JP2005133044A - 油性ボールペンインキ用カーボンブラック及びそれを使用した油性ボールペンインキ - Google Patents

油性ボールペンインキ用カーボンブラック及びそれを使用した油性ボールペンインキ

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JP2005133044A JP2003373731A JP2003373731A JP2005133044A JP 2005133044 A JP2005133044 A JP 2005133044A JP 2003373731 A JP2003373731 A JP 2003373731A JP 2003373731 A JP2003373731 A JP 2003373731A JP 2005133044 A JP2005133044 A JP 2005133044A
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克二 有澤
Takushi Maru
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Abstract

【目的】 筆記に際して滑らかに筆記でき、高筆記圧でも筆跡の濃淡や線割れが発生しない、かつ長期保存でも筆記がカスレたり筆記不能が発生しないボールペン用油性インキ組成物を提供することを目的とする。
【構成】 表面にアニオン性置換基を有する有機基が共有結合した油性ボールペンインキ用カーボンブラックと、有機溶剤と、樹脂とを少なくとも含み、粘度が500〜4000mPa・s(剪断速度10[1/sec]、25℃)である油性ボールペンインキ。特に、カルボン酸またはスルホン酸およびこれらの塩をアニオン性置換基として有する芳香族基のジアゾニウム塩との反応によるカーボンブラックと一部または全部が芳香族基を分子中に含む有機溶剤を併用することを特徴とする油性ボールペンインキ。
【選択図】 なし

Description

本発明は、有機溶剤を使用した油性ボールペンの着色剤又はボールペンの筆記部材であるボールの回転を円滑となす潤滑剤となるカーボンブラックに関し、また、このカーボンブラックを使用した油性ボールペンインキに関する。
従来、油性ボールペンインキは、染料や顔料などの着色材と、グリコール類や、グリコールエーテル類、高沸点のアルコール等の溶剤と、ケトン樹脂、キシレン樹脂、ロジン誘導樹脂などの紙面への定着を主な目的とした樹脂と、必要に応じてポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール等の粘度調整、流動特性調整、ボテを防止することを主な目的とした樹脂などからなるものが知られている。
そしてこのインキを樹脂製パイプまたはカートリッジに充填したものをインキタンクとし、このインキタンクにボールペンチップを取り付けて使用される。このボールペンチップは基本的にボールとボールホルダーとから構成されており、筆記時にボールとボールホルダーとの間に摩擦があるため、ボールの回転が阻害されて筆跡に濃淡や線割れが発生することがあった。この現象は、特に高筆記圧で筆記した時に顕著に現われる。そこで従来は、粘度を高く保つことにより潤滑効果を維持していた。しかしながら、粘度が高いため筆記の感触が重いという欠点があり、粘度を低くして滑らかな書き味を有する油性ボールペンが要望されている。しかし、粘度を低くするとボールとボールホルダーとの摩擦を軽減できなくなり、更に、着色剤として顔料を使用したインキにおいては、粘度を低くすることで顔料の沈降が発生しやすくなる問題もある。
そこで、特開平8−41407号公報(特許文献1)、特開平8−41408号公報(特許文献2)に開示されている発明では、特定の構造を有するフッ素系化合物によりインキの潤滑性を保つことで高筆記圧下でも筆跡の濃淡や線割れが発生しないインキの提案がなされ、特開2000−219837公報(特許文献3)に記載の発明では、特定の構造を有する4級アンモニウム塩を添加しインキ粘度を1000〜7000mPa.sにすることで筆跡の濃淡や線割れを防止する提案がなされている。また、特開平7−70504号公報(特許文献4)に記載の発明では、アルコール親和性有機スメクタイトの添加にてインキに擬塑性をもたせ、筆記時に回転するボール付近において見かけの粘度を低くすることで書き味が軽く、しかも線割れやカスレが発生しないボールペン用インキが提案なされ、特開平11−286642号公報(特許文献5)に記載の発明では、特定の粒子径をもつ球状シリカパウダーの添加によりボール周辺部でのボールペアリング効果により、線飛びを防止してインキの潤滑性を保つ提案がなされている。特に、カーボンブラックを使用したインキにおいては、特開2002−60669号公報(特許文献6)に記載の発明に特定の構造を有するアミン誘導体または両性活性剤を分散の補助剤として用いる方法が提案されている。
特開平8−41407号公報 特開平8−41408号公報 特開2000−219837公報 特開平7−70504号公報 特開平11−286642号公報 特開2002−60669公報
しかしながら、特許文献1、特許文献2に記載のフッ素系化合物や特許文献3に記載の4級アンモニウム塩は、他の添加剤との相互作用が強く、長期保存でインキが増粘して筆記が重くなったり筆記カスレが発生したりする問題があった。また、特許文献4に記載のアルコール親和性有機スメクタイトや特許文献5に記載の球状シリカパウダーは、分散が難しいためリフィル製造時の遠心工程で粒子がペン先に集まってインキの吐出を妨げたり、ペン先を下向きにしての長期保存で粒子が沈降してしまい、目詰まりによる筆記不能が発生したりする問題がある。特許文献6のアミン誘導体または両性活性剤はカーボンブラック表面に付着させているだけなので、長期保存で効果がなくなりカーボンブラックの再凝集が発生して目詰まりによる筆記不能が発生するという問題がある。
これらの筆記カスレの問題は、特に高筆記圧にて筆記した場合に顕著に表れる問題である。
本発明は、油性ボールペンインキに使用されて、滑らかに筆記でき、高筆記圧での筆記や長期保存後でも筆記がカスレたり筆記不能が発生しない油性ボールペンインキとすることのできるカーボンブラックを提供することを目的とする。
本発明は、カーボンブラックの粒子表面に、アニオン性置換基を有する有機基が共有結合した油性ボールペンインキ用カーボンブラックを要旨とし、この油性ボールペンインキ用カーボンブラックと、有機溶剤と、樹脂とを少なくとも含み、粘度が500〜4000mPa・s(剪断速度10[1/sec]、25℃)である油性ボールペンインキを要旨とする。
本発明のカーボンブラックは、その表面にアニオン性置換基を有する有機基が共有結合で存在する。このアニオン性置換基は、ボールペンチップを構成するボールやボールホルダーの金属表面のプラスに引き寄せられて、これらの金属表面にアニオン性置換基を表面に有するカーボンブラックが吸着し保護膜を形成すると同時に、ボールとボールホルダーの内面との両方に強いマイナスチャージの層を形成するので、両者に反発効果が生まれて金属の直接接触による食付き現象などを抑制し、ボールの円滑な回転を助けるものと推察され、ボールとボールホルダーとの摩擦を減少させて筆跡の線飛びを防止するものと考えられる。また、アニオン性置換基とカーボンブラックとの結合は共有結合であるため、強い圧力にもカーボンブラックと有機基が分離することなく十分な効果が継続的に得られるものである。
また、特に、アニオン性置換基がカルボン酸またはその塩、およびスルホン酸またはその塩から選ばれる少なくとの一種のアニオン性置換基である場合、有機基が芳香族基であるジアゾニウム塩との反応により作られたカーボンブラックでは、反応により生成したアゾ結合と芳香環とカルボキシル基またはスルホン基との間で分子内共鳴による分極が発生し、強いアニオン性が生じる。そのため、金属表面への吸着が強くなり、更に高度な潤滑効果が得られ、筆跡がより線飛びしにくくなるものと考えられる。
更に、本発明のカーボンブラックを油性ボールペンインキに使用すると、カーボンブラック表面がアニオン性置換基により電荷を持つと共に有機基による立体障害効果により一度細かく分散されたものが再凝集しづらく、且つアニオン性置換基を有する有機基が共有結合でカーボンブラック表面に存在するためカーボンブラックと有機基の分離がなく効果が変わらないので、インキ中にて長期の経時にも高い分散性を安定に維持すると考えられる。
特に、分子中に芳香族基を有する有機溶剤を少なくとも一種含んでなる有機溶剤と有機機が芳香族基である改質カーボンブラックを併用することでカーボンブラックとバインダーの濡れ性が良くなることでカーボンブラックの分散安定性がさらに良くなるものと考えられる。
以下詳細に説明する。
本発明にて使用される、表面にアニオン性置換基を有する有機基を共有結合する前のカーボンブラックとしては、チャネル法で製造されたカーボンブラックが黒色度が大きく好適に使われる。また、ファーネス法によって製造されたカーボンブラックも好適に使用できる。たとえば、#10B、#20B、#30、#33、#40、#44、#45、#45L、#50、#55、#95、#260、#900、#1000、#2200B、#2300、#2350、#2400B、#2650、#2700、#4000B、CF9、MA8、MA11、MA77、MA100、MA220、MA230、MA600及びMCF88(以上、三菱化学社製)、モナーク120、モナーク700、モナーク800、モナーク880、モナーク1000、モナーク1100、モナーク1300、モナーク1400、モーガルL、リーガル99R、リーガル250R、リーガル300R、リーガル330R、リーガル400R、リーガル500R及びリーガル660R(以上、キャボット社製)、プリンテックスA、プリンテックスG、プリンテックスU、プリンテックスV、プリンテックス55、プリンテックス140U、プリンテックス140V、スペシャルブラック4、スペシャルブラック4A、スペシャルブラック5、スペシャルブラック6、スペシャルブラック100、スペシャルブラック250、カラーブラックFW1、カラーブラックFW2、カラーブラックFW2V、カラーブラックFW18、カラーブラックFW200、カラーブラックS150、カラーブラックS160及びカラーブラックS170(以上、デグサ社製)、ラーベン5000ウルトラII、ラーベン2500ウルトラ、ラーベン1250、ラーベン1060ウルトラ、ラーベン860ウルトラ、ラーベン780ウルトラ、ラーベン760ウルトラ(以上、コロンビアカーボン社製)等が挙げられる。
これらのカーボンブラックは各種反応によりアニオン性置換基を有する有機基と共有結合を生成させてカーボンブラックとして使用されるが、その使用量は全インキ組成物に対し1〜50重量%が好ましく、アニオン性置換基を有する有機基が共有結合したカーボンブラックのみで使用する場合には15〜40重量%にすることが充分な筆跡濃度を得る為にも好ましい。
カーボンブラツクにアニオン性置換基を有する有機基を共有結合させる方法としては種の方法があるが、原材料の入手が容易で簡便にできることから、アニオン性置換基を有する有機基のジアゾニウム塩をカーボンブラックと反応させる方法が好ましい。ジアゾニウム塩は一般的に知られる方法で形成することができるが、例えば、第一アミン、亜硝酸塩および酸を反応させることによって形成することができる。
第一アミンを使用する場合には、アミンの結合した有機基がアニオン性置基を有しており、その有機基としては、脂肪族基、脂環族炭化水素基、複素環式炭化水素基、芳香族炭化水素基などが挙げられる。特にジアゾニウム塩の安定性から芳香族炭化水素基が好ましく、具体的には、フェニル、ナフチル、アントラセニルなどのアリール基、イミダゾリル、ピラゾニル、チエニル、チアゾリル、フリル、トリアジル、インドリルなどのヘテロアリール基が挙げられる。
また、第一アミンの置換基であるアニオン性置換基としては、COOH、COOLi、COONa、COOK、COONR4などのカルボキシル酸およびその塩、SO3H、SO3Li、SO3Na、SO3K、SO3NR4などのスルホン酸およびその塩、OSO3Hのヒドロキシスルホン基、PO3H2、PO3HNa、PO3Na2などのホスホン酸およびその塩、OP03H2、OPO3HNa、OPO3Na2などの燐酸およびその塩を挙げることができる。
特に、通常良く使用されるアニオン性置換基を有する芳香族第一アミンとしては、p−アミノベンゼンスルホン酸、p−トルイジン−m−スルホン酸、p−トルイジン−o−スルホン酸、4−アミノ−2−クロロトルエン−5−スルホン酸、3−アミノ−6−クロロベンゼンスルホン酸、7−アミノ−1,3−ナフタレンジスルホン酸、2−アミノベンゾイックアシッド、p−アミノ安息香酸、3−アミノ−4−クロロベンゾイックアシッド、4−アミノフェニルジサルフライドなどが挙げられる。
亜硝酸塩を使用する場合には、亜硝酸リチウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸鉛などの金属亜硝酸塩、亜硝酸イソアミル、亜硝酸エステルなどの有機亜硝酸塩および亜硝酸ガスを使用することができる。
酸を使用する場合には、一般の無機酸や有機酸が使用できるが、好ましくは、硝酸、塩酸、硫酸、氷酢酸などが使用できる。
これらのアニオン性置換基を有する第一アミン、亜硝酸塩、酸はプロトン性溶媒または非プロトン性溶媒中でジアゾニウム塩を形成し速やかにカーボンブラックと結合して、本発明のアニオン性置換基を有するジアゾニウム塩と反応したカーボンブラックを生成する。
生成されたカーボンブラックは乾燥により溶媒除去してインキに使用される。
このようなアニオン性置換基を有する有機基を共有結合させたカーボンブラックを使用する油性ボールペンインキについて説明する。
有機溶剤は、従来油性ボールペンインキに使用されている溶剤を使用することが可能である。例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノベンジルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノノルマルブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノノルマルブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノノルマルブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノフェニルエーテル等のグリコ−ルエーテル系溶剤、ベンジルアルコール、α−メチルベンジルアルコール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、イソドデシルアルコール、イソトリデシルアルコール等のアルコール系溶剤やプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、N−メチル−2−ピロリドンなどが使用できる。これらの溶剤は単独あるいは混合して使用することができる。その使用量は油性ボールペンインキの全量に対して35〜80重量%が好ましい。特に芳香族炭化水素基を分子中に含む溶剤としては、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルアルコール、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノベンシルアルコール、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、トリプロピレングリコールモノフェニルエーテル、ベンジルアルコール、α−メチルベンジルアルコールなどであり、有機基が芳香族基であるカーボンブラックと併用するとカーボンブラックの安定性がさらに良くなるため好ましい。
樹脂は、定着性向上、筆跡の裏写り防止の他、粘度調整、染料の溶解促進の為に添加するものであり、シクロヘキサノン、アセトフェノン、尿素などのケトンとホルムアルデヒドとの縮合樹脂、シクロヘキサノンの縮合樹脂及びそれらを水素添加した樹脂、マレイン酸樹脂、スチレンとマレイン酸エステルとの共重合体、スチレンとアクリル酸又はそのエステルとの共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール、重合脂肪酸とポリアミン類との縮合体であるポリアミド、エポキシ樹脂、ポリビニルアルキルエーテル、クマロン−インデン樹脂、ポリテルペン、キシレン樹脂、ロジン系樹脂やその水素添加物、ロジン変性されたマレイン酸樹脂、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合物、ポリメチルメタクリレート、ポリイソブチルメタクリレートなどのポリメタクリル酸エステル、メチルメタクリレートとスチレンの共重合体、ポリアクリル酸ポリメタクリル酸共重合物、ポリオキシエチレンやフェノール樹脂などが挙げられる。
これらの樹脂は単独あるいは混合して使用することができる。その使用量は油性ボールペンインキ全量に対して0.05〜50重量%が好ましい。
カーボンブラックと併用して油性染料も併用できる。油溶性染料としては、ローダミンBベース(C.I.45170B、田岡染料製造(株)製)、ソルダンレッド3R(C.I.21260、中外化成(株)製)、メチルバイオレット2Bベース(C.I.42535B、米国、National Aniline Div.社製)、ビクトリアブルーF4R(C.I.42563B)、ニグロシンベースLK(C.I.50415)(以上、独国、BASF社製)、バリファーストイエロー#3104(C.I.13900A)、バリファーストイエロー#3105(C.I.18690)、オリエントスピリットブラックAB(C.I.50415)、バリファーストブラック#3804(C.I.12195)、バリファーストイエロー#1109、バリファーストオレンジ#2210、バリファーストレッド#1320、バリファーストブルー#1605、バリファーストバイオレット#1701、バリファーストバイオレット#1704、(以上、オリエント化学工業(株)製)、スピロンブラックGMHスペシャル、スピロンイエローC−2GH、スピロンイエローC−GNH、スピロンレッドC−GH、スピロンレッドC−BH、スピロンブルーBPNH、スピロンブルーC−RH、スピロンバイオレットC−RH、S.P.T.オレンジ6、S.P.T.ブルー111(以上、保土ヶ谷化学工業(株)製)などが例示できる。これらの染料の使用量は全インキ組成物に対し0.1〜50重量%が好ましい。
インキ粘度は剪断速度10[1/sec]で500〜4000mPa・s(25℃)に調整する必要がある。インキ粘度が500mPa・s以下になると書き味はよいが、ペン先からのインキ滲み出しを十分抑えることが出来ず、書き出しにインキ汚れが発生する。インキ粘度が4000mPa・sを越えると書き味が低下し、一般のボールペンと何らかわりのないものになってしまう。従って、この粘度範囲に調整する必要がある。本発明の粘度ははBOLIN社製粘度計のコーンローターを使用して25℃、剪断速度10[1/sec]にて測定した粘度が500〜4000mPa・sである。
尚、前記必須成分の他、ひまし油、ひまし油のポリオキシエチレン付加物、ポリオキシエチレンアルキルアミン、二硫化モリブデンなどの潤滑剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤、分散剤などを適宜選択して使用してもよい。
特に分散剤はカーボンブラックの分散性および安定性を向上するために有効であり、具体的には、ディスパロンDA325、同DA375、同1800シリーズ(以上、楠本化成(株)社製)、ソルスパース12000、同20000、同24000、同27000、同28000(以上、アビシア(株)社製)、ディスパビッグ2000、同2001、同180番シリーズ(以上、ビッグケミ−(株)社製)、エフカ4010、同5054(以上、エフカ・アディティブ、仏、社製)、キャリボンB、同L400、サンセパラー100(以上、三洋化成(株)社製)などが挙げられる。その使用量はカーボンブラックの添加量により調整するが、全インキ組成物に対し1.0〜40重量%が好ましい。
本油性ボールペンインキの調製は、従来公知のインキ組成物の製造方法を適用することができる。即ち、モノジナイザー、3本ロール、ボールミル、ビーズミルなどの分散混合機でカーボンブラックを他の成分と共に分散させることによって油性ボールペンインキを得ることができる。なお、製造時、染料などの固形物を溶解させる為に加熱することや、カーボンブラックの粗大粒子を除去する為にフィルターや遠心分離機を用いることなどは特に好ましい方法である。
以下、調整例、実施例、比較例を示す。
実施例1
ガラス容器中でp−アミノベンゼンスルホン酸60gと苛性ソーダ13.8gを水600mlに溶解する。これに濃塩酸79gと適量の氷加え1.2lとする。次いで40%亜硝酸ソーダ59.4gを加え1時間攪拌してベンゼンスルホン酸のジアゾニウム塩を得る。次に苛性ソーダ33.2gを水3lに溶解し、プリンテックスV(カーボンブラック、デグサ社製)300gを加えて10分攪拌する。この分散液に上記ジアゾニウム塩を添加して5時間攪拌し、放置後、塩酸にてpHを5に調整する。これに硫酸アルミ122.1g加えて30分攪拌した後、ろ過、水洗、乾燥してスルホン基を有する芳香族基と共有結合したカーボンブラックを得た。
実施例2
ガラス容器中でp−アミノ安息香酸60gと苛性ソーダ17.5gを水600mlに溶解する。これに濃塩酸159.2gと適量の氷加え1.2lとする。次いで40%亜硝酸ソーダ75gを加え1時間攪拌して安息香酸のジアゾニウム塩を得る。次に苛性ソーダ42.1gを水3lに溶解し、プリンテックス−25(カーボンブラック、デグサ社製)300gを加えて10分攪拌する。この分散液に上記ジアゾニウム塩を添加して5時間攪拌し、放置後、塩酸にてpHを4.5に調整する。ろ過、水洗、乾燥してカルボキシル基を有する芳香族基と共有結合したカーボンブラックを得た。
実施例3
ガラス容器中でMA#100(カーボンブラック、三菱化学(株)製)200gを水1.8lと2−アミノエタンスルホン酸49gの溶液に添加し1時間攪拌する。この分散液に濃硫酸43.2gを添加した後、150gの水に33.3g亜硝酸ナトリウムを溶かした溶液をゆっくりと添加した。2−スルホエタンジアゾニウム塩は直ちにカーボンブラックと反応して大量の泡が発生する。放置後、乾燥してスルホン基を有する脂肪族基と共有結合したカーボンブラックを得た。
油性ボールペンインキ1
実施例1のスルホン基を有する有機基と共有結合したカーボンブラック 25.0部
ソルスパース20000(高分子顔料分散剤、アビシア(株)製) 10.0部
プロピレングリコールモノフェニルエーテル 38.5部
ベンジルアルコール 13.0部
レジンSK(ケトン樹脂、ヒュルス社製、独国) 12.0部
MP−1000(非架橋型アクリル樹脂粒子、総研化学(株)製) 0.5部
プライサーフA208(活性剤、第一工業製薬(株)製) 1.0部
上記各成分中カーボンブラックとソルスパース20000、MP−1000を除いた成分を加熱撹拌、ソルスパース20000を添加して1時間撹拌後、実施例1のカーボンブラックを添加し、ビーズミルで1時間分散した後、MP−1000を添加し60℃で2時間撹拌、黒色インキを得た。このインキの粘度は25℃で810mPa・s(剪断速度10[1/sec])であった。
油性ボールペンインキ2
実施例2のカルボキシル基を有する有機基と共有結合したカーボンブラック 20.0部
ソルスパース20000 12.0部
エチレングリコールモノフェニルエーテル 38.6部
ヘキシレングリコール 12.0部
レジンSK 15.0部
PVP K−90(ポリビニルピロリドン、ISP(株)製) 0.4部
デカグリン10−MAC 2.0部
上記成分中カーボンブラックとソルスパース12000、PVP−K90を除いた成分を加熱撹拌し、ソルスパース12000を添加して1時間撹拌後、実施例2のカーボンブラックを添加し、ビーズミルで1時間分散した後、PVP−K90を添加し60℃で2時間撹拌して黒インキを得た。このインキの粘度は25℃で2200mPa・s(剪断速度10[1/sec])であった。
油性ボールペンインキ3
実施例2のカルボキシル基を有する有機基と共有結合したカーボンブラック 32.0部
ディスパロンDA325(分散剤、楠本化成(株)社製) 13.0部
プロピレングリコール 27.0部
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 12.4部
ハイラック110H 12.0部
PVP K−90 0.6部
セラキルアルコール(α−モノアルキルグリセリルエーテル、日光ケミカルズ(株)製)
3.0部
上記成分中カーボンブラックとディスパロンDA375、PVP k−90を除いた成分を加熱撹拌する。ディスパロンDA375を添加して1時間撹拌後、実施例2のカーボンブラックを添加し、ビーズミルで1時間分散した後、PVP k−90を添加し60℃で2時間撹拌して黒色インキを得た。このインキの粘度は25℃で3800mPa・s(剪断速度10[1/sec])であった。
油性ボールペンインキ4
実施例3のスルホン基を有する有機基と共有結したカーボンブラック 24.0部
ソルスパース20000 7.0部
バリファストブラック#1704(染料、オリエント化学(株)製) 3.0部
Disperbyk−160(高分子顔料分散剤ビックケミー・ジャパン(株)製)
2.0部
エチレングリコールモノブチルエーテル 35.4部
ヘキシレングリコール 15.0部
ハイラック110H(ケトン樹脂、日立化成(株)製) 10.0部
DGMO90(モノオレイン酸ジグリセリル、ニッコーケミカルズ(株)社製)
2.0部
デカグリン10−MAC 1.0部
MP−1000(非架橋型アクリル樹脂粒子、総研化学(株)製) 0.6部
上記成分中カーボンブラックとソルスパース20000とDisperbyk−160とMP−1000を除いた成分を加熱撹拌し、ソルスパース20000とDisperbyk−160を添加して1時間撹拌後、実施例3のカーボンブラック顔料を添加し、ビーズミルで1時間分散した後、MP−1000を添加し60℃で2時間撹拌して黒色インキを得た。このインキの粘度は25℃で3300mPa・s(剪断速度10[1/sec])であった。
油性ボールペンインキ5
油性ボールペンインキ1において、プロピレングリコールモノフェニルエーテルの代わりにジエチレングリコールモノブチルエーテル、ベンジルアルコールの代わりにプロピレングリコール、実施例1のスルホン基を有する有機基と共有結したカーボンブラックの変わりにプリンテックスVを用いた以外は実施例1と同様になして黒色の油性ボールペンインキを得た。このインキの粘度は25℃で880mPa・s(剪断速度10[1/sec])であった。
油性ボールペンインキ6
油性ボールペンインキ2において、実施例2のカルボキシル基を有する有機基と共有結合したカーボンブラックの代わりにプリンテックス25を用いた以外は実施例2と同様になして黒色の油性ボールペンインキを得た。このインキの粘度は25℃で2300mPa・s(剪断速度10[1/sec])であった。
油性ボールペンインキ7
油性ボールペンインキ3において、PVPK90を3.5部添加し、増加分をプロピレングリコールで減らし、実施例2のカルボキシル基を有する有機基と共有結合したカーボンブラックの代わりにプリンテックス25を用いた以外はた以外は実施例3と同様になして黒色の油性ボールペン用インキを得た。このインキの粘度は25℃で8100mPa・s(剪断速度10[1/sec])であった。
油性ボールペンインキ8
油性ボールペンインキ4において、実施例3のスルホン基を有する有機基と共有結したカーボンブラックの代わりにMA#100を使用し、MP−1000を3.2部添加し、増加分をジエチレングリコールモノブチルエーテルで減らした以外は実施例4と同様になして黒色の油性ボールペン用インキを得た。このインキの粘度は25℃で6500mPa・s(剪断速度10[1/sec])であった。
油性ボールペンインキ9
油性ボールペンインキ4において、実施例3のスルホン基を有する有機基と共有結したカーボンブラックの代わりにバリファーストバイオレット#1704を使用し、PVPk90を4.0部添加し、増加分をジエチレングリコールモノブチルエーテルで減らした以外は実施例4と同様になして黒色の油性ボールペンインキを得た。このインキの粘度は25℃で8300mPa・s(剪断速度10[1/sec])であった。なお、この油性ボールペンインキ9は従来の一般的な油性ボールペンインキとして後述の書き味評価の基準サンプルとする。
上記、油性ボールペンインキ1〜9について筆記抵抗値試験、書き味モニター試験、高筆圧下での線飛び性、経時後の筆跡濃度差の試験を行なった。結果を表1に示す。
試験サンプルの作成:各油性ボールペンインキ1〜9を市販の油性ボールペン(BK101、ぺんてる(株)製、ペン先はステンレス製チップとφ0.7mmの超硬合金のボールとからなっているキャップ式ボールペン)と同様の筆記具に0.3g充填し、試験サンプルとした。
筆記抵抗値試験
PEN WRITING TESTER MODEL SP−2型(精機工業研究所製)にて、荷重150g、角度70度、速度7cm/sで筆記したときの筆記抵抗値を測定した。数値が大きいものほど、筆記抵抗が大きいことを意味している。
書き味モニター試験
無作為に選ばれたモニター20名に、各サンプルの書き味を「とても軽いと感じる」「軽いと感じる」「普通である」「重いと感じる」「とても重いと感じる」で評価としたとき、一番多かった評価をモニター結果とした。
高筆記圧下での線飛び試験
螺旋機筆記試験機にて、筆記速度7cm/sec、筆記荷重1.96N、筆記角度70°にて筆記し、筆跡を目視判定した。
経時後濃度差の試験
経時性能:試験サンプルを螺旋式筆記試験機HST−10(HUTT社製)にて筆記速度4.5m/分、筆記角度75°、筆記荷重150g、紙送り速度2cm/分にて50m筆記後、70℃の恒温槽にペン先が上向きに3本、下向きに3本投入し、1週間経時した。経時後のサンプルを再度螺旋機にて50m筆記し、経時前筆跡濃度との差をΔ(デルタ)E(=色差)としてカラーコンピュ−タSM−4(スガ試験機(株)製)にて測定した。なお、測定のバラつきを少なくする為、直径12mmの採光板にて筆跡の中央部分を測定した。
Figure 2005133044

Claims (5)

  1. カーボンブラックの粒子表面に、アニオン性置換基を有する有機基が共有結合した油性ボールペンインキ用カーボンブラック。
  2. 前記カーボンブラックの粒子表面との共有結合が、カーボンブラックの粒子表面とアニオン性置換基を有する有機基のジアゾニウム塩との反応により得られたものである請求項1に記載の油性ボールペンインキ用カーボンブラック。
  3. 前記アニオン性置換基のアニオン性がカルボン酸又はスルホン酸又はこれらの塩から選ばれる少なくとも一種による置換基にて得られ、前記有機基がその構造中に芳香族環を有する請求項1又は請求項2に記載の油性ボールペンインキ用カーボンブラック。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の油性ボールペンインキ用カーボンブラックと、有機溶剤と、樹脂とを少なくとも含み、粘度が500〜4000mPa・s(剪断速度10[1/sec]、25℃)である油性ボールペンインキ。
  5. 前記有機溶剤の一部又は全部が分子中に芳香族環を有する有機溶剤である請求項4に記載の油性ボールペンインキ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006206719A (ja) * 2005-01-27 2006-08-10 Pentel Corp ボールペン用油性インキ組成物
JP2010196046A (ja) * 2009-01-30 2010-09-09 Taisei:Kk 油性インキ並びに筆記可能なマーキングペン

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