JP2006160911A - ボールペン用油性インキ及び油性ボールペン - Google Patents

ボールペン用油性インキ及び油性ボールペン Download PDF

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Abstract

【課題】 グリコールモノエーテル系溶剤を用いたボールペン用油性インキ組成物に有効な直流現象防止手段を提供することにより、高い温度及び湿度の環境条件下に長時間放置された際、ペン先からのインキの漏れ出しが発生せず、カスレがなく書き味の優れたボールペン用油性インキ組成物を提供する。
【解決手段】 a)着色剤と、b)溶剤全体の質量基準で10%以上の下記化学構造式(1):
【化1】
Figure 2006160911

で表される溶剤を含んでなるインキ組成物であって、
前記インキ組成物が、さらに無機微粒子を含み、該無機微粒子が、一次粒子径1〜100nm、比表面積20〜1000m2/gを有し、そしてインキ組成物全体の0.001〜10質量%の量で配合されており、そして
前記インキ組成物が、剪断速度38.30(1/秒)で、100〜3000mPa・sの粘度を有することを特徴とするボールペン用油性インキ組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、油性ボールペンとして好適に用いられ、柔らかく滑らかな筆感及び筆記面に対する素早いインキの浸透、筆記によるインキのペン先への拡張濡れ(いわゆる、付着ボテ)やそれを伴い紙面に対するインキのボタ落ち(いわゆる、描線ボテ)を極力抑制し、ペン先の詰まり無しにペン先からのインキの漏れ出しも抑制するボールペン用油性インキ組成物に関するものである。
従来、油性インキが充填されたボールペンいわゆる油性ボールペンは、直射日光や気温変化による温度上昇によってインキの温度が上がったり、高湿度環境でペン先を下向きに長時間放置したりすると、ペン先からインキが漏れ出てしまう現象(以下、「直流現象」という)が発生してしまう。
こういった直流現象を抑制する方法として種々の技法が提案されている。例えば、特開平2−233785号公報では無機または有機顔料等の所定の平均粒径と給油量を有する粉体を添加する方法が提案されているが、比較的粘度の低いインキの場合、完全には直流現象を防止することができない。
また、水をベースにしたインキでは特開昭62−501914号公報には、減粘性ポリマー物質を用いて剪断減粘性を付与して直流現象を防止する方法が記載されている。しかし、水を使用しない、いわゆる有機溶剤をベースとしたインキでは、直流現象を防止するに足る剪断減粘性を付与することは困難である。
更に、実開平5−58362号公報では微小スプリングを用いてペン先のボールを先端チップ内に押し付け、機構的に直流現象を防ぐ方法も提案されているが、直流減少防止としては依然として不完全であり、チップ作製上の困難を伴う。
また、特開平8−134391号公報に記載されるように、球状シリコーン樹脂微粒子をインキに添加して直流現象を防止する方法も提案されている。
更に、特開平10−195365号公報および同10−204368号公報に記載されるように、1次平均粒子径7〜40nmの微粒子シリカをインキに添加して直流現象を防止する方法、特開2004−2541公報に記載されるように、加圧高粘度インキにおいてシリカを使用したもの等も報告されている。これらの場合では、通常、インキ溶剤に比較的高沸点を有する揮発性の低い芳香族系グリコールエーテルと芳香族系アルコールとの混合溶剤を使用している。
国際公開第WO01/74956号パンフレットには、油性ボールペンに要求される種々の性能を満たすボールペン用油性インキ組成物が記載されており、その請求項1には、主溶剤として式1:
Figure 2006160911
であらわされるグリコモノエーテル系溶剤を用いることが提案されている。上述した直流現象を抑制するための従来の技法を、このグリコモノエーテル系溶剤と組み合わせて用いると良好な結果が得られないことが分かった。
例えば、特開平8−134391号公報に記載されている球状シリコーン樹脂微粒子をこのグリコモノエーテル系溶剤と組み合わせて用いると、球状シリコーン樹脂微粒子がインキ内で分散せず分離が生じてしまう。
前述の特開平10−195365号公報等に記載されているシリカを、国際公開第WO01/74956号パンフレットに提案されているような、吸湿性の高いグリコモノエーテル系溶剤を使用した場合、シリカのような顔料表面上に親水性が高い物質の使用により、インキ成分が析出し、また顔料分散インキの場合は分散系の崩壊が生じ、ペン先で詰まってしまって筆記に支障をきたすことがあることが経験的にわかっている。
特開平2−233785号公報 特開昭62−501914号公報 実開平5−58362号公報 特開平8−134391号公報 特開平10−195365号公報 特開平10−204368号公報 特開2004−2541公報 国際公開第WO01/74956号パンフレット
本発明は、インキ溶剤として式(1)で表すグリコールモノエーテル系溶剤の揮発性の高さと吸湿性の強さがあることでチップ先端での弱い凝集力を有効な直流現象防止手段を提供することにより、コントロールし、高い温度及び湿度の環境条件下に長時間放置された際、ペン先からのインキの漏れ出しが発生せず、カスレがなく書き味の優れたボールペン用油性インキ組成物を提供し、またそれを用いたボールペンを提供することを目的とする。
本発明者は、式(1)で表す溶剤を用いたボールペン用油性インキ組成物に、以下に示す特定の無機微粒子を添加することにより上述の課題を解決できることを見いだした。
(1)a)着色剤と、b)溶剤全体の質量基準で10%以上の下記化学構造式(1):
Figure 2006160911
で表される溶剤を含んでなるインキ組成物であって、
前記インキ組成物が、さらに無機微粒子を含み、該無機微粒子が、一次粒子径1〜100nm、比表面積20〜1000m2/gを有し、そしてインキ組成物全体の0.001〜10質量%の量で配合されており、そして
前記インキ組成物が、剪断速度38.30(1/秒)で、100〜3000mPa・sの粘度を有することを特徴とするボールペン用油性インキ組成物。
(2)前記式(1)の溶剤が、溶剤全体の質量基準で50%以上である(1)記載のボールペン用油性インキ組成物。
(3)前記無機微粒子が、シリカ、二酸化チタン、マイカ、炭酸カルシウム、酸化アルミニウムからなる群より選ばれる(1)または(2)記載のボールペン用油性インキ組成物。
(4)前記無機微粒子の配合量が0.01〜5質量%である(1)〜(3)のいずれか一つに記載のボールペン用油性インキ組成物。
(5)前記式(1)の溶剤を分散媒として用いて、前記無機微粒子が、濃度が15質量%以下において自己分散する(1)〜(4)のいずれか一つに記載のボールペン用油性インキ組成物。
(6)前記無機微粒子の分散剤として酸成分物質以外の分散剤をさらに含む(1)〜(4)のいずれか一つに記載のボールペン用油性インキ組成物。
(7)前記(1)〜(6)のいずれか一つに記載の油性インキ組成物を用いる油性ボールペン。
本発明によれば、従来の方法とは異なり、溶剤として使用するグリコールモノエーテル系の揮発性の高さと吸湿性の強さがあることでチップ先端での弱い凝集力を特定の無機微粒子を配合することによりコントロールし、高い温度及び湿度の環境条件下に長時間放置された際、ペン先からのインキの漏れ出し(いわゆる直流現象)が発生しない、カスレがなく、書き味の優れたボールペン用油性インキ組成物及びそれを用いたボールペンが提供される
本発明の組成物に用いられる無機微粒子としては一次粒子径が1nm〜100nmの範囲で、比表面積(BET法)が20〜1000m2/gのものが好ましく、粒子表面は親水性であっても疎水性であってもよい。この範囲の1次平均粒子径および比表面積(BET法)を有する無機微粒子を用いることにより、本発明の目的を達成することができる。
本発明に用いる無機微粒子の一次粒子径は、1nm〜100nmであり、好ましくは、5nm〜50nmである。一次粒径が1nm未満であると、凝集する傾向が強くなり、また一次粒径が100nmを超えると、沈降して分離する傾向が強くなりいずれも本発明では使用できない。
本発明に用いる無機微粒子の比表面積は、20〜1000m2/gであり、好ましくは、20〜500m2/gである。
無機微粒子としてはシリカ、二酸化チタン、マイカ、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム等を用いることができる。上述した一次粒径範囲および比表面積範囲を有する無機微粒子は、市販されているものを用いてもよい。具体的には、シリカとしては日本アエロジル社から入手できる、商品名50、90G、130、200、200V、200CF、200FAD、300、300CF、380、R972、972V、R972CF、R974、R202、R805、R812、R812S、OX50、TT600、RX200、RY200、RY200でで表されるもの、シリカとAl23との混合品としては、商品名MOX80、MOX170、COK84で表されるもの、CABOT社から入手できる、商品名L90、LM−130、LM−5、M−5、M−5P、PTG、MS−55、MS−75、HS−5、EH−5、TS−530、TS−610、TS−720で表されるもの、また水澤化学工業社から入手できる、商品名P−526、P−801、P−526N、P−801N、NP−8、P−802、P−527、P−832、P−73、P−75、P−78D、P−87、P−363で表されるもの等がある。
二酸化チタンとしては日本アエロジル社から入手できる、商品名T805、P25、酸化アルミニウムとしては日本アエロジル社から入手できる、商品名酸化アルミニウムCで表されるものがある。更にマイカ、炭酸カルシウム等も微粒子状であれば市販されているものを問題なく用いることができるが、効果は小さい。
これらの無機微粒子の配合量としては、0.001〜10質量%がよく、より好ましくは0.01〜5質量%である。その配合量が0.001質量%未満であると必要な非ニュ−トン流体性指数が小さ過ぎるため付与されるインキ粘性による直流性や滲み等のボールペンの性能の改善が発現しない。また、10質量%を超えると逆に付与される粘性による影響が大きくなり過ぎ、インキの追従性やインキそのものの安定性に極めて悪影響を及ぼすことになる。
本発明に用いる無機微粒子が、以下に説明する化学構造式(1)の溶剤に自己分散するものである。これは微粒子分散体の調製に分散剤を必要としないので好ましい。無機微粒子分散体に対する無機微粒子濃度が15質量%以下の場合に、構造式(1)の溶剤に自己分散する無機微粒子が好ましい。
無機微粒子を、無機微粒子分散体として分散させた場合に、自己分散しないで沈降や分離が生じると、インク組成物に配合したあと、初期的および経時的にペン先での目詰まりや色別れ等の悪影響を与える場合がある。化学構造式(1)の溶剤を分散媒として用い、分散剤を使用しないで分散できる本発明に係る無機微粒子はこの様な沈降や分離の問題が生じない。
本発明のインキ組成物において、無機微粒子分散体の調製に分散剤を用いる必要はないが、分散効率または保存性の点で分散剤が溶存していた方が都合の良い場合があるため、インキ組成物に悪影響を与えない種類および範囲で分散剤を用いてもよい。
無機微粒子分散体の調製に用いることができる分散剤としては、最終のインキ組成物に悪影響を与えない分散剤である。酸成分物質からなる分散剤は、無機微粒子の分散時に分散系を崩壊させるので、中和させる必要があり好ましくない。脂肪酸等からなる分散剤も好ましくない。本発明に用いることができる好適な分散剤としては、酸成分物質からなる分散剤でなければ、いずれの分散剤も用いることができる。
インキ調製時に作成する微粒子分散体の安定性、インキへの粘性付与の観点からシリカおよび酸化アルミニウムが特に好ましい無機微粒子である。
本発明のインキ組成物の溶剤としては、次の化学構造式(1)を有する化合物を少なくとも1種類用いる。
Figure 2006160911
化学構造式(1)で表される溶剤化合物は、具体的には例えば、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、ヘキシレングリコール等となることができる。本発明のインキ組成物では構造式(1)で表されるこれらの溶剤化合物を単独で用いても混合して用いてもよいが、混合して用いると、乾燥性、溶解性、臭気などの性能のバランスをとることが容易であるのでより好ましい。
式(1)で表される溶剤は、溶剤質量全体の10%以上を占めることができ、好ましくは、30%以上、最も好ましくは40%〜100%を占めることができる。
式(1)で表される溶剤は、例えば、3−メトキシブタノールが約3.7 mPa・秒(20℃)、3−メチル−3−メトキシブタノールが約7.3 mPa・秒(20℃)、3−メチル−1,3−ブタンジオールが253mPa・秒(25℃)、1,3−ブタンジオールが130.3mPa・秒(20℃)、ヘキシレングリコールが34.4mPa・秒(20℃)、とそれぞれ低い粘度を有し、プロピレングリコールモノメチルエーテルと比べて、染料その他のインキに使用される成分の溶解性が高い特長を有する。したがって、インキ組成物の安定性を高め、沈降物の発生等を防止する効果がある。また、これらの溶剤は、人体に対する影響の面でも問題がなく安全である。
これらの溶剤の蒸気圧は、3−メトキシブタノールが5mmHg(20℃)、3−メチル−3−メトキシブタノールが0.5mmHg(20℃)、3−メチル−1,3−ブタンジオールが0.01mmHg、1,3−ブタンジオールが0.06mmHg、ヘキシレングリコールが0.02mmHgと高く、好ましい揮発性を有し、かつインキ収容管樹脂に対するガス透過性も低いので、本発明のインキ組成物の主溶剤として有用である。
また、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノールなどの化学構造式(1)を有する化合物は、単独であっても混合して用いてもよいが、混合して用いることが、乾燥性、溶解性、臭気などの性能のバランスをとることが容易である点でより好ましい。
また、本発明のインキ組成物において、上述した式(1)で表される溶剤のほかに、補助溶剤を含むことができる。補助溶剤として、例えば、アルコール、多価アルコール、グリコールエーテルから選ばれる溶剤を用いることができる。特にこれらの中でも25℃での蒸気圧が0.001mmHg以上のアルコール、多価アルコール、グリコールエーテルから選ばれる溶剤がより好ましい。
アルコール類としては、炭素数が2以上の脂肪族アルコールが好ましく、例えば、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert-ブチルアルコール、1−ペンタノール、イソアミルアルコール、sec-アミルアルコール、3−ペンタノール、tert-アミルアルコール、n−ヘキサノール、メチルアミルアルコール、2−エチルブタノール、n-ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−オクタノール、2−オクタノール、2−エチルヘキサノール、3,5,5−トリメチルヘキサノール、ノナノール、n−デカノール、ウンデカノール、n−デカノール、トリメチルノニルアルコール、テトラデカノール、ヘプタデカノール、シクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコールやその他多種多様な高級アルコール等が挙げられる。
また、多価アルコールとしては分子内に2個以上の炭素、2個以上の水酸基を有する多価アルコールが好ましく、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、3−メチル−1,3ブンタンジオール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3プロパンジオール、1,3ブタンジオール、1,5ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等が挙げられる。
グリコールエーテルとしては、例えば、メチルイソプロピルエーテル、エチルエーテル、エチルプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、イソプロピルエーテル、ブチルエーテル、ヘキシルエーテル、2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールターシャリーブチルエーテルジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
以上挙げたグリコールエーテル溶剤の中で特に好ましいのは、炭素数2〜7のグリコールエーテルである。また、安全性及び経口毒性等の点からエチレングリコール誘導体等以外の有機溶剤を使用した方が好ましい。
また、以上に挙げた溶剤の他にリン酸エステルとアミン系化合物の混合物との溶解性や揮発性能を妨げない範囲で以下に挙げる補助溶剤を添加することも可能である。それらの例として、多価アルコール類誘導体があり、ソルビタン脂肪酸系、ポリグリセリン高級脂肪酸系、ショ糖脂肪酸系、プロピレングリコール脂肪酸系等の誘導体も挙げられる。
エステル類の補助溶剤としては例えば、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸イソアミル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸イソブチル、プロピオン酸イソアミル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、イソ酪酸メチル、イソ酪酸エチル、イソ酪酸プロピル、吉草酸メチル、吉草酸エチル、吉草酸プロピル、イソ吉草酸メチル、イソ吉草酸エチル、イソ吉草酸プロピル、トリメチル酢酸メチル、トリメチル酢酸エチル、トリメチル酢酸プロピル、カプロン酸メチル、カプロン酸エチル、カプロン酸プロピル、カプリル酸メチル、カプリル酸エチル、カプリル酸プロピル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸エチル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、カプリル酸トリグリセライド、クエン酸トリブチルアセテート、オキシステアリン酸オクチル、プロピレングリコールモノリシノレート、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、3−メトキシブチルアセテート等、種々のエステルが挙げられる。
また、分子内に水酸基を持たない補助溶剤として、ジエーテルやジエステルを用いることができ、具体的には、例えば、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
本発明のボールペン用油性インキ組成物は、インキの粘度調整と耐擦過性の向上のために使用する溶剤に可溶な樹脂を用いることができる。このような樹脂としては、例えば、ケトン樹脂、スチレン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、テルペンフェノール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジンフェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、フェノール系樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、ロジン系樹脂、アクリル系樹脂、尿素アルデヒド系樹脂、マレイン酸系樹脂、シクロヘキサノン系樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン等に代表される樹脂を挙げることができる。
これらの樹脂の配合量としては、インキ組成物の1〜30質量%が好ましく、より好ましくは1〜20質量%である。その配合量が1質量%未満であると粘度調整やペン先での摩耗防止が困難となり、30質量%超だと樹脂以外の原材料が配合が困難になり、また書き味に悪影響を及ぼすことになる。
本発明のボールペン用油性インキに用いることができる着色剤としては、顔料単独または顔料と染料と併用して使用することができる。顔料としてはカーボンブラック、フタロシアニン系、モノアゾ、ジスアゾ、縮合アゾ、キレートアゾ等の不溶性アゾ系および難溶性アゾ系、ならびに可溶性アゾ等の溶性アゾ系を含めたアゾ系、キナクリドン系、ジケトピロロピロール系、スレン系、ジオキサジン系、ならびにイソインドリノン系等の有機顔料を使用することができる。
着色剤としてカーボンブラックを用いる場合は、比表面積の小さなものを使用するのが好ましく、具体的にはBET法にて測定した値で100m2/g以下のものが好ましい。具体的なカーボンブラックとしては、例えば、三菱化成株式会社から入手できるカーボンブラックとして、商品名#33、#32、#30、#25、CF9等が挙げられ、キャボット社から入手できるカーボンブラックとして、商品名REGAL(400R、500R、330R、300R)、ELFTEX(8、12)、STERLINGR等が挙げられ、デグサ(Degussa)社から入手できるカーボンブラックとして、商品名Printex(45、40、300、30、3、35、25、200、A、G)、SB(250、200)等が挙げられ、コロンビアン社から入手できるカーボンブラックとして、商品名RAVEN(1040、1035、1020、1000、890、890H、850、500、450、420、410、H20、22、16、14)等が挙げられる。
着色剤に用いる顔料としては、使用する有機溶剤に溶解し難く、分散後の平均粒径が30nm〜700nmとなるものが好ましい。顔料の配合量は、インキ組成物全量に対し、0.5〜25質量%、好ましくは0.5〜20質量%までの範囲で必要に応じて配合することができる。
使用できる顔料は、単独又は2種以上の混合物となることができる。また、必要に応じて無機顔料を用いた分散体や染料等も分散安定性に悪影響を与えない程度でインク組成物に添加することができる。更に、スチレン、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタアクリル酸、メタアクリル酸エステル、アクリルニトリル、オレフィン系モノマーを重合して得られる樹脂エマルションや、インキ中では膨潤して不定形となる中空樹脂エマルション、または、これらのエマルション自身を着色剤で染着して得られる染着樹脂粒子からなる有機多色顔料等も用いることができる。
本発明のインキ組成物の着色剤として顔料を使用して分散体を調製する場合、上記に挙げたような樹脂の中から顔料を分散できるものを分散剤として選択して使用することができる。活性剤やオリゴマーでも本発明での使用目的に合えばいずれの種類でも用いることができる。具体的な分散剤の例としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリビニルエーテル、スチレン−マレイン酸共重合体、ケトン樹脂、ヒドロキシエチルセルロースやその誘導体、スチレン−アクリル酸共重合体等の合成樹脂やPO・EO付加物やポリエステルのアミン系オリゴマー等を挙げることができる。
顔料を着色剤として用いる場合、顔料分散インキ組成物の製造には、当該技術分野で従来から公知の種々の方法を採用することができる。例えば、上記各成分を配合し、ディゾルバー等の攪拌機により混合攪拌することによって、また、ボールミルやロールミル、ビーズミル、サンドミル、ピンミル等によって混合粉砕した後、遠心分離や濾過によって顔料の粗大粒子、及び未溶解物、混入固形物を取り除くことによって容易に得ることができる。
これらの顔料に対して併用する染料としては分散系を破壊しないものであれは特に制限なく使用することができる。それらの染料としては、通常の染料インキ組成物に用いられる直接染料、酸性染料、塩基性染料、媒染・酸性媒染染料、酒精溶性染料、アゾイック染料、硫化・硫化建染染料、建染染料、分散染料、油溶染料、食用染料、金属錯塩染料等や通常の顔料インキ組成物に用いられる無機および有機顔料の中から任意のものを使用することができる。その配合量は、組成物全量当たり1〜50質量%の範囲が好ましい。
本発明のインキ組成物は、ボール周囲のインキ乾燥凝固物を取れ易くするために、さらにリン酸エステルあるいはそれとアミン系化合物との混合物を含むことができる。本発明に使用されるリン酸エステルは、通常、リン酸モノエステル、ジエステル及び微量のトリエステルからなるものが好ましく、エステル構造も芳香族や脂肪族の2系統がある界面活性剤が好ましい。
リン酸エステル構造を形成し得るアルキル基に関しては、天然及び合成の高級アルコール等から得られるアルキル基を導入している。炭素数10〜20のアルキル基と0〜50のポリオキシエチレン鎖を有するリン酸エステルが使用される。特に炭素数15〜20のアルキル基と0〜4個のポリオキシエチレン鎖を有する様なリン酸エステルが好適である。リン酸エステルは、中和されていることが望ましく中和するためのアミン系物質としてはアルカノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、両性界面活性剤、脂肪アミン系物質などのアミン系化合物で中和することが望ましい。
これらの添加量に関しては、中和による混合物としてインキ組成物に対して0.01〜15質量%を配合することができるが、好適には0.1〜10質量%である。また、特に好適には0.1〜8質量%である。これらは0.01質量%以下だとボール表面のインキ凝着物を取り除き易くすることができない。また、15質量%以上配合してしまうと描線品位としてボールからはじかれ過ぎて描線割れが生じやすくなる等の不具合を起こし易くなってしまう。
更に、本発明では必要に応じて、インキに悪影響を及ぼさず相溶することができる防錆剤、防黴剤、界面活性剤、潤滑剤及び湿潤剤等を配合することができる。特に脂肪酸などは、潤滑剤として好適に使用できる。また、乾燥抑制用添加剤として製品特性上、悪影響を及ぼさない範囲で主溶剤に相溶する不揮発性溶剤等も配合することができる。
本発明のインキ組成物をボールペンに用いる場合には、インキ追従体をボールペン後端部に付与することが好ましい。使用する溶剤は揮発性があるので、揮発防止、吸湿性防止、インキ漏れ防止としてインキ追従体を添加するものである。
インキ追従体としては、インキに使用する溶剤に対して低透過性、低拡散性が必要であり、そのベースとしては不揮発性や難揮発性の流動体、具体的には、ポリブテンや流動パラフィン等、請求項に示す溶剤と基本的に相溶性を有さない非シリコーン系の油脂類を使用することができる。これらの物質の粘度が低い場合、増粘剤やゲル化剤を用いるとよい。具体的には、金属セッケン類、ベントナイト類、脂肪酸アマイド類、水添ヒマシ油類、酸化チタンやシリカやアルミナ等を含む金属微粒子類、セルロース類、エラストマー類等が挙げられる。
本発明の油性ボールペン用インキ組成物は、上記の様に低粘度の溶剤を用いると共に、インキ組成物としての粘度を剪断速度38.30(1/秒)の時、100〜3000mPa・sとなる範囲内に調整する。インキ粘度を当該範囲に調製することにより、柔らかく滑らかな筆感及び筆記面に対する素早いインキの浸透、筆記によるインキのペン先への拡張濡れ(付着ボテ)やそれを伴い紙面に対するインキのボタ落ち(描線ボテ)を極力抑制するものである。
また、剪断減粘指数が無い場合、特許公開2004−107596公報に記載されているように本発明のボールペン用油性インキ組成物に使用される樹脂としては重合度900(計算分子量60,000)以上の高重合度ポリブチルビニラールを用いることが特に好ましい。この樹脂は、インキの内部凝集力をコントロールする原材料であり、これを添加することにより100〜3,000mPa・sの低粘度インキに対しても内部凝集力により転写時の過剰なインキにより発生するボテを回収することが可能となる。この添加量は0.01〜1.5質量%と非常に少ない。添加量において0.01質量%より少ないと上記ボテ現象に対して過剰なインキを回収することができず、また、1.5質量%より多いと粘度が上がりすぎたり、原材料に対して悪影響を及ぼすこととなる。これらの効果を発揮する重合度としては900以上であり、それ以下だと全く効果を示さない。また、使用する溶剤によっても内部凝集力の付き方が変わるため、溶剤によっては補助溶剤の選択によってその溶存状態をコントロールすることでボテ現象の低減の度合いも変わってくる。しかし、本発明で使用する無機微粒子分散体を使用することにより剪断減粘指数が低くなることで上記高重合度タイプのポリビニルブチラールの使用量を少なくすることができ、または添加しないインキとすることができる。これはインキとしての経時安定性の面で少ない方がより好ましい。
また、インキの漏れ出しに対しては、請求項に示す無機微粒子を使用した分散体を用いることで少量の無機微粒子がチップ先端にインキ組成物の固形分や分散状態で若干の目詰まりを誘発し、抑制することができる。また、請求項に示す範囲の無機微粒子分散体を用いることで経時的な吸湿に対する分散系の崩壊も軽減することが可能となる。
本発明のインク組成物の調製においては、少なくとも着色剤と式(1)の構造を有する溶剤とを含んでなるインク組成物中間体および無機微粒子分散体を調製し、その後これらを混合する。前述したように無機微粒子分散体の調製では、式(1)の構造を有する化合物を少なくとも1種類溶剤として用いる。無機微粒子分散体の調製時に、無機微粒子濃度が15質量%以下であれば分散剤を用いる必要はないが、分散効率または保存性を高めるために、最終インキ組成物に悪影響を与えない種類および範囲で分散剤を使用してもよい。
以下の例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これらの例によって限定されるものではない。また、無機微粒子分散体は予めジルコニアビーズ(φ0.5mm)を使用しビーズミル分散を行い調製しておく。それを評価用インキ組成物中間体に添加し、その後、50±10℃オイルバス中で2時間撹拌することで最終のインキ組成物とした。なお、ここで用いるパーセンテージは全て質量パーセントである。
配合割合;評価用インキ組成物:無機粒子分散体組成物=98:2の配合条件として混合し、評価を行った。
<評価用インキ組成物中間体−1>
カーボンブラック#25(着色剤)[三菱化成製] 10%
ポリビニルブチラール BL−S[積水化学製] 5%
YP90L[ヤスハラケミカル製] 8%
ポリビニルブチラール BH−3 [積水化学製] 0.5%
POE(15)オクチルフェニルエーテル(界面活性剤)
[HLB=14、外観=無色油状] 7.0%
3−メトキシブタノール(溶剤) 5.0%
3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール(溶剤) 64.5%
<評価用インキ組成物中間体−2>
バリファーストバイオレット#1702(着色剤)
[オリエント化学工業製] 20.0%
スピロンイエロー C−GNHnew(着色剤)
[保土ヶ谷化学製] 5.0%
ポリビニルブチラール BM−1 [積水化学製] 6.0%
ハイラック110H[日立化成製](樹脂) 3.0%
POE(12)モノイソステアレート(界面活性剤)
[HLB=12、外観=淡黄色油状] 5.0%
3−メトキシブタノール(溶剤) 8.0%
3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール(溶剤) 53.0%
<評価用インキ組成物中間体−3>
染料/顔料系インキ
スピロンブルー C−RH(着色剤)[保土ヶ谷化学工業製] 8%
スピロンバイオレットC−RH(着色剤)[保土ヶ谷化学工業製] 4%
クロモフタルブルーA−3R(着色剤)[チバガイギー社製] 8%
ポリビニルブチラール BH−S[積水化学製] 0.5%
ポリビニルブチラール BH−3 [積水化学製] 0.6%
ハイラック110H(樹脂)[日立化成製] 8%
リン酸エステル: プライサーフA208B 1.47%
アミン系化合物:ポリオキシエチレンアルキルアミン(AMIET105)1.03%
3−メトキシブタノール(溶剤) 13.4%
3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール(溶剤) 55.0%
<評価用インキ組成物中間体−4>
カーボンブラック#25(着色剤)[三菱化成製] 10.0%
ポリビニルブチラール BL−S[積水化学製] 5.0%
YP90L [ヤスハラケミカル製] 8.0%
POE(15)オクチルフェニルエーテル(界面活性剤)
[HLB=14、外観=無色油状] 7.0%
ポリプロピレングリコール(分子量400) 35.0%
ポリプロピレングリコール(分子量700) 25.0%
2−フェノキシエタノール(溶剤) 10.0%
<評価用インキ組成物中間体−5>
カーボンブラック#25(着色剤)[三菱化成製] 5.0%
ポリビニルブチラール BL−S[積水化学製] 2.5%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 50.5%
3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール(溶剤) 5.0%
ジエチレングリコールモノブチルエーテル(溶剤) 37.0%
<分散体組成物−1>
AEROXIDE Alu C(無機微粒子)[デグサ社製]
一次粒子径約13nm、比表面積100±15m/g 10.0%
3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール(溶剤) 90.0%
<分散体組成物−2>
AEROSIL R972(無機微粒子)[日本アエロジル社製]
一次粒子径約16nm、比表面積110±20m/g 10.0%
3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール(溶剤) 90.0%
<分散体組成物−3>
AEROSIL R972(無機微粒子)[日本アエロジル社製]
一次粒子径約16nm、比表面積110±20m/g 10.0%
ポリビニルブチラール BL−S(樹脂)[積水化学製] 5.0%
3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール(溶剤) 85.0%
<分散体組成物−4>
AEROSIL R972(無機微粒子)[日本アエロジル社製]
一次粒子径約16nm、比表面積110±20m/g 30.0%
ポリビニルブチラール BL−S(樹脂)[積水化学製] 5.0%
3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール(溶剤) 65.0%
<分散体組成物−5>
AEROXIDE Alu C(無機微粒子)[デグサ社製]
一次粒子径約13nm、比表面積100±15m/g 0.01%
3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール(溶剤) 99.99%
<分散体組成物−6>(本発明の範囲外の無機微粒子を使用)
TM−DAR(無機微粒子)[大明化学工業社製]
(αアルミナ粉体 比表面積14.5m2/g) 10.0%
ハイラック110H(樹脂)[日立化成製] 5.0%
3−メトキシ,3−メチル,1−ブタノール(溶剤) 85.0%
上記評価用インキ中間体と分散体組成物を組み合わせて、実施例1〜9および比較例1〜21の最終インク組成物を調製した。
Figure 2006160911
上記の実施例や比較例で得られたインキをボールペンに充填し、下記評価テストを行った。試験に用いたボールペンは、内径1.60mmのポリプロピレンチューブ、ステンレスチップ(ボールは超硬合金で、直径1.0mmである)を有するものである。また、充填した後、所定の方法で30分後に下記評価を行った。
1)書出時カスレ評価(機械評価):25℃65%条件下にてペンを60゜にセットし、200gの荷重をかけ、接触する紙を2m/分の速度で動かし、その筆記描線を観察。その時、始点から書出始めた描線の距離を測定する。ペンは5本用意し、その平均値にて測定値とし、以下のように評価した。
0mm<測定値≦50mm:○
50<測定値≦100mm:△
100mm<測定値:×
2)ボテ現象評価(官能評価):25℃65%条件下にてペンを60゜に傾け、定規にて30cm直線書きを連続で3回行い、ペン先のインキの付着の程度を観察し、以下のように評価した。
インキ溜まりが少なくきれいなもの:○
インキ溜まりがあり多少汚れるもの:△
インキの溜まりが多く汚れがひどいもの:×
3)インキ漏れ出し性評価(官能評価):高温多湿条件として35℃、湿度80%の条件下で、ペン先が周辺部に触れない様に注意しながらペンを下向きに3日間放置し、ペン先のインキの付着の程度を観察し、イカのように評価した。
インキ溜まりが少なくきれいなもの:○
インキ溜まりがあり多少汚れるもの:△
インキの溜まりが多く汚れがひどいもの:×
Figure 2006160911
注)1.分散体組成物−4は、分散時にビーズを取り込んだペースト状になってしまいビーズ分離できなかったため、インキ組成物として調整することができなかった。
注)2.分散体組成物−6は、得られた分散体が沈降分離を生じていたためインキ組成物として調整することができなかった。
以上の結果から明らかなように、式(1)の溶剤を用いて調製したインキ組成物中間体と本発明に係る無機微粒子を用いて調製した分散体とを組み合わせた本発明の範囲となる実施例1〜9のインキ組成物が、カスレ評価、ボテ評価およびインク漏出性のいずれにおいても良好な結果を示し、本発明の範囲外となる比較例1〜21のインキ組成物に比べてペン先からのインキの漏れ出し(直流現象)が発生せず、カスレがなく書き味の優れていることが判明した。

Claims (7)

  1. a)着色剤と、b)溶剤全体の質量基準で10%以上の下記化学構造式(1):
    Figure 2006160911
    で表される溶剤を含んでなるインキ組成物であって、
    前記インキ組成物が、さらに無機微粒子を含み、該無機微粒子が、一次粒子径1〜100nm、比表面積20〜1000m2/gを有し、そしてインキ組成物全体の0.001〜10質量%の量で配合されており、そして
    前記インキ組成物が、剪断速度38.30(1/秒)で、100〜3000mPa・sの粘度を有することを特徴とするボールペン用油性インキ組成物。
  2. 前記式(1)の溶剤が、溶剤全体の質量基準で50%以上である請求項1記載のボールペン用油性インキ組成物。
  3. 前記無機微粒子が、シリカ、二酸化チタン、マイカ、炭酸カルシウム、酸化アルミニウムからなる群より選ばれる請求項1または2記載のボールペン用油性インキ組成物。
  4. 前記無機微粒子の配合量が0.01〜5質量%である請求項1〜3のいずれか一項記載のボールペン用油性インキ組成物。
  5. 前記式(1)の溶剤を分散媒として用いて、前記無機微粒子が、濃度が15質量%以下において自己分散する請求項1〜4のいずれか一項記載のボールペン用油性インキ組成物。
  6. 前記無機微粒子の分散剤として酸成分物質以外の分散剤をさらに含む請求項1〜4のいずれか一項記載のボールペン用油性インキ組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項記載の油性インキ組成物を用いる油性ボールペン。
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