JP2006151881A - 植物環境ストレス耐性用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】植物に対し環境ストレス耐性を付与する薬剤を見出すこと。
【解決手段】ピロロキノリンキノン(PQQ)、その塩又はその誘導体、或いはPQQ産生微生物、その破壊産物又はそのPQQ含有抽出物を有効成分として含むことを特徴とする植物に環境ストレス耐性を付与するための組成物及び方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、下記に示す式(1)のピロロキノリンキノン(以下「PQQ」と称する;正式名称4,5-ジヒドロ-4,5-ジオキソ-1H-ピロロ [2,3-f]キノリン-2,7,9-トリカルボン酸)、その塩又はその誘導体、或いはPQQ産生微生物、その破壊産物又はそのPQQ含有抽出物を有効成分として含む、植物環境ストレス耐性又は植物生長調節のための組成物又は剤、或いは、これらの組成物又は剤の使用方法に関する。
地球上の人口は、確実に増加の一途を辿っている。この人口増加は、食糧難という新たな問題を引き起こしつつある。一方、地球環境は、二酸化炭素による温暖化に起因した異常気象がもたらす砂漠化の進行及び台風やハリケーンの異常発生による水害や塩害の増大、さらには無計画な森林伐採による緑地帯の減少などによって、深刻な状況に陥っている。これらの問題の解決は、急務の域に達しており、世界的レベルでその対策が検討されているが、依然としてその実効性は乏しい。
このような問題の解決策の1つとして、食糧の増産と緑地化の増大が挙げられる。品種の改良に加えて、農耕が不適な乾燥地帯、高塩濃度地帯或いは寒冷地での作物の栽培は、そのような地帯が地球上の陸地の約3分の1を占めるだけに、食糧の増産に大きく寄与するはずである。また、これらの地帯を緑地化できれば、光合成による大気中の二酸化炭素の浄化にも大いに役立つと考えられる。
乾燥、高塩濃度、寒冷の劣悪な環境下では、一般の植物は生息が困難である。植物は、さまざまな環境に応じて、それに適応するべく生理機能をコントロールするが、異常な環境に遭遇すると、環境ストレスを受けて細胞の生理機能が損なわれ、その結果弱体化又は生育の著しい低下を招く。そこで、近年、植物に環境ストレス耐性又は抵抗性を付与するための研究が盛んに行われている。
環境ストレスにはさまざまな種類が挙げられるが、要するに、植物が生育するのに不適な環境、例えば乾燥、高温、低温、冷凍、塩、水、除草剤、病害虫、光、化学物質などにさらされたときに、植物はそれぞれの環境に応じたストレスを受けることが知られている。このような環境ストレスに対する耐性が植物に付与されるならば、不適な環境下であっても、程度の問題はあるが植物の生育が可能になると考えられる。植物環境ストレス耐性のための方法として、環境ストレス耐性機構を司る遺伝子を植物に導入する、いわゆる遺伝子工学的手法を用いた方法、化学物質で植物を処理する方法などが知られている。
遺伝子工学的方法による例として、次のものが挙げられる。
マンニトール合成酵素遺伝子(Science (1993), 259: 508-510)又はグリシンベタイン合成系酵素遺伝子(Plant J. (1997), 12: 133-142; Plant Mol. Biol. (1998), 38: 1011-1019)を導入することによって、植物の耐塩性が強化されたことが報告されている。また、葉緑体膜の不飽和脂肪酸の含量を低下することにより高温適応性の植物(Science (2000), 287: 476-479)、活性酸素消去関連酵素遺伝子が導入された植物(蛋白質核酸酵素(1999), 44: 2246-2252)、ポリアミン生合成に関わるポリアミン代謝関連酵素遺伝子(特願2004-242505号公報)、ラフィノース合成酵素遺伝子(特願2002-262885号公報)、或いは、ガラクチノール合成酵素遺伝子(特願2004-262884号公報)などの遺伝子を導入したトランスジェニック植物が作出され報告されている。さらに、このような環境ストレス耐性付与遺伝子の複数を植物体内で同時発現させるための転写因子をコードする遺伝子、すなわちストレス応答性プロモーターが導入された植物も報告されている(The Plant Cell (1998), 10: 1-17;特願2000-116260号公報;特願2000-116259号公報)。
化学物質処理方法の例は、遺伝子工学的方法に比べて少なく、またその効果は弱く、実効性に問題がある。化学物質として、植物ホルモンや植物生長調節剤、例えばアブシジン酸、アミノレブリン酸、ブラシノステロイド、ビオチン、ビタミンB1など、並びに、ポリアミンなどが知られている(特願2004-242505号公報)。植物には、プトレシン、スペルミジンを含む20種類以上のポリアミンが見出されており、ポリアミンと環境ストレスとの関係も報告されている(Plant Cell Physiol. (1997), 38: 1156-1166; Environ. Pollut. (1989), 61: 95-106; New Phytol. (1997), 135: 467-473; Plant Cell Physiol. (1998), 39: 987-992)。
上記以外の方法として、二酸化炭素溶解水又は酸素溶解水を植林した苗に供給することによって植物の環境ストレス耐性を高める方法が報告されている(特願2003-325063号公報)。
特願2004-242505号公報 特願2002-262885号公報 特願2004-262884号公報 特願2000-116260号公報 特願2000-116259号公報 特願2003-325063号公報 Science (1993), 259: 508-510 Plant J. (1997), 12: 133-142 Plant Mol. Biol. (1998), 38: 1011-1019 Science (2000), 287: 476-479 蛋白質核酸酵素(1999), 44: 2246-2252 The Plant Cell (1998), 10: 1-17 Plant Cell Physiol. (1997), 38: 1156-1166 Environ. Pollut. (1989), 61: 95-106 New Phytol. (1997), 135: 467-473 Plant Cell Physiol. (1998), 39: 987-992
植物に環境ストレス耐性を付与するために、上記の種々の方法が提案されてきた。しかし、例えば遺伝子工学的方法の場合、複数の酵素遺伝子が、環境ストレス耐性の獲得のために関与しているため、それらの遺伝子を同時に活性化することは容易ではないし、一方、たとえそれが可能であったとしても、複数の外因性遺伝子の導入のために植物の生育の遅延や矮小化を引き起こす原因ともなる。さらに化学物質処理方法の場合、アブシジン酸は植物による代謝分解を受け易く、またアミノレブリン酸は耐性効果が弱いという欠点がある。ポリアミンについては、有意の環境ストレス耐性効果は認められるが、実用化という観点でみれば必ずしも十分とはいえない。
このような状況下において、意外にも偶然に、アブシジン酸やアミノレブリン酸などの植物ホルモン及び植物生長調節剤、ポリアミン類とは異なる物質であるPQQが、植物において種々の環境ストレスに対して既存剤よりも強い耐性活性と長い持続性を付与すること見出した。
PQQは、ニコチンアミドとフラビンに次ぐ3番目の酸化還元補酵素として細菌から発見された有機分子であり、哺乳類では食品から摂取しなければならない新しいビタミンであると考えられている(K. Kasahara 及びT. Kato, Nature (2003), 422: 832;臨床栄養(2003), 103: 813-817)。PQQの役割として、哺乳類のリジン代謝経路上のアミノアジピン酸セミアルデヒド(AAS)がAAS脱水素酵素によってアミノアジピン酸(AAA)に酸化される反応において酸化還元補酵素として機能することが判明している。マウスでの実験で、PQQが欠乏すると、成長が悪く、皮膚がもろくなり、免疫反応が悪くなり、繁殖能力が減少するなどの異常が認められている(Science (1989), 245: 850-852; J. Nutr. (1994), 124: 744-753)。PQQはまた、種々のグラム陰性細菌、例えば納豆菌や枯草菌などによって産生され、また野菜などの食品中に微量含まれている。
しかし、PQQによる植物環境ストレス耐性活性の報告はないため、PQQは、全く新しい概念の植物環境ストレス耐性剤であると考えられる。
したがって、本発明の目的は、PQQを植物環境ストレス耐性のために使用する方法、及びそのためのPQQ含有組成物を提供することである。
本発明の別の目的は、PQQを含む植物生長調節のために使用する方法、及びPQQ含有植物生長調節剤を提供することである。
本発明で使用するPQQ(正式名称:4,5-ジヒドロ-4,5-ジオキソ-1H-ピロロ [2,3-f]キノリン-2,7,9-トリカルボン酸)は、下記の式(1)の化学構造を有する。
Figure 2006151881
前述したとおり、種々の環境ストレス下にある植物をPQQで処理したとき、環境ストレスに対して植物が著しい耐性を示し、かつ良好な生育が認められた。PQQは、公知の環境ストレス耐性効果を示す物質と全く異なる構造及び特性をもつため、PQQによる植物環境ストレス耐性付与活性は意外であり、かつその効果の大きさの点で驚くべきことであった。
本発明は、このような知見に基づき完成されたものであり、次のような構成及び特徴を有する。
本発明は、第1の態様において、式(1)のPQQ、その塩又はその誘導体の少なくとも一種を有効成分として含む、植物に環境ストレス耐性を付与するための組成物を提供する。
使用可能な有効成分には、前記PQQ、その塩又はその誘導体の少なくとも一種を産生する微生物、或いはその破壊産物又はそのPQQ含有抽出物も包含される。
本明細書中、このような微生物を「PQQ産生微生物」、「PQQを産生する微生物」、「PQQ産生組換え微生物」などと称する。また、PQQ、その塩又はその誘導体の少なくとも一種を含有する、上記微生物破壊産物及び上記抽出物をそれぞれ、「PQQ含有破壊産物」、「PQQ含有抽出物」と称する。
本発明の実施形態において、前記環境ストレス耐性は、塩、光、化学物質、乾燥、病害虫及び低温/冷凍ストレスからなる群から選択される少なくとも1つのストレスに対する耐性である。ここで、化学物質の例は有機溶剤である。本発明の組成物は、特に塩、強い光、化学物質及び乾燥の植物環境ストレスに対して増強されたストレス耐性付与活性を示す。
別の実施形態において、前記植物は双子葉又は単子葉植物である。本発明の組成物は、双子葉、単子葉に拘らずいずれの植物においても有意もしくは顕著な効果を提供する。
さらに別の実施形態において、前記PQQの塩は、有機又は無機の酸又は塩基との塩である。ここで、特に塩基との塩には、アルカリ金属塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩など、並びに、アンモニアや、脂肪族、脂環式又は芳香族アミンなどのアミンとの塩が含まれる。
別の実施形態において、前記PQQの誘導体は、化学的又は生物学的反応によりPQQに変換可能でありかつ植物環境ストレス耐性を付与する物質である。ここで、「化学的又は生物学的反応によりPQQに変換可能(である物質)」とは、本発明の組成物又は剤を、例えば土壌、培地又は植物本体に施用後に、土壌又は培地中で化学的に又は微生物によって、或いは植物体内で酵素的に分解されてPQQに変換されうる、いわゆるPQQ前駆体をいう。例えば、PQQの誘導体の例は、エステル、酸アミド、又はアミノ酸アダクトである。
PQQ産生微生物又はその破壊産物は、PQQ、その塩又はその誘導体を産生する微生物(例えば、納豆菌、枯草菌、メタノール資化性細菌、シュードモナス属細菌などのグラム陰性菌、カビなどの真菌類、酵母など)、遺伝子組換え技術によってPQQ、その塩又はその誘導体の産生が増強された及び/又は病原性を喪失させたPQQ産生組換え微生物、並びに化学的又は物理的に破壊されたこれら微生物の破壊産物である。又、これら微生物のPQQ含有抽出物も使用可能である。好ましくは、もともと病原性のない又は病原性を喪失させたPQQ産生微生物である。
別の実施形態において、本発明の組成物は液剤、粉剤、粒剤又はマイクロカプセル剤の形態である。
本発明はまた、第2の態様において、上記定義の本発明組成物を植物に施用し、該植物の生長を調節する方法を提供する。ここで、調節とは、一般に促進を指す。
本発明の実施形態において、前記植物は双子葉又は単子葉植物である。
別の実施形態において、前記組成物の施用濃度は、PQQ、その塩又はその誘導体の濃度として10nM〜10μM、好ましくは100nM〜1μMである。施用濃度は、この範囲に限定されるものではなく、植物生長活性に応じてさらに増減が可能である。ここで、施用濃度は、実際に散布等によって植物又はその種子に施用するときの有効成分の濃度をいう。本発明の組成物が液剤であるときには、通常、濃厚液もしくは濃縮液の形態であり、その所定量を水等の溶剤で希釈して使用することができる。
さらに別の実施形態において、植物は、環境ストレス下にある植物である。しかし、ストレスのない環境での使用も可能であり、この場合には、予防的に本発明の組成物を使用することができる。ここで、予防的とは、起こるかもしれないストレス環境(例えば、乾燥又は低温)から植物を前もって保護することを意味する。
別の実施形態において、前記と同様に、環境ストレスは、塩、光、化学物質、乾燥、病害虫及び低温/冷凍ストレスから成る群から選択される少なくとも1つのストレスである。
別の実施形態において、本発明の組成物は従来の植物生長調節剤と組み合わせて施用することができる。このような組み合わせは、互いの特性を発揮することができる場合、相乗的効果が得られる場合などに有効である。
本発明の組成物との別の組み合わせ相手として、病害虫の駆除剤(例えば、殺虫剤、殺ダニ剤、抗病害剤など)、肥料等の農薬がある。定期的に、予防的に、或いは病害虫の発生時に、このような農薬と組み合わせて施用することは、植物の健康を維持又は回復するのに有効であると考えられる。
本発明はさらに、第3の態様において、上記定義の組成物を、環境ストレス下にある植物に施用し、該植物の環境ストレス耐性を増強する方法を提供する。
その個々の実施形態については、前記第1態様及び第2態様の発明の実施形態と同様であり、上記の説明もしくは定義をそのまま本発明方法に適用しうる。
すなわち、前記環境ストレスは、塩、光、化学物質、乾燥、病害虫及び低温/冷凍ストレスから成る群から選択される少なくとも1つのストレスである。ここで、化学物質の例は有機溶剤である。
前記植物は、双子葉又は単子葉植物である。
施用濃度は、PQQ、その塩又はその誘導体の濃度として10nM〜10μM、好ましくは100nM〜1μMである。施用濃度は、この範囲に限定されるものではなく、植物環境ストレス活性に応じてさらに増減が可能である。
前記施用は、土壌、培地又は植物本体への施用である。施用の例は、土壌又は葉面散布である。また施用は、植物の種子、発芽又は生長段階で行うことができる。
前記組成物は、従来の植物環境ストレス耐性剤と組み合わせて施用することができる。
本発明はまた、第4の態様において、前記式(1)のPQQ、その塩又はその誘導体の少なくとも一種、或いはPQQ産生微生物、その破壊産物又はそのPQQ含有抽出物、を有効成分として含む植物生長調節剤を提供する。
ここで、PQQ、その塩又はその誘導体、或いはPQQ産生微生物、その破壊産物又はそのPQQ含有抽出物は、前記定義のとおりである。
本発明の組成物、剤又は方法で使用される、有効性成分としてのPQQ、その塩又はその誘導体、或いはPQQ産生微生物、その破壊産物又はそのPQQ含有抽出物は、塩、光、化学物質、乾燥などの環境ストレスに対する植物の耐性を増強し、生育を促進する作用効果を有する。PQQは、従来のストレス耐性剤と異なる新しいタイプであるうえに、例えばポリアミン、アブシジン酸、アミノレブリン酸などの従来のストレス耐性剤と比べて、強い耐性活性をもち、かつ効果の持続性も長いというすぐれた特徴をもつ。PQQは、微生物による生産が可能であるため、PQQ産生微生物を直接植物の生息地又は栽培地に施用するならば、この方法はより安価でかつ簡便な方法として実用性が高い。
上で説明したように、本発明の組成物、剤又は方法は、有効成分として、式(1)のPQQ、その塩又はその誘導体、或いはPQQ産生微生物、その破壊産物又はそのPQQ含有抽出物を含有又は使用することを特徴とする。同時に本発明により、植物に環境ストレス耐性を付与し及び/又は植物の生長促進を可能にする。
PQQは、1979年にある種の細菌から発見されたが、2003年になって、それが酸化還元補酵素として機能する哺乳類の新しいビタミンであるという発見(Nature (2003), 422: 832)によって注目を浴びた。現在、特に哺乳類でのその医薬用途の探索研究が行われているが、一方、PQQが植物に微量存在することが知られているものの、植物におけるPQQの役割や用途研究は少ない。このような状況の中で、PQQが植物環境ストレス耐性付与活性をもつという知見は、驚くべきことであった。
PQQは現在、発酵法による微生物生産が工業的に行われているため、入手が容易である。PQQ産生微生物として、納豆菌、枯草菌、メタノール資化性細菌、シュードモナス属細菌などを含むグラム陰性細菌、真菌類、酵母などが知られている。したがって、これらのPQQ産生微生物からPQQを製造することができる(特願平9-070296号公報)。好ましい微生物には、納豆菌、枯草菌、メタノール資化性細菌、例えばメチロバチルス属、メチロフィルス属、メチロバクテリウム属、アンシロバクター属、アシドモナス属細菌などが含まれ、病原性もしくは毒性のない微生物であるべきである。簡単に説明すると、これらの微生物を、公知の培養条件により増殖、培養し、PQQを菌体内又は菌体外に蓄積したのち、培養物又は培養上清からPQQを回収し、必要により精製することができる。本発明での使用のためには、PQQを必ずしも精製する必要はなく粗製PQQで十分に使用に供することができる。しかし精製を要する場合には、溶媒抽出、イオン交換クロマトグラフィー、結晶化、シリカゲル及び疎水性カラムクロマトグラフィー、HPLCなどの従来公知の精製技術を適宜組み合わせてPQQを精製することができる。精製PQQは、現在、三菱ガス化学(株)等から入手可能である。
PQQは、純水に難溶であるが、pHが7より大きい水溶液(例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩の水溶液)や緩衝溶液(例えば、リン酸緩衝液 pH=7.6)に可溶である。それ故、PQQは、アルカリ金属、アルカリ土類金属などの金属イオンとの金属塩、或いはアンモニア、脂肪族もしくは芳香族アミン類、環状アミン類などの無機もしくは有機塩基との四級塩であることが好ましく、PQQ塩は、単に水に溶解するだけで容易に施用可能である。
本発明では、PQQ産生グラム陰性細菌などのPQQ産生微生物において、遺伝子組換え技術、又は紫外線、γ線もしくは変異原性物質(例えば、ニトロソグアニジン)による変異技術、によってPQQの産生が増強された及び/又は病原性もしくは毒性を喪失もしくは減少させたPQQ産生組換え微生物及びPQQ産生微生物変異体、並びに化学的又は物理的に破壊されたこれら微生物のPQQ含有破壊産物、これら微生物の破壊、抽出によって得られるPQQ含有抽出物も有効成分として使用可能である。
PQQ産生微生物変異体は、固体培地上の培養微生物に対し紫外線又はγ線を照射するか、或いは固体培地中に変異原性物質を添加して培養し、生存したコロニーを取り出し、PQQ産生について定量することからなる手順を繰り返し、PQQ産生能の高い変異体を選択することによって製造しうる。PQQの定量は、例えば菌体を超音波破砕などの手段で破壊したのち、産生したPQQを例えばメタノール等のアルコールに溶かしたのち、ジアゾメタンエーテル溶液で処理してPQQをトリメチルエステル化し、HPLC測定によって行うことができる。HPLC条件は、例えば特願平6-145171号公報に記載された条件をそのまま使用できる。すなわち、カラム条件は以下のとおりである。
カラム: Novopakc 18(3.9 mm x 150 mm)(Waters社製)
カラム温度:24℃
溶離液: A液(水/燐酸/30% NaOH=991/2/7)
B液(水/MeOH/燐酸/30% NaOH=363/635/2/7)
A液からB液へのグラジエント
流速: 1.5 ml/分
検出: UV (259 nm)
PQQ産生組換え微生物は、遺伝子組換え技術を用いてPQQの生合成系に関わる遺伝子群の転写活性を高めた組換え微生物を含む。そのための手法には、例えば、PQQのゲノムDNAを単離し、PQQ生合成系遺伝子を同定、配列決定し、該遺伝子の転写因子を同定し、該転写因子中の内因性プロモーター配列を既知のウイルス性プロモーターなどの強力プロモーター配列と相同組換え法によって置換することを含む。相同組換えには、薬剤耐性遺伝子(例えば、抗生物質耐性遺伝子)、栄養要求性を相補する遺伝子などの選択マーカー遺伝子を、該微生物の転写因子配列中の内因性プロモーター配列を外因性プロモーター配列と置換した転写因子と共に含むプラスミドベクターを使用することができる。
病原性もしくは毒性を喪失もしくは減少させたPQQ産生組換え微生物は、病原性又は毒性に関与する遺伝子を遺伝子破壊することによって得ることができる。本発明では、特に病原性微生物の使用は好ましくないが、もしそのような微生物を使用する場合には、その病原性もしくは毒性を除く必要がある。このために病原性もしくは毒性遺伝子を公知刊行物もしくはデータベースから検索するか又は同定し、その遺伝子配列に基いて遺伝子破壊ベクターを構築し、相同組換え法によって該遺伝子を破壊する。遺伝子破壊は、遺伝子の一部を欠失させるか、或いは異種配列を挿入するなどの手法によって実施できる。また病原性もしくは毒性遺伝子の同定のために、例えば特表2003-523197号公報に記載される病原生物の毒性遺伝子の同定法などを参考にすることができる。
微生物のPQQ含有破壊産物は、浸透圧法、超音波破砕法、凍結融解法、ミル法などの化学的もしくは物理的方法によってPQQ産生微生物を破砕し、蒸発法又は凍結乾燥などの手法で乾燥することによってPQQ含有破壊産物を得ることができる。あるいは、さらに、PQQ含有破壊産物を緩衝液などの水溶液で抽出し、酸性化したのち酢酸エチルなどの有機溶剤で抽出し、濃縮し、PQQ含有粗抽出物を固体として得ることができる。
本発明の目的を達成するために、PQQだけでなくPQQ塩又はPQQ誘導体の使用も可能である。
PQQ塩は、有機又は無機の酸又は塩基、好ましくは塩基、との塩である。有機又は無機塩基とのPQQ塩の例は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、或いはアンモニア、脂肪族もしくは芳香族アミン類、環状アミン類などの無機もしくは有機塩基との四級塩が含まれる。一方、有機又は無機酸とのPQQ塩の例は、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸などの鉱酸塩、飽和もしくは不飽和脂肪酸、シュウ酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、酒石酸、安息香酸などの脂肪族又は芳香族カルボン酸との塩である。しかしPQQ塩は、これらの特定例に限定されないものとする。PQQ塩の製造は、適当な溶媒中、PQQと、酸又は塩基とを室温で、又は必要に応じて冷却下で、接触させたのち、濃縮し固化又は結晶化することによって実施できる。例えば、Na、K塩などは、その水酸化物溶液とPQQを接触させることによって容易に生成可能である。
PQQ誘導体は、化学的又は生物学的反応によりPQQに変換可能でありかつ植物環境ストレス耐性を付与する物質であり、本発明の組成物又は剤を、例えば土壌、培地又は植物本体に施用後に、土壌又は培地中で化学的に又は微生物によって、或いは植物体内で酵素的に分解されてPQQに変換されうる、いわゆるPQQ前駆体である。例えば、PQQの誘導体の例は、エステル、酸アミド、又はアミノ酸アダクトである。
エステルは、PQQの3つのカルボキシル基のうち少なくとも1つのカルボキシル基と、例えばアルコール類、グリセロール類、チオール類などの水酸基もしくはチオール基とのエステルであり、該エステルは、例えば酸もしくはアルカリ、又はエステラーゼ、リパーゼ、ヒドロラーゼ等の加水分解酵素によってPQQに変換されうる。エステルの製造は、公知の手法で行うことができる(特願平5-070458号公報、特願平6-145171号公報、特願平6-220055号公報、特願平10-025292号公報)。例えば、PQQを、メタノール、エタノールなどのアルコールに溶解し、硫酸などの酸触媒の存在下で加熱攪拌し、反応後に中和、濃縮し、酢酸エチル等の溶剤で抽出し、濃縮、結晶化によって、PQQトリエステル体を得ることができる。或いは、PQQエステル体は、アルキルハライドを炭酸塩でアセトン中で処理することによっても製造できる。PQQジエステル及びモノエステルは、トリエステル体を、水と混合可能なジオキサン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド(DMSO)もしくはジメチルホルムアミド(DMF)などの有機溶剤との混合液中、鉱酸もしくはトリフルオロ酢酸などの有機酸の存在下で部分加水分解し、濃縮し、固化又は結晶化することによって得ることができる。本発明の目的のためには、各エステル体への精製は特に必要なく混合エステルの形態で使用できる。もし精製を要する場合には、抽出、再結晶、シリカゲルクロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィーなどの慣用技術を適宜組み合わせて実施できる。
酸アミドは、PQQの3つのカルボキシル基のうちの少なくとも1つのカルボキシル基と、例えばアミン類(例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、環状アミンなど)、アミノ酸類などのアミノ基との酸アミドであり、酸もしくはアルカリ又はアミダーゼ、ペプチダーゼ等の酵素によってPQQに変換されうる。酸アミドの製造は、適当な溶剤中、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)の存在下でPQQと過剰量のアミンもしくはカルボキシル基保護アミノ酸とを冷却下で接触させることによって実施できる。精製は、PQQエステル体について記載したのと同様の慣用技術を組み合わせて行うことができる。
アミノ酸アダクツは、PQQとアミノ酸との付加塩であり、好ましいアミノ酸は塩基性アミノ酸もしくは酸性アミノ酸、例えばリジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸などである。アミノ酸アダクツは、pHの変化によってPQQに容易に変換されうる。アミノ酸アダクツの製造は、PQQとアミノ酸を適当な溶剤中で攪拌することによって容易に得ることができる(Analytical Chemistry (1999), 269:317-325)。
本発明の組成物は、その目的を達成しうるのであれば、いかなる形態に処方されてもよい。好ましい形態は、液剤、粉剤、粒剤又はマイクロカプセル剤である。液剤には懸濁液、乳化液など、粉剤及び粒剤には水和性粉剤、水和性粒剤なども包含される。該組成物には、有効成分に加えて、賦形剤もしくは希釈剤からなる担体、及び種々の添加剤を含有させることができる。添加剤の例は、結合剤、分散剤、界面活性剤、安定化剤、増量剤、防腐剤もしくは殺菌剤、凍結防止剤、香料、色素などである。
担体の例は、液体形態の場合、リン酸緩衝液などの緩衝溶液(pH 7〜8)、エタノール、ブタノールなどのアルコール類、酢酸エチルなどのエステル類、メチルエチルケトンなどのケトン類、エチレングリコール、2-エトキシエタノールなどのグリコール類、オレイン酸、カプリン酸などの脂肪酸類、ポリエチレングリコールなどのポリグリコール類、ジメチルホルムアミドなどのアミド類、大豆油、オリーブ油などの植物油、マシン油などの鉱物油などである。また固体形態の場合、鉱物質担体、例えばカオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロサイトなどのカオリン鉱物、カルシウムモンモリロナイト、マグネシウムモンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、ハイデライト等のスメクタイト、パイオフィライト、タルク、白雲母、フェンジャイト、セリサイト、イライト等の雲母、クリストバライト、クォーツ等のシリカ、アタパルジャイト、セピオライト等の含水珪酸マグネシウム、ドロマイト等の炭酸カルシウム、ギプサム、石膏等の硫酸塩鉱物、ゼオライト、沸石、凝灰石、バーミキュライト、ラポナイト、軽石、珪藻土、粘土、酸性白土、活性白土、硫安、尿素、塩安など;ホワイトカーボン、例えば湿式及び乾式シリカ、その焼成品など;動植物性担体、例えば小麦粉、デンプン、デキストリン、木粉、澱粉、ぬか、ふすま、もみがら、大豆粉、カルナバロウなどを含む。担体の量は、組成物全重量の約99%以下である。
結合剤は、無機性結合剤、例えばベントナイト、モンモリロナイト、水ガラス、コロイダルシリカなど;有機性結合剤、例えばデンプン、デキストリン、カゼイン、ゼラチン、にかわ、アラビアガム、天然ゴムなど;セルロース系結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなど;リグニン系結合剤、例えばリグニン、リグニンスルホン酸ナトリウム、リグニンスルホン酸アンモニウムなど;合成樹脂結合剤、例えばポリオレフィン、ハロゲン化ポリオレフィン、アクリル系ポリマー、ビニル系ポリマー、合成ゴム、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリアセタールなどのアセタール樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリエチレンオキシド、ポリフェニレンオキシド、カーボネート樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、マレイン酸樹脂、尿素樹脂など;ワックス、例えば天然ワックス、例えばキャンデリラワックス、カルナバロウワックス、ライスワックス、木ろう、ホホバ油、みつろう、ラノリン、鯨ろう、牛脂、オゾケライト、セレシンなど;石油ワックス、例えばパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなど;合成ワックス、例えばモンタンワックス、ポリエチレンワックス、硬化ひまし油、12−ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸、ステアリルアルコール、ラウロン、ステアロン、ミリスチン酸イソプロピル、グリセリン脂肪酸エステル、グリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルなどを含む。結合剤の量は、組成物全重量の約10%以下である。
分散剤は、例えばゼラチン、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム塩などの天然多糖類、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、リグニンスルホン酸塩などの半合成多糖類、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの合成水溶性高分子、マグネシウムアルミニウムシリケートなどの鉱物質、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル、ナフタレンスルホン酸塩のホルマリン縮合物、高級アルキルスルホン酸塩、高級アルキル第四級アンモニウム塩、高級脂肪酸またはその塩、高級アルキルカルボン酸塩等の界面活性剤などを含む。分散剤の量は、組成物全重量の約10%以下である。
界面活性剤は、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリルモノ脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、高級脂肪酸グリセリンエステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アルキロールアミド、ポリオキシエチレンアルキルアミンなどのノニオン界面活性剤;アルキルアミン塩酸塩、アルキル四級アンモニウム塩、ドデシルアルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、ジアルキルモルホリニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ポリアルキルビニルピリジニウム塩などのカチオン界面活性剤;パルミチン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルカルボン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、N−ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリン酸エステルスルホン酸、ジオクチルスルホサクシネート、オレイン酸アミドスルホン酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ジイソプロピルナフタレンスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、ペンタデカン−2−サルフェート、ポリオキシエチレンドデシルエーテル硫酸ナトリウム、アルキルビニルエーテル−マレイン酸共重合体などのアニオン性界面活性剤;N−ラウリルアラニン、N,N,N−トリメチルアミノプロピオン酸、N,N,N−トリヒドロキシエチルアミノプロピオン酸、N−ヘキシル N,N−ジメチルアミノ酢酸、1−(2−カルボキシエチル)ピリジニウムベタイン、レシチンなどの両性界面活性剤を含む。界面活性剤の量は、組成物全重量に対して約10重量%以下である。
安定化剤は、酸化防止剤、例えばフェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤など;紫外線吸収剤、例えばベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤など;クエンチャー、例えば有機ニッケル系化合物を含む。安定化剤の量は、組成物全重量の約5%以下である。
増量剤は、天然及び半合成多糖類、例えばローカストビーンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩など;鉱物、例えばマグネシウムアルミニウムシリケート、ベントナイトなどを含む。増量剤の量は、組成物全重量の約20%以下である。
凍結防止剤は、例えばプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどを含む。
防腐剤又は殺菌剤は、ブロムコンザゾール(bromuconazole)、ブチオベート(buthiobate)、キャプタホル(captafol)、キャプタン(captan)、カルベンダジム(carbendazim)、カルボキシン(carboxin)、CGA173506、クロベンズチアゾーン(chlobenzthiazone)、クロタロニル(chlorthalonil)、シモキサニル(cymoxanil)、シプロコナゾール(cyproconazole)、シプロフラム(cyprofuram)、エトリジアゾール(etridiazole)、フェナリモール(fenarimol)、フェンフラム(fenfuram)、フェンピクロニル(fenpiclonil)、フェンプロピジム(fenpropidin)、フェンプロピモルフ(fenpropimorph)、フェンチンアセテート(fentinacetate)、アルドモフ(aldimorph)、アンドプリム(andoprim)、アニラジン(anilazine)、ベナラキシル(benalaxyl)、ベノダニル(benodanil)、ベノミル(benomyl)、ビパクリル(binapacryl)、ビテルタノール(bitertanol)、フェンチンヒドロオキシド(fentinhydroxide)、フェリムゾーン(ferimzone)(TF164)、フルアジナム(fluazinam)、フルオベンズイミン(fluobenzimine)、フルキンコナゾール(fluquinconazole)、フルオルイミド(fluorimide)、フルシラゾール(flusilazole)、フルトラニル1(flutolanill)、フルトリアホル(flutriafol)、フォルペット(folpet)、ホセチル-アルミニウム(fosetyl-aluminum)、フベリダゾール(fuberidazole)、フルスルファミド(fulsulfamide)、フルアラキシル(furalaxyl)、フルコナゾール(furconazole)、フルメサイクロックス(furmecyclox)などを含む。
マイクロカプセルは、例えばスプレイドライ法(「造粒の技術 コーティング造粒法」、「造粒ハンドブック」(1991年)、日本粉体工業技術協会編、(株)オーム社発行)によって製造できる。この方法は実際、農薬のマイクロカプセル化のために工業的に使用されている。具体的には、有効成分を含む原液をスプレードライヤーを用いて噴霧乾燥造粒を行いコア粒子を調製し、これを壁膜材を含む有機溶媒の中に浸漬し真空乾燥・解砕もしくはスプレードライヤーによる噴霧乾燥を行い中間マイクロカプセルを得る。この中間マイクロカプセルを特殊スプレードライヤーにより溶融冷却固化処理を行い、皮膜化された単核状マイクロカプセルを得る。或いは、得られたマイクロカプセルは微小球の粉体であるので凝集しやすいが、せん断混合力の強いジエット噴流中で粉体の分散相をつくり、皮膜粒子を含む溶液の噴霧に対向するかたちで衝突させることにより粒子表面に皮膜を形成させマイクロカプセル化する。
本発明の組成物は、従来の植物生長調節剤、植物環境ストレス耐性剤、病害虫剤(例えば、殺虫剤、病害剤、殺ダニ剤など)、肥料などと組み合わせて施用することができる(C.R. Worthing,U.S.B. Walker,The Pesticide Manual,7th Edition(1983),British Crop Protection Council)。
植物生長調節剤又は植物環境ストレス耐性剤の例は、アブシジン、アミノレブリン酸、ポリアミン類、例えばプトレシン、カダベリン、カルジン、スペルミジンなど(特願平2004-242505号公報)などである。
本発明の組成物中の有効成分含量は、特に制限されないが、通常、PQQとして10nM以上又は0.0000003%(重量)以上としうる。組成物は、液体又は固体のいずれであっても、濃厚又は濃縮形態とすることができ、この場合、施用濃度の例えば約1,000倍〜約5,000倍又はそれ以上高い濃度としうる。施用濃度は、液体の場合、通常約10nM〜約10μM、好ましくは約100nM〜1μMであり、固体の場合、散布する組成物重量あたり0.0000003%以上、0.0001%以上、0.01%以上又は0.1%以上としうるが、この範囲に限定されない。また、組成物が固体の場合、水に溶解又は懸濁させて施用することができる。
本発明の組成物は、植物に、少なくとも1つの環境ストレスに対する耐性を付与するために使用される。
植物は、双子葉植物又は単子葉植物のいずれでもよく、野生植物、農業、園芸又は林業用植物、例えば作物(果菜類を含む)、穀物、観賞用植物、花卉、樹木、果樹なども含まれる。後述の実施例では、双子葉植物としてアブラナ科のシロイヌナズナ及びクレス、マメ科のミヤコグサ、単子葉植物としてイネ科のイネをそれぞれ選択したが、いずれの植物も環境ストレス耐性を示した。したがって、本発明の組成物は、植物の種類に拘らずいかなる植物にも有効に使用できる特徴をもつ。
環境ストレスには、塩、光(高温、紫外線を含む)、化学物質(有機溶剤を含む)、乾燥、病害虫、低温/冷凍ストレスなどが含まれるが、これらに限定されない。後述の実施例では、本発明の組成物によって、少なくとも塩、乾燥、強光又は化学物質ストレスに対する耐性が有意にかつ顕著に増強された。塩ストレス耐性は、いわゆる塩(しお)に汚染された植物又は土壌での植生を可能にするし、乾燥ストレス耐性は、降雨の極めて少ない地域又は干ばつ地帯での植生と植物保護を可能にする。また光ストレス耐性は、真夏時の高温及び紫外線ストレスから植物を保護することを可能にするし、化学物質ストレスは、有機溶剤などの化学物質で汚染された地域での植生を可能にする。さらに病害虫ストレス耐性は、病気や害虫に対する植物の抵抗性を生理的に高めるし、低温/冷凍ストレス耐性は、低温又は寒冷から植物を保護し、また植生を可能にする。
病害虫は、例えば以下のものである。
害虫は、ハスモンヨトウ(Spodoptera litura)、コブノメイガ(Cnaphalocrocis medinalis)、コナガ(Plutella xylostella)、ヨトウガ(Mamestra brassicae)、モンシロチョウ(Pieris rapae crucivora)、カブラヤガ(Agrotis segetum)、チャノコカクモンハマキ(Adoxophyes sp.)、チャハマキ(Homona magnanima)、タバコバットワーム(Heliothis virescens)、ヨーロピアンコーンボーラー(Ostrinia nubilalis)、フォールアーミーワーム(Spodoptera frugiperda)、コーンイヤーワーム(Helicoverpa zea)などの鱗翅目害虫、ツマグロヨコバイ(Nephotettix cincticeps)、トビイロウンカ(Nilaparvata lugens)、モモアカアブラムシ(Myzus persicae)、クサギカメムシ(Halyomorpha mista)、トコジラミ(Cimex lectularius)などの半翅目害虫、ニジュウヤホシテントウ(Epilachna vigintioctpunctata)、ドウガネブイブイ(Anomala cuprea)、イネミズゾウムシ(Lissorhopterus oryzophilus)、サザンコーンルートワーム(、ノーザンコーンルートワーム(Diabrotica barberi)、ウェスタンコーンルートワーム(Diabrotica virgifera virgifera)、ココクゾウ(Sitophilus oryzae)などの鞘翅目害虫、イエバエ(Musca domestica)、アカイエカ(Culex pipiens pallens)、マメハモグリバエ(Liriomyza trifolii)、ウリミバエ(Dacus cucurbitae)などの双翅目害虫、ミナミキイロアザミウマ(Thrips palmi)、ネギアザミウマ(Thrips tabaci)、ミカンキイロアザミウマ(Frankliniella occidentalis)などの総翅目害虫、ネコノミ(Ctenocephalidae felis)、ケオプスネズミノミ(Xenopsylla cheopis)などの等翅目害虫、ニワトリオオハジラミ(Menacanthus stramineus)、ウシハジラミ(Bovicola bovis)などのハジラミ目害虫、ウシジラミ(Haematopinus eurysternus)、ウシホソジラミ(Linognathus vituli)などのシラミ目害虫、ミカンハダニ(Panonychus citri)、ナミハダニ(Tetranychus urticae)、カンザワハダニ(Tetranychus kanzawai)などのハダニ類、ミカンサビダニ(Aculops pelekassi)、チャノナガサビダニ(Acaphylla theavagrans)などのフシダニ類、チャノホコリダニ(Polyphagotarsonemus latus)、シクラメンホコリダニ(Steneotarsonemus pallidus)などのホコリダニ類、ケナガコナダニ(Tyrophagus putrescentiae)、ロビンネダニ(Rhizoglyphus robini)などのコナダニ類、オウシマダニ(Boophilusmicroplus)、フタトゲチマダニなどのマダニ類、ウサギキュウセンダニ(Psoroptes cuniculi)、ヒツジキュウセンダニ(Psoroptes ovis)などのキュウセンダニ類、ヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei)などのヒゼンダニ類、サツマイモネコブセンチュウ(Meloidogyne javanica)、キタネグサレセンチュウ(Pratylenchus penetrans)およびジャガイモシストセンチュウ(Globodera rostochiensis)などの線虫類を含む。
病害は、いもち病(Pyricularia oryzae)、ごま葉枯病(Cochliobolus miyabeanus)、紋枯病(Rhizoctonia solani)、うどんこ病(Erysiphe graminis f.sp.hordei, f.sp.tritici)、斑葉病(Pyrenophoragraminea)、網斑病(Pyrenophora teres)、赤かび病(Gibberella zeae)、さび病(Puccinia striiformis, P.graminis, P.recondita, P.hordei)、雪腐病(Tipula sp., Micronectriella nivais)、裸黒穂病(Ustilago tritici, U.nuda)、アイスポット(Pseudocercosporella herpotrichoides)、雲形病(Rhynchosporium secalis)、葉枯病(Septoria tritici)、ふ枯病(Leptosphaeria nodorum)、カンキツの黒点病(Diaporthe citri)、そうか病(Elsinoe fawcetti)、果実腐敗病(Penicillium digitalum, P.italicum)、リンゴのモニリア病(Selerotinia mali)、腐らん病(Valsa mali)、斑点落葉病(Alternaria mali)、黒星病(Venturia inaequalis)、ナシの黒星病(Venturia nashicola)、黒斑病(Alternaria kikuchiana)、赤星病(Gymnosporangium haracanum)、モモの灰星病(Sclerolinia cinerea)、黒星病(Cleadosporium carpophilum)、フォモプシス腐敗病(Phomopsis sp.)、ブドウのべと病(Plasmopara viticola)、黒とう病(Elsinoe ampelina)、晩腐病(Glomerella cingulata)、うどんこ病(Uncinula necator)、さび病(Phakopsora ampelopsidis)、落葉病(Cercospora kakj,Mycosphaerella nawae)、ウリ類のべと病(Pseudoperenospora cubensis)、炭そ病(Colletotrichum lagenarium)、うどんこ病(Sphaerotheca fuliginea)、つる枯病(Mycosphaerella melonis)、トマトの疫病(Phytophthora infestans)、輪紋病(Alternaria solani)、葉かび病(Cladosporium fulvum)、ナスの褐紋病(Phomopsis vexans)、アブラナ科野菜の黒斑病(Alternaria japonica)、白斑病(Cercosporella brassicae)、ネギのさび病(Puccinia allii)、ダイズの紫斑病(Cercospora kikuchii)、黒点病(Diaporthe phaseololum)、インゲンの炭そ病(Colletotrichum lindemuthianum)、ラッカセイの黒渋病(Mycosphaerella personatum)、褐斑病(Cercospora arachidicola)、エンドウのうどんこ病(Erysiphe pisi)、ジャガイモの夏疫病(Alternaria solani)、イチゴのうどんこ病(Sphaerotheca humuli)、チャの網もち病(Exobasidium reticulatum)、白星病(Elsinoe leucospila)、タバコの赤星病(Alternaria lingipes)、うどんこ病(Erysiphe cichoracearum)、炭そ病(Colletotrichum tabacum)、テンサイの褐斑病(Cercospora beticola)、バラの黒星病(Diplocarpon rosae)、キクの褐斑病(Septoria chrysanthemiindici)、白さび病(Puccinia horiana)、種々の作物の灰色かび病(Botrytis cinerea)などを含む。
ダニは、ミカンハダニ、ナミハダニ、カンザワハダニなどのハダニ類、チャノナガサビダニ、カーネーションサビダニ、チューリップサビダニ、ミカンサビダニ、モモサビダニ、リンゴサビダニ、チャノサビダニ、ブドウサビダニ、ナシサビダニ、ニセナシサビダニなどのフシダニ類、チャノホコリダニ、シクラメンホコリダニなどのホコリダニ類などを含む。
本発明によると、上記の環境ストレス下にある植物は、ストレス耐性の向上とともに、その生長が促進される。この知見から、本発明の組成物は、植物生長調節剤としての機能も有する。
したがって、本発明は、上記定義の組成物を植物に施用して植物の生長を調節する方法、又はこのような方法で使用するための植物生長調節剤を提供する。
さらにまた、本発明は、該組成物を環境ストレス下にある植物に施用して該植物の環境ストレス耐性を増強する方法、又はこのような方法で使用するための植物環境ストレス剤も提供する。
本発明の組成物又は剤は、例えば以下のようにして施用される。
組成物が粉剤又は粒剤である場合、直接散布するか、或いは従来の水和剤と同様に水又は緩衝液等の溶剤で所定の倍率に希釈したのち散布する。また、組成物が懸濁剤、乳化液または液剤である場合、直接散布するか、或いは従来の濃縮液と同様に水で所定の倍率に希釈して散布する。散布は、パイプダスター、散粒器、水圧式スプレーヤーなどの散布機を利用してもよいし、或いは、大規模散布の場合にはヘリコプターや航空機による空中散布でもよい。本発明組成物の施用量は、気象条件、剤型、時期、方法、場所、植物対象などによって適宜変更しうるが、非限定的に通常1haあたり約0.01g〜約1kgである。
また、施用は、土壌、培地又は植物本体に直接散布してもよいし、或いは土壌又は培地に混入してもよい。好ましくは、土壌又は葉面散布である。
上で述べたように、本発明の組成物は、従来の植物生長調節剤、植物環境ストレス耐性剤、殺虫剤、抗植物ウイルス剤、殺ダニ剤、肥料などと組み合わせて施用してもよく、本発明の組成物の活性を損なわない限りむしろこのような併用は好ましい。
本発明を以下の実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの具体例によって制限されないものとする。
PQQによる植物環境ストレス耐性
MS培地(Gibco BRL Co.)、1%アガロース及び1.5%スクロースを含有する培地、或いは土壌に、アブラナ科シロイヌナズナ及びクレス、マメ科ミヤコグサ、並びにイネ科イネの種子を蒔き、発芽後、所定日数にわたり、DMSO中のPQQを10nM〜10μMの範囲の任意の濃度で植物に散布し、環境ストレス耐性を調べた。
環境ストレスの種類として、塩、光、化学物質又は乾燥ストレスを使用した。
塩ストレスの場合、100mM NaClを培地に添加し、光ストレスの場合、800μEの強い光を照射し、化学物質ストレスの場合、1%アセトニトリル(AcN)を培地に添加し、乾燥ストレスの場合、潅水制限下の土壌を使用し、植物に対し各ストレスを与えた。培地の場合、試験の開始時に所定量のPQQを添加した。一方、土壌の場合、所定の間隔で葉面散布をした。
ストレス耐性条件と結果は、以下のとおりである。
A.アブラナ科シロイヌナズナ
1.塩ストレス耐性
培地: MS培地、1%アガロース、1.5%スクロース
温度: 室温(光照射)
条件: NaCl 100mM、PQQ1nM、10nM、100nM、1μM、10nM
発芽後10日間
結果: PQQ無処理区(コントロール)に比べて、PQQ区は本葉面積が350〜220%展開した(図1)。
2.光ストレス耐性
培地: MS培地、1%アガロース、1.5%スクロース
温度: 室温
条件: 強光(800μE)、PQQ100nM、1μM、10μM
発芽後20日間
結果: PQQ無処理区(コントロール)に比べて、新鮮重量が125〜150%増加した(図2)。
3.化学物質ストレス耐性
培地: MS培地、1%アガロース、1.5%スクロース
温度: 室温(光照射)
条件: アセトニトリル1%、PQQ100nM、1μM、10μM,100μM
発芽後14日間
結果: PQQ無処理区(コントロール)は白化し枯死したが、PQQ区は100nM〜10μMで鮮度を保ちつつ生存した(図3)。
4.乾燥ストレス耐性
土壌: 培養土
温度: 室温(光照射)
条件: 潅水制限した土壌で生育(発芽後35日間)、PQQ1μgを2日間隔で1個体あたり3回散布した。
結果: PQQ無処理区(コントロール)は乾燥枯死するが、PQQ区は鮮度を保ちつつ生存した(図4)。
B.マメ科ミヤコグサ
塩ストレス耐性
培地: MS培地、1%アガロース、1.5%スクロース
温度: 室温(光照射)
条件: NaCl 100mM、PQQ10nM、1μM
発芽後30日間
結果: PQQ無処理区(コントロール)に比べて、茎長が150〜250%伸長し、また根長が230〜280%伸長した(図5)。
C.アブラナ科クレス
塩ストレス耐性
培地: MS培地、1%アガロース、1.5%スクロース
温度: 室温(光照射)
条件: NaCl 100mM、PQQ10nM、1μM
発芽後30日間
結果: PQQ無処理区(コントロール)に比べて、茎長が250〜300%伸長し、また根長が250〜320%伸長した(図6)。
D.イネ科イネ
塩ストレス耐性
培地: MS培地、1%アガロース、1.5%スクロース
温度: 室温(光照射)
条件: NaCl 200mM、PQQ100nM、1μM
発芽後30日間
結果: PQQ無処理区(コントロール)に比べて、葉長が180〜250%伸長した(図7)。
シロイヌナズナの塩ストレス耐性試験の結果を示す。1/2MSは、塩無添加のMS培地での生育を示す。 シロイヌナズナの強光ストレス耐性試験の結果を示す。 シロイヌナズナのアセトニトリル(AcN)ストレス耐性試験の結果を示す。1/2MSは、アセトニトリル無添加のMS培地での生育を示す。 シロイヌナズナの乾燥ストレス耐性試験の結果を示す。右がPQQ区、左がPQQ無処理区である。 ミヤコグサの塩ストレス耐性試験の結果を示す。 クレスの塩ストレス耐性試験の結果を示す。 イネの塩ストレス耐性試験の結果を示す。

Claims (26)

  1. 下記の式(1):
    Figure 2006151881
    のPQQ、その塩又はその誘導体の少なくとも一種を有効成分として含む、植物に環境ストレス耐性を付与するための組成物。
  2. 前記有効成分が、前記PQQ、その塩又はその誘導体の少なくとも一種を産生する微生物、或いはその破壊産物又はそのPQQ含有抽出物である、請求項1記載の組成物。
  3. 環境ストレス耐性が、塩、光、化学物質、乾燥、病害虫及び低温/冷凍ストレスからなる群から選択される少なくとも1つのストレスに対する耐性である、請求項1又は2記載の組成物。
  4. 化学物質が有機溶剤である、請求項3記載の組成物。
  5. 植物が双子葉又は単子葉植物である、請求項1〜4のいずれか1項記載の組成物。
  6. PQQの塩が、有機又は無機の酸又は塩基との塩である、請求項1〜5のいずれか1項記載の組成物。
  7. PQQの誘導体が、化学的又は生物学的反応によりPQQに変換可能でありかつ植物環境ストレス耐性を付与する物質である、請求項1〜6のいずれか1項記載の組成物。
  8. PQQの誘導体が、エステル、酸アミド、又はアミノ酸アダクトである、請求項7記載の組成物。
  9. 組成物が液剤、粉剤、粒剤又はマイクロカプセル剤の形態である、請求項1〜8のいずれか1項記載の組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物を植物に施用し、該植物の生長を調節する方法。
  11. 植物が双子葉又は単子葉植物である、請求項10記載の方法。
  12. 施用濃度が、PQQ、その塩又はその誘導体の濃度として10nM〜10μM、好ましくは100nM〜1μMである、請求項10又は11記載の方法。
  13. 植物が環境ストレス下にある、請求項10〜12のいずれか1項記載の方法。
  14. 環境ストレスが、塩、光、化学物質、乾燥、病害虫及び低温/冷凍ストレスから成る群から選択される少なくとも1つのストレスである、請求項13記載の方法。
  15. 前記組成物を従来の植物生長調節剤と組み合わせて施用する、請求項10〜14のいずれか1項記載の方法。
  16. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物を、環境ストレス下にある植物に施用し、該植物の該環境ストレス耐性を増強する方法。
  17. 環境ストレスが、塩、光、化学物質、乾燥、病害虫及び低温/冷凍ストレスから成る群から選択される少なくとも1つのストレスである、請求項16記載の方法。
  18. 化学物質が有機溶剤である、請求項17記載の方法。
  19. 植物が双子葉又は単子葉植物である、請求項16〜18のいずれか1項記載の方法。
  20. 施用濃度が、PQQ、その塩又はその誘導体の濃度として10nM〜10μM、好ましくは100nM〜1μMである、請求項16〜19のいずれか1項記載の方法。
  21. 施用が、土壌、培地又は植物本体への施用である、請求項16〜20のいずれか1項記載の方法。
  22. 施用が、土壌又は葉面散布である、請求項21記載の方法。
  23. 前記組成物を従来の植物環境ストレス耐性剤と組み合わせて施用する、請求項16〜22のいずれか1項記載の方法。
  24. 施用が、植物の種子、発芽又は生長段階で行われる、請求項16〜23のいずれか1項記載の方法。
  25. 前記式(1)のPQQ、その塩又はその誘導体の少なくとも一種を有効成分として含む植物生長調節剤。
  26. 前記有効成分が、前記PQQ、その塩又はその誘導体の少なくとも一種を産生する微生物、或いはその破壊産物又はそのPQQ含有抽出物である、請求項25記載の植物生長調節剤。
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