JP2009221311A - 熱伝導性グリース組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱伝導性充填剤の高充填が可能で、作業性に優れた熱伝導性グリース組成物を提供する。
【解決手段】(A)23℃における粘度が10〜10,000mPa・sであり、−COOR1で表される基(R1は、水素原子、または置換もしくは非置換の一価炭化水素基である。)、またはケイ素原子に結合したアルコキシ基、アルケノキシ基もしくはアシロキシ基のいずれかの官能基を分子鎖末端に有し、かつ主鎖に末端官能基数よりも多い個数のアルキレン基を有してなるオイル、および(B)熱伝導性充填剤を含有する。
【選択図】なし
【解決手段】(A)23℃における粘度が10〜10,000mPa・sであり、−COOR1で表される基(R1は、水素原子、または置換もしくは非置換の一価炭化水素基である。)、またはケイ素原子に結合したアルコキシ基、アルケノキシ基もしくはアシロキシ基のいずれかの官能基を分子鎖末端に有し、かつ主鎖に末端官能基数よりも多い個数のアルキレン基を有してなるオイル、および(B)熱伝導性充填剤を含有する。
【選択図】なし
Description
本発明は、熱伝導性充填剤の高充填が可能で、作業性に優れた熱伝導性グリース組成物に関する。
例えばCPU、パワートランジスタのような発熱性電子部品には、使用時の温度上昇による損傷や性能低下を防止するためにヒートシンクなどの放熱体が広く用いられており、発熱性電子部品から発生する熱を放熱体に効率よく伝導させるため、発熱性電子部品と放熱体との間には放熱シートや放熱グリースが使用されている。
放熱グリースはその性状が液体に近く、放熱シートと比べて、発熱性電子部品や放熱体表面の凹凸に影響されることなく両者に密着して界面熱抵抗を小さくすることができる。
一般に、熱伝導性充填剤を多量に配合すると熱伝導性能が改善されることが知られているが、組成物の粘度上昇を招き、作業性や成形性が低下しやすくなるため、その配合量の上限は制限されていた。
そこで、シリコーンオイルをベースとして、アルミナ粉末などの熱伝導性充填剤を多く配合しても、良好な流動性、作業性を有するシリコーングリース組成物が提案されている(例えば特許文献1参照)。
しかしながら、近年の電子部品の高集積化、高速化にともなう発熱量のさらなる増大により、熱伝導性充填剤をさらに高充填でき、熱伝導性に優れたシリコーングリース組成物が求められており、特許文献1に記載されているようなシリコーングリース組成物では、このような要求に十分に応えられるものではない。
特開2004−161797号公報
本発明の目的は、熱伝導性充填剤の高充填が可能で、作業性に優れた熱伝導性グリース組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、ベース成分として、主鎖にアルキレン基を有し、分子鎖末端に特定の官能基を有するオイルを配合することによって、熱伝導性充填剤を多量に配合しても、作業性に優れることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明の熱伝導性グリース組成物は、(A)23℃における粘度が10〜10,000mPa・sであり、−COOR1で表される基(但し、R1は水素原子、または置換もしくは非置換の一価炭化水素基である。)、またはケイ素原子に結合したアルコキシ基、アルケノキシ基もしくはアシロキシ基を分子鎖末端に有し、主鎖に前記官能基数よりも多い個数のアルキレン基を有するオイル、および(B)熱伝導性充填剤を含有することを特徴としている。
本発明によれば、熱伝導性充填剤の高充填が可能であり、作業性に優れている。
以下、本発明の熱伝導性グリース組成物について詳細に説明する。
[(A)成分]
(A)成分のオイルは、本発明の特徴を付与する成分であって、熱伝導性充填剤の高充填を可能にし、作業性を良好にする成分である。
(A)成分のオイルは、本発明の特徴を付与する成分であって、熱伝導性充填剤の高充填を可能にし、作業性を良好にする成分である。
(A)成分は、主鎖にアルキレン基を有し、分子鎖末端にカルボキシル基、−COOR1で表される基(R1は置換もしくは非置換の一価炭化水素基である。)、または、ケイ素原子に結合したアルコキシ基、アルケノキシ基もしくはアシロキシ基を有する。
式(1)中、aは1以上の整数であり、好ましくは2〜100である。nは2以上の整数であり、好ましくは2〜100である。mは0または1以上の整数である。
R2は、互いに同一または異なる、置換または非置換の一価炭化水素基である。R2としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;2−フェニルエチル基、2−メチル−2−フェニルエチル基等のアラルキル基;3,3,3−トリフルオロプロピル基、2−(ノナフルオロブチル)エチル基、2−(ヘプタデカフルオロオクチル)エチル基、p−クロロフェニル基等のハロゲン化炭化水素基などの炭素原子数1〜10のものが挙げられ、好ましくはメチル基である。
R3は、炭素原子数2〜10のアルキレン基であり、各々のR3は同一でも異なっていてもよい。このようなアルキレン基の個数は、分子鎖末端に存在する官能基(カルボキシル基、−COOR1で表される基、ケイ素原子に結合したアルコキシ基、アルケノキシ基もしくはアシロキシ基と示す。)の個数よりも多い。アルキレン基としては、例えば、下記のような直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基が挙げられる。
−CH2CH2−
−CH2CH2CH2−
−CH2CH(CH3)−
−CH2CH(CH3)CH2−
−CH2CH2−
−CH2CH2CH2−
−CH2CH(CH3)−
−CH2CH(CH3)CH2−
Xは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、水酸基、または、−R3−Yで表される基のいずれかである。Xがアルキル基の場合には、Xとしては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基などが挙げられる。Xがアルケニル基の場合には、ビニル基、アリル基などが挙げられる。Xが、−R3−Yで表される基の場合には、R3は上述したとおりである。
Yは、−COOR1で表される基、または−SiR4 3Z3−cで表される基のいずれかの基である。
Yが、−COOR1で表される基の場合には、R1は、水素原子または置換もしくは非置換の一価炭化水素基である。R1としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;2−フェニルエチル基、2−メチル−2−フェニルエチル基等のアラルキル基;3,3,3−トリフルオロプロピル基、2−(ノナフルオロブチル)エチル基、2−(ヘプタデカフルオロオクチル)エチル基、p−クロロフェニル基等のハロゲン化炭化水素基などの炭素原子数1〜10のものが挙げられ、好ましくはメチル基である。
Yが、−SiR4 3Z3−cで表される基の場合には、R4は、互いに同一もしくは異なる、置換もしくは非置換の一価炭化水素基である。R4としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;2−フェニルエチル基、2−メチル−2−フェニルエチル基等のアラルキル基;3,3,3−トリフルオロプロピル基、2−(ノナフルオロブチル)エチル基、2−(ヘプタデカフルオロオクチル)エチル基、p−クロロフェニル基等のハロゲン化炭化水素基などの炭素原子数1〜10のものが挙げられ、好ましくはメチル基である。
Zは、アルコキシ基、アルケノキシ基、またはアシロキシ基のいずれかの基である。Zとしては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基;ビニロキシ基、プロペノキシ基、イソプロペノキシ基、1−エチル−2−メチルビニルオキシ基等のアルケノキシ基;アセトキシ基、オクタノイルオキシ基等のアシロキシ基などが挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、より好ましくはメトキシ基である。cは、0〜3の整数である。
熱伝導性充填剤((B)成分)を高充填しても組成物の作業性に優れる点から、これらの中でも、一方の分子鎖末端にトリメトキシシリル基を有し、他方の分子鎖末端にケイ素原子に結合した水素原子(Si−H基)、またはビニル基を有するオイル(式(2)、式(3)で表される)や、一方の分子鎖端部のみに−COOH基を有するオイル(式(7)で表される)が好ましい。
(A)成分の調製方法としては、例えば、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサンとテトラメチルジシロキサンとを、周知のヒドロシリル化反応により重合させて重合体とし、末端にケイ素原子結合水素原子ないしビニル基を有するオイルを合成する。そして、末端がケイ素原子結合水素原子の場合には、ビニルトリメトキシシラン、あるいはウンデシレン酸を付加させることにより、(A)成分を得ることができる。また末端がビニル基の場合には、トリメトキシシランを付加させる方法などにより、(A)成分を得ることができる。
(A)成分の23℃における粘度は、10〜10,000mPa・sであり、好ましくは20〜1000mPa・sである。粘度が10mPa・s未満であると、組成物の安定性が悪化してオイル分離が起こりやすい。一方、10,000mPa・sを超えると、組成物の流動性が低下して作業性の悪化を招く。
[(B)成分]
(B)成分の熱伝導性充填剤としては、熱伝導率が良好なものであればよく、例えば酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の金属酸化物粉末、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の金属窒化物粉末、アルミニウム、銅、銀、ニッケル、鉄、ステンレス等の金属粉末などが挙げられ、なかでも金属酸化物粉末、金属粉末が好ましく、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、アルミニウムがより好ましい。
(B)成分の熱伝導性充填剤としては、熱伝導率が良好なものであればよく、例えば酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の金属酸化物粉末、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の金属窒化物粉末、アルミニウム、銅、銀、ニッケル、鉄、ステンレス等の金属粉末などが挙げられ、なかでも金属酸化物粉末、金属粉末が好ましく、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、アルミニウムがより好ましい。
(B)成分の平均粒径は、0.1〜100μmであり、(B)成分を高充填する上で、平均粒径の異なる熱伝導性充填剤を2種以上混合して細密充填を行うことが好ましい。例えば、(B1)平均粒径5μm以上30μm未満の熱伝導性充填剤の少なくとも1種と、(B2)平均粒径0.05μm以上5μm未満の熱伝導性充填剤の少なくとも1種とを使用することが好ましい。平均粒径は、例えばレーザー光回折法で求めることができる。
(B1)成分は、その平均粒径が5μm以上30μm未満、好ましくは5μm以上20μm未満である。平均粒径が30μmを越えると、組成物の安定性が悪化し、オイル分離が起こりやすい。(B1)の最大粒径は50μm以下であって、粒径5〜30μmの粒子を(B1)中に90wt%以上含むことが好ましい。(B1)は平均粒径が上記範囲であれば、粒径もしくは粒度分布の異なるものを混合して用いてもよい。(B1)の形状は、制限されるものではなく、例えば球状、不定形状、棒状、針状、円盤状のいずれでもよい。
(B2)成分は、その平均粒径が0.05μm以上5μm未満であり、好ましくは0.1μm以上4μm未満である。平均粒径が0.05μm未満であると、所望の低粘度の組成物が得られ難い。(B2)の最大粒径は30μm以下であって、粒径0.05〜10μmの粒子を(B2)中に90wt%以上含むことが好ましい。(B2)は平均粒径が上記範囲であれば、粒径もしくは粒度分布の異なるものを混合して用いてもよい。(B2)の形状は、制限されるものではなく、例えば球状、不定形状、棒状、針状、円盤状のいずれでもよい。
(B)成分は、そのまま用いてもよいが、樹脂成分との濡れ性を向上させる点から、1種または2種以上の周知の表面処理剤((D)成分)でその表面を予め疎水化処理したものを用いてもよい。あるいはこのような表面処理剤を別途組成物中に配合してもよい。
(B)成分の配合量は、(A)成分100重量部に対して100〜60,000重量部、好ましくは1000〜30,000重量部である。配合量が100重量部未満であると、所望の熱伝導率が得られにくい。一方、60,000重量部を越えると、作業性の低下を招く。
ただし、上記(B1)、(B2)のような異なる平均粒径の熱伝導性充填剤を併用する場合には、(B1)、(B2)の配合割合は、(B1)は(B)成分中、20〜80重量%となる量、好ましくは30〜70重量%となる量である。(B1)の配合割合が80重量%を超えると、組成物の製造プロセスで(B)成分と(A)成分を混練した際に、(B)成分が分散せずに粉状になりやすく、他成分の配合が不能になる。一方、(B1)の配合割合が20重量%未満であると、熱伝導率が不十分となる。
[その他任意成分]
上述した(A)成分と(B)成分を基本成分とし、これらに必要に応じてその他任意成分として(C)成分のオイル状のポリオルガノシロキサン(シリコーンオイル)を添加することができる。(C)成分を配合することで、熱伝導性充填剤((B)成分)をより高充填しやすくなる。
上述した(A)成分と(B)成分を基本成分とし、これらに必要に応じてその他任意成分として(C)成分のオイル状のポリオルガノシロキサン(シリコーンオイル)を添加することができる。(C)成分を配合することで、熱伝導性充填剤((B)成分)をより高充填しやすくなる。
[(C)成分]
(C)成分は、その粘度が、23℃において0.01〜10Pa・s、好ましくは0.05〜5Pa・sであり、揮発し難いシリコーンオイルであれば特に制限されるものではない。粘度が0.01Pa・s未満であると、得られる組成物の安定性が悪化してオイル分離が起こり易くなる。一方、10Pa・sを越えると、組成物の流動性が乏しくなる。
(C)成分は、その粘度が、23℃において0.01〜10Pa・s、好ましくは0.05〜5Pa・sであり、揮発し難いシリコーンオイルであれば特に制限されるものではない。粘度が0.01Pa・s未満であると、得られる組成物の安定性が悪化してオイル分離が起こり易くなる。一方、10Pa・sを越えると、組成物の流動性が乏しくなる。
式中、R5はフェニル基であり、R6はメチル基、フェニル基及びビニル基から選ばれる基であり、互いに同一でも異なっていてもよい。なかでも、組成物のオイルブリードを低減し、低粘度で作業性に優れた組成物を与える点から、すべてのR6がメチル基であることが好ましい。
pは正数、qは0以上の数で、かつ、0.70≦p/(p+q)≦1、好ましくは0.80≦p/(p+q)≦1である。p+qは、限定されるものではないが、好ましくは50〜1000である。なお、p,qは、(C)成分の一般式での組成、数値を示しているにすぎず、分子レベルを制限するものではない。
(C)成分としては、例えばジメチルポリシロキサン、ジメチル−ジフェニルシロキサンコポリマー、ジメチル‐メチルフェニルシロキサンコポリマーなどが挙げられる。なかでも、下記式で表されるような、分子鎖両末端がトリメチルシリル基で封鎖されたジメチルポリシロキサンが好ましい。この場合、式(9)において、R6はメチル基であり、qは0であり、pは1〜1000の整数、好ましくは10〜800の整数である。
(C)成分の配合量は、(A)成分100重量部に対して、好ましくは10〜1000重量部であり、より好ましくは20〜800重量部である。(C)成分の配合量が、10重量部未満であると、組成物の流動性が低下しやすくなり、一方、1000重量部を超えると、熱伝導性充填剤((B)成分)の高充填が不能になる場合がある。
[(D)成分]
さらに、本発明の熱伝導性グリース組成物には、(D)成分の表面処理剤(ウェッター)を添加してもよい。
さらに、本発明の熱伝導性グリース組成物には、(D)成分の表面処理剤(ウェッター)を添加してもよい。
(D)成分は、熱伝導性充填剤((B)成分)の粉末表面を処理することにより、熱伝導性充填剤とベースオイルである(A)成分との濡れ性を向上させる成分である。
(D)成分としては、一般式:
R7 sR8 tSi(OR9)4−(s+t)
で表されるアルコキシシランを用いることが好ましい。
R7 sR8 tSi(OR9)4−(s+t)
で表されるアルコキシシランを用いることが好ましい。
式中、sは1〜3の整数であり、好ましくは1である。tは0〜2の整数、s+tは1〜3である。
R7は、互いに同一または異なる、炭素原子数6〜15のアルキル基であり、例えばヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基等が挙げられる。炭素原子数が6より小さいと、熱伝導性充填剤((B)成分)との濡れ性が不充分となりやすい。一方、15より大きいと、(D)成分が常温で固化しやすいのでその取扱いが不便になりやすい上、得られる組成物の耐熱性および難燃性が低下しやすい。
R8は、互いに同一または異なる、非置換または置換の炭素原子数1〜8の飽和または不飽和の一価炭化水素基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;2−フェニルエチル基、2−メチル−2−フェニルエチル基等のアラルキル基;3,3,3−トリフルオロプロピル基、2−(ノナフルオロブチル)エチル基、2−(ヘプタデカフルオロオクチル)エチル基、p−クロロフェニル基等のハロゲン化炭化水素基が挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基である。
R9は、炭素原子数1〜6のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基である。
(D)成分としては、例えば、下記のアルコキシシランが挙げられる。
C6H13Si(OCH3)3
C10H21Si(OCH3)3
C12H25Si(OCH3)3
C12H25Si(OC2H5)3
C10H21Si(CH3)(OCH3)2
C10H21Si(C6H5)(OCH3)2
C10H21Si(CH3)(OC2H5)2
C10H21Si(CH=CH2)(OCH3)2
C10H21Si(CH2CH2CF3)(OCH3)2
C6H13Si(OCH3)3
C10H21Si(OCH3)3
C12H25Si(OCH3)3
C12H25Si(OC2H5)3
C10H21Si(CH3)(OCH3)2
C10H21Si(C6H5)(OCH3)2
C10H21Si(CH3)(OC2H5)2
C10H21Si(CH=CH2)(OCH3)2
C10H21Si(CH2CH2CF3)(OCH3)2
(D)成分の配合量は、(B)成分と(A)成分との濡れ性を向上させる上で、(A)成分100重量部に対して、好ましくは0〜30重量部である。
さらに、本発明の熱伝導性グリース組成物には、耐熱性向上剤、難燃性付与剤、耐酸化劣化剤、着色剤、接着性付与材、チクソトロピー性付与剤、熱伝導性充填剤((B)成分)の沈降防止剤(例えば煙霧質シリカ、焼成シリカなど)、組成物の粘度や作業性を良好にする上で希釈剤(例えば、揮発性のポリオルガノシロキサン)などを本発明の目的を損なわない範囲で添加してもよい。
[組成物の製造方法]
本発明の熱伝導性グリース組成物の製造方法としては、上述した(A)〜(B)成分及びその他任意成分を周知の混練機で、常温、または必要に応じて加熱(例えば50〜150℃)しながら混練する方法が挙げられる。混練機としては、必要に応じて加熱手段や冷却手段を備えた周知の装置を使用でき、例えばプラネタリーミキサー、3本ロール、ニーダー、品川ミキサー、トリミックス、ツインミックス等が挙げられ、単独またはこれらを組み合わせて使用することができる。
本発明の熱伝導性グリース組成物の製造方法としては、上述した(A)〜(B)成分及びその他任意成分を周知の混練機で、常温、または必要に応じて加熱(例えば50〜150℃)しながら混練する方法が挙げられる。混練機としては、必要に応じて加熱手段や冷却手段を備えた周知の装置を使用でき、例えばプラネタリーミキサー、3本ロール、ニーダー、品川ミキサー、トリミックス、ツインミックス等が挙げられ、単独またはこれらを組み合わせて使用することができる。
熱伝導性グリース組成物の23℃における粘度は、50〜900Pa・s、好ましくは80〜800Pa・sである。粘度が900Pa・sを超えると、ディスペンサなどを用いて電子部品に塗布した場合に、吐出し難くなり所望の厚さになりにくいなど、作業性が悪化する。一方、50Pa・s未満であると、塗布時に液ダレを起こしやすい。
熱伝導性グリース組成物は、23℃における熱伝導率が2.0W/(m・K)以上である。熱伝導率が2.0W/(m・K)未満であると、熱伝導性能が不十分になる場合があり、用途が限定され易くなる。
次に、熱伝導性グリース組成物を適用した半導体装置の一例について図面を参照して説明する。図1は、半導体装置の構成を模式的に示す断面図である。
半導体装置1は、配線基板2に実装されたCPU3などの発熱性電子部品とヒートシンク4などの放熱体とを備え、CPU3とヒートシンク4との間には、熱伝導性グリース組成物5が介在されている。
このような半導体装置1は、配線基板2に実装されたCPU3に、例えばディスペンサで熱伝導性グリース組成物5を塗布した後、ヒートシンク4と配線基板2とをクランプ6などで押圧することによって得られる。
熱伝導性グリース組成物5の厚さは、5〜300μmであることが好ましい。厚さが5μmより薄いと、押圧の僅かなずれによりCPU3とヒートシンク4との間に隙間が生じる恐れがある。一方、300μmより厚いと、熱抵抗が大きくなり、放熱効果が悪化し易い。
本発明の熱伝導性グリース組成物によれば、従来に比べて熱伝導性充填剤を多量に配合でき、熱伝導性に優れるため、高信頼性の半導体装置を提供できる。
本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。実施例及び比較例中、平均粒径はレーザー光回折法により測定した値である。
[(A−1)粘度60mPa・s(23℃)のオイルの調製例]
1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン0.3モルとテトラメチルジシロキサン0.4モルとの周知のヒドロシリル化重合により、重合体を得た。次いで、ビニルトリメトキシシラン0.1モルを付加させることにより、平均組成式:
で表されるオイルを得た。
1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン0.3モルとテトラメチルジシロキサン0.4モルとの周知のヒドロシリル化重合により、重合体を得た。次いで、ビニルトリメトキシシラン0.1モルを付加させることにより、平均組成式:
[(A−2)粘度60mPa・s(23℃)のオイルの調製例]
1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン0.4モルとテトラメチルジシロキサン0.3モルとの周知のヒドロシリル化重合により、重合体を得た。次いで、トリメトキシシラン0.1モルを付加させることにより、平均組成式:
で表されるオイルを得た。
1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン0.4モルとテトラメチルジシロキサン0.3モルとの周知のヒドロシリル化重合により、重合体を得た。次いで、トリメトキシシラン0.1モルを付加させることにより、平均組成式:
[(A−3)粘度70mPa・s(23℃)のオイルの調製例]
ビニルトリメトキシシラン0.1モルの代わりに、ウンデシレン酸0.1モルを用いた以外は、上記(A−1)の調製と同様にして、平均組成式:
で表されるオイルを得た。
[実施例1]
前記調製例で得られた(A−1)のオイル100重量部と、(B−2)平均粒径が10μmのアルミニウム粉末704重量部、(B−4)平均粒径が2μmのアルミナ粉末470重量部、(B−6)平均粒径が0.3μmの酸化亜鉛粉末240重量部を、プラネタリーミキサー(ダルトン社製)で均一に混合して、熱伝導性グリース組成物を得た。
ビニルトリメトキシシラン0.1モルの代わりに、ウンデシレン酸0.1モルを用いた以外は、上記(A−1)の調製と同様にして、平均組成式:
[実施例1]
前記調製例で得られた(A−1)のオイル100重量部と、(B−2)平均粒径が10μmのアルミニウム粉末704重量部、(B−4)平均粒径が2μmのアルミナ粉末470重量部、(B−6)平均粒径が0.3μmの酸化亜鉛粉末240重量部を、プラネタリーミキサー(ダルトン社製)で均一に混合して、熱伝導性グリース組成物を得た。
[実施例2]
前記調製例で得られた(A−2)のオイル100重量部と、(B−1)平均粒径が18μmの酸化アルミニウム粉末1140重量部、(B−3)平均粒径が3μmのアルミナ粉末380重量部、(B−5)平均粒径が0.4μmのアルミナ粉末380重量部を、プラネタリーミキサー(ダルトン社製)で均一に混合して、熱伝導性グリース組成物を得た。
前記調製例で得られた(A−2)のオイル100重量部と、(B−1)平均粒径が18μmの酸化アルミニウム粉末1140重量部、(B−3)平均粒径が3μmのアルミナ粉末380重量部、(B−5)平均粒径が0.4μmのアルミナ粉末380重量部を、プラネタリーミキサー(ダルトン社製)で均一に混合して、熱伝導性グリース組成物を得た。
[実施例3]
前記調製例で得られた(A−3)のオイル100重量部と、(B−2)平均粒径が10μmのアルミニウム粉末704重量部、(B−4)平均粒径が2μmのアルミナ粉末470重量部、(B−6)平均粒径が0.3μmの酸化亜鉛粉末240重量部、粘度60mPa・s(23℃)のジメチルポリシロキサン5重量部を、プラネタリーミキサー(ダルトン社製)で均一に混合して、熱伝導性グリース組成物を得た。
[比較例]
前記調製例で得られた(A−1)のオイル100重量部の代わりに、23℃における粘度が60mPa・sのジメチルポリシロキサン100重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして、プラネタリーミキサー(ダルトン社製)で1時間混合を行ったが、粉状のままであり、グリース状にはならなかった。
次いで、実施例1〜3で得られたグリース組成物を、以下のようにして評価し、結果を表1に示した。表1に示した特性は、23℃において測定した値である。
前記調製例で得られた(A−3)のオイル100重量部と、(B−2)平均粒径が10μmのアルミニウム粉末704重量部、(B−4)平均粒径が2μmのアルミナ粉末470重量部、(B−6)平均粒径が0.3μmの酸化亜鉛粉末240重量部、粘度60mPa・s(23℃)のジメチルポリシロキサン5重量部を、プラネタリーミキサー(ダルトン社製)で均一に混合して、熱伝導性グリース組成物を得た。
[比較例]
前記調製例で得られた(A−1)のオイル100重量部の代わりに、23℃における粘度が60mPa・sのジメチルポリシロキサン100重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして、プラネタリーミキサー(ダルトン社製)で1時間混合を行ったが、粉状のままであり、グリース状にはならなかった。
次いで、実施例1〜3で得られたグリース組成物を、以下のようにして評価し、結果を表1に示した。表1に示した特性は、23℃において測定した値である。
[粘度]
得られたグリース組成物の23℃における粘度を、回転粘度計を用いて測定した。
得られたグリース組成物の23℃における粘度を、回転粘度計を用いて測定した。
[熱伝導率]
得られたグリース組成物の熱伝導率を、京都電子工業(株)社製の熱伝導率計(商品名:QTM−500)で測定した。
得られたグリース組成物の熱伝導率を、京都電子工業(株)社製の熱伝導率計(商品名:QTM−500)で測定した。
表1から明らかなように、ベースオイルの(A)成分として、主鎖にアルキレン基を有し、分子鎖末端にアルコキシ基、または−COOH基を有するシリコーンオイルを配合した実施例のグリース組成物は、熱伝導性充填材((B)成分)を高充填でき、作業性に優れている。
1…半導体装置、2…配線基板、3…CPU、4…ヒートシンク、5…熱伝導性グリース組成物、6…クランプ。
Claims (11)
- (A)23℃における粘度が10〜10,000mPa・sであり、−COOR1で表される基(但し、R1は水素原子、または置換もしくは非置換の一価炭化水素基である。)、またはケイ素原子に結合したアルコキシ基、アルケノキシ基もしくはアシロキシ基を分子鎖末端に有し、主鎖に前記官能基数よりも多い個数のアルキレン基を有するオイル、および
(B)熱伝導性充填剤
を含有することを特徴とする熱伝導性グリース組成物。 - 前記(A)成分の式(1)中のXが、水素原子またはアルケニル基であり、Yがトリアルコキシシリル基であることを特徴とする請求項2記載の熱伝導性グリース組成物。
- 前記(B)成分が、平均粒径5μm以上30μm未満の熱伝導性充填剤の少なくとも1種と、平均粒径0.05μm以上5μm未満の熱伝導性充填剤の少なくとも1種とを含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の熱伝導性グリース組成物。
- 前記(B)成分が、酸化アルミニウム、酸化亜鉛及びアルミニウムの群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の熱伝導性グリース組成物。
- 前記(B)成分の配合量が、(A)成分100重量部に対して100〜60,000重量部であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の熱伝導性グリース組成物。
- 前記(C)成分が、前記式(9)において、R6はメチル基であり、pは1〜1000の整数であり、qは0であることを特徴とする請求項7記載の熱伝導性グリース組成物。
- 前記(C)成分の配合量が、(A)成分100重量部に対して1〜1000重量部であることを特徴とする請求項7または8記載の熱伝導性グリース組成物。
- 熱伝導率が、2.0W/(m・K)以上であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項記載の熱伝導性グリース組成物。
- 23℃における粘度が50〜800Pa・sであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項記載の熱伝導性グリース組成物。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2008
- 2008-03-14 JP JP2008065865A patent/JP2009221311A/ja not_active Withdrawn
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