JP2005185990A - 重合性界面活性剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 共重合性が十分なビニル重合性界面活性剤であって、乳化重合用乳化剤として使用された場合のエマルジョンの低起泡性およびエマルジョンから形成されるフィルムの耐水性に優れ、樹脂改質剤として使用した場合の樹脂の耐水性および強度などの改善ができるビニル重合性界面活性剤を提供する。
【解決手段】
一般式(1)で示され、Alfrey−PriceのQ値が0.03〜2.8であり、SP値が9.4〜10.8であるビニル重合性界面活性剤(A)である。
【化3】

式中、R1は炭素数8〜48の炭化水素基、Zはアリル基、メタリル基、プロペニル基、アクリロイル基またはメタクリロイル基、Xは−SO31/k基、−PO31/k基または−CH2COOM1/k基、A1 およびA2は炭素数2〜4のアルキレン基、mおよびnは1〜50の整数であり、Mは水素原子または1価もしくは2価のカチオン、kは1または2でありカチオンMの原子価を表す。
【選択図】 なし

Description

本発明はビニル重合性界面活性剤に関し、さらに詳しくはグリセリン骨格を有するアニオン性ビニル重合性界面活性剤に関する。
従来、エチレン性不飽和単量体とビニル共重合できる界面活性剤としてラジカル重合性の不飽和基と疎水基および親水基を有する化合物が提案されている。
例えば、乳化重合用のビニル重合性界面活性剤は、(メタ)アクリル酸エステル系エマルジョン、酢酸ビニル系エマルジョン、合成ゴム系エマルジョン、ABS系エマルジョン等の製造時、即ち乳化重合時または乳化重合後に添加されて、非重合性乳化剤を使用した場合に比べて、得られる樹脂フィルムの耐水性向上に効果があると言われている。具体的にはラジカル重合性の不飽和基(アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基など)、炭化水素基などの疎水基、ポリオキシアルキレン基および硫酸エステル基などの親水性を1分子中に有した構造の化合物が提案されている(特許文献−1〜3参照)。
特開昭62−104803号公報 特開昭62−286528号公報 特開平8−41112号公報
しかしながら、従来のビニル重合性界面活性剤は他の単量体との共重合性が十分ではなく、未反応の界面活性剤が少なからず残存するため、乳化重合して得られるエマルジョンの泡立ちの多さ、およびエマルジョンから形成されるフィルムの耐水性などの物性の低下、並びに樹脂改質剤として使用した場合の樹脂の耐水性および強度などの低下があり問題となっていた。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、共重合性の改善されたビニル重合性界面活性剤を見出した。すなわち本発明は、一般式(1)で示され、Alfrey−PriceのQ値が0.03〜2.8であり、SP値が9.4〜10.8であるビニル重合性界面活性剤(A);該(A)からなる乳化重合用乳化剤;および該(A)からなるビニル系樹脂改質剤;である。
式中、R1は炭素数8〜48の炭化水素基、Zはアリル基、メタリル基、プロペニル基、アクリロイル基またはメタクリロイル基、Xは−SO31/k基、−PO31/k基または−CH2COOM1/k基、A1 およびA2は炭素数2〜4のアルキレン基、mおよびnは1〜50の整数であり、Mは水素原子または1価もしくは2価のカチオン、kは1または2でありカチオンMの原子価を表す。
本発明のビニル重合性界面活性剤は乳化重合用乳化剤として使用した場合、良好な乳化安定性、低起泡性および生成するエマルジョンのフィルムが良好な耐水性を有する。
また、樹脂成形品を構成する樹脂の重合時に本発明のビニル重合性界面活性剤を樹脂改質剤として共重合することによって、樹脂成型品の顔料分散性、調色性、染色性、帯電防止性、表面塗装性および防曇性等を改良することができる。
一般式(1)において、R1で示される炭素数8〜48(好ましくは炭素数12〜42、さらに好ましくは炭素数18〜36)の炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アルキルアリール基およびアラルキルアリール基が挙げられる。
アルキル基としては、2−エチルヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシルおよびテトラコシル基等;
アルケニル基としては、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニルおよびオクタデセニル基等;
アラルキル基としては、ベンジル、フェニルエチルおよびクミル基等;
アルキルアリール基としては、モノブチルフェニル、ジブチルフェニル、t−ブチルフェニル、オクチルフェニル、ノニルフェニルおよびジノニルフェニル基等;
アラルキルアリール基としては、モノまたはポリ(ジ、トリもしくはそれ以上)スチリル化フェニル、モノまたはポリ(ジ、トリもしくはそれ以上)ベンジル化フェニルおよびモノまたはポリ(ジ、トリもしくはそれ以上)クミル化フェニル基等;並びにこれらの混合物が挙げられる。
3のうちで好ましいのはアルキル基およびアラルキルアリール基、特にポリベンジル化フェニル基、とりわけトリベンジル化フェニル基である。
一般式(1)におけるZは、好ましくはアクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基およびプロペニル基、特にアリル基、アクリロイル基およびメタクリロイル基である。
一般式(1)におけるXは−SO31/k基、−PO31/k基または−CH2COOM1/k基であり、好ましいのは−SO31/k基および−PO31/k基である。M1/kは水素原子、または1価もしくは2価(好ましくは1価)のカチオンおよびこれらの併用(併用の場合のカチオンの割合は70モル%以上)であり、好ましいのはカチオンである。
カチオンとしては1価カチオン、例えばアルカリ金属(ナトリウムおよびカリウムなど)カチオン、アンモニウムカチオンおよび有機アミンカチオン[アルカノール(炭素数2〜12)アミンカチオン、低級アルキル(炭素数1〜6)アミンカチオンなど]、並びに2価カチオン、例えばアルカリ土類金属(カルシウムおよびマグネシウムなど)カチオンが挙げられる。これらのうち好ましいのはアルカリ金属(特にナトリウムおよびカリウム)およびアンモニウムカチオンである。
mおよびnは1〜50の整数であり、好ましくはmは(A)の共重合性の観点から2〜30、特に4〜20、nは(A)の親水性の観点から2〜30、特に2〜8である。
1およびA2は炭素数2〜4のアルキレン基であり、エチレン基、プロピレン基、イソブチレン基およびブチレン基などが挙げられる。これらのうちで好ましいのはエチレン基、プロピレン基およびこれらの併用(併用の場合のエチレン基の割合は好ましくは70モル%以上)、特にエチレン基である。
本発明のビニル重合性界面活性剤(A)はAlfrey−PriceのQ値が通常0.03〜2.8であり、好ましくは0.04〜1.20、特に好ましくは0.05〜0.90である。Alfrey−PriceのQ値はラジカル重合性の単量体の二重結合とその置換基との共役の程度を表すとされており、スチレンを基準(Q=1.0)として実験的に求められた値である。該Q値については、例えば、「改訂、高分子合成の化学」大津隆行著(化学同人、1992年刊)の111頁〜116頁に記載の方法により実験的に測定して求めることができる。一般的にQ値が大きく異なる単量体間の共重合は、Q値が大きい方の単量体のみが重合する確率が大きくなるため、お互いの共重合反応性がきわめて悪くなる傾向がある。例えば、(A)以外のエチレン性不飽和単量体(B)のうち代表的なもののQ値は一般的に0.4〜2.5が多く、例えば、メタクリル酸メチル=0.74、アクリル酸エチル=0.42、アクリル酸n−ブチル=0.43、メタクリル酸n−ブチル=0.67、アクリル酸2−エチルヘキシル=0.41、1,3−ブタジエン=2.39、アクリル酸=1.27、メタクリル酸=2.34などである。
従って、ビニル重合性界面活性剤のQ値が0.03未満ではエチレン性不飽和単量体(B)のQ値の方が大きくなり過ぎるため、(B)のみが重合しやすくなる。そのため、ビニル重合性界面活性剤の本来の機能である共重合性が小さくなる。その結果、例えば、0.03未満のQ値を有するビニル重合性界面活性剤が乳化重合用乳化剤として使用されたとしても、乳化重合後のエマルジョン中にビニル重合性界面活性剤が未反応で残存する割合が多くなるため、エマルジョンを乾燥して得られるフィルムの耐水性も悪くなる。
本発明の(A)は一般式(1)で示されるように、重合性の不飽和基であるZがグリセリン骨格[−O−CH2−CH(−O−)−CH2−]に直接に結合せずに、(ポリ)アルキレンオキサイド鎖−(A1O)m−を介在させてグリセリン骨格と結合している構造を有しており、このことが従来の重合性界面活性剤よりも比較的高いQ値(0.03〜2.8)を有する1つの理由であると推定される。
なお、ビニル重合性界面活性剤のQ値が2.8以上になると、逆にビニル重合性界面活性剤のみの重合が起こりやすくなるため(B)との共重合がしにくくなる。
本発明における(A)のSP値(溶解性パラメーター)は通常9.4〜10.8であることが必要であり、好ましくは9.5〜10.5である。通常、(B)のみから得られる樹脂のSP値は9.4〜10.5である。例えば、ポリメタクリル酸メチル=9.93、ポリアクリル酸メチル=10.56、ポリアクリル酸エチル=10.20、ポリアクリル酸n−ブチル=9.95、ポリメタクリル酸n−ブチル=9.45、ポリスチレン=10.55、ポリ酢酸ビニル=10.56などであり、2種以上の(B)から得られる共重合体のSP値は、これら単独重合体のSP値の加重平均値になる。(A)が乳化重合用乳化剤の場合、(A)のSP値が、得られる樹脂分散体の樹脂自身のSP値に近い方が樹脂分散体から得られるフィルムの耐水性が良くなる。
(A)のSP値が9.4未満、または10.8を超えると、樹脂自身のSP値との差が大きくなり、得られるフィルムの耐水性は十分ではなくなる。(A)のSP値の調整は、該(A)中の疎水基の種類とその含有量の調整および親水基の種類とその含有量の調整により行うことができる。該SP値は、例えば、R.T.Fedors,Polymer Engineering and Science,(14),147(1974)記載の方法で計算で求めることができる。
本発明における(A)の製造方法は従来から公知の合成反応を組み合わせて製造することができる。
例えば、
(1)一般式HO−(A1O)m−R1で示される化合物(R1−OHのアルキレンオキサイド付加物)をエピハロヒドリン(エピクロルヒドリンなど)で触媒(三フッ化ホウ素エーテル錯体および/またはアルカリ金属水酸化物など)を用いてグリシジルエーテル化する。通常、三フッ化ホウ素エーテル錯体を用いてエピハロヒドリンの開環付加反応(室温〜70℃で2〜20時間)した後、アルカリ金属水酸化物などのアルカリ触媒を用いて閉環反応(室温から65℃で2〜10時間)を行う、またはアルカリ金属水酸化物などのアルカリ触媒を過剰に用いて開環付加と閉環反応を同時もしくは引き続いて行う(室温〜70℃で2〜12時間)。
(2)グリシジルエーテルと、一般式HO−(A2O)n−Zで示される化合物(例えば、アクリル酸のアルキレンオキサイド付加物、メタクリル酸のアルキレンオキサイド付加物およびアリルアルコールのアルキレンオキサイド付加物など)とを触媒(三フッ化ホウ素エーテル錯体またはアルカリ金属水酸化物など)存在下で反応させて、グリシジル基を水酸基で開環反応させてエーテル化する(50〜100℃で5〜20時間)。
(3)さらに、グリシジル基の開環によって生成する水酸基を硫酸エステル化、リン酸エステル化またはカルボキシメチル化する。
硫酸化剤としては、発煙硫酸、硫酸、クロル硫酸またはスルファミン酸などが使用できる。反応温度は、発煙硫酸またはクロル硫酸の場合は通常0〜70℃、好ましくは10〜50℃、スルファミン酸または硫酸の場合は通常50〜150℃、好ましくは60〜130℃である。
硫酸化反応の終点は、56100/(硫酸エステルまたはその塩の分子量)で表される酸価が、理論計算値の70〜110%となる点であり、好ましくは80〜105%となる点である。
また、結合硫酸量を測定しても終点が確認でき、(80×100)/(硫酸エステルまたはその塩の分子量)で表される結合硫酸量が、理論計算値の70〜110%となる点、好ましくは80〜105%となる点である。
また、塩にする方法としてはアルカリ金属(ナトリウムおよびカリウムなど)もしくはアルカリ土類金属(カルシウムおよびマグネシウムなど)の水酸化物、アンモニア水、有機アミン[アルカノール(炭素数2〜12)アミン、低級アルキル(炭素数1〜6)アミンなど]などで中和する方法が挙げられる。
硫酸化剤としてスルファミン酸を使用した場合はアンモニウム塩を形成しているのでこの操作は必要としない。
リン酸化剤としては、リン酸、ポリリン酸、無水リン酸またはオキシ塩化リン等が使用できる。
例えば、無水リン酸を用いた場合、反応温度は通常30〜150℃、好ましくは60〜130℃、反応時間は通常1〜10時間、好ましくは2〜5時間である。
リン酸化物には、通常モノエステル型とジエステル型の化合物が含まれて生成するが、これらは分離してモノエステル型のみを取り出してもよいが、分離しにくい場合はそのまま混合物として使用してもよい。
カルボキシメチル化剤としては、モノハロゲン化酢酸(モノクロル酢酸等)が挙げられる。反応は通常40〜100℃で2〜15時間で行われる。
リン酸化およびカルボキシメチル化後に塩にする方法は、上記の硫酸エステル化の場合と同様にできる。
本発明の(A)が、乳化重合用乳化剤またはビニル系樹脂改質剤として使用される場合の共重合の相手となるエチレン性不飽和単量体(B)としては、例えば次の疎水性ビニル単量体(B1)、親水性ビニル単量体(B2)およびこれらの混合物が挙げられる。
(B1)疎水性ビニル単量体
(B11)エポキシ基含有ビニル単量体;
例えばグリシジル(メタ)アクリレートおよびグリシジル(メタ)アリルエーテル。
(B12)ハロゲン元素含有ビニル単量体;
例えば塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、塩化(メタ)アリルおよびハロゲン化スチレン(ジクロルスチレンなど)。
(B13)ビニルエステル、ビニルエーテルおよびビニルケトン類;
例えば炭素数2〜12の飽和脂肪酸のビニルエステル[酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルおよびオクタン酸ビニルなど]、炭素数1〜12のアルキル、アリールもしくはアルコキシアルキルのビニルエーテル[メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、ビニル2−メトキシエチルエーテルおよびビニル2−ブトキシエチルエーテルなど]、および炭素数1〜8のアルキルもしくはアリールのビニルケトン[メチルビニルケトン、エチルビニルケトンおよびフェニルビニルケトンなど]。
(B14)不飽和カルボン酸のエステル;
不飽和モノカルボン酸[(メタ)アクリル酸およびクロトン酸など]の炭素数1〜30のアルキル、シクロアルキルもしくはアラルキルエステル;
(B141)炭素数1〜30のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート;例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−およびi−プロピル(メタ)アクリレート、n−、i−およびt−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレートおよびエイコシル(メタ)アクリレート、
(B142)不飽和ジカルボン酸[マレイン酸、フマール酸およびイタコン酸など]の炭素数1〜8のアルキルジエステル;例えばジメチルマレエート、ジメチルフマレート、ジエチルマレエートおよびジオクチルマレエート。
(B15)脂肪族炭化水素系ビニル単量体;
(B151)炭素数2〜20のアルケン;例えばエチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセンおよびオクタデセン。
(B152)炭素数4〜12のアルカジエン;例えばブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6ヘプタジエンおよび1,7−オクタジエン。
(B16)脂環式炭化水素系ビニル単量体;
例えば、シクロヘキセン、(ジ)シクロペンタジエン、ピネン、リモネン、インデン、ビニルシクロヘキセンおよびエチリデンビシクロヘプテン。
(B17)芳香族炭化水素系ビニル単量体;
例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、4−エチルスチレン、4−イソプロピルスチレン、4−ブチルスチレン、4−フェニルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ベンジルスチレン、4−クロチルベンゼンおよび2−ビニルナフタレン。
(B18)ニトリル基またはニトロ基含有ビニル単量体;
例えば、(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレンおよび4−ニトロスチレン。
(B2)親水性ビニル単量体;
(B21)アニオン性ビニル単量体;
(B211)カルボキシル基含有ビニル単量体;
例えば不飽和モノカルボン酸[(メタ)アクリル酸、α−メチル(メタ)アクリル酸、クロトン酸および桂皮酸など]、不飽和ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数1〜8)エステル[マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステルおよびイタコン酸モノアルキルエステルなど]並びにジカルボン酸基含有ビニル単量体[マレイン酸、フマル酸、イタコン酸およびシトラコン酸など]。
(B212)スルホン酸基含有ビニル単量体;
例えば炭素数2〜6のアルケンスルホン酸[ビニルスルホン酸および(メタ)アリルスルホン酸など]、炭素数6〜12の芳香族ビニル基含有スルホン酸[α−メチルスチレンスルホン酸など]、スルホン酸基含有(メタ)アクリルエステル系単量体[スルホプロピル(メタ)アクリレートおよび2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸など]、スルホン酸基含有(メタ)アクリルアミド系単量体[2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸など]、スルホン酸基と水酸基を含有するビニル単量体[3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸および3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸など]並びにアルキル(炭素数3〜18)アリルスルホコハク酸エステル[ドデシルアリルスルホコハク酸エステルなど]。
(B213)硫酸エステル基含有ビニル単量体;
例えばポリ(n=2〜30)オキシアルキレン(エチレン、プロピレン、ブチレン:単独、ランダム、ブロックでもよい)モノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル、ポリ(n=2〜30)オキシアルキレン(エチレン、プロピレン、ブチレン:単独、ランダム、ブロックでもよい)ビスフェノールAモノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル。
(B214)燐酸基含有ビニル単量体;
例えば(メタ)アクリロイルオキシアルキル(炭素数2〜6)燐酸モノエステル[(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェートなど]および(メタ)アクリロイルオキシホスホン酸[2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸など]。
なお、上記カルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基または燐酸基含有ビニル単量体は塩でもよく、塩としては前述の1価金属塩、2価金属塩、アミン塩もしくはアンモニウム塩が挙げられる。
(B22)カチオン性ビニル単量体;
(B221)1〜3級アミノ基含有ビニル単量体;
1級アミノ基含有ビニル単量体、例えば、炭素数3〜6のアルケニルアミン[(メタ)アリルアミンおよびクロチルアミンなど]、アミノアルキル(炭素数2〜6)(メタ)アクリレート[アミノエチル(メタ)アクリレートなど]、2級アミノ基含有ビニル単量体、例えば、アルキル(炭素数1〜6)アミノアルキル(炭素数2〜6)(メタ)アクリレート[t−ブチルアミノエチルメタクリレートおよびメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなど]、炭素数6〜12のジアルケニルアミン[ジ(メタ)アリルアミンなど]、3級アミノ基含有ビニル単量体、例えばジアルキル(炭素数1〜4)アミノアルキル(炭素数2〜6)(メタ)アクリレート[ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなど]、ジアルキル(炭素数1〜4)アミノアルキル(炭素数2〜6)(メタ)アクリルアミド[ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミドなど]、3級アミノ基含有芳香族ビニル系単量体[N,N−ジメチルアミノスチレンなど]、含窒素複素環含有ビニル系単量体[モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、N−ビニルピロール、N−ビニルピロリドン、N−ビニルチオピロリドンなど]、およびこれらの塩酸塩、硫酸塩、燐酸塩もしくは低級カルボン酸塩(炭素数1〜8)。
(B222)第4級アンモニウム塩基含有ビニル単量体;
例えば前述の3級アミノ基含有ビニル単量体を、4級化剤(炭素数1から12のアルキルクロライド、ジアルキル硫酸、ジアルキルカーボネート、およびベンジルクロライド等)を用いて4級化したもの。
具体的には、アルキル(メタ)アクリレート系第4級アンモニウム塩としては、例えば(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライドおよび(メタ)アクリロイルオキシエチルメチルモルホリノアンモニウムクロライドなど;アルキル(メタ)アクリルアミド系第4級アンモニウム塩としては、例えば(メタ)アクリロイルアミノエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルアミノエチルトリエチルアンモニウムクロライドおよび(メタ)アクリロイルアミノエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライドなど;その他の第4級アンモニウム塩基含有ビニル系単量体としては、例えばジメチルジアリルアンモニウムメチルサルフェートおよびトリメチルビニルフェニルアンモニウムクロライドなど。
(B23)親水性非イオン性ビニル単量体;
(B231)アミド基含有ビニル単量体;
例えば非置換もしくはモノアルキル(炭素数1〜4)置換(メタ)アクリルアミド[(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−およびイソブチル(メタ)アクリルアミドなど];ジアルキル(炭素数1〜4)置換(メタ)アクリルアミド[N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミドおよびN,N−ジn−ブチル(メタ)アクリルアミド];N−ビニルカルボン酸アミド[N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−n−およびイソプロピオニルアミドおよびN−ビニルヒドロキシアセトアミド]。
(B232)ヒドロキシル基含有ビニル単量体;
例えばヒドロキシル基含有芳香族ビニル単量体[p−ヒドロキシスチレンなど]、ヒドロキシアルキル(炭素数2〜6)(メタ)アクリレート[2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2または3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなど]、モノ−またはジ−ヒドロキシアルキル(炭素数1〜4)置換(メタ)アクリルアミド[N,N−ジヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ−2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミドなど]、ビニルアルコール(酢酸ビニル単位の加水分解により形成される)、炭素数3〜12のアルケノール[(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−オクテノール、1−ウンデセノールなど]、炭素数4〜12のアルケンジオール[1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオールなど]、ヒドロキシアルキル(炭素数1〜6)アルケニル(炭素数3〜10)エーテル[2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテルなど]、多価(3〜8価)アルコール(アルカンポリオール、その分子内もしくは分子間脱水物、糖類、例えばグリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ジグリセリン、蔗糖)のアルケニル(炭素数3〜10)エーテルもしくは(メタ)アクリレート[蔗糖(メタ)アリルエーテル]。
(B233)ポリオキシアルキレン鎖含有ビニル単量体;
例えばポリオキシアルキレングリコール(アルキレン基の炭素数2〜4、重合度2〜50)、もしくはポリオキシアルキレンポリオール[上記3〜8価のアルコールのポリオキシアルキレンエーテル(アルキル基の炭素数2〜4、重合度2〜100)]、またはそれらのアルキル(炭素数1〜6)エーテルの(メタ)アクリレート[ポリエチレングリコール(分子量100〜300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(分子量130〜500)モノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(分子量110〜310)(メタ)アクリレート、ラウリルアルコールエチレンオキシド付加物(2〜30モル)(メタ)アクリレート、モノ(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレン(分子量150〜230)ソルビタン等]。
(A)が乳化重合用乳化剤として使用される場合の好ましい(B)は、(B1)のうちの(B12)〜(B17)、並びに(B2)のうちの(B21)および(B23)であり、モル比(B1)と(B2)を併用する場合は、(B)中の(B1)は50モル%以上、特に80モル%以上であることが好ましい。
本発明の(A)は、例えば、乳化重合用乳化剤として使用することによって、得られるエマルジョンのフィルムは良好な耐水性が得られる。
本発明の(A)を乳化重合用乳化剤として使用する方法について以下に述べる。
(A)が乳化重合用乳化剤として使用される場合の、(A)と(B)の込みモル%の比(A)/(B)は、好ましくは0.1〜15%/85〜99.9%、好ましくは0.2〜10%/90〜99.8%である。
(A)が0.1%以上であれは乳化重合時に乳化状態が不安定になりにくく、凝集物が少ない。また、15%以下であればエマルジョンから生成するフィルムの耐水性が比較的良好である。
(A)の使用時期は、(1)乳化重合反応の際の乳化剤として添加する方法、あるいは(2)生成したエマルジョンに後から添加する方法のいづれでもよい。
(1)の方法は、従来から行われている乳化重合の方法で行えばよい。すなわち、本発明の(A)単独、または必要により他の公知の乳化重合用乳化剤(M)を併用して、水性媒体中で撹拌下に所定温度で(B)および重合開始剤を一括で、または分割して、あるいは連続的に供給することにより行われる。
(B)はそのままで、あるいは水と他の乳化剤により(B)のエマルジョンの状態で供給される。
乳化重合時の系内における(A)+(B)の濃度としては仕込原料の全量に基づいて通常20〜70重量%、好ましくは30〜60重量%である。重合開始剤および促進剤としては公知のものを使用すればよく、たとえば重合開始剤としては、過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、t−ブチルヒドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリルおよびアゾビスイソバレロニトリル等が挙げられ、また促進剤としては、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄アンモニウムおよび硫酸銅等などが挙げられる。
必要により併用される他の乳化重合用乳化剤(M)としては、ノニオン性乳化重合用乳化剤、アニオン性乳化重合用乳化剤、カチオン性乳化重合用乳化剤、両性乳化重合用乳化剤、および(A)以外のビニル重合性界面活性剤が挙げられる。
ノニオン性乳化重合用乳化剤としては、脂肪族系アルコール(炭素数8〜24)アルキレンオキサイド(炭素数2〜8)付加物(重合度=1〜100)、(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)高級脂肪酸(炭素数8〜24)エステル[モノステアリン酸ポリエチレングリコール(重合度=20)、ジステアリン酸ポリエチレングリコール(重合度=30)等]、多価(2価〜10価またはそれ以上)アルコール脂肪酸(炭素数8〜24)エステル[モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸エチレングリコール、モノラウリン酸ソルビタン等]、(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8,重合度=1〜100)多価(2価〜10価またはそれ以上)アルコール高級脂肪酸(炭素数8〜24)エステル[モノラウリン酸ポリオキシエチレン(重合度=10)ソルビタン、ポリオキシエチレン(重合度=50)ジオレイン酸メチルグルコシド等]、脂肪酸アルカノールアミド[1:1型ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、1:1型ラウリン酸ジエタノールアミド等]、(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)アルキル(炭素数1〜22)フェニルエーテル、(ポリ)オキシアルキレン(炭素数2〜8、重合度=1〜100)アルキル(炭素数8〜24)アミノエーテルおよびアルキル(炭素数8〜24)ジアルキル(炭素数1〜6)アミンオキシド[ラウリルジメチルアミンオキシド等]等が挙げられる。
アニオン性乳化重合用乳化剤としては、炭素数8〜24の炭化水素系エーテルカルボン酸またはその塩、[(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルスルホコハク酸2ナトリウム等]、炭素数8〜24の炭化水素系硫酸エステル塩[ラウリル硫酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリル硫酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリル硫酸トリエタノールアミン、(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸ナトリウム、]、炭素数8〜24の炭化水素系スルホン酸塩[ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等]及び炭素数8〜24の炭化水素系リン酸エステル塩[ラウリルリン酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム等]、脂肪酸塩[ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸トリエタノールアミン等]、アシル化アミノ酸塩[ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸ザルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸ザルコシントリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム等]が挙げられる。
カチオン性乳化重合用乳化剤としては、アルキル(炭素数1〜4)硫酸高級脂肪酸アミノアルキル(炭素数2〜4)トリアルキル(炭素数1〜4)アンモニウム塩[(エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム等)]、アミン塩型[ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド乳酸塩、ジラウリルアミン塩酸塩、オレイルアミン乳酸塩等]等が挙げられる。
両性乳化重合用乳化剤としては、ベタイン型両性界面活性剤[ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ラウロイルアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタインヒドロキシプロピルリン酸ナトリウム等]、アミノ酸型両性界面活性剤[β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等]が挙げられる。
(A)以外のビニル重合性界面活性剤としては、例えば、特公昭49−46291号公報に記載のスルホコハク酸エステル型界面活性剤;特開昭62−100502号公報、特開昭63−23725号公報、特開平4−50202号公報、及び特開平4−50204号公報等に記載のアリル基又はプロペニル基を有する炭化水素置換フェノールのアルコキシレート;特開昭62−104802号公報等に記載の炭化水素基又はアシル基を有するグリセリン誘導体のアルコキシレート;特開昭62−11534号公報に記載のホルムアルデヒドで架橋した(置換)フェノールの誘導体;特開昭63−319035号公報、特開平4−50204号公報等に記載のα−オレフィンオキシド由来のアルキル基を含むもの等が挙げられる。
(M)を併用する場合の、(A)+(M)と(B)の込み重量%の比[(A)+(M)]/(B)は、好ましくは0.2〜20%/80〜99.8%、好ましくは0.3〜15%/85〜99.7%である。
乳化重合の安定化の目的で、さらに保護コロイド剤、例えば部分ケン化ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどを使用することができるが、多量に使用すると本発明の目的に反するので本発明の(A)の重量に基づいて20重量以下が好ましい。重合は必要に応じてその他の添加剤、例えば、PH調整剤、連鎖移動剤、キレート剤などが使用される。重合温度は、重合しようとするモノマーの種類によって異なるが、通常−5〜100℃である。また普通に用いられる水系媒体として水の他にメタノール、イソプロパノール、アセトン、エチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等の有機溶剤を併用してもよい。また、必要に応じて、乳化重合時または生成したエマルジョンに消泡剤、粘度調整剤、造膜助剤、防腐剤、凍結安定剤、架橋剤、可塑剤、帯電防止剤、顔料、染料などの添加剤を加えてもよい。
本発明の(A)は、乳化重合用以外に、例えば樹脂成形品を構成する樹脂の重合時に(A)を共重合することによって樹脂成型品(繊維、板状品、ブロック状品など)の顔料分散性、調色性、染色性、帯電防止性、表面塗装性および防曇性等を改良することができる樹脂改質剤として有用である。
樹脂改質剤として使用される場合の、(A)と(B)の仕込みモル%(A)/(B)は、好ましくは0.1〜50%/50〜99.9%、好ましくは0.2〜30%/70〜99.8%である。
<実施例>
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。部は重量部を示す。
実施例1
攪拌機、滴下ロート、窒素導入口、温度計および還流冷却器を備えた四つ口反応フラスコにn−デシルアルコールのエチレンオキサイド12モル付加物700部(1.0モル)を仕込み、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体1.4部を添加した。内容物を55℃に昇温し、滴下ロートからエピクロルヒドリン111部(1.20モル)を3時間かけて滴下した。その後、3時間熟成し、48%水酸化ナトリウム水溶液136部(1.63モル)を55℃で1時間かけて滴下し、更に同温度で2時間熟成した。得られた生成物に水道水150部とトルエン300部を投入し、水洗した後、静置、分液し、上層のトルエンを減圧で留去して、グリシジルエーテル化物740部を得た。この生成物のエポキシ当量は840meq/gであった。次に、アリルアルコールのエチレンオキサイド3モル付加物171部(0.9モル)を上記と同様の四つ口反応フラスコに仕込み、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体1.4部を添加し、60℃に昇温した。その後、上記のグリシジルエーテル化物730部(0.87モル)を2時間かけて滴下し、更に同温度で3時間熟成した。その後、さらにスルファミン酸97部(1.0モル)を投入し、温度を95℃に昇温して8時間攪拌した。得られた生成物(A1)980部は、粘凋な液状であり、結合硫酸量=7.20%であった。
(A1)のQ値を以下のようにして求めた。即ち、(A1)を第1のモノマー(M1)とし、スチレンを第2のモノマー(M2)として5種類のモル比でトルエン溶液で共重合し、仕込んだ(A1)とスチレンのモル比と、生成したポリマー中の(A1)の単位とスチレン単位のモル比から、交点法でモノマー反応性比(r1、r2)を求めた。その後、下記のAlfrey Priceの式にモノマー反応性比を代入して(A1)のQ値を算出した結果、Q=0.06であった。また、SP値は9.63であった。
1=Q1/Q2 exp{−e1(e1−e2)}
2=Q2/Q1 exp{−e2(e2−e1)}
1:(A1)のモノマー反応性比
2:スチレンのモノマー反応性比
1:(A1)のQ値
2:スチレンのQ値(1.0)
1:(A1)のe値
2:スチレンのe値(−0.8)
なお、e値はポリマーの生長ラジカルの極性の程度を表しており、例えば、「改訂、高分子合成の化学」大津隆行著(化学同人、1992年刊)の111頁〜116頁に記載されている。
実施例2〜5、比較例1〜4
実施例1と同様にして、一般式(1)におけるR1、Z、X、A1、A2およびM1/kが表1に記載のものである本発明のビニル重合性界面活性剤(A2)〜(A5)、および比較例のビニル重合性界面活性剤(H1)〜(H4)を製造した。
これらのSP値およびQ値を表2に示す。
これらのビニル重合性界面活性剤を用いて以下のように乳化重合を行った。
評価例1〜3、比較評価例1、2
攪拌機、滴下ロート、窒素導入管、温度計、および還流冷却器を付けた反応器にイオン交換水360部、本発明の(A1)〜(A3)または比較例の(H1)もしくは(H2)を7.2部、重炭酸ナトリウム0.48部、過硫酸アンモニウム1.2部を仕込み、窒素置換後、撹拌下に75℃でメタクリル酸メチル130部、アクリル酸ブチル106部、メタクリル酸4部の混合モノマーを滴下ロートより3時間にわたって滴下し、さらに2時間80℃で熟成して重合を行った。40℃に冷却後、28%のアンモニア水でPHを8〜9に調整した。得られた重合体エマルジョンはモノマー転化率98%以上の乳白色のエマルジョンであった。
評価例4、5、比較評価例3、4
1Lのガラスビーカーにイオン交換水172.8部、(A4)、(A5)、(H3)または(H4)を7.2部、過硫酸アンモニウム0.72部、メタクリル酸メチル85.5部、アクリル酸ブチル85.5部を入れてホモミキサー「TKロボミックス」(特殊機化工業(株)製)で3,000rpmで2分間撹拌、乳化し、モノマーエマルジョンを作成した。別に、評価例1と同様の反応容器にイオン交換水79.2部、炭酸水素ナトリウム0.36部、過硫酸アンモニウム0.18部、およびモノマーエマルジョン10.0部を仕込み、窒素置換の後、75℃に昇温し、さらに75℃で15分間撹拌した後、80℃に昇温した。その後、残りのモノマーエマルジョンにメタクリル酸9.0部を加えて、ビーカー内をマグネティックスターラーで撹拌しながら滴下ポンプを用いて全量を反応容器中に2時間かけて滴下した。その後、過硫酸アンモニウム0.18部をイオン交換水18.0部に溶解させた水溶液を10分間で滴下し、温度を85℃に上げて2時間熟成した。40℃に冷却後、28%のアンモニア水でPHを8〜9に調整した。得られた重合体エマルジョンはモノマー転化率98%以上の乳白色のエマルジョンであった。
評価例1〜5、および比較評価例1〜4で得られたエマルジョンの乳化重合安定性、即ち、乳化重合中に出来た凝塊物の量、および生成したエマルジョンの起泡性、機械的安定性、さらにエマルジョンから作成したフィルムの耐水性を以下のようにして評価した。
結果を表3に示す。
(凝塊物)
生成したエマルジョンを150メッシュの金網で濾過し、残渣を水で洗浄後130℃で1.5時間乾燥して得た凝固物重量を、仕込みモノマー重量に対する%で表した。
(エマルジョンの起泡性)
100mlの共栓付メスシリンダーに、生成したエマルジョンをイオン交換水で4倍に希釈した希釈液30部を入れて、30回強く振套した直後の泡の体積を測定し、mlで表した。
(エマルジョンの機械的安定性)
生成したエマルジョン50gをマロン法安定度試験器にて10kg/cm2、1,000rpmで5分間回転し、生成した凝固物を150メッシュの金網で濾別し、水で洗浄後130℃で1。5時間乾燥した。この乾燥重量を採取エマルジョン中の固形分重量に対する%で表した。
(フィルムの耐水性)
試料をガラス板上で70℃にて8時間乾燥して作成した被膜(厚さ0.2mm)の耐水白化性をJIS K-6828に準じて測定した。240時間後被膜の状態を以下の基準で判定した。浸せき後の塗膜が透明なほど耐水性が良好である
ことを示す。
◎:完全透明、○:わずかに白化、△:○〜×の中間、×:大部分白化
表3の結果より、本発明のビニル重合性界面活性剤は乳化重合用乳化剤として比較例と比べると、重合安定性が良く、エマルジョンの起泡性が少なく、さらに機械的安定性が良好で、フィルムの耐水性も優れていることがわかる。
本発明のビニル重合性界面活性剤は、水性塗料用、水性接着剤用または繊維加工処理剤用などのエマルジョンを製造する際の乳化重合用乳化剤として使用できる。また、樹脂成形品を構成する樹脂の重合時に本発明のビニル重合性界面活性剤を共重合することによって諸物性が改質・改善された樹脂成型品を得ることができる。

Claims (5)

  1. 一般式(1)で示され、Alfrey−PriceのQ値が0.03〜2.8であり、SP値が9.4〜10.8であるビニル重合性界面活性剤(A)。
    (式中、R1は炭素数8〜48の炭化水素基、Zはアリル基、メタリル基、プロペニル基、アクリロイル基またはメタクリロイル基、Xは−SO31/k基、−PO31/k基または−CH2COOM1/k基、A1 およびA2は炭素数2〜4のアルキレン基、mおよびnは1〜50の整数であり、Mは水素原子または1価もしくは2価のカチオン、kは1または2でありカチオンMの原子価を表す。)
  2. 一般式(1)中のXが、−SO31/kであり、R1がアラルキルアリール基である請求項1記載のビニル重合性界面活性剤。
  3. 一般式(1)中Zがアリル基、アクリロイル基またはメタクリロイル基、mが4〜20、nが2〜8である請求項1または2記載のビニル重合性界面活性剤。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のビニル重合性界面活性剤からなる乳化重合用乳化剤 。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のビニル重合性界面活性剤をからなるビニル系樹脂改質剤。
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