JP2006206719A - ボールペン用油性インキ組成物 - Google Patents

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Abstract

【目的】 筆記に際して滑らかに筆記でき、かつ、下向きでのインキ洩れがなく、初筆性能にも優れたボールペン用油性顔料インキを得る事を目的とする。
【構成】 着色剤15〜40重量%と、有機溶剤35〜80重量%と、と樹脂10〜20重量%と、脂肪酸エステル粒子とから少なくともなり、インキ粘度が2,000〜4,000mPa・sの範囲にあるボールペン用油性インキ組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、着色剤、溶剤、樹脂を含有するボールペンに用いる油性インキ組成物に関する。
従来、ボールペン用油性インキ組成物は、染料や顔料などの着色材と、グリコール類や、グリコールエーテル類、高沸点のアルコール等の溶剤と、ケトン樹脂、キシレン樹脂、ロジン誘導樹脂などの紙面への定着を主な目的とした樹脂と、必要に応じてポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール等の粘度調整、流動特性調整、ボテを防止することを主な目的とした樹脂から構成され、樹脂製パイプまたはカートリッジに充填したものをインキタンクとし、このインキタンクにボールペンチップを取り付けて使用される。この様な簡単な構造においてボールペンチップ先端からのインキ漏れを防ぐためにインキ粘度を高く設定している。しかし、インキ粘度が高いために筆記時のタッチが重いという欠点がある。このため、粘度を低くして軽い書き味を有する油性ボールペンが要望されている。しかし、粘度を低くしただけでは微細な隙間をインキが通過しやすくなるため、ボールペンチップのボールとボールホルダーとの隙間からインキ漏れが発生するという問題がある。
特開平6−313143号公報に記載の発明では、25℃において剪断速度400[1/sec]での粘性が100mPa・s以下で、かつ剪断速度5[1/sec]での粘性が1000mPa・s以上であるボールペン用油性インキが提案されている(特許文献1)。
また、特開平10−204368号公報に記載の発明では、粘度が低いインキに一次平均粒子径が7〜40nm比表面積(BET法)が50m/g以上380m/g以下の微粒子シリカを含有する方法が提案されている(特許文献2)。
更に、特開平9−302298号公報に記載の発明では脂肪酸アマイドワックスによりインキに剪断減粘性を付与することで、筆記時の粘度を下げて軽いタッチとし、静止状態では高い粘度によりインキ漏れを防止する提案がなされている(特許文献3)。
特開平6−313143号公報 特開平10−204368号公報 特開平9−302298号公報
しかしながら、特開平6−313143号公報に記載の発明では高温高湿度での長期保存時にて色材の分離やインキ粘度が増加したりしてしまい、インキ漏れが発生したり、インキが追従し難くなり筆記カスレが生じたりする問題があり、特開平10−204368号公報に記載の発明では、長期保存で微粒子シリカの水素結合力が強くなりすぎてインキ追従性が非常に悪くなり筆記カスレが発生したり、書き味も低下する問題がある。また、特開平9−302298号公報に記載の発明でも、脂肪酸アマイドワックスが他の添加剤の影響を受けやすいため、経時安定性に劣り、インキの増粘や色別れが発生してしまい実用には至っていないのが現状である。
本発明は、筆記に際して、かるい筆記圧で滑らかに筆記でき、高温高湿度での長期保存でもインキ漏れが無く、かつ長期保存でも筆記がカスレないボールペン用油性インキ組成物を提供することを目的とする。
この改善策として、本発明は、着色剤と、溶剤と、樹脂と、ボテ防止剤と、脂肪酸エステル粒子とを少なくとも含み、インキ粘度が2000〜4000mPa・s(剪断速度3.5[1/sec]、25℃)であるボールペン用油性インキ組成物を要旨とするものである。
本発明のボールペン用油性インキ組成物は、25℃でのインキ粘度が2000mPa・s以上4000mPa・s以下(剪断速度3.5[1/sec])であるため筆記時の抵抗が小さく、軽い筆記圧でも滑らかに筆記できるものである。そして、O/Oエマルジョンは、インキ中に数μm以上数十μm以下の大きさでインキ中に液滴として存在し、その液−液間の界面張力が作用してボールとボールホルダーの隙間でインキ組成物全体がボールホルダー外部に流出することを防いでいる。また、液滴として存在する脂肪酸エステルは、インキが乾燥するとき表面で乾燥して増粘したインキ層に液滴のまま存在するため、増粘した皮膜部分が壊れ易くかつ流動し易くなり、乾燥皮膜をある程度の強度を持った軟らかい膜に出来ると考えられ、書き出し時に増粘皮膜や乾燥固形分によってインキの吐出が極端に減少する初筆カスレの現象を抑えることができるものと推察される。
着色剤は、従来ボールペン用油性インキ組成物に使用されている顔料を用いることができる。
黒色顔料としてはカーボンブラックが好適に使用できる。ファーネス法によって製造された中性〜アルカリ性カーボンブラックは顔料誘導体による極性基付与により着色力、黒色度の改良効果が大きく特に好適に使用できる。青色顔料としては例えばC.I.Pigment Blue 2、同9、同15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同15:6、同16、同17、同28、同29、同36、同60、同68、同76等が使用できるがフタロシアニン系顔料は特に鮮明な筆跡が得られる。溶剤中での結晶安定性や分散安定性からC.I.Pigment Blue 15:4の顔料誘導体処理タイプや同15:6が好適に使用できる。濃色の筆跡が得られる顔料としてはC.I.Pigment Blue 60が好適である。赤色の顔料としてはC.I.Pigment Red 5、同8、同17、同31、同48:1、同48:2、同48:3、同48:4、同53:1、同57:1、同122、同144、同146、同166、同170、同177、同202、同207、同211、同213、同254、同255、同264、同270、同272等が使用できる。耐光性が良いことと、インキをリフィルに充填した時の外観色が鮮明な赤になることからジケトピロロピロール系のC.I.Pigment Red 254、同255、同264が特に好適である。黄色の顔料としてはC.I.Pigment Yellow 1、同3、同12、同13、同14、同17、同55、同81、同83、同79、同93、同94、同95、同97、同109、同110、同120、同128、同138、同147、同151、同154、同167、同185、同191等が使用できる。緑色の顔料としてはC.I.Pigment Green 7、同36、同37等が使用できるが緑色インキとしては青色顔料と黄色顔料の調色でインキを作成する方がリフィル色が鮮明なインキとなる。これらの顔料の使用量は全インキ組成物に対し15〜40重量%にすることが充分な筆跡濃度を得る為にも好ましい。
顔料は単独でも使用できるが、分散剤を併用するとより安定性が向上するために有効である。具体的には、ディスパロンDA325、同DA375、同1800シリーズ(以上、楠本化成(株)社製)、ソルスパース12000、同20000、同24000、同27000、同28000(以上、アビシア(株)社製)、ディスパビッグ2000、同2001、同180番シリーズ(以上、ビッグケミ−(株)社製)、エフカ4010、同5054(以上、エフカ・アディティブ、仏、社製)、キャリボンB、同L400、サンセパラー100(以上、三洋化成(株)社製)などが挙げられる。その使用量は顔料の添加量により調整するが、全インキ組成物に対し1.0〜20重量%が好ましい。
溶剤は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノノルマルブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノノルマルブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノノルマルブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノフェニルエーテル等のグリコ−ルエーテル系溶剤、ベンジルアルコール、α−メチルベンジルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、イソドデシルアルコール、イソトリデシルアルコール等のアルコール系溶剤やプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、N−メチル−2−ピロリドンなどが使用できる。
これらの溶剤は単独あるいは混合して使用することができる。その使用量はボールペン用油性インキ組成物全量に対して35重量%以上80重量%以下が好ましい。
ボテ防止剤はその呼称の通りボテを防止する為のものであるが、曵糸性樹脂を用いるのが良い。具体的にはポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、アクリル系樹脂などが挙げられ、その中でも曵糸性を示す重合度、構造のものを選択することが好ましい。
樹脂は、定着性向上、筆跡の裏写り防止の他、粘度調整や顔料分散の為に添加するものであり、シクロヘキサノン、アセトフェノン、尿素などのケトンとホルムアルデヒドとの縮合樹脂、シクロヘキサノンの縮合樹脂及びそれらを水素添加した樹脂、マレイン酸樹脂、スチレンとマレイン酸エステルとの共重合体、スチレンとアクリル酸又はそのエステルとの共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、重合脂肪酸とポリアミン類との縮合体であるポリアミド、エポキシ樹脂、ポリビニルアルキルエーテル、クマロン−インデン樹脂、ポリテルペン、キシレン樹脂、ロジン系樹脂やその水素添加物、ロジン変性されたマレイン酸樹脂、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合物、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸ポリメタクリル酸共重合物、ポリオキシエチレンやフェノール樹脂などが挙げられる。好ましくはシクロヘキサノン、アセトフェノン、尿素などのケトンとホルムアルデヒドとの縮合樹脂、シクロヘキサノンの縮合樹脂及びそれらを水素添加した樹脂などのケトン樹脂を用いると、脂肪酸エステルが液滴として安定して存在することが容易になる。
これらの樹脂は単独あるいは混合して使用することができる。その使用量はボールペン用油性インキ組成物全量に対して10重量%以上20重量%以下が好ましい。その範囲内であると筆跡の裏抜けがなく、定着性も付与され、更には脂肪酸エステルの粒子を安定に分散させる事が容易になる。
脂肪酸エステルは、インキ洩れ防止の他、初筆カスレを防止する為のものであり、粒子としてインキ中に不溶解の状態で液滴または固体、半固体として存在していることが必要である。他の配合物と攪拌混合した後で不溶の脂肪酸エステルが分散されていれば良く、使用する溶剤には溶解し、かつ使用する樹脂と相溶しにくいものを選択することが最も好ましい。具体的には、デカグリセリンデカオレイン酸エステル、デカグリセリンデカステアリン酸エステルが挙げられ、インキ中の溶剤には溶解するが、ケトン樹脂を添加すると液滴または固体、半固体として不溶化する性質をもつものが好ましい。粒子の大きさは初筆カスレにはあまり影響しないが、インキ漏れを防止させる為には1μm以上数十μm以下の程度が好ましく、ボールペンリフィルを製造する際にインキ中の気泡を取り除く目的でリフィルを遠心する時に液滴が移動しにくくさせるために、1μm以上10μm以下の程度にインキ中に細かく分散させることが好ましい。
尚、前記必須成分の他、ひまし油、ひまし油のポリオキシエチレン付加物、ポリオキシエチレンアルキルアミン、二硫化モリブデン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸などの潤滑剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤、分散剤などを適宜選択して使用してもよい。
なお、本発明の粘度範囲である2000mPa・s以上4000mPa・s以下は、書き味が明らかに滑らかであると判別できる粘度範囲であり、粘度がこれより低くなると流動しやすくなりボテやインキ洩れが発生しやすくなる。粘度の測定温度はボールペンを使用する環境として25℃を選択し、せん断速度は3.5[1/sec]での値を粘度としている。
本ボールペン用油性インキ組成物の調製は、従来公知のインキ組成物の製造方法を適用することができる。即ち、分散混合機で顔料を他の成分と共に分散させることによってボールペン用油性インキ組成物を得ることができる。なお、製造時、樹脂などの固形物を溶解させる為に加熱することや、顔料などの粗大粒子を除去する為にフィルターを用いることなどは特に好ましい方法である。脂肪酸エステルのO/Oエマルジョンを得る方法としては、先に溶剤にケトン樹脂などの樹脂を溶解させた後、他の成分や脂肪酸エステルを加えて充分に攪拌したり分散機を用いてせん断を付与することにより得られる。
(実施例1)
MA#100(カーボンブラック、三菱化学(株)製) 25.0部
ソルスパース12000(顔料誘導体:青色 アビシア(株)製) 10.0部
エチレングリコールモノフェニルエーテル 37.0部
ベンジルアルコール 11.6部
レジンSK(ケトン樹脂、ヒュルス社(独)製) 14.0部
PVP K−90(ポリビニルピロリドン ISPジャパン(株)社製)0.4部
デカグリン10−O(デカグリセリンデカオレイン酸エステル、日光ケミカルズ(株)製)
2.0部
上記各成分中カーボンブラックとソルスパース12000、デカグリン10−O、PVP K−90を除いた成分を加熱撹拌し、ソルスパース12000を添加して1時間撹拌後カーボンブラックを添加し、ビーズミルで1時間分散した後、デカグリン10−O、PVP K−90を添加し80℃で2時間攪拌機にて撹拌しボールペン用油性黒色顔料インキ組成物を得た(粘度2800mPa・s)。このインキをプレパラートに点滴し、カバーグラスを載せた後、顕微鏡で観察したところ、3μm以上10μm以下の液滴が分散されていることが確認できた。
(実施例2)
カーボンブラック#750(三菱化学(株)製) 23.0部
ソルスパース12000 8.0部
エチレングリコールモノフェニルエーテル 39.5部
ヘキシレングリコール 10.0部
レジンSK 18.0部
PVP K−90 0.5部
デカグリン10−S(デカグリセリンデカステアリン酸エステル、日光ケミカルズ(株)製) 1.0部
上記成分中黒色顔料とソルスパース12000、デカグリン10−S、PVP K−90を除いた成分を加熱撹拌し、ソルスパース12000を添加して1時間撹拌後黒色顔料を添加し、ビーズミルで1時間分散した後、デカグリン10−S、PVP K−90を添加し60℃で2時間撹拌しボールペン用油性黒色顔料インキ組成物を得た(粘度3300mPa・s)。このインキをプレパラートに点滴し、カバーグラスを載せた後、顕微鏡で観察したところ、3μm以上10μm以下の液滴が分散されていることが確認できた。
(実施例3)
カーボンブラック#750(三菱化学(株)製) 20.0部
エスレックBX−10(ポリビニルブチラール:樹脂分散剤、積水化学(株)製)
5.0部
エチレングリコールモノフェニルエーテル 25.6部
ベンジルアルコール 20.0部
ハイラック110H(ケトン樹脂、日立化成(株)製) 16.0部
PEG#200 10.0部
デカグリン10−S 3.0部
MP−1000(アクリル樹脂:ボテ防止剤、綜研化学(株)製) 0.4部
上記成分中黒色顔料とエスレックBX−10、デカグリン10−S、MP−1000を除いた成分を加熱撹拌し、エスレックBX−10を添加して1時間撹拌後黒色顔料を添加し、ビーズミルで1時間分散した後、デカグリン10−S、MP−1000を添加し60℃で3時間撹拌しボールペン用油性黒色顔料インキ組成物を得た(粘度2900mPa・s)。このインキをプレパラートに点滴し、カバーグラスを載せた後、顕微鏡で観察したところ、3μm以上10μm以下の液滴が分散されていることが確認できた。
(実施例4)
C.I.Pigment Green 7 26.0部
ソルスパース12000 8.0部
エチレングリコールモノフェニルエーテル 39.0部
ヘキシレングリコール 17.4部
レジンSK 15.0部
MP−1000 0.6部
デカグリン10−O 1.0部
上記成分中緑色顔料とソルスパース12000とデカグリン10−OとPVP K−90を除いた成分を加熱攪拌し、ソルスパース12000を添加し1時間攪拌後緑色顔料を添加し、ビーズミルで1時間分散した後、デカグリン10−OとPVP K−90を添加し、60℃で3時間攪拌しボールペン用油性緑色顔料インキ組成物を得た(粘度3900mPa・s)。このインキをプレパラートに点滴し、カバーグラスを載せた後、顕微鏡で観察したところ、3μm以上10μm以下の液滴が分散されていることが確認できた。
(比較例1)
実施例1において、レジンSKの量を14.0重量部のところを5.0重量部とし、エチレングリコールモノフェニルエーテルの量を37.0重量部から46.0重量部に変更した以外は実施例1と同様になして黒色のボールペン用油性顔料インキ組成物を得た(粘度2200mPa・s)。このインキをプレパラートに点滴し、カバーグラスを載せた後、顕微鏡で観察したところ、1μm以上の液滴は確認できなかった。
(比較例2)
実施例2において、デカグリン10−Sをオレイン酸に変更した以外は実施例2と同様になして黒色のボールペン用油性顔料インキ組成物を得た(粘度3400mPa・s)。このインキをプレパラートに点滴し、カバーグラスを載せた後、顕微鏡で観察したところ、1μm以上の液滴は確認できなかった。
(比較例3)
実施例2において、デカグリン10−Sを除き、その分をエチレングリコールモノフェニルエーテルを増量した以外は実施例2と同様になして黒色のボールペン用油性顔料インキ組成物を得た(粘度3400mPa・s)。このインキをプレパラートに点滴し、カバーグラスを載せた後、顕微鏡で観察したところ、1μm以上の液滴は確認できなかった。
(比較例4)
実施例1において、レジンSKの量を16.0重量部のところを10.0重量部とし、PVP K−90の量を0.4重量部のところを0.2重量部とし、MA#100の量を25.0重量部のところを18.0重量部とし、エチレングリコールモノフェニルエーテルの量を37.0重量部のところを50.2重量部とした以外は実施例1と同様になして黒色のボールペン用油性顔料インキ組成物を得た(粘度1500mPa・s)。このインキをプレパラートに点滴し、カバーグラスを載せた後、顕微鏡で観察したところ、3μm以上10μm以下の液滴が分散されていることが確認できた。
(比較例5)
実施例3において、ハイラック110Hの量を16.0重量部のところを22.0重量部とし、MP−1000の量を0.4重量部のところを0.8重量部とし、エチレングリコールモノフェニルエーテルの量を25.6重量部のところを19.2重量部とした以外は実施例3と同様になして黒色のボールペン用油性顔料インキ組成物を得た(粘度4900mPa・s)。このインキをプレパラートに点滴し、カバーグラスを載せた後、顕微鏡で観察したところ、3μm以上10μm以下の液滴が分散されていることが確認できた。
上記、実施例1〜4、比較例1〜5で得られたボールペン用油性顔料インキ組成物について、書き味、耐インキ洩れ性、初筆カスレの評価を行なった。結果を表1に示す。
試験サンプルの作成:上記実施例1〜4及び比較例1〜5で得た各ボールペン用油性インキ組成物を市販の油性ボールペン(BP127、ぺんてる(株)製、ペン先はステンレス製ボールホルダーにて直径0.7mmの超硬合金の筆記ボールを抱持したボールペンチップを備えるノック出没式ボールペン)と同様の筆記具に0.24g充填し、試験サンプルとし、下記の試験を行った。結果を表1に示す。
書き味の評価:無作為に選ばれたモニター10名が、各サンプルを比較例5と書き味に関して比較して5段階評価した。比較例2と同等ならば3とし、若干優れていると感じたならば4とし、優れていると感じたならば5とし、若干劣っていると感じたならば2とし、劣っていると感じたならば1として評価した。試験サンプル各々について評価点を平均し、書き味の評価とした。
耐インキ洩れ性:各試験サンプルを15cm手書きで直線を筆記した後ペン先を収容状態とし、試験管立てにペン先が下向きになるように立て掛け、室温で24時間放置する。放置後、ペン先部分に洩れだしたインキがあるかどうかを目視確認する。
○:洩れだしなし
×:漏れ出しあり
初筆カスレ:各試験サンプルを温度が50℃、相対湿度が80%RHの恒温槽にペン先が横向きとなるように入れ、放置した。1ヶ月後、試験サンプルを取り出し、室温の環境で2時間放冷した後、各試験サンプルを用い市販のプリンター用再生紙(A4版)に定規で直線を約20cm筆記した。筆記線の最初の部分がかすれたり、濃度が不十分な部分をかすれ部分とし正常な筆記線となるまでの長さを定規で測定し、初筆かすれ長さ[単位:mm]とした。
Figure 2006206719

Claims (3)

  1. 着色剤と、溶剤と、樹脂と、脂肪酸エステル粒子とを少なくとも含み、インキ粘度が2000mPa・s以上4000mPa・s以下(剪断速度3.5[1/sec]、25℃)であるボールペン用油性インキ組成物。
  2. 樹脂がケトン樹脂であり、その添加量が組成物全量に対して10重量%以上20重量%以下である請求項1記載のボールペン用油性インキ組成物。
  3. 脂肪酸エステルがデカグリセリンデカオレイン酸エステル、及びまたはデカグリセリンデカステアリン酸エステルである請求項1または2記載のボールペン用油性インキ組成物。
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