JP5373545B2 - 放熱用熱伝導性シリコーングリース組成物及びその使用方法 - Google Patents

放熱用熱伝導性シリコーングリース組成物及びその使用方法 Download PDF

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Description

本発明は放熱用熱伝導性グリースに関し、特に、基材に挟みこんで垂直置きにしてもズレが発生せず、かつ作業性にも優れた放熱用熱伝導性シリコーングリース組成物、及びその使用方法に関する。
LSI等の電子部品は使用中に発熱し、その熱によって性能が低下することが広く知られている。この問題を解決するための一般的な方法として、発熱部の付近に冷却部材を配置し、該冷却部材から効率的に除熱することが行われている。その際、発熱部材と冷却部材との間に隙間があると、空気が介在するために熱伝導が効率的でなくなり、発熱部材の温度が充分に下がらなくなる。このような空気の介在現象を防止することを目的として、熱伝導率が良好であると共に、部材の表面に追随性のある放熱用熱伝導性シートや放熱用熱伝導性グリースが放熱材料として用いられている(特許文献1〜3)。
また現在では、省スペース等の構造上の制約から、発熱部材と冷却部材との接触面が地面に対して垂直方向に配置されることとなるようなケースも生じる。このような場合には、放熱材料は両者の間に挟まれるような状態となる。この場合、放熱シートであれば成型物であるため、このような使用方法においても形状を保持することが可能であるが、放熱グリースの場合には成型物ではないため放熱材料自体が形状を保てなくなり、変形して発熱部材と冷却部材との間にズレが生じるという問題があった。
上記したように放熱グリースが変形してズレが発生すると、発熱部材から発生する熱が冷却部材によって放熱される効率が悪くなるので冷却効率が低下する。この問題に対しては、グリース組成物の粘度を増大させて形状を保持させることによって解決することが可能であるが、粘度が増大すると、グリースを適用する対象物へのグリース組成物の塗布が困難となるため、作業性が悪くなるという欠点があった。
上記の欠点を改善する方法も提案されている(特許文献4,5)が、未だ十分な性能を有する放熱用熱伝導性グリースは得られていない。
特許第2938428号公報 特許第2938429号公報 特許第3952184号公報 特許第3195277号公報 特許第3948642号公報
したがって本発明の第1の目的は、地面に対して垂直な部分に適用されてもズレが発生することがないだけでなく、作業性にも優れた放熱用熱伝導性シリコーングリース組成物を提供することにある。
本発明の第2の目的は、発熱部材と冷却部材との接触面が地面に対して垂直方向に配置されることとなるような箇所に対して、ズレを生じることのない放熱用熱伝導性シリコーングリースを介在させる方法を提供することにある。
本発明者らは上記の諸目的を達成するために鋭意検討した結果、下記の成分(A) 100質量部、(B)300〜600質量部、(C)200〜400質量部及び(D) 40〜60質量部を含有する熱伝導性シリコーングリース組成物であって、稠度が270以上であることを特徴とする熱伝導性シリコーングリース組成物、及び、該シリコーングリース組成物を発熱部材又は冷却部材の被適用箇所に塗布し、該シリコーン組成物の稠度が200以下となるように前記成分(D)を揮発させた後、該グリース組成物を挟むように、冷却部材又は発熱部材の被適用部分と接触させて前記グリース組成物を挟み込むことを特徴とする、放熱用熱伝導性シリコーングリース組成物の使用方法によって達成された。
成分(A):下記一般式(1)で表される、25℃における動粘度が1,000〜10,000mm2/sであるオルガノポリシロキサン
R1 aSiO(4-a)/2・・・・・・・・・・・(1)
但し、上式中のR1は、炭素数1〜18の飽和又は不飽和の一価の炭化水素基の群の中から選択される少なくとも1種の基であり、aは1.8≦a≦2.2を満足する正数である;
成分(B):平均粒径が0.5〜5μmの水酸化アルミニウム粉末αと、平均粒径が6〜20μmの水酸化アルミニウム粉末βからなる2種類の水酸化アルミニウム粉末を、質量比がα/(α+β)=0.1〜0.9の割合となるように混合してなる、混合後の平均粒径が1〜15μmである水酸化アルミニウム粉末の混合物;
成分(C):成分(B)ではない、10W/m℃以上の熱伝導率を有する熱伝導性充填材
成分(D):下記一般式(2)で表される、沸点が100℃〜300℃であるオルガノシラン
R2 bR3 cSi(OR4)4-b-c・・・・・・・・・・・(2)
但し、上式中のR2は炭素数9〜12の1価のアルキル基、R3は炭素数1〜8の飽和又は不飽和の1価の炭化水素基、R4は炭素数1〜3の1価のアルキル基から選択される少なくとも1種のアルキル基であり、bは0又は1、cは0〜3の整数である。
本発明のシリコーングリース組成物は、その塗布時の稠度が270以上であるので作業性が良い一方、目的物に塗布した後の稠度を200以下にして使用することができるので、ズレが生じにくいという効果が生じる。
本発明の熱伝導性シリコーングリース組成物に使用する成分(A)は、下記一般式(1)で表される、25℃における動粘度が1,000〜10,000mm2/sのオルガノポリシロキサンである。尚上記動粘度は、オストワルド粘度計により25℃で測定される値である。
R1 aSiO(4-a)/2・・・・・・・・・・・(1)
但し、上式中のR1は、炭素数1〜18の飽和又は不飽和の一価の炭化水素基の群の中から選択される少なくとの1種の基である。aは、シリコーングリース組成物として要求される稠度の観点から1.8〜2.2の正数であることが必要であり、特に1.9〜2.1の正数であることが好ましい。
上記R1としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;2-フェニルエチル基、2-メチル-2-フェニルエチル基等のアラルキル基;3,3,3-トリフロロプロピル基、2-(パーフロロブチル)エチル基、2-(パーフロロオクチル)エチル基、p-クロロフェニル基等のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
また、上記オルガノポリシロキサンのオストワルド粘度計により測定される25℃における動粘度については、1,000mm2/sより低いとグリース組成物にした時にオイルブリードが起こりやすくなってズレが発生し、10,000mm2/sより大きくなるとグリース組成物にしたときの伸展性が乏しくなって作業性が悪化する。本発明においては、特に上記動粘度が1,000〜8,000mm2/sの範囲であることが好ましい。
本発明の熱伝導性シリコーングリース組成物に使用する成分(A)の具体例としては、例えば、(CH3)3((CH3)2SiO)120Si(OCH3)3, (OCH3)3((CH3)2SiO)120Si(OCH3)3の他、
((CH3)3SiO1/2)単位及び((CH3)2SiO)単位からなる、動粘度が1,000mm2/s〜5,000mm2/sのオルガノポリシロキサンを挙げることができる。
本発明においては、上記成分(A)のオルガノポリシロキサンと共に、下記一般式(3)で表される片末端3官能の加水分解性オルガノポリシロキサンを併用しても良い。
Figure 0005373545
但し上式中のR5は炭素数1〜6のアルキル基、R6は炭素数1〜18で飽和又は不飽和の、一価の炭化水素基からなる群の中から選択される少なくとも1種の基、dは20〜120の整数であるが、好ましくは30〜60の整数である。
上記一般式(3)で表されるオルガノポリシロキサンは、成分(B)及び成分(C)の熱伝導性無機充填剤の粒子表面を処理するために用いるものであり、粉末の高充填化を補助するばかりでなく、粒子表面を覆うことによって粒子同士の凝集を起こりにくくする効果を有する。この効果は高温下でも持続するため、本発明の熱伝導性シリコーングリース組成物の耐熱性を向上させる働きがある。この一般式(3)で表されるオルガノポリシロキサンの添加量は、成分(A)中の0〜20質量%であることが好ましく、添加する場合には特に0.5質量%〜20質量%添加することが好ましい。
前記一般式(3)中のR5としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられるが、本発明においては、特にメチル基及びエチル基が好ましい。また、R6の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;2-フェニルエチル基、2-メチル-2-フェニルエチル基等のアラルキル基;3,3,3-トリフロロプロピル基、2-(パーフロロブチル)エチル基、2-(パーフロロオクチル)エチル基、p-クロロフェニル基等のハロゲン化炭化水素基が挙げられるが、本発明においては特にメチル基が好ましい。
本発明で使用する成分(B)の水酸化アルミニウム粉末は、異なる平均粒径を持つ水酸化アルミニウム粉末αと水酸化アルミニウム粉末βという2種類の水酸化アルミニウム粉末を混合することにより得られる。この混合充填材は、どちらか一方だけの充填剤を使用する場合よりも、本発明の熱伝導性シリコーングリース組成物を低粘度化することができる上、組成物中の水酸化アルミニウム粉末の混合比率をも上げることができるため、耐ズレ性の向上に寄与する。
上記水酸化アルミニウム粉末αの平均粒径は0.5〜5μmの範囲であることが必要であり、好ましくは1〜3μmである。平均粒径が0.5μmより小さくても5μmより大きくても、得られる熱伝導性シリコーングリース組成物中の水酸化アルミニウム粉末の混合比率を上げられなくなる。一方、水酸化アルミニウム粉末βの平均粒径は6〜20μmの範囲であることが必要であり、好ましくは7〜15μmである。平均粒径が6μmより小さくても20μmより大きくても得られる熱伝導性シリコーングリース組成物中の混合比率を上げられなくなる。
また、水酸化アルミニウム粉末αと水酸化アルミニウム粉末βの混合割合α/(α+β)は0.1〜0.9の範囲であることが必要であり、好ましくは0.3〜0.7である。0.1より小さくても、0.9より大きくても得られる熱伝導性シリコーングリース組成物中の水酸化アルミニウム粉末の混合比率を上げられなくなる。また、水酸化アルミニウム粉末αと水酸化アルミニウム粉末βとを混合した後の平均粒径は1〜15μmの範囲であることが必要であり、好ましくは2〜12μmである。混合した後の平均粒径が1μmより小さくても15μmより大きくても、均一な熱伝導性シリコーングリース組成物が得られない。尚、本明細書における平均粒径は、日装機(株)社製マイクロトラックMT330OEXにより測定した体積基準の累積平均粒径の値である。
本発明における成分(B)の使用量は300〜600質量部の範囲であることが必要であり、好ましくは300〜500質量部である。その使用量が300質量部より少ないと、組成物にしたときの耐ズレ性が悪くなり、600質量部より多くなると組成物の粘度が上昇して(稠度が低下して)作業性が悪くなる。
また、本発明で使用する成分(B)の水酸化アルミニウム粉末は、適宜、オルガノシラン、オルガノシラザン、オルガノポリシロキサン、有機フッ素化合物等で疎水化処理されていても良い。この疎水化処理法は公知の方法でよく、例えば、水酸化アルミニウム粉末とオルガノシラン或いはその部分加水分解物を、トリミックス、ツウィンミックス、プラネタリミキサー(何れも井上製作所(株)製混合機の登録商標)、ウルトラミキサー(みずほ工業(株)製混合機の登録商標)、ハイビスディスパーミックス(特殊機化工業(株)製混合機の登録商標)等の混合機を用いて混合すれば良い。混合に際しては50〜100℃に加熱しても良いし、混合時に、トルエン、キシレン、石油エーテル、ミネラルスピリット、イソパラフィン、イソプロピルアルコール、エタノール等の溶剤を用いても良い。但し溶剤を用いた場合には、混合後に、真空装置等を用いて溶剤を除去することが好ましい。
更に本発明においては、上記疎水化処理時の混合に際し、前述した成分(A)のオルガノポリシロキサンを希釈溶剤として使用することも可能である。この場合、処理剤であるオルガノシラン又はその部分加水分解物を予め成分(A)のオルガノポリシロキサンと混合し、そこに水酸化アルミニウム粉末を加えて、処理と混合を同時に行うことができ、この方法で製造された組成物も又本発明に包含される。
本発明で使用する成分(C)の無機化合物粉末は、10W/m・K以上の熱伝導率が必要であり、具体例としては、アルミニウム粉末、酸化亜鉛粉末、酸化チタン粉末、アルミナ粉末、窒化ホウ素粉末、窒化アルミニウム粉末の中から選択される少なくとも1種を挙げることができる。なお、本明細書における熱伝導率は、京都電子工業(株)社製の、商品名QTM-500の装置により測定した値である。
上記無機化合物粉末粒子の表面は、必要に応じてオルガノシラン、オルガノシラザン、オルガノポリシロキサン、有機フッ素化合物等で疎水化処理が施されていても良い。
本発明で使用する成分(C)の無機化合物粉末の平均粒径は、得られる組成物の熱伝導性及び作業性の観点から0.5〜100μmの範囲であることが好ましく、特に1〜50μmであることが好ましい。0.5μmより小さくても100μmより大きくても、得られるグリース組成物への充填量を、本発明で所望される200〜400質量部とすることが困難となる。なお、本発明において、上記成分(C)の無機化合物粉末の含有量が200質量部より少ないと組成物の熱伝導率が低くなる一方、400質量部より多くなると組成物の粘度が上昇して作業性が悪化する。
本発明において、成分(D)として使用される一般式(2) R2 bR3 cSi(OR4)4-b-cで表されるオルガノシランは、ウェッターとして用いられると同時に、実際の使用環境下で揮発してグリース組成物の粘度を上昇させ、これによってグリース組成物の耐ズレ性を向上させる。したがって上記オルガノシランの沸点は100℃〜300℃の範囲であることが必要であり、好ましくは120℃〜250℃の範囲である。沸点が100℃未満であると、組成物を常温で保存した際にも揮発が進行して粘度が上昇するので作業性が悪くなる。また、沸点が300℃以上であると使用中に充分に揮発されないため、グリース組成物の耐ズレ性を改善することができない。
但し、上記一般式(2)中のR2は炭素数9〜12の1価のアルキル基、R3は炭素数1〜8の飽和又は不飽和の1価の炭化水素基、R4は炭素数1〜3の1価のアルキル基から選択される少なくとも1種のアルキル基であり、bは0又は1、cは0〜3の整数である。
上記R2の具体例としては、例えばノニル基、デシル基、ドデシル基が挙げられる。炭素数が9より小さいと充填剤との濡れ性が充分でなく、12より大きいとオルガノシランの沸点が高くなりすぎるので、いずれも好ましくない。また、cは0〜3であるが0又は1であることが好ましい。
更に、前記R3は炭素数1〜8の飽和又は不飽和の1価の炭化水素基であり、具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;2-フェニルエチル基、2-メチル-2-フェニルエチル基等のアラルキル基;3,3,3-トリフロロプロピル基、2-(パーフロロブチル)エチル基、2-(パーフロロオクチル)エチル基、p-クロロフェニル基等のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。本発明においては、これらの中でも特に、メチル基、エチル基、ビニル基、フェニル基等が好ましい。
R4の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基などを挙げることができる。
前記一般式(2)で表されるオルガノシランの具体例としては、下記のものを挙げることができる。
C10H21Si(OCH3)3、C11H23Si(OCH3)3、C9H19Si(OC2H5)3、C10H21Si(CH3)(OCH3)2、C10H21Si(C6H6)(OCH3)2、C10H21Si(CH3)(OC2H5)2、C9H19Si(CH=CH2)(OCH3)2、C9H19Si(CH2CH2CF3)(OCH3)2
本発明で使用する成分(D)の使用量は、(A)成分100質量部に対して40〜60質量部の範囲であることが必要である。40質量部より少ないと揮発が不充分となり、60質量部より多くすると室温での揮発が進行しすぎるので作業性が悪化する。即ち、稠度が低いと作業性が悪くなるため、本発明の熱伝導率グリースの稠度は270以上であることが必要であり、300以上であることが好ましい。一方、稠度が200以上であるとグリースが柔らかすぎて、発熱部材と冷却部材の間でズレが発生するため、使用後のグリースの稠度は200以下であることが好ましく、特に、180以下であることが好ましい。また、使用後のグリースの稠度は100以上であることが好ましく、それ以下の場合には発熱部材と冷却部材への追随性が悪くなる場合がある。
そこで本発明の熱伝導性グリースには、使用前のグリースの稠度が270以上となるように(D)成分を含有させ、グリースの使用時に該(D)成分の一部を揮発させて、発熱部材と冷却部材の間に適用した後のグリースの稠度を200以下とすることができるように構成されている。この場合の実際の作業は、本発明の熱伝導性グリースを発熱部材等の被塗布物の表面に薄く塗布した後、90℃程度で30分程度加熱して(D)成分の約40質量%を揮発させ、その後冷却部材等をグリース表面に接着させ、グリースを挟み込んで行う。この場合の(D)成分の揮発条件は、(D)成分の約40質量%が揮発するように行えば良く、上記の揮発条件に限定されないことは当然である。
尚、本明細書におけるグリース組成物の稠度は、JISK2220に記載された方法に従い、不混和時の稠度を、1/4円錐を使用した針入度試験機を用いて測定した値である。
本発明においては、上記した(A)〜(D)の成分以外にも、必要に応じて、劣化を防ぐための酸化防止剤や耐熱性向上剤等を更に添加しても良い。これらの酸化防止剤や耐熱性向上剤等は、公知のものの中から適宜選択して使用することができる。
本発明のグリースを製造するには、各成分を、トリミックス、ツウィンミックス、プラネタリミキサー(何れも井上製作所(株)製混合機の登録商標)、ウルトラミキサー(みずほ工業(株)製混合機の登録商標)、ハイビスディスパーミックス(特殊機化工業(株)製混合機の登録商標)等の混合機を用いて、公知の方法に従って混合すれば良い。
以下、実施例及び比較例によって本発明を更に詳述するが、本発明はこれらによってなんら限定されるものではない。尚、本発明の効果を確認する試験は次のようにして行った。実施例の結果は表2に、比較例の結果は表3に示した通りである。
〔粘度〕
グリース組成物の絶対粘度は、マルコム粘度計(タイプPC-1T)を用いて25℃で測定した。
〔熱伝導率〕
各グリース組成物を、3cm厚の型に流し込んでキッチン用ラップをかぶせ、京都電子工業(株)社製の、商品名Model QTM-500の装置を用いて測定した。
〔作業性評価〕
10mm×10mmのスクリーンマスクを用い、グリース組成物をゴム製のスキージを用いて塗布した。目視によって塗布後のグリース組成物の均一性を観察した。
(評価結果)
○:均一に塗布できている(作業性良好)
×:塗布困難
〔稠度〕
グリース組成物の稠度は、JISK2220に記載された方法に従い、不混和時の稠度を、1/4円錐を使用した針入度試験機を用いて測定した。
〔耐ズレ性評価〕
2枚のガラスプレートの間に1mm厚みのスペーサーを挟みこみ、その間に0.1mgのグリース組成物を挟みこんで試験片を作製した。この試験片を縦置きとしてヒートサイクル試験機中で静置し、-40℃、90℃にそれぞれ交互に30分ずつさらすエージングを1000サイクル行った。エージング後のグリースの外観を観察することにより耐ズレ性の評価を行った。
(評価結果)
○:グリースのズレは観察されなかった。
×:グリースのズレが観察された。
実施例及び比較例の組成物を構成する成分は下記の通りである。
成分(A):
A-1:((CH3)3SiO1/2) 単位及び((CH3)2SiO)単位からなる、動粘度が5,000mm2/sのオルガノポリシロキサン
A-2:((CH3)3SiO1/2) 単位及び((CH3)2SiO)単位からなる、動粘度が2,000mm2/sのオルガノポリシロキサン
A-3:
Figure 0005373545
A-4(比較例):((CH3)3SiO1/2) 単位及び((CH3)2SiO)単位からなる動粘度が100mm2/sのオルガノポリシロキサン
成分(B):
5リットルのプラネタリーミキサー(井上製作所(株)製)を用い、[表1]の混合比で下記の水酸化アルミニウム粉末を室温で15分間混合し、B-1を得た。
平均粒径1.0μmの水酸化アルミニウム粉末
平均粒径10.0μmの水酸化アルミニウム粉末
Figure 0005373545
成分(C):
C-1:平均粒径15μmのアルミニウム粉末(熱伝導伝導率:237W/m・K)
成分(D)
D-1:C10H21Si(OCH3)3 :沸点180℃
D-2:CH=CH2Si(OC2H5)3 :沸点160℃
D-3:C6H5Si(OC2H5)3 :沸点200℃
D-4:C9H19 (CH3)Si(OC2H5)2 :沸点220℃
D-5:CH3Si(OCH3)3 (比較例):沸点90℃
D-6:C14H29(C6H5)Si(OCH3)2 (比較例)沸点320℃
それぞれの成分を下表に示すように混合して実施例1〜7および比較例1〜7を得た。
Figure 0005373545
Figure 0005373545
このように適切な沸点を有するオルガノシランを選択し、適切な量を配合することにより作業性と耐ズレ性を両立させた放熱用熱伝導性シリコーングリースを得ることができることが確認された。
本発明の放熱用熱伝導性シリコーングリース組成物は、地面に対して垂直な部分に適用されてもズレることがないだけでなく、作業性にも優れているので産業上極めて有用である。

Claims (6)

  1. 下記の成分(A)100質量部、(B)300〜600質量部、(C)200〜400質量部及び(D)40〜60質量部を含有する熱伝導性シリコーングリース組成物であって、稠度が270以上であることを特徴とする放熱用熱伝導性シリコーングリース組成物;
    成分(A):下記一般式(1)で表される、25℃における動粘度が1,000〜10,000mm2/sであるオルガノポリシロキサン
    R1 aSiO(4-a)/2・・・・・・・・・・・(1)
    但し、上式中のR1は炭素数1〜18の飽和又は不飽和の一価の炭化水素基の群の中から選択される少なくとも1種の基であり、aは1.8≦a≦2.2を満足する正数である;
    成分(B):平均粒径が0.5〜5μmの水酸化アルミニウム粉末αと、平均粒径が6〜20μmの水酸化アルミニウム粉末βからなる2種類の水酸化アルミニウム粉末を、質量比がα/(α+β)=0.1〜0.9の割合となるように混合してなる、混合後の平均粒径が1〜15μmである水酸化アルミニウム粉末混合物;
    成分(C):成分(B)ではない、10W/m・K以上の熱伝導率を有する熱伝導性充填材
    成分(D):下記一般式(2)で表される、沸点が100℃〜300℃であるオルガノシラン
    R2 bR3 cSi(OR4)4-b-c・・・・・・・・・・・(2)
    但し、上式中のR2は、炭素数9〜12の1価のアルキル基、R3は炭素数1〜8の飽和又は不飽和の1価の炭化水素基、R4は炭素数1〜3の1価のアルキル基から選択される少なくとも1種のアルキル基であり、bは0又は1、cは0、1,2又は3である。
  2. 前記成分(A)の一部として、下記一般式(3)で表される片末端3官能の加水分解性オルガノポリシロキサンを、成分(A)の0.5〜20質量%となるように含有してなる、請求項1に記載された放熱用熱伝導性シリコーングリース組成物;
    Figure 0005373545
    但し上式中のR5は炭素数1〜6のアルキル基、R6は炭素数1〜18で飽和又は不飽和の、一価の炭化水素基からなる群の中から選択される少なくとも1種の基、dは20〜120の整数である。
  3. 前記成分(B)の水酸化アルミニウム粉末が、オルガノシラン、オルガノシラザン、オルガノポリシロキサン、又は有機フッ素化合物によって疎水化処理された粉末である、請求項1又は2に記載された放熱用熱伝導性シリコーングリース組成物。
  4. 前記成分(B)の水酸化アルミニウム粉末が、成分(A)のオルガノポリシロキサンによって疎水化処理された粉末である、請求項1又は2に記載された放熱用熱伝導性シリコーングリース組成物。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載された放熱用熱伝導性シリコーングリース組成物を発熱部材又は冷却部材の表面に薄く塗布した後、該シリコーングリースの稠度が200以下となるまで(D)成分を揮発させ、次いで冷却部材又は発熱部材をグリース表面に接着させてグリースを発熱部材と冷却部材の間に挟み込むことを特徴とする、放熱用熱伝導性シリコーングリース組成物の使用方法。
  6. 前記(D)成分を少なくとも40質量%揮発させる、請求項5に記載された放熱用熱伝導性シリコーングリース組成物の使用方法。
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