JP3816368B2 - ボールペン用水性インキ組成物及びそれを内蔵したボールペン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はボールペン用水性インキ組成物に関するものである。更に詳細には、ペン先における耐ドライアップ性および垂れ下がり防止性能に優れた、剪断減粘性を有するボールペン用水性インキ組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、筆記具用インキ組成物は、水を主溶剤とした水性インキ組成物と、有機溶剤を主溶剤とした油性インキ組成物に大別されるが、環境問題や人体に対する安全性を配慮して水性インキ組成物が汎用されつつある。
そのうち、剪断減粘性を有するボールペン用水性インキは従来の油性ボールペンの短所や低粘度水性ボールペンの筆跡が滲む短所を克服する目的で開発されてきた。
剪断減粘性インキにおける増粘剤(剪断減粘性付与剤)としては、キサンタンガム、サクシノグリカン等のガム類、架橋型アクリル酸重合体、HLB8〜12のノニオン系界面活性剤、会合型のウレタンやポリエーテルが使用されている(特開昭59−74175号公報、特開平6−88050号公報、特開平9−302299号公報等)。
しかし、このような剪断減粘性を付与するための目的で使用するキサンタンガム、サクシノグリカン等のガム類及びHLB8〜12のノニオン系界面活性剤等は耐ドライアップ性能を阻害することがある。
そのため、水溶性有機溶剤、多価アルコール等の湿潤剤や尿素等の固体湿潤剤などの添加剤を添加して、耐ドライアップ性能を向上させる提案がなされている。
しかしながら、添加剤を配合したインキは乾燥防止効果が不十分であったり、インキ粘度を増加させ、かすれ等の筆記不良を生じやすくなる。例えば、尿素の過度の添加は、筆記先端部から水分が蒸発して水溶性有機溶剤の濃度が上昇すると固形分が前記筆記先端部に析出する、所謂、花咲き現象を生じて見栄えが悪くなると共にかすれ等を生じる。また、尿素およびその誘導体は、分解によってアンモニアが発生し、インキのpHを上昇させることに起因して顔料の凝集を促進させるなどの弊害があり、満足できる水性インキ組成物を得ることができなかった。
また、ソルビット、ショ糖、麦芽糖、還元麦芽糖などの吸湿性の有る糖類の添加も提案されているがペン先乾燥防止効果は充分ではなかった。
更に、水溶性有機溶剤、尿素及びその誘導体、吸湿性のある糖類の多量の添加は、特に多湿環境下でペン先を下向きに放置したときには、垂れ下がりが発生するなどの弊害も認められる。
また、着色剤としては顔料や染料が用いられるが、顔料を用いた場合、染料に比べ筆跡の耐水性や耐光性に優れている反面、インキ中で凝集や沈降を生じ易く、経時によって筆記できなくなったり、筆跡に濃淡が発生する不具合を生じる。また、一方で、インキの粘度を増大させて顔料の沈降を抑制する試みがなされているが、粘度が増大することにより、インキ吐出量が減少し、その結果、筆跡がかすれ易くなるため、良好な筆跡が得られ難くなる。
更に、染料を用いた水性インキ組成物に較べて、水の蒸発により固形分(着色剤や樹脂等)濃度が上昇し易く、インキ吐出量が減少する傾向にあるため、筆記先端部が外気に晒された状態で放置すると短時間で筆跡がかすれたり、更には筆記不能になる恐れがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記した従来の水性顔料インキ組成物の問題点を解消するものであって、即ち、耐ドライアップ性と垂れ下がり性を共に満足するボールペン用水性インキ組成物およびそれを内蔵したボールペンを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも着色剤と、水と、剪断減粘性付与剤と、トレハロースとを含有することを特徴とするボールペン用水性インキ組成物を要件とする。更には、前記トレハロースをインキ組成物全量に対して1乃至15重量%含んでなること、前記着色剤が顔料であること等を要件とする。更には、前記のボールペン用水性インキ組成物をレフィル内に収容し、出没機構の操作によって軸筒内に収容されたレフィルのペン先を軸筒の先端孔から出没自在に構成してなるボールペンを要件とする。
【0005】
本発明に用いられるトレハロースは下記一般式(1)で示される化合物であり、ブドウ糖二分子がα,α−1,1で結合した非還元性の糖類であり、天然二糖類の中では最も熱や酸に対して安定性が高く、インキ中での変質が発生しない。そのため、他の糖類よりも優れた耐ドライアップ性能を示すと考えられる。
また、トレハロースは相対湿度95%まで全く吸湿しない為、他の水溶性有機溶剤や尿素及びその誘導体の添加では高湿度化で空気中の水分を吸水するためにおこる垂れ下がりやボタ落ち等の弊害を抑制する働きを持つ。
また、前記ガム類、水溶性高分子類等の剪断減粘性付与剤は、ペン先で水分が蒸発したときに非常に強固な乾燥膜を形成し易く、その為、長時間筆記部が外気に晒された状態で放置すると、筆記不可能な状態になりやすいが、トレハロースの添加はこの乾燥膜を形成することを阻止する働きがあると考えられる。
【0006】
【化1】
Figure 0003816368
【0007】
本発明に用いられるトレハロースの添加量はインキ全量に対して1至15重量%、好ましくは3乃至10重量%の範囲で用いられる。
1重量%より少ないと耐ドライアップ性の効果が少なく、15重量%より多いとインキの粘度が上昇して泣き出しやボテの原因になったり、追従性を妨げたりする。
【0008】
前記着色剤としては、水性媒体に溶解もしくは分散可能な染料及び顔料がすべて使用可能であり、その具体例を以下に例示する。前記染料としては、酸性染料、塩基性染料、直接染料等を使用することができる。
酸性染料としては、
ニューコクシン(C.I.16255)、
タートラジン(C.I.19140)、
アシッドブルーブラック10B(C.I.20470)、
ギニアグリーン(C.I.42085)、
ブリリアントブルーFCF(C.I.42090)、
アシッドバイオレット6B(C.I.42640)、
ソルブルブルー(C.I.42755)、
ナフタレングリーン(C.I.44025)、
エオシン(C.I.45380)、
フロキシン(C.I.45410)、
エリスロシン(C.I.45430)、
ニグロシン(C.I.50420)、
アシッドフラビン(C.I.56205)等が用いられる。
【0009】
塩基性染料としては、
クリソイジン(C.I.11270)、
メチルバイオレットFN(C.I.42535)、
クリスタルバイオレット(C.I.42555)、
マラカイトグリーン(C.I.42000)、
ビクトリアブルーFB(C.I.44045)、
ローダミンB(C.I.45170)、
アクリジンオレンジNS(C.I.46005)、
メチレンブルーB(C.I.52015)等が用いられる。
【0010】
直接染料としては、
コンゴーレッド(C.I.22120)、
ダイレクトスカイブルー5B(C.I.24400)、
バイオレットBB(C.I.27905)、
ダイレクトディープブラックEX(C.I.30235)、
カヤラスブラックGコンク(C.I.35225)、
ダイレクトファストブラックG(C.I.35255)、
フタロシアニンブルー(C.I.74180)等が用いられる。
【0011】
前記顔料としては、カーボンブラック、群青などの無機顔料や銅フタロシアニンブルー、ベンジジンイエロー等の有機顔料の他、予め界面活性剤や樹脂を用いて微細に安定的に水媒体中に分散された水分散顔料製品等が用いられ、例えば、C.I.Pigment Blue 15:3B〔品名:Sandye Super Blue GLL、顔料分24%、山陽色素株式会社製〕、
C.I. Pigment Red 146〔品名:Sandye Super Pink FBL、顔料分21.5%、山陽色素株式会社製〕、
C.I.Pigment Yellow 81〔品名:TC Yellow FG、顔料分約30%、大日精化工業株式会社製〕、
C.I.Pigment Red 220/166〔品名:TC Red FG、顔料分約35%、大日精化工業株式会社製〕等を挙げることができる。
なお、前記顔料を分散する樹脂としては、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、アクリル酸樹脂、マレイン酸樹脂、アラビアゴム、セルロース、デキストラン、カゼイン等、およびそれらの誘導体、前記した樹脂の共重合体等が挙げられる。
蛍光顔料としては、各種蛍光性染料を樹脂マトリックス中に固溶体化した合成樹脂微細粒子状の蛍光顔料が使用できる。
また、二酸化チタン等の白色顔料、アルミニウム等の金属粉、パール顔料、金色、銀色のメタリック顔料、蓄光性顔料、香料又は香料カプセル顔料等を使用することもできる。
前記顔料は一種又は二種以上を適宜混合して使用することができ、インキ組成物中1乃至25重量%、好ましくは2乃至15重量%の範囲で用いられる。
【0012】
更に水溶性有機溶剤として、水に相溶性のある従来汎用の溶剤を用いることができる。
前記水溶性有機溶剤としては、エタノール、プロパノール、ブタノール、グリセリン、ソルビトール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、チオジエチレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3−ブタンジオール、ネオプレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
尚、前記水溶性有機溶剤は1種又は2種以上を併用することもでき、インキ組成物全量に対して2〜60重量%、好ましくは5〜35重量%の範囲で用いられる。
【0013】
その他、必要に応じてpH調整剤、防腐剤或いは防黴剤を添加することができる。
前記pH調整剤としては、アンモニア、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、酢酸ソーダ等の無機塩類、トリエタノールアミンやジエタノールアミン等の水溶性のアミン化合物等の有機塩基性化合物等が挙げられる。
前記防腐剤或いは防黴剤としては、石炭酸、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン等が挙げられる。
その他、溶剤の浸透性を向上させるフッ素系、ノニオン系、アニオン系、カチオン系等の界面活性剤、ジメチルポリシロキサン等の消泡剤を添加することもできる。
【0014】
又、耐乾燥性を妨げない範疇でアルキッド樹脂、アクリル樹脂、スチレンマレイン酸共重合物、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストリン等の水溶性樹脂を1種又は2種以上添加したり、尿素、ノニオン系界面活性剤、ソルビット、マンニット、ショ糖、ぶどう糖、還元デンプン加水分解物、ピロリン酸ナトリウム等の湿潤剤を1種又は2種以上添加することもできる。
【0015】
インキ組成物の剪断減粘性とは静止状態あるいは応力の低い時は著しく高粘度で流動し難い性質を有し、応力が増大すると低粘度化して良流動性を示すレオロジー特性を言うものであり、チクソトロピー性あるいは擬似可塑性とも呼ばれる液性を意味している。よって、インキ組成物は筆記時の高剪断応力下においては三次元構造が一時的に破壊されインキの粘度が低下し、筆記先端部のインキは筆記に適した低粘度インキとなり、紙面に転移される。非筆記時にはインキの粘度が高くなり、インキの漏出を防止したり、インキの分離、逆流を防ぐことができる。又、インキ物性を経時的に安定に保つことができる。
特に、筆記先端部にボールを抱持したボールペンは、筆記時の高剪断応力下においてはボール近傍のインキが筆記に適した低粘度となり、ボールとボールハウスの間隙を毛細管力によって移動して紙面に転移されるインキ特性が必要であり、また、非筆記時には、ボール近傍も含めてすべてのインキの粘度が高くなり、インキの漏出を防止したり、インキの分離、逆流を防止する必要があり、E型回転粘度計による100rpmにおけるインキ粘度が20〜200mPa・s(25℃)を示し、且つ、剪断減粘性指数が0.1〜0.8を示すインキ組成物が好適である。尚、剪断減粘性指数nは実験式T=Kjn (T:剪断応力値、j:剪断速度、Kは計算された定数)に数値をあてはめることにより得られる。
【0016】
前記剪断減粘性付与剤としては、水に可溶乃至分散性の物質が効果的であり、キサンタンガム、ウェランガム、構成単糖がグルコースとガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン(平均分子量約100乃至800万)、グアーガム、ローカストビーンガム及びその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸アルキルエステル類、メタクリル酸のアルキルエステルを主成分とする分子量10万〜15万の重合体、グリコマンナン、寒天やカラゲニン等の海藻より抽出されるゲル化能を有する増粘多糖類、ベンジリデンソルビトール及びベンジリデンキシリトール又はこれらの誘導体、架橋性アクリル酸重合体、無機質微粒子、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリン・ラノリンアルコール・ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸アミド等のHLB値が8〜12のノニオン系界面活性剤、ジアルキル又はジアルケニルスルホコハク酸の塩類等を例示でき、単独或いは混合して使用することができる。
更に、N−アルキル−2−ピロリドンとアニオン系界面活性剤の混合物、ポリビニルアルコールとアクリル系樹脂の混合物を用いることもできる。
前記剪断減粘性付与剤は、インキ組成物中0.1〜20重量%の範囲で用いることができる。
【0017】
その他、必要に応じて防錆剤、潤滑剤等を添加することができる。
前記防錆剤としては、ベンゾトリアゾール及びその誘導体、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、チオ硫酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸塩、サポニン、ジアルキルチオ尿素等が挙げられる。
前記潤滑剤としては、金属石鹸、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイド付加型カチオン活性剤、リン酸エステル系活性剤、チオカルバミン酸塩、ジメチルジチオカルバミン酸塩等が挙げられる。
【0018】
なお、好適に用いられる潤滑剤としては、下記一般式(2)又は特公平1−13508号公報に記載の燐酸エステル系界面活性剤が挙げられる。
【化2】
Figure 0003816368
(式中、R1 は8〜18のアルキル基、アルケニル基、或いは、フェニル基、アルキルフェニル基を示し、R2 はOH、OM、R1 −O−(CH2 CH2 O)n を示し、Mは、アルカリ金属、アミン、アルカノールアミンを示し、nは、1〜30を示す。)
【0019】
本発明のボールペン用水性インキ組成物は、ボールペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、従来より汎用のものが適用でき、例えば、軸筒内にインキ組成物を充填したインキ収容管を有し、該インキ収容管はボールを先端部に装着したチップに連通しており、さらにインキの端面には逆流防止用の液栓が密接しているボールペンが例示できる。
【0020】
前記インキ組成物を充填するボールペンについて更に詳しく説明すると、筆記先端部(チップ)の構造は、従来より汎用の機構が有効であり、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、或いは、金属材料をドリル等による切削加工により形成したボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、或いは、金属製のパイプや金属材料の切削加工により形成したチップに抱持するボールをバネ体により前方に付勢させたもの等を適用できる。
又、前記ボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック等の0.3〜1.2mm径程度のものが適用できる。
【0021】
前記インキ組成物を収容するインキ収容管は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂からなる成形体が、インキの低蒸発性、生産性の面で好適に用いられる。
又、前記インキ収容管は、2.5〜10mmの内径を有するものが好適に用いられる。
更に、前記インキ収容管として透明、着色透明、或いは半透明の成形体を用いることにより、インキ色やインキ残量等を確認できる。
前記インキ収容管にはチップを直接連結する他、接続部材を介して前記インキ収容管とチップを連結してもよい。
尚、前記インキ収容管は、ボールペン用レフィルの形態として、前記レフィルを軸筒内に収容するものでもよいし、先端部にチップを装着した軸筒自体をインキ収容体として、前記軸筒内に直接インキを充填してもよい。
前記軸筒内に収容するレフィルの内径は、2.5〜5mmのものが好適に用いられ、インキを直接収容する軸筒の内径は、4〜10mmのものが好適に用いられる。
【0022】
前記インキ収容管に収容したインキ組成物の後端にはインキ逆流防止体を充填することが好ましい。
前記インキ逆流防止体としては、液状または固体のいずれを用いることもでき、前記液状のインキ逆流防止体としては、ポリブテン、α−オレフィンオリゴマー、シリコーン油、精製鉱油等の不揮発性媒体が挙げられ、所望により前記媒体中にシリカ、珪酸アルミニウム、膨潤性雲母、脂肪酸アマイド等を添加することもできる。
また、固体のインキ逆流防止体としては樹脂成形物が挙げられる。
更に、前記液状及び固体のインキ逆流防止体を併用することもできる。
【0023】
前記ボールペンとしてはいかなる構造のものでも用いることができるが、耐ドライアップ性能に優れているため、筆記部が外気に晒された状態で軸筒内に収納されている出没機構を持つもので特に効果的である。出没機構の操作方法としては、例えば、ノック式、回転式、スライド式等が挙げられる。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明のボールペン用水性インキ組成物は、水と水溶性有機溶剤からなる媒体中に、着色剤、トレハロース、添加剤が配合される場合には適宜添加剤を投入し、必要により加温して攪拌し、溶解及び分散することにより調製され、ボールペンに充填して使用される。
【0025】
【実施例】
実施例1乃至4及び比較例1乃至6で作成したボールペン用水性インキ組成物の配合を以下に示す。
尚、数値は重量部を示す。
【0026】
実施例1
黒色顔料 40.0
〔商品名:SP Black 8922,富士色素(株)製〕
(カーボンブラック 20%、ジエチレングリコール 15%、アニオン活性剤 6%、水 49%)
エチレングリコール 10.0
ジエチレングリコール 5.0
ウレタン系会合樹脂エマルジョン 2.5
〔商品名:レオレート299,エレメンティスジャパン(株)製〕
リン酸エステル系界面活性剤 0.5
〔潤滑剤,商品名:プライサーフAL,第一工業製薬(株)製〕
1,2−ベンズチアゾリン−3−オン 0.2
〔防腐剤,商品名:プロキセルXL−2,アビシア(株)製〕
トレハロース 〔(株)林原商事製〕 10.0
1,3ジエチルチオ尿素 0.3
水 31.5
【0027】
予め顔料以外の添加剤を水に投入して攪拌した後、顔料を投入してディスパーにて2000rpmで10分間攪拌し、黒色水性インキを調製した。
【0028】
実施例2
黒色顔料 50.0
〔商品名:WA Black A250,大日精化工業(株)製〕 (カーボンブラック 15%、ジエチレングリコール 20%、アクリル樹脂5%、水 60%)
グリセリン 5.0
エチレングリコール 5.0
ウレタン系会合樹脂エマルジョン 2.5
〔商品名:TAFGEL PUR60,MUNZING CHEMIE GMBH製〕
ブチルカービトール 0.5
リン酸エステル系界面活性剤 0.5
〔潤滑剤,商品名:プライサーフAL,第一工業製薬(株)製〕
1,2−ベンズチアゾリン−3−オン 0.2
〔防腐剤,商品名:プロキセルXL−2,アビシア(株)製〕
トレハロース 〔(株)林原商事製〕 5.0
1,3ジエチルチオ尿素 0.3
水 31.0
【0029】
TAFGEL PUR60とブチルカービトールを予め混合した溶液を作成した後、各種添加剤を入れて混合し、更に顔料を投入しディスパーにて2000rpmで10分間攪拌し、黒色水性インキを調製した。
【0030】
実施例3
青色顔料 50.0
〔商品名:富士SPブルー6401,富士色素(株)製〕
(銅フタロシアニンブルー 19%、ジエチレングリコール 8%、アニオン性界面活性剤 2.5%、水 70.5%)
エチレングリコール 5.0
尿素 5.0
アルカリ増粘樹脂エマルジョン 2.2
〔商品名:プライマルASE−60,ロームアンドハース製〕
リン酸エステル系界面活性剤 0.5
〔潤滑剤,商品名:プライサーフA212C,第一工業製薬(株)製〕
1,2−ベンズチアゾリン−3−オン 0.2
〔防腐剤,商品名:プロキセルXL−2,アビシア(株)製〕
トレハロース 〔(株)林原商事製〕 7.0
1,3ジエチルチオ尿素 0.3
水 29.8
【0031】
予め顔料以外の添加剤を水に投入して攪拌した後、顔料を投入してディスパーにて2000rpmで10分間攪拌し、青色水性インキを調製した。
【0032】
実施例4
黒色染料 40.0
〔商品名:ウォーターブラック100L,オリエント化学工業(株)製〕
(C/Iダイレクトブラック19 20%、水 80%)
キサンタンガム 0.4
グリセリン 10.0
ジエチレングリコール 10.0
尿素 10.0
トレハロース 〔(株)林原商事製〕 10.0
リン酸エステル系界面活性剤 0.5
〔潤滑剤,商品名:プライサーフA212C,第一工業製薬(株)製〕
1,2−ベンズチアゾリン−3−オン 0.5
〔防腐剤,商品名:プロキセルXL−2,アビシア(株)製〕
1,3ジエチルチオ尿素 0.5
水 18.1
【0033】
予めグリセリンとキサンタンガムを馴染ませた後、少量の水を入れディスパーにて6000rpmで10分間攪拌し、別途その他の添加剤と水を混ぜた水溶液中に投入して、更にディスパー6000rpmで10分間攪拌し、黒色水性インキを調製した。
【0034】
比較例1
黒色顔料 40.0
〔商品名:SP Black 8922,富士色素(株)製〕
(カーボンブラック 20%、ジエチレングリコール 15%、アニオン活性剤 6%、水 49%)
エチレングリコール 10.0
ジエチレングリコール 5.0
ウレタン系会合樹脂エマルジョン 2.5
〔商品名:レオレート299,エレメンティスジャパン(株)製〕
リン酸エステル系界面活性剤 0.5
〔潤滑剤,商品名:プライサーフAL,第一工業製薬(株)製〕
1,2−ベンズチアゾリン−3−オン 0.2
〔防腐剤,商品名:プロキセルXL−2,アビシア(株)製〕
1,3ジエチルチオ尿素 0.3
水 41.5
【0035】
比較例2
黒色顔料 50.0
〔商品名:WA Black A250,大日精化工業(株)製〕
(カーボンブラック 15%、ジエチレングリコール 20%、アクリル樹脂5%、水 60%)
グリセリン 5.0
ウレタン系会合樹脂エマルジョン 2.5
エチレングリコール 5.0
〔商品名:TAFGEL PUR60,MUNZING CHEMIE GMBH 製〕
ブチルカービトール 0.5
リン酸エステル系界面活性剤 0.5
〔潤滑剤,商品名:プライサーフAL,第一工業製薬(株)製〕
1,2−ベンズチアゾリン−3−オン 0.2
〔防腐剤,商品名:プロキセルXL−2,アビシア(株)製〕
1,3ジエチルチオ尿素 0.3
水 36.0
【0036】
比較例3
青色顔料 50.0
〔商品名:富士SPブルー6401,富士色素(株)製〕
(銅フタロシアニンブルー 19%、ジエチレングリコール 8%、アニオン性界面活性剤 2.5%、水 70.5%)
エチレングリコール 5.0
尿素 5.0
アルカリ増粘樹脂エマルジョン 2.2
〔商品名:プライマルASE−60,ロームアンドハース製〕
リン酸エステル系界面活性剤 0.5
〔潤滑剤,商品名:プライサーフA212C,第一工業製薬(株)製〕
1,2−ベンズチアゾリン−3−オン 0.2
〔防腐剤,商品名:プロキセルXL−2,アビシア(株)製〕
1,3ジエチルチオ尿素 0.3
水 36.8
【0037】
比較例4
黒色染料 40.0
〔商品名:ウォーターブラック100L,オリエント化学工業(株)製〕
(C/Iダイレクトブラック19 20%、水 80%)
キサンタンガム 0.4
グリセリン 10.0
ジエチレングリコール 10.0
尿素 10.0
リン酸エステル系界面活性剤 0.5
〔潤滑剤,商品名:プライサーフA212C,第一工業製薬(株)製〕
1,2−ベンズチアゾリン−3−オン 0.5
〔防腐剤,商品名:プロキセルXL−2,アビシア(株)製〕
1,3ジエチルチオ尿素 0.5
水 28.1
【0038】
比較例5
黒色顔料 40.0
〔商品名:SP Black 8922,富士色素(株)製〕
(カーボンブラック 20%、ジエチレングリコール 15%、アニオン活性剤 6%、水 49%)
エチレングリコール 10.0
ジエチレングリコール 5.0
ウレタン系会合樹脂エマルジョン 2.5
〔商品名:レオレート299,エレメンティスジャパン(株)製〕
リン酸エステル系界面活性剤 0.5
〔潤滑剤,商品名:プライサーフAL,第一工業製薬(株)製〕
1,2−ベンズチアゾリン−3−オン 0.2
〔防腐剤,商品名:プロキセルXL−2,アビシア(株)製〕
グリセリン 10.0
1,3ジエチルチオ尿素 0.3
水 31.5
【0039】
比較例6
青色顔料 50.0
〔商品名:富士SPブルー6401,富士色素(株)製〕
(銅フタロシアニンブルー 19%、ジエチレングリコール 8%、アニオン性界面活性剤 2.5%、水 70.5%)
エチレングリコール 5.0
尿素 5.0
アルカリ増粘樹脂エマルジョン 2.2
〔商品名:プライマルASE−60,ロームアンドハース製〕
リン酸エステル系界面活性剤 0.5
〔潤滑剤,商品名:プライサーフA212C,第一工業製薬(株)製〕
1,2−ベンズチアゾリン−3−オン 0.2
〔防腐剤,商品名:プロキセルXL−2,アビシア(株)製〕
無水結晶マルトース 7.0
1,3ジエチルチオ尿素 0.3
水 29.8
【0040】
前記実施例1乃至4及び比較例1乃至6で作成したインキ1mlを、直径0.5mmの超硬合金ボールを抱持するステンレススチール製チップがポリプロピレン製の軸筒一端に嵌着された形態のボールペンに充填し、更に、前記インキの後端面に密接させて逆流防止体(シリコーングリース系)0.1gを充填して遠心処理を施した後、尾栓を嵌着して試料ボールペンをそれぞれ3本ずつ作成した。
【0041】
耐ドライアップ性能試験
前記各々のボールペンのペン先を外気に晒した状態で、表1中Aにおいては20℃、Bにおいては50℃の条件下で60日放置した後、紙面に筆記して筆跡を目視により観察した。
垂れ下がり試験
前記各々のボールペンのペン先を外気に晒した状態で、表1中Cにおいて20℃、95RH条件下で、ペン先を下向きに倒立させたまま2時間放置した後、チップ先端を目視により観察した。
その結果を表に示す。
【0042】
【表1】
Figure 0003816368
【0043】
尚、表中の判定結果を以下に示す。
耐ドライアップ性能試験
○:レポート用紙1行以内に回復。
△:レポート用紙3行以内に回復。
×:レポート用紙3行以内に回復しない。
垂れ下がり試験
○:異常なし。
△:チップ先端にやや滴発生。
×:滴発生もしくはボタ落ち発生。
【0044】
【発明の効果】
本発明は、トレハロースを添加することにより、ペン先の耐ドライアッップ性及び垂れ下がり性能に優れたボールペン用水性インキ組成物及びそれを内蔵したボールペンを提供できる。

Claims (4)

  1. 少なくとも着色剤と、水と、剪断減粘性付与剤と、トレハロースとを含有することを特徴とするボールペン用水性インキ組成物。
  2. 前記トレハロースをインキ組成物全量に対して1乃至15重量%含んでなる請求項1記載のボールペン用水性インキ組成物。
  3. 前記着色剤が顔料である請求項1又は2記載のボールペン用水性インキ組成物。
  4. 前記請求項1乃至3のいずれかに記載のボールペン用水性インキ組成物をレフィル内に収容し、出没機構の操作によって軸筒内に収容されたレフィルのペン先を軸筒の先端孔から出没自在に構成してなるボールペン。
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