JP2004256722A - 筆記具用金属光沢色インキ組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】筆記面、とりわけ金属、プラスチック等の非浸透性の筆記面に緻密な金属光沢層を形成して鏡面のような光輝性に優れた筆跡を形成でき、種々のマーキングペンやボールペン等の筆記具に適用して商品価値を高めることのできる筆記具用金属光沢調インキ組成物を提供する。
【解決手段】着色剤として金、銀、白金、銅から選ばれるコロイド粒子と、水や有機溶剤等の溶剤と、着色剤の分散剤とを含有してなる筆記具用金属光沢色インキ組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】着色剤として金、銀、白金、銅から選ばれるコロイド粒子と、水や有機溶剤等の溶剤と、着色剤の分散剤とを含有してなる筆記具用金属光沢色インキ組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は金属光沢色の筆跡が得られる筆記具用インキ組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より着色剤としてアルミニウム粉や、金又は銀粒子等の金属光沢顔料を用いた筆記具用インキ組成物が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
前記筆記具用インキ組成物を用いて筆記面に筆記すると、金属光沢顔料が筆記面に樹脂を介して接着され、金属光沢色の筆跡が得られるものである。
しかしながら、前記顔料は粒子径が数十μm〜数百μmであり、筆記面に筆記面に形成された筆跡は該粒子の径に依存して金属光沢性が十分ではなく、鏡面のような光輝性が得られるものではなかった。
また、前記顔料はその比重と大きさからインキ中で安定して存在し難く、凝集や沈降を生じ易いため、内部にインキ吸蔵体を収容した筆記具や、筆記先端部にインキ流通路の狭いボールペンチップ、或いは、細い繊維チップを設けた筆記具への適用が困難であり、インキ流通路の広いボールペンチップ、或いは、太い繊維チップを備えた、剪断減粘性を付与したゲルインキを収容した筆記具や、インキと共に攪拌球を収容して使用時に攪拌する筆記具に適用が制限されるものであった。
【0003】
【特許文献1】
特開昭58−2368号公報
【0004】
【特許文献2】
特開2002−33067号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記した従来の金属光沢色の筆跡が得られるインキ組成物の欠点を解消するために鋭意検討した結果、着色剤として金、銀、白金から選ばれるコロイド粒子を用いることにより、鏡面のような光輝性を有する筆跡を形成できると共に、種々の筆記具に適用できる金属光沢色インキ組成物を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、着色剤として金、銀、白金、銅から選ばれるコロイド粒子と、溶剤と、分散剤とを少なくとも含有してなる筆記具用金属光沢色インキ組成物を要件とする。
更には、前記コロイド粒子の平均粒子径が5〜30nmであること、前記溶剤は、蒸気圧が5.0〜50mmHg(20℃)の有機溶剤であること、前記有機溶剤がアルコール類、グリコールエーテル類、炭化水素類から選ばれる一種又は二種以上の溶剤であること、前記有機溶剤がn−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルから選ばれる溶剤であること等を要件とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられるコロイド粒子は、平均粒子径が5〜30nmのものが好適に用いられ、材質は金、銀、白金、銅から選ばれる。
前記コロイド粒子を用いることにより、筆記面、とりわけ金属、プラスチック等の非浸透性の筆記面に緻密な金属光沢層を形成でき、鏡面のような光輝性に優れた筆跡を形成させることができる。
【0008】
前記コロイド粒子と共にインキ中に含まれる分散剤は、高分子量重合体に顔料(コロイド粒子)表面に対する親和性の高い官能基が導入された両親媒性の共重合体である。前記分散剤は、ビヒクルに対して充分な相溶性を有することから、顔料ペーストの製造時に顔料分散剤として使用されているものである。
【0009】
前記分散剤としては、
(1)顔料親和性基を主鎖及び/又は複数の側鎖に有し、かつ、溶媒和部分を構成する複数の側鎖を有する櫛形構造の高分子、
(2)主鎖中に顔料親和性基からなる複数の顔料親和部分を有する高分子、
(3)主鎖の片末端に顔料親和性基からなる顔料親和部分を有する直鎖状の高分子が挙げられる。
前記分散剤はコロイド粒子の分散性が良好であり、コロイド粒子に対する保護コロイドとして好適である。
前記分散剤を使用してコロイド粒子を高い濃度で含有するコロイド粒子分散体をビヒクル中に添加して用いることができる。
顔料親和性基とは、顔料の表面に対して強い吸着力を有する官能基であり、例えば、オルガノゾルにおいては、第3級アミノ基、第4級アンモニウム、塩基性窒素原子を有する複素環基、ヒドロキシル基、カルボキシル基;ヒドロゾルにおいては、フェニル基、ラウリル基、ステアリル基、ドデシル基、オレイル基等を挙げることができ、金、銀、白金、銅に対して強い親和力を示すため、保護コロイドとして充分な性能を発揮することができ、インキ中で凝集や沈降を効果的に防止することができる。
【0010】
櫛形構造の高分子(1)は、顔料親和性基を有する複数の側鎖とともに、溶媒和部分構成する複数の側鎖を主鎖に結合した構造のものであり、これらの側鎖が櫛の歯のように主鎖に結合されているものである。
高分子(1)は、数平均分子量が2000〜1000000、好ましくは、4000〜500000である。2000未満であると、分散安定性が充分ではなく、1000000を超えると、粘度が高すぎて取り扱いが困難となり、また、コロイド粒子の粒度分布が広くなり、光輝性が低下し易くなる
顔料親和性基は、1分子中に2〜3000個、好ましくは25〜1500個である。2個未満であると、分散安定性が充分ではなく、3000個を超えると、粘度が高すぎて取り扱いが困難となり、また、コロイド粒子の粒度分布が広くなり、光輝性が低下し易くなる。
なお、顔料親和性基は側鎖末端に限らず、側鎖の途中や主鎖中に複数存在していてもよい。
溶媒和部分は溶媒に親和性を有する部分であって、親水性又は疎水性の構造をいう。溶媒和部分は、例えば、水溶性の重合鎖、親油性の重合鎖等から構成される。
溶媒和部分を構成する側鎖は1分子中に2〜1000、好ましくは、5〜500存在するものが好ましい。2未満であると、分散安定性が充分ではなく、1000を超えると、粘度が高すぎて取り扱いが困難となり、また、コロイド粒子の粒度分布が広くなり、光輝性が低下し易くなる。
【0011】
前記高分子(1)としては、1個以上のポリ(カルボニル−C3 〜C6 −アルキレンオキシ)鎖を有し、これらの各鎖が3〜80個のカルボニル−C3 〜C6 −アルキレンオキシ基を有しかつアミド又は塩架橋基によってポリ(エチレンイミン)に結合されている構造のポリ(エチレンイミン)又はその酸塩からなるもの、ポリ(低級アルキレン)イミンと、遊離のカルボン酸基を有するポリエステルとの反応生成物よりなり、各ポリ(低級アルキレン)イミン連鎖に少なくとも2つのポリエステル連鎖が結合されたもの、末端にエポキシ基を有する高分子量のエポキシ化合物に、アミン化合物と数平均分子量300〜7000のカルボキシル基含有プレポリマーとを反応させたものを挙げることができる。
【0012】
前記高分子(2)は、複数の顔料親和性基が主鎖にそって配置されているものであり、顔料親和性基は、例えば、主鎖にペンダントしているものである。顔料親和部分は、顔料親和性基が1つ又は複数存在して、顔料表面に吸着するアンカーとして機能する部分をいう。
高分子(2)は、数平均分子量が2000〜1000000、好ましくは、4000〜500000である。2000未満では分散安定性が充分ではなく、1000000を超えると、粘度が高すぎて取り扱いが困難となり、また、コロイド粒子の粒度分布が広くなり、光輝性が低下し易くなる。
顔料親和性基は1分子中に2〜3000個、好ましくは、25〜1500個存在することが好ましい。2個未満であると、分散安定性が充分ではなく、3000個を超えると、粘度が高すぎて取り扱いが困難となり、また、コロイド粒子の粒度分布が広くなり、光輝性が低下し易くなる。
【0013】
前記高分子(2)としては、ポリイソシアネートと、モノヒドロキシ化合物及びモノヒドロキシモノカルボン酸又はモノアミノモノカルボン酸化合物の混合物、少なくとも1つの塩基性環窒素とイソシアネート反応性基とを有する化合物との反応物、ポリウレタン/ポリウレアよりなる主鎖に複数の第3級アミノ基又は塩基性環式窒素原子を有する基がペンダントした高分子水溶性ポリ(オキシアルキレン)鎖を有する立体安定化単位、構造単位及びアミノ基含有単位からなる共重合体であって、アミン基含有単量単位が第3級アミノ基若しくはその酸付加塩の基又は第4級アンモニウムの基を含有しており、該共重合体1g当たり0.025〜0.5ミリ当量のアミノ基を含有する共重合体、付加重合体からなる主鎖と、少なくとも1個のC1 〜C4 アルコキシポリエチレン又はポリエチレン−コプロピレングリコール(メタ)アクリレートからなる安定化剤単位とからなり,かつ、2500〜20000の重量平均分子量を有する両親媒性共重合体であって、主鎖は、30重量%までの非官能性構造単位と、合計で70重量%までの安定化剤単位及び官能性単位を含有しており、官能性単位は、置換されているか又は置換されていないスチレン含有単位、ヒドロキシル基含有単位及びカルボキシル基含有単位であり、ヒドロキシル基とカルボキシル基、ヒドロキシル基とスチレン基及びヒドロキシル基とプロピレンオキシ基又はエチレンオキシ基との比率が、それぞれ、1:0.10〜26.1;1:0.28〜25.0;1:0.80〜66.1である両親媒性高分子等を挙げることができる。
【0014】
前記高分子(3)は、主鎖の片末端のみに1つ又は複数の顔料親和性基からなる顔料親和部分を有しているが、顔料表面に対して充分な親和性を有するものである。
高分子(3)は、数平均分子量が1000〜1000000、好ましくは、2000〜500000である。1000未満であると、分散安定性が充分ではなく、1000000を超えると、粘度が高すぎて取り扱いが困難となり、また、コロイド粒子の粒度分布が広くなり、光輝性が低下し易くなる。
顔料親和性基は1分子中に2〜3000個、好ましくは、5〜1500個存在するものが好ましい。2個未満であると、分散安定性が充分ではなく、3000個を超えると、粘度が高すぎて取り扱いが困難となり、また、コロイド粒子の粒度分布が広くなり、光輝性が低下し易くなる。
【0015】
前記高分子(3)としては、一方が塩基性であるA−Bブロック型高分子、Aブロックに芳香族カルボン酸を導入したA−Bブロック型高分子、片末端が塩基性官能基であるA−Bブロック型高分子、片末端が酸性官能基であるA−Bブロック型高分子、Aブロックに芳香族カルボン酸を導入したA−Bブロック型高分子の耐候黄変性を改良したもの等を挙げることができる。
【0016】
前述の分散剤としては、ゼネカ社製のソルスパース20000、同24000、同26000、同27000、同28000、
ビックケミー社製のディスパービック160、同161、同162、同163、同166、同170、同180、同182、同184、同190、
EFKAケミカル社製のEFKA−46、同47、同48、同49や、ポリマー100、同120、同150、同400、同401、同402、同403、同450、同451、同452、同453、
味の素社製のアジスパーPB711、同PA111、同PB811、同PW911、
共栄社化学社製のフローレンDOPA−158、同DOPA−22、同DOPA−17、同TG−730W、同G−700、同TG−720Wを用いることもできる。
【0017】
溶剤としては、油性系インキの場合は有機溶剤、水系インキの場合は水と必要により水溶性有機溶剤が用いられる。
溶剤として好ましくは有機溶剤が用いられ、ガラスやプラスチック等の非浸透性材料に筆記すると鏡面のような光輝性を有する筆跡が形成され易いと共に、筆跡のはじきを防止できる。
油性系インキに用いられる有機溶剤としては、従来より汎用の溶剤を使用でき、インキ組成中40乃至80重量%の範囲で用いられる。
前記有機溶剤としては、ベンジルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ベンジルグリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノフェニルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン等を例示できる。
【0018】
また、有機溶剤として揮発し易い20℃における蒸気圧が5.0〜50mmHgの溶剤を主溶剤として用いると、ガラスやプラスチック等の非浸透性材料に筆記しても、筆跡の乾燥性に優れるため、筆跡を手触した際、未乾燥のインキが手に付着したり、筆記面上の筆跡を形成していない空白部分を汚染する等の不具合を生じることなく、良好な筆跡を形成できる。
蒸気圧が5.0〜50mmHg(20℃)の有機溶剤としては、エチルアルコール(45)、n−プロピルアルコール(14.5)、イソプロピルアルコール(32.4)、n−ブチルアルコール(5.5)、イソブチルアルコール(8.9)、sec−ブチルアルコール(12.7)、tert−ブチルアルコール(30.6)、tert−アミルアルコール(13.0)等のアルコール系有機溶剤、
エチレングリコールモノメチルエーテル(8.5)、エチレングリコールジエチルエーテル(9.7)、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(6.0)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(7.6)等のグリコールエーテル系有機溶剤、
n−ヘプタン(35.0)、n−オクタン(11.0)、イソオクタン(41.0)、メチルシクロヘキサン(37.0)、エチルシクロヘキサン(10.0)、トルエン(24.0)、キシレン(5.0〜6.0)、エチルベンゼン(7.1)等の炭化水素系有機溶剤、
メチルイソブチルケトン(16.0)、メチルn−プロピルケトン(12.0)、メチルn−ブチルケトン(12.0)、ジ−n−プロピルケトン(5.2)等のケトン系有機溶剤、
蟻酸n−ブチル(22.0)、蟻酸イソブチル(33.0)、酢酸n−プロピル(25.0)、酢酸イソプロピル(48.0)、酢酸n−ブチル(8.4)、酢酸イソブチル(13.0)、プロピオン酸エチル(28.0)、プロピオン酸n−ブチル(45.0)、酪酸メチル(25.0)、酪酸エチル(11.0)等のエステル系有機溶剤を例示できる。
なお、括弧内の数字は20℃におけるそれぞれの有機溶剤の蒸気圧を示す。
前記有機溶剤のうち、好適にはアルコール類、グリコールエーテル類、炭化水素類から選ばれる溶剤が用いられ、特にアルコール類のうちn−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、グリコールエーテル類のうちプロピレングリコールモノメチルエーテルが併用する種々の樹脂や各種添加剤の溶解性に優れるため好適に用いられる。
前記20℃における蒸気圧が5.0〜50mmHgの有機溶剤は溶剤中50重量%以上添加される。
また、2種以上の溶剤を併用して用いてもよい。
【0019】
溶剤として水を用いた水性系インキの場合は、水と相溶性のある水溶性有機溶剤を添加することもできる。
前記水溶性有機溶剤としては、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセリン、ソルビトール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、スルフォラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
【0020】
樹脂として、ケトン樹脂、ケトン−ホルムアルデヒド樹脂、アミド樹脂、アルキッド樹脂、ロジン変性樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルピロリドン、α−及びβ−ピネン・フェノール重縮合樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂、スチレンマレイン酸共重合物、セルローズ誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストリン等を用いることもでき、紙面への固着性や粘性付与のために用いられる。
【0021】
なお、本発明のインキ組成物には、必要により染料や顔料を併用することもできる。
着色剤として油性系インキに用いられる染料は、例えば、カラーインデックスにおいてソルベント染料として分類される有機溶剤可溶性染料が挙げられる。
着色剤として水性系インキに用いられる染料は、水性媒体に溶解可能な酸性染料、塩基性染料、直接染料が全て使用可能である。
【0022】
顔料としては、カーボンブラック、群青、二酸化チタン顔料等の無機顔料、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、スレン顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、スロン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリノン系顔料等の有機顔料、アルミニウム粉やアルミニウム粉表面を着色樹脂で処理した金属顔料、透明又は着色透明フィルムに金属蒸着膜を形成した金属光沢顔料、蛍光顔料、蓄光性顔料、芯物質として天然雲母、合成雲母、ガラス片、アルミナ、透明性フィルム片の表面を酸化チタン等の金属酸化物で被覆したパール顔料等が挙げられる。
【0023】
更に、必要により剪断減粘性付与剤を添加することもできる。
前記剪断減粘性付与剤を添加することによって、着色剤の凝集・沈降を抑制することができると共に、筆跡の滲みを抑制することができるため、紙面は勿論、浸透性の高い布帛等の繊維材料に筆記しても筆跡は滲むことなく、良好な筆跡を形成できる。
更に、前記インキを充填する筆記具がボールペン形態の場合、不使用時のボールとチップの間隙からのインキ漏れだしを防止したり、筆記先端部を上向き(正立状態)で放置した場合のインキの逆流を防止することができる。
尚、前記剪断減粘性付与剤を添加したインキ組成物の粘度は、油性系インキの場合、20℃でのE型粘度計による3.84S−1の剪断速度におけるインキ粘度が100mPa・s以上であり、且つ、剪断減粘指数が0.3〜0.9であることが好ましく、水性系インキの場合、20℃でのE型回転粘度計による3.84S−1の剪断速度におけるインキ粘度が20〜300mPa・sを示し、且つ、剪断減粘指数が0.1〜0.9を示すことが好ましい。
前記した粘度範囲及び剪断減粘指数を示すことによって、更にインキ漏れだし、インキの逆流を防止することができる。
なお、剪断減粘指数(n)は、剪断応力値(T)及び剪断速度値(j)の如き粘度計による流動学測定から得られる実験式T=Kjn (Kは非ニュートン粘性係数)にあてはめることによって計算される値である。
【0024】
溶剤として有機溶剤を用いた油性系インキの場合は、架橋型アクリル樹脂、架橋型アクリル樹脂のエマルションタイプ、非架橋型アクリル樹脂、架橋型N−ビニルカルボン酸アミド重合体又は共重合体、非架橋型N−ビニルカルボン酸アミド重合体又は共重合体、水添ヒマシ油、脂肪酸アマイドワックス、酸化ポリエチレンワックス等のワックス類、ステアリン酸、パルミチン酸、オクチル酸、ラウリン酸のアルムニウム塩等の脂肪酸金属塩、ジベンジリデンソルビトール、N−アシルアミノ酸系化合物、スメクタイト系無機化合物、モンモリロナイト系無機化合物、ベントナイト系無機化合物、ヘクトライト系無機化合物、シリカ等を例示できる。
溶剤として水を用いた水性系インキの場合は、キサンタンガム、ウェランガム、構成単糖がグルコースとガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン(平均分子量約100乃至800万)、グアーガム、ローカストビーンガム及びその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸アルキルエステル類、メタクリル酸のアルキルエステルを主成分とする分子量10万〜15万の重合体、グルコマンナン、寒天やカラゲニン等の海藻より抽出されるゲル化能を有する増粘多糖類、ベンジリデンソルビトール及びベンジリデンキシリトール又はこれらの誘導体、架橋性アクリル酸重合体、無機質微粒子、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリン・ラノリンアルコール・ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸アミド等のHLB値が8〜12のノニオン系界面活性剤、ジアルキル又はジアルケニルスルホコハク酸の塩類。N−アルキル−2−ピロリドンとアニオン系界面活性剤の混合物、ポリビニルアルコールとアクリル系樹脂の混合物を例示できる。
なお、前記剪断減粘性付与剤は併用することもできるし、ポリマーについては本発明の樹脂として用いることもできる。
【0025】
本発明のインキ組成物をボールペンに充填して用いる場合は、オレイン酸等の高級脂肪酸、長鎖アルキル基を有するノニオン性界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンオイル、チオ亜燐酸トリ(アルコキシカルボニルメチルエステル)やチオ亜燐酸トリ(アルコキシカルボニルエチルエステル)等のチオ亜燐酸トリエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸モノエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸ジエステル、或いは、それらの金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、アルカノールアミン塩等の潤滑剤を添加してボール受け座の摩耗防止効果を付与することが好ましい。
【0026】
その他、水系インキの場合は必要に応じて炭酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、酢酸ソーダ等の無機塩類、水溶性のアミン化合物等の有機塩基性化合物等のpH調整剤、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、サポニン等の防錆剤、石炭酸、1、2−ベンズチアゾリン3−オンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン等の防腐剤或いは防黴剤、尿素、ノニオン系界面活性剤、還元又は非還元デンプン加水分解物、トレハロース等のオリゴ糖類、ショ糖、サイクロデキストリン、ぶどう糖、デキストリン、ソルビット、マンニット、ピロリン酸ナトリム等の湿潤剤、消泡剤、分散剤、インキの浸透性を向上させるフッ素系界面活性剤やノニオン系の界面活性剤を使用してもよい。
【0027】
前記インキ組成物は、チップを筆記先端部に装着したマーキングペンやボールペンに充填して実用に供される。
マーキングペンに充填する場合、マーキングペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、繊維チップ、フェルトチップ、プラスチックチップを筆記先端部に装着し、軸筒内部に収容した繊維束からなるインキ吸蔵体にインキを含浸させ、筆記先端部にインキを供給する構造、軸筒内部に直接インキを収容し、櫛溝状のインキ流量調節部材や繊維束からなるインキ流量調節部材を介在させる構造、軸筒内部に直接インキを収容して、弁機構により前記筆記先端部に所定量のインキを供給する構造のマーキングペンが挙げられる。
ボールペンに充填する場合、ボールペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、軸筒内部に収容した繊維束からなるインキ吸蔵体にインキを含浸させ、筆記先端部にインキを供給する構造、軸筒内部に直接インキを収容し、櫛溝状のインキ流量調節部材や繊維束からなるインキ流量調節部材を介在させる構造、軸筒内にインキ組成物を充填したインキ収容管を有し、該インキ収容管はボールを先端部に装着したチップに連通しており、さらにインキの端面には逆流防止用の液栓が密接している構造のボールペンを例示できる。
【0028】
前記ボールペンチップについて更に詳しく説明すると、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、或いは、金属材料をドリル等による切削加工により形成したボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、金属又はプラスチック製チップ内部に樹脂製のボール受け座を設けたチップ、或いは、前記チップに抱持するボールをバネ体により前方に付勢させたもの等を適用できる。
又、前記ボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック、樹脂、ゴム等の0.3〜3mm径程度のものが適用できる。
なお、本発明のインキを充填する筆記具は、ボールと同様の転動作用により筆跡を形成させる、ローラー等の転動機構を筆記先端部に備えたものを含む。
【0029】
インキ組成物を収容するインキ収容管は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等の熱可塑性樹脂からなる成形体が用いられる。
更に、インキ収容管として透明、着色透明、或いは半透明の成形体を用いることにより、インキ色やインキ残量等を確認できる。
前記インキ収容管にはチップを直接連結する他、接続部材を介して前記インキ収容管とチップを連結してもよい。
尚、インキ収容管はレフィルの形態として、前記レフィルを軸筒内に収容するものでもよいし、先端部にチップを装着した軸筒自体をインキ収容体として、前記軸筒内に直接インキを充填してもよい。
【0030】
前記インキ収容管に収容したインキ組成物の後端にはインキ逆流防止体を充填することもできる。
前記インキ逆流防止体組成物は不揮発性液体又は難揮発性液体からなる。
具体的には、ワセリン、スピンドル油、ヒマシ油、オリーブ油、精製鉱油、流動パラフィン、ポリブテン、α−オレフィン、α−オレフィンのオリゴマーまたはコオリゴマー、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル等があげられ、一種又は二種以上を併用することもできる。
【0031】
前記不揮発性液体及び/又は難揮発性液体には、ゲル化剤を添加して好適な粘度まで増粘させることが好ましく、表面を疎水処理したシリカ、表面をメチル化処理した微粒子シリカ、珪酸アルミニウム、膨潤性雲母、疎水処理を施したベントナイトやモンモリロナイトなどの粘土系増粘剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属石鹸、トリベンジリデンソルビトール、脂肪酸アマイド、アマイド変性ポリエチレンワックス、水添ひまし油、脂肪酸デキストリン等のデキストリン系化合物、セルロース系化合物を例示できる。
更に、前記液状のインキ逆流防止体組成物と、固体のインキ逆流防止体を併用することもできる。
【0032】
本発明の筆記具用金属光沢色インキ組成物は、溶剤中に、金、銀、白金、銅から選ばれるコロイド粒子分散体、必要により樹脂、各種添加剤を投入、攪拌して調製される。
また、溶媒中に、コロイド粒子分散体、必要により樹脂、各種添加剤を投入して攪拌、溶解し、更に、これとは別に調製した溶媒中に剪断減粘性付与剤を分散した分散液、或いは、剪断減粘性付与剤を直接投入し、攪拌することにより調製される。
【0033】
【実施例】
以下に実施例インキ及び比較例インキの組成を示す。尚、組成の数値は重量部を示す。
実施例1
ボールペン用油性インキの調製
銀のコロイド粒子分散液 20.0
〔日本ペイント(株)製、銀の含有率95%〕
ケトン−ホルムアルデヒド樹脂 20.0
〔日立化成(株)製、商品名:ハイラック110H〕
オレイン酸 2.0
ベンジルアルコール 10.0
フェニルグリコール 48.0
前記インキは、溶剤中に銀のコロイド粒子分散液、樹脂、その他の添加剤を投入し、ディスパーにて3時間攪拌して調製した。
【0034】
実施例2
マーキングペン用油性インキの調製
銀のコロイド粒子分散液 15.0
〔日本ペイント(株)製、銀の含有率95%〕
ケトン−ホルムアルデヒド樹脂 5.0
〔日立化成(株)製、商品名:ハイラック110H〕
ベンジルアルコール 5.0
エタノール 75.0
前記インキは、溶剤中に銀のコロイド粒子分散液、樹脂を投入し、ディスパーにて3時間攪拌して調製した。
【0035】
実施例3
ボールペン用油性インキの調製
銀のコロイド粒子分散液 15.0
〔日本ペイント(株)製、銀の含有率95%〕
ケトン−ホルムアルデヒド樹脂 5.0
〔日立化成(株)製、商品名:ハイラック110H〕
アクリルエマルジョン 5.0
〔新中村化学工業(株)製、商品名:SK−900W(アクリル共重合体の水分散体(固形分40%)〕
ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル 2.0
〔第一工業製薬(株)製、商品名:プライサーフA207H、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸モノエステルとポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸ジエステルの混合物〕
n−プロピルアルコール 71.0
前記インキは、溶剤中に銀のコロイド粒子分散液、樹脂、その他の添加剤を投入し、ディスパーにて3時間攪拌して調製した。
【0036】
比較例1
ボールペン用油性インキの調製
アルミニウムペースト 20.0
〔東洋アルミニウム(株)製、商品名:アルペースト96−2104、アルミニウム粉分散体〕
ケトン−ホルムアルデヒド樹脂 20.0
〔日立化成(株)製、商品名:ハイラック110H〕
オレイン酸 2.0
ベンジルアルコール 10.0
フェニルグリコール 48.0
前記インキは、溶剤中にアルミニウムペースト、樹脂、その他の添加剤を投入し、ディスパーにて3時間攪拌して調製した。
【0037】
比較例2
マーキングペン用油性インキの調製
アルミニウムペースト 15.0
〔東洋アルミニウム(株)製、商品名:アルペースト0241M、アルミニウム粉分散体〕
ケトン−ホルムアルデヒド樹脂 5.0
〔日立化成(株)製、商品名:ハイラック110H〕
ベンジルアルコール 5.0
エタノール 75.0
前記インキは、溶剤中にアルミニウムペースト、樹脂を投入し、ディスパーにて3時間攪拌して調製した。
【0038】
前記した実施例1及び比較例1のインキ組成物を、直径0.5mmのボールを抱持するステンレススチール製チップがポリプロピレン製パイプの一端に嵌着されたボールペンにそれぞれ充填してボールペンを作製した。
前記した実施例2及び比較例2のインキ組成物を、繊維チップを筆記先端部に装着してなり、軸筒内部に弁機構及び攪拌球を備えたマーキングペンに充填してマーキングペンを作製した。
前記した実施例3のインキ組成物を、直径0.7mmのボールを抱持するステンレススチール製チップがポリプロピレン製パイプの一端に嵌着されたボールペンにそれぞれ充填し、更にその後端にインキ逆流防止体組成物を充填してボールペンを作製した。
【0039】
前記のようにして得た各ボールペン、マーキングペンを用いて以下の試験を行った。
筆跡試験
正常に筆記できることを確認した各ボールペン及びマーキングペンを用いて、ポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルムに手書きにて筆記を行い、筆跡の光輝性を目視により観察した。
筆記試験
正常に筆記できることを確認した各ボールペン及びマーキングペンを用いて、ポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルムに走行試験機を用いて筆記を行い、筆記状態を観察した。
試験結果を以下の表に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
なお、表中の試験結果の評価基準は以下のとおりである。
筆跡試験
◎:筆跡は鏡面のような優れた光輝性を有している。
○:筆跡は鏡面に近い光輝性を有している。
×:筆跡は金属光沢性を有するものの、光輝性が十分ではない。
筆記試験
○:インキが詰まることなく、最後まで正常に筆記できる。
△:インキが詰まる傾向にあり、インキ出が減少して筆跡が初期と異なる。
×:インキが詰まり、最後まで筆記できない。
【0042】
【発明の効果】
本発明は、インキ中の着色剤として金、銀、白金、銅から選ばれるコロイド粒子を用いることにより、筆記面、とりわけ金属、プラスチック等の非浸透性の筆記面に緻密な金属光沢層を形成し、鏡面のような光輝性に優れた筆跡を形成できるため、種々のマーキングペンやボールペン等の筆記具に適用して商品価値を高めることのできる筆記具用金属光沢調インキ組成物を提供できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は金属光沢色の筆跡が得られる筆記具用インキ組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より着色剤としてアルミニウム粉や、金又は銀粒子等の金属光沢顔料を用いた筆記具用インキ組成物が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
前記筆記具用インキ組成物を用いて筆記面に筆記すると、金属光沢顔料が筆記面に樹脂を介して接着され、金属光沢色の筆跡が得られるものである。
しかしながら、前記顔料は粒子径が数十μm〜数百μmであり、筆記面に筆記面に形成された筆跡は該粒子の径に依存して金属光沢性が十分ではなく、鏡面のような光輝性が得られるものではなかった。
また、前記顔料はその比重と大きさからインキ中で安定して存在し難く、凝集や沈降を生じ易いため、内部にインキ吸蔵体を収容した筆記具や、筆記先端部にインキ流通路の狭いボールペンチップ、或いは、細い繊維チップを設けた筆記具への適用が困難であり、インキ流通路の広いボールペンチップ、或いは、太い繊維チップを備えた、剪断減粘性を付与したゲルインキを収容した筆記具や、インキと共に攪拌球を収容して使用時に攪拌する筆記具に適用が制限されるものであった。
【0003】
【特許文献1】
特開昭58−2368号公報
【0004】
【特許文献2】
特開2002−33067号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記した従来の金属光沢色の筆跡が得られるインキ組成物の欠点を解消するために鋭意検討した結果、着色剤として金、銀、白金から選ばれるコロイド粒子を用いることにより、鏡面のような光輝性を有する筆跡を形成できると共に、種々の筆記具に適用できる金属光沢色インキ組成物を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、着色剤として金、銀、白金、銅から選ばれるコロイド粒子と、溶剤と、分散剤とを少なくとも含有してなる筆記具用金属光沢色インキ組成物を要件とする。
更には、前記コロイド粒子の平均粒子径が5〜30nmであること、前記溶剤は、蒸気圧が5.0〜50mmHg(20℃)の有機溶剤であること、前記有機溶剤がアルコール類、グリコールエーテル類、炭化水素類から選ばれる一種又は二種以上の溶剤であること、前記有機溶剤がn−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルから選ばれる溶剤であること等を要件とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられるコロイド粒子は、平均粒子径が5〜30nmのものが好適に用いられ、材質は金、銀、白金、銅から選ばれる。
前記コロイド粒子を用いることにより、筆記面、とりわけ金属、プラスチック等の非浸透性の筆記面に緻密な金属光沢層を形成でき、鏡面のような光輝性に優れた筆跡を形成させることができる。
【0008】
前記コロイド粒子と共にインキ中に含まれる分散剤は、高分子量重合体に顔料(コロイド粒子)表面に対する親和性の高い官能基が導入された両親媒性の共重合体である。前記分散剤は、ビヒクルに対して充分な相溶性を有することから、顔料ペーストの製造時に顔料分散剤として使用されているものである。
【0009】
前記分散剤としては、
(1)顔料親和性基を主鎖及び/又は複数の側鎖に有し、かつ、溶媒和部分を構成する複数の側鎖を有する櫛形構造の高分子、
(2)主鎖中に顔料親和性基からなる複数の顔料親和部分を有する高分子、
(3)主鎖の片末端に顔料親和性基からなる顔料親和部分を有する直鎖状の高分子が挙げられる。
前記分散剤はコロイド粒子の分散性が良好であり、コロイド粒子に対する保護コロイドとして好適である。
前記分散剤を使用してコロイド粒子を高い濃度で含有するコロイド粒子分散体をビヒクル中に添加して用いることができる。
顔料親和性基とは、顔料の表面に対して強い吸着力を有する官能基であり、例えば、オルガノゾルにおいては、第3級アミノ基、第4級アンモニウム、塩基性窒素原子を有する複素環基、ヒドロキシル基、カルボキシル基;ヒドロゾルにおいては、フェニル基、ラウリル基、ステアリル基、ドデシル基、オレイル基等を挙げることができ、金、銀、白金、銅に対して強い親和力を示すため、保護コロイドとして充分な性能を発揮することができ、インキ中で凝集や沈降を効果的に防止することができる。
【0010】
櫛形構造の高分子(1)は、顔料親和性基を有する複数の側鎖とともに、溶媒和部分構成する複数の側鎖を主鎖に結合した構造のものであり、これらの側鎖が櫛の歯のように主鎖に結合されているものである。
高分子(1)は、数平均分子量が2000〜1000000、好ましくは、4000〜500000である。2000未満であると、分散安定性が充分ではなく、1000000を超えると、粘度が高すぎて取り扱いが困難となり、また、コロイド粒子の粒度分布が広くなり、光輝性が低下し易くなる
顔料親和性基は、1分子中に2〜3000個、好ましくは25〜1500個である。2個未満であると、分散安定性が充分ではなく、3000個を超えると、粘度が高すぎて取り扱いが困難となり、また、コロイド粒子の粒度分布が広くなり、光輝性が低下し易くなる。
なお、顔料親和性基は側鎖末端に限らず、側鎖の途中や主鎖中に複数存在していてもよい。
溶媒和部分は溶媒に親和性を有する部分であって、親水性又は疎水性の構造をいう。溶媒和部分は、例えば、水溶性の重合鎖、親油性の重合鎖等から構成される。
溶媒和部分を構成する側鎖は1分子中に2〜1000、好ましくは、5〜500存在するものが好ましい。2未満であると、分散安定性が充分ではなく、1000を超えると、粘度が高すぎて取り扱いが困難となり、また、コロイド粒子の粒度分布が広くなり、光輝性が低下し易くなる。
【0011】
前記高分子(1)としては、1個以上のポリ(カルボニル−C3 〜C6 −アルキレンオキシ)鎖を有し、これらの各鎖が3〜80個のカルボニル−C3 〜C6 −アルキレンオキシ基を有しかつアミド又は塩架橋基によってポリ(エチレンイミン)に結合されている構造のポリ(エチレンイミン)又はその酸塩からなるもの、ポリ(低級アルキレン)イミンと、遊離のカルボン酸基を有するポリエステルとの反応生成物よりなり、各ポリ(低級アルキレン)イミン連鎖に少なくとも2つのポリエステル連鎖が結合されたもの、末端にエポキシ基を有する高分子量のエポキシ化合物に、アミン化合物と数平均分子量300〜7000のカルボキシル基含有プレポリマーとを反応させたものを挙げることができる。
【0012】
前記高分子(2)は、複数の顔料親和性基が主鎖にそって配置されているものであり、顔料親和性基は、例えば、主鎖にペンダントしているものである。顔料親和部分は、顔料親和性基が1つ又は複数存在して、顔料表面に吸着するアンカーとして機能する部分をいう。
高分子(2)は、数平均分子量が2000〜1000000、好ましくは、4000〜500000である。2000未満では分散安定性が充分ではなく、1000000を超えると、粘度が高すぎて取り扱いが困難となり、また、コロイド粒子の粒度分布が広くなり、光輝性が低下し易くなる。
顔料親和性基は1分子中に2〜3000個、好ましくは、25〜1500個存在することが好ましい。2個未満であると、分散安定性が充分ではなく、3000個を超えると、粘度が高すぎて取り扱いが困難となり、また、コロイド粒子の粒度分布が広くなり、光輝性が低下し易くなる。
【0013】
前記高分子(2)としては、ポリイソシアネートと、モノヒドロキシ化合物及びモノヒドロキシモノカルボン酸又はモノアミノモノカルボン酸化合物の混合物、少なくとも1つの塩基性環窒素とイソシアネート反応性基とを有する化合物との反応物、ポリウレタン/ポリウレアよりなる主鎖に複数の第3級アミノ基又は塩基性環式窒素原子を有する基がペンダントした高分子水溶性ポリ(オキシアルキレン)鎖を有する立体安定化単位、構造単位及びアミノ基含有単位からなる共重合体であって、アミン基含有単量単位が第3級アミノ基若しくはその酸付加塩の基又は第4級アンモニウムの基を含有しており、該共重合体1g当たり0.025〜0.5ミリ当量のアミノ基を含有する共重合体、付加重合体からなる主鎖と、少なくとも1個のC1 〜C4 アルコキシポリエチレン又はポリエチレン−コプロピレングリコール(メタ)アクリレートからなる安定化剤単位とからなり,かつ、2500〜20000の重量平均分子量を有する両親媒性共重合体であって、主鎖は、30重量%までの非官能性構造単位と、合計で70重量%までの安定化剤単位及び官能性単位を含有しており、官能性単位は、置換されているか又は置換されていないスチレン含有単位、ヒドロキシル基含有単位及びカルボキシル基含有単位であり、ヒドロキシル基とカルボキシル基、ヒドロキシル基とスチレン基及びヒドロキシル基とプロピレンオキシ基又はエチレンオキシ基との比率が、それぞれ、1:0.10〜26.1;1:0.28〜25.0;1:0.80〜66.1である両親媒性高分子等を挙げることができる。
【0014】
前記高分子(3)は、主鎖の片末端のみに1つ又は複数の顔料親和性基からなる顔料親和部分を有しているが、顔料表面に対して充分な親和性を有するものである。
高分子(3)は、数平均分子量が1000〜1000000、好ましくは、2000〜500000である。1000未満であると、分散安定性が充分ではなく、1000000を超えると、粘度が高すぎて取り扱いが困難となり、また、コロイド粒子の粒度分布が広くなり、光輝性が低下し易くなる。
顔料親和性基は1分子中に2〜3000個、好ましくは、5〜1500個存在するものが好ましい。2個未満であると、分散安定性が充分ではなく、3000個を超えると、粘度が高すぎて取り扱いが困難となり、また、コロイド粒子の粒度分布が広くなり、光輝性が低下し易くなる。
【0015】
前記高分子(3)としては、一方が塩基性であるA−Bブロック型高分子、Aブロックに芳香族カルボン酸を導入したA−Bブロック型高分子、片末端が塩基性官能基であるA−Bブロック型高分子、片末端が酸性官能基であるA−Bブロック型高分子、Aブロックに芳香族カルボン酸を導入したA−Bブロック型高分子の耐候黄変性を改良したもの等を挙げることができる。
【0016】
前述の分散剤としては、ゼネカ社製のソルスパース20000、同24000、同26000、同27000、同28000、
ビックケミー社製のディスパービック160、同161、同162、同163、同166、同170、同180、同182、同184、同190、
EFKAケミカル社製のEFKA−46、同47、同48、同49や、ポリマー100、同120、同150、同400、同401、同402、同403、同450、同451、同452、同453、
味の素社製のアジスパーPB711、同PA111、同PB811、同PW911、
共栄社化学社製のフローレンDOPA−158、同DOPA−22、同DOPA−17、同TG−730W、同G−700、同TG−720Wを用いることもできる。
【0017】
溶剤としては、油性系インキの場合は有機溶剤、水系インキの場合は水と必要により水溶性有機溶剤が用いられる。
溶剤として好ましくは有機溶剤が用いられ、ガラスやプラスチック等の非浸透性材料に筆記すると鏡面のような光輝性を有する筆跡が形成され易いと共に、筆跡のはじきを防止できる。
油性系インキに用いられる有機溶剤としては、従来より汎用の溶剤を使用でき、インキ組成中40乃至80重量%の範囲で用いられる。
前記有機溶剤としては、ベンジルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ベンジルグリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノフェニルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン等を例示できる。
【0018】
また、有機溶剤として揮発し易い20℃における蒸気圧が5.0〜50mmHgの溶剤を主溶剤として用いると、ガラスやプラスチック等の非浸透性材料に筆記しても、筆跡の乾燥性に優れるため、筆跡を手触した際、未乾燥のインキが手に付着したり、筆記面上の筆跡を形成していない空白部分を汚染する等の不具合を生じることなく、良好な筆跡を形成できる。
蒸気圧が5.0〜50mmHg(20℃)の有機溶剤としては、エチルアルコール(45)、n−プロピルアルコール(14.5)、イソプロピルアルコール(32.4)、n−ブチルアルコール(5.5)、イソブチルアルコール(8.9)、sec−ブチルアルコール(12.7)、tert−ブチルアルコール(30.6)、tert−アミルアルコール(13.0)等のアルコール系有機溶剤、
エチレングリコールモノメチルエーテル(8.5)、エチレングリコールジエチルエーテル(9.7)、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(6.0)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(7.6)等のグリコールエーテル系有機溶剤、
n−ヘプタン(35.0)、n−オクタン(11.0)、イソオクタン(41.0)、メチルシクロヘキサン(37.0)、エチルシクロヘキサン(10.0)、トルエン(24.0)、キシレン(5.0〜6.0)、エチルベンゼン(7.1)等の炭化水素系有機溶剤、
メチルイソブチルケトン(16.0)、メチルn−プロピルケトン(12.0)、メチルn−ブチルケトン(12.0)、ジ−n−プロピルケトン(5.2)等のケトン系有機溶剤、
蟻酸n−ブチル(22.0)、蟻酸イソブチル(33.0)、酢酸n−プロピル(25.0)、酢酸イソプロピル(48.0)、酢酸n−ブチル(8.4)、酢酸イソブチル(13.0)、プロピオン酸エチル(28.0)、プロピオン酸n−ブチル(45.0)、酪酸メチル(25.0)、酪酸エチル(11.0)等のエステル系有機溶剤を例示できる。
なお、括弧内の数字は20℃におけるそれぞれの有機溶剤の蒸気圧を示す。
前記有機溶剤のうち、好適にはアルコール類、グリコールエーテル類、炭化水素類から選ばれる溶剤が用いられ、特にアルコール類のうちn−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、グリコールエーテル類のうちプロピレングリコールモノメチルエーテルが併用する種々の樹脂や各種添加剤の溶解性に優れるため好適に用いられる。
前記20℃における蒸気圧が5.0〜50mmHgの有機溶剤は溶剤中50重量%以上添加される。
また、2種以上の溶剤を併用して用いてもよい。
【0019】
溶剤として水を用いた水性系インキの場合は、水と相溶性のある水溶性有機溶剤を添加することもできる。
前記水溶性有機溶剤としては、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセリン、ソルビトール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、スルフォラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
【0020】
樹脂として、ケトン樹脂、ケトン−ホルムアルデヒド樹脂、アミド樹脂、アルキッド樹脂、ロジン変性樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルピロリドン、α−及びβ−ピネン・フェノール重縮合樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂、スチレンマレイン酸共重合物、セルローズ誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストリン等を用いることもでき、紙面への固着性や粘性付与のために用いられる。
【0021】
なお、本発明のインキ組成物には、必要により染料や顔料を併用することもできる。
着色剤として油性系インキに用いられる染料は、例えば、カラーインデックスにおいてソルベント染料として分類される有機溶剤可溶性染料が挙げられる。
着色剤として水性系インキに用いられる染料は、水性媒体に溶解可能な酸性染料、塩基性染料、直接染料が全て使用可能である。
【0022】
顔料としては、カーボンブラック、群青、二酸化チタン顔料等の無機顔料、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、スレン顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、スロン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリノン系顔料等の有機顔料、アルミニウム粉やアルミニウム粉表面を着色樹脂で処理した金属顔料、透明又は着色透明フィルムに金属蒸着膜を形成した金属光沢顔料、蛍光顔料、蓄光性顔料、芯物質として天然雲母、合成雲母、ガラス片、アルミナ、透明性フィルム片の表面を酸化チタン等の金属酸化物で被覆したパール顔料等が挙げられる。
【0023】
更に、必要により剪断減粘性付与剤を添加することもできる。
前記剪断減粘性付与剤を添加することによって、着色剤の凝集・沈降を抑制することができると共に、筆跡の滲みを抑制することができるため、紙面は勿論、浸透性の高い布帛等の繊維材料に筆記しても筆跡は滲むことなく、良好な筆跡を形成できる。
更に、前記インキを充填する筆記具がボールペン形態の場合、不使用時のボールとチップの間隙からのインキ漏れだしを防止したり、筆記先端部を上向き(正立状態)で放置した場合のインキの逆流を防止することができる。
尚、前記剪断減粘性付与剤を添加したインキ組成物の粘度は、油性系インキの場合、20℃でのE型粘度計による3.84S−1の剪断速度におけるインキ粘度が100mPa・s以上であり、且つ、剪断減粘指数が0.3〜0.9であることが好ましく、水性系インキの場合、20℃でのE型回転粘度計による3.84S−1の剪断速度におけるインキ粘度が20〜300mPa・sを示し、且つ、剪断減粘指数が0.1〜0.9を示すことが好ましい。
前記した粘度範囲及び剪断減粘指数を示すことによって、更にインキ漏れだし、インキの逆流を防止することができる。
なお、剪断減粘指数(n)は、剪断応力値(T)及び剪断速度値(j)の如き粘度計による流動学測定から得られる実験式T=Kjn (Kは非ニュートン粘性係数)にあてはめることによって計算される値である。
【0024】
溶剤として有機溶剤を用いた油性系インキの場合は、架橋型アクリル樹脂、架橋型アクリル樹脂のエマルションタイプ、非架橋型アクリル樹脂、架橋型N−ビニルカルボン酸アミド重合体又は共重合体、非架橋型N−ビニルカルボン酸アミド重合体又は共重合体、水添ヒマシ油、脂肪酸アマイドワックス、酸化ポリエチレンワックス等のワックス類、ステアリン酸、パルミチン酸、オクチル酸、ラウリン酸のアルムニウム塩等の脂肪酸金属塩、ジベンジリデンソルビトール、N−アシルアミノ酸系化合物、スメクタイト系無機化合物、モンモリロナイト系無機化合物、ベントナイト系無機化合物、ヘクトライト系無機化合物、シリカ等を例示できる。
溶剤として水を用いた水性系インキの場合は、キサンタンガム、ウェランガム、構成単糖がグルコースとガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン(平均分子量約100乃至800万)、グアーガム、ローカストビーンガム及びその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸アルキルエステル類、メタクリル酸のアルキルエステルを主成分とする分子量10万〜15万の重合体、グルコマンナン、寒天やカラゲニン等の海藻より抽出されるゲル化能を有する増粘多糖類、ベンジリデンソルビトール及びベンジリデンキシリトール又はこれらの誘導体、架橋性アクリル酸重合体、無機質微粒子、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリン・ラノリンアルコール・ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸アミド等のHLB値が8〜12のノニオン系界面活性剤、ジアルキル又はジアルケニルスルホコハク酸の塩類。N−アルキル−2−ピロリドンとアニオン系界面活性剤の混合物、ポリビニルアルコールとアクリル系樹脂の混合物を例示できる。
なお、前記剪断減粘性付与剤は併用することもできるし、ポリマーについては本発明の樹脂として用いることもできる。
【0025】
本発明のインキ組成物をボールペンに充填して用いる場合は、オレイン酸等の高級脂肪酸、長鎖アルキル基を有するノニオン性界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンオイル、チオ亜燐酸トリ(アルコキシカルボニルメチルエステル)やチオ亜燐酸トリ(アルコキシカルボニルエチルエステル)等のチオ亜燐酸トリエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸モノエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸ジエステル、或いは、それらの金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、アルカノールアミン塩等の潤滑剤を添加してボール受け座の摩耗防止効果を付与することが好ましい。
【0026】
その他、水系インキの場合は必要に応じて炭酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、酢酸ソーダ等の無機塩類、水溶性のアミン化合物等の有機塩基性化合物等のpH調整剤、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、サポニン等の防錆剤、石炭酸、1、2−ベンズチアゾリン3−オンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン等の防腐剤或いは防黴剤、尿素、ノニオン系界面活性剤、還元又は非還元デンプン加水分解物、トレハロース等のオリゴ糖類、ショ糖、サイクロデキストリン、ぶどう糖、デキストリン、ソルビット、マンニット、ピロリン酸ナトリム等の湿潤剤、消泡剤、分散剤、インキの浸透性を向上させるフッ素系界面活性剤やノニオン系の界面活性剤を使用してもよい。
【0027】
前記インキ組成物は、チップを筆記先端部に装着したマーキングペンやボールペンに充填して実用に供される。
マーキングペンに充填する場合、マーキングペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、繊維チップ、フェルトチップ、プラスチックチップを筆記先端部に装着し、軸筒内部に収容した繊維束からなるインキ吸蔵体にインキを含浸させ、筆記先端部にインキを供給する構造、軸筒内部に直接インキを収容し、櫛溝状のインキ流量調節部材や繊維束からなるインキ流量調節部材を介在させる構造、軸筒内部に直接インキを収容して、弁機構により前記筆記先端部に所定量のインキを供給する構造のマーキングペンが挙げられる。
ボールペンに充填する場合、ボールペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、軸筒内部に収容した繊維束からなるインキ吸蔵体にインキを含浸させ、筆記先端部にインキを供給する構造、軸筒内部に直接インキを収容し、櫛溝状のインキ流量調節部材や繊維束からなるインキ流量調節部材を介在させる構造、軸筒内にインキ組成物を充填したインキ収容管を有し、該インキ収容管はボールを先端部に装着したチップに連通しており、さらにインキの端面には逆流防止用の液栓が密接している構造のボールペンを例示できる。
【0028】
前記ボールペンチップについて更に詳しく説明すると、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、或いは、金属材料をドリル等による切削加工により形成したボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、金属又はプラスチック製チップ内部に樹脂製のボール受け座を設けたチップ、或いは、前記チップに抱持するボールをバネ体により前方に付勢させたもの等を適用できる。
又、前記ボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック、樹脂、ゴム等の0.3〜3mm径程度のものが適用できる。
なお、本発明のインキを充填する筆記具は、ボールと同様の転動作用により筆跡を形成させる、ローラー等の転動機構を筆記先端部に備えたものを含む。
【0029】
インキ組成物を収容するインキ収容管は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等の熱可塑性樹脂からなる成形体が用いられる。
更に、インキ収容管として透明、着色透明、或いは半透明の成形体を用いることにより、インキ色やインキ残量等を確認できる。
前記インキ収容管にはチップを直接連結する他、接続部材を介して前記インキ収容管とチップを連結してもよい。
尚、インキ収容管はレフィルの形態として、前記レフィルを軸筒内に収容するものでもよいし、先端部にチップを装着した軸筒自体をインキ収容体として、前記軸筒内に直接インキを充填してもよい。
【0030】
前記インキ収容管に収容したインキ組成物の後端にはインキ逆流防止体を充填することもできる。
前記インキ逆流防止体組成物は不揮発性液体又は難揮発性液体からなる。
具体的には、ワセリン、スピンドル油、ヒマシ油、オリーブ油、精製鉱油、流動パラフィン、ポリブテン、α−オレフィン、α−オレフィンのオリゴマーまたはコオリゴマー、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル等があげられ、一種又は二種以上を併用することもできる。
【0031】
前記不揮発性液体及び/又は難揮発性液体には、ゲル化剤を添加して好適な粘度まで増粘させることが好ましく、表面を疎水処理したシリカ、表面をメチル化処理した微粒子シリカ、珪酸アルミニウム、膨潤性雲母、疎水処理を施したベントナイトやモンモリロナイトなどの粘土系増粘剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属石鹸、トリベンジリデンソルビトール、脂肪酸アマイド、アマイド変性ポリエチレンワックス、水添ひまし油、脂肪酸デキストリン等のデキストリン系化合物、セルロース系化合物を例示できる。
更に、前記液状のインキ逆流防止体組成物と、固体のインキ逆流防止体を併用することもできる。
【0032】
本発明の筆記具用金属光沢色インキ組成物は、溶剤中に、金、銀、白金、銅から選ばれるコロイド粒子分散体、必要により樹脂、各種添加剤を投入、攪拌して調製される。
また、溶媒中に、コロイド粒子分散体、必要により樹脂、各種添加剤を投入して攪拌、溶解し、更に、これとは別に調製した溶媒中に剪断減粘性付与剤を分散した分散液、或いは、剪断減粘性付与剤を直接投入し、攪拌することにより調製される。
【0033】
【実施例】
以下に実施例インキ及び比較例インキの組成を示す。尚、組成の数値は重量部を示す。
実施例1
ボールペン用油性インキの調製
銀のコロイド粒子分散液 20.0
〔日本ペイント(株)製、銀の含有率95%〕
ケトン−ホルムアルデヒド樹脂 20.0
〔日立化成(株)製、商品名:ハイラック110H〕
オレイン酸 2.0
ベンジルアルコール 10.0
フェニルグリコール 48.0
前記インキは、溶剤中に銀のコロイド粒子分散液、樹脂、その他の添加剤を投入し、ディスパーにて3時間攪拌して調製した。
【0034】
実施例2
マーキングペン用油性インキの調製
銀のコロイド粒子分散液 15.0
〔日本ペイント(株)製、銀の含有率95%〕
ケトン−ホルムアルデヒド樹脂 5.0
〔日立化成(株)製、商品名:ハイラック110H〕
ベンジルアルコール 5.0
エタノール 75.0
前記インキは、溶剤中に銀のコロイド粒子分散液、樹脂を投入し、ディスパーにて3時間攪拌して調製した。
【0035】
実施例3
ボールペン用油性インキの調製
銀のコロイド粒子分散液 15.0
〔日本ペイント(株)製、銀の含有率95%〕
ケトン−ホルムアルデヒド樹脂 5.0
〔日立化成(株)製、商品名:ハイラック110H〕
アクリルエマルジョン 5.0
〔新中村化学工業(株)製、商品名:SK−900W(アクリル共重合体の水分散体(固形分40%)〕
ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル 2.0
〔第一工業製薬(株)製、商品名:プライサーフA207H、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸モノエステルとポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸ジエステルの混合物〕
n−プロピルアルコール 71.0
前記インキは、溶剤中に銀のコロイド粒子分散液、樹脂、その他の添加剤を投入し、ディスパーにて3時間攪拌して調製した。
【0036】
比較例1
ボールペン用油性インキの調製
アルミニウムペースト 20.0
〔東洋アルミニウム(株)製、商品名:アルペースト96−2104、アルミニウム粉分散体〕
ケトン−ホルムアルデヒド樹脂 20.0
〔日立化成(株)製、商品名:ハイラック110H〕
オレイン酸 2.0
ベンジルアルコール 10.0
フェニルグリコール 48.0
前記インキは、溶剤中にアルミニウムペースト、樹脂、その他の添加剤を投入し、ディスパーにて3時間攪拌して調製した。
【0037】
比較例2
マーキングペン用油性インキの調製
アルミニウムペースト 15.0
〔東洋アルミニウム(株)製、商品名:アルペースト0241M、アルミニウム粉分散体〕
ケトン−ホルムアルデヒド樹脂 5.0
〔日立化成(株)製、商品名:ハイラック110H〕
ベンジルアルコール 5.0
エタノール 75.0
前記インキは、溶剤中にアルミニウムペースト、樹脂を投入し、ディスパーにて3時間攪拌して調製した。
【0038】
前記した実施例1及び比較例1のインキ組成物を、直径0.5mmのボールを抱持するステンレススチール製チップがポリプロピレン製パイプの一端に嵌着されたボールペンにそれぞれ充填してボールペンを作製した。
前記した実施例2及び比較例2のインキ組成物を、繊維チップを筆記先端部に装着してなり、軸筒内部に弁機構及び攪拌球を備えたマーキングペンに充填してマーキングペンを作製した。
前記した実施例3のインキ組成物を、直径0.7mmのボールを抱持するステンレススチール製チップがポリプロピレン製パイプの一端に嵌着されたボールペンにそれぞれ充填し、更にその後端にインキ逆流防止体組成物を充填してボールペンを作製した。
【0039】
前記のようにして得た各ボールペン、マーキングペンを用いて以下の試験を行った。
筆跡試験
正常に筆記できることを確認した各ボールペン及びマーキングペンを用いて、ポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルムに手書きにて筆記を行い、筆跡の光輝性を目視により観察した。
筆記試験
正常に筆記できることを確認した各ボールペン及びマーキングペンを用いて、ポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルムに走行試験機を用いて筆記を行い、筆記状態を観察した。
試験結果を以下の表に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
なお、表中の試験結果の評価基準は以下のとおりである。
筆跡試験
◎:筆跡は鏡面のような優れた光輝性を有している。
○:筆跡は鏡面に近い光輝性を有している。
×:筆跡は金属光沢性を有するものの、光輝性が十分ではない。
筆記試験
○:インキが詰まることなく、最後まで正常に筆記できる。
△:インキが詰まる傾向にあり、インキ出が減少して筆跡が初期と異なる。
×:インキが詰まり、最後まで筆記できない。
【0042】
【発明の効果】
本発明は、インキ中の着色剤として金、銀、白金、銅から選ばれるコロイド粒子を用いることにより、筆記面、とりわけ金属、プラスチック等の非浸透性の筆記面に緻密な金属光沢層を形成し、鏡面のような光輝性に優れた筆跡を形成できるため、種々のマーキングペンやボールペン等の筆記具に適用して商品価値を高めることのできる筆記具用金属光沢調インキ組成物を提供できる。
Claims (5)
- 着色剤として金、銀、白金、銅から選ばれるコロイド粒子と、溶剤と、分散剤とを少なくとも含有してなる筆記具用金属光沢色インキ組成物。
- 前記コロイド粒子の平均粒子径が5〜30nmである請求項1記載の筆記具用金属光沢色インキ組成物。
- 前記溶剤は、蒸気圧が5.0〜50mmHg(20℃)の有機溶剤である請求項1記載の筆記具用金属光沢色インキ組成物。
- 前記有機溶剤がアルコール類、グリコールエーテル類、炭化水素類から選ばれる一種又は二種以上の溶剤である請求項3記載の筆記具用金属光沢色インキ組成物。
- 前記有機溶剤がn−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルから選ばれる溶剤である請求項3又は4記載の筆記具用金属光沢色インキ組成物。
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