JP2006147535A - 超伝導素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】超伝導フィラメントの体積分率が高い場合における超伝導に優れ、特に臨界温度Tc及び上部臨海磁場強度Bc2が高く、電磁コイルなどの商業的用途に対して十分な機械的安定性をを有する超伝導素子の製造方法を提供する。
【解決手段】この、製造方法は、標準的なCu−Sn合金の再結晶温度以上である520℃〜750℃の温度で実行される中間アニール処理と、30秒未満内に100℃以下へ冷却する急冷処理とにより先行される冷間加工により冷間加工ステップ又は高温加工ステップの少なくとも一部分及びアニールステップを実行する。
【選択図】図2

Description

本発明は、超伝導素子、特にマルチフィラメントワイヤの製造方法であって、Cu及びスズSnを含有するブロンズマトリックスで構成された複合体であって、Nb又はNb合金、特にNbTaを含有する少なくとも1つの細長構造体が埋設された複合体から開始し、それにより、第1のステップで、前記複合体を300℃〜750℃の温度で押出し成形し、後続の冷間加工又は熱間加工及びアニールステップで、前記複合体を前記細長構造体と平行に伸長させると共に熱処理(以下、「中間アニール処理」と称する)により軟化させ、後続の束化ステップで、前記冷間加工又は熱間加工ステップで伸張された複数の複合体を束にし、前記押出し成形ステップ、伸長ステップ、アニールステップ及び束化ステップを、1回以上繰り返し、後続の、中間アニールプロセスを含む最終伸長プロセスであって、固体拡散反応を含む熱処理によって超伝導相が得られる最終伸長プロセスにおいて、前記複合体をその最終長さにまで伸長する製造方法に関する。
この種の製造方法は、非特許文献1に記載されている。
超伝導Nb3Sn相を含有する超伝導ワイヤは、通常は、パウダ・イン・チューブ法(PIT法)、内部Sn拡散法又はブロンズ法で製造される。
上記ブロンズ法では、ニオブ(Nb)製の多数のロッドを、銅(Cu)及びスズ(Sn)を含有するブロンズマトリックスに挿入する。押出し成形、束化及び他のブロンズ缶への挿入を繰り返すことによって、ブロンズマトリックス中に埋設された非常に多数のNbファイバを備える延性のあるワイヤが得られる。また、該ワイヤには、その熱伝導性を向上させるために、一定量の純銅が導入される。そして、ワイヤは所望の形状に成形され、例えば、ワイヤを巻回することでコイルが形成される。続いて、該ワイヤは約600℃〜700℃の温度でアニール処理される。この固体拡散反応中に、ブロンズ由来のSnは、Nbファイバに拡散して、超伝導性を有するNb3Snを形成する。超伝導Nb3Sn相はA15相とも称される。
Nb3Snは、Snの含有量が低い場合には、超伝導性に乏しく、特に低い臨界温度Tc及び低い上部臨界磁場強度Bc2を呈する。したがって、Nb3Sn相においては、Sn含有量が高く且つ均一であることが求められる。Nb3Sn相中のSn含有量は、アニール処理の温度(即ち、反応温度)及び/又はアニール処理の時間(即ち、反応時間)の増大に伴って増大する。しかしながら、それにより粒成長を促進して、フィラメントの超伝導性を悪化させる。
現在では、上記ブロンズ法のプロセスが、未反応ワイヤ中に最大約16重量%Sn(9.1原子%(at.%Sn))のブロンズに関しては十分に確立されており、この製造方法は、市場の大部分をカバーする。しかしながら、近年では、他の2つの技術、即ち上記「内部Sn」プロセス及びパウダ・イン・チューブ(PIT)プロセスにおける重要な進歩が、新たな状況を作り出している。すなわち、ブロンズ法によるNb3Snワイヤの臨界電流密度を更に向上させることが市場での競争力を維持するためには必須である。
特許文献1には、Nb3Sn超伝導ワイヤの製造方法が記載されており、この製造方法によれば、ブロンズマトリックスのSn含有量を増大させてNb3Sn相の量を増大させ、これにより、該ワイヤの超伝導性が向上している。Sn含有量を増大させたワイヤの加工性は、ブロンズマトリックスの再結晶温度以下の温度での冷間加工又は温間加工でブロンズ中の金属間化合物相を細分することにより向上する。
米国特許第5228928号明細書 H. Hillmann,論文名「超伝導材料の製造技術(Fabrication Technology of Superconducting Material)」,S. Foner及びB. Schwartz編集,「超伝導材料の製錬、製造及び応用(Superconductor Materials Science: Metallurgy, Fabrication and Applications)」,(ニューヨーク/ロンドン),プレナムプレス(Plenum Press),1981年,NATO advanced study institutes series,B-Physics,第68巻,p.275−388
本発明の目的は、超伝導フィラメントの体積分率が高い場合における超伝導性に優れ、特に臨界温度Tc及び上部臨界磁場強度Bc2が高く、電磁コイルなどの商業的用途に対して十分な機械的安定性を有する超伝導素子の製造方法を提供することにある。
上記目的は本発明による製造方法により達成され、
この製造方法は、標準的なCu−Sn合金の再結晶温度以上である520℃〜750℃で実行される中間アニール処理と30秒未満の範囲で100℃以下へ冷却する急冷処理とにより先行される冷間加工により冷間加工ステップ又は高温加工ステップの少なくとも一部分及びアニールステップを実行する。この新しい方法を、以下、高速中間クエンチ(RIQ)という。
冷間加工による伸長プロセスでは、通常、熱処理により軟化させた複合体(composite)を用いる。この熱処理は、通常、ブロンズマトリックスの再結晶温度で行われ、その後、ブロンズマトリックスは室温にまで徐冷される。この製造方法を、15.8重量%Snを超えるブロンズに適用した場合、アニール処理されたブロンズマトリックスは、複合体を脆弱にし且つ冷間加工を不可能にする硬質なδ相を多量に含有する。一方、高速中間クエンチ(RIQ)法では、軟化処理(即ち、中間アニール処理)を520℃〜750℃の温度で実行し、続いて急冷処理を実行する。この急冷処理により、δ相の形成を抑制して、複合体の延性を高くし、冷間加工による伸長処理を施せることになる。
本発明の製造方法で製造された超伝導Nb3Snワイヤは、高い機械的安定性、小さな有効フィラメント径及び(3kmを優に上回る)非常に長い長さに亘る高い均一性を呈する。最終的なワイヤ径は1mmオーダである。この時点で、Nbフィラメントは約5μmであり、フィラメントの総数は、10000本又はそれ以上に達する。
本発明の製造方法の好ましい変形例では、前記中間アニール処理の温度として、520℃〜590℃の温度を選択するが、好ましくは590℃〜750℃の温度を選択する。590℃〜750℃の温度からの急冷処理により、複合体中のブロンズの延性をより高くすることができる。
別の好ましい本製造方法の変形例では、上記中間アニールステップの前に、好ましくは300℃〜520℃の温度で予熱ステップを複合体に施す。これにより、複合体が520℃以上の温度に曝される時間を最小限にまで低減させて、その結果、NbとSnとが反応する危険性を低減させることができる。
本製造方法のより好ましい変形例では、前記中間アニール処理を加熱流体内で実行する。加熱流体の使用により、中間アニール処理の温度及び時間を高精度で制御することが可能となる。加熱流体としては、例えば、複合体を溶解することがない液状金属浴や、液状塩浴がある。
別の変形例では、RIQ終端での冷却度合いは10秒未満となるように選択される。急冷処理の度合いは、高温のγ相又はβ相を保持するので、硬質のδ相、特にスズ含有量が15.8重量%以上のブロンズの形成を阻害することができる。
好ましい他の変形例は、急冷処理後の終端温度が100℃以下であることを特徴とする。該終端温度が100℃を超えるときは、急冷されたブロンズの延性が再度悪化する可能性がある。
好ましい別の変形例では、前記急冷処理を、冷却液を用いて積極的に実行する。なお、冷却剤としては、水を使用することができる。
好ましい別の変形例では、急冷処理後の好ましくは約2時間以内の複合体に冷間加工を施す。冷間加工の実行が非常に遅延した場合には、急冷されたブロンズの延性が再度悪化する可能性がある。
より好ましい変形例は、前記冷間加工の一部分を、カセットローラダイスを用いた冷間引抜きにより実行することを特徴とする。これにより、本RIQ法を利用した2回の中間アニール処理の間に複合体に施される断面収縮を促進させることができる。
特には、本発明の範囲には、上述した製造方法によって製造された超伝導素子であって、前記ブロンズマトリックス中のSn濃度が、Cu含有量に対して16重量%〜30重量%の間、好ましくは最大27重量%であることを特徴とする超伝導素子が含まれる。Sn濃度を高くすることにより、Nb3Sn超伝導相のSn含有量、ひいては超伝導電流jcが増大する。
好ましい実施の形態では、前記超伝導素子のブロンズマトリックスは、Ga,Al,Mg,Ti,Zr,Zn,Hf及びInのうちの少なくとも1つの添加物を最大5重量%含有する。なお、これらの添加物は、超伝導素子の性質及び/又は製造中の複合体の加工性を向上させるものである。
より好ましい実施の形態では、前記細長構造体の前記Nb合金は、Ta,V,Ti及びMoのうちの少なくとも1つの添加物を最大10重量%、好ましくは最大8重量%含有する。なお、これらの添加物は、超伝導素子の超伝導Nb3Sn相の性質を向上させるものである。
さらに好ましい実施の形態では、前記超伝導素子の細長構造体は、内面及び外面を有する中空の長尺パイプであり、前記外面及び内面は、前記ブロンズマトリックスに密着している。そのような複合構造体は、従来の二重ブロンズ法(double bronze route)で使用される。この二重ブロンズ法は、欧州特許出願第04004605.4号明細書に記載されているように、金属材料のみから成る長尺のコアを複合体の中央領域に封入することによって、改良することができる。
これに代えて、より好ましい実施の形態では、前記細長構造体は、外面を有する長尺ロッドであり、前記外面は、前記ブロンズマトリックスに密着している。このような複合構造体は、従来のブロンズ法で使用される。
更なる利点は、本明細書の記述及び添付図面から抽出可能である。上述した特徴および後述する特徴は、本発明に従って個別的にも任意の組み合わせによる集約としても利用可能である。記載された実施の形態は、本発明を記述するための典型的な性格を有するものに過ぎず、網羅的列挙と解するべきではない。
超伝導素子の改良された製造方法は、図2に図示するように高速中間クエンチ(RIQ)という、中間アニール処理とこれに続く急冷処理とを利用する。図2は複合体1の模式図であり、複合体1は、図3に関連して後述する一重ブロンズ法に従って構成されるか、又は図4に関連して後述する改良形の二重ブロンズ法に従って構成される。複合体1は、加熱流体2により加熱されて、冷却剤3により急冷処理される。該加熱流体2は、520℃〜750℃の温度にまで加熱されており、一方、複合体1は、中間アニール処理の前の予熱プロセスにより、300℃〜520℃の温度となっている。複合体1の冷却剤3による急冷処理後の温度は、ブロンズの延性が向上するように100℃以下である。このようにして中間アニール処理を実行することにより、ブロンズのSn含有量が高い場合であっても複合体1が損傷することなく冷間加工が可能となる。
図2に記載した高速中間クエンチ(RIQ)を利用する超伝導素子の製造に関してその様々な可能性をさらに理解するためには、Cu−Snブロンズの熱力学的性質を理解することが必須である。そこで、図1は、最も重要な熱力学的安定相が以下に述べるように銅リッチ側近傍にあることを示すCu−Sn系の平衡状態図である。
− α相(Cu−Sn合金,面心立方晶(fcc))は、0重量%Sn〜15.8重量%Snの範囲で安定であり、また、その約520℃における最大溶解度が15.8重量%Snである。
− β相(Cu−Sn合金,体心立方晶(bcc))は、22.0重量%Sn〜26.0重量%Snの範囲で安定であり、また、その共析点は24.6重量%Snで586℃である。
− γ相(Cu3Sn,立方晶(cubic))は、25.5重量%Sn〜41.5重量%Snの範囲で安定であり、また、その共析点は27.0重量%Snで520℃である。
− δ相(Cu41Sn11,立方晶(cubic))は、31.8重量%Sn〜33.2重量%Snの範囲で安定であり、また、その共析点は32.6重量%Snで350℃である。
超伝導ワイヤの製造に適切なブロンズは、以下に示す3つのグループに分別することができる。
α相のブロンズは、従来からNb3Snブロンズ法による導線製造に使用される。ブロンズ法にスプレー析出法(オスプリー(Osprey))を利用することで解決可能なSn偏析問題を無視すると、α相のブロンズは単相合金である。約450℃〜約550℃の再結晶アニール処理を施した場合に冷間引抜きが実行でき、これにより、α相の強力な加工硬化によって65%までに制限された断面収縮を得ることができる。α相では、ブロンズ中の最大Sn含有量が15.8重量%(9.1原子%)に制限される。したがって、ブロンズ中のSn含有量を高くすることにより超伝導ワイヤの超伝導性を向上させるためには、他のブロンズの加工性を理解する必要がある。
α相/β相の2相ブロンズは、15.8重量%Sn〜24.6重量%Snであり、温度及び合金組成に応じて一定量のβ相,γ相またはδ相の合金相(intermetallic phases)を含有する。硬質の合金相の存在は、冷間加工性に対する付加的な制限となる。スプレー析出されたCu−18重量%Snブロンズを用いた変形体験によれば、一定条件下で加工性は何らかの形で制限される。すなわち、例えば、(α相/β相領域において)620℃で再結晶を実行して水でクエンチした場合、冷間引抜きにより最大約40%の断面収縮が可能である。これに対して、550℃(α相/γ相領域)で再結晶が起こると、可能な断面収縮は非常に低下する。従って、加工性は、再結晶アニール処理中の熱力学的状態に大きく依存し、また、再結晶アニール処理の終りでのクエンチ速度にも大きく依存する。すなわち、加工性の向上への可能なアプローチの1つとしては、急冷処理及び冷間加工が続く、α相/γ相領域又はα相/β相領域における中間アニール処理(RIQ)を利用することが挙げられる。実際に、急冷処理後のブロンズは、保持されたγ相又はβ相の性質のために、徐冷後のブロンズに比べて高い延性を有する。
最後に、β相のブロンズ(Cu−24.6重量%Sn)は、温度が586℃〜約750℃に保持されている場合もやはり単相合金である。それよりも温度が低いと、共析分解によりα相及びγ相又はδ相が生成される。M. B. Cortie及びC. E. Mavrocordatos,論文名「銅−スズ系におけるベータ相の分解(The Decomposition of the Beta Phase in the Copper-Tin system)」,「冶金学報告書A(Metallurgical Transactions A)」,1991年,第22A巻,p.11−18によれば、Cu−24重量%Snの鋳造ブロンズは均質化され、650℃〜700℃のβ相領域において50mmから5mmへと熱間圧延され、700℃から水でクエンチされる。このような鍛造物は、室温での「機械加工が非常に容易」であり、このことは、同一合金組成の鋳放しの、即ち徐冷されたブロンズからは期待できない。β相領域又はα相/β相領域からクエンチした場合、比較的延性のある準安定な材料が製造されるが、クエンチされた合金は、室温で、その硬度が高まりながら、且つその延性及び引張強度が低下しながら経年劣化することが分かった。従って、β相のブロンズを用いた超伝導素子の製造においては、全ての中間アニール処理をRIQ法により実行する必要がある。
図3には、通常の一重ブロンズ法による複合体4が示されている。該一重ブロンズ法は、直径4μm〜5μmのNb3Snワイヤを製造するためのものである。普通の超伝導ワイヤは数千もの超伝導フィラメントを有し、これらのフィラメントは、普通、束状にグループ化されている。これらの束は、通常、純銅製コアの周囲でグループ化されているか、又は、純銅管(不図示)内に配列されている。複合体4は、ブロンズマトリックス6に囲まれた長尺ロッド5を備える。該長尺ロッド5は、延性のあるNb(又はNbTa)から成る。固体拡散反応を誘起するために高い反応温度で長尺ロッド5をアニール処理することによって、Nbは(Cu−Snのブロンズマトリックス6からの)Snと徐々に反応してNb3Snとなる。
長尺ロッド5のNb成分は、普通は、完全にNb3Snへと反応することはなく、一部のNbは未反応のまま残存する。Nb3Sn相内では、濃度勾配が変化している。ブロンズマトリックス6との境界近傍ではSn成分が25原子%であり、未反応のNbコア近傍ではSnの含有量が18%である。NbのNb3Snへの反応量を増大させるためには二重ブロンズ法が利用される。
図4には、改良二重ブロンズ法による複合体7が示されている。本二重ブロンズ法と通常ブロンズ法との差異は、主として、長尺ロッド5が長尺パイプ8に置換されている点にある。長尺パイプ8はその材料にNbを含む。該Nbは、実質的に純金属として存在するか、又はNbを含有する混晶として存在する。好ましくは、長尺パイプ8におけるNbの原子濃度が略50%以上である。本実施の形態では、Nb−7,5%Ta合金が使用される。
長尺パイプ8は、内面及び外面を有する。該内面は、内側のCu−Snブロンズマトリックス9に密着する。一方、長尺パイプ8の外面は、周囲に設けられた外側ブロンズマトリックス10に接触する。外側ブロンズマトリックス10は、普通は、内側ブロンズマトリックス9と同一材料から成る。外側ブロンズマトリックス10は、断面環状に形成可能であるが、さらに、広範囲に亘って伸縮可能であってもよい。特に、第1の複合構造体の外側ブロンズマトリックスは、周辺にある第2の複合構造体(不図示)の外側ブロンズマトリックスと隣接してもよい。
従来のブロンズ法によるワイヤは、フィラメント径が5μmに近く、有効拡散長が2μm〜2.5μmのオーダであるのに対して、本二重ブロンズ法によれば、同一回数の押出し加工により、Nb3Sn壁厚を2μmから、1μmを優に下回る値にまで変更可能である。二重ブロンズワイヤの全フィラメント径は5μm〜15μmの広範な範囲内で変更可能である。このことは、初期寸法に依存し、付加的な変形ステップを必要とするものではない。さらには、非常に小さいフィラメント径を有する「インサイチュ(in situ)」ワイヤと同様に、A15の壁厚を薄くすると、反応時間を短くして、粒径を小さくすることができる。これにより、臨界電流密度の値の顕著な上昇が期待され、特に工業上関心の高い12T〜16Tの中間磁場範囲における臨界電流密度の値の顕著な上昇が期待される。
しかしながら、従来の二重ブロンズ法により製造されたワイヤは、機械的安定性が不安定であるために高いjc値を示さない。内側Cu−Snブロンズマトリックス9は冷却時に収縮する。その結果、予圧縮効果を奏さないだけでなく、半径方向応力が発生し、もって、A15層の損傷をもたらす。
欧州特許出願第04004605.4号明細書には、二重ブロンズ法の改良が記載され、このものは、内側ブロンズマトリックス9が、該内側ブロンズマトリックス9よりも小さい熱膨張係数を有し且つ化学的に不活性なタンタルから成る内側金属コア11を囲んでおり、上記の影響を回避している。タンタルのコア11は、ブロンズマトリックス9ほどは収縮することがない。その結果、内側ブロンズマトリックスが長尺パイプ8に及ぼす引張応力を低減して、機械的安定性の不安定化を回避し、もって、超伝導電流値jcをより増大させる。
本発明によれば、超伝導素子の製造方法の改良されたプロセスが提供され、この製造方法では、急冷された中間アニール体の利点を、改良二重ブロンズ法と組み合わせることにより、超伝導素子の高い機械的安定性を得ることができると共に、超伝導素子のjc値を増大させることができる。したがって、本発明に係る製造方法によって製造された超伝導素子は、例えば、NMRソレノイド、加速器磁石、核融合磁石などの超伝導分野における将来の使用に有望な構成要素を構成するものである。
最も重要な熱力学的安定相が銅リッチ側近傍にあることを示すCu−Sn系平衡状態図である。 加熱した流体により加熱され且つ冷却剤により冷却される複合体を概略的に示す図である。 一重ブロンズ法による複合体の概略断面図である。 改良二重ブロンズ法による複合体の概略断面図である。
符号の説明
1,4,7 複合体
2 加熱流体
3 冷却剤
5 長尺ロッド
6 ブロンズマトリックス
8 長尺パイプ
9 内側ブロンズマトリックス
10 外側ブロンズマトリックス
11 コア

Claims (11)

  1. 超伝導素子、特にマルチフィラメントワイヤの製造方法であって、
    Cu及びスズSnを含有するブロンズマトリックス(6,9,10)で構成された複合体であって、Nb又はNb合金、特にNbTaを含有する少なくとも1つの細長構造体が埋設された複合体(1,4,7)から開始し、
    それにより、第1のステップで、前記複合体(1,4,7)を300℃〜750℃の温度で押出し成形し、
    後続の冷間加工又は熱間加工及びアニールステップで、前記複合体(1,4,7)を前記細長構造体と平行に伸長させると共に熱処理(即ち、中間アニール処理)により軟化させ、
    後続の束化ステップで、前記冷間加工又は熱間加工ステップで伸張された複数の複合体(1,4,7)を束にし、
    前記押出し成形ステップ、伸長ステップ、アニールステップ及び束化ステップを、1回以上繰り返し、
    後続の、中間アニールプロセスを含む最終伸長プロセスであって、固体拡散反応を含む熱処理によって超伝導相が得られる最終伸長プロセスにおいて、前記複合体(1,4,7)をその最終長さにまで伸長する製造方法において、
    前記伸長ステップの少なくとも一部分及びアニールステップを冷間加工により実行し、標準的なCu−Sn合金の再結晶温度以上である520℃〜750℃の温度で実行される中間アニール処理と、30秒未満内に100℃以下へ冷却する急冷処理(急速中間クエンチ「RIQ」)とが前記冷間加工に先行することを特徴とする製造方法。
  2. 前記中間アニール処理の温度として、520℃〜590℃、好ましくは590℃〜750℃の温度を選択することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  3. 前記中間アニール処理を加熱した流体(2)内で実行することを特徴とする請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 前記急冷処理の度合いは10秒未満となるように選択されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記急冷処理を、冷却液(3)を用いて積極的に実行することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記冷間加工の一部分を、カセットローラダイスを用いた冷間引抜きにより実行することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された超伝導素子であって、前記ブロンズマトリックス(6,9,10)中のSn濃度が、Cu含有量に対して16重量%〜30重量%、好ましくは最大27重量%であることを特徴とする超伝導素子。
  8. 前記ブロンズマトリックス(6,9,10)は、Ga,Al,Mg,Ti,Zr,Zn,Hf及びInのうちの少なくとも1つの添加物を最大5重量%含有することを特徴とする請求項7記載の超伝導素子。
  9. 前記細長構造体の前記Nb合金は、Ta,V,Ti及びMoのうちの少なくとも1つの添加物を最大10重量%、好ましくは最大8重量%含有することを特徴とする請求項7又は8記載の超伝導素子。
  10. 前記細長構造体は、外面を有する長尺ロッド(5)であり、前記外面は、前記ブロンズマトリックス(6)に密着していることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載の超伝導素子。
  11. 前記細長構造体は、内面及び外面を有する中空の長尺パイプ(8)であり、前記外面及び内面は、前記ブロンズマトリックス(9,10)に密着していることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載の超伝導素子。
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