JP2006169343A - 放熱性シリコーングリース組成物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
調製時の粘度の調節が容易にでき、かつ経時での粘度変化が少ない放熱性シリコーングリース組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】
(A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を有し、分子鎖末端のケイ素原子に結合したアルコキシ基を有しないオルガノポリシロキサン、
(B)ケイ素原子に結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(C)熱伝導性充填材、及び
(D)ヒドロシリル化反応触媒
を含有する放熱用シリコーングリース組成物の製造方法であって、
(1)前記(A)〜(D)成分が均一に混合したペースト状混合物を得る工程、
(2)前記ペースト状混合物を、静置状態で、90℃以上の温度まで加熱した後その温度で熟成させる工程、及び
(3)熟成させたペースト状混合物を静置状態で50℃以下の温度まで冷却した後、剪断下での混合を行う工程
を有する上記製造方法。
【選択図】 なし
Description
(A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を有し、分子鎖末端のケイ素原子に結合したアルコキシ基を有しないオルガノポリシロキサン、
(B)ケイ素原子に結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(C)熱伝導性充填材、および
(D)ヒドロシリル化反応触媒
を含有する放熱用シリコーングリース組成物の製造方法であって、
(1)前記(A)〜(D)成分が均一に混合したペースト状混合物を得る工程、
(2)前記ペースト状混合物を、静置状態で、90℃以上の温度まで加熱した後その温度で熟成させる工程、および
(3)熟成させたペースト状混合物を静置状態で50℃以下の温度まで冷却した後、剪断下での混合を行う工程
を有する上記製造方法、
を提供する。
−(A)オルガノポリシロキサン−
(A)成分であるオルガノポリシロキサンは、ケイ素原子に結合したアルケニル基を有し、分子鎖末端のケイ素原子に結合したアルコキシ基を有しないオルガノポリシロキサンであるが、このケイ素原子に結合したアルケニル基を一分子中に平均して1個を超える個数、好ましくは全有機基の0.01〜5モル%含有する。このケイ素原子に結合したアルケニル基は、オルガノポリシロキサン分子中において、分子鎖末端および分子鎖非末端のいずれに存在してもよく、あるいはその両方に存在してもよいが、柔軟性が良好となるので、分子鎖両末端にのみ存在することが好ましい。
RaR1 bSiO(4−a−b)/2 (1)
(式中、Rは、独立に、脂肪族不飽和結合を有しない、非置換または置換の1価炭化水素基であり、R1は、独立に、アルケニル基であり、aは0≦a<2.2の数であり、bは0<b≦2.2の数であり、但し、a+bは1.8〜2.2の数である)
で表される。
で表される。
(B)成分であるオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、分子中にケイ素原子に結合した水素原子を有するものであるが、このケイ素原子に結合した水素原子を、一分子中に、好ましくは少なくとも2個、より好ましくは2〜30個有する。このケイ素原子に結合した水素原子は、オルガノハイドロジェンポリシロキサン分子中において、分子鎖末端および分子鎖非末端のいずれに存在してもよく、あるいはその両方に存在してもよい。
R4 cHdSiO(4−c−d)/2 (3)
(式中、R4は、独立に、非置換または置換の1価炭化水素基であり、cは0≦c<3の数であり、dは0<d≦3の数であり、但し、c+dは0<c+d≦3の数である)
で表される。
(C)成分である熱伝導性充填材は、組成物に熱伝導性を付与するため成分である。この熱伝導性充填材は、特に限定されないが、熱伝導率が良好なものが好ましく、その具体例としては、アルミニウム粉末、酸化亜鉛粉末、アルミナ粉末、窒化ホウ素粉末、窒化アルミニウム粉末、窒化ケイ素粉末、銅粉末、銀粉末、ダイヤモンド粉末、ニッケル粉末、亜鉛粉末、ステンレス粉末、カーボン粉末等が挙げられる。
(D)成分であるヒドロシリル化反応触媒は、(A)成分と(B)成分との付加反応による架橋構造の形成を進行、促進させる成分である。ヒドロシリル化反応触媒としては、従来公知のものを用いることができるが、例えば、白金単体、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−アルコール錯体等の白金化合物等が挙げられる。
前記(A)〜(D)成分以外にも、必要に応じて、以下のその他の成分を配合してもよい。これらのその他の成分は、一種単独で用いても二種以上を併用してもよい。
濡れ性向上剤は、(A)成分および(B)成分に対する(C)成分の濡れ性を向上させるための成分であり、該濡れ性の向上により、組成物の熱伝導率も向上する。その具体例としては、例えば、アルコキシシランや下記一般式(5):
で表されるアルコキシ基含有オルガノポリシロキサン(分子鎖片末端が3官能性の加水分解性オルガノポリシロキサン)等が挙げられる。
R8 yR9 zSi(OR10)4−y−z (6)
(式中、R8は、独立に、脂肪族不飽和結合を有しない、非置換または置換の1価炭化水素基であり、R9は、独立に、非置換または置換の1価炭化水素基であり、R10は、独立に、アルキル基であり、yは0〜2の整数、好ましくは1であり、zは0〜2の整数、好ましくは0または1であり、但し、y+zは1または2である)
で表されるアルコキシシランが挙げられる。
反応制御剤は、(A)成分と(B)成分との付加反応の進行速度を制御・抑制し、均一な組成物を得るために好適に用いられる成分である。その具体例としては、アセチレン化合物、窒素化合物、有機りん化合物、オキシム化合物、有機クロロ化合物等が挙げられる。これらの反応制御剤は、組成物中での分散性を良好なものとするために、例えば、トルエン、キシレン、イソプロピルアルコール等の有機溶媒に溶解させてから用いることが好ましい。
非反応性オルガノポリシロキサンとは、分子中に反応性基を有しないオルガノポリシロキサンであり、得られる組成物の粘度や作業性を好適に調整し得るものである。この非反応性オルガノポリシロキサンの分子構造は、特に限定されず、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。
放熱性シリコーングリース組成物は、これらの(A)〜(D)成分を、
(1)前記(A)〜(D)成分が均一に混合したペースト状混合物を得る工程、
(2)前記ペースト状混合物を、静置状態で、90℃以上の温度まで加熱した後その温度で熟成させる工程、および
(3)熟成させたペースト状混合物を静置状態で50℃以下の温度まで冷却した後、剪断下での混合を行う工程、
を有する方法によって製造される。
工程(1)は、前記(A)〜(D)成分が均一に混合したペースト状混合物を得る工程である。このペースト状混合物は、どのように得られたものであってもよく、(A)〜(C)成分を予め混合したものと(D)成分とを混合することにより得てもよいし、(A)〜(D)成分を一度に混合することにより得てもよい。具体的には、例えば、以下の方法で得ることができる。
工程(2)は、前記ペースト状混合物を、静置状態で、90℃以上の温度まで加熱した後その温度で熟成させる工程である。静置状態とは、前記ペースト状混合物を加熱する際および熟成させる際に、混合機等で攪拌したり、混合したりしない状態、即ち剪断力を加えない状態である。本工程を行う前に、例えば、工程(1)で各成分を混合機等で攪拌している場合には、予め攪拌を止めることが必要である。
工程(3)は、熟成させたペースト状混合物を静置状態で50℃以下の温度まで冷却した後、剪断下での混合を行う工程である。この工程により、放熱性シリコーングリース組成物が得られる。冷却は、自然放熱によるものであっても、冷却装置等によるものであってもよい。剪断下での混合は、例えば、プラネタリーミキサー、3本ロール、2本ロール、ニーダー、ディスパー、品川式ミキサー、スーパマスコロイダー、トリミックス、ツインミックス等の混合機等を用いて、あるいはこれらの組み合わせで、混合乃至混練を行えばよい。ここで、前記工程(2)においてペースト状混合物の加熱を始めてから、本工程において冷却温度に達するまでの間は、剪断力を加えないことが重要である。
主鎖(分子鎖非末端)の5モル%がフェニル基であり95モル%がメチル基である、粘度が700mm2/sの両末端ジメチルビニルシリル基封鎖オルガノポリシロキサン500gと、下記式(6):
なお、この組成物に関して、(A)オルガノポリシロキサン分子中のケイ素原子に結合したアルケニル基1モルに対する(B)オルガノハイドロジェンポリシロキサン分子中のケイ素原子に結合した水素原子は1.05モルとなる量であった。
粘度の経時変化率(%)=(6ヶ月後の粘度)/(初期粘度)×100
により行い、小数点以下第一位を四捨五入した。得られた測定値、計算結果を表1に示す。
実施例1において、プラネタリーミキサーによる剪断下での混練(30分)の代わりに、3本ロールによる剪断下での混練を3回繰り返した以外は、実施例1と同様にして、シリコーングリース組成物2を得、該組成物の各種粘度を測定し、測定値から粘度の経時変化率を算出した。得られた測定値、計算結果を表1に示す。
実施例1において、式(8)で表されるオルガノポリシロキサンを用いなかった以外は、実施例1と同様にして、シリコーングリース組成物3を得、該組成物の各種粘度を測定し、測定値から粘度の経時変化率を算出した。得られた測定値、計算結果を表1に示す。
実施例1において、熱伝導性充填材として、酸化亜鉛粉末の代わりに、平均粒径10μmのアルミナ2,000gと平均粒径1μmのアルミナ500gとのブレンド(アルミナの合計量で50体積%)を用いた以外は、実施例1と同様にして、シリコーングリース組成物4を得、該組成物の各種粘度を測定し、測定値から粘度の経時変化率を算出した。得られた測定値、計算結果を表1に示す。
実施例1において、白金触媒を入れる直前に、反応制御剤として、1−エチニル−1−シクロヘキサノールの50質量%トルエン溶液を0.5g添加し、5分間混練した以外は、実施例1と同様にして、シリコーングリース組成物5を得、該組成物の各種粘度を測定し、測定値から粘度の経時変化率を算出した。得られた測定値、計算結果を表1に示す。
実施例1において、70℃で1時間混練する際に、さらに非反応性オルガノポリシロキサンとして、粘度1,000mm2/sのジメチルポリシロキサン100gを添加した以外は、実施例1と同様にして、シリコーングリース組成物6を得、該組成物の各種粘度を測定し、測定値から粘度の経時変化率を算出した。得られた測定値、計算結果を表1に示す。
実施例1において、ペースト状混合物の150℃での熟成を、プラネタリーミキサーで攪拌しながら行った以外は、実施例1と同様にして、シリコーングリース組成物C1を得、該組成物の各種粘度を測定し、測定値から粘度の経時変化率を算出した。得られた測定値、計算結果を表1に示す。
実施例1において、ペースト状混合物の熟成温度を80℃にした以外は、実施例1と同様にして、シリコーングリース組成物C2を得、該組成物の各種粘度の測定を試みたが、製造直後の粘度は測定できたものの、該組成物を製造から6ヶ月間室温で静置すると、ゲル化してしまい、粘度を測定することができなかった。得られた測定値を表1に示す。
実施例1において、熟成させたペースト状混合物の冷却温度を60℃にした以外は、実施例1と同様にして、シリコーングリース組成物C3を得、該組成物の各種粘度を測定し、測定値から粘度の経時変化率を算出した。得られた測定値、計算結果を表1に示す。
Claims (2)
- (A)ケイ素原子に結合したアルケニル基を有し、分子鎖末端のケイ素原子に結合したアルコキシ基を有しないオルガノポリシロキサン、
(B)ケイ素原子に結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(C)熱伝導性充填材、および
(D)ヒドロシリル化反応触媒
を含有する放熱用シリコーングリース組成物の製造方法であって、
(1)前記(A)〜(D)成分が均一に混合したペースト状混合物を得る工程、
(2)前記ペースト状混合物を、静置状態で、90℃以上の温度まで加熱した後その温度で熟成させる工程、および
(3)熟成させたペースト状混合物を静置状態で50℃以下の温度まで冷却した後、剪断下での混合を行う工程
を有する上記製造方法。
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