JP2006148323A - 半導体集積回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】
ダンプサージ及び逆起電圧による出力MOSトランジスタの破壊を防止し、チップ面積の増大を抑止できる半導体集積回路を提供すること。
【解決手段】
本発明にかかる半導体集積回路は、L負荷3に流れる電流を制御する出力MOSトランジスタM0と、出力MOSトランジスタM0に印加される過電圧をクランプするダイナミッククランプ回路31と、出力MOSトランジスタM0のゲート電圧Vgsのレベルを調整した参照信号Vaを生成する遅延回路35と、参照信号Vaに基づき、逆起電圧が出力MOSトランジスタM0に発生した場合にダイナミッククランプ回路31を動作状態とするクランプ制御回路32とを備えるものである。
【選択図】 図3

Description

本発明は、半導体集積回路に関し、特に出力トランジスタを過電圧から保護する回路を有する半導体集積回路に関する。
自動車や家電製品等において、電圧や電流を制御するスイッチング素子を有するパワーIC(Integrated Circuit)(パワー半導体とも呼ばれる)が利用されており、このスイッチング素子を過電圧から保護する技術が種々提案されてきた(例えば、特許文献1参照)。このような過電圧として、例えば、誘導性負荷側から発生する逆起電圧や、電源側から発生するダンプサージ等が知られている。
図10は、従来のパワーIC91の構成を示す回路図である。この従来のパワーIC91は、電流制御するスイッチング素子としてMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor。以下、MOSあるいはMOSトランジスタともいう)である出力MOSトランジスタM0を有している。この例では、出力MOSトランジスタM0が負荷(L負荷3)よりも電源側に接続されるため、ハイサイドスイッチとして動作する。L負荷3は、アクチュエータ等であり、インダクタンス成分と抵抗成分の等価回路で表される。
尚、本明細書において、単にオフ、オン、ターンオフもしくはターンオンという場合は、出力MOSトランジスタのオフ、オン、ターンオフもしくはターンオンを指している。MOSトランジスタがオンから完全にオフとなるまでの過渡期をターンオフといい、MOSトランジスタがオフから完全にオンとなるまでの過渡期をターンオンという。
出力MOSトランジスタM0は、ドレインにVbb端子(電源端子)を介して電源が供給され、ゲートに抵抗R3を介してチャージポンプ回路12により昇圧された電圧が供給され、ソースがOUT端子(出力端子)を介してL負荷3に接続される。出力MOSトランジスタM0のゲート電荷を放電するためのゲート放電用MOSトランジスタN1は、ドレインがチャージポンプ回路12と抵抗R3との間のノードに接続され、ゲートに制御信号S2が入力され、ソースがOUT端子に接続される。
チャージポンプ回路12の出力は、マイコン等により入力される制御信号S1によりオン/オフされ、ゲート放電用MOSトランジスタN1は、マイコン等により入力される制御信号S2によりオン/オフされる。
さらに、従来のパワーIC91では、出力MOSトランジスタM0を逆起電圧による破壊等から保護するために、出力MOSトランジスタM0のドレイン−ゲート間にダイナミッククランプ回路31を設けている。ダイナミッククランプ回路31は、耐圧用ダイオードD6と逆流防止用ダイオードD7を有している。
ターンオフ時の逆起電圧Vinvは、L負荷3のインダクタンス成分に蓄積されたエネルギー((1/2)・L・IOUT・IOUT)の放出により発生する。ターンオフ時、出力MOSトランジスタMOのゲート−ソース間電圧Vgsの減少に伴い、出力電圧VOUTも下がり逆起電圧Vinvが発生する。このとき、出力電圧VOUTが耐圧用ダイオードD6のブレークダウン耐圧まで下がると、逆起電圧Vinvがクランプされ、出力MOSトランジスタM0の出力耐圧まで電圧が加わるのを防止する。
一方、従来のパワーIC91では、電源であるバッテリにオルタネータが接続されているとすると、バッテリを接続するバッテリ端子がオルタネータの発電中に外れた場合等に、ダンプサージと呼ばれる正極の過電圧(60V程度)がVbb端子に発生する。
出力MOSトランジスタM0がオフの時にダンプサージが発生した場合、ダイナミッククランプ回路31によりクランプ機能が働いてしまうと出力MOSトランジスタM0が熱により破壊してしまうため、耐圧用ダイオードD6のブレークダウン耐圧は、ダンプサージの60V以上のものを使用する必要がある。さらに、出力MOSトランジスタM0の出力耐圧は耐圧用ダイオードD6のブレークダウン耐圧以上のものを使用する必要がある。出力MOSトランジスタM0の出力耐圧とチップ面積は比例の関係にあるため、ダイナミッククランプ回路31を設けていないパワーICに比べて、チップ面積が大きくなってしまうとともに、コスト高および実装面積が増大するという問題があった。
このような問題に鑑みて、本願出願人は、特願2004−026603号において、クランプ回路の動作を制御するクランプ制御回路を設けることにより、チップ面積の増大を抑止する半導体集積回路を提案している。
図11は、上記特願2004−026603号で提案されている従来のパワーIC92の構成を示す回路図である。この従来のパワーIC92は、図10に示した構成に加えてクランプ制御回路32を有している。クランプ制御回路32は、MOSトランジスタN2、クランプスイッチ用MOSトランジスタP5及び抵抗R4を有している。
MOSトランジスタN2は、ドレインが抵抗R4を介してVbb端子に接続され、ゲートが出力MOSトランジスタM0のゲートに接続され、ソースがOUT端子に接続される。クランプスイッチ用MOSトランジスタP5は、ソースがVbb端子に接続され、ゲートが抵抗R4とMOSトランジスタN2のドレインとの間のノードに接続され、ドレインがダイナミッククランプ回路31に接続される。
図12は、従来のパワーIC92において、出力MOSトランジスタM0をオフからオンし、さらにオンからオフしたときの各信号を示している。
出力MOSトランジスタM0をオンからオフにする場合、制御信号S1をローレベルとすることにより、チャージポンプ回路12から昇圧電圧の出力が停止する。さらに、制御信号S2をハイレベルとすることにより、ゲート放電用MOSトランジスタN1がオンとなり、出力MOSトランジスタM0のゲート電荷が抵抗R3とゲート放電用MOSトランジスタN1を介してOUT端子へと流れる。そうすると、ゲート−ソース間電圧Vgsが減少し、出力MOSトランジスタM0がオフとなる。これにより、出力電流IOUT及び出力電圧VOUTの出力が停止する。
出力MOSトランジスタM0のターンオフ時、ゲート−ソース間電圧Vgsに電位があるためMOSトランジスタN2がオンとなる。そうすると、抵抗R4の電圧VRが増加し、クランプスイッチ用MOSトランジスタP5がオンとなり、ダイナミッククランプ回路31が動作状態となる。そして、このときL負荷3により発生する逆起電圧Vinvが、ダイナミッククランプ回路31によってクランプされる。このように、従来のパワーIC92では、ターンオフ時にダイナミッククランプ回路31を動作させている。
したがって、従来のパワーIC92では、耐圧用ダイオードD6の耐圧を考慮せずに出力MOSトランジスタM0の出力耐圧を設定できるため、出力MOSトランジスタM0の出力耐圧を低くすることができ、チップ面積を小さくすることができる。
特開2002−151989号公報
しかしながら、図11に示した従来のパワーIC92では、チップ面積の増大を抑止しようとすると、出力MOSトランジスタM0がオフの時にダンプサージが発生した場合、出力MOSトランジスタM0が破壊することがあるという問題がある。
この問題が発生する原因は、ダンプサージにより急激に出力MOSトランジスタM0のドレイン−ソース間電圧が上昇した時に出力MOSトランジスタM0のドレイン−ゲート間及びゲート−ソース間の寄生容量により、出力MOSトランジスタM0のゲート−ソース間に電圧が生じることに起因する。
図13は、図11の従来のパワーIC92からクランプ制御回路32を除いた回路における、出力MOSトランジスタがオフ状態のときの等価回路を示している。RN1はゲート放電用MOSトランジスタN1のオン抵抗で、CdgとCgdのそれぞれは出力MOSトランジスタMOのドレイン−ゲート間容量(寄生容量)とゲート−ソース間容量(寄生容量)を表している。
説明を分り易くするため、L負荷3のインピーダンスを0とした等価回路を図14に示す。図14の等価回路から、ダンプサージが発生した場合における、ゲート−ソース間電圧Vgsの過渡応答を計算すると、以下の数1のように表される。
Figure 2006148323
すなわち、寄生容量Cdgを流れる電流は、抵抗R3を流れる電流と寄生容量Cgsを流れる電流の和に等しいので(式1)が成立つ。(式1)において、Vdgは出力MOSトランジスタMOのドレイン−ゲート間電圧、Rは抵抗R3とオン抵抗RN1の和を表している。また、ダンプサージを単位ステップ入力として表した式が(式2)である。(式2)において、VbbはVbb端子の電圧、V0は通常電圧、V1はダンプサージ電圧、tはダンプサージ発生時刻である。この(式1)、(式2)をラプラス変換するとそれぞれ(式3)、(式4)が得られる。
さらに、(式3)と(式4)からドレイン−ゲート間電圧Vdg(s)を削除したのが(式5)である。この(式5)をラプラス逆変換したのが(式6)であり、ゲート−ソース間電圧Vgsの過渡応答を表す式である。
(式6)より、ダンプサージ発生直後(t=0)は、Vgs=(V1−V0)・Cdg/(Cdg+Cgs)となる。このゲート−ソース間電圧Vgsがクランプ制御回路32のMOSトランジスタN2の閾値Vt2以上になると、MOSトランジスタN2がオンとなり、クランプ制御回路32はダイナミッククランプ回路31を動作させてしまう。
例えば、Cdg=Cgs/10、V1=60V、V0=12Vとすると、Vgs=4.4Vとなる。出力MOSトランジスタMOの閾値をVt0と定義する。Vt2<Vt0でなければターンオフ時にクランプ動作できなくなるため、Vt2はVt0以上にはできない。通常、Vt0は1〜3V程度である。したがって、ダンプサージ直後には、ゲート−ソース間電圧Vgsがクランプ制御回路32のMOSトランジスタN2の閾値Vt2以上になってしまう。したがって、従来のパワーIC92でダンプサージ発生時にダイナミッククランプ回路31が動作すると、図10の従来のパワーIC91と同様に動作してしまう。
図15は、従来のパワーIC92でダンプサージが発生しダイナミッククランプ回路31が動作した時のタイミングチャートを示している。Vbb端子の電位は、例えば、電源電圧の12Vであるが、ダンプサージにより、0.2〜0.4秒の間、60V程度まで上昇する。このとき、上記のようにゲート−ソース間電圧Vgsも上昇し、閾値Vt2以上になると、ダイナミッククランプ回路31が動作する。さらに、Vbb端子の電圧が耐圧用ダイオードD6のブレークダウン耐圧を超えてしまうと、クランプ機能が働くため、一時的に出力MOSトランジスタM0がオンとなって、出力電流IOUT及び出力電圧VOUTが出力される。その結果、従来のパワーIC92において耐圧用ダイオードD6の耐圧を考慮せずに出力MOSトランジスタM0の出力耐圧を設定してしまうと、出力MOSトランジスタMOが破壊してしまう。
本発明にかかる半導体集積回路は、電源と誘導性負荷との間に接続される半導体集積回路であって、前記誘導性負荷に流れる電流を制御する出力トランジスタと、前記出力トランジスタに印加される過電圧をクランプするクランプ回路と、前記出力トランジスタの制御電極に入力される制御制御のレベルを調整した参照信号を生成する参照信号生成回路と、前記参照信号に基づき、前記誘導性負荷による逆起電圧が前記出力トランジスタに発生した場合に前記クランプ回路を動作状態とするクランプ制御回路とを備えるものである。本発明にかかる半導体集積回路によれば、出力トランジスタがオフのときにダンプサージが発生しても、クランプ制御回路が働かないため、クランプ回路が動作しないようになる。また、出力トランジスタのターンオフ時は、クランプ制御回路が働くため、クランプ回路が動作し、逆起電圧をクランプするようになる。これにより、ダンプサージ及び逆起電圧による出力MOSトランジスタの破壊を精度よく防止することができる。また、出力MOSトランジスタの耐圧を小さくできるため、チップ面積の増大を抑止し、コスト低減、実装面積の増大を抑止することができる。
本発明にかかる半導体集積回路は、誘導性負荷を駆動するハイサイドスイッチング回路と、前記ハイサイドスイッチング回路の駆動を制御する制御信号を生成する制御信号生成回路と、前記ハイサイドスイッチング回路がオフ状態の場合に前記制御信号を前記誘導性負荷へ放電する放電回路と、前記制御信号の立ち上がりもしくは立ち下がりの傾斜を緩やかにした参照信号に基づき、前記ハイサイドスイッチング素子を逆起電圧から保護する逆起電圧保護回路と、を備えるものである。本発明にかかる半導体集積回路によれば、ハイサイドスイッチング回路がオフのときにダンプサージが発生しても、逆起電圧保護回路が動作しないようになる。また、ハイサイドスイッチング回路のターンオフ時は、逆起電圧保護回路が動作するようになる。これにより、ダンプサージ及び逆起電圧によるハイサイドスイッチング回路の破壊を精度よく防止することができる。また、ハイサイドスイッチング回路の耐圧を小さくできるため、チップ面積の増大を抑止し、コスト低減、実装面積の増大を抑止することができる。
本発明によれば、ダンプサージ及び逆起電圧による出力MOSトランジスタの破壊を防止し、チップ面積の増大を抑止できる半導体集積回路を提供することができる。
発明の実施の形態1.
まず、図1乃至図5を用いて、本発明の実施の形態1にかかるパワーIC(半導体集積回路)について説明する。本実施形態にかかるパワーICは、クランプ制御回路が参照する信号を遅延させる遅延回路を有することを特徴としている。
ここで、図1を用いて、本発明の実施の形態1にかかるパワーICを有するシステムの構成について説明する。このシステムは、L負荷に流れる電流を制御するシステムであり、図に示すように、パワーIC1、マイコン2及びL負荷3を備えている。パワーIC1とマイコン2は、例えば、それぞれワンチップの半導体集積回路であるが、任意の数のチップとしてもよい。
マイコン2は、パワーICと接続されており、パワーIC1との間で信号を入出力する。マイコン2は、L負荷3の電流制御するための制御信号をパワーIC1へ出力し、パワーIC1等の状態を示す診断信号をパワーIC1から入力される。マイコン2は、例えば、5V系で駆動するマイコンであり、パワーIC1と入出力する信号も5V系の信号である。
パワーIC1は、マイコン2及びL負荷3と接続されている。パワーIC1は、マイコン2から入力される制御信号に応じてL負荷3へ流れる電流を制御する。また、パワーIC1は、パワーIC1及びL負荷3の状態を診断し、診断信号をマイコン2へ出力する。パワーIC1は、例えば、12V系で駆動する。
L負荷3は、一端がパワーIC1と接続され、他端が接地される。L負荷3は、アクチュエータ等であり、パワーIC1から電流を供給され、この電流を機械動作へ変換する。また、L負荷3は、図に示すように、インダクタンス成分と抵抗成分の等価回路で表される。
尚、このシステムは、例えば、自動車や家電製品、ロボット等で利用することができ、特に、ターンオフ時に逆起電圧が発生し、ターンオフ時以外にダンプサージ等の過電圧が発生する構成であることが好ましい。
次に、図2を用いて、本実施形態にかかるパワーICの構成について説明する。このパワーIC1は、ハイサイドスイッチであり、図に示すように、出力MOSトランジスタM0、逆起電圧保護回路11、チャージポンプ回路12、電流制限回路13、電流検出回路14、過熱検出回路15、ラッチ回路16及び自己診断回路17を備えている。尚、出力MOSトランジスタM0以外の回路を制御回路という。また、パワーIC1は、この例に限らず、その他の構成としてもよく、特に、図3に後述する回路以外の部分については、任意の構成でよい。
IN端子(入力端子)を介してマイコン2から制御信号が入力され、DIAG端子(診断端子)を介して診断信号をマイコン2へ出力する。また、Vbb端子(電源端子)を介してバッテリ等から電源電圧が供給され、OUT端子(出力端子)を介してL負荷3へ電流を出力する。尚、図にはGND(グランド)端子が設けられているが、本実施形態は、後述するようにGND間の電位差ではなく、出力MOSトランジスタM0のゲート−ソース間の電位差をモニタし動作することを特徴とするため、GND端子を設けなくてもよい。
出力MOSトランジスタM0は、L負荷3への電流を制御するスイッチであり、高電力の動作が可能なMOSトランジスタである。一般にMOSトランジスタには、構造上の違いにより、電流が基板面に対し平行な方向に流れる横型素子と、垂直な方向に流れる縦型素子とがある。縦型素子は、主電極の一方が半導体素子の底面側にあり、横型素子に比べて単位面積当たりの通電能力に優れるため、主に高電力を取り扱う素子として利用されている。例えば、この出力MOSトランジスタM0には、縦型MOSトランジスタが用いられる。
出力MOSトランジスタM0は、Nチャネル型でもPチャネル型でもよい。ハイサイドスイッチの場合、Pチャネル型の方が回路を単純化できるが、同じ性能であればNチャネル型の方がチップサイズを半分にできるため、Nチャネル型であることが好ましい。ハイサイドスイッチにNチャネル型MOSトランジスタを用いると、ソースフォロワの構成となり、ソース電位がゲート電位に追随する特性を示す。
また、L負荷3へ電流を流す際、出力MOSトランジスタM0での電力消費を抑えるため、出力MOSトランジスタM0を適切な抵抗成分(オン抵抗)とする必要がある。本来のMOSトランジスタのオン抵抗を利用するためには、ゲート−ソース間の電位差を十分高く(例えば10V)設定しなければならない。このため、チャージポンプ回路12により昇圧された電位をゲートに供給する。
逆起電圧保護回路11は、ターンオフ時に発生する逆起電圧から出力MOSトランジスタM0を保護する回路である。逆起電圧保護回路11は、後述するように、ダイナミッククランプ回路31とクランプ制御回路32と遅延回路35を有しており、ターンオフ時にクランプ動作し、オフ時にダンプサージが発生してもクランプ動作を行わない。
チャージポンプ回路12は、供給された電源から、その電源電圧以上の電圧を出力する回路である。チャージポンプ回路12は、マイコン2から入力される制御信号に応じて昇圧した電圧を出力する。上述の通り、本来のMOSトランジスタのオン抵抗を利用するために、例えば、バッテリの電圧が12Vの場合、10V昇圧した22Vを出力MOSトランジスタM0のゲートへ供給する。チャージポンプ回路12は、例えば、コンデンサ、ダイオード及び発振器により構成されている。
電流制限回路13は、L負荷3がGNDへショートした場合に、L負荷3へ流れる電流を制限する回路である。電流検出回路14は、所定以上の電流がL負荷3へ流れた場合、これを検出し、自己診断回路17へ出力する。過熱検出回路15は、パワーIC1の温度が所定以上の温度になった場合、これを検出し、ラッチ回路16を介して、自己診断回路17へ出力する。ラッチ回路16は、過熱検出回路15等から入力された信号をラッチし、自己診断回路17等へ出力する。自己診断回路17は、電流検出回路14や過熱検出回路15等から入力された信号に基づき、L負荷3及びパワーIC1の状態を診断し、マイコン2へ診断信号を出力する。
次に、図3の回路図を用いて、本実施形態にかかるパワーICの回路構成について説明する。図3は、図2で示したパワーIC1の出力MOSトランジスタM0、逆起電圧保護回路11及びチャージポンプ回路12付近の回路を示している。
このパワーIC1は、図11の従来のパワーIC92の構成に加えて、遅延回路35を備えている。すなわち、パワーIC1は、出力MOSトランジスタM0、ダイナミッククランプ回路31、遅延回路35、クランプ制御回路32、チャージポンプ回路12、抵抗R3、ゲート放電用MOSトランジスタN1を備えている。CdgとCgsのそれぞれは、出力MOSトランジスタM0のドレイン−ゲート間容量(寄生容量)とゲート−ソース間容量(寄生容量)である。例えば、ダイナミッククランプ回路31、クランプ制御回路32及び遅延回路35が、図2の逆起電圧保護回路11に含まれる。尚。抵抗R3やゲート放電用MOSトランジスタN1は、図2では省略されている。
以下、パワーIC1の各構成要素について詳細に説明する。チャージポンプ回路12は、抵抗R3を介して、出力MOSトランジスタM0のゲートに接続される。チャージポンプ回路12は、マイコン2により入力される制御信号S1に応じて、昇圧電圧の出力をオン/オフする。
ゲート放電用MOSトランジスタN1は、ドレインがチャージポンプ回路12と抵抗R3との間のノードに接続され、ゲートに制御信号S2が入力され、ソースがOUT端子に接続される。ゲート放電用MOSトランジスタN1は、マイコン2により入力される制御信号S2に応じてオン/オフする。ゲート放電用MOSトランジスタN1がオンの場合、チャージポンプ回路12と抵抗R3の間のノードと、OUT端子とが接続される。例えば、ゲート放電用MOSトランジスタN1は、Nチャネル型であり、かつ横型のMOSトランジスタである。
遅延回路35は、ゲート−ソース間電圧Vgs(制御信号)のレベルを調整した参照信号を生成する参照信号生成回路の一例である。この参照信号は、ゲート−ソース間電圧Vgsの立ち上がりもしくは立ち下がりの傾斜を緩やかにした信号でもある。遅延回路35は、ゲート−ソース間電圧Vgsを所定の時間遅延させることにより、所定の時間における信号のレベルを調整した参照信号Vaを生成する。
遅延回路35は、この例では、直列に接続された抵抗R5と容量C1を有するCR積分回路である。抵抗R5の一端は、抵抗R3と出力MOSトランジスタM0のゲートとの間のノードに接続され、抵抗R5の他端は、容量C1の一端に接続され、容量C1の他端は、OUT端子に接続されている。遅延回路35の両端にゲート−ソース間電圧Vgsが印加されると、抵抗R5を介して流れる電流が容量C1に充電され、容量C1の両端の電圧が、抵抗R5と容量C1の時定数で規定される時間だけ遅延した参照信号Vaとなる。
尚、遅延回路35は、参照信号Vaを生成できる構成であれば、これに限らず、その他の構成であってもよい。例えば、抵抗R5をデプレッションMOS等の定電流源としてもよい。
クランプ制御回路32は、MOSトランジスタN2、クランプスイッチ用MOSトランジスタP5及び抵抗R4を有している。クランプ制御回路32は、参照信号Vaに応じてダイナミッククランプ回路31の動作/非動作を制御する。
MOSトランジスタN2は、ドレインが抵抗R4を介してVbb端子と接続され、ソースがOUT端子と接続され、ゲートが抵抗R5と容量C1との間のノードに接続される。MOSトランジスタN2のゲートには、参照信号Vaが入力され、この参照信号Vaに応じて、MOSトランジスタN2がオン/オフする。MOSトランジスタN2がオンの場合、抵抗R4とOUT端子が接続される。例えば、MOSトランジスタN2は、Nチャネル型であり、かつ横型のMOSトランジスタである。
クランプスイッチ用MOSトランジスタP5は、ソースがVbb端子に接続され、ゲートが抵抗R4とMOSトランジスタN2のドレインの間のノードに接続され、ドレインがダイナミッククランプ回路31に接続される。クランプスイッチ用MOSトランジスタP5は、抵抗R4に加わる電圧VRに応じてオン/オフする。クランプスイッチ用MOSトランジスタP5がオンの場合、Vbb端子とダイナミッククランプ回路31を接続し、ダイナミッククランプ回路31を動作状態とする。クランプスイッチ用MOSトランジスタP5がオフの場合、Vbb端子とダイナミッククランプ回路31を切り離し、ダイナミッククランプ回路31を非動作状態とする。例えば、クランプスイッチ用MOSトランジスタP5は、Pチャネル型であり、かつ横型のMOSトランジスタである。
ダイナミッククランプ回路31は、耐圧用ダイオードD6と逆流防止用ダイオードD7を有している。耐圧用ダイオードD6は、ツェナーダイオードであり、ターンオフ時の逆起電圧をブレークダウン耐圧でクランプするためのダイオードである。逆流防止用ダイオードD7は、チャージポンプ回路12による昇圧電圧がVbb端子の電源電圧よりも高いため、出力MOSトランジスタM0のゲートからソースへと電流が逆流するのを防止するためのダイオードである。
耐圧用ダイオードD6と逆流防止用ダイオードD7は、互いにアノードで直列接続されている。耐圧用ダイオードD6のカソードはクランプスイッチ用MOSトランジスタP5のドレインと接続され、逆流防止用ダイオードD7のカソードは、出力MOSトランジスタM0のゲートと接続されている。尚、ダイナミッククランプ回路31は、この例に限らず、さらに任意の数のダイオードを直列に接続し構成してもよい。
出力MOSトランジスタM0は、上述の通り、ドレインがVbb端子と接続され、ゲートが抵抗R3を介してチャージポンプ回路12と接続され、ソースがOUT端子に接続されている。
次に、図4のタイミングチャートを用いて、本実施形態にかかるパワーICの動作について説明する。このタイミングチャートは、出力MOSトランジスタM0をオフからオンし、さらにオンからオフしたときの各信号を示している。図に示すように、制御信号S1は、オフのときローレベルであり、オンのときハイレベルである。また、制御信号S2は、制御信号S1と逆に、オフのときハイレベルであり、オンのときローレベルである。
図に示すように、参照信号Vaは、ゲート−ソース間電圧Vgsの傾斜を緩やかになまらせた信号であり、ゲート−ソース間電圧Vgsが立ち上がっている時は、ゲート−ソース間電圧Vgsよりも参照信号Vaの方が小さく、ゲート−ソース間電圧Vgsの立ち下がっている時は、ゲート−ソース間電圧Vgsよりも参照信号Vaの方が大きい。
出力MOSトランジスタM0をオンする場合、制御信号S1をハイレベルとすることにより、チャージポンプ回路12から昇圧電圧の出力が開始される。さらに、制御信号S2をローレベルとすることにより、ゲート放電用MOSトランジスタN1がオフとなり、チャージポンプ回路12の昇圧電圧が抵抗R3を介して出力MOSトランジスタM0のゲートに供給される。そうすると、出力MOSトランジスタM0のゲート−ソース間電圧Vgsが増加し、出力MOSトランジスタM0がオンとなる。これにより、L負荷3へ出力電流IOUTが流れ、出力電圧VOUTが印加される。
出力MOSトランジスタM0をオフする場合、制御信号S1をローレベルとすることにより、チャージポンプ回路12から昇圧電圧の出力が停止する。さらに、制御信号S2をハイレベルとすることにより、ゲート放電用MOSトランジスタN1がオンとなり、出力MOSトランジスタM0のゲート電荷が抵抗R3とゲート放電用MOSトランジスタN1を介してOUT端子へと流れる。そうすると、ゲート−ソース間電圧Vgsが減少し、出力MOSトランジスタM0がオフとなる。これにより、出力電流IOUT及び出力電圧VOUTの出力が停止する。
ここで、出力MOSトランジスタM0の各状態におけるクランプ動作について説明する。出力MOSトランジスタM0がオフの時は、Va=Vgs=0VとなるためMOSトランジスタN2はオフとなる。さらに、抵抗R4の電圧VRにも電圧が生じないため、クランプスイッチ用MOSトランジスタP5はオフとなる。これにより、ダイナミッククランプ回路31が非動作状態となり、クランプ機能は働かない。
出力MOSトランジスタM0がターンオンの時は、ゲート−ソース間電圧Vgsに電位が生じるため参照信号Vaにも電位が生じる。そうすると、MOSトランジスタN2が徐々にオンとなり、抵抗R4の電圧VRが増加し、クランプスイッチ用MOSトランジスタP5がオンとなる。これにより、ダイナミッククランプ回路31が動作状態となるが、この場合には、L負荷3による逆起電圧が発生しないため、クランプ機能は働かない。
出力MOSトランジスタM0がオンの時、参照信号VaによりMOSトランジスタN2はオンするが、Vbb端子の電位とOUT端子の電位がほぼ等しいため電圧VR≒0Vであり、クランプスイッチ用MOSトランジスタP5がオフとなりクランプ機能が働かない。
出力MOSトランジスタM0がターンオフの時、参照信号Vaに電位が生じるためMOSトランジスタN2はオン状態であり、電圧VRが増加し、クランプスイッチ用MOSトランジスタP5もオンとなる。これにより、ダイナミッククランプ回路31が動作状態となる。このとき、L負荷3により逆起電圧Vinvが発生し、逆起電圧Vinvが耐圧用ダイオードD6のブレークダウン耐圧まで下がると、耐圧用ダイオードD6が降伏状態となり、アバランシェ電流が出力MOSトランジスタM0のゲートへ供給される。よって、逆起電圧Vinvが耐圧用ダイオードD6のブレークダウン耐圧でクランプされることとなる。このように、本実施形態では、逆起電圧が発生するターンオフ時のみダイナミッククランプ回路31を動作させることを特徴とする。
次に、図5のタイミングチャートを用いて、本実施形態にかかるパワーICのダンプサージ時の動作について説明する。このタイミングチャートは、出力MOSトランジスタM0がオフのときに、ダンプサージが発生した場合の各信号を示している。Vbb端子の電位は、通常、電源電圧の12Vであるが、ダンプサージにより、0.2〜0.4秒の間、60V程度まで上昇する。上述の通り、出力MOSトランジスタM0がオフの場合、ダンプサージ発生直後、ゲート−ソース間電圧Vgsが上昇するため出力MOSトランジスタM0がオンする。
図に示すように、ゲート−ソース間電圧Vgsは、急激に上昇した後、すぐに急激に下降するため、ゲート−ソース間電圧Vgsを遅延させた参照信号Vaは、0V付近のままで、ほとんど上昇しない。したがって、MOSトランジスタN2はオフ状態を維持し、ダイナミッククランプ回路31も非動作状態のままである。ゲート放電用MOSトランジスタN1から出力MOSトランジスタM0のゲート電荷が抜けるため、ゲート−ソース間電圧Vgsはすぐに0Vになるため、出力MOSトランジスタMOはすぐにオフする。
一方、出力MOSトランジスタM0がオンのときに、ダンプサージが発生した場合は、ダイナミッククランプ回路31は働かず、ダンプサージのエネルギーを出力MOSトランジスタM0とL負荷3で消費する。
例えば、L負荷3の抵抗を10Ω、出力MOSトランジスタM0のオン抵抗を100mΩとして、ダンプサージ60Vが印加されると、出力MOSトランジスタM0のドレイン−ソース間の電位差は、0.59V(=60V×100mΩ/10.1Ω)となり、残りの59.41VがL負荷3に印加される。このように、出力MOSトランジスタM0のオン抵抗よりもL負荷3の抵抗が非常に高い(ここでは100倍)ため、エネルギーのほとんどはL負荷3で消費されることとなり、出力MOSトランジスタM0が破壊することはない。
Figure 2006148323
次に、表1に従来例と本実施形態のパワーICのチップ面積の算出例を示す。ここでは、図10で示した従来のパワーIC91と、図3に示したパワーIC1を比較する。従来のパワーIC91では、耐圧用ダイオードD6のブレークダウン耐圧よりも出力MOSトランジスタM0の出力耐圧を大きくする必要があるため、耐圧用ダイオードD6のブレークダウン耐圧は、ダンプサージの60Vに対して、10Vの余裕をとり、70Vとなる。従来のパワーIC91の出力MOSトランジスタM0の出力耐圧は、耐圧用ダイオードのばらつき(±10V)と出力MOSトランジスタM10の出力耐圧のばらつき(±10V)を考慮し、90Vとなる。また、ここでは、従来のパワーIC91における出力MOSトランジスタM0の素子の面積を9mm、出力MOSトランジスタM0以外の回路である制御回路の素子の面積を1mmとし、従来のパワーIC91のチップ面積を10mmとする。
本実施形態のパワーIC1では、ダンプサージについて、耐圧用ダイオードD6の耐圧を考慮せずに出力MOSトランジスタM0の出力耐圧のみ考慮すればよいため、出力MOSトランジスタM0の出力耐圧は、ダンプサージの60Vに対して、10Vの余裕をとって70Vとなり、従来例よりも20V低くなる。パワーIC1における耐圧用ダイオードD6のブレークダウン耐圧は、耐圧用ダイオードD6のばらつき(±10V)と出力MOSトランジスタM0の出力耐圧のばらつき(±10V)を考慮して50Vとなり、従来例よりも20V低くなる。パワーIC1における出力MOSトランジスタM0の素子の面積は、出力MOSトランジスタM0の耐圧が従来例よりも20V低いことから、7mmとなり、従来例よりも2mm小さくなる。パワーIC1における制御回路の素子の面積は、クランプ制御回路32と遅延回路35の素子が追加になるため、抵抗R4を0.003mm、MOSトランジスタN2を0.003mm、クランプスイッチ用MOSトランジスタP5を0.005mm、抵抗R5を0.04mm、容量C1を0.05mmとして、従来例より0.1mm増加し、1.1mmとなる。したがって、パワーIC1のチップ面積は、8.1mmとなり、従来例よりも1.9mm小さくなり、チップサイズを19%縮小できる。
以上のような構成により、出力MOSトランジスタM0のゲート−ソース間電圧を遅延させ信号の傾斜を緩やかにした参照信号が所定のレベル以上変化する場合にダイナミッククランプ回路31を動作させることにより、ターンオフ時のように逆起電圧が発生する場合のみダイナミッククランプ回路31が動作するようになり、出力MOSトランジスタM0の破壊を防止できる。
また、出力MOSトランジスタM0のゲート−ソース間電圧を遅延させた参照信号に基づいてクランプ動作を制御することにより、オフ時にダンプサージが発生した場合でも、ダイナミッククランプ回路31が動作することがない。さらに、オン時にダンプサージが発生した場合も、ダイナミッククランプ回路31が動作せず、ダンプサージ等のエネルギーが出力MOSトランジスタM0とL負荷3とで消費される。したがって、ダイナミッククランプ回路31の耐圧用ダイオードD6の耐圧等を考慮せずに、出力MOSトランジスタM0の出力耐圧を設定できるため、出力MOSトランジスタM0の出力耐圧を低い値に設定することができる。その結果、逆起電圧やダンプサージから出力MOSトランジスタM0の破壊を精度よく防止できるとともに、出力MOSトランジスタM0の回路面積を縮小でき、パワーICのチップ面積の増加を抑え、コスト削減や、実装面積の増大も抑えることができる。
発明の実施の形態2.
次に、図6乃至図9を用いて、本発明の実施の形態2にかかるパワーIC(半導体集積回路)について説明する。本実施形態にかかるパワーICは、クランプ制御回路が参照する信号のレベルを調整するヒステリシス回路を有することを特徴としている。
ここで、図6の回路図を用いて、本実施形態にかかるパワーICの回路構成について説明する。図6は、図3と同様に、図2で示したパワーIC1の出力MOSトランジスタM0、逆起電圧保護回路11及びチャージポンプ回路12付近の回路を示している。尚、図6において、図3と同一の符号を付されたものは同様の要素であり、それらの説明を適宜省略する。
このパワーIC1は、図3の構成の遅延回路35がヒステリシス回路36に置き換わっている。ヒステリシス回路36は、遅延回路35と同様に参照信号Vaを生成する参照信号生成回路の一例である。ヒステリシス回路36は、ゲート−ソース間電圧Vgsの立ち上がり時と立ち下がり時のレベルを変換するとともに、信号の傾斜を緩やかにする。ヒステリシス回路36は、この例では、並列かつ逆方向に接続されたダイオードD11及びD12を有している。ダイオードD11のカソードとダイオードD12のアノードは、抵抗R3と出力MOSトランジスタM0のゲートとの間のノードに接続され、ダイオードD11のアノードとダイオードD12のカソードは、MOSトランジスタN2のゲートに接続されている。ダイオードD11は、ゲート−ソース間電圧Vgsの立ち下がり時のレベルを所定のレベル上昇させ、ダイオードD12は、ゲート−ソース間電圧Vgsの立ち上がり時のレベルを所定のレベル下降させる。
ゲート−ソース間電圧Vgsの電位がダイオードD12の閾値よりも大きく上昇すると、出力MOSトランジスタM0のゲートからダイオードD12を介してMOSトランジスタN2のゲートに電流が流れる。ゲート−ソース間電圧Vgsの電位がダイオードD11の閾値よりも大きく下降すると、MOSトランジスタN2のゲートからダイオードD11を介して出力MOSトランジスタM0のゲートに電流が流れる。
また、ヒステリシス回路36は、図7に示すように、ダイオード接続されたMOSトランジスタN3及びMOSトランジスタN4から構成されていてもよい。ダイオードよりもMOSトランジスタで形成した方が回路面積を小さくできる。
MOSトランジスタN3は、ダイオードD11と同様に、ゲート−ソース間電圧Vgsの立ち下がり時のレベルを所定のレベル上昇させ、MOSトランジスタN4は、ダイオードD12と同様に、ゲート−ソース間電圧Vgsの立ち上がり時のレベルを所定のレベル下降させる。
MOSトランジスタN3は、ゲートと第1の端子がMOSトランジスタN2のゲートに接続され、第2の端子が出力MOSトランジスタM0のゲートに接続されている。一般にMOSトランジスタがオンのとき電流が流れる際に、電圧が高い側の端子をドレインと呼び、電圧が低い側の端子をソースと呼ぶ。MOSトランジスタN3では、ゲート−ソース間電圧Vgsの電位がMOSトランジスタN3の閾値よりも大きく下降すると、MOSトランジスタN2のゲートから出力MOSトランジスタM0のゲートへ向かって電流が流れるため、第1の端子がドレインとなり、第2の端子がソースとなる。
MOSトランジスタN4は、ゲートと第1の端子が出力MOSトランジスタM0のゲートに接続され、第2の端子がMOSトランジスタN2のゲートに接続されている。MOSトランジスタN4では、ゲート−ソース間電圧Vgsの電位がMOSトランジスタN4の閾値よりも大きく上昇すると、出力MOSトランジスタのゲートからMOSトランジスタN2のゲートへ向かって電流が流れるため、第1の端子がドレインとなり、第2の端子がソースとなる。
図8は、本実施形態にかかるパワーICの動作を示しており、図4と同様に、出力MOSトランジスタM0をオフからオンし、さらにオンからオフしたときのタイミングチャートである。
MOSトランジスタN2、MOSトランジスタN3およびMOSトランジスタN4の閾値をそれぞれVt2、Vt3、Vt4とすると、図に示すように、参照信号Vaは、ゲート−ソース間電圧Vgsが上昇するとき、Va=Vgs−Vt4となり、ゲート−ソース間電圧Vgsが下降するとき、Va=Vgs+Vt3となる。
出力MOSトランジスタM0のターンオフ時、図4と同様に、MOSトランジスタN2はオンとなり、ダイナミッククランプ回路31が動作状態となる。ターンオフ時以外も、図4と同様に、ダイナミッククランプ回路31は動作しない。
図9は、本実施形態にかかるパワーICの動作を示しており、図5と同様に、出力MOSトランジスタM0がオフの時にダンプサージが発生した場合のタイミングチャートである。
出力MOSトランジスタM0がオフの状態でダンプサージが発生した場合も、Va=Vgs−Vt4となる。したがって、ダンプサージ発生時にVt2>Vaが満たされるようなVt2、Vt4を設定しておけば、図5と同様に、MOSトランジスタN2はオフのままとなり、ダイナミッククランプ回路31が動作しない。
以上のように、実施の形態1の遅延回路をヒステリシス回路としても、実施の形態1と同様に、オフ時にダンプサージが発生した場合でもダイナミッククランプ回路31が動作させないようにすることができ、逆起電圧やダンプサージから出力MOSトランジスタを保護し、回路面積を縮小することができる。
その他の発明の実施の形態.
尚、上述の遅延回路35やヒステリシス回路36をエッジ検出回路などダンプサージ発生時特有のゲート−ソース間電圧Vgsの変化を検出する回路に置き換えて、ダンプサージ発生時にダイナミッククランプ回路31を非動作に制御してもよい。更に、上述の遅延回路35やヒステリシス回路36をターンオフ時特有のゲート−ソース間電圧Vgsの変化を検出する回路に置き換えて、ターンオフ時にダイナミッククランプ回路31を動作する様に制御してもよい。
上述の例では、MOSトランジスタにより構成されたパワーICとして説明したが、各MOSトランジスタを他のタイプのトランジスタとしてもよい。例えば、各MOSトランジスタの極性(Nチャネル、Pチャネル)を変更したり、MOSトランジスタの代わりにバイポーラトランジスタを用いてもよい。
上述の例におけるダイナミッククランプ回路、クランプ制御回路、遅延回路、ヒステリシス回路は単純な回路で構成されているが、同様な機能を実現できる他の回路構成で置き換えても良い。例えば、遅延回路を、タイマーのようなデジタル回路としてもよいし、ヒステリシス回路を、ラッチ回路のようなデジタル回路としてもよい。クランプ制御回路を、上記特願2004−026603号に記載されているような他の構成のクランプ制御回路としてもよい。
このほか、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形、実施が可能である。
本発明にかかるパワーICを有するシステムの構成図である。 本発明にかかるパワーICの構成図である。 本発明にかかるパワーICの回路図である。 本発明にかかるパワーICのタイミングチャートである。 本発明にかかるパワーICのタイミングチャートである。 本発明にかかるパワーICの回路図である。 本発明にかかるパワーICの回路図である。 本発明にかかるパワーICのタイミングチャートである。 本発明にかかるパワーICのタイミングチャートである。 従来のパワーICの回路図である。 従来のパワーICの回路図である。 従来のパワーICのタイミングチャートである。 従来のパワーICの等価回路の回路図である。 従来のパワーICの等価回路の回路図である。 従来のパワーICのタイミングチャートである。
符号の説明
1 パワーIC 2 マイコン 3 L負荷
11 逆起電圧保護回路 12 チャージポンプ回路
13 電流制限回路 14 電流検出回路
15 過熱検出回路 16ラッチ回路 17 自己診断回路
31 ダイナミッククランプ回路 32 クランプ制御回路
35 遅延回路 36 ヒステリシス回路
M0 出力MOSトランジスタ
N1 ゲート放電用MOSトランジスタ
N2,N3,N4 MOSトランジスタ
R3,R4,R5 抵抗
RN1 ゲート放電用MOSトランジスタN1のオン抵抗
Cdg 出力MOSトランジスタM0のドレイン−ゲート間容量
Cgs 出力MOSトランジスタM0のゲート−ソース間容量
C1 容量
P5 クランプスイッチ用MOSトランジスタ
D6 耐圧用ダイオード
D7 逆流防止用ダイオード
D11,D12 ダイオード

Claims (8)

  1. 電源と誘導性負荷との間に接続される半導体集積回路であって、
    前記誘導性負荷に流れる電流を制御する出力トランジスタと、
    前記出力トランジスタに印加される過電圧をクランプするクランプ回路と、
    前記出力トランジスタの制御電極に入力される制御信号のレベルを調整した参照信号を生成する参照信号生成回路と、
    前記参照信号に基づき、前記誘導性負荷による逆起電圧が前記出力トランジスタに発生した場合に前記クランプ回路を動作状態とするクランプ制御回路と、
    を備える半導体集積回路。
  2. 前記クランプ制御回路は、前記電源によるダンプサージが前記出力トランジスタに発生した場合に前記クランプ回路を非動作状態とする、
    請求項1に記載の半導体集積回路。
  3. 前記参照信号生成回路は、前記制御信号を所定の時間遅延させることにより、所定の時間における信号のレベルを調整する、
    請求項1又は2に記載の半導体集積回路。
  4. 前記参照信号生成回路は、抵抗素子と容量素子を有するCR積分回路である、
    請求項3に記載の半導体集積回路。
  5. 前記参照信号生成回路は、前記制御信号の立ち上がり時は前記制御信号を第1のレベル降下した信号とし、前記制御信号の立ち下がり時は前記制御信号を第2のレベル上昇した信号とする、
    請求項1又は2に記載の半導体集積回路。
  6. 前記参照信号生成回路は、前記制御信号を前記第1のレベル降下させる第1のダイオード素子と、前記制御信号を前記第2のレベル上昇させる第2のダイオード素子とを有する、
    請求項5に記載の半導体集積回路。
  7. 前記参照信号生成回路は、前記制御信号を前記第1のレベル降下させる第1のトランジスタと、前記制御信号を前記第2のレベル上昇させる第2のトランジスタとを有する、
    請求項5に記載の半導体集積回路。
  8. 誘導性負荷を駆動するハイサイドスイッチング回路と、
    前記ハイサイドスイッチング回路の駆動を制御する制御信号を生成する制御信号生成回路と、
    前記ハイサイドスイッチング回路がオフ状態の場合に前記制御信号を前記誘導性負荷へ放電する放電回路と、
    前記制御信号の立ち上がりもしくは立ち下がりの傾斜を緩やかにした参照信号に基づき、前記ハイサイドスイッチング素子を逆起電圧から保護する逆起電圧保護回路と、
    を備える半導体集積回路。
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