JP3997095B2 - ボールペン用水性インキ組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はボールペン用水性インキ組成物に関する。更に詳細には、剪断減粘性を示すボールペン用水性インキ組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、剪断応力が加わらない静置時は収容したインキが高粘度を示してボールペン機構内で安定的に保持され、筆記時のボールの回転により生じる剪断応力によってボール近傍で低粘度化し、前記低粘度化したインキを紙面に転写させるタイプのボールペンに収容される水性インキ組成物に添加される剪減粘性付与剤としては、例えば、キサンタンガム(特公昭64−8673号公報)、アクリル酸とアルキルメタクリレートの共重合体(特開平6−93224号公報)、アルカリ膨潤型アクリル樹脂(特開2000−191973号公報)が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ボールペン用水性インキ組成物に添加される新規剪断減粘性付与剤について更に検討したところ、特定且つ複数の単量体から構成される重合体をインキ中に配合することによってカスレのない筆跡が得られ、しかも、着色剤として用いる顔料の分散安定性に優れた剪断減粘性インキ組成物が得られることを見いだし、本発明を完成させた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも顔料、水、水溶性有機溶剤、剪断減粘性付与剤を含んでなり、前記剪断減粘性付与剤が酢酸ビニル、メチルメタクリレート、及び、メタクリル酸の三種の単量体から構成される平均分子量が110万〜600万の範囲にある重合体であり、前記重合体を構成する各単量体の重量比が、酢酸ビニル20〜60重量%、メチルメタクリレート10〜15重量%、及び、メタクリル酸20〜35重量%の範囲にあり、EMD型回転粘度計による100rpmにおけるインキ粘度が20〜300mPa・s(20℃)を示し、且つ、剪断減粘性指数が0.6〜0.9を示すボールペン用水性インキ組成物を要件とする。更には、前記インキ組成物のpHが下記式(1)の範囲にあることを要件とする。
7<pH≦12 (1)
【0005】
本発明は前述のとおり、酢酸ビニル、メチルメタクリレート、及び、メタクリル酸の三種の単量体から構成される重合体をインキ中に含有した剪断減粘性水性ボールペン用インキであり、該インキを収容することにより、筆跡にカスレが生じることなく、良好な筆記性能を満たすボールペンが得られるという新たな知見に基づくものである。
前記重合体は、着色剤として顔料を用いたインキ組成物に適用され、剪断減粘性付与剤として従来のアクリル系樹脂、アクリル酸とアルキルメタクリレートの共重合体等を用いたインキ組成物に発生し易い顔料の凝集を生じ難く、よって、インキ出や筆跡濃度が良好なインキ組成物が得られる。
また、前述の酢酸ビニル、メチルメタクリレート、及び、メタクリル酸の三種の単量体から構成される重合体は、各単量体の重量比が、酢酸ビニル20〜60重量%、メチルメタクリレート10〜15重量%、及び、メタクリル酸20〜35重量%の範囲にあり、且つ、前記重合体の平均分子量が110万〜600万の範囲にあり、前記重量比率及び平均分子量を有することにより良好な筆記性能を示すことができる。
また、前記重合体はアルカリ膨潤型の増粘剤のため、インキ調製時には予め溶剤中に着色剤、重合体、各種添加剤を混入したものにアルカリ性のpH調整剤等を混入してインキをアルカリ性に調整し、剪断減粘性を付与する調製方法が好ましい。よって、調製されたインキ組成物のpHは7<pH≦12、好ましくは7<pH≦11である。
前記した重合体はインキ組成物中0.05〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、更に好ましくは0.1〜5重量%添加される。
0.05重量%未満では所望の剪断減粘性を付与することができ難く、インキ中に含まれる顔料等の粒子の沈降を生じ易くなる。また、20重量%を越えるとインキ粘度が高くなり、インキ出に不具合を生じることがある。
前記重合体として具体的には、商品名:レオレート1、商品名:レオレート101、レオックス社製を例示できる。
【0006】
前記着色剤としては、水性媒体に分散可能な顔料が全て使用可能であり、その具体例を以下に例示する。
【0007】
【0008】
前記顔料としては、カーボンブラック、群青などの無機顔料や銅フタロシアニンブルー、ベンジジンイエロー等の有機顔料の他、既に界面活性剤や水溶性樹脂を用いて微細に安定的に水媒体中に分散された水分散顔料製品等が用いられ、例えば、界面活性剤を用いた水分散顔料としては、
C.I.Pigment 15:3B〔商品名:S.S.Blue GLL、顔料分24%、山陽色素(株)製〕、
C.I. Pigment Red 146〔商品名:S.S.Pink FBL、顔料分21.5%、山陽色素(株)製〕、
C.I.Pigment Yellow 81〔商品名:TC Yellow FG、顔料分約30%、大日精化工業(株)製〕、
C.I.Pigment Red220/166〔商品名:TC Red FG、顔料分約35%、大日精化工業(株)製〕等を挙げることができる。
また、水溶性樹脂を用いた水分散顔料としては、
C.I.Pigment Black 7〔商品名:WA color Black A250、顔料分15%、大日精化工業(株)製〕、
C.I.Pigment Green 7〔商品名:WA−S color Green、顔料分8%、大日精化工業(株)製〕、
C.I.Pigment Violet 23〔商品名:マイクロピグモ WMVT−5、顔料分20%、オリエント化学工業(株)製〕、
C.I.Pigment Yellow 83〔商品名:エマコールNSイエロー4618、顔料分30%、山陽色素(株)製〕、
蛍光顔料としては、各種蛍光染料を樹脂マトリックス中に固溶体化した合成樹脂微細粒子状の蛍光顔料が使用できる。その他、金属光沢顔料、二酸化チタン、シリカ、炭酸カルシウム等の白色顔料、蓄光性顔料、熱変色性組成物を内包したカプセル顔料、香料や香料を内包したカプセル顔料等を例示できる。
前記金属光沢顔料としては、アルミニウムや真鍮等の金属光沢顔料、芯物質として天然雲母、合成雲母、ガラス片、アルミナ、透明性フィルム片の表面を酸化チタン等の金属酸化物で被覆した金属光沢顔料(パール顔料)、透明又は着色透明フィルムに金属蒸着膜を形成した金属光沢顔料、透明性樹脂層を複数積層した虹彩性フィルムを細かく裁断した虹彩性を有する金属光沢顔料を例示できる。
更に、アルミニウムや真鍮等の金属光沢顔料を用いる場合、前記金属光沢顔料の表面を透明性樹脂や着色透明性樹脂で被覆した顔料が好適に用いられ、インキ組成物中での安定性に優れる。
前記透明性樹脂で被覆した金属光沢顔料として、具体的には、偏平状金属粉の両面を透明又は着色透明性の樹脂フィルムで被覆したものを例示できる。
前記着色剤は一種又は二種以上を適宜混合して使用することができ、インキ組成中1乃至25重量%、好ましくは2乃至15重量%の範囲で用いられる。
【0009】
前記溶剤としては水と共に、水と相溶性のある水溶性有機溶剤が添加される。
前記水溶性有機溶剤としては、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセリン、ソルビトール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、スルフォラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
尚、前記水は10〜80重量%、好ましくは20〜75重量%の範囲で用いられる。又、前記水溶性有機溶剤は1種又は2種以上を併用して用いることもでき、2〜60重量%、好ましくは5〜35重量%の範囲で用いられる。
【0010】
又、水溶性樹脂として、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、スチレンマレイン酸共重合物、セルローズ誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストリン等の1種又は2種以上を紙面への固着性や粘性付与のために用いることができる。
【0011】
その他、必要に応じて炭酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、酢酸ソーダ等の無機塩類、水溶性のアミン化合物等の有機塩基性化合物等のpH調整剤、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、サポニン等の防錆剤、石炭酸、1、2−ベンズチアゾリン3−オンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン等の防腐剤或いは防黴剤、尿素、ノニオン系界面活性剤、還元又は非還元デンプン加水分解物、トレハロース等のオリゴ糖類、ショ糖、サイクロデキストリン、ぶどう糖、デキストリンソルビット、マンニット、ピロリン酸ナトリム等の湿潤剤、消泡剤、分散剤、インキの浸透性を向上させるフッ素系界面活性剤やノニオン系の界面活性剤を使用してもよい。
また、潤滑剤としては、金属石鹸、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイド付加型カチオン活性剤、リン酸エステル系活性剤、チオカルバミン酸塩、ジメチルジチオカルバミン酸塩等が挙げられる。
なお、好適に用いられる潤滑剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸モノエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸ジエステル、或いは、それらの金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、アルカノールアミン塩が挙げられる。
【0012】
また、前記重合体の他に、剪断減粘性を付与する化合物を併用することもできる。前記剪断減粘性を付与する化合物としては、キサンタンガム、ウェランガム、構成単糖がグルコースとガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン(平均分子量約100乃至800万)、グアーガム、ローカストビーンガム及びその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸アルキルエステル類、メタクリル酸のアルキルエステルを主成分とする分子量10万〜15万の重合体、グルコマンナン、寒天やカラゲニン等の海藻より抽出されるゲル化能を有する増粘多糖類、ベンジリデンソルビトール及びベンジリデンキシリトール又はこれらの誘導体、架橋性アクリル酸重合体、無機質微粒子、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリン・ラノリンアルコール・ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸アミド等のHLB値が8〜12のノニオン系界面活性剤、ジアルキル又はジアルケニルスルホコハク酸の塩類。N−アルキル−2−ピロリドンとアニオン系界面活性剤の混合物、ポリビニルアルコールとアクリル系樹脂の混合物を例示できる。
【0013】
本発明におけるインキ組成物は筆記時の高剪断応力下においては三次元構造が一時的に弱まってインキの粘度が低下し、ボール近傍のインキは筆記に適した低粘度インキとなり、ボールとボールハウスの間隙を毛細管力によって移動し、紙面に転移される。非筆記時には、ボール近傍も含めてすべてのインキの粘度が高くなり、インキの漏出を防止したり、インキの分離、逆流を防ぐことができる。又、インキ物性を経時的に安定に保つことができる。
【0014】
前記ボールペン用水性インキを充填するボールペンの筆記先端部(チップ)の構造は、従来より汎用の機構が有効であり、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、或いは、金属材料をドリル等による切削加工により形成したボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、或いは、金属製のパイプや金属材料の切削加工により形成したチップに抱持するボールをバネ体により前方に付勢させたもの等を適用できる。
又、前記ボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック等の0.3〜1.5mm径程度のものが適用できる。
【0015】
前記インキ及びインキ逆流防止体を収容するインキ収容管は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂からなる成形体が、インキの低蒸発性、生産性の面で好適に用いられる。
更に、前記インキ収容管として透明、着色透明、或いは半透明の成形体を用いることにより、インキ色やインキ残量等を確認できる。
前記インキ収容管にはチップを直接連結する他、接続部材を介して前記インキ収容管とチップを連結してもよい。
尚、前記インキ収容管は、ボールペン用レフィルの形態として、前記レフィルを軸筒内に収容するものでもよいし、先端部にチップを装着した軸筒自体をインキ収容体として、前記軸筒内に直接インキを充填してもよい。
前記軸筒内に収容するレフィルの内径は、1.5〜5mmのものが好適に用いられ、インキを直接収容する軸筒の内径は、4〜10mmのものが好適に用いられる。
【0016】
前記インキ収容管に収容したインキ組成物の後端にはインキ逆流防止体を充填することが好ましい。
前記インキ逆流防止体としては、ワセリン、スピンドル油、ヒマシ油、オリーブ油、精製鉱油、流動パラフィン、ポリブテン、α−オレフィン、α−オレフィンのオリゴマーまたはコオリゴマー、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル等の不揮発性液体又は難揮発性液体があげられ、一種又は二種以上を併用することもできる。
前記不揮発性液体又は難揮発性液体には、所望により表面を疎水処理したシリカ、表面をメチル化処理した微粒子シリカ、珪酸アルミニウム、膨潤性雲母、疎水処理を施したベントナイトやモンモリロナイトなどの粘土系増粘剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属石鹸、トリベンジリデンソルビトール、脂肪酸アマイド、アマイド変性ポリエチレンワックス、水添ひまし油、脂肪酸デキストリン等のデキストリン系化合物、セルロース系化合物等のゲル化剤を添加することもできる。
更に、前記液状のインキ逆流防止体と共に固体のインキ逆流防止体を併用することもできる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明のボールペン用水性インキは、水と水溶性有機溶剤の混合液中に顔料、各種添加剤を添加した後、酢酸ビニル、メチルメタクリレート、及び、メタクリル酸の三種の単量体から構成される重合体を添加して調製され、ボールペンチップを筆記先端とするインキ収容管内に直接的に充填した、いわゆる直液状態で実用に供される。
【0018】
【実施例】
以下に実施例のインキ組成及び比較例のインキ組成を示す。
なお、インキ粘度は20℃でEMD型回転粘度計〔東機産業(株)製、RE−80R、標準ロータ使用)を用いて20℃における100rpm、10rpmの粘度を測定した。
配合中の数値は重量部を示す。
【0019】
実施例1
インキ組成
黒色顔料ペースト 30.0
〔商品名:FUJI SP BLACK 8922、冨士色素(株)製、顔料分20%〕
重合体組成物エマルジョン 2.0
〔酢酸ビニル、メチルメタクリレート、メタクリル酸の三種の単量体から構成される重合物、商品名:レオレート1、レオックス社製、有効成分30%〕
燐酸エステル系界面活性剤 0.3
〔潤滑剤、商品名:プライサーフAL、第一工業製薬(株)製)
1,2−ベンズチアゾリン−3−オン 0.5
〔防腐剤、商品名:プロキセルXL−2、アビシア社製〕
トリエタノールアミン(pH調整剤) 1.0
マルチトール 5.0
尿素 5.0
エチレングリコール 20.0
水 36.2
【0020】
インキ組成物の調製
前記インキ組成中、トリエタノールアミン以外の配合物を混合し、1時間攪拌した後、トリエタノールアミンを混入してインキ組成物を得た。
なお、前記インキ組成物の粘度は100rpmで82mPa・s、10rpmで150mPa・sを示し、剪断減粘性指数は0.74であった。
【0021】
実施例2
インキ組成
青色顔料ペースト 30.0
〔商品名:MICROPIGMO WMBE−5、オリエント化学工業(株)製、顔料分15%〕
重合体組成物エマルジョン 3.3
〔酢酸ビニル、メチルメタクリレート、メタクリル酸の三種の単量体から構成される重合物、商品名:レオレート1、レオックス社製、有効成分30%〕
燐酸エステル系界面活性剤 0.3
〔潤滑剤、商品名:プライサーフAL、第一工業製薬(株)製)
1,2−ベンズチアゾリン−3−オン 0.5
〔防腐剤、商品名:プロキセルXL−2、アビシア社製〕
ジエタノールアミン(pH調整剤) 1.0
マルチトール 5.0
尿素 5.0
ジエチレングリコール 30.0
水 24.9
【0022】
インキ組成物の調製
前記インキ組成中、ジエタノールアミン以外の配合物を混合し、1時間攪拌した後、ジエタノールアミンを混入してインキ組成物を得た。
なお、前記インキ組成物の粘度は100rpmで133mPa・s、10rpmで279mPa・sを示し、剪断減粘性指数は0.68であった。
【0023】
実施例3
インキ組成
青色顔料ペースト 30.0
〔商品名:サンダイスーパーBLUE FBL−160、山陽色素(株)製、顔料分31.5%〕
重合体組成物エマルジョン 2.4
〔酢酸ビニル、メチルメタクリレート、メタクリル酸の三種の単量体から構成される重合物、商品名:レオレート1、レオックス社製、有効成分30%〕
燐酸エステル系界面活性剤 0.3
〔潤滑剤、商品名:プライサーフAL、第一工業製薬(株)製)
1,2−ベンズチアゾリン−3−オン 0.5
〔防腐剤、商品名:プロキセルXL−2、アビシア社製〕
トリエタノールアミン(pH調整剤) 1.0
マルチトール 5.0
尿素 5.0
ジエチレングリコール 5.0
エチレングリコール 10.0
水 40.8
【0024】
インキ組成物の調製
前記インキ組成中、トリエタノールアミン以外の配合物を混合し、1時間攪拌した後、トリエタノールアミンを混入してインキ組成物を得た。
なお、前記インキ組成物の粘度は100rpmで70mPa・s、10rpmで175mPa・sを示し、剪断減粘性指数は0.60であった。
【0025】
実施例4
インキ組成
赤色顔料ペースト 40.0
〔商品名:FUJI SP Red 5544、冨士色素(株)製、顔料分17%〕
重合体組成物エマルジョン 1.3
〔酢酸ビニル、メチルメタクリレート、メタクリル酸の三種の単量体から構成される重合物、商品名:レオレート1、レオックス社製、有効成分30%〕
燐酸エステル系界面活性剤 0.3
〔潤滑剤、商品名:プライサーフAL、第一工業製薬(株)製)
1,2−ベンズチアゾリン−3−オン 0.5
〔防腐剤、商品名:プロキセルXL−2、アビシア社製〕
トリエタノールアミン(pH調整剤) 1.0
マルチトール 8.0
尿素 5.0
ジエチレングリコール 5.0
エチレングリコール 10.0
水 28.9
【0026】
インキ組成物の調製
前記インキ組成中、トリエタノールアミン以外の配合物を混合し、1時間攪拌した後、トリエタノールアミンを混入してインキ組成物を得た。
なお、前記インキ組成物の粘度は100rpmで100mPa・s、10rpmで210mPa・sを示し、剪断減粘性指数は0.68であった。
【0027】
【0028】
【0029】
比較例1
実施例1で用いた重合体組成物エマルジョン2.0部を、アルカリ膨潤型アクリル樹脂エマルジョン(商品名:プライマルASE−60、ロームアンドハースジャパン社製、有効成分28%)3.0部に代えて、水を35.2部とした以外は実施例1と同様の方法でインキ組成物を調製した。
なお、前記インキ組成物の粘度は100rpmで162mPa・s、10rpmで489mPa・sを示し、剪断減粘性指数は0.52であった。
【0030】
比較例2
実施例1で用いた重合体組成物エマルジョン2.0部を、アクリル酸とアクリルメタクリレートの共重合体(商品名:PEMULEN TR−1、Goodrich社製)の2%水溶液12部に代えて、水を26.2部とした以外は実施例1と同様の方法でインキ組成物を調製した。
なお、前記インキ組成物の粘度は100rpmで117mPa・s、10rpmで292mPa・sを示し、剪断減粘性指数は0.60であった。
【0031】
比較例3
実施例1で用いた重合体組成物エマルジョン2.0部を、アクリル酸とアクリルメタクリレートの共重合体(商品名:PEMULEN TR−2、Goodrich社製)の2%水溶液11部に代えて、水を27.2部とした以外は実施例1と同様の方法でインキ組成物を調製した。
なお、前記インキ組成物の粘度は100rpmで74mPa・s、10rpmで143mPa・sを示し、剪断減粘性指数は0.72であった。
【0032】
比較例4
実施例2で用いた重合体組成物エマルジョン3.3部を、キサンタンガム0.35部に代えて、水を27.85部とした以外は実施例2と同様の方法でインキ組成物を調製した。
なお、前記インキ組成物の粘度は100rpmで53mPa・s、10rpmで270mPa・sを示し、剪断減粘性指数は0.29であった。
【0033】
分散安定性試験
各実施例及び比較例のインキを容器に入れて密封し、室温(25℃)下で30日間放置後の状態を顕微鏡で観察した。
【0034】
ボールペンの作成
前記インキ調製方法により、実施例1乃至4、比較例1乃至4のインキを調製し、直径0.5mmのボールを抱持するステンレススチール製チップがポリプロピレン製パイプ(内径3.8mm)の一端に嵌着されたボールペンレフィルに充填し、更に、前記インキ後端面に密接させてインキ逆流防止体を充填した後、前記ボールペンレフィルを軸筒に組み込み、ボールペンとした。
【0035】
筆記試験
前記ボールペンのキャップを外して室温(25℃)下で30日間、横向状態で放置した後、上質紙(JIS P3201)面上に10cmの直線を5本筆記して、その筆跡の状態を目視により観察した。
【0036】
摩耗試験
前記した条件で放置した各ボールペンを走行試験機(筆記角度70°、荷重100g)にて100m筆記したボール受け座の摩耗を測定した。
その結果を以下に示す。
【0037】
【表1】
【0038】
表中の各試験結果の評価は以下のとおりである。
分散安定性試験
○:均一に分散している。
×:粒子が均一に分散しておらず、顔料が凝集したり、或いは、樹脂が析出している。
筆記試験
○:カスレのない良好な筆跡が得られる。
×:書き出し時にカスレがみられる。
【0039】
【発明の効果】
本発明は、剪断減粘性付与剤として酢酸ビニル、メチルメタクリレート、及び、メタクリル酸の三種の単量体から構成される重合体を用いるため、カスレのない筆跡が得られるインキ組成物であると共に、顔料の分散安定性に優れ、特にカーボンブラックのようなボール受け座の摩耗が激しい顔料を適用したインキ組成物であっても、滑らかな筆記感が得られると共に良好な筆記性能を示すボールペン用水性インキ組成物を提供できる。
Claims (2)
- 少なくとも顔料、水、水溶性有機溶剤、剪断減粘性付与剤を含んでなり、前記剪断減粘性付与剤が酢酸ビニル、メチルメタクリレート、及び、メタクリル酸の三種の単量体から構成される平均分子量が110万〜600万の範囲にある重合体であり、前記重合体を構成する各単量体の重量比が、酢酸ビニル20〜60重量%、メチルメタクリレート10〜15重量%、及び、メタクリル酸20〜35重量%の範囲にあり、EMD型回転粘度計による100rpmにおけるインキ粘度が20〜300mPa・s(20℃)を示し、且つ、剪断減粘性指数が0.6〜0.9を示すボールペン用水性インキ組成物。
- インキ組成物のpHが下記式(1)の範囲にある請求項1記載のボールペン用水性インキ組成物。
7<pH≦12 (1)
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2002056208A JP3997095B2 (ja) | 2002-03-01 | 2002-03-01 | ボールペン用水性インキ組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
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