性モノマー(m1);(本発明のアニオン性ビニルモノマー以外のアニオン性モノマー)
(m11)カルボキシル基含有ビニルモノマーおよびそれらの塩;
カルボキシル基を1個含有するビニルモノマー、例えば、不飽和モノカルボン酸[(メタ)アクリル酸、α−メチル(メタ)アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸など]、不飽和ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数1〜8)エステル[マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステルなど]など;カルボキシル基を2個以上含有するビニル単量体、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸およびアコニット酸などが挙げられる。
塩としては、アルカリ金属(カリウム、ナトリウム等)塩、アンモニウム塩、アミン(アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルアミン等:たとえば、トリメチルアミン、トリエタノールアミン、モノブチルアミン)塩、第4級アンモニウム塩(アルキル基の炭素数が1〜4のテトラアルキルアンモニウム塩:たとえば、テトラメチルアンモニウム塩、トリメチルエチルアンモニウム塩)等が含まれる。
(m12)スルホン酸基含有ビニルモノマーおよびそれらの塩;
炭素数2〜6のアルケンスルホン酸[ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸など]、炭素数6〜12の芳香族ビニル基含有スルホン酸[α−メチルスチレンスルホン酸など]、スルホン酸基含有(メタ)アクリルエステル系単量体[スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸など]、スルホン酸基含有(メタ)アクリルアミド系モノマー[2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸など]、スルホン酸基と水酸基を含有するビニルモノマー[3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸など]、アルキル(炭素数3〜18)アリルスルホコハク酸エステル[ドデシルアリルスルホコハク酸エステルなど]などが挙げられる。塩としては上記と同様の塩が挙げられる。
(m13)硫酸基含有ビニルモノマーおよびそれらの塩;
(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレートの硫酸化物などが挙げられる。塩としては上記と同様の塩が挙げられる。、
(m14)リン酸エステル基含有ビニルモノマーおよびそれらの塩;
例えば、リン酸モノアルケニルエステル(炭素数2〜12)[リン酸ビニル、リン酸アリル、リン酸プロペニル、リン酸イソプロペニル、リン酸ブテニル、リン酸ペンテニル、リン酸オクテニル、リン酸デセニル、リン酸ドデセニルなど]、(メタ)アクリロイロキシアルキル(炭素数1〜12)リン酸エステル[(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート、(メタ)アクリロイロキシイソプロピルホスフェートなど]、ポリ(n=2〜20)オキシエチレンモノ(メタ)アクリレートエステルのリン酸エステルなどが挙げられる。塩としては上記と同様の塩が挙げられる。
(m2)カチオン性モノマー;
(m21)1級もしくは2級アミノ基含有モノマー:
アミノアルキル(炭素数1〜8)(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリルアミド[アミノエチル(メタ)アクリレート、アミノプロピル(メタ)アクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミドなど]およびこれらのモノアルキル(炭素数1〜6)置換体[モノメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モノエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレートなど]およびモノ(メタ)アリルアミンなどが挙げられる。
(m22)3級アミノ基含有モノマー:
ジアルキル(炭素数1〜4)アミノアルキル(炭素数1〜8)(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリルアミド[ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなど]、並びにモルホリノエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
(m23)第4級アンモニウム塩基含有モノマー:
上記の(m21)の第4級アンモニウム塩化物、例えば塩化トリメチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよび塩化ジメチルジアリルなどが挙げられる。
(m3)非イオン性モノマー;
(m31)水酸基含有ビニルモノマー;
(ポリ)アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート[アルキレン基としては、炭素数2〜20、好ましくは2〜6のアルキレン基、アルキレングリコール単位数は1〜50、好ましくは1〜20、具体例としては、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(エチレングリコールの単位数9〜18)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(プロピレングリコールの単位数3)モノ(メタ)アクリレートなど]、ビニルアルコール(酢酸ビニル単位の加水分解により形成される)、炭素数3〜12のアルケノール[アリルアルコール、メタリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、1−オクテノール、1−ウンデセノールなど]、炭素数4〜12のアルケンジオール[2−ブテン−1,4−ジオールなど]、ヒドロキシアルキル(炭素数1〜6)アルケニル(炭素数3〜10)エーテル[2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル、p−ヒドロキシスチレンおよびトリエタノールアミンジ(メタ)アクリレートなど]が挙げられる。
その他、本発明のアニオン性ビニルモノマーにおいてアニオン基を導入する前の化合物が挙げられる。
(m32)非置換アミド基含有ビニルモノマー;
(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
(m33)N−アルキル置換(メタ)アクリルアミド;
N−モノアルキル(炭素数1〜30、好ましくは4〜30、さらに好ましくは8〜30の直鎖もしくは分岐)置換(メタ)アクリルアミド[例えばN−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−2−エチルへキシル(メタ)アクリルアミド、N−デシル(メタ)アクリルアミド、N−ドデシル(メタ)アクリルアミド、N−オクタデシル(メタ)アクリルアミド、N−2−デシルテトラデシル(メタ)アクリルアミドおよび(メタ)アクリルアミドなど]、N,N−ジアルキル(炭素数1〜30、好ましくは4〜30、さらに好ましくは8〜30の直鎖もしくは分岐)置換(メタ)アクリルアミド[例えばN,N−ジオクチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジドデシル(メタ)アクリルアミドなど]およびエチレンジ(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
(m34)(メタ)アクリル酸エステル;
(m341)(メタ)アクリル酸アルキルエステル;
アルキル基としては炭素数1〜32(好ましくは1〜24)の直鎖または分岐のアルキル基が挙げられ、具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸2−デシルテトラデシルおよび(メタ)アクリル酸テトラコシルなどが挙げられる。
(m342)(メタ)アクリル酸アルケニルエステル;
アルケニル基としては、炭素数1〜30の直鎖または分岐のアルケニル基が挙げられ、例えば(メタ)アクリル酸ブテニル、(メタ)アクリル酸オクテニル、(メタ)アクリル酸デセニル、(メタ)アクリル酸ドデセニル、(メタ)アクリル酸オレイルなどが挙げられる。
(m343)(ポリ)アルキレングリコールのモノアルキルエーテルのモノ(メタ)アクリル酸エステル;
アルキレン基としては前述の基などが挙げられる。またモノアルキルエーテルを構成するアルキル基としては炭素数が1〜20、好ましくは1〜18の直鎖または分岐アルキル基が挙げられ、前述のアルキル基が挙げられる。(ポリ)アルキレングリコールにおけるアルキレングリコールの単位の数は好ましくは1〜50、さらに好ましくは1〜20である。
具体例としては、ポリエチレングリコール(エチレングリコールの単位数6)モノメチルエーテルモノメタクリレート、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテルモノメタクリレート、ポリプロピレングリコール(プロピレングリコールの単位数3)モノブチルエーテルモノメタクリレートなどが挙げられる。
(m35)(メタ)アクリル酸以外の不飽和カルボン酸のエステル;
(メタ)アクリル酸以外の不飽和モノカルボン酸[クロトン酸など]の炭素数1〜30のアルキル、シクロアルキルもしくはアラルキルエステル、ならびに不飽和ジカルボン酸[マレイン酸、フマール酸、イタコン酸など]の炭素数1〜24のアルキルジエステル[マレイン酸ジメチル、フマル酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジオクチルなど]が挙げられる。
(m36)脂肪族ビニル系炭化水素;
炭素数2〜30のアルケン[エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、1−ヘプテン、4-メチルペンテン−1,1−ヘキセン、ジイソブチレン、1−オクテン、1−ドデセン、1−オクタデセンおよびその他のα−オレフィンなど]、炭素数4〜18のアルカジエン[好ましくは炭素数4〜5のブタジエン、イソプレン、その他1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエンおよび1,7−オクタジエンなど]などが挙げられる。
(m37)アルキルアルケニルエーテル;
炭素数1〜30の直鎖または分岐アルキル基を有するアルキルビニルエーテル、アルキル(メタ)アリルエーテル、アルキルプロペニルエーテルおよびアルキルイソプロペニルエーテルなどが挙げられ、好ましくは炭素数1〜24のアルキル基である。具体的には、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテルなど、アルキル(メタ)アリルエーテルとしては、メチルアリルエーテル、エチルアリルエーテル、n−ブチルアリルエーテルなどが挙げられる。これらのうちで好ましいものは、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、メチルアリルエーテルおよびエチルアリルエーテルである。
(m38)脂肪酸ビニルエステル;
脂肪酸としては総炭素数1〜30、好ましくは1〜24、さらに好ましくは1〜18の直鎖状または分岐状の脂肪酸が挙げられ、飽和または不飽和のいずれであってもよい。具体的には、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、ヘプタン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニルおよびn−オクタン酸ビニル、オレイン酸ビニル、リノール酸ビニル、リノレン酸ビニルなどが挙げられる。
(m39)ビニルケトン類;
炭素数1〜8のアルキルもしくはアリールのビニルケトン[メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、フェニルビニルケトンなど]が挙げられる。
(m310)脂環基(炭素数5〜24)含有ビニルモノマー;
シクロヘキセン、(ジ)シクロペンタジエン、ビニルシクロヘキセン、エチリデンビシクロヘプテン、ピネン、リモネン、インデン、シクロアルキルカルボン酸ビニルエステル[シクロヘキサン酸ビニル、シクロオクタン酸ビニル、デカヒドロナフチル酸ビニルなど]、シクロアルキルカルボン酸プロペニルエステル[ビシクロペンチル酸プロペニルなど]、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル[(メタ)アクリル酸シクロヘキシルおよび(メタ)アクリル酸デカヒドロナフチルなど]、(メタ)アクリル酸シクロアルキルアルキルエステル[(メタ)アクリル酸シクロヘキシルエチルなど]、シクロヘキシル(メタ)アクリル酸メチル、シクロヘプチル(メタ)アクリル酸エチルなどが挙げられる。
(m311)芳香族ビニル系炭化水素;
スチレン、置換スチレン(置換基の炭素数1〜18)[アルキル置換スチレン(好ましくはα−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレンなど)、シクロアルキル置換スチレン(シクロヘキシルスチレンなど)、アリール置換スチレン(フェニルスチレンなど)、アラルキル置換スチレン(ベンジルスチレンなど)、アシル基置換スチレン(アセトキシスチレンなど)、フェノキシ基置換スチレン(フェノキシスチレンなど)など]、ジビニル置換芳香族炭化水素[好ましくはジビニルベンゼン、その他ジビニルトルエンおよびジビニルキシレンなど]、ビニルナフタレンなどが挙げられる。
(m312)上記以外の非イオン性モノマー;
ニトリル基含有モノマー[(メタ)アクリロニトリルおよびシアノスチレンなど]、ニトロ基含有モノマー[4−ニトロスチレンなど]およびハロゲン含有ビニルモノマー[塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、塩化(メタ)アリル、ハロゲン化スチレン(モノおよびジクロルスチレン、テトラフルオロスチレンおよび塩化アリルなど)]が挙げられる。
本発明のビニル重合体エマルジョンは、上記のアニオン性ビニルモノマーをビニル重合性乳化剤(A)として用いてビニルモノマーを乳化重合して得られる。
本発明のビニル重合体エマルジョンを製造する方法について以下に述べる。
ビニル重合性乳化剤(A)と、他のビニルモノマー(m)の込みモル%の比(A)/(m)は、好ましくは0.1〜15%/85〜99.9%、好ましくは0.2〜10%/90〜99.8%である。
(A)が0.1%以上であれは乳化重合時に乳化状態が不安定になりにくく、凝集物が少ない。また、15%以下であればエマルジョンから生成するフィルムの耐水性が比較的良好である。
(A)の使用時期は、(1)乳化重合反応の際の乳化剤として添加する方法、あるいは(2)生成したエマルジョンに後から添加する方法のいづれでもよい。
(1)の方法は、従来から行われている乳化重合の方法で行えばよい。すなわち、本発明の(A)単独、または必要により他の公知の乳化重合用乳化剤(M)を併用して、水性媒体中で撹拌下に所定温度で(m)および重合開始剤を一括で、または分割して、あるいは連続的に供給することにより行われる。
(m)はそのままで、あるいは水と他の乳化剤により(m)のエマルジョンの状態で供給される。
乳化重合時の系内における(A)+(m)の濃度としては仕込原料の全量に基づいて通常20〜70重量%、好ましくは30〜60重量%である。重合開始剤および促進剤としては公知のものを使用すればよく、たとえば重合開始剤としては、過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、t−ブチルヒドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリルおよびアゾビスイソバレロニトリル等が挙げられ、また促進剤としては、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄アンモニウムおよび硫酸銅等などが挙げられる。
必要により併用される他の乳化重合用乳化剤(M)としては、ノニオン性乳化重合用乳化剤、アニオン性乳化重合用乳化剤、カチオン性乳化重合用乳化剤、両性乳化重合用乳化剤、および(A)以外のビニル重合性乳化剤が挙げられる。
ノニオン性乳化重合用乳化剤としては、脂肪族系アルコール(炭素数8〜24)アルキレンオキサイド(炭素数2〜8)付加物(重合度=1〜100)、(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)高級脂肪酸(炭素数8〜24)エステル[モノステアリン酸ポリエチレングリコール(重合度=20)、ジステアリン酸ポリエチレングリコール(重合度=30)等]、多価(2価〜10価またはそれ以上)アルコール脂肪酸(炭素数8〜24)エステル[モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸エチレングリコール、モノラウリン酸ソルビタン等]、(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8,重合度=1〜100)多価(2価〜10価またはそれ以上)アルコール高級脂肪酸(炭素数8〜24)エステル[モノラウリン酸ポリオキシエチレン(重合度=10)ソルビタン、ポリオキシエチレン(重合度=50)ジオレイン酸メチルグルコシド等]、脂肪酸アルカノールアミド[1:1型ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、1:1型ラウリン酸ジエタノールアミド等]、(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)アルキル(炭素数1〜22)フェニルエーテル、(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)アルキル(炭素数8〜24)アミノエーテルおよびアルキル(炭素数8〜24)ジアルキル(炭素数1〜6)アミンオキシド[ラウリルジメチルアミンオキシド等]等が挙げられる。
アニオン性乳化重合用乳化剤としては、炭素数8〜24の炭化水素系エーテルカルボン酸またはその塩、[(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルスルホコハク酸2ナトリウム等]、炭素数8〜24の炭化水素系硫酸エステル塩[ラウリル硫酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリル硫酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリル硫酸トリエタノールアミン、(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸ナトリウム、]、炭素数8〜24の炭化水素系スルホン酸塩[ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等]及び炭素数8〜24の炭化水素系リン酸エステル塩[ラウリルリン酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム等]、脂肪酸塩[ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸トリエタノールアミン等]、アシル化アミノ酸塩[ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸ザルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸ザルコシントリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム等]が挙げられる。
カチオン性乳化重合用乳化剤としては、アルキル(炭素数1〜4)硫酸高級脂肪酸アミノアルキル(炭素数2〜4)トリアルキル(炭素数1〜4)アンモニウム塩[(エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム等)]、アミン塩型[ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド乳酸塩、ジラウリルアミン塩酸塩、オレイルアミン乳酸塩等]等が挙げられる。
両性乳化重合用乳化剤としては、ベタイン型両性界面活性剤[ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ラウロイルアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタインヒドロキシプロピルリン酸ナトリウム等]、アミノ酸型両性界面活性剤[β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等]が挙げられる。
(A)以外のビニル重合性乳化剤としては、例えば、特公昭49−46291号公報に記載のスルホコハク酸エステル型界面活性剤;特開昭62−100502号公報、特開昭63−23725号公報、特開平4−50202号公報、及び特開平4−50204号公報等に記載のアリル基又はプロペニル基を有する炭化水素置換フェノールのアルコキシレート;特開昭62−104802号公報等に記載の炭化水素基又はアシル基を有するグリセリン誘導体のアルコキシレート;特開昭62−11534号公報に記載のホルムアルデヒドで架橋した(置換)フェノールの誘導体;特開昭63−319035号公報、特開平4−50204号公報等に記載のα−オレフィンオキシド由来のアルキル基を含むもの等が挙げられる。
(M)を併用する場合の、(A)+(M)と(m)の込み重量%の比[(A)+(M)]/(m)は、好ましくは0.2〜20%/80〜99.8%、好ましくは0.3〜15%/85〜99.7%である。
乳化重合の安定化の目的で、さらに保護コロイド剤、例えば部分ケン化ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどを使用することができるが、多量に使用すると本発明の目的に反するので本発明の(A)の重量に基づいて20重量以下が好ましい。重合は必要に応じてその他の添加剤、例えば、PH調整剤、連鎖移動剤、キレート剤などが使用される。重合温度は、重合しようとするモノマーの種類によって異なるが、通常−5〜100℃である。また普通に用いられる水系媒体として水の他にメタノール、イソプロパノール、アセトン、エチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等の有機溶剤を併用してもよい。また、必要に応じて、乳化重合時または生成したエマルジョンに消泡剤、粘度調整剤、造膜助剤、防腐剤、凍結安定剤、架橋剤、可塑剤、帯電防止剤、顔料、染料などの添加剤を加えてもよい。
本発明のアニオン性ビニルモノマーを必須構成モノマーとしてなるビニル重合体は、上記の乳化重合で得られるエマルジョンの形態以外に、溶融液状、塊状または溶液状で得られるビニル重合体を包含するものである。
これらのビニル重合体の製造方法は、公知の重合方法を適用でき、たとえば、溶液重合、懸濁重合、塊状重合または逆相懸濁重合のいずれでもよい。これらの重合方法のうち
好ましくは溶液重合および逆相懸濁重合、特に好ましくは溶液重合である。これらの重合には、公知の、重合開始剤、連鎖移動剤又は溶媒等が使用できる。
本発明のビニル重合体は、従来の(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレートのアニオン化物などの問題点であった溶液重合中または乳化重合中に加水分解が少なからず起こるという問題点が少なく、高温(例えば、50〜80℃)での耐加水分解性が良好であるので、重合操作中の加水分解も抑制され、容易に目的のポリマーを製造しやすい。
また、本発明のアニオン性ビニルモノマーは、放射線硬化型組成物の構成成分とすることもできる。この場合、加水分解されにくいので、放射線硬化型組成物には、水溶液やエマルションの形態等のように水を含有させることができる。
本発明のビニル重合体は、例えば樹脂成型品(繊維、板状品、ブロック状品など)であってもよい。これらの樹脂成形品は、樹脂の重合時に上記のアニオン性ビニルモノマーを共重合することによって得られ、その成型品は顔料分散性、調色性、染色性、帯電防止性、表面塗装性または防曇性等を改良することができる。
このような樹脂成型品の改質剤として使用される場合の、(A)と(m)の仕込みモル%(A)/(m)は、好ましくは0.1〜50%/50〜99.9%、好ましくは0.2〜30%/70〜99.8%である。
[実施例]
以下の実施例により本発明を更に説明するが本発明はこれに限定されるものではない。
部および%は特記しない限り重量部および重量%を意味する。
<実施例1>
[α−{カルボキシメチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル}アクリル酸メチルの製造]一般式(1)におけるQが一般式(2)で表される基であって、MはNa、pは0、Aはエチレン基、nは10、XはCOOR1であってR1はメチル基のもの:
加熱撹拌装置および冷却器を備えたガラス製反応容器に、アクリル酸メチル86部(1モル部)、37%ホルムアルデヒド水溶液(メタノール含有量7%)122部(1.5モル部)、1,4−ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン(DABCO)7部(63ミリモル部)、メトキシハイドロキノン0.03部及びアセトニトリル100部を仕込み、均一混合した後、80〜82℃で1時間反応させた。この反応液を40℃に冷却し、濃塩酸でpH5.0に調整した後、トルエン200部で抽出した。ついで、抽出物からトルエンを留去して、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル(HMMA)の粗生成体を得た。
HMMAの粗生成体130部を水150部に溶解した後、石油エーテル60部を用いて不純物を3回抽出除去した。ついで、HMMA水溶液に食塩を飽和になるまで溶解させた後、トルエン抽出し、HMMAを精製した(純度98.5%)。
加熱撹拌装置および冷却器を備えたガラス製耐圧反応容器に、HMMA118部(1モル部)、三フッ化硼素(ジエチルエーテル錯体)0.5部およびメトキシハイドロキノン0.03部を混合し、60℃に調整した後、60℃でエチレンオキシド440部(10モル部)を滴下して反応させることにより、α−{ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル}アクリル酸メチル(OHMMA)を得た。
OHMMA556部(1モル部)に、粉末状の水酸化ナトリウム40部(1モル部)およびモノクロル酢酸113部(1.2モル部)を加えて60〜65℃で12時間反応させて、OHMMAのカルボキシメチル化物(COHMMA)[ α−{カルボキシメチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル}アクリル酸メチル]の粗生成体を得た。粗生成体をシリカゲルを充填した分離カラムを通してを精製した(純度95.0%)。
<実施例2>
[α−{ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル}アクリル酸メチルの硫酸エステル(アンモニウム塩)の製造]一般式(1)におけるQが一般式(3)で表される基であって、Mはアンモニウム、pは0、Aはエチレン基、nは10、XはCOOR1であってR1はメチル基のもの:
実施例1と同様にして得られたOHMMA556部(1モル部)に、スルファミン酸100部(1.03モル部)および塩化第1銅0.001部を加えて、95℃で13時間反応させて、OHMMAの硫酸化物(SOHMMA)[ α−{ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル}アクリル酸メチルの硫酸エステル(アンモニウム塩)](純度94.0%)を得た。
<実施例3>
[α−{ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル}アクリル酸メチルのスルホコハク酸モノエステルの製造]一般式(1)におけるQが一般式(5)で表される基であって、MはNa、Aはエチレン基、nは10、XはCOOR1であってR1はメチル基のもの:
実施例1と同様にして得られたOHMMA556部(1モル部)に、無水マレイン酸98部(1.0モル部)および塩化第1銅0.001部を加えて、60℃で6時間反応させて、マレイン酸のOHMMAハーフエステル化物を得た。さらに酸性亜硫酸ナトリウム114部(1.1モル部)を加えて90℃で10時間反応させて、OHMMAのスルホコハク酸モノエステル(UOHMMA)[α−{ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル}アクリル酸メチルのスルホコハク酸モノエステル](純度94.3%)を得た。
<実施例4>SOHMMAとアクリル酸との共重合体の製造:
実施例2で得られたSOHMMAのうちの65部(0.1モル部)をアクリル酸288部(4.0モル部)に溶解させてモノマー混合液を調整した。開始剤溶液として過硫酸アンモニウム6部を水60部に溶解させた溶液を調整した。
加熱装置、撹拌装置、冷却器および窒素導入官を備えたガラス製反応容器に水1,000部およびイソプロピルアルコール100部を仕込み、窒素置換した後、84℃に昇温し、撹拌しながら、上記モノマー混合液および開始剤溶液を3時間かけて等速度で滴下した。その後、さらに3時間同温度で熟成した後、30%水酸化ナトリウム水溶液533部(4.0モル部)を2時間かけて滴下して中和した。系内の温度を徐々に昇温し、イソプロピルアルコールと水の混合物を留去し、 ポリマー成分が30%のα−{ヒドロキシエチル(ポリオキシエチレン)オキシメチル}アクリル酸メチルの硫酸エステル(アンモニウム塩)とアクリル酸ナトリウムの共重合体(P−SOHMMA/A)の水溶液を得た。数平均分子量(GPCによる測定)は8,000であった。
<比較例1>
[ポリエチレングリコールモノアクリレートのカルボキシメチル化物の製造]
加熱撹拌装置および冷却器を備えたステンレス製耐圧反応容器に、アクリル酸72部(1モル部)、三フッ化硼素ジエチルエーテル錯体0.1部およびメトキシハイドロキノン0.08部を混合し、60℃に調整した後、60℃でエチレンオキシド440部(10モル部)を滴下して反応させることにより、ポリエチレングリコールモノアクリレート(OHAA)を得た。
OHAA512部(1モル部)に、粉末状の水酸化ナトリウム40部(1モル部)およびモノクロル酢酸113部(1.2モル部)を加えて60〜65℃で12時間反応させて、OHAAのカルボキシメチル化物(COHAA)[ポリエチレングリコールモノアクリレートのカルボキシメチル化物]の粗生成体を得た。粗生成体をシリカゲルを充填した分離カラムを通して精製した(純度96.1%)。
<比較例2>
[ポリエチレングリコールモノアクリレートの硫酸化物の製造]
加熱撹拌装置および冷却器を備えたステンレス製耐圧反応容器に、アクリル酸72部(1モル部)、三フッ化硼素ジエチルエーテル錯体0.1部およびメトキシハイドロキノン0.08部を混合し、60℃に調整した後、60℃でエチレンオキシド440部(10モル部)を滴下して反応させることにより、ポリエチレングリコールモノアクリレート(OHAA)を得た。
比較例1と同様にして得られたOHAA512部(1モル部)に、スルファミン酸100部(1.03モル部)および塩化第1銅0.001部を加えて、95℃で13時間反応させて、OHAAの硫酸化物(SOHAA)[ ポリエチレングリコールモノアクリレートの硫酸化物(アンモニウム塩)](純度95.2%)を得た。
<比較例3>
[ポリエチレングリコールモノアクリレートのスルホコハク酸モノエステルの製造]
比較例1と同様にして得られたOHAA512部(1モル部)に、無水マレイン酸98部(1.0モル部)および塩化第1銅0.001部を加えて、60℃で6時間反応させて、マレイン酸のOHAAハーフエステル化物を得た。さらに酸性亜硫酸ナトリウム114部(1.1モル部)を加えて90℃で10時間反応させて、OHAAのスルホコハク酸モノエステル(UOHAA)[ポリエチレングリコールモノアクリレートのスルホコハク酸モノエステル](純度94.4%)を得た。
<比較例4>SOHAAとアクリル酸との共重合体の製造:
SOHMMAの代わりに、SOHAAを61部(0.1モル部)使用したこと以外は実施例4と同様にしてポリマー成分が30%のポリエチレングリコールモノアクリレートの硫酸化物(アンモニウム塩)とアクリル酸ナトリウムの共重合体(P−SOHAA/A)の水溶液を得た。数平均分子量(GPCによる測定)は7,800であった。
<耐加水分解性の評価>
実施例および比較例で得られたモノマーおよびポリマーについて耐加水分解性を評価した。評価方法は以下の通りである。
モノマーの30%水溶液200mlを調整し、300mlのガラス瓶に入れて密封し、30℃の恒温槽中で6ヶ月、または50℃の恒温槽中に2ヶ月間静置した。静置前後のモノマー中のポリエチレングリコール(PEG)およびポリエチレングリコールモノアニオン化物(PEG−A)の含有量(%)を液体クロマトグラフィーで測定した。
ポリマーの場合は、試料の濃度を5%水溶液にしたこと以外はモノマーの評価方法と同様にして、静置前後のポリマー中のPEGおよびポリエチレングリコールモノ硫酸化物(PEG−S)の含有量(%)を測定した。
耐加水分解性の評価結果を表1および表2に示す。
表1および表2の結果から、本発明のアニオン性ビニルモノマーおよびそれを用いて得られたビニルポリマーは、比較品に比べて室温および50℃における耐加水分解性に優れており、経日安定性が優れている。
上記の実施例1〜3および比較例1〜3で得られたアニオン性ビニルモノマーをビニル重合性乳化剤として用いて以下のようにビニル重合体エマルジョンを製造した。
実施例5〜7、比較例5〜7
攪拌機、滴下ロート、窒素導入管、温度計、および還流冷却器を付けた反応器にイオン交換水360部、実施例1〜3または比較例1〜3で得られたアニオン性ビニルモノマーを7.2部、重炭酸ナトリウム0.48部、過硫酸アンモニウム1.2部を仕込み、窒素置換後、撹拌下に75℃でメタクリル酸メチル130部、アクリル酸ブチル106部、メタクリル酸4部の混合モノマーを滴下ロートより3時間にわたって滴下し、さらに2時間80℃で熟成して乳化重合を行った。40℃に冷却後、28%のアンモニア水でPHを8〜9に調整した。得られたビニル重合体エマルジョンはモノマー転化率98%以上の乳白色のエマルジョンであった。
実施例8および9並びに比較例8および9
ガラスビーカーにイオン交換水172.8部、実施例1もしくは2または比較例1もしくは2で得られたアニオン性ビニルモノマーを7.2部、過硫酸アンモニウム0.72部、メタクリル酸メチル85.5部、アクリル酸ブチル85.5部を入れてホモミキサー「TKロボミックス」(特殊機化工業(株)製)で3,000rpmで2分間撹拌、乳化し、モノマーエマルジョンを作成した。別に、実施例5と同様の反応容器にイオン交換水79.2部、炭酸水素ナトリウム0.36部、過硫酸アンモニウム0.18部、およびモノマーエマルジョン10.0部を仕込み、窒素置換の後、75℃に昇温し、さらに75℃で15分間撹拌した後、80℃に昇温した。その後、残りのモノマーエマルジョンにメタクリル酸9.0部を加えて、ビーカー内をスターラーで撹拌しながら滴下ポンプを用いて全量を反応容器中に2時間かけて滴下した。その後、過硫酸アンモニウム0.18部をイオン交換水18.0部に溶解させた水溶液を10分間で滴下し、温度を85℃に上げて2時間熟成した。40℃に冷却後、28%のアンモニア水でPHを8〜9に調整した。得られたビニル重合体エマルジョンはモノマー転化率98%以上の乳白色のエマルジョンであった。
実施例5〜9および比較例5〜9で得られたエマルジョンの乳化重合安定性、即ち、乳化重合中に出来た凝塊物の量、および生成したエマルジョンの起泡性、機械的安定性、さらにエマルジョンから作成した皮膜の耐水性を以下のようにして評価した。
結果を表3に示す。
(凝塊物)
生成したエマルジョンを150メッシュの金網で濾過し、残渣を水で洗浄後130℃で1.5時間乾燥して得た凝固物重量を、仕込みモノマー重量に対する%で表した。
(エマルジョンの起泡性)
100mlの共栓付メスシリンダーに、生成したエマルジョンをイオン交換水で4倍に希釈した希釈液30部を入れて、30回強く振套した直後の泡の体積を測定し、mlで表した。
(エマルジョンの機械的安定性)
生成したエマルジョン50gをマロン法安定度試験器にて10kg/cm2、1,000rpmで5分間回転し、生成した凝固物を150メッシュの金網で濾別し、水で洗浄後130℃で1。5時間乾燥した。この乾燥重量を採取エマルジョン中の固形分重量に対する%で表した。
(フィルムの耐水性)
試料をガラス板上で70℃にて8時間乾燥して作成した被膜(厚さ0.2mm)の耐水白化性をJIS K-6828に準じて測定した。240時間後被膜の状態を以下の基準で判定した。浸せき後の塗膜が透明なほど耐水性が良好であることを示す。
◎:完全透明、○:わずかに白化、△:○〜×の中間、×:大部分白化
表3の結果より、本発明のビニル重合性乳化剤は乳化重合用乳化剤として比較例と比べると、重合安定性が良く、エマルジョンの起泡性が少なく、さらに機械的安定性が良好で、フィルムの耐水性も優れていることがわかる。
本発明のアニオン性ビニルモノマーは、各種ビニルポリマーの構成モノマーとして使用できる。また、乳化重合用のビニル重合性乳化剤として利用できる。
そして、得られたビニルポリマーは、塗料バインダー、粘着剤、接着剤、分散剤、セメント組成物用添加剤(減水剤)、スケール防止剤、増粘剤及び凝集剤等に応用できる。
さらに、本発明のアニオン性ビニルモノマーは、放射線硬化型組成物の構成成分とすることができる。

Claims (5)

  1. 一般式(1)で表されるアニオン性ビニルモノマー。
    (式中、Qはアニオン性基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基;Xは−COOM1/r、−COOR1、−CONR23または−CNで表される基、Mは水素原子またはr価のカチオン基、rは1または2、R1は炭素数1〜36の炭化水素基、R2およびR3は水素原子または炭素数1〜6の炭化水素基;nは1〜200の整数を表す。)
  2. 一般式(1)において、Qが一般式(2)〜(5)のいずれかで表される基である請求項1記載のアニオン性ビニルモノマー。
    (式中、R4は炭素数1〜36の炭化水素基、1分子中の2個のLのうちの一方は−SO31/rで、他方は水素原子、Mは水素原子またはr価のカチオン基、rは1または2、pは0または1〜5の整数を表す。)
  3. 請求項1または2記載のアニオン性ビニルモノマーからなるビニル重合性乳化剤。
  4. 請求項3記載のビニル重合性乳化剤を用いてビニルモノマーを乳化重合して得られるビニル重合体エマルジョン。
  5. 請求項1または2記載のアニオン性ビニルモノマーを必須構成モノマーとしてなるビニル重合体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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