JP2010013563A - 熱伝導性シリコーングリース - Google Patents

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展明 松本
Takashi Miyoshi
敬 三好
Kunihiro Yamada
邦弘 山田
Hiroaki Kizaki
弘明 木崎
Osamu Uchida
内田  修
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Abstract

【課題】ディスペンス性を確保した上で、長期にわたって安定した熱伝導性能を発揮することが出来ると共に、周辺にオイル汚れをもたらしたり接点障害等を引き起こしたりすることがなく、信頼性の高い、放熱用に好適な熱伝導性シリコーングリースを提供する。
【解決手段】(A):チキソ度αが1.03〜1.50であると共に25℃における粘度が100〜1,000,000mPa・sであるオルガノポリシロキサン、(B):平均粒径が0.1〜100μmの熱伝導性無機充填剤、及び、(C): 成分(A)及び(B)を分散或いは溶解することができる揮発性の溶剤とからなる熱伝導性シリコーングリース。各成分の使用量は、(A)成分100質量部に対して、(B)成分が100〜3,000質量部、(C)成分が0.1〜50.0質量部である。
【選択図】 なし

Description

本発明は熱伝導性シリコーングリースに関し、特に、塗布及び吐出性能に優れると共に、使用時のオイルブリードを抑制することのできる、放熱剤として好適な熱伝導性シリコーングリースに関する。
従来から、シリコーングリースをベースとし、充填剤として各種の粉末を用いた、放熱用として使用される熱伝導性シリコーングリースが知られている(特許文献1〜7)。しかしながら、これらの熱伝導性シリコーングリースは、長期に渡って使用した場合に、ベースオイルが周辺にブリードアウトして熱伝導特性が低下するばかりか、電気接点の導通不良等を引き起こすことがあるという欠点があった。
特公昭52−33272号 特公昭59−52195号 特開昭52−125506号 特開昭57−36302号 特開昭62−43492号 特開平2−212556号 特開平3−162493号各公報
このようなベースオイルのブリードアウトを抑える方法として、特定のオルガノポリシロキサンをベースオイルに使用する方法が既に見出されている(特許文献8)。この方法を用いれば高い信頼性を得ることはできるが、粘度の高いオルガノポリシロキサンをベースオイルとして使用している為に、熱伝導性シリコーングリースの粘度が高くなるという問題があった。つまり、このような粘度の高い組成物は、シリンジに充填してディスペンスマシーンで塗布し難いだけでなく、メタルスクリーンやステンシル等を用いる印刷法によって、ヒートシンクなどの比較的面積の大きな部位に塗る際に、効率良く正確に塗布し難い等の問題があった。
特開2003−301189
このように、長期に渡って使用した場合でもベースオイルが周辺にブリードアウトせず、高い熱伝導性能を発揮することができる上、ディスペンスマシーンによる吐出が容易であって、メタルスクリーン法等の印刷法によっても塗布しやすい放熱用シリコーングリースは未だ実現されておらず、その開発が強く望まれていた。
したがって本発明の目的は、長期に渡って使用した場合でもベースオイルが周辺にブリードアウトしない上、ディスペンスマシーンによる吐出が容易であり、メタルスクリーン法等の印刷法によっても塗布しやすい、熱伝導性シリコーングリースを提供することにある。
本発明者等は、上記の目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、チキソ度αが1.03〜1.50であると共に25℃における粘度が100〜1,000,000mPa・sであるオルガノポリシロキサン、平均粒径が0.1〜100μmの熱伝導性無機充填剤、及び揮発性の溶剤からなる熱伝導性シリコーングリースが良好な結果を得ることができることを見出し本発明に到達した。
即ち本発明は、(A):チキソ度αが1.03〜1.50であると共に25℃における粘度が100〜1,000,000mPa・sであるオルガノポリシロキサン100質量部、(B):平均粒径が0.1〜100μmの熱伝導性無機充填剤100〜3,000質量部、及び、(C):成分(A)及び(B)を分散或いは溶解することができる揮発性の溶剤0.1〜50.0質量部とからなることを特徴とする、熱伝導性シリコーングリースである。
但し前記αは、ロータの回転数を6rpmとして、25℃におけるB型回転粘度計を用いて測定した粘度η及び、12rpmのロータ回転数で測定した粘度ηを用いて、α=η/ηの式から計算された値である。
本発明の熱伝導性シリコーングリースにおいて、前記(A)成分の粘度は1000〜100,000mPa・sであることが好ましい。
前記(A)成分のオルガノポリシロキサンは、1分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンと、少なくとも2個のSiH基を有するハイドロジェンオルガノポリシロキサンとを、白金系触媒を用いて付加反応させてなるオルガノポリシロキサンであることが好ましい。
更に、前記ハイドロジェンオルガノポリシロキサンは、下記一般式(1)で表されるハイドロジェンオルガノポリシロキサンであることが好ましい。
但し、上記一般式(1)中のRは各々独立に、水素原子又は炭素数が1〜20の、脂肪族不飽和結合を有さない置換又は非置換の、一価炭化水素基の群から選択される少なくとも1種の基であり、n及びmはそれぞれ1≦n≦1,000、0≦m≦1,000である。
また、一般式(1)中におけるRの90%以上がメチル基であることが更に好ましい。
前記アルケニル基を有するオルガノポリシロキサンは、アルケニル基がオルガノポリシロキサン分子鎖の末端のみに存在するオルガノポリシロキサンであることが好ましく、下記平均組成式(2)で表されるオルガノポリシロキサンであることが更に好ましい。
SiO(4−a−b)/2 (2)
但し、上記平均組成式(2)中、Rはビニル基、Rは各々独立に、炭素数が1〜6の、脂肪族不飽和結合を有さない置換又は非置換の一価炭化水素基の群から選択される少なくとも1種の基であって、全置換基(R+R)の4〜6mol%に相当するRがアリール基であり、aは0.0001〜0.2、bは1.7〜2.2の正数であり、a+bは1.9〜2.4である。
また、前記平均組成式(2)における全置換基(R+R)の90%以上がメチル基であることが好ましい。
本発明の熱伝導性シリコーングリースにおいて、前記(C)成分の溶剤は、沸点が80〜360℃のイソパラフィン系の溶剤であることが好ましい。
本発明の熱伝導性シリコーングリースは長期に渡って使用した場合でもベースオイルが周辺にブリードアウトしない上、ディスペンスマシーンによる吐出が容易であり、メタルスクリーン法等の印刷法によっても塗布しやすいので、放熱剤として用いるのに極めて好適である。
本発明の熱伝導性シリコーングリース組成物を構成するベースオイルである成分(A)のオルガノポリシロキサンは、チキソ性を有しているものである。(A)成分のチキソ性はチキソ度αによって表され、このαが大きいほど該オルガノポリシロキサンの粘性が大きいことを示す。本発明では、(A)成分であるオルガノポリシロキサンのチキソ度が1.03〜1.50の範囲である必要があるが、1.05〜1.45であることが好ましく、特に1.11〜1.40であることが好ましい。チキソ度αが1.03より小さいと、オルガノポリシロキサンの粘性が小さいため、このオルガノポリシロキサンと熱伝導性充填剤との親和性が弱く、放熱用途に長期間使用した場合に、シリコーングリース組成物からベースオイルがブリードアウトしやすくなる。一方、チキソ度が1.50より大きいと、成分(A)と成分(B)の混合が困難となる。
上記チキソ度αは、α=η/ηの式から計算することが出来る。ここでη及びηは、25℃におけるB型回転粘度計による測定粘度であり、ηはロータの回転数を6rpmとして測定した値、ηは12rpmのロータ回転数で測定した値である。
また、(A)成分のオルガノポリシリキサンの、B型回転粘度計による25℃における粘度は、100〜1,000,000mPa・sの範囲であることが必要であり、特に1,000〜100,000mPa・sであることが好ましい。100mPa・sより小さいと、得られるシリコーングリース組成物の安定性が乏しいものとなり、1,000,000mPa・sより大きいと、成分(B)との混合が困難となる。
本発明で使用する成分(A)のオルガノポリシロキサンは、例えば1分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンと少なくとも2個のSiH基を有するハイドロジェンオルガノポリシロキサンとを、白金単体、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−アルコール錯体等の白金系触媒を用いて付加反応させることにより、容易に得ることが出来る。
前記した、少なくとも2個のSi−H基を有するハイドロジェンオルガノポリシロキサンは、下記一般式(1)で表されるハイドロジェンオルガノポリシロキサンであることが好ましい。
上記一般式(1)中のRは各々独立に、水素原子又は炭素数が1〜20の、脂肪族不飽和結合を有さない置換又は非置換の、一価炭化水素基の群から選択される少なくとも1種の基である。このような基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;2−フェニルエチル基、2−メチル−2−フェニルエチル基等のアラルキル基;3,3,3−トリフロロプロピル基、2−(パーフロロブチル)エチル基、2−(パーフロロオクチル)エチル基、p−クロロフェニル基等のハロゲン化炭化水素基等が挙げられる。
本発明においては、合成のしやすさ及びコストの面から、一分子中のRの90%以上がメチル基であることが好ましい。n及びmはそれぞれ1≦n≦1,000、0≦m≦1,000である。
前記アルケニル基を有するオルガノポリシロキサンは、ケイ素原子に直結したアルケニル基を1分子中に少なくとも1個有するものであれば、直鎖状でも分岐状でも良い。ケイ素原子に結合するアルケニル基は、オルガノポリシロキサン分子鎖の末端に存在しても側鎖に存在しても良いが、グリースとしての柔軟性を確保する観点から、オルガノポリシロキサン分子鎖の末端にのみ存在することが好ましい。
ケイ素原子に結合する上記アルケニル基以外の他の有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ドデシル基などのアルキル基、フェニル基などのアリール基、2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基などのアラルキル基が例示される他、クロロメチル基、3,3,3,−トリフルオロプロピル基などの置換炭化水素基も例として挙げられる。
また2種以上の異なる粘度の混合物でも良い。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、1−ブテニル基、1−ヘキセニル基などが例示されるが、合成のしやすさ及びコストの面からビニル基であることが好ましく、特に下記平均組成式(2)で表されるオルガノポリシロキサンであることが更に好ましい。
SiO(4−a−b)/2 (2)
但し、上記平均組成式(2)中、Rはビニル基、Rは、炭素数が1〜6の脂肪族不飽和結合を有さない置換又は非置換の一価炭化水素基の群から選択される少なくとも1種の基であって、全置換基(R+R)の4〜6mol%に相当するRがアリール基であり、aは0.0001〜0.2、bは1.7〜2.2の正数であり、a+bは1.9〜2.4である。
合成のしやすさ及びコストの面から、上記一般組成式(2)における全置換基(R+R)の90%以上に相当するRがメチル基であることが好ましい。
前記付加反応によって成分(A)のオルガノポリシロキサンを得る場合には、アルケニル基を有するオルガノポリシロキサン及びSi−H基を有するハイドロジェンオルガノポリシロキサンを、それぞれ2種類以上使用しても良い。更に、反応基を持たないジメチルポリシロキサン等を混合しても良い。
本発明で使用する成分(A)のオルガノポリシロキサンを製造する他の方法として、一般的な線状オルガノポリシロキサンの構造単位である〔RSiO1/2〕単位及び〔RSiO〕単位に加えて〔RSiO3/2〕単位あるいは〔SiO4/2〕単位を導入する方法を挙げることができる。ここでRとは、前記一般式(1)におけるR又は平均組成式(2)におけるRである。
上記の構造単位を有するオルガノポリシロキサンの製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、(1)(CHSiCl、(CHSiCl、(CH)SiCl、などを加水分解、縮合する方法、(2)この縮合物と環状低分子シロキサンとを、アリカリ金属水酸化物、アリカリ金属シラノレート、又はテトラアルキルホスホニウムヒドロキシド、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシドなどの水酸化物、若しくは硫酸、有機スルホン酸などの強酸などから選ばれる触媒の存在下に、室温又は加熱下で反応させる方法、及び、(3)(CHSiO1/2単位とSiO単位とからなり水酸基を有するオルガノポリシロキサンとシラノール基を有するポリジオルガノシロキサンとを、アミン触媒、錫触媒などの縮合触媒の存在下で、室温又は加熱下で反応させる方法等が挙げられる。
本発明で使用する成分(B)の熱伝導性無機充填剤は、本発明のシリコーングリースに熱伝導性を付与するためのものである。この熱伝導性充填剤の平均粒径は、0.1〜100μmの範囲であることが必要であるが、特に1〜70μmの範囲であることが好ましい。0.1μmより小さいと得られる組成物の粘度が高くなり過ぎて、進展性の乏しいグリースとなり、100μmより大きいと得られる組成物が不均一となる。また、その配合量は、(A)成分100質量部に対して100〜3,000質量部の範囲であることが必要であるが、特に200〜2,000質量部の範囲であることが好ましい。配合量が100質量部より少ないと、得られるシリコーングリースの熱伝導率が悪く、且つ保存安定が乏しいものとなり、3,000質量部より多いと伸展性の乏しいシリコーングリースとなる。
上記充填剤は熱伝導率が良好な公知の無機物の中から適宜選択されるが、好ましいものとしては、例えばアルミニウム粉末、酸化亜鉛粉末、アルミナ粉末、窒化硼素粉末、窒化アルミニウム粉末、窒化珪素粉末、銅粉末、銀粉末、ダイヤモンド粉末、ニッケル粉末、亜鉛粉末、ステンレス粉末、カーボン粉末等が挙げられる。これらは球状、不定形状のどちらでも良く、これらを2種類以上混合しても良い。
本発明で使用する(C)成分の溶剤は、熱伝導性シリコーングリースの粘度を下げて作業性を向上させる作用を担うものであり、例えばトルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、ブタノール、IPA、イソパラフィンなど、成分(A)のオルガノポリシロキサン及び成分(B)の熱伝導性無機充填剤を、溶解あるいは分散することができる限り、如何なる溶剤でも使用することができる。特に、安全面、健康面及び印刷作業性の観点からは、沸点が80〜360℃のイソパラフィン系の溶剤を使用することが好ましい。沸点80℃以下の溶剤では、揮発が速すぎて印刷作業中に粘度が上昇するので不具合が生じる。沸点が360℃を超えると熱伝導性シリコーングリース中に残存しやすくなり、シリコーングリースの熱特性が低下する傾向となる。
本発明における上記(C)成分の添加量は、(A)成分100質量部に対して0.1〜50.0質量部である。(C)成分の添加量が0.1質量部より少ないと、充分に熱伝導性シリコーングリースの粘度を下げることが出来ない。また、50質量部より多いと充填材の沈降が速くなるので、熱伝導性シリコーングリースの保存性が悪くなるため、0.1〜40質量部の範囲が好ましく、特に0.5〜30.0質量部の範囲であることが好ましい。
熱伝導性シリコーングリース組成物のオイルブリードは、成分(A)のオルガノポリシロキサンとしてより粘度の高いものを使用した方がより抑制される。また、熱伝導性能を高める為に熱伝導充填材の充填量を上げると、熱伝導性シリコーングリースの粘度が上昇する。つまり、オイルブリードの抑制、及び熱伝導性能の向上の何れも、熱伝導性シリコーングリースの粘度を上昇させる。しかしながら、取り扱い性等の観点からは、許容される粘度に限度がある。そこで本発明においては、少量の成分(C)を添加することによって、熱伝導性シリコーングリースの粘度を調整するのである。このようにすることにより、従来よりも信頼性と放熱性能を高次元で両立させた熱伝導性シリコーングリースの実用化を図ることができるようになる。
例えば、本発明の熱伝導性シリコーングリースをヒートシンク等にメタルスクリーンなどの印刷手段等を用いて薄く塗布した場合には、含有している溶剤を常温あるいは積極的に加熱して容易に揮発させることができるので、従来では均一且つ薄く塗布することが困難であった高性能の熱伝導性シリコーングリースを、容易に実用することができる。
本発明のグリースを製造するに際しては、成分(A)及び成分(B)をトリミックス、ツウィンミックス、プラネタリミキサー(何れも(株)井上製作所製混合機の登録商標)、ウルトラミキサー(みずほ工業(株)製混合機の登録商標)、ハイビスディスパーミックス(特殊機化工業(株)製混合機の登録商標)等の混合機を用いて混合した後に、成分(C)を添加して更に混合する。必要に応じて50〜150℃に加熱しても良い。
前述したように、(A)成分として、1分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンと、少なくとも2個のSi−H基を有するハイドロジェンオルガノポリシロキサンとの付加反応物を使用する場合には、上記アルケニル基を有するオルガノポリシロキサンとハイドロジェンオルガノポリシロキサンと共に成分(B)を予め撹拌混合しておき、そこに白金化合物等の触媒を添加して付加反応を行わせ、次いで(C)成分として溶剤を添加することにより、製造工程を簡略化することも出来る。
本発明においては、混合した後、均一に仕上げるために更に高剪断力下で混練操作することが好ましい。混練装置としては、3本ロ−ル、コロイドミル、サンドグラインダー等があるが、中でも3本ロ−ルによる方法が好ましい。
以下、本発明を実施例によって更に詳述するが、本発明はこれによって限定されるものではない。尚、各種の評価は以下のようにして行った。
[ブリードアウト抑制効果]
10cm角のスリガラス板1を水平に置き(図1)、グリース0.25gを直径1cmの円状に塗布して(図1中の2)室温で静置し、1日後、7日後、1ヶ月後における、オイルブリードによって、スリガラスが半透明になった幅3を、mm単位で測定することによって行った。
[熱伝導率]
迅速熱伝導率計QTM−500(京都電子工業(株))を用い、25℃下で測定した。
[粘度]
熱伝導性グリースのトキメック社製DVM−II型粘度計を用い、25℃で測定し、ディスペンス及び塗布に適切な10〜300Pa・sを良好な範囲とした。
[チキソ度α]
マルコム粘度計(タイプPC−1T)を用いて25℃における(A)成分の粘度を測定し、ロータの回転数が6rpmの時の粘度ηと12rpmの時の粘度ηを用い、α=η/ηの式から算出した。
[塗布性評価]
3cm角に切り抜かれた厚さ120μmのメタルスクリーン用のSUS板を用意し、製造したグリースを、スキージを用いてヒートシンクに塗布した。その評価は、一面均一に塗布できた場合を○、ややグリース表面にムラが生じた場合を△、スキージにグリースが巻き付いて全く塗布出来ない場合を×として評価した。
[保存性]
1年間保存した後のシリコーングリースについて精査し、その結果問題ない場合を○、沈降・凝集等を起こしている場合を×として評価した。
<合成例1:成分(A)のオルガノポリシロキサンA−1の合成>
攪拌機、温度計、冷却管及び窒素ガス導入管を設けた内容積1,000mlのフラスコに、片末端がジメチルビニルシリル基で封鎖され、主鎖の5モル%がフェニル基で、残り95モル%がメチル基である、25℃における粘度が700mPa・sのオルガノポリシロキサン500gと、下記式(3)で表されるハイドロジェンオルガノポリシロキサン3.0g、及び、下記式(4)で表されるハイドロジェンオルガノポリシロキサン5.0gとを仕込んだ。
次に、白金原子を1質量%含有する白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の末端をジメチルビニルシリルで封鎖したジメチルポリシロキサン溶液を、0.25g投入した後120℃で1時間混合撹拌し、オルガノポリシロキサンA−1を得た。
<ベースオイルXの合成>
攪拌機、温度計、冷却管及び滴下装置を備えた内容積5リットルのフラスコに水3,000gを入れ、次いで撹拌しながらトリメチルクロロシラン490g、ジメチルジクロロシラン560g及びメチルトリクロロシラン650gの混合物を、反応液の温度が50℃以下になるように冷却しながら3時間かけて滴下した。更に30℃で2時間撹拌し、水層(塩酸及び水)を分離した後、有機層に3質量%の炭酸ナトリウム水溶液1,700gを加え、室温で2時間撹拌した。水層を分離して除き、残った有機層に無水硫酸ナトリウム70gを加え、室温で3時間撹拌した後これを濾過し、粘度が14mPa・sで無色透明なオイルXを得た。
<合成例2:成分(A)のオルガノポリシロキサンA−2の合成>
攪拌機、温度計、冷却管及び窒素ガス導入管を設けた内容積500mlのフラスコに、得られたベースオイルX10g、粘度が10mPa・sのトリメチルシリル末端封鎖ポリジメチルシロキサン22g及びオクタメチルシクロテトラシロキサン300gを入れ、窒素ガスを通気しながら120℃まで加熱した。次いで、水酸化カリウム0.3gを加え、さらに150℃まで昇温させて4時間撹拌した後100℃まで冷却した。エチレンクロロヒドリン2gを添加し、未反応の低分子シロキサンを除去してオルガノポリシロキサンA−2を得た。
<合成例3:成分(A)のオルガノポリシロキサンA−3の合成>
前記オイルXを25g、及びオクタメチルシクロテトラシロキサンを308g使用したこと以外は、合成例2と全く同様にしてオルガノポリシロキサンA−3を得た。
<合成例4:成分(A)のオルガノポリシロキサンA−4の合成>
原料として、両末端がジメチルビニルシリル基で封鎖され、25℃における粘度が600mPa・sのジメチルポリシロキサン500gと、前記式(4)で表されるハイドロジェンオルガノポリシロキサン23g及び下記式(5)で表されるハイドロジェンオルガノポリシロキサン33gを仕込んだこと以外は、全て合成例1と同様にしてオルガノポリシロキサンA−4を得た。
<合成例5:成分(A)のオルガノポリシロキサンA−5の合成>
原料として前記オイルXを100g、及びオクタメチルシクロテトラシロキサンを200g用いたこと以外は、合成例2と全く同様にしてオルガノポリシロキサンA−5を得た。
更に、下記式(6)で表されるジメチルポリシロキサンをA−6とした。
A−1〜6の25℃における粘度測定結果及びチキソ度を表1に示す。
<放熱用シリコーングリース組成物の製造>
合成例1〜5で得られたオルガノポリシロキサンA1〜5、及び上記式(6)で表さるジメチルポリシロキサンA−6の6種類を用い、表2及び表3に示した組成で配合し、プラネタリミキサー((株)井上製作所製)を用いて120℃で1時間混合し、実施例1〜6、比較例1〜7の放熱用に使用する熱伝導性シリコーングリースを得た。
但し、表中のB−1〜B−3及びC−1〜C−2は各々次の通りである。
B−1:酸化亜鉛粉末(不定形、平均粒径:1.0μm)
B−2:アルミナ粉末(球形、平均粒径:2.0μm)
B−3:アルミニウム粉末(不定形、平均粒径7.0μm)
C−1:IPソルベント2028MU(イソパラフィン系溶剤、出光興産株式会社商品名) 沸点;210−254℃
C−2:IPソルベント2835(イソパラフィン系溶剤、出光興産株式会社商品名) 沸点;270−350℃
表2及び3から明らかなように、本発明の熱伝導性シリコーングリース組成物が、ディスペンス性及び塗布性が良好であるだけでなく、長期にわたって使用した場合でもベースオイルが周辺にブリードアウトせず、長期にわたって安定した熱伝導性を発揮することができ、放熱用グリースとして好適であることが確認された。
本発明の熱伝導性シリコーングリースはディスペンスマシーンによる吐出が容易であり、メタルスクリーン等の印刷法によっても塗布しやすいので作業性に優れているだけでなく、長期間放熱用途に使用した場合でもベースオイルが周辺にブリードアウトせず熱伝導性が安定しているので、産業上極めて有用である。
ブリードアウト評価試験の概念図である。
符号の説明
1 すりガラス
2 放熱用シリコーングリース組成物
3 オイルブリード幅


Claims (9)

  1. (A):チキソ度αが1.03〜1.50であると共に25℃における粘度が100〜1,000,000mPa・sであるオルガノポリシロキサン100質量部、(B):平均粒径が0.1〜100μmの熱伝導性無機充填剤100〜3,000質量部、及び、(C): 成分(A)及び(B)を分散或いは溶解することができる揮発性の溶剤0.1〜50.0質量部を含有してなることを特徴とする、熱伝導性シリコーングリース;
    但し前記αは、ロータの回転数を6rpmとして、25℃におけるB型回転粘度計を用いて測定した粘度η及び、12rpmのロータ回転数で測定した粘度ηを用いて、α=η/ηの式から計算された値である。
  2. 前記(A)成分の粘度が1,000〜100,000mPa・sである、請求項1に記載された熱伝導性シリコーングリース。
  3. 前記(A)成分のオルガノポリシロキサンが、1分子中に少なくとも1個のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンと、少なくとも2個のSiH基を有するハイドロジェンオルガノポリシロキサンとを、白金系触媒を用いて付加反応させてなるオルガノポリシロキサンである、請求項1又は2に記載された熱伝導性シリコーングリース。
  4. 前記ハイドロジェンオルガノポリシロキサンが下記一般式(1)で表されるハイドロジェンオルガノポリシロキサンである、請求項3に記載された熱伝導性シリコーングリース。
    但し、上記一般式(1)中のRは各々独立に、水素原子又は炭素数が1〜20の、脂肪族不飽和結合を有さない置換又は非置換の、一価炭化水素基の群から選択される少なくとも1種の基であり、n及びmはそれぞれ1≦n≦1,000、0≦m≦1,000である。
  5. 前記一般式(1)中におけるRの90%以上がメチル基である、請求項4に記載された熱伝導性シリコーングリース。
  6. 前記アルケニル基を有するオルガノポリシロキサンが、アルケニル基がオルガノポリシロキサン分子鎖の末端のみに存在するオルガノポリシロキサンである、請求項3〜5の何れかに記載された熱伝導性シリコーングリース。
  7. 前記アルケニル基を有するオルガノポリシロキサンが、下記平均組成式(2)で表されるオルガノポリシロキサンである、請求項3〜6の何れかに記載された熱伝導性シリコーングリース。
    SiO(4−a−b)/2 (2)
    但し、上記平均組成式(2)中、Rはビニル基、Rは各々独立に、炭素数が1〜6の、脂肪族不飽和結合を有さない置換又は非置換の、一価炭化水素基の群から選択される少なくとも1種の基であって、全置換基(R+R)の4〜6mol%に相当するRがアリール基であり、aは0.0001〜0.2、bは1.7〜2.2の正数であり、a+bは1.9〜2.4である。
  8. 前記平均組成式(2)における全置換基(R+R)の90%以上に相当するRがメチル基である、請求項7に記載された熱伝導性シリコーングリース。
  9. 前記(C)成分の溶剤が、沸点が80〜360℃のイソパラフィン系の溶剤である、請求項1〜8の何れかに記載された熱伝導性シリコーングリース。


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