JP3766505B2 - オレフィン重合用触媒成分、これを含むオレフィン重合用触媒、予備重合触媒、オレフィンの重合方法 - Google Patents
オレフィン重合用触媒成分、これを含むオレフィン重合用触媒、予備重合触媒、オレフィンの重合方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、有機ケイ素化合物からなるオレフィン重合用触媒成分、およびこの有機ケイ素化合物を含み、分子量分布が広く、成形性に優れた高立体規則性ポリオレフィンを高重合活性で製造しうるオレフィン重合用触媒およびオレフィンの重合方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
従来よりポリオレフィン製造用触媒として、チタン触媒成分と有機アルミニウム化合物とからなるチーグラー・ナッタ触媒が広く用いられており、特にチタン触媒成分として担体担持型固体状チタン触媒成分を含む触媒は、高い重合活性を示すことが知られている。特に固体状チタン触媒成分のうちでも塩化マグネシウム担持型チタン触媒成分を含む触媒は、高い重合活性を示すとともに、プロピレンなどのオレフィンを重合させたときに立体規則性の高いポリオレフィンを製造することができる触媒として知られている。
【0003】
とくにポリプロピレンなどの高立体規則性ポリオレフィンを製造する際には、通常、内部ドナー(内部電子供与体)を含む固体状チタン触媒成分と、有機アルミニウム化合物と、外部ドナー(外部電子供与体)とからなる触媒が用いられる。
【0004】
たとえば本出願人も先に特開昭58−83006号公報において、高立体規則性ポリオレフィンを高収率で製造することができるとともに、粒径、粒度分布、粒子性状、嵩比重に優れたポリオレフィン製造用触媒として、内部ドナーとして少なくともカルボン酸エステル類を含む固体状チタン触媒成分と、有機アルミニウム化合物とともに、外部ドナー(外部電子供与体)としてSi−O−CまたはフェニルジエトキシジエチルアミノシランなどのSi−N−C結合を有する有機ケイ素化合物とからなるオレフィン重合用触媒を提案した。
【0005】
また特開平8−143621号公報、特開平8−120021号公報には、上記のような外部ドナーとして、ピペリジノ基などの環状アミノ基を2個有する有機ケイ素化合物、あるいはR1 nSi(OR2)3-nR3(R3:環状アミノ基、R1:炭素数1〜24の炭化水素基、nは0〜2)で示される有機ケイ素化合物を用いると、得られるポリオレフィンの立体規則性を低下させずに溶融流動性(MFR)を高めることができることも提案されている。
【0006】
本発明者は、このようなオレフィン重合用触媒とくに外部ドナー触媒成分について研究したところ、特定の有機ケイ素化合物を電子供与体として含むオレフィン重合用触媒は、高活性でオレフィンを重合させることができ、しかも高立体規則性で、分子量分布が広く、成形性に優れたポリオレフィンを得ることができることを見出して本発明を完成するに至った。
【0007】
【発明の目的】
本発明は、有機ケイ素化合物からなる新規なオレフィン重合用触媒成分、このオレフィン重合用触媒成分を含み分子量分布が広く、成形性に優れ、しかも高立体規則性のポリオレフィンを高重合活性で製造しうるオレフィン重合用触媒およびこの触媒を用いたオレフィンの重合方法を提供することを目的としている。
【0008】
【発明の概要】
本発明では、下記式(1)で示される有機ケイ素化合物からなるオレフィン重合用触媒成分が提供される。
【0009】
【化5】
【0010】
〔式中、Q1は窒素原子であり、
Q2は窒素原子であって、
Q1とQ2とはアルキレン基を介して連結されており、
R1およびR2は、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基であり、同一であ
っても異なっていてもよく、
R3およびR4は炭素数1〜10の炭化水素基であり、同一であっても異なってい
てもよい。〕
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、
(A)マグネシウム、チタン、ハロゲン、および電子供与体を含有する固体状チタン触媒成分と、
(B)有機アルミニウム化合物と、
(C)上記式(1)で示される有機ケイ素化合物とからなる。
【0011】
また本発明に係るオレフィン重合用触媒は、
[I]上記の(A)固体状チタン触媒成分と、(B)有機アルミニウム化合物と、必要に応じて(D)電子供与体とからなるオレフィン重合用触媒に、オレフィンが予備重合された予備重合触媒と、
[II]上記式(1)で示される有機ケイ素化合物と、
[III]必要に応じて有機アルミニウム化合物とから形成されてもよい。
【0012】
予備重合時の(D)電子供与体は、上記式(1)で示される有機ケイ素化合物であってもよい。
【0013】
R1は炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の分岐状または環状飽和炭化水素基または炭素数6〜20の芳香族炭化水素基であることが好ましい。
【0015】
本発明に係るオレフィンの重合方法は、上記のようなオレフィン重合用触媒の存在下に、オレフィンを重合させることを特徴としている。
【0016】
【発明の具体的説明】
以下本発明に係るオレフィン重合用触媒成分、これを含むオレフィン重合用触媒、予備重合触媒、オレフィンの重合方法について具体的に説明する。
【0017】
なお本発明において、「重合」という語は単独重合だけでなく共重合をも包含した意味で用いられることがあり、「重合体」という語は単独重合体だけでなく共重合体をも包含した意味で用いられることがある。
【0018】
オレフィン重合用触媒成分
本発明に係るオレフィン重合用触媒成分は、下記式(1)で示される有機ケイ素化合物からなる。
【0019】
【化6】
【0020】
〔式中、Q1は窒素原子であり、Q2は窒素原子、炭素原子または酸素原子であって、Q1とQ2とは連結されている。
R1およびR2は、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基であり、同一であっても異なっていてもよく(ただしQ2が酸素原子であるときR2は存在しない)、
R3およびR4は炭素数1〜10の炭化水素基であり、同一であっても異なっていてもよい。〕
上記式において、Q1とQ2とは炭素数1〜5のアルキレン基を介して連結されていることが好ましい。
【0021】
Q1とQ2とを結合する炭素数1〜5のアルキレン基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、テトラメチレン、ペンタメチレンなどが挙げられる。これらのうちでもプロピレン、エチレンなどが好ましい。
【0022】
またこのアルキレン基は、置換基(分枝)を有していてもよい。この分枝は単数でも、複数でもよく、さらにR1および/またはR2と結合していてもよい。
【0023】
R1は、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基であり、この炭化水素基は、飽和または不飽和炭化水素基いずれでもよく、また直鎖状または分岐状脂肪族炭化水素基、環状飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基のいずれであってもよい。
【0024】
このような炭化水素基としては、具体的にはたとえば、
メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、n-アミル、i-アミル、n-ヘキシル、ヘプチル、n-オクチル、2-エチルヘキシル、ノニル、デシルなどの炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基または炭素数3〜20の分岐状炭化水素基、
シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、ノルボルニルなどの炭素数3〜20の環状炭化水素基、
フェニル、o-トリル、p-トリル、ナフチル、2,6-ジメチルフェニル、2,6-ジイソプロピルフェニルなどの炭素数6〜20の芳香族炭化水素基が挙げられる。
【0025】
これらのうちでも、R1は炭化水素基であることが好ましく、特にフェニル、o-トリル、p-トリルなどの芳香族炭化水素基であることが好ましい。
またR2は上記R1と同様の炭素数1〜20の炭化水素基であり、Q2が炭素原子であるとき、複数のR2は同一であっても異なっていてもよい。このR2はQ2が酸素原子のときには存在しない。
【0026】
これらのうちでも、R2は炭化水素基であることが好ましく、特にフェニル、o-トリル、p-トリルなどの芳香族炭化水素基であることが好ましい。
R3およびR4は炭素数1〜10の炭化水素基であり、具体的には、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、n-アミル、i-アミル、n-ヘキシル、ヘプチル、n-オクチル、2-エチルヘキシル、ノニル、デシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、フェニル、o-トリル、p-トリル、ナフチルなどが挙げられる。
【0027】
これらのうちでも、R3およびR4は、メチル、エチルであることが好ましい。R3およびR4は同一であっても異なっていてもよい。
本発明では、上記のような式(1)で示される有機ケイ素化合物において、
Q2は窒素原子であることが好ましく、さらにR1およびR2が炭化水素基であることが好ましい。このときR1およびR2は、同一の炭化水素基であっても異なる炭化水素基であってもよい。このような好ましい有機ケイ素化合物を下記式(2)で示す。
【0028】
【化7】
【0029】
(式中、R1およびR2は独立に炭素数1〜20の炭化水素基である。)
上記のような式(2)で示される有機ケイ素化合物としては、たとえば
【0030】
【化8】
【0031】
などが挙げられる。
これらのうちでも、特に
【0032】
【化9】
【0033】
などが好ましく用いられる。
上記のような有機ケイ素化合物は、下記のように製造することができる。
【0034】
Macromolecules V29 p.5241 のSupplementary Experimental Details を参考にして合成したジアミンをジエチルエーテル中で2当量のn-BuLi/ヘキサン溶液と反応させる。この反応物を、別途調製したジクロロジメトキシシランのエーテル溶液に、ジエチルエーテル中で滴下して加える。この溶液を還流した後、室温まで冷却し、固形分を濾別して減圧下でエーテルを除去する。
【0035】
得られた粗生成物を減圧下で蒸留して目的物を得る。
また上記式(1)で示される有機ケイ素化合物として、式中Q2が炭素原子または酸素原子であるとき、下記のような化合物を例示することもできる。
【0036】
【化10】
【0037】
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、上記のような式(1)で示される有機ケイ素化合物を触媒成分として含んでおり、具体的に
(A)固体状チタン触媒成分と、
(B)有機アルミニウム化合物と、
(C)式(1)で示される有機ケイ素化合物とから形成される。
【0038】
(A)固体状チタン触媒成分
本発明に係るオレフィン重合用触媒を形成する際に用いられる固体状チタン触媒成分(A)について説明する。
【0039】
本発明で用いられる固体状チタン触媒成分は、必須成分として少なくともマグネシウム、チタン、ハロゲン、および電子供与体を含有している。固体状チタン触媒成分は、これら成分を含有していればその調製方法は限定されず、(a)マグネシウム化合物、(b)チタン化合物および(c)電子供与体などを種々の方法により接触させることにより調製することができる。以下に固体状チタン触媒成分を調製する際に用いられる各成分を示す。
【0040】
(a) マグネシウム化合物
本発明では、マグネシウム化合物としては、還元能を有するマグネシウム化合物および還元能を有さないマグネシウム化合物を挙げることができる。
【0041】
還元能を有するマグネシウム化合物としては、たとえば下式で表わされる有機マグネシウム化合物を挙げることができる。
Xn MgR2-n
式中、nは0≦n<2であり、Rは水素または炭素数1〜20のアルキル基、アリール基またはシクロアルキル基であり、nが0である場合2個のRは同一でも異なっていてもよい。Xはハロゲンまたはアルコキシ基である。
【0042】
このような還元能を有する有機マグネシウム化合物としては、具体的には、
ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジプロピルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ジアミルマグネシウム、ジヘキシルマグネシウム、ジデシルマグネシウム、オクチルブチルマグネシウム、エチルブチルマグネシウムなどのジアルキルマグネシウム化合物、
エチル塩化マグネシウム、プロピル塩化マグネシウム、ブチル塩化マグネシウム、ヘキシル塩化マグネシウム、アミル塩化マグネシウムなどのアルキルマグネシウムハライド、
ブチルエトキシマグネシウム、エチルブトキシマグネシウム、オクチルブトキシマグネシウムなどのアルキルマグネシウムアルコキシド、その他ブチルマグネシウムハイドライドなどが挙げられる。
【0043】
還元能を有さないマグネシウム化合物としては、具体的に、
塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、沃化マグネシウム、弗化マグネシウムなどのハロゲン化マグネシウム、
メトキシ塩化マグネシウム、エトキシ塩化マグネシウム、イソプロポキシ塩化マグネシウム、ブトキシ塩化マグネシウム、オクトキシ塩化マグネシウムなどのアルコキシマグネシウムハライド、
フェノキシ塩化マグネシウム、メチルフェノキシ塩化マグネシウムなどのアリロキシマグネシウムハライド、
ジエトキシマグネシウム、ジイソプロポキシマグネシウム、ジブトキシマグネシウム、ジn-オクトキシマグネシウム、ジ2-エチルヘキソキシマグネシウム、エトキシメトキシマグネシウムなどのアルコキシマグネシウム、
ジフェノキシマグネシウム、ジメチルフェノキシマグネシウムなどのアリロキシマグネシウム、
ラウリン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウムなどのマグネシウムのカルボン酸塩などを挙げることができる。その他マグネシウム金属、水素化マグネシウムを用いることもできる。
【0044】
これら還元能を有さないマグネシウム化合物は、上述した還元能を有するマグネシウム化合物から誘導した化合物、あるいは触媒成分の調製時に誘導した化合物であってもよい。還元能を有さないマグネシウム化合物を、還元能を有するマグネシウム化合物から誘導するには、たとえば、還元能を有するマグネシウム化合物を、ポリシロキサン化合物、ハロゲン含有シラン化合物、ハロゲン含有アルミニウム化合物、エステル、アルコール、ハロゲン含有化合物、あるいはOH基や活性な炭素−酸素結合を有する化合物と接触させればよい。
【0045】
なお上記の還元能を有するマグネシウム化合物および還元能を有さないマグネシウム化合物は、たとえばアルミニウム、亜鉛、ホウ素、ベリリウム、ナトリウム、カリウムなどの他の金属との錯化合物、複化合物を形成していてもよく、あるいは他の金属化合物との混合物であってもよい。さらに、マグネシウム化合物は単独であってもよく、上記の化合物を2種以上組み合わせてもよい。
【0046】
固体状チタン触媒成分の調製に用いられるマグネシウム化合物としては、上述した以外のマグネシウム化合物も使用できるが、最終的に得られる固体状チタン触媒成分 中において、ハロゲン含有マグネシウム化合物の形で存在することが好ましく、従ってハロゲンを含まないマグネシウム化合物を用いる場合には、調製の途中でハロゲン含有化合物と接触反応させることが好ましい。
【0047】
これらの中でも、還元能を有さないマグネシウム化合物が好ましく、特にハロゲン含有マグネシウム化合物が好ましく、さらにこれらの中でも塩化マグネシウム、アルコキシ塩化マグネシウム、アリロキシ塩化マグネシウムが好ましい。
【0048】
本発明では、固体状チタン触媒成分を調製するに際して、上記のようなマグネシウム化合物は液状状態で用いることが好ましい。
固体状のマグネシウム化合物は、アルコール類、フェノール類、ケトン類、アルデヒド類、エーテル類、アミン類、ピリジン類などの電子供与体(d) を用いて液体状態にすることができる。
【0049】
電子供与体(d) として用いられる上記の各化合物は、固体状チタン触媒成分を調製する際に用いられる電子供与体(c) としても例示されるものであり、これらのより具体的な例は電子供与体(c) として後述する。
【0050】
またテトラエトキシチタン、テトラ-n-プロポキシチタン、テトラ-i-プロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラヘキソキシチタン、テトラブトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウムなどの金属酸エステル類などを用いることもできる。
【0051】
これらのうちでも、アルコール類、金属酸エステル類が特に好ましく用いられる。
固体状マグネシウム化合物と電子供与体(d) との反応は、固体状マグネシウム化合物と電子供与体(d) とを接触させ、必要に応じて加熱する方法が一般的である。この接触は、通常0〜200℃好ましくは20〜180℃より好ましくは50〜150℃温度で行なわれる。
【0052】
また上記反応は、炭化水素溶媒(e) などの共存下に行ってもよい。このような炭化水素溶媒として具体的には、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、灯油などの脂肪族炭化水素類、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタン、シクロヘキセンのような脂環族炭化水素類、ジクロロエタン、ジクロロプロパン、トリクロロエチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類などが用いられる。
【0053】
(b) チタン化合物
本発明では、チタン化合物(b) としては液状チタン化合物が好ましく特に4価のチタン化合物が好ましく用いられる。このような四価のチタン化合物としては、次式で示される化合物を挙げることができる。
【0054】
Ti(OR)g X4-g
式中、Rは炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、0≦g≦4である。
このような化合物としては、具体的には、
TiCl4、TiBr4、TiI4 などのテトラハロゲン化チタン、
Ti(OCH3)Cl3、
Ti(OC2H5)Cl3、
Ti(On-C4H9)Cl3、
Ti(OC2H5)Br3、
Ti(O-iso-C4H9)Br3などのトリハロゲン化アルコキシチタン、
Ti(OCH3)2Cl2、
Ti(OC2H5)2Cl2、
Ti(On-C4H9)2Cl2、
Ti(OC2H5)2Br2などのジハロゲン化ジアルコキシチタン、
Ti(OCH3)3 Cl 、
Ti(OC2H5)3 Cl 、
Ti(On-C4H9)3 Cl 、
Ti(OC2H5)3 Br などのモノハロゲン化トリアルコキシチタン、
Ti(OCH3)4 、
Ti(OC2H5)4 、
Ti(On-C4H9)4 、
Ti(O-iso-C4H9)4 、
Ti(O-2-エチルヘキシル)4などのテトラアルコキシチタンなどが挙げられる。
【0055】
これらの中でもテトラハロゲン化チタンが好ましく、特に四塩化チタンが好ましい。これらのチタン化合物は2種以上組合わせて用いることもできる。上記のチタン化合物は炭化水素、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素に希釈して用いてもよい。
【0056】
(c) 電子供与体
本発明において、固体状チタン触媒成分を調製する際には、電子供与体(c) としては多価カルボン酸エステルを用いることが好ましい。
【0057】
この多価カルボン酸エステルは、たとえば下記一般式で示される。
【0058】
【化11】
【0059】
上記式中、R1 は置換または非置換の炭化水素基、R2 、R5 、R6 は、水素あるいは置換または非置換の炭化水素基、R3 、R4 は、水素あるいは置換または非置換の炭化水素基であり、好ましくはその少なくとも一方は置換または非置換の炭化水素基である。またR3 とR4 とは互いに連結されて環状構造を形成していてもよい。炭化水素基R1 〜R6 が置換されている場合の置換基は、N、O、Sなどの異原子を含み、たとえば、C−O−C、COOR、COOH、OH、SO3H、−C−N−C−、NH2 などの基を有する。
【0060】
このような多価カルボン酸エステルとしては、具体的には、
コハク酸ジエチル、コハク酸ジブチル、メチルコハク酸ジエチル、α-メチルグルタル酸ジイソブチル、メチルマロン酸ジエチル、エチルマロン酸ジエチル、イソプロピルマロン酸ジエチル、ブチルマロン酸ジエチル、フェニルマロン酸ジエチル、ジエチルマロン酸ジエチル、ジブチルマロン酸ジエチル、マレイン酸モノオクチル、マレイン酸ジオクチル、マレイン酸ジブチル、ブチルマレイン酸ジブチル、ブチルマレイン酸ジエチル、β-メチルグルタル酸ジイソプロピル、エチルコハク酸ジアルリル、フマル酸ジ-2-エチルヘキシル、イタコン酸ジエチル、シトラコン酸ジオクチルなどの脂肪族ポリカルボン酸エステル、
1,2-シクロヘキサンカルボン酸ジエチル、1,2-シクロヘキサンカルボン酸ジイソブチル、テトラヒドロフタル酸ジエチル、ナジック酸ジエチルなどの脂環族ポリカルボン酸エステル、
フタル酸モノエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸メチルエチル、フタル酸モノイソブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸エチルイソブチル、フタル酸ジn-プロピル、フタル酸ジイソプロピル、フタル酸ジn-ブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジn-ヘプチル、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル、フタル酸ジn-オクチル、フタル酸ジネオペンチル、フタル酸ジデシル、フタル酸ベンジルブチル、フタル酸ジフェニル、ナフタリンジカルボン酸ジエチル、ナフタリンジカルボン酸ジブチル、トリメリット酸トリエチル、トリメリット酸ジブチルなどの芳香族ポリカルボン酸エステル、
3,4-フランジカルボン酸などの異節環ポリカルボン酸エステルなどが挙げられる。
【0061】
また多価カルボン酸エステルの他の例としては、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジn-ブチル、セバシン酸ジn-オクチル、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシルなどの長鎖ジカルボン酸のエステルなどを挙げることもできる。
【0062】
これらのうちでは、特にフタル酸エステル類が好ましい。
また電子供与体(c) として、複数の原子を介して存在する2個以上のエーテル結合を有するポリエーテル化合物を用いることができる。
【0063】
このポリエーテルとしては、エーテル結合間に存在する原子が、炭素、ケイ素、酸素、窒素、リン、ホウ素、硫黄あるいはこれらから選択される2種以上である化合物などを挙げることができる。このうちエーテル結合間の原子に比較的嵩高い置換基が結合しており、2個以上のエーテル結合間に存在する原子に複数の炭素原子が含まれた化合物が好ましく、たとえば下記式で示されるポリエーテルが好ましい。
【0064】
【化12】
【0065】
(式中、nは2≦n≦10の整数であり、R1 〜R26は炭素、水素、酸素、ハロゲン、窒素、硫黄、リン、ホウ素およびケイ素から選ばれる少なくとも1種の元素を有する置換基であり、任意のR1 〜R26、好ましくはR1 〜R2nは共同してベンゼン環以外の環を形成していてもよく、主鎖中に炭素以外の原子が含まれていてもよい。)
上記のようなポリエーテルのうちでも、たとえば
2,2-ジイソブチル-1,3-ジメトキシプロパン、
2-イソプロピル-2-イソブチル-1,3-ジメトキシプロパン、
2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン、
2,2-ジシクロヘキシル-1,3-ジメトキシプロパン、
2,2-ビス(シクロヘキシルメチル)-1,3-ジメトキシプロパン、
2-シクロヘキシル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパン、
2-イソプロピル-2-s-ブチル-1,3-ジメトキシプロパン、
2,2-ジフェニル-1,3-ジメトキシプロパン、
2-シクロペンチル-2-イソプロピル-1,3-ジメトキシプロパンなどの1,3-ジエーテル類が好ましく用いられる。
【0066】
本発明では電子供与体(c) として、アルコール、フェノール、ケトン、アルデヒド、エーテル、アミン、カルボン酸、有機酸ハライド、有機酸または無機酸のエステル、酸アミド、酸無水物、アンモニア、ニトリル、イソシアネート、含窒素環状化合物、含酸素環状化合物などを用いることもできる。より具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、2-エチルヘキサノール、オクタノール、ドデカノール、オクタデシルアルコール、オレイルアルコール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、クミルアルコール、イソプロピルアルコール、イソプロピルベンジルアルコールなどの炭素数1〜18のアルコール類、
トリクロロメタノール、トリクロロエタノール、トリクロロヘキサノールなどの炭素数1〜18のハロゲン含有アルコール類、
フェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、プロピルフェノール、ノニルフェノール、クミルフェノール、ナフトールなどの低級アルキル基を有してもよい炭素数6〜20のフェノール類、
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンゾキノンなどの炭素数3〜15のケトン類、
アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、オクチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、トルアルデヒド、ナフトアルデヒドなどの炭素数2〜15のアルデヒド類、
メチルエーテル、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、アミルエーテル、テトラヒドロフラン、アニソール、ジフェニルエーテルなどの炭素数2〜20のエーテル類、
メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリベンジルアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのアミン類、
酢酸N,N-ジメチルアミド、安息香酸N,N-ジエチルアミド、トルイル酸N,N-ジメチルアミドなどの酸アミド類、
ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ビニル、酢酸プロピル、酢酸オクチル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、吉草酸エチル、クロル酢酸メチル、ジクロル酢酸エチル、メタクリル酸メチル、クロトン酸エチル、シクロヘキサンカルボン酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸オクチル、安息香酸シクロヘキシル、安息香酸フェニル、安息香酸ベンジル、トルイル酸メチル、トルイル酸エチル、トルイル酸アミル、エチル安息香酸エチル、アニス酸メチル、アニス酸エチル、エトキシ安息香酸エチル、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン、クマリン、フタリド、炭酸エチルなどの炭素数2〜18の有機酸エステル類、
アセチルクロリド、ベンゾイルクロリド、トルイル酸クロリド、アニス酸クロリドなどの炭素数2〜15の酸ハライド類、
アセトニトリル、ベンゾニトリル、トリニトリルなどのニトリル類、
無水酢酸、無水フタル酸、無水安息香酸などの酸無水物、
ピロール、メチルピロール、ジメチルピロールなどのピロール類、
ピロリン;ピロリジン;インドール;ピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ジメチルピリジン、エチルメチルピリジン、トリメチルピリジン、フェニルピリジン、ベンジルピリジン、塩化ピリジンなどのピリジン類、ピペリジン類、キノリン類、イソキノリン類などの含窒素環状化合物、
テトラヒドロフラン、1,4-シネオール、1,8-シネオール、ピノールフラン、メチルフラン、ジメチルフラン、ジフェニルフラン、ベンゾフラン、クマラン、フタラン、テトラヒドロピラン、ピラン、ジテドロピランなどの環状含酸素化合物などが挙げられる。
【0067】
さらに電子供与体(c) として、触媒成分(D)として後述するような有機ケイ素化合物、あるいは水、アニオン系、カチオン系、非イオン系の界面活性剤などを用いることもできる。
【0068】
本発明では、電子供与体(c) として、上記のうちでも多価カルボン酸エステルが特に好ましく用いられる。電子供与体(c) は2種以上併用してもよい。
固体状チタン触媒成分(A)の調製
固体状チタン触媒成分を調製する際には、上記の化合物に加えて、担体および反応助剤などとして用いられる珪素、リン、アルミニウムなどを含む有機化合物あるいは無機化合物などを用いてもよい。
【0069】
このような担体としては、Al2O3 、SiO2 、B2O3 、MgO、CaO、TiO2 、ZnO、SnO2 、BaO、ThO、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体などの樹脂などが挙げられる。これらのうちでも、Al2O3 、SiO2 、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体が好ましく用いられる。
【0070】
固体状チタン触媒成分(A)は、上記したようなマグネシウム化合物(a) 、チタン化合物(b) 、および電子供与体(c) を接触させることにより調製することができ、公知の方法を含むあらゆる方法により調製することができ、その調製方法は特に限定されないが、本発明では、液状状態のマグネシウム化合物(a) 、液状チタン化合物(b) および電子供与体(c) を接触させることが好ましい。
【0071】
これら化合物(a) 〜(c) を接触させて固体状チタン触媒成分を調製する際には、必要に応じて炭化水素を用いることができ、この炭化水素としてはマグネシウム化合物(a) を液状化する際に示したような炭化水素溶媒と同様なものが挙げられる。
【0072】
以下に固体状チタン触媒成分の具体的な調製方法を数例挙げて簡単に述べる。なお以下の方法において、有機アルミニウム化合物としては、有機アルミニウム化合物(B)として後述するようなものが用いられる。
【0073】
(1) マグネシウム化合物、電子供与体(d) および炭化水素溶媒からなる液状状態のマグネシウム化合物(a) を、有機アルミニウム化合物と接触させて固体を析出させた後、または析出させながらチタン化合物(b) と接触させる。
【0074】
この過程において、電子供与体(c) を少なくとも1回接触生成物と接触させる。
(2) 無機担体と有機マグネシウム化合物(a) との接触物に、チタン化合物(b) および電子供与体(c) を接触させる。
【0075】
この際、予め無機担体と有機マグネシウム化合物(a) との接触物をハロゲン含有化合物および/または有機アルミニウム化合物と接触させてもよい。
(3) マグネシウム化合物、電子供与体(d) 、場合によってはさらに炭化水素溶媒とからなる液状状態のマグネシウム化合物(a) と、無機担体または有機担体との混合物から、マグネシウム化合物の担持された無機または有機担体を調製し、次いでこれにチタン化合物(b) を接触させる。
【0076】
この過程において、電子供与体(c) を少なくとも1回接触生成物と接触させる。
(4) マグネシウム化合物(a) 、チタン化合物(b) 、電子供与体(d) 、場合によってはさらに炭化水素溶媒を含む溶液と、無機担体または有機担体と、電子供与体(c) とを接触させる。
【0077】
(5) 液状状態の有機マグネシウム化合物(a) を、ハロゲン含有チタン化合物(b) および電子供与体(c) と接触させる。
(6) 液状状態の有機マグネシウム化合物(a) をハロゲン含有化合物と接触させた後、チタン化合物(b) を接触させる。
【0078】
この過程において、電子供与体(c) を少なくとも1回用いる。
(7) ハロゲン含有マグネシウム化合物(a) を固体状で、チタン化合物(b) および電子供与体(c) と接触させる。
【0079】
(8) アルコキシ基含有マグネシウム化合物(a) を、ハロゲン含有チタン化合物(b) および電子供与体(c) と接触させる。
(9) アルコキシ基含有マグネシウム化合物と電子供与体(d) とからなる液状状態のマグネシウム化合物(a) を、チタン化合物(b) 、電子供与体(c) と接触させる。
【0080】
(10)アルコキシ基含有マグネシウム化合物と電子供与体(d) とからなる液状状態のマグネシウム化合物(a) を有機アルミニウム化合物と接触させた後、チタン化合物(b) と接触させる。
【0081】
この過程において、電子供与体(c) を少なくとも1回接触生成物と接触させる。
(11)還元能を有さない液状のマグネシウム化合物(a) とチタン化合物(b) とを、電子供与体(c) の存在下または非存在下で接触させる。
【0082】
この過程において、電子供与体(c) を少なくとも1回接触生成物と接触させる。
(12) (1)〜(11)で得られた反応生成物に、さらにチタン化合物(b) を接触させる。
【0083】
(13) (1)〜(12)で得られた反応生成物に、さらに電子供与体(c) およびチタン化合物(b) を接触させる。
上記のような各成分の接触は、通常−70℃〜200℃好ましくは−50℃〜150℃さらに好ましくは−30〜130℃の温度で行われる。
【0084】
固体状チタン触媒成分を調製する際に用いられる各成分の量は調製方法によって異なり一概に規定できないが、たとえばマグネシウム化合物1モル当り、電子供与体(c) は0.01〜10モル好ましくは0.1〜5モルの量で、液状状態のチタン化合物(b) は0.01〜1000モル好ましくは0.1〜200モルの量で用いることができる。
【0085】
本発明では、このようにして得られた固体状チタン触媒成分を0〜150℃の炭化水素溶媒で洗浄することが好ましい。
この炭化水素溶媒としては、前記にマグネシウム化合物を液状化する際に示したような炭化水素溶媒(a-5) を用いることができ、これらのうち、脂肪族炭化水素溶媒またはハロゲンを含まない芳香族炭化水素溶媒が好ましく用いられる。
【0086】
固体状チタン触媒成分の洗浄に際しては、炭化水素溶媒は、通常固形物1gに対して10〜500ml程度の量で用いることができる。
このようにして得られる固体状チタン触媒成分(A)は、マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体(c) を含有しており、
チタンを0.1〜10重量%好ましくは0.2〜7.0重量%の量で、
マグネシウムとハロゲンとを合計で95〜30重量%の量で、
電子供与体(c) を0.5〜30重量%の量で含有していることが望ましい。
【0087】
(B)有機アルミニウム化合物
本発明において、オレフィン重合用触媒を形成する際に用いられる有機アルミニウム化合物としては、たとえば下記式で示される。
【0088】
Ra n AlX3-n
(式中、Ra は炭素数1〜12の炭化水素基であり、Xはハロゲンまたは水素であり、nは1〜3である。)
Ra は、炭素数1〜12の炭化水素基たとえばアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であるが、具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基などである。
【0089】
このような有機アルミニウム化合物としては、具体的には、
トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリ2-エチルヘキシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニム、
イソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアルミニウム、
ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムブロミドなどのジアルキルアルミニウムハライド、
メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、イソプロピルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド、
メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、イソプロピルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライド、
ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウムハイドライドなどが挙げられる。
【0090】
また有機アルミニウム化合物として、下記式で示される化合物を挙げることもできる。
Ra n AlY3-n
上記式において、Ra は上記と同様であり、Yは−ORb 基、−OSiRc 3 基、−OAlRd 2 基、−NRe 2 基、−SiRf 3 基または−N(Rg )AlRh 2 基であり、nは1〜2であり、Rb 、Rc 、Rd およびRh はメチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基などであり、Re は水素、メチル基、エチル基、イソプロピル基、フェニル基、トリメチルシリル基などであり、Rf およびRg はメチル基、エチル基などである。
【0091】
このような有機アルミニウム化合物としては、具体的には、以下のような化合物が挙げられる。
(i) Ra n Al(ORb)3-n
ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムメトキシドなど、
(ii) Ra n Al(OSiRc)3-n
Et2Al(OSiMe3)、
(iso-Bu)2Al(OSiMe3)、
(iso-Bu)2Al(OSiEt3)など、
(iii) Ra n Al(OAlRd 2)3-n
Et2AlOAlEt2、
(iso-Bu )2AlOAl(iso-Bu)2 など、
(iv) Ra n Al(NRe 2)3-n
Me2AlNEt2、
Et2AlNHMe 、
Me2AlNHEt 、
Et2AlN(Me3Si)2 、
(iso-Bu)2AlN(Me3Si )2 など、
(v) Ra n Al(SiRf 3)3-n
(iso-Bu)2AlSiMe3など、
(vi) Ra n Al〔N(Rg )−AlRh 2 〕3-n
Et2AlN(Me)−AlEt2
(iso-Bu)2AlN(Et)Al(iso-Bu)2 など。
【0092】
さらにこれに類似した化合物、たとえば酸素原子、窒素原子を介して2以上のアルミニウムが結合した有機アルミニウム化合物を挙げることもできる。より具体的に、
(C2H5)2AlOAl(C2H5)2 、
(C4H9)2AlOAl(C4H9)2 、
(C2H5)2AlN(C2H5)Al(C2H5)2など、さらにメチルアルミノキサンなどのアルミノキサン類を挙げることができる。
【0093】
また有機アルミニウム化合物として、M1AlRj 4 (M1 はLi 、Na、Kであり、Rj は炭素数1〜15の炭化水素基である)で示される錯アルキル化合物を用いることもできる。具体的には、LiAl(C2H5)4 、LiAl(C7H15)4 などが挙げられる。
【0094】
上記のような有機アルミニウム化合物のうちでも、
Ra 3Al 、Ra n Al(ORb )3-n 、Ra n Al(OAlRd 2 )3-n で表わされる有機アルミニウム化合物が好ましく用いられる。
【0095】
有機アルミニウム化合物を2種以上併用することもできる。
オレフィン重合用触媒
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、
上記のような(A)固体状チタン触媒成分と、
(B)有機アルミニウム化合物と、
(C)前記式(1)で示される有機ケイ素化合物とから形成される。
【0096】
図1にこのようなオレフィン重合用触媒の調製工程を示す。
本発明では、上記のような触媒成分にオレフィン類を予備(共)重合させて予備重合触媒[I]を形成することもでき、具体的に
[I]上記の(A)固体状チタン触媒成分と、(B)有機アルミニウム化合物と、必要に応じて(D)電子供与体とからなるオレフィン重合用触媒に、オレフィンが予備重合された予備重合触媒と、
[II]上記有機ケイ素化合物(C)と、
[III]必要に応じて有機アルミニウム化合物(B)とからオレフィン重合用触媒を形成することもできる。
【0097】
予備重合時には電子供与体(D)を必要に応じて用いることができるが、この電子供与体(D)としては、具体的に上記の(C)有機ケイ素化合物を用いることができ、また他の電子供与体を用いることもできる。
【0098】
他の電子供与体としては、たとえば
前述したポリエーテル化合物、
2,6-置換ピペリジン類、2,5-置換ピペリジン類、
N,N,N',N'-テトラメチルメチレンジアミン、N,N,N',N'-テトラエチルメチレンジアミンなどの置換メチレンジアミン類、
1,3-ジベンジルイミダゾリジン、1,3-ジベンジル-2- フェニルイミダゾリジンなどの置換イミダゾリジン類などの含窒素電子供与体、
トリエチルホスファイト、トリn-プロピルホスファイト、トリイソプロピルホスファイト、トリn-ブチルホスファイト、トリイソブチルホスファイト、ジエチルn-ブチルホスファイト、ジエチルフェニルホスファイトなどの亜リン酸エステル類などリン含有電子供与体、
2,6-置換テトラヒドロピラン類、2,5-置換テトラヒドロピラン類などの含酸素電子供与体などを用いることもでき、
さらに他の電子供与体として上記(C)以外の有機ケイ素化合物を用いることもできる。他の有機ケイ素化合物としては、具体的には、
トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、t-ブチルメチルジメトキシシラン、t-ブチルメチルジエトキシシラン、t-アミルメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビスo-トリルジメトキシシラン、ビスm-トリルジメトキシシラン、ビスp-トリルジメトキシシラン、ビスp-トリルジエトキシシラン、ビスエチルフェニルジメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ-クロルプロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、n-ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、クロルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、トリメチルフェノキシシラン、メチルトリアリロキシ(allyloxy)シラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシシラン)、ビニルトリアセトキシシラン、ジメチルテトラエトキシジシロキサン、ケイ酸エチル、ケイ酸ブチルなどが挙げられる。
【0099】
また他の有機ケイ素化合物として、下記式(2)で示されるような嵩高い基を有する有機ケイ素化合物を挙げることもできる。
Ra nSi(ORb)4-n …(2)
(式中、nは1、2または3であり、nが1であるとき、Raは2級または3級の炭化水素基であり、nが2または3であるとき、Raの少なくとも1つは2級または3級の炭化水素基であり、Raは同じであっても異なっていてもよく、Rbは炭素数1〜4の炭化水素基であって、(4−n)が2または3であるとき、ORbは同じであっても異なっていてもよい。)
この式(2)で示されるような嵩高い基を有する有機ケイ素化合物において、2級または3級の炭化水素基としては、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、置換基を有するこれらの基およびSiに隣接する炭素が2級または3級である炭化水素基が挙げられる。
具体的に、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジ-t-ブチルジメトキシシラン、ジ(2-メチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、ジ(3-メチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、ジ-t-アミルジメトキシシランなどが挙げられる。
【0100】
これらを2種以上併用することもできる。
予備重合時に用いられるオレフィン類としては、たとえば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタデセン、1-エイコセンなどの炭素数2以上のα−オレフィンが挙げられる。また後述するような他のビニル化合物、ポリエン化合物を予備重合時に用いることもできる。これらは2種以上併用してもよい。
【0101】
予備重合で用いられるα−オレフィンは、後述する本重合で用いられるα−オレフィンと同一であっても、異なっていてもよい。
本発明では、予備重合を行う方法に特に制限はなく、たとえばオレフィン類、ポリエン化合物が液状となる状態で行うこともできるし、また不活性溶媒の共存下で行うこともでき、さらには気相条件下で行うことも可能である。このうち不活性溶媒の共存下、該不活性溶媒にオレフィン類および各触媒成分を加え、比較的温和な条件下で予備重合を行うことが好ましい。この際、生成した予備重合体が重合媒体に溶解する条件下に行なってもよいし、溶解しない条件下に行なってもよいが、溶解しない条件下に行うことが好ましい。
【0102】
予備重合は、通常約−20〜+100℃好ましくは約−20〜+80℃さらに好ましくは−10〜+40℃で行なうことが望ましい。
また予備重合は、バッチ式、半連続式、連続式のいずれにおいても行うことができる。
【0103】
予備重合では、本重合における系内の触媒濃度よりも高い濃度の触媒を用いることができる。
予備重合における触媒成分の濃度は、触媒成分の種類によっても異なるが、固体状チタン触媒成分(A)の濃度は、重合容積1リットル当り、チタン原子換算で、通常約0.001〜5000ミリモル好ましくは約0.01〜1000ミリモル特に好ましくは0.1〜500ミリモルであることが望ましい。
【0104】
有機アルミニウム化合物(B)は、固体状チタン触媒成分中のチタン1モル当り、通常約0.1〜1000モル好ましくは約0. 5〜500モル特に好ましくは1〜100モルの量で用いることができる。
【0105】
また予備重合時には、電子供与体(D)を、固体状チタン触媒成分(A)中のチタン原子1モル当り通常0.01〜50モル好ましくは0.05〜30モルさらに好ましくは0.1〜10モルの量で必要に応じて用いることができる。
【0106】
予備重合時には、水素などの分子量調節剤を用いることもできる。
上記のような予備重合では、固体状チタン触媒成分(A)1g当り0.01〜2000g好ましくは0.03〜1000gさらに好ましくは0.05〜200gの予備(共)重合体を生成させることができる。
【0107】
予備重合触媒が懸濁状態で得られる場合には、次工程の(本)重合において、予備重合触媒は、懸濁状態のままで用いることもできるし、懸濁液から生成した予備重合触媒を分離して用いることもできる。
【0108】
なお本発明に係るオレフィン重合用触媒は、上記のような各成分以外にも、オレフィンの重合に有用な他の成分を含むことができる。
オレフィンの重合方法
本発明に係るオレフィンの重合方法では、上記のような(A)固体状チタン触媒成分、(B)有機アルミニウム化合物および(C)式(1)で示される環状アミノ基を有する有機ケイ素化合物からなるオレフィン重合用触媒、または[I]予備重合触媒、[II]式(1)で示される環状アミノ基を有する有機ケイ素化合物および必要に応じて[III]有機アルミニウム化合物(B)とからなるオレフィン重合用触媒の存在下に、オレフィンを重合または共重合させている。
【0109】
このようなオレフィン重合用触媒を用いてオレフィンを重合させると、分子量分布が広く成形性に優れたポリオレフィンを得ることができる。
本発明で重合させるオレフィンとしては、具体的に予備重合で示したような炭素数2以上のα−オレフィンを挙げることができる。
【0110】
さらにシクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5-エチル-2-ノルボルネン、テトラシクロドデセン、2-エチル-1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8,8a-オクタヒドロナフタレンなどのシクロオレフィン、
スチレン、ジメチルスチレン類、アリルナフタレン、アリルノルボルナン、ビニルナフタレン類、アリルトルエン類、アリルベンゼン、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサン、ビニルシクロヘプタン、アリルトリアルキルシラン類などのビニル化合物などを用いることもできる。
【0111】
これらのうちでも、エチレン、プロピレン、1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、ビニルシクロヘキサン、ジメチルスチレン、アリルトリメチルシラン、アリルナフタレンなどが好ましく用いられる。とくにプロピレンの(共)重合を行なうことが望ましい。
【0112】
また本発明では、本発明の効果を損なわない範囲であれば、オレフィンにジエン化合物を少量共重合させることもできる。
このようなジエン化合物としては、具体的に、1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,4-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、6-メチル-1,6-オクタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、6-エチル-1,6-オクタジエン、6-プロピル-1,6-オクタジエン、6-ブチル-1,6-オクタジエン、6-メチル-1,6-ノナジエン、7-メチル-1,6-ノナジエン、6-エチル-1,6-ノナジエン、7-エチル-1,6-ノナジエン、6-メチル-1,6-デカジエン、7-メチル-1,6-デカジエン、6-メチル-1,6-ウンデカジエン、1,7-オクタジエン、1,9-デカジエン、イソプレン、ブタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネンおよびジシクロペンタジエンなどが挙げられる。これらを2種以上併用することもできる。
【0113】
本発明では、重合は溶解重合、懸濁重合などの液相重合法あるいは気相重合法いずれにおいても実施することができる。
重合がスラリー重合の反応形態を採る場合、反応溶媒としては、前述の不活性有機溶媒を用いることもできるし、反応温度において液状のオレフィンを用いることもできる。
【0114】
重合に際しては、固体状チタン触媒成分(A)または予備重合触媒[I]は、重合容積1リットル当りチタン原子に換算して、通常は約0.001〜100ミリモル、好ましくは約0.005〜20ミリモルの量で用いることができる。
【0115】
有機アルミニウム化合物(B)(または[III])は、該化合物(B)中の金属原子が重合系中のチタン原子1モルに対し、通常約1〜2000モル好ましくは約2〜500モルとなるような量で用いることができる。
【0116】
なお予備重合触媒[I]を用いる場合には、有機アルミニウム化合物[III]は用いなくてもよい場合がある。
有機ケイ素化合物(C)(または[II])は、有機アルミニウム化合物(B)の金属原子1モルに対し、通常約0.001モル〜10モル好ましくは0.01モル〜5モルの量で用いることができる。
【0117】
重合時に水素を用いれば、得られる重合体の分子量を調節することができ、メルトフローレートの大きい重合体が得られる。
本発明に係るオレフィンの重合方法では、オレフィン種類、重合の形態などによっても異なるが、重合は、通常通常約20〜300℃好ましくは約50〜150℃の温度で、また常圧〜100kg/cm2 好ましくは約2〜50kg/cm2 の圧力下で行なわれる。
【0118】
本発明の重合方法においては、重合を、バッチ式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行なうことができる。さらに重合を、反応条件を変えて2段以上に分けて行うこともできる。
【0119】
本発明では、オレフィンの単独重合体を製造してもよく、また2種以上のオレフィンからランダム共重合体またはブロック共重合体などを製造してもよい。
上記のような本発明において、たとえばプロピレンを重合させた時には、分子量分布(Mw/Mn)が5以上、好ましくは5〜10のポリプロピレンを得ることができる。
【0120】
【発明の効果】
上記のような特定の有機ケイ素化合物を外部ドナーとして用いる本発明によれば分子量分布が広く、成形性に優れた高立体規則性ポリオレフィンを高重合活性で得ることができる。
【0121】
【実施例】
次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0122】
以下の実施例および比較例において得られたポリオレフィンの物性は、下記のように測定した。
n- デカン可溶成分
ポリオレフィンのn-デカン可溶成分量は、下記のように測定した。
【0123】
1リットルのフラスコに、3gの試料(ポリオレフィン)、20mgの2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、500mlのn-デカンを入れ、145℃で加熱して溶解させる。溶解後8時間かけて23℃まで冷却し、23℃で8時間維持する。析出した固体と、溶解した重合体を含むn-デカン溶液とをグラスフィルターで濾過分離する。液相を減圧下150℃で恒量になるまで乾燥し、その重量を測定する。得られた重合体溶解量を、試料の重量に対する百分率として算出し、ポリプロピレンの23℃デカン可溶成分量とする。
分子量分布
ポリオレフィンの重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)はGPCにより求めた。
【0124】
【実施例1】
[固体状チタン触媒成分の調製]
無水塩化マグネシウム20gとジオクチルフタレート11.88mL(0.03モル)とを窒素雰囲気中で直径15mmのステンレス(SUS−32)製ボール2.8kgを収容した内容積800mL、内直径100mmのステンレス(SUS−32)製ボールミル円筒内に装入し、8時間共粉砕を行い、活性化塩化マグネシウムを得た。
【0125】
該活性化塩化マグネシウム10gを充分に窒素置換した400mLガラス製4つ口フラスコに移し、四塩化チタン(TiCl4)150mLを加えてスラリーとし、攪拌下、80℃に昇温し、80℃で2時間保持した。
【0126】
次にあらかじめ80℃に加熱し、充分に窒素置換しておいたジャケット付フィルタで濾過して、固体部を分離し、該固体部を80℃の精製デカンで1回、室温のデカンで1回洗浄した後、上澄み液から遊離のチタンが検出されなくなるまで室温のヘキサンで洗浄することにより固体状チタン触媒成分を得た。
【0127】
上記のようにして得られた固体状チタン触媒成分をデカンスラリーとして保存した。
[重合]
内容積1リットルのガラス製重合器を、充分に窒素置換しておき、精製デカン500mLを装入した。
【0128】
液相部にプロピレンガスを50NL/hで供給し、気相部の上部より剰余のガスをパージすることにより反応器内を常圧に保った。
次にオイルバスによって反応器内を加熱し、70℃となったところで、トリエチルアルミニウム(TEA)3ミリモル、表1に[C]として示す有機ケイ素化合物0.3ミリモル、および上記で得られた固体状チタン触媒成分をチタン原子換算で0.05ミリモルを、この順序で装入し、70℃で15分間保持して重合反応を行った。
【0129】
次いで少量のイソブタノールを添加して重合を停止し、プロピレンガスを窒素ガスに切り換えて未反応のプロピレンガスをパージした後、反応で得られたデカンスラリー全量を、2mLの10%塩酸水溶液と4リットルのメタノールとの混合液中に加えて30分間攪拌した後、5時間静置した。
【0130】
次にガラスフィルタ(G3)で白色ポリマーを濾別し、該白色ポリマーを200mLのメタノールで3回洗浄した後、80℃で12時間減圧乾燥した。
結果を表1に示す。
【0131】
【比較例1】
[重合]
実施例1において、[C]有機ケイ素化合物を表1に示す化合物に代えた以外は、実施例1と同様にしてプロピレンの重合を行なった。結果を表1に示す。
【0132】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るオレフィン重合用触媒の調製工程例を示す説明図である。
Claims (9)
- 前記式(1)で示される有機ケイ素化合物において、
式中、R1が炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の分岐状または
環状飽和炭化水素基または炭素数6〜20の芳香族炭化水素基であることを特徴とする請求項1に記載のオレフィン重合用触媒成分。 - 前記式(1)で示される有機ケイ素化合物において、
式中、R2が炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の分岐状または
環状飽和炭化水素基または炭素数6〜20の芳香族炭化水素基であることを特徴とする請求項1または2に記載のオレフィン重合用触媒成分。 - [I](A)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を含有する固体状チタン
触媒成分と、
(B)有機アルミニウム化合物と、
必要に応じて(D)電子供与体と
からなるオレフィン重合用触媒にオレフィンが予備重合された予備重合触媒と、
[II]下記式(1)で示される有機ケイ素化合物と、
Q2は窒素原子であって、
Q1とQ2とはアルキレン基を介して連結されており、
R1およびR2は、水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基であり、同一であ
っても異なっていてもよく、
R3およびR4は炭素数1〜10の炭化水素基であり、同一であっても異なってい
てもよい。〕。
[III]必要に応じて有機アルミニウム化合物とからなることを特徴とするオレフィン重
合用触媒。 - 前記式(1)で示される有機ケイ素化合物において、
式中、R1が炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の分岐状または環状飽和炭化水素基または炭素数6〜20の芳香族炭化水素基であることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載のオレフィン重合触媒。 - 前記式(1)で示される有機ケイ素化合物において、
式中、R2が炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の分岐状または環状飽和炭化水素基または炭素数6〜20の芳香族炭化水素基であることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載のオレフィン重合触媒。 - 請求項4〜8のいずれかに記載のオレフィン重合用触媒の存在下に、オレフィンを重合または共重合させることを特徴とするオレフィンの重合方法。
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