JP2006206823A - 筆記具用インク組成物及びボールペン - Google Patents

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Abstract

【課題】 インク収容管にインク追従体を充填することが必要となる水性ボールペンにおいても、初筆カスレを抑えるとともに、粒子の経時的な分散安定性を保ち、滲みを抑え、書き味も良好となるようなインク組成物を提供する。
【解決手段】 水、着色剤及び全量中含有率が5重量%以上60重量%以下の水溶性液体媒体を少なくとも含有し、ELD型回転粘度計の剪断速度19.2sec-1における粘度値が10mPa・sec以上100mPa・sec以下であり、非ニュートン粘性指数が0.75以上であることを特徴とする筆記具用インク組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ボールペンのインクとして使用される筆記具用インク組成物及びこれを使用したボールペンに関する。
従来、水を基剤として、これに粘度を付与して剪断減粘性を有する擬塑性流体に着色剤を分散させたいわゆる水性ゲルインクをインク収容管に充填したボールペンが種々提供されている。このような水性ゲルインクを使用したボールペンでは、いわゆる油性インクより粘度が低いため、ペン先を上向きにした際にインクがインク収容管の後端より漏出する可能性がある。これを防ぐべく、水性ゲルインクボールペンではインク収容管のインクの後端に接した位置に、グリース状の粘性を有するインク追従体を充填しているのが普通である。
このようなボールペンでは、ペン体に振動や衝撃が加わると、ペン先部のボールハウス内のインクが一時的に後方へ戻ることで、書き出しの際に線がかすれるという、いわゆる初筆カスレという現象が起こりやすい。このような初筆カスレは、インクの非ニュートン粘性指数(n値)を高めるようなインク設計で対処してきた。このようなインクに関する従来技術として、下記の特許文献1に記載の発明が開示されている。
特許第3117082号公報
しかし、上述のように、n値を高めると、描線が筆記方向に沿って割れるいわゆる線割れという現象が発生しやすくなる。また、粒子の沈降を抑えるために非ニュートン粘性係数(μ値)をn値とともに高めるようなインク設計とすると、インクの流出性や書き味まで低下することになる。逆にμ値を下げすぎると、描線が滲みやすくなる。したがって、初筆カスレを抑えつつ、線割れや描線の滲みを抑えることは困難であった。
特に、インクに着色剤として染料で着色した樹脂粒子を配合している場合、又は描線の隠蔽性向上目的で無着色の樹脂粒子を配合している場合には、このような樹脂粒子を含まない場合と比較して経時安定性に劣ることが知られている。このようなインクにおいて、樹脂粒子を安定に分散させつつ滲みがないようにするためには、一般的な手法として、インクに粘度を付与しつつ剪断減粘性のある擬塑性流体としての性質を付与することとしていた。それにより、粘度を付与してもインクの流出性を保つことのできるインク設計としてきた。そのため、初筆カスレが起こりやすく、また高い粘度による書き味の低下という問題も生じていた。
その対策として、粘度を下げると樹脂粒子の沈降が発生しやすくなるとともに滲みも発生しやすい。よって、樹脂粒子の分散系を安定させつつ、良好な書き味や滲みの防止の実現はやはり困難であった。
本発明は、上述の問題点に鑑み、本発明は、インク収容管にインク追従体を充填することが必要となる水性ボールペンにおいても、初筆カスレを抑えるとともに、粒子の経時的な分散安定性を保ち、滲みを抑え、書き味も良好となるようなインク組成物を提供することを第1の課題とする。
また、本発明は、上記第1の課題に加え、そのようなインク組成物に含有される水溶性液体媒体を、適切な組成とすることを第2の課題とする。
さらに、本発明は、上記第1又は第2の課題に加え、上述のようなインク組成物に含有される水不溶性樹脂粒子の直径を適切な範囲とすることを第3の課題とする。
また、本発明は、上記第3の課題に加え、そのような水不溶性樹脂粒子の含有率を適切な範囲とすることを第4の課題とする。
さらに、本発明は、上記第4の課題に加え、そのような水不溶性樹脂粒子の直径と含有率との関係を最適化することを第5の課題とする。
また、本発明は、上記第5の課題に加え、水溶性液体媒体との関係も最適化することを第6の課題とする。
さらに、本発明は、前記第1、第2、第3、第4、第5又は第6の課題に加え、インク収容管にインク追従体を充填することが必要となる場合においても、初筆カスレを抑えるとともに、粒子の経時的な分散安定性を保ち、滲みを抑え、書き味も良好となるようなインク組成物を備えたボールペンを提供することを第7の課題とする。
(1)第1の発明
上記第1の課題を解決するために、本発明のうち第1の発明に係る筆記具用インク組成物は、水、着色剤及びその全量中含有率が5重量%以上60重量%以下の水溶性液体媒体を少なくとも含有し、ELD型回転粘度計の剪断速度19.2sec-1における粘度値が10mPa・sec以上100mPa・sec以下であり、非ニュートン粘性指数が0.75以上であることを特徴とする。
上記の粘度値に調整することで、初筆カスレを抑え、筆記感を向上させ、滲みを抑えることができる。また、n値を高くすることで、擬塑性流体としての性質からニュートン流体の性質へと近づけることで、初筆カスレを抑えるだけでなく、特に水不溶性樹脂粒子を配合したインクでは、分散安定性を阻害することなく、インクの経時安定性を保つことができる。
ここで、上記測定条件における粘度値が10mPa・sec未満の場合は、滲みやすくなるとともに、初筆カスレが起こりやすくなる。一方、粘度値が100mPa・secを超える場合には、書き味が劣り、線割れも発生しやすくなる。よって、粘度値の適正な範囲は上述の通りであり、好ましくは10mPa・sec以上で、かつ、80mPa・sec以下となり、より好ましくは10mPa・sec以上で、かつ、60mPa・sec以下である。
また、n値が0.75未満の場合には、初筆カスレが起こりやすく、経時安定性も劣ることとなる。よって、n値の適正な範囲は上述の通りであり、好ましくは0.81以上、より好ましくは0.90以上である。
さらに、水溶性液体媒体の全量中含有率が5重量%未満であると、筆記感や耐滲み性の向上といった効果が十分に発揮されない。一方、全量中含有率が60重量%を超えると、経時安定性や、描線の速乾性が劣ることとなる。
よって水溶性液体媒体の全量中含有率の適正な範囲は上述の通りであり、好ましくは10重量%以上60重量%以下、より好ましくは15重量%以上60重量%以下である。
(2)第2の発明
前記第2の課題を解決するために、本発明のうち第2の発明は、前記第1の発明の特徴に加え、前記水溶性液体媒体は、多価アルコール、グリコールエーテル及びポリグリセリンアルキレンオキサイド付加物からなる群のうちいずれか1種又は2種以上の混合物であることを特徴とする。
すなわち、このような水溶性液体媒体を配合することで、筆記感を向上させ、滲みを抑え、経時的安定性も向上することとなる。
(3)第3の発明
前記第3の課題に鑑み、本発明のうち第3の発明は、前記前記第1又は第2の発明の特徴に加え、平均粒子径が0.03μm以上10μm以下である水不溶性樹脂粒子を含有することを特徴とする。
ここで、「水不溶性樹脂粒子」とは、水に不溶性の樹脂粒子であって、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂等を原材料とすることができる。また、染料や顔料などの着色剤を内包したマイクロカプセル型顔料についても、そのカプセル外壁(シェル)がこれらの樹脂を原材料としている場合には、本発明でいう水不溶性樹脂粒子とすることができる。この水不溶性樹脂粒子は、描線の筆記面に対する隠蔽性向上目的で使用される。また、着色剤として染料を採用している場合、この水不溶性樹脂粒子により、インク収容管中で呈するインク外観色を筆記時の描線色に近いものとすることができる。さらに、着色剤として、この水不溶性樹脂粒子を染料で着色したものを用いることで、発色性の向上も期待できる。
なお、水不溶性樹脂粒子の平均粒子径が0.03μm未満である場合には、水不溶性樹脂粒子を配合することで得られる隠蔽性、外観視認性、発色性といった効果が十分発揮されない。一方、平均粒子径が10μmを超える場合には、線割れを起こしやすいとともに、経時安定性も低下することとなる。
よって、水不溶性樹脂粒子の平均粒子径の適正な範囲は上述の通りであり、好ましくは0.07μm以上1μm以下であり、より好ましくは0.07μm以上0.70μm以下である。
(4)第4の発明
前記第4の課題を解決するために、本発明のうち第4の発明は、前記第3の発明の特徴に加え、前記水不溶性樹脂粒子の全量中含有率は0.5体積%以上40体積%以下を占めることを特徴とする。
ここで、水不溶性樹脂粒子の全量中含有率が0.5体積%未満であると、水不溶性樹脂粒子を配合することで得られる隠蔽性、外観視認性、発色性といった効果が十分発揮されない。一方、全量中含有率が40体積%を超えると、線割れが発生しやすくなるとともに、筆記感や経時安定性が損なわれることとなる。
よって、水不溶性樹脂粒子の全量中含有率の適正範囲は0.5体積%以上40体積%以下、ということになる。
(5)第5の発明
前記第5の課題を解決するために、本発明のうち第5の発明は、前記第4の発明の特徴に加え、前記水不溶性樹脂粒子の平均粒子径をXμm、該水不溶性樹脂粒子の全量中含有率をY体積%とした場合、
Z=Y/X
で求められるZの値が0.1以上270以下であることを特徴とする。
すなわち、上記Z値が上記範囲内であると、水不溶性樹脂粒子の平均粒子径と全量中含有率との関係を最適化することができるので、特に書き味や経時安定性が優れることとなる。
(6)第6の発明
前記第6の課題を解決するために、本発明のうち第6の発明は、前記第5の発明の特徴に加え、前記水溶性液体媒体の全量中含有率をQ重量%とした場合、
P=Z/Q
で求められるPの値が0.02以上50以下であることを特徴とする。
すなわち、上記P値が上記範囲内であると、水不溶性樹脂粒子の、平均粒子径と全量中含有率との関係に加え、水溶性液体媒体との関係をも最適化することができるので、特に書き味や経時安定性が優れるのに加え、耐滲み性も良好となる。
(7)第7の発明
前記第7の課題を解決するために、本発明のうち第7の発明に係るボールペンは、前記第1、第2、第3、第4、第5又は第6の発明に係る筆記具用インク組成物をインク収容館内に充填したことを特徴とする。
すなわち、水、着色剤及び全量中含有率が5重量%以上60重量%以下の水溶性有機溶剤を少なくとも含有し、ELD型回転粘度計の剪断速度19.2sec-1における粘度値が10mPa・sec以上100mPa・sec以下であり、非ニュートン粘性指数が0.75以上である筆記具用インク組成物がインク収容管内に充填されることとなる。
上記の粘度値に調整することで、初筆カスレを抑え、筆記感を向上させ、滲みを抑えることができる。また、n値を高くすることで、擬塑性流体としての性質からニュートン流体の性質へと近づけることで、初筆カスレを抑えるだけでなく、特に水不溶性樹脂粒子を配合したインクでは、分散安定性を阻害することなく、インクの経時安定性を保つことができる。
ここで、上記測定条件における粘度値が10mPa・sec未満の場合は、滲みやすくなるとともに、初筆カスレが起こりやすくなる。一方、粘度値が100mPa・secを超える場合には、書き味が劣り、線割れも発生しやすくなる。よって、粘度値の適正な範囲は上述の通りであり、好ましくは10mPa・sec以上で、かつ、80mPa・sec以下となり、より好ましくは10mPa・sec以上で、かつ、60mPa・sec以下である。
また、n値が0.75未満の場合には、初筆カスレが起こりやすく、経時安定性も劣ることとなる。よって、n値の適正な範囲は上述の通りであり、好ましくは0.81以上、より好ましくは0.90以上である。
本発明は、上述のように構成されているので、以下に記す効果を奏する。
すなわち、本発明のうち第1の発明の構成によると、インク収容管にインク追従体を充填することが必要となる水性ボールペンにおいても、初筆カスレを抑えるとともに、粒子の経時的な分散安定性を保ち、滲みを抑え、書き味も良好となるようなインク組成物を提供することが可能となる。
また、本発明のうち第2の発明の構成によると、上記第1の発明の効果に加え、そのようなインク組成物に含有される水溶性液体媒体を、適切な組成とすることが可能となる。
さらに、本発明のうち第3の発明の構成によると、上記第1又は第2の発明の効果に加え、上述のようなインク組成物に含有される水不溶性樹脂粒子の直径を適切な範囲とすることが可能となる。
また、本発明のうち第4の発明の構成によると、上記第3の発明の効果に加え、そのような水不溶性樹脂粒子の含有率を適切な範囲とすることが可能となる。
さらに、本発明のうち第5の発明の構成によると、上記第4の発明の効果に加え、そのような水不溶性樹脂粒子の直径と含有率との関係を最適化することが可能となる。
また、本発明のうち第6の発明の構成によると、上記第5の発明の効果に加え、水溶性液体媒体との関係も最適化することが可能となる。
さらに、本発明のうち第7の発明の構成によると、上記第1、第2、第3、第4、第5又は第6の発明の効果に加え、インク収容管にインク追従体を充填することが必要となる場合においても、初筆カスレを抑えるとともに、粒子の経時的な分散安定性を保ち、滲みを抑え、書き味も良好となるようなインク組成物を備えたボールペンを提供することが可能となる。
水不溶性樹脂粒子を添加しない場合において、以下の各実施例及び比較例に係る筆記具用インク組成物について、水溶性液体媒体の全量中含有率、粘度及び非ニュートン粘性指数(n値)の範囲について検証した。
(1)実施例1
実施例1に係る筆記具用インク組成物は、着色剤としてカーボンブラック(MA−100、三菱化学)8重量%、水溶性液体媒体としてプロピレングリコール20重量%及びグリセリン30重量%(計50重量%)、粘度調整剤としてポリアクリル酸類(プライマルASE−60、ローム&ハース)0.25重量及び還元デキストリン7重量%(計7.25重量%)、潤滑剤としてリン酸エステル(フォスファノールRS−610、東邦化学)1重量%、pH調整剤としてトリエタノールアミン1.5重量%、防錆剤としてベンゾトリアゾール0.3重量%並びに精製水31.95重量%の混合物である。
(2)実施例2
実施例2に係る筆記具用インク組成物は、着色剤としてフタロシアニンブルー(クロモファインブルー4965、大日精化)8重量%、水溶性液体媒体としてエチレングリコール20重量%及びジグリセリンエチレンオキサイド13モル付加物20重量%(計40重量%)、粘度調整剤としてポリビニルピロリドン3重量%及び還元デキストリン3重量%(計6重量%)、潤滑剤としてリン酸エステル1重量%、pH調整剤としてトリエタノールアミン5重量%、防錆剤としてベンゾトリアゾール0.3重量%並びに精製水39.7重量%の混合物である。
(3)実施例3
実施例3に係る筆記具用インク組成物は、着色剤として染料(エオシン(C.I.アシッドレッド87))2重量%、水溶性液体媒体としてエチレングリコール20重量%及びジグリセリンエチレンオキサイド13モル付加物20重量%(計40重量%)、粘度調整剤としてポリビニルピロリドン3重量%及び還元デキストリン3重量%(計6重量%)、潤滑剤としてリン酸エステル1重量%、pH調整剤としてトリエタノールアミン5重量%、防錆剤としてベンゾトリアゾール0.3重量%並びに精製水45.7重量%の混合物である。
(4)比較例1
比較例1に係る筆記具用インク組成物は、着色剤としてカーボンブラック8重量%、水溶性液体媒体としてプロピレングリコール20重量%及びグリセリン30重量%(計50重量%)、粘度調整剤としてキサンタンガム0.25重量%及び還元デキストリン3重量%(計3.25重量%)、潤滑剤としてリン酸エステル1重量%、pH調整剤としてトリエタノールアミン4重量%、防錆剤としてベンゾトリアゾール0.3重量%並びに精製水33.45重量%の混合物である。
(5)比較例2
比較例2に係る筆記具用インク組成物は、着色剤としてカーボンブラック8重量%、水溶性液体媒体としてプロピレングリコール40重量%、粘度調整剤としてポリビニルピロリドン6重量%及び還元デキストリン10重量%(計16重量%)、潤滑剤としてリン酸エステル1重量%、pH調整剤としてトリエタノールアミン5重量%、防錆剤としてベンゾトリアゾール0.3重量%並びに精製水29.7重量%の混合物である。
(6)比較例3
比較例3に係る筆記具用インク組成物は、着色剤としてカーボンブラック8重量%、水溶性液体媒体としてプロピレングリコール50重量%及びエチレングリコール15重量%(計65重量%)、粘度調整剤としてキサンタンガム0.15重量%及び還元デキストリン2重量%(計2.15重量%)、潤滑剤としてリン酸エステル1重量%、pH調整剤としてトリエタノールアミン4重量%、防錆剤としてベンゾトリアゾール0.3重量%並びに精製水19.55重量%の混合物である。
(7)比較例4
比較例4に係る筆記具用インク組成物は、着色剤としてカーボンブラック8重量%、水溶性液体媒体としてエチレングリコール3重量%、粘度調整剤としてポリアクリル酸類0.15重量%及び還元デキストリン10重量%(計10.15重量%)、潤滑剤としてリン酸エステル1重量%、pH調整剤としてトリエタノールアミン5重量%、防錆剤としてベンゾトリアゾール0.3重量%並びに精製水72.55重量%の混合物である。
(8)比較例5
比較例5に係る筆記具用インク組成物は、着色剤としてカーボンブラック8重量%、水溶性液体媒体としてエチレングリコール55重量%及びグリセリン15重量%(計70重量%)、粘度調整剤としてポリアクリル酸類0.15重量%及び還元デキストリン10重量%(計10.15重量%)、潤滑剤としてリン酸エステル1重量%、pH調整剤としてトリエタノールアミン5重量%、防錆剤としてベンゾトリアゾール0.3重量%並びに精製水5.55重量%の混合物である。
(9)ボールペンのリフィル
上記各実施例及び比較例に係る筆記具用インク組成物は、図1の正面断面図に示すような形状のリフィル10に充填された上で、ボールペンに装着される。
このリフィル10は、合成樹脂製の管状のインク収容管11の先端に、合成樹脂製の継手14を介してボールペンチップ20が装着されたものである。
継手14には、後端から先端まで貫通する貫通孔15が形成されている。この貫通孔15の中間部分には内径を減じた逆止ボール受け16が形成されている。この逆止ボール受け16と、貫通孔15に圧入されるボールペンチップ20の圧入部29との間には、逆止ボール受け16の内径より大きな直径を有する、超硬合金製の逆止ボール17が挿入されている。
ボールペンチップ20は、円柱形のステンレス綱を切削加工して形成される。具体的には、円柱材の先端付近は先細に切削されてテーパー部21が形成されるとともに、後端付近は一様に外径を減じるように切削されて前記の圧入部29が形成される。この圧入部29は、前記のように、あらかじめ逆止ボール17を挿入した継手14の貫通孔15の前方から圧入されることとなっている。一方、テーパー部21の先端には、直径0.7mmの超硬合金製の筆記ボール30が装着されている。
インク収容管11内部には、筆記具用インク組成物12が充填される。さらに、インク収容管11の内部の筆記具用インク組成物12の後方に接する箇所には、グリース状のインク追従体13が充填される。このインク追従体13は、インクの消費に伴い先端へ移動するとともに、インクの漏出を防止する機能を有している。
前記逆止ボール17は、リフィル10の先端を上向きにすると後端方向に移動して、継手14の貫通孔15を塞ぎ、先端からの流入した空気がインク収容管11内に侵入することで筆記具用インク組成物12がインク収容管11の後端へ逆流するのを防止する。一方、リフィル10の先端を下向きにするとこの逆止ボール17は先端方向に移動して、それによって貫通孔15が開放し、筆記具用インク組成物12が先端へ流出することが可能となる。
(10)粘度及びn値の測定
各実施例及び比較例の粘度は、ELD型回転粘度計(VISCOMETER TV−20L、東機産業)にて、測定温度25℃、剪断速度19.2sec-1にて測定した。また、n値は、流動方程式
S=μDn(ただし、Sは剪断応力(Pa・sec)、μは非ニュートン粘性係数、Dは剪断速度(sec-1)、nは非ニュートン粘性指数)
に従って算出した。
(11)実験項目
上記のようにして各実施例及び比較例に係る筆記具用インク組成物が充填されたボールペンは、以下の各実験に供され、それぞれの基準により評価された。
(11−1)初筆カスレ
筆記前の各ボールペンを、筆記先端を上向きにした状態で、5cmの高さから実験台上へ垂直に落下させた。その後直ちに筆記用紙にらせん筆記を手書きにて行い、描線のカスレ具合を以下の基準にて評価した。
A:描線がかすれず、良好に筆記できた。
B:筆記開始時に描線がわずかにかすれるが、すぐに復帰しその後は良好に筆記できた。
C:筆記開始時に描線がかすれるが、筆記続行中に復帰しその後は良好に筆記できた。
D:描線がかすれ、しかもこれが復帰せず、筆記が困難であった。
(11−2)筆記感
筆記用紙にらせん筆記を手書きにて行い、書き味を以下の基準にて評価した。
A:描線がかすれず、良好に筆記できた。
B:描線がかすれず、大きな抵抗なく筆記できた。
C:ややゴツゴツとした硬い書き味。
D:ゴツゴツとした硬い書き味で、しかも線切れや方向性(筆記角度や筆記速度によって筆記描線に影響が出るほど、インク流出性に偏りが生ずること)あり。
(11−3)耐滲み性
筆記用紙にらせん筆記を手書きにて行い、描線の滲み具合を目視により以下の基準にて評価した。
A:滲みなく鮮明な筆跡。
B:ほとんど滲みのない筆跡。
C:滲みがあり、多少不鮮明な筆跡。
D:滲みが著しく、非常に不鮮明な筆跡。
(11−4)経時安定性
各ボールペンを60℃の恒温室中に60日間放置し、その後常温まで冷却してから筆記用紙にらせん筆記を手書きにて行い、描線の品位などを以下の基準にて評価した。
A:色むらもなく、描線がかすれず、良好に筆記できた。
B:大きな色むらもなく描線がかすれず、筆記できた。
C:カスレが多少あるが、おおむね筆記できた。
D:ほとんど筆記不能であるか、色ムラが著しかった。
(12)結果
上記実施例1から3まで及び比較例1から5までの評価結果は、下記の表1に示す通りであった。
Figure 2006206823
本発明では、水不溶性樹脂粒子を含有しない筆記具用インク組成物の各パラメータについて、以下のような条件が規定されている。
条件1:水溶性液体媒体の全量中含有率が5重量%以上で60重量%以下。
条件2:剪断速度19.2sec-1における粘度が10mPa・sec以上で100mPa・sec以下。
条件3:n値が0.75以上。
上記表1より、条件1から3までを全て満たす実施例1から3までは、いずれの評価項目でもほぼ「A」(実施例1の初筆カスレのみ「B」)であり、非常に優れた品質を示している。
これに対し、上記3条件のうち少なくとも1つが満たされていない比較例1から3までについては、評価項目のいずれかに「D」が見られることとなった。
すなわち、粘度が条件2の上限値の100mPa・secを上回った比較例1及び比較例2では筆記感の項目が「D」となっている。よって、条件2は特に筆記感の向上に関与していると考えられる。
また、n値が条件3の下限値の0.75を下回った比較例1及び比較例3では初筆カスレの項目が「D」となるとともに経時安定性が「C」と悪くなっている。よって、条件3は特に初筆カスレの解消に関与し、経時安定性にも関与していると考えられる。
一方、水溶性液体媒体含有率が条件1の上限値の60重量%を上回った比較例3及び比較例5においては、経時安定性の評価がそれぞれ「C」及び「D」と実施例より悪くなっている。また、条件1の下限値の5重量%を下回った比較例4では筆記感の評価が「D」となるとともに耐滲み性が「C」と悪くなっている。よって、条件1は筆記感及び耐滲み性の向上並びに経時安定性の確保に関与していると考えられる。
水不溶性樹脂粒子を添加する場合において、以下の各実施例及び比較例に係る筆記具用インク組成物について、水溶性液体媒体の全量中含有率、粘度及び非ニュートン粘性指数(n値)の範囲について検証するとともに、併せて水不溶性樹脂粒子についても検証した。
(1)実施例4
実施例4に係る筆記具用インク組成物は、着色剤目的を兼ねた水不溶性樹脂粒子としてLUMIKOL NKW−6013E(赤色、平均粒子径0.1μm、日本蛍光化学)10.2重量%、水溶性液体媒体としてエチレングリコール40重量%及びグリセリン10重量%(計50重量%)、粘度調整剤としてポリビニルピロリドン3重量%、潤滑剤としてリン酸エステル0.5重量%、pH調整剤としてトリエタノールアミン3重量%、防錆剤としてベンゾトリアゾール0.3重量%並びに精製水33重量%の混合物である。
(2)実施例5
実施例5に係る筆記具用インク組成物は、着色剤目的を兼ねた水不溶性樹脂粒子としてLUMIKOL NKW−6203E(赤色、平均粒子径0.4μm、日本蛍光化学)15.3重量%、水溶性液体媒体としてエチレングリコール10重量%、粘度調整剤としてポリビニルピロリドン5重量%及び還元デキストリン10重量%(計15重量%)、潤滑剤としてリン酸エステル0.5重量%、pH調整剤としてトリエタノールアミン4重量%、防錆剤としてベンゾトリアゾール0.3重量%並びに精製水54.9重量%の混合物である。
(3)実施例6
実施例6に係る筆記具用インク組成物は、着色剤目的を兼ねた水不溶性樹脂粒子としてLUMIKOL NKW−6013E 5.1重量%、水溶性液体媒体としてジグリセリンエチレンオキサイド13モル付加物10重量%、粘度調整剤としてポリアクリル酸類0.42重量%、潤滑剤としてリン酸エステル0.5重量%、pH調整剤としてトリエタノールアミン3.5重量%、防錆剤としてベンゾトリアゾール0.3重量%及び精製水80.18重量%の混合物である。
(4)実施例7
実施例7に係る筆記具用インク組成物は、着色剤目的を兼ねた水不溶性樹脂粒子としてLUMIKOL NKW−6013E 10.2重量%、水溶性液体媒体としてエチレングリコール40重量%及びグリセリン10重量%(計50重量%)、粘度調整剤としてポリアクリル酸類0.3重量%及び還元デキストリン1重量%(計1.3重量%)、潤滑剤としてリン酸エステル0.5重量%、pH調整剤としてトリエタノールアミン3重量%、防錆剤としてベンゾトリアゾール0.3重量%並びに精製水34.7重量%の混合物である。
(5)実施例8
実施例8に係る筆記具用インク組成物は、着色剤目的を兼ねた水不溶性樹脂粒子としてLUMIKOL NKW−6013E 10.2重量%、水溶性液体媒体としてエチレングリコール10重量%、粘度調整剤として還元デキストリン7重量%、潤滑剤としてリン酸エステル1重量%、pH調整剤としてトリエタノールアミン3重量%、防錆剤としてベンゾトリアゾール0.3重量%及び精製水68.5重量%の混合物である。
(6)実施例9
実施例9に係る筆記具用インク組成物は、着色剤目的を兼ねた水不溶性樹脂粒子としてLUMIKOL NKW−6013E 10.2重量%、水溶性液体媒体としてエチレングリコール40重量%及びグリセリン10重量%(計50重量%)、粘度調整剤としてポリビニルピロリドン4重量%及び還元デキストリン15重量%(計19重量%)、潤滑剤としてリン酸エステル0.5重量%、pH調整剤としてトリエタノールアミン4重量%、防錆剤としてベンゾトリアゾール0.3重量%並びに精製水16重量%の混合物である。
(7)実施例10
実施例10に係る筆記具用インク組成物は、着色剤目的を兼ねた水不溶性樹脂粒子としてLUMIKOL NKW−6203E 15.3重量%、水溶性液体媒体としてプロピレングリコール60重量%、粘度調整剤として還元デキストリン5重量%、潤滑剤としてリン酸エステル1重量%、pH調整剤としてトリエタノールアミン2重量%、防錆剤としてベンゾトリアゾール0.3重量%及び精製水16.4重量%の混合物である。
(8)実施例11
実施例11に係る筆記具用インク組成物は、着色剤として染料2重量%、水不溶性樹脂粒子としてGR−600(平均粒子径10μm、根上工業)20重量%、水溶性液体媒体としてグリセリン10重量%、潤滑剤としてリン酸エステル1.5重量%、pH調整剤としてトリエタノールアミン2重量%、防錆剤としてベンゾトリアゾール0.3重量%及び精製水64.2重量%の混合物である。
(9)実施例12
実施例12に係る筆記具用インク組成物は、着色剤として染料2重量%、水不溶性樹脂粒子としてMBX−15(架橋ポリメタクリル酸、平均粒子径15μm、積水化学)20重量%、水溶性液体媒体としてジグリセリンエチレンオキサイド13モル付加物20重量%、粘度調整剤としてポリビニルピロリドン2重量%及び還元デキストリン5重量%(計7重量%)、潤滑剤としてリン酸エステル1重量%、pH調整剤としてトリエタノールアミン5重量%、防錆剤としてベンゾトリアゾール0.3重量%並びに精製水44.7重量%の混合物である。
(10)実施例13
実施例13に係る筆記具用インク組成物は、着色剤として染料2重量%、水不溶性樹脂粒子としてBM30X−5(架橋ポリメタクリル酸ブチル、平均粒子径5μm、日本蛍光化学)48重量%、水溶性液体媒体としてエチレングリコール5重量%及びグリセリン5重量%(計10重量%)、粘度調整剤としてポリビニルピロリドン2重量%及び還元デキストリン5重量%(計7重量%)、潤滑剤としてリン酸エステル1重量%、pH調整剤としてトリエタノールアミン3重量%、防錆剤としてベンゾトリアゾール0.3重量%並びに精製水28.7重量%の混合物である。
(11)実施例14
実施例14に係る筆記具用インク組成物は、着色剤目的を兼ねた水不溶性樹脂粒子としてLUMIKOL NKW−6013E 27.2重量%、水溶性液体媒体としてジエチレングリコール5重量%、粘度調整剤としてポリビニルピロリドン2重量%及び還元デキストリン2重量%(計4重量%)、潤滑剤としてリン酸エステル0.5重量%、pH調整剤としてトリエタノールアミン3重量%、防錆剤としてベンゾトリアゾール0.3重量%並びに精製水60重量%の混合物である。
(12)実施例15
実施例15に係る筆記具用インク組成物は、着色剤目的を兼ねた水不溶性樹脂粒子としてLUMIKOL NKW−6013E 28.9重量%、水溶性液体媒体としてジエチレングリコール6重量%、粘度調整剤としてポリビニルピロリドン5重量%及び還元デキストリン2重量%(計7重量%)、潤滑剤としてリン酸エステル0.5重量%、pH調整剤としてトリエタノールアミン1重量%、防錆剤としてベンゾトリアゾール0.3重量%並びに精製水56.3重量%の混合物である。
(13)比較例6
比較例6に係る筆記具用インク組成物は、着色剤目的を兼ねた水不溶性樹脂粒子としてLUMIKOL NKW−6013E 10.2重量%、水溶性液体媒体としてエチレングリコール40重量%及びグリセリン10重量%(計50重量%)、粘度調整剤としてキサンタンガム0.25重量%及びポリビニルピロリドン3重量%(計3.25重量%)、潤滑剤としてリン酸エステル0.5重量%、pH調整剤としてトリエタノールアミン3重量%、防錆剤としてベンゾトリアゾール0.3重量%並びに精製水32.75重量%の混合物である。
(14)比較例7
比較例7に係る筆記具用インク組成物は、着色剤目的を兼ねた水不溶性樹脂粒子としてLUMIKOL NKW−6013E 10.2重量%、水溶性液体媒体としてエチレングリコール40重量%及びグリセリン10重量%(計50重量%)、粘度調整剤としてポリビニルピロリドン6重量%及び還元デキストリン10重量%(計16重量%)、潤滑剤としてリン酸エステル1重量%、pH調整剤としてトリエタノールアミン5重量%、防錆剤としてベンゾトリアゾール0.3重量%並びに精製水17.5重量%の混合物である。
(15)比較例8
比較例8に係る筆記具用インク組成物は、着色剤目的を兼ねた水不溶性樹脂粒子としてLUMIKOL NKW−6013E 10.2重量%、水溶性液体媒体としてエチレングリコール40重量%及びグリセリン10重量%(計50重量%)、粘度調整剤としてキサンタンガム0.15重量%及び還元デキストリン2重量%(計2.15重量%)、潤滑剤としてリン酸エステル1重量%、pH調整剤としてトリエタノールアミン4重量%、防錆剤としてベンゾトリアゾール0.3重量%並びに精製水32.35重量%の混合物である。
(16)比較例9
比較例9に係る筆記具用インク組成物は、着色剤目的を兼ねた水不溶性樹脂粒子としてLUMIKOL NKW−6013E 10.2重量%、水溶性液体媒体としてエチレングリコール10重量%、潤滑剤としてリン酸エステル1重量%、pH調整剤としてトリエタノールアミン3重量%、防錆剤としてベンゾトリアゾール0.3重量%及び精製水75.5重量%の混合物である。
(17)ボールペンのリフィル
上記各実施例及び比較例に係る筆記具用インク組成物が使用されるボールペンについては、前記「実施例1」の(9)と同様であるので説明は省略する。
(18)粘度及びn値の測定
上記各実施例及び比較例に係る筆記具用インク組成物の粘度及びn値の測定については、前記「実施例1」の(10)と同様であるので説明は省略する。
(19)実験項目
上記各実施例及び比較例に係る筆記具用インク組成物については、前記「実施例1」の(10)と同様に、初筆カスレ、筆記感、耐滲み性及び経時安定性についての実験に供されたが、それぞれの詳細については説明を省略する。
(20)水不溶性樹脂粒子の体積%
上記各実施例及び比較例に係る筆記具用インク組成物に使用されている水不溶性樹脂粒子の全量中含有率は、上記(1)から(16)までに記載のそれぞれの重量%から各水不溶性樹脂粒子の比重を基に体積%に換算した。
(21)Z値
上記(20)で得られた、体積%で表された水不溶性樹脂粒子の全量中含有率を、各水不溶性樹脂粒子の平均粒子径(μm)で除した値を求めこれをZ値とした。
(22)P値
上記(21)で得られたZ値を、各実施例及び比較例における水溶性液体媒体の全量中含有率(重量%)で除した値を求めこれをP値とした。
(23)結果
上記実施例4から15まで及び比較例6から9までの評価結果は、下記の表2及び表3に示す通りであった。
Figure 2006206823
Figure 2006206823
本発明では、水不溶性樹脂粒子を含有する筆記具用インク組成物の各パラメータについて、以下のような条件が規定されている。
条件1:水溶性液体媒体の全量中含有率が5重量%以上で60重量%以下。
条件2:剪断速度19.2sec-1における粘度が10mPa・sec以上で100mPa・sec以下。
条件3:n値が0.75以上。
条件4:水不溶性樹脂粒子の全量中含有率は0.5体積%以上で40体積%以下。
条件5:水不溶性樹脂粒子の平均粒子径が0.03μm以上で10μm以下
条件6:Z値が0.1以上で270以下。
条件7:P値が0.02以上で50以下。
上記表2及び3より、条件1から7までを全て満たす実施例4から11までは、いずれの評価項目でもほぼ「A」(実施例6及び9の初筆カスレ並びに実施例6及び11の経時安定性のみ「B」)であり、非常に優れた品質を示している。
これに対し、表2に示すように、上記条件2及び3のうち少なくとも1つが満たされていない比較例6から9までについては、評価項目のいずれかに「D」が見られることとなった。
すなわち、粘度が条件2の上限値の100mPa・secである実施例9では4項目のうち初筆カスレが「B」である他は全て「A」と高品質であるのに対し、この上限値を上回った比較例6及び比較例7では筆記感の項目が「D」となっている。一方、粘度が条件2の下限値の10mPa・secである実施例8では4項目全てが「A」ときわめて高品質であるのに対し、この下限値を下回った比較例9では初筆カスレが「C」、耐滲み性が「D」となっている。よって、条件2のうち粘度の上限値を超えないことは特に筆記感の向上に関与していると考えられ、また、下限値を下回らないことは初筆カスレの防止及び耐滲み性の向上に関与していると考えられる。
また、n値が条件3の下限値の0.75である実施例6では4項目のうち初筆カスレ及び経時安定性が「B」である他は全て「A」とほぼ満足のいく品質であるのに対し、この下限値を下回った比較例6及び比較例8では初筆カスレ及び経時安定性が「D」と悪くなっている。よって、条件3は特に初筆カスレの解消に関与し、経時安定性にも関与していると考えられる。
一方、上記条件4から7までは、水不溶性樹脂粒子に直接関係のあるパラメータを規定するものである。そして、表3に示すように、条件1から3までは満たすものの条件4から7までのうち少なくとも1つが満たされていない実施例12から15までについては、実施例4から11までよりもやや品質に劣ることとなる。
すなわち、水不溶性樹脂粒子の全量中含有率が条件4の上限値である40体積%を上回った実施例13では実施例4から11までに比べ初筆カスレ及び経時安定性で劣ることとなった。
次に、水不溶性樹脂粒子の平均粒子径が条件5の上限値の10μmである実施例11では4項目のうち経時安定性が「B」である他は全て「A」と高品質であるのに対し、この上限値を上回った実施例12では経時安定性がやや劣ることとなった。
また、Z値が条件6の上限値の270を上回った実施例15では筆記感、耐滲み性及び経時安定性でやや劣ることとなった。
さらに、P値が条件7の上限値の50を上回った実施例14では筆記感及び経時安定性でやや劣ることとなった。
以上より、水不溶性樹脂粒子を含有する筆記具用インク組成物においても、条件1から3を全て満たすもの(実施例4から15まで)は、少なくとも著しく悪い評価(すなわち、「D」)となることはない。その上で、さらに条件4から7までをも満たす場合(実施例4から11まで)には、それらのいずれかを満たさない場合(実施例12から15まで)に比べ、品質が向上する傾向が見られた。
本発明の実施例に係る筆記具用インク組成物が充填されるボールペンのリフィルを正面断面図で示すものである。
符号の説明
10 リフィル 11 インク収容管
12 筆記具用インク組成物 13 インク追従体
14 継手 15 貫通孔
16 逆止ボール受け 17 逆止ボール
20 ボールペンチップ 21 テーパー部
29 圧入部 30 筆記ボール

Claims (7)

  1. 水、着色剤及び全量中含有率が5重量%以上60重量%以下の水溶性液体媒体を少なくとも含有し、
    ELD型回転粘度計の剪断速度19.2sec-1における粘度値が10mPa・sec以上100mPa・sec以下であり、非ニュートン粘性指数が0.75以上であることを特徴とする筆記具用インク組成物。
  2. 前記水溶性液体媒体は、多価アルコール、グリコールエーテル及びポリグリセリンアルキレンオキサイド付加物からなる群のうちいずれか1種又は2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1記載の筆記具用インク組成物。
  3. 平均粒子径が0.03μm以上10μm以下である水不溶性樹脂粒子を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の筆記具用インク組成物。
  4. 前記水不溶性樹脂粒子の全量中含有率は0.5体積%以上40体積%以下を占めることを特徴とする請求項3記載の筆記具用インク組成物。
  5. 前記水不溶性樹脂粒子の平均粒子径をXμm、該水不溶性樹脂粒子の全量中含有率をY体積%とした場合、
    Z=Y/X
    で求められるZの値が0.1以上270以下であることを特徴とする請求項4記載の筆記具用インク組成物。
  6. 前記水溶性液体媒体の全量中含有率をQ重量%とした場合、
    P=Z/Q
    で求められるPの値が0.02以上50以下であることを特徴とする請求項5記載の筆記具用インク組成物。
  7. 請求項1、2、3、4、5又は6記載の筆記具用インク組成物をインク収容管内に充填したことを特徴とするボールペン。
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