JP2008201895A - フィルム用組成物、フィルム、光学フィルム用組成物及び光学フィルム - Google Patents

フィルム用組成物、フィルム、光学フィルム用組成物及び光学フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】マット剤等の添加剤との親和性が高いフィルム組成物を提供すること。マット剤やレターデーション調節剤等の添加物との親和性が高い光学フィルム用組成物、並びに、全光線透過性が高く、所望のレターデーションを与えることができ、安定性及び生産性に優れた光学フィルムを提供すること。
【解決手段】式(I)で表されるモノマー単位を有する高分子を含有するフィルム用組成物、
Figure 2008201895

式(I)中、Q1はシアノ基又は−COX2基を表し、X1はヘテロ原子を介してα炭素に結合する水素原子、有機残基、ポリマー鎖、ハロゲン原子を表し、X2はヘテロ原子を介してカルボニル基に結合する水素原子、有機残基、ポリマー鎖、ハロゲン原子を表し、Ra、Rbは水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は有機残基を表し、X1とX2、RaとRb、X1とRa又はRbとが互いに結合して環状構造を形成してもよい。
【選択図】なし

Description

本発明は、フィルム用組成物、フィルム、光学フィルム用組成物及び光学フィルムに関する。
機能性フィルムは、近年、需要が増加しており、例えば、写真用支持体フィルム、表面保護フィルム、フレキシブル基板用フィルム、テープ用支持体フィルム、磁気テープ用支持体フィルム、ガスバリアフィルム、帯電防止フィルム、遮熱(赤外線反射、赤外線吸収)フィルム、紫外線吸収フィルム、ガラス用保護フィルム、合せガラス用中間膜フィルム、抗菌フィルム、防曇フィルム、導電性フィルム、医療用支持体フィルム、印刷用支持体フィルム等(意匠用包装フィルム含む)様々なものが挙げられる。
その中でも、特に携帯電話や液晶テレビの需要が拡大に伴い、その構成部材である視野角補償フィルム、偏光版保護フィルム、位相差フィルム、反射防止フィルム、防眩フィルム等の光学フィルムが非常に有用になってきている。
これらのフィルムは基本的にはフィルム用組成物をフィルム化した後にその片面又は両面に機能性材料を設ける(塗布、蒸着等による)か、或いはフィルム用組成物に予め、機能性素材を添加することにより得られるものである。
PMMAに代表されるアクリル樹脂は、光学性能に優れ、高い光線透過率や低複屈折率、低位相差の光学等方材料として各種光学材料へ広く適応されていた。しかし近年、液晶表示装置やプラズマディスプレイ、有機EL表示装置等のフラットディスプレイや赤外線センサー、光導波路等の進歩に伴い、光学用透明高分子材料、特にフィルム等の光学用透明高分子材料に対する要請が高まっている。フィルム状の光学用透明高分子材料に要求される特性としては、まず、透明性、光学等方性が高いことが挙げられ、それらと共に耐熱性も要求される。
しかしながら、従来の光学用透明高分子材料からなる光学フィルムは、これらの特性を十分に満足するものではなかった。
他方、透明性と耐熱性とを共に兼ね備えた熱可塑性樹脂として、分子鎖中に水酸基とエステル基とを有する重合体をラクトン環化縮合反応させることによって得られるラクトン環含有重合体が開示されている(特許文献1〜4)。しかし、光学等方性、耐光性が十分に発現できず、機械的強度も満足できるものではなかったので、フィルム状の光学用透明高分子材料とすることは従来はなされていなかった。更に該ラクトン環含有重合体のみでは、耐熱性を向上させるためにラクトン環構造の含有量を増加させた場合、光学等方性も低下する方向となり、低複屈折で低位相差の光学フィルムを得ることは困難であった。
セルロースアシレートフィルムは適度な透水性を有し、光学的等方性が高い(レターデーションの絶対値が低い)ことから、液晶表示装置向けの偏光板保護フィルムとして広く利用されてきた。
近年、液晶表示装置の普及に伴い、表示性能や耐久性に対する要求がより高くなり、応答速度の向上や、表示画像に対して斜め方向から観察した場合のコントラストやカラーバランスといった視野角をより広範囲で補償することが課題となっている。これらの課題を解決すべく、各種液晶モードが開発されており、それに伴って各モードに対応して視野角を補償する目的で位相差フィルムを光学補償フィルムとして開発することが急務となっている。
更に上記に加えて、パネルの薄型化やコストの低減化が液晶表示装置に求められており、液晶表示装置に用いられる偏光板の保護フィルムに上記の位相差フィルムの機能を併せ持たせる方法が検討されるようになってきている。
一方、液晶テレビの表示モードの多様化により、必要とされる位相差フィルムも多様化しており、その1つとして膜厚方向のレターデーションが負の位相差フィルムが望まれるようになった。例えば、横電界を液晶に対して印加する、いわゆるインプレーンスイッチング(IPS)モードでは、色調や黒表示の視野角を改善する手段の一つとして、液晶層と偏光板の間に光学補償フィルムとして複屈折が正で光学軸がフィルムの面内にある膜と複屈折が正で光学軸がフィルムの法線方向にある膜とを組み合わせた複屈折特性を有する光学補償材料を配置することが提案されている(特許文献5参照)。
前記の要求に対し、膜厚方向のレターデーションが負であるセルロースアシレートフィルムとして、アシル置換度が低いセルロースアシレートを冷却溶解する方法(特許文献6参照)が提案されている。しかし、これらの方法ではRthが十分に低減せず、更にRthを小さくすることができる方法が求められていた。また、この方法により作製されたセルロースアシレートフィルムでは、フィルムの透水性や含水率が大きく、偏光板用の保護フィルムとして使用した場合の偏光板の耐久性、特に高温高湿条件における偏光板性能の劣化が大きいことが問題であった。
さらに光学フィルム技術について詳しく述べる。透明性の点では、前述のアクリレート系樹脂等良好なものは多数知られているが、光学フィルムとしては、光学異方性を自由に制御することが必要であり、その点では単独のポリマーの分子設計だけでは難しいのが現状である。例えば、これを改善する目的で、レターデーション調節剤をポリマーの添加剤として使用することが重要となっている。
一方、生産性向上のために製造時のフィルムの巻取り性(特にラミネートなどを実施しない直の巻取り工程において有用)を良くする目的でマット剤(密着防止剤)を添加剤として使用することも多い。しかし、これらの添加剤は、フィルムを構成するポリマーとの相溶性が非常に重要であり、特に高温高湿条件下においてはポリマーと相分離を起こし、光学特性や膜物性を著しく劣化させるという問題があった。
特開2000−230016号公報 特開2001−151814号公報 特開2002−120326号公報 特開2002−254544号公報 特開平11−133408号公報 特開2005−120352号公報
本発明が解決しようとする課題は、マット剤等の添加剤との親和性が高いフィルム用組成物を提供及び該フィルム用組成物から製造されたフィルムを提供することである。
また、透明性、光学制御性(等方性、異方性)に優れ、かつ高温高湿条件でも添加剤が分離せず光学特性等の劣化のない光学フィルムが求められていた。
即ち本発明が解決しようとするもう1つの課題は、マット剤やレターデーション調節剤等の添加物との親和性が高い光学フィルム用組成物、並びに、全光線透過性が高く、所望のレターデーションを与えることができ、安定性及び生産性に優れた光学フィルムを提供することである。
上記目的は、下記に記載の手段により達成された。
<1>式(I)で表されるモノマー単位を有する高分子を含有することを特徴とするフィルム用組成物、
Figure 2008201895
式(I)中、Q1はシアノ基又は−COX2基を表し、X1は、ヘテロ原子を介してα炭素に結合する水素原子、有機残基若しくはポリマー鎖、又は、ハロゲン原子を表し、X2は、ヘテロ原子を介してカルボニル基に結合する水素原子、有機残基若しくはポリマー鎖、又は、ハロゲン原子を表し、Ra、Rbは各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は有機残基を表し、X1とX2、RaとRb、X1とRa又はRbとが互いに結合して環状構造を形成してもよい、
<2>前記X1の該ヘテロ原子が、酸素原子、イオウ原子及び窒素原子よりなる群から選ばれた1つのヘテロ原子である<1>に記載のフィルム用組成物、
<3>前記X1が、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、チオウレア結合、スルホン結合、スルホキシド結合、ウレタン結合、ウレア結合、アミド結合及びアミノ結合よりなる群から選ばれた少なくとも1つの結合を有する有機残基又はポリマー鎖である<1>又は<2>に記載のフィルム用組成物、
<4>マット剤を含む<1>〜<3>いずれか1つに記載のフィルム用組成物、
<5><1>〜<4>いずれか1つに記載のフィルム用組成物から製造されたフィルム、
<6><1>〜<4>いずれか1つに記載のフィルム用組成物を含む光学フィルム用組成物、
<7>レターデーション調節剤を含む<6>に記載の光学フィルム用組成物、
<8><6>又は<7>に記載の光学フィルム用組成物から製造された光学フィルム。
本発明によりマット剤等の添加剤との親和性が高いフィルム用組成物を提供することができた。
また、本発明により、マット剤やレターデーション調節剤等の添加物との親和性が高い光学フィルム用組成物、並びに、全光線透過性が高く、所望のレターデーションを与えることができ、安定性及び生産性に優れた光学フィルムを提供することができた。
<フィルム用組成物>
本発明のフィルム用組成物は、式(I)で表されるモノマー単位を有する高分子を含有することを特徴とする。
Figure 2008201895
式(I)中、Q1はシアノ基又は−COX2基を表し、X1は、ヘテロ原子を介してα炭素に結合する水素原子、有機残基若しくはポリマー鎖、又は、ハロゲン原子を表し、X2は、ヘテロ原子を介してカルボニル基に結合する水素原子、有機残基若しくはポリマー鎖、又は、ハロゲン原子を表し、Ra、Rbは各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は有機残基を表し、X1とX2、RaとRb、X1とRa又はRbとが互いに結合して環状構造を形成してもよい。
以下、式(I)で表される高分子について説明する。
1及びX2は1価の有機残基でもよく、2価若しくはn価(n≧3;nは3以上の整数を表す。)の有機連結基によってX1同士若しくはX2同士が連結して2官能型若しくはn官能型となっていてもよく、また、オリゴマー又はポリマー中のモノマー単位の残基を形成して高分子型となってもよい。
以下の説明において、X2はエチレン性不飽和結合のα−位にあるカルボニル基に直接結合するので、X1と同じく、「ヘテロ原子を介してα炭素に結合する水素原子、1価の有機残基、又はハロゲン原子」ともいうことにする。
式(I)においてQ1はシアノ基又は−COX2基であり、X1又はX2において、α炭素及び有機残基等に結合するヘテロ原子は、炭素以外の原子を意味し、好ましくは非金属原子であり、具体的には酸素原子、イオウ原子、窒素原子、リン原子が挙げられる。
1又はX2がハロゲン原子である場合、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、及びフッ素原子等が挙げられ、塩素原子、臭素原子が好ましい。
1は、好ましくは、ヒドロキシル基、置換オキシ基、メルカプト基、置換チオ基、アミノ基、置換アミノ基、スルホ基、スルホナト基、置換スルフィニル基、置換スルホニル基、ホスホノ基、置換ホスホノ基、ホスホナト基、置換ホスホナト基、ニトロ基及びヘテロ環基(但し、ヘテロ原子で連結している)よりなる群から選ばれた、ヘテロ原子を介してα炭素に結合する水素原子、有機残基若しくはポリマー鎖であり、より好ましくは、該ヘテロ原子が酸素原子、イオウ原子又は窒素原子であり、更に好ましくは、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、チオウレア結合、スルホン結合、スルホキシド結合、ウレタン結合、ウレア結合、アミド結合及びアミノ結合よりなる群から選ばれた少なくとも1つの結合を形成する有機残基又はポリマー鎖である。X1が上記の結合を有すると高温高湿安定性に優れ、フィルム用組成物を用いて光学フィルムを作製した場合、光学特性に優れる。
2は、好ましくは、ヘテロ原子を介してカルボニル基に結合している水素原子、有機残基又はポリマー鎖であり、ヒドロキシル基、置換オキシ基、メルカプト基、置換チオ基、アミノ基、置換アミノ基、ヘテロ環基(但し、ヘテロ原子で連結している)が例示できる。
a、Rbは、各々独立して、より好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、又は有機残基を表し、有機残基は置換基を有していてもよくかつ不飽和結合を含んでいてもよい、炭化水素基、置換オキシ基、置換チオ基、置換アミノ基、置換カルボニル基、カルボキシラート基を表し、またRaとRbは互いに結合して環状構造を形成してもよい。
次に、式(I)におけるX1、X2、Ra、Rbに許容される置換基の例を示す。この置換基には、さらに置換基を有していてもよくかつ不飽和結合を含んでいてもよい炭化水素基、アシル基、ヘテロ環基が含まれる。
上記の置換基を有していてもよくかつ不飽和結合を含んでいてもよい炭化水素基としては、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基及び置換アルキニル基が挙げられる。
上記のアシル基には、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキルスルフホニル基、アリールスルホニル基が含まれる。
上記のヘテロ環基には、窒素、酸素、硫黄原子をヘテロ原子として含む5員又は6員のヘテロ環基及びこれに芳香族基が縮合した基が含まれる。
アルキル基としては炭素原子数が1から20までの直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基を挙げることができ、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基をあげることができる。これらの中では、炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状、ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキル基がより好ましい。
置換アルキル基は置換基とアルキレン基との結合により構成される基であり、その置換基としては、水素を除く一価の非金属原子(団)が挙げられ、式(I)で示される化合物の重合反応を阻害しない限り任意の原子又は基が許容される。置換アルケニル基、置換アルキニル基、置換アリール基も同様に定義できる。これらの基において、好ましい置換基の例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシルオキシ基、シアノ基が例示できる。その他の許容できる置換基は、特許文献3の段落0017〜0041に記載されている。
アリール基としては、炭素数が6〜20であり、1個から3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したものをあげることができ、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナブテニル基、フルオレニル基、をあげることができ、これらのなかでは、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
アルケニル基としては、炭素数2〜20の基が好ましい。置換アルケニル基は、置換基がアルケニル基の水素原子と置き換わり結合したものであり、この置換基としては、上述の置換アルキル基における置換基が用いられる。
アルキニル基としては、炭素数2〜20であることが好まし。置換アルキニル基は、置換基がアルキニル基の水素原子と置き換わり、結合したものであり、この置換基としては、上述の置換アルキル基における置換基が用いられる。
次に、X1とX2、RaとRb、又はX1とRaあるいはRbとが互いに結合して形成する環状構造の例を示す。X1とX2、RaとRb、又はX1とRaあるいはRbとが互いに結合して形成する脂肪族環としては、5員環、6員環、7員環及び8員環の脂肪族環をあげることができ、より好ましくは、5員環、6員環の脂肪族環をあげることができる。これらは更に、これらを構成する炭素原子上に置換基を有していてもよく(置換基の例としては、前述の置換アルキル基に許容される置換基をあげることができる)、また、環構成炭素の一部が、ヘテロ原子(酸素原子、硫黄原子、窒素原子等)で置換されていてもよい。また更に、この脂肪族環の一部が芳香族環の一部を形成していてもよい。
本発明のフィルム用組成物を光学フィルム用組成物に用いる場合において、式(I)で表されるモノマー単位を有する高分子は、光学等方性の観点からは、X1及びX2が炭素原子、水素原子及び窒素原子で構成されておりイオウ原子、窒素原子又は芳香環(ヘテロ芳香環を含む)を含まないことが好ましい。
逆に光学異方性の観点で、X1及びX2が少なくともイオウ原子又は芳香環(ヘテロ芳香環を含む)を有する基を含有することが好ましい。
本発明で使用する上記の高分子は、上記式(I)で表されるモノマー単位のみから成るホモポリマーであってもよいが、他のモノマー単位をも含む共重合体であってもよい。好適に用いられる他のモノマー単位としては、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、ビニルエステル類、スチレン類、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸、マレイン酸イミド等の公知のモノマーより導入されるモノマー単位が挙げられる。
式(I)で表されるモノマー単位の重合比率は、10〜100重量%であることが好ましく、20〜100重量%であることがより好ましく、30〜100重量%であることが更に好ましい。上記の数値の範囲内であると光学特性及び高温高湿における安定性に優れる。
式(I)で表されるモノマー単位を有する高分子は、ランダムポリマー、ブロックポリマー、又はグラフトポリマ−等いずれでもよいが、ランダムポリマーであることが好ましい。次に式(I)で表されるノマー単位を重合して得られる高分子の具体例を示す。
Figure 2008201895
Figure 2008201895
Figure 2008201895
Figure 2008201895
<一般式(I)で表されるモノマー単位を有する高分子の合成>
<合成例1:化合物P−1>
フラスコ内にA−1(0.8mol)とメタクリル酸メチル(0.2mol)、V−65(和光純薬社製、アゾ系熱重合開始剤)(0.03mol)、N,N−ジメチルアセトアミド(1L)を混合し、70℃で5時間撹拌した。反応後、水5Lに撹拌しながら少量ずつ反応液を入れていくと白色粉末が析出した。この粉末を濾過し、乾燥することでP−1を収量90%で得た。この物質の構造はNMR、IR、GPCにより確認した。
<合成例2:化合物P−5>
フラスコ内にα−ベンジルオキシメタクリレート(0.7mol)とメタクリル酸メチル(0.3mol)、V−65(和光純薬社製、アゾ系熱重合開始剤)(0.03mol)、N,N−ジメチルアセトアミド(1L)を混合し、70℃で5時間撹拌した。反応後、水5Lに撹拌しながら少量ずつ反応液を入れていくと白色粉末が析出した。この粉末を濾過し、乾燥することでP−5を収量95%で得た。この物質の構造はNMR、IR、GPCにより確認した。
<合成例3:化合物P−14>
フラスコ内にα−アセトアミドメタクリル酸(0.7mol)とメタクリル酸メチル(0.3mol)、V−65(和光純薬社製、アゾ系熱重合開始剤)(0.03mol)、N,N−ジメチルアセトアミド(1L)を混合し、70℃で5時間撹拌した。反応後、水5Lに撹拌しながら少量ずつ反応液を入れていくと白色粉末が析出した。この粉末を濾過し、乾燥することでP−14を収量94%で得た。この物質の構造はNMR、IR、GPCにより確認した。
以上の合成例に準じて具体例に示した全てのポリマーを合成できる。
<その他の高分子>
本発明のフィルム用組成物は、式(I)で表されるモノマー単位を有する高分子に加えて他の高分子を含んでいてもよい。
その他の高分子としては、オレフィン系ポリマー、含ハロゲン系ポリマー、アクリル系ポリマー、スチレン系ポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリオキシベンジレン、ポリアミドイミド及びゴム質重合体等が挙げられる。
具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)等のオレフィン系ポリマー;塩化ビニル、塩素化ビニル樹脂等の含ハロゲン系ポリマー;ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系ポリマー;ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等のスチレン系ポリマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610等のポリアミド;ポリアセタール;ポリカーボネート;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルエーテルケトン;ポリサルホン;ポリエーテルサルホン;ポリオキシベンジレン;ポリアミドイミド;ポリブタジエン系ゴム、アクリル系ゴムを配合したABS樹脂やASA樹脂等のゴム質重合体;等が挙げられる。
ゴム質重合体は、表面に式(I)で表されるモノマー単位を有する高分子と相溶し得る組成のグラフト部を有するものが好ましく、また、ゴム質重合体の平均粒子径は、フィルム状とした際の透明性向上の観点から、100nm以下である事が好ましく、70nm以下である事が更に好ましい。
式(I)で表されるモノマー単位を有する高分子と熱力学的に相溶するその他の高分子としては、シアン化ビニル系単量体単位と芳香族ビニル系単量体単位とを含む共重合体、具体的にはアクリロニトリル−スチレン系共重合体やポリ塩化ビニル樹脂、メタクリル酸エステル類を50重量%以上含有する重合体を用いるとよい。
それらの中でもアクリロニトリル−スチレン系共重合体を用いるとガラス転移温度が120℃以上、面方向の100μmあたりの位相差が20nm以下で、全光線透過率が85%以上である光学フィルムが容易に得られる。
なお、式(I)で表されるモノマー単位を有する高分子とその他の高分子とが熱力学的に相溶することは、これらを混合して得られた高分子のガラス転移点を測定することによって確認することができる。具体的には、示差走査熱量測定器により測定されるガラス転移点が式(I)で表されるモノマー単位を有する高分子とその他の高分子との混合物について1点のみ観測されることによって、熱力学的に相溶していると言える。
その他の高分子としてアクリロニトリル−スチレン系共重合体を用いる場合、その製造方法は、乳化重合法や懸濁重合法、溶液重合法、バルク重合法等を用いる事が可能であるが、得られる光学フィルムの透明性や光学性能の観点から溶液重合法かバルク重合法で得られたものである事が好ましい。
高分子全量に対する式(I)で表されるモノマー単位を有する高分子の含有率は、30〜100重量%であることが好ましく、50〜100重量%であることがより好ましく、70〜100重量%であることが更に好ましい。上記の数値の範囲内であると、得られたフィルムの光学特性及び高温高湿安定性に優れる。
フィルム全量に対するその他の高分子の含量は、0〜30重量%であることが好ましく、0〜20重量%であることがより好ましく、0〜10重量%であることが更に好ましい。上記の数値の範囲内であると、得られたフィルムの光学特性(全光線透過性及びレターデーション等)と高温高湿における安定性の点で優れる。
本発明のフィルム用組成物は、各種の機能性フィルムを製造するために使用できる。機能性フィルムとしては、例えば、写真用支持体フィルム、表面保護フィルム、フレキシブル基板用フィルム、テープ用支持体フィルム、磁気テープ用支持体フィルム、ガスバリアフィルム、帯電防止フィルム、遮熱(赤外線反射、赤外線吸収)フィルム、紫外線吸収フィルム、ガラス用保護フィルム、合せガラス用中間膜フィルム、抗菌フィルム、防曇フィルム、導電性フィルム、医療用支持体フィルム、印刷用支持体フィルム等(意匠用包装フィルム含む)が挙げられ、中でも本発明のフィルム用組成物は、十分な強度を有し、光学特性に優れる。
<レターデーション調節剤>
本発明の光学フィルム用組成物にはレターデーション調節剤を添加することが好ましい。ここで、レターデーション調節剤とは、フィルムにおける膜厚方向のレターデーションを変化させる化合物である。
以下に、本発明に用いることができるレターデーション調節剤の例として、まず一般式(1)〜(19)のいずれかで表される化合物を示すが、本発明はこれら化合物に限定されない。
Figure 2008201895
(一般式(1)中、R11〜R13はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜20の脂肪族基を表し、該脂肪族基は置換基を有していてもよい。R11〜R13は互いに連結して環を形成してもよい。)
Figure 2008201895
(一般式(2)及び(3)中、Zは炭素原子、酸素原子、硫黄原子又はNR25−を表し、R25は水素原子又はアルキル基を表す。Zを含んで構成される5又は6員環は置換基を有していてもよい。Y21、Y22はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜20の、エステル基、アルコキシカルボニル基、アミド基又はカルバモイル基を表し、Y21、Y22は互いに連結して環を形成してもよい。mは1〜5の整数を表し、nは1〜6の整数を表す。)
Figure 2008201895
(一般式(4)〜(12)中、Y31〜Y70はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜20の、エステル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、もしくはカルバモイル基、又はヒドロキシ基を表し、V31〜V43はそれぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1〜20の脂肪族基を表す。L31〜L80はそれぞれ独立に、構成する原子数が0〜40であって、かつ、炭素原子数0〜20の2価の飽和の連結基を表す。ここで、L31〜L80を構成する原子数が0であるということは、L31〜L80が単結合を表すことを意味する。V31〜V43及びL31〜L80は、さらに置換基を有していてもよい。)
Figure 2008201895
(一般式(13)中、R1はアルキル基又はアリール基を表し、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。R1、R2及びR3の炭素原子数の総和は10以上であり、各々、アルキル基及びアリール基は置換基を有していてもよい。)
Figure 2008201895
(一般式(14)中、R4及びR5は、それぞれ独立に、アルキル基又はアリール基を表す。R4及びR5の炭素原子数の総和は10以上であり、各々、アルキル基及びアリール基は置換基を有していてもよい。)
Figure 2008201895
(一般式(15)中、R1は置換若しくは無置換の脂肪族基又は置換若しくは無置換の芳香族基を表し、R2は水素原子、置換若しくは無置換の脂肪族基又は置換若しくは無置換の芳香族基を表す。L1は2価〜6価の連結基を表し、nはL1の価数に応じた2〜6の整数を表す。)
Figure 2008201895
(一般式(16)中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表す。Xは下記の(連結基群1)から選ばれる1つ以上の基から形成される2価の連結基を表す。Yは水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
(連結基群1)単結合、−O−、−CO−、−NR4−(R4は水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。)、アルキレン基又はアリーレン基を表す。)
Figure 2008201895
(一般式(17)中、Q1、Q2及びQ3はそれぞれ独立に5又は6員環を表す。XはB、C−R(Rは水素原子又は置換基を表す。)、N、P、P=Oを表す。)
前記一般式(17)で表される化合物としては、好ましくは下記一般式(17a)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2008201895
(一般式(17a)中、X2はB、C−R(Rは水素原子又は置換基を表す。)、Nを表す。R11、R12、R13、R14、R15、R21、R22、R23、R24、R25、R31、R32、R33、R34及びR35はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。)
Figure 2008201895
(一般式(18)中、R1はアルキル基又はアリール基を表し、R2及びR3はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。また、アルキル基及びアリール基は置換基を有していてもよい。)
一般式(18)で表される化合物としては、好ましくは下記一般式(18a)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2008201895
(一般式(18a)中、R4、R5及びR6はそれぞれ独立にアルキル基又はアリール基を表す。ここで、アルキル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素原子数が1〜20のものが好ましく、1〜15のものがさらに好ましく、1〜12のものが最も好ましい。環状のアルキル基としては、シクロヘキシル基が特に好ましい。アリール基は炭素原子数が6〜36のものが好ましく、6〜24のものがより好ましい。また、アルキル基及びアリール基は置換基を有していてもよい。)
Figure 2008201895
(一般式(19)中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは無置換の脂肪族基又は置換若しくは無置換の芳香族基を表す。X1、X2、X3およびX4は、それぞれ独立に、単結合、−CO−及びNR5−(R5は置換若しくは無置換の脂肪族基又は置換若しくは無置換の芳香族基を表す)からなる群から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基を表す。a、b、c及びdは0以上の整数であり、a+b+c+dは2以上である。Q1は(a+b+c+d)価の有機基を表す。)
一般式(1)の化合物について説明する。
Figure 2008201895
一般式(1)において、R11〜R13はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜20の脂肪族基を表し、該脂肪族基は置換基を有していてもよい。R11〜R13は互いに連結して環を形成してもよい。
11〜R13について詳しく説明する。R11〜R13は好ましくは炭素原子数1〜20、さらに好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12の脂肪族基である。ここで、脂肪族基とは、好ましくは脂肪族炭化水素基であり、さらに好ましくは、アルキル基(鎖状、分岐状及び環状のアルキル基を含む。)、アルケニル基又はアルキニル基である。例として、アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、t−アミル、n−ヘキシル、n−オクチル、デシル、ドデシル、エイコシル、2−エチルヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、2,6−ジメチルシクロヘキシル、4−t−ブチルシクロヘキシル、シクロペンチル、1−アダマンチル、2−アダマンチル、ビシクロ[2.2.2]オクタン−3−イルなどが挙げられ、アルケニル基としては、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イルなどが挙げられ、アルキニル基としては、例えば、エチニル、プロパルギルなどが挙げられる。
11〜R13で表される脂肪族基は置換されていてもよく、置換基の例としては、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子)、アルキル基(直鎖、分岐、環状のアルキル基で、ビシクロアルキル基、活性メチン基を含む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基(置換する位置は問わない)、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アシルカルバモイル基、N−スルホニルカルバモイル基、N−カルバモイルカルバモイル基、N−スルファモイルカルバモイル基、カルバゾイル基、カルボキシ基又はその塩、オキサリル基、オキサモイル基、シアノ基、カルボンイミドイル基(Carbonimidoyl基)、ホルミル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基(エチレンオキシ基もしくはプロピレンオキシ基単位を繰り返し含む基を含む)、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アミノ基、(アルキル、アリール又はヘテロ環)アミノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、ウレイド基、チオウレイド基、イミド基、(アルコキシもしくはアリールオキシ)カルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、セミカルバジド基、アンモニオ基、オキサモイルアミノ基、N−(アルキルもしくはアリール)スルホニルウレイド基、N−アシルウレイド基、N−アシルスルファモイルアミノ基、4級化された窒素原子を含むヘテロ環基(例えばピリジニオ基、イミダゾリオ基、キノリニオ基、イソキノリニオ基)、イソシアノ基、イミノ基、(アルキル又はアリール)スルホニル基、(アルキル又はアリール)スルフィニル基、スルホ基又はその塩、スルファモイル基、N−アシルスルファモイル基、N−スルホニルスルファモイル基又はその塩、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基等が挙げられる。
これらの基はさらに組み合わされて複合置換基を形成してもよく、このような置換基の例としては、エトキシエトキシエチル基、ヒドロキシエトキシエチル基、エトキシカルボニルエチル基などを挙げることができる。また、R11〜R13は置換基としてリン酸エステル基を含有することもでき、一般式(1)で表される化合物は同一分子中に複数のリン酸エステル基を有することも可能である。
以下に一般式(1)で表される化合物の具体例(C−1〜C−76)を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、オクタノール−水分配係数(logP値)は、Crippen’s fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987))により求めた。
Figure 2008201895
(式中、R1〜R3は前記一般式(1)のR11〜R13と同義であり、下記のC−1〜C−76で具体例を例示する。)
Figure 2008201895
Figure 2008201895
Figure 2008201895
Figure 2008201895
一般式(2)又は(3)で表される化合物について説明する。
Figure 2008201895
一般式(2)及び(3)において、Zは炭素原子、酸素原子、硫黄原子、−NR25−を表し、R25は水素原子又はアルキル基を表す。Zを含んで構成される5又は6員環は置換基を有していてもよく、複数の置換基が互いに結合して環を形成していてもよい。Zを含んで構成される5又は6員環の例としては、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオフェン、チアン、ピロリジン、ピペリジン、インドリン、イソインドリン、クロマン、イソクロマン、テトラヒドロ−2−フラノン、テトラヒドロ−2−ピロン、4−ブタンラクタム、6−ヘキサノラクタムなどを挙げることができる。
また、Zを含んで構成される5又は6員環は、ラクトン構造又はラクタム構造、すなわち、Zの隣接炭素にオキソ基を有する環状エステル又は環状アミド構造を含む。このような環状エステル又は環状アミド構造の例としては、2−ピロリドン、2−ピペリドン、5−ペンタノリド、6−ヘキサノリドを挙げることができる。
25は水素原子又は、好ましくは炭素原子数1〜20、さらに好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12のアルキル基(鎖状、分岐状及び環状のアルキル基を含む。)を表す。R25で表されるアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、t−アミル、n−ヘキシル、n−オクチル、デシル、ドデシル、エイコシル、2−エチルヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、2,6−ジメチルシクロヘキシル、4−t−ブチルシクロヘキシル、シクロペンチル、1−アダマンチル、2−アダマンチル、ビシクロ[2.2.2]オクタン−3−イルなどを挙げることができる。R25で表されるアルキル基はさらに置換基を有していてもよく、置換基の例としては前記のR11〜R13に置換していてもよい基を挙げることができる。
21、Y22はそれぞれ独立に、エステル基、アルコキシカルボニル基、アミド基又はカルバモイル基を表す。
エステル基としては、好ましくは炭素原子数が1〜20、さらに好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えば、アセトキシ、エチルカルボニルオキシ、プロピルカルボニルオキシ、n−ブチルカルボニルオキシ、iso−ブチルカルボニルオキシ、t−ブチルカルボニルオキシ、sec−ブチルカルボニルオキシ、n−ペンチルカルボニルオキシ、t−アミルカルボニルオキシ、n−ヘキシルカルボニルオキシ、シクロヘキシルカルボニルオキシ、1−エチルペンチルカルボニルオキシ、n−ヘプチルカルボニルオキシ、n−ノニルカルボニルオキシ、n−ウンデシルカルボニルオキシ、ベンジルカルボニルオキシ、1−ナフタレンカルボニルオキシ、2−ナフタレンカルボニルオキシ、1−アダマンタンカルボニルオキシなどが例示できる。
アルコキシカルボニル基としては、好ましくは炭素原子数が1〜20、さらに好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロピルオキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、iso−ブチルオキシカルボニル、sec−ブチルオキシカルボニル、n−ペンチルオキシカルボニル、t−アミルオキシカルボニル、n−ヘキシルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニル、1−エチルプロピルオキシカルボニル、n−オクチルオキシカルボニル、3,7−ジメチル−3−オクチルオキシカルボニル、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシカルボニル、4−t−ブチルシクロヘキシルオキシカルボニル、2,4−ジメチルペンチル−3−オキシカルボニル、1−アダマンタンオキシカルボニル、2−アダマンタンオキシカルボニル、ジシクロペンタジエニルオキシカルボニル、n−デシルオキシカルボニル、n−ドデシルオキシカルボニル、n−テトラデシルオキシカルボニル、n−ヘキサデシルオキシカルボニルなどが例示できる。
アミド基としては、好ましくは炭素原子数が1〜20、さらに好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えば、アセタミド、エチルカルボキサミド、n−プロピルカルボキサミド、イソプロピルカルボキサミド、n−ブチルカルボキサミド、t−ブチルカルボキサミド、iso−ブチルカルボキサミド、sec−ブチルカルボキサミド、n−ペンチルカルボキサミド、t−アミルカルボキサミド、n−ヘキシルカルボキサミド、シクロヘキシルカルボキサミド、1−エチルペンチルカルボキサミド、1−エチルプロピルカルボキサミド、n−ヘプチルカルボキサミド、n−オクチルカルボキサミド、1−アダマンタンカルボキサミド、2−アダマンタンカルボキサミド、n−ノニルカルボキサミド、n−ドデシルカルボキサミド、n−ペンタカルボキサミド、n−ヘキサデシルカルボキサミドなどが例示できる。
カルバモイル基としては、好ましくは炭素原子数が1〜20、さらに好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えば、メチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、エチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、n−プロピルカルバモイル、イソプロピルカルバモイル、n−ブチルカルバモイル、t−ブチルカルバモイル、iso−ブチルカルバモイル、sec−ブチルカルバモイル、n−ペンチルカルバモイル、t−アミルカルバモイル、n−ヘキシルカルバモイル、シクロヘキシルカルバモイル、2−エチルヘキシルカルバモイル、2−エチルブチルカルバモイル、t−オクチルカルバモイル、n−ヘプチルカルバモイル、n−オクチルカルバモイル、1−アダマンタンカルバモイル、2−アダマンタンカルバモイル、n−デシルカルバモイル、n−ドデシルカルバモイル、n−テトラデシルカルバモイル、n−ヘキサデシルカルバモイルなどが例示できる。
21、Y22は互いに連結して環を形成してもよい。Y21、Y22はさらに置換基を有していてもよく、例としては前記のR11〜R13に置換していてもよい基を挙げることができる。
以下に一般式(2)又は(3)で表される化合物の例(C−201〜C−231)を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、括弧内に記載のオクタノール−水分配係数(logP値)は、Crippen’s fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987))により求めた。
Figure 2008201895
Figure 2008201895
一般式(4)〜(12)のいずれかで表される化合物について説明する。
Figure 2008201895
一般式(4)〜(12)において、Y31〜Y70はそれぞれ独立に、エステル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、カルバモイル基又はヒドロキシ基を表す。
エステル基としては、好ましくは炭素原子数が1〜20、さらに好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えば、アセトキシ、エチルカルボニルオキシ、プロピルカルボニルオキシ、n−ブチルカルボニルオキシ、iso−ブチルカルボニルオキシ、t−ブチルカルボニルオキシ、sec−ブチルカルボニルオキシ、n−ペンチルカルボニルオキシ、t−アミルカルボニルオキシ、n−ヘキシルカルボニルオキシ、シクロヘキシルカルボニルオキシ、1−エチルペンチルカルボニルオキシ、n−ヘプチルカルボニルオキシ、n−ノニルカルボニルオキシ、n−ウンデシルカルボニルオキシ、ベンジルカルボニルオキシ、1−ナフタレンカルボニルオキシ、2−ナフタレンカルボニルオキシ、1−アダマンタンカルボニルオキシなどが挙げられる。
アルコキシカルボニル基としては、好ましくは炭素原子数が1〜20、さらに好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロピルオキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、iso−ブチルオキシカルボニル、sec−ブチルオキシカルボニル、n−ペンチルオキシカルボニル、t−アミルオキシカルボニル、n−ヘキシルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、2−エチルヘキシルオキシカルボニルなど、1−エチルプロピルオキシカルボニル、n−オクチルオキシカルボニル、3,7−ジメチル−3−オクチルオキシカルボニル、3,5,5−トリメチルヘキシルオキシカルボニル、4−t−ブチルシクロヘキシルオキシカルボニル、2,4−ジメチルペンチル−3−オキシカルボニル、1−アダマンタンオキシカルボニル、2−アダマンタンオキシカルボニル、ジシクロペンタジエニルオキシカルボニル、n−デシルオキシカルボニル、n−ドデシルオキシカルボニル、n−テトラデシルオキシカルボニル、n−ヘキサデシルオキシカルボニルなどが挙げられる。
アミド基としては、好ましくは炭素原子数が1〜20、さらに好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えば、アセタミド、エチルカルボキサミド、n−プロピルカルボキサミド、イソプロピルカルボキサミド、n−ブチルカルボキサミド、t−ブチルカルボキサミド、iso−ブチルカルボキサミド、sec−ブチルカルボキサミド、n−ペンチルカルボキサミド、t−アミルカルボキサミド、n−ヘキシルカルボキサミド、シクロヘキシルカルボキサミド、1−エチルペンチルカルボキサミド、1−エチルプロピルカルボキサミド、n−ヘプチルカルボキサミド、n−オクチルカルボキサミド、1−アダマンタンカルボキサミド、2−アダマンタンカルボキサミド、n−ノニルカルボキサミド、n−ドデシルカルボキサミド、n−ペンタカルボキサミド、n−ヘキサデシルカルボキサミドなどが挙げられる。
カルバモイル基としては、好ましくは炭素原子数が1〜20、さらに好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えば、メチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、エチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、n−プロピルカルバモイル、イソプロピルカルバモイル、n−ブチルカルバモイル、t−ブチルカルバモイル、iso−ブチルカルバモイル、sec−ブチルカルバモイル、n−ペンチルカルバモイル、t−アミルカルバモイル、n−ヘキシルカルバモイル、シクロヘキシルカルバモイル、2−エチルヘキシルカルバモイル、2−エチルブチルカルバモイル、t−オクチルカルバモイル、n−ヘプチルカルバモイル、n−オクチルカルバモイル、1−アダマンタンカルバモイル、2−アダマンタンカルバモイル、n−デシルカルバモイル、n−ドデシルカルバモイル、n−テトラデシルカルバモイル、n−ヘキサデシルカルバモイルなどが挙げられる。
31〜Y70はさらに置換基を有していてもよく、例としては前記のR11〜R13に置換していてもよい基を挙げることができる。
31〜V43はそれぞれ独立に水素原子又は、好ましくは炭素原子数1〜20、さらに好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12の脂肪族基を表す。ここで、脂肪族基とは、好ましくは脂肪族炭化水素基であり、さらに好ましくは、アルキル基(鎖状、分岐状及び環状のアルキル基を含む。)、アルケニル基又はアルキニル基である。アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、t−アミル、n−ヘキシル、n−オクチル、デシル、ドデシル、エイコシル、2−エチルヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、2,6−ジメチルシクロヘキシル、4−t−ブチルシクロヘキシル、シクロペンチル、1−アダマンチル、2−アダマンチル、ビシクロ[2.2.2]オクタン−3−イルなどが挙げられ、アルケニル基としては、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イルなどが挙げられ、アルキニル基としては、例えば、エチニル、プロパルギルなどを挙げることができる。V31〜V43はさらに置換基を有していてもよく、例としては前記のR11〜R13に置換していてもよい基を挙げることができる。
31〜L80はそれぞれ独立に、構成する原子数が0〜40であって、かつ、炭素原子数0〜20の2価の飽和の連結基を表す。ここで、L31〜L80を構成する原子数が0であるということはL31〜L80が単結合を表すことを意味する。L31〜L80の好ましい例としては、アルキレン基(例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、メチルエチレン、エチルエチレンなど)、環式の2価の基(例えば、cis−1,4−シクロヘキシレン、trans−1,4−シクロヘキシレン、1,3−シクロペンチリデンなど)、エーテル、チオエーテル、エステル、アミド、スルホン、スルホキシド、スルフィド、スルホンアミド、ウレイレン、チオウレイレンなどを挙げることができる。これらの2価の基は互いに結合して二価の複合基を形成してもよく、複合置換基の例としては、−(CH2)2O(CH2)2−、−(CH2)2O(CH2)2O(CH2)−、−(CH2)2S(CH2)2−、−(CH2)22C(CH2)2−などを挙げることができる。L31〜L80は、さらに置換基を有していてもよく、置換基の例としては、前記のR11〜R13に置換していてもよい基を挙げることができる。
一般式(4)〜(12)においてY31〜Y70、V31〜V43及びL31〜L80の組み合わせにより形成される化合物の好ましい例としては、クエン酸エステル(例えば、O−アセチルクエン酸トリエチル、O−アセチルクエン酸トリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、O−アセチルクエン酸トリ(エチルオキシカルボニルメチレン)エステルなど)、オレイン酸エステル(例えば、オレイン酸エチル、オレイン酸ブチル、オレイン酸2−エチルヘキシル、オレイン酸フェニル、オレイン酸シクロヘキシル、オレイン酸オクチルなど)、リシノール酸エステル(例えばリシノール酸メチルアセチルなど)、セバシン酸エステル(例えばセバシン酸ジブチルなど)、グリセリンのカルボン酸エステル(例えば、トリアセチン、トリブチリンなど)、グリコール酸エステル(例えば、ブチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、メチルフタリルメチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレートなど)、ペンタエリスリトールのカルボン酸エステル(例えば、ペンタエリスリトールテトラアセテート、ペンタエリスリトールテトラブチレートなど)、ジペンタエリスリトールのカルボン酸エステル(例えば、ジペンタエリスリトールヘキサアセテート、ジペンタエリスリトールヘキサブチレート、ジペンタエリスリトールテトラアセテートなど)、
トリメチロールプロパンのカルボン酸エステル類(トリメチロールプロパントリアセテート、トリメチロールプロパンジアセテートモノプロピオネート、トリメチロールプロパントリプロピオネート、トリメチロールプロパントリブチレート、トリメチロールプロパントリピバロエート、トリメチロールプロパントリ(t−ブチルアセテート)、トリメチロールプロパンジ2−エチルヘキサネート、トリメチロールプロパンテトラ2−エチルヘキサネート、トリメチロールプロパンジアセテートモノオクタネート、トリメチロールプロパントリオクタネート、トリメチロールプロパントリ(シクロヘキサンカルボキシレート)など)、特開平11−246704号公報に記載のグリセロールエステル類、特開2000−63560号公報に記載のジグリセロールエステル類、特開平11−92574号公報に記載のクエン酸エステル類、ピロリドンカルボン酸エステル類(2−ピロリドン−5−カルボン酸メチル、2−ピロリドン−5−カルボン酸エチル、2−ピロリドン−5−カルボン酸ブチル、2−ピロリドン−5−カルボン酸2−エチルヘキシル)、シクロヘキサンジカルボン酸エステル(cis−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジブチル、trans−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジブチル、cis−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジブチル、trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジブチルなど)、キシリトールカルボン酸エステル(キシリトールペンタアセテート、キシリトールテトラアセテート、キシリトールペンタプロピオネートなど)などが挙げられる。
以下に一般式(4)〜(12)のいずれかで表される化合物の例(C−401〜C−448)を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、括弧内に記載のオクタノール−水分配係数(logP値)は、Crippen’s fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987))により求めた。
Figure 2008201895
Figure 2008201895
Figure 2008201895
一般式(13)又は(14)で表される化合物について説明する。
Figure 2008201895
Figure 2008201895
上記一般式(13)において、R1はアルキル基又はアリール基を表し、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。また、R1、R2及びR3の炭素原子数の総和が10以上であり、各々、アルキル基及びアリール基は置換基を有していてもよい。また、一般式(14)中、R4及びR5は、それぞれ独立に、アルキル基又はアリール基を表す。また、R4及びR5の炭素原子数の総和は10以上であり、各々、アルキル基及びアリール基は置換基を有していてもよい。
置換基としてはフッ素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基及びスルホンアミド基が好ましく、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基及びスルホンアミド基が特に好ましい。また、アルキル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素原子数1〜25のものが好ましく、6〜25のものがより好ましく、6〜20のもの(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、アミル、イソアミル、t−アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ビシクロオクチル、ノニル、アダマンチル、デシル、t−オクチル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、ジデシル)が特に好ましい。アリール基としては炭素原子数が6〜30のものが好ましく、6〜24のもの(例えば、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル、ビナフチル、トリフェニルフェニル)が特に好ましい。
一般式(13)又は一般式(14)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2008201895
Figure 2008201895
Figure 2008201895
Figure 2008201895
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一般式(15)で表される化合物について説明する。
Figure 2008201895
上記一般式(15)において、R1は置換若しくは無置換の脂肪族基又は置換若しくは無置換の芳香族基を表し、R2は水素原子、置換若しくは無置換の脂肪族基又は置換若しくは無置換の芳香族基を表す。置換基としては後述の置換基Tが挙げられる。L1は2〜6価の連結基を表す。L1の価数として好ましくは2〜4、より好ましくは2又は3である。nはL1の価数に応じた2〜6の整数を表し、2〜4がより好ましく、2または3が特に好ましい。
1つの化合物の中に含まれる2つ以上のR1及びR2は、それぞれ、同一であってもよいし、異なっていてもよい。好ましくは同一である。
上記一般式(15)で表される化合物としては、好ましくは下記一般式(15a)で表される化合物である。
Figure 2008201895
上記一般式(15a)において、R4は置換若しくは無置換の脂肪族基又は置換若しくは無置換の芳香族基を表す。R4として好ましくは置換若しくは無置換の芳香族基であり、さらに好ましくは無置換の芳香族基である。R5は水素原子、置換若しくは無置換の脂肪族基又は置換若しくは無置換の芳香族基を表す。R5として好ましくは水素原子または置換若しくは無置換の脂肪族基であり、さらに好ましくは水素原子である。L2は−O−、−S−、−CO−、−NR3−(R3は水素原子、置換若しくは無置換の脂肪族基又は置換若しくは無置換の芳香族基を表す。)、アルキレン基及びアリーレン基から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基を表す。連結基の組み合わせは特に限定されないが、−O−、−S−、−NR3−及びアルキレン基から選ばれるのが好ましく、−O−、−S−及びアルキレン基から選ばれるのが特に好ましい。また、連結基は、−O−、−S−及びアルキレン基から選ばれる2以上からなる連結基が好ましい。各基における置換基としては後述の置換基Tが適用できる。
置換若しくは無置換の脂肪族基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素原子数1〜25のものが好ましく、6〜25のものがより好ましく、6〜20のものが特に好ましい。脂肪族基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、アミル基、イソアミル基、tert−アミル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、ビシクロオクチル基、アダマンチル基、n−デシル基、tert−オクチル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ジデシル基などが挙げられる。
芳香族基は芳香族炭化水素基でも芳香族ヘテロ環基でもよく、より好ましくは芳香族炭化水素基である。芳香族炭化水素基としては、炭素原子数が6〜24のものが好ましく、6〜12のものがさらに好ましい。芳香族炭化水素基の具体例な環としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル、ターフェニルなどが挙げられる。芳香族炭化水素基としては、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニルが特に好ましい。芳香族ヘテロ環基としては、酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子のうち少なくとも1つを含むものが好ましい。ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環基としては、ピリジン、トリアジン、キノリンが特に好ましい。
また、上記一般式(15)で表される化合物としては、下記一般式(15c)で表される化合物をより好ましく挙げることができる。
Figure 2008201895
上記一般式(15c)において、R11、R12、R13、R14、R15、R21、R22、R23、R24及びR25はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。R11、R12、R13、R14、R15、R21、R22、R23、R24及びR25としては、好ましくはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホニル基、スルフィニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数1〜30、より好ましくは1〜12のものであり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子が挙げられ、具体的には例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる。)、シリル基であり、より好ましくは、アルキル基、アリール基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基であり、特に好ましくはアルキル基、アリール基、アリールオキシカルボニルアミノ基である。これらの置換基はさらに置換されてもよく、置換基が2つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。R11とR21、R12とR22、R13とR23、R14とR24及びR15とR25はそれぞれ同一であることが好ましい。さらに、R11〜R25はいずれも水素原子である場合がより好ましい。
3は−O−、−S−、−CO−、−NR3−(R3は水素原子、脂肪族基又は芳香族基を表す。)、アルキレン基、アリーレン基から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基を表す。連結基の組み合わせは特に限定されないが、−O−、−S−、−NR3−、及びアルキレン基から選ばれるのが好ましく、−O−、−S−及びアルキレン基から選ばれるのが特に好ましい。
また、連結基は、−O−、−S−及びアルキレン基から選ばれる2以上からなる連結基がさらに好ましい。
一般式(15)、特に一般式(15a)又は一般式(15c)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2008201895
Figure 2008201895
Figure 2008201895
本発明に用いられる化合物はいずれも既知の化合物より製造することができる。一般式(15)、特に一般式(15a)又は(15c)で表される化合物は、一般的には、スルホニルクロリドと多官能アミンとの縮合反応により得られる。
一般式(16)の化合物について説明する。
Figure 2008201895
上記一般式(16)において、R1、R2及びR3は、それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数が1〜5のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、アミル、イソアミル)であることが好ましく、R1、R2及びR3の少なくとも1つ以上が炭素原子数1〜3のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル)であることが特に好ましい。
Xは、単結合、−O−、−CO−、−NR4−(R4は水素原子、アルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。)、アルキレン基(好ましくは炭素原子数1〜6、より好ましくは1〜3のもの、例えばメチレン、エチレン、プロピレン)又はアリーレン基(好ましくは炭素原子数6〜24、より好ましくは6〜12のもの。例えば、フェニレン、ビフェニレン、ナフチレン)からなる群から選ばれる1つ以上の基から形成される2価の連結基であることが好ましく、−O−、アルキレン基又はアリーレン基から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基であることが特に好ましい。
Yは、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素原子数2〜25、より好ましくは2〜20のもの。例えば、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、t−オクチル、ドデシル、シクロヘキシル、ジシクロヘキシル、アダマンチル)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜24、より好ましくは6〜18のもの。例えば、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル)又はアラルキル基(好ましくは炭素原子数7〜30、より好ましくは7〜20のもの。例えば、ベンジル、クレジル、t−ブチルフェニル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル)であることが好ましく、アルキル基、アリール基又はアラルキル基であることが特に好ましい。−X−Yの組み合わせとしては、−X−Yの総炭素数が0〜40であることが好ましく、1〜30であることがさらに好ましく、1〜25であることが最も好ましい。
これら一般式(16)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2008201895
Figure 2008201895
一般式(17)の化合物について説明する。
Figure 2008201895
上記一般式(17)において、Q1、Q2及びQ3はそれぞれ独立に5又は6員環を表し、炭化水素環でもへテロ環でもよく、また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。炭化水素環として好ましくは、置換又は無置換のシクロヘキサン環、置換又は無置換のシクロペンタン環、芳香族炭化水素環であり、より好ましくは芳香族炭化水素環である。へテロ環として好ましくは5又は6員環の酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子のうち少なくとも1つを含む環である。へテロ環としてより好ましくは酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子のうち少なくとも1つを含む芳香族ヘテロ環である。
1、Q2及びQ3として好ましくは芳香族炭化水素環又は芳香族へテロ環である。芳香族炭化水素環として好ましくは炭素数6〜30の単環又は二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。更に好ましくはベンゼン環である。
芳香族ヘテロ環として好ましくは酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子を含む芳香族ヘテロ環である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピリジン、トリアジン、キノリンである。Q1、Q2及びQ3としてより好ましくは好ましくは芳香族炭化水素環であり、より好ましくはベンゼン環である。またQ1、Q2及びQ3は置換基を有してもよく、置換基としては後述の置換基Tが挙げられる。
XはB、C−R(Rは水素原子又は置換基を表す。)、N、P、P=Oを表し、Xとして好ましくはB、C−R(Rとして好ましくはアリール基、置換又は未置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、カルボキシル基であり、より好ましくはアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくはアルコキシ基、ヒドロキシ基であり、特に好ましくはヒドロキシ基である。)、Nであり、Xとしてより好ましくはC−R、Nであり、特に好ましくはC−Rである。
一般式(17)で表される化合物としては、好ましくは下記一般式(17a)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2008201895
(一般式(17a)中、X2はB、C−R(Rは水素原子又は置換基を表す。)、N、P、P=Oを表す。R11、R12、R13、R14、R15、R21、R22、R23、R24、R25、R31、R32、R33、R34及びR35はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。)
2はB、C−R(Rは水素原子又は置換基を表す。)、N、P、P=Oを表し、X2として好ましくはB、C−R(Rとして好ましくはアリール基、置換又は未置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、カルボキシル基であり、より好ましくはアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子であり、更に好ましくはアルコキシ基、ヒドロキシ基であり、特に好ましくはヒドロキシ基である。)、N、P=Oであり、更に好ましくはC−R、Nであり、特に好ましくはC−Rである。
11、R12、R13、R14、R15、R21、R22、R23、R24、R25、R31、R32、R33、R34及びR35はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。R11、R12、R13、R14、R15、R21、R22、R23、R24、R25、R31、R32、R33、R34及びR35として好ましくはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、置換又は未置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルホニル基、スルフィニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどが挙げられる。)、シリル基であり、より好ましくはアルキル基、アリール基、置換又は無置換のアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基であり、更に好ましくはアルキル基、アリール基、アルコキシ基である。
これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
以下に一般式(17)又は(17a)で表される化合物の具体例を示すが、本発明は以下の具体例によって何ら限定されるものではない。
Figure 2008201895
Figure 2008201895
Figure 2008201895
Figure 2008201895
Figure 2008201895
Figure 2008201895
Figure 2008201895
一般式(18)で表される化合物について説明する。
Figure 2008201895
一般式(18)中、R1はアルキル基又はアリール基を表し、R2及びR3はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。また、アルキル基及びアリール基は置換基を有していてもよい。
一般式(18)として好ましくは下記一般式(18a)で表される化合物である。
Figure 2008201895
上記一般式(18a)において、R4、R5及びR6はそれぞれ独立にアルキル基またはアリール基を表す。ここで、アルキル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素原子数が1〜20のものが好ましく、1〜15のものがさらに好ましく、1〜12のものが最も好ましい。環状のアルキル基としては、シクロヘキシル基が特に好ましい。アリール基は炭素原子数が6〜36のものが好ましく、6〜24のものがより好ましい。
上記の一般式(18)又は(18a)において、アルキル基及びアリール基は置換基を有していてもよく、置換基としてはハロゲン原子(例えば、塩素、臭素、フッ素及びヨウ素)、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、スルホニルアミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基及びアシルアミノ基が好ましく、より好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、スルホニルアミノ基及びアシルアミノ基であり、特に好ましくはアルキル基、アリール基、スルホニルアミノ基及びアシルアミノ基である。
以下に、一般式(18)又は一般式(18a)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2008201895
Figure 2008201895
Figure 2008201895
Figure 2008201895
次に、下記一般式(19)で表される化合物について、説明する。
Figure 2008201895
一般式(19)中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは無置換の脂肪族基又は置換若しくは無置換の芳香族基を表す。X1、X2、X3およびX4は、それぞれ独立に、単結合、−CO−及びNR5−(R5は置換若しくは無置換の脂肪族基又は置換若しくは無置換の芳香族基を表す)からなる群から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基を表す。a、b、c及びdは0以上の整数であり、a+b+c+dは2以上である。Q1は(a+b+c+d)価の有機基を表す。
前記(19)で表される化合物は、更に下記一般式(19a)〜(19d)のいずれかで表される化合物であることが好ましい。
Figure 2008201895
一般式(19a)中、R11、R12、R13及びR14は、それぞれ、水素原子、置換若しくは無置換の脂肪族基又は置換若しくは無置換の芳香族基を表す。X11、X12、X13及びX14は、それぞれ、単結合、−CO−及びNR15−(R15は置換若しくは無置換の脂肪族基又は置換若しくは無置換の芳香族基を表す)からなる群から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基を表す。k、l、m及びnは0又は1であり、k+l+m+nは2、3又は4である。Q2は2〜4価の有機基を表す。
Figure 2008201895
一般式(19b)中、R21及びR22は、それぞれ独立に、置換若しくは無置換の脂肪族基又は置換若しくは無置換の芳香族基を表す。Y1及びY2は、それぞれ独立に、−CONR23−又は−NR24CO−を表す(R23及びR24は置換若しくは無置換の脂肪族基又は置換若しくは無置換の芳香族基を表す)。L1は、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−NR25−(R25は水素原子、置換若しくは無置換の脂肪族基又は置換若しくは無置換の芳香族基を表す。)、アルキレン基及びアリーレン基からなる群から選ばれる1種以上の基から形成される2価の有機基を表す。
Figure 2008201895
一般式(19c)中、R31、R32、R33及びR34はそれぞれ独立に、置換若しくは無置換の脂肪族基又は置換若しくは無置換の芳香族基を表す。L2は−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−NR35−(R35は水素原子、置換若しくは無置換の脂肪族基又は置換若しくは無置換の芳香族基を表す。)、アルキレン基及びアリーレン基からなる群から選ばれる1種以上の基から形成される2価の有機基を表す。
Figure 2008201895
一般式(19d)中、R51、R52、R53及びR54はそれぞれ独立に、置換若しくは無置換の脂肪族基又は置換若しくは無置換の芳香族基を表す。L4は−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−NR55−(R55は水素原子、置換若しくは無置換の脂肪族基又は置換若しくは無置換の芳香族基を表す。)、アルキレン基及びアリーレン基からなる群から選ばれる1種以上の基から形成される2価の有機基を表す。
以下、一般式(19)で表される化合物についてさらに説明する。
上記一般式(19)において、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは無置換の脂肪族基又は置換若しくは無置換の芳香族基を表し、脂肪族基が好ましい。脂肪族基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、環状であることがより好ましい。脂肪族基及び芳香族基が有していてもよい置換基としては後述の置換基Tが挙げられるが、無置換のものが好ましい。
1、X2、X3及びX4は、それぞれ独立に、単結合、−CO−、−NR5−(R5は置換若しくは無置換の脂肪族基又は置換若しくは無置換の芳香族基を表し、無置換のもの及び/又は脂肪族基がより好ましい。)からなる群から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基を表す。X1、X2、X3及びX4の組み合わせは特に限定されないが、−CO−、−NR5−から選ばれるのがより好ましい。
a、b、c及びdは0以上の整数であり、a+b+c+dは2以上である。a+b+c+dは、2〜8であることが好ましく、より好ましくは2〜6、さらに好ましくは2〜4である。Q1は(a+b+c+d)価の有機基(環状のものを除く)を表す。Q1の価数は2〜8が好ましく、2〜6がより好ましく、2〜4が最も好ましい。ここで有機基とは、有機化合物からなる基をいう。
上記一般式(19a)において、R11、R12、R13及びR14は、それぞれ独立に、水素原子、置換若しくは無置換の脂肪族基又は置換若しくは無置換の芳香族基を表し、脂肪族基が好ましい。脂肪族基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、環状であることがより好ましい。脂肪族基及び芳香族基が有していてもよい置換基としては後述の置換基Tが挙げられるが、無置換のものが好ましい。
11、X12、X13及びX14はそれぞれ独立に、単結合、−CO−、−NR15−(R15は置換若しくは無置換の脂肪族基又は置換若しくは無置換の芳香族基を表し、無置換のもの及び/又は脂肪族基がより好ましい。)から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基を表す。それぞれX11、X12、X13及びX14の組み合わせは特に限定されないが、−CO−、−NR15−から選ばれるのがより好ましい。
k、l、m及びnは0又は1であり、k+l+m+n=2、3又は4である。Q1は2〜4価の有機基(環状のものを除く)を表す。Q1の価数は2又は3が好ましい。
上記一般式(19b)において、R21及びR22は、それぞれ独立に、置換若しくは無置換の脂肪族基又は置換若しくは無置換の芳香族基を表し、脂肪族基が好ましい。脂肪族基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、環状であることがより好ましい。脂肪族基及び芳香族基が有していてもよい置換基としては後述の置換基Tが挙げられるが、無置換のものが好ましい。
1及びY2はそれぞれ独立に−CONR23−又は−NR24CO−を表し、R23及びR24は置換若しくは無置換の脂肪族基又は置換若しくは無置換の芳香族基を表表し、無置換のもの及び/又は脂肪族基がより好ましい。L1は−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−NR25−、アルキレン基及びアリーレン基から選ばれる1種以上の基から形成される2価の有機基(環状のものを除く)を表す。
1の組み合わせは特に限定されないが、−O−、−S−、−NR25−、及びアルキレン基から選ばれるのが好ましく、−O−、−S−及びアルキレン基から選ばれるのがさらに好ましく、−O−、−S−及びアルキレン基から選ばれるのが最も好ましい。
上記一般式(19c)において、R31、R32、R33及びR34はそれぞれ独立に、置換若しくは無置換の脂肪族基又は置換若しくは無置換の芳香族基を表し、脂肪族基が好ましい。脂肪族基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、環状であることがより好ましい。脂肪族基及び芳香族基が有していてもよい置換基としては後述の置換基Tが挙げられるが、無置換のものが好ましい。
2は−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−NR35−(R35は置換若しくは無置換の脂肪族基又は置換若しくは無置換の芳香族基を表し、無置換のもの及び/又は脂肪族基がより好ましい。)、アルキレン基、アリーレン基から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基を表す。L2の組み合わせは特に限定されないが、−O−、−S−、−NR35−、及びアルキレン基から選ばれるのが好ましく、−O−、−S−及びアルキレン基から選ばれるのがさらに好ましく、−O−、−S−及びアルキレン基から選ばれるのが最も好ましい。
上記一般式(19d)において、R51、R52、R53及びR54はそれぞれ独立に、置換若しくは無置換の脂肪族基又は置換若しくは無置換の芳香族基を表し、脂肪族基が好ましい。脂肪族基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、環状であることがより好ましい。脂肪族基及び芳香族基が有していてもよい置換基としては後述の置換基Tが挙げられるが、無置換のものが好ましい。
4は−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−NR55−(R55は置換若しくは無置換の脂肪族基又は置換若しくは無置換の芳香族基を表し、無置換のもの及び/又は脂肪族基がより好ましい。)、アルキレン基、アリーレン基から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基を表す。L4の組み合わせは特に限定されないが、−O−、−S−、−NR55−、及びアルキレン基から選ばれるのが好ましく、−O−、−S−及びアルキレン基から選ばれるのがさらに好ましく、−O−、−S−及びアルキレン基から選ばれるのが最も好ましい。
以下に一般式(19)及び一般式(19a)〜(19d)においてR1〜R5、R11〜R15、R21〜R25、R31〜R35、R51〜R55で表される脂肪族基について説明する。脂肪族基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素原子数1〜25のものが好ましく、6〜25のものがより好ましく、6〜20のものが特に好ましい。脂肪族基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、アミル基、イソアミル基、tert−アミル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基ビシクロオクチル基、アダマンチル基、n−デシル基、tert−オクチル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ジデシル基などが挙げられる。
以下に一般式(19)及び一般式(19a)〜(19d)においてR1〜R5、R11〜R15、R21〜R25、R31〜R35、R51〜R55で表される芳香族基について説明する。芳香族基は芳香族炭化水素基でも芳香族ヘテロ環基でもよく、より好ましくは芳香族炭化水素基である。芳香族炭化水素基としては、炭素原子数が6〜24のものが好ましく、6〜12のものがさらに好ましい。芳香族炭化水素基の具体例な環としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル、ターフェニルなどの各環基が挙げられる。芳香族炭化水素基としては、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニルの各基が特に好ましい。芳香族ヘテロ環基としては、酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子のうち少なくとも1つを含むものが好ましい。ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどの各環が挙げられる。芳香族ヘテロ環基としては、ピリジン環、トリアジン環、キノリン環が特に好ましい。
また、以下に上記の一般式(15)、(15a)、(15c)、(17)、(17a)、(19)、(19a)〜(19d)に係る前述の置換基Tに関して詳細に説明する。
置換基Tとしては、例えばアルキル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜12、特に好ましくは1〜8のものであり、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例えばビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例えばプロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素原子数6〜30、より好ましくは6〜20、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニル基、p−メチルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。)、置換又は未置換のアミノ基(好ましくは炭素原子数0〜20、より好ましくは0〜10、特に好ましくは0〜6であり、例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基などが挙げられる。)、
アルコキシ基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜12、特に好ましくは1〜8であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素原子数6〜20、より好ましくは6〜16、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばアセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基などが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素原子数7〜20、より好ましくは7〜16、特に好ましくは7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニル基などが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜10であり、例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる。)、
アシルアミノ基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜10であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素原子数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素原子数7〜20、より好ましくは7〜16、特に好ましくは7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素原子数0〜20、より好ましくは0〜16、特に好ましくは0〜12であり、例えばスルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる。)、
アルキルチオ基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメチルチオ基、エチルチオ基などが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素原子数6〜20、より好ましくは6〜16、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニルチオ基などが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメシル基、トシル基などが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素原子数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素原子数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基などが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素原子数3〜40、より好ましくは3〜30、特に好ましくは3〜24であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)などが挙げられる。
これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
一般式(19)、一般式(19a)〜(19d)のいずれかで表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
Figure 2008201895
Figure 2008201895
Figure 2008201895
Figure 2008201895
本発明に用いられる化合物はいずれも既知の化合物より製造することができる。一般式(19)又は(19a)〜(19d)のいずれかで表される化合物は、例えば、カルボニルクロリドとアミンとの縮合反応により得られる。
<logP値>
本発明において、オクタノール−水分配係数(logP値)が1〜10である化合物をレターデーション調節剤として使用することが好ましい。logP値としてさらに好ましい範囲は1〜6であり、特に好ましい範囲は1.5〜5である。
logP値が10以下であることにより、光学フィルム用組成物との相溶性が良好であり、Rthを充分に低減させる効果を有し、また光学フィルムの白濁や粉吹きを生じるといった問題が起こらず好ましい。
また、logP値が1以上であることにより、親水性が高くなり過ぎず、光学フィルムの耐水性を悪化させるという問題が生じないため好ましい。
オクタノール−水分配係数(logP値)の測定は、JIS日本工業規格Z7260−107(2000)に記載のフラスコ浸とう法により実施することができる。また、オクタノール−水分配係数(logP値)は実測に代わって、計算化学的手法あるいは経験的方法により見積もることも可能である。計算方法としては、Crippen’s fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987))、Viswanadhan’s fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,29,163(1989))、Broto’s fragmentation法(Eur.J.Med.Chem.−Chim.Theor.,19,71(1984))などが好ましく用いられるが、Crippen’s
fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987))がより好ましい。ある化合物のlogPの値が測定方法あるいは計算方法により異なる場合に、該化合物が本発明の範囲内であるかどうかは、Crippen’s fragmentation法により判断することが好ましい。
<レターデーション調節剤の物性>
レターデーション調節剤は、前述のとおり、芳香族基を含有してもよいし、含有しなくてもよい。
レターデーション調節剤は、分子量が3,000以下であることが好ましく、分子量が150以上3,000以下であることがより好ましく、170以上2,000以下であることがさらに好ましく、200以上1,000以下であることが特に好ましい。これらの分子量の範囲であれば、特定のモノマー構造であってもよいし、そのモノマーユニットが複数結合したオリゴマー構造、ポリマー構造でもよい。
レターデーション調節剤は、好ましくは、25℃で液体であるか、融点が25〜250℃の固体であり、さらに好ましくは、25℃で液体であるか、融点が25〜200℃の固体である。またレターデーション調節剤は、光学フィルム作製のドープ流延、乾燥の過程で揮散しないことが好ましい。
レターデーション調節剤の添加量は、光学フィルム全体の0.01〜30重量%であることが好ましく、1〜30重量%であることがより好ましく、3〜20重量%であることが特に好ましい。レターデーション調節剤は、単独で用いても、2種以上化合物を任意の比で混合して用いてもよい。レターデーション調節剤を添加する時期はドープ作製工程中の何れであってもよく、ドープ調製工程の最後に行ってもよい。
<その他の光学異方性低下剤>
オクタノール−水分配係数(logP値)が0〜7である、多価アルコールエステル化合物、カルボン酸エステル化合物、多環カルボン酸化合物、ビスフェノール誘導体を光学フィルム用組成物に添加することによっても、光学異方性を低下させることができる。すなわち、これらの化合物も、光学フィルムの光学異方性を低下させる化合物であり、本発明においては、これらの化合物を上記レターデーション調節剤に加えて更に添加することもできる。
オクタノール−水分配係数(logP値)が0〜7である、多価アルコールエステル化合物、カルボン酸エステル化合物、多環カルボン酸化合物、ビスフェノール誘導体の具体例を以下に示す。
<多価アルコールエステル化合物>
本発明に好適に用いられる多価アルコールエステルは、2価以上の多価アルコールと1種以上のモノカルボン酸とのエステルである。多価アルコールエステル化合物としては以下のものが例としてあげられるが、本発明はこれらに限定されない。
<多価アルコール>
好ましい多価アルコールの例としては、例えばアドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等を挙げることができる。特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールが好ましい。
<モノカルボン酸>
好ましいモノカルボン酸としては、特に制限はなく公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いるとより光学フィルムの透湿度、含水率、保留性を向上させる点で好ましい。
好ましいモノカルボン酸の例としては、以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖又は側鎖を有する脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数は1〜20であることが更に好ましく、1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有すると光学フィルム用組成物との相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。これらは更に置換基を有してもよい。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、又はそれらの誘導体を挙げることができる。特に安息香酸が好ましい。
本発明に用いられる多価アルコールエステルにおけるカルボン酸は一種類でも、二種以上の混合でもよい。また、多価アルコール中のOH基は全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。好ましくは、分子内に芳香環もしくはシクロアルキル環を3つ以上有することが好ましい。
多価アルコールエステル化合物としては、以下の化合物を例としてあげることができるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2008201895
Figure 2008201895
<カルボン酸エステル化合物>
カルボン酸エステル化合物としては、以下の化合物を例としてあげることができるが、本発明はこれらに限定されない。具体的には、フタル酸エステル及びクエン酸エステル等、フタル酸エステルとしては、例えばジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート及びジエチルヘキシルフタレート等、またクエン酸エステルとしてはクエン酸アセチルトリエチル及びクエン酸アセチルトリブチルを挙げることが出来る。またその他、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバチン酸ジブチル、トリアセチン、トリメチロールプロパントリベンゾエート等も挙げられる。アルキルフタリルアルキルグリコレートもこの目的で好ましく用いられる。アルキルフタリルアルキルグリコレートのアルキルは炭素原子数1〜8のアルキル基である。アルキルフタリルアルキルグリコレートとしてはメチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、プロピルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等を挙げることが出来、メチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレートが好ましく、特にエチルフタリルエチルグリコレートが好ましく用いられる。またこれらアルキルフタリルアルキルグリコレート等を2種以上混合して使用してもよい。
カルボン酸エステル化合物としては、以下の化合物を例としてあげることができるが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 2008201895
Figure 2008201895
<多環カルボン酸化合物>
本発明において用いられる多環カルボン酸化合物は分子量が3,000以下の化合物であることが好ましく、特に250〜2,000以下の化合物であることが好ましい。環状構造に関して、環の大きさについて特に制限はないが、3〜8個の原子から構成されていることが好ましく、特に6員環及び/又は5員環であることが好ましい。これらが炭素、酸素、窒素、ケイ素あるいは他の原子を含んでいてもよく、環の結合の一部が不飽和結合であってもよく、例えば6員環がベンゼン環、シクロヘキサン環でもよい。本発明に用いられる化合物は、このような環状構造が複数含まれているものであり、例えば、ベンゼン環とシクロヘキサン環をどちらも分子内に有していたり、2個のシクロヘキサン環を有していたり、ナフタレンの誘導体あるいはアントラセン等の誘導体であってもよい。より好ましくはこのような環状構造を分子内に3個以上含んでいる化合物であることが好ましい。また、少なくとも環状構造の1つの結合が不飽和結合を含まないものであることが好ましい。具体的には、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、パラストリン酸などのアビエチン酸誘導体が代表的であり、以下にこれら化合物の化学式を示すが、特にこれらに限定されるものではない。
Figure 2008201895
上記K−5において、Rは、水素原子、置換若しくは無置換の脂肪族基又は置換若しくは無置換の芳香族基を表し、脂肪族基が好ましい。脂肪族基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、環状であることがより好ましい。また、nは1以上の整数であればよく、1≦n≦20であることが好ましく、1≦n≦10であることがより好ましい。
<ビスフェノール誘導体>
本発明において用いられるビスフェノール誘導体は分子量が10,000以下であることが好ましく、この範囲であれば単量体でもよいし、オリゴマー、ポリマーでもよい。また他のポリマーとの共重合体でもよいし、末端に反応性置換基が修飾されていてもよい。
以下にこれら化合物の化学式を示すが、特にこれらに限定されるものではない。
Figure 2008201895
なお、ビスフェノール誘導体の上記具体例中で、R1〜R4は水素原子、又は炭素数1〜10のアルキル基を表す。l、m、nは繰り返し単位を表し、特に限定はしないが、1〜100の整数が好ましく、1〜20の整数がさらに好ましい。
上記logP値が0〜7である多価アルコールエステル化合物、カルボン酸エステル化合物、多環カルボン酸化合物、ビスフェノール誘導体の配合量は、上記フィルム用組成物100重量部に対して0.1〜30重量部とするのが好ましく、1〜20重量部とするのが更に好ましい。
<マット剤微粒子>
本発明のフィルム用組成物には、マット剤として微粒子を加えることが好ましい。本発明に使用される微粒子としては、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。これらの微粒子の中ではケイ素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化ケイ素が好ましい。
二酸化ケイ素の1次粒子の平均径は1nm〜20nmであることが好ましく、5nm〜16nmと小さいものがフィルムのヘイズを下げることができてより好ましい。
二酸化ケイ素の見かけ比重は70g/リットル以上であるものが好ましく、90〜200g/リットルが好ましく、100〜200g/リットルがさらに好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
これらの微粒子は、通常平均粒子サイズが0.05〜2.0μmの2次粒子を形成し、これらの微粒子はフィルム中では、1次粒子の凝集体として存在し、フィルム表面に0.05〜2.0μmの凹凸を形成させる。
2次平均粒子サイズは0.05μm〜1.0μmが好ましく、0.1μm〜0.7μmがさらに好ましく、0.1μm〜0.4μmが最も好ましい。1次、2次粒子サイズはフィルム中の粒子を走査型電子顕微鏡で観察し、粒子に外接する円の直径をもって粒子サイズとした。また、場所を変えて粒子200個を観察し、その平均値をもって平均粒子サイズとした。
二酸化ケイ素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上、日本アエロジル社製、商品名)などの市販品を使用することができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上、日本アエロジル社製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でアエロジル200V、アエロジルR972Vが、1次平均粒子サイズが20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/リットル以上である二酸化ケイ素の微粒子であり、光学フィルムのヘイズを低く保ちながら、摩擦係数をさげる効果が大きいため特に好ましい。
マット剤分散剤と添加剤溶液の混合、及びフィルム用組成物との混合にはインラインミキサーを使用することが好ましい。本発明はこれらの方法に限定されないが、二酸化ケイ素微粒子を溶剤などと混合して分散するときの二酸化ケイ素の濃度は5〜30重量%が好ましく、10〜25重量%が更に好ましく、15〜20重量%が最も好ましい。分散濃度が高い方が同量の添加量に対する濁度は低くなり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましい。
最終的なフィルム用組成物のマット剤の添加量は0.001〜1.0重量%が好ましく、0.005〜0.5重量%が更に好ましく、0.01〜0.1重量%が最も好ましい。
また、マット剤の含有率は、製造適性と高温高湿安定性の点で、好ましくはフィルム全体の0.005〜5.0重量%である。より好ましくは、0.025〜2.5重量%、最も好ましくは、0.05〜0.5重量%である。
<可塑剤>
フィルム用組成物には、機械的物性を改良するため、又は乾燥速度を向上するために、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、リン酸エステル又はカルボン酸エステルが用いられる。
リン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェート(TPP)及びトリクレジルホスフェート(TCP)が含まれる。カルボン酸エステルとしては、フタル酸エステル及びクエン酸エステルが代表的である。フタル酸エステルの例には、ジメチルフタレート(DMP)、ジエチルフタレート(DEP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、ジフェニルフタレート(DPP)及びジエチルヘキシルフタレート(DEHP)が含まれる。クエン酸エステルの例には、O−アセチルクエン酸トリエチル(OACTE)及びO−アセチルクエン酸トリブチル(OACTB)が含まれる。その他のカルボン酸エステルの例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル、種々のトリメリット酸エステルが含まれる。中でもリン酸エステルが好ましく、TPPがより好ましい。
可塑剤の添加量は、フィルム全体の0.1〜25重量%であることが好ましく、1〜20重量%であることがさらに好ましく、3〜15重量%であることが最も好ましい。
<紫外線吸収剤>
本発明のフィルム用組成物には、紫外線吸収剤を添加することができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を挙げることができるが、着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。また、特開平10−182621号公報、特開平8−337574号公報記載の紫外線吸収剤、特開平6−148430号公報記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。本発明のフィルムを、偏光板の保護フィルムとして用いる場合、紫外線吸収剤としては、偏光子や液晶の劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れており、且つ、液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。
本発明に有用なベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例として、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、オクチル−3−[3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−[3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネートの混合物等を挙げることができるが、これらに限定されない。
また、市販品として、「チヌビン(TINUVIN)109」、「チヌビン(TINUVIN)171」、「チヌビン(TINUVIN)326」、「チヌビン(TINUVIN)328」(何れも商品名、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)を好ましく使用できる。
紫外線吸収剤の添加量は、フィルム全体に対して0.1〜5.0重量%であることが好ましく、0.5〜5.0重量%であることがさらに好ましい。
<劣化防止剤>
フィルム用組成物には、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン)を添加してもよい。
劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載がある。
劣化防止剤の添加量は、劣化防止剤添加による効果が発現し、フィルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)を抑制する観点から、調製する溶液(ドープ)の0.01〜1重量%であることが好ましく、0.01〜0.2重量%であることがさらに好ましい。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げることができる。
フィルム用組成物には、その他の添加剤を含んでいてもよい。
耐光安定剤、耐候安定剤、熱安定剤等の安定剤;ガラス繊維、炭素繊維等の補強材;近赤外線吸収剤;トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、トリアリルホスフェート、酸化アンチモン等の難燃剤;アニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤等の帯電防止剤;無機顔料、有機顔料、染料等の着色剤;有機フィラーや無機フィラー;樹脂改質剤;有機充填剤や無機充填剤;滑剤;帯電防止剤;などが挙げられる。
光学用面状熱可塑性樹脂成形体中のその他の添加剤の含有割合は、好ましくは0〜5.0重量%、より好ましくは0〜2.0重量%、さらに好ましくは0〜0.5重量%である。
<フィルムの物性>
本発明のフィルムのガラス転移温度は120℃以上、好ましくは125℃以上、更に好ましくは130℃以上である。
本発明において、フィルムの厚みは1〜1,000μmであることが好ましく、10〜1,000μmであることがより好ましく、20〜200μmであることが更に好ましく、40〜100μmであることが特に好ましい。上記の数値の範囲内であると強度及び光学特性に優れる。
本発明のフィルムは、ASTM−D−882−61Tに基づいて測定した引張強度が10MPa以上100MPa未満であることが好ましく、より好ましくは30MPa以上100MPa未満である。10MPa未満の場合には、十分な機械的強度を発現できなくなるおそれがあるため好ましくない。100MPaを超えると、加工性が悪くなるため好ましくない。
本発明のフィルムは、ASTM−D−882−61Tに基づいて測定した伸び率が1%以上であることが好ましく3%以上であることが更に好ましい。上限は特に限定されないが、通常は100%以下が好ましい。1%未満の場合には、靭性に欠けるため好ましくない。
本発明のフィルムは、ASTM−D−882−61Tに基づいて測定した引張弾性率が0.5GPa以上であることが好ましく、より好ましくは1GPa以上、さらに好ましくは2GPa以上である。上限は特に限定されないが、通常は20GPa以下が好ましい。0.5GPa未満の場合には、十分な機械的強度を発現できなくなるおそれがあるため好ましくない。
<光学フィルムの物性>
本発明の光学フィルムは、本発明のフィルムが有する物性に加え、各種光学用途に応じた特性を十分に発揮できる光学フィルムである。
本発明の光学フィルムは、面方向の100μmあたりの位相差が20nm以下であり、好ましくは10nm以下である。
本発明の光学フィルムは、全光線透過率が85%以上、好ましくは87%以上、更に好ましくは90%以上である。
本発明の光学フィルムは、位相差の入射角依存性が小さく、入射角0°の100μmあたりの位相差R0と入射角40°の100μmあたりの位相差R40との差(R40−R0)が、好ましくは20nm以下、より好ましくは10nm以下である。
<フィルム及び光学フィルムの製造方法>
本発明のフィルム及び光学フィルム(以下、「(光学)フィルム」と記載する。)の製造方法は特に限定されないが、例えば、式(I)で表されるモノマー単位を有する高分子と、その他の高分子や添加剤などを、従来公知の混合方法にて混合し、予め(光学)フィルム用組成物としてから、(光学)フィルムを製造する事ができる。
この(光学)フィルム用組成物の製造方法は、例えば、オムニミキサー等の混合機でプレブレンドした後、得られた混合物を押出混練する方法を採用することができる。この場合、押出混練に用いる混練機は、特に限定されるものではなく、例えば、単軸押出機、二軸押出機等の押出機や加圧ニーダー等、従来公知の混練機を用いることができる。
(光学)フィルム成形の方法としては、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法、カレンダー法、圧縮成形法など、公知のフィルム成形方法が挙げられ、中でも溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法が好ましい。
この際、前述のように予め押出し混練した(光学)フィルム用組成物を用いてもよいし、式(I)で表されるモノマー単位を有する高分子と、その他の高分子や添加剤などを、別々に溶液に溶解して均一な混合液とした後、溶液キャスト法(溶液流延法)や溶融押出法の(光学)フィルム成形工程に供してもよい。
溶液キャスト法(溶液流延法)に用いられる溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタンなどの塩素系溶媒;トルエン、キシレン、ベンゼン、及びこれらの混合溶媒などの芳香族系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノールなどのアルコール系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド、ジオキサン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、ジエチルエーテル;などが挙げられる。これら溶媒は1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
溶液キャスト法(溶液流延法)を行うための装置としては、例えば、ドラム式キャスティングマシン、バンド式キャスティングマシン、スピンコーターなどが挙げられる。
溶融押出法としては、Tダイ法、インフレーション法などが挙げられ、その際の、フィルムの成形温度は、好ましくは150〜350℃、より好ましくは200〜300℃である。上記Tダイ法でフィルム成形する場合は、公知の単軸押出し機や2軸押出し機の先端部にTダイを取り付け、フィルム状に押出したフィルムを巻取りロール状のフィルムを得る事ができる。この際、巻取りロールの温度を適宜調整して、押出し方向に延伸を加えることで、一軸延伸工程とする事も可能である。また、押出し方向と垂直な方向にフィルムを延伸する工程を加える事で、逐次二軸延伸、同時二軸延伸などの工程を加えることも可能である。
本発明の(光学)フィルムは、未延伸フィルムであってもよいし、延伸フィルムであってもよい。延伸する場合は、一軸延伸フィルムでもよいし、2軸延伸フィルムでもよい。2軸延伸フィルムとする場合は、同時2軸延伸したものでもよいし、逐次2軸延伸したものでもよい。2軸延伸した場合は、機械強度が向上しフィルム性能が向上する。本発明の光学フィルムは、その他の高分子を混合する事により、延伸しても位相差の増大を抑制する事ができ、光学等方性を保つ事ができる。
延伸温度としては、(光学)フィルム原料の高分子のガラス転移温度近辺で行うことが好ましく、具体的には、(ガラス転移温度−30)℃〜(ガラス転移温度+100)℃で行うことが好ましく、より好ましくは(ガラス転移温度−20)℃〜(ガラス転移温度+80)℃である。上記の数値の範囲内であると、十分な延伸倍率が得られ安定な延伸を行うことができる。
面積比で定義した延伸倍率は、好ましくは1.1〜25倍の範囲、より好ましくは1.3〜10倍の範囲で行われる。1.1倍よりも小さいと、延伸に伴う靭性の向上につながらないために好ましくない。25倍よりも大きいと、延伸倍率を上げるだけの効果が認められない。
延伸速度(一方向)としては、好ましくは10〜20,000%/分の範囲、より好ましくは100〜10,000%/分の範囲である。
上記の数値の範囲内であると十分な延伸倍率を得るために時間が適切であるため製造コストを抑えることができ、延伸フィルムの破断等が生じにくい。
(光学)フィルムの光学等方性や力学特性を安定化させるため、延伸処理後に熱処理(アニーリング)などを行うこともできる。
以下に本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、特にことわりのない限り「部」は「重量部」を示す。
<光学等方性フィルム>
(実施例1)
<光学フィルム用組成物の調製>
表1の高分子(X)(P−6) 100部
メチルエチルケトン 300部
可塑剤(TPP/BDP=75/25重量%) 10部
マット剤(アエロジルR972V) 1部
上記の成分を耐圧性のミキシングタンクに投入し6時間撹拌し、光学フィルム用組成物(以下、ドープともいう)を調製した。
<光学フィルムの作製>
(1)調製した光学フィルム用組成物をバンド流延機にて金属支持体上に流延した後に乾燥し、自己支持性のあるドープ流延膜をバンドより剥離した。剥離したドープ膜をテンターでフィルム幅が維持されるように把持しながら乾燥した後、ロールに巻き取り、厚み80μmの光学フィルム試料を、幅方向が1.3mの長さとなるように作製した。得られたものを「無延伸フィルム」と言う。
(2)上記(1)の操作において、剥離したドープ膜を乾燥する前にテンターで把持しながらTD方向(搬送方向と垂直な方向)に1.2倍率で延伸し、同様に乾燥後、巻き取り、得られたものを「延伸フィルム」と言う。
<レターデーションの測定>
得られた光学フィルムの屈折率異方性(レターデーション:Re)は、位相差測定装置KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて測定した。
但し、光学等方性がよいものは、無延伸フィルム及び延伸フィルムのレターデーション(Re)が0に近く。かつ変化のないものがよい。製品としての許容は、1.5以下である。結果を表1に示す。
<全光線透過率の評価>
得られた延伸フィルムの全光線透過率は、濁度計NDH−1001DP(日本電色工業(株)製)を用いて測定した。結果を表1に示す。
<巻取り性の評価>
得られた延伸フィルムの巻取り性は下記の基準で評価した。
○:フィルム作製工程で密着せずに巻き取ることができる。
×:フィルム作製工程で密着して故障が発生する。
結果を表1に示す。
<安定性の評価>
厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して偏光膜を得た。作製した光学フィルムを2枚用意し、偏光膜を間にして両側から挟むようにポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせ、両面が光学フィルムによって保護された偏光板を得た。この際両側の光学フィルムの遅相軸が偏光膜の透過軸と平行になるように貼り付けた。
作製した偏光板について、クロスニコルでの透過率の400nm〜700nmの平均値について、60℃、95%RHの条件下に1,300時間静置する前後の差を求めることで、偏光板耐久性を評価した。数字が小さい方がよく、許容レベルは0.05以下である。結果を表1に示す。
(実施例2〜4)
表1に記載された高分子を用いた以外は実施例1と同様にして無延伸フィルム、延伸フィルム及び偏光板を作製し、全光線透過率、レターデーション、安定性及び巻取り性を評価した。結果を表1に示す。
(比較例1)
表1に記載された高分子T1を用いた以外は実施例1と同様にして無延伸フィルム、延伸フィルム及び偏光板を作製し、全光線透過率、レターデーション、安定性及び巻取り性を評価した。結果を表1に示す。
(比較例2)
マット剤を添加しない以外は比較例1と同様にして無延伸フィルム、延伸フィルム及び偏光板を作製し、全光線透過率、レターデーション、安定性及び巻取り性を評価した。結果を表1に示す。
(比較例3)
高分子として下記に説明する高分子T2を用いた以外は実施例1と同様にして無延伸フィルム、延伸フィルム及び偏光板を作製し、全光線透過率、レターデーション、安定性及び巻取り性を評価した。結果を表1に示す。
<高分子T2の調製>
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を付した30L反応釜に、8,000部のメタクリル酸メチル(MMA)、2,000部の2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)、10,000部の4−メチル−2−ペンタノン(メチルイソブチルケトン、MIBK)、5部のn−ドデシルメルカプタンを仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温し、還流したところで、開始剤として5.0gのターシャリーブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(アクゾ化薬製、商品名:カヤカルボン Bic−75)を添加すると同時に、10.0部のターシャリーブチルパーオキシイソプロピルカーボネートと230部のMIBKからなる溶液を2時間かけて滴下しながら、還流下(約105〜120℃)で溶液重合を行い、さらに4時間かけて熟成を行った。
得られた重合体溶液に、30部のリン酸ステアリル/リン酸ジステアリル混合物(堺化学製、商品名:Phoslex A−18)を加え、還流下(約90〜120℃)で5時間、環化縮合反応を行った。
次いで、上記環化縮合反応で得られた重合体溶液を、バレル温度260℃、回転数100rpm、減圧度13.3〜400hPa(10〜300mmHg)、リアベント数1個、フォアベント数4個のベントタイプスクリュー二軸押出し機(φ=29.75mm、L/D=30)に、樹脂量換算で2.0kg/時間の処理速度で導入し、該押出し機内で環化縮合反応と脱揮を行い、押出すことにより、透明なペレットを得た。
得られたペレットについて、ダイナミックTGの測定を行ったところ、0.17重量%の重量減少を検知した。また、ペレットの重量平均分子量は133,000であり、メルトフローレートは6.5g/10分、ガラス転移温度は131℃であった。
得られたペレットとアクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂(東洋スチレン社製;商品名 トーヨーAS AS20)を該ペレット/AS樹脂=90/10の重量比で単軸押出し機(φ=30mm)を用いて混錬することにより、透明な高分子T2を得た。得られた高分子T2のガラス転移温度は127℃であった。
(比較例4)
マット剤を添加しない以外は比較例3と同様にして無延伸フィルム、延伸フィルム及び偏光板を作製し、全光線透過率、レターデーション、安定性及び巻取り性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 2008201895
<表中記号>
T1: PMMA(ポリメタクリル酸メチル Mw5.0万)/AS(アクリロニトリル−スチレン)樹脂=90/10重量%
T2: 上記ペレット/AS樹脂=90/10重量%
<光学異方性フィルム>
(実施例5)
<光学フィルム用組成物の調製>
表2の高分子(X)(P−5) 100部
メチルエチルケトン 300部
レターデーション調節剤(UVB−3) (r)部
可塑剤(TPP/BDP=75/25重量%) 10部
マット剤(アエロジルR972V) 1部
上記の成分を耐圧性のミキシングタンクに投入し6時間撹拌し、光学フィルム用組成物(以下、ドープともいう)を調製した。
<光学フィルムの作製>
(1)調製した光学フィルム用組成物をバンド流延機にて金属支持体上に流延した後に乾燥し、自己支持性のあるドープ流延膜をバンドより剥離した。剥離したドープ膜を乾燥する前にテンターで把持しながらTD方向(搬送方向と垂直な方向)に1.2倍率で延伸し、乾燥後に巻き取り、「延伸フィルム」を得た。
<レターデーションの測定>
得られた光学フィルムの屈折率異方性(レターデーション:Re)は、位相差測定装置KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて測定した。
但し、光学異方性がよいものは、延伸フィルムのレターデーション(Re)の数字の絶対値が大きく。レターデーション調節剤添加(ドープ)によりさらに大きくなるものがよい。製品としての許容は、調節剤を添加していない光学フィルムで絶対値が60以上、調節剤を添加した光学フィルムで絶対値が120以上である。結果を表2に示す。
<全光線透過率の評価>
得られた延伸フィルムの全光線透過率は、濁度計NDH−1001DP(日本電色工業(株)製)を用いて測定した。結果を表2に示す。
<巻取り性の評価>
得られた延伸フィルムの巻取り性は下記の基準で評価した。
○:フィルム作製工程で密着せずに巻き取ることができる。
×:フィルム作製工程で密着して故障が発生する。
結果を表2に示す。
<安定性の評価>
厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して偏光膜を得た。作製した光学フィルムを2枚用意し、偏光膜を間にして両側から挟むようにポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせ、両面が光学フィルムによって保護された偏光板を得た。この際両側の光学フィルムの遅相軸が偏光膜の透過軸と平行になるように貼り付けた。
作製した偏光板について、クロスニコルでの透過率の400nm〜700nmの平均値について、60℃、95%RHの条件下に1,300時間静置する前後の差を求めることで、偏光板耐久性を評価した。数字が小さい方がよく、許容レベルは0.05以下である。結果を表2に示す。
(実施例6〜12)
表2に記載された高分子を用い、レターデーション調節剤を(r)部用いた以外は実施例5と同様にして延伸フィルム及び偏光板を作製し、全光線透過率、レターデーション、安定性及び巻取り性を評価した。結果を表2に示す。
(比較例5及び6)
表2に記載された高分子T3を用い、レターデーション調節剤を(r)部用いた以外は実施例5と同様にして延伸フィルム及び偏光板を作製し、全光線透過率、レターデーション、安定性及び巻取り性を評価した。結果を表2に示す。
(比較例7)
高分子(X)として下記に説明するT4を用いた。T4は比較例3で作製したペレットを、ペレット/AS樹脂=80/20の重量比で単軸押出し機を用いて混錬することにより得た。T4のガラス転移温度は125℃であった。
それ以外は実施例5と同様にして延伸フィルム及び偏光板を作製し、全光線透過率、レターデーション、安定性及び巻取り性を評価した。結果を表2に示す。
(比較例8)
表2に記載された高分子T4を用い、レターデーション調節剤を添加した以外は比較例7と同様にして無延伸フィルム、延伸フィルム及び偏光板を作製し、全光線透過率、レターデーション、安定性及び巻取り性を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2008201895
<表中記号>
T3: PMMA(Mw5.0万)/AS樹脂=80/20重量%
T4: 上記ペレット/AS樹脂=80/20重量%
表1、表2に示す結果より本発明のフィルム用組成物は、光学フィルム用組成物として用いた場合にマット剤やレターデーション調節剤等の添加剤の分散性及び溶解安定性が良好であり、得られた光学フィルム材料の光学特性、高温高湿安定性、生産性(巻取り性)が良好である。
特に、表1に示す結果より、本発明のフィルム用組成物に含まれるポリマーがマット剤を分散安定化させることにより光学フィルムの濁りを防止しているため、優れた巻取り性と透明性を両立していることも理解できる。
該結果に繋がる明確な機構は不明であるが、主成分であるα−ヘテロ置換メチルアクリル基を有する該高分子の直接的な添加剤との相互作用が重要であると考えている。
すなわち、α−ヘテロ置換メチルアクリル基を有する該重合体は、α位に置換されたヘテロ原子からなる置換基が、近接した多数の弱い相互作用サイトを形成し、まるで溶媒和するかのごとくに添加剤を安定的に溶解又は分散状態にするものと考える。
レターデーション調節剤の効果は、自由体積が小さいポリマーや相溶化させやすいポリマーにおいて、効果が大きく発現すると言われており、該ポリマーにおいてもそのような機構で発現したものと考えている。

Claims (8)

  1. 式(I)で表されるモノマー単位を有する高分子を含有することを特徴とする
    フィルム用組成物。
    Figure 2008201895
    式(I)中、Q1はシアノ基又は−COX2基を表し、X1は、ヘテロ原子を介してα炭素に結合する水素原子、有機残基若しくはポリマー鎖、又は、ハロゲン原子を表し、X2は、ヘテロ原子を介してカルボニル基に結合する水素原子、有機残基若しくはポリマー鎖、又は、ハロゲン原子を表し、Ra、Rbは各々独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基又は有機残基を表し、X1とX2、RaとRb、X1とRa又はRbとが互いに結合して環状構造を形成してもよい。
  2. 前記X1の該ヘテロ原子が、酸素原子、イオウ原子及び窒素原子よりなる群から選ばれた1つのヘテロ原子である請求項1に記載のフィルム用組成物。
  3. 前記X1が、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、チオウレア結合、スルホン結合、スルホキシド結合、ウレタン結合、ウレア結合及びアミド結合よりなる群から選ばれた少なくとも1つの結合を有する有機残基又はポリマー鎖である請求項1又は2に記載のフィルム用組成物。
  4. マット剤を含む請求項1〜3いずれか1つに記載のフィルム用組成物。
  5. 請求項1〜4いずれか1つに記載のフィルム用組成物から製造されたフィルム。
  6. 請求項1〜4いずれか1つに記載のフィルム用組成物を含む光学フィルム用組成物。
  7. レターデーション調節剤を含む請求項6に記載の光学フィルム用組成物。
  8. 請求項6又は7に記載の光学フィルム用組成物から製造された光学フィルム。
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