JP2006154590A - 屈折率分布型光学部材の製造方法、光学部材形成用重合性組成物および光学部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】広範囲な波長(650nm〜1550nm)にわたって高い光伝送能を有し、かつ湿熱時でも低伝送損失が維持された光学部材に関する製造方法等を提供。
【解決手段】円筒状容器内に、下記(a)で表される含フッ素モノマーと重合開始剤を注入して重合を行って円筒状容器の壁面から中心方向に一定の屈折率を有するクラッド部212を形成する工程と、その後に、下記(b)で表される含フッ素モノマーで、含フッ素モノマー(a)で表されるモノマーに対する組成比を漸進的に増加させて注入して重合を行ってクラッド部との界面から中心部まで漸進的に増加する屈折率を有するコア部231を形成する工程を含む屈折率分布型光学部材の製造方法(a)炭素原子およびフッ素原子を必須構成原子とする含フッ素モノマー(b)炭素原子、フッ素原子および塩素原子を必須構成原子とする含フッ素モノマー。
【選択図】図1
【解決手段】円筒状容器内に、下記(a)で表される含フッ素モノマーと重合開始剤を注入して重合を行って円筒状容器の壁面から中心方向に一定の屈折率を有するクラッド部212を形成する工程と、その後に、下記(b)で表される含フッ素モノマーで、含フッ素モノマー(a)で表されるモノマーに対する組成比を漸進的に増加させて注入して重合を行ってクラッド部との界面から中心部まで漸進的に増加する屈折率を有するコア部231を形成する工程を含む屈折率分布型光学部材の製造方法(a)炭素原子およびフッ素原子を必須構成原子とする含フッ素モノマー(b)炭素原子、フッ素原子および塩素原子を必須構成原子とする含フッ素モノマー。
【選択図】図1
Description
本発明はプラスチック光学部材の技術分野に属し、特に、光ファイバ、光導波路および光学レンズ等に好ましく用いられる屈折率分布型光学部材の製造方法およびその製造に用いられる重合性組成物等の技術分野に属する。
プラスチック光学部材は、同一の構造を有する石英系の光学部材と比較して、一般には成型加工性、部材の軽量化、低コスト化、可撓性、耐衝撃性等において優位性を有している。例えばプラスチック光ファイバ(POF)は、石英系光ファイバと較べると、光の伝送損失が大きいために長距離の光伝送には向いていないが、上記のプラスチックの性質により、POFのコア部を数10μm以上とするようないわゆる大口径化を図ることができる。この大口径化により、POFの分岐や接続に用いる各種周辺部品や機器の、光ファイバとの接続精度を上げる必要がなくなる。そのため、POFは、周辺部品や機器との接続容易性、端末加工容易性、高精度の調芯が不要になるメリットを有する。その他にもPOFは、上記のプラスチックの性質により、人体への突き刺し災害等の危険性の低さ等のメリットもある。
このような観点から、POFは、家庭や、車載用途に注目されているだけでなく、高速データ処理装置の内部配線や、DVI(digital Video Interface)リンクなどの極短距離かつ大容量のケーブルとしても、利用が検討されている。
このような観点から、POFは、家庭や、車載用途に注目されているだけでなく、高速データ処理装置の内部配線や、DVI(digital Video Interface)リンクなどの極短距離かつ大容量のケーブルとしても、利用が検討されている。
POFは、コア部とクラッド部とから構成され、クラッド部は外殻部分であり、コア部はクラッドの中を満たす芯部分であってクラッド部よりも屈折率が高いものとなっている。そして、高い伝送容量を有する光ファイバとして、中心から外側に向かって屈折率の高低分布を有するコア部を備えた屈折率分布型POF(GI−POF)が最近注目されている。このGI−POFの製法の一つに、まず光ファイバ母材(プリフォーム)を作製し、その後、このプリフォームを溶融延伸する方法が知られている。
このプリフォームの作製においては、クラッド用パイプの中にコア部を生成するための重合性化合物を入れて、このクラッドパイプを管状容器に入れ、この管状容器を回転させながらコア部を生成させる。このコア部生成においては、コア部をクラッド用パイプ側から中央部に向かって管状に順次形成していくとともに、屈折率調整用の化合物の含有量を中央に向かうにつれて変化させて重合性化合物を重合させる。この重合方法により形成されたコア部には、含有される屈折率調整剤等の濃度分布があり、これにより、コア部には屈折率の分布が生じる。このようにして得られたプリフォームを、所定の温度で延伸することにより、屈折率分布型プラスチック光ファイバが得られる(例えば、特許文献1〜3参照。)。
しかしながら、特許文献1、2等の提案によれば、好ましい複数のモノマーの組み合わせとして具体的に挙がっている例は、メチルメタクリレート(MMA)とベンジルメタクリレート(BzMA)の組み合わせのみである。
しかしながらこの組み合わせによる屈折率分布のデータは記載されているが、該ファイバの伝送損失のデータは記載されておらず不明である。しかもMMAを用いている限り、たとえC−H結合が重水素置換されていても湿熱時にはMMAの含有率に応じて水分を吸収し酸素−水素結合の分子振動の高調波に基づいて損失が上昇してしまう。
また、特許文献3によると低吸湿性の素材としてパーフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)(PDD)とパーフルオロ(ブテニルビニルエーテル)(PBVE)の組み合わせによる共重合ファイバが記載されている。この組み合わせは共重合反応性比を利用して屈折率分布が付与されているが、その反面反応性が異なる為、異種ポリマーが生じやすく、伝送損失特に短波側の伝送損失が大きくなる傾向にある。特許文献3の実施例2の伝送損失値は650nmで320dB/kmであり、C−H結合を有するポリメチルメタクリレートの伝送損失(通常650nmでの伝送損失は150〜300dB/km)に比べて同等以上でありレイリー散乱の影響があり損失値としては十分とはいえない。
しかしながらこの組み合わせによる屈折率分布のデータは記載されているが、該ファイバの伝送損失のデータは記載されておらず不明である。しかもMMAを用いている限り、たとえC−H結合が重水素置換されていても湿熱時にはMMAの含有率に応じて水分を吸収し酸素−水素結合の分子振動の高調波に基づいて損失が上昇してしまう。
また、特許文献3によると低吸湿性の素材としてパーフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)(PDD)とパーフルオロ(ブテニルビニルエーテル)(PBVE)の組み合わせによる共重合ファイバが記載されている。この組み合わせは共重合反応性比を利用して屈折率分布が付与されているが、その反面反応性が異なる為、異種ポリマーが生じやすく、伝送損失特に短波側の伝送損失が大きくなる傾向にある。特許文献3の実施例2の伝送損失値は650nmで320dB/kmであり、C−H結合を有するポリメチルメタクリレートの伝送損失(通常650nmでの伝送損失は150〜300dB/km)に比べて同等以上でありレイリー散乱の影響があり損失値としては十分とはいえない。
そこで、本発明は、広範囲な波長(650nm〜1550nm)にわたって高い光伝送能を有し、かつ湿熱時でも低伝送損失が維持された光学部材の製造方法を提供することを課題とする。また、本発明は高い光伝送能を有し、かつ湿熱時でも低伝送損失が維持された光学部材を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
(1)水平に保持された中心軸のまわりを回転する円筒状容器内に、下記(a)で表される含フッ素モノマーと重合開始剤を注入して重合を行って前記円筒状容器の壁面から中心方向に一定の屈折率を有するクラッド部を形成する工程と、該クラッド部を形成する工程の後に、下記(b)で表される含フッ素モノマーの、前記含フッ素モノマー(a)で表されるモノマーに対する組成比を漸進的に増加させて注入して重合を行って前記クラッド部との界面から中心部まで漸進的に増加する屈折率を有するコア部を形成する工程を含む屈折率分布型光学部材の製造方法。
(a)炭素原子およびフッ素原子を必須構成原子とする含フッ素モノマー
(b)炭素原子、フッ素原子および塩素原子を必須構成原子とする含フッ素モノマー
(ただし、前記含フッ素モノマー(a)および含フッ素モノマー(b)は、それぞれ、一分子中に2個の重合性二重結合を有する含フッ素モノマー、および、重合性二重結合の少なくとも一方を構成する炭素原子が環を構成する炭素原子である含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素モノマーの群から選ばれる含フッ素モノマーである。)
(2)前記含フッ素モノマー(a)および含フッ素モノマー(b)は、いずれもが、一分子中に2個の重合性二重結合を有する含フッ素モノマー、または、重合性二重結合の少なくとも一方を構成する炭素原子が環を構成する炭素原子である含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素モノマーであることを特徴とする(1)記載の屈折率分布型光学部材の製造方法。
(3)前記含フッ素モノマー(a)および含フッ素モノマー(b)がC−H結合を含まない含フッ素モノマーであり、前記含フッ素モノマー(a)のホモポリマーと前記含フッ素モノマー(b)のホモポリマーとの屈折率差が0.01以上である、(1)または(2)に記載の屈折率分布型光学部材の製造方法。
(4)前記含フッ素モノマー(b)が一分子中に2個以上の塩素原子を有する含フッ素モノマーである、(1)〜(3)のいずれかに記載の屈折率分布型光学部材の製造方法。
(5)前記重合開始剤が含フッ素ジアルキルペルオキシドまたは含フッ素脂肪族環構造を有する、(1)〜(4)のいずれかに記載の屈折率分布型光学部材の製造方法。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載の製造方法によって製造された光学部材。
(7)炭素原子およびフッ素原子を必須構成原子とする含フッ素モノマー(a)と、
炭素原子、フッ素原子および塩素原子を必須構成原子とする含フッ素モノマー(b)と、
重合開始剤を含み、
前記含フッ素モノマー(a)および含フッ素モノマー(b)が、いずれも、一分子中に2個の重合性二重結合を有する含フッ素モノマー、または、重合性二重結合の少なくとも一方を構成する炭素原子が環を構成する炭素原子である含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素モノマーであり、かつ、前記重合開始剤が含フッ素ジアルキルペルオキシドまたは含フッ素脂肪族環構造を有する、光学部材形成用重合性組成物。
(1)水平に保持された中心軸のまわりを回転する円筒状容器内に、下記(a)で表される含フッ素モノマーと重合開始剤を注入して重合を行って前記円筒状容器の壁面から中心方向に一定の屈折率を有するクラッド部を形成する工程と、該クラッド部を形成する工程の後に、下記(b)で表される含フッ素モノマーの、前記含フッ素モノマー(a)で表されるモノマーに対する組成比を漸進的に増加させて注入して重合を行って前記クラッド部との界面から中心部まで漸進的に増加する屈折率を有するコア部を形成する工程を含む屈折率分布型光学部材の製造方法。
(a)炭素原子およびフッ素原子を必須構成原子とする含フッ素モノマー
(b)炭素原子、フッ素原子および塩素原子を必須構成原子とする含フッ素モノマー
(ただし、前記含フッ素モノマー(a)および含フッ素モノマー(b)は、それぞれ、一分子中に2個の重合性二重結合を有する含フッ素モノマー、および、重合性二重結合の少なくとも一方を構成する炭素原子が環を構成する炭素原子である含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素モノマーの群から選ばれる含フッ素モノマーである。)
(2)前記含フッ素モノマー(a)および含フッ素モノマー(b)は、いずれもが、一分子中に2個の重合性二重結合を有する含フッ素モノマー、または、重合性二重結合の少なくとも一方を構成する炭素原子が環を構成する炭素原子である含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素モノマーであることを特徴とする(1)記載の屈折率分布型光学部材の製造方法。
(3)前記含フッ素モノマー(a)および含フッ素モノマー(b)がC−H結合を含まない含フッ素モノマーであり、前記含フッ素モノマー(a)のホモポリマーと前記含フッ素モノマー(b)のホモポリマーとの屈折率差が0.01以上である、(1)または(2)に記載の屈折率分布型光学部材の製造方法。
(4)前記含フッ素モノマー(b)が一分子中に2個以上の塩素原子を有する含フッ素モノマーである、(1)〜(3)のいずれかに記載の屈折率分布型光学部材の製造方法。
(5)前記重合開始剤が含フッ素ジアルキルペルオキシドまたは含フッ素脂肪族環構造を有する、(1)〜(4)のいずれかに記載の屈折率分布型光学部材の製造方法。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載の製造方法によって製造された光学部材。
(7)炭素原子およびフッ素原子を必須構成原子とする含フッ素モノマー(a)と、
炭素原子、フッ素原子および塩素原子を必須構成原子とする含フッ素モノマー(b)と、
重合開始剤を含み、
前記含フッ素モノマー(a)および含フッ素モノマー(b)が、いずれも、一分子中に2個の重合性二重結合を有する含フッ素モノマー、または、重合性二重結合の少なくとも一方を構成する炭素原子が環を構成する炭素原子である含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素モノマーであり、かつ、前記重合開始剤が含フッ素ジアルキルペルオキシドまたは含フッ素脂肪族環構造を有する、光学部材形成用重合性組成物。
本発明の製造方法により製造される光学部材は、広範囲な波長(650nm〜1550nm)に渡って高い光伝送能を有し、かつ湿熱時でも低伝送損失が維持された光学部材製造することができる。
以下本発明について説明するが、本発明は下記実施形態に限定されるものではない。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
まず、本発明で用いる光学部材形成用重合性組成物について説明する。本発明では、光学部材形成用重合性組成物を、例えば、回転共重合により重合することにより、光学部材を製造している。そして、本発明の光学部材形成用重合性組成物は、構造が限定された複数種類の重合性モノマーと、前記重合性モノマーの重合を開始させる重合開始剤とを含有する。本発明の光学部材形成用重合性組成物は、屈折率の大きさに分布を有する屈折率分布型光学部材の製造に好ましく用いることができる。以下、各々の材料について詳細に説明する。
(重合性モノマー)
本発明で用いる光学部材形成用重合性組成物は、含フッ素モノマー(a)と含フッ素モノマー(b)を含有する。ここで、含フッ素モノマー(a)と含フッ素モノマー(b)は、下記の要件を満たす。
(a)炭素原子、フッ素原子を必須構成原子とする含フッ素モノマー
(b)炭素原子、フッ素原子、塩素原子を必須構成原子とする含フッ素モノマー
さらに、含フッ素モノマー(a)と含フッ素モノマー(b)は、それぞれ、一分子中に2個の重合性二重結合を有する含フッ素モノマーであるか、または、重合性二重結合を構成する炭素原子の少なくとも一方の炭素原子が環を構成する炭素原子である含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素モノマーである。好ましくは、含フッ素モノマー(a)と含フッ素モノマー(b)は、いずれも、一分子中に2個の重合性二重結合を有する含フッ素モノマーであるか、または、重合性二重結合を構成する炭素原子の少なくとも一方の炭素原子が環を構成する炭素原子である含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素モノマーである。
上記要件を満たす、含フッ素モノマー(a)と含フッ素モノマー(b)のうち、一分子中に2個の重合性二重結合を有する含フッ素モノマーとしては、下記一般式(1)〜(3)のいずれかで表される化合物が好ましい。
本発明で用いる光学部材形成用重合性組成物は、含フッ素モノマー(a)と含フッ素モノマー(b)を含有する。ここで、含フッ素モノマー(a)と含フッ素モノマー(b)は、下記の要件を満たす。
(a)炭素原子、フッ素原子を必須構成原子とする含フッ素モノマー
(b)炭素原子、フッ素原子、塩素原子を必須構成原子とする含フッ素モノマー
さらに、含フッ素モノマー(a)と含フッ素モノマー(b)は、それぞれ、一分子中に2個の重合性二重結合を有する含フッ素モノマーであるか、または、重合性二重結合を構成する炭素原子の少なくとも一方の炭素原子が環を構成する炭素原子である含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素モノマーである。好ましくは、含フッ素モノマー(a)と含フッ素モノマー(b)は、いずれも、一分子中に2個の重合性二重結合を有する含フッ素モノマーであるか、または、重合性二重結合を構成する炭素原子の少なくとも一方の炭素原子が環を構成する炭素原子である含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素モノマーである。
上記要件を満たす、含フッ素モノマー(a)と含フッ素モノマー(b)のうち、一分子中に2個の重合性二重結合を有する含フッ素モノマーとしては、下記一般式(1)〜(3)のいずれかで表される化合物が好ましい。
一般式(1)
(一般式(1)中、Xは、それぞれ独立に、F、ClおよびCF3の中から選択される。)
一般式(2)
(一般式(2)中、Xは、それぞれ独立に、F、ClおよびCF3の中から選択される。)
一般式(3)
(一般式(3)中、Xは、それぞれ独立に、F、ClおよびCF3の中から選択される。)
一般式(2)
一般式(3)
一般式(1)において、Xは、それぞれ独立にF、ClまたはCF3の中から選択される。すなわち、1つの分子中に含まれるXは、同一であってもよいし、異なっていてもよい(一般式(2)以下についても同じ。)。
一般式(1)〜(3)中、炭素原子、フッ素原子を含む含フッ素モノマーは上記(a)に分類され、炭素原子、フッ素原子および塩素原子を含む含フッ素モノマーは上記(b)に分類される。含フッ素モノマー(a)、(b)ともに、酸素原子がさらに構成成分として含有されているモノマーが好ましい。
一般式(1)〜(3)で表される化合物を元にした含フッ素モノマー(a)、(b)の具体例としては、以下の化合物等が挙げられる。含フッ素モノマー(a)、(b)の組み合わせは両方が、同じ一般式で表される化合物に該当する組み合わせが好ましく、その中でも、含フッ素モノマー(a)、(b)の両方が、一般式(1)で表される化合物に該当する組み合わせが好ましい。具体的には、後述する、(A−1)と(B−1)の組み合わせ、または(A−2)と(B−1)の組み合わせが好ましい。
一般式(1)〜(3)中、炭素原子、フッ素原子を含む含フッ素モノマーは上記(a)に分類され、炭素原子、フッ素原子および塩素原子を含む含フッ素モノマーは上記(b)に分類される。含フッ素モノマー(a)、(b)ともに、酸素原子がさらに構成成分として含有されているモノマーが好ましい。
一般式(1)〜(3)で表される化合物を元にした含フッ素モノマー(a)、(b)の具体例としては、以下の化合物等が挙げられる。含フッ素モノマー(a)、(b)の組み合わせは両方が、同じ一般式で表される化合物に該当する組み合わせが好ましく、その中でも、含フッ素モノマー(a)、(b)の両方が、一般式(1)で表される化合物に該当する組み合わせが好ましい。具体的には、後述する、(A−1)と(B−1)の組み合わせ、または(A−2)と(B−1)の組み合わせが好ましい。
上記要件を満たす、含フッ素モノマー(a)と含フッ素モノマー(b)のうち、重合性二重結合を構成する炭素原子の少なくとも一方の炭素原子が環を構成する炭素原子である、含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素モノマーとしては、下記一般式(4)〜(6)で表される化合物から選ばれる含フッ素モノマーが好ましい。
一般式(4)
(一般式(4)中、Xは、それぞれ独立に、F、ClおよびCF3の中から選択される。R1およびR2は、それぞれ独立に、F、Cl、CnF2n+1、CnF2n+1-mClmOkまたはCnF2n+1-mHmOkであり、nは1〜5の整数、mは0〜5の整数、kは0〜2の整数であり、R1とR2が連結して環を形成してもよい。)
一般式(5)
(一般式(5)中、Xは、それぞれ独立に、F、ClおよびCF3の中から選択される。R3およびR4は、それぞれ独立に、F、Cl、CnF2n+1、CnF2n+1-mClmOkまたはCnF2n+1-mHmOkであり、nは1〜5の整数、mは0〜5の整数、kは0〜2の整数であり、R3とR4が連結して環を形成してもよい。)
一般式(6)
(一般式(6)中、Xは、それぞれ独立に、F、ClおよびCF3の中から選択される。R5およびR6は、それぞれ独立に、F、Cl、CnF2n+1、CnF2n+1-mClmOkまたはCnF2n+1-mHmOkであり、nは1〜5の整数、mは0〜5の整数、kは0〜2の整数であり、R5とR6が連結して環を形成してもよい。)
一般式(5)
一般式(6)
一般式(4)〜(6)中、nは1〜4が好ましく、mは0〜2が好ましく、kは0〜1が好ましい。また、R1とR2、R3とR4およびR5とR6は、それぞれ、同一である方が好ましい。
一般式(4)〜(6)で表される化合物に相当する含フッ素モノマー(a)と(b)の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。含フッ素モノマー(a)と(b)の組み合わせは、同じ一般式で表される化合物に該当する組み合わせが好ましく、その中でも、含フッ素モノマー(a)、(b)の両方が、一般式(6)で表される化合物に該当する組み合わせが好ましい。具体的には、(A−14)と(B−13)の組み合わせ、または(A−15)と(B−13)の組み合わせが好ましい。
一般式(4)〜(6)で表される化合物に相当する含フッ素モノマー(a)と(b)の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。含フッ素モノマー(a)と(b)の組み合わせは、同じ一般式で表される化合物に該当する組み合わせが好ましく、その中でも、含フッ素モノマー(a)、(b)の両方が、一般式(6)で表される化合物に該当する組み合わせが好ましい。具体的には、(A−14)と(B−13)の組み合わせ、または(A−15)と(B−13)の組み合わせが好ましい。
特開2002−311254号公報の実施例2に記載されている組み合わせは、上記一般式(4)に属するパーフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)(PDD)と、上記一般式(1)に属するパーフルオロ(ブテニルビニルエーテル)(PBVE)の組み合わせによる共重合ファイバが記載されている。先述したように共重合反応性比が大きく異なる為、両モノマーの消費速度が異なり屈折率分布が付与されているが、その反面反応性が異なる為、異種ポリマーが生じやすく、伝送損失特に短波側の伝送損失が大きくなる傾向にある。具体的には実施例2の伝送損失値は650nmで320dB/kmであり、C−H結合を有するポリメチルメタクリレートの伝送損失(通常650nmでの伝送損失は150〜300dB/km)に比べて同等以上でありレイリー散乱の影響があり損失値としては十分とは言えない。
従って、含フッ素モノマー(a)と(b)は、例えば、いずれも一般式(1)で表される化合物に相当するモノマーであって、屈折率の異なるモノマーの組み合わせにするのがよく、前記含フッ素モノマー(a)のホモポリマーと前記含フッ素モノマー(b)のホモポリマーとの屈折率差は0.01以上が好ましく、屈折率差は0.015以上がより好ましく、屈折率差は0.02以上がさらに好ましい。好ましい屈折率差を得るためには前記含フッ素モノマー(b)の一分子中に塩素原子を有する事が好ましく、より好ましくは2個以上含有させるのがよい。塩素原子を含有する事でガラス転移温度の上昇の効果もあり好ましいが、3個未満とすることにより、より十分な重合性を確保できる。すなわち、重合性、ガラス転移点上昇、重合性を考慮すると、もっとも好ましい一分子中に含まれる塩素原子は2個である。
従って、含フッ素モノマー(a)と(b)は、例えば、いずれも一般式(1)で表される化合物に相当するモノマーであって、屈折率の異なるモノマーの組み合わせにするのがよく、前記含フッ素モノマー(a)のホモポリマーと前記含フッ素モノマー(b)のホモポリマーとの屈折率差は0.01以上が好ましく、屈折率差は0.015以上がより好ましく、屈折率差は0.02以上がさらに好ましい。好ましい屈折率差を得るためには前記含フッ素モノマー(b)の一分子中に塩素原子を有する事が好ましく、より好ましくは2個以上含有させるのがよい。塩素原子を含有する事でガラス転移温度の上昇の効果もあり好ましいが、3個未満とすることにより、より十分な重合性を確保できる。すなわち、重合性、ガラス転移点上昇、重合性を考慮すると、もっとも好ましい一分子中に含まれる塩素原子は2個である。
前記含フッ素モノマー(a)からなるホモポリマーの屈折率と前記含フッ素モノマー(b)からなるホモポリマーの屈折率とは異なるので上記含フッ素モノマー(a)と(b)の組成比を変える事により種々の屈折率のコポリマーを得ることができる。例えば、例示化合物(A−1)からなるホモポリマーの屈折率は1.34あり、例示化合物(B−1)からなるホモポリマーの屈折率は1.41である。またその組成比を漸進的に変化させて重合させることにより屈折率分布を持った光学部材を作成することが可能である。
(重合開始剤)
本発明で用いる光学部材形成用重合性組成物は、前記重合性モノマーの重合を開始させる重合開始剤を含有する。重合開始剤としては、用いるモノマーや重合方法に応じて適宜選択することができるが、好ましくは、10時間半減温度が30〜130℃である含フッ素有機過酸化物である。10時間半減温度とは重合開始剤が熱分解し10時間で重合開始剤の重量が半分となるのに必要な温度である。好ましい10時間半減温度は40〜100℃である。
含フッ素有機過酸化物としては、含フッ素ジアシルペルオキシド、含フッ素ペルオキシジカーボネート、含フッ素ペルオキシエステル、含フッ素ジアルキルペルオキシドおよび含フッ素ジアリールペルオキシド、含フッ素ジアルキルペルオキシド、含フッ素脂肪族環構造を有する有機過酸化物から選ばれる1種以上が好ましい。含フッ素脂肪族環構造を有するとは、環構造を有しているが芳香環を有していないことを意味する。さらに該重合開始剤は炭素−炭素または炭素−窒素の二重結合を含まないことが好ましく、不飽和結合を有していないことが特に好ましい。また前記環構造としては、炭素−酸素の単結合または炭素−窒素の単結合を含んでいてもよい。これらの中で該環構造としては炭素−炭素の単結合のみから成る、すなわち炭素原子から構成される飽和環構造が最も好ましい。
より好ましい含フッ素有機過酸化物は含フッ素ジアルキルペルオキシド、含フッ素脂肪族環構造を有する有機過酸化物である。具体的には、ペルフルオロ(ジ−tert−ブチルペルオキシド)、ペルフルオロ(ジ−tert−ペンチルペルオキシド)、ペルフルオロ(ビス(シクロヘキサンカルボニル)ペルオキシド)が挙げられる。なお、重合開始剤は、これらに限定されるものではなく、また、2種類以上を併用してもよい。
本発明で用いる光学部材形成用重合性組成物は、前記重合性モノマーの重合を開始させる重合開始剤を含有する。重合開始剤としては、用いるモノマーや重合方法に応じて適宜選択することができるが、好ましくは、10時間半減温度が30〜130℃である含フッ素有機過酸化物である。10時間半減温度とは重合開始剤が熱分解し10時間で重合開始剤の重量が半分となるのに必要な温度である。好ましい10時間半減温度は40〜100℃である。
含フッ素有機過酸化物としては、含フッ素ジアシルペルオキシド、含フッ素ペルオキシジカーボネート、含フッ素ペルオキシエステル、含フッ素ジアルキルペルオキシドおよび含フッ素ジアリールペルオキシド、含フッ素ジアルキルペルオキシド、含フッ素脂肪族環構造を有する有機過酸化物から選ばれる1種以上が好ましい。含フッ素脂肪族環構造を有するとは、環構造を有しているが芳香環を有していないことを意味する。さらに該重合開始剤は炭素−炭素または炭素−窒素の二重結合を含まないことが好ましく、不飽和結合を有していないことが特に好ましい。また前記環構造としては、炭素−酸素の単結合または炭素−窒素の単結合を含んでいてもよい。これらの中で該環構造としては炭素−炭素の単結合のみから成る、すなわち炭素原子から構成される飽和環構造が最も好ましい。
より好ましい含フッ素有機過酸化物は含フッ素ジアルキルペルオキシド、含フッ素脂肪族環構造を有する有機過酸化物である。具体的には、ペルフルオロ(ジ−tert−ブチルペルオキシド)、ペルフルオロ(ジ−tert−ペンチルペルオキシド)、ペルフルオロ(ビス(シクロヘキサンカルボニル)ペルオキシド)が挙げられる。なお、重合開始剤は、これらに限定されるものではなく、また、2種類以上を併用してもよい。
(連鎖移動剤)
本発明で用いる光学部材形成用重合性組成物は、連鎖移動剤を含有してもよい。前記連鎖移動剤は、主に重合体の分子量を調整するために用いられる。前記連鎖移動剤については、併用する重合性モノマーの種類に応じて、適宜、種類および添加量を選択することができる。本発明では、連鎖移動剤として、従来公知のものを広く使用でき、例えばペンタン、シクロヘキサンなどの炭化水素類、ジメチルエーテルなどのエーテル類、酢酸エチルなどのエステル類、メタノールなどのアルコール類、クロロホルム、クロロフルオロカーボンなどの有機ハロゲン化物などを挙げることができる。
前記連鎖移動剤は、2種類以上併用してもよい。
本発明で用いる光学部材形成用重合性組成物は、連鎖移動剤を含有してもよい。前記連鎖移動剤は、主に重合体の分子量を調整するために用いられる。前記連鎖移動剤については、併用する重合性モノマーの種類に応じて、適宜、種類および添加量を選択することができる。本発明では、連鎖移動剤として、従来公知のものを広く使用でき、例えばペンタン、シクロヘキサンなどの炭化水素類、ジメチルエーテルなどのエーテル類、酢酸エチルなどのエステル類、メタノールなどのアルコール類、クロロホルム、クロロフルオロカーボンなどの有機ハロゲン化物などを挙げることができる。
前記連鎖移動剤は、2種類以上併用してもよい。
(ドーパント)
本発明で用いる光学部材形成用重合性組成物は、前記重合性モノマーからなるホモポリマーと異なる屈折率を有する化合物(以下、「ドーパント」という場合がある)を含有していてもよい。本発明の重合性組成物にドーパントを含有させることによって、光学部材に屈折率の分布を容易に導入することができる。ドーパントは、国際公開WO93/08488号公報や、特開平5−173026号公報に記載されているような、モノマーの合成によって生成されるポリマーとの比較において溶解性パラメータの差が7(cal/cm3)1/2以内であると共に、これを含有する組成物が無添加の組成物と比較して、屈折率が異なる(高くても低くても良い)性質を有するものをいい、その屈折率差が、0.001以上を示すことを特徴とする。この性質を有し、重合性モノマーの重合条件(加熱、光照射、および加圧等の重合条件)下において安定で、重合後の重合体と共存可能、かつ、重合体を構成するモノマーに対して非重合性である材料を用いることができる。例えば、ヘキサフルオロベンゼン、パーフルオロデカリン、パーフルオロ(1,3−ジプロポキシシクロヘキサン)、1,4−ビス(ペルフルオロフェニルチオ)テトラフルオロベンゼン、ペルフルオロ(2,4,6−トリフェニル−1,3,5−トリアジン)、ペルフルオロターフェニル、ペルフルオロクォーターフェニル、ペルフルオロアントラセン、ペルフルオロ(1,3,5−トリフェニルベンゼン)、ペルフルオロ(1,2,4−トリフェニルベンゼン)が好ましい。なお、ドーパントは以上に挙げた低分子の有機化合物以外に、2〜10のオリゴマー(例えばトリフルオロエチレンオリゴマー)も含まれるものとする。なお、屈折率を調整する低分子有機化合物は2種類以上併用してもよい。本発明の場合光が通るコア(またはインナーコア部)には上記ドーパントは添加しないほうが好ましく、クラッド部に低屈折率のドーパント(例えばパーフルオロデカリンなど)を添加するのが好ましい。ただし本発明の場合上記ドーパントを添加しない方が耐熱性の面で好ましい。
本発明で用いる光学部材形成用重合性組成物は、前記重合性モノマーからなるホモポリマーと異なる屈折率を有する化合物(以下、「ドーパント」という場合がある)を含有していてもよい。本発明の重合性組成物にドーパントを含有させることによって、光学部材に屈折率の分布を容易に導入することができる。ドーパントは、国際公開WO93/08488号公報や、特開平5−173026号公報に記載されているような、モノマーの合成によって生成されるポリマーとの比較において溶解性パラメータの差が7(cal/cm3)1/2以内であると共に、これを含有する組成物が無添加の組成物と比較して、屈折率が異なる(高くても低くても良い)性質を有するものをいい、その屈折率差が、0.001以上を示すことを特徴とする。この性質を有し、重合性モノマーの重合条件(加熱、光照射、および加圧等の重合条件)下において安定で、重合後の重合体と共存可能、かつ、重合体を構成するモノマーに対して非重合性である材料を用いることができる。例えば、ヘキサフルオロベンゼン、パーフルオロデカリン、パーフルオロ(1,3−ジプロポキシシクロヘキサン)、1,4−ビス(ペルフルオロフェニルチオ)テトラフルオロベンゼン、ペルフルオロ(2,4,6−トリフェニル−1,3,5−トリアジン)、ペルフルオロターフェニル、ペルフルオロクォーターフェニル、ペルフルオロアントラセン、ペルフルオロ(1,3,5−トリフェニルベンゼン)、ペルフルオロ(1,2,4−トリフェニルベンゼン)が好ましい。なお、ドーパントは以上に挙げた低分子の有機化合物以外に、2〜10のオリゴマー(例えばトリフルオロエチレンオリゴマー)も含まれるものとする。なお、屈折率を調整する低分子有機化合物は2種類以上併用してもよい。本発明の場合光が通るコア(またはインナーコア部)には上記ドーパントは添加しないほうが好ましく、クラッド部に低屈折率のドーパント(例えばパーフルオロデカリンなど)を添加するのが好ましい。ただし本発明の場合上記ドーパントを添加しない方が耐熱性の面で好ましい。
光学部材において、フッ素モノマー(a)と(b)の組成比を漸進的に変化させることによって、屈折率分布型の光学部材が作製できる。フッ素モノマー(a)と(b)の組成比を漸進的に変化させる方法としては、後述する界面ゲル重合や(連続あるいは逐次の)回転共重合法を利用する方法等があり、回転共重合法が好ましい。
本発明で用いる光学部材形成用重合性組成物は、各成分の含有割合の好ましい範囲は、その種類に応じて異なり一概に規定することはできないが、一般的には、重合開始剤は、重合性モノマーの合計量に対して0.005〜0.50質量%であるのが好ましく、0.01〜0.50質量%であるのがより好ましい。前記連鎖移動剤は、重合性モノマーの合計量に対して0.01〜0.40質量%であるのが好ましく、0.015〜0.30質量%であるのがより好ましい。また、前記ドーパントを用いる場合は、ドーパントは重合性モノマーの合計量に対して1〜30質量%であるのが好ましく、1〜25質量%であるのがより好ましい。
本発明の重合性組成物には、その他、重合時の反応性や重合体の光伝送性能を低下させない範囲で、その他のドーパントを添加することができる。例えば、耐候性や耐久性などを向上させる目的で、耐酸化剤や耐光剤などの安定剤を添加することができる。また、光伝送性能の向上を目的として、光信号増幅用の誘導放出機能性化合物を添加することもできる。該化合物を添加することにより、減衰した信号光を励起光により増幅することが可能となり、伝送距離が向上するので、光伝送リンクの一部にファイバ増幅器として使用することができる。
本発明で用いる光学部材形成用重合性組成物に熱および/または光等が供与されると、重合開始剤からラジカル等が発生し、前記含フッ素モノマーの重合が開始される。本発明で用いる光学部材形成用重合性組成物は、連鎖移動剤としてフッ素置換された化合物を用いているので、重合体(含フッ素マトリックス)中に残留した場合に、該重合体からなる光学部材の伝送損失を軽減し、光伝送能を向上させることができる。さらに、屈折率分布型光学部材を作製する場合は、フッ素モノマー(a)と(b)の組成比を漸進的に変化させることにより屈折率分布構造を形成し易い。また、重合性モノマーの重合速度および重合度は、前記重合開始剤および前記連鎖移動剤によって制御され、重合体の分子量を所望の分子量に調整することができるので、例えば、得られた重合体を延伸により線引きして、光ファイバとする場合は、分子量を調整することによって延伸時における機械的特性を所望の範囲とすることができ、生産性の向上にも寄与する。
本発明においては、プリフォーム及びPOFを構成するクラッド部及びコア部の材料として特に好ましく用いられるものは、有機材料として光透過性が高いものである。ただし、コアを伝送する光がコア部とクラッド部との界面で全反射するように、クラッド部の材料は、コア部の屈折よりも低い屈折率を有するようなポリマーとする。また、光学的異方性を生じないポリマーとすることが好ましい。さらに、コア部とクラッド部とは、互いに密着性に優れるポリマーとし、これらがタフネス等に示される機械的特性に優れ、耐湿熱性にも優れていることがより好ましい。以下に好ましいクラッド部の材料、コア部の材料を例示する。
本発明におけるクラッド部の材料としては、コア部との屈折率差を確保するため、フッ素を有するポリマーを用いるのが好ましく、例えば、本発明における含フッ素モノマー(a)からなるポリマーが好適に用いる事が出来る。コア部の材料には本発明における含フッ素モノマー(a)と(b)の共重合体を用いる。また、クラッド部も、含フッ素モノマー(a)と(b)の共重合体から構成してもよい。この場合、屈折率が異なるように構成する。
本発明では、コア部を、含フッ素モノマー(a)と(b)の組成比を徐々に変化させたものを積層させて複層にする場合と連続的に含フッ素モノマー(a)と(b)の組成比を変化させて屈折率分布を付与する場合に適用することができる。図1は、コア部が複層の場合のプリフォームの断面図である。プリフォーム61はクラッド212とコア231を有しており、コア231は複層とされており、ここでは、コアの内面と接する層から断面中央に向けて順に第1層、第2層、・・・、第n−1層、第n層と称し、それぞれ符号IC1、IC2、・・・、ICn−1、ICnを付す。図2はコア部が含フッ素モノマー(a)と(b)の組成比を連続的に変化させた場合のプリフォームの断面図である。プリフォーム62はクラッド213とコア232を有しているが、コアには明確な層は存在していない。
プリフォーム61の製造方法は、クラッド212の中空部の内面にインナーコア231を生成する。第1層目のインナーコア用モノマーをアウターコアまで形成された中空内部に注入し回転しながら重合に必要なエネルギーを与えて重合し、第1層のインナーコアの重合転化率が80%以上となった時点で第2層のインナーコア用モノマーを中空部に添加して同様に回転させ、同様の操作により、第n層まで繰り返す。n−1層の転化率を80%以上にする事により、n層目を注液し重合した際の層間のブレンドの促進とミクロ相分離の形成を抑制する点で好ましい。また、この際に、屈折率分布を付与させる非重合性の屈折率調整剤は第1層から第n層に向かい徐々に添加濃度を増加させ、屈折率分布係数gが1.5−3の間に近似できるように調整することも可能である。
プリフォーム62の製造方法はクラッド213の内部にインナーコア232を生成するのは上記と同じであるが、特開2001−215345号公報記載にあるように連続的に組成比を変化させた混合溶液を漸進的に変化注入させて重合させることで形成させることができる。
また、上記のような条件下で重合反応した後、さらに、所定条件での熱処理をして重合を進め、さらに、この重合完了後には所定の冷却速度で冷却してもよい。
このようにして、コア部およびクラッド部がプラスチックからなり、かつコア部がアウターコア部とインナーコア部との2重構造である、円柱状の光伝送体であるプリフォームを作製することができ、得られたプリフォームは延伸工程に供される。なお、得られるプリフォームは、断面円形の中央部に中空部を有するものとなる場合があるが、延伸工程における延伸によりこの中空部はなくなり、良好な伝送損失を有するPOFとなる。
プリフォームの延伸方法としては、特開平07−234322号公報等に記載される各種延伸方法を適用することができ、これにより、所望の直径、例えば200μm〜1000μmのGI−POFが得られる。
POFは、曲げ、耐候性の向上、吸湿による性能低下抑制、引張強度の向上、耐踏付け性付与、難燃性付与、薬品による損傷からの保護、外部光線によるノイズ防止、着色などによる商品価値の向上などを目的として、通常、その表面に1層以上の保護層を被覆して使用される。
上述のように、本発明により得られるプリフォームを延伸してPOFとし、このPOFは第1の被覆工程を経て光ファイバ心線となり、1本の心線または複数本の心線を束ねた形態で第2の被覆工程により被覆をされて光ケーブルとなる。ただし、光ケーブルの中でもシングルファイバケーブルとする場合には、第2の被覆工程を経ることなく、第1被覆工程における被覆層を外表としたままで光ケーブルとして用いることもある。光ケーブルとされるときの被覆の形態としては、一本の前記心線と被覆材との界面、あるいは複数本束ねた状態の光ファイバ心線の外周と被覆材との界面が、すべて接するように被覆されている密着型の被覆と、被覆材と光ファイバ心線との界面に空隙を有するルース型被覆とがある。ルース型被覆では、たとえばコネクタとの接続部において被覆層を剥離した場合、その端面の空隙から水分が浸入して長手方向に拡散されるおそれがあるため、通常は密着型が好ましい。
しかし、被覆材と光ファイバ心線とが密着していないので、光ケーブルにかかる応力や熱等のダメージの多くを、被覆層により緩和させることができるという利点を有する。そのため、ルース型の被覆は、使用目的によっては好ましく用いることができる。ルース型被覆の場合のコネクタ接続部からの水分の伝播については、光ファイバ心線と被覆材との界面の空隙部に流動性を有するゲル状の半固体や粉粒体を充填することにより、防止することができる。さらに、これらの半固体や粉粒体に対して耐熱や機械的機能の向上などの他の異なる機能を付与させることにより、多機能な被覆層を形成した光ファイバケーブルを製造することができる。なお、ルース型の被覆とするには、クロスヘッドダイの押出し口ニップルの位置を調整し減圧装置による減圧度を加減することにより、前記空隙を有する層を形成することができる。この空隙層の厚みは前述のニップル厚みと空隙層とを加圧/減圧することにより調整することができる。
第1、第2の被覆工程で設けられる被覆材には、難燃剤や、紫外線吸収剤、酸化防止剤等を、光伝送特性に影響を及ぼさない条件範囲で添加してもよい。
なお、前記難燃剤としては、臭素を始めとするハロゲン含有の樹脂や添加剤、リン含有のものがあるが、燃焼時における毒性ガス低減等の安全性の観点では、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物が主流となりつつある。ただし、このような金属水酸化物は、その内部に水分を結晶水として有している。この水分は、これら金属水酸化物の製法過程における付着水に起因するものであり完全除去は不可能とされる。したがって、金属水酸化物による難燃性付与は、POFに接する被覆層には含有させず、ケーブルとしての外表となる被覆層に対してのみ行うことが望ましい。
また、光ケーブルに複数の他の機能を付与させるために、適宜機能性層としての被覆層をさらに積層させてもよい。例えば、前述の難燃化層以外に、POFの吸湿を抑制するためのバリア層や、POFに含有された水分を除去するための吸湿材料層等がある。このような吸湿材料層の付与方法としては、例えば、吸湿テープや吸湿ジェルを、所定の被覆層内や被覆層間に設ける方法がある。他の機能性層としては、可撓時の応力緩和のための柔軟性素材層、外部からの応力を緩衝するための緩衝材としての発泡材料層、剛性を向上させるための強化層などがある。樹脂以外にも光ケーブルを構成する構造材として、高い弾性率を有する繊維(いわゆる抗張力繊維)および/または剛性の高い金属線等の線材を熱可塑性樹脂に含有すると、得られるケーブルの力学的強度を補強することができることから好ましい。
前記抗張力繊維としては、例えば、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維が挙げられる。また、前記金属線としてはステンレス線、亜鉛合金線、銅線などが挙げられる。いずれのものも前述したものに限定されるものではない。その他に保護のための金属管の外装、架空用の支持線や、配線時の作業性を向上させるための機構を、ケーブルの外周に組み込むことができる。
また、光ケーブルの形状は使用形態によって、光ファイバ心線を同心円上にまとめた集合型のものや、一列に並べたテープ型のもの、さらにそれらを押え巻やラップシースなどでまとめたものなど用途に応じてその形態が選ばれる。
本発明のプリフォームから得られた光ケーブルは、従来の光ケーブルに比べて、軸ずれに対する許容度が高いために、突き合せにより接合しても用いることができるが、より好ましくは、光ケーブルの端部に接続用光コネクタを備えて、互いの接続部を確実に固定することが好ましい。コネクタとしては一般に知られている、PN型、SMA型、SMI型などの市販の各種コネクタを利用することが可能である。
本発明のプリフォームから得られた光ケーブルは、種々の発光素子や受光素子、光スイッチ、光アイソレータ、光集積回路、光送受信モジュールなどの光部品を含む光信号処理装置等が組み合わされて好適に用いられる。この際には、必要に応じて他の光ファイバ等と組合わせてもよい。それらに関連する技術としてはいかなる公知の技術も適用でき、例えば、プラスティックオプティカルファイバの基礎と実際(エヌ・ティー・エス社発行)、日経エレクトロニクス2001.12.3号110頁〜127頁「プリント配線基板に光部品が載る,今度こそ」などを参考にすることができる。前記文献に記載の種々の技術と組み合わせることによって、コンピュータや各種デジタル機器内の装置内配線、車両や船舶などの内部配線、光端末とデジタル機器、デジタル機器同士の光リンクや一般家庭や集合住宅・工場・オフィス・病院・学校などの屋内や域内の光LAN等を始めとする、高速大容量のデータ通信や電磁波の影響を受けない制御用途などの短距離に適した光伝送システムに好適に用いることができる。
さらに、IEICE TRANS. ELECTRON.,VOL.E84−C,No.3,MARCH 2001,p.339−344 「High−Uniformity Star Coupler Using Diffused Light Transmission」,エレクトロニクス実装学会誌 Vol.3,No.6,2000 476頁〜480頁「光シートバス技術によるインタコネクション」の記載されているものや、特開2003−152284号公報に記載の導波路面に対する発光素子の配置;特開平10−123350号、特開2002−90571号、特開2001−290055号等の各公報に記載の光バス;特開2001−74971号、特開2000−329962号、特開2001−74966号、特開2001−74968号、特開2001−318263号、特開2001−311840号等の各公報に記載の光分岐結合装置;特開2000−241655号等の公報に記載の光スターカプラ;特開2002−62457号、特開2002−101044号、特開2001−305395号等の各公報に記載の光信号伝達装置や光データバスシステム;特開2002−23011号公報に記載の光信号処理装置;特開2001−86537号公報に記載の光信号クロスコネクトシステム;特開2002−26815号公報に記載の光伝送システム;特開2001−339554号、特開2001−339555号等の各公報に記載のマルチファンクションシステム;や各種の光導波路、光分岐器、光結合器、光合波器、光分波器などと組み合わせることで、多重化した送受信などを使用した、より高度な光伝送システムを構築することができる。以上の光伝送用途以外にも照明(導光)、エネルギー伝送、イルミネーション、センサ分野にも用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
実施例1
重合容器としてガラスチューブを用意し回転装置に水平にセットした。一方、本発明の例示化合物(A−1)100重量部に重合開始剤としてペルフルオロ(ビス(シクロヘキサンカルボニル)ペルオキシド)1重量部、連鎖移動剤としてクロロホルム0.5重量部を添加した混合溶液を調整した。前記調整した溶液を濾過した後、さらに超音波脱気し、前記重合容器中へ注入した。その後、2000rpmの回転を与えながら40℃で24時間加熱重合し、これをクラッド部とした。次に例示化合物(A−1)96.2重量部、例示化合物(B−1)3.8重量部からなる混合溶液に重合開始剤としてペルフルオロ(ビス(シクロヘキサンカルボニル)ペルオキシド)0.3重量部、連鎖移動剤としてクロロホルム0.5重量部を添加した混合溶液を調整した。前記調整した溶液を濾過し、さらに超音波脱気した後、前記重合容器中へ注入した。2,000rpmの回転を与え40℃で12時間加熱重合し、これを第1層目のコア層とした。その後、表1に従った処方により第一コア層の形成と同様の手順にてコア層を積層させ、第10コア層まで形成させた後に70℃で12時間、さらに120℃で36時間の熱処理を施し、最終的に中空のプリフォームを得た。得られたプリフォームは50℃雰囲気下にて−0.1Mpaの減圧度(FullVacの意図、計算だとおよそ3mmHgに相当)にて100時間の減圧乾燥処理を行なった後に、中空部を減圧装置に接続し、200℃の内温を有する電気炉にて−4KPaの減圧度にて減圧させながら加熱延伸を行う事で中空部を潰し、外径300μmのGI−POFを得た。得られたGI−POFのTgは112℃であった。また、得られたGI−POFの屈折率分布を2光束透過型干渉顕微鏡(溝尻光学(株)製、TD−20)にて測定したところ、クラッド部の屈折率は1.34でコア部の中心の屈折率は1.36であり、得られた屈折率分布をg乗近似すると、屈折率分布係数gの値は2であった。得られたGI−POFの伝送損失の測定を行ったところ、650nmで160dB/km、780nmで110dB/km、1300nmで100dB/kmであった。得られたGI−POFを25℃/95%相対湿度下にて100時間放置した後、伝送損失を測定したところ、650nmで162dB/km、780nmで113dB/km、1300nmで106dB/kmであった。またこの光ファイバのベースバンド周波数特性から求めた伝送帯域は、4.0GHzであった。
重合容器としてガラスチューブを用意し回転装置に水平にセットした。一方、本発明の例示化合物(A−1)100重量部に重合開始剤としてペルフルオロ(ビス(シクロヘキサンカルボニル)ペルオキシド)1重量部、連鎖移動剤としてクロロホルム0.5重量部を添加した混合溶液を調整した。前記調整した溶液を濾過した後、さらに超音波脱気し、前記重合容器中へ注入した。その後、2000rpmの回転を与えながら40℃で24時間加熱重合し、これをクラッド部とした。次に例示化合物(A−1)96.2重量部、例示化合物(B−1)3.8重量部からなる混合溶液に重合開始剤としてペルフルオロ(ビス(シクロヘキサンカルボニル)ペルオキシド)0.3重量部、連鎖移動剤としてクロロホルム0.5重量部を添加した混合溶液を調整した。前記調整した溶液を濾過し、さらに超音波脱気した後、前記重合容器中へ注入した。2,000rpmの回転を与え40℃で12時間加熱重合し、これを第1層目のコア層とした。その後、表1に従った処方により第一コア層の形成と同様の手順にてコア層を積層させ、第10コア層まで形成させた後に70℃で12時間、さらに120℃で36時間の熱処理を施し、最終的に中空のプリフォームを得た。得られたプリフォームは50℃雰囲気下にて−0.1Mpaの減圧度(FullVacの意図、計算だとおよそ3mmHgに相当)にて100時間の減圧乾燥処理を行なった後に、中空部を減圧装置に接続し、200℃の内温を有する電気炉にて−4KPaの減圧度にて減圧させながら加熱延伸を行う事で中空部を潰し、外径300μmのGI−POFを得た。得られたGI−POFのTgは112℃であった。また、得られたGI−POFの屈折率分布を2光束透過型干渉顕微鏡(溝尻光学(株)製、TD−20)にて測定したところ、クラッド部の屈折率は1.34でコア部の中心の屈折率は1.36であり、得られた屈折率分布をg乗近似すると、屈折率分布係数gの値は2であった。得られたGI−POFの伝送損失の測定を行ったところ、650nmで160dB/km、780nmで110dB/km、1300nmで100dB/kmであった。得られたGI−POFを25℃/95%相対湿度下にて100時間放置した後、伝送損失を測定したところ、650nmで162dB/km、780nmで113dB/km、1300nmで106dB/kmであった。またこの光ファイバのベースバンド周波数特性から求めた伝送帯域は、4.0GHzであった。
実施例2
用いるモノマーとして例示化合物(A−1)の代わりに例示化合物(A−2)を用いる以外は実施例1と同様の方法にてGI−POFを作製した。得られたGI−POFのTgは131℃であった。また、得られたPOFの屈折率分布を2光束透過型干渉顕微鏡(溝尻光学(株)製、TD−20)にて測定したところ、クラッド部の屈折率は1.33でコア中心の屈折率は1.36であり、得られた屈折率分布をg乗近似すると、屈折率分布係数gの値は2.2であった。得られたPOFの伝送損失の測定を行なったところ、650nmで170dB/km、780nmで120dB/km、1300nmで110dB/kmであった。得られたGI−POFを25℃/95%相対湿度下にて100時間放置した後、伝送損失を測定したところ、650nmで172dB/km、780nmで123dB/km、1300nmで116dB/kmであった。またこのGI−POFのベースバンド周波数特性から求めた伝送帯域は、3.8GHzであった。
用いるモノマーとして例示化合物(A−1)の代わりに例示化合物(A−2)を用いる以外は実施例1と同様の方法にてGI−POFを作製した。得られたGI−POFのTgは131℃であった。また、得られたPOFの屈折率分布を2光束透過型干渉顕微鏡(溝尻光学(株)製、TD−20)にて測定したところ、クラッド部の屈折率は1.33でコア中心の屈折率は1.36であり、得られた屈折率分布をg乗近似すると、屈折率分布係数gの値は2.2であった。得られたPOFの伝送損失の測定を行なったところ、650nmで170dB/km、780nmで120dB/km、1300nmで110dB/kmであった。得られたGI−POFを25℃/95%相対湿度下にて100時間放置した後、伝送損失を測定したところ、650nmで172dB/km、780nmで123dB/km、1300nmで116dB/kmであった。またこのGI−POFのベースバンド周波数特性から求めた伝送帯域は、3.8GHzであった。
実施例3
用いるモノマーとして例示化合物(B−1)の代わりに例示化合物(B−3)を用いる以外は実施例1と同様の方法にてGI−POFを作製した。得られたGI−POFのTgは111℃であった。また、得られたPOFの屈折率分布を2光束透過型干渉顕微鏡(溝尻光学(株)製、TD−20)にて測定したところ、クラッド部の屈折率は1.33でコア中心の屈折率は1.35であり、得られた屈折率分布をg乗近似すると、屈折率分布係数gの値は2.2であった。得られたPOFの伝送損失の測定を行なったところ、650nmで165dB/km、780nmで120dB/km、1300nmで115dB/kmであった。またこの光ファイバのベースバンド周波数特性から求めた伝送帯域は、3.8GHzであった。
用いるモノマーとして例示化合物(B−1)の代わりに例示化合物(B−3)を用いる以外は実施例1と同様の方法にてGI−POFを作製した。得られたGI−POFのTgは111℃であった。また、得られたPOFの屈折率分布を2光束透過型干渉顕微鏡(溝尻光学(株)製、TD−20)にて測定したところ、クラッド部の屈折率は1.33でコア中心の屈折率は1.35であり、得られた屈折率分布をg乗近似すると、屈折率分布係数gの値は2.2であった。得られたPOFの伝送損失の測定を行なったところ、650nmで165dB/km、780nmで120dB/km、1300nmで115dB/kmであった。またこの光ファイバのベースバンド周波数特性から求めた伝送帯域は、3.8GHzであった。
実施例4
用いる重合開始剤としてペルフルオロ(ビス(シクロヘキサンカルボニル)ペルオキシド)の代わりにジイソプロピルペルオキシジカーボネートを用いる以外は実施例1と同様の方法にてGI−POFを作製した。得られたGI−POFのTgは131℃であった。また、得られたPOFの屈折率分布を2光束透過型干渉顕微鏡(溝尻光学(株)製、TD−20)にて測定したところ、クラッド部の屈折率は1.33でコア中心の屈折率は1.36であり、得られた屈折率分布をg乗近似すると、屈折率分布係数gの値は2.2であった。得られたPOFの伝送損失の測定を行なったところ、650nmで162dB/km、780nmで113dB/km、1300nmで106dB/kmであった。得られたGI−POFを25℃/95%相対湿度下にて100時間放置した後、伝送損失を測定したところ、650nmで303dB/km、780nmで145dB/km、1300nmで118dB/kmであった。またこのGI−POFのベースバンド周波数特性から求めた伝送帯域は、環境試験前に測定したものが4.0GHzであったのに対して、3.8GHzと低下した。
用いる重合開始剤としてペルフルオロ(ビス(シクロヘキサンカルボニル)ペルオキシド)の代わりにジイソプロピルペルオキシジカーボネートを用いる以外は実施例1と同様の方法にてGI−POFを作製した。得られたGI−POFのTgは131℃であった。また、得られたPOFの屈折率分布を2光束透過型干渉顕微鏡(溝尻光学(株)製、TD−20)にて測定したところ、クラッド部の屈折率は1.33でコア中心の屈折率は1.36であり、得られた屈折率分布をg乗近似すると、屈折率分布係数gの値は2.2であった。得られたPOFの伝送損失の測定を行なったところ、650nmで162dB/km、780nmで113dB/km、1300nmで106dB/kmであった。得られたGI−POFを25℃/95%相対湿度下にて100時間放置した後、伝送損失を測定したところ、650nmで303dB/km、780nmで145dB/km、1300nmで118dB/kmであった。またこのGI−POFのベースバンド周波数特性から求めた伝送帯域は、環境試験前に測定したものが4.0GHzであったのに対して、3.8GHzと低下した。
比較例1
特開2002−311254号公報の実施例1に記載されているように、PBVE(例示化合物(A−1)に相当する)でまずクラッド部を回転重合にて作製し、このクラッド部の中空部にPBVEと高屈折率物質(ドーパント)として1,3−ジブロモテトラフルオロベンゼン(DBTFB)をPBVEに対して10質量%の割合で混合した重合組成物を添加し低速で回転しながら重合し、該ドーパントが中心部に集められて重合されるように、中心部から周辺部に向けて屈折率が徐々に減少する屈折率分布が形成されたプリフォームが得られる。こうして得られたプリフォームを熱延伸して屈折率分布を有するGI−POFが得られる。該GI−POFの光伝送損失値は、650nmで500dB/km、1550nmで150dB/kmと記載されている。この光GI−POFのTgは記載されていないが、前記ドーパントが可塑剤として働くため、該GI−POFのTgは108℃を超える事はない。
特開2002−311254号公報の実施例1に記載されているように、PBVE(例示化合物(A−1)に相当する)でまずクラッド部を回転重合にて作製し、このクラッド部の中空部にPBVEと高屈折率物質(ドーパント)として1,3−ジブロモテトラフルオロベンゼン(DBTFB)をPBVEに対して10質量%の割合で混合した重合組成物を添加し低速で回転しながら重合し、該ドーパントが中心部に集められて重合されるように、中心部から周辺部に向けて屈折率が徐々に減少する屈折率分布が形成されたプリフォームが得られる。こうして得られたプリフォームを熱延伸して屈折率分布を有するGI−POFが得られる。該GI−POFの光伝送損失値は、650nmで500dB/km、1550nmで150dB/kmと記載されている。この光GI−POFのTgは記載されていないが、前記ドーパントが可塑剤として働くため、該GI−POFのTgは108℃を超える事はない。
比較例2
特開2002−311254号公報の実施例2に記載されているように、塩素原子を持たない含フッ素モノマーの組み合わせとして、パーフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)(例示化合物(A−10)に相当する)とパーフルオロ(ブテニルビニルエーテル)(例示化合物化合物A−1に相当する)との組み合わせによるプリフォームが光重合により作製されている。周辺部の屈折率1.31、中心部の屈折率1.33の連続した屈折率分布を有するプリフォームが得られていて、これを熱延伸してGI−POFを得ている。この得られたGI−POFの光伝送特性は、650nmで320db/Km、1550nmで250db/Kmと記載されている。
特開2002−311254号公報の実施例2に記載されているように、塩素原子を持たない含フッ素モノマーの組み合わせとして、パーフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)(例示化合物(A−10)に相当する)とパーフルオロ(ブテニルビニルエーテル)(例示化合物化合物A−1に相当する)との組み合わせによるプリフォームが光重合により作製されている。周辺部の屈折率1.31、中心部の屈折率1.33の連続した屈折率分布を有するプリフォームが得られていて、これを熱延伸してGI−POFを得ている。この得られたGI−POFの光伝送特性は、650nmで320db/Km、1550nmで250db/Kmと記載されている。
比較例3
特開平8−304635号公報の実施例2に記載されているように、パーフルオロ(ブテニルビニルエーテル)(例示化合物A−1に相当する)のホモポリマーとドーパントとして屈折率1.42であるクロロトリフルオロエチレンオリゴマー(ダイキン社製、ダイフロイル#20)とからなるPOF素線を作製し、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン96/4モル%の共重合体で被覆したPOFコードの光伝送損失は、780nmで300dB/km、1550nmで130dB/kmであり、コア中心部の屈折率が1.36であり、クラッド部の1.34の屈折率であり、ベースバンド周波数特性から求めた伝送帯域は、2.0GHzであると記載されている。
これらのことから本発明で得られるGI−POFは伝送損失、耐湿熱性および伝送帯域が優れていることが認められる。
特開平8−304635号公報の実施例2に記載されているように、パーフルオロ(ブテニルビニルエーテル)(例示化合物A−1に相当する)のホモポリマーとドーパントとして屈折率1.42であるクロロトリフルオロエチレンオリゴマー(ダイキン社製、ダイフロイル#20)とからなるPOF素線を作製し、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン96/4モル%の共重合体で被覆したPOFコードの光伝送損失は、780nmで300dB/km、1550nmで130dB/kmであり、コア中心部の屈折率が1.36であり、クラッド部の1.34の屈折率であり、ベースバンド周波数特性から求めた伝送帯域は、2.0GHzであると記載されている。
これらのことから本発明で得られるGI−POFは伝送損失、耐湿熱性および伝送帯域が優れていることが認められる。
61 プリフォーム
212 クラッド
231 コア
212 クラッド
231 コア
Claims (7)
- 水平に保持された中心軸のまわりを回転する円筒状容器内に、下記(a)で表される含フッ素モノマーと重合開始剤を注入して重合を行って前記円筒状容器の壁面から中心方向に一定の屈折率を有するクラッド部を形成する工程と、該クラッド部を形成する工程の後に、下記(b)で表される含フッ素モノマーの、前記含フッ素モノマー(a)で表されるモノマーに対する組成比を漸進的に増加させて注入して重合を行って前記クラッド部との界面から中心部まで漸進的に増加する屈折率を有するコア部を形成する工程を含む屈折率分布型光学部材の製造方法。
(a)炭素原子およびフッ素原子を必須構成原子とする含フッ素モノマー
(b)炭素原子、フッ素原子および塩素原子を必須構成原子とする含フッ素モノマー
(ただし、前記含フッ素モノマー(a)および含フッ素モノマー(b)は、それぞれ、一分子中に2個の重合性二重結合を有する含フッ素モノマー、および、重合性二重結合の少なくとも一方を構成する炭素原子が環を構成する炭素原子である含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素モノマーの群から選ばれる含フッ素モノマーである。) - 前記含フッ素モノマー(a)および含フッ素モノマー(b)は、いずれもが、一分子中に2個の重合性二重結合を有する含フッ素モノマー、または、重合性二重結合の少なくとも一方を構成する炭素原子が環を構成する炭素原子である含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素モノマーであることを特徴とする請求項1記載の屈折率分布型光学部材の製造方法。
- 前記含フッ素モノマー(a)および含フッ素モノマー(b)がC−H結合を含まない含フッ素モノマーであり、前記含フッ素モノマー(a)のホモポリマーと前記含フッ素モノマー(b)のホモポリマーとの屈折率差が0.01以上である、請求項1または2に記載の屈折率分布型光学部材の製造方法。
- 前記含フッ素モノマー(b)が一分子中に2個以上の塩素原子を有する含フッ素モノマーである、請求項1〜3のいずれかに記載の屈折率分布型光学部材の製造方法。
- 前記重合開始剤が含フッ素ジアルキルペルオキシドまたは含フッ素脂肪族環構造を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の屈折率分布型光学部材の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法によって製造された光学部材。
- 炭素原子およびフッ素原子を必須構成原子とする含フッ素モノマー(a)と、
炭素原子、フッ素原子および塩素原子を必須構成原子とする含フッ素モノマー(b)と、
重合開始剤を含み、
前記含フッ素モノマー(a)および含フッ素モノマー(b)が、いずれも、一分子中に2個の重合性二重結合を有する含フッ素モノマー、または、重合性二重結合の少なくとも一方を構成する炭素原子が環を構成する炭素原子である含フッ素脂肪族環構造を有する含フッ素モノマーであり、かつ、前記重合開始剤が含フッ素ジアルキルペルオキシドまたは含フッ素脂肪族環構造を有する、光学部材形成用重合性組成物。
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Cited By (1)
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WO2008087946A1 (ja) * | 2007-01-16 | 2008-07-24 | Fujifilm Corporation | 新規な含フッ素ポリマーおよび含フッ素ポリマーの製造方法 |
-
2004
- 2004-12-01 JP JP2004348119A patent/JP2006154590A/ja active Pending
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WO2008087946A1 (ja) * | 2007-01-16 | 2008-07-24 | Fujifilm Corporation | 新規な含フッ素ポリマーおよび含フッ素ポリマーの製造方法 |
JP2008195929A (ja) * | 2007-01-16 | 2008-08-28 | Fujifilm Corp | 新規な含フッ素ポリマーおよび含フッ素ポリマーの製造方法 |
US8236923B2 (en) | 2007-01-16 | 2012-08-07 | Fujifilm Corporation | Fluorine-containing polymer and method of producing fluorine-containing polymer |
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