JP2006176673A - ゴム組成物、その製造方法及びタイヤ - Google Patents

ゴム組成物、その製造方法及びタイヤ Download PDF

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Abstract

【課題】カーボンブラックの分散性が向上し、低発熱性、破壊特性、耐摩耗性などに優れるタイヤを与えることができるゴム組成物、その製造方法及び該ゴム組成物を用いたタイヤを提供する。
【解決手段】
(A)プロトン性アミン構造を有する変性重合体を含むゴム成分と、(B)酸化剤を含むゴム組成物、(A)成分における変性重合体と(B)成分を混合するステージを有する前記ゴム組成物の製造方法、及び前記ゴム組成物を用いてなるタイヤである。

Description

本発明は、ゴム組成物、その製造方法及びタイヤに関する。さらに詳しくは、本発明は、ゴム成分とカーボンブラックとの相互作用に優れ、カーボンブラックの分散性を改善することができ、低発熱性、破壊特性、耐摩耗性などに優れるタイヤを与えることができるゴム組成物、このものを効率よく製造する方法、及び該組成物を用いてなる、上記特性を有するタイヤに関するものである。
近年、省エネルギーの社会的な要請及び環境問題への関心の高まりに伴う世界的な二酸化炭素排出規制の動きに関連して、自動車の低燃費化に対する要求はより過酷なものとなりつつある。このような要求に対応するため、タイヤ性能についても転がり抵抗の減少が求められてきている。タイヤの転がり抵抗を下げる手法としては、タイヤ構造の最適化による手法についても検討されてきたものの、ゴム組成物としてより発熱性の低い材料を用いることが最も一般的な手法として行われている。
このような発熱性の低いゴム組成物を得るために、これまで、ゴム組成物に使用する充填材の分散性を高める技術開発が数多くなされてきた。その中でも特に、有機リチウム化合物を用いたアニオン重合で得られるジエン系重合体の重合活性末端を充填材と相互作用を持つ官能基にて修飾する方法が、最も一般的になりつつある。
このような方法としては、例えば充填材にカーボンブラックを用い、重合活性末端をスズ化合物にて修飾する方法(例えば、特許文献1参照)、同様にカーボンブラックを用い、重合活性末端にアミノ基を導入する方法(例えば、特許文献2参照)などが開示されている。これらの方法は、カーボンブラックの分散性を向上させることができるが、さらなる分散性の向上が望まれている。
一方、アルキルリチウム又はリチウムアミドを重合開始剤とするアニオン重合により得られた重合体の活性末端にジアルキルアミノ基を有するアルコキシシランを導入した変性重合体が開示されている(例えば、特許文献3及び4参照)。しかしながら、この変性重合体を用いる場合、アミノ基がカーボンブラックに対する効果が少ないジアルキル基置換型であるために、特にカーボンブラックの多い配合系に対しては、スズ系変性剤を使用して得られた変性重合体を用いる場合と比較すると、充分な効果が得られない。
また、変性剤としてヒドロカルビルオキシシラン化合物を用いた変性重合体と、スズ系エステル化合物を含むゴム組成物が開示されている(例えば、特許文献5参照)。しかしながら、このゴム組成物においては、シリカ系充填材に対する低ロス効果の向上は大きいものの、カーボンブラック充填材に対する低ロス効果は十分とはいえない。
特公平5−87530号公報 特開昭62−207342号公報 特公平6−53763号公報 特公平6−57767号公報 WO03/087171号パンフレット
本発明は、このような状況下で、ゴム成分とカーボンブラックとの相互作用に優れ、カーボンブラックの分散性を改善することができ、低発熱性、破壊特性、耐摩耗性などに優れるタイヤを与えることができるゴム組成物、このものを効率よく製造する方法、及び該組成物を用いてなる、上記特性を有するタイヤを提供することを目的とするものである。
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、特定のアミン構造を有する変性重合体と酸化銀などの穏やかな酸化剤を含むゴム組成物が、ゴム成分とカーボンブラックとの相互作用に優れ、低発熱性、破壊特性、耐摩耗性などに優れるタイヤを与えることを見出した。
また、前記ゴム組成物は、特定の配合方法を用いることにより、特に低ロス性能に優れるものが得られることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)(A)プロトン性アミン構造を有する変性重合体を含むゴム成分と、(B)酸化剤を含むことを特徴とするゴム組成物、
(2)(B)成分の酸化剤が金属酸化物である上記(1)に記載のゴム組成物、
(3)金属酸化物が、酸化銅(Cu2O)及び/又は酸化銀(Ag2O)である上記(2)に記載のゴム組成物、
(4)(A)成分における変性重合体が、
(a)一般式 (I)
1−A1−Y1 (I)
(式中、X1は重合体の活性部位と反応して結合を生成する官能基をもつ一価の有機基、Y1は窒素に結合する水素を活性プロトンとするプロトン性アミン官能基をもつ一価の有機基、A1は炭素数1〜20の二価の炭化水素基を示す。)
で表されるプロトン性アミン官能基含有化合物を、有機アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物と反応させて、前記プロトン性アミン官能基含有化合物におけるプロトン性アミン官能基中の活性プロトンをアルカリ金属化又はアルカリ土類金属化して変性剤を得る工程、
(b)前記変性剤を、活性部位を有する重合体の該活性部位と反応させて、重合体の中間変性体を得る工程、及び
(c)前記重合体の中間変性体の金属化部位から、金属を離脱して活性プロトンを再生させる工程、
を含む製造方法により得られたものである上記(1)〜(3)のいずれかに記載のゴム組成物、
(5)(A)成分における変性重合体が、
(a)一般式 (I)
1−A1−Y1 (I)
(式中、X1は重合体の活性部位と反応して結合を生成する官能基をもつ一価の有機基、Y1は窒素に結合する水素を活性プロトンとするプロトン性アミン官能基をもつ一価の有機基、A1は炭素数1〜20の二価の炭化水素基を示す。)
で表されるプロトン性アミン官能基含有化合物を、アルキルシリルハライドと反応させて変性剤を得る工程、
(e)前記変性剤を、活性部位を有する重合体の活性部位と反応させて、重合体の中間変性体を得る工程、及び
(f)前記重合体の中間変性体のアルキルシリル化部位から、アルキルシリル基を離脱して活性プロトンを再生させる工程、
を含む製造方法により得られたものである上記(1)〜(3)のいずれかに記載のゴム組成物、
(6)(A)ゴム成分が、変性重合体10質量%以上を含み、該(A)成分100質量部当たり、(B)酸化剤0.05質量部以上5質量部未満を含む上記(1)〜(5)のいずれかに記載のゴム組成物、
(7)さらに、(A)成分100質量部当たり、(C)カーボンブラック10質量部以上を含む上記(1)〜(6)のいずれかに記載のゴム組成物、
(8)硫黄架橋性である上記(1)〜(7)のいずれかに記載のゴム組成物、
(9)(A)成分における変性重合体と(B)成分を混合するステージを有することを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法、
(10)(A)成分における変性重合体と(B)成分との混合物に、他の配合剤及び/又はゴムを混合する上記(9)に記載のゴム組成物の製造方法、
(11)(A)成分における変性重合体と(B)成分との混合物とカーボンブラックを、又は(A)成分における変性重合体と(B)成分とカーボンブラックを混合した後に、老化防止剤を混合する上記(9)に記載のゴム組成物の製造方法、
(12)老化防止剤と加硫剤を同一ステージで混合する上記(9)〜(11)のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法、及び
(13)上記(1)〜(8)のいずれかに記載のゴム組成物を用いたことを特徴とするタイヤ、
を提供するものである。
本発明によれば、特定のアミン構造を有する変性重合体と酸化銀などの穏やかな酸化剤を組み合わせることにより、ゴム成分とカーボンブラックとの相互作用に優れ、カーボンブラックの分散性を改善することができ、低発熱性、破壊特性、耐摩耗性などに優れるタイヤを与えることができるゴム組成物、このものを効率よく製造する方法、及び該組成物を用いてなる、上記特性を有するタイヤを提供することができる。
本発明のゴム組成物は、(A)プロトン性アミン構造を有する変性重合体を含むゴム成分と、(B)酸化剤を含む組成物である。
前記(A)ゴム成分におけるプロトン性アミン構造を有する変性重合体としては、以下に示す第1の変性剤を用いて得られた変性重合体Iと第2の変性剤を用いて得られた変性重合体IIを挙げることができる。
第1の変性剤は、(a)工程により、下記の一般式(I)で表されるプロトン性アミン官能基含有化合物を、有機アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物と反応させて得られる。また、第2の変性剤は(d)工程により、下記の一般式(I)で表されるプロトン性アミン官能基含有化合物を、アルキルシリルハライドと反応させて得られる。
ここで、第一の変性剤は、後述のジエン系重合体の重合に用いられる重開始剤としてリチウム化合物同種の物を使用することができる。この反応生成物は特に後処理を行なうことなく次の(b)工程に用いることができる利点がある。また、第2の変性剤は、第1の変性剤より経時安定性に優れるので分解しにくく適切な精製工程を経ることで、高純度の目的物を得ることができる利点がある。
上記変性剤の原料となるプロトン性アミン官能基含有化合物としては、プロトン性アミン官能基を有するとともに、有機金属型の活性部位を有する重合体の該活性部位と反応して結合を生成する官能基を有することが必要であることから、一般式 (I)
1−A1−Y1 ・・・・(I)
(式中、X1は重合体の活性部位と反応して結合を生成する官能基をもつ一価の有機基、Y1は窒素に結合する水素を活性プロトンとするプロトン性アミン官能基をもつ一価の有機基、A1は炭素数1〜20の二価の炭化水素基を示す。)
で表されるプロトン性アミン官能基含有化合物が用いられる。
このプロトン性アミン官能基含有化合物を有機アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物と反応させることにより、第1の変性剤が得られ、プロトン性アミン官能基含有化合物を、アルキルシリルハライドと反応させることにより第2の変性剤を得ることができる。第2の変性剤の製造に用いられるアルキルシリルハライドとしては、例えばトリメチルシリルクロライドが特に好ましい。
前記一般式(I)において、Y1で表される一価の有機基が有する窒素に結合する水素を活性プロトンとするプロトン性アミン官能基としては、具体的には第1級アミン及びそのオニウム塩、第2級アミン及びそのオニウム塩、第1アミド、第2アミド、アセチルアミド、イミノ、カルバモイル、ウレイドなどが挙げられる。
また、A1で示される炭素数1〜20二価の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜20のアルキレン基、炭素数2〜20のアルケニレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、炭素数7〜20アラルキレン基などが挙げられるが、これらの中で、炭素数1〜20のアルキレン基、特に炭素数1〜10アルキレン基が好ましい。このアルキレン基は直鎖状、枝分かれ状、環状のいずれであってもよいが、特に直鎖状のものが好適である。この直鎖状のアルキレン基の例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基などが挙げられる。
さらに、前記一般式(I)中のX1は、重合体の活性部位と反応して結合を生成する官能基を有する一価の有機基であれば特に限定はされないが、重合体の活性部位と反応して結合を生成する官能基としては、例えばハロゲン原子、カルボニル基、チオカルボニル基、エポキシ基、チオエポキシ基、ヒドロカルビルオキシシリル基、スルホニルオキシ基などが挙げられる。X1としては、好ましくは一般式(II)
Figure 2006176673
(式中、R1及びR2は、それぞれ炭素数1〜18の一価の炭化水素基、nは1〜3の整数を示し、R1Oが複数ある場合、各R1Oはたがいに同一でも異なっていてもよく、R2が復数ある場合、各R2はたがいに同一でも異なっていてもよい。)
で表されるヒドロカルビルオキシシリル基である。
前記一般式(II)において、R1、R2で示される炭素数1〜18の一価の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜18のアルキル基、炭素数2〜18のアルケニル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数7〜18のアラルキル基などを挙げることができる。ここで、上記アルキル基及びアルケニル基は直鎖状、枝分かれ状、環状のいずれであってもよく、その例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ビニル基、プロペニル基、アリル基、ヘキセニル基、オクテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基などが挙げられる。
また、該アリール基は、芳香環上に低級アルキル基などの置換基を有していてもよく、その例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などが挙げられる。さらに該アラルキル基は、芳香環上に低級アルキル基などの置換基を有していてもよく、その例としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基などが挙げられる。
前記一般式(I)表されるプロトン性アミン官能基含有化合物の例としては、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)アセトアミド及びこのトリエトキシシリル化合物に対応するトリメトキシシリル化合物、メチルジエトキシシリル化合物、エチルジエトキシシリル化合物、メチルジメトキシシリル化合物、エチルジメトキシシリル化合物などが好ましく挙げられるが、これらの中で特に、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)アセトアミドが好適である。
さらに、プロトン性アミノ官能基含有化合物の他の例として、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニルアミノプロピルトリエトキシシラン、nブチチルアミノプロピルメトキシシラン、nブチルアミノプロピルトリエトキシシラン、3−(N−アミノプロピル)トリメトキシシラン、N−しくろへキシルアミノプロピルトリエトキシシラン、3−ピペラジノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。
また、本発明において、前記のプロトン性アミン官能基含有化合物との反応に用いられる有機金属化合物又は有機土類金属化合物としては、有機リチウム化合物が好ましく、この有機リチウム化合物としては、後述のジエン系重合体の重合に用いられる重合開始剤としてのリチウム化合物と同種のものを使用することができる。
本発明において、(A)ゴム成分における変性重合体I及び変性重合体IIは、それぞれ前記のようにして得られた第1の変性剤及び第2の変性剤を用い、(b)及び(f)前記変性剤を、活性部位を有する重合体の該活性部位と反応させて、重合体の中間変性体を得る工程と(c)及び(g)前記重合体の中間変性体の金属化部位から、金属を離脱して活性プロトンを再生する工程を順次施すことにより、製造することができる。
前記(b)及び(f)工程において、重合体の活性部位は、それぞれ第1の変性剤及び第2の変性剤におけるアルカリ金属化又はアルカリ土類金属化されたプロトン性アミン官能基とは反応せず、前記一般式(I)中のX1基と反応して重合体の中間変性体を生成する。
前記の活性部位を分子中に有する重合体の製造方法については特に制限はなく、溶液重合法、気相重合法、パルク重合法のいずれも用いることができるが、特に溶液重合法が好ましい。また、重合形式は、回分式及び連続式のいずれであってもよい。また、前記活性部位の金属はアルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる1種であることが好ましく、特にリチウム金属が好ましい。
上記溶液重合法においては、例えばリチウム化合物を重合開始剤とし、ジエン化合物単独又はジエン化合物と芳香族ビニル化合物アニオン重合させることにより、目的の重合体を製造することができる。なお、前記活性部位は重合体の分子中に存在すればよく、特に限定はされないが、重合体がアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を重合開始剤としたアニオン重合によるものである場合には、一般的に前記活性部位は重合体の末端に結合する。
上記ジエン化合物としては、共役ジエン化合物が好ましく、例えば1,3−ブタジエン:イソプレン;1,3−ペンタジエン;2,3−ジメチルブタジエン;2−フェニル−1,3−ブタジエン;1,3−ヘキサジエンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよいが、これらの中で、1,3−ブタジエン、イソプレンが特に好ましい。
また、これらの共役ジエン化合物との共重合に用いられる芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン;α−メチルスチレン;1−ビニルナフタレン;3−ビニルトルエン;エチルビニルベンゼン;ジビニルベンゼン;4−シクロヘキシルスチレン;2,4,6−トリメチルスチレンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせても用いてもよいが、これらの中で、スチレンが特に好ましい。
さらに、単量体として共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を用いて共重合を行う場合、それぞれ1,3−ブタジエン及びスチレンの使用が、単量体の入手の容易さなどの実用性の面、及びアニオン重合特性がリビング性などの点で優れることなどから、特に好適である。
また、溶液重合法を用いた場合には、溶媒中の単量体濃度は、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%である。尚、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を用いて共重合を行う場合、仕込み単量体混合物中の芳香族ビニル化合物の含量は好ましくは3〜50質量%、さらには5〜45質量%の範囲が好ましい。
アニオン重合においては、重合開始剤としてリチウム化合物が好ましい。
重合開始剤のリチウム化合物としては、特に制限はないが、ヒドロカルビルリチウム及びリチウムアミド化合物が好ましく用いられ、前者のヒドロカルビルリチウムを用いる場合には、重合開始末端にヒドロカルビル基を有し、かつ他方の末端が重合活性部位である共役ジエン系重合体が得られる。また、後者のリチウムアミド化合物を用いる場合には、重合開始末端に窒素含有基を有し、他方の末端が重合活性部位である共役ジエン系重合体が得られる。
上記ヒドロカルビルリチウムとしては、炭素数2〜20のヒドロカルビル基を有するものが好ましく、例えばエチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、フェニルリチウム、2−ナフチルリチウム、2−ブチルーフェニルリチウム、4−フェニル−ブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、シクロペンチルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムとの反応生成物などが挙げられるが、これらの中で、n−ブチルリチウムが好ましい。
一方、リチウムアミド化合物としては、例えばリチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、リチウムヘプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミド、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジブチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジヘプチルアミド、リチウムジヘキシルアミド、リチウムジオクチルアミド、リチウムジ−2−エチルヘキシルアミド、リチウムジデシルアミド、リチウム−N−メチルピペラジド、リチウムエチルプロピルアミド、リチウムエチルブチルアミド、リチウムメチルブチルアミド、リチウムエチルベンジルアミド、リチウムメチルフェネチルアミドなどが挙げられる。これらの中で、カーボンブラックに対する相互作用効果及び重合開始能などの点から、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、リチウムヘプタメチレンイミド、リチウムドデカメチレンイミドなどの環状リチウムアミドが好ましく、特にリチウムヘキサメチレンイミド及びリチウムピロリジドが好適である。
これらのリチウムアミド化合物は、一般に、二級アミンとリチウム化合物とから、予め調製したものを重合に使用することが多いが、重合系中(in−situ)で調製することもできる。また、この重合開始剤の使用量は、好ましくは単量体100g当たり、0.2〜20ミリモルの範囲で選定される。
前記リチウム化合物を重合開始剤として用い、アニオン重合によって共役ジエン系重合体を製造する方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができる。
具体的には、反応に不活性な有機溶剤、例えば脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素化合物などの炭化水素系溶剤中において、共役ジエン化合物又は共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物を、前記リチウム化合物を重合開始剤として、所望により、用いられるランダマイザーの存在化にアニオン重合させることにより、目的の共役ジエン系重合体が得られる。
前記炭化水素系溶剤としては、炭素数3〜8のものが好ましく、例えばプロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、1−ブテン、イソブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどを挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
また、所望により用いられるランダマイザーとは、共役ジエン重合体のミクロ構造の制御、例えばブタジエン−スチレン共重合体におけるブタジエン部分の1、2結合、イソプレン重合体における3、4結合の増加など、あるいは共役ジエン化合物−芳香族ビニル化合物共重合体における単量体単位の組成分布の制御、例えばブタジエン−スチレン共重合体におけるブタジエン単位、スチレン単位のランダム化などの作用を有する化合物のことである。このランダマイザーとしては、特に制限はなく、従来ランダマイザーとして一般に使用されている公知の化合物の中から任意のものを適宜選択して用いることができる。具体的には、ジメトキシベンゼン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ビステトラヒドロフリルプロパン、トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン、1,2−ジピペリジノエタンなどのエーテル類及び第三級アミン類などを挙げることができる。また、カリウム−t−アミレート、カリウム−t−ブトキシドなどのカリウム塩類、ナトリウム−t−アミレートなどのナトリウム塩類も用いることができる。
これらのランダマイザーは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その使用量は、リチウム化合物1モル当たり、好ましくは0.01〜1000モル当量の範囲で選択される。
この重合反応における温度は、好ましくは0〜150℃、より好ましくは20〜130℃の範囲で選定される。重合反応は、発生圧力下で行うことができるが、通常は単量体を実質的に液相に保つに十分な圧力で操作することが望ましい。すなわち、圧力は重合される個々の物質や、用いる重合媒体及び重合温度にもよるが、所望ならばより高い圧力を用いることができ、このような圧力は重合反応に関して不活性なガスで反応器を加圧する等の適当な方法で得られる。
この重合においては、重合開始剤、溶媒、単量体など、重合に関与する全ての原材料は、水、酸素、二酸化炭素、プロトン性化合物などの反応阻害物質を除去したものを用いることが望ましい。
尚、エラストマーとして重合体を得る場合は、得られる重合体又は共重合体の、示差熱分析法により求めたガラス転移点(Tg)が−110℃〜−15℃であることが好ましい。ガラス転移点が−110℃未満の重合体を得るのは困難であり、また−15℃を超える場合には室温領域で粘度が高くなりすぎ、取り扱いが困難となる場合がある。
本発明における前記変性剤は、得られた有機金属型の活性部位を分子中に有する重合体に対して、好ましくは該活性部位に対する化学量論的量又はそれより過剰を加えて反応させる。
このようにして得られた中間変性重合体は、最終工程において、該中間変性重合体の金属化部位から金属を離脱し活性プロトンを再生する必要がある。このような活性プロトンの再生は、例えばアルコールや水と処理することで容易に行うことができ、通常の脱溶媒、乾燥過程におけるスチームストリッピング工程で同時に、中間変性重合体において活性プロトンを再生することができる。
本発明のおいては、上記の方法により変性重合体を製造することができるが、下記に、変性剤としてN−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン(MAPMOS)を用いた場合を例にとり、本発明で用いる変性重合体の製造方法における反応機構を説明する。
Figure 2006176673
Figure 2006176673
上記において、まずMAPMOSに、ブチルリチウム(BuL.)を作用させると、MAPMOS中アミノ基の活性プロトンは、Buアニオンに引き抜かれてMAPMOSのリチウム塩(A')となり、次に、該リチウム塩(A')を重合体の活性末端(M+は活性金属)と反応させた後で水などと作用させることにより活性プロトンを有するアミノ基が再生する。本発明で用いる変性重合体はこの様な反応機構により得られる。
本発明においては、この変性反応時に、所望により、公知の老化防止剤や重合反応を停止する目的でショートストップ剤を、重合体の活性部位に変性剤の化合物残基を導入した後の工程において添加することができる。
このようにして変性処理したのち、脱溶媒などの従来公知の後処理を行い、変性重合体を得ることができる。この変性重合体の重合鎖活性部位変性基の分析は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)や核磁気共鳴分光(NMR)を用いて行うことができる。
また、該変性重合体のムーニー粘度(ML1-4、100℃)は好ましくは10〜150、より好ましくは15〜80である。ムーニー粘度が10未満の場合は破壊特性を始めとするゴム物性が十分に得られず、150をこえる場合は作業性が悪く配合剤とともに混練りすることが困難である。
本発明において、このようにして得られた変性重合体は末端に活性プロトンを有しているので、これにカーボンブラックを配合した場合には、カーボンブラック表面の官能基との水素結合により、その分散性と補強性を大幅に向上させることができる。また、変性剤が、例えば前記一般式 (II)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物残基を併有する場合には、同時にシリカとの親和性も大きい。
本発明のゴム組成物においては、(A)ゴム成分が前記のようにして得られるプロトン性アミン構造を有する変性重合体10質量%以上を含み、該(A)成分100質量部当たり、(B)酸化剤0.05質量部以上5質量部未満を含むものが好ましい。
(A)ゴム成分中の変性重合体の含有量が10質量%以上であればカーボンブラックに対し、良好な相互作用が発揮される。全ゴム成分中の変性重合体の含有量は、好ましくは30〜100質量%、より好ましくは40〜100質量%である。
この変性重合体は一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、この変性重合体と併用されるゴム成分としては、天然ゴム及びジエン系合成ゴムが挙げられ、ジエン系合成ゴムとしては、例えばスチレン−ブタジエン共重合体(SBR),ポリブタジエン(BR),ポリイソプレン(IR),ブチルゴム(IIR),エチレン−プロピレン共重合体及びこれらの混合物等が挙げられる。また、その一部が多官能型変性剤、例えば四塩化スズのような変性剤を用いることによりその分岐構造を有しているものでもよい。
また、(B)成分の酸化剤としては、酸化銅(Cu2O)及び/又は酸化銀(Ag2O)を好ましく用いることができる。この酸化剤は、前記変性重合体のカーボンブラックに対する相互作用をさらに向上させる効果を有している。この効果の点から特に酸化銀が好適である。
前記(B)成分の酸化剤の含有量が0.05質量%以上であれば、前記効果が良好に発揮される。一方5質量%未満であれば、ゴム組成物の他の物性にあまり悪影響を及ぼすことがなく、経済的にも有利である。該酸化剤のより好ましい含有量は0.1〜3.5質量部である。
本発明のゴム組成物においては、さらに、前記の(A)ゴム成分100質量部当たり、補強用充填材として、(C)カーボンブラック10質量部以上を含むことができる。カーボンブラックとしては特に制限はなく、従来ゴムの補強用充填材として慣用されているものの中から任意のものを選択して用いることができる。このカーボンブラックとしては、例えばFEF,SRF,HAF,ISAF,SAF等が挙げられる。好ましくはヨウ素吸着量(IA)が60mg/g以上で、かつ、ジブチルフタレート吸油量(DBP)が80ミリリットル/100g以上のカーボンブラックである。このカーボンブラックを用いることにより、諸物性の改良効果は大きくなるが、特に、耐摩耗性に優れるHAF,ISAF,SAFが好ましい。
このカーボンブラックの含有量が、(A)ゴム成分100質量部当たり、10質量部以上であれば、補強性や他の物性の改良効果が充分に発揮される。また、加工性などを考慮すると、その含有量は100質量部以下が好ましい。補強性や他の物性及び加工性などを考慮すると、カーボンブラックの含有量は、20〜60質量部の範囲が特に好ましい。
本発明のゴム組成物においては、本発明の効果が損なわれない範囲で、所望により、補強用充填材として、前記カーボンブラックの一部をシリカなどに置き換えることができる。
該シリカとしては特に制限はなく、従来ゴムの補強用充填材として慣用されているものの中から任意に選択して用いることができる。
このシリカとしては、例えば湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられるが、中でも破壊特性の改良効果並びにウェットグリップ性の両立効果が最も顕著である湿式シリカが好ましい。
本発明のゴム組成物においては、補強用充填材としてシリカを用いる場合、その補強性をさらに向上させる目的で、シランカップリッグ剤を配合することができる。このシランカップリング剤としては、例えばビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N、N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピル−N、N−ジメチルチオカルバモイルチトラスルフィド、2−トリエトキシシリルエチル−N、N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル−N、N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィドなどが挙げられるが、これらの中で補強性改善効果などの点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド及び3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィドが好適である。これらのシランカップリング剤は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のゴム組成物においては、好ましいシランカップリング剤の配合量は、シランカップリング剤の種類などにより異なるが、シリカに対して、好ましくは1〜20質量%の範囲で選定される。この量が上記範囲にあれば、カップリング剤としての効果が十分に発揮されると共に、ゴム成分のゲル化が起こりにくい。カップリング剤としての効果及びゲル化防止などの点から、このシランカップリング剤の好ましい配合量は、5〜15質量%の範囲である。
本発明のゴム組成物には、本発明の目的が損なわれない範囲で、所望により、通常ゴム工業界で用いられる各種薬品、例えば加硫剤、加硫促進剤、プロセス油、老化防止剤、スコーチ防止剤、亜鉛華、ステアリン酸などを含有させることができる。
本発明のゴム組成物は、通常硫黄架橋性であり、加硫剤として硫黄などが好ましく用いられる。その使用量としては、ゴム成分100質量部に対し、硫黄分として、0.1〜10.0質量部が好ましく、さらに好ましくは1.0〜5.0質量部である。0.1質量部以上であると加硫ゴムは破壊強度、耐摩耗性、低発熱性が良好なものとなり、10.0質量部以下であるとゴム弾性も良好である。
本発明で使用できる加硫促進剤は、特に限定されるものではないが、例えば、M(2−メルカプトベンゾチアゾール)、DM(ジベンゾチアジルジスルフィド)、CZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)等のチアゾール系、あるいはDPG(ジフェニルグアニジン)等のグアニジン系の加硫促進剤等を挙げることができ、その使用量は、ゴム成分100質量部に対し、0.1〜5.0質量部が好ましく、さらに好ましくは0.2〜3.0質量部である。
また、本発明のゴム組成物で使用できるプロセス油としては、例えばパラフィン系、ナフテン系、アロマチック系等を挙げることができる。引張強度、耐摩耗性を重視する用途にはアロマチック系が、ヒステリシスロス、低温特性を重視する用途にはナフテン系又はパラフィン系が用いられる。その使用量は、ゴム成分100質量部に対して、0〜100質量部が好ましく、100質量部以下であれば加硫ゴムの引張強度、低発熱性が悪化するのを抑制することができる。
さらに、本発明のゴム組成物で使用できる老化防止剤としては、例えば3C(N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、6C[N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン]、AW(6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)、ジフェニルアミンとアセトンの高温縮合物などを挙げることができる。その使用量は、ゴム成分100質量部に対して、0.1〜5.0質量部が好ましく、さらに好ましくは0.3〜3.0質量部である。
本発明のゴム組成物の製造方法においては、カーボンブラックに対する相互作用を高め、カーボンブラックの分散性をより向上させるために、(A)ゴム成分における変性重合体と(B)成分の酸化剤を混合する配合ステージを有することを要す。
そして、該変性重合体と酸化剤との混合物に、他の配合剤及び/又は該変性重合体以外のゴムを混合することが好ましい。
また、該変性重合体と酸化剤との混合物とカーボンブラックを、又は該変性重合体と酸化剤とカーボンブラックを混合した後に、老化防止剤を混合することが好ましく、特に該老化防止剤と加硫剤を同一配合ステージで混合することが有利である。
具体的には、以下に示す配合処法(a)及び配合処法(b)を用いることができる。
配合処方(a)においては、まず、変性重合体と酸化剤を混合して素練りを行い、さらに必要により該変性重合体以外のゴムを混合する。次いで、第1配合ステージでカーボンブラック又はカーボンブラックとシリカなどの無機充填材、必要によりシランカップリング剤、プロセス油、ステアリン酸及び老化防止剤を混合し、次いで第2配合ステージで、さらに亜鉛華、加硫促進剤及び硫黄を混合する。
一方、配合処方(b)においては、まず変性重合体と酸化剤を混合して素練りを行い、さらに必要により該変性重合体以外のゴムを混合する。次いで、第1配合ステージでカーボンブラック又はカーボンブラックとシリカなどの無機充填材、必要によりシランカップリング剤、プロセス油及びステアリン酸を混合し、次いで第2配合ステージで、さらに老化防止剤、亜鉛華、加硫促進剤及び硫黄を混合する。
前記配合処方(a)及び配合処方(b)の中では、低ロス性能(低発熱性)の面から、配合処方(b)が好ましい。
本発明のゴム組成物は、前記配合処方により、ロール、インターナルミキサー等の混練り機を用いて混練りすることによって得られ、成形加工後、加硫を行い、タイヤトレッド、アンダートレッド、サイドウォール、カーカスコーティングゴム、ベルトコーティングゴム、ビードフィラー、チェーファー、ビードコーティングゴム等のタイヤ用途を始め、防振ゴム、ベルト、ホースその他の工業品等の用途にも用いることができるが、特にタイヤトレッド用ゴムとして好適に使用される。
本発明のタイヤは、本発明のゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、上記のように各種薬品を含有させた本発明のゴム組成物が未加硫の段階で各部材に加工され、タイヤ成形機上で通常の方法により貼り付け成形され、生タイヤが成形される。この生タイヤを加硫機中で加熱加圧して、タイヤが得られる。
このようにして得られた本発明のタイヤは、低燃費性が良好であると共に、特に破壊特性及び耐摩耗性に優れており、しかも該ゴム組成物の加工性が良好であるので、生産性にも優れている。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、重合体の物性は、下記の方法に従って測定した。
《重合体の物性》
重合体のピーク分子量の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[GPC;東ソー製HLC−8020、カラム;東ソー製GMH−XL(2本直列)]により行い、示差屈折率(RI)を用いて、単分散ポリスチレンを標準としてポリスチレン換算で行った。
重合体のムーニー粘度は東洋精機社製のRLM−01型テスターを用いて、100℃で測定した。
また、加硫ゴムの低発熱性を下記の方法で測定すると共に、ゴム組成物のムーニー粘度を下記のようにして測定した。
《加硫ゴムの低発熱性》
粘弾性測定装置(レオメトリックス社製)を使用し、温度50℃、歪み5%、周波数15Hzでtanδ(50℃)を測定した。tanδ(50℃)が小さいほど、低発熱性である。
《ゴム組成物のムーニー粘度》
JIS K6300−1994に準拠し、130℃にてムーニー粘度[ML1+4/130℃]を測定した。
また、重合に用いる原材料としては、特にことわりのない限り、乾燥精製したものを用いた。
製造例1 変性剤溶液の調製
乾燥し、窒素置換された300ミリリットルの耐圧ガラス容器に、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシラン(MAPMOS)の1モル/リットルシクロヘキサン溶液を調製し、MAPMOSに当量となるように、n−ブチルリチウム(BuLi)の3.65モル/リットルのシクロヘキサン溶液を滴下し、よく攪拌することにより、変性剤溶液を調製した。
製造例2 変性重合体Aの製造
乾燥し、窒素置換された800ミリリットルの耐圧ガラス容器に、シクロヘキサン300g、1,3−ブタジエン単量体40g、スチレン単量体10g、ジテトラヒドロフリルプロパン0.43ミリモルを注入し、これに0.48ミリモルのn−ブチルリチウム(BuLi)を加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。重合転化率はほぼ100%であった。
この重合系に製造例1で調製した変性剤溶液を、N−メチルアミノプロピルトリメトキシシランが0.43ミリモルとなるように加えた後に50℃で30分間変性反応を行った。この後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5質量%溶液0.5ミリリットルを加えて反応の停止を行い、その後、常法に従いスチームストリッピングにより脱溶媒と乾燥を行い、変性重合体Aを得た。得られた重合体の分析値を第1表に示す。
製造例3 重合体Bの製造
製造例2において、BuLiの添加量を0.38ミリモルとし、変性剤溶液を用いた変性反応を行わなかったこと以外は、製造例2と同様にして重合体Bを得た。得られた重合体の分析値を第1表に示す。
Figure 2006176673
実施例1〜4及び比較例1〜3
製造例2、3で得られた重合体A(変性)及びB(未変性)を用い、第2表に示す配合処方(a)又は(b)に従い、ゴム組成物を調製し、各ゴム組成物のムーニー粘度を測定すると共に、160℃、15分間の条件で加硫処理し、加硫ゴムの物性(低発熱性)を測定した。その結果を第3表に示す。
Figure 2006176673
[注]
カーボンブラック;東海カーボン(株)製「シーストKH(N339)(商標)」
老化防止剤6C;N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン
加硫促進剤DPG;ジフェニルグアニジン
加硫促進剤DM;メルカプトベンゾチアジルジスルフィド
加硫促進剤NS;N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド
Figure 2006176673
第3表から、以下に示すことが分かる。
プロトン性アミン構造を有する変性重合体及び酸化銀を含む本発明のゴム組成物(実施例1〜4)は、該変性重合体を含むが酸化銀を含まない比較例3、未変性重合体を含み、酸化銀を含まない比較例1、未変性重合体を含み、かつ酸化銀を含む比較例2に比べて、低ロス性能(低発熱性)に優れている。
また、変性重合体と酸化銀とカーボンブラックを配合した後の配合ステージで老化防止剤を配合することで、低ロス性能がより一層向上する(実施例2と実施例4との比較)。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分とカーボンブラックとの相互作用に優れ、カーボンブラックの分散性を改善することができ、低発熱性、破壊特性、耐摩耗性などに優れるタイヤを与えることができる。

Claims (13)

  1. (A)プロトン性アミン構造を有する変性重合体を含むゴム成分と、(B)酸化剤を含むことを特徴とするゴム組成物。
  2. (B)成分の酸化剤が金属酸化物である請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 金属酸化物が、酸化銅(Cu2O)及び/又は酸化銀(Ag2O)である請求項2に記載のゴム組成物。
  4. (A)成分における変性重合体が、
    (a)一般式(I)
    1−A1−Y1 (I)
    (式中、X1は重合体の活性部位と反応して結合を生成する官能基をもつ一価の有機基、Y1は窒素に結合する水素を活性プロトンとするプロトン性アミン官能基をもつ一価の有機基、A1は炭素数1〜20の二価の炭化水素基を示す。)
    で表されるプロトン性アミン官能基含有化合物を、有機アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物と反応させて、前記プロトン性アミン官能基含有化合物におけるプロトン性アミン官能基中の活性プロトンをアルカリ金属化又はアルカリ土類金属化して変性剤を得る工程、
    (b)前記変性剤を、活性部位を有する重合体の該活性部位と反応させて、重合体の中間変性体を得る工程、及び
    (c)前記重合体の中間変性体の金属化部位から金属を離脱して活性プロトンを再生させる工程、
    を含む製造方法により得られたものである請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物。
  5. (A)成分における変性重合体が、
    (d)一般式 (I)
    1−A1−Y1 (I)
    (式中、X1は重合体の活性部位と反応して結合を生成する官能基をもつ一価の有機基、Y1は窒素に結合する水素を活性プロトンとするプロトン性アミン官能基をもつ一価の有機基、A1は炭素数1〜20の二価の炭化水素基を示す。)
    で表されるプロトン性アミン官能基含有化合物を、アルキルシリルハライドと反応させて変性剤を得る工程、
    (e)前記変性剤を、活性部位を有する重合体の活性部位と反応させて、重合体の中間変性体を得る工程、及び
    (f)前記重合体の中間変性体のアルキルシリル化部位から、アルキルシリル基を離脱して活性プロトンを再生させる工程、
    を含む製造方法により得られたものである請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物。
  6. (A)ゴム成分が、変性重合体10質量%以上を含み、該(A)成分100質量部当たり、(B)酸化剤0.05質量部以上5質量部未満を含む請求項1〜5のいずれかに記載のゴム組成物。
  7. さらに、(A)成分100質量部当たり、(C)カーボンブラック10質量部以上を含む請求項1〜6のいずれかに記載のゴム組成物。
  8. 硫黄架橋性である請求項1〜7のいずれかに記載のゴム組成物。
  9. (A)成分における変性重合体と(B)成分を混合するステージを有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法。
  10. (A)成分における変性重合体と(B)成分との混合物に、他の配合剤及び/又はゴムを混合する請求項9に記載のゴム組成物の製造方法。
  11. (A)成分における変性重合体と(B)成分との混合物とカーボンブラックを、又は(A)成分における変性重合体と(B)成分とカーボンブラックを混合した後に、老化防止剤を混合する請求項9に記載のゴム組成物の製造方法。
  12. 老化防止剤と加硫剤を同一ステージで混合する請求項9〜11のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法。
  13. 請求項1〜8のいずれかに記載のゴム組成物を用いたことを特徴とするタイヤ。

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