JP3856494B2 - 新規化合物、界面活性剤、乳化重合用乳化剤、懸濁重合用分散剤及び樹脂改質剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はクロトン酸エステル基を有する新規化合物に関し、又、本発明は該構造を有する界面活性剤に関し、さらに又、本発明は該構造を有する乳化重合用乳化剤、懸濁重合用分散剤ならびに樹脂改質剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
界面活性剤とは乳化、分散、洗浄、湿潤、起泡等の幅広い性能を有している。それらの諸性能を利用して、従来から繊維をはじめとし、紙、ゴム、プラスチック、金属、塗料、顔料、土木建築等あらゆる分野に利用されている。特に最近は界面活性剤を使用した末端商品の高性能化への動きが活発化してきており、それに伴って、界面活性剤が有する副次的な欠点も指摘されている。
【0003】
例えば、界面活性剤は塗料、印刷インキ、接着剤などではその製品の製造時、あるいは製品の安定化、更には作業性などの点で欠かすことができないものとして製品中に含有される。それら界面活性剤を含む製品が、塗布、印刷あるいは接着、粘着等の作業で現実に使用される場合は、本来界面活性剤は不要であり、むしろ存在している界面活性剤によって、塗膜、印刷面、接着皮膜等の耐水性、耐油性等の性能を悪化させる場合が多い。
これらの対策として界面活性剤の配合量の削減、界面活性剤の高分子化等の方向で検討されているが、製品の安定性、作業性等の点で未だ十分に解決するまでに至っていない。
【0004】
又、ポリマーを乳化重合によって製造する際、従来乳化重合用乳化剤としてアルキル硫酸塩、アルキルベンゼン硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩等のアニオン界面活性剤やポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、プルロニック型界面活性剤等の非イオン性界面活性剤が使用されていた。
乳化重合用乳化剤は重合の開始反応や生成反応に関与するだけでなく、生成したエマルジョンの機械安定性、化学的安定性、凍結安定性及び貯蔵安定性等にも関与し、さらにエマルジョンの粒子径、粘性及び起泡性等のエマルジョン物性、フィルム化した時の耐水性、耐候性、接着性、耐熱性等のフィルム物性にも大きな影響を及ぼすことが知られている。
しかし、上記の通常の乳化剤を使用して乳化重合したエマルジョンには乳化剤に起因するエマルジョンの泡立ちが多くなること、又、エマルジョンからフィルムを作製した場合に乳化剤が遊離した状態でフィルム中に残るため、接着性、耐水性、耐候性耐熱性等のフィルム物性の低下などの問題点が指摘されている。
【0005】
又、従来懸濁重合用分散剤としては、工業的にビニル系樹脂を製造する場合、水性媒体中で分散安定剤の存在下に塩化ビニル系モノマ−を分散させ、油溶性触媒を用いて重合を行う懸濁重合法が広く実施されている。
このような樹脂の品質を支配する因子としては重合率、水/モノマ−比、重合温度、触媒の種類及び量、重合層の型式、撹拌速度あるいは分散安定剤の種類、量等が挙げられるが、中でも分散安定剤の種類による影響が非常に大きい事が知られている。
【0006】
従来のビニル系樹脂の懸濁重合用分散剤としては、メチルセルロ−ス、ヒドロキシプロピルメチルセルロ−ス、カルボキシメチルセルロ−ス等のセルロ−ス誘導体、ゼラチンあるいはポリビニルアルコ−ル等の水溶性高分子などが挙げられる。
しかしこの様な分散剤は重合後のビニル樹脂中にフリ−で残存してしまい、それに起因してビニル樹脂の耐水性、耐候性、耐久性等の樹脂の物性を下げてしまうという問題があった。
又、ビニル系樹脂改質剤としては、従来、ビニル重合体の改質剤として特開平1−174511号公報があるが、この改質剤を用いた場合、単量体との相溶性が悪いために均一な共重合体が得られなかった。
相溶性を改良する試みとして、特開平1−174512号公報があるが、尚充分な相溶性を得るには至らず、又重合体に対する改質効果も不充分であるという問題点があった。
【0007】
上記の様な欠点を解消するため、近年分子中に界面活性能を有する基と重合性基を有する基を有し、乳化剤として作用するだけでなく、重合中徐々に重合体に、化学的な結合で取り込まれていく反応性界面活性剤に関する提案がされている。
例えば、(メタ)アリルエーテル基を有する反応性界面活性剤としては、親水基にポリエーテル鎖を有する化合物(特開昭63−319035号公報、特開昭63−151344号公報、特開昭63−214300号公報、特開昭63−54927号公報、特開昭63−54930号公報)、親水基にカルボン酸基を有する化合物(特開平7−18009号公報、特開平7−18010号公報)、親水基にスルホン酸基を有する化合物(特開平1−99638号公報、特開昭63−214336号公報、特開昭63−54928号公報、特開昭62−286528号公報)、親水基にリン酸基を有する化合物(特開平1−99639号公報、特開昭63−214334号公報、特開昭63−12334号公報)等が挙げられる。
【0008】
一方、(メタ)アクリル酸エステル基を有する反応性界面活性剤としては、親水基にポリエーテル鎖を有する化合物(特開昭63−185436号、特開昭63−77530号公報)、親水基にスルホン酸基を有する化合物(特開平1−27627号公報、特開昭63−77531号公報)、親水基にリン酸基を有する化合物(特開平1−27628号公報、特開昭63−84625号公報、特開昭63−72333号公報)、親水基にカルボン酸基を有する化合物(特開平7−18011号公報)等が挙げられる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし一般に、乳化重合、懸濁重合の条件は様々である。重合されるポリマーの種類、分子量、製造設備の条件、コスト、得られたポリマーの用途などにより重合条件は多種多様であり、それぞれの条件に適した乳化剤、分散剤が必要である。これは樹脂改質剤に関しても同様である。
一般に、他の条件が同じであるならば、アクリル酸エステル基を有する反応性乳化剤はアリルエーテル基を有するそれより樹脂中に取り込まれる速度は速い。しかし、樹脂に取り込まれる速度は速ければよいというものでもなく、遅くてもよいというわけでもない。重合の初期から終期にいたるまで、平均した量でポリマー中に取り込まれるような反応性を有していることが求められる。このような観点から、アクリル酸エステル基を有する反応性乳化剤よりは遅く樹脂に取り込まれ、アリルエーテル基を有するそれよりは速く取り込まれる反応性乳化剤は産業界の求めるところであるが、現在知られている反応性界面活性剤ではそのような要望に応えるに至っていなかった。
【0010】
【課題を解決するための手段】
そこで発明者らは鋭意検討し、新たな反応基としてクロトン酸エステル基に着目し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、一般式(1):
【0011】
【化2】
【0012】
(式中、R1及びR2は炭化水素基を表わし、Xは水素原子又は−SO 3 M、−R 5 −COOM、−PO 3 M 2 、−PO 3 MH又はCO−R 6 −COOM
(式中、Mは水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウム、アルキルアミンのアンモニウム又はアルカノールアミンのアンモニウム(但し、アルカリ土類金属原子は1/2)を表わし、R 5 はアルキレン基を表わし、R 6 は2塩基酸又はその無水物の残基を表わす。)で表わされる親水基を表わし、Yは水素原子、炭化水素基又はO−(R3−O)c−R4 で表される基を表す。R3は炭化水素基を表わし、R4は炭化水素基又はアシル基を表わし、a及びcは0又は1〜1000の数を表わし、bは5〜50の数を表わす。)で表わされる化合物である。
又、本発明は該化合物からなる界面活性剤である。
又、本発明は該化合物からなる乳化重合用乳化剤である。
又、本発明は該化合物からなる懸濁重合用分散剤である。
又、本発明は該化合物からなる樹脂改質剤である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の化合物は、クロトン酸エステル基を有することを特徴とする。
R1、R2及びR3は1種又は2種以上の炭化水素基であればよく、直鎖、分岐鎖、環式、飽和、不飽和にかかわらないが、好ましくは炭素数2〜4のアルキレン基又はスチレンオキサイド残基(フェニルエチレン基)である。例えばエチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、スチレンオキサイド残基等である。R1、R2及びR3は互いに同一であっても異なってもよい。
一般式(1)の(R1−O)a、(R2−O)b及び(R3−O)c部は、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、エピクロルヒドリン等のアルキレンオキサイド、スチレンオキサイド等を付加重合することにより得ることができる。又、付加させるアルキレンオキサイド、スチレンオキサイド等により、R1、R2及びR3が決定され、付加させるアルキレンオキサイド、スチレンオキサイド等は単独重合、2種類以上のランダム重合、ブロック重合又はランダム/ブロック重合であってよい。付加の方法は公知の方法であってよい。R1、R2及びR3はエチレン基が好ましく、2種以上のアルキレンオキサイド、スチレンオキサイド等を用いる場合は1種はエチレンオキサイドを用いることが、親水性を十分得るために好ましい。
又、重合度a、b及びcは0〜1000であり、bは好ましくは0〜500、さらに好ましくは0〜100、より好ましくは5〜50、a及びcは0が好ましい。a、b及びcは同一であっても異なってもよい。
【0014】
一般式(1)において、Xは水素原子(水酸基)又は親水基を表す。親水基としては例えば、−SO3M、−R5−COOM、−PO3M2、−PO3H又はCO−R6−COOM等が挙げられる。
上記の親水基を表す式中、Mは水素原子、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属原子(但し、アルカリ土類金属原子は通常2価であるから、1/2)、アンモニアの4級アンモニウム、モノメチルアミン、ジプロピルアミン等のアルキルアミンの4級アンモニウム又はモノエタノ−ルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンの4級アンモニウムを表わす。
R5はメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンテン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン等のアルキレン基を表わす。なかでも原料の都合から、メチレン、エチレン、プロピレン等の炭素数1〜3のアルキレン基が好ましい。
【0015】
R6は、二塩基酸又はその無水物の残基である。二塩基酸としては、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸等の飽和脂環族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリレンジカルボン酸、キシリレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ナジック酸(エンドメチレンテトラヒドロフタル酸)、メチルナジック酸、メチルブテニルテトラヒドロフタル酸、メチルペンテニルテトラヒドロフタル酸等の不飽和脂環族ジカルボン酸等が挙げられる。これらは無水物の形で用いられてもよい。
又、これら2塩基酸の中でも、重合性炭素−炭素2重結合を有するものは、本発明の化合物を乳化重合用乳化剤、懸濁重合用分散剤、樹脂改質剤として用いた場合に、ポリマー成分に組み込まれやすい。すなわち、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和脂肪族ジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ナジック酸(エンドメチレンテトラヒドロフタル酸)、メチルナジック酸等の不飽和脂環族ジカルボン酸等が挙げられる。
【0016】
Yは水素原子又は炭化水素基を表わす。炭化水素基としては例えば、例えば、アルキル基、アルケニル基、アリール基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基等である。
アルキル基としては例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ターシャリブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ターシャリペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、イソトリデシル、ミリスチル、パルミチル、ステアリル、イコシル、ドコシル、テトラコシル、トリアコンチル、2−オクチルドデシル、2−ドデシルヘキサデシル、2−テトラデシルオクタデシル、モノメチル分岐−イソステアリル等が挙げられる。
【0017】
アルケニル基としては例えば、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、ペンテニル、イソペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、テトラデセニル、オレイル等が挙げられる。
【0018】
アリール基としては例えば、フェニル、トルイル、キシリル、クメニル、メシチル、ベンジル、フェネチル、スチリル、シンナミル、ベンズヒドリル、トリチル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ブチルフェニル、ペンチルフェニル、ヘキシルフェニル、ヘプチルフェニル、オクチルフェニル、ノニルフェニル、デシルフェニル、ウンデシルフェニル、ドデシルフェニル、スチレン化フェニル、p−クミルフェニル、α−ナフチル、β−ナフチル基等が挙げられる。
シクロアルキル基、シクロアルケニル基としては例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、メチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、メチルシクロヘプチル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、メチルシクロペンテニル、メチルシクロヘキセニル、メチルシクロヘプテニル基等が挙げられる。
なかでも、炭素数6〜36のアルキル基、アルケニル基、アリール基が安定した疎水性を得る上で好ましい。
【0019】
又、Yは−O−(R3−O)c−R4で表わされる基でもよい。R4は炭化水素基又はアシル基である。炭化水素基としては前述の基が例示できる。アシル基としては、前述の炭化水素基の結合末端にカルボニル基が結合した基が挙げられる。例えば、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバリル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル、アクリロイル、メタクリロイル、クロトノイル、オレイロイル、ベンゾイル、フタロイル、スクシニル等が挙げられる。アシル基として好ましいものは、ラウロイル基、ミリストイル基、オレイロイル基である。
【0020】
本発明の化合物は界面活性剤として使用することができ、又、特にビニル基等のラジカル重合系と反応性を有する界面活性剤として乳化重合用乳化剤、懸濁重合用分散剤、樹脂用改質(親水性調節、相溶性向上、帯電防止性向上、防曇性向上、耐水性向上、接着性向上、染色性向上、造膜性向上、耐候性向上、耐ブロッキング性向上等)剤に使用することができる。
又、本発明の乳化重合用乳化剤、懸濁重合用分散剤及び樹脂改質剤は、反応基としてクロトン酸エステル基を有するので、従来の(メタ)アクリル酸エステル基又は(メタ)アリルエーテル基を有する乳化剤等では乳化重合、懸濁重合、樹脂の改質等が困難であった条件下でも使用できる。具体的には、アクリル酸エステル基では反応が速く樹脂に多く取り込まれすぎ、乳化重合反応の終期近くでは乳化剤が不足することに起因する不都合等が考えられ、一般的にアクリル酸エステル基に比して反応速度の遅い本発明のクロトン酸エステル基を有する化合物を用いればそれを解消できる。又、アリルエーテル基を有する樹脂改質剤では、反応が遅いため、合成の初期にできた樹脂と終期にできた樹脂の物性が異なるおそれがあるが、一般的にアリルエーテル基に比して反応速度の速い本発明のクロトン酸エステル基を有する化合物を用いればそれを解消できる。
【0021】
本発明の乳化重合用乳化剤を使用するのに適している重合系は、ラジカル重合系である。好ましくは、以下に例示するモノマーからなるホモポリマーあるいはコポリマーである。例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アルキルビニルエーテル、アルキルビニルケトン等のビニル化合物、アクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸グリシジル、アクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル化合物、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキサン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン等のα−オレフィン化合物、ブタジエン、イソプレン、ペンタジエン等の共役ジエン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化オレフィン化合物、無水マレイン酸、マレイン酸エステル類、イタコン酸エステル類、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンラテックス(ABSラテックス)、スチレン−ブタジエンラテックス(SBRラテックス)、アクリル系エマルション、アクリル−スチレン系エマルション等が挙げられる。
【0022】
本発明の乳化重合用乳化剤の使用量は、従来公知の乳化重合用乳化剤の通常の使用量の範囲で任意に使用することができるが、概ね、原料モノマーに対して、好ましくは0.1〜20重量%、更に好ましくは0.2〜10重量%が良い。又、本発明の乳化重合用乳化剤と他の反応性又は非反応性乳化剤との併用も可能である。
【0023】
本発明の懸濁重合用分散剤を使用するのに適している重合系は、塩化ビニル系モノマーの懸濁重合である。当該分散剤を使用して製造するのに適しているポリマーは、以下に例示するモノマーからなるホモポリマーあるいはコポリマーである。すなわち、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アルキルビニルエーテル、アルキルビニルケトン等のビニル化合物、アクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル化合物、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキサン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン等のα−オレフィン化合物、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化オレフィン化合物、無水マレイン酸、マレイン酸エステル類、イタコン酸エステル類等である。
【0024】
本発明の懸濁重合用分散剤の使用量は、従来公知の懸濁重合用分散剤の通常の使用量の範囲で任意に使用することができるが、概ね、原料モノマーに対して、好ましくは0.1〜20重量%、更に好ましくは0.2〜10重量%が良い。又、本発明の懸濁重合用分散剤と他の反応性又は非反応性懸濁重合用分散剤の併用も可能である。
【0025】
乳化重合用乳化剤、懸濁重合用分散剤として使用する場合は重合可能な二重結合基を有するため、従来、非反応型乳化剤を使用した場合に問題となっていたエマルション又はサスペンションの泡立ち、エマルション又はサスペンションから得られるポリマーの諸物性(耐水性・耐候性・接着性等)の低下、製造工程において出てくる排水中に乳化剤を含有するために起こる排水負荷、環境破壊等の種々の問題点を解決出来る。又、析出操作時に出る排水に該乳化剤、該分散剤が含まれないため、排水負荷・環境破壊に繋がらないという利点を有する。この点については特にABS樹脂の製造時に顕著である。
【0026】
又、本発明の樹脂改質剤を適用するのに適している樹脂は、ビニル系モノマーからなるホモポリマーあるいはコポリマーである樹脂である。例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アルキルビニルエーテル、アルキルビニルケトン等のビニル化合物、アクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル化合物、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキサン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン等のα−オレフィン化合物、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化オレフィン化合物、無水マレイン酸、マレイン酸エステル類、イタコン酸エステル類等が挙げられる。
【0027】
本発明の樹脂改質剤は、上記のホモポリマーあるいはコポリマーである樹脂の製造時に添加し、樹脂の構造中に組み入れる事が出来る。又、上記のホモポリマーあるいはコポリマーである樹脂を加工する際に、練りこみ等により添加する事も可能である。
【0028】
本発明の樹脂改質剤は、構造中にエーテル鎖を含有する化合物を用いることにより、優れた相溶性を示す。又、(R1−O)a、(R2−O)b及び(R3−O)cを有する場合は、必要に応じて該アルキレンオキサイド鎖の鎖長及び構成するアルキレンオキサイドの種類を改質の目的及び単量体との相溶性に応じて選択することにより親水性を容易に調節することができる。このため本発明の樹脂改質剤は単量体との相溶性と重合体の改質効果を同時に向上させることができるものである。又、本発明の樹脂改質剤を使用する事により、使用された樹脂に永久帯電防止、防曇性を付与する事が可能である。
【0029】
本発明の樹脂改質剤の使用量は、単量体の種類、改質の目的、要求される性能などにより、種々変えることができるが、例えば単量体に対して好ましくは0.1〜80重量%使用する事ができ、とくに親水性の不充分な水溶性樹脂を親水性の高い重合体にしようとする場合等では、単量体に対して1〜80重量%使用することがより好ましい。
その他の用途、例えば耐水性、接着性、帯電防止性、防曇性、染色性、造膜性、耐候性、耐ブロッキング性等の向上のため、あるいはポリマ−アロイのための重合体に相溶化性を付与しようとする場合等には単量体に対して0.1〜60重量%使用することが好ましい。
【0030】
本発明の樹脂改質剤を使用する場合には、ポリマー物性の改善のためにジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、メチレンビスアクリルアミド等の架橋性ジビニル化合物等を通常の使用量の範囲で任意に使用することができる。さらに、乳化重合用乳化剤、懸濁重合用分散剤、樹脂改質剤として使用する場合には、例えば金属酸化剤の存在によって樹脂ポリマーを架橋させることも可能である。
本発明の化合物は、Xが水素原子の場合はクロトン酸グリシジルエステルとアルコール、フェノール又はカルボン酸等との反応物、又はクロトン酸とグリシジルエーテル(エステル)又はα−オレフィンオキシドとの反応物に公知の方法でアルキレンオキサイド等を付加することにより得ることができる。アルキレンオキサイド等との反応の際の反応条件は得に制限されないが、通常は室温〜150℃にて、圧力0.1〜10kg/cm2Gで、必要ならば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリを触媒として使用できる。
Xが親水基の場合は、上記反応で得られた化合物に親水基の導入反応を行う。
【0031】
親水基を表わす式中、−SO3Mで表わされる基を導入するために硫酸化する場合は、親水化剤として、例えばスルファミン酸、硫酸、無水硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸等を使用することができる。硫酸化する場合の反応条件は、特に限定されないが、通常温度は室温〜150℃、圧力は常圧〜5kg/cm2G程度の加圧下、反応時間は1〜10時間程度である。
【0032】
親水基を表わす式中、−PO3M2 又は−PO3MHで表わされる基を導入するためにリン酸化する場合は、親水化剤としては、例えば五酸化二リン、ポリリン酸、オキシ塩化リン等が使用できる。リン酸化する場合には、モノエステル型の化合物とジエステル型の化合物が混合体として得られるが、これらは分離してもよいし、分離が難しい場合はそのまま混合物として使用してもよい。モノエステルとジエステルを混合物として使用する場合には、ジエステル含量が50%以下であることが好ましい。
リン酸化する場合の反応条件は、特に限定されないが、通常温度は室温〜150℃、圧力は常圧、反応時間は1〜10時間程度である。
【0033】
親水基を表わす式中、−R5−COOMで表わされる基を導入するためにカルボン酸化する場合は、親水化剤としては、例えばクロロ酢酸(R5がメチル基に相当)、クロロプロピオン酸(R5がエチル基に相当)又はこれらの塩等が使用できる。カルボン酸化する場合の反応条件は、特に限定されないが、通常温度は室温〜150℃、圧力は常圧〜5kg/cm2G程度の加圧下、反応時間は1〜10時間程度である。必要に応じて、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリを触媒として使用してもよい。
【0034】
親水基を表わす式中、−CO−R6−COOMで表わされる基を導入するために二塩基酸化する場合は、親水化剤としては、前述した二塩基酸又はその無水物等が使用できる。例えばマレイン酸(R6がCH=CH基に相当)、フタル酸(R6がフェニル基に相当)又はこれらの塩又はこれらの無水物等が挙げられる。二塩基酸化する場合の反応条件は、特に限定されないが、通常温度は室温〜150℃、圧力は常圧、反応温度は1〜10時間程度である。必要に応じて、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリを触媒として使用してもよい。
又、親水化を行った場合は、その後にアルカリやアンモニア、アルキルアミン又はアルカノールアミン等で中和を行ってもよい。
【0035】
【実施例】
以下本発明を実施例により、具体的に説明する。
なお、以下の表記のうち、略号はそれぞれ次の構造の基を表す。
【0036】
【化3】
【0037】
(製造例1)
2リットルのフラスコにノニルフェノール220g(1.0モル)とエピクロルヒドリン416g(4.5モル)を仕込み、105〜110℃に加熱しながら48%水酸化ナトリウム157g(1.1モル)を2時間かけて滴下し、生成した水はエピクロルヒドリンと共沸させて系外に除いた。水酸化ナトリウムの滴下が終了した後更に1時間、105〜110℃で撹拌を続けた。
撹拌終了後、80℃で減圧脱気し、過剰のエピクロルヒドリンを除いた。その後、フラスコに300gのトルエンを入れ、80℃の温水500gで2回水洗した後100℃で脱水し、ろ過し、エポキシ当量304、水分0.05%のノニルフェノールグリシジルエーテル254g(収率92%)を得た。
上記の反応で得たノニルフェノールグリシジルエーテル(エポキシ当量304)152g(0.5モル)、クロトン酸43g(0.5モル)及び触媒としてトリエチルアミン3.9gを3リットルステンレス製耐圧反応容器に入れ、窒素雰囲気下、120〜130℃で2時間加熱撹拌した。
その後、窒素雰囲気下でエチレンオキシド220g(10モル)を120〜130℃で1時間かけてフラスコ内に圧送し、その後さらに120〜130℃で1時間反応を続けた。
この後、80℃で減圧し触媒のトリエチルアミンを除いて下記の化合物(A)394gを得た。水酸基価は78.3mgKOH/gであった。
【0038】
以下、同様の方法にて下記の化合物(B)〜(G)を得た。なお、
(B)は、スルファミン酸を用いて親水基を導入して得た。
(C)は、無水リン酸を用いて親水基を導入し、その後水酸化ナトリウムで中和して得た。
(D)は、C8のα−オレフィンエポキシドとクロトン酸を反応させた後、ブチレンオキサイド及びエチレンオキサイドをランダムで付加させて得た。
(E)は、オレイン酸グリシジルエーテルとクロトン酸を反応させた後、エチレンオキサイドを付加させて得た。
(F)は、クロトン酸グリシジルエステルとノニルフェノールスチレンオキサイド付加物を反応させた後、プロピレンオキサイド及びエチレンオキサイドをブロックで付加させたものにクロロ酢酸を反応させて親水基を導入し、水酸化カリウムで中和して得た。
(G)は、ノニルフェノールグリシジルエーテルとクロトン酸エチレンオキサイド付加物を反応させた後、エチレンオキサイドを付加させ、無水フタル酸を用いて親水基を導入し、ジエタノールアミンで中和して得た。
【0039】
【化4】
【0040】
【化5】
【0041】
又、比較品として、クロトン酸エステル基を有しない公知の界面活性剤、乳化重合用乳化剤、懸濁重合用分散剤及び樹脂改質剤(A’)〜(G’)を以下に挙げる。
【0042】
【化6】
【0043】
〔実施例1〕
本発明の界面活性剤(A)〜(G)及び比較品(A')〜(E')についてカ−ボンブラックの分散性能を以下の方法により測定した。
(分散性能試験方法)
容量100mlの共栓付メスシリンダ−に、製造例1で得られた本発明の界面活性剤(A)〜(G)及び比較品(A')〜(E')のそれぞれ1gと、カ−ボンブラック10gを入れ、水にて溶解分散させ100mlに調整した。
次に、そのメスシリンダ−を1分間に100回振盪した後、1時間25℃にて静置した。その後、液上面から30cc抜き取りグラスフィルタ−にて濾過した後、100℃にて、乾燥させ、グラスフィルタ−上の残渣の重量より分散性を次式により測定した。結果を表1に示す。
【0044】
【数1】
【0045】
【表1】
【0046】
この表1から判るように、本発明の界面活性剤はカーボンブラックの安定した水中分散性に優れた効果を有している。
〔実施例2〕
本発明の乳化重合用乳化剤(A)〜(G)及び比較品(A')〜(F')を用いて、スチレン及びブタジエンをモノマ−として下記の方法により乳化重合を行った。得られた重合体ラテックスをろ過してから、その機械安定性、発泡性及び重合体ラテックスから得られるポリマ−フィルムの吸水性を測定した。
(重合方法)
撹拌機、圧力計及び温度計を備えた耐圧反応容器に、本発明の乳化重合用乳化剤(A)〜(G)、及び比較品(A')〜(F')をそれぞれ1.5g、スチレン50g、ブタジエン50g、過流酸カリウム0.5g、t−ドデシルメルカプタン0.2g及び水100gを仕込み、窒素気流下70℃で5時間反応し、金網でろ過して、重合体ラテックスを得た。
以上の方法で得られた重合体ラテックスに対して、以下の方法により評価・測定を行った。結果を表2に示す。
【0047】
(評価・測定方法)
(1)重合安定性
重合後の重合体ラテックスを250メッシュの金網でろ過し、金網上に残る凝塊物を水で洗浄後、105℃、2時間乾燥させ、この残渣の重量を測定し、ラテックス中の全固形分に対する残渣の重量%で表した。
(2)機械安定性
ラテックス50gをマーロン法安定度試験器で10kg/cm2、1000rpmの条件で5分間回転させ、生成した凝塊物を100メッシュの金網で濾過し、金網上に残る凝塊物を水で洗浄後、105℃、2時間乾燥させ、この残渣の重量を測定し、ラテックス中の全固形分に対する残渣の重量%で表した。
(3)発泡性
ラテックスを水で2倍に希釈し、この希釈ラテックス20mlを100mlの目盛り付き試験管に入れ、10秒間上下に強振した時の泡高を測定した。
(4)フィルムの吸水性
厚さ0.5mmのポリマ−フィルムを作製し、50℃の温水に48時間浸漬後、重量変化を測定し、浸漬前のポリマーフィルムに対する重量%で表した。
【0048】
【表2】
【0049】
表2の結果から判るように、本発明の重合用乳化剤を使用して得られたラテックスは、重合時に凝集する残渣が少なく、機械的処理における凝塊物の生成も少なく、発泡性も低く、比較品に較べて極めて優れている。
【0050】
〔実施例3〕
本発明の乳化重合用乳化剤(A)〜(G)及び比較品(A')〜(F')を用いて、スチレン、ブタジエン及びアクリロニトリルをモノマ−として下記の方法により乳化重合を行った。得られた重合体ラテックスを硫酸凝集後、ろ過して固形物と廃液に分けた。廃液について、そのCOD(化学的酸素要求量)及びBOD(生物的酸素要求量)を測定した。又、固形物は、水洗乾燥後、成型しアイゾット衝撃強度を測定した。
(重合方法)
撹拌機、圧力計及び温度計を備えた耐圧反応容器に、本発明の乳化重合用乳化剤(B)、(C)、(F)、(G)、及び比較品(A')〜(F')をそれぞれ2g、ブタジエン100g、過流酸カリウム0.3g、リン酸カリウム1g、水酸化カリウム0.1g、t−ドデシルメルカプタン0.2g及び水100gを仕込み、窒素気流下50℃で反応を開始した。反応が進むにつれて5℃刻みで昇温し、75℃になってから50時間熟成してからろ過して、ポリブタジエンラテックスを得た。
次に、還流冷却器、撹拌機、滴下ロート及び温度計を備えた反応容器に上記のポリブタジエンラテックス30g(固形分)、水70g(ポリブタジエンラテックス中の水を含む)を仕込み、窒素ガスで置換した。別にスチレン50g、アクリロニトリル20gと本発明の乳化重合用乳化剤(B)、(C)、(F)、(G)、及び比較品(A')〜(F')のそれぞれ1gを溶解し、このうち7gと過硫酸カリウム0.5gを反応容器に加え、60℃でグラフト反応を開始した。残りのモノマー/乳化剤混合物を2時間にわたって反応容器内に連続滴下し、滴下終了後、更に2時間熟成してからろ過し、重合体ラテックスを得た。
得られた重合体ラテックスに、酸化防止剤として2,6−ジ−t−ブチルフェノールを1g添加した後、硫酸1gを加えて凝集させ、ろ過して固形物と廃液に分けた。固形物は水洗乾燥し、白色粉状のABS樹脂を得た。
(成型方法)
上記ABS樹脂を200℃、69kg/cm2で射出成型してアイゾット衝撃試験用の試験片を作製した。
【0051】
(評価・測定方法)
(1)重合安定性
実施例2における試験に準じた方法で行った。
(2)COD及びBOD
JIS K−0102(工業排水試験法)に準拠し、廃水のCOD及びBODを測定した。
(3)アイゾット衝撃試験
JIS K−7110(硬質プラスチックのアイゾット衝撃試験方法)に準拠し、上記ABS樹脂のアイゾット衝撃試験を行った。
上記の各試験の結果を表3に示す。
【0052】
【表3】
【0053】
表3から見られるように、本発明の乳化剤は比較品に較べて、重合安定性、COD、BOD及びアイゾット衝撃強度において優れていることが解る。
〔実施例4〕
本発明の乳化重合用乳化剤(A)〜(G)及び比較品(A')〜(C')、(F')、(G')を用いて、アクリル酸エチルをモノマ−として下記の方法により乳化重合を行った。得られた重合体エマルションをろ過してから、その重合体安定性、機械安定性、発泡性及び重合体エマルションから得られるポリマ−フィルムの吸水性を測定した。
(重合方法)
還流冷却器、撹拌機、滴下ロート及び温度計を備えた反応容器に、水120gを仕込み、系内を窒素ガスで置換した。別にアクリル酸エチルを80g、本発明の乳化重合用乳化剤(A)〜(G)、及び比較品(A')〜(C')、(F')、(G')のそれぞれ4gを溶解し、このうち8.4gと、過流酸カリウム0.08g、亜硫酸ナトリウム0.04gを反応容器に加え、50℃で重合を開始した。その後、残りのモノマー/乳化重合用乳化剤混合物を2時間にわたって反応容器内に連続的に滴下し、滴下終了後2時間熟成しエマルションを得た。
以上の方法で得られた重合体エマルションに対して以下の方法により評価・測定を行った。結果を表4に示す。
【0054】
(評価・測定方法)
(1)重合安定性
325メッシュの金網でろ過した以外は実施例2の方法に準じて行った。
(2)機械安定性
実施例2の方法に準じて行った。
(3)発泡性
実施例2の方法に準じて行った。
(4)フィルムの耐水性
0.5mm厚のポリマ−フィルムを作製し、50℃の温水に浸漬させ、フィルムが白化するまでに要する時間を測定した。表4中、各マークはそれぞれ次の浸漬時間を示す。
◎:1日以上、 ○:1時間以上、 ×:1時間未満
【0055】
【表4】
【0056】
〔実施例5〕
グラスライニングオートクレーブに、脱イオン水150重量部、本発明の懸濁重合用分散剤(A)〜(G)及び比較品(A')〜(F')をそれぞれ2重量部及びジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート0.2重量部を仕込み、オートクレーブ内を50mmHgとなるまで脱気して酸素を除いた後、塩化ビニルモノマーを100重量部仕込み、回転数500rpmで撹拌下に57℃に昇温して重合を行った。重合開始時、オートクレーブ内の圧力は8.0kg/cm2Gであったが、重合開始7時間後、4.0kg/cm2Gとなったので、この時点で重合を停止し、未反応の塩化ビニルモノマーをパージし、内容物を取り出し脱水乾燥した。
上記の方法で得られたポリ塩化ビニルについて、以下の方法により試験を行った。結果を表5に示す。
【0057】
(1)粒径分布
タイラーメッシュ基準の金網を使用した乾式篩分析により、得られた樹脂粒径のうち250メッシュを通過しない粒子の重量割合を測定した。
(2)耐水性
実施例4の耐水性試験と同様の方法により試験した。
【0058】
【表5】
【0059】
〔実施例6〕
還流冷却器、撹拌機、滴下ロ−ト及び温度計を備えた反応容器にキシレン100gを仕込み、系内を窒素ガスで置換した。別にスチレン150g、本発明の樹脂改質剤(A)〜(G)をそれぞれ7.5g、過酸化ベンゾイル2g、ジ−t−ブチルパ−オキサイド1gの混合溶液を調製し、反応温度130℃で上記混合溶液を2時間にわたり反応器内に連続的に滴下した。更に、キシレン100g、過酸化ベンゾイル0.5g、ジ−t−ブチルパ−オキサイド0.5gの混合溶液を滴下し、2時間反応させた。その後冷却し、キシレンを90g添加し、重合体溶液を得た。
比較のため、本発明の樹脂改質剤を加えずに反応させた重合体溶液を上記の方法と同様の方法にて調製し、比較品(F')、(G')を重合体溶液の固形分に対して1重量%溶解させたものをそれぞれ用意した。
【0060】
〔実施例7〕
還流冷却器、撹拌機、滴下ロ−ト及び温度計を備えた反応容器にキシレン100gを仕込み、系内を窒素ガスで置換した。別にアクリル酸2−エチルヘキシル75g、メタクリル酸メチル75g、本発明の樹脂改質剤(A)〜(G)15g、過酸化ベンゾイル2g、ジ−t−ブチルパ−オキサイド0.5gの混合溶液を調製し、反応温度130℃で上記混合溶液を2時間にわたり反応器内に連続的に滴下した。更に、キシレン100g、過酸化ベンゾイル0.5g、ジ−t−タ−シャリ−ブチルパ−オキサイド0.5gの混合溶液を滴下し、2時間反応させた。その後冷却し、キシレンを90g添加し、重合体溶液を得た。
比較のため、本発明の樹脂改質剤を加えずに反応させた重合体溶液を上記の方法と同様の方法にて調製し、比較品(F')、(G')を重合体溶液の固形分に対して1重量%溶解させたものをそれぞれ用意した。
以上の実施例6、7で得られた各重合体溶液から、0.2mm厚のポリマ−フィルムを常法により作製し、それぞれ以下の方法で防曇性、帯電防止性及び帯電防止効果の持続性を評価した。結果を表6、7に示す。
【0061】
(1)フィルムの防曇性
上記ポリマ−フィルムに対する水の接触角を測定した。
(2)フィルムの帯電防止性
上記ポリマ−フィルムを温度20℃、湿度35%の雰囲気中に24時間放置後、表面固有抵抗を測定した。
(3)帯電防止効果の持続性
上記(2)の試験をした後のポリマーフィルムを、水を含ませた脱脂綿で50回水拭きした後、温度20℃、湿度35%の雰囲気中に30分間放置後、表面固有抵抗値を測定した。
【0062】
【表6】
【0063】
【表7】
【0064】
〔実施例8〕
ポリスチレンの樹脂ペレット100gと、本発明の樹脂改質剤(A)〜(G)及び比較品(F')、(G')5gを混練機に仕込み、210℃で30分間混練した。その後、10cm×10cm×5cmの型に流し込み、試験片を作成した。以上の試験片を、実施例7、8と同様の試験方法により、防曇性、帯電防止性及び帯電防止効果の持続性を測定した。結果を表8に示す。
【0065】
【表8】
【0066】
表6、7及び8から判るように、本発明の樹脂改質剤を含有するポリマーは、重合時に共重合して得られたものであっても、混練によりポリマー中に含有されてものであっても、優れた帯電防止効果を示し、その持続性もまた優れていることが判る。
【0067】
【発明の効果】
本発明は上記のように構成したので、オレフィンやビニル化合物と重合時に適度な速度で共重合反応することができる、新規な反応性界面活性剤を提供する。これはまた、乳化重合用乳化剤としても、懸濁重合用分散剤としても、又、樹脂改質剤としても有用である。
Claims (6)
- 一般式(1):
(式中、Mは水素原子、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、アンモニウム、アルキルアミンのアンモニウム又はアルカノールアミンのアンモニウム(但し、アルカリ土類金属原子は1/2)を表わし、R 5 はアルキレン基を表わし、R 6 は2塩基酸又はその無水物の残基を表わす。)で表わされる親水基を表わし、Yは水素原子、炭化水素基又はO−(R3−O)c−R4 で表される基を表す。R3は炭化水素基を表わし、R4は炭化水素基又はアシル基を表わし、a及びcは0又は1〜1000の数を表わし、bは5〜50の数を表わす。)で表わされる化合物。 - 一般式(1)において、R1、R2及びR3が、互いに同一でも異なってもよい1種又は2種以上の炭素数2〜4のアルキレン基、フェニルエチレン基のいずれかである請求項1記載の化合物。
- 請求項1又は2に記載の化合物からなる界面活性剤。
- 請求項1又は2に記載の化合物からなる乳化重合用乳化剤。
- 請求項1又は2に記載の化合物からなる懸濁重合用分散剤。
- 請求項1又は2に記載の化合物からなる樹脂改質剤。
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