JP2006199975A - オレフィン重合用触媒およびこの触媒を用いるオレフィンの重合方法 - Google Patents

オレフィン重合用触媒およびこの触媒を用いるオレフィンの重合方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い重合活性でオレフィンを(共)重合することができるオレフィン重合用触媒およびこの触媒を用いたオレフィンの重合方法を提供すること。
【解決手段】オレフィン重合用触媒は、(A)液状のマグネシウム化合物と、液状のチタン化合物とを下記一般式(i)で表されるフルオレン環を有するジエーテル化合物の存在下に接触させて製造された固体状チタン触媒成分、(B)周期表第I族〜第III族から選
択される金属を含む有機金属化合物触媒成分、および(C)電子供与体からなる。
Figure 2006199975

(Ra およびRb は炭素原子数1〜6のアルキル基、XおよびYは炭素原子数が1〜6アルキル基またはハロゲン原子、mは0≦m≦4、nは0≦n≦4)
【選択図】なし

Description

本発明は、オレフィン重合用触媒およびこの触媒を用いるオレフィンの重合方法に関するものである。
従来より、α−オレフィンの単独重合体あるいはエチレン・α−オレフィン共重合体などのオレフィン共重合体を製造するために用いられる触媒として、活性状態のハロゲン化マグネシウムに担持されたチタン化合物を含む触媒が知られている。このようなオレフィン重合用触媒としては、マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体からなる固体状チタン触媒成分と有機金属化合物触媒成分からなる触媒が知られている。
また、このようなマグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を必須成分とする固体状チタン触媒成分を炭素原子数3以上のα−オレフィンの重合時に使用することにより、高立体規則性を有する重合体を高い収率で製造することができることも知られている。
固体状チタン触媒成分の調製方法としては、たとえばハロゲン含有マグネシウム化合物の炭化水素溶液と液状のチタン化合物とを接触させて固体生成物を形成させる方法、あるいは、ハロゲン化マグネシウム化合物とチタン化合物との炭化水素溶液を形成した後、固体生成物を形成させ、この際、該固体生成物の形成を電子供与体の共存下に行う方法などが知られている。
このように固体状チタン触媒成分の調製方法については多くの提案がなされているが、得られた固体状チタン触媒成分の性状についの研究はほとんどされていない。
このような状況のもと本発明者らは、立体規則性の高いオレフィン(共)重合体をより高い重合活性で得られるような固体状チタン触媒成分を得ることを目的として研究を行った結果、固体状チタン触媒成分の微結晶サイズ(固体状チタン触媒成分を形成するハロゲン化マグネシウムの微結晶の大きさ)、半径0.1μm以下の細孔の容積、半径0.1〜7.5μmの細孔の容積および平均触媒粒径が特定の範囲にあると、この固体状チタン触媒成分を含むオレフィン重合触媒は、高い重合活性でオレフィン(共)重合体を製造することができ、かつ炭素原子数3以上のα−オレフィンを重合したときに立体規則性の高いオレフィン(共)重合体が得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、上記のような現状に鑑みなされたものであって、高い重合活性でオレフィンを(共)重合することができるようなオレフィン重合用触媒およびこの触媒を用いたオレフィンの重合方法を提供することを目的としている。
本発明で用いられる固体状チタン触媒成分は、
液状のマグネシウム化合物と、液状のチタン化合物とを下記一般式(i)で表されるフルオレン環を有するジエーテル化合物の存在下に接触させることにより調製することができる;
Figure 2006199975
(式中、Ra およびRb は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜6のアルキル基を示し、XおよびYは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜6のアルキル基またはハロゲン原子を示し、mは0≦m≦4であり、nは0≦n≦4である。)。
固体状チタン触媒成分は、液状のマグネシウム化合物と、上記一般式(i)で表されるフルオレン環を有するジエーテル化合物とを接触させ、
次いで上記で得られた溶液と、液状状態のチタン化合物とを接触させることにより調製することができる。
また、液状のマグネシウム化合物は、たとえばマグネシウム化合物と、アルコール、エステルおよびエーテルからなる群より選ばれる前記マグネシウム化合物を溶解しうる化合物とを炭化水素溶媒中で接触させて調製することができる。
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、
(A)前記固体状チタン触媒成分、
(B)周期律表第I族〜第III族から選択される金属を含む有機金属化合物触媒成分、お
よび
(C)電子供与体からなることを特徴としている。
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、オレフィンが予備重合されていてもよい。
本発明に係るオレフィンの重合方法は、前記オレフィン重合用触媒の存在下に、オレフィンを重合または共重合させることを特徴としている。
本発明のオレフィン重合用触媒およびオレフィンの重合方法は、高い重合活性でオレフィンを重合することができる。また、炭素原子数3以上のα−オレフィンを重合したときに立体規則性の高いオレフィン(共)重合体が得られる。
以下、本発明に係るオレフィン重合用固体状チタン触媒成分およびその製造方法ならびにこの触媒成分を含むオレフィン重合用触媒およびこの触媒を用いるオレフィンの重合方法について具体的に説明する。
なお、本明細書において「重合」という語は、単独重合だけでなく、共重合をも包含した意味で用いられることがあり、「重合体」という語は、単独重合体だけでなく、共重合体をも包含した意味で用いられることがある。
固体状チタン触媒成分
本発明に係るオレフィン重合用固体状チタン触媒成分は、チタン、マグネシウムおよびハロゲンを必須成分としている。
本発明に係るオレフィン重合用固体状チタン触媒成分は、チタンを0.3〜10重量%、好ましくは0.5〜8重量%、より好ましくは0.8〜6重量%、さらに好ましくは1〜5重量%の割合で含有し、マグネシウムを5〜35重量%、好ましくは8〜30重量%、より好ましくは10〜28重量%、さらに好ましくは12〜25重量%の割合で含有し、ハロゲンを30〜75重量%、好ましくは35〜75重量%、より好ましくは38〜72重量%、さらに好ましくは40〜70重量%の割合で含有している。
本発明の固体状チタン触媒成分は、前記チタン、マグネシウムおよびハロゲンに加えて、電子供与体を含有することが好ましく、この場合、電子供与体は、0.5〜30重量%、好ましくは1〜27重量%、より好ましくは3〜25重量%、さらに好ましくは5〜23重量%の割合で含有されていることが望ましい。
電子供与体としては、後述するような電子供与体(a)を例示することができ、なかでも下記一般式(i)で表されるフルオレン環を有するジエーテル化合物が好ましい。
上記固体状チタン触媒成分の組成は、固体状チタン触媒成分を大量のヘキサンで充分洗浄し、0.1〜1Torr、室温の条件下で2時間以上乾燥した後、ICP(原子吸光分析)、GC(ガスクロマトグラフィー)などにより測定し決定される。
本発明に係る固体状チタン触媒成分は、該触媒成分を形成するハロゲン化マグネシウム(微結晶)のX線回折による(110)面のピークから算出した微結晶サイズが、3〜100Å、好ましくは5〜80Å、より好ましくは10〜40Å、さらに好ましくは10〜30Åの範囲にある。
微結晶サイズが、3Åよりはるかに小さくなると、触媒の粒子形状が悪化し、生成するオレフィン(共)重合体の見掛け嵩密度が低下することがあり、微結晶サイズが、100Åよりはるかに大きくなると、重合活性が低下したり、生成するオレフィン(共)重合体の立体規則性が低下することがある。
本発明に係る固体状チタン触媒成分は、半径0.1μm以下の細孔の容積が0.20cm3 /g以下、好ましくは0.15cm3 /g以下、より好ましくは0.01cm3 /g以下、さらに好ましくは0.005cm3 /g以下であり、半径0.1〜7.5μmの細孔の容積が0.30cm3 /g以上、好ましくは0.40cm3 /g以上、より好ましくは0.45cm3 /g以上、特に好ましくは0.50cm3 /g以上である。
半径0.1μm以下の細孔の容積が0.20cm3 /gよりはるかに大きくなると、重合活性が低下したり、生成するオレフィン(共)重合体の立体規則性が低下することがあり、
半径0.1〜7.5μmの細孔の容積が0.30cm3 /gよりはるかに小さくなると、重合活性が低下することがある。
本発明に係る固体状チタン触媒成分は、光透過式沈降法によって測定した平均触媒粒径(体積標準)が0.5〜80μm、好ましくは3〜70μm、より好ましくは3〜35μmの範囲にある。
平均触媒粒径が、0.5μmよりはるかに小さくなると、生成するオレフィン(共)重合体に微粉が含まれることがある。
ここで微結晶サイズ、細孔の容積および平均触媒粒径は以下のようにして測定される。
〔微結晶サイズ〕
微結晶サイズの大きさはX線回折装置(理学電機社製RU−300)により、(110)面の半値幅(FWHM)を測定し、かつ既知のScherrerの式(式中0.9は定数Kに帰着する)を適用することによって求めた。微結晶サイズの測定に用いた試料はすべて窒素雰囲気下で取り扱った。なおScherrerの式を用いた微結晶サイズの測定方法は、「カリティX線回折要論(松村源太郎訳)アグネ社刊」に詳しい。
〔細孔の容積〕
細孔容積供試試料の約0.3gを窒素雰囲気下で精秤し、測定セルに入れ、室温で脱気(約0.7Pa到達)の後、水銀を注入した。このセルを装置に装着して測定を行った。以下に測定条件を示す。
装置 :カルロエルバ社製 ポロシメーター2000
測定圧力範囲:約1000kPa〜190MPa
測定モード :上記圧力範囲の昇圧過程
セル容積 :15cm3
〔(数)平均触媒粒径の測定方法〕
数平均触媒粒径の測定は、光透過式沈降法により、既知のStokesの式(下記式)を適用して求めた。装置は、自動粒度分布測定装置 CAPA−300型(堀場社製)を
用いた。また、分散剤にはデカリンとトリオレインとの混合液(デカリン/トリオレイン=1/4(重量比))を用いた。
Figure 2006199975
D :触媒粒径(cm)
η0 :分散媒粘性係数(piose)
ρ :試料密度(g/cm3
ρ0 :分散媒密度(g/cm3
t :沈降時間(sec.)
1 :回転中心より沈降面までの距離(cm)
2 :回転中心より測定面までの距離(cm)
ω :回転角速度(rad/sec.)
固体状チタン触媒成分の調整
本発明に係るオレフィン重合用固体状チタン触媒成分の調製方法は、特に限定されないが、たとえば、以下の方法などにより調製することができる。
(1)液状のマグネシウム化合物を、電子供与体(a)の存在下で、液状状態のチタン化合物とを接触させる方法。
(2)液状のマグネシウム化合物と、電子供与体(a)とを接触させ、次いで得られた溶液と、液状状態のチタン化合物とを接触させた後、必要に応じてさらに電子供与体(b)および液状状態のチタン化合物と接触させる方法。
次に、このような固体状チタン触媒成分の調製に用いられる各原料について説明する。
液状のマグネシウム化合物
液状のマグネシウム化合物は、還元能を有するマグネシウム化合物および還元能を有しないマグネシウム化合物から調製することができる。
ここで還元能を有するマグネシウム化合物としては、たとえば式
n MgR2-n
(式中、nは0≦n<2であり、Rは水素または炭素数1〜20の炭化水素基、たとえばアルキル基、アリール基またはシクロアルキル基であり、nが0である場合二個のRは同一でも異なっていてもよく、Xはハロゲンである)
で表される有機マグネシウム化合物を挙げることができる。
このような還元能を有する有機マグネシウム化合物として具体的には、
ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジプロピルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ジアミルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、ジデシルマグネシウム、
エチル塩化マグネシウム、プロピル塩化マグネシウム、ブチル塩化マグネシウム、ヘキシル塩化マグネシウム、アミル塩化マグネシウム、
ブチルエトキシマグネシウム、エチルブチルマグネシウム、オクチルブチルマグネシウム、ブチルマグネシウムハイドライドなどを挙げることができる。これらのマグネシウム化合物は、単独で用いることもできるし、後述する有機アルミニウム化合物と錯化合物を形成していてもよい。また、これらのマグネシウム化合物は、液体であっても固体であってもよい。
また、還元能を有しない有機マグネシウム化合物として具体的には、
塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、フッ化マグネシウムなどのハロゲン化マグネシウム;
メトキシ塩化マグネシウム、エトキシ塩化マグネシウム、イソプロポキシ塩化マグネシウム、ブトキシ塩化マグネシウム、オクトキシ塩化マグネシウムなどのアルコキシマグネシウムハライド;
フェノキシ塩化マグネシウム、メチルフェノキシ塩化マグネシウムなどのアリロキシマグネシウムハライド;
エトキシマグネシウム、イソプロポキシマグネシウム、ブトキシマグネシウム、n-オクトキシマグネシウム、2-エチルヘキソキシマグネシウムなどのアルコキシマグネシウム;
フェノキシマグネシウム、ジメチルフェノキシマグネシウムなどのアリロキシマグネシウム;
ラウリン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウムなどのマグネシウムのカルボン酸塩などを挙げることができる。
これら還元能を有しないマグネシウム化合物は、上述した還元能を有するマグネシウム化合物から誘導した化合物あるいは触媒成分の調製時に誘導した化合物であってもよい。還元能を有しないマグネシウム化合物を、還元能を有するマグネシウム化合物から誘導するには、たとえば、還元能を有するマグネシウム化合物をポリシロキサン化合物、ハロゲン含有シラン化合物、ハロゲン含有アルミニウム化合物、エステル、アルコールなどのハロゲン含有化合物やOH基や活性な炭素−酸素結合を有する化合物と接触させればよい。
なお、マグネシウム化合物は上記の還元能を有するマグネシウム化合物および還元能を有しないマグネシウム化合物の他に、上記のマグネシウム化合物と他の金属との錯化合物、複化合物あるいは他の金属化合物との混合物であってもよい。さらに、上記の化合物を2種以上組み合わせた複合物であってもよい。
これらの中でも、還元能を有しないマグネシウム化合物が好ましく、特に好ましくはハロゲン含有マグネシウム化合物であり、これらの中でも塩化マグネシウム、アルコキシ塩化マグネシウム、アリロキシ塩化マグネシウムが好ましく、特に塩化マグネシウムが好ましく用いられる。
固体マグネシウム化合物を可溶化しうる化合物としては、アルコール、エーテルおよびエステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。
具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、2-エチルヘキサノール、オクタノール、ドデカノール、オクタデシルアルコール、オレイルアルコール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、クミルアルコール、イソプロピルアルコール、イソプロピルベンジルアルコール、エチレングリコールなどの炭素原子数が1〜18のアルコール;
トリクロロメタノール、トリクロロエタノール、トリクロロヘキサノールなどの炭素原子数が1〜18のハロゲン含有アルコール;
メチルエーテル、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、アミルエーテル、テトラヒドロフラン、エチルベンジルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、ジフェニルエーテルなどの炭素原子数が2〜20のエーテル;
テトラエトキシチタン、テトラ-n-プロポキシチタン、テトラ-i-プロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラヘキソキシチタン、テトラブトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウムなどの金属酸エステルなどが挙げられる。
これらの中では、アルコールが好ましく、特に2-エチルヘキサノールが好ましい。
なお、上記マグネシウム化合物を可溶化しうる化合物は、後述する電子供与体(a)、(b)としても用いられる。
液状のマグネシウム化合物の調製に用いられる炭化水素溶媒として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素、あるいはこれらの混合物などを挙げることができる。これらの中では、脂肪族炭化水素が好ましく、特にデカンおよびヘキサンが好ましい。
電子供与体(a)
固体状チタン触媒成分の調製に用いられる電子供与体(a)としては、マグネシウム化合物を可溶化しうる化合物として例示したアルコール、エーテル、金属酸エステル、および後述するような前記以外のアルコール、フェノール、ケトン、アルデヒド、アミン、ピリジン、有機酸エステル、脂肪族カルボン酸、酸無水物、脂肪族カーボネート、有機ケイ素化合物、有機リン化合物、多価カルボン酸エステル、ジエーテル、ポリエーテルなどを挙げることができる。
具体的には、メチルカルビトール、2-メチルペンタノール、2-エチルブタノール、デカノール、テトラデシルアルコール、ウンデセノール、ステアリルアルコールなどの脂肪族アルコール;シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノールなどの脂環族アルコール;メチルベンジルアルコール、α−メチルベンジルアルコール、α,α−ジメチルベンジルアルコールなどの芳香族アルコール;n-ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ、2-ブトキシエタノール、1-ブトキシ-2-プロパノールなどのアルコキシ基を含んだ脂肪族アルコー
ルなどの前記以外のアルコール;
フェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、プロピルフェノール、ノニルフェノール、クミルフェノール、ナフトールなどの低級アルキル基を有してもよい炭素原子数が6〜20のフェノール;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチルn-ブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンゾキノン、シクロヘキサノンなどの炭素原子数が3〜15のケトン;
アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、オクチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、
トルアルデヒド、ナフトアルデヒドなどの炭素原子数が2〜15のアルデヒド;
トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリベンジルアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのアミン;
ピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ジメチルピリジン、エチルメチルピリジン、トリメチルピリジン、フェニルピリジン、ベンジルピリジン、塩化ピリジンなどのピリジン;
ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ビニル、酢酸プロピル、酢酸i-ブチル、酢酸t-ブチル、酢酸オクチル、酢酸シクロヘキシル、クロル酢酸メチル、ジクロル酢酸エチル、プロピオン酸エチル、ピルビン酸エチル、ピバリン酸エチル、酪酸メチル、吉草酸エチル、メタクリル酸メチル、クロトン酸エチル、シクロヘキサンカルボン酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸オクチル、安息香酸シクロヘキシル、安息香酸フェニル、安息香酸ベンジル、トルイル酸メチル、トルイル酸エチル、トルイル酸アミル、エチル安息香酸エチル、アニス酸メチル、アニス酸エチル、エトキシ安息香酸エチル、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン、クマリン、フタリドなどの炭素原子数が2〜18の有機酸エステル;
ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸などの脂肪族カルボン酸;
無水酢酸、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水安息香酸、無水トリメリット酸、無水テトラヒドロフタル酸などの酸無水物;
炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチレンなどの脂肪族カーボネート;
ケイ酸メチル、ケイ酸エチル、ジフェニルジメトキシシランなどの有機ケイ素化合物、好ましくはR1 x2 y Si(OR3z (R1 、R2 は互いに同一でも異なっていてもよく、炭化水素基またはハロゲンであり、R3 は炭化水素基であり、0≦x<2、0≦y<2、0<z≦4である。)で示される有機ケイ素化合物;
亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチルなどのP−O−C結合を有する有機リン化合物などが挙げられる。
多価カルボン酸エステルとしては、下記一般式で示される骨格を有する化合物が挙げられる。
Figure 2006199975
式中、R4 は置換または非置換の炭化水素基を示し、R5 、R8 、R9 は、水素あるいは置換または非置換の炭化水素基を示し、R6 、R7 は、水素あるいは置換または非置換の炭化水素基を示し、好ましくはその少なくとも一方は置換または非置換の炭化水素基である。またR6 とR7 とは互いに連結されて環状構造を形成していてもよい。炭化水素基R4 〜R9 が置換されている場合の置換基は、N、O、Sなどの異原子を含み、たとえば、C−O−C、COOR、COOH、OH、SO3H、−C−N−C−、NH2 などの基
を有する。
このような多価カルボン酸エステルとしては、具体的には、
コハク酸ジエチル、コハク酸ジブチル、メチルコハク酸ジエチル、α-メチルグルタル
酸ジイソブチル、メチルマロン酸ジエチル、エチルマロン酸ジエチル、イソプロピルマロン酸ジエチル、ブチルマロン酸ジエチル、フェニルマロン酸ジエチル、ジエチルマロン酸
ジエチル、ジブチルマロン酸ジエチル、マレイン酸モノオクチル、マレイン酸ジオクチル、マレイン酸ジブチル、ブチルマレイン酸ジブチル、ブチルマレイン酸ジエチル、β-メ
チルグルタル酸ジイソプロピル、エチルコハク酸ジアルリル、フマル酸ジ-2-エチルヘキ
シル、イタコン酸ジエチル、シトラコン酸ジオクチルなどの脂肪族ポリカルボン酸エステル;
1,2-シクロヘキサンカルボン酸ジエチル、1,2-シクロヘキサンカルボン酸ジイソブチル、テトラヒドロフタル酸ジエチル、ナジック酸ジエチルなどの脂環族ポリカルボン酸エステル;
フタル酸モノエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸メチルエチル、フタル酸モノイソブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸エチルイソブチル、フタル酸ジn-プロピル、フタル酸ジイソプロピル、フタル酸ジn-ブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジn-ヘプチル、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル、フタル酸ジn-オクチル、フタル酸ジネオペンチル、フタ
ル酸ジデシル、フタル酸ベンジルブチル、フタル酸ジフェニル、ナフタリンジカルボン酸ジエチル、ナフタリンジカルボン酸ジブチル、トリメリット酸トリエチル、トリメリット酸ジブチルなどの芳香族ポリカルボン酸エステル;
3,4-フランジカルボン酸などの複素環ポリカルボン酸エステルなどが挙げられる。
また多価カルボン酸エステルの他の例としては、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジn-ブチル、セバシン酸ジn-オクチル、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシルなどの長鎖ジカルボン酸のエステルなどを挙げること
もできる。
ジエーテル化合物としては、下記一般式(i)で示されるフルオレン環を有するジエーテル化合物が挙げられる。
Figure 2006199975
式中、Ra およびRb は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜6のアルキル基、たとえばメチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、iso-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシルなどを示す。
XおよびYは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜6のアルキル基またはハロゲン原子を示す。mは0≦m≦4であり、nは0≦n≦4である。
このような前記一般式(i)で表されるフルオレン環を有するジエーテル化合物としては、たとえば
9,9-ビス(メトキシメチル)フルオレン、
9,9-ビス(エトキシメチル)フルオレン、
9-メトキシ-9-エトキシメチルフルオレン、
9,9-ビス(メトキシメチル)-2,7-ジメチルフルオレン、
9,9-ビス(メトキシメチル)-2,6-ジイソプロピルフルオレン、
9,9-ビス(メトキシメチル)-3,6-ジイソブチルフルオレン、
9,9-ビス(メトキシメチル)-2-イソブチル-7-イソプロピルフルオレン、
9,9-ビス(メトキシメチル)-2,7-ジクロロフルオレン、
9,9-ビス(メトキシメチル)-2-クロロ-7-イソプロピルフルオレン
などが挙げられる。
ポリエーテル化合物としては、下記一般式で示される化合物が挙げられる。
Figure 2006199975
(式中、nは2≦n≦10の整数であり、R1 〜R26は炭素、水素、酸素、ハロゲン、窒素、イオウ、リン、ホウ素およびケイ素から選択される少なくとも1種の元素を有する置換基であり、任意のR1 〜R26、好ましくはR1 〜R20は共同してベンゼン環以外の環を形成していてもよく、また主鎖中には炭素以外の原子が含まれていてもよい。)
このうち、1,3-ジエーテルが好ましく用いられ、特に、
2,2-ジイソブチル-1,3-ジメトキシプロパン、
2-イソプロピル-2-イソブチル-1,3-ジメトキシプロパン、
2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン、
2,2-ジシクロヘキシル-1,3-ジメトキシプロパン、
2,2-ビス(シクロヘキシルメチル)-1,3-ジメトキシプロパン、
2-シクロヘキシル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、
2-イソプロピル-2-s-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、
2,2-ジフェニル-1,3-ジメトキシプロパン、
2-シクロペンチル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン
などが好ましく用いられる。
さらに電子供与体(a)として、アセチルクロリド、ベンゾイルクロリド、トルイル酸クロリド、アニス酸クロリドなどの炭素原子数が2〜15の酸ハライド;
酢酸N,N-ジメチルアミド、安息香酸N,N-ジエチルアミド、トルイル酸N,N-ジメチルアミドなどの酸アミド;
アセトニトリル、ベンゾニトリル、トリニトリルなどのニトリル;
メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミンなどの前記以外のアミン;
ピロール、メチルピロール、ジメチルピロールなどのピロール;
ピロリン;ピロリジン;インドール;ピペリジン、キノリン、イソキノリンなどの含窒素環状化合物;
テトラヒドロフラン、1,4-シネオール、1,8-シネオール、ピノールフラン、メチルフラン、ジメチルフラン、ジフェニルフラン、ベンゾフラン、クマラン、フタラン、テトラヒドロピラン、ピラン、ジヒドロピランなどの環状含酸素化合物なども挙げられる。
これらの中で電子供与体(a)としては、酸無水物、アルコール、多価カルボン酸、ポリエーテルおよびフルオレン環を有するジエーテルが好ましく、さらに酸無水物、アルコキシ基を含んだ脂肪族アルコール、芳香族ポリカルボン酸エステル、1,3-ジエーテルおよびフルオレン環を有するジエーテルが好ましく、特にフルオレン環を有するジエーテルが好ましい。
電子供与体(b)
固体状チタン触媒成分の調製に用いられる電子供与体(b)としては、前記電子供与体(a)として例示した化合物と同じ化合物が例示される。
これらの中で電子供与体(b)としては、酸無水物、アルコール、多価カルボン酸、ポリエーテルおよびフルオレン環を有するジエーテルが好ましく、さらに酸無水物、アルコキシ基を含んだ脂肪族アルコール、芳香族ポリカルボン酸エステル、1,3-ジエーテルおよびフルオレン環を有するジエーテルが好ましく、特にフルオレン環を有するジエーテルが好ましい。
なお、電子供与体(a)と、電子供与体(b)とは、同一の化合物を用いてもよく、異なった化合物を用いてもよい。
液状状態のチタン化合物
固体状チタン触媒成分の調製に用いられる液状状態のチタン化合物としては、例えば、下記式で表される4価のハロゲン含有チタン化合物を挙げることができる。
Ti(OR)m 4-m
(式中、Rは炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、0≦m<4である。)
このようなハロゲン含有チタン化合物として具体的には、
TiCl4、TiBr4、TiI4 などのテトラハロゲン化チタン;
Ti(OCH3)Cl3、Ti(OC25)Cl3、Ti(On-C49)Cl3、Ti(OC25)Br3、Ti(Oiso-C49)Br3 などのトリハロゲン化アルコキシチタン;
Ti(OCH32Cl2、Ti(OC252Cl2、Ti(On-C492Cl2、Ti
(OC252Br2 などのジハロゲン化アルコキシチタン;
Ti(OCH33Cl、Ti(OC253Cl、Ti(On-C493Cl、Ti(OC253Brなどのモノハロゲン化アルコキシチタン;
Ti(OCH34、Ti(OC254、Ti(On-C494、Ti(Oiso-C494、Ti(O-2-エチルヘキシル)4 などのテトラアルコキシチタンなどを挙げることができる。これらの中では、テトラハロゲン化チタンが好ましく、特に四塩化チタンが好ましい。
これらのチタン化合物は単独で用いてもよく、混合物の形で用いてもよい。あるいは上記したような炭化水素溶媒に希釈して用いてもよい。
次にオレフィン重合用固体状チタン触媒成分の調製方法についてさらに具体的に説明する。なお、ここでは液状のマグネシウム化合物の調製にハロゲン含有マグネシウム化合物を用い、ハロゲン含有マグネシウム化合物を可溶化しうる化合物としてアルコールを用い、かつ電子供与体(a)としてフルオレン環を有するジエーテルを用いた例を示す。
まず、上記炭化水素溶媒中で、上記ハロゲン含有マグネシウム化合物と上記アルコールとを接触させ、ハロゲン含有マグネシウム化合物が、アルコールと炭化水素との混合溶媒中に溶解された均一溶液(マグネシウム化合物溶液)を調製する。
この際、アルコールは、ハロゲン含有マグネシウム化合物1モルに対して、1〜40モル、好ましくは1.5〜20モルの量で用いられ、炭化水素溶媒は、ハロゲン含有マグネシウム化合物1モルに対して、1〜30モル、好ましくは1.5〜15モルの量で用いられる。接触温度は、65〜300℃、好ましくは100〜200℃であり、接触時間は、15〜300分、好ましくは30〜120分であることが望ましい。
次に、上記マグネシウム化合物溶液と、フルオレン環を有するジエーテル化合物とを接触させ均一溶液(マグネシウム−ジエーテル化合物溶液)を調製する。
この際、フルオレン環を有するジエーテル化合物は、マグネシウム化合物溶液中のハロゲン含有マグネシウム化合物1モルに対して、0.01〜1.0モル、好ましくは0.1〜0.5モルの量で用いられる。接触温度は、−20〜300℃、好ましくは20〜200℃であり、接触時間は、5〜240分、好ましくは10〜120分であることが望ましい。
次に、上記マグネシウム−ジエーテル化合物溶液と、液状状態のチタン化合物とを接触させ、ハロゲン含有マグネシウム化合物と液状状態のチタン化合物とを含む混合液(マグネシウム−チタン溶液)を調製する。
この際には、液状状態のチタン化合物は、マグネシウム−ジエーテル化合物溶液中のマグネシウム1グラム原子に対し、2〜100グラム原子、好ましくは4〜50グラム原子の量で用いられる。また、接触温度は、−70〜200℃、好ましくは−70〜50℃であり、接触時間は、5〜300分、好ましくは30〜180分であることが望ましい。
次に、上記のようにして得られたマグネシウム−チタン溶液を20〜300℃、好ましくは50〜150℃に加熱することにより固体状チタン触媒成分が炭化水素溶媒中に懸濁された状態で得られる。この際、加熱時間は10〜360分、好ましくは30〜300分であることが望ましい。
マグネシウム−ジエーテル化合物溶液と、液状状態のチタン化合物とを接触させた後に、マグネシウム−チタン溶液と電子供与体(b)とを接触させてもよい。電子供与体(b)を接触させる場合には、マグネシウム−チタン溶液を加熱した後に接触させることが好ましい。ここで用いられる電子供与体(b)としては、上記のマグネシウム−ジエーテル化合物溶液を調製する際に用いたフルオレン環を有するジエーテル化合物を用いることができる。
この際、電子供与体(b)は、マグネシウム化合物1モルに対して、0.01〜5モル、好ましくは0.1〜1モルの量で用いられる。
上記懸濁液を濾過などによって固液分離し、固体部(固体状チタン触媒成分)を採取した後、さらに該固体部と液状状態のチタン化合物とを接触させてもよい。また得られた固体状チタン触媒成分は、炭化水素溶媒で洗浄することが好ましい。
このようにして得られた固体状チタン触媒成分は、炭化水素溶媒中に懸濁してオレフィン重合用触媒成分として用いることもできるが、この懸濁液から濾過などによって固液分離した後、乾燥させて用いてもよい。
オレフィン重合用触媒
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、
(A)前記固体状チタン触媒成分、
(B)有機金属化合物触媒成分、および
(C)電子供与体から形成される。
(B)有機金属化合物触媒成分
有機金属化合物触媒成分は、周期律表第I族〜第III 族から選ばれる金属を含むものが好ましく、具体的には、有機アルミニウム化合物、第I族金属とアルミニウムとの錯アルキル化合物、第II族金属の有機金属化合物などを挙げることができる。
このような有機アルミニウム化合物としては、たとえば、下記式で示される有機アルミニウム化合物を例示することができる。
a n AlX3-n
(但し式中、Ra は炭素原子数が1〜12の炭化水素基を示し、Xはハロゲンまたは水素を示し、nは1〜3である。)
上記式において、Ra は炭素原子数が1〜12の炭化水素基、たとえば、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であるが、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基などである。
このような有機アルミニウム化合物としては、具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリ2-エチルヘキシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム;
イソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアルミニウム;
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムブロミドなどのジアルキルアルミニウムハライド;
メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、イソプロピルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;
メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、イソプロピルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライド;
ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウムハイドライドなどが挙げられる。
また有機アルミニウム化合物として、下記式で示される化合物を用いることもできる。
a n AlY3-n
(式中、Ra は上記と同様であり、Yは−ORb 基、−OSiRc 3 基、−OAlRd 2 基、−NRe 2 基、−SiRf 3 基または−N(Rg )AlRh 2 基を示し、nは1〜2であ
り、Rb 、Rc 、Rd およびRh はメチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基などを示し、Re は水素、メチル基、エチル基、イソプロピル基、フェニル基、トリメチルシリル基などを示し、Rf およびRg はメチル基、エチル基などを示す。)
このような有機アルミニウム化合物としては、具体的には、以下のような化合物が用いられる。
(i)Ra n Al(ORb3-n で示される化合物、たとえば
ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムメトキシドなど;
(ii)Ra n Al(OSiRc3-n で示される化合物、たとえば
Et2 Al(OSiMe3)、(iso-Bu)2 Al(OSiMe3)、(iso-Bu)2 Al(OSiEt3)など;
(iii)Ra n Al(OAlRd 23-n で示される化合物、たとえば
Et2 AlOAlEt2、(iso-Bu)2 AlOAl(iso-Bu)2 など;
(iv)Ra n Al(NRe 23-n で示される化合物、たとえば
Me2 AlNEt2、Et2 AlNHMe、Me2 AlNHEt、Et2 AlN(Me3Si)2 、(iso-Bu)2 AlN(Me3Si)2 など;
(v)Ra n Al(SiRf 33-n で示される化合物、たとえば
(iso-Bu)2AlSiMe3など;
(vi)Ra n Al〔N(Rg )AlRh 2 3-n で示される化合物、たとえば
Et2 AlN(Me)AlEt2 、(iso-Bu)2 AlN(Et)Al(iso-Bu)2 など(但し、Me:メチル基、Et:エチル基、Bu:ブチル基)。
またこれらに類似した化合物、たとえば酸素原子、窒素原子を介して2以上のアルミニウムが結合した有機アルミニウム化合物を挙げることができる。より具体的に、
(C252 AlOAl(C252
(C492 AlOAl(C492
(C252 AlN(C25)Al(C252など。
さらにメチルアルミノキサンなどのアルミノキサンを挙げることができる。
上記のような有機アルミニウム化合物のうちでも、
a 3 Al、Ra n Al(ORb 3-n 、Ra n Al(OAlRd 2 3-n で表わされる有機アルミニウム化合物を好適な例として挙げることができる。
第I族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物としては、下記一般式で表される化合物を例示できる。
1AlRj 4
(式中、M1 はLi 、NaまたはKを示し、Rj は炭素数1〜15の炭化水素基を示す)
具体的には、LiAl(C254 、LiAl(C7154 などが挙げられる。
第II族金属の有機金属化合物としては、下記一般式で表される化合物を例示できる。
k l 2
(式中、Rk 、Rl は炭素原子数が1〜15の炭化水素基またはハロゲンを示し、互いに同一でも異なっていてもよいが、いずれもハロゲンである場合は除く。M2 はMg、ZnまたはCdを示す。)
具体的には、ジエチル亜鉛、ジエチルマグネシウム、ブチルエチルマグネシウム、エチルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムクロリドなどが挙げられる。
これらの化合物は、2種以上併用することもできる。
(C)電子供与体
電子供与体(C)としては、たとえば下記一般式で示される有機ケイ素化合物を用いることができる。
nSi(OR')4-n
(式中、RおよびR'は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭化水素基を示し、0<
n<4である)
このような一般式で示される有機ケイ素化合物としては、具体的には、下記のような化合物が挙げられる。
トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、t-ブチルメチルジメトキシシラン、t-ブチルメチルジエトキシシラン、t-アミルメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビスo-トリルジメトキシシラン、ビスm-トリルジメトキシシラン、ビスp-トリルジメトキシシラン、ビスp-トリルジエトキシシラン、ビスエチルフェニルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ-クロルプロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエ
トキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、t-ブチルトリエトキシシラン、n-ブチルトリエトキシシラン、iso-ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ-ア
ミノプロピルトリエトキシシラン、クロルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、2-ノルボルナントリメトキシシラン、2-ノルボルナントリエトキシシラン、2-ノルボルナンメチルジメトキシシラン、ケイ酸エチル、ケイ酸ブチル、トリメチルフェノキシシラン、メチルトリアリロキシ(allyloxy)シラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシシラン)、ビニルトリアセトキシシラン、ジメチルテトラエトキシ
ジシロキサン、
シクロペンチルトリメトキシシラン、2-メチルシクロペンチルトリメトキシシラン、2,3-ジメチルシクロペンチルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラン、
ジシクロペンチルジメトキシシラン、ビス(2-メチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、ビス(2,3-ジメチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、ジシクロペンチルジエトキシシラン、p-トリルメチルジメトキシシラン、ジt-ブチルジメトキシシラン、
トリシクロペンチルメトキシシラン、トリシクロペンチルエトキシシラン、ジシクロペンチルメチルメトキシシラン、ジシクロペンチルエチルメトキシシラン、ヘキセニルトリメトキシシラン、ジシクロペンチルメチルエトキシシラン、シクロペンチルジメチルメトキシシラン、シクロペンチルジエチルメトキシシラン、シクロペンチルジメチルエトキシシランなど。
これらのうち、エチルトリエトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、t-ブチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ビスp-トリルジメトキシシラン、p-トリルメチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、2-ノルボルナントリエトキシシラン、2-ノルボルナンメチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ヘキセニルトリメトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラン、トリシクロペンチルメトキシシラン、ジt-ブチルジメトキシシラン、シクロペンチルジメチルメトキシシランなどが好ましく用いられる。
さらに本発明では、電子供与体(C)として、
2,6-置換ピペリジン類、2,5-置換ピペリジン類、
N,N,N',N'-テトラメチルメチレンジアミン、N,N,N',N'-テトラエチルメチレンジアミンなどの置換メチレンジアミン類、
1,3-ジベンジルイミダゾリジン、1,3-ジベンジル-2- フェニルイミダゾリジンなどの置換イミダゾリジン類などの含窒素電子供与体、
トリエチルホスファイト、トリn-プロピルホスファイト、トリイソプロピルホスファイト、トリn-ブチルホスファイト、トリイソブチルホスファイト、ジエチルn-ブチルホスファイト、ジエチルフェニルホスファイトなどの亜リン酸エステル類などリン含有電子供与体、
2,6-置換テトラヒドロピラン類、2,5-置換テトラヒドロピラン類などの含酸素電子供与体を用いることもできる。
これらの電子供与体(C)は、2種以上併用することもできる。
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、上記のような各成分以外にも、オレフィンの重合に有用な他の成分を含むことができる。
また本発明に係るオレフィン重合用触媒は、オレフィンが予備重合されていてもよい。予備重合触媒は、固体状チタン触媒成分(A)、有機金属化合物触媒成分(B)および必要に応じて電子供与体(C)の存在下に、後述する本重合で用いられるオレフィン類さら
にはポリエン化合物などを予備(共)重合させることにより得られる。
オレフィンの重合方法
本発明に係るオレフィンの重合方法(本重合)では、上記のような固体状チタン触媒成分(A)、有機金属化合物触媒成分(B)および電子供与体(C)からなるオレフィン重合用触媒、または予備重合体を含むオレフィン重合用触媒の存在下に、オレフィンを重合または共重合させる。
本発明において重合されるオレフィンとしては、具体的に、炭素原子数が2〜20のα−オレフィンが挙げられ、具体的に、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセ
ン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどが挙げられる。これらは2種以上併用してもよい。
これらは単独であるいは組み合わせて重合させることができる。
これらのうち、エチレン、プロピレン、1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテンなどが好ましく用いられる。
また上記のα−オレフィンとともに、必要に応じて、
スチレン、置換スチレン類、アリルベンゼン、置換アリルベンゼン類、ビニルナフタレン類、置換ビニルナフタレン類、アリルナフタレン類、置換アリルナフタレン類などの芳香族ビニル化合物、
ビニルシクロペンタン、置換ビニルシクロペンタン類、ビニルシクロヘキサン、置換ビニルシクロヘキサン類、ビニルシクロヘプタン、置換ビニルシクロヘプタン類、アリルノルボルナンなどの脂環族ビニル化合物、
シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5-メチル-2-ノルボルネン、テトラ
シクロドデセン、2-メチル-1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロナフタレンなどの環状オレフィン、
アリルトリメチルシラン、アリルトリエチルシラン、4-トリメチルシリル-1-ブテン、6-トリメチルシリル-1-ヘキセン、8-トリメチルシリル-1-オクテン、10-トリメチルシリル-1-デセンなどのシラン系不飽和化合物、さらにはポリエン化合物などを用いることもで
きる。
本発明では、重合は溶解重合、懸濁重合などの液相重合法あるいは気相重合法いずれにおいても実施することができる。
重合がスラリー重合の反応形態を採る場合、反応不活性な炭化水素を溶媒として用いることもできるし、反応温度において液状のオレフィンを用いることもできる。この炭化水素溶媒のうちでは、脂肪族炭化水素を用いることが好ましい。
本発明の重合方法において、固体状チタン触媒成分(A)または予備重合触媒は、重合容積1リットル当りチタン原子に換算して、通常は約0. 001〜100ミリモル、好ましくは約0. 005〜20ミリモルとなるような量で用いられる。
有機金属化合物触媒成分(B)は、該触媒成分(B)中の金属原子が、重合系中の固体状チタン触媒成分(A)中のチタン原子1モルに対し、通常約1〜2000モル、好ましくは約2〜500モルとなるような量で用いられる。
電子供与体(C)は、該触媒成分(B)中の金属原子1モルに対し、通常約0. 001
〜10モル、好ましくは0. 01〜5モルとなるような量で用いられる。
重合時に水素を用いれば、得られる重合体の分子量を調節することができ、メルトフローレートの大きい重合体が得られる。本発明に係る重合方法では、用いるオレフィンによっても異なるが、重合は通常、以下のような条件下で行われる。
重合温度は、通常約20〜300℃、好ましくは約50〜150℃であり、重合圧力は、常圧〜100kg/cm2 、好ましくは約2〜50kg/cm2 である。
本発明においては、重合を、バッチ式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を、反応条件を変えて2段以上に分けて行うこともできる。
本発明では、オレフィンの単独重合体を製造してもよく、また2種以上のオレフィンからランダム共重合体またはブロック共重合体などを製造してもよい。
上記のようにオレフィン重合用触媒を用いてオレフィンの重合方法を行うと、極めて高い重合活性で製造することができ、炭素原子数が3以上のオレフィンを重合すると立体規則性の高いオレフィン重合体を製造することができる。
上記のような本発明に係るオレフィンの重合方法によってたとえばプロピレンを重合させると、アイソタクチック立体特異性(立体規則性)I.I.が、94.5〜98.5%の高立体規則性ポリプロピレンを製造することができる。
本発明で得られるオレフィン重合体のメルトフローレート(MFR、ASTMD1238E)は、通常5000g/10分以下、好ましくは0.01〜3000g/10分、より好ましくは0.02〜2000g/10分、特に好ましくは0.05〜1000g/10分の範囲にある。
また135℃デカリン中で測定される極限粘度〔η〕が、通常0.05〜20dl/g、好ましくは0.1〜15dl/g、特に好ましくは0.2〜13dl/gの範囲にある。
さらに本発明で得られるオレフィン重合体には、必要に応じて耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤、核剤、顔料、染料、無機あるいは有機充填剤などを配合することもできる。
[実施例]
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[固体状チタン触媒成分(A)の調製]
無水塩化マグネシウム47.7g、精製トルエン235mlおよび2-エチルヘキシルアルコール195.3gを還流下120℃で3時間加熱して均一溶液とした後、この溶液中に下記のような構造を有する9,9-ビス(メトキシメチル)フルオレン19.1gを添加し、さらに120℃還流下にて1時間撹拌混合を行い、9,9-ビス(メトキシメチル)フルオレンを完全に溶解させた。
Figure 2006199975
このようにして得られた均一溶液を室温に冷却した後、−20℃に保持した四塩化チタン80ml中にこの均一溶液の内、30mlを20分間にわたって滴下装入した。装入終了後、この混合液の温度を4時間かけて110℃に昇温し、これより2時間同温度にて撹拌下保持した。
2時間の反応終了後、熱濾過にて固体部を採取し、この固体部を110mlの四塩化チタンに再懸濁させた後、攪拌下で再び110℃まで昇温し、2時間の加熱反応を行った。
反応終了後、再び熱濾過にて固体部を採取し、110℃のデカンで洗浄後さらに室温下、ヘキサンにて洗液中に遊離のチタン化合物が検出されなくなるまで充分洗浄した。
以上の操作によって調製した固体状チタン触媒成分(A)はデカンスラリーとして保存したが、この内の一部を触媒組成を調べる目的で乾燥した。
このようにして得られた固体状チタン触媒成分(A)の微結晶サイズは26Åであり、半径0.1μm以下の細孔の容積が0.002cm3 /gであり、半径0.1〜7.5μmの細孔の容積が0.560cm3 /gであり、光透過式沈降法によって測定した平均触媒粒径が11.2μmであった。また、固体状チタン触媒成分(A)は、チタンを4.7重量%、塩素を54重量%、マグネシウムを15重量%、9,9-ビス(メトキシメチル)フルオレンを16.2重量%の割合で含有していた。
[重合]
内容積1リットルのオートクレーブに精製n-ヘプタン400mlを装入し、60℃、プロピレン雰囲気にてトリエチルアルミニウム0.4ミリモル、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン0.04ミリモルおよび前記固体状チタン触媒成分(A)をチタン原子換算で0.004ミリモル装入した。
さらに60℃で水素75mlを導入し、70℃に昇温した後これを1時間保持してプロピレン重合を行った。重合中の圧力は5kg/cm2-G に保った。
重合終了後、生成固体を含むスラリーを濾過して白色粉末と液相部に分離した。
乾燥後の白色粉末状重合体の収量は90.5gであり、沸騰ヘプタンによる抽出残率(I.I.)は98.74%であり、MFRは3.5g/10分であり、見掛嵩密度は0.41g/cm3 であった。一方液相部の濃縮により溶媒可溶性重合体0.2gを得た。従って活性は22,700g−PP/mmol−Ti、21,700g−PP/g−触媒であり、得られたポリマー全体における沸騰ヘプタンによる抽出残率(t-I.I.)は98.5%であった。
[固体状チタン触媒成分(B)の調製]
無水塩化マグネシウム95.3g、デカン485mlおよび2-エチルヘキシルアルコール390.6gを140℃で3時間加熱して均一溶液とした後、この溶液中に無水フタル酸22.2gを添加し、さらに130℃にて1時間撹拌混合を行い、無水フタル酸をこの均一溶液に溶解させた。
このようにして得られた均一溶液を室温に冷却した後、−20℃に保持した四塩化チタン80ml中にこの均一溶液の内、30mlを20分間にわたって滴下装入した。装入終了後、この混合液の温度を4時間かけて110℃に昇温し、110℃に達したところで予めトルエンに溶解させた9,9-ビス(メトキシメチル)フルオレン1.91gを添加し、これより2時間同温度にて撹拌下保持した。
2時間の反応終了後、熱濾過にて固体部を採取し、この固体部を110mlの四塩化チタンにて再懸濁させた後、攪拌下で再び110℃まで昇温し、2時間の加熱反応を行った。
反応終了後、再び熱濾過にて固体部を採取し、110℃デカンおよびヘキサンにて洗液中に遊離のチタン化合物が検出されなくなるまで充分洗浄した。
以上の操作によって調製した固体状チタン触媒成分(B)はデカンスラリーとして保存したが、この内の一部を触媒組成を調べる目的で乾燥した。
このようにして得られた固体状チタン触媒成分(B)の微結晶サイズは46Åであり、半径0.1μm以下の細孔の容積が0.128cm3 /gであり、半径0.1〜7.5μmの細孔の容積が0.431cm3 /gであり、光透過式沈降法によって測定した平均触媒粒径が12.1μmであった。また、固体状チタン触媒成分(B)は、チタンを2.5重量%、塩素を60重量%、マグネシウムを18重量%および9,9-ビス(メトキシメチル)フルオレンを8.6重量%の割合で含有していた。
[重合]
実施例1において、固体状チタン触媒成分(A)に代えて、固体状チタン触媒成分(B)を用いた以外は実施例1と同様にしてプロピレンの重合を行った。
乾燥後の白色粉末状重合体の収量は89.3gであり、沸騰ヘプタンによる抽出残率(I.I.)は98.33%であり、MFRは5.1g/10分であり、見掛嵩密度は0.38g/cm3 であった。一方液相部の濃縮により溶媒可溶性重合体1.0gを得た。従って活性は22,600g−PP/mmol−Ti、11,800g−PP/g−触媒であり、得られたポリマー全体における沸騰ヘプタンによる抽出残率(t-I.I.)は97.3%であった。
[比較例1]
[固体状チタン触媒成分(C)の調製]
無水塩化マグネシウム95.3g、デカン485mlおよび2-エチルヘキシルアルコール390.6gを140℃で2時間加熱して均一溶液とした後、この溶液中に下記のような構造を有する2-イソプロピル-2-イソブチル-1,3-ジメトキシプロパン34.6mlを添加し、さらに、130℃にて1時間撹拌混合を行った。
Figure 2006199975
このようにして得られた均一溶液を室温に冷却した後、−20℃に保持した四塩化チタン80ml中にこの均一溶液の内、30mlを20分間にわたって滴下装入した。装入終了後、さらにメチルハイドロジュンポリシロキサン7.5mlを添加した後、この混合液の温度を4時間かけて110℃に昇温し、これより2時間同温度にて撹拌下保持した。
2時間の反応終了後、熱濾過にて固体部を採取し、この固体部を110mlの四塩化チタンに再懸濁させた後、攪拌下で再び110℃まで昇温し、2時間の加熱反応を行った。
反応終了後、再び熱濾過にて固体部を採取し、110℃のデカンで洗浄後さらに室温下、ヘキサンにて洗液中に遊離のチタン化合物が検出されなくなるまで充分洗浄した。
以上の操作によって調製した固体状チタン触媒成分(C)はデカンスラリーとして保存したが、この内の一部を触媒組成を調べる目的で乾燥した。
このようにして得られた固体状チタン触媒成分(C)の微結晶サイズは153Åであり、半径0.1μm以下の細孔の容積が0.179cm3 /gであり、半径0.1〜7.5μmの細孔の容積が0.383cm3 /gであり、光透過式沈降法によって測定した平均触媒粒径が13.6μmであった。また、固体状チタン触媒成分(C)は、チタンを19.0重量%、塩素を53重量%、マグネシウムを6重量%、2-イソプロピル-2-イソブチ
ル-1,3-ジメトキシプロパンを5.8重量%の割合で含有していた。
[重合]
実施例1において、固体状チタン触媒成分(A)に代えて、固体状チタン触媒成分(C)を用いた以外は実施例1と同様にしてプロピレンの重合を行った。
重合終了後、生成固体を含むスラリーを濾過して白色粉末と液相部に分離した。
乾燥後の白色粉末状重合体の収量は3.2gであり、沸騰ヘプタンによる抽出残率(I.I.)は96.23%であり、メルトフローレート(MFR)は7.8g/10分であり、見掛嵩密度は0.26g/cm3 であった。一方液相部の濃縮によって溶媒可溶性重合体0.1gを得た。従って活性は800g−PP/mmol−Ti、3,300g−PP/g−触媒であり、得られたポリマー全体における沸騰ヘプタンによる抽出残率(t-I.I.)は93.3%であった。
以上の結果を表1および表2に示す。
Figure 2006199975
Figure 2006199975

Claims (6)

  1. (A)液状のマグネシウム化合物と、液状のチタン化合物とを下記一般式(i)で表されるフルオレン環を有するジエーテル化合物の存在下に接触させて製造された固体状チタン触媒成分、
    Figure 2006199975
    (式中、Ra およびRb は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜6のアルキル基を示し、XおよびYは、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜6のアルキル基またはハロゲン原子を示し、mは0≦m≦4であり、nは0≦n≦4である。)
    (B)周期律表第I族〜第III族から選択される金属を含む有機金属化合物触媒成分、お
    よび
    (C)電子供与体
    からなることを特徴とするオレフィン重合用触媒。
  2. (A)液状のマグネシウム化合物と、液状のチタン化合物とを請求項1に記載の一般式(i)で表されるフルオレン環を有するジエーテル化合物の存在下に接触させて製造された固体状チタン触媒成分、
    (B)周期律表第I族〜第III族から選択される金属を含む有機金属化合物触媒成分、お
    よび
    (C)電子供与体
    にオレフィンが予備重合されてなることを特徴とするオレフィン重合用触媒。
  3. (A)液状のマグネシウム化合物と、請求項1に記載の一般式(i)で表されるフルオレン環を有するジエーテル化合物とを接触させ、次いで上記で得られた溶液と、液状状態のチタン化合物とを接触させて製造された固体状チタン触媒成分、
    (B)周期律表第I族〜第III族から選択される金属を含む有機金属化合物触媒成分、お
    よび
    (C)電子供与体
    からなることを特徴とするオレフィン重合用触媒。
  4. (A)液状のマグネシウム化合物と、請求項1に記載の一般式(i)で表されるフルオレン環を有するジエーテル化合物とを接触させ、次いで上記で得られた溶液と、液状状態のチタン化合物とを接触させて製造された固体状チタン触媒成分、
    (B)周期律表第I族〜第III族から選択される金属を含む有機金属化合物触媒成分、お
    よび
    (C)電子供与体
    にオレフィンが予備重合されてなることを特徴とするオレフィン重合用触媒。
  5. 前記液状のマグネシウム化合物が、マグネシウム化合物と、アルコール、エステルおよびエーテルからなる群より選ばれる前記マグネシウム化合物を溶解しうる化合物とを炭化水素溶媒中で接触させて調製される請求項1ないし4のいずれかに記載のオレフィン重合用触媒。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載のオレフィン重合用触媒の存在下に、オレフィンを重合または共重合させることを特徴とするオレフィンの重合方法。
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